JP4237351B2 - 機能性複層型散布式表面処理工法 - Google Patents

機能性複層型散布式表面処理工法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機能性複層型散布式表面処理工法に関し、詳しくは、種々の機能を持った舗装体を容易に構築することができる機能性複層型散布式表面処理工法とその工法によって得られる機能性舗装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
生活様式の多様化とモータリゼーションのますますの進展に伴い、人や車両が日常的に通行する路面には、多様な機能が求められつつある。例えば、路面に任意の色彩を持たせることが可能となれば、路面は周囲のどのような環境にも違和感なく調和し、歩行者や車両運転者などの気持を引き立たせ、或いはくつろがせて、豊かな色彩のある生活への夢を開くことができるし、カーブや交差点などの路面が夜間などにもキラキラと輝いていれば、歩行者や車両運転者などの注意を喚起して事故を未然に防ぐことも可能である。また、冬期にも凍結しない路面があれば安心であるし、その他、スリップし難い路面とか、弾性があって衝撃を吸収してくれる路面とか、実に様々な機能がこれからの路面には要求されている。
【0003】
しかしながら、これまでの舗装道路は、砕石などの骨材とアスファルト等の結合材とを混合し、それをある程度の厚さに敷き均して構築するものであり、種々の機能を付与することは不可能でないにしても極めて困難であった。即ち、例えばカラー舗装を例にとれば、骨材に所望の色を持ったものを使用しても、その有色の骨材と混合されるアスファルト等の結合材が透明でないことから、鮮やかな色彩を得ることは困難である。また、光反射性の骨材などを使用して路面に光反射性を付与しようとしても、アスファルト等の結合材との混合物中に多量に混合しなければならず、極めて高価になると共に、やはり結合材が骨材表面に付着して本来の光反射性が損なわれてしまうという問題があった。使用するアスファルト等の結合材の量を減らして、構築される舗装体そのものを薄くするという解決手段も考えられないではないが、無闇に結合材の量を減らすと骨材をつなぎ止める結合力に劣るようになり、骨材が飛散して、思わぬ事故の原因ともなるばかりでなく、舗装体そのものが破損してしまうという欠点がある。
【0004】
【発明の解決しようとする課題】
本発明は、以上のような従来技術の欠点を解決するために為されたもので、種々の機能をもった耐久性に優れた舗装体を、簡単かつ安価に構築することができる工法と、そのような工法によって構築される耐久性かつ安定性に優れた機能性舗装体を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、舗装体の構築方法を種々検討した結果、散布式表面処理工法、特に、結合材と骨材とからなる層を複数、路面上に構築する複層型の散布式表面処理工法に着目し、複層型の散布式表面処理工法において、最上層に散布する骨材として種々の機能性骨材を使用すれば、強固で耐久性に富み且つ安定性に優れた機能性舗装体が、簡単かつ安価に構築することができることを見出して、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明は、結合材を散布しその上から骨材を散布する作業を少なくとも2回以上繰り返して路面上に複数の表面処理層を構築する複層型散布式表面処理工法において、最上層の骨材として、有色の骨材、光反射性、光輝性、蛍光性、及び/又は、蓄光性の骨材、凍結防止効果を有する骨材、及び、弾性を有する骨材の中から選ばれる1種もしくは2種以上の機能性骨材を散布する機能性複層型散布式表面処理工法を提供すると共に、そのような機能性複層型散布式表面処理工法によって構築される舗装体を提供することによって上記課題を解決するものである。
【0007】
散布式表面処理工法とは、老化、劣化した道路舗装を補修する方法として、混合式表面処理工法やオーバーレイ工法などと共に従来から提案されている工法の1つであるが、この散布式表面処理工法は、例えば図1に示すように、老化ないしは劣化して凹凸やひび割れの発生した路面1上に、アスファルト等の結合材2を膜状に散布し続いてその上に骨材3を散布する作業を、1回若しくは複数回繰り返して、結合材2によって骨材3を路面1に結合し、路面1上に結合材2と骨材3とからなる層を一層若しくは複数層構築するという工法である。
【0008】
この散布式表面処理工法は、比較的簡単に舗装体表面を補修できるので、老化、劣化した舗装体の補修工法としては極めて有効なものであるが、アスファルト混合物を用いる補修工法とは違って、単に結合材2によって骨材3を路面1に結合しているだけであるので、通行車両のタイヤ等から受ける引掻力や衝撃力によって、結合材2上に散布された骨材3が、ややもすると符号4で示すように飛散してしまう現象が見られることがあった。骨材3が飛散してしまうと、結合材2が直接路面1表面に現れてきてしまうため、路面がフラッシュし、著しく滑り易くなって、通行車両のスリップ等を引き起こし、ひいては交通事故の原因ともなる危険性があった。
【0009】
このようなことから、従来、散布式表面処理工法は、老化ないしは劣化した路面の一時的な補修工法としてしか考えられておらず、そのような散布式表面処理工法によって新たな路面を構築したり、ましてや、種々の機能を持った機能性舗装体を構築することなど、全く考えられていなかった。本発明者らは散布式表面処理工法、中でも、結合材と骨材とによって複数層の表面処理層を構築する複層型散布式表面処理工法の簡便さに着目し、実験を重ねることによって、この複層型散布式表面処理工法が、意外にも、種々の機能性骨材を路面上に強固につなぎ止めることができ、簡単な施工で、種々の機能をもった表面処理層や、そのような表面処理層を備えた機能性舗装体を構築することができることを見出した。
【0010】
本発明の機能性複層型散布式表面処理工法によれば、既存の舗装体を打ち替えることなく、舗装体補修の一環として種々の機能性表面処理層を構築することが可能である。構築された機能性表面処理層は、期待される所期の機能を発揮するばかりでなく、既存舗装の、例えばひび割れや轍掘れ等の欠陥を強固に封じ、舗装体の長寿命化にも極めて優れた効果を発揮するものである。また、結合材や骨材を実質的に単層に複数回散布するだけであるので、材料の使用量も少なくて済み、非常に経済的である。
【0011】
本発明で使用する機能性骨材とは、有色の骨材、光反射性、光輝性、蛍光性、及び/又は、蓄光性の骨材、凍結防止効果を有する骨材、及び、弾性を有する骨材の中から選ばれる1種もしくは2種以上の機能性骨材である。異なる機能を持った複数の骨材を併用しても良いし、同じ機能を有し粒径のみ異なる複数の骨材を併用しても良い。例えば、有色の骨材と光反射性の骨材とを併用し、昼間は有色の骨材によって明色性を保ち、夜間には光反射性の骨材によって路面を明るくし、昼夜共に歩行者並びに車両運転者の注意を喚起することも可能である。また、有色の骨材と凍結防止効果を有する骨材とを併用し、両機能を持たせることも、更には、同じく凍結防止機能をもった粒径の異なる骨材を併用することによって、大径骨材粒の間隙、或いは、大径骨材粒と路面との間隙に小径骨材粒を入り込ませ、骨材相互の咬み合わせをより確実なものとするなど、種々の変化が可能である。特に、弾性骨材は、その特性上、機能を発揮するにはある程度の粒径が必要であるが、光反射性、光輝性、蛍光性ないしは蓄光性の骨材は比較的小径のものでも所期の機能を発揮するには十分であることが多いので、このような2種ないしは2種以上の骨材を併用することによって、1回の施工で複数の機能をもった表面処理層ないしは舗装体を一挙に構築することが可能となる。更には、上記のような機能性骨材と通常の骨材を併用しても良く、例えば機能は優れているが強度に欠けるような機能性骨材も通常骨材と併用することによって使用可能である。なお、本明細書でいう通常の骨材とは上記機能性骨材以外の骨材である。
【0012】
また、本発明の機能性複層型散布式表面処理工法においては、最下層に使用する骨材として、骨材の最小粒径がふるいの目開きの呼び寸法で10mm未満の場合には、最小粒径と最大粒径との差がふるいの目開きの呼び寸法で2mm以上、5mm未満の骨材を、また、最小粒径がふるいの目開きの呼び寸法で10mm以上の場合には、最小粒径と最大粒径との差がふるいの目開きの呼び寸法で3mm超、6mm以下の骨材を使用すれば、強固で耐摩耗性や耐久性に富み且つ安定性に優れた複層型の散布式表面処理層を構築することができる。
【0013】
また、本発明の機能性複層型散布式表面処理工法においては、少なくともいずれかの層に使用する結合材として、結合材若しくは結合材中の蒸発残留物の60℃における絶対粘度が約15000ポアズ(poise)以上のものを使用すれば、凹凸や変形の激しい路面上に結合材を散布する場合でも、散布された結合材が路面の傾斜に沿って流れて路面上における結合材の膜厚が無闇に不均一になることがなく、均一で安定した結合力で骨材を路面に結合することができる。ここで、絶対粘度は、「舗装試験法便覧」、社団法人日本道路協会、平成7年6月10日発行、第398〜402頁に記載された粘度試験方法に基づいて測定される値である。
【0014】
本発明において、結合材として、結合材若しくは結合材中の蒸発残留物が以下のa)〜d)に示す特性、即ち、
a)針入度が50〜150(1/10mm)、
b)軟化点が50〜120℃、
c)25℃におけるタフネスが70〜320kgf・cm、
d)25℃におけるテナシティが30〜300kgf・cm、
を有する結合材を使用する場合には、骨材と路面、或いは、骨材と表面処理層との結合力が一層高まり、より耐久性に優れた複層型散布式表面処理層を構築することが可能となる。結合材としては、常温で施工できるアスファルト乳剤を使用するのが、加熱の必要がなく、危険性が少ないと共に炭酸ガスの発生もないので、地球環境的な観点からも望ましく、結合材としてアスファルト乳剤を使用する場合には、アスファルト乳剤中の蒸発残留物が上記a)〜d)の特性を有していることとなる。なお、本明細書でいうアスファルト乳剤とは、特に断らない限り、ゴムや熱可塑性高分子重合物などを添加して改質した改質アスファルト乳剤も含むものとする。
【0015】
本発明において、結合材としてアスファルト乳剤を使用する場合には、そのアスファルト乳剤の20℃における粘度が約40センチポアズ以上であることが望ましい。結合材として20℃における粘度が約40センチポアズ以上のアスファルト乳剤を使用すれば、凹凸や変形の激しい路面上に結合材を散布して表面処理層を構築する場合でも、散布された結合材が散布直後から路面の傾斜に沿って流動して路面上における結合材の膜厚が不均一になることがなく、均一で安定した結合力を備えた表面処理層を構築することができる。ここで、粘度は、「舗装試験法便覧別冊(暫定試験方法)」、社団法人日本道路協会編集、丸善株式会社、平成8年10月20日発行、第69〜74頁に記載された粘度試験方法に準じて測定される値である。
【0016】
結合材としてアスファルト乳剤を使用する場合には、結合材であるアスファルト乳剤の分解を促進する分解補助剤を、アスファルト乳剤と同時期に又は相前後して散布するのが好ましい。このような本発明の表面処理工法によれば、施工に際して特段の加熱を必要としないアスファルト乳剤を結合材として使用することに加えて、アスファルト乳剤の分解を促進する分解補助剤を使用しているので、アスファルト乳剤の分解が促進され、強固で耐久性に富み且つ安定性に優れた散布式表面処理層を常温施工で、しかも、短い養生時間で構築することができるという利点がある。
【0017】
本発明において使用する分解補助剤としては、結合材であるアスファルト乳剤の分解を促進することができるものであればどのようなものを使用しても良く、アスファルト乳剤としてカチオン系アスファルト乳剤を使用する場合には、アニオン系乳化剤、アルカリ性無機塩、アニオン系高分子凝集剤、アニオン系アスファルト乳剤、及び、アニオン系ラテックスからなる群から選ばれる1種若しくは2種以上の分解補助剤を使用することができるが、できれば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルメチルタウリン酸の金属塩、ジ・オクチル・スルホ・コハク酸の金属塩などのアニオン系乳化剤の1種または2種以上を使用するのが望ましく、中でも、アルキルベンゼンスルホン酸の金属塩が最も好ましい。
【0018】
アスファルト乳剤としてアニオン系アスファルト乳剤を使用する場合には、二価無機塩、無機酸、有機酸、及び、アミン系カチオン界面活性剤からなる群から選ばれる1種若しくは2種以上の分解補助剤、中でも、アミン系カチオン界面活性剤から選ばれる1種若しくは2種以上の分解補助剤を使用するのが望ましい。また、アスファルト乳剤としてノニオン系アスファルト乳剤を使用する場合には、高分子凝集剤から選ばれる1種若しくは2種以上の分解補助剤を使用するのが望ましい。
【0019】
本発明において、結合材としてアスファルト乳剤を使用し、更に、分解補助剤を使用する場合には、アスファルト乳剤と分解補助剤とが、同時期に又は相前後して路面上又は表面処理層上に散布される。アスファルト乳剤と分解補助剤とを相前後して路面上又は表面処理層上に散布するとは、路面上又は表面処理層上の施工箇所にアスファルト乳剤または分解補助剤のどちらかを先に散布した後に、分解補助剤またはアスファルト乳剤を、先に散布したものの上から散布することをいうものである。相前後して散布された結果、アスファルト乳剤と分解補助剤とは路面上又は表面処理層上で出会い、接触することとなる。また、常温型結合材としてのアスファルト乳剤と分解補助剤とを同時期に路面上又は表面処理層上に散布するとは、同じ施工箇所に散布されるべきアスファルト乳剤と分解補助剤とを、両者の散布時間を少なくとも一部重複させて散布することをいい、同時期に散布された結果、アスファルト乳剤と分解補助剤とは同時に路面上又は表面処理層上の同一箇所に到達してそこで出会うか、若しくは空中で出会い、接触、混合することとなる。
【0020】
