JP2002061705A - すべり免震装置 - Google Patents

すべり免震装置

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JP2002061705A
JP2002061705A JP2000248155A JP2000248155A JP2002061705A JP 2002061705 A JP2002061705 A JP 2002061705A JP 2000248155 A JP2000248155 A JP 2000248155A JP 2000248155 A JP2000248155 A JP 2000248155A JP 2002061705 A JP2002061705 A JP 2002061705A
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芳郎 沖
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造体の大型化に適応でき、また巨大地震を
想定した場合のすべり免震装置おいて、すべり材の相手
となる平滑板が大面積となっても、均一な精度で、特殊
仕様とすることなく作製することができ、また取り付け
作業性が容易である。 【解決手段】 下部躯体と上部躯体との間に配設される
すべり支承を備えてなるすベり免震装置であって、該す
べり支承は下部躯体側に配置される平滑板と上部躯体側
に配置されるすべり材とが相互にそれぞれの滑動面を接
触して配設され、上記平滑板が複数の平滑小板を継ぎは
りしてなり、少なくともすべり支承設置時には、上記継
ぎはりした継ぎ目に上記すべり材の滑動面が接触してい
ない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はすべり免震装置に関
し、特にビル、タワー等の高層構造体から一戸建てなど
の低層構造体に至る建築構造体、道路・鉄道などの橋梁
に至る土木構造体を支持し、地震外力を低減するすべり
免震装置に関する。
【0002】
【従来の技術】免震とは、建物に加わる地震力を何らか
の方法で減少させることである。基礎と建物との間に何
らかの装置を入れて、建物への地震入力の減少を図る
「基礎絶縁型」が免震装置あるいは免震工法の主流とな
っている。例えば、鋼板とゴムを交互に積層した弾性支
承(積層ゴム支承)あるいは積層ゴムの端面に摩擦板を
設けた弾性すべり支承などが提案されている。弾性支承
を使用した免震装置の場合、減衰性能が乏しく、水平方
向の剛性に対する固有振動数近傍の成分が卓越した入力
に対しては共振を起こし、過大な変形に至る。積層ゴム
が破断した場合、構造体の自重を支承できなくなる場合
が生じる。その対策として、ゴム材を高減衰ゴムにする
手法などが考慮されたが、軸力に対する変形量が大きい
という問題があった。また、積層ゴムとともに減衰効果
を持つ主に鉛金属製ダンパの併用も提案されたが、金属
製ダンパが柱の鉛直荷重を支えることができず、粱の一
部に設置する方法しか採用できなかった。
【0003】弾性すべり支承のみを用いた免震構造は大
地震での大変形に対して、すべりによってエネルギーが
消費される利点がある。しかし、弾性すべり支承が、す
べり出すまでは免震効果がなく構造体に対して高周波成
分の低減の効果が薄い。また、地震に対して残留すべり
が発生する。したがって、構造体の位置が大きく移動し
ないように復元性を有する装置、例えば、水平ばねある
いは積層ゴムを併用して移動範囲を規制するものが提案
されている(特開昭63−32036号)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年、
構造体の大型化があり、免震装置で支える構造体の柱の
軸力が 1000 トンを越えるような場合、すべり材の断面
