JP2002075375A - 電池用電極 - Google Patents

電池用電極

Info

Publication number
JP2002075375A
JP2002075375A JP2000264569A JP2000264569A JP2002075375A JP 2002075375 A JP2002075375 A JP 2002075375A JP 2000264569 A JP2000264569 A JP 2000264569A JP 2000264569 A JP2000264569 A JP 2000264569A JP 2002075375 A JP2002075375 A JP 2002075375A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon black
polymer
segment
group
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000264569A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuyuki Ando
信行 安道
Isato Ikeda
勇人 池田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2000264569A priority Critical patent/JP2002075375A/ja
Publication of JP2002075375A publication Critical patent/JP2002075375A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形性良く、マトリックス中に活物質等の電
極材料が高密度でかつ均一に分散されてなり、集電体と
の密着性も良好で、大容量かつ充放電を繰り返したとき
の容量低下の少ない電池用電極を提供する。 【解決手段】 電極用活物質と、カーボンブラックに対
して反応性を有する重合体(I)をカーボンブラックに
加熱混合させて得られるカーボンブラック複合ポリマー
と、を含有することを特徴とする電池用電極。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムイオン二
次電池等の電池用電極に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオカメラ、携帯電話、ノート
型パソコン等のポータブル機器の普及に伴い、小型かつ
軽量で高容量の二次電池に対する需要が高まりつつあ
る。現在使用されている二次電池の多くはアルカリ電解
液を使用したニッケル-カドミウム電池であるが、平均
電池電圧が1.2Vと低いため、エネルギー密度を高く
することは困難である。そのため、負極に金属リチウム
を使用した高エネルギー二次電池の研究が行われてき
た。
【0003】ところが、金属リチウムを負極に使用する
二次電池では充放電の繰り返しによってリチウムが樹枝
状(デンドライト)に成長し、内部短絡を起こして発火
する危険性がある。また、活性の高い金属リチウムを使
用するため、本質的に危険性が高く、民生用として使用
するには問題が多い。近年、このような安全上の問題を
解決し、かつリチウム電極特有の高エネルギーが可能な
ものとして、各種炭素質材料を使用したリチウムイオン
二次電池が考案されている。
【0004】該電池は、充電時、炭素質材料にリチウム
イオンが吸蔵(ドーピング)され金属リチウムと同電位
になり、金属リチウムの代わりに負極活物質に使用でき
ることを利用したものである。また、放電時にはドープ
されたリチウムイオンが負極から放出(脱ドーピング)
されて、元の正極活物質に戻る。このような、リチウム
イオンをドーピング可能な炭素質材料を負極として使用
した場合には、デンドライト生成の問題も小さく、また
金属リチウムが存在しないため、安全性にも優れてお
り、現在活発に研究が行われている。
【0005】負極に用いる炭素質材料としては、ある種
の有機系高分子化合物またはその複合物を炭化あるいは
黒鉛化されたものが使用されている。また、天然黒鉛の
ように天然に存在する炭素質物質も検討されている。さ
らに、炭素質材料の性状を対象とした提案も数多くなさ
れている(特開昭62−90863号公報等)。このほ
か、フラン樹脂のような有機材料を焼成して得られる特
定粒子性状を備える難黒鉛化炭素材料を負極活物質とし
た非水電解液二次電池(特開平5−335017号公
報)や、芳香族ポリイミドの薄膜フィルム状成形体を焼
成黒鉛化するリチウム二次電池負極体の製造方法(特開
平6−223821号公報)も提案されている。さら
に、上記とは異質の炭素質材料を負極体とするものとし
ては、特定性状を備えるカーボンブラックをリチウム担
持体とした負極体も提唱されている。すなわち、BET
法による窒素吸着比表面積が85m2/g以下のカーボ
ンブラックをリチウム担持体としたリチウム二次電池の
負極体(特開平6−68867号公報)、DBP吸油量
が100ml/100g以上で算術平均一次粒子径が4
0nm以上の粒子特性を有するカーボンブラックに負極
活物質を担持させて負極体とするリチウム二次電池(特
開平6−68868号公報)、DBP吸油量と24M4
DBP吸油量の差が少なくとも40ml/100gの粒
子性状を備えるカーボンブラックに負極活物質となるリ
チウムを担持させて負極体とするリチウム二次電池(特
開平6−68869号)等である。これらの発明は、負
極担持体として十分な黒鉛層間距離と同時にカーボンブ
ラック粒子のもつ特異な配向構造や粒子凝集性状をリチ
ウムのドープ・アンドープに活用したもので、リチウム
担持容量および電池の充放電電圧を有意に改善すること
が可能となる。
【0006】一方、正極活物質としては、コバルト酸リ
チウム(LiCoO2 )やマンガン酸リチウム(LiM
2 4 )などのリチウム遷移金属複合酸化物が用いら
れる。さらに、正極活物質として用いられるリチウム遷
移金属複合酸化物は、それ自体比較的電気抵抗が大きい
物質であり、このリチウム遷移金属複合酸化物のみで正
極を構成した場合は、電子導電性が不十分となる。この
ため、リチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質とする
正極においては、導電性の高いグラファイト粉末、カー
ボンブラック等の炭素質材料からなる導電剤を添加する
ことで電子導電性を高めることも行われている(例え
ば、特開平7−296794号公報等)。
【0007】ところで、一般的に、これら正極活物質、
負極活物質共に粉末である。このため、負極あるいは陽
極に使用される活物質を集電体に保持するためにバイン
ダーが使用されている。
【0008】このバインダーには文字通りの材料をつな
ぎとめる結着剤としての性能の他に、集電体金属との密
着性、電解液への耐薬品・非反応性といった性能も要求
される。
【0009】従来、活物質を電極形状に成形するために
用いるバインダーとしては、電解液中での安定性があ
り、陰極に使用される炭素材料や陽極に使用される活物
質を分散する能力に優れ、少ない添加量での形状保持能
力などの観点から、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)
が多く使用されている。また、このような、PVdFに
代えて、フッ化ビニリデンモノマーと他のモノマーの共
重合体、例えば、ハイドロカーボン系モノマーである不
飽和二塩基酸のモノエステルと共重合させた樹脂(特開
平6−172452号公報)、無水マレイン酸と共重合
させた樹脂(特開平2−604号公報)さらには別のフ
ッ素モノマ−であるヘキサフルオロプロピレンとの共重
合体(特開平7−296815号公報)等が提案されて
いる。またPVdFとアクリル樹脂であるポリメチルメ
タクリレート(PMMA)をブレンドした樹脂(特開平
6−52861号公報)を用いることの提案もある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たように、従来、負極あるいは正極に使用される活物質
を集電体に保持するために結着剤が使用されている。こ
のように結着剤をマトリックスとするために、活物質の
充填密度が低く、また、導電剤を配合したとしても、活
物質と導電剤、あるいは活物質ないし導電剤同士の密着
性が不十分であり、電極の充填密度が低く、充分な電気
的特性が有効に得られない虞れは常に指摘されるところ
であった。このため、電極形状に賦形後に、圧縮により
電極層の厚さが薄くして活物質ないし導電剤同士の密着
性を高めることも行われているが抜本的な対策ではな
い。
【0011】特に、上記したように負極材料としてカー
ボンブラックを用いるような場合、カーボンブラックが
