JP2011105818A - 耐久性の優れたジェットプリンター用インク組成物 - Google Patents

耐久性の優れたジェットプリンター用インク組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】従来のジェットプリンター用インク組成物が持つ問題点、すなわち、包装容器に対する付着性、擦過、磨耗、パスト殺菌処理、レトルト殺菌処理、アルコール消毒処理に対する耐性を持つジェットプリンター用インクは未だ提供されていなかった。
【解決手段】ポリエステル樹脂又は塩化ビニル共重合樹脂からなるバインダー樹脂を使用し、レベリング剤と併せて軟化温度が80℃以上であり、メチルエチルケトンの10重量%溶液のB型粘度計を用いた粘度が20℃の温度で2センチポイズ以下のインクフロー調整樹脂を使用することにより、付着性だけでなく、擦過耐性、アルコール耐性が良好であり、さらに、速乾性も持つ耐久性に優れたジェットプリンター用インクとすることができた。
【選択図】なし

Description

本発明は、食品包装分野における包装容器、特に金属容器、表層がナイロンやポリエステルなどからなるフレキシブルパッケジ(以後FPと略す)、ガラス容器などに対して密着性、磨耗耐性、擦過耐性及びアルコール耐性に優れ、かつ殺菌耐性の優れた耐久性ジェットプリンター用インク組成物に関する。
食品等を包装容器に充填して流通、販売するには消費期限や賞味期限などの印刷が義務付けられており、それらの印刷は、通常インクジェットプリンター(IJP)で目的に応じた日付が印字されている。
このIJP用インクには各種のインクが使用されているが、日付を印字された包装容器は流通過程で振動などにより擦れて印字がかすれて見えにくくなったり、消えてしまったりしてはならない。
上記の印字が施される時期は通常製品充填後であり、加熱乾燥手段をとることは容器そのものの変形やまた製品品質等に影響することから、通常、自然乾燥のままであり、更に速乾性が要求されることになる。
したがって、製品充填後のIJPによるマーキングの場合には、これらの加熱乾燥手段をとることができないので、基材に対する付着性を強化することが難しく、施された日付や記号等が容易に擦れて取れてしまう問題などが生じる恐れがある。
また、印字後に容器をパスト殺菌処理、あるいはレトルト殺菌処理などの工程に通すこともあることから、これらの殺菌処理により印字が滲んだり、薄くなり読めなくなったり、また殺菌処理後の磨耗、擦過耐性が弱くなったりすることも避けなければならない。
特に、最近食品衛生に関する諸問題から、賞味期限等の日付印字に対して、より一層の磨耗、擦過に対する耐性が求められている。更に、衛生性に関する注意意識が進み、アルコールによる噴霧あるいは洗浄などの処置が充填後の容器に対して行われる場合もあり、それらの処置に対して、印字マーキングの退色や消色が生じることのないアルコール耐性も要求されるようになってきている。
以上のとおり、金属容器、FP、ガラス容器などに対する擦過、磨耗耐性の良好なジェットプリンター用インク組成物の製造は難しく、未だ十分な耐久性能を有するジェットプリンター用インク組成物の開発は、ほとんどなされていない現状である。
特開2000−38530 特開平10−195356 特開2001−520298 特開2002−146245 特開平05−98203 特公昭63−33514 特開昭60−76574 特開2008−101099 特開2008−274287
特許文献1には、包装用フィルム対して充分な密着性と耐久性(耐擦過、耐モミ、耐摩耗性)を有するインクとして、ポリアミドとロジン樹脂の組み合わせからなるエタノール
ベースのインクジェット用インクが開示されている。
一般にポリアミド樹脂、ロジン樹脂は磨耗および擦過に対する耐性は十分とはいえない、特にロジン樹脂はきわめて弱い。
したがって、これらの樹脂成分を組み合わせたとしても、充分な磨耗、擦過耐性を有する実用可能なインクは実質的には得られない。
さらに、ポリアミド樹脂は、ケトン系溶剤には溶解しないためアルコール系溶剤を多用する必要があり、本開示例はエタノールベースのインクであることから、アルコール耐性を有さないことはいうまでもない。
また、開示例では酸価20以下のポリアミドを配合してなるとあるが、これらの樹脂は柔軟性はあるものの、IJP機上での溶液安定性に不安があり、沈殿が生じるなどの問題が生じる恐れがある。
特許文献2には塩素化ポリオレフィンをバインダー樹脂とする例が開示されているが、塩素化ポリオレフィンは、擦過や磨耗に対する性能の点で難点があり、また、擦過・磨耗耐性があるものは、IJPに一般的な低沸点溶剤などの溶剤に対する溶解性に問題がある。
また、本特許文献2の開示例では、更に、色素量がバインダー樹脂100部に対して、50〜1000部の範囲とあるが、実施例ではすべて実質的に樹脂量の2倍以上であり、色素をこのように過剰量用いた場合は、バインダーによる結着性が弱くなり、磨耗や擦過耐性が弱くなるという問題を引き起こす。
特許文献3には、擦れ及び引っ掻き抵抗性の良好な結合材としてロジン樹脂を含むニトロセルロースが開示されているが、該樹脂は擦過抵抗を満足せず、さらに、エタノール耐性も満足できるものではない。
特許文献4には、好ましいバインダー樹脂としてブチラール樹脂を用いたインク組成物が開示されている。該インク組成物は、金属缶、ガラス、ナイロンやポリエステルなどのプラスチックス製品などに適用できるとされているが、実際には擦るだけで容易にとれてしまう。