本発明の機能性複層型散布式表面処理工法においては、結合材としてのアスファルト乳剤と分解補助剤とが相前後して若しくは同時期に散布されるので、散布されたアスファルト乳剤と分解補助剤とは路面上又は表面処理層上若しくは空中で出会い、接触、混合し、分解補助剤の作用によって結合材であるアスファルト乳剤の分解は促進され、アスファルト乳剤による製膜時間、硬化時間は短縮される。本発明の機能性複層型散布式表面処理工法においては、結合材としてのアスファルト乳剤と分解補助剤とを相前後して散布しても、又は、同時期に散布しても良いが、アスファルト乳剤の硬化時間を短縮し、しかも強度や耐久性に優れた表面処理層を構築するという観点からは、アスファルト乳剤と分解補助剤とを同時期に散布するのが良く、更には、同時期に散布して、両者を空中で衝突させるのが最も好ましい。
【0021】
アスファルト乳剤と分解補助剤とを同時期に散布して両者を空中で衝突させる場合、アスファルト乳剤と分解補助剤の散布を、それぞれ1又は2以上のスプレーノズルを用いて行い、1のスプレーノズルから噴射されるアスファルト乳剤と、1のスプレーノズルから噴射される分解補助剤とを、空中で衝突させるのが好ましい。また、個々のスプレーノズルから噴射される分解補助剤の衝突位置における広がり幅が、衝突相手である対応するスプレーノズルから噴射されるアスファルト乳剤の衝突位置における広がり幅とほぼ一致しているのが望ましく、更には、個々のスプレーノズルから噴射される分解補助剤のアスファルト乳剤との衝突位置上での噴射密度が、衝突位置における広がり幅の全体において、ほぼ均一であるのが良い。このようにすることによって、結合材であるアスファルト乳剤と分解補助剤とを均一に、かつ制御された割合で衝突、接触、混合させることが可能となり、アスファルト乳剤の分解・硬化時間がより短縮されると共に、得られる表面処理層の耐久性や強度にも良い影響がもたらされる。
【0022】
更には、本発明において、最下層に使用する骨材として、骨材の最小粒径がふるいの目開きの呼び寸法で10mm未満の場合には、最小粒径と最大粒径との差がふるいの目開きの呼び寸法で2mm以上、5mm未満の骨材を、また、最小粒径がふるいの目開きの呼び寸法で10mm以上の場合には、最小粒径と最大粒径との差がふるいの目開きの呼び寸法で3mm超、6mm以下の骨材を使用すれば、強固で耐摩耗性や耐久性に富み且つ安定性に優れた複層型の機能性散布式表面処理層を構築することができる。
【0023】
また、本発明において、繊維材料が、結合材と同時又は結合材と相前後して散布若しくは敷き均される場合には、繊維材料と結合材とが混じり合い、より強力に骨材同士及び骨材と路面とを結合するだけでなく、耐久性や、更には防水性に優れた機能性表面処理層を構築することが可能となる。
【0024】
本発明の機能性複層型散布式表面処理工法においては、結合材の散布から骨材の散布までの時間は、比較的短い一定の時間間隔であるのが望ましい。結合材は、路面に散布された直後から、温度が下がったり、分解が進行したりするものであるが、結合材の散布から骨材の散布までの時間が不規則に変化すると、骨材が散布される時点での結合材の状態も不規則に変化することになり、結果として、均一で耐久性に優れた表面処理層が得られない。結合材の散布から骨材の散布までの時間を比較的短い一定の時間間隔に維持するには、少なくとも結合材の散布装置と骨材の散布装置とを搭載した作業車を用いて施工するのが望ましい。そのような作業車としては、例えば、同じ出願人による特願平11−145614号明細書、特願平11−145612号明細書、特願平10−172107号明細書、特願平10−172119号明細書、及び、特願平10−177986号明細書に開示したような作業車が挙げられる。また、そのような作業車に、更に、分解補助剤の散布装置及び/又は繊維材料の散布装置若しくは敷き均し装置を搭載することにより、結合材と同時又は相前後して分解補助剤及び/又は繊維材料を散布若しくは敷き均し、続いて、比較的短い一定の時間間隔をおいて骨材を散布することが容易に可能となる。
【0025】
本発明の機能性複層型散布式表面処理工法は、一般道路に限らず、自動車専用道路、構内道路、公園内道路、散策路、自転車道、運動場、駐車場、飛行場、港湾施設、公会堂等に付帯する広場、広幅員の歩道等の舗装にも適用されるものであり、その用途も機能性の付与と補修とを兼ねるのみならず、新設工事における機能性表面層の構築にも使用することが可能である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0027】
まず、使用材料について説明する。
〈結合材〉
本発明の機能性複層型散布式表面処理工法に使用する結合材としては、アスファルト、アスファルト乳剤、樹脂、塗料、舗装タール、カットバックアスファルト等が挙げられる。
【0028】
本発明で使用されるアスファルトとしては、レーキアスファルト等の天然アスファルト、ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、セミブローンアスファルト、溶剤脱瀝アスファルト(例えば、プロパン脱瀝アスファルト)等の石油アスファルトが挙げられ、これらのアスファルトは単独で使用しても、2種以上を混合して使用しても良い。
【0029】
これらアスファルトは、ゴム又は熱可塑性高分子重合物などで改質して、結合力ないしは付着力を増すのが望ましい。改質に使用するゴム及び熱可塑性高分子重合物としては、天然ゴム、ガタバーチャ、環化ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレンゴム、イソプレンゴム、ポリイソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、EPTゴム、アルフィンゴム、スチレン・ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合ゴム、スチレン・イソプレンブロック共重合ゴムなどのゴム、及び、エチレン・酢酸ビニール共重合物、エチレン・エチルアクリレート共重合物、ポリエチレン、ポリ塩化ビニール、ポリ酢酸ビニール、塩化ビニール・酢酸ビニール共重合物、酢酸ビニール・アクリレート共重合物等の熱可塑性高分子重合物が挙げられる。これらのゴムまたは熱可塑性高分子重合物は、1種または2種以上を併用して用いることができる。
【0030】
改質アスファルト中のアスファルトと、ゴム及び熱可塑性高分子重合物との配合割合は、アスファルト100重量部に対してゴム及び熱可塑性高分子重合物が、通常、2〜20重量部の範囲が好ましい。ゴム及び熱可塑性高分子重合物の量が2重量部未満では、改質アスファルトとしての性能を発揮することができず、骨材間、骨材と路面間の接着力や把握力が一般のアスファルトと余り変わらないのに対して、ゴム及び熱可塑性高分子重合物の量が20重量部を越えると、凝集力が強過ぎて、返って骨材からの剥離が生じ、骨材の飛散を起こし易い。なお、本発明の結合材として使用されるアスファルトないしは改質アスファルト中のアスファルトとしては、使用後の特性を考慮して、針入度(25℃)が50〜150(1/10mm)程度のものを使用するのが好ましい。
【0031】
本発明の結合材として使用される上記のアスファルトないしは改質アスファルトには、更に、粘着付与剤として、熱可塑性固形樹脂や固形状ゴム、液状樹脂、軟化剤、可塑剤などを添加することができる。添加される粘着付与剤としては、例えば、ロヂンとその誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂とその誘導体、アルキッド樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、クマロンインデン樹脂、合成テルペン樹脂、アルキレン樹脂、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリブデン、イソブチレンとブタジエンの共重合物、鉱油、プロセスオイル、パイン油、アントラセン油、松根油、動植物油、重合油、可塑剤等が挙げられる。また、老化防止剤や酸化防止剤、硫黄等も添加することができる。
【0032】
本発明の結合材として使用されるアスファルト乳剤とは、レーキアスファルト等の天然アスファルト、ストレートアスファルト、ブローンアスファルト、セミブローンアスファルト、溶剤脱瀝アスファルト(例えば、プロパン脱瀝アスファルト)等の石油アスファルト、重油、タール、ピッチ等の1種、または2種以上を混合した瀝青物を、各種界面活性剤やクレー(例えばベントナイト)などの乳化剤を用い、さらには、アルカリ、酸、塩、分散剤、保護コロイドなどを必要に応じて添加して、コロイドミル、ホモジナイザー、ホモミキサーなどの適当な乳化機によって、水中に乳化させたものである。乳化剤としては、カチオン系、アニオン系、両性系のいずれをも用いることができる。
【0033】
本発明で使用できるカチオン系の乳化剤としては、長鎖アルキル基を有する脂肪族あるいは脂環族のモノアミン、ジアミン、トリアミン、アミドアミン、ポリアミノエチルイミダゾリン、長鎖ヒドロキシアルキルジアミン、ロジンアミン、これらアミン類の酸化エチレン付加物、アミンオキサイド、または、これらのアミン系界面活性剤に塩酸、スルファミン酸、酢酸などの酸を作用させた水溶性ないし水分散性の塩、さらには、これらのアミン系界面活性剤の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。また、これらの界面活性剤と共に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコーポリマーなどのノニオン系界面活性剤を併用することもできる。
【0034】
本発明で使用できるアニオン系の乳化剤としては、高級アルコール硫酸エステル、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、αオレフィンスルホン酸塩、高級アルコールエトオキシレート、高級アルコールエトオキシレートサルフェート、石鹸、ナフタリンスルホン酸塩およびホルマリン変性物、アルカリリグニン塩、リグニンスルホン酸塩、カゼインのアルカリ塩、ポリアクリル酸塩等が挙げられる。
【0035】
本発明で使用できる両性系の乳化剤としては、アルキルフェノール、モノおよび多価アルコール酸、脂肪族類、脂肪族アミン類、脂肪族アミド類、エタノールアミン類等のアルキレンオキシドの付加物、などが挙げられる。
【0036】
また、アスファルト乳剤に用いられる分散剤や保護コロイドとしては、ナフタリンスルホン酸ソーダ、カゼイン、アルギン酸、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、リグニンスルホン酸塩、ニトロフミン酸塩等が挙げられる。
【0037】
本発明の結合材として使用されるアスファルト乳剤は、上記乳化分散される瀝青物に、ゴム及び熱可塑性高分子重合物から選ばれる1種もしくは2種以上を加えて改質した改質アスファルト乳剤として使用するのが望ましい。
【0038】
改質に使用するゴム及び熱可塑性高分子重合物としては、天然ゴム、ガタバーチャ、環化ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・イソプレンゴム、イソプレンゴム、ポリイソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレンプロピレンゴム、EPTゴム、アルフィンゴム、スチレン・ブタジエンブロック共重合ゴム、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合ゴム、スチレン・イソプレンブロック共重合ゴムなどのゴム、及び、エチレン・酢酸ビニール共重合物、エチレン・エチルアクリレート共重合物、ポリエチレン、ポリ塩化ビニール、ポリ酢酸ビニール、塩化ビニール・酢酸ビニール共重合物、酢酸ビニール・アクリレート共重合物等の熱可塑性高分子重合物が挙げられる。これらのゴムまたは熱可塑性高分子重合物は、1種または2種以上を併用して用いることができる。これらのゴム及び熱可塑性高分子重合物は、例えば、粉末状、ラテックス状、エマルジョン状、水性状のものであり、ラテックス状、エマルジョン状、水性状のものは、主として、ポストミックスタイプの方法による改質アスファルト乳剤に専ら使用されるが、プレミックスタイプの方法による改質アスファルト乳剤に使用しても良い。
【0039】
本発明の結合材として使用される上記のアスファルト乳剤ないしは改質アスファルト乳剤には、更に、粘着付与剤として、熱可塑性固形樹脂や固形状ゴム、液状樹脂、軟化剤、可塑剤などを添加することができる。添加される粘着付与剤としては、例えば、ロヂンとその誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂とその誘導体、アルキッド樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、クマロンインデン樹脂、合成テルペン樹脂、アルキレン樹脂、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリブデン、イソブチレンとブタジエンの共重合物、鉱油、プロセスオイル、パイン油、アントラセン油、松根油、動植物油、重合油、可塑剤等が挙げられる。また、老化防止剤や酸化防止剤、硫黄等も添加することができる。さらにまた、改質アスファルト乳剤の粘度調整の目的で、MC、CMC、HEC、PVA、ゼラチンなどの水溶性高分子保護コロイドを添加することも可能である。
【0040】
改質アスファルト乳剤中のアスファルトと、ゴム及び熱可塑性高分子重合物との配合割合は、アスファルト100重量部に対してゴム及び熱可塑性高分子重合物が、2〜20重量部、好ましくは、3〜7重量部の範囲である。ゴム及び熱可塑性高分子重合物の量が2重量部未満では、改質アスファルト乳剤が分解、硬化した後における骨材に対する接着力や把握力にゴム及び熱可塑性高分子重合物を加えた効果が余り見られないのに対して、ゴム及び熱可塑性高分子重合物の量が20重量部を越えると、凝集力が強過ぎて、返って骨材からの剥離が生じ、骨材の飛散を起こし易い。また、本発明で結合材として使用されるアスファルト乳剤及び改質アスファルト乳剤中のアスファルトとしては、分解、硬化した後の特性を考慮して、針入度(25℃)が50〜150(1/10mm)程度のものを使用するのが好ましい。