極めてフラフィーな微細粒子である関係で、電極形態を
整えるために用いる結着剤成分に対する分散性が悪く、
均一混合が困難となる欠点がある。とくにストラクチャ
ーの発達したDBP吸油量が高いカーボンブラックの分
散性は良くなく、均一な分散組織を得るためには極めて
長時間の混合分散処理が必要となる。これら成分間に分
散不良が生じると、電池性能の低下を招いたり、成形材
質にクラックが発生してカーボンダストが集電体から脱
落する現象が起きる。またカーボンブラックは本質的に
粒子凝集構造を呈していて、黒鉛粉末など他の単一粒子
系の炭素質粉末に比べて嵩密度が低いため、電池という
限られたスペースに充填する場合に量的な制約を受けて
電池容量を高めることができなくなるうえ、相対的に結
着剤の配合量を高くしないと成形が困難となる等の問題
があった。
【0012】さらに、バインダーとして代表的に用いら
れるPVdFは、樹脂そのものが比較的硬くかつフッ素
含量が高いため、集電体金属との密着性に乏しいこと等
が挙げられる。充放電を繰り返しても活物質層が集電体
から剥離・脱落して電池容量が次第に低下するという問
題も指摘されていた。
【0013】従って本発明は、改良された電池用電極材
料を提供することを課題とする。本発明はまた、成形性
良く、マトリックス中に活物質等の電極材料が高密度で
かつ均一に分散されてなり、集電体との密着性も良好
で、大容量かつ充放電を繰り返したときの容量低下の少
ない電池用電極を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明は、(1) 電極用活物質と、カーボンブラックに対
して反応性を有する重合体(I)をカーボンブラックに
加熱混合させて得られるカーボンブラック複合ポリマー
と、を含有することを特徴とする電池用電極により達成
される。
【0015】本発明はまた、(2) 前記重合体(I)
が、カーボンブラック表面の官能基と反応し得る反応性
基を有するセグメント(A)および前記セグメント
(A)とは異なる構造のセグメント(B)とからなるブ
ロックもしくはグラフト型の重合体である上記(1)に
記載の電池用電極を示すものである。
【0016】本発明はさらに、(3) 前記電極用活物
質がリチウム遷移金属複合酸化物であり、リチウムイオ
ン二次電池の正電極として用いられるものである上記
(1)または(2)に記載の電池用電極を示すものであ
る。
【0017】本発明はさらにまた、(4) 前記電極用
活物質がリチウムを主体とする金属材料又はリチウムの
ドープ・脱ドープが可能な炭素質材料であり、リチウム
イオン二次電池の負電極として用いられるものである上
記(1)または(2)に記載の電池用電極を示すもので
ある。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の電池用電極は、電極用活
物質と、カーボンブラックに対して反応性を有する重合
体(I)をカーボンブラックに加熱混合させて得られる
カーボンブラック複合ポリマーとを含有することを特徴
とするものである。
【0019】以下、本発明を、実施態様に基づき詳細に
説明する。
【0020】本明細書でいう「カーボンブラック複合ポ
リマー」とは、カーボンブラック部分に重合体部分が不
可逆的ないし可逆的に、結合ないし付加し複合化(一体
化)されたものであればよく、例えば、共有結合、イオ
ン結合、金属結合などによる複合化が挙げられる。ここ
では、共有結合による複合化の一種であるカーボンブラ
ックグラフトポリマーにつき説明するが、特にこれらに
限定されるべきものではなく、イオン結合、金属結合な
どにより複合化されたもの(例えば、特開平10−32
4819号公報に記載されている官能基を有するポリマ
ーにて処理をしたカーボンブラック複合ポリマーなど)
も同様の効果が得られる。
【0021】カーボンブラックグラフトポリマーは、カ
ーボンブラック部分に重合体部分がグラフト化された微
粒子をいう。カーボンブラックグラフトポリマーは、カ
ーボンブラックの一次粒子あるいは数個の凝集体に重合
体がグラフト化されたものである。さらに、ここでいう
「グラフト化」とは、ドネ(Jean−Baptist
e Donnet)らがその著書「カーボンブラック」
(1978年 5月1日株式会社講談社発行)にて定義
しているように、カーボンブラックのような基質に対す
る重合体の不可逆的な付加のことである。
【0022】不可逆的な付加反応を行うことによりカー
ボンブラック粒子表面部分に対し重合体部分を化学結合
させることができ、これにより、上記両者を確実に結合
させることができる。「グラフト化」に用いることがで
きる付加反応には、求電子付加反応、ラジカル付加反
応、求核付加反応、付加環化反応がある。
【0023】本発明は、リチウムイオン二次電池等に用
いられる電池用電極を構成する上において、電極活物質
と共にカーボンブラックグラフトポリマーに代表され
る、カーボンブラック複合ポリマーを用いたことを特徴
とするものである。
【0024】カーボンブラックグラフトポリマーは、そ
の表面にポリマー鎖を有しているため一種のバインダー
として機能し、一方、通常の結着樹脂と比較するとカー
ボンブラックの特性から導電性を有する。このため、活
物質等の粒子をマトリックス中に分散させて電極を形成
する上において結着樹脂の使用量を低く抑えるないしは
完全になくすことができる。
【0025】さらに、カーボンブラックグラフトポリマ
ーは、それ自身が各種樹脂、溶媒等の媒体に対して、優
れた分散性を有するものであるが、このようなカーボン
ブラックグラフトポリマーを、電極活物質等の微粒子の
分散系中へ添加すると、詳細な理由は明らかではない
が、電極活物質等の微粒子の分散性も改善され、電極活
物質等の微粒子に対する一種の分散剤として機能するた
め、電極における電極における電極活物質の分散状態を
均一かつ高密度なものとすることができ、電極性能の向
上が期待できるものである。
【0026】本発明に係る電池用電極において配合され
るカーボンブラックグラフトポリマーを製造する上で用
いられるカーボンブラックとしては、その表面にカルボ
キシル基、ヒドロキシ基等の官能基を有するものであれ
ば特に限定されず、例えばファーネスブラック、チャン
ネルブラック、アセチレンブラック、ランプブラック等
のいずれの種類のものを用いることができ、通常の市販
品をそのまま使用できるが、中でもカルボキシル基を有
するものが好ましい。さらにカーボンブラックとしては
pH7未満、特にpH1〜5のカーボンブラックを用い
ることが好ましい。カルボキシル基を有するカーボンブ
ラックは、酸性カーボンブラックとして容易に入手でき
るが、中性あるいは塩基性のカーボンブラックを酸化処
理することにより得られたものも本発明における原料と
して好適に用いることができる。カーボンブラックが、
カルボキシル基等の官能基を有していない場合、あるい
はpH7以上である場合、グラフト化が有効に行なわれ
ないことがある。なお、カーボンブラックのpHの試験
法はJIS K 6211によるものである。
【0027】また、カーボンブラックの平均粒子径は
0.0005〜0.5μm、特に0.001〜0.2μ
mの範囲内であることが好ましい。平均粒子径が0.0
005μm未満のカーボンブラックは容易に得られない
ため、産業上意義が小さい。また、平均粒子径が0.5
μmを越える場合、得られたカーボンブラックグラフト
ポリマーに十分な分散性が付与できないことがある。
【0028】一方、このようなカーボンブラックにグラ
フト化されて重合体部分を形成する重合体であるカーボ
ンブラックに対して反応性を有する重合体(I)は、カ
ーボンブラック表面の官能基と反応し得る反応性基を有
する重合体であれば良いが、好ましくは、カーボンブラ
ック表面の官能基と反応し得る反応性基を有するセグメ
ント(A)と、セグメント(A)とは異なる構造、より
好ましくは、電池用電極のマトリックスを形成する結着
樹脂、ないしは製造時に分散媒として用いられる溶剤等
の目的媒体に親和性を有するセグメント(B)とからな
るブロックもしくはグラフト型のものである。
【0029】すなわち、重合体部分が目的媒体と高い親
和性を有していたとしても、カーボンブラック部分に重
合体部分が有効にグラフト化されていないと、その特性
は安定したものとはならずまたバラツキを生じやすくな
り、一定レベルの親和性を得ようとするとカーボンブラ
ックグラフトポリマーにおけるカーボンブラック部分の
含有量が低くなってしまうという結果ともなる。
【0030】ここで、重合体部分を形成する重合体とし
て、目的媒体に対する親和性の高いセグメント(B)
と、このセグメント(B)よりも目的媒体に対する親和
性の低いセグメント(A)とを有し、かつ前記セグメン
ト(A)のみがカーボンブラックの表面官能基と反応し
てグラフト化に寄与する反応性基を有するように分子設
