JP2002069922A - 現位置処理による舗装再生工法 - Google Patents

現位置処理による舗装再生工法

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JP2002069922A
JP2002069922A JP2000256785A JP2000256785A JP2002069922A JP 2002069922 A JP2002069922 A JP 2002069922A JP 2000256785 A JP2000256785 A JP 2000256785A JP 2000256785 A JP2000256785 A JP 2000256785A JP 2002069922 A JP2002069922 A JP 2002069922A
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Bunichi Tatsushita
文一 達下
Norio Meshida
紀雄 召田
Akira Ito
亮 伊藤
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Nichireki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 舗装用混合物などを用いた表層を舗設する必
要がなく、しかも、耐久性に優れた舗装体を、現位置に
て構築することができる、現位置処理による舗装再生工
法、並びにそのような舗装再生工法によって構築される
再生舗装体を提供することを課題とする。 【解決手段】 既設舗装体を、その表面から少なくとも
路盤の一部までを含めて掘削、破砕し、その破砕物と結
合材とを現位置で混合する工程、得られた混合物を敷き
均し安定処理層を構築する工程、構築された安定処理層
上に結合材と骨材とをそれぞれ少なくとも1回以上散布
ないしは塗布して保護層を構築する工程とを含む、現位
置処理による舗装再生工法、並びに、そのような舗装再
生工法によって構築される再生舗装体を提供することに
よって上記課題を解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、現位置処理による
舗装再生工法に関し、特に、舗装用混合物による表層を
使用せず、耐久性に優れた舗装体を構築することができ
る現位置処理による舗装再生工法に関する。
【0002】
【従来の技術】破損が進んだ既設舗装は、一般的に、打
換え工法や切削オーバーレイ工法などによって、全面的
に或いは部分的に新しくすることが行われているが、こ
れらの工法では、既設舗装体を構成していた材料を掘
削、除去する必要があるため、必然的に廃材処理や残土
処理が必要となり、環境上好ましくないという問題があ
った。しかも、新たに砕石や舗装用混合物を敷き均すた
め、大量の舗装用材料を使用し費用が嵩むと共に、工程
が複雑であるので、工事に伴う交通規制が長期間に及ぶ
という問題がある。更には舗装厚が厚くなることによる
嵩上げの問題も、隣接構造物や人家などとの関係から考
慮しなければならなかった。
【0003】近年、上記のような打換え工法や切削オー
バーレイ工法などに代わるものとして、破損が進んだ既
設舗装を、ディープスタビライザを用いて掘削、破砕
し、現位置で、瀝青乳剤やセメントなどと混合して敷き
均して再生路盤として利用する路上再生工法と呼ばれる
ものが提案され、随所で施工されるようになってきてい
る。この路上再生工法は、既設舗装を掘削、破砕した廃
材を骨材として再利用するので、廃材処理の問題がな
く、環境上優れたものであるばかりでなく、工程が簡単
であり、工期も短くて済むという利点がある。しかしな
がら、この路上再生工法は、既設舗装を破砕して得た廃
材を骨材として再利用するものであるので、破砕物の粒
径が不揃いであり、締め固めを十分に行っても密にはな
らず、かなりの空隙が存在するという問題を抱えてい
る。空隙は、そのままでは雨水の侵入を招いたり、更に
は、骨材間のかみ合わせ不足による耐久性の低下などの
問題を引き起こし、舗装寿命を短くする原因ともなる。
【0004】このため、従来の路上再生工法において
は、再生路盤を形成した後、瀝青乳剤を結合材とするス
ラリー状の混合物で、再生路盤内の空隙を充填すること
が行われている。これにより、再生路盤内の空隙は減少
し、耐水性、耐久性の向上した舗装体を得ることが可能
となったが、その程度は未だ不十分であり、これをその
まま実際の交通の用に供すると、車両の通行によって舗
装体表面から骨材が飛散したり、舗装体表面が荒れたり
するという現象が見られた。従って、従来の路上再生工
法においては、再生路盤という言葉が示すように、更に
その上に加熱アスファルト混合物などの舗装用混合物を
舗設して表層を構築する必要があった。しかしながら、
加熱アスファルト混合物などの舗装用混合物を表層とし
て舗設すると、工程が複雑になるばかりでなく、新たに
舗設される表層の厚さだけ路面が嵩上げされ、隣接構造
物との間に段差が生じるという問題がある。一方、嵩上
げを回避するには、新たに舗設される表層厚に相当する
分だけ既設舗装を掘削、除去した後に、路上再生工法を
施工することも考えられるが、そのようにすると、掘
削、除去した既設舗装の一部は必然的に廃材となり、廃
材処理が不要であるという路上再生工法のメリットが失
われるというジレンマがあった。
【0005】
【発明の解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な従来の工法の種々の欠点を解消し、舗装用混合物など
を用いた表層を舗設する必要がなく、しかも、耐久性に
優れた舗装体を、現位置にて構築することができる、現
位置処理による舗装再生工法、並びにそのような舗装再
生工法によって構築される再生舗装体を提供することを
課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来から
行われている路上再生工法、特に、路上再生工法によっ
て現位置において安定処理、再生された路盤の耐久性に
ついて研究を重ねた結果、意外にも、従来から不可欠と
考えられていた表層は必ずしも必要なものではなく、再
生された路盤の上に簡単な構成の保護層を構築すること
によって、骨材の飛散などが有効に防止され、安定で耐
久性に優れた舗装体が得られることを見出した。本発明
はこの新たな知見に基づくものである。
【0007】即ち、本発明は、既設舗装体を、その表面
から少なくとも路盤の一部までを含めて掘削、破砕し、
その破砕物と結合材とを現位置で混合する工程、得られ
た混合物を敷き均し安定処理層を構築する工程、構築さ
れた安定処理層上に結合材と骨材とをそれぞれ少なくと
も1回以上散布して保護層を構築する工程とを含む、現
位置処理による舗装再生工法を提供することによって上
記課題を解決するものである。
【0008】本発明の現位置処理による舗装再生工法に
おいては、従来必要とされていた舗装用混合物による表
層を必要としない。既設舗装を掘削、破砕し、その破砕
物と結合材とを現位置で混合し、敷き均すことによって
得られる安定処理層は、その上に、保護層を設けるだけ
で、耐久性に優れた再生舗装体となり、交通の用に供す
ることができる。掘削、破砕される既設舗装の厚さには
特に制限はないが、安定で耐久性のある再生舗装体を構
築する点からは、既設舗装の表面から表層部を越えて、
少なくとも路盤の一部までを掘削、破砕するのが望まし
い。保護層は、安定処理層上に、結合材を散布し、その
上に更に骨材を散布することによって構築されるので、
厚さを薄く構築することが可能である。従って、本発明
においては、安定処理層を既設舗装の表層表面のレベル
とほぼ同じ高さまで構築しても、路面の嵩上げの問題は
生じない。また、既設舗装を掘削、破砕した破砕物の全
量を新たに骨材として再利用することができるので、廃
材や残土処理の問題も生じないものである。
【0009】本発明の現位置処理による舗装再生工法に
おいては、保護層の構築に使用される結合材は、骨材を
安定処理層上に安定して結合することができるものであ
ればどのようなものを使用しても良いが、結合力や取り
扱いの容易さからは、アスファルト乳剤を使用するのが
好ましく、耐久性に優れた舗装体を構築する点からは、
アスファルト乳剤の蒸発残留物の60℃における絶対粘
度が約15000ポアズ(poise)以上のものを使
用すれば、たとえ凹凸や変形の激しい安定処理層上に結
合材としてのアスファルト乳剤を散布する場合でも、散
布されたアスファルト乳剤が安定処理層の傾斜に沿って
流れて安定処理層上における結合材の膜厚が無闇に不均
一になることがなく、均一で安定した結合力で骨材を安
定処理層表面に結合することができ、耐久性に優れた保
護層を構築することができる。ここで、絶対粘度は、
「舗装試験法便覧」、社団法人日本道路協会、平成7年
6月10日発行、第398〜402頁に記載された粘度
試験方法に基づいて測定される値である。
【0010】また、特に耐久性に優れた舗装体を構築す
る点からは、アスファルト乳剤の蒸発残留物が以下の