特許文献5には、ビスフェノール系エポキシ樹脂とクロム錯塩染料からなるIJPインクが開示され、ガラス、金属、プラスチック類に対してセロテープ剥離のないインクであることが記載されており、特許文献6には、エポキシフェノール低分子樹脂からなるインクが開示され、2ポンド(900g)フェルト磨耗30−60回/分で20回、ビール殺菌65度に耐えるインクであることが記載されており、特許文献7には、アクリル樹脂にシランを添加したインクが開示され、ガラス、金属、ポリエステルに密着が強く、水に浸漬して指でこすってもとれないことが記載されている。
しかし、これら特許文献5〜7に記載されたインクも擦過、磨耗、アルコール耐性において未だ不十分であり、より優れたジェットプリンター用インクの開発が望まれているのが現状である。
さらに、特許文献8には、塩化ビニル系樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などの高分子量樹脂を用いたインクジェット用インクが開示され、特許文献9にはポリエステル、ポリウレタン、塩化ビニル系樹脂などからなる油性顔料インクが開示されているが、これらのインクは樹脂の溶解性の観点から沸点の高い溶剤を使用しており、さらに、色材が顔料系インクであるため、包装容器の充填ラインなどにおけるコンテニュアス方式による高速印字においては、印字安定性や乾燥性に支障をきたすことが多い。
また、カーボンブラックやその他顔料系の色素を添加する場合、一般的にバインダー樹脂の結着性が損なわれるため磨耗や擦過耐性が弱くなる欠点も存在する。
上記特許文献1〜7に示された従来のインクは、各々の文献に記述されている耐久性評価基準を満足するものであっても、実際には印字された製品が輸送されるときに印字がかすれているなどの苦情が頻発しているのが実情である。
このように賞味期限などの印字においては、特に、磨耗や擦過などによる印字のかすれなどが重要な課題となっている。
また、上記特許文献8〜9に示された従来のインクは、擦過、磨耗耐性についてはある程度の水準を持つものであるが、溶剤として高沸点系のものを使用するものであり、速乾性の観点からは沸点の低いケトン、アルコール、エステル等の溶剤に可溶性のインクであることが要求される。
高分子量のポリエステル樹脂や塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(以下、塩酢ビ樹脂ともいう。)などの塩化ビニル共重合樹脂は皮膜の磨耗耐性にすぐれているが、低沸点系溶剤であるケトン、アルコール、エステル等の溶剤には溶け難くインクの固形分が上げられないなどの制約がある。特に、上記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂は、現在、懸濁重合や乳化重合でのみ製造されており、これらの製法で製造された樹脂は、溶液重合で製造された樹脂に比べて低沸点系溶剤に対する溶解性が著しく劣るものである。
また、本発明者らが耐久性能の評価方法について鋭意調査したところ、すくなくとも2kgの荷重でダンボールやフェルトなどで印字面を300回擦過する、あるいは特定のゴムを強く押し付けてすくなくとも20回擦り付けたときに、印字がかすれないか、また多少かすれても判読可能な状態を維持していれば、従来技術で課題となっていた実用上の印字かすれのトラブルを克服できることがわかった。
さらに、磨耗耐性をより効果的に向上させるには、IJPによる印字ドットの形状が重要であることもわかった。すなわち、上記ドット形状は、ある程度皮膜厚みがありかつ平滑であることが望ましい。
皮膜が薄く広がってしまったり、滲んだりするのを防ぐ目的でシリコーンやフッ素系、脂肪酸系などの界面活性剤をレベリング剤として使用することは一般的に公知であるが、高分子量のポリエステル樹脂や塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂などをIJP用インクのバインダーとして使用する場合、シリコーン、フッ素系などのレベリング剤でドット形状をコントロールすることが難しいのが実情であった。
したがって、本発明の目的は、従来のジェットプリンター用インク組成物が持つ問題点を解消することができ、すなわち、包装容器に対する付着性に優れ、擦過、磨耗耐性を有し、パスト殺菌処理、レトルト殺菌処理、アルコール消毒処理にも耐性を持つ、速乾性、耐久性に優れたジェットプリンター用インクを提供することである。
本発明者らは鋭意研究の結果、磨耗耐性をより効果的に向上させるには、上記のとおり、IJPによる印字ドットの形状が重要であることもわかった。IJPで印字されるドットは円形状となるが、ドットの広がりが大きく全体に皮膜厚みが薄い場合、ドットの円周部のみ盛り上がり中が薄い場合、及び、ドットの中央部が盛り上がり周辺部が薄い場合は、磨耗試験を行うと薄い部分が数回擦られるだけで消えてしまい、繰り返し磨耗を続けていくと見かけ上、急速に印字がかすれて見えにくくなることが分かった。
すなわち、上記ドット形状は、ある程度皮膜厚みがあり、かつ平滑であることが望ましいことを見出した。
本発明者らは、さらに鋭意研究した結果、高分子量の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂などの塩化ビニル共重合樹脂やポリエステル系樹脂をバインダー樹脂として使用するに
おいて、シリコーンなどのレベリング剤と低沸点溶剤に対する溶解性の良好なインクフロー調整樹脂を併用することでドットの広がりを抑制しさらに皮膜厚みをほぼ平坦にできることを見出した。 さらに、作用機構は不明であるが、添加樹脂として軟化温度の高い樹脂を用いた場合、染料系の色材においてもレトルト殺菌耐性が、使用しない場合より格段に向上することも見出した。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)ポリエステル樹脂又は塩化ビニル共重合樹脂からなるバインダー樹脂、インクフロー調整樹脂、レベリング剤、色素及び溶剤を含むインクジェット用インク組成物であって、