計し、目的媒体若しくはこれに近い性状(極性)を持つ
媒体からなる分散媒液中でグラフト化させると、重合体
が、上記したように反応性基を有するセグメント(A)
と目的媒体に親和性を有するセグメント(B)とからな
るものであるため、反応系においては、セグメント
(B)が分散媒液中に向って伸びきった形となるよう配
向するため、必然的にセグメント(A)がカーボンブラ
ック粒子表面を取囲み、カーボンブラックとこの重合体
がグラフト化するのに好適な反応場が提供されるため、
有効なグラフト化がなされるものである。
【0031】これにより得られたカーボンブラックグラ
フトポリマーにおいて表面に結合したグラフト鎖は、目
的媒体に対する親和性の高いセグメント(B)が外側に
露出するように配向されているので、目的媒体に対し高
い親和性を示し、カーボンブラックグラフトポリマーは
サブミクロン単位で媒体中に分散でき、本発明の目的と
する微粒子の分散剤としても有効に機能することが期待
できるものである。
【0032】以下、本発明に係るカーボンブラック複合
ポリマーを、このようなブロックもしくはグラフト型重
合体をグラフト化させてなるカーボンブラックグラフト
ポリマーを中心として説明する。
【0033】ブロックもしくはグラフト型重合体として
は、A−B型ブロック共重合体、A−B型グラフト共重
合体といった単純な構造のものに限られず、B−A−B
型ブロック共重合体、あるいはより高度な交互ブロック
共重合体、複数のBセグメントがAセグメントにグラフ
トしてなる櫛形グラフト共重合体、さらには複数のAセ
グメントと複数のBセグメントとからなる星型状のグラ
フト共重合体などといった各種のものが含まれる。
【0034】このブロックないしグラフト型の重合体に
おいて、セグメント(A)中に含まれる反応性基として
は、カーボンブラック表面に存在する官能基と反応して
当該重合体のカーボンブラックへのグラフト化に寄与で
きるものであれば特に限定されるものではなく各種の反
応性基を利用できる。
【0035】ここで、グラフト化をより確実かつ安定な
ものとするためには、重合体部分が共有結合を介してカ
ーボンブラックに結合することが望まれ、特にエステル
結合、チオエステル結合、アミド結合、アミノ結合、エ
ーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオ
カルボニル結合およびスルホニル結合よりなる群から選
ばれる少なくとも1種の結合、さらには、エステル結
合、チオエステル結合およびアミド結合よりなる群から
選ばれる少なくとも1種の結合であることが望まれる。
このような点も考慮すると、反応性基は、エポキシ基、
チオエポキシ基、アジリジン基およびオキサゾリン基よ
りなる群から選ばれる少なくとも1種または2種以上の
ものであることが望ましい。カーボンブラックに対する
反応性基は必ずしもこれらのみに限定されるものではな
いが、これらの反応性基以外の基を有する重合体を用い
る場合、使用できるカーボンブラックの種類に制限が生
ずることがある。重合体が前記反応性基を有するもので
あることが好ましい理由は、使用できるカーボンブラッ
クの種類や状態にかかわらず、温和な条件においてもカ
ーボンブラックと重合体とが非常に高いグラフト化効率
で付加反応することにある。特に、カーボンブラックが
上記したようにカルボキシル基を表面官能基として有す
る場合、カルボキシル基が、エポキシ基、チオエポキシ
基、アジリジン基またはオキサゾリン基と熱反応により
高収率で不可逆的付加反応を行ない、この付加反応によ
り、カーボンブラック部分と重合体部分に上記した共有
結合が形成されるゆえ望ましい。
【0036】なお、このようなブロックないしグラフト
型の重合体以外の重合体を用いる態様においても、当該
重合体中に含まれる反応性基としては同様のものであ
る。
【0037】また、これらの反応性基の重合体(セグメ
ント(A)部分)中への導入方法ついては後述する。
【0038】このような反応性基を有するセグメント
(A)は、そのセグメント鎖構造上で目的媒体に対し親
和性の低いものとすることが望ましい。なお、ここでい
う低い親和性とは、あくまで他方のセグメント(B)と
の対比による相対的なものであるため、目的媒体の種類
あるいはセグメント(B)の構成いかんによって、セグ
メント(A)は各種の構成とすることができ、一概には
特定できない。しかしながら、さらに別の観点からする
と、前記セグメント(A)は、カーボンブラックに対し
親和性が高いものとすることが、カーボンブラックに対
してより良好な配向性を示すものとなるゆえに望まし
い。この点から前記セグメント(A)は、その主鎖が炭
素−炭素結合を主とするもの、より好ましくは、例えば
ベンゼン環、ナフタレン環、インデン環などのような芳
香環を主鎖に含むもので、かつ前記したような反応性基
を分子内に有するものとし、一方、前記セグメント
(B)は、セグメント(A)よりも炭素−炭素結合の少
ない、特に芳香環の少ない骨格構造、例えばポリシロキ
サン構造、あるいはエーテル結合、エステル結合等の炭
素−炭素結合以外の結合を多く含むものとすることが望
ましい。
【0039】ただ、セグメント(A)が実質的に高度の
縮合多環構造のみで構成されてしまうとセグメント
(A)の剛直性が極端に高まることとなり、カーボンブ
ラックへのグラフト時にカーボンブラック表面へのセグ
メント(A)の近接が困難な虞れがあるために、適度な
線状構造を有することが望ましい。
【0040】上記したように、セグメント(A)の鎖構
造は、カーボンブラックに付与しようとする分散性の面
から選択されるセグメント(B)の鎖構造に応じて、適
宜選択し得るものであり、例えば、スチレン系単量体、
(メタ)アクリル系単量体、アルキレン系単量体などの
単独もしくは共重合による各種ビニル系ポリマー、ポリ
エステル、ポリエーテル等の(上記反応性基を有する)
重合鎖とすることができるが、このうち、ビニル系ポリ
マー、特に、芳香環を有するビニル系単量体成分を50
モル%以上、より好ましくは、60モル%以上含みかつ
反応性性基を有するビニル系ポリマーであることが、目
的媒体に応じて選択される各種のセグメント(B)との
組合せが可能となるため望ましい。
【0041】さらに経済性等を考慮すると特に、スチレ
ン系単量体および(メタ)アクリル系単量体を主とする
単独ないし共重合ポリマー、特にスチレン系単量体成分
を50モル%以上、さらには60モル%以上含む(上記
反応性基を有する)重合鎖が望ましい。
【0042】しかしながら、反応性基を有するセグメン
ト(A)は、そのセグメント鎖構造上で目的媒体に対し
セグメント(B)より親和性の十分低いものとすれば、
必ずしもセグメント(A)がカーボンブラックに対し親
和性の高いものとしなくともよく、カーボンブラックに
対してはセグメント(A)とセグメント(B)の親和性
に実質的な差異がなくとも、あるいはセグメント(B)
よりも親和性の低いものであっても十分に使用可能であ
る。
【0043】一方、セグメント(B)は、目的媒体への
親和性の高いものである必要があり、例えば、含フッ素
ポリマー系構造、ポリ(メタ)アクリル系構造、ポリア
ルキレングリコールなどのポリエーテル系構造、ポリエ
ステル系構造、ポリアルキレン系構造、ポリアミド構
造、ポリイミド構造、ポリウレタン構造、ポリシロキサ
ン系構造などを有する重合鎖から適当なものが選択され
るが、例えば、従来例において多く用いられるように、
PVdFを結着樹脂として用いる系においては、セグメ
ント(B)も含フッ素ポリマー系構造とすることが好ま
しい例として挙げられる。
【0044】このような反応性基を有するセグメント
(A)と目的媒体に対し親和性を有する構造のセグメン
ト(B)とを有するブロックないしグラフト型の重合体
を得る方法としては、特に限定されず、公知の種々のブ
ロックないしグラフト型重合体の重合技術と、反応性ポ
リマーの製造技術を適当に組合せることで製造すること
ができる。
【0045】グラフト型の重合体を得る方法としては、
例えば、グラフト鎖となる高分子量体の存在下に、重合
開始剤及び重合性単量体を溶液重合、乳化重合、塊状重
合又は懸濁重合して主鎖となる重合体を重合する方法す
る方法が知られている。しかしながら、前記高分子量体
がラジカル重合性官能基を持たないものであると、得ら
れるグラフト共重合体には多量のグラフト化されていな
い重合体が含まれており、グラフト効率が低いという欠
点をもっている。それ故、当該高分子量体としてラジカ
ル重合性高分子量体を用いて行なうことが好ましい。こ
のようなラジカル重合性高分子量体は、一般に、「マク
ロモノマー」と称され、片末端にラジカル重合性基、例
えば、(メタ)アクロイル基、スチリル基などを有する
高分子量体であり、例えば、有機溶剤中で片末端カルボ
キシル基を有する重合体とグリシジル基を有するラジカ