a)〜d)に示す特性、すなわち、 a)針入度が50〜150(1/10mm)、 b)軟化点が50〜120℃、 c)25℃におけるタフネスが70〜320kgf・c
m、 d)25℃におけるテナシティが30〜300kgf・
cm、 を有するアスファルト乳剤を使用するのが好ましい。ア
スファルト乳剤は、常温で施工が可能な結合材であるの
で、加熱の必要がなく、危険性が少ないと共に炭酸ガス
の発生もないので、地球環境的な観点からも好ましいも
のである。なお、本明細書でいうアスファルト乳剤と
は、特に断らない限り、ゴムや熱可塑性高分子重合物な
どを添加して改質した改質アスファルト乳剤も含むもの
とする。
【0011】更には、保護層の構築に使用されるアスフ
ァルト乳剤として、20℃における粘度が約40センチ
ポアズ以上のアスファルト乳剤を使用する場合には、不
陸の残る安定処理層上にアスファルト乳剤を散布して保
護層を構築する場合でも、散布されたアスファルト乳剤
が安定処理層の傾斜に沿って流動して安定処理層上にお
けるアスファルト乳剤の膜厚が不均一になることがな
く、均一で安定した結合力を備えた保護層を構築するこ
とができる。ここで、粘度は、「舗装試験法便覧別冊
(暫定試験方法)」、社団法人日本道路協会編集、丸善
株式会社、平成8年10月20日発行、第69〜74頁
に記載された粘度試験方法に準じて測定される値であ
る。
【0012】本発明における保護層の構築において、ア
スファルト乳剤の分解を促進する分解補助剤を、アスフ
ァルト乳剤と同時期に又は相前後して散布する場合に
は、アスファルト乳剤の分解、硬化が一層早められ、よ
り早期の交通開放が可能となるという利点がある。アス
ファルト乳剤と分解補助剤とを相前後して路面上に散布
するとは、路面上の施工箇所にアスファルト乳剤または
分解補助剤のどちらかを先に散布した後に、分解補助剤
またはアスファルト乳剤を、先に散布したものの上から
散布することをいうものである。また、アスファルト乳
剤と分解補助剤とを同時期に路面上に散布するとは、路
面上の同じ施工箇所に散布されるべきアスファルト乳剤
と分解補助剤とを、両者の散布時間を少なくとも一部重
複させて散布することをいうものである。いずれにせ
よ、アスファルト乳剤と分解補助剤とが同時期に又は相
前後して散布される結果、アスファルト乳剤と分解補助
剤とは路面上若しくは空中で出会い、接触、混合するこ
ととなる。
【0013】また、本発明における保護層の構築におい
て、繊維材料が、アスファルト乳剤と同時又はアスファ
ルト乳剤と相前後して散布若しくは敷き均される場合に
は、繊維材料とアスファルト乳剤とが混じり合い、より
強力に骨材を路面に結合するだけでなく、耐久性や、更
には防水性に優れた舗装体を構築することが可能とな
る。
【0014】本発明における保護層の構築においては、
以上のようにして、安定処理層上に散布されたアスファ
ルト乳剤、或いは、アスファルト乳剤と分解補助剤およ
び/または繊維材料の上から骨材が散布され、保護層が
構築される。このようにして構築される保護層は、1層
だけでも良く、場合によっては、2層以上であっても良
い。保護層を2層以上に構築するには、アスファルト乳
剤、或いは、アスファルト乳剤と分解補助剤および/ま
たは繊維材料の、散布或いは敷き均しと、骨材の散布と
を、この順に、2回以上行なえば良い。保護層が複層に
構築される場合、各層を構成する材料の組み合わせや材
質、粒径はすべて同じであっても異なっていても良く、
例えば、繊維材料は、第1層目だけに使用して、第2層
目以降には使用しないようにしたり、第2層目以降の構
築に使用する骨材は先行する層の構築に使用した骨材よ
りも粒径が小さなものとしたりすることも随意である。
【0015】本発明における保護層の構築において、ア
スファルト乳剤の散布から骨材の散布までの時間は、比
較的短い一定の時間間隔であるのが望ましい。アスファ
ルト乳剤は、路面に散布された直後から分解が進行する
ものであるが、アスファルト乳剤の散布から骨材の散布
までの時間が不規則に変化すると、骨材が散布される時
点でのアスファルト乳剤の状態も不規則に変化すること
になり、結果として、均一で耐久性に優れた保護層が得
られない。アスファルト乳剤の散布から骨材の散布まで
の時間を比較的短い一定の時間間隔に維持するには、少
なくとも結合材の散布装置と骨材の散布装置とを搭載し
た作業車を用いて施工するのが望ましい。そのような作
業車としては、例えば、同じ出願人による特開平11−
350413号公報、特開平11−350414号公
報、特開平11−350415号公報、特開2000−
45217号公報、特開2000−45218号公報に
開示されたような作業車が挙げられる。また、そのよう
な作業車に、更に、分解補助剤の散布装置及び/又は繊
維材料の散布装置若しくは敷き均し装置を搭載すること
により、アスファルト乳剤と同時又は相前後して分解補
助剤及び/又は繊維材料を散布若しくは敷き均し、続い
て、比較的短い一定の時間間隔をおいて骨材を散布する
ことが容易に可能となる。
【0016】本発明において安定処理層の構築に使用さ
れる結合材としては、掘削、破砕された既設舗装の構成
材料を結合することができるものであれば、どのような
材料を使用しても良いが、取り扱い易さと、結合力の点
からは、アスファルト乳剤と水硬性無機材料とを含む結
合材を使用するのが望ましい。
【0017】本発明は、以上のように、既設舗装体をそ
の表面から少なくとも路盤の一部までを含めて掘削、破
砕し、その破砕物と結合材とを現位置で混合して、得ら
れた混合物を敷き均すことによって安定処理層を構築す
ると共に、構築された安定処理層上に結合材と骨材とを
それぞれ少なくとも1回以上散布して保護層を構築する
ことによって、現位置で舗装体を再生するものであり、
従来必要と考えられていた舗装用混合物による表層を不
要とし、安定処理層と保護層とを有する、安定かつ耐久
性のある再生舗装体を構築、提供することを可能とする
ものである。
【0018】本発明の現位置処理による舗装再生工法
は、主として、L交通、A交通程度の道路を対象とする
ものであるが、それのみに限定されるものではなく、B
交通以上の過酷な条件に晒される道路にも適用可能であ
り、更には、一般道路に限らず、自動車専用道路、構内
道路、公園内道路、散策路、自転車道、運動場、駐車
場、飛行場、港湾施設、公会堂等に付帯する広場、歩道
等の舗装にも適用されるものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0020】まず、使用材料について説明する。 1.安定処理層に使用する材料 安定処理に使用する材料は、主として結合材、すなわ
ち、現位置で掘削、破砕された既設舗装体と混合される
結合材であるが、この結合材としては、破砕され小片と
なった既設舗装体の構成材料を相互に十分に結合するこ
とができるものであればどのようなものを使用しても良
く、例えば、アスファルト乳剤等の瀝青乳剤や、セメン
ト等の水硬性無機材料などを使用することができる。ア
スファルト乳剤等の瀝青乳剤と水硬性無機材料とは両者
を併用するのが、耐久性、耐水性、耐流動性に優れた安
定処理層を構築する上では好ましく、更には、これらの
結合材に必要に応じてフィラーや細骨材などを添加して
も良い。以下、これら個々の材料について説明する。
【0021】〈アスファルト乳剤〉安定処理層に使用す
るアスファルト乳剤としては、例えば、JIS K22
08 石油アスファルト乳剤に該当するものの他、改質
アスファルト乳剤を使用することができる。
【0022】〈水硬性無機材料〉安定処理において使用
することができる水硬性無機材料としては、セメント、
無水石膏、半水石膏、粉末高炉スラグ、消石灰、生石灰
などが使用可能であるが、中でもセメントを使用するの
が好ましい。セメントとしては、普通ポルトランドセメ
ント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランド
セメント、中庸熱ポルトランドセメント、高炉セメン
ト、シリカセメント、アルミナセメント、膨張セメン
ト、高炉コロイドセメント、コロイドセメント、超速硬
セメント、白色セメント、フライアッシュセメント、耐
硫酸塩セメント、ジェットセメントなどを挙げることが
できる。
【0023】〈フィラー〉フィラーとしては、スクリー
ニングスのフィラー分、石粉、焼却炉灰、クレー、タル
ク、消石灰、フライアッシュ、カーボンブラックなどが
挙げられる。
【0024】〈細骨材〉細骨材としては、粗目砂、細目
砂、スクリーニングスなどが挙げられる。
【0025】2.保護層に使用する材料 保護層に使用する材料としては、結合材、骨材、分解補
助剤、繊維材料などを挙げることができる。このうち、
結合材としては、骨材を安定処理層上に十分に結合する
ことができるものであればどのようなものを使用しても
良いが、アスファルト乳剤を使用するのが、十分な結合
力が得られる上に取り扱いも容易であるので好ましい。
結合材としてはアスファルト乳剤を単独で使用しても良
いが、アスファルト乳剤の分解を早め、硬化を促進し
て、早期の交通開放を実現する上からは、アスファルト
乳剤とともに分解補助剤を使用するのが望ましい。以
下、本発明で保護層の構築に使用することができるアス
