JP2002071662A - 呈色紙およびその製造方法 - Google Patents
呈色紙およびその製造方法Info
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Abstract
溶剤に対して、特に排水に流出した場合を想定して水の
存在下においても簡易に呈色識別(同定)できる呈色紙
を提供する。 【解決手段】少なくとも3種の呈色剤、及び紙力増強剤
を含み、マンセル表色系において、紙の色相がマンセル
Hueで10.0R以上、10.0Y以下の範囲であって、かつ明
度がマンセルValueで5.0以上、10.0以下の範囲で
かつ、彩度がマンセルChromaで0.5以上5.0以下の
範囲であることを特徴とする呈色試験紙であり、さらに
は紙のかさ密度が0.1g/cc以上、1.0g/cc以
下、厚さが0.1mm以上、0.3mm以下、紙のステ
キヒト・サイズ度が100秒以上でかつ、塩素系溶剤と
接触した際には赤色に、アルコール類と接触した際には
黄色を及びアミン類と接触した際には暗緑青色を呈する
ことを特徴とする呈色試験紙である。
Description
薬品が識別できる試験紙に関するものである。特に、性
状の異なる有機溶剤である薬品の種別を分析機器や特殊
な技術を用いずに瞬時に同定できる試験紙に関する。
て、例えば水溶液の酸性やアルカリ性の度合いを測定で
きるPH試験紙などが知られている。また、水溶液中の
特定のイオン種を半定量的に測定する試験紙なども市販
されている。しかしながら、有機溶剤に関して、その溶
剤の種類を瞬時に同定できる試験紙はない。
粘性、臭い、他の化合物との溶解性などによって見当を
付け、その後に化学分析や機器分析等により同定を行っ
ているのが実状である。
含有有機物のフラスコ燃焼法で得たCl2を捕集後、酸
化還元反応を利用する方法がある。アミンに対してはキ
ンヒドロンによる呈色方法が挙げられる。またアルコー
ルに対しては、硝酸セリウムアンモニウムとHNO3酸
性で配位化合物形成による呈色が利用される。機器分析
ではクロマトグラフ法や吸光法などによって同定され
る。しかしながら、係る方法の分析によると試験機器や
設備が必要となり、容易にかつ速やかに同定することは
困難である。
よる方法では、緊急時、例えば研究室や実験室等におい
て液状の薬品(有機溶剤など)を流出した際、その物質
が何であるか不明の場合には適切な対策を速やかに判断
できない。酸やアルカリを流出した場合には、PH試験
紙等でPHを測定して、中和する事により適切な対策を
打つことが可能となる。しかしながら、有機溶剤などが
流出した場合には、PH試験紙では呈色しないため、物
質の特定ができずに適切な対策を打つことが困難であ
る。
類の事業設備外への流出を防ぐために、誤って流出した
薬品の迅速な処置をする必要から、流出物の容易で速や
かな同定手段が望まれている。
アルコール、アミンなどの溶剤に対して、特に排水に流
出した場合を想定して水の存在下においても、簡易に瞬
時に呈色識別(同定)できる呈色試験紙を提供するもの
である。
に本発明者らは鋭意検討の結果、本発明に至った。即
ち、少なくとも3種の呈色剤、及び紙力増強剤を含み、
マンセル表色系において、紙の色相がマンセルHueで
10.0R以上、10.0Y以下の範囲であって、かつ明度がマン
セルValueで5.0以上、10.0以下の範囲でかつ、彩
度がマンセルChromaで0.5以上、5.0以下の範囲で
あることを特徴とする呈色試験紙であり、さらには紙の
かさ密度が0.1g/cc以上、1.0g/cc以下、厚さ
が0.1mm以上、0.3mm以下、紙のステキヒト・
サイズ度が100秒以上でかつ、塩素系溶剤と接触した
際には赤色に、アルコール類と接触した際には黄色を、
及びアミン類と接触した際には暗緑青色を呈することを
特徴とする呈色試験紙である。
0μm以下でかつ1μm以下の比率が1%未満である粉
体状の呈色剤を用いることを特徴とする呈色試験紙であ
る。
て、パルプと紙力増強剤と定着剤とサイズ剤並びに沈殿
剤と呈色剤粉体とを混合スラリーとした後、凝集剤を添
加して抄紙することを特徴とする請求項1記載の呈色試
験紙の製造方法に関するものである。
上、10.0重量%以下、含有していることが望まし
い。含有量が少ないと紙の強度が弱く、含有量が多いと
対象とする有機溶剤の浸透性が悪く発色性が悪くなると
いった問題がある。
て、色相が10.0R以上、10.0Y以下好ましくは、5.0YR以
上、5.0Y以下の範囲であって、かつ明度が5.0以上、10.