ル重合性単量体を反応させることにより得られるもので
ある(例えば、特公昭43−11224号公報には、有
機溶剤中でラジカル重合性単量体をメルカプト酢酸の存
在下で、ラジカル重合させて得られるプレポリマーとグ
リシジルメタクリレートをジメチルラウリルアミン触媒
の存在下で反応させて得る方法が開示されている。)。
【0046】従って、例えば、本発明に係るグラフト共
重合体を得るには、まずセグメント(B)の主鎖を形成
する成分としての上記したようなラジカル重合性高分子
量体(b)存在下に、前記したようなカーボンブラック
に対する反応性基を分子内に有する重合性単量体(a)
およびその他必要により配合されるセグメント(A)の
骨格を形成する重合性単量体(c)を重合すればよい。
【0047】カーボンブラックに対する反応性基を分子
内に有する重合性単量体(a)としては、
【0048】
【化1】
【0049】
【化2】
【0050】(但し、これらの式中のR1は水素または
メチル基を示し、nは0または1〜20の整数であ
る。)等の式で表されるエポキシ基含有重合性単量体
類;
【0051】
【化3】
【0052】
【化4】
【0053】
【化5】
【0054】(但し、これらの式中のR1およびnはエ
ポキシ基含有重合性単量体の場合と同様である。)等で
表わされるチオエポキシ基含有重合性単量体類;
【0055】
【化6】
【0056】
【化7】
【0057】
【化8】
【0058】
【化9】
【0059】
【化10】
【0060】
【化11】
【0061】
【化12】
【0062】
【化13】
【0063】等で表されるアジリジン基含有重合性単量
体類;2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4
−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル
−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−エチル−2−オ
キサゾリン、2−ビニル−5−エチル−2−オキサゾリ
ン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−4−エチル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2−イソ
プロペニル−4,5−ジメチル−2−オキサゾリンなど
のオキサゾリン基含有重合性単量体類;N−ヒドロキシ
メチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリル
アミド、N−ヒドロキシブチルアクリルアミド、N−ヒ
ドロキシイソブチルアクリルアミド、N−ヒドロキシ−
2−エチルヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシシ
クロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメ
タクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミ
ド、N−ヒドロキシブチルメタクリルアミド、N−ヒド
ロキシイソブチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシ−
2−エチルヘキシルメタクリルアミド、N−ヒドロキシ
シクロヘキシルメタクリルアミドなどのN−ヒドロキシ
アルキルアミド基含有重合性単量体類;を挙げることが
でき、これらの群から選ばれる1種または2種以上を使
用することができる。
【0064】また、セグメント(A)を上記したような
所望の骨格となすために、必要により使用できる重合性
単量体(c)としては、前記単量体(a)ならびに後述
するようなとセグメント(B)を形成する成分としての
上記したようなラジカル重合性高分子量体(b)共重合
し得るものであれば特に限定されず、得ようとするセグ
メント(A)の分子構造に応じて、例えばスチレン、o
−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルス
チレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、
p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o
−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルス
チレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸、アクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、ア
クリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル
酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−エ
チルヘキシル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル
酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸
n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2
−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル等のアクリ
ル酸あるいはメタクリル酸系モノマー;エチレン、プロ
ピレン、ブチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリル
ニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビ
ニルピロリドン等の単量体を1種または2種以上適宜用
いることができる。
【0065】一方、セグメント(B)成分の主鎖を構成
するためラジカル重合性高分子量体(b)としては、所
望の重合鎖、例えば、ポリ(メタ)アクリル系構造、ポ
リアルキレングリコールなどのポリエーテル系構造、ポ
リエステル系構造、ポリアルキレン系構造、ポリアミド
構造、ポリイミド構造、ポリウレタン構造、含フッ素ポ
リマー系構造、ポリシロキサン系構造などの重合鎖の片
末端に反応性基を有するものであればよい。
【0066】例えば、セグメント(B)をポリメタ(ア
クリル)系構造を有するものとする場合、ラジカル重合
性高分子量体(b1)としては、例えば、以下に示される
ようなものが使用され得る。
【0067】
【化14】
【0068】(ただし、式中、R1、R2は同一または異
なって水素原子またはメチル基を示し、R3は炭素数1
〜25のアルキル基を示し、Xは任意の連結鎖であり、
Yは開始剤末端またはH原子、nは0〜500の整数を
示す。)
【0069】
【化15】
【0070】(ただし、式中、R1、R2、R4は同一また
は異なって水素原子またはメチル基を示し、R3、R5
同一または異なって炭素数1〜25のアルキル基を示
し、Xは任意の連結鎖であり、Yは開始剤末端またはH
原子、m、nはそれぞれ同一または異なって0〜500
の整数を示す。)
【0071】
【化16】
【0072】(ただし、式中、R1、R2は同一または異
なって水素原子またはメチル基を示し、R3は炭素数1
〜25のアルキレン基を示し、R4は炭素数1〜25の
アルキル基を示し、Xは任意の連結鎖であり、Yは開始
剤末端またはH原子、nおよびmは同一または異なって
0〜500の整数を示す。) また、セグメント(B)をポリアルキレングリコール系
構造を有するものとする場合、ラジカル重合性高分子量
体(b2)としては、例えば、以下に示されるようなもの
が使用され得る。
【0073】
【化17】
【0074】(ただし、式中、R1、R2、R3は同一また
は異なって水素原子またはメチル基を示し、nは0〜5
00の整数を示す。)
【0075】
【化18】
【0076】(ただし、式中、R1、R2、R3、R4は同一
または異なって水素原子またはメチル基を示し、nおよ
びmは同一または異なって0〜500の整数を示す。) さらに、セグメント(B)をポリスチレン系構造を有す
るものとする場合、ラジカル重合性高分子量体(b3)と
しては、例えば、以下に示されるようなものが使用され
得る。
【0077】
【化19】
【0078】(ただし、式中、R1は水素原子またはメ
チル基を示し、Xは任意の連結鎖であり、Yは開始剤末
端またはH原子、Zは水素原子、ハロゲン置換基または
炭素数1〜8のアルキル基、nは0〜500の整数を示
す。)。
【0079】さらに例えば、セグメント(B)を含フッ
素ポリマー系構造を有するものとする場合、ラジカル重
