JP2002069357A - 熱履歴表示インキ組成物及び該組成物による表示を有する包装体 - Google Patents

熱履歴表示インキ組成物及び該組成物による表示を有する包装体

Info

Publication number
JP2002069357A
JP2002069357A JP2000264121A JP2000264121A JP2002069357A JP 2002069357 A JP2002069357 A JP 2002069357A JP 2000264121 A JP2000264121 A JP 2000264121A JP 2000264121 A JP2000264121 A JP 2000264121A JP 2002069357 A JP2002069357 A JP 2002069357A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink composition
resin
heat history
thermal history
history display
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000264121A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshihiko Hayashi
敏彦 林
Akira Yoshimura
章 吉村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Seikan Group Holdings Ltd
Original Assignee
Toyo Seikan Kaisha Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Seikan Kaisha Ltd filed Critical Toyo Seikan Kaisha Ltd
Priority to JP2000264121A priority Critical patent/JP2002069357A/ja
Publication of JP2002069357A publication Critical patent/JP2002069357A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Details Of Rigid Or Semi-Rigid Containers (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】被塗布物への密着性や耐水性等に優れるととも
に、商品が製造後に受けた熱履歴及び時間の経過を累積
し、商品の種類に応じて所望の変色速度で簡単かつ明確
に、不可逆的に表示することができる熱履歴表示インキ
組成物を提供する。 【解決手段】全組成物を基準として、0.3〜8重量%
の揮発性有機アミン、0.3〜10重量%の酸塩基変色
性染料及び12〜35重量%のバインダー樹脂を含有さ
せ、且つバインダー樹脂が全バインダー樹脂を基準とし
て少なくとも20重量%の塩化ビニル共重合樹脂を含有
させることによって、時間と温度の経過を累積し不可逆
的に表示する熱履歴表示表示インキ組成物を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱履歴及び時間の
経過を累積的かつ不可逆的に表示することのできる熱履
歴表示インキ組成物、及び該組成物による表示を有する
包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、缶飲料、レトルト食品や薬品等の
保存又は有効期限等を表示するために、表示物の色調変
化を利用する熱履歴表示インキは種々提案されている。
近年、自動販売機やコンビニエンスストアの普及等商品
の流通形態の変化に伴って、缶飲料又はレトルト食品等
を自動販売機や店頭で加温して販売することが広く行わ
れるようになっている。このような販売形態をとる商品
では、単に製造後の経過時間だけではなく、商品が製造
後どのような熱履歴を受けたか、すなわち商品の熱履歴
及び時間の経過を簡単な方法で累積的かつ不可逆的に把
握し、商品の消費期限等品質管理を行うことが必要であ
る。そのため先に本発明者らは、揮発性有機アミン、酸
塩基変色性染料及びバインダー樹脂を含有する、時間と
温度の経過を累積し不可逆的に表示する熱履歴表示イン
キ組成物を提案した。(特開平11−80637号,特
開平11−189741号)
【0003】しかし、これらの熱履歴表示インキを使用
して、缶飲料やレトルト食品等に熱履歴を示す表示を設
けた場合には、インキ塗布後の色濃度や耐水性が充分で
ないという欠点があった。これらを改善するには、バイ
ンダー樹脂の濃度を上げることが考えられるが、バイン
ダー樹脂の濃度を上げるとインクジェットプリンター
(IJP)による印字特性が悪くなり、またインキの印
