JP2002073188A - 防振機能を持つトランスファレバー装置 - Google Patents

防振機能を持つトランスファレバー装置

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JP2002073188A
JP2002073188A JP2000257718A JP2000257718A JP2002073188A JP 2002073188 A JP2002073188 A JP 2002073188A JP 2000257718 A JP2000257718 A JP 2000257718A JP 2000257718 A JP2000257718 A JP 2000257718A JP 2002073188 A JP2002073188 A JP 2002073188A
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JP2000257718A
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Naomi Totsuka
尚己 戸塚
Tatsuya Murata
達也 村田
Eiji Tanaka
英治 田中
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Aisin AI Co Ltd
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Aisin AI Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】車両のトランスファを切り換えるトランスファ
レバー装置において、支持部と枢軸部との間の直径方向
及び/又は軸方向における相対移動により発生する衝突
音を抑制することである。 【解決手段】 トランスファレバー装置は、車両に固定
された支持部10と、該支持部に回動自在に支持された
枢軸部20と、一端部にシフト操作ノブ122を他端部
にトランスファ切換部を駆動する連結部123を持ち中
間部が枢軸部に固定されたトランスファレバー121
と、を有する。かかるトランスファレバー装置におい
て、支持部10と枢軸部20との間に、枢軸部を支持部
に対して所定方向に付勢する付勢部材17を設け、支持
部と枢軸部との間の相対移動を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両のトランスフ
ァの作動を切り換えるトランスファレバー装置、特に防
振機能を持つトランスファレバー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】トランスファは一般に、エンジンから車
輪への駆動力伝達系を2輪駆動状態又は4輪駆動状態に
切り換えるとともに高速及び低速に変速するものであ
る。例えば、車両が一般路を走行しているときは駆動力
伝達系を高速2輪駆動状態に切り換え、雨天時や積雪・
凍結時等のように路面の摩擦抵抗が低下するときは高速
又は低速4輪駆動状態に切り換える。
【0003】図7に示すように、トランスファ100は
手動又は自動変速機101と前後ディファレンシャル1
02,103との間に配置される。2輪駆動時、クラッ
チ104及び変速機101を介してトランスファ100
に入力されるエンジン106の駆動力は、前輪駆動車で
はフロントプロペラシャフト107を介してフロントデ
ィファレンシャル102に伝達され、後輪駆動車ではリ
ヤプロペラシャフト108を介してリヤディファレンシ
ャル103に伝達される。これに対して、4輪駆動時エ
ンジン106の駆動力は、フロントプロペラシャフト1
07及びリヤプロペラシャフト108を介してフロント
ディファレンシャル102及びリアディファレンシャル
103に伝達される。
【0004】図8及び図9に従来のトランスファ及びト
ランスファレバー装置の一例を示す。トランスファ11
1は主軸、カウンタ軸及び副軸と、その上に取り付けら
れた歯車群等(何れも不図示)とを含む。トランスファ
111の作動状態即ち駆動力伝達経路の切換えは、トラ
ンスファレバー装置により主軸上のスリーブを軸方向に
移動させて行う。
【0005】図8(a),図9に示すように、トランス
ファレバー装置は支持部115と、枢軸部117と、ト