積は許容面圧の設計仕様により異なるが、直径φ900mm
からφ1300mm 程度になる。さらに、巨大地震を想定し
た場合、振幅を±550mm とすると、すべり材の相手とな
る平滑板は一辺の長さが 2400mm 程度の正方形が必要と
なる。このような大きさの平滑板を一枚板で作製しよう
とすると、作製時に均一な精度で作製することが困難で
ある。さらに施工時の取り付け作業性が悪いという問題
がある。
【0005】本発明はこのような問題に対処するために
なされたもので、構造体の大型化に適応でき、また巨大
地震を想定した場合のすべり免震装置おいて、すべり材
の相手となる平滑板が大面積となっても、均一な精度で
作製することができ、また取り付け作業性が容易なすべ
り免震装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は下部躯体と上部
躯体との間に配設されるすべり支承を備えてなるすベり
免震装置であって、該すべり支承は下部躯体側に配置さ
れる平滑板と上部躯体側に配置されるすべり材とが相互
にそれぞれの滑動面を接触して配設され、上記平滑板が
複数の平滑小板を継ぎはりしてなり、少なくともすべり
支承設置時には、上記継ぎはりした継ぎ目に上記すべり
材の滑動面が接触していないことを特徴とする。また、
すべり支承稼働時には、上記すべり材の滑動面が上記継
ぎ目に接触することを特徴とする。
【0007】また、上記すべり材が四フッ化エチレン樹
脂を主成分とする樹脂(以下PTFE系樹脂と略称す
る)で形成され、上記平滑小板の表面に潤滑性被膜が形
成されてなることを特徴とする。また、上記平滑板上を
すべり材がすべり出すまで、地震による水平力に抗して
変形可能な部材がすべり支承に直列に配置されてなるこ
とを特徴とする。また、上記変形可能な部材がゴム材ま
たは積層ゴム材であることを特徴とする。
【0008】複数の平滑小板を継ぎはりして平滑板とす
ることにより、構造体の大型化に伴いすべり材の滑動面
積が大きくなっても、継ぎはりにより平滑板の面積を大
きくできる。例えばすべり材が直径φ1300mm未満の場
合、少なくとも一辺の長さが 1300mm の大きさの平滑小
板を継ぎはりすることにより、巨大地震を想定した大き
な振幅幅に対応した大きさの平滑板が容易に得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のすべり免震装置を図1お
よび図2により説明する。図1はすべり免震装置の断面
図である。また図2(a)はすべり支承部分の平面図、
図2(b)はすべり支承設置時における断面図、図2
(c)は稼働時の断面図をそれぞれ示す。下部躯体1と
上部躯体2との間にすべり支承3が配設されている。す
べり支承3は、平滑板4が下部躯体側に、すべり材5が
上部躯体側に、それぞれの滑動面を相互に接触して配置
されている。なお、6は平滑板上をすべり材がすべり出
すまで地震による水平力に抗して変形可能な部材であ
り、ゴム材または積層ゴム等で形成される。7は中板を
表し必要に応じて配設される。
【0010】平滑板4は、複数の平滑小板4a、4a
´、4a´を継ぎはりして形成される(図2(a))。
平滑小板4aの少なくとも一つは、すべり材5の滑動断
面がすべり支承設置時に継ぎはりした継ぎ目4dに接触
しないように、すべり材5の直径よりも大きな一辺の長
さを有する。平滑小板4aは基板4c上に例えばボルト
などで相互に密着して固定される。また、平滑板4は、
継ぎ目4dの隙間を 2mm以内程度に管理しながら、継ぎ
はりする。一例として、1200mm(横)×2000mm(縦)×
5mm (厚さ)程度の大きさの平滑小板4aの両側に 400
mm(横)×2000mm(縦)×5mm (厚さ)程度の大きさの
平滑小板4a´を縦の長さを合わせて並列に配置して平