字被膜が厚くなるので塗布後の熱履歴を示す変色速度が
遅くなるという問題点があった。また、熱履歴表示イン
キとしては、製品の種類に応じて種々の変色温度や変色
時間を持つものが求められるが、変色温度や変色時間を
要望にあわせて幅広く設定することができるものは殆ど
なく、特に1〜2週間で変色する短期変色インキとして
使用できるものは得られなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明は
被塗布物への密着性や耐水性等に優れるとともに、商品
が製造後に受けた熱履歴及び時間の経過を累積し、商品
の種類に応じて所望の変色速度で簡単かつ明確に、不可
逆的に表示することができる熱履歴表示インキ組成物を
提供することを目的とする。また、本発明は、さらに経
時や温度変化によるインキの粘度増加が少なく、速乾性
があり、IJPによる高速印字適性を有する熱履歴表示
インキ組成物を提供することをも目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、先に提案した揮発
性有機アミン、酸塩基変色性染料及びバインダー樹脂を
含有する、時間と温度の経過を累積し不可逆的に表示す
る熱履歴表示インキ組成物において、バインダー樹脂の
種類と量を選択することによって、所期の目的を達成で
きることを発見し、本発明を完成したものである。すな
わち、本発明は次のような構成をとるものである。 1.全組成物を基準として、0.3〜8重量%の揮発性
有機アミン、0.3〜10重量%の酸塩基変色性染料及
び12〜35重量%のバインダー樹脂を含有し、且つバ
インダー樹脂が全バインダー樹脂を基準として少なくと
も20重量%の塩化ビニル共重合樹脂を含有することを
特徴とする時間と温度の経過を累積し不可逆的に表示す
る熱履歴表示表示インキ組成物。 2.塩化ビニル共重合樹脂が分子量3万以下の塩化ビニ
ル酢酸ビニル共重合体であることを特徴とする1に記載
の熱履歴表示インキ組成物。 3.バインダー樹脂がさらに末端基封鎖エポキシ樹脂及
び/又はロジン変性マレイン酸樹脂を含有することを特
徴とする1又は2に記載の熱履歴表示インキ組成物。 4.揮発性有機アミンが沸点100℃以下の有機アミン
を含むものであることを特徴とする1〜3のいずれかに
記載の熱履歴表示インキ組成物。 5.酸塩基変色性染料がトリフェニルメタンフタリド系
染料から選択された、pH9以下で変色する染料である
ことを特徴とする1〜4のいずれかに記載の熱履歴表示
インキ組成物。 6.請求項1〜5のいずれかに記載された熱履歴表示イ
ンキ組成物による表示を有する包装体。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明では、揮発性有機アミン、
酸塩基変色性染料及びバインダー樹脂を含有する熱履歴
表示インキ組成物において、バインダー樹脂の種類と量
を選択したことを特徴とする。すなわち、本発明は、バ
インダー樹脂として塩化ビニル共重合樹脂を使用するこ
とにより、熱履歴表示インキ組成物の熱変色速度を所望
のものに調整することを特徴とする。バインダー樹脂と
して使用する塩化ビニル共重合樹脂は揮発性有機アミン
と熱的に相互に作用し、この作用と有機アミンの揮発性
の程度を複合的に利用し、インキの変色速度をコントロ
ールするものである。
【0007】塩化ビニル共重合樹脂としては、種々のも
のを使用することができ、例えば塩化ビニルと酢酸ビニ
ル、塩化ビニリデン、アクリル、マレイン酸等の他のモ
ノマーとの共重合樹脂が挙げられる。好ましい塩化ビニ
ル共重合樹脂としては、塩化ビニルと酢酸ビニルを共重
合した塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、特に分子量3
万以下の該共重合樹脂が挙げられる。このような樹脂の
代表例としては、例えばUCC社から商品名、VYIII
I、VAGH、VAGD、VYES、VMCH、VMC
A、VROH、VMCCとして市販されている樹脂、あ
るいは類似グレードの樹脂等が挙げられる。
【0008】バインダー樹脂としては、塩化ビニル共重
合樹脂を単独で使用してもよいが、塩化ビニル共重合樹
脂とともに他の樹脂を使用することができる。他の樹脂
としては特に制限はなく、通常インキ組成物に用いられ
る樹脂はいずれも使用することができ、例えば、エポキ
シ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹
脂、ロジン変性フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、メ
ラミン、ベンゾグアナミン等のアミノ樹脂、ポリアミド
樹脂等が挙げられる。好ましい他の樹脂としては、末端
基封鎖エポキシ樹脂及びロジン変性マレイン酸樹脂が挙
げられる。バインダー樹脂中の他の樹脂の配合割合は、
80%以下、より好ましくは50%以下とすることが望
ましい。
【0009】本発明で使用する末端基封鎖エポキシ樹脂