ランスファレバー121とを含む。スリーブ状の支持部
(レバーリテーナ)115は車両の一部に固定され、丸
棒状の枢軸部(レバーシャフト)117の一端部(左端
部)及び中間部がレバーリテーナ115に挿入され回動
可能に保持されている。レバーシャフト117の他端部
(右端部)にはトランスファレバー121の中間部が固
定されている。トランスファレバー121は一端に操作
ノブ122を持ち、他端部の連結部123においてトラ
ンスファ111に連結されている。
【0006】図9に示すように、レバーシャフト117
は軸方向中間部の小径部117aと、その両側の大径部
117bと、他端部のフランジ部117cとを持ち、大
径部117bがレバーリテーナ115の両端部115a
に小さな隙間を持って嵌合されている。レバーリテーナ
115の一端面(左端面)115bとワッシャ123に
より固定された止め輪124との間には皿ばね126が
介在され、レバーリテーナ115に対してレバーシャフ
ト117を一端側に付勢している。これにより、フラン
ジ部117cとリバーリテーナ115の右端面115c
とが接触している。
【0007】トランスファ111の作動状態を切り換え
る際、図8(b)に示すように、操作ノブ122を手で
つかんでトランスファレバー121を中立位置Nから低
速段位置L又は高速段位置Hに揺動させると、レバーリ
テーナ115に対してレバーシャフト117が回動す
る。このとき、レバーシャフト117の回動はレバーシ
ャフト117とレバーリテーナ115との間の半径方向
の間隙によって許容される。また、レバーリテーナ11
5の左端面115bと止め輪124との間、及び右端面
115cとフランジ部117cとの間では円周方向の滑
りが生ずる。
【0008】
【発明が解決すべき課題】ところで、エンジン爆発振
動、駆動系振動等によって車両が振動すると、この振動
はトランスファレバー装置にも伝達され、レバーリテー
ナ115及びレバーシャフト117が直径方向及び/又
は軸方向に振動する。ここで、両端部115aの内周面
と大径部117bの外周面との間には半径方向の隙間が
形成されている。そのため、レバーリテーナ115とレ
バーシャフト117とが直径方向において相対移動した
場合、大径部117bの外周面と両端部115aの内周
面とが衝突して衝突音(びびり音)が発生する。このび
びり音は運転者等に不快感を与える。
【0009】上記振動は、両端部115aと大径部11
7bとの間の隙間を小さくすることによりある程度抑制
できる。しかし、隙間を小さくするためにレバーリテー
ナ及びレバーシャフトの加工精度を上げなければなら
ず、製造コストが上昇する。また、レバーリテーナ11
5とレバーシャフト117とをしまり嵌めにすれば、レ
バーシャフト117がレバーリテーナ115に対して回
動しにくくなる。
【0010】一方、レバーリテーナ115とレバーシャ
フト117との間に皿ばね126を介在したことは、両
者の軸方向における相対振動を防止する上では有効であ
る。しかし、その反面レバーシャフト117は止め輪1
24及びフランジ117cの端面に皿ばね126の付勢
力による回動抵抗を受けつつ回動するので、トランスフ
ァレバー121のシフト操作時の操作抵抗が増大する。
【0011】本発明は上記事情を考慮して、トランスフ
ァレバー装置の支持部と枢軸部との間の所定方向(直径
方向及び/又は軸方向)における相対移動により発生す
る衝突音を抑制できる、防振機能を持つトランスファレ
バー装置を提供することを目的としてなされたものであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、支持部と
枢軸部との間の所定方向(直径方向及び/又は軸方向)
の相対移動により発生する衝突音の発生を、支持部と枢
軸部との間に別部材を介在させて両者の相対移動を防止
することにより抑制することを思いついて本発明を完成
した。
【0013】即ち、本発明は、車両に固定された支持部
と、該支持部に回動自在に支持された枢軸部と、一端部
にシフト操作ノブを他端部にトランスファ切換部を駆動
する連結部を持ち中間部が枢軸部に固定されたトランス
ファレバーと、を有するトランスファレバー装置に関す
る。かかるトランスファレバー装置において、支持部と
枢軸部との間に、枢軸部を支持部に対して所定方向に付