滑板4とする。また、すべり材5の大きさは、この場
合、直径φ900mm 程度である。すべり支承設置時には、
すべり材5は中心となる一枚の平滑小板4a上に配置さ
れている(図2(b))。地震発生によりすべり免震装
置が稼働した時には、継ぎはりした継ぎ目4d上にすべ
り材5の滑動面が接触してもよい(図2(c))。すべ
り材5の滑動面が継ぎ目4d上に接触していることによ
り、継ぎ目の段差による衝撃、すべり材5の破壊などを
防ぐことができる。なお、継ぎ目の段差による衝撃を抑
えることができる構造、大きさのすべり支承であれば、
稼働時にすべり材5が継ぎ目4dを通り過ぎてもよい。
【0011】本発明のすべり免震装置の他の例を図3に
示す。図3(a)はすべり支承部分の平面図、図3
(b)はすべり支承設置時における断面図をそれぞれ示
す。平滑板4を並列に継ぎ目4dで継ぎはりして配置す
ることにより、柱の高軸力化に対応できるとともに、す
べり支承設置時の取り付け性を向上させることができ
る。図3において、軸力が 2000トン程度になる場合、
一枚の平滑小板4aの大きさは、1800mm(横)×2000mm
(縦)×5mm (厚さ)程度であり、一個のすべり材5の
大きさは、直径φ900mm 程度である。
【0012】本発明のすべり免震装置において、すべり
支承設置時に、すべり材5のすべり面が継ぎ目4dの上
にあると、すべり材5の滑動面が継ぎ目に沿って永久変
形し、初期の摩擦係数を極端に劣化させてしまう。
【0013】すべり免震装置の構成としては、上述した
すべり材/平滑板の構成であればよいが、柱などの上部
躯体2およびフーチングなどの下部躯体1の回転角を吸
収するため、すべり面の面当たり性確保のために、すべ
り材がすべり出す前まで水平方向に変形可能な部材6を
すべり材5の上に配置し、すべり材/平滑板とともに直
列に配置することが好ましい。この水平方向に変形可能
な部材6とは、単純にゴム材、すなわち、単層から積層
のゴム部材、エアダンパー、オイルダンパー、ウォータ
ダンパー、コイル、バネ、粘性体、球面受けなどのいず
れも用いることができる。また、上述したすべり免震装
置のみを配置したすべり免震構造では、構造体に対して
高周波成分の低減の効果が薄く、また、地震に対して残
留すべりが発生する場合がある。したがって、構造体の
位置が大きく移動しないことを目的に、積層ゴムなどを
含む復元性を有する装置との併用が好ましい。
【0014】平滑小板4aは、表面に突起がなく平坦で
硬質であれば使用できる。例えば、金属板、セラミック
板、ポリイミド樹脂などの硬質樹脂板、充填剤の配合に
よって硬質化したPTFE系樹脂からなる板材で平滑な
板であれば使用できる。これらの中で、金属板が好まし
く、特に防錆性および製造コスト、加工性等を考慮する
とステンレス鋼板が最も好ましい。また、基板4cは下
部躯体1に固定できるとともに、平滑小板4aを固定で
きる材料、例えば金属板であればよい。また下部躯体1
が平滑状に形成されている場合、基板4cを省略でき
る。
【0015】すべり材5と滑動する平滑小板4aの滑動
面に潤滑性被膜4bを形成することが好ましい。潤滑性
被膜4bはバインダー樹脂をマトリクス材とし、低分子
量の潤滑剤を含有した被膜であることが好ましい。マト
リクス材は、ポリアミドイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リイミド樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂等の耐候性
に優れている樹脂類が好ましい。これらの樹脂類を溶剤
に溶解または分散させてマトリクス材とする。溶剤とし
ては、N、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチ
ルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NM
P)、メチルエチルケトン、メチルグリコールアセテー
ト、2−ニトロプロパン、エチレングリコールアセテー
ト、トルエン、クレシル酸などを例示することができ、
単独でも混合溶剤であってもよい。
【0016】低分子量潤滑剤は、平均分子量 50000以
下、好ましくは 10000以下の含フッ素重合体およびポリ
シロキサンを用いることができる。なお、これらの含フ
ッ素重合体およびポリシロキサンは、耐候性などを考慮
した場合、官能基を含まない重合体が好ましい。
【0017】また、潤滑性被膜の充填材として、低分子
量潤滑剤にシリコーン樹脂粉末などの有機化合物、カー
ボン粉末あるいは黒鉛粉末などの無機化合物を配合でき
る。これらの配合剤の粒径は 1〜10μm が好ましい。ま
た、含フッ素重合体あるいはポリシロキサンの配合量
は、マトリクス樹脂 100体積部に対して 5〜30体積部で
あることが好ましい。配合量が 30 体積部を越えると被
膜の密着強度に問題が生じたり、耐摩耗特性が低下した
りする場合がある。また、 5体積部未満であれば摩擦抵
抗を低下させる効果に乏しくなる。
【0018】潤滑性被膜の膜厚は 5μm 以上、 30μm
以下が好ましい。 5μm 未満であれば耐久性に劣り、 3
0μm を越えると塗布作業が困難となり、均一な厚さで
安定した膜が得られにくい。また、被膜の表面粗さは算
術平均粗さRaにて 0.5〜2.5μm が好ましく、この潤
滑性被膜と相互に滑動するすべり材の滑動面は、滑動面
の中央部が僅かな凸形状、例えば凸形状の突出高さが
0.1〜1.0mmであることが好ましい。
【0019】以上述べた潤滑性被膜を形成するための塗
液の製造は、特に限定するものではなくマトリクス樹
脂、およびその他配合剤をボールタンブラミキサーなど
に一括配合し、所定時間混練すればよい。また、被膜の
形成方法は、一般的なスプレーコーティング後、焼成す
ればよい。
【0020】すべり材5はPTFE系樹脂が好適に使用
できる。また、PTFE系樹脂は、繊維状配合剤、樹脂
粉末および無機化合物粉末から選ばれた少なくとも一つ
の配合剤を配合することが好ましい。PTFE系樹脂と
しては、PTFE樹脂と変性PTFE樹脂とが挙げられ
る。PTFE樹脂はPTFEの単独重合体であって、31
0 〜390 ℃で軟化して圧縮成形および押出成形は可能で
あるが通常の射出成形は不可能な樹脂である。
【0021】変性PTFE樹脂は、PTFE単位と、P
TFEのフッ素が他の有機基(−X)で置換された置換
PTFE単位とから構成される共重合体である。その一
般式を化1に示す。有機基(−X)は特に限定するもの
ではないがパーフルオロアルキルエーテル基あるいはフ
ルオロアルキル基などが好ましい。
【化1】
【0022】上記PTFE樹脂および変性PTFE樹脂
の重合方法は限定されないが、樹脂の分子量は、約 50
万から 1,000万が好ましく、さらに限定すれば 100万か
ら 700万が好ましい。この範囲の分子量を有することに
より、すべり材として摩擦係数を小さくすることがで
き、また耐クリープ性などの機械的強度が維持できる。
特に化1に示す変性PTFEを用いた場合、耐クリープ
特性が向上し、すべり面における許容面圧が 30MPa程度
まで許容できる。それに伴い、すべり面を小さくでき、
すべり免震装置の小型化が可能となるため好ましい。
【0023】また、PTFE系樹脂は、ガラス繊維ある
いは炭素繊維などの繊維物、ウィスカなどの短繊維物、
有機化合物系粉末、無機化合物系粉末からなる群のいず
れかあるいはこれらの組み合わせからなる配合剤を配合
することが好ましい。炭素繊維はピッチ系あるいはパン
系炭素繊維のいずれでもよい。特に繊維長は、0.05mm以
上、0.1mm 以下のミルド繊維であることが好ましい。ま