は、エポキシ樹脂の末端にあるエポキシ基に、常法によ
り各種の封鎖剤を加熱下、あるいはアルカリ金属塩やル
イス酸等の触媒存在下で、反応させることによって調製
することができる。エポキシ樹脂としては特に制限はな
く、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェ
ノールF型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、環式脂
肪族エポキシ樹脂等はいずれも使用することができる
が、通常はビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用す
る。封鎖剤としては、例えばフェノール、P−アルキル
フェノール等のフェノール類や、ビスフェノール及び有
機酸類類を使用することができ、好ましい封鎖剤として
はフェノール、P−クレゾール、ビスフェノールA等が
挙げられる。
【0010】本発明で使用する末端基封鎖エポキシ樹脂
としては、エポキシ等量(グラム等量)が300〜25
00のエポキシ樹脂が好ましく、特にエポキシ等量が4
00〜1500のエポキシ樹脂を使用することが好まし
い。エポキシ等量が300未満のエポキシ樹脂を使用し
た場合は、被膜が脆弱となり好ましくない。また、エポ
キシ等量が2500を超えるエポキシ樹脂を使用した場
合は、インキ粘度が高くなりIJPを使用して印字する
ことができなくなるという不都合が生じる。
【0011】バインダー樹脂中に添加する他の樹脂は、
1種又は2種以上を組み合わせて使用することができ
る。本発明では、バインダー樹脂の全含有量を、全組成
物を基準として12〜35重量%とすることを特徴とす
る。バインダー樹脂の含有量が12%未満の場合には、
塗布後の耐水性が悪くなる。また、含有量が35%を超
えると、インキ組成物の粘度が高くなり、IJPでの高
速印字が困難になるとともに、塗布後の熱履歴を示す変
色速度が遅くなる。バインダー樹脂中の塩化ビニル共重
合樹脂の含有量は、全バインダー樹脂を基準として少な
くとも20重量%とすることが好ましい。塩化ビニル共
重合樹脂の含有量が20重量%未満では、塗布後の熱履
歴を示すインキの変色速度が遅くなりすぎる。
【0012】本発明で使用する揮発性有機アミンとして
は、特に制限はなく有機アミンであればいずれも使用す
ることができる。本発明者等が先に提案した熱履歴表示
インキ組成物では、沸点が100〜360℃の有機アミ
ンを使用したが、本発明ではバインダー樹脂として塩化
ビニル共重合樹脂を使用することによって、100℃以
下の沸点を有する有機アミンや、360℃以上の沸点を
有する有機アミンをも使用することが可能になった。こ
のような揮発性アミンとしては、アンモニア、エチルア
ミン、トリエチルアミン等の脂肪族アミン類;エタノー
ルアミン、ジメチルエタノールアミン等のヒドロキシア
ミン類;アニリン、ベンジルアミン、ピリジン、モルホ
リン等の芳香族乃至環式アミン類等が挙げられる。
【0013】好ましい有機アミンとしては、次の一般式
(1)で示される脂肪族有機アミンが挙げられる。
【0014】
【化1】 (式中、R、R及びRは、それぞれ水素、炭素数
1〜8のアルキル基もしくはR−OHで表されるヒド
ロキシアルキル基を表し、Rは炭素数1〜5のアルキ
レン基を表す。)
【0015】一般式(1)で表される脂肪族アミンとし
ては、具体的には例えばアンモニア、メチルアミン、ジ
メチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエ
チルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、
n−ジプロピルアミン、n−トリプロピルアミン、イソ
プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、n−ブチルア
ミン、n−ジブチルアミン、n−トリブチルアミン、イ
ソブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジアミルアミ
ン、トリアミルアミン、n−ヘプチルアミン、2−エチ
ルヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジエチレントリ
アミン、テトラエチレンペンタミン、シクロヘキシルア
ミン等が挙げられる。
【0016】脂肪族アミンのなかでも、上記一般式
(1)においてR、R、Rの少なくとも1つ
がR−OHであるアルカノールアミン類を使用した場
合には、該アミンの臭いが少ないので特に好ましい。好
適なアルカノールアミンとしては、例えばモノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、エチルモノエタノールアミン、n−ブチルモノエタ
ノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエ
タノールアミン、エチルジエタノールアミン、n−ブチ
ルジエタノールアミン、ジ−n−ブチルエタノールアミ
ン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。
【0017】これらの揮発性アミンは、時間の経過及び
熱履歴の程度に応じて熱履歴表示インキ組成物から揮発
し、該組成物の染料に対する濃度が低下する。また、本
発明では塩化ビニル共重合樹脂中の塩化ビニル成分が、
有機アミン類と熱的に相互作用を引き起こすことによ
り、有機アミンの染料発色機能を減衰させる働きを有す
ることが判明した。この作用は、室温程度ではきわめて
緩慢で無視できるが、温度が高くなるにつれて速くなる
ので、この作用と有機アミンの揮発性の程度を複合的に
利用することにより、熱履歴表示インキ組成物の変色速
度をコントロールすることが可能になった。揮発性有機
アミンの熱履歴表示インキ組成物への配合量は、全組成
物を基準として0.3〜8重量%であり、使用する染料
の濃度や要求される変色時間に応じてこの範囲内で適宜
選択する。アミンがこれより多いと皮膜の乾燥性が充分
とならず、また少ないと発色が充分ではなくなる。
【0018】本発明で使用する酸塩基変色染料として
は、pH9以下の範囲で変色するものはいずれも使用す
ることができるが、加温して保存及び販売されるとき
に、そのときの熱で昇華しない染料が挙げられる。この
ような染料を使用した場合には、組成物の変色を目視に
より簡単に判定することができる。また、染料を選択す
ることによって、1〜2週間で変色するインキを得るこ
ともできる。
【0019】このような染料としては、トリフェニルメ
タンフタリド系染料から選択されたものであり、融点が
130℃以上のものから選択されるのが望ましい。これ
より融点が低いと加温経時中に昇華し易くなったり、酸
化等化学的変化を受けやすくなる。このような染料の具
体例としては、例えばナフトールフタレイン、ブロモク
レゾールグリーン、ブロモフェノールブルー、ブロモク
ロロフェノールブルー、ブロモフェノールレッド、ブロ
モチモールブルー、クレゾールレッド、ブロモクレゾー
ルパープル、クロロフェノールレッド、キシレノールオ
レンジ、p−キシレノールブルー、フェノールスルホフ
タレイン、m−クレゾールパープル等のトリフェニルメ
タンフタリド系染料が挙げられる。これらは単独または
2種以上を混合使用してもさしつかえない。これらの染
料の熱履歴表示インキ組成物への配合量は、全組成物を
基準として0.3〜10重量%である。0.3重量%未
満の場合、発色が不十分となる。一方、10重量%を超
えても特に性能の向上は認められず、材料の無駄とな
る。また、これらの色調を補う目的で、他の染料を本発
明の熱履歴表示インキとしての特徴を損なわない範囲で
添加することができる。例えばメチルレッド、アシッド
レッド2、モルダンレッド3、メチルオレンジ、モルダ
ンブルー29、メチルイエロー、クリスタルバイオレッ
トラクトン等があげられる。
【0020】また、本発明の熱履歴表示インキ組成物
は、バインダー樹脂皮膜の特性や、塗布適性を補うた
め、シリコーン、あるいは変性シリコーン、ワックス等
のレベリング剤、界面活性剤、滑剤、濡れ製向上剤、紫
外線吸収剤等の添加剤や、ロジン酸、脂肪酸、天然油脂
等の変性剤等を添加してもよい。特にインクジェットプ
リンターにて印字する場合には、シリコーンあるいは変
性シリコーン等を添加することは、被塗物の表面状態に
左右されることなくきれいな印字をできることから好ま
しい。
【0021】従来の熱履歴表示インキ組成物では、電荷
方式のIJPによる印字を安定的に行うため導電性物質
を配合することが提案されている。そして、このような
導電性物質としては、リチウム塩類、カリウム塩類、ナ
トリウム塩類などのアルカリ金属塩類、チオシアン酸塩
類、有機酸及びその塩類等が知られている。本発明の熱
履歴表示インキ組成物では、導電性物質を配合すること
は特に必要ではなく、導電性物質を配合しなくてもIJ
Pにより高速印字をすることができる。そして、印字の
安定性等を改善するために、本発明の熱履歴表示インキ
組成物に導電性物質を配合する場合には、その配合量を
従来の熱履歴表示インキ組成物における配合量よりも少
なくすることが好ましく、全組成物を基準として0.5
重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下とするこ
とが望ましい。導電性物質の配合量が0.5%を超える
場合には、インキの変色に支障をきたすという不都合が
生じる。導電性物質としては、通常のIJP用インキに
用いられるものはいずれも使用することができるが、ヨ
ウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等のアルカリ金属ヨウ
化物を使用することが好ましい。これらは単独で又は2
種以上混合して使用してもよい。
【0022】本発明の熱履歴表示インキ組成物は、通常