ファルト乳剤、分解補助剤、骨材、並びに繊維材料につ
いて説明する。
【0026】〈アスファルト乳剤〉本発明において保護
層の構築に使用するアスファルト乳剤とは、レーキアス
ファルト等の天然アスファルト、ストレートアスファル
ト、ブローンアスファルト、セミブローンアスファル
ト、溶剤脱瀝アスファルト(例えば、プロパン脱瀝アス
ファルト)等の石油アスファルト、重油、タール、ピッ
チ等の1種、または2種以上を混合した瀝青物を、各種
界面活性剤やクレー(例えばベントナイト)などの乳化
剤を用い、さらには、アルカリ、酸、塩、分散剤、保護
コロイドなどを必要に応じて添加して、コロイドミル、
ホモジナイザー、ホモミキサーなどの適当な乳化機によ
って、水中に乳化させたものである。
【0027】乳化剤としては、カチオン系、アニオン
系、両性系のいずれをも用いることができ、本発明で使
用できるカチオン系の乳化剤としては、長鎖アルキル基
を有する脂肪族あるいは脂環族のモノアミン、ジアミ
ン、トリアミン、アミドアミン、ポリアミノエチルイミ
ダゾリン、長鎖ヒドロキシアルキルジアミン、ロジンア
ミン、これらアミン類の酸化エチレン付加物、アミンオ
キサイド、または、これらのアミン系界面活性剤に塩
酸、スルファミン酸、酢酸などの酸を作用させた水溶性
ないし水分散性の塩、さらには、これらのアミン系界面
活性剤の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。また、
これらの界面活性剤と共に、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテ
ル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコーポ
リマーなどのノニオン系界面活性剤を併用することもで
きる。
【0028】本発明で使用できるアニオン系の乳化剤と
しては、高級アルコール硫酸エステル、アルキルアリル
スルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、αオレ
フィンスルホン酸塩、高級アルコールエトオキシレー
ト、高級アルコールエトオキシレートサルフェート、石
鹸、ナフタリンスルホン酸塩およびホルマリン変性物、
アルカリリグニン塩、リグニンスルホン酸塩、カゼイン
のアルカリ塩、ポリアクリル酸塩等が挙げられる。
【0029】本発明で使用できる両性系の乳化剤として
は、アルキルフェノール、モノおよび多価アルコール
酸、脂肪族類、脂肪族アミン類、脂肪族アミド類、エタ
ノールアミン類等のアルキレンオキシドの付加物、など
が挙げられる。
【0030】また、アスファルト乳剤に用いられる分散
剤や保護コロイドとしては、ナフタリンスルホン酸ソー
ダ、カゼイン、アルギン酸、ゼラチン、カルボキシメチ
ルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセ
ルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソー
ダ、リグニンスルホン酸塩、ニトロフミン酸塩等が挙げ
られる。
【0031】本発明で使用するアスファルト乳剤は、上
記乳化分散される瀝青物に、ゴム及び熱可塑性高分子重
合物から選ばれる1種もしくは2種以上を加えて改質し
た改質アスファルト乳剤として使用するのが望ましい。
なお、改質アスファルト乳剤は、アスファルト乳剤にゴ
ム及び熱可塑性高分子重合物から選ばれる1種もしくは
2種以上を加えて改質することによって調製しても良い
し、アスファルトにゴム及び熱可塑性高分子重合物から
選ばれる1種もしくは2種以上を加えて改質した後に、
これを乳化して改質アスファルト乳剤とすることによっ
て調製しても良い。
【0032】改質に使用するゴム及び熱可塑性高分子重
合物としては、天然ゴム、ガタバーチャ、環化ゴム、ス
チレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレンゴム、
イソプレンゴム、ポリイソプレンゴム、ブタジエンゴ
ム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチル
ゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチ
レン、エチレンプロピレンゴム、EPTゴム、アルフィ
ンゴム、スチレン・ブタジエンブロック共重合ゴム、ス
チレン・ブタジエン・スチレン共重合ゴム、スチレン・
イソプレンブロック共重合ゴムなどのゴム、及び、エチ
レン・酢酸ビニール共重合物、エチレン・エチルアクリ
レート共重合物、ポリエチレン、ポリ塩化ビニール、ポ
リ酢酸ビニール、塩化ビニール・酢酸ビニール共重合
物、酢酸ビニール・アクリレート共重合物等の熱可塑性
高分子重合物が挙げられる。これらのゴムまたは熱可塑
性高分子重合物は、1種または2種以上を併用して用い
ることができる。これらのゴム及び熱可塑性高分子重合
物は、例えば、粉末状、ラテックス状、エマルジョン
状、水性状のものであり、ラテックス状、エマルジョン
状、水性状のものは、主として、ポストミックスタイプ
の方法による改質アスファルト乳剤に専ら使用される
が、プレミックスタイプの方法による改質アスファルト
乳剤に使用しても良い。
【0033】本発明において保護層に使用するアスファ
ルト乳剤は、上記のように改質アスファルト乳剤を含む
ものであるが、これらのアスファルト乳剤には、更に、
粘着付与剤として、熱可塑性固形樹脂や固形状ゴム、液
状樹脂、軟化剤、可塑剤などを添加することができる。
添加される粘着付与剤としては、例えば、ロヂンとその
誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂とその誘導体、アルキ
ッド樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノー
ル樹脂、クマロンインデン樹脂、合成テルペン樹脂、ア
ルキレン樹脂、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポ
リブデン、イソブチレンとブタジエンの共重合物、鉱
油、プロセスオイル、パイン油、アントラセン油、松根
油、動植物油、重合油、可塑剤等が挙げられる。また、
老化防止剤や酸化防止剤、硫黄等も添加することができ
る。さらにまた、改質アスファルト乳剤の粘度調整の目
的で、MC、CMC、HEC、PVA、ゼラチンなどの
水溶性高分子保護コロイドを添加することも可能であ
る。
【0034】改質アスファルト乳剤中のアスファルト
と、ゴム及び熱可塑性高分子重合物との配合割合は、ア
スファルト100重量部に対してゴム及び熱可塑性高分
子重合物が、2〜20重量部、好ましくは、3〜7重量
部の範囲である。ゴム及び熱可塑性高分子重合物の量が
2重量部未満では、改質アスファルト乳剤が分解、硬化
した後における骨材に対する接着力や把握力にゴム及び
熱可塑性高分子重合物を加えた効果が余り見られないの
に対して、ゴム及び熱可塑性高分子重合物の量が20重
量部を越えると、凝集力が強過ぎて、返って骨材からの
剥離が生じ、骨材の飛散を起こし易い。また、本発明に
おいて保護層に使用するアスファルト乳剤及び改質アス
ファルト乳剤中のアスファルトとしては、分解、硬化し
た後の特性を考慮して、針入度(25℃)が50〜15
0(1/10mm)程度のものを使用するのが好まし
い。
【0035】本発明で保護層に使用するアスファルト乳
剤及び改質アスファルト乳剤の蒸発残留分(固形物)
は、通常、30〜70重量%程度が好ましく、特に、5
0〜68重量%のものが更に好ましい。蒸発残留分が3
0重量%未満では、決して使用できないという訳ではな
いが、結合材として必要な程度の粘弾性を得ることが難
しく、一方、蒸発残留分が70重量%を越えると、これ
も決して使用できないという訳ではないが、良好な施工
性を確保しづらい傾向がある。
【0036】また、これらのアスファルト乳剤または改
質アスファルト乳剤には、耐熱性向上や、紫外線等によ
る劣化防止、作業性向上、並びに接着性向上等の目的
で、紫外線吸収剤や、各種添加剤、粘度調整剤などを添
加しても良い。
【0037】本発明において保護層に使用されるアスフ
ァルト乳剤は、アスファルト乳剤中の蒸発残留物が、以
下のa)〜d)に示す特性、即ち、 a)針入度が50〜150(1/10mm)、 b)軟化点が50〜120℃、 c)25℃におけるタフネスが70〜320kgf・c
m、 d)25℃におけるテナシティが30〜300kgf・
cm、 を有するものが良く、望ましくは、以下のa’)〜
d’)に示す特性、即ち、 a’)針入度が70〜125(1/10mm)、 b’)軟化点が55〜100℃、 c’)25℃におけるタフネスが90〜250kgf・
cm、 d’)25℃におけるテナシティが50〜220kgf
・cm、 を有するものであり、更に望ましくは、以下のa’’)
〜d’’)に示す特性、即ち、 a’’)針入度が90〜120(1/10mm)、 b’’)軟化点が60〜80℃、 c’’)25℃におけるタフネスが100〜200kg
f・cm、 d’’)25℃におけるテナシティが70〜180kg