バインダー樹脂がメチルエチルケトンの10重量%溶液200グラムを1ミクロンのフィルターで真空度45cmHgの条件でろ過するときのろ過時間が300秒以下であり、
インクフロー調整樹脂が軟化温度80℃以上であり、かつ、メチルエチルケトンの10重量%溶液のBL粘度計を用いた粘度が20℃の温度で2センチポイズ以下であり、
さらに、インクフロー調整樹脂とレベリング剤とを併用して配合することを特徴とする耐久性の優れたインクジェット用インク組成物。
(2)前記ポリエステル樹脂が、数平均分子量8000〜30000の熱可塑性ポリエステル樹脂又はウレタン変性ポリエステル樹脂であり、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上であることを特徴とする(1)に記載のインクジェット用インク組成物。
(3)前記塩化ビニル共重合樹脂が、数平均分子量8000〜30000又は重量平均分子量20000〜60000であり、共重合成分として酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、ビニルアルコール及びマレイン酸から選ばれる1種又は2種以上を含む共重合樹脂であり、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上であることを特徴とする(1)に記載のインクジェット用インク組成物。
(4)前記レベリング剤がシリコーン系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤であり、インク総重量に対し0.1〜1.0重量%配合することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のインクジェット用インク組成物。
(5)前記インクフロー調整樹脂がアクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジンおよびロジンエステル、フェノール変性ロジン、マレイン酸変性ロジン、テルペンフェノール樹脂、スチレンーマレイン酸樹脂、ケトン樹脂、クマロン・インデン樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる1種又は2種以上であり、バインダー樹脂100重量部に対して5〜50重量部配合することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のインクジェット用インク組成物。
(6)前記インクフロー調整樹脂が、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂から選ばれる1種又は2種以上のフェノール系樹脂であることを特徴とする(5)に記載のインクジェット用インク組成物。
(7)前記色素がモノアゾ系、ジスアゾ系、金属錯体系、シアニン系、トリフェニルメタン系等の油溶性染料であり、バインダー樹脂100重量部に対して20〜100重量部配合することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のインクジェット用インク組成物。
(8)前記溶剤がケトン系、アルコール系、グリコールエーテル系、芳香族系、エステル系の溶剤から選ばれる1種又は2種以上であり、それらの溶剤は、沸点が120℃以下の成分が溶剤全体の70重量%以上を占めることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のインクジェット用インク組成物。
(9)前記溶剤が、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、メチルセロソルブから選
ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする(8)に記載のインクジェット用インク組成物。
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載のインクジェット用インク組成物を用いてマーキングしてなる容器であって、該マーキングの各印字ドット表面が平坦な形状を有することを特徴とするマーキングの施された容器。
(11)前記マーキングの各印字ドットが、少なくとも0.5μm以上の皮膜厚みを有し、平均皮膜厚みが0.5μm以上である平坦な形状を有することを特徴とする(10)に記載のマーキングの施された容器。
本発明により、包装容器に対して、付着性の良い、従来のインクでは得られなかった機械的耐性、特に擦過、磨耗に優れ、更に、パスト殺菌処理、レトルト殺菌処理耐性、アルコール消毒耐性も良好な耐久性ジェットプリンター用インク、さらに、コンテニユアスタイプのIJPにおいて、速乾性かつ高速印字性の良好な耐久性ジェットプリンター用インクを提供することができる。
図1は、表面がリング状(凹型)の形状を有するドット表面を示すものである。 図2は、表面が山状(凸型)の形状を有するドット表面を示すものである。 図3は、表面が平坦な形状を有するドット表面を示すものである(本発明)。
次に、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する樹脂成分としては、皮膜形成時の凝集力に優れ、靭性の良好な性質を有する樹脂成分が必要である。形成される皮膜が脆いと、手もみ抵抗、擦過抵抗が不十分となり、満足できる性能を有するジェットプリンター用インクの製造が困難となる。
アクリル樹脂は、分子量が数万〜十数万と高分子量のものでも溶剤溶解性が良好であるが、得られる皮膜は、概して、やや脆さがある。
その結果、磨耗や擦過耐性などの機械的特性はそれほどよくなく、本発明の目的を満足するものではなく、また、アルコール耐性も不十分である。