は上記の各成分や必要に応じ添加される他の成分を各種
の溶剤に溶解又は分散させた溶液又は分散液として調製
される。得られた組成物は、飲料やレトルト食品、薬品
等を収納した缶やプラスチックボトル、プラスチック製
パウチ、紙容器等の容器の表面、あるいはその他流通及
び販売時の熱履歴の管理を必要とする種々包装体等の表
面に、インクジェットプリンター、スタンプ、コーター
等通常のマーキング方法によって適用される。また、本
発明のインキ組成物は、これを印刷又は塗付したラベル
の形で食品あるいは包装体に貼着使用することもでき
る。溶剤としては、例えば、アルコール類、エステル
類、ケトン類、アルキレングリコールエーテル類、エー
テル類、フラン類、芳香族炭化水素、塩素系、水等通常
のものが使用される。これらは単独または混合して用い
ることができる。本発明の熱履歴表示インキ組成物に
は、上記各成分のほかに、可塑剤、助色剤等他の配合剤
を適宜配合することも可能である。
【0023】
【実施例】次に実施例により本発明を説明するが、以下
の実施例は本発明を限定するものではない。 また、各
実施例及び比較例においてインキ組成物を構成する成分
の配合量は、全組成物を基準として重量%で表示したも
のであり、インキ組成物の残量は溶剤である。 (実施例1) メタノール:メチルエチルケトン(MEK)が3:7の
混合溶剤に、染料としてブロムクレゾールグリーン(B
CG)2%、有機アミンとしてエチルジェタノールアミ
ン(EDEA)1%、バインダー樹脂として塩化ビニル
酢酸ビニル共重合樹脂(UCC社製:VYES−4)2
0%を常法により混合溶解し、熱履歴表示インキ組成物
を得た。このインキ組成物を1ミクロンのフィルターで
濾過後、インクジェットプリンター(IJP)を使用し
て金属缶の缶底に青色に発色した印字品を作製したとこ
ろ、印字状態はきわめて良好であった。
【0024】(実施例2〜6)バインダー樹脂として、
塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(VYES−4)と末
端基封鎖エポキシ樹脂(エピコート1004相当)を表
1に記載した割合で混合した混合物を使用したほかは、
実施例1と同様にして熱履歴表示インキ組成物を得た。
【0025】(比較例1)実施例1において、バインダ
ー樹脂として使用する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂
の配合量を10%としたほかは、実施例1と同様にして
熱履歴表示インキ組成物を得た。
【0026】(比較例2及び3)実施例1において、バ
インダー樹脂として表1に記載された樹脂を表1に記載
された配合量で使用したほかは、実施例1と同様にして
熱履歴表示インキ組成物を得た。
【0027】[評価]上記各例で得られた熱履歴表示イ
ンキ組成物によるIJPでの印字品を以下に記載した方
法で評価した。結果を表1に示す。表1において、塩化
ビニル酢酸ビニル共重合樹脂は「塩酢ビ樹脂」と、ま
た、末端基封鎖エポキシ樹脂は「エポキシ樹脂」と表記
した。 (印字状態) 印字状態を目視で判定した結果を、次のように評価し
た。 ◎:きわめて良好 ○:良好 △:やや不安定 ×:不良 (初期色及び完了色) 初期及び変色完了時の色で表示した。 (初期被膜発色状態)目視により判定した結果を、次の
ように評価した。 ◎:良好 ○:若干色ボケ傾向はあるが良好 ×:染料擬集により色調不明瞭 (変色完了日数)印字品を55℃の恒温機にて保存した
ときの、およその変色完了日数で表示した。 (耐水性)印字品を30℃の水に1昼夜浸漬後、塗布膜
の色及び白化状態を目視で判定し、次のように評価し
た。 ○:良好 △:やや白化傾向はあるものの初期の色を保持 ×:不良
【0028】
【表1】
【0029】表1にみられるように、上記の実施例1〜
6で得られたインキ組成物は、いずれも良好な特性を有
するものであり、熱履歴表示インキとして十分に実用に
適するものであった。これに対して、比較例1のインキ
組成物は、発色状態あるいは印字状態は良好であるが、
耐水性が劣り実用に適するものではなかった。また、比
較例2及び3のインキ組成物も、熱履歴表示インキとし
ては不適切なものであった。
【0030】(実施例7〜14)バインダー樹脂として
使用する塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂として、UC
C社のVYES−4のほかに、同社のVAGH、VRO
H、VMCAを使用した。また、塩化ビニル酢酸ビニル
共重合樹脂と併用するバインダー樹脂として、表2に記
載の各樹脂を使用した。これらのバインダー樹脂を使用
し、表2に記載の処方で実施例1と同様にして熱履歴表
示インキ組成物を得た。これらのインキ組成物を使用し
て、実施例1と同様の方法で印字品を評価した結果を表
2に示す。
【0031】(比較例4〜6)インキ組成物を構成する
成分として表2に記載された成分を、表2に記載された
配合量で使用したほかは、実施例1と同様にして熱履歴
