JP2002068637A - エレべータ制御用ケーブルの取替方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 仮設運転装置の設置を必要とせず、しかも、
制御ケーブル取替作業の工期が短いエレべータ制御用ケ
ーブルの取替方法の提供。 【解決手段】 制御室の配電盤から昇降路内を経てカゴ
側の接続端末まで配線されたエレべータ制御用ケーブル
の取替方法において、既設の旧制御ケーブルをそのまま
温存した状態の下で、新制御ケーブルを前記旧制御ケー
ブルの配線ルートに沿って配線し、作業の最適段階にお
いて、前記配電盤及び接続端末に対する旧制御ケーブル
の両端末の接続を外して、前記新制御ケーブルの両端末
を接続することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エレベータ制御室
の配電盤から、昇降路内を経て、カゴ側の接続端末まで
配線されたエレべータ制御用ケーブルの取替方法に関す
る。以下、このエレべータ制御用ケーブルを制御ケーブ
ルともいう。

【０００２】

【従来の技術】エレべータのカゴ側の接続端末には、制
御室に設置された配電盤からのエレべータ制御用ケーブ
ル(制御ケーブル）が、昇降路及びカゴ側床下を経て、
配線されている。この制御ケーブルは、破損或いはエレ
べータシステムを新型に改善する等の際に取り替えられ
る。従来、この取替作業では、先ず、既設の制御ケーブ
ルを全面的に撤去した後、旧制御ケーブルが撤去された
配線ルートの上に重なるようにして、新たな制御ケーブ
ルが配線されていた。

【０００３】以下、従来の制御ケーブルの取替方法図４
に基づいて説明する。図３は昇降路側に配線された制御
ケーブル取替後の配線状態図である。図中の符号１はカ
ゴ(非図示)が昇降移動する昇降路、２はカゴ(非図示)の
昇降移動を案内するガイドレール、３は制御ケーブルの
中間接続具であり、この中間接続具３を介して、昇降路
１内に配線された制御ケーブル５とカゴ側に配線された
制御ケーブル６とが接続されている。尚、図中の４は制
御ケーブル吊り手、１３はエレベータ駆動手段が設置さ
れた制御室、１４は制御室の床、即ち、この例では昇降
路１の天井である。

【０００４】一般に、新旧制御ケーブルの取替作業に際
しては、予め、取替作業においてカゴを利用できるよ
う、カゴを運転するための仮設運転装置が、取替作業に
先立って予め設置される。取替作業に当たっては、こう
して事前に設置された仮設運転装置(非図示)を利用し
て、例えば、カゴを作業足場や資材運搬用として活用し
ながら、昇降路１側に配線された旧制御ケーブル５や、
カゴ側に配線された旧制御ケーブル６や、旧制御ケーブ
ル６と旧制御ケーブル５とを中継する中間接続具３や、
カゴ側の床下ケーブル吊り手(非図示、図２の符号１１
参照)等、既設の旧制御ケーブル及びその関連部材等が
全面的に撤去されていた。

【０００５】こうして、旧制御ケーブル及びその関連部
材等が全面的に撤去された後、昇降路１内側の配線作業
においては、新制御ケーブル７が旧制御ケーブル５が撤
去された跡と同じ個所に配設されていた。同様に、カゴ
側の配線作業においても、新制御ケーブルは旧制御ケー
ブルが撤去された跡と同じ個所に配設されていた。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の取
替方法では、旧制御ケーブルを全面的に取り外した後で
ないと新制御ケーブルを配線することができないため、
取替作業に要する所要時間が長くなっていた。又、この
ため、利用者にとっては、旧制御ケーブル撤去作業の工
期と新制御ケーブルの配設作業の工期とを含めた全期間
にわたって、エレベータを利用できないという不便が生
じていた。又、このような取替作業においては、一般に
取替作業において、カゴを活用できるようにするため、
仮設運転装置やそのケーブルの敷設が事前に行われてお
り、取替作業終了後は、この仮設運転装置やケーブルを
撤去せねばならなかった。従って、このような仮設と撤
去作業とによって、工期が延長されるだけでなく、作業
コスト増の要因ともなっていた。