エポキシ樹脂は、皮膜が脆弱であり、機械的特性は弱い。
ダイマー酸とジアミンからなるポリアミド樹脂は、比較的柔軟性があり、磨耗特性はややよい。しかし、擦過には弱く、アルコール溶解性であるため、アルコール耐性は極めて不十分である。
ニトロセルロースやその他セルロース類の機械的特性も、ポリアミドと同程度であるが、一般的に付着性に劣り、アルコール耐性も不十分である。また、該樹脂には、通常、密着性を付与するためにロジン樹脂やテルペン樹脂が配合されるため、耐擦過性や耐摩耗性等の機械的特性を損なわれる。
フェノール樹脂、ブチラール樹脂、その他一般的にこれまでIJP用として公知の樹脂材料は、脆弱であり、機械的特性は弱いことから、本発明で使用する樹脂としては適切ではない。
以上のことから、本発明では、基本となる樹脂成分としては、凝集力に優れ、靭性の良好なポリエステル樹脂および塩化ビニル共重合樹脂を用いる。
本発明者らは、上記樹脂を使用し、さらに、低沸点溶剤に溶解性の良好な樹脂及びシリコ−ン系又はフッ素系レベリング剤を併用することで、印字ドットの最低皮膜厚み及び平
均皮膜厚みが少なくとも0.5ミクロン以上であり、かつ平坦な形状とすることができ全般的性能を満足する耐久性ジェットプリンター用インクが得られることを見出し、本件発明の完成に至ったものである。
[バインダー樹脂について]
(熱可塑性ポリエステル樹脂およびウレタン変性ポリエステル樹脂)
熱可塑性ポリエステル樹脂およびウレタン変性ポリエステル樹脂の分子量は、数平均分子量で8000〜30000、好ましくは10000〜30000である。
数平均分子量が8000より低いと皮膜が脆弱となり易く、磨耗抵抗や擦過抵抗性が弱くなる、また、30000より大きいとインク中の所望バインダー量に対する粘度が大きくなり、IJP適性が低下する傾向がある。さらに、数平均分子量が30000を超えると低沸点溶剤に対する溶解性が低下する。
熱可塑性ポリエステル樹脂の代表的なものには、東洋紡のバイロン、ユニチカのエリテールがあり、ウレタン変性ポリエステルでは東洋紡バイロンURがある。
それ以外では、大日精化ハイミラック、大日本インキのクリスボン、日本ポリウレタンのニッポランなどが挙げられる。
(塩化ビニル共重合樹脂)
塩化ビニル共重合樹脂は、共重合成分として酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、ビニルアルコール又はマレイン酸を含む共重合樹脂などがあげられ、これらの樹脂は、国内外の種々メーカのものが入手可能である。
塩化ビニル共重合樹脂の分子量は、数平均分子量で8000〜30000、好ましくは10000〜30000、重量平均分子量で20000〜60000、好ましくは30000〜50000である。
熱可塑性ポリエステル樹脂等と同様に数平均分子量が8000より低いと皮膜が脆弱となり易く、磨耗抵抗や擦過抵抗性が弱くなる傾向があり、30000より大きいとインク中の所望バインダー量に対する粘度が大きくなり、IJP適性が低下する傾向がある。重量平均分子量が20000より低い場合及び60000より大きい場合も、上記数平均分子量の場合と同様である。
代表的な樹脂としては、例えば、日信化学のソルバイン、ワッカーのVINNOLなど種々のグレードの樹脂が挙げられ、それらのグレードの中では、上記のとおり、数平均分子量が8000以上又は重量平均分子量が20000以上であれば、樹脂の靭性が大きく、磨耗耐性、擦過耐性に優れるだけでなく、アルコール耐性も良好なインクとすることができる。また、IJP適性についても、上述のとおりである。
本発明では、熱可塑性ポリエステル樹脂およびウレタン変性ポリエステル樹脂、塩化ビニル共重合樹脂も上記で挙げたものに限定されない。
本発明の樹脂としては、分子量が上記範囲に入るものであり、かつ樹脂のガラス転移温度が40℃以上のものが好ましく使用できる。ガラス転移温度がこれより低いとパスと、耐性やレトルト耐性が低下する。
また、本発明のバインダー樹脂は、メチルエチルケトンの10重量%溶液200グラムを1ミクロンのフィルターで真空度45cmHgの条件でろ過するときのろ過時間が300秒以下、より好ましくは180秒以下であることが好ましい。
インクジェット用インクでは粘度が著しく高い場合に印字が不可能であったり、印字が乱れたりするため適正な粘度である必要がある。しかし、粘度が普通の値であっても、目では見えないミクロゲルなどがあるときも印字は困難である。このように粘度だけでは必ずしも規定できず、インクのろ過性も重要な要件である。
インクのろ過速度が300秒より遅い場合には、粘度が高過ぎるか、もしくはフィルタ
ーを通りにくいミクロゲル粒子があるため、IJP適性からみて好ましくない。ろ過詰まりを生ずる場合は無論のことである。
[ドット形状調整剤について]
(レベリング剤)
インク皮膜のヌレ性およびドット形状を調整するため、シリコーン系、フッ素系界面活性剤を使用できる。
上記シリコーン系レベリング剤としては、メチル、ジメチル、フェニルなど各種シリコーンオイル、フェニルアルキル基や脂肪酸あるいはポリオキシエチレンやプロピレンなどによる変性シリコーンオイル、エーテル、アミノ化合物、フェニルなどで変性された変性シリコーンオイルが使用でき、代表的なシリコーンレベリング剤としては、信越化学(株)製のFZ2123、2208、KF−56が挙げられる。
フッ素系レベリング剤としては、具体的にはダイキン工業(株)製のDS−403や大日本インキ(株)製のメガファックF―470などがあげられる。
これらは単独でも複数混合して使用してもよく、レベリング剤の添加量は、インク重量の0.1〜1.0重量%、より好ましくは0.2〜0.8重量%である。
(インクフロー調整樹脂)
