JPH0527416Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はエレベータ巻上機の支持構造に係り、
特に、エレベータ設備の近代化改造（モダニゼー
シヨン）に伴い交換される新設巻上機を支持する
ための構造に関する。

〔従来の技術〕

一般に、近代化改造が行われていないエレベー
タ設備の機械室内では、第３図、第４図に示すよ
うに、綱車２や電動機３や制御機等からなる巻上
機１が、マシンビーム４上に直接支持固定されて
いる。このマシンビーム４は、アンカーボルトに
より機械室床７上に固定されていて、マシンビー
ム４の一端は機械室壁９内に埋め込まれ、他端は
建屋の受梁８の位置まで延出している。また、こ
のマシンビーム４にはそらせ車５が取り付けてあ
り、図示せぬ乗かごとつり合いおもりとを連結す
るロープ６は、機械室内でそらせ車５を介して上
記綱車２に巻掛けられ、機械室床７の穴７ａから
昇降路内へ懸吊されている。そして、マシンビー
ム４が設置された機械室床７上にはアンカーボル
トやその他の機器が突出しているので、仕上げ段
階で、シンダーコンクリート１０を機械室床７の
素面に流し込んである。

ところで、近年、長期間稼動を続けるエレベー
タの故障を少なくしたり、運転効率を高めたり、
さらには意匠を一新するために、エレベータ設備
の近代化改造を行う事例が増えている。そして、
かかる近代化改造で巻上機の新旧交換を行う際
に、機械室壁９やシンダーコンクリート１０に埋
め込まれているマシンビーム４を撤去しようとす
ると、コンクリートの削り作業に多大な時間を要
するため、従来より、既設マシンビームを残した
まま新しい巻上機を取り付けるという改造方法が
採用されている。

すなわち、この種の改造工事は実働中のエレベ
ータの運転を一旦休止させて行うため、利用者の
不便を最小限に抑えるべく作業時間を極力短縮化
させる必要があり、そのため第５図、第６図に示
すように、既設のマシンビーム４を撤去せずに残
し、このマシンビーム４上、もしくはスペーサ２
１を介して機械室床７上に横ビーム１７，１８を
固定し、これらの横ビーム１７，１８上に新しい
マシンビーム１４を横架させて固定し、この新設
マシンビーム１４上にマシン台２５や新しい巻上
機１１を搭載して支持するようにしていた。な
お、第３，４図に示した巻上機１の綱車２は両側
支持方式であるが、第５，６図に示すように、近
年の巻上機１１の綱車１２は片持ち支持方式が一
般的であり、そのためマシン台２５として、綱車
１２の片側に新設巻上機１１支持用の２本のビー
ム２５ｂ，２５ｃが配置されているとともに、他
側に新設そらせ車１５支持用の１本のビーム２５
ａが配置されている。また、改造前はそらせ車５
がマシンビーム４に取り付けてあつたため、ロー
プ６の振動がそらせ車５を介して建屋へ伝播する
虞れがあつたが、そらせ車１５をマシン台２５に
取り付け、かつ防振ゴム２４を介在させるという
改造を行うことによつて、その心配がなくなつて
いるとされていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、上記従来の支持構造は、既設マシンビ
ームに横ビームが横架し、これにマシンビームが
横架するというように、ビームを積み重ねるたび
に横架（交差）させているので、防振部材を介在
させる領域としては両ビームが重なり合う箇所だ
けとなり、防振部材の介在位置が限定されて、所
定の防振効果を得られない恐れがある。

また、所望の防振効果を得るために積み重ねる
ビームの段数を多くすると、新設巻上機が機械室
天井に近づき、巻上機交換時の据付け作業に支障
を来たす不具合がある。

本考案の目的は、防振部材を設置する際、位置
の制約を受けずに配置でき、かつ、所望の防振効
果を確保するとともに、巻上機交換の際の据付け
作業性を良好に保つことができるエレベータ巻上
機の支持構造を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の目的は、機械室内に固定されているマシ
ンビームを残したままエレベータ巻上機を交換す
るに際して、該マシンビームの上方に新たに設置
される巻上機を支持するためのエレベータ巻上機
の支持構造において、上記マシンビーム上に複数
本の横ビーム横架させて固定するとともに、この
横ビーム上に防振部材を介して座ビームを上記横
ビームと同一方向に向けて固定し、この座ビーム
上に新設巻上機固定用マシン台を横架させて固定
した構成とすることにより達成される。