【0041】
本発明で結合材として使用されるアスファルト乳剤及び改質アスファルト乳剤の蒸発残留分(固形物)は、通常、30〜70重量%程度が好ましく、特に、50〜68重量%のものが更に好ましい。蒸発残留分が30重量%未満では、決して使用できないという訳ではないが、結合材として必要な程度の粘弾性を得ることが難しく、一方、蒸発残留分が70重量%を越えると、これも決して使用できないという訳ではないが、良好な施工性を確保しづらい傾向がある。
【0042】
また、これらのアスファルト乳剤または改質アスファルト乳剤には、耐熱性向上や、紫外線等による劣化防止、作業性向上、並びに接着性向上等の目的で、紫外線吸収剤や、各種添加剤、粘度調整剤などを添加しても良い。アスファルト乳剤の分解は自然分解にまかせても良いが、分解補助剤を使用して強制分解させるのが望ましい。
【0043】
本発明で結合材として使用する樹脂や塗料としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、瀝青変性エポキシ樹脂、瀝青変性ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタアクリレート樹脂等の反応性結合材を用いることができる。また、これらの樹脂を使用した塗料や、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、アルキッド樹脂(メラミン樹脂やフェノール樹脂で変性したものを含む)等の樹脂を使用した塗料、更には、合成ゴムと合成樹脂とを主成分とする塗料等も使用できる。
【0044】
本発明の機能性複層型散布式表面処理工法に使用される結合材は、結合材若しくは結合材中の蒸発残留物が、以下のa)〜d)に示す特性、即ち、
a)針入度が50〜150(1/10mm)、
b)軟化点が50〜120℃、
c)25℃におけるタフネスが70〜320kgf・cm、
d)25℃におけるテナシティが30〜300kgf・cm、
を有するものが良く、望ましくは、以下のa’)〜d’)に示す特性、即ち、
a’)針入度が70〜125(1/10mm)、
b’)軟化点が55〜100℃、
c’)25℃におけるタフネスが90〜250kgf・cm、
d’)25℃におけるテナシティが50〜220kgf・cm、
を有するものであり、更に望ましくは、以下のa’’)〜d’’)に示す特性、即ち、
a’’)針入度が90〜120(1/10mm)、
b’’)軟化点が60〜80℃、
c’’)25℃におけるタフネスが100〜200kgf・cm、
d’’)25℃におけるテナシティが70〜180kgf・cm、
を有するものである。なお、結合材としてアスファルト乳剤を使用する場合には、アスファルト乳剤中の蒸発残留物が上記の特性を有することが望ましいこととなる。
【0045】
結合材若しくは結合材中の蒸発残留物の針入度が50(1/10mm)未満では、結合材(結合材としてアスファルト乳剤を使用する場合には、アスファルト乳剤の分解後のアスファルト)が硬くなりすぎてしまうので好ましくなく、逆に、針入度が150(1/10mm)超では、結合材(結合材としてアスファルト乳剤を使用する場合には、アスファルト乳剤の分解後のアスファルト)が軟らかくなりすぎてしまうので好ましくない。
【0046】
結合材若しくは結合材中の蒸発残留物の軟化点が50℃未満では、結合材(結合材としてアスファルト乳剤を使用する場合には、アスファルト乳剤の分解後のアスファルト)が、夏季等の高温下の路面においてフラッシュ現象を起こし易く、べたつき易いので好ましくなく、逆に、軟化点が120℃超では、結合材(結合材としてアスファルト乳剤を使用する場合には、アスファルト乳剤の分解後のアスファルト)に柔軟性が不足し、好ましくない。
【0047】
また、結合材若しくは結合材中の蒸発残留物の25℃におけるタフネスが70kgf・cm未満では、結合材(結合材としてアスファルト乳剤を使用する場合には、アスファルト乳剤の分解後のアスファルト)に粘りが不足し、腰が弱くなりすぎるので好ましくなく、逆に、タフネスが320kgf・cm超では、結合材(結合材としてアスファルト乳剤を使用する場合には、アスファルト乳剤の分解後のアスファルト)が、粘りがありすぎ、腰が強くなりすぎるでの、交通荷重に対してもろくなる傾向が出てくるので好ましくない。
【0048】
更には、結合材若しくは結合材中の蒸発残留物の25℃におけるテナシティが30kgf・cm未満では、結合材(結合材としてアスファルト乳剤を使用する場合には、アスファルト乳剤の分解後のアスファルト)に伸びがなくなってしまうので好ましくなく、逆に、テナシティが300kgf・cm超では、結合材(結合材としてアスファルト乳剤を使用する場合には、アスファルト乳剤の分解後のアスファルト)の伸びが大きくなりすぎてしまうので好ましくない。
【0049】
ここで、針入度及び軟化点はJISK2207に規定されるものであり、タフネス及びテナシティは「舗装試験法便覧」、社団法人日本道路協会、平成7年6月10日発行、第456〜461頁の「タフネス・テナシティ試験方法」に基づいて測定されるものである。
【0050】
〈分解補助剤〉
本発明で使用する分解補助剤としては、結合材として使用するアスファルト乳剤の分解を促進することができるものであればどのようなものを使用しても良く、アスファルト乳剤がカチオン系アスファルト乳剤である場合には、アニオン系乳化剤、アルカリ性無機塩、アニオン系高分子凝集剤、アニオン系アスファルト乳剤、及び、アニオン系ラテックスからなる群から選ばれる1種若しくは2種以上の分解補助剤を使用することができる。
【0051】
使用できるアニオン系乳化剤としては、石鹸などのカルボン酸塩系のもの;高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエトキシレートサルフェート等の高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化オレフィンなどの硫酸エステル塩系のもの;アルキルアリルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸塩のホルマリン変性物、リグニンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムやアルキルベンゼンスルホン酸ソーダやアルキルベンゼンスルホン酸カリ等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ジ・オクチル・スルホ・コハク酸ソーダ等のジ・オクチル・スルホ・コハク酸の金属塩、アルキルメチルタウリン酸ナトリウム等のアルキルメチルタウリン酸の金属塩などのスルホン酸塩系のもの;リン酸エステル塩系のものなどの合成脂肪酸塩や、リグニンなどのスルホン酸塩系並びにロジン及びトール油などのカルボン酸塩系などの天然脂肪酸塩が挙げられる。
【0052】
使用できるアルカリ性無機塩としては、苛性ソーダなどのソーダ塩、尿素、重炭酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウムなどのアンモニウム塩などが挙げられ、その他、高級アルコールエトオキシレート、アルカリリグニン酸、カゼインのアルカリ塩、ポリクリル酸なども本発明において分解補助剤として使用できる。
【0053】
以上のような分解補助剤は、そのうちの1種または2種以上を使用することができるが、中でも、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウム、アルキルベンゼンスルホン酸カリなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、又は、アルキルメチルタウリン酸ナトリウム、ジ・オクチル・スルホ・コハク酸ソーダを使用するのが、硬化速度が早く、しかも強度及び耐久性に優れた表面処理層が得られるので好ましく、更には、これらの中でも、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウム、アルキルベンゼンスルホン酸カリなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩を用いるのが更に好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸塩の中では、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダを用いるのが最も好ましい。
【0054】
以上のようなカチオン系アスファルト乳剤に対する分解補助剤は水溶液の状態で使用するのが望ましく、その濃度は、通常、1.5〜30w/w%の範囲が良い。分解補助剤の水溶液濃度が1.5w/w%未満では、カチオン系アスファルト乳剤の分解を促進する効果が期待できず、また、分解補助剤の水溶液濃度が30w/w%を超えると、カチオン系アスファルト乳剤の分解速度が速くなり過ぎて施工作業に支障を来すようになる。
【0055】
本発明において、結合材であるカチオン系アスファルト乳剤に対して接触、混合せしめられる分解補助剤の割合は、カチオン系アスファルト乳剤中の蒸発残留分100重量部に対して、分解補助剤の水溶液中の有効成分量として、0.4〜4.0重量部の範囲が好ましい。分解補助剤の水溶液中の有効成分量が0.4重量部未満では、アスファルト乳剤の分解を促進する効果が期待できず、4.0重量部を超えるとアスファルト乳剤の分解速度が速くなり過ぎて施工作業に支障を来すようになる。
【0056】
一方、結合材としてアニオン系アスファルト乳剤を使用する場合には、分解補助剤としては、塩化カルシウムなどの二価の無機塩;塩酸、蟻酸、燐酸などの無機酸;酢酸、クエン酸などの有機酸;ロジンアミン、アミン類の酸化エチレン付加物、アルキルモノアミン塩酸塩又は酢酸塩、アルキルジアミン塩酸塩又は酢酸塩、アルキルトリアミン塩酸塩又は酢酸塩などのアルキルアミン類;ジアミド、アミドアミンなどのアミドアミン類の塩酸塩又は酢酸塩;ポリアミノエチルイミダゾリンなどのイミダゾリン類の塩酸塩又は酢酸塩;長鎖アルキル基を有する脂肪環族のモノアミンやジアミンやトリアミンの塩酸塩又は酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン類の塩酸塩又は酢酸塩;アミン化リグニン類の塩酸塩又は酢酸塩;アミン系カチオン界面活性剤に塩酸、スルファミン酸、酢酸などの酸を作用させた水溶性ないし水分散性の塩;アミンオキサイド類の塩酸塩又は酢酸塩;更には、アミン系カチオン界面活性剤の第4級アンモニウム塩類などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を分解補助剤として使用することができる。中でも、アルキルモノアミン塩酸塩又は酢酸塩、アルキルジアミン塩酸塩又は酢酸塩、アルキルトリアミン塩酸塩又は酢酸塩などのアミン系カチオン界面活性剤の水溶性の塩を使用するのが好ましい。また、これらの分解補助剤と共に、エキシエチレン・オキシプロピレンブロックコーポリマーなどのノニオン系界面活性剤を併用することもできる。
【0057】
また、結合材としてノニオン系アスファルト乳剤を使用する場合には、分解補助剤としては、高分子凝集剤を使用するのが望ましく、高分子凝集剤としては、分子量が約1000〜数万である低重合度のものとして、アルギン酸ナトリウムなどの陰イオン性の高分子凝集剤;水溶性アニリン樹脂塩酸塩、ポリチオ尿素酢酸塩、ポリエチレンアミノトリアゾール、ポリビリルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、キトサンなどの陽イオン性の高分子凝集剤;でんぷん、水溶性尿素樹脂などの非イオン性の高分子凝集剤;ゼラチンなどの両性の高分子凝集剤などが挙げられ、分子量が数十万〜数百万の高重合度のものとして、ポリアクリル酸ナトリウム、マレイン酸共重合物塩、ポリアクリルアミド部分加水分解塩などの陰イオン性の高分子凝集剤;ポリエチレンアミン、ビニルビニルピリジン共重合物塩などの陽イオン性の高分子凝集剤;ポリアクリルアミド、ポリオキシエチンなどの非イオン性の高分子凝集剤などが挙げられる。以上のような高分子凝集剤は、そのうちの1種もしくは2種以上が使用される。
【0058】
以上のようなアニオン系又はノニオン系アスファルト乳剤に対する分解補助剤は水溶液の状態で使用するのが望ましく、その濃度は、通常、1.5〜20w/w%の範囲が良い。分解補助剤の水溶液濃度が1.5w/w%未満では、アニオン系又はノニオン系アスファルト乳剤の分解を促進する効果が期待できず、また、分解補助剤の水溶液濃度が20w/w%を超えると、アニオン系又はノニオン系アスファルト乳剤の分解速度が速くなり過ぎて施工作業に支障を来すようになる。
【0059】
本発明において、結合材であるアニオン系またはノニオン系アスファルト乳剤に対して接触、混合せしめられる分解補助剤の割合は、アニオン系またはノニオン系アスファルト乳剤中の蒸発残留分100重量部に対して、分解補助剤の水溶液中の有効成分量として、0.05〜0.5重量部の範囲が好ましい。分解補助剤の水溶液中の有効成分量が0.05重量部未満では、アスファルト乳剤の分解を促進する効果が期待できず、0.5重量部を超えるとアスファルト乳剤の分解速度が速くなり過ぎて施工作業に支障を来すようになる。
【0060】
〈骨材〉
本発明で結合材上に散布される骨材とは、社団法人日本道路協会発行の「アスファルト舗装要綱」に記載されている舗装用の骨材であればどのようなものでも使用でき、例えば、砕石、玉石、砂利、鉄鋼スラグ等である。また、これらの骨材にアスファルトを被覆したアスファルト被覆骨材および再生骨材なども使用できる。その他、これに類似する粒状材料で、人工焼成骨材、焼成発泡骨材、人工軽量骨材、陶磁器粒、ルクソバイト、アルミニウム粒、プラスチック粒、セラミックス、エメリー、建設廃材、繊維等も使用することができる。