本発明で使用するインクフロー調整樹脂(以下、調整剤と略すこと有り。)としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ロジンおよびロジンエステル、フェノール変性ロジン、マレイン酸変性ロジン、テルペンフェノール樹脂、スチレンーマレイン酸樹脂、ケトン樹脂、クマロン・インデン樹脂、セルロース樹脂類、ポリエステル樹脂などが挙げられ、これらの中ではフェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂から選ばれる1種又は2種以上のフェノール系樹脂を好適に用いることができる。
これらの樹脂は単独あるいは混合する形で配合してもよく、添加量はバインダー樹脂100重量部に対して5〜50重量部、好ましくは10〜30重量部の割合である。また、インクフロー調整樹脂の軟化温度は少なくとも80℃以上、好ましくは120℃以上であり、かつ、メチルエチルケトンの10重量%溶液のBL粘度計において#19ローター&60回転/分、20℃の温度での粘度が2センチポイズ以下である。この粘度が、20℃の温度で2センチポイズを越える場合は、印字ドットの平滑性が劣るものとなり、付着したインクの耐久性が悪化する。これらの樹脂の溶液粘度は、実際には溶剤そのものの粘度以下にはなり得ないが、低ければ低いほどよく、その場合より少ない量で印字ドット平滑化効果が得られる。
[色素について]
本発明で使用できる着色剤としては、モノアゾ系、ジスアゾ系、金属錯体系、シアニン系、トリフェニルメタン系等の油溶性染料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
代表的な色素としては、ソルベントブラック3、5、7、22、27、28、29、
34、43,
ソルベントレッド8、18、23(スーダンレッドIII)、83、122、125、13
2,168、179、
218他
ソルベントブルー7、11、35 47、48、58、70、136,
ソルベントイエロー2、21、29、88、89,
ベーシクブルー5、7,
ベーシクバイオレット1、3,
ベーシクレッド1、8,やベーシックブルー1、7、などの塩基性染料、アシッドブラック1、2、31などの酸性染料が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、また、これらの2種以上を混合して使用することもできる。
色素の配合量は、バインダー樹脂100部に対して20〜100部の割合で配合することが重要であり、これより少ないと印字の色調が薄くなり、見栄えが悪くなる。
また、バインダー量に対する色素量の割合がこれより多いと、バインダーによる色素の保持性が低下し、磨耗や擦過、手もみに対する抵抗性が著しく低下することとなる。さらに好ましい色素の配合量は、バインダー樹脂100部に対して30〜70部である。
[溶剤について]
本発明に使用される溶剤は、ケトン系、アルコール系、グリコールエーテル系、トルエンなどの芳香族系、エステル系などいずれの溶剤でもよいが、それらの溶剤は、沸点が120℃以下の成分が溶剤全体の70重量%以上を占めることが速乾性を維持する為に重要である。
代表的には、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、メチルセロソルブなどが挙げられる。
[他の添加剤について]
(導電剤)
本発明の耐久性インクジェット用インク組成物にコンテニュアス方式によるインクジェットプリンター適用性を付与するため、導電剤を添加してもよい。
該導電剤としては、沃化カリウム、臭化リチウムなどのアルカリあるいはアルカリ土類金属のハロゲン化塩、チオオシアン酸ナトリウム、カリウムなどの有機アルカリ金属塩、チオシアン酸アンモン、ジメチチルアミンやヒドロキシアミンの塩酸塩等の有機アミン塩、テトラブチルアンモニウムおよびホスホニュムのハロゲン化塩やトリフェニルブチルのアンモニュムおよびホスホニュムのハロゲン化塩など、一般にコンテニュアス方式のIJPに使用される導電剤はいずれも使用できる。
これらの導電剤は、単独でも複数混合して使用してもよいが、その添加量はインク重量の0.1〜2%が好ましい。
(塩素化ポリオレフィン)
ポリオレフィンを使用した包装機材などに対しては、付着性を補う観点から塩素化ポリオレフィンを使用してもよい
該塩素化ポリオレフィンとしては、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン及びこれらをアクリル酸あるいはウレタンで変性した変性塩素化ポリオレフィンが使用でき、塩素含有量10〜60%、重量平均分子量10000〜100000の範囲のものが好適に使用できる。
また、バインダー樹脂と塩素化ポリオレフィン樹脂の割合は、本願発明の目的から重量比で8/2〜5/5の範囲が好ましい。
(可塑剤)
さらに、本発明では、塩ビ樹脂の柔軟性を向上させる目的で可塑剤を配合してもよい。
該可塑剤としては、脂肪酸エステル類、脂肪族2塩基酸エステル類、ポリアルキレングリコール類及びこれらのエーテルないしエステル類、ポリエステル系可塑剤、DDPやDOAなどのフタル酸エステル類、エポキシ化大豆油、モノ、ジあるいはトリグリセライドなど一般にビニル樹脂に使用される可塑剤ならば適宜使用することができる。
上記以外の添加剤では、さらに、磨耗や擦過性を向上させる目的で脂肪酸アミドやワックス類を添加することもできる
本発明の耐久性インクジェット用インク組成物は、コンテニュアス方式のIJPにより包装容器等の分野にて高速印字される場合に優位であるが、適用方式はこれに限らず、オンデマンドやピエゾ方式でなど種々のプリンタなどにも適用でき、さらに、IJプリンタに限らずスタンプやロール方式による印刷などにも応用できる。