表示インキ組成物を得た。これらの比較例4〜6で得ら
れた熱履歴表示インキ組成物について、評価した結果を
表2に示す。
【0032】
【表2】
【0033】表2にみられるように、実施例7〜14で
得られたインキ組成物は、いずれも良好な特性を有する
ものであり、熱履歴表示インキとして十分に実用に適す
るものであった。これに対して、比較例4及び5のイン
キ組成物は、印字被膜の発色が十分でなく初期色が薄い
ものであり、印字適性も不十分で熱履歴表示インキとし
ては不適切なものであった。また、比較例6のインキ組
成物は変色が遅く、熱履歴表示インキとして実用に適さ
ないものであった。
【0034】(実施例15〜26)インキ組成物を構成
する成分として表3に記載された成分を、表3に記載さ
れた配合量で使用したほかは、実施例1と同様にして熱
履歴表示インキ組成物を得た。これらの実施例15〜2
6で得られた熱履歴表示インキ組成物について、実施例
1と同様に評価した結果を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】上記表3において、染料及び有機アミン
は、次の略号で表記した。 (染料) BCG:ブロモクレゾールグリーン BPB:ブロモフェノールブルー BTyB:ブロモチモールブルー CPR:クロロフェノールレッド TyB:チモールブルー BCP:ブロモクレゾールパープル MY:メチルイエロー MR:メチルレッド (有機アミン) EDEA:エチルジエタノールアミン DEEA:ジエチルエタノールアミン DMEA:ジメチルエタノールアミン DBEA:ジブチルエタノールアミン DEA:ジエチルアミン IprA:イソプロピルアミン
【0037】表3にみられるように、実施例15〜26
で得られたインキ組成物は、いずれも良好な特性を有す
るものであり、熱履歴表示インキとして十分に実用に適
するものであった。
【0038】(比較例7〜11)インキ組成物を構成す
る成分として表4に記載された成分を、表4に記載され
た配合量で使用したほかは、実施例1と同様にして熱履
歴表示インキ組成物を得た。これらの比較例7〜11で
得られた熱履歴表示インキ組成物について、評価した結
果を表4に示す。
【0039】
【表4】
【0040】表4にみられるように、比較例7〜11の
インキ組成物は、いずれも熱履歴表示インキとしては、
不適切なものであった。
【0041】(実施例27)実施例1において、溶剤を
メタノール:MEKの混合溶剤から、MEK:エチルセ
ロソルブ:ブチルセロソルブが6:3:1の混合溶剤に
変更したほかは、実施例1と同様にして熱履歴表示イン
キ組成物を得た。このインキをロールコーターによりプ
ラスチックシート上に、4mm幅で厚みがおよそ2〜3
ミクロン程度となるように転写コートした後、130℃
にて1分間乾燥し、貼着用ラベルを作製した。このラベ
ルをPETボトルに貼着し、55℃の恒温機中に保存し
た。約30日にて、初期の青色から緑色を経由して黄色
となり、変色が完了した。このように、ラベル形態で本
発明のインキ組成物を適用した場合にも、実施例1と同
様の変色が再現したことから、本発明のインキ組成物
は、塗布方法や使用形態が種々異なっても、良好な熱履
歴表示機能を有していることが確認された。
【0042】
【発明の効果】本発明では、上記構成をとることによ
り、被塗布物への密着性、耐水性及び耐薬品性に優れる
とともに変色阻害のない、簡単且つ明確に商品が製造後
に受けた熱履歴及び時間の経過を累積し、不可逆的に表
示することにできる熱履歴表示インキ組成物を得ること
ができる。本発明の熱履歴表示インキ組成物は、経時や
温度変化によるインキの粘度増加が少なく、速乾性があ
り、IJPによる高速印字適性に優れ、実用的価値の高
いものである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全組成物を基準として、0.3〜8重量
    %の揮発性有機アミン、0.3〜10重量%の酸塩基変
    色性染料及び12〜35重量%のバインダー樹脂を含有
    し、且つバインダー樹脂が全バインダー樹脂を基準とし
    て少なくとも20重量%の塩化ビニル共重合樹脂を含有
    することを特徴とする時間と温度の経過を累積し不可逆
    的に表示する熱履歴表示表示インキ組成物。
  2. 【請求項2】 塩化ビニル共重合樹脂が分子量3万以下
    の塩化ビニル酢酸ビニル共重合体であることを特徴とす
    る請求項1に記載の熱履歴表示インキ組成物。
  3. 【請求項3】 バインダー樹脂がさらに末端基封鎖エポ
    キシ樹脂及び/又はロジン変性マレイン酸樹脂を含有す
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱履歴表示
    インキ組成物。
  4. 【請求項4】 揮発性有機アミンが沸点100℃以下の
    有機アミンを含むものであることを特徴とする請求項1