【0061】
本発明で使用する骨材にアスファルト等を被覆する場合には、被覆するに必要なアスファルトの量は、0.1〜1.5重量%程度の範囲である。鉄鋼スラグのようなポーラスな骨材の場合には、上記範囲の中でも多い方の量となり、硬質砂岩のような非ポーラスな骨材においては、上記範囲の中でも少ない方の量となる。被覆に使用するアスファルト等としては、アスファルト、アスファルト乳剤、及び、これらをゴムやポリマーなどで改質した改質アスファルト、改質アスファルト乳剤なども使用される。また、ケロシン等で噴霧被覆された骨材を使用しても良い。
【0062】
なお、機能性骨材としては、種々の色を持った有色の骨材や、光反射性、光輝性、蛍光性、及び/又は、蓄光性の骨材、凍結防止効果を有する骨材、及び、弾性を有する骨材の中から選ばれる1種もしくは2種以上の骨材を使用することが可能である。例えば、有色の骨材としては、天然有色骨材や、人工焼成骨材、焼成発泡骨材、人工軽量骨材、陶磁器粒、ルクソバイト、アルミニウム粒、プラスチック粒、セラミックス、エメリー等の中でも有色のものなどが挙げられる。なお、これら有色の骨材は、通常はプレコートなしに使用されるが、プレコートして使用する場合には、それら骨材が本来有している有色性を損なわない材料を使用することは勿論である。また、通常の骨材に有色アスファルトや蛍光塗料ないしは蓄光塗料による被覆を施して、有色骨材又は蛍光骨材ないしは蓄光骨材として使用することも可能である。
【0063】
光反射性、光輝性、蛍光性、及び/又は、蓄光性の骨材としては、ガラスビーズ、炭化珪素粒、溶融アルミナ系人工骨材、石灰石系人工骨材、正長石、石英、珪弗化アルミニウム粒、ガラス瓶破砕片などのガラス屑、蛍光性人工骨材、蓄光性骨材などが挙げられる。また、凍結防止効果を有する骨材としては、岩塩や人工凍結防止骨材(例えば、商品名「こおらんど」、ニチレキ株式会社製)などがある。弾性を有する骨材としては、例えば、廃タイヤゴム粒、天然ゴム粒、スチレン・ブタジエンゴム粒、クロロプレンゴム粒などがあり、これら弾性を有する骨材を使用すれば、表面処理層に衝撃吸収性を与えることができるばかりでなく、消音性や、更には、冬期の凍結時に通過車両の重量等によって変形し、付着氷を破壊する効果もある。更には、異なる石質、種類、色調等の骨材を1種又は2種以上、及び/又は、機能の異なる骨材を1種又は2種以上を併用しても良いし、例えば、最上層に光輝性の骨材を使用し、その直下の層に有色の骨材を使用する等、構築する層毎に異なる機能の骨材を使用しても良い。
【0064】
以上のような骨材のうち、最下層に使用される骨材は、後述するように、骨材の最小粒径がふるいの目開きの呼び寸法で10mm未満の場合には、最小粒径と最大粒径との差がふるいの目開きの呼び寸法で2mm以上、5mm未満の骨材を、また、最小粒径がふるいの目開きの呼び寸法で10mm以上の場合には、最小粒径と最大粒径との差がふるいの目開きの呼び寸法で3mm超、6mm以下であるのが望ましい。なお、本明細書で言う「ふるいの目開きの呼び寸法」とは、ふるいを呼び表すときに慣用されている呼び寸法であって、JIS Z8801に定められている網ふるいの目開きの基準寸法とは、表1に示すような対応関係にある。
【0065】
【表1】
Figure 0004237351
【0066】
即ち、本明細書で、骨材の最小粒径がふるいの目開きの呼び寸法で10mm未満とは、その骨材がJIS Z8801で規定する網ふるいの目開きの基準寸法が9.5mmのふるいを通過する骨材粒を含んでいることを意味し、骨材の最小粒径がふるいの目開きの呼び寸法で10mm以上とは、その骨材がJIS Z8801で規定する網ふるいの目開きの基準寸法が9.5mmのふるいを通過する骨材粒を含んでいないことを意味する。また、最小粒径と最大粒径との差がふるいの目開きの呼び寸法で2mm以上とは、最小粒径がふるいの目開きの呼び寸法で5mmの場合、その骨材の集団の最大粒径のものは、5mmよりも2mm以上大きな呼び寸法をもつふるい、即ち、7mmの呼び寸法をもつふるいを少なくとも通過する一方で、それよりも小さな6mmの呼び寸法をもつふるいを通過しなことを意味し、また、最小粒径と最大粒径との差がふるいの目開きの呼び寸法で5mm未満とは、最小粒径がふるいの目開きの呼び寸法で5mmの場合、その骨材の集団の最大粒径のものは、5mmよりも5mm未満の呼び寸法をもつふるい、即ち、8mmの呼び寸法をもつふるいを通過するということを意味する。同様に、最小粒径と最大粒径との差がふるいの目開きの呼び寸法で3mm超、6mm以下とは、最小粒径がふるいの目開きの呼び寸法で10mmの場合、その骨材の集団の最大粒径のものは、少なくとも、10mmよりも3mm大きな呼び寸法のふるい、即ち、呼び寸法13mmのふるいを通過せず、10mmよりも6mm大きな呼び寸法をもつふるい、即ち、呼び寸法16mmのふるいを通過するということを意味する。なお、ここで、ふるいを通過するとか、通過しないとか言うのは、いずれも実質的かつ常識的なレベルでの判断であり、部分的にダストのようなものがふるいを通過したり、特異的な粒がふるい上に残ったとしても、骨材の集団全体から見て無視できる場合には、それらのものはふるいを通過するしないの判断には影響を与えないものとする。以下、本明細書では、特に断りのない限り、骨材の粒径や粒度は、ふるいの目開きの呼び寸法によるものとする。
【0067】
なお、本発明で最下層に使用する骨材は、上記のような粒度の条件を満たしさえすれば、粒径の上限値及び下限値に特に制限はないが、できれば最小粒径が5mm以上、最大粒径が20mm以下のものが好ましい。最小粒径が5mm未満では、骨材の粒径が小さ過ぎ、路面の凹凸やひび割れ等が有効にカバーされない恐れがある。また、散布した結合材が路面上に形成する結合材散布層の層厚に、骨材自身の敷き均し厚さが限りなく近づき、場合によると結合材の層厚よりも骨材の敷き均し厚が小さくなって、フラッシュの原因の一つともなる。一方、最大粒径が20mmを越えると、施工後の路面が粗面になるばかりでなく、車両が表面処理層の上を走行することによって、車両の走行によって発生する交通騒音の増大や、骨材の飛散が生じる場合があり、好ましくない。
【0068】
また、最下層以外の層に使用される骨材としては、その粒度に特に制限がある訳ではないが、通常、その下の層に使用される骨材よりも小径の骨材を使用するのが望ましく、最上層には、細目砂、中目砂、そして粗目砂や粒径2.5〜5mmの7号砕石程度の粒径のものなども用いられる。
【0069】
〈繊維材料〉
本発明で使用される繊維材料としては、ポリエステル、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリプロピレン、ビニロン、アクリル、ポリ塩化ビニリデン等の合成繊維、または半合成繊維、天然繊維、ガラス繊維、再生繊維、炭素繊維、金属繊維等、種々のものが用いられるが、中でも、ポリエステル繊維が好ましい。
【0070】
これらの繊維は、適当な長さに切断された短繊維として用いることもできるが、モノフィラメントや、モノフィラメントを多数集束させたマルチフィラメントとしても、あるいは、紡績糸や撚糸としても用いることが可能であり、さらには、不織布、織布、編布としてシート状にして用いることも可能である。
【0071】
短繊維の長さに特に制限はないが、あまり短いと表面処理層の繊維による強度維持や防水性能、および、ひび割れ防止等に効果がないので、3mm以上のもの、好ましくは5mm〜70mm程度のものが好ましい。
【0072】
次に、本発明の機能性複層型散布式表面処理工法について説明する。
【0073】
まず、施工路面をロードスイーパーで清掃した後、結合材を散布する。結合材を散布するに先立って、水又はプライマーを散布するようにしても良い。水は、例えば、結合材としてアスファルト乳剤を使用する場合などに、アスファルト乳剤と路面との接着性やなじみ性を増強するために散布され、夏季には上昇した路面温度を下げる効果もある。一方、プライマーは、結合材として例えば加熱アスファルトを使用する場合に用いられ、加熱アスファルトと路面との接着性やなじみ性などを増強する効果がある。結合材の散布量は、骨材が路面に結合される限り特に制限はないが、通常、一層当たりの散布量は、100m当り60〜250リットルの範囲が好ましい。100m当りの結合材量が60リットル未満では、路面と骨材及び骨材と骨材間の結合力、接着力が不足する可能性があり、逆に、250リットルを越えると、フラッシュ現象の原因となる。また、この結合材の散布量は、骨材の粒径に応じて変化し、一般には、粒径の大きな骨材を使用する場合ほど結合材の散布量は多くなる。
【0074】
結合材の散布後、散布された結合材上に骨材を散布する。通常、骨材の一層当たりの散布量は、100m当り0.4〜2.5mの範囲が好ましい。100m当りの骨材の散布量が0.4m未満であると、フラッシュ現象の原因となり、逆に、100m当りの骨材量が2.5mを越えると、余剰の骨材が浮石となって車両の通行を妨げるばかりでなく、歩行者にとっても歩行しづらい路面となる。また、骨材の散布量は、粒径の大きい骨材ほど多目に散布するのが望ましい。なお、骨材は、通常、常温で散布されるが、100〜170℃に加熱した状態で散布するようにしても良い。
【0075】
続いて、先の層に散布した骨材よりも後の層に散布する骨材をより小径のものに代えて、同様の作業を、構築する層の数に応じて繰り返すが、最上層を構築する場合には、骨材として、有色の骨材、光反射性、光輝性、及び/又は、蛍光性の骨材、凍結防止効果を有する骨材、及び、弾性を有する骨材の中から選ばれる1種もしくは2種以上の機能性骨材を散布する。散布する機能性骨材の種類や組み合わせを適宜選択することによって、種々の機能を構築される表面処理層に持たせることが可能となる。
【0076】
なお、以上のような結合材の散布と骨材の散布とは、できるだけ、一定の短い時間間隔で行われるのが望ましく、そのような施工を容易に可能にする作業車としては、例えば、同じ出願人による特願平11−145614号明細書、特願平11−145612号明細書、特願平10−172107号明細書、特願平10−172119号明細書、及び、特願平10−177986号明細書に開示したような作業車を用いるのが望ましい。これら明細書に開示された作業車においては、結合材の散布装置と骨材の散布位置とが、共に、作業車の前輪より前、前輪と後輪の間、或いは、後輪よりも後ろになるように配置されており、結合材が散布された上に直ちに骨材が散布されるので、作業車のタイヤ若しくはクローラーが散布された結合材上を踏むことがなく、一旦散布された結合材が剥離したり、タイヤ等に付着して他の路面等を汚す恐れがない。しかも、上記明細書に開示されたような作業車にあっては、結合材の散布装置と骨材の散布装置とが共に単一の作業車上に搭載され、それぞれの散布が行われるので、結合材の散布から骨材の散布までを一貫した作業として管理、施工することができ、均一で耐久性に富む安定した表面処理層を構築することが可能である。そのような作業車の例を図2〜図4に示す。
【0077】
図2は、結合材の散布装置と骨材の散布装置とが、共に、作業車前輪よりも前に配置された作業車の例であって、図2において、符号5は作業車、6a、6bは、それぞれ、作業車5の前輪及び後輪、7は結合材の散布装置としてのスプレーノズル、8は骨材の散布装置としての骨材ビン(bin )である。骨材ビンとしては、同じ出願人による前記特願平11−145614号明細書、特願平11−145612号明細書、特願平10−172107号明細書、特願平10−172119号明細書、及び、特願平10−177986号明細書に開示した作業車に搭載されたようなものを使用する。結合材は、図示しない供給車から符号9で示される搬入ソケットを介して搬入され、搬送ポンプ10によってスプレーバー11へと圧送されて、スプレーノズル7から路面に向かって散布される。結合材用のスプレーノズル7に近接して、分解補助剤用のスプレーノズルを設けたり、結合材用スプレーノズル7に近接して、水又はプライマー用のスプレーノズルを設けることも随時可能である。
【0078】
一方、骨材は、骨材搬送車12から骨材ビン8へ導入され、骨材散布幅調節扉13と骨材搬送ロール14との間から、結合材上に、骨材3として散布される。なお、15は支持腕、16は骨材搬送車12の後輪を押すプッシュローラー、17はエンジンである。
【0079】
図3は、結合材の散布装置と骨材の散布装置とが、共に、作業車前輪と後輪の間に配置された作業車の例であって、図2と同じものには同じ符号が付してある。図3に示される作業車5は、保温・加熱装置付きの結合材の貯蔵タンク18を備えており、貯蔵タンク18には、図示しない供給車から搬入ソケット9を介して結合材が導入され、例えば、所定の温度に維持された状態で保持される。19は水タンクであり、21はプライマータンクである。結合材は、搬送ポンプ10によってスプレーバー11へと圧送され、スプレーノズル7から散布される。骨材は、図2の例と同じく、骨材ビン8から、結合材の層上に散布される。なお、20は骨材搬送車12の後輪を乗せる載置台であり、22は水又はプライマー用のスプレーバー、23は水又はプライマー用のスプレーノズルである。また、24は作業ステップ、25は路面加熱用の加熱装置であり、26は加熱装置25用のエネルギー源である。結合材用のスプレーノズル7に近接して、分解補助剤用のスプレーノズルを設けることも随時可能である。
【0080】
図4は、結合材の散布装置と骨材の散布装置とが、共に、作業車後輪よりも後方に配置された作業車の例であって、図2、図3と同じものには同じ符号が付してある。結合材は、図示しない供給車から搬入ソケット9を介して搬入された後、作業車5内の図示しない保温・加熱装置の付いたタンクに一時貯蔵され、スプレーノズル7から路面上に散布される。一方、骨材は、図示しない骨材搬送車から骨材ポッパー27に搬入され、搬送コンベア28に運ばれ、骨材ビン8から散布される。結合材用のスプレーノズル7に近接して、分解補助剤用のスプレーノズルを設けることも随時可能である。
【0081】