合性高分子量体(b4)としては、前記したようなラジカ
ル重合性高分子量体(b1)、(b2)、(b3)として例示
したような構造体の一部に、フッ素置換基を有するもの
が例示できる。
【0080】また、セグメント(B)をポリシロキサン
系構造を有するものとする場合、当該ポリシロキサン系
構造としては、ポリジメチルシロキサン基、部分アルキ
ル基置換のポリジメチルシロキサン基、部分アリール基
置換のポリジメチルシロキサン基、トリス(トリアルキ
ルシロキシ)シリルプロピル基等のポリオルガノシロキ
サンを含有するものなどが例示できる。
【0081】従って、ポリシロキサン系構造を有するラ
ジカル重合性高分子量体(b5)としては、例えば(メ
タ)アクリロイル基含有ポリジメチルシロキサン、スチ
リル基含有ポリジメチルシロキサン(メタ)アクリロイ
ル基含有部分オクチル置換ポリジメチルシロキサン、ス
チリル基含有部分オクチル置換ポリジメチルシロキササ
ン、スチリル基含有部分フェニル置換ポリジメチルシロ
キサン、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル
(メタ)アクリレート等の重合性ポリシロキサン類が挙
げられ、これらの中から1種または2種以上を用いるこ
とができ、特に以下のものが望ましい。
【0082】
【化20】
【0083】(ただし、式中、Bは−COO−またはフ
ェニレン基を示し、R1は水素原子またはメチル基を、
2は炭素数1〜6のアルキレン基を、R3〜R13は同一
または異なってアリール基、炭素数1〜6のアルキル基
または炭素数1〜10のアルコキシル基をそれぞれ示
し、aおよびbは同一または異なって0〜10の整数
を、nは0〜200の整数をそれぞれ示す。)。
【0084】なお、上記式群において示す連結鎖Xにつ
いては、例えば、「マクロモノマーの化学と工業」(山
下雄也監修、(株)アイピーシー発行、平成元年9月2
0日)に詳しく示されており、これに示されているもの
のいずれを用いることもできる。
【0085】上記したようなグラフト型の前駆体重合体
を得る際の重合方法としては、公知の重合方法を用いる
ことができる。例えば、塊状重合法、懸濁重合法、乳化
重合法、溶液重合法などを挙げることができる。中で
も、ラジカル触媒を用いての溶液重合法が好ましい。
【0086】ラジカル触媒としては、通常、ビニル単量
体の重合に用いられているものであればいずれも使用で
きる。代表的なものとしては、2,2´−アゾビスイソ
ブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)等のアゾ系化合物;ベンゾリルパー
オキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ter
t−ブチルパーオクトエート、tert−ブチルパーオ
キシ−2−エチルヘキサノエート等の過酸化物系化合物
等が挙げられ、これらは通常単量体100質量部当たり
0.2〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部の範
囲内で使用される。また溶剤としては、用いられる単量
体、ラジカル重合性高分子量体の種類に応じて適宜選択
される。
【0087】本発明で用いることのできるグラフト型重
合体を得る別の方法としては、例えば、カーボンブラッ
クに対する反応性基を有する化合物(e)を、該化合物
と反応し得る基をセグメント(A)に有しかつこのセグ
メント(A)にセグメント(B)がグラフトしてなる前
駆体重合体に反応させて該反応性基を該前駆体重合体中
に導入する方法を挙げることができる。
【0088】上記化合物(e)としては、例えば、カー
ボンブラックに対する前記の反応性基の1種を分子内に
2個以上有する化合物、カーボンブラックに対する前記
の反応性基の2種以上を分子内に有する化合物、カーボ
ンブラックに対する前記の反応性基の1種以上と前記の
反応性基以外の官能基とを分子内に有する化合物等を挙
げることができる。
【0089】ただし、上記の官能基とはエポキシ基、チ
オエポキシ基、アジリジン基およびオキサゾリン基以外
のものであって、かつ、前記前駆体重合体のセグメント
(A)の有する当該反応し得る基と反応し得るものであ
る。前駆体重合体のセグメント(A)の有する反応し得
る基としては例えばイソシアネート基、アミノ基、カル
ボキシル基、ヒドロキシル基、ビニル基等を挙げること
ができる。
【0090】またブロック型の重合体を得る方法として
は、例えばアニオンリビング重合法、カチオンリビング
重合法、イニファータ法等が知られており、さらに、他
の方法としては、セグメント(A)またはセグメント
(B)の単量体をラジカル重合する際に、チオールカル
ボン酸、あるいは2−アセチルチオエチルチオール、1
0−アセチルチオデカンチオール等の分子内にチオエス
テルとチオール基とを含有する化合物を共存させて重合
して得られた重合体を水酸化ナトリウムやアンモニア等
のアルカリで処理して、片末端にチオール基を有する重
合体とし、得られた片末端にチオール基を有する重合体
の存在下でもう一方のセグメントの単量体成分をラジカ
ル重合する方法が知られている。
【0091】従って、本発明に係るブロック共重合体を
得るには、上記したような公知の方法を適宜変更し、前
記グラフト共重合体を得る場合と同様に、セグメント
(A)の重合性単量体として少なくともその一部に前記
したような反応性基を有する重合性単量体(a)を用い
て、ブロック共重合体の重合の際にセグメント(A)に
反応性基を導入するか、あるいはブロック共重合体の重
合後に、このような反応性基をセグメント(A)に導入
すればよい。
【0092】この理解のために、ほんの一例を述べる
と、アニオンリビング法による合成方法として、4−ビ
ニルベンジルリチウムを用い、テトラヒドロフラン中窒
素気流中にスチレンを加え、重合した後、低温下でメタ
クリル酸メチルを重合させることによりA−Bブロック
(スチレン−メタクリル酸メチル)共重合体を得、その
後セグメント(A)の開始末端のビニル基を3−クロロ
過安息香酸を使ってエポキサイド基に変換することによ
ってセグメント(A)にカーボンブラックと反応性を有
する反応性基を導入することができる。あるいは、4−
ビニルベンジルリチウムを用い、テトラヒドロフラン中
窒素気流中にスチレンを加え、重合して、セグメント
(A)部分を得た後、反応系にグリシジルメタクリレー
トを添加してセグメント(A)に反応性基を有するセグ
メントを結合させ、さらにその後、低温下でメタクリル
酸メチルを重合させることによりといった手法を採るこ
ともできる。
【0093】このようにして得られるグラフトないしは
ブロック型重合体の分子量については特に制限されない
が、カーボンブラックに対するグラフト化の効果や、カ
ーボンブラックとの反応時の作業性を考慮すると上記分
子量は平均分子量1000〜1000000の範囲とす
ることが好ましく、より好ましくは5000〜1000
00の範囲である。
【0094】また、グラフトないしはブロック型重合体
におけるセグメント(A)およびセグメント(B)の分
子量としても特に制限されるものではなく、これらのセ
グメントを構成する重合鎖の種類等によっても左右され
るが、カーボンブラックに対するグラフト効率の面から
するとセグメント(A)は平均分子量300〜1000
00の範囲、より好ましくは5000〜50000の範
囲とすることが好ましく、またカーボンブラックに付与
しようとする分散性改質効果の面からするとセグメント
(B)は平均分子量500〜100000の範囲、より
好ましくは1000〜50000の範囲とすることが好
ましい。さらに、グラフトないしはブロック型重合体の
セグメント(A)が有する反応性基の数としても特に限
定されるものではないが、重合体1分子当り平均して5
0〜1、より好ましくは20〜1程度が望まれる。
【0095】上記したようなグラフトないしブロック型
の重合体のカーボンブラックへのグラフト化は、得られ
るカーボンブラックグラフトポリマーを添加しようとす
る系において、その分散混合調製時に用いられる溶剤な
いしはこれに近い性状の分散媒液、または使用される結
着樹脂に近い性状を有する分散媒液の存在下で行なわれ
る。すなわち、この分散媒液は、当該重合体のセグメン
ト(B)に対し高い親和性ないし相溶性を有しセグメン
ト(A)に対しては親和性ないし相溶性の低いものであ
る。
【0096】このような分散媒液存在下によるカーボン
ブラックと前記重合体のグラフト化においては、さらに
該重合体に該当しないポリマー、重合性単量体等の他の
物質を存在させることもできる。
【0097】このグラフト化は、例えば、50〜150
℃、好ましくは70〜140℃の温度下に、0.5〜1
0時間、好ましくは1〜5時間攪拌混合することにより
行なわれる。反応温度が50℃未満の場合にはグラフト