f・cm、 を有するものである。
【0038】アスファルト乳剤中の蒸発残留物の針入度
が50(1/10mm)未満では、アスファルト乳剤の
分解後のアスファルトが硬くなりすぎてしまうので好ま
しくなく、逆に、針入度が150(1/10mm)超で
は、アスファルト乳剤の分解後のアスファルトが軟らか
くなりすぎてしまうので好ましくない。
【0039】アスファルト乳剤中の蒸発残留物の軟化点
が50℃未満では、アスファルト乳剤の分解後のアスフ
ァルトが、夏季等の高温下の路面においてフラッシュ現
象を起こし易く、べたつき易いので好ましくなく、逆
に、軟化点が120℃超では、アスファルト乳剤の分解
後のアスファルトに柔軟性が不足し、好ましくない。
【0040】また、アスファルト乳剤中の蒸発残留物の
25℃におけるタフネスが70kgf・cm未満では、
アスファルト乳剤の分解後のアスファルトに粘りが不足
し、腰が弱くなりすぎるので好ましくなく、逆に、タフ
ネスが320kgf・cm超では、アスファルト乳剤の
分解後のアスファルトが、粘りがありすぎ、腰が強くな
りすぎるので、交通荷重に対してもろくなる傾向が出て
くるので好ましくない。
【0041】更には、アスファルト乳剤中の蒸発残留物
の25℃におけるテナシティが30kgf・cm未満で
は、アスファルト乳剤の分解後のアスファルトに伸びが
なくなってしまうので好ましくなく、逆に、テナシティ
が300kgf・cm超では、アスファルト乳剤の分解
後のアスファルトの伸びが大きくなりすぎてしまうので
好ましくない。
【0042】ここで、針入度及び軟化点はJISK22
07に規定されるものであり、タフネス及びテナシティ
は「舗装試験法便覧」、社団法人日本道路協会、平成7
年6月10日発行、第456〜461頁の「タフネス・
テナシティ試験方法」に基づいて測定されるものであ
る。
【0043】〈分解補助剤〉本発明で使用する分解補助
剤としては、保護層の構築に結合材として使用するアス
ファルト乳剤の分解を促進することができるものであれ
ばどのようなものを使用しても良く、アスファルト乳剤
がカチオン系アスファルト乳剤である場合には、アニオ
ン系乳化剤、アルカリ性無機塩、アニオン系高分子凝集
剤、アニオン系アスファルト乳剤、及び、アニオン系ラ
テックスからなる群から選ばれる1種若しくは2種以上
の分解補助剤を使用することができる。
【0044】使用できるアニオン系乳化剤としては、石
鹸などのカルボン酸塩系のもの;高級アルコール硫酸エ
ステル塩、高級アルコールエトオキシレートサルフェー
ト等の高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化
油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化オレフィンなどの硫
酸エステル塩系のもの;アルキルアリルスルホン酸塩、
α−オレフィンスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸
塩、ナフタリンスルホン酸塩のホルマリン変性物、リグ
ニンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸アンモ
ニウムやアルキルベンゼンスルホン酸ソーダやアルキル
ベンゼンスルホン酸カリ等のアルキルベンゼンスルホン
酸塩、ジ・オクチル・スルホ・コハク酸ソーダ等のジ・
オクチル・スルホ・コハク酸の金属塩、アルキルメチル
タウリン酸ナトリウム等のアルキルメチルタウリン酸の
金属塩などのスルホン酸塩系のもの;リン酸エステル塩
系のものなどの合成脂肪酸塩や、リグニンなどのスルホ
ン酸塩系並びにロジン及びトール油などのカルボン酸塩
系などの天然脂肪酸塩が挙げられる。
【0045】使用できるアルカリ性無機塩としては、苛
性ソーダなどのソーダ塩、尿素、重炭酸アンモニウム、
硝酸アンモニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、塩
化アンモニウム、リン酸アンモニウムなどのアンモニウ
ム塩などが挙げられ、その他、高級アルコールエトオキ
シレート、アルカリリグニン酸、カゼインのアルカリ
塩、ポリアクリル酸なども本発明において分解補助剤と
して使用できる。
【0046】以上のような分解補助剤は、そのうちの1
種または2種以上を使用することができるが、中でも、
アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキルベンゼン
スルホン酸アンモニウム、アルキルベンゼンスルホン酸
カリなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、又は、アル
キルメチルタウリン酸ナトリウム、ジ・オクチル・スル
ホ・コハク酸ソーダを使用するのが、硬化速度が早く、
しかも強度及び耐久性に優れた表面処理層が得られるの
で好ましく、更には、これらの中でも、アルキルベンゼ
ンスルホン酸ソーダ、アルキルベンゼンスルホン酸アン
モニウム、アルキルベンゼンスルホン酸カリなどのアル
キルベンゼンスルホン酸塩を用いるのが更に好ましく、
アルキルベンゼンスルホン酸塩の中では、アルキルベン
ゼンスルホン酸ソーダを用いるのが最も好ましい。
【0047】以上のようなカチオン系アスファルト乳剤
に対する分解補助剤は水溶液の状態で使用するのが望ま
しく、その濃度は、通常、1.5〜30w/w%の範囲
が良い。分解補助剤の水溶液濃度が1.5w/w%未満
では、カチオン系アスファルト乳剤の分解を促進する効
果が期待できず、また、分解補助剤の水溶液濃度が30
w/w%を超えると、カチオン系アスファルト乳剤の分
解速度が速くなり過ぎて施工作業に支障を来すようにな
る。
【0048】本発明において、結合材であるカチオン系
アスファルト乳剤に対して接触、混合せしめられる分解
補助剤の割合は、カチオン系アスファルト乳剤中の蒸発
残留分100重量部に対して、分解補助剤の水溶液中の
有効成分量として、0.4〜4.0重量部の範囲が好ま
しい。分解補助剤の水溶液中の有効成分量が0.4重量
部未満では、アスファルト乳剤の分解を促進する効果が
期待できず、4.0重量部を超えるとアスファルト乳剤
の分解速度が速くなり過ぎて施工作業に支障を来すよう
になる。
【0049】一方、結合材としてアニオン系アスファル
ト乳剤を使用する場合には、分解補助剤としては、塩化
カルシウムなどの二価の無機塩;塩酸、蟻酸、燐酸など
の無機酸;酢酸、クエン酸などの有機酸;ロジンアミ
ン、アミン類の酸化エチレン付加物、アルキルモノアミ
ン塩酸塩又は酢酸塩、アルキルジアミン塩酸塩又は酢酸
塩、アルキルトリアミン塩酸塩又は酢酸塩などのアルキ
ルアミン類;ジアミド、アミドアミンなどのアミドアミ
ン類の塩酸塩又は酢酸塩;ポリアミノエチルイミダゾリ
ンなどのイミダゾリン類の塩酸塩又は酢酸塩;長鎖アル
キル基を有する脂肪環族のモノアミンやジアミンやトリ
アミンの塩酸塩又は酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキ
ルアミン類の塩酸塩又は酢酸塩;アミン化リグニン類の
塩酸塩又は酢酸塩;アミン系カチオン界面活性剤に塩
酸、スルファミン酸、酢酸などの酸を作用させた水溶性
ないし水分散性の塩;アミンオキサイド類の塩酸塩又は
酢酸塩;更には、アミン系カチオン界面活性剤の第4級
アンモニウム塩類などが挙げられ、これらのうちの1種
または2種以上を分解補助剤として使用することができ
る。中でも、アルキルモノアミン塩酸塩又は酢酸塩、ア
ルキルジアミン塩酸塩又は酢酸塩、アルキルトリアミン
塩酸塩又は酢酸塩などのアミン系カチオン界面活性剤の
水溶性の塩を使用するのが好ましい。また、これらの分
解補助剤と共に、エキシエチレン・オキシプロピレンブ
ロックコーポリマーなどのノニオン系界面活性剤を併用
することもできる。
【0050】また、結合材としてノニオン系アスファル
ト乳剤を使用する場合には、分解補助剤としては、高分
子凝集剤を使用するのが望ましく、高分子凝集剤として
は、分子量が約1000〜数万である低重合度のものと
して、アルギン酸ナトリウムなどの陰イオン性の高分子
凝集剤;水溶性アニリン樹脂塩酸塩、ポリチオ尿素酢酸
塩、ポリエチレンアミノトリアゾール、ポリビリルベン
ジルトリメチルアンモニウムクロライド、キトサンなど
の陽イオン性の高分子凝集剤;でんぷん、水溶性尿素樹
脂などの非イオン性の高分子凝集剤;ゼラチンなどの両
性の高分子凝集剤などが挙げられ、分子量が数十万〜数
百万の高重合度のものとして、ポリアクリル酸ナトリウ
ム、マレイン酸共重合物塩、ポリアクリルアミド部分加
水分解塩などの陰イオン性の高分子凝集剤;ポリエチレ
ンアミン、ビニルビニルピリジン共重合物塩などの陽イ
オン性の高分子凝集剤;ポリアクリルアミド、ポリオキ
シエチレンなどの非イオン性の高分子凝集剤などが挙げ
られる。以上のような高分子凝集剤は、そのうちの1種
もしくは2種以上が使用される。
【0051】以上のようなアニオン系又はノニオン系ア
スファルト乳剤に対する分解補助剤は水溶液の状態で使
用するのが望ましく、その濃度は、通常、1.5〜20
w/w%の範囲が良い。分解補助剤の水溶液濃度が1.