勢する付勢部材を設け、支持部と枢軸部との間の相対移
動を抑制する。こうして、トランスファレバー装置の支
持部及び枢軸部に防振機能を持たせたのである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態について
説明する。 (支持部)車両に固定された支持部の形状は特に限定さ
れないが、枢軸部を回動自在に支持する機能上、少なく
とも円筒状の内周面を持つことが必要である。この意味
で、筒状部材で支持部を構成することが望ましく、例え
ば円筒部材(スリーブ)で構成することができる。但
し、その場合支持部の内周面の内径寸法は全長にわたっ
て一定である必要はなく、2以上の異なる内径寸法を持
っても良い。支持部は通常車両に水平方向に取り付けら
れる。 (枢軸部)支持部によって回動自在に支持された枢軸部
は円筒状の外周面を持つ。この外周面と上記支持部材の
円筒状の内周面との間には支持部の全長に亘って半径方
向の隙間を形成する。外周面の外径寸法は全長にわたっ
て一定である必要はなく、2以上の異なる外径寸法を持
っても良い。枢軸部は一端を支持部に挿入され、他端は
支持部から軸方向に突出している。 (トランスファ、トランスファレバー)トランスファは
自動変速機又は手動変速機と前後ディファレンシャルと
の間に配置され、変速機で変速された後入力されるエン
ジンの駆動力を、前輪のみ、後輪のみ又は前後輪に伝達
すべくその内部の駆動力伝達経路が切り換わる。
【0015】トランスファレバーはその中間部が枢軸部
の他端に固定され、運転者のシフト操作に基づき枢軸部
が支持部に支持部に対して回動することにより、複数の
シフト位置のいずれか1つに選択的にシフト操作され
る。複数のシフト位置は中立位置、4輪駆動高速位置及
び4輪駆動低速位置とすることもできるし、中立位置、
4輪駆動高速位置、4輪駆動低速位置及び2輪駆動高速
位置とすることもできる。 (付勢部材)付勢部材は、支持部と枢軸部との間に介在
されて、支持部に対する枢軸部の所定方向の相対移動を
抑制する。所定方向とは支持部及び枢軸部の直径方向及
び/又は軸方向である。付勢部材は、筒状の支持部の両
端の内周面と丸棒状の枢軸部の外周面との間に断面くさ
び状の空間を形成し、該空間内に一対のくさび形状の付
勢部材を押し込むことができる。付勢部材は支持部と枢
軸部との間の軸方向に離れた二箇所又は一箇所に介在さ
せることができる。そして、付勢部材は枢軸部を全円周
から中心に向かって付勢すること、円周方向に離れた複
数箇所において中心に向かって付勢すること、又は円周
方向の一箇所において直径方向に付勢することができ
る。
【0016】例えば、付勢部材を軸方向に離れた二箇所
において枢軸部の全円周から中心に向かって付勢する場
合、円筒部材(スリーブ)から成る支持部の各端部に全
円周に亘って内周円錐面を形成し、枢軸部の円筒外周面
との間に形成した断面くさび形状の環状空間内に、断面
くさび形状で全体としてC字形状の一対の付勢部材(く
さび部材)を押し込むことができる(第1タイプ)。す
ると、支持部の内周円錐面と付勢部材の外周係合面との
間に生ずるくさび作用により付勢部材に半径方向内向き
の力が生じ、付勢部材はその内周円筒面により枢軸部の
外周円筒面全体を中心に向かって付勢する。その結果、
枢軸部は半径方向にも軸方向にも移動できず、支持部に
対して相対移動することが抑制される。
【0017】また、付勢部材を軸方向に離れた二箇所に
おいて枢軸部の円周方向に離れた複数箇所において中心
に向かって付勢する場合、円筒部材から成る支持部の各
端部に円周方向に一定長さ延びる複数の内周円錐面を円
周方向に隔設し、枢軸部の外周円筒面との間に形成した
断面くさび形状の複数の空間内にそれぞれ断面くさび状
の付勢部材(くさび部材)を押し込むことができる(第
2タイプ)。この場合、くさび部材は支持部の各端部に
複数(3つ以上)設けることが望ましい。すると、支持
部の内周円錐面と各付勢部材の外周係合面との間に生ず
るくさび作用により各付勢部材に半径方向内向きの力が
生じ、付勢部材は枢軸部の各端部においてその内周円筒
面により枢軸部の外周円筒面の複数箇所を中心に向かっ
て付勢する。その結果、枢軸部は半径方向にも軸方向に
も相対移動することができず、支持部に対して相対移動
することが抑制される。