化が進行しないことがあり好ましくない。
【0098】反応の手順としては、カーボンブラックお
よび重合体と、前記分散媒体を反応装置に仕込み、加熱
下に混合すればよい。
【0099】反応装置としては、通常の攪拌に用いられ
る攪拌槽や混練に用いられるボールミル、ミキサー、ニ
ーダー等の混練機を用いることができるが、特に望まし
くは、被処理流体を内部に収容するためのベッセル、こ
のベッセル内部において回転する攪拌子、ベッセル内部
に収容された被処理流体を加熱するための加熱装置、お
よび、ベッセル内部に収容された複数の粒状分散媒体を
有してなる湿式分散処理装置である。このような構成の
装置を用いれば、極めて高効率で、かつ十分に小さな粒
径を有する(即ち、二次凝集状態から良好に解砕された
カーボンブラックに重合体がグラフト化する。)カーボ
ンブラックグラフトポリマーを得ることができる。
【0100】このようなグラフト化におけるカーボンブ
ラックと前記重合体との配合割合は、使用される前記重
合体の種類等に応じて左右されるものであるため、一概
には規定できないが、カーボンブラック100質量部に
対し、前記重合体1〜200質量部、より好ましくは5
〜100質量部程度とすることが望ましい。すなわち、
重合体が1質量部未満であると、カーボンブラックの表
面性状を十分に改質することが困難となる虞れがあり、
一方200質量部を越えると、カーボンブラックに結合
する重合体の量が多くなり、経済的でないのみならず、
分散剤としての特性を損なう虞れがあるためである。
【0101】本発明に用いられるカーボンブラックグラ
フトポリマーの製造方法としては、上記に詳述したよう
な方法に限定されるものではなく、これ以外の方法によ
っても製造することができる。即ち、例えば、カーボン
ブラックと上記重合体とのグラフト化は、上記重合体の
セグメント(A)の方に極端に高い親和性を示さない限
り、任意の分散媒液の存在下に、あるいはこのような分
散媒液を存在させずに攪拌混合、あるいは溶融混練する
ことでも行ない得る。
【0102】さらにカーボンブラックグラフトポリマー
の重合体鎖として、上記したようなブロックないしグラ
フト型以外のものを使用して製造しようとする場合に
は、適当な分散媒液の存在下あるいは不存在下に、カー
ボンブラックと当該重合体(カーボンブラック表面の官
能基と反応し得る反応性基を有する重合体)を加熱混合
することでカーボンブラックグラフトポリマーを得るこ
とができる。
【0103】このようにして得られるカーボンブラック
グラフトポリマーの平均粒子径は0.001〜1μm、
特に0.01〜0.5μmの範囲内であることが好まし
い。平均粒子径が0.001μm未満のカーボンブラッ
クグラフトポリマーは、原料となるカーボンブラックが
容易に得られないため産業上意義が小さい。また平均粒
子径が1μmを越える場合、それ自体が目的媒体に対し
十分な分散性が得られないことがあり、本発明の一つの
目的とする分散剤としての作用を有効に発揮し得ない虞
れがある。
【0104】本発明に係るカーボンブラック複合ポリマ
ーは、カーボンブラック部分と重合体部分の割合が、前
者100質量部に対し後者1〜200質量部、特に5〜
100質量部であることが好ましい。後者が1質量部未
満の場合、得られたカーボンブラック複合ポリマー同士
が凝集して、目的媒体中で十分な分散性が得られず、目
的とする微粒子に対する分散剤として機能しないことが
ある。また後者が200質量部を越える場合は、必要以
上に重合体部分がグラフト化されていることになり、こ
のような過剰な重合体成分の存在によって、マトリクス
としての結着樹脂の使用量を低減しても、この重合体成
分の存在によって、得られる電極において所望する性能
向上効果が期待できなくなる虞れがあるためである。
【0105】本発明に係る電池用電極は、少なくとも電
極活物質と共に、上記したようなカーボンブラックグラ
フトポリマーに代表されるカーボンブラック複合ポリマ
ーを含有してなるものであり、活物質の種類によって、
負極電極とも正極電極ともなり得る。電極活物質に対す
るカーボンブラック複合ポリマーの配合量としては、負
極ないしは正極の別、あるいは具体的に使用される活物
質の種類、さらには必要に応じて併用する結着樹脂の種
類および量等によっても左右されるため、一概には規定
できないが、例えば、活物質100質量部に対し1〜2
0質量部程度であることが望ましい。
【0106】負極活物質としては特に限定されるもので
はないが、金属リチウム、あるいは金属リチウムやリチ
ウム等をドープ/脱ドープ可能な炭素質材料が用いられ
る。炭素質材料としては、コークス、フラン樹脂や芳香
族ポリイミドなどを焼成黒鉛化したポリマー炭、カーボ
ンファイバー等の他、単位体積当たりのエネルギー密度
が大きいことから熱分解炭素類、コークス類(石油コー
クス、ピッチコークス、石炭コークス等)、カーボンブ
ラック、ガラス状炭素、有機高分子材料焼結体(有機高
分子材料を500℃以上の温度で不活性ガス気流中、あ
るいは真空中で焼成したもの)等が例示できる。
【0107】負極活物質としてのカーボンブラックとし
ては、製造履歴や生成機構に制約を受けることなく、フ
ァーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラ
ック、アセチレンブラックなど各種のものを用いること
ができるが、粒子性状としてストラクチャーの発達した
もの、具体的には、例えばその指標として、DBP吸油
量が比較的大きいもの、例えば、100ml/100g以上の
ものが好ましい。ストラクチャーが発達していないもの
では、粒子内部へのリチウムの拡散が円滑に進まなくな
って担持容量が小さくなる虞れがあるためである。な
お、DBP吸油量はJIS K−6221「ゴム用カー
ボンブラックの試験方法」6.1.1項で規定されてい
る吸油量A法(機械法)により測定された値を指す。
【0108】一方、正極活物質としては、特に限定され
るものではないが、二酸化マンガン、五酸化バナジウム
の様な遷移金属酸化物や、硫化鉄、硫化チタンのような
遷移金属硫化物、さらにはこれらとリチウムとの複合酸
化物などを用いることができる。特に、高電圧、高エネ
ルギー密度が得られ、サイクル特性にも優れることか
ら、式LiXA1−YMYO2(Aは、Mn、Co、及び
Niからなる群から選ばれる少なくとも一種の遷移金属
元素、MはB、Mg、Ca、Sr、Ba,Ti、V、C
r、Mn、Fe、Co、Ni、Al、In、Nb、M
o、W、Y及びRhよりなる群から選ばれる少なくとも
一種の元素、0.05≦X≦1.1;0≦Y≦0.5)
で表される複合酸化物が挙げられる。複合酸化物の具体
的としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニ
ッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウ
ム(LiMn24)等が望ましい。
【0109】また、リチウム遷移金属複合酸化物を正極
活物質とする場合においては、必要に応じて、導電性の
高いグラファイト粉末、カーボンブラック等の炭素質材
料からなる導電剤を添加することで電子導電性を高める
ことも可能である。
【0110】さらに、本発明に係る電池用電極を形成す
る上で、マトリックスを形成する上で必要に応じて用い
られる結着樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデ
ン、ポリテトラフルオロエチレン、あるいはフッ化ビニ
リデンモノマーと他のモノマー、例えば、ハイドロカー
ボン系モノマーである不飽和二塩基酸のモノエステル、
無水マレイン酸、別のフッ素モノマ−であるヘキサフル
オロプロピレン等との共重合体等の含フッ素系ポリマ
ー、集電体との接着性向上の観点から、例えばポリメタ
アクリレート、ポリメチルメタアクリレート等のアクリ
ル系樹脂、ポリイミド、ポリアミド、及びポリアミドイ
ミド系樹脂、あるいはこれらの混合物等を用いることが
可能である。しかしながら、本発明においては、カーボ
ンブラック複合ポリマーを配合し、これが一種のバイン
ダー的な作用も有するものであるため、これらの結着樹
脂は、必ずしも添加する必要がなく、添加した場合であ
っても、その添加量の増大は、電極性能の低下へとつな
がるものであるため、極力少ない方が望ましく、例え
ば、電極を形成する組成物中において、その総量の10
質量%以下程度とすることが望ましい。
【0111】本発明に係る電池用電極は、上記のような
負極活物質または正極活物質、前記カーボンブラック複
合ポリマー、および必要に応じて添加される結着樹脂を
所定量配合し、適宜な溶剤ないしは分散媒と共に均一に
混合したペーストを金属集電体上に塗布したのち被覆電
極に成形することにより作製する。
【0112】溶剤ないしは分散媒としては、用いられる