5w/w%未満では、アニオン系又はノニオン系アスフ
ァルト乳剤の分解を促進する効果が期待できず、また、
分解補助剤の水溶液濃度が20w/w%を超えると、ア
ニオン系又はノニオン系アスファルト乳剤の分解速度が
速くなり過ぎて施工作業に支障を来すようになる。
【0052】本発明において、結合材であるアニオン系
またはノニオン系アスファルト乳剤に対して接触、混合
せしめられる分解補助剤の割合は、アニオン系またはノ
ニオン系アスファルト乳剤中の蒸発残留分100重量部
に対して、分解補助剤の水溶液中の有効成分量として、
0.05〜0.5重量部の範囲が好ましい。分解補助剤
の水溶液中の有効成分量が0.05重量部未満では、ア
スファルト乳剤の分解を促進する効果が期待できず、
0.5重量部を超えるとアスファルト乳剤の分解速度が
速くなり過ぎて施工作業に支障を来すようになる。
【0053】〈骨材〉本発明で保護層の構築に使用する
骨材とは、社団法人日本道路協会発行の「アスファルト
舗装要綱」に記載されている舗装用の骨材であればどの
ようなものでも使用でき、例えば、砕石、玉石、砂利、
鉄鋼スラグ等である。また、これらの骨材にアスファル
トを被覆したアスファルト被覆骨材および再生骨材など
も使用できる。その他、これに類似する粒状材料で、人
工焼成骨材、焼成発泡骨材、人工軽量骨材、陶磁器粒、
ルクソバイト、アルミニウム粒、プラスチック粒、セラ
ミックス、エメリー等も使用することができる。
【0054】本発明で使用する骨材にアスファルト等を
被覆する場合には、被覆するに必要なアスファルトの量
は、0.1〜1.5重量%程度の範囲である。鉄鋼スラ
グのようなポーラスな骨材の場合には、上記範囲の中で
も多い方の量となり、硬質砂岩のような非ポーラスな骨
材においては、上記範囲の中でも少ない方の量となる。
被覆に使用するアスファルト等としては、アスファル
ト、アスファルト乳剤、及び、これらをゴムやポリマー
などで改質した改質アスファルト、改質アスファルト乳
剤なども使用される。また、ケロシン等で噴霧被覆され
た骨材を使用しても良い。
【0055】なお、本発明で使用する骨材としては、種
々の色を持った有色の骨材を使用することも可能であ
り、例えば、天然有色骨材や、人工焼成骨材、焼成発泡
骨材、人工軽量骨材、陶磁器粒、ルクソバイト、アルミ
ニウム粒、プラスチック粒、セラミックス、エメリー等
の中でも有色のものを使用すれば、耐久性、安定性に優
れたカラー舗装を容易に実現することが可能である。さ
らに、異なる石質、種類、色調の1種又は2種以上の骨
材を混合して併用しても良い。なお、これらの有色骨材
は、通常はプレコートなしに使用されるが、プレコート
して使用する場合には、それら骨材が本来有している有
色性を損なわない材料を使用することは勿論である。
【0056】なお、本発明で保護層に使用する骨材は、
基本的には粒径に制限はないが、できれば最小粒径が5
mm以上、最大粒径が20mm以下のものが好ましい。
最小粒径が5mm未満では、骨材の粒径が小さ過ぎ、安
定処理層表面の凹凸等が有効にカバーされない恐れがあ
る。また、散布した結合材が路面上に形成する結合材散
布層の層厚に、骨材自身の敷き均し厚さが限りなく近づ
き、場合によると結合材の層厚よりも骨材の敷き均し厚
が小さくなってフラッシュの原因の1つともなる。一
方、最大粒径が20mmを越えると、車両の走行によっ
て発生する交通騒音の増大や、施工後の路面が粗面にな
るばかりでなく、車両が保護層上を走行することによっ
て、骨材の飛散が生じる場合があり、好ましくない。
【0057】〈繊維材料〉本発明で保護層に使用される
繊維材料としては、ポリエステル、ポリアミド、芳香族
ポリアミド、ポリプロピレン、ビニロン、アクリル、ポ
リ塩化ビニリデン等の合成繊維、または半合成繊維、天
然繊維、ガラス繊維、再生繊維、炭素繊維、金属繊維
等、種々のものが用いられるが、中でも、ポリエステル
繊維が好ましい。
【0058】これらの繊維は、適当な長さに切断された
短繊維として用いることもできるが、モノフィラメント
や、モノフィラメントを多数集束させたマルチフィラメ
ントとしても、あるいは、紡績糸や撚糸としても用いる
ことが可能であり、さらには、不織布、織布、編布とし
てシート状にして用いることも可能である。
【0059】短繊維の長さに特に制限はないが、あまり
短いと表面処理層の繊維による強度維持や防水性能、お
よび、ひび割れ防止等に効果がないので、3mm以上の
もの、好ましくは5mm〜70mm程度のものが好まし
い。
【0060】次に、本発明の現位置処理による舗装再生
工法について説明する。
【0061】図1の左側の図は、破損が進んだ既設舗装
の断面図を模式的に描いたもので、同図において符号1
は既設舗装体を示し、2はその表層を、3は路盤を、4
は路床を示し、5は路盤3を構成する砕石を、6は表層
2に生じているひび割れを示している。今、このように
破損が進行した既設舗装体1を、本発明の現位置処理に
よる舗装再生工法によって再生するには、まず、図示し
ないディープスタビライザなどの舗装機械を用いて、図
1の中央に示すように、表層2の表面レベル、すなわち
舗装面xから、所定の深さyまで、既設舗装体1をかき
おこし、掘削、破砕し、適宜の結合材と混合した後、敷
き均し、安定処理層7を構築する。深さyは、路床4の
設計CBRと設計交通量の区分、及び、路盤3や構築さ
れる安定処理層7の等値換算係数等に基づいて、所定の
等値換算厚が得られるように適宜決められる。場合によ
っては路床4の一部を含む深さまで掘削、破砕しても良
い。また、例えば表層2の存在しない既設舗装体の場合
には、路盤3だけを対象に掘削、破砕して、安定処理層
7としても良い。
【0062】既設舗装体1の掘削、破砕に際しては、安
定処理に使用する結合材がアスファルト乳剤などの瀝青
乳剤である場合には、ディープスタビライザによって舗
装面に所要量のアスファルト乳剤を散布しつつ、既設舗
装体1を掘削、破砕し、同時に、破砕された既設舗装体
1の破砕片とアスファルト乳剤とを混合して敷き均して
安定処理層7を構築する。結合材がセメントなどの水硬
性無機材料の場合には、既設舗装体1の表面に予め所定
量の水硬性無機材料を一様に敷き均しておいてから、デ
ィープスタビライザで、既設舗装体1を舗装面xから所
定の深さyまで、かきおこし、掘削、破砕すると同時
に、破砕片と水硬性無機材料とを混合して敷き均し、安
定処理層7を構築する。結合材としてアスファルト乳剤
と水硬性無機材料とを併用する場合には、舗装面に水硬
性無機材料を敷き均しておくと共に、ディープスタビラ
イザからアスファルト乳剤を散布しながら、掘削、破
砕、混合、敷き均しを行う。或いは、アスファルト乳剤
中に水硬性無機材料を予め混合しておいて、それをディ
ープスタビライザで、掘削、破砕と同時に散布するよう
にしても良い。
【0063】結合材の使用量は、掘削、破砕される既設
舗装体1の厚さの全重量に対し2〜8重量%程度であ
る。結合材の使用量が2重量%未満では、結合材の使用
効果が薄く、また、8重量%超では、施工性が悪くなっ
たり、安定処理層7にひび割れが発生する恐れがある。
アスファルト乳剤(蒸発残留物は約60重量%)と水硬
性無機材料を併用する場合には、水硬性無機材料1重量
部に対し、アスファルト乳剤を、1〜3重量部程度使用
するのが良い。
【0064】安定処理層7の敷き均しの後、グレーダ等
で不陸正整しながらタイヤローラー、マカダムローラ
ー、その他によって十分に転圧し、安定処理層7の構築
を完了する。続いて、安定処理層7の上に、図1の右側
に示すように、保護層8を設け、施工を完了する。な
お、保護層8を設ける前に、安定処理層7にアスファル
ト乳剤などの瀝青乳剤と、必要に応じてセメントなどの
水硬性無機材料、細骨材、フィラーなどよりなるスラリ
ー状混合物を安定処理層7上に流し込み、振動を与える
か、流し込んでおいて振動ローラーをかけて安定処理層
7内の空隙に充填させるようにしても良い。図1に見ら
れるように、本発明の舗装再生工法においては、安定処
理層7の上部に形成する保護層8は、その厚味が薄いの
で、安定処理層7を既設舗装体1のほぼ舗装面のレベル
xの高さまで構築しても、嵩上げの問題が生じることが
ない。また、安定処理層7を既設舗装体1のほぼ舗装面
のレベルxの高さまで構築することができるので、掘
削、破砕した既設舗装体1の構成材料を全て再利用する
ことができ、廃材や残土処理の問題が生じることがな
い。
【0065】次に、図2ないし図4を用いて、保護層8
の形成工程を説明する。まず、図2に示すように、構築
された安定処理層7の上面に、結合材9を散布する。結
合材の散布量は、骨材が安定処理層7の上面に結合され
る限り特に制限はないが、結合材9としてアスファルト
乳剤を使用する場合には、通常、100m当り60〜
250リットルの範囲が好ましい。100m当りのア
スファルト乳剤量が60リットル未満では、安定処理層
7の表面と骨材及び骨材と骨材間の結合力、接着力が不
足する可能性があり、逆に、250リットルを越える
と、フラッシュ現象の原因となる。また、このアスファ
ルト乳剤の散布量は、骨材の粒径に応じて変化し、一般
には、粒径の大きな骨材を使用する場合ほど散布量は多
くなる。なお、結合材9は、安定処理層7の上面に一様
に存在せしめられれば良い。
【0066】結合材9の散布後、図3に示すように、散
布された結合材9上に骨材10を散布する。骨材の散布
量は、100m当り0.4〜2.5mの範囲が好ま
しい。100m当りの骨材の散布量が0.4m未満
であると、フラッシュ現象の原因となり、逆に、100
当りの骨材量が2.5mを越えると、余剰の骨材
が浮石となって車両の通行を妨げるばかりでなく、歩行
者にとっても歩行しづらい路面となる。また、骨材の散
布量は、粒径の大きい骨材ほど多目に散布するのが望ま
しい。なお、骨材は、通常、常温で散布されるが、10
0〜170℃に加熱した状態で散布するようにしても良
い。
【0067】なお、以上のような結合材9の散布と骨材
10の散布とは、できるだけ、一定の短い時間間隔で行
われるのが望ましく、そのような施工を容易に可能にす
る作業車としては、例えば、同じ出願人による特開平1
1−350413号公報、特開平11−350414号
公報、特開平11−350415号公報、特開2000
−45217号公報、特開2000−45218号公報