【０００７】更に又、エレべータのモダニ工事、即ち設
備を近代化する工事においては、既設の制御ケーブルを
全て撤去することになるため、制御ケーブルの取替作業
を、作業効率の上から分割しながら施工することが難し
く、このため、一旦、取替作業が開始されると、終了す
るまでの長い期間にわたって、エレべータを運転するこ
とができないため、利用者に大きな不便を与えていた。

【０００８】本発明は、上記のような取替作業に当たっ
て、仮設運転装置の設置を必要とせず、しかも、制御ケ
ーブル取替作業の工期が短いエレべータ制御用ケーブル
の取替方法の提供を目的とする。

【０００９】

【課題を解決しようとする手段】請求項１の発明は、制
御室の配電盤から昇降路内を経てカゴ側の接続端末まで
配線されたエレべータ制御用ケーブルの取替方法におい
て、既設の旧制御ケーブルをそのまま温存した状態の下
で、新制御ケーブルを前記旧制御ケーブルの配線ルート
に沿って配線し、作業の最適段階において、前記配電盤
及び接続端末に対する旧制御ケーブルの両端末の接続を
外して、前記新制御ケーブルの両端末を接続することを
特徴とする。

【００１０】請求項２の発明は、請求項１に記載のエレ
べータ制御用ケーブルの取替方法において、昇降路内及
びカゴ側での新制御ケーブルは、旧制御ケーブルと略平
行に配線することを特徴とする。

【００１１】請求項３の発明は、請求項２に記載のエレ
べータ制御用ケーブルの取替方法において、昇降内にお
いては、ガイドレールに固定した介在部材を介して新制
御ケーブルを当該ガイドレールと略平行に配線すること
を特徴とする。

【００１２】請求項４の発明は、請求項１乃至請求項３
の何れかに記載のエレべータ制御用ケーブルの取替方法
において、新制御ケーブルは、旧制御ケーブルと曲率の
異なるケーブルであることを特徴とする。

【００１３】請求項５の発明は、請求項４に記載のエレ
べータ制御用ケーブルの取替方法において、曲率の異な
るケーブルはその断面形状が異なることによって曲率が
異なるケーブルであることを特徴とする。

【００１４】

【発明の実施の形態】実施の形態１．実施の形態１のエ
レべータ制御用ケーブルの取替方法は、制御室の配電盤
から、昇降路内及びカゴの床下側を経て、カゴ側の接続
端末としてのジョイントボックスまで配線された旧制御
ケーブルを既設のまま温存した状態の下で、新制御ケー
ブルを旧制御ケーブルの配線ルートに沿って配線し、取
替作業の最適段階において、前記制御室の配電盤及びカ
ゴ側の接続端末と接続されている前記旧制御ケーブルの
両端末をそれぞれ取り外し、前記新制御ケーブルの両端
末を配電盤及び接続端末にそれぞれ接続することを内容
とする。

【００１５】以下、これを図１乃び図３に基づいて説明
する。図１は昇降路内の配線状態図、図２はカゴ側の配
線状態図、図３は取替後の昇降路内の配線状態図であ
る。尚、図１乃至図３において、図４と同一の符号は同
様の内容であるので、その説明を省略する。

【００１６】図１乃至図２において、制御室１３には配
電盤(非図示)が設置されており、この配電盤から、昇降
路１内及びカゴ９の床下側を経て、カゴ側の接続端末と
してのジョイントボックス１０まで旧制御ケーブル５、
６が配線されている。こうして配線されている旧制御ケ
ーブル５、６をそのまま温存した状態の下で、新制御ケ
ーブル７を旧制御ケーブル５、６の配線ルートに沿っ
て、略平行に配線する。