結合材として二液型の樹脂を使用する場合には、散布直前に両者を混合したものを散布するようにしても良いし、上記のような作業車において、結合材のスプレーノズルから主剤を、水又はプライマー用のスプレーノズルから硬化剤等を散布して、両者を空中乃至は路面上で接触混合するようにしても良い。また、別途、硬化剤用のノズルを設けても良いことは勿論である。
【0082】
骨材の散布後、散布面を転圧する事が望ましく、転圧機としては、例えば、タイヤローラー、鉄輪ローラー、振動ローラーなどの自走式転圧機を使用することができる。最後の層が終了したら、これらの転圧機によって当該最終層の散布面を軽く転圧し、最後にロードスイーパーによって浮石を除去して交通に開放する。
【0083】
また、本発明の機能性複層型散布式表面処理工法においては、結合材の散布と同時に、又は、結合材の散布と相前後して、繊維材料を散布若しくは敷き均すようにしても良い。結合材の散布と同時に、又は、結合材の散布と相前後して、繊維材料を散布若しくは敷き均すには、例えば、図5に示すような作業車を用いることが望ましい。図5の作業車は、結合材の散布装置、骨材の散布装置、及び、繊維材料の散布若しくは敷き均し装置を全て作業車後輪よりも後方に配置した作業車の例であって、図2〜図4と同じものには同じ符号が付してある。
【0084】
図5において、符号29は、モノフィラメント、マルチフィラメント、紡績糸、撚糸等の繊維材料の収納装置を示し、収納されている繊維材料30はノズル31からランダムな方向に、あるいは一定の方向に噴射されるようになっている。また、この繊維材料収納装置29には、短繊維32を合わせて収納することができ、短繊維32もノズル31から噴射されるようになっている。この図示の例では、繊維材料は、結合材がノズル7から散布された後に散布されるようになっているが、結合材のノズル7と繊維材料のノズル31との距離を近づけて、両者を同時に散布させ、空中で互いに混じり合うようにすることも可能である。なお、結合材用のスプレーノズル7に近接して、分解補助剤用のスプレーノズルを設けることや、水又はプライマー用のスプレーノズルを設けることも随時可能である。結合材の散布装置、骨材の散布装置、及び、繊維材料の散布若しくは敷き均し装置を全て作業車前輪よりも前方に配置したり、作業車前輪と後輪との間に配置したりすることも勿論、可能である。
【0085】
なお、図には示していないが、モノフィラメント、マルチフィラメント、紡績糸、撚糸等の繊維材料を作業車の車幅方向に向かって噴射するノズルを別途設けることも可能であり、この図示しないノズルによって繊維材料を作業車の車幅方向に噴射するとともに、ノズル31から繊維材料を作業車の進行方向と平行に噴射することによって、路面上で同種または異種の繊維材料を互いに直行する方向に堆積させることも可能である。
【0086】
一方、符号33は、不織布、織布、編布等のシート状繊維材料34の収納装置を示し、シート状繊維材料はロール状に巻かれて保持されている。このシート状繊維材料は、送り出し装置35によって送り出され、路面上に敷き均される。36は、送り出されたシート状繊維材料34を路面上に密着させる押えローラーである。使用される繊維の量は、目付量で、通常、25g/mないし150g/mであるが、好ましくは、50g/mないし120g/mである。
【0087】
このように、結合材と同時又は相前後して繊維材料を散布若しくは敷き均すことによって、結合材と繊維材料とは互いに混じり合い、含浸し合って、骨材を強固に結合し、耐久性や安定性に優れるばかりでなく、ひび割れ追従性や防水性に優れた表面処理層を構築することとなる。なお、繊維材料の散布若しくは敷き均しは構築される各層のいずれにおいて行っても良いが、最下層を構築する際に、加熱型結合材と同時ないしは相前後して散布若しくは敷き均すのが望ましい。
【0088】
また、本発明の機能性複層型散布式表面処理工法の好ましい一例においては、結合材としてアスファルト乳剤を使用する場合には、アスファルト乳剤と同時期に又は相前後して分解補助剤が路面上に散布される。アスファルト乳剤と分解補助剤とを相前後して路面上に散布する場合、アスファルト乳剤をまず路面上又は表面処理層上に散布した後に、その散布面上に分解補助剤を散布するようにしてもよいし、また逆に、分解補助剤をまず路面上又は表面処理層上に散布した後に、その散布面上にアスファルト乳剤を散布しても良い。また、更には、アスファルト乳剤、分解補助剤とを、この順に散布した後に、再度、アスファルト乳剤を散布するようにしても良いし、分解補助剤とアスファルト乳剤とをこの順に散布した後に、再度、分解補助剤を散布するようにしても良い。
【0089】
いずれにせよ、アスファルト乳剤と分解補助剤とが相前後して路面上又は表面処理層上に散布される結果、アスファルト乳剤と分解補助剤とは路面上又は表面処理層上で出会い、互いに接触して、分解補助剤によるアスファルト乳剤の分解促進作用が開始され、アスファルト乳剤は、アスファルト乳剤単独のときよりも短時間で分解、硬化する。このように本発明の複層型散布式表面処理工法の好ましい一例においては、アスファルト乳剤と分解補助剤とを相前後して路面上に散布する工程を含んでいるので、従来の散布式表面処理工法に比べて、より短い養生時間で強固で耐久性に富み且つ安定性に優れた散布式表面処理層を構築することができるものである。
【0090】
しかしながら、後述するように、本発明の機能性複層型散布式表面処理工法においては、アスファルト乳剤と分解補助剤とを同時期に路面上又は表面処理層上に散布し、両者を路面上又は表面処理層上で衝突、接触させることによって、より好ましくは、アスファルト乳剤と分解補助剤とを同時期に散布し、両者を空中で衝突、接触させることによって、更に短い養生時間で強固で耐久性に富み且つ安定性に優れた散布式表面処理層を構築することができるものである。
【0091】
この理由は、次のように考えられる。即ち、アスファルト乳剤と分解補助剤とを相前後して散布する例として、例えば、図6に示すように、アスファルト乳剤37をまず路面1上に散布した後に、その散布面上に分解補助剤38を散布する場合を考えると、散布直後には、路面1上にアスファルト乳剤37の層と分解補助剤38の層とが形成される。アスファルト乳剤37と分解補助剤38とは、両者の層の界面で互いに接触し、混合し合って、分解補助剤38によるアスファルト乳剤37の分解促進作用が開始される。その結果、アスファルト乳剤37の層と分解補助剤38の層との境界には、アスファルト乳剤37が分解、硬化しつつある層39が形成されるが、この層39が形成されることによって、今度は逆に、未分解のアスファルト乳剤37と分解補助剤38とのそれ以上の接触、混合が妨げられ、更には、アスファルト乳剤37の層からの水分の散逸が妨げられる結果となる。このため、アスファルト乳剤37と分解補助剤38とを短時間に十分に混合させることが困難となるものと考えられる。このことは、アスファルト乳剤37と分解補助剤38との散布順序を逆にした場合も同様であって、アスファルト乳剤と分解補助剤とを相前後して路面上に散布する場合には、分解補助剤が存在することによって或る程度の養生時間の短縮化が実現できるが、分解補助剤を使用することの利点が必ずしも十分に生かされているとは言えないものである。
【0092】
これに対し、アスファルト乳剤と分解補助剤とを、同時期に散布して、両者を路面上又は表面処理層上で、より好ましくは、両者を空中で衝突、接触させるようにすると、アスファルト乳剤と分解補助剤との混合はより均一で完全なものとなり、分解補助剤を使用することの利点を十分に生かすことが可能となる。しかしながら、この場合でも、アスファルト乳剤と分解補助剤とを同時期に散布して、両者を路面上又は表面処理層上で衝突、接触させるよりは、両者を空中で衝突、接触させるようにするのが好ましい。この理由は次のように考えられる。即ち、アスファルト乳剤と分解補助剤とを同時期に散布して、両者を路面上又は表面処理層上で衝突、接触させる場合でも、或る程度の均一な混合状態が実現できるが、アスファルト乳剤及び分解補助剤は路面又は表面処理層に到達した途端に運動量を失い静止してしまうので、両者の均一な混合状態が実現できるといっても、それには自ずと限界がある。ところが、アスファルト乳剤と分解補助剤とを空中で衝突、接触させると、衝突、接触した後にも両者は未だ運動状態にあり、路面又は表面処理層に到達するまでの間に、更に他のアスファルト乳剤粒子、分解補助剤粒子、或いは、アスファルト乳剤粒子と分解補助剤粒子との結合体粒子などと衝突、接触を繰り返し、極めて均一な混合状態が実現されると考えられる。
【0093】
以下、アスファルト乳剤と分解補助剤とを空中で衝突、接触させ、両者を衝撃的に混合・攪拌する場合について、図面を用いて更に詳細に説明する。
【0094】
図7は、本発明の機能性複層型散布式表面処理工法に使用する結合材の散布装置のみを取り出して示した図であって、1は路面であり、11は結合材散布用のスプレーバー、7−1、7−2、7−3、・・・は、スプレーバー11に取り付けられた結合材散布用のスプレーノズルである。また、37−1、37−2、37−3、・・・は、各々のスプレーノズルから噴射された結合材としてのアスファルト乳剤である。スプレーノズル7−1、7−2、7−3、・・・としては、どのような形式のスプレーノズルを使用しても良く、例えば、円形全面形の噴射パターンを有するスプレーノズルや、四角形全面形の噴射パターン、円環形の噴射パターン、その他の噴射パターンを有するものであっても良いが、均一な散布を実現する観点からは、図7に示すようなフラット形の噴射パターンを有するスプレーノズルを使用するのが望ましい。フラット形の噴射パターンとは、スプレーノズルからある噴射角度αをもって扇形に噴射される、噴射方向に垂直な断面が細長いほぼ線状の噴射パターンであって、本明細書においてフラット形の噴射パターンのフラット面とは扇形の噴射パターンの扇の面を指すものとする。
【0095】
図8は、図7を上から見た平面図であって、図8に示すように、フラット形のスプレーノズル7−1、7−2、7−3、・・・は、通常、その噴射された結合材としてのアスファルト乳剤37−1、37−2、37−3、・・・の噴射パターンのフラット面がスプレーノズル列の列方向とある角度β(スプレーノズルの取付角度)を持つように配置される。角度βに特に制限はなく、0〜90度の範囲であれば何度でも良いが、各スプレーノズルからの噴射パターンを重複させて不均一性を打ち消すという観点からは、通常、5〜45度、好ましくは、10〜40度、更に好ましくは15〜35度の範囲である。スプレーノズルの取付角度βは、1本のスプレーバーにおいては同一であるのが好ましい。
【0096】
図7、図8に示すように、各スプレーノズル7−1、7−2、7−3、・・・からの噴射されたアスファルト乳剤37−1、37−2、37−3、・・・は、スプレーバー11の長手方向と直交する水平方向から見た場合、互いにその一部が重複している。例えば、図7、図8の場合には、各噴射されたアスファルト乳剤37−1、37−2、37−3、・・・は、路面1上で互いに2/3ずつ重複している。このようなスプレーバー11とスプレーノズル7−1、7−2、7−3、・・・からなる結合材の散布装置は、通常、作業車に搭載され、作業車の進行と共に路面1に対してスプレーバー11の長手方向と直交する水平方向に移動するので、路面1上のある箇所、例えばA点から見ると、スプレーノズル7−4、7−3、7−2から噴射されたアスファルト乳剤37−4、37−3、37−2の下を順次通過することになる。従ってA点は、都合3回、即ち、三重の散布を受けることになる。重複散布の重複数は三重に限らず、二重であっても四重以上であってもよいが、散布される結合材の均一性を求めるのであれば、三重ないしは四重以上、少なくとも二重に散布するのが好ましい。この散布の重複数が、スプレーノズルの路面からの高さ、スプレーノズルからの噴射角度α、各スプレーノズル間の間隔などを調整することによって適宜調整可能であることは言うまでもない。
【0097】
さて、以上のような結合材の散布装置に対して、本発明の機能性複層型散布式表面処理工法に使用する装置の一例においては、分解補助剤の散布装置を併設する。図9は、結合材の散布装置と分解補助剤の散布装置との併設状態を示す側面図であって、分解補助剤用のスプレーバー40に取り付けられた分解補助剤用のスプレーノズル41は、先端が曲げられていて、噴射された分解補助剤42がスプレーノズル7から噴射された結合材としてのアスファルト乳剤37と空中で衝突するように配置されている。
【0098】
図10は、図9の装置を上から見た図であって、図10に示すように、結合材としてのアスファルト乳剤用のスプレーノズル1個に対して、分解補助剤のスプレーノズル1個が対応しており、例えば、アスファルト乳剤用のスプレーノズル7−1から噴射されたアスファルト乳剤37−1には、分解補助剤用のスプレーノズル41−1から噴射された分解補助剤42−1が空中で衝突し、アスファルト乳剤用のスプレーノズル7−2から噴射されたアスファルト乳剤37−2には、分解補助剤用のスプレーノズル41−2から噴射された分解補助剤42−2が空中で衝突するようになっている。噴射されたアスファルト乳剤又は分解補助剤が互いに空中で衝突するアスファルト乳剤用のスプレーノズル7−1、7−2、・・・と分解補助剤用のスプレーノズル41−1、41−2、・・・との間の対応関係は極めて厳密であって、両者は1対1に対応し、例えば、分解補助剤用のスプレーノズル41−2から噴射された分解補助剤42−2は、対応するアスファルト乳剤用のスプレーノズル7−2から噴射されたアスファルト乳剤37−2とのみ空中で衝突し、アスファルト乳剤用の他のスプレーノズルから噴射されたアスファルト乳剤と衝突することはない。
【0099】