に開示されたような作業車が挙げられる。これら公報に
開示された作業車においては、結合材の散布装置と骨材
の散布位置とが、共に、作業車の前輪より前、前輪と後
輪の間、或いは、後輪よりも後ろになるように配置され
ており、結合材としてのアスファルト乳剤が散布された
上に直ちに骨材が散布されるので、作業車のタイヤ若し
くはクローラーが散布された結合材としてのアスファル
ト乳剤上を踏むことがなく、一旦散布された結合材とし
てのアスファルト乳剤が剥離したり、タイヤ等に付着し
て他の路面等を汚す恐れがない。しかも、上記明細書に
開示されたような作業車にあっては、結合材の散布装置
と骨材の散布装置とが共に単一の作業車上に搭載され、
それぞれの散布が行われるので、結合材としてのアスフ
ァルト乳剤の散布から骨材の散布までを一貫した作業と
して管理、施工することができ、均一で耐久性に富む安
定した保護層を構築することが可能である。また、これ
らの作業車には水の散布装置を搭載したり、分解補助剤
の散布装置や、繊維材料の散布或いは敷き均し装置を搭
載することも可能である。
【0068】骨材10の散布後、散布面から余剰に散布
された骨材を除去した後、マカダムローラーやタンデム
ローラーなどを用いて骨材の散布面を転圧して、図4に
示すように、保護層8を得る。
【0069】このようにして構築された再生舗装体は、
路床4と、既存の路盤3の一部と、安定処理層7と、保
護層8とを有しており、安定処理層7の上面が保護層8
によて、十分に保護されているので、交通の用に供して
も、車両の通行等によって骨材が飛散したり、舗装面が
荒れたりする恐れがない。
【0070】また、本発明の現位置処理による舗装再生
工法においては、結合材9の散布と同時に、又は、結合
材9の散布と相前後して、繊維材料を散布若しくは敷き
均すようにしても良い。結合材9の散布と同時に、又
は、結合材9の散布と相前後して、繊維材料を散布若し
くは敷き均すには、例えば、前述したような作業車にお
いて結合材9の散布装置の後方に繊維材料の散布装置及
び/又は繊維材料の敷き均し装置を搭載した作業車を用
いて、結合材の散布や骨材の散布などと共に一貫した作
業として行うのが好ましい。このような作業車として
は、例えば、同じ出願人が特願平11−275158号
明細書に開示したような作業車が挙げられる。このよう
に、結合材と同時又は相前後して繊維材料を散布若しく
は敷き均すことによって、結合材と繊維材料とは互いに
混じり合い、含浸し合って、骨材を強固に結合し、耐久
性や安定性に優れるばかりでなく、ひび割れ追従性や防
水性に優れた保護層を構築することができる。
【0071】また、本発明の現位置処理による舗装再生
工法の好ましい一例においては、結合材としてのアスフ
ァルト乳剤と同時期に又は相前後して分解補助剤が散布
される。アスファルト乳剤と分解補助剤とを相前後して
路面上に散布する場合、アスファルト乳剤をまず散布し
た後に、その散布面上に分解補助剤を散布するようにし
てもよいし、また逆に、分解補助剤をまず散布した後
に、その散布面上にアスファルト乳剤を散布しても良
い。また、更には、アスファルト乳剤、分解補助剤と
を、この順に散布した後に、再度、アスファルト乳剤を
散布するようにしても良いし、分解補助剤とアスファル
ト乳剤とをこの順に散布した後に、再度、分解補助剤を
散布するようにしても良いが、好ましくは、アスファル
ト乳剤と分解補助剤とを同時期に路面上に散布し、両者
を散布面上で衝突、接触させることによって、更に好ま
しくは、アスファルト乳剤と分解補助剤とを同時期に散
布し、両者を空中で衝突、接触させることによって、ア
スファルト乳剤と分解補助剤とを接触、混合させるのが
良い。これにより、分解補助剤によるアスファルト乳剤
の分解促進作用が開始され、アスファルト乳剤は、アス
ファルト乳剤単独のときよりも短時間で分解、硬化する
ので、より短い養生時間で強固で耐久性に富み且つ安定
性に優れた保護層を、更には、再生舗装体を構築するこ
とができるものである。
【0072】アスファルト乳剤と分解補助剤とを空中で
衝突、接触させ、両者を衝撃的に混合・攪拌させるに
は、アスファルト乳剤を散布するスプレーノズルと分解
補助剤を散布するスプレーノズルとを、例えば作業車の
近接した位置に、1のスプレーノズルから噴射されたア
スファルト乳剤と、対応する1のスプレーノズルから噴
射された分解補助剤とが空中で衝突するような角度で設
けるのが良い。このとき、個々のスプレーノズルから噴
射される分解補助剤の、アスファルト乳剤との衝突位置
における広がり幅が、衝突相手であるアスファルト乳剤
の同じく衝突位置における広がり幅とほぼ一致するよう
に、アスファルト乳剤用のスプレーノズルと分解補助剤
用のスプレーノズルとを設けるのが好ましい。更には、
個々のスプレーノズルから噴射される分解補助剤の、ア
スファルト乳剤との衝突位置における噴射密度が、衝突
位置における広がり幅の全体においてほぼ均一となるよ
うに、アスファルト乳剤用のスプレーノズルと分解補助
剤用のスプレーノズルとの位置関係を設定するのが好ま
しい。このようにすることによって、アスファルト乳剤
と分解補助剤とを均一に、かつ、制御された割合で衝
突、接触、混合させることが可能となり、アスファルト
乳剤の分解・硬化時間がより短縮されると共に、得られ
る保護層の耐久性や強度にも良い影響がもたらされる。
【0073】なお、図2ないし図4に示した例において
は、結合材9の散布と骨材10の散布とは、それぞれ1
回ずつ行われ、安定処理層7上に、保護層8が1層だけ
構築されたが、保護層8の層数は、必ずしも1層に限ら
れるものではない。例えば、結合材9の散布と骨材10
の散布とを、この順に、2回以上繰り返すことによっ
て、2層以上の保護層8を構築することが可能である。
このとき、1回の結合材の散布と骨材の散布とが終了す
る度に、骨材の散布面を転圧するのが望ましい。
【0074】保護層8を2層以上に構築する際には、各
層の構築に使用される結合材、骨材、分解補助剤、繊維
材料の組み合わせは、互いに同じであっても異なってい
ても良い。しかしながら、例えば繊維材料は、最下層の
保護層の構築時に使用されるのが効果的であり、骨材の
粒径は、上層に行くほど小さくするのが好ましい。
【0075】以下、実験例を用いて本発明を更に詳細に
説明する。
【0076】〈実験1〉アスファルト乳剤中の蒸発残留
物の特性が結合力に及ぼす影響 アスファルト乳剤中の蒸発残留物の特性が、構築される
保護層の耐久性に及ぼす影響を調べるため、蒸発残留物
が表1に示すような種々の特性を有する10種類のアニ
オン系アスファルト乳剤を調製し、以下に述べる付着性
試験をビアリット(Vialit)付着試験方法に準じ
て行った。骨材としては、8〜5mm粒径の骨材を用意
し、これをビアリット付着試験方法に準ずる条件で乾
燥、静置した。一方、分解補助剤としては、アルキルジ
アミン酢酸塩(商品名「カチオンDTA」、日本油脂株
式会社製)の10w/w%水溶液を用意し、重量比で、
(分解補助剤水溶液中の有効成分量)/(アスファルト
乳剤中の蒸発残留分)=0.3/100とした。
【0077】一方、厚さ2mm、大きさ200×200
mmの金属板を試料数だけ用意し、これに、結合材とし
て別途調製した上記10種類のアニオン系アスファルト
乳剤の各々と上記分解補助剤とをフラット形のスプレー
ノズルを用いて空中で衝突させながら1.1(リットル
/m)の割合で散布した。なお、アスファルト乳剤の
散布高さHは50cm、アスファルト乳剤と分解補助剤
の衝突位置は、散布面から30cmとした。次いで、こ
のアスファルト乳剤と分解補助剤の散布面上に骨材を9
0粒ずつ散布し、実験用ローラーで線圧7kgf/cm
の負荷をかけて、相反する方向にそれぞれ15回ずつ、
合計30回転圧した。これを所定時間静置した後、骨材
の付着面を下にして水平に保持した状態で、その上か
ら、直径50mm、重さ500gの鉄球を10秒以内に
3回、金属板中央に落下させた。鉄球の落下によって金
属板からはがれ落ちた骨材粒の内、結合材が付着してい
ない骨材粒の数を数えてaとした。また、金属板に残っ
た骨材を手で剥がし、結合材が付着していない骨材粒の
数を数えてdとした。付着率(%)は、付着率(%)=
{(90−a−d)/90}×100として計算した。
各々の試料について3回試験を行い、結果はその平均と
し、付着率80%以上のものを良好で満足できるもの、
付着率85%以上のものをより満足できるもの、付着率
90%以上のものを更に満足できるものと評価した。更
に、分解補助剤を散布しない点を除いては同じ手順で、
10種類のアニオン系アスファルト乳剤上に骨材を散布
した試料を作成し、同様に試験して付着率を求めた。結
果を併せて表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】表1から明らかなように、アスファルト乳
剤と分解補助剤とを空中で衝突させた場合には、アスフ
ァルト乳剤中の蒸発残留物の物性が、針入度が50(1
/10mm)以上、150(1/10mm)以下、軟化
点が50℃以上、120℃以下、25℃におけるタフネ
スが70kgf・cm以上、320kgf・cm以下、
25℃におけるテナシティが30kgf・cm以上、3
00kgf・cm以下で、付着率80%以上の満足でき
る結果が得られた。また、針入度が70〜125(1/
10mm)、軟化点が55〜100℃、タフネスが90
〜250kgf・cm、テナシティが50〜220kg
f・cmの範囲で、付着率85%以上の満足できる結果
が得られ、更には、針入度が90〜120(1/10m
m)、軟化点が60〜80℃、タフネスが100〜20
0kgf・cm、テナシティが70〜180kgf・c
mのアスファルト乳剤D及びEにおいて、付着率90%
以上の結果が得られた。しかしながら、軟化点が120
℃の乳剤Iとなると、アスファルト乳剤が分解して得ら
れるアスファルト分は柔軟性に欠け、付着率においても
若干低下する傾向が見られた。更に軟化点が高くなっ
て、アスファルト乳剤中の蒸発残留物の軟化点が150
℃、針入度が40(1/10mm)、タフネスが360
kgf・cm、テナシティが350kgf・cmのアス
ファルト乳剤Jは、アスファルト乳剤が分解して得られ
るアスファルト分は一層柔軟性に欠けて、付着率は更に
減少した。一方、分解補助剤を使用しない場合において