た、糸種は特に限定しないが、黒鉛化処理品より 1000
℃程度で焼成した炭化処理品の方が好ましい。また、近
年焼成温度については低弾性を狙った低温焼成品あるい
は高弾性を狙った高温焼成品もあるが、これらを用いる
ことができる。繊維径はφ20μm 以下、好ましくは、φ
7〜φ15μm であり、アスペクト比は 5〜80、好ましく
は 20〜50である。
【0024】短繊維の例として、硫酸カルシウムウィス
カ、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硫
酸マグネシウムウィスカ等の各種ウィスカが挙げられ
る。炭素繊維とウィスカを併用すれば、炭素繊維は基材
を大きく補強するのに対して、これらのウィスカはミク
ロ補強の役割を果たすので、耐クリープ性、耐摩耗性が
著しく向上すると考えられる。また、ウィスカは炭素繊
維に比べて小さいため摩擦面での存在割合が大きく、ほ
とんどの摩擦せん断を受け持つために、すべり材を損傷
しないと考えられる。しかし、ウィスカの繊維長が短す
ぎると十分な耐クリープ性、耐摩耗性は得られず、繊維
長は炭素繊維よりもわずかに短い 50μm 前後であるこ
とが好ましい。これに該当するウィスカとしては、硫酸
カルシウムウィスカが挙げられる。
【0025】配合剤の中で、樹脂粉末は、PTFEの成
形温度 380℃に耐えうる粉末であることが好ましい。例
えば、熱可塑性ポリイミド樹脂粉末、熱硬化性ポリイミ
ド樹脂粉末、ポリエーテルエーテルケトン樹脂粉末、全
芳香族ポリエステル樹脂粉末、アラミド樹脂粉末、ポリ
アミドイミド樹脂粉末などが挙げられる。また、成形性
などを考慮すれば、熱硬化樹脂を硬化後、 500℃以上の
高温で熱処理、粉砕された有機化合物系粉末が好まし
い。さらに 2000℃以上で処理し、黒鉛化したものが好
ましい。熱硬化樹脂の例は、エポキシ樹脂、ポリイミド
樹脂、フェノール樹脂などである。粉砕後の平均粒径は
50μm 以下、好ましくは 25μm 以下であり、形状は球
状が好ましい。
【0026】また、無機化合物粉末は、二硫化モリブデ
ン、酸化亜鉛、酸化チタン、黒鉛、金属酸化物粉末、ガ
ラスビーズ、シリカ粉末等が挙げられる。
【0027】実際の地震を考慮した場合、相手材への攻
撃性および多方向への安定したすべり性より、配合剤は
有機化合物系あるいは無機化合物系粉末が好ましい。ま
た、その形状は球状である方が相手材への非攻撃性およ
び低摩擦特性に優れ、望ましい。具体的には球状の粉末
として自己潤滑性がある黒鉛化処理された球状粉末が好
ましい。
【0028】配合剤の配合量はPTFE系樹脂 100体積
部に対して 5〜 40 体積部であることが好ましい。配合
剤が 40 体積部を越えると成形性に問題が生じたり、平
滑板を損傷したりする場合がある。また、 5体積部未満
であれば補強効果に乏しく、十分な耐クリープ性、耐摩
耗性が得られない。
【0029】本発明に係るすべり材を得る工程として
は、以上述べたこの発明に用いる諸原料を混合・混練し
た後、フリーベーキング等の一般的に知られた方法で成
形し、この成形体をスカイブにより所定のシート厚みと
する。構造物の一方のフーチングに設置する金属製プレ
ートとすべり材とを接合するには、すべり材の片面をエ
ッチングし、接着可能状態とする。その後、エポキシ
系、フェノール系あるいはポリイミド系接着剤により接
合させる。
【0030】
【実施例】まず、すべり材試験片、平滑板試験片および
潤滑性被膜が形成された平滑板試験片を以下に示す方法
で作製した。 (1)すべり材試験片の作製 すべり材は変性PTFE(三井・デュポンフロロケミカ
ル社製 テフロンTG70J)と球状黒鉛(鐘紡社製ベ
ルパールC2000)を容量比 8:2 にてヘンシェル乾
式混合機を用いてドライブレンドし、プレス機でφ124m
m(外径)×φ64mm(内径)×100mm (高さ)の円筒素