また、本発明の耐久性インクジェット用インク組成物を用いて印刷できる対象物は、包装容器分野に限らず、その他の容器、器具、電機部品など一般的にIJPにより印字やマーキングの施される分野に広く使用することができる。
以下、実施例により本発明を説明するが、いかなる場合も、該実施例によって本発明の範囲を制限するものではない。
[バインダー樹脂]
以下に本発明においてバインダー樹脂として使用可能なものの例を示す。
Figure 2011105818
Figure 2011105818
表3に、本発明における比較例としてのポリエステル、塩化ビニル共重合樹脂の例を挙げる。
これら本発明の範囲から外れている樹脂は、耐久性におとるものであり、また、分子量が本発明の範囲であっても、所定の条件下でのろ過時間が300秒を越える場合やろ過が不可能な場合は、上記ろ過時間の条件を満足するバインダーを使用する場合に比べ、インク製造時の困難性が増すので好ましくはない。
Figure 2011105818
表4に、各種インクフロー調整樹脂の例を示したが、これらはいずれも本発明で使用可能な樹脂である。ここに記載した例に限らず、軟化温度および溶液粘度が本発明の範囲のものであればいずれでも使用できる
Figure 2011105818
なお、上記の各表におけるろ過時間及び溶液粘度は、以下の方法で測定した。
[ろ過時間(秒)]
樹脂の濃度が10重量%となるようにMEKに溶解させる。
70mm径の東洋濾紙(株)製5Cの濾紙をブフナー漏斗に装着し、45cmHg
の真空度で樹脂溶液200グラムをろ過した時の時間を求めた。
[溶液粘度(cPS)]
MEKにインクフロー調整樹脂が10重量%となるように溶解させ、BL粘度計
にて#19ローターを使用して60回転/分、20℃の条件で測定した。
以下に本発明の実施例に使用するレベリング剤、色素、導電剤および溶剤を示した。
レべリング剤
D1 ポリアルキレンオキシド変性シリコン FZ2123
D2 パーフルオロアルキルオキシエチレン付加物 DS−403
色素
E1 バリストファブラック3820
E2 ソルベントブラック3
E3 スーダンレッドIII
導電剤
F1 チオシアン酸カリウム
F2 バリストファブラック3820
F3 バリストファレッド2320
溶剤
G1 メチルエチルケトン(MEK)
G2 メタノール(MeOH)
G3 トルエン(ToL)
G4 メチルセロソルブ(Mecel)
実施例に示す各種評価方法を以下に記載する。
IJP適性
日立製コンテニュアスタイプのPX−Rを用いて、周波数および電圧を変えて印字可能領域を調べる。
○ 広い周波数帯で印字可能電圧を確保できる
△ 周波数帯はやや狭いが印字可能電圧は確保できる
× 印字可能範囲が狭く安定な印字ができない
印字ドットの膜厚測定(最低膜厚、平均膜厚)
触針式粗さ計を用いて印字ドットの断面形状を測定して求めた。
中間層にアルミ箔を用い、最外層がPETフィルムからなるレトルト用パウチにIJPにより印字し、以下の試験に供した。
ゴム摩耗試験
ドイツ製RASOPURASUT−526B4グレードの消しゴムを用いた。
ゴムを印字面に強く押しつけて擦る。往復を1回とし、印字がかすれて見えにくくなるまでの回数を求めた。
段ボールアブレジョン試験
包装容器用ダンボールを10cm角に切り出し、内面側を外に向けて2Kgの重りに張り付ける。ダンボール面を印字面に乗せて、約6〜7cmのストロークでおよそ往復40回/秒の速さで擦る。印字がかすれて見えにくくなるまでの回数を求めた。段ボールはサンプル毎に取り換えた。
エタノール耐性
エタノールに浸した布を用いて、印字面を中程度の力で往復10回擦る。
○ 変化なし
△ やや薄くなるが判読できる
× 印字がとれて消えてしまう
熱水浸漬試験
印字サンプルを沸騰水中に20分浸漬して、印字の滲みの程度を評価した。
○ 変化なし
△ やや薄くなるが十分判読可能
× 判読可脳だが、かなり薄くなり、滲みも見られる。
レトルト試験
印字サンプルを全自動レトルト装置の釜内にセットし、121℃−30分殺菌処理をしたレトルト処理後の印字の滲みの程度を評価した。
○ 変化ないか、微かに滲みが見られる程度で印字はきれいな状態
△ やや滲みが見られる程度
× 判読可脳だがかなり滲んで汚れた状態
輸送試験
印字サンプルに水を所定量充填後、ヒートシールして密封した。この充填サンプルを所定のカートンケースに横おきに緊密に配列し輸送包装形態とした。このダンボールを5段積みに重ねてトラックに積載し、東京から福岡まで2回往復輸送させた後、印字の状態を観察した。
○ 変化ない
△ カートンの下段にあるパウチでややかすれが見られるが十分判読可能
× カートンの下段にあるパウチで判読しづらいまで印字のかすれたサンプルが頻
発しており、中ほどのパウチにも散見される
[実施例1]
MEKにバインダー樹脂としてバイロン240(A1)を12重量%、インクフロー調整樹脂(以下、調整剤)としてヒタノール1140(C1)を2重量%、レベリング剤FZ2123(D1)を0.5%、導電剤チオシアン酸カリウムを0.6%(F1)、色素としてソルベントブラック3(E2)を4重量%となるように溶解させ、1μフィルタ―にて濾過して実施例1のインクを作成した。
このインクについて、日立製インクジェットプリンター(IJP)PX−Rを用いてインクジェット適性を調べた。更に、中間層にアルミ箔を用い最外層がPETフィルムからなるレトルト用パウチに印字した。この印字サンプルについて印字ドットの平滑性、ゴムによる摩耗試験、段ボールによるアブレジョン試験、熱水浸漬試験、レトルト試験、エタノール試験、輸送試験を行った。
試験の結果、印字ドットはほぼ平滑であり、摩耗、アブレジョンなどの試験においても極めて良好な結果が得られた。
[実施例2]
実施例1のバインダー樹脂の量を8重量%とする以外は、実施例1と同様にしてインクを作成した。