もほぼ同様の結果が得られたが、付着率は全体的に分解
補助剤を使用する場合に比べて低い値が得られた。
【0080】以上の結果から、保護層の構築に際して
は、蒸発残留物の物性が、針入度が50(1/10m
m)以上、150(1/10mm)以下、軟化点が50
℃以上、120℃以下、25℃におけるタフネスが70
kgf・cm以上、320kgf・cm以下、25℃に
おけるテナシティが30kgf・cm以上、300kg
f・cm以下のアスファルト乳剤を使用することによっ
て、骨材の付着力が強く、耐久性に優れた保護層を構築
することができるものと判断される。
【0081】〈実験2〉アスファルト乳剤の蒸発残留物
の粘度が保護層の均一性に及ぼす影響 アスファルト乳剤中の蒸発残留物の粘度が保護層の均一
性に及ぼす影響を調べるため、60℃における絶対粘度
が種々の値を示すアスファルト乳剤を用意し、轍掘れの
出来た路面から舗装打ち替えのために切り出した表面に
凹凸のある実験用舗装体上に、1.2(リットル/
)の割合で散布した。なお、凹部と凸部の差は、平
均で約20mmであった。次いで、直ちに、実験1で用
いたのと同じ骨材を9(リットル/m)の割合で上か
ら散布し、軽く転圧した後、アスファルト乳剤が硬化す
るまで養生した。養生後、実験用舗装体をカッターで切
断し、凹部の底部及び凸部の頂部におけるアスファルト
乳剤の分解によって形成された結合材層の厚さを測定し
た。結果を、使用したアスファルト乳剤の種類と共に表
2に示す。
【0082】
【表2】
【0083】表2の結果から明らかなように、60℃に
おける絶対粘度が約8000ポアズ及び約13000ポ
アズのアスファルト乳剤は、散布後、重力の作用によっ
て路面の凹部に流れ込み滞留する傾向があり、路面の凸
部の頂部ではアスファルト乳剤の分解によって形成され
た結合材層の厚さは約1mmないしは約1.5mmと薄
く、逆に、路面の凹部の底部では、約4mmないしは約
3.7mmと厚い結合材層が形成された。凸部における
骨材粒は、スパチュラの先で剥がすことを試みると、比
較的簡単に剥がすことができた。また、凹部にあって
は、アスファルト乳剤の量が多過ぎて、このままでは実
際に車両の通行に供用された場合にはフラッシュ現象を
起こす危険性がある。
【0084】一方、60℃における絶対粘度が約150
00ポアズ以上となると、アスファルト乳剤の流動は抑
えられ、路面凹部の底部及び凸部の頂部におけるアスフ
ァルト乳剤の分解によって形成された結合材層の厚さに
はさほど違いが見られない。凸部、凹部における骨材粒
をスパチュラ先端で剥がすことを試みたが、容易には剥
がすことができないほど強固に結合していた。以上のこ
とから、アスファルト乳剤として、蒸発残留物の60℃
における絶対粘度が約15000ポアズ以上のものを使
用すれば、安定処理層表面に凹凸があってもアスファル
ト乳剤が流動することなく、均一な保護層が構築できる
ことが分かった。
【0085】〈実験3〉アスファルト乳剤の粘度が保護
層の均一性に及ぼす影響 アスファルト乳剤の粘度が保護層の均一性に及ぼす影響
を調べるため、20℃における粘度が種々の値を示すア
ニオン系アスファルト乳剤を用意し、轍掘れの出来た路
面から舗装打ち替えのために切り出した表面に凹凸のあ
る実験用舗装体上に、1.2(リットル/m)の割合
で散布した。なお、凹部と凸部の差は、平均で約20m
mであった。次いで、直ちに、実験1で用いたのと同じ
骨材を9(リットル/m)の割合で上から散布し、軽
く転圧した後、結合材としてのアスファルト乳剤が硬化
するまで養生した。養生後、実験用舗装体をカッターで
切断し、凹部の底部及び凸部の頂部におけるアスファル
ト乳剤の分解によって形成された結合材層の厚さを測定
した。結果を、使用したアスファルト乳剤の種類と共に
表3に示す。
【0086】
【表3】
【0087】表3の結果から明らかなように、20℃に
おける粘度が19センチポアズ及び32センチポアズの
アスファルト乳剤は、散布後、重力の作用によって路面
の凹部に流れ込み滞留する傾向があり、路面の凸部の頂
部ではアスファルト乳剤の分解によって形成された結合
材層の厚さは平均して約0.7mmないしは0.8mm
と薄く、逆に、路面の凹部の底部では、平均して1.5
mmないしは1.2mmと厚い結合材層が形成された。
凸部における骨材粒は、スパチュラの先で剥がすことを
試みると、比較的簡単に剥がすことができた。また、凹
部にあっては、結合材の量が多過ぎて、このままでは実
際に車両の通行に供用された場合にはフラッシュ現象を
起こす危険性がある。
【0088】一方、20℃における粘度が約40センチ
ポアズ以上となると、アスファルト乳剤の流動は抑えら
れ、路面凹部の底部及び凸部の頂部におけるアスファル
ト乳剤の分解によって形成された結合材層の厚さにはさ
ほど違いが見られない。凸部、凹部における骨材粒をス
パチュラ先端で剥がすことを試みたが、容易には剥がす
ことができないほど強固に結合していた。以上のことか
ら、アスファルト乳剤として20℃における粘度が約4
0センチポアズ以上のものを使用すれば、保護層の構築
面に多少の凹凸があっても結合材としてのアスファルト
乳剤が施工面上で流動することなく、均一な厚味の保護
層が構築できることが分かった。
【0089】以下、実施例を用いて、本発明を更に説明
するが、本発明がこれら実施例に限られるものでないこ
とは勿論である。なお、舗装の設計方法には、CBR−
法、多層弾性理論法、サンドイッチ法等々色々ある
が、本発明においては、いずれの設計方法でも良く、最
上層に保護層なる被覆層を構築する処に特徴がある。こ
こでは、設計方法にCBR−T法を使用して説明する
こととする。
【0090】〈実施例1〉ひび割れ率が50%と損傷度
の大きい既設舗装の現位置処理による再生を以下の手順
で行った。図5に、既設舗装体の構成(A)、本発明の
現位置処理による舗装再生工法による再生舗装体の構成
(B)、並びに、比較のために行った従来の加熱アスフ
ァルト混合物を用いる現位置処理工法による再生舗装体
の構成(C)を示す。なお、図5において、2は表層、
3aは上層路盤、3bは下層路盤、4は路床、7は安定
処理層、8は保護層をそれぞれ示し、各層横に記載され
た長さの単位の数字はそれぞれの層の厚さを示してい
る。
【0091】対象とする既設舗装は、L交通であり、設
計CBRは3%とすると、目標とするT(舗装各層を
表層および基層用加熱アスファルト混合物で設計した時
の必要厚さ[cm])は、社団法人日本道路協会編の
「アスファルト舗装要綱」、丸善株式会社発行、平成4
年12月5日、改訂版、第29頁の表−2.6.1によ
れば、15cmとなる。そして、対象とする既設舗装の
構成は、図5の(A)に示すように、切り込み砕石から
なる下層路盤3bが20cm厚、その上に、粒調砕石か
らなる上層路盤3aが15cm、更にその上に加熱混合
物からなる表層2が5cmという構成であった。
【0092】今、このような構成の既設舗装を、ディー
プスタビライザを用いて、図5の(B)に示すように、
舗装表面から18cmの深さまで、すなわち、5cm厚
の表層2に加えて、15cm厚の上層路盤3aのうち1
3cmまでを掘削、破砕しながら結合材と混合し、敷き
均した後、グレーダーで不陸正整を行い十分に転圧し
て、厚さ18cmの安定処理層7を構築した。更に、そ
の上に、直ちに結合材と骨材とを散布し、骨材散布面を
十分に転圧し、締固めて保護層8を1層構築した後、交
通に開放した。構築された再生舗装の等値換算厚T
を計算すると、社団法人日本道路協会編集発行、「道路
維持修繕要綱」、平成6年6月30日、第80頁によれ
ば、厚さ20cmの下層路盤3bの等値換算係数は、
0.15であり、2cm残った上層路盤3aの等値換算
係数は、0.2であり、一方、厚さ18cmに構築され
た安定処理層7の等値換算係数は実験室での測定結果に
基づいて0.65と計算されたので、T′=(20×
0.15)+(2×0.2)+(18×0.65)=1
5.1cmとなり、目標T=15cmを満足してい
た。
【0093】使用した材料は以下の通りである。 安定処理層の結合材:アスファルト乳剤(商品名「アス
ゾルA」ニチレキ株式会社製、蒸発残留物58重量%)
と普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント株式会
社製) 使用量:掘削、破砕厚の舗装体全重量に対し、アスファ
ルト乳剤5重量%、普通ポルトランドセメント3重量%
【0094】保護層の結合材:アスファルト乳剤(商品
名「サンピィーゾール」ニチレキ株式会社製) 蒸発残留分:68(重量%) 蒸発残留物の針入度:98(1/10mm) 蒸発残留物の軟化点:67(℃) 蒸発残留物の25℃におけるタフネス:140(kgf
・cm) 蒸発残留物の25℃におけるテナシティ:120(kg
f・cm) 蒸発残留物の60℃における絶対粘度:16000(ポ
アズ) 20℃における粘度:45(センチポアズ) 散布量:110(リットル/100m) 保護層の骨材:砕石、粒径13−5mm(栃木県葛生
産) 散布量:1.0(m/100m
【0095】〈比較例〉実施例の施工を行った隣接区域
に、比較のために、以下に示す手順で、従来の加熱アス
ファルト混合物を用いる現位置処理工法を施工した。す
なわち、図5の(C)に示すように、まず舗装表面から
厚さ5cmの表層2を掘削、除去した後、ディープスタ
ビライザを用いて、上層路盤3aの表面から10cmの
深さまで、すなわち、15cm厚の上層路盤3aのうち
10cmまでを掘削、破砕しながら結合材と混合し、敷
き均した後、グレーダーで不陸正整を行い十分に転圧し
て、厚さ10cmの安定処理層7を構築した。構築後、
3日の養生期間をおいて、安定処理層7の上に、加熱ア
スファルト混合物による表層2を5cmの厚さに舗設
し、十分に転圧し、厚密した後、交通に開放した。構築
された再生舗装の等値換算厚T′を計算すると、社団
法人日本道路協会編集発行、「道路維持修繕要綱」、平
成6年6月30日、第80頁によれば、厚さ20cmの
下層路盤3bの等値換算係数は0.15、5cm残った
上層路盤3aの等値換算係数は0.2であり、一方、厚
さ10cmに構築された安定処理層7の等値換算係数は
実験室での測定結果に基づいて0.65、加熱アスファ
ルト混合物による5cm厚の表層2の等値換算係数は1
であるので、T′=(20×0.15)+(5×0.