【0018】なお、第1タイプ及び第2タイプの付勢部
材において、付勢部材はばね等により互いに接近する向
きに弾性力を加えられることが望ましい。弾性力は支持
部の各端部にそれぞれ設けた圧縮ばね等により加えても
良いし、支持部の一端部に設けた圧縮ばねにより一端側
の付勢部材に弾性力を加え、他端側の付勢部材にはその
反力を利用して弾性力を加えても良い。また、トランス
ファレバーがシフト位置にあるときには付勢部材の付勢
力が加わるが、シフト操作時は付勢力が加わらないよう
にすることもできる(これについては付勢開放部材の欄
で後述する)。
【0019】付勢部材を枢軸部の軸方向及び円周方向に
おいて一箇所にのみ設ける場合、枢軸部の軸方向中間部
にテーパ面を形成するとともに付勢部材を球状部材で形
成し、該球状部材を枢軸部のテーパ面に向かって直径方
向に押圧することができる(第3タイプ)。このように
すれば、テーパ面の傾斜により枢軸部に直径方向及び軸
方向の分力が発生し、支持部に対する枢軸部の直径方向
及び軸方向の相対移動が抑制される。
【0020】なお、球状部材は枢軸部の半径方向に配設
された圧縮ばね等により弾性力を加えられることが望ま
しい。このようにしても、付勢部材は球状部材から成る
ので枢軸部の回動に対して殆ど回動抵抗を与えない。よ
って、トランスファレバーのシフト操作時に付勢部材の
付勢を解除する必要がなく、その分トランスファレバー
装置の構造が簡単になる。 (付勢開放部材)上記第1タイプ及び第2タイプの付勢
部材を採用した場合、付勢部材による付勢作用はトラン
スファレバーがシフト位置にあるときのみ得られるよう
にできる。つまり、トランスファレバーは車両走行時間
の大部分はシフト位置にあるので、付勢部材はこのとき
支持部と枢軸部との相対移動を抑制することが重要であ
る。一方、トランスファレバーのシフト操作時はトラン
スファレバーが円滑に揺動できることが重要である。し
かも、この時間は極めて短く、防振作用が得られなくて
も実質的に問題はない。
【0021】トランスファレバーが何れかのシフト位置
にあるときのみ付勢部材による防振作用を得るため、付
勢開放部材は例えば枢軸部の一端部に相対回転不能に取
り付けた中空円板で構成することができる。中空円板
は、一面において円筒部材から成る支持部の一端面及び
くさび部材から成る付勢部材の端面に当接可能で、他面
にばね等の弾性力を受ける。そして、中空円板の一面上
の支持部の一端面に対向する部分に凹部及び凸部を形成
し、トランスファレバーがシフト位置にあるときは凹部
が一端面に対向し中空円板を介してばね等の弾性力を付
勢部材に加える。一方、トランスファレバーがシフト操
作されるときは、凸部が一端面に対向して中空円板と付
勢部材とを切り離し、ばね等の弾性力が付勢部材に加わ
るのを遮断する。
【0022】枢軸部の他端部にも一端部と同様の中空円
板を設けることもできる。但し、支持部の一端部に設け
た圧縮ばね等の反力を利用して他端側の付勢部材に弾性
力を加える場合は、他端部における付勢の開放も一端部
における付勢の開放に連動させることができる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面を基にして
説明する。 <第1実施例>第1実施例によるトランスファレバー装
置の全体構成は前記図8(a)に示したトランスファレ
バー装置と同じであるので、全体構成の図示及び詳細な
説明は割愛して要部のみ説明し、全体構成の説明は適宜
援用する。尚、この第1実施例は前記発明の実施の形態
の欄の第1タイプに対応する。
【0024】図1及び図2に示すように、トランスファ
レバー装置は、車両に固定されたレバーリテーナ(支持
部)10と、該レバーリテーナ10に回動可能に支持さ
れたレバーシャフト(枢軸部)20と、該レバーシャフ
ト20に固定されたトランスファレバー121と、レバ
ーリテーナ10とレバーシャフト20との間に介在され
両者の相対移動を抑制する一対のくさび部材(付勢部
材)17と、を主要構成要素とする。以下、個々の部材
及びこれらに関連する部材について詳述する。
【0025】レバーリテーナ10はスリーブ形状を持
ち、軸方向中間部の薄肉部10aと、その両側の一対の
厚肉部10bとから成る。薄肉部10aには円周方向の
一部に軸方向に延びる開口14が形成されている。厚肉