    〜3のいずれかに記載の熱履歴表示インキ組成物。
  5. 【請求項5】 酸塩基変色性染料がトリフェニルメタン
    フタリド系染料から選択された、pH9以下で変色する
    染料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載の熱履歴表示インキ組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載された熱
    履歴表示インキ組成物による表示を有する包装体。
JP2000264121A 2000-08-31 2000-08-31 熱履歴表示インキ組成物及び該組成物による表示を有する包装体 Pending JP2002069357A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000264121A JP2002069357A (ja) 2000-08-31 2000-08-31 熱履歴表示インキ組成物及び該組成物による表示を有する包装体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000264121A JP2002069357A (ja) 2000-08-31 2000-08-31 熱履歴表示インキ組成物及び該組成物による表示を有する包装体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002069357A true JP2002069357A (ja) 2002-03-08

Family

ID=18751583

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000264121A Pending JP2002069357A (ja) 2000-08-31 2000-08-31 熱履歴表示インキ組成物及び該組成物による表示を有する包装体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002069357A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002080756A (ja) * 2000-09-05 2002-03-19 Toyo Seikan Kaisha Ltd 高圧蒸気殺菌表示用インキ組成物
WO2005054383A1 (ja) * 2003-12-02 2005-06-16 Toyo Seikan Kaisha, Ltd. 熱履歴表示インキ組成物、該組成物による表示を有する包装体、並びに該組成物の変色完了期間を調整する方法
JP2007052306A (ja) * 2005-08-19 2007-03-01 Toyo Seikan Kaisha Ltd 熱履歴表示用ラベル及び該ラベルを装着した容器
JP2020084063A (ja) * 2018-11-27 2020-06-04 サカタインクス株式会社 容器用溶剤型グラビア印刷インキ組成物および容器

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0598203A (ja) * 1991-10-08 1993-04-20 Dainippon Ink & Chem Inc ジエツトプリンター用マーキングインキ
JPH083494A (ja) * 1994-06-22 1996-01-09 Asahi Breweries Ltd 温度履歴により変色するインクジェットプリンタ用インキ組成物
JPH1180637A (ja) * 1997-09-10 1999-03-26 Toyo Seikan Kaisha Ltd 熱履歴表示インキ組成物及び該組成物による表示を有する包装体
JPH11106693A (ja) * 1997-10-07 1999-04-20 Toyo Ink Mfg Co Ltd インクジェットインキ

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0598203A (ja) * 1991-10-08 1993-04-20 Dainippon Ink & Chem Inc ジエツトプリンター用マーキングインキ
JPH083494A (ja) * 1994-06-22 1996-01-09 Asahi Breweries Ltd 温度履歴により変色するインクジェットプリンタ用インキ組成物
JPH1180637A (ja) * 1997-09-10 1999-03-26 Toyo Seikan Kaisha Ltd 熱履歴表示インキ組成物及び該組成物による表示を有する包装体
JPH11106693A (ja) * 1997-10-07 1999-04-20 Toyo Ink Mfg Co Ltd インクジェットインキ

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002080756A (ja) * 2000-09-05 2002-03-19 Toyo Seikan Kaisha Ltd 高圧蒸気殺菌表示用インキ組成物