2)+(10×0.65)+(5×1)=15.5cm
となり、目標T=15cmを満足していた。
【0096】使用した材料は以下の通りである。 安定処理層の結合材:実施例1と同じ 使用量:実施例と同じ
【0097】加熱アスファルト混合物 加熱アスファルト:密粒度アスファルト混合物 骨材:栃木県葛生産 配合:アスファルト量、5.7重量%
【0098】以上のように構築された実施例1における
本発明の舗装再生工法による再生舗装と、比較例におけ
る従来工法による再生舗装との、交通開放後の経過を観
察したところ、交通開放後約半年を経ても、本発明の舗
装再生工法による再生舗装には保護層からの骨材の飛散
は見られず、保護層表面の荒れも認められなかった。比
較例における従来工法による再生舗装においても舗装面
の荒れは認められなかった。この結果は、本発明の舗装
再生工法による再生舗装の耐久性が、従来工法による再
生舗装に決して劣らないことを示している。一方、本発
明の舗装再生工法においては、掘削、破砕した既設舗装
体の構成材料を全て再利用し、廃材の発生がなかったの
に対し、比較例の従来工法においては、既設舗装の表層
を除去した分だけ廃材の発生を伴い、その処理を行わな
ければならないという結果を招いた。また、本発明の舗
装再生工法は、施工時間においても、加熱アスファルト
混合物を用いる従来工法に比べて短かった。
【0099】〈実施例2〉実施例1におけると同様の構
成の既設舗装に対し、分解補助剤として、「カチオンD
TA」(日本油脂株式会社製)を、アスファルト乳剤の
蒸発残留分100重量部に対して、有効成分量で0.3
重量部、アスファルト乳剤と同時に散布して、両者を空
中で衝突させた以外は、実施例1と同様にして、図5の
(B)に示すと同様の構成の再生舗装体を構築した。交
通開放後約半年を経ても、本実施例において構築された
再生舗装体には保護層からの骨材の飛散は見られず、保
護層表面の荒れも認められなかった。
【0100】〈実施例3〉アスファルト乳剤散布直後に
以下に示す繊維材料を敷き均した以外は実施例2と同様
にして、実施例2と同様の既設舗装に対して本発明の舗
装再生工法を施工した。構築された再生舗装体は、交通
開放後約半年を経ても、保護層からの骨材の飛散は見ら
れず、保護層表面の荒れも認められなかった。この再生
舗装体は、保護層に繊維材料を有しているので、耐久性
とともに、耐水性も兼ね備えたものであった。
【0101】なお、使用した繊維材料は次のものであ
る。 繊維材料 ポリエステル繊維(100デニール、48フィラメント
東洋紡績株式会社製) 繊維長:20mm 散布量:700(g/m
【0102】
【発明の効果】以上のように、本発明の現位置処理によ
る舗装再生工法によれば、従来必要と考えられていた舗
装用混合物による表層を必要としないので、安定処理層
の厚さを既設舗装の舗装表面のレベルにまで厚くするこ
とが可能であり、その結果、掘削、破砕した既設舗装構
成材料の全量を安定処理層の骨材として再利用すること
ができる。従って、廃材の発生がなく、地球環境的に優
れた工法である。
【0103】また、本発明の現位置処理による舗装再生
工法によれば、安定処理層上に、結合材と骨材とを散布
ないしは塗布することによって構築される薄い保護層を
設けることによって、安定処理層の表面の荒れを防止
し、かつ、骨材の飛散も防ぐことができるので、耐久性
に富んだ再生舗装体を構築することができると共に、安
定処理層を既設舗装の舗装表面まで厚く構築しても、路
面の嵩上げの問題が生じる恐れもない。
【0104】しかも、本発明において結合材として使用
するアスファルト乳剤は、共に常温で施工できる材料で
あるので、加熱の必要がなく、危険性が少ないと共に炭
酸ガスの発生もないので、地球環境的な観点からも好ま
しいものである。このように、本発明は極めて有用、か
つ、優れたものであり、当該技術分野に新たな可能性を
もたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の舗装再生工法の工程を示す模式図で
ある。
【図2】 保護層の構築工程を示す図である。
【図3】 保護層の構築工程を示す図である。
【図4】 保護層の構築工程を示す図である。
【図5】 既設舗装体、本発明の工法によって得られる
舗装体、及び、従来工法によって得られる舗装体の断面
構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 既設舗装体 2 表層 3 路盤 4 路床 5 砕石 6 ひび割れ 7 安定処理層 8 保護層 9 結合材 10 骨材 x 舗装面のレベル y 掘削、破砕深さのレベル

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 既設舗装体を、その表面から少なくとも
    路盤の一部までを含めて掘削、破砕し、その破砕物と結
    合材とを現位置で混合する工程、得られた混合物を敷き
    均し安定処理層を構築する工程、構築された安定処理層
    上に結合材と骨材とをそれぞれ少なくとも1回以上散布
    して保護層を構築する工程とを含む、現位置処理による
    舗装再生工法。
  2. 【請求項2】 安定処理層を、既設舗装体の舗装面のレ
    ベルとほぼ同じ高さまで構築する請求項1記載の現位置
    処理による舗装再生工法。
  3. 【請求項3】 保護層を構築する工程が、結合材の散布
    と骨材の散布とを、この順に、1回若しくは2回以上繰
    り返し、結合材と骨材とで構成される保護層を1層若し
    くは2層以上構築する工程を含む請求項1または2記載
    の現位置処理による舗装再生工法。
  4. 【請求項4】 保護層の構築に使用される結合材がアス
    ファルト乳剤であって、そのアスファルト乳剤の蒸発残
    留物が以下のa)〜d)に示す特性を有するものである
    請求項1、2又は3記載の現位置処理による舗装再生工
    法; a)針入度が50〜150(1/10mm)、 b)軟化点が50〜120℃、 c)25℃におけるタフネスが70〜320kgf・c
    m、 d)25℃におけるテナシティが30〜300kgf・
    cm。
  5. 【請求項5】 保護層の構築に使用される結合材がアス
    ファルト乳剤であって、そのアスファルト乳剤の蒸発残
    留物の60℃における絶対粘度が約15,000ポアズ
    以上である請求項1、2、3又は4記載の現位置処理に
    よる舗装再生工法。
  6. 【請求項6】 保護層の構築に使用される結合材がアス
    ファルト乳剤であって、アスファルト乳剤の20℃にお
    ける粘度が約40センチポアズ以上である請求項1、
    2、3、4又は5記載の現位置処理による舗装再生工
    法。
  7. 【請求項7】 保護層の構築に際し、アスファルト乳剤
    の分解を促進する分解補助剤を、アスファルト乳剤と同
    時期に又は相前後して散布する工程を含む請求項4、5
    又は6記載の現位置処理による舗装再生工法。
  8. 【請求項8】 保護層の構築に際し、結合材と同時又は
    相前後して繊維材料を散布又は敷き均す工程を含む請求
    項1ないし7のいずれかに記載の現位置処理による舗装
    再生工法。
  9. 【請求項9】 既設舗装体を掘削、破砕して得た材料と
    結合材とを現位置で混合し、敷き均して得られた安定処
    理層と、その安定処理層上に結合材と骨材とを散布する
    ことによって構築された保護層とを有する舗装体。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし8のいずれかに記載の
    現位置処理による舗装再生工法によって構築された安定
    処理層および保護層を有する舗装体。
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JP2018066127A (ja) * 2016-10-17 2018-04-26 Jfeミネラル株式会社 路盤の補修方法
WO2021201051A1 (ja) * 2020-03-30 2021-10-07 ニチレキ株式会社 路盤層の構築方法とそれに用いる混合物

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