〔作用〕

本考案は、上記のように横ビーム上に、この横
ビームと同一方向に向けられた座ビームを設けた
ので、座ビームの下面が全長にわたつて横ビーム
と対接する。そのため、座ビームの全長にわたつ
て防振部材を設置することが可能となり、良好な
防振効果が期待できる位置に防振部材を配置する
ことができ、所望の防振効果を確保できる。座ビ
ームの追加により所望の防振効果が確保できるた
め、座ビームの分だけ巻上機が天井に近づくにす
ぎず、従来のように互いに横架しているビームを
複数段積み上げる場合に比べて、巻上機の位置を
低くでき、巻上機交換の際の据付け作業性を良好
な状態に保つことができる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図に基づいて説明す
る。

第１図は本考案の一実施例を示す機械室内の正
面図、第２図は第１図のＣ−Ｃ線断面図であり、
第３図ないし第６図と対応する部分には同一符号
が付してある。なお、第１図および第２図は、第
３図および第４図に示す古い巻上機を撤去した
後、新しい巻上機の据付けを完了した状態を示し
ている。

第１図、第２図において、新しい巻上機１１を
据付ける際には、機械室壁９やシンダーコンクリ
ート１０に埋め込まれている既設の２本のマシン
ビーム４を撤去せずに残し、ロープ６を挿通させ
る機械室床７の穴７ａに近設させてこの既設マシ
ンビーム４上に２本の横ビーム２８を横架させて
固定した後、各横ビーム２８上にそれぞれ防振ゴ
ム２４を介して座ビーム２９を上記横ビーム２８
と同じ方向に向けて載置、固定し、この座ビーム
２９上に、新設巻上機１１を支持固定するための
マシン台２５を横架させて固定する。このマシン
台２５は、綱車１２が片持ち支持方式である新設
巻上機１１や新設そらせ車１５を支持するため
に、前記した従来例と同様、３本のビーム２５
ａ，２５ｂ，２５ｃを所定の間隔で平行に配置し
てある。

このように、本実施例にあつては、既設のマシ
ンビーム４に新設巻上機１１の全懸吊荷重を受け
させ、新たにマシンビームを設置する必要がない
ので、機械室内における新設巻上機１１の取付位
置が前記した従来例に比して低くなり、換言すれ
ば機械室天井と新設巻上機１１との間の〓間が広
くなり、据付作業を円滑に行うことができる。ま
た、新設そらせ車１５がマシン台２５に取り付け
てあり、このマシン台２５と横ビーム２８との間
には座ビーム２９および防振ゴム２４が介在させ
てあるので、ロープ６の振動がそらせ車１５を介
して建屋へ伝播する虞れはない。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案によれば、横ビー
ム上に、この横ビームと同一方向に向けられた座
ビームを設けたので、座ビームの下面が全長にわ
たつて横ビームと対接する。そのため、座ビーム
の全長にわたつて防振部材を設置することが可能
となり、良好な防振効果が期待できる位置に防振
部材を配置することができ、所望の防振効果を確
保できる。座ビームの追加により所望の防振効果
が確保できるため、座ビームの分だけ巻上機が天
井に近づくにすぎず、従来のように互いに横架し
ているビームを複数段積み上げる場合に比べて、
巻上機の位置を低くでき、巻上機交換の際の据付
け作業性を良好な状態に保つことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案の一実施例を説明
するためのもので、第１図は改造後の機械室内の
正面図、第２図は第１図のＣ−Ｃ線断面図、第３
図は改造前の機械室内の正面図、第４図は第３図
のＡ−Ａ線断面図、第５図および第６図は従来例
を説明するためのもので、第５図は改造後の機械
室内の正面図、第６図は第５図のＢ−Ｂ線断面図
である。 ４……既設マシンビーム、７……機械室床、１
１……新設巻上機、２４……防振ゴム、２５……
マシン台、２８……横ビーム、２９……座ビー
ム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 機械室内に固定されているマシンビームを残し
   たままエレベータ巻上機を交換するに際して、該
   マシンビームの上方に新たに設置される巻上機を
   支持するためのエレベータ巻上機の支持構造にお
   いて、上記マシンビーム上に複数本の横ビーム横
   架させて固定するとともに、この横ビーム上に防
   振部材を介して座ビームを上記横ビームと同一方
   向に向けて固定し、この座ビーム上に新設巻上機
   固定用マシン台を横架させて固定したことを特徴
   とするエレベータ巻上機の支持構造。