カーボンブラック複合ポリマーの表面に存在するポリマ
ー鎖の種類あるいは併用される結着樹脂の種類に応じ
て、例えば、N−メチルピロリドン、N,Nジメチルホ
ルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、トルエ
ン、水等の各種のものから適宜選択して用いることがで
きる。もちろん、これらの例示する種類のものに何ら限
定されるものではない。なお、使用した溶剤は成形後に
適温で乾燥処理することにより容易に除去できる。ま
た、前記した電極を形成するためのペースト組成物中に
は、その他過塩素酸リチウム、硼フッ化リチウム、炭酸
セシウムなどの電解質、またそれらを溶解させた炭酸プ
ロピレン、炭酸エチレン、炭酸ジエチル、γブチロラク
トンなどの電解液単体もしくは混合液などが含まれても
よい。
【0113】金属集電基材としては、銅、ニッケルなど
リチウム二次電池に使用される有機電解液に対して安定
な金属板が有効に用いられる。
【0114】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、以下において「部」は質量部を表す。
【0115】合成例1 反応性重合体の合成 N−メチルピロリドン100部に、フッ素系アクリルモ
ノマー(M−4033、(株)ダイキンファインケミカ
ル研究所製)75部、スチレン15部、2−イソプロペ
ニルオキサゾリン10部およびアゾイソバレロニトリル
3部を予め溶解させて単量体組成物を調整した。
【0116】攪拌機、N2導入管、還流冷却管および温
度計を備え付けたセパラブルフラスコに上記単量体組成
物を仕込み、N2気流下80℃付近にて5時間重合およ
び熟成反応を行い不揮発分50%の反応性重合体溶液
(I)を得た。
【0117】合成例2 カーボンブラック複合ポリマ
ーの合成 撹拌羽根、冷却管、温度センサーを備えてなるセパラブ
ルフラスコに、カーボンブラック(平均粒子径25n
m、pH6.0)20部、反応性重合体溶液(I)8部
およびN−メチルピロリドン72部を仕込み、さらにジ
ルコニア製ビーズ500部を仕込んだ。回転数600r
pmで撹拌しながら100℃で2時間反応させた。冷却
した後、ジルコニア製ビーズとの分離を行いカーボンブ
ラック含有量20%およびポリマー成分含有量4%のカ
ーボンブラック複合ポリマー分散液(CBI)を得た。
【0118】比較合成例1 比較用カーボンブラック
分散液の作製 撹拌羽根、冷却管、温度センサーを備えてなるセパラブ
ルフラスコに、カーボンブラック(平均粒子径25n
m、pH6.0)20部、ポリフッ化ビニリデン4部お
よびN−メチルピロリドン76部を仕込み、さらにジル
コニア製ビーズ500部を仕込んだ。回転数600rp
mで撹拌しながら室温で2時間分散させた。その後、ジ
ルコニア製ビーズとの分離を行いカーボンブラック含有
量20%およびポリマー成分含有量4%の比較用カーボ
ンブラック分散液(CI)を得た。
【0119】実施例1 (正極作製)LiCoO2100部、カーボンブラック
複合ポリマー分散液(CBI)50部およびポリフッ化
ビニリデン1部を混合して正極合剤を調製しペースト状
のスラリーとした。さらに、正極集電体として厚さ20
μmのアルミニウム箔を用い、該正極集電体の両面に前
記スラリーを塗布、乾燥した後、圧縮成型して約200
μm厚の正極を作製した。
【0120】(負極作製)グラファイト100部、カー
ボンブラック複合ポリマー分散液(CBI)50部およ
びポリフッ化ビニリデン1部を混合して負極合剤を調製
しペースト状のスラリーとした。さらに、負極集電体と
して厚さ10μmの銅箔を用い、該負極集電体の両面に
前記スラリーを塗布、乾燥した後、圧縮成型して約20
0μm厚の負極を作製した。
【0121】比較例1 実施例1において、カーボンブラック複合ポリマー分散
液(CBI)を比較用カーボンブラック分散液(CI)
として正極および負極を作製した。
【0122】図1は、実施例1および比較例1で作製さ
れた電極を用いて得られた非水電解液二次電池を模式的
に示す断面概略図である。図1中の符号1は実施例1ま
たは比較例1で作製された前記正極で、符号2は実施例
1または比較例1で作製された前記負極である。符号3
は正極集電体であり、符号4は負極集電体である。符号
5は厚さが25μmで平均孔径が約0.5μmを有する
ポリエチレンフィルム製のセパレータである。符号6は
支持電解液が6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、
溶媒がECとDMCが容量比で1:1である混合溶媒の
電解液である。符号7は、電池ケースである。
【0123】《特性評価》実施例1および比較例1で作
製された正極および負極電極を用いて得られた、図1に
示す構成の非水電解液二次電池を作製し、該非水電解液
二次電池を用いて充放電サイクルを繰り返し行い、2サ
イクル目の容量に対する10サイクル目の容量の比を容
量維持率として、これを求めた。サイクル試験は、環境
温度25℃において、最大充電電圧4.2V、充電電流
1Aで2.5時間充電を行い、1.5Aの定電流で2.
75Vまで放電を行った。その結果、実施例1による二
次電池の場合は、容量維持率が常に80%以上と高い維
持率を示したが、比較例1による二次電池の場合は、容
量維持率が常に70%以下で、60%以下を示すことも
あり、低い維持率となった。
【0124】次に、集電体に対する正、負極組成物の接
着性試験を行った。具体的には、マルチクロスカッター
を用いて、塗膜に縦、横それぞれ11本ずつのカット線
を入れ、形成された100個のマス目における塗膜の剥
離比率を調べた。その結果、実施例1による二次電池の
場合は、ほとんど剥離が起こらなかったが、比較例1に
よる二次電池の場合は剥離したものが100個中40個
と接着強度が弱いことが確認された。
【0125】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、電
極用活物質と、カーボンブラックに対して反応性を有す
る重合体(I)をカーボンブラックに加熱混合させて得
られるカーボンブラック複合ポリマーとを含有させるこ
とにより、成形性良く、マトリックス中に活物質等の電
極材料が高密度でかつ均一に分散されてなり、集電体と
の密着性も良好で、大容量かつ充放電を繰り返したとき
の容量低下の少ない電池用電極を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1および比較例1で作製された電極を
用いて得られた非水電解液二次電池を模式的に示す断面
概略図である。
【符号の説明】
1…正極、 2…負極、 3…正極集電体、 4…負極集電体、 5…セパレータ、 6…電解液、 7…電池ケース。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H029 AJ03 AJ05 AJ06 AK03 AL06 AL07 AL12 AM03 AM05 AM07 CJ02 CJ08 DJ08 EJ04 EJ12 EJ14 5H050 AA07 AA08 AA12 BA17 CA08 CA09 CB07 CB08 CB12 DA10 DA11 EA10 EA28 EA30 GA02 GA10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極用活物質と、 カーボンブラックに対して反応性を有する重合体(I)
    をカーボンブラックに加熱混合させて得られるカーボン
    ブラック複合ポリマーと、を含有することを特徴とする
    電池用電極。
  2. 【請求項2】 前記重合体(I)が、カーボンブラック
    表面の官能基と反応し得る反応性基を有するセグメント
    (A)および前記セグメント(A)とは異なる構造のセ
    グメント(B)とからなるブロックもしくはグラフト型
    の重合体である請求項1に記載の電池用電極。
  3. 【請求項3】 前記電極用活物質がリチウム遷移金属複
    合酸化物であり、リチウムイオン二次電池の正電極とし
    て用いられるものである請求項1または2に記載の電池
    用電極。
  4. 【請求項4】 前記電極用活物質がリチウムを主体とす
    る金属材料又はリチウムのドープ・脱ドープが可能な炭
    素質材料であり、リチウムイオン二次電池の負電極とし
    て用いられるものである請求項1または2に記載の電池
    用電極。
JP2000264569A 2000-08-31 2000-08-31 電池用電極 Pending JP2002075375A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000264569A JP2002075375A (ja) 2000-08-31 2000-08-31 電池用電極