部10bはその内周面に端部に向かって内径が漸増する
内周円錐面(カム面)11を有し、外周面にフランジ部
12を有する。また、図1、図2、図3(a)(c)か
ら明らかなように、各フランジ部12の内側面には断面
円形で一定深さの3つのボール取付け穴13が円周方向
に離れて形成されている。尚、図3(a)は図1におけ
るA矢視図であり、図3(c)は図1におけるC矢視図
である。
【0026】一方、図1から明らかなように、レバーシ
ャフト20はレバーリテーナ10よりも長く、左端から
右端近傍まで延びる一定外径の本体部21と、右端近傍
の外周面に形成されたフランジ部22と、レバー取付け
部23とから成る。フランジ部は上記右方のフランジ部
12と対向している。
【0027】レバーリテーナ10の両端部の内周円錐面
11とレバーシャフト20のこれに対向する円筒外周面
21aとの間にはそれぞれくさび部材(付勢部材)17
が介在されている。各くさび部材17は外周円錐面17
aと、内周円筒面17bと、環状の端面17cとで区画
される断面くさび形状を有し、外周円錐面17aがフラ
ンジ部12の内周円錐面11に、内周円筒面17bが小
径部21の外周円筒面21aにそれぞれ係合している。
図3(a)(c)から明らかなように、各くさび部材1
7は円周方向で対向する端部間に隙間を持つC字形状を
有し、この隙間の大きさが変化することによりその内径
寸法が変化する。
【0028】図1、図2及び図1におけるB矢視図であ
る図3(b)から明らかなように、シフトレバーシャフ
ト20の本体部21の先端部には中空円板状のプレート
27が嵌合され、その内周部に半径方向内向きに形成さ
れた係合部28が本体部21に半径方向に形成された係
合溝24に係合している。これによりプレート27はレ
バーシャフト20に対して軸方向には移動可能で、相対
回転不能となっている。
【0029】プレート27の外周部の内側面には円周方
向に離れた三箇所に、円周方向に延びる波打ち部29が
形成されている。各波打ち部29は厚肉部10bの左端
面10dに向かって突出する2つの凸部29a1,29
a1と、へこんだ3つの凹部29b1,29b2,29
b3とから成る。凹部29b2とフランジ部12のボー
ル取付け穴13との間にボール31が介在されている。
本体部21上のプレート27よりも先端寄りには圧縮コ
イルばね32が嵌合され、その一端はプレート27に当
接し、他端はワッシャ34で小径部21に係止された止
め輪33に当接している。
【0030】図1、図2、図1におけるD矢視図である
図3(d)から明らかなように、レバーシャフト20の
右方のフランジ部22の左端面には上記プレート27と
同様、3つの波打ち部30が円周方向に離れて形成され
ている。各波打ち部30は、厚肉部10bの右端面10
eに向かって突出する2つの凸部30a1,30a2
と、へこんだ3つの凹部30b1,30b2,30b3
とから成る。凹部30b1とフランジ部22のボール取
付け穴13との間にボール31が介在されている。
【0031】なお、左右のボール取付け穴13及び波打
ち部29,30はプレート27及びフランジ部22の円
周方向において同位相に形成されている。
【0032】次に、第1実施例の作用効果について説明
する。
【0033】先ず、トランスファレバー121が中立位
置N(図8(b)参照)にある場合の作動について説明
する。このときプレート27及びフランジ部22のボー
ル取付け孔13内に収納されたボール31は、波打ち部
29,30の中央の凹部29b1、30b1にそれぞれ
係合している。また、図1に示すように、圧縮コイルば
ね32は圧縮された状態で本体部21に取り付けられて
プレート27を右方向に押し、プレート27が左方のく
さび部材17の端面17cを右方向に押圧している。そ
の結果、その外周円錐面17aと厚肉部11bの内周円
錐面11との係合により左方のくさび部材17が縮径
し、その内周円筒面17bが本体部21の一端部の外周
円筒面21aを周囲から中心に向かって付勢する。
【0034】一方、圧縮コイルばね32からプレート2
7に加わる弾性力と同じ大きさの弾性力(反力)がレバ
ーシャフト20に左向きに加わり、この弾性力によりフ
ランジ部22が右方のくさび部材17の端面17cを左
方向に押圧する。その結果、その外周円錐面17aと厚
肉部10bの内周円錐面11との係合により右方のくさ