噴射されたアスファルト乳剤又は分解補助剤が互いに空中で衝突するアスファルト乳剤用のスプレーノズル7−1、7−2、・・・と分解補助剤用のスプレーノズル41−1、41−2、・・・との間のこのような1対1の対応関係は次のようにして実現される。例えば、図10において、分解補助剤用のスプレーノズル41−1から噴射される分解補助剤42−1を例にとると、噴射された分解補助剤42−1と対応するアスファルト乳剤37−1との間には、対応しないアスファルト乳剤用のスプレーノズル7−2から噴射されたアスファルト乳剤37−2が存在するが、噴射されたアスファルト乳剤37−2は、例えば図7に示すように、裾広がりの扇形をしているので、噴射された分解補助剤42−1が、手前にあるアスファルト乳剤37−2の傾斜する裾広がりの肩部分よりも上を通過してアスファルト乳剤37−1に衝突するようにすれば良い。即ち、図7において、スプレーバー11の長手方向と直交する水平方向から見て、噴射されたアスファルト乳剤37−1の右肩と、噴射されたアスファルト乳剤37−2の左肩との交点xから水平に引いた線分を線分Xとして示したが、図10における分解補助剤用のスプレーノズル41−1から噴射された分解補助剤42−1が、アスファルト乳剤37−2の上を、図7における線分Xよりも高い位置で通過するようにすれば、アスファルト乳剤用のスプレーノズルと分解補助剤用のスプレーノズルとを1対1に対応させることができる。噴射されたアスファルト乳剤と分解補助剤とがこのような位置関係になるように、アスファルト乳剤用のスプレーノズル7−1、7−2、7−3、・・・と分解補助剤用のスプレーノズル41−1、41−2、41−3・・・とを配置することによって、例えば、分解補助剤用のスプレーノズル41−3から噴射された分解補助剤42−3は、アスファルト乳剤用のスプレーノズル7−3から噴射されたアスファルト乳剤37−3とだけ衝突し、隣接する他のアスファルト乳剤用のスプレーノズル7−2又は7−4から噴射されたアスファルト乳剤37−2又は37−4と衝突することがないようになる。
【0100】
なお、分解補助剤用のスプレーノズル41−1からの分解補助剤42−1の噴射方向は、通常斜め下向きであるので、分解補助剤42−1が手前にあるアスファルト乳剤37−2の上を通過する位置を線分Xよりも若干高い位置とした場合でも、アスファルト乳剤37−1上でのアスファルト乳剤37−1と分解補助剤42−1との衝突位置は、図7に線分Yで示すように、線分Xよりもやや低い位置まで下げることが可能である。しかしながら、狭い範囲に多数のスプレーノズルが共存することになるので、装置設計上の観点からは、アスファルト乳剤37−1上でのアスファルト乳剤37−1と分解補助剤42−1との衝突位置は、線分Xよりもやや上になるようにするのが好ましい。
【0101】
アスファルト乳剤と分解補助剤との衝突位置Yは、余りに低いと、アスファルト乳剤と分解補助剤とが衝突してから路面上に落下して運動量を失うまでの時間が短すぎて、均一な混合が実現できなくなり、また、余りに高いと、噴射されたアスファルト乳剤と分解補助剤とが両者とも未だ濃く固まった状態で衝突することになるので好ましくない。従って、衝突位置Yの高さは、路面1からアスファルト乳剤用のスプレーノズル7−1までの高さをHとして、(1/4)H〜(3/4)Hの範囲が好ましく、より好ましくは、(2/4)H〜(3/4)Hの範囲である。
【0102】
以上のようにして、アスファルト乳剤用のスプレーノズル7−1、7−2、7−3・・・と分解補助剤用のスプレーノズル41−1、41−2、41−3・・・とを1対1に対応させることによって、衝突するアスファルト乳剤と分解補助剤の量的割合や、衝突速度、衝突位置などの衝突条件をコントロールすることが容易となり、アスファルト乳剤と分解補助剤とを最適の割合で、かつ、最適の衝突条件で衝突させることが可能になる。その結果、両者の極めて均一な混合が実現され、より短い養生時間が実現できることは言うまでもない。
【0103】
また、本発明の機能性複層型散布式表面処理工法に使用する装置の一例においては、図10に示すように、分解補助剤42−1、42−2、42−3、・・・は、それぞれ対応するアスファルト乳剤37−1、37−2、37−3、・・・に向かって、各々の衝突位置Y1、Y2、Y3、・・・上での噴射密度が均一になるように噴射される。即ち、分解補助剤42−1、42−2、42−3、・・・は、図10の平面図において、その扇形の噴射パターンが、アスファルト乳剤37−1、37−2、37−3、・・・の扇形の噴射パターンのフラット面に対する垂直面Z1、Z2、Z3、・・・に関して左右対称となるような角度で、アスファルト乳剤37−1、37−2、37−3、・・・に向かって噴射される。これにより、各々の衝突位置Y1、Y2、Y3、・・・上での分解補助剤42−1、42−2、42−3、・・・の噴射密度は、衝突位置Y1、Y2、Y3、・・・の幅方向の全体に亘って均一となり、アスファルト乳剤と分解補助剤とのより均一な混合が実現される。
【0104】
なお、以上の例においては、路面に対してほぼ垂直に噴射されるアスファルト乳剤に分解補助剤を斜めに衝突させるようにしたが、逆に、分解補助剤を路面に対して垂直に噴射して、その分解補助剤に対してアスファルト乳剤を斜めに衝突させるようにしても良く、更には、アスファルト乳剤及び分解補助剤共に斜めに噴射して衝突させるようにしても良い。しかしながら、アスファルト乳剤の方が量的に多く、主材であるということを考えると、以上に述べた例のように路面に対してほぼ垂直に噴射されるアスファルト乳剤に分解補助剤を斜めに衝突させるのが好ましい。
【0105】
各々のスプレーノズルからの噴射圧力は、アスファルト乳剤及び分解補助剤共に、0.6〜5.0kgf/cmの範囲が好ましく、望ましくは1.0〜2.5kgf/cmの範囲である。噴射圧力が0.6kgf/cm未満の場合には、噴射パターンが良好な扇形となり難く、また、噴射圧力が5kgf/cmを超えると、被噴射物が霧状になってしまい、良好な散布膜が路面上に形成され難くなる。また、アスファルト乳剤と分解補助剤の噴射圧力は同じであっても良いが、分解補助剤の噴射圧力の方をアスファルト乳剤の噴射圧力よりも若干高目に設定するのが望ましい。
【0106】
以下、実験例を用いて本発明を更に詳細に説明する。
【0107】
〈実験1〉骨材の粒度が路面との結合力に及ぼす影響
使用する骨材の粒度が、構築される散布式表面処理層の耐久性に及ぼす影響を調べるため、以下に述べる付着性試験をビアリット(Vialit)付着試験方法に準じて行った。
【0108】
即ち、表2に示すような種々の最小粒径と最大粒径を持つ骨材試料を用意した。例えば、表2においてNo.1で示される骨材試料は、呼び寸法で5mmのふるいと6mmのふるいとの間に、ほぼ100重量%の骨材粒が分布する骨材試料である。このような種々の骨材試料を各90粒ずつ用意し、ビアリット付着試験方法に規定する条件で乾燥、静置した。
【0109】
一方、厚さ2mm、大きさ200×200mmの金属板を骨材試料数だけ用意し、これに結合材として改質アスファルト(商品名「ガムファルトS−SP」、ニチレキ株式会社製)を、最小粒径が10mm未満の骨材試料に対しては、1.15kg/cmとなるように、また、最小粒径が10mm以上の骨材試料に対しては、1.50kg/cmとなるよう塗布し、この上に各種骨材試料を90粒散布した後、線圧7kgf/cmの負荷をかけて、相反する方向にそれぞれ15回ずつ、合計30回転圧した。これを所定時間静置した後、骨材の付着面を下にして水平に保持した状態で、その上から、直径50mm、重さ500gの鉄球を10秒以内に3回、金属板中央に落下させた。鉄球の落下によって金属板からはがれ落ちた骨材粒の内、結合材が付着していない骨材粒の数を数えてaとした。また、金属板に残った骨材を手で剥がし、結合材が付着していない骨材粒の数を数えてdとした。付着率(%)は、付着率(%)={(90−a−d)/90}×100として計算した。各々の試料について3回試験を行い、結果はその平均とし、付着率80%以上のものを満足できるものと評価した。結果を表2に示す。
【0110】
【表2】
Figure 0004237351
【0111】
表2から明らかなように、最小粒径が10mm未満の骨材試料の場合には、最小粒径と最大粒径との差が、ふるいの目開きの呼び寸法で2mm以上、5mm未満のものが、また、最小粒径が10mm以上の骨材試料の場合には、最小粒径と最大粒径との差が、ふるいの目開きの呼び寸法で3mm超、6mm以下のものが、付着率80%以上となり、本発明の散布式表面処理工法に使用した場合に優れた結合性を示すことが分かった。なお、このような結果が得られた理由については定かではないが、最小粒径と最大粒径との差が余りに少ないと、骨材同士の咬み合わせによる結合力の増加がそれほど見込めず、また、逆に最小粒径と最大粒径との差が余りに大きいと、粒径の差に応じて不均等な力が作用するからではないかと推測される。
【0112】
〈実験2〉結合材の粘度が表面処理層の均一性に及ぼす影響−単層の場合
結合材の粘度が表面処理層の均一性に及ぼす影響を調べるため、60℃における絶対粘度が種々の値を示す結合材を用意し、轍掘れの出来た路面から舗装打ち替えのために切り出した表面に凹凸のある実験用舗装体上に、第1の表面処理層の結合材として、1.2(リットル/m)の割合で散布した。なお、凹部と凸部の差は、平均で約20mmであった。次いで、直ちに、実験1で用いたNo.3の骨材試料を9(リットル/m)の割合で上から散布し、軽く転圧した後、結合材が硬化するまで養生した。養生後、実験用舗装体をカッターで切断し、凹部の底部及び凸部の頂部における結合材の厚さを測定した。結果を、使用した結合材の種類と共に表3に示す。
【0113】
【表3】
Figure 0004237351
【0114】
表3の結果から明らかなように、60℃における絶対粘度が約8000ポアズ及び約13000ポアズの結合材は、散布後、重力の作用によって路面の凹部に流れ込み滞留する傾向があり、路面の凸部の頂部では結合材の厚さは約1mmないしは1.5mmと薄く、逆に、路面の凹部の底部では、約4mmないしは約3.5mmと厚い結合材層が形成された。凸部における骨材粒は、スパチュラの先で剥がすことを試みると、比較的簡単に剥がすことができた。また、凹部にあっては、結合材の量が多過ぎて、このままでは実際に車両の通行に供用された場合にはフラッシュ現象を起こす危険性がある。
【0115】
一方、60℃における絶対粘度が約15000ポアズ以上となると、結合材の流動は抑えられ、路面凹部の底部及び凸部の頂部における結合材層の厚さにはさほど違いが見られない。凸部、凹部における骨材粒をスパチュラ先端で剥がすことを試みたが、容易には剥がすことができないほど強固に結合していた。以上のことから、結合材として、60℃における絶対粘度が約15000ポアズ以上のものを使用すれば、路面に凹凸があっても結合材が路面上で流動することなく、均一な表面処理層が構築できることが分かった。
【0116】
〈実験3〉結合材若しくは結合材中の蒸発残留物の粘度が表面処理層の均一性に及ぼす影響−複層の場合
実験2において第1層目の表面処理層が構築された表3におけるNo.2及びNo.4の実験用舗装体上に、更に、粒径2.5−5mmの7号砕石と、蒸発残留物の60℃における絶対粘度が異なる複数の結合材を用い、散布量を、結合材1.0(リットル/m)、骨材5.0(リットル/m)とした以外は上に述べた実験2の場合と同様な構築方法で、第2層目の表面処理層を構築した。養生後、実験2と同様に、実験用舗装体をカッターで切断し、凹部の底部及び凸部の頂部における結合材の合計厚さを測定した。結果を、使用した結合材の種類と共に表4に示す。
【0117】
【表4】
Figure 0004237351
【0118】
表4の結果から明らかなように、第1層目の表面処理層及び第2層目の表面処理層共に、結合材若しくは結合材中の蒸発残留物の60℃における絶対粘度が約13000ポアズの結合材を使用した試料No.6においては、結合材の厚さの不均一は複層化することによって増幅されており、凸部における骨材粒は、スパチュラの先で剥がすことを試みると、比較的簡単に剥がすことができた。また、凹部にあっては、結合材の量が多過ぎて、このままでは実際に車両の通行に供用された場合にはフラッシュ現象を起こす危険性がある。また、第1層目の表面処理層に60℃における絶対粘度が19500ポアズの結合材を使用し、第2層目の表面処理層にのみ、結合材中の蒸発残留物の60℃における絶対粘度が約13000ポアズの結合材を使用した試料No.7においても、散布後、結合材は重力の作用によって散布面の凹部に流れ込み滞留する傾向があり、凸部の頂部と凹部の底部とにおいて無視できない結合材の厚さの不均一が見られた。一方、第1層目の表面処理層にのみ60℃における絶対粘度が約13000ポアズの結合材を使用した試料No.8及びNo.10では、やや良好な結果が得られたが、これは第1層目の表面処理層を構築する際に散布された粘度の低い結合材によって路面の凹凸がある程度均されてしまったためと推測される。
【0119】
また、第1層目の表面処理層及び第2層目の表面処理層共に、結合材若しくは結合材中の蒸発残留物の60℃における絶対粘度が約15000ポアズ以上の結合材を使用した試料No.9及びNo.11においては、均一な結合材の分布が見られ、最も好ましい結果が得られた。凸部、凹部における骨材粒をスパチュラ先端で剥がすことを試みたが、容易には剥がすことができないほど強固に結合していた。以上のことから、最下層以外の層においても、結合材として、結合材若しくは結合材中の蒸発残留物の60℃における絶対粘度が約15000ポアズ以上のものを使用すれば、施工面に凹凸があっても結合材が施工面上で流動することなく、均一な表面処理層が構築できることが分かった。
【0120】
〈実験4〉結合材の特性が路面との結合力に及ぼす影響
結合材若しくは結合材中の蒸発残留物の特性が、構築される散布式表面処理層の耐久性に及ぼす影響を調べるため、結合材中の蒸発残留物が表5に示すような種々の特性を有する10種類のアニオン系アスファルト乳剤を調製し、以下に述べる付着性試験をビアリット(Vialit)付着試験方法に準じて行った。骨材としては、実験1で用いたNo.3の骨材試料を用意し、これをビアリット付着試験方法に規定する条件で乾燥、静置した。一方、分解補助剤としては、アルキルジアミン酢酸塩(商品名「カチオンDTA」、日本油脂株式会社製)の10w/w%水溶液を用意し、重量比で、(分解補助剤水溶液中の有効成分量)/(アスファルト乳剤中の蒸発残留分)=0.3/100とした。
【0121】