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000264569A JP2002075375A (ja) 2000-08-31 2000-08-31 電池用電極

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002075375A true JP2002075375A (ja) 2002-03-15

Family

ID=18751968

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000264569A Pending JP2002075375A (ja) 2000-08-31 2000-08-31 電池用電極

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002075375A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005063846A (ja) * 2003-08-14 2005-03-10 Nippon Zeon Co Ltd 電極層形成用材料
JP2008010183A (ja) * 2006-06-27 2008-01-17 Toyota Central Res & Dev Lab Inc リチウムイオン二次電池
JP2008117574A (ja) * 2006-11-01 2008-05-22 Matsushita Electric Ind Co Ltd リチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池用負極板の製造方法
JP2008542979A (ja) * 2005-05-06 2008-11-27 フォステック リチウム インコーポレイテッド リチウム/遷移金属複合酸化物を含む電極材料
JP2016006770A (ja) * 2013-08-27 2016-01-14 日産化学工業株式会社 導電性結着層用組成物
WO2019188430A1 (ja) * 2018-03-30 2019-10-03 日立化成株式会社 電極用バインダー、電極合剤、エネルギーデバイス用電極、エネルギーデバイス、エネルギーデバイス用樹脂、炭素材料分散液及び炭素材料分散液の製造方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11228902A (ja) * 1998-02-17 1999-08-24 Elf Atochem Japan Kk フッ化ビニリデン系樹脂の金属基材への接着方法、電極構造体、およびその作製方法
JP2000507996A (ja) * 1997-01-22 2000-06-27 エルフ アトケム ソシエテ アノニム フッ化樹脂の金属材料への接着方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000507996A (ja) * 1997-01-22 2000-06-27 エルフ アトケム ソシエテ アノニム フッ化樹脂の金属材料への接着方法
JPH11228902A (ja) * 1998-02-17 1999-08-24 Elf Atochem Japan Kk フッ化ビニリデン系樹脂の金属基材への接着方法、電極構造体、およびその作製方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005063846A (ja) * 2003-08-14 2005-03-10 Nippon Zeon Co Ltd 電極層形成用材料
JP4543634B2 (ja) * 2003-08-14 2010-09-15 日本ゼオン株式会社 電極層形成用材料
JP2008542979A (ja) * 2005-05-06 2008-11-27 フォステック リチウム インコーポレイテッド リチウム/遷移金属複合酸化物を含む電極材料
JP2008010183A (ja) * 2006-06-27 2008-01-17 Toyota Central Res & Dev Lab Inc リチウムイオン二次電池
JP2008117574A (ja) * 2006-11-01 2008-05-22 Matsushita Electric Ind Co Ltd リチウムイオン二次電池及びリチウムイオン二次電池用負極板の製造方法
US8257858B2 (en) 2006-11-01 2012-09-04 Panasonic Corporation Lithium ion secondary battery and method for forming negative electrode plate for lithium ion secondary battery
JP2016006770A (ja) * 2013-08-27 2016-01-14 日産化学工業株式会社 導電性結着層用組成物
WO2019188430A1 (ja) * 2018-03-30 2019-10-03 日立化成株式会社 電極用バインダー、電極合剤、エネルギーデバイス用電極、エネルギーデバイス、エネルギーデバイス用樹脂、炭素材料分散液及び炭素材料分散液の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6481609B2 (ja) 二次電池用バインダー組成物、二次電池負極用スラリー組成物、二次電池用負極、および、二次電池
JP5494497B2 (ja) リチウム二次電池の正極合剤用スラリー、該スラリーを用いた正極およびリチウム二次電池
US20100112441A1 (en) Binder for secondary battery electrode, secondary battery electrode, and secondary battery
WO2014065407A1 (ja) リチウム電池用結着剤、電極作製用組成物および電極
CN107403910A (zh) 用于在电极材料上形成聚合物超薄保形涂层的聚合工艺
US6933078B2 (en) Crosslinked polymer electrolytes and method of making such crosslinked polymers
KR20120027457A (ko) 리튬 이차 전지의 전극 합제용 슬러리, 상기 슬러리를 사용한 전극 및 리튬 이차 전지
WO2003036744A1 (en) Slurry composition, electrode and secondary cell
WO2012026462A1 (ja) 二次電池負極用バインダー組成物、二次電池負極用スラリー組成物、二次電池負極、二次電池及び二次電池負極用バインダー組成物の製造方法
WO2014188734A1 (ja) 二次電池負極用スラリー組成物、二次電池用負極、および、二次電池
EP3678237B1 (en) Binder composition for a non-aqueous secondary battery electrode, slurry composition for a non-aqueous secondary battery electrode, electrode for a non-aqueous secondary battery, and non-aqueous secondary battery
WO2015133154A1 (ja) リチウムイオン二次電池用バインダー組成物、リチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物、リチウムイオン二次電池多孔膜用スラリー組成物、リチウムイオン二次電池用電極、及びリチウムイオン二次電池
WO2020129750A1 (ja) 二次電池電極用バインダー及びその利用
JP2004281055A (ja) カルボキシル基含有樹脂を用いた電池用バインダ樹脂組成物、合剤スラリー、電極および電池
JP2021507464A (ja) 電極保護層用高分子及びこれを適用した二次電池
WO2019203183A1 (ja) 固体電解質組成物、全固体二次電池用シート、全固体二次電池用電極シート及び全固体二次電池、並びに、全固体二次電池用シート及び全固体二次電池の製造方法
WO2020196115A1 (ja) リチウムイオン二次電池電極用導電材ペースト、リチウムイオン二次電池電極用スラリー組成物、リチウムイオン二次電池用電極およびリチウムイオン二次電池
TW202107751A (zh) 塗覆有經表面處理的氧化鋁之鋰離子電池隔離物
JP3500245B2 (ja) ゲル状固体電解質二次電池
WO2022131239A1 (ja) 二次電池電極用バインダ及びその製造方法、二次電池電極合剤層用組成物、二次電池電極、並びに、二次電池
WO2019235531A1 (ja) 電極活物質粒子凝集体の製造方法、及び、電極の製造方法
JP7046732B2 (ja) リチウムイオン電池用被覆活物質及びリチウムイオン電池用負極
JP6904413B2 (ja) エネルギーデバイス電極用樹脂、エネルギーデバイス電極形成用組成物、エネルギーデバイス電極及びエネルギーデバイス
US20240097135A1 (en) Secondary battery electrode binder and use thereof
WO2020004332A1 (ja) 電気化学素子電極用バインダー組成物、電気化学素子電極用スラリー組成物、電気化学素子用電極、および電気化学素子

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20040701

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20050419

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070306

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100312

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100323

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100803