JP4697364B2 (ja) * 2000-09-05 2011-06-08 東洋製罐株式会社 高圧蒸気殺菌表示用インキ組成物
WO2005054383A1 (ja) * 2003-12-02 2005-06-16 Toyo Seikan Kaisha, Ltd. 熱履歴表示インキ組成物、該組成物による表示を有する包装体、並びに該組成物の変色完了期間を調整する方法
JP2005162854A (ja) * 2003-12-02 2005-06-23 Toyo Seikan Kaisha Ltd 熱履歴表示インキ組成物、該組成物による表示を有する包装体、ならびに該組成物の変色完了期間を調整する方法
JP4514189B2 (ja) * 2003-12-02 2010-07-28 東洋製罐株式会社 熱履歴表示インキ組成物、該組成物による表示を有する包装体、ならびに該組成物の変色完了期間を調整する方法
JP2007052306A (ja) * 2005-08-19 2007-03-01 Toyo Seikan Kaisha Ltd 熱履歴表示用ラベル及び該ラベルを装着した容器
JP2020084063A (ja) * 2018-11-27 2020-06-04 サカタインクス株式会社 容器用溶剤型グラビア印刷インキ組成物および容器
JP7150577B2 (ja) 2018-11-27 2022-10-11 サカタインクス株式会社 容器用溶剤型グラビア印刷インキ組成物および容器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20090050049A1 (en) Time-temperature indicators
CA1207999A (en) Ink composition for ink jet printing
TW403772B (en) Salt-based ink compositions
US8269046B2 (en) Cyclic bisamides useful in formulating inks for phase-change printing
JP5495725B2 (ja) 耐久性の優れたジェットプリンター用インク組成物
EP0798351B1 (en) Printed article and method
JP2002069357A (ja) 熱履歴表示インキ組成物及び該組成物による表示を有する包装体
US20210130633A1 (en) Thermochromic ink composition for ink jet printing
JP3291684B2 (ja) 熱履歴表示インキ組成物及び該組成物による表示を有する包装体
JP3291687B2 (ja) インクジェットプリンタ用熱履歴表示インキ組成物及び該組成物による表示を有する包装体
JP3884629B2 (ja) 熱履歴表示インキ組成物及び該組成物による表示を有する包装体
JP3915315B2 (ja) 熱履歴表示インキ組成物
JP4393054B2 (ja) 熱履歴表示用ラベル
KR100794159B1 (ko) 열이력 표시 잉크 조성물 및 당해 조성물에 의한 표시를 갖는 포장체
JP3090748B2 (ja) 熱転写記録媒体
US8911544B2 (en) Phase change ink composition
JP3948975B2 (ja) 高圧蒸気殺菌表示用インキ組成物
JP2004018620A (ja) 熱履歴表示インキ組成物及び熱履歴表示インキ組成物の変色完了期間を調整する方法
US3721635A (en) Transfer medium for producing scratch and smudge resistant marks and a process for making the same
US20240043707A1 (en) High adhesion continuous ink jet inks
JP4292265B2 (ja) インクジェットプリンタ用インクを用いる加熱処理の確認方法
JP4884720B2 (ja) 熱履歴表示用ラベル及び該ラベルを装着した容器
JPS629147B2 (ja)
AU2006274508A1 (en) Time-temperature indicators
JPH07113096B2 (ja) ジブチルセバケ−トを含むドロップオンデマンドインクジェットインキおよびその使用方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070705

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100803

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110118