一方、厚さ2mm、大きさ200×200mmの金属板を試料数だけ用意し、これに、結合材として別途調製した上記10種類のアニオン系アスファルト乳剤の各々と上記分解補助剤とをフラット形のスプレーノズルを用いて空中で衝突させながら1.1(リットル/m)の割合で散布した。なお、結合材の散布高さHは50cm、結合材と分解補助剤の衝突位置は、散布面から30cm、即ち、(3/5)Hとした。次いで、この結合材と分解補助剤の散布面上に骨材を散布し、実験1と同様の手順で付着率を求めた。付着率(%)は、付着率(%)={(90−a−d)/90}×100として計算した。付着率80%以上のものを満足できるもの、付着率85%以上のものをより満足できるもの、付着率90%以上のものを更に満足できるものと評価した。更に、分解補助剤を散布しない点を除いては同じ手順で、10種類のアニオン系アスファルト乳剤上に骨材を散布した試料を作成し、同様に試験して付着率を求めた。結果を併せて表5に示す。
【0122】
【表5】
Figure 0004237351
【0123】
表5から明らかなように、結合材としてのアスファルト乳剤と分解補助剤とを空中で衝突させた場合には、結合材としてのアニオン系アスファルト乳剤中の蒸発残留物の物性が、針入度が50(1/10mm)以上、150(1/10mm)以下、軟化点が50℃以上、120℃以下、25℃におけるタフネスが70kgf・cm以上、320kgf・cm以下、25℃におけるテナシティが30kgf・cm以上、300kgf・cm以下で、付着率80%以上の満足できる結果が得られた。また、アスファルト乳剤中の蒸発残留物の針入度が70〜125(1/10mm)、軟化点が55〜100℃、タフネスが90〜250kgf・cm、テナシティが50〜220kgf・cmの範囲で、付着率85%以上の満足できる結果が得られ、更には、蒸発残留物の針入度が90〜120(1/10mm)、軟化点が60〜80℃、タフネスが100〜200kgf・cm、テナシティが70〜180kgf・cmのアスファルト乳剤D及びEにおいて、付着率90%以上の結果が得られた。しかしながら、蒸発残留物の軟化点が120℃の乳剤Iとなると、アスファルト乳剤が分解して得られるアスファルト分が幾分軟らか目となり、腰が幾分減少し、付着率においても若干低下する傾向が見られた。更に軟化点が高くなって、蒸発残留物の軟化点が150℃、針入度が40(1/10mm)、タフネスが360kgf・cm、テナシティが350kgf・cmのアスファルト乳剤Jは、アスファルト乳剤が分解して得られるアスファルト分が軟らかくなり、腰も弱くなって、付着率は更に減少した。一方、分解補助剤を使用しない場合においてもほぼ同様の結果が得られたが、付着率は全体的に分解補助剤を使用する場合に比べて低い値が得られた。
【0124】
〈実験5〉結合材であるアスファルト乳剤の粘度が表面処理層の均一性に及ぼす影響
結合材であるアスファルト乳剤の粘度が表面処理層の均一性に及ぼす影響を調べるため、実験2において第1層目の表面処理層が構築された表3におけるNo.2の実験用舗装体上に、更に、粒径2.5−5mmの7号有色骨材(商品名「トゥインクレッド」、内外セラッミックス株式会社製)と、20℃における粘度が種々の値を示すアニオン系アスファルト乳剤を用い、散布量を、アスファルト乳剤1.0(リットル/m)、骨材5.0(リットル/m)とした以外は実験2の場合と同様な構築方法で、第2層目の表面処理層を構築した。養生後、実験2と同様に、実験用舗装体をカッターで切断し、凹部の底部及び凸部の頂部におけるアスファルト乳剤分解物層の厚さを測定した。結果を、使用した結合材の種類と共に表6に示す。
【0125】
【表6】
Figure 0004237351
【0126】
表6の結果から明らかなように、20℃における粘度が19センチポアズ及び32センチポアズのアスファルト乳剤は、散布後、重力の作用によって既に構築されている表面処理層の凹部に流れ込み滞留する傾向があり、表面処理層の凸部の頂部ではアスファルト乳剤の分解によって形成された結合材層の厚さは平均して約0.7mmないしは0.8mmと薄く、逆に、表面処理層の凹部の底部では、平均して1.5mmないしは1.2mmと厚い結合材層が形成された。凸部における骨材粒は、スパチュラの先で剥がすことを試みると、比較的簡単に剥がすことができた。また、凹部にあっては、結合材の量が多過ぎて、このままでは実際に車両の通行に供用された場合にはフラッシュ現象を起こす危険性がある。
【0127】
一方、20℃における粘度が約40センチポアズ以上となると、アスファルト乳剤の流動は抑えられ、表面処理層凹部の底部及び凸部の頂部におけるアスファルト乳剤の分解によって形成された結合材層の厚さにはさほど違いが見られない。凸部、凹部における骨材粒をスパチュラ先端で剥がすことを試みたが、容易には剥がすことができないほど強固に結合していた。以上のことから、アスファルト乳剤として20℃における粘度が約40センチポアズ以上のものを使用すれば、路面ないしは表面処理層に凹凸があっても結合材が路面上又は表面処理層上で流動することなく、均一な表面処理層が構築できることが分かった。
【0128】
〈実験6〉結合材の種類及び分解補助剤の使用量が造膜時間に及ぼす影響
結合材としてアニオン系アスファルト乳剤(商品名「サンピーゾールA」、ニチレキ株式会社製)、分解補助剤としては実験4で使用したものを同じものを使用し、アニオン系アスファルト乳剤の蒸発残留分100重量部に対する分解補助剤水溶液中の有効成分量を種々の割合に変化させながら、両者を実験4におけると同じく空中で衝突させて、30cm×30cm×5cmのアスファルトコンクリート板上に散布した。散布後、種々の養生時間において、散布面が褐色から黒色に変化してアニオン系アスファルト乳剤の分解膜が形成されているか否かを観察した。また、結合材として、タックコート用の汎用アスファルト乳剤pk−4(ニチレキ株式会社製)を使用し、分解補助剤を使用しない以外は、同様にして、散布面上での分解膜の造膜の有無を観察して対照とした。なお、試験温度は20℃であった。
【0129】
使用した結合材の物性は、それぞれ以下のとおりである。
アニオン系アスファルト乳剤(商品名「サンピーゾールA」、ニチレキ株式会社製)
蒸発残留分:67.5(%)
蒸発残留物の針入度:87(1/10mm)
蒸発残留物の軟化点:74(℃)
蒸発残留物の25℃におけるタフネス:175(kgf・cm)
蒸発残留物の25℃におけるテナシティ:160(kgf・cm)
蒸発残留物の60℃における絶対粘度:18000(ポアズ)
20℃における粘度:42(センチポアズ)
タックコート用の汎用アスファルト乳剤pk−4(ニチレキ株式会社製)
蒸発残留分:51(%)
蒸発残留物の針入度:62(1/10mm)
蒸発残留物の軟化点:46(℃)
蒸発残留物の25℃におけるタフネス:35(kgf・cm)
蒸発残留物の25℃におけるテナシティ:5(kgf・cm)
蒸発残留物の60℃における絶対粘度:2000(ポアズ)
【0130】
結果を表7に示す。なお、表7中、○印は造膜が観察されたものを、×印は造膜が観察されなかったものを示す。
【0131】
【表7】
Figure 0004237351
【0132】
表7の結果から明かなように、分解補助剤を、水溶液中の有効成分量で、アニオン系アスファルト乳剤の蒸発残留分100重量部に対して0.05重量部以上使用する場合には、造膜までの時間が著しく短縮され、アスファルト乳剤の分解、硬化が顕著に促進されていることが分かる。また、その蒸発残留物が本発明で規定するa)〜d)の特性を満たすアニオン系アスファルト乳剤は、対照としての従来のタックコート用アスファルト乳剤に比べて、分解補助剤を使用しない場合においてすら、分解、硬化時間が短かった。
【0133】
〈実験7〉分解補助剤の種類の造膜時間及び付着性に及ぼす影響
結合材として、実験6で使用したのと同じアニオン系アスファルト乳剤(商品名「サンピーゾールA」、ニチレキ株式会社製)を使用し、分解補助剤の種類を種々変えて、実験6と同様にして両者を空中で衝突させながら、30cm×30cm×5cmのアスファルトコンクリート板上に散布した。散布後、実験6と同様に、種々の養生時間において、散布面が褐色から黒色に変化してアスファルト乳剤の分解膜が形成されているか否かを観察した。ただし、使用したアスファルト乳剤の蒸発残留分100重量部に対する分解補助剤水溶液中の有効成分量は、0.3重量部に固定して実験を行った。なお、分解補助剤を使用せず、アスファルト乳剤だけを使用して同様の試験を行い対照とした。
【0134】
併行して、結合材としてのアスファルト乳剤と分解補助剤とを上記と同じ組み合わせとし、養生時間を種々に変えた以外は実験4と同様にして、分解補助剤の違いが付着率に及ぼす影響を調べた。ただし、使用したアスファルト乳剤の蒸発残留分100重量部に対する分解補助剤水溶液中の有効成分量は、0.3重量部に固定して実験を行った。また、分解補助剤を使用せず、アスファルト乳剤だけを使用して同様の試験を行い対照とした。造膜の有無の観察結果及び付着率の判定結果を併せて表8に示す。
【0135】
【表8】
Figure 0004237351
【0136】
表8の結果から明らかなように、試験した種々の分解補助剤の中では、アルキルモノアミン酢酸塩、アルキルジアミン酢酸塩などのアルキルアミン系界面活性剤の酢酸塩や、アルキル四級アンモニウム塩が、造膜時間及び付着性のいずれにおいても優れており、中でも、アルキルジアミン酢酸塩が最も優れていた。
【0137】
なお、同様の試験をカチオン系アスファルト乳剤(商品名「サンピーゾールK」、ニチレキ株式会社製)を用いて行ったところ、試験した種々の分解補助剤の中では、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、又は、アルキルメチルタウリン酸ナトリウム、ジ・オクチル・スルホ・コハク酸ソーダが、造膜時間及び付着性のいずれにおいても優れており、中でも、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキルベンゼンスルホン酸アンモニウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩が良く、更には、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダが最も優れていたという結果が得られた。使用したカチオン系アスファルト乳剤の物性は以下のとおりである。
カチオン系アスファルト乳剤(商品名「サンピーゾールK」、ニチレキ株式会社製)
蒸発残留分:68(%)
蒸発残留物の針入度:98(1/10mm)
蒸発残留物の軟化点:67(℃)
蒸発残留物の25℃におけるタフネス:180(kgf・cm)
蒸発残留物の25℃におけるテナシティ:160(kgf・cm)
蒸発残留物の60℃における絶対粘度:18500(ポアズ)
20℃における粘度:56(センチポアズ)
【0138】
〈実験8〉結合材と分解補助剤の散布形態の造膜時間及び付着率に及ぼす影響結合材として、実験6で使用したのと同じアニオン系アスファルト乳剤(商品名「サンピーゾールA」、ニチレキ株式会社製)を使用し、分解補助剤としては、実験4で使用したのと同じアルキルジアミン酢酸塩(商品名「カチオンDTA」、日本油脂株式会社製)の10w/w%水溶液を用い、散布形態を、種々変化させた以外は、実験7と同様にして、種々の養生時間における造膜の有無及び付着率を調べた。ただし、アニオン系アスファルト乳剤の蒸発残留分100重量部に対する分解補助剤水溶液中の有効成分量は、0.3重量部に固定して実験を行った。
【0139】
散布形態は以下のように変化させた。なお、結合材の散布高さHは実験4と同じく散布面から50cmとした。
(1)アスファルト乳剤を散布後、その散布面上に分解補助剤を散布
(2)分解補助剤を散布後、その散布面上にアスファルト乳剤を散布
(3)アスファルト乳剤と分解補助剤とが散布面上で衝突するように両者を同時に散布(衝突高さH=0)
(4)アスファルト乳剤と分解補助剤とが散布面上の空中で衝突するように両者を同時に散布(衝突高さH=(1/5)H)
(5)アスファルト乳剤と分解補助剤とが散布面上の空中で衝突するように両者を同時に散布(衝突高さH=(2/5)H)
(6)アスファルト乳剤と分解補助剤とが散布面上の空中で衝突するように両者を同時に散布(衝突高さH=(3/5)H)
(7)アスファルト乳剤と分解補助剤とが散布面上の空中で衝突するように両者を同時に散布(衝突高さH=(4/5)H)
【0140】
結果を表9に示す。
【0141】
【表9】
Figure 0004237351
【0142】
表9の結果から明らかなように、アスファルト乳剤と分解補助剤とを相前後して散布する(1)及び(2)の散布形態に比べて、アスファルト乳剤と分解補助剤とを同時期に散布する(3)〜(7)の散布形態の方が、造膜時間及び付着率のいずれにおいても優れていたが、アスファルト乳剤と分解補助剤とを散布面上で衝突させる(3)の散布形態よりも、アスファルト乳剤と分解補助剤とを空中で衝突させる(4)ないし(7)の散布形態の方が良い結果が得られた。また、アスファルト乳剤と分解補助剤とを空中で衝突させる(4)ないし(7)の散布形態の中でも、衝突高さHが、(1/5)Hである(4)の場合や(4/5)Hである(7)の場合よりも、(2/5)Hや(3/5)Hである(5)及び(6)の場合の方が特に優れており、空中衝突させる場合においても、衝突高さは(1/4)H〜(3/4)Hの範囲が良いことが分かる。
【0143】
また、造膜が観察された養生時間30分の各試料について、スパチュラの先端で造膜層を一部破壊し、内部状態を調べたところ、(1)の散布形態の試料では、アスファルト乳剤と分解補助剤との境界面は造膜していたが、アスファルト乳剤の路面側部分は依然として造膜前の状態であった。同様に、(2)の散布形態の試料では、アスファルト乳剤と分解補助剤との境界面は造膜していたが、分解補助剤の路面側部分は依然として水分の残った造膜前の状態であった。これに対して、(3)〜(7)の散布形態の試料では、均一な造膜が観察された。
【0144】
なお、同様の試験をカチオン系アスファルト乳剤(商品名「サンピーゾールK」、ニチレキ株式会社製)を用いて行ったところ、同様の結果が得られた。