このインクの印字ドットの被膜厚みは、薄い所で約0.6ミクロン、平均厚みで約0.7ミクロンであった。評価の結果、摩耗、段ボールによるアブレジョンで実施例1よりやや劣るものの、現在市販されているあらゆるインクよりも耐性が良好であり、また輸送試験による実用適性においても十分な耐性を示した。その他の試験では実施例1と同様良好な結果であった。
[比較例1]
調整剤を用いない以外は実施例1と同様にして、インクを作成し評価を行った。
このインクのIJP特性、エタノール耐性、熱水浸漬試験の結果は、実施例1と同様良好であった。印字ドットの形状は、ドット中央部が高く盛り上がり周辺の被膜厚みが薄い形状を示し、この印字の摩耗、段ボールによるアブレジョン耐性は実施例1よりもやや劣る結果であった。
また、レトルト耐性についても、滲みが若干みられる個所がある。実用的には現在市販のすべてのインクより良好であったが、実施例1よりは多少劣る結果であった。摩耗やアブレジョン耐性は、実用的には現在市販のすべてのインクより良好であったが、実施例1よりは劣る結果であった。
[比較例2]
調整剤およびレベリング剤を用いない以外は実施例1と同様にして、インクを作成し評価を行った。
印字ドットの形状は、比較例1のドット径よりやや広がっており、ドット中央の高さがやや低いものの比較例1と同様な形状を示しており、評価結果は比較例1に比べ劣る結果であった。
[比較例3]
実施例2において調整剤を用いない以外は実施例2と同様にして、インクを作成した。
このインクの印字のドット形状は、実施例2におけるドットに比べドットが薄く広がり大きくなっているが中央部は凸状になっており、摩耗や段ボールによるアブレジョン耐性は実施例2より劣り、実用的に満足できる結果ではなかった。
[比較例4]
実施例2においてレベリング剤を用いない以外は実施例2と同様にして、インクを作成した。このインクの印字のドット形状は、薄く広がり端部が少し盛り上がったリング形状であり比較例3と同様耐性は弱く、実用的に満足できる結果ではなかった。
これらの結果を表5にまとめて示す。バインダー固形分が高い場合は、レベリング剤および/または調整剤を使用しないと印字ドットはいずれも凸型であり、平滑にすることは困難であった。バインダー固形分が低くなると、逆に印字ドットは薄く広がった凸型またはリング形状(凹型)となり、調整剤およびレベリング剤の併用添加効果が認められ、それに伴って印字被膜の耐久性が向上した。
Figure 2011105818
[実施例3]
MEKにバインダー樹脂としてバイロン240(A1)を10重量%、調整剤としてロジン変性フェノール樹脂(C4)を2重量%、レベリング剤としてFZ2123(D1)を0.4%、導電剤としてチオシアン酸カリウム(F1)を0.5%、色素としてソルベントブラック3(E2)を4重量%となるように溶解させ、1μフィルタ―にて濾過して実施例3のインクを作成した。
以下実施例1と同様にして印字サンプルを作成し評価を行った。
試験の結果印字ドットはほぼ平滑であり、実施例1と同様摩耗、段ボールによるアブレジョンなどの試験においても、極めて良好な結果であった。結果を表6に示した。
さらに、以下の表6に示す各種調整剤を用いて、実施例3と同様に、実施例4〜8のインクを作成し、その評価を行った結果を表6に併せて示す。いずれも良好な印字ドットの平滑効果を示すものであった。
Figure 2011105818
[実施例9〜14]
表7に示すとおり、バインダー樹脂を変えた組成のインクを作成し、実施例1と同様に評価を行った。いずれのインクも良好な結果を示し、本発明の範囲のバインダー樹脂であれば実用的に十分な耐性を有するインクとすることができた。
Figure 2011105818
[比較例5〜10]
表8に示した組成で比較例5〜7のインクを作成し、また、本発明とは樹脂バインダーが異なるが、汎用インクとして多用されている市販のインクを含めて評価を行った(比較例8〜10)。
その結果、比較例7を除いて、いずれのインクも印字ドットの最低膜厚が0.5ミクロン以上あるものの、摩耗やアブレジョン耐性は極めて弱く、本発明で要求されているような実用適性に乏しいものであった。比較例7はバインダー樹脂の量が7重量%と低い状態でもIJPでの印字が困難であった。
Figure 2011105818
[実施例15〜18]
調整剤およびレベリング剤の量を変えて、表9に示した組成で実施例15〜18のインクを作成し評価を行った結果、いずれの場合も良好であった。
Figure 2011105818
[実施例19]
実施例15および18のインクを用いて、ノズル径55ミクロンのビデオジェット製高速対応IJPにて飲料缶用アルミ蓋に印字を行った。印字スタイルは5×7ドットパターン、アルファベット文字にて8桁×2段印字(印字幅15mm)、速度は線速120mの条件で行った。
いずれのインクも文字の乱れもなくきれいに印字できた。またこの条件で2週間連続的に運転試験を行ったが、特に問題となるトラブルもなく安定に運転できることが分かった。
実施例15のインクの印字品はレトルト耐性が良好であった。一方、実施例18のインクの場合はレトルト処理で滲みが見られる結果であったが、その他の評価はきわめて良好であり、また両インクとも、爪で十数回引っかいても削り取られることなく、実用適性は十分にあることがわかった。
[比較例11]
比較例8の市販インクを用いて、実施例19と同様な試験を行った。IJPでの連続運
転安定性では特に問題なかったが、印字の乱れがあり読み取れない文字が散見された。
また評価は比較例8の結果と同一であったが、爪では1−2回程度で容易に削り取られる状態であった。
[実施例20]
実施例2で色素を変えてスーダンレッドIII(E3)を3重量%、および導電剤を変え
てバリストファーレッド2320(F3)を1重量%用いる以外は実施例1と同様にインクを作成し評価を行った。