0以下、好ましくは、6.5以上、8.5以下の範囲でかつ、
彩度が0.5以上、5.0以下、好ましくは1.0以上、3.0以下
の範囲である。それ以外の場合には呈色した際の識別性
が悪くなると傾向がある。
c、以上、1.0g/cc以下、好ましくは、0.3g/
cc以上、0.6g/cc以下の範囲であって、厚さが
0.1mm以上、0.3mm以下、好ましくは、0.1
5mm以上、0.20mm以下である。かさ密度が0.
1g/cc未満の場合、紙強度が不足すると共に、同定す
べき薬剤の微少液滴が付着した場合に、液滴が広がら
ず、結果として液滴を識別することができなくなる。
又、1.0g/ccを越える紙は製造が困難な傾向にな
る。同様に、紙の厚さが0.1mm未満の紙は製造が困
難であり、0.3mmを越える場合は液滴が広がりにく
いといった問題がある。
度が100秒以上、好ましくは、200秒以上であるこ
とが望ましい。100秒未満の場合は試験紙が水に濡れ
た際に極微量の溶剤で呈色する事が困難な傾向になる。
わせが最適であるが、本発明において必ずしも制限され
るものではない。呈色試験紙が異なる溶剤に異なる呈色
を示すことは、呈色剤として2,5,2',5'TetraMethyltrip
henylmethane-4,4'-Diazo-bis-β-hydroxynaphtoic ani
lid(以下TMDと略す)、4-(4'-Phenylazoyl)Phenyla
zo-Phenol(以下PPPと略す)並びに、Ethyl-bis-(2,
4-Dinitrophenyl)Acetate(以下EDAと略す)を含有
することで得られる。
溶剤、アルコール類及びアミン系溶剤とした場合は液体
が呈色試験紙に付着した際にTMDは塩素系溶剤にのみ
溶解し赤変して、付着した液滴が塩素系溶剤であること
を知らしめる。また、付着した液体がアルコール類の場
合は電子の振動によりPPPを深色化し、呈色試験紙が
黄色の発色をして付着した液滴がアルコール類であるこ
とを知らしめる。同様に、付着した液体がアミン系溶剤
の場合は電荷がベンゼン環に遷移することにより、呈色
試験紙が緑色の発色をして付着した液滴がアミン系溶剤
であることを知らしめる。
は、少なくとも0.01μLt以上であれば十分である。
これ以下では判定が困難になる傾向があるが、逆に多く
つきすぎても効果は同じとなる。この有機溶剤が水とと
もに呈色紙に付着するだけで十分である。
上、100μm以下でかつ、好ましくは、5μm以上7
5μm以下のものが望ましい。呈色剤の粒径が100μ
mを越えると、極微量溶剤の呈色が識別困難となり、ま
た1μm以下を越えると紙の地色が濃くかつ明度が暗く
なるために極微量有機溶剤の呈色を識別困難となるので
本発明の目的とする呈色試験紙を得ることができない。
る割合が、1%未満、好ましくは、0%である。1%以
上の場合、紙の地色が濃くかつ明度が暗くなり極微量の
有機溶剤の呈色の識別が困難となる。
2重量%以上、2.0重量%以下、PPPを1.0重量
%以上、10.0重量%以下、EDAを1.0重量%以
上、10.0重量%以下含有していることが望ましい。
呈色剤の含有量が少ないと呈色した際の呈色が薄いため
に識別が困難となり、含有量が多いと紙の地色が濃くか
つ明度が暗くなるために極微量の溶剤の呈色を識別困難
となるので本発明の目的とする呈色試験紙を得ることが
できない。
122で定められた『紙のステキヒト・サイズ度試験
法』に基づき測定した。この値が大きい程、紙の耐水性
が高いことを示す。
8721で定められた『三属性による色の表示方法』に
基づき測定した。
準状態(20℃、RH60%に放置)と水に濡れた状態
(20℃の水に30分間浸漬させておく)で、テトラク
ロロエチレン(薬品A)、イソプロピルアルコール(薬
品B)、ジメチルアミン(薬品C)をそれぞれ0.1及
び0.01μLt滴下して、発色性能は滴下後5秒以内に
発色したものを合格として○×で判定し、識別性能は滴
下5秒後に赤色、黄色、緑色に識別できたものを合格と
して○×で判定した。
各50部、繊度1.1デシテックス、繊維長3mmの繊維
状バインダー(PVA)3部、色相調整用の黄色染料
(bayer japan製のR.B.Y.7GL)0.01部を混合した
後、硫酸アルミニウム5部と白色ロジン(荒川化学製の
サイズパインN−771)5部を順に混合する。次に、
ここに消泡剤(明成化学製のホームレスP0)5部を混
合させた後、あらかじめ呈色剤の5倍の分散剤(明成化
学製のディスパーTL)を用いて水中に分散させた平均