び部材17が縮径し、その内周円筒面17bが本体部2
1の他端部の円筒外周面21aを周囲から中心に向かっ
て付勢する。
【0035】こうしてトランスファレバー121の中立
位置Nにおいては、レバーシャフト20はその両端の外
周円筒面21aを左右のくさび部材17により把持さ
れ、レバーリテーナ10に対して半径方向にも軸方向に
も相対移動できない。
【0036】次にトランスファレバー121をシフト操
作するときの作動について説明する。例えば、トランス
ファレバー121が中立位置Nから高速段位置Hにシフ
ト操作されるにつれて、レバーシャフト20がレバーリ
テーナ10に対して所定角度回動し、プレート27及び
フランジ部22(付勢開放部材)がこれと一体的に回動
する。図4(a)(b)に示すように、プレート27及
びフランジ部22の回転につれて、3つの波打ち部2
9,30のそれぞれにおいて中央の凹部29b1、30
b1と高速側の凹部29b2、30b2との間に形成さ
れた凸部29a1、30a1がボール31に対向する。
【0037】その結果、レバーシャフト20が圧縮コイ
ルばね32を圧縮しつつフランジ部22の凹部30b1
と凸部30a1の高さの差分だけ右方に移動する。これ
と同時に、プレート27が小径部21上において圧縮コ
イルばね32を圧縮させつつその凹部29b1と凸部2
9a1との高さの差分だけ左方に移動する。つまり、圧
縮コイルばね32がフランジ部32の凹部30b1と凸
部30a1との高さの差と、プレート27の凹部29b
1と凸部29a1の高さの差(ここでは凸部30a1と
凹部30b1との高さの差にほぼ等しい)との合計分だ
け圧縮され、フランジ部22とプレート27との間隔が
それに相当する分広がる。
【0038】これにより、右方のフランジ部22から右
方のくさび部材17に加わる左向きの弾性力も、プレー
ト27から左方のくさび部材17に加わる右向きの弾性
力も作用しなくなる。即ち、左右のくさび部材17によ
るレバーシャフト20の把持力が開放される。従って、
シフトレバー121を中立位置Nから高速位置Hに小さ
な力で回転させることができる。
【0039】トランスファレバー121が高速段位置H
まで揺動された状態では、図5に示すようにレバーシャ
フト20の両端において3個のボール31はそれぞれプ
レート27及びフランジ部22の3組の波打ち部29,
30の高速段の凹部29b2、30b2に係合する。そ
して、トランスファレバー121が上記中立位置Nにあ
るときと同様に、レバーシャフト20のレバーリテーナ
10に対する軸方向及び半径方向における相対移動が左
右一対のくさび部材17によって抑制される。
【0040】尚、トランスファレバー121が中立位置
Nから低速段位置Lに揺動されたときは、レバーシャフ
ト20即ちプレート27及びフランジ部22が上記方向
とは反対方向に回動する。これにより、揺動につれて波
打ち部29,30において他方の凸部29b2、30b
2がボール31に対向してくさび部材17によるレバー
シャフト20の把持が開放される。、その後、トランス
ファレバー121が低速段位置Hまで揺動されると、他
方の凹部29b3、30b3がボール31に対向し、各
付勢部材17が再びレバーシャフト20を把持する。
【0041】第1実施例のトランスファレバー装置によ
れば、以下の効果が得られる。第1に、左右一対のC字
形状のくさび部材17が設けられ、しかも各くさび部材
17はレバーリテーナ10とレバーシャフト20との断
面くさび形状の環状空間に押し込まれてレバーシャフト
20の円筒外周面21a全体を把持する。従って、トラ
ンスファレバー121がいずれかのシフト位置N、H、
Lにあるときは、レバーリテーナ10とレバーシャフト
20との間の直径方向及び/又は軸方向における相対移
動が二つのくさび部材17により確実に抑制できる。
【0042】第2に、左方のくさび部材17に弾性力を
加える圧縮コイルばね32を設けるのみで、右方のくさ
び部材17にも弾性力が加わる。従って、レバーシャフ
ト20の両端部に付勢力を付与するための構造が簡単に
なる。
【0043】第3に、トランスファレバー121のシフ
ト操作時はプレート27及びフランジ部22等から成る
付勢開放部材により、両方のくさび部材17によるレバ
ーシャフト20の把持が同時に開放される。従って、く