評価結果はレトルト処理で微かな滲みが見られるが、商品上は特に問題ない状態であり、実用的に 十分な耐性を有していた。
[実施例21]
実施例15および18に示したインクを用いて、種々の容器、PETボトル、コーヒ飲料用金属缶の缶底、最外装がナイロンやPETのフレキシブルパウチ、ガラス容器などに印字し評価を行った。評価は磨耗、アブレジョン、輸送試験を行ったが、いずれの試験においても、削りあるいは擦りとられて判読できないことはなく印字は良好な状態を保っていた。
[比較例12]
比較例9の市販インクを用いて、実施例21と同様な試験を行ったが、輸送試験においても文字がかすれており判読できない印字品が散見された。
本発明によれば、食品包装分野における包装容器、特に金属容器、表層がナイロンやポリエステルなどからなるフレキシブルパッケジ(以後FPと略す)、ガラス容器などに対して密着性、磨耗耐性、擦過耐性及びアルコール耐性に優れ、かつ殺菌耐性の優れた耐久性ジェットプリンター用インク組成物を提供することができ、従来のジェットプリンター用インク組成物が持つ問題点を解消することができる。

Claims (11)

  1. ポリエステル樹脂又は塩化ビニル共重合樹脂からなるバインダー樹脂、インクフロー調整樹脂、レベリング剤、色素及び溶剤を含むインクジェット用インク組成物であって、
    バインダー樹脂がメチルエチルケトンの10重量%溶液200グラムを1ミクロンのフィルターで真空度45cmHgの条件でろ過するときのろ過時間が300秒以下であり、
    インクフロー調整樹脂が軟化温度80℃以上であり、かつ、メチルエチルケトンの10重量%溶液のBL粘度計を用いた粘度が20℃の温度で2センチポイズ以下であり、
    さらに、インクフロー調整樹脂とレベリング剤とを併用して配合することを特徴とする耐久性の優れたインクジェット用インク組成物。
  2. 前記ポリエステル樹脂が、数平均分子量8000〜30000の熱可塑性ポリエステル樹脂又はウレタン変性ポリエステル樹脂であり、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク組成物。
  3. 前記塩化ビニル共重合樹脂が、数平均分子量8000〜30000又は重量平均分子量20000〜60000であり、共重合成分として酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、ビニルアルコール及びマレイン酸から選ばれる1種又は2種以上を含む共重合樹脂であり、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク組成物。
  4. 前記レベリング剤がシリコーン系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤であり、インク総重量に対し0.1〜1.0重量%配合することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット用インク組成物。
  5. 前記インクフロー調整樹脂がアクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジンおよびロジンエステル、フェノール変性ロジン、マレイン酸変性ロジン、テルペンフェノール樹脂、スチレンーマレイン酸樹脂、ケトン樹脂、クマロン・インデン樹脂、ポリエステル樹脂から選ばれる1種又は2種以上であり、バインダー樹脂100重量部に対して5〜50重量部配合することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット用インク組成物。
  6. 前記インクフロー調整樹脂が、フェノール樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂から選ばれる1種又は2種以上のフェノール系樹脂であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット用インク組成物。
  7. 前記色素がモノアゾ系、ジスアゾ系、金属錯体系、シアニン系、トリフェニルメタン系等の油溶性染料であり、バインダー樹脂100重量部に対して20〜100重量部配合することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット用インク組成物。
  8. 前記溶剤がケトン系、アルコール系、グリコールエーテル系、芳香族系、エステル系の溶剤から選ばれる1種又は2種以上であり、それらの溶剤は、沸点が120℃以下の成分が溶剤全体の70重量%以上を占めることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット用インク組成物。
  9. 前記溶剤が、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、メチルセロソルブから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット用インク組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェット用インク組成物を用いてマーキングしてなる容器であって、該マーキングの各印字ドット表面が平坦な形状を有することを特徴とするマーキングの施された容器。
  11. 前記マーキングの各印字ドットが、少なくとも0.5μm以上の皮膜厚みを有し、平均皮膜厚みが0.5μm以上である平坦な形状を有することを特徴とする請求項10に記載のマーキングの施された容器。
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