【００１７】この場合、昇降路１内においては、図１に
示すように、新制御ケーブル７は旧制御ケーブル５とガ
イドレール２との間に配線する。この場合、新制御ケー
ブル７は、ガイドレール２の昇降路１の天井側に近い位
置即ち頂部に、介在部材として例えば新規に取り付けら
れた新制御ケーブル吊り手８を介して、ガイドレール２
と略平行に新制御ケーブル７を吊り下げる。

【００１８】他方、カゴ９側においては、図２に示すよ
うに、新制御ケーブル７の下端側を旧制御ケーブル６と
略平行に配線する。この場合、カゴ９の床下側において
は、従来と同様に、所要の撓み長さを持たせながら配線
するが、新制御ケーブル７と旧制御ケーブル６との曲り
具合、即ち、曲率の違いを利用して配線する。例えば、
旧制御ケーブル６の断面形状が丸形の場合に、新制御ケ
ーブル７の断面形状が平形のケーブルを用いることによ
り、丸形よりも平形の平らな側面方向への曲率の方が小
さくなるのを利用して配線する。断面形状が異なること
により当該制御ケーブルの曲げ度合いも異なる。

【００１９】これにより、新制御ケーブル７の撓みを適
度に取ることにより、既設の旧カゴ下ケーブル吊り手１
１に対して、新カゴ下ケーブル吊り手１２は制御ケーブ
ルの延在方向に対して、その取り付け位置が異なること
になるので、新カゴ下ケーブル吊り手１２の取り付け及
び当該吊り手１２への新制御ケーブル７の取り付け作業
において、旧制御ケーブル６やその吊り手１１の存在が
邪魔にならず、比較的容易に配線作業を行うことができ
る。

【００２０】又、カゴ９の側面側における配線は、カゴ
側面固定手段としての例えばサドル１５を用いて、旧制
御ケーブル６と略平行に新制御ケーブル７を配線して行
き、カゴ側の接続端末としてのジョイントボックス１０
と接続可能な位置まで新制御ケーブル７の下端側を延在
させ、未接続の状態にしておく。他方、新制御ケーブル
７の上端端側においても、制御室１３の配電盤と接続可
能な位置まで新制御ケーブル７の上端側を延在させて、
未接続の状態にしておく。この形態１では、制御室１３
の床１４に設けた配線穴(非図示)を介して制御室１３内
に通線し、その端末を配電盤内へ引き入れている(非図
示)。

【００２１】新制御ケーブル７の上下両端末側を、上記
のように、それぞれ接続可能な状態にした上で、例え
ば、取替作業の最適段階において、前記制御室１３の配
電盤及びカゴ側の接続端末（１０）に接続されている前
記旧制御ケーブル５、６の両端末の接続をそれぞれ取り
外して、前記新制御ケーブル７の両端末をそれぞれに接
続、即ち結線する。尚、取替作業の最適段階は、作業環
境に応じて任意に選択すればよい。例えば、取替作業の
初期段階において、新制御ケーブル７を配線し終えたら
直ぐに、その両端末を配電盤及びカゴ側の接続端末に接
続してもよい。

【００２２】上記実施の形態１によれば、新制御ケーブ
ル７を予め配線しておき、結線後に、旧制御ケーブル
５、６を撤去すれ良いので、従来の取替方法に比べて、
工期を大幅に短縮することができる。従って、カゴの停
止期間を短くすることができき、利用者の不便を大幅に
解消することができる。又、この新制御ケーブル７の配
線作業においては、温存されている旧制御ケーブル５、
６を用いて、カゴ９を運転して取替作業に活用し、新制
御ケーブル７の両端側を接続後は、この新制御ケーブル
７を用いてカゴ９を運転して、旧制御ケーブル５、６の
撤去作業に活用することができる。

【００２３】又、新制御ケーブル７の接続後は、工事の
途中であってもエレべータの運転が可能となるので、工
期期間中連続して停止させなくても良く、取替作業を効
率よく任意に分割して実施できるので、工事計画を比較
的自在に設定することができる。 従って、従来用いら
れていた、仮設運転装置が不要となるだけでなく、当該
装置の設置及び撤去に要する工期をも省くことができ
る。