さび部材17はトランスファレバー121に回動抵抗を
与えず、トランスファレバー121を円滑に揺動するこ
とができる。 <第2実施例>図6(a)(b)に本発明の第2実施例
を示す。このトランスファレバー装置は、付勢部材が枢
軸部の軸方向において一箇所にのみ設けられているこ
と、及び付勢部材による付勢作用がトランスファレバー
のシフト操作と関係なく得られる点が上記第1実施例と
は異なり、前記第3タイプに対応する。
【0044】即ち、スリーブ状のレバーリテーナ50は
軸方向中間部の薄肉部50aと、その両側の厚肉部50
bと、右方の厚肉部50bの左寄り(レバーリテーナ5
0全体ではほぼ中間部)に半径方向外向きに突出して形
成された筒状の突出部51とを持つ。一方、レバーシャ
フト60は軸方向中間部の小径部60aと、その両側の
大径部60bとから成る。レバーシャフト60の大径部
60bと上記レバーシャフト50の厚肉部50bとの間
には半径方向の隙間62が形成されている。
【0045】レバーリテーナ50の突出部51には途中
に段部を持つ円穴52が形成され、絞り部の内側には鋼
球53が円穴52の開口に臨んで配置されている。鋼球
53がはね54によって半径方向内向きに付勢されてい
る。ばね54は円穴52に収納されたのち段部の外側に
配置された蓋56によって保持されている。
【0046】一方、レバーシャフト60の右方の大径部
60bの左寄り(レバーシャフト60の全体ではほぼ中
央部)には環状溝61が形成されている。環状溝61は
断面等脚台形状を持ち、レバーシャフト60の軸線と平
行な底面61aと、該底面に対して鋭角をなす一対の傾
斜面61b(テーパ面),61cとで画定される。そし
て、ばね54により付勢された鋼球53は左側の傾斜面
61bに弾力的に当接している。
【0047】なお、レバーシャフト60の左方の大径部
60bに嵌合されレバーリテーナ50の左端面50cに
当接した皿ばね65は止め輪66により係止されてい
る。また、レバーシャフト60の右方の大径部60bに
形成されたフランジ部67はレバーリテーナ50の右端
面50dに当接している。
【0048】このトランスファレバー装置において、鋼
球53はその中心が環状溝61の中心から距離Lだけオ
フセットした地点で、ばね54によって環状溝61の傾
斜面61bに付勢されている。従って、鋼球53から傾
斜面61b即ちレバーシャフト60に直径方向下向き及
び軸方向左向きの付勢力が加わる。下向きの付勢力によ
りレバーシャフト60の大径部60bがレバーリテーナ
50の厚肉部50bに押圧され、左向きの付勢力により
レバーシャフト60のフランジ部67がレバーリテーナ
50の端面60dに押圧される。これにより、トランス
ファレバー121のシフト位置において、レバーリテー
ナ50とレバーシャフト60との間で直径方向及び軸方
向の相対移動が生ずることが防止される。
【0049】なお、鋼球53はレバーシャフト60に左
向きの付勢力を加え、これによってレバーリテーナ50
とレバーシャフト60との軸方向での相対移動が抑制で
きるので、皿ばね65は廃止することもできる。
【0050】本実施例のトランスファレバー装置によれ
ば、付勢部材たる鋼球53が一つですむので、その分構
造が簡単である。しかも、トランスファレバー121が
シフト操作され、レバーシャフト60が回動するとき
も、鋼球53はレバーシャフト60の回動に対して殆ど
抵抗を与えない。従って、シフト操作時に鋼球の付勢力
を開放する手段が不要であり、その分構造が簡単にな
る。
【0051】
【発明の効果】以上述べてきたよう、本発明のトランス
ファレバー装置においては、支持部と、枢軸部と、トラ
ンスファレバーと、を有するトランスファレバー装置に
おいて、支持部と枢軸部との間に、枢軸部を支持部に対
して所定方向に付勢する付勢部材を設け、支持部と枢軸
部との間の相対移動を抑制する。従って、駆動系の振動
等がトランスファレバー装置に伝達しても、支持部と枢
軸部とが所定方向において相対移動することが抑制さ
れ、相対移動に基づく衝突音の発生が良好に防止できる
効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例によるトランスファレバー
装置の要部を示す正面断面図である。
【図2】図1に示したトランスファレバー装置の平面図