【0145】
以下、実施例を用いて、本発明を更に説明するが、本発明がこれら実施例に限られるものでないことは勿論である。
【0146】
〈実施例1〉
以下の材料を使用し、図2に示すような作業車を用いて試験的に本発明の機能性複層型散布式表面処理工法を施工した。作業車の進行速度は約5km/hであった。各骨材の散布後、振動ローラーで軽く転圧した。施工路面には最大深さ15mm程度の轍掘れがあったが、結合材が流動することなく、均一な機能性表面処理層を構築することができた。構築後、半日の養生期間をおいて、ボランティア17名に歩行させたところ、17名全員が路面に弾力性があり、歩行が心地よいと報告した。また、重荷重積載車を試験的に30回通過させたが、機能性骨材としてのゴム粒の飛散は見られなかった。
【0147】
骨材(第1層)
砕石(栃木県葛生産)
粒径:5−8mm
0.5重量%のストレートアスファルトによりプレコート
散布温度:加熱(180℃)
散布量:0.7(m/100m
結合材(第1層)
改質アスファルト(商品名「ガムファルトS−SP」、ニチレキ株式会社製)
60℃における絶対粘度:19500ポアズ
針入度 55(1/10mm)
軟化点 67(℃)
タフネス 172(kgf/cm)
テナシティ 156(kgf・cm)
散布温度:加熱(180℃)
散布量:100(l/100m
【0148】
骨材(第2層)
ゴム粒(スチレン・ブタジエンゴム)
粒径:1−6mm
散布温度:常温(18℃)
散布量:0.6(m/100m
結合材(第2層)
改質アスファルト(商品名「ガムファルトS−SP」、ニチレキ株式会社製)
60℃における絶対粘度:19500ポアズ
針入度 55(1/10mm)
軟化点 67(℃)
タフネス 172(kgf/cm)
テナシティ 156(kgf・cm)
散布温度:加熱(180℃)
散布量:110(l/100m
【0149】
骨材(第3層)
ゴム粒(スチレン・ブタジエンゴム)
粒径:1−3mm
散布温度:常温(18℃)
散布量:0.4(m/100m
結合材(第3層)
改質アスファルト(商品名「ガムファルトS−SP」、ニチレキ株式会社製)
60℃における絶対粘度:19500ポアズ
針入度 55(1/10mm)
軟化点 67(℃)
タフネス 172(kgf/cm)
テナシティ 156(kgf・cm)
散布温度:加熱(180℃)
散布量:100(l/100m
【0150】
〈実施例2〉
以下の材料を使用し、図4に示すような作業車において結合材の散布装置の近傍に分解補助剤の散布装置を設けた作業車を用い、試験的に本発明の機能性複層型散布式表面処理工法を施工した。作業車の進行速度は約5km/hであった。路面から結合材のスプレーノズルまでの高さは50cmとし、第1層目の構築に際しては、その結合材に対して路面から30cmの位置で分解補助剤が衝突するように分解補助剤用のスプレーノズルの位置及び角度を調整した。各骨材の散布後、振動ローラーで軽く転圧した。施工路面には、幅5mm以下のひび割れが何本か存在していたが、構築された表面処理層によって完全に覆われた。構築された表面処理層は均一で、鮮やかな赤色をしており、見事な仕上がりであった。構築後、半日の養生期間をおいて、ドライバーの先端で骨材粒を剥がすことを試みたが、かなり強力に路面と結合していた。更に、重荷重積載車を試験的に30回通過させたが、骨材の飛散は見られなかった。
【0151】
骨材(第1層)
砕石(栃木県葛生産)
粒径:10−16mm
散布温度:常温(18℃)
散布量:1.8(m/100m
結合材(第1層)
改質アスファルト乳剤(商品名「サーフェイスゾールH型」、ニチレキ株式会社製)
蒸発残留物の60℃における絶対粘度:19500ポアズ
蒸発残留分 67.5重量%
蒸発残留物の針入度 89(1/10mm)
蒸発残留物の軟化点 70(℃)
蒸発残留物の25℃におけるタフネス 170(kgf・cm)
蒸発残留物の25℃におけるテナシティ 152(kgf・cm)
20℃における粘度 60(センチポアズ)
散布温度:加温(70℃)
散布量:170(l/100m
分解補助剤(第1層)
「カチオンDTA」(日本油脂株式会社製)
分解補助剤の使用量 アスファルト乳剤の蒸発残留分100重量部に対して、有効成分量で0.5重量部
【0152】
骨材(第2層)
砕石(栃木県葛生産)
粒径:5−10mm
散布温度:常温(18℃)
散布量:1.0(m/100m
結合材(第2層)
改質アスファルト乳剤(商品名「サーフェイスゾールH型」、ニチレキ株式会社製)
蒸発残留物の60℃における絶対粘度:19500ポアズ
蒸発残留分 67.5重量%
蒸発残留物の針入度 89(1/10mm)
蒸発残留物の軟化点 70(℃)
蒸発残留物の25℃におけるタフネス 170(kgf・cm)
蒸発残留物の25℃におけるテナシティ 152(kgf・cm)
20℃における粘度 60(センチポアズ)
散布温度:加温(70℃)
散布量:150(l/100m
【0153】
骨材(第3層)
人工有色骨材(赤色、商品名「ロードセラムA1」、内外セラミックス株式会社製)
粒径:2−3.3mm
散布温度:常温(18℃)
散布量:0.4(m/100m
結合材(第3層)
改質アスファルト乳剤(商品名「サーフェイスゾールH型」、ニチレキ株式会社製)
蒸発残留物の60℃における絶対粘度:19500ポアズ
蒸発残留分 67.5重量%
蒸発残留物の針入度 89(1/10mm)
蒸発残留物の軟化点 70(℃)
蒸発残留物の25℃におけるタフネス 170(kgf・cm)
蒸発残留物の25℃におけるテナシティ 152(kgf・cm)
20℃における粘度 60(センチポアズ)
散布温度:加温(70℃)
散布量:110(l/100m
【0154】
〈実施例3〉
以下の材料を使用した以外は、実施例1と同様にして、試験的に本発明の機能性複層型散布式表面処理工法を施工した。施工路面には、既存路面の損傷による凹凸が存在していたが、構築された表面処理層によって完全に覆われた。構築された表面処理層は均一で、太陽光及び車両ヘッドライトを反射し、昼間、夜間を問わず、遠くから視認することができた。構築後、半日の養生期間をおいて、ドライバーの先端で骨材粒を剥がすことを試みたが、かなり強力に路面と結合していた。更に、重荷重積載車を試験的に30回通過させたが、骨材の飛散は見られなかった。
【0155】
骨材(第1層)
ガラスビン粉砕スラッジ
粒径:2.5−5mm
散布温度:常温(18℃)
散布量:0.5(m/100m
結合材(第1層)
改質アスファルト乳剤(商品名「サーフェイスゾールH型」、ニチレキ株式会社製)
蒸発残留物の60℃における絶対粘度:19500ポアズ
蒸発残留分 67.5重量%
蒸発残留物の針入度 89(1/10mm)
蒸発残留物の軟化点 70(℃)
蒸発残留物の25℃におけるタフネス 170(kgf・cm)
蒸発残留物の25℃におけるテナシティ 152(kgf・cm)
20℃における粘度 60(センチポアズ)
散布温度:加温(70℃)
散布量:90(l/100m
【0156】
骨材(第2層)
蛍光顔料入りガラスビーズ
粒径:0.5−1mm
散布温度:常温(18℃)
散布量:0.4(m/100m
結合材(第2層)
改質アスファルト乳剤(商品名「サーフェイスゾールH型」、ニチレキ株式会社製)
蒸発残留物の60℃における絶対粘度:19500ポアズ
蒸発残留分 67.5重量%
蒸発残留物の針入度 89(1/10mm)
蒸発残留物の軟化点 70(℃)
蒸発残留物の25℃におけるタフネス 170(kgf・cm)
蒸発残留物の25℃におけるテナシティ 152(kgf・cm)
20℃における粘度 60(センチポアズ)
散布温度:加温(70℃)
散布量:90(l/100m
【0157】
【発明の効果】
以上のように、本発明の機能性複層型散布式表面処理工法は、最上層に、有色の骨材、光反射性、光輝性、蛍光性、及び/又は、蓄光性の骨材、凍結防止効果を有する骨材、及び、弾性を有する骨材の中から選ばれる1種もしくは2種以上の機能性骨材を散布するようにしているので、既存路面を補修するような簡単な作業によって種々の機能を持った表面処理層ないしは舗装体を簡便にかつ安価に構築することができる。また、結合材として、結合材若しくは結合材中の蒸発残留物の60℃における絶対粘度が約15000ポアズ以上のものを使用するので、施工路面に凹凸や傾斜が存在する場合でも、散布された結合材が無闇に流動することがなく、場所によって結合材が過剰となったり、不足したりすることがなく、均一で耐久性に優れた機能性表面処理層を構築することができる。更には、最下層に使用する骨材として粒度を規制した骨材を使用することによって、路面と骨材との結合性が増し、安定で耐久性に優れた機能性表面処理層を構築することができる。
【0158】
結合材として、結合材若しくは結合材中の蒸発残留物が所定の特性を有する結合材を使用する場合には、骨材の路面に対する付着力が増大し、強固で耐久性に富む安定した表面処理層を構築することができる。特に、結合材としてアスファルト乳剤を使用する場合には、結合材を加熱する必要がなく、常温で施工できるので、作業が安全に行えると共に、炭酸ガスの発生がなく地球環境的にも優れた散布式表面処理工法を実現することができる。また、結合材としてのアスファルト乳剤とともに、その分解を促進する分解補助剤を使用する場合には、アスファルト乳剤の分解、固化が早まり、強固で耐久性に富む安定した表面処理層をより短時間で構築することが可能となる。
【0159】
また、結合材と同時に、又は相前後して、繊維材料を散布若しくは敷き均すことによって、耐久性ばかりでなく、防水性にも優れた表面処理層を構築することができる。本発明の機能性複層型散布式表面処理工法は、本明細書で開示したような特定の作業車を用いて施工することによって、一層の均一性と耐久性、安定性をもった機能性表面処理層を構築することが可能である。本発明は既存路面の補修だけでなく、新設路面においても、優れた効果を発揮し、当該技術分野に新たな可能性をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 散布式表面処理工法の一例を示す図である。
【図2】 本発明に使用する作業車の一例を示す図である。
【図3】 本発明に使用する作業車の他の例を示す図である。
【図4】 本発明に使用する作業車の更に他の例を示す図である。
【図5】 本発明に使用する作業車の更に他の例を示す図である。
【図6】 アスファルト乳剤と分解補助剤とを相前後して散布した場合の状態を示す図である。
【図7】 本発明に使用する結合材の散布装置の一例を示す正面図である。
【図8】 本発明に使用する結合材の散布装置の一例を示す平面図である。
【図9】 本発明に使用する結合材の散布装置と分解補助剤の散布装置の位置関係を示す側面図である。
【図10】 本発明に使用する結合材の散布装置と分解補助剤の散布装置の位置関係を示す平面図である。
【符号の説明】
1 路面
2a、2b 結合材
3a、3b 骨材
4a、4b 飛散した骨材
5 作業車
6a、6b 作業車の前輪、後輪
7、23 スプレーノズル
8 骨材ビン
9 搬入ソケット
10 搬送ポンプ
11、22 スプレーバー
12 骨材搬送車
13 骨材散布幅調節扉
14 骨材排出ロール
15 支持腕
16 プッシュローラー
17 エンジン
18 結合材貯蔵タンク
19 水タンク
20 載置台
21 プライマータンク
24 作業ステップ
25 加熱装置
26 エネルギー源
27 骨材ホッパー
28 搬送コンベア
29 繊維材料収納装置
30 繊維材料
31 ノズル
32 短繊維
33 シート状繊維材料収納装置
34 シート状繊維材料
35 送り出し装置
36 押さえローラ
37 アスファルト乳剤
38、42 分解補助剤
39 硬化しつつある層
40 分解補助剤用のスプレーバー
41 分解補助剤用のスプレーノズル
α スプレーノズルの噴射角度
β スプレーノズルの取付角度

Claims (10)

  1. 結合材を散布しその上から骨材を散布する作業を少なくとも2回以上繰り返して路面上に複数の表面処理層を構築する複層型散布式表面処理工法において、結合材として、結合材若しくは結合材中の蒸発残留物が、以下のa)〜d)に示す特性を有する結合材を用い、最上層の骨材として、有色の骨材、光反射性、光輝性、蛍光性、及び/又は、蓄光性の骨材、凍結防止効果を有する骨材、及び、弾性を有する骨材の中から選ばれる1種もしくは2種以上の機能性骨材を散布する機能性複層型散布式表面処理工法
    a)針入度が70〜125(1/10mm)、
    b)軟化点が55〜100℃、
    c)25℃におけるタフネスが90〜250kgf・cm、
    d)25℃におけるテナシティが50〜220kgf・cm
  2. 2種以上の骨材を散布する場合、2種以上の機能性骨材が粒度及び/又は機能の異なる機能性骨材である請求項1記載の機能性複層型散布式表面処理工法。
  3. 結合材が瀝青材料である請求項1又は2記載の機能性複層型散布式表面処理工法。
  4. 結合材がアスファルト乳剤である請求項記載の機能性複層型散布式表面処理工法。
  5. 結合材であるアスファルト乳剤の20℃における粘度が約40センチポアズ以上である請求項記載の機能性複層型散布式表面処理工法。
  6. 結合材であるアスファルト乳剤の分解を促進する分解補助剤を、アスファルト乳剤と同時期に又は相前後して散布する工程を含む請求項4又は5記載の機能性複層型散布式表面処理工法。
  7. 結合材と同時又は相前後して繊維材料を散布又は敷き均す請求項1ないしのいずれかに記載の機能性複層型散布式表面処理工法。
  8. 少なくとも結合材の散布装置と骨材の散布装置とを備えた作業車を用いて、結合材の散布後ほぼ一定の時間間隔をおいて骨材の散布を行う請求項1ないしのいずれかに記載の機能性複層型散布式表面処理工法。
  9. 既存舗装体の補修工法を兼ねる請求項1ないしのいずれかに記載の機能性複層型散布式表面処理工法。
  10. 請求項1ないしのいずれかに記載の機能性複層型散布式表面処理工法によって構築された機能性舗装体。
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