【００２４】尚、上記の新制御ケーブル７の配線は仮設
ではなく、本来の配線であり、その配線作業は、旧制御
ケーブル５、６とは別の位置へ配置して取り付けて行く
ので、旧制御ケーブル５、６に対しては何等悪影響を与
えることなく実施することができる。

【００２５】

【発明の効果】請求項１乃至請求項５の発明によれば、
何れも、新旧の制御ケーブルの取替作業に当たって、従
来用いられていた、仮設運転装置が不要となるだけでな
く、当該装置の設置及び撤去に要する工期をも省くこと
ができる。しかも、新制御ケーブルを予め配線してお
き、結線後に、旧制御ケーブルを撤去することにより、
従来の取替方法に比べて、工期を大幅に短縮することが
できる。従って又、カゴの停止期間を短くすることがで
きき、利用者の不便を大幅に解消することができる。

【００２６】又、新制御ケーブルの配線作業において
は、温存されている旧制御ケーブルを用いて、カゴを運
転して取替作業に活用でき、新制御ケーブルの両端側を
接続後は、この新制御ケーブルを用いてカゴを運転し、
旧制御ケーブルの撤去作業に活用することができる。従
って、新制御ケーブルの接続後は、工事の途中であって
もエレべータの運転が可能となるので、工期中連続して
停止させなくても良く、作業を分割して実施できるの
で、工事計画を比較的自在に設定することができる。

【００２７】請求項２乃至請求項５の各発明によれば、
何れも、制御ケーブルは、旧制御ケーブルと別の位置へ
配置して取り付けて行くので、旧制御ケーブルに対して
は何等悪影響を与えることなく、実施することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 昇降路における新旧制御ケーブルの配線状態
図である。

【図２】 カゴ側における新旧制御ケーブルの配線状態
図である。

【図３】 昇降路における制御ケーブル取替後の配線状
態図である。

【図４】 昇降路における取替前の配線状態を示す説明
図である。

【符号の説明】

１ 昇降路、２ ガイドレール、５ 旧制御ケーブル
（昇降路側）、６ 旧制御ケーブル（カゴ側）、７ 新
制御ケーブル、８ 新制御ケーブル吊り手（介在部
材）、９ カゴ、１０ ジョイントボックス（接続端
末）、１１ 旧カゴ下ケーブル吊り手、１２ 新カゴ下
ケーブル吊り手、１３ 制御室、１４ 床（昇降路の天
井）、１５ サドル（カゴ側）。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 制御室の配電盤から昇降路内を経てカゴ
   側の接続端末まで配線されたエレべータ制御用ケーブル
   の取替方法において、 既設の旧制御ケーブルをそのまま温存した状態の下で、
   新制御ケーブルを前記旧制御ケーブルの配線ルートに沿
   って配線し、作業の最適段階において、前記配電盤及び
   接続端末に対する旧制御ケーブルの両端末の接続を外し
   て、前記新制御ケーブルの両端末を接続することを特徴
   とするエレべータ制御用ケーブルの取替方法。
2. 【請求項２】 昇降路内及びカゴ側での新制御ケーブル
   は、旧制御ケーブルと略平行に配線することを特徴とす
   る請求項１に記載のエレべータ制御用ケーブルの取替方
   法。
3. 【請求項３】 昇降内においては、ガイドレールに固定
   した介在部材を介して新制御ケーブルを当該ガイドレー
   ルと略平行に配線することを特徴とする請求項２に記載
   のエレべータ制御用ケーブルの取替方法。
4. 【請求項４】 新制御ケーブルは、旧制御ケーブルと曲
   率の異なるケーブルであることを特徴とする請求項１乃
   至請求項３の何れかに記載のエレべータ制御用ケーブル
   の取替方法。
5. 【請求項５】 曲率の異なるケーブルはその断面形状が
   異なることによって曲率が異なるケーブルであることを
   特徴とする請求項４に記載のエレべータ制御用ケーブル
   の取替方法。