(一部断面)である。
【図3】(a)は図1におけるA矢視点図であり、
(b)は図1におけるB矢視点図であり、(c)は図1
におけるC矢視点図であり、(d)は図1におけるA矢
視点図である。
【図4】(a)は図1に示したトランスファレバー装置
の作動(シフト操作時)を説明するための平面図(一部
断面)であり、(b)は同じく正面断面図である。
【図5】図1に示したトランスファレバー装置の作動
(シフト操作後)を説明するための平面図(一部断面)
である。
【図6】(a)は本発明の第2実施例によるトランスフ
ァレバー装置の要部を示す正面断面図であり、(b)は
その要部拡大模式図である。
【図7】トランスファを含む車両の駆動力伝達系を示す
説明図である。
【図8】(a)は図7のトランスファを切り換えるトラ
ンスファレバー装置の外観図であり、(b)はその作動
説明図である。
【図9】図8(a)の断面図である。
【符号の説明】
10、50:レバーリテーナ(支持部) 11:内周円錐面 12:フ
ランジ部 13:ボール取付け穴 17:く
さび部材(付勢部材) 20、60:レバーシャフト(枢軸部) 22:フランジ部 27:プ
レート 29,30:波打ち部 31:ボ
ール 53:鋼球(付勢部材) 61b:
傾斜面(テーパ面) 121:トランスファレバー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 英治 愛知県刈谷市昭和町2丁目3番地 アイシ ン・エンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 3D040 AA05 AA24 AB01 AC20 AD09 AE19 3D043 AB17 EA02 EA12 EA32 EA42 EB02 EB12 EB14 EC03 EE05 FA11 3J048 AA03 BG02 EA23 3J070 AA03 BA15 BA18 BA54 BA71 CB01 CC03 CC07 CC12 CD02 CD05 CD32 CD33 CD35 DA01

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両に固定された支持部と、該支持部に
    回動自在に支持された枢軸部と、一端部にシフト操作ノ
    ブを他端部にトランスファ切換部を駆動する連結部を持
    ち中間部が該枢軸部に固定されたトランスファレバー
    と、を有するトランスファレバー装置において 前記支持部と前記枢軸部との間に、該枢軸部を該支持部
    に対して所定方向に付勢する付勢部材を設け、該支持部
    と該枢軸部との間の相対移動を抑制することを特徴とす
    る防振機能を持つトランスファレバー装置。
  2. 【請求項2】 前記支持部は筒形状を有し、前記枢軸部
    は丸棒形状を有し、前記付勢部材は該支持部の両端と前
    記枢軸部との間の断面くさび形状の空間内に押し込まれ
    た一対のくさび部材から成り、各該くさび部材は前記枢
    軸部の外周面を中心に向かって付勢する請求項1記載の
    防振機能を持つトランスファレバー装置。
  3. 【請求項3】 更に、前記トランスファレバーをシフト
    操作するとき、前記付勢部材による前記枢軸部の付勢を
    開放する付勢開放部材が設けられている請求項2記載の
    防振機能を持つトランスファレバー装置。
  4. 【請求項4】 前記枢軸部は軸方向中間部にテーパ面を
    持ち、前記付勢部材は球状部材から成り、該球状部材は
    該テーパ面を該枢軸部の直径方向に付勢する請求項1記
    載の防振機能を持つトランスファレバー装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006335290A (ja) * 2005-06-03 2006-12-14 Toyota Motor Corp 車両用シフトレバー装置

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JP4723917B2 (ja) * 2005-06-03 2011-07-13 トヨタ自動車株式会社 車両用シフトレバー装置

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