粒径25μmでかつ1μm以下の比率が0.8%である
TMD0.7部、PPP5部、EDA5部を混合し、最
後にアニオン系高分子凝集剤(PAM)0.2部を混合
して湿式抄紙を行い、坪量75g/m2の呈色試験紙を
作成した。
2の呈色試験紙を作成した。
PパルプとLBKPパルプを各50部、繊維状バインダ
ー3部、黄色染料0.01部、硫酸バンド5部と白色ロ
ジン5部並びに消泡剤5部、さらにあらかじめ呈色剤の
5倍の分散剤を用いて水に分散させた平均粒径25μm
でかつ1μm以下の比率が0.8%であるTMD0.7
部、PPP5部、EDA5部とアニオン系高分子凝集剤
0.2部を一度に混合して湿式抄紙を行い、坪量75g
/m2の呈色試験紙を作成した。
PパルプとLBKPパルプを各50部、繊維状バインダ
ー3部、黄色染料0.01部を混合した後、硫酸アルミ
ニウム5部と白色ロジン5部を順に混合する。次に、こ
こに消泡剤5部を混合させた後、あらかじめ呈色剤の5
倍の分散剤を用いて水中に分散させた平均粒径14μm
でかつ1μm以下の比率が15%であるTMD0.7
部、PPP5部、EDA5部を混合し、最後にアニオン
系高分子凝集剤0.2部を混合して湿式抄紙を行い、坪
量75g/m2の呈色試験紙を作成した。
試験紙の性量を表1に、呈色性能を比較した結果を表2
に示す。
紙は3種類の呈色剤を使用し、その粒径制御や色相調整
により塩素系溶剤、アルコール、アミンなどの有機溶剤
の呈色識別性に非常に優れている。又、非常に高い耐水
性を有しているために排水等に有機溶剤が流出した場合
など多量の水の存在下においても極微量の有機溶剤を呈
色識別することが可能である。
Claims (6)
- 【請求項1】ステキヒト・サイズ度が100秒以上の耐
水性を有し、かつ有機溶剤に接触した際に少なくとも1
色の呈色を示す呈色紙。 - 【請求項2】塩素系溶剤、アルコール類、及びアミン類
と接触した際に各々異なる色を示す呈色剤を含有するこ
とを特徴とする請求項1記載の呈色紙。 - 【請求項3】呈色剤が2,5,2',5'TetraMethyltriphenylm
ethane-4,4'-Diazo-bis-β-hydroxynaphtoic anilid
(以下TMDと略す)、4-(4'-Phenylazoyl)Phenylazo-
Phenol(以下PPPと略す)並びに、Ethyl-bis-(2,4-D
initrophenyl)Acetate(以下EDAと略す)の少なくと
も1種であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれ
かに記載の呈色紙。 - 【請求項4】パルプ、紙力増強剤、定着剤、サイズ剤、
沈殿剤及び呈色剤の混合スラリーに凝集剤を添加して抄
紙することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記
載の呈色紙。 - 【請求項5】紙力増強剤として繊維状ポリビニルアルコ
ールを用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれ
かに記載の呈色紙の製造方法。 - 【請求項6】請求項1乃至5のいずれかに記載される呈
色紙を用いてなる呈色試験紙。
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JP2000254379A JP3775567B2 (ja) | 2000-08-24 | 2000-08-24 | 呈色紙およびその製造方法 |
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JP2003090838A (ja) * | 2001-09-18 | 2003-03-28 | Toyobo Co Ltd | 呈色マットおよびその製造方法 |
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- 2000-08-24 JP JP2000254379A patent/JP3775567B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2003090838A (ja) * | 2001-09-18 | 2003-03-28 | Toyobo Co Ltd | 呈色マットおよびその製造方法 |
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