形材を予備成形し、 370℃×4 時間、フリーベーキング
法により焼成した。さらにスカイビング加工により 1mm
(厚さ)×80mm(幅)×1000mm(長さ)のシート試験片
を得た。シートの片面をアルカリ処理によりエッチング
し、接着可能とした。ステンレス製治具(φ50mm(直
径)×10mm(厚さ))の一面にエポキシ系接着剤を用い
て接合し、滑動面がφ50mm(直径)のすべり材試験片と
した。 (2)平滑板試験片の作製 ステンレス鋼(SUS304 2B仕上げ 住友金属社
製)から表1に示すサイズに加工して平滑小板を作製し
て、これを 50mm 厚さの鋼材からなる基板の表面にボル
トで表1に示す状態に継ぎはり固定して平滑板試験片と
した。なお、表1における平滑板の材料の欄において、
3Pは 3枚の平滑小板を継ぎはり固定したことを表す。ま
たコメント欄において、40+120+40mmは、形状の欄に
おける継ぎはりされた平滑小板の横方向長さをそれぞれ
表す。縦方向長さは 200mmである。さらに形状の欄に示
す円は直径φ50mmのすべり材試験片がすべり支承設置時
における位置を示す。 (3)潤滑性被膜が形成された平滑板試験片の作製 ステンレス鋼(SUS304 2B仕上げ 住友金属社
製)から表1に示すサイズの平滑小板を作製した後、ボ
ールミルタンブラを用いて、メチルエチルケトン液に分
散されたフラン樹脂 100重量部に対して、ポリシロキサ
ン 25重量部(東レ・ダウコーニング社製 ジメチルシ
ロキサン)とシリコーン粉末 10重量部(東レ・ダウコ
ーニング社製 E501)混練してコーティング液とし
た。ステンレスの一面にスプレーコーティングし、 200
℃で約 30 分間焼成し、試験片とした。なお、潤滑性被
膜の膜厚は 10〜15μm であった。
【0031】実施例1〜実施例4 すべり材試験片と、平滑小板を表1に示す状態に継ぎは
り固定して得た平滑板試験片とを組み合わせて、すべり
支承を作製して摩擦試験を行なった。試験は往復動型試
験機を用いた。試験条件は、すべり速度 1cm/sec、荷重
15MPa、ストローク±40mmで 20 サイクルの往復動運転
を行なった。 20 サイクル時の摩擦係数を表1に示す。
【0032】比較例1および参考例1 比較例1は、すべり材試験片と、平滑小板を表2に示す
状態に継ぎはりして得た平滑板試験片とを組み合わせ
て、すべり支承を作製して実施例1と同一の条件で摩擦
試験を行なった。また、参考例1は一枚板の平滑板を用
いてすべり支承を作製して、実施例1と同一の条件で摩
擦試験を行なった。結果を表2に示す。
【0033】
【表1】
【表2】
【0034】表1および表2の結果から明かなように、
実施例1〜実施例3のすべり支承は、摩擦係数を損なわ
ずに平滑板の設置を作業性の良いものにできる。また、
実施例4もほぼ参考例1と同じ摩擦係数が得られた。
【0035】
【発明の効果】本発明はすベり免震装置において、下部
躯体側に配置される平滑板と、上部躯体側に配置される
すべり材とが相互にそれぞれの滑動面を接触して配設さ
れたすべり支承を備え、上記平滑板が複数の平滑小板を
継ぎはりしてなり、少なくともすべり支承設置時には、
継ぎはりした継ぎ目に上記すべり材の滑動面が接触して
いないので、柱の高軸力化、巨大地震を想定した振幅幅
を考慮して平滑板を組み合わせて大きくできる。その結
果、平滑板の巨大化に対する取り付け作業性が改善さ
れ、また、製造コストを下げることができる。特に、す
べり支承稼働時には、すべり材の滑動面が平滑板の継ぎ
目に接触するように複数の平滑小板を継ぎはりして配置
するので、継ぎ目の段差による衝撃等を緩和してすべり
材の耐久性を向上させることができる。また、柱の軸力
が 2000トンになるような場合であっても任意の大きさ
の平滑板にできるので、大きな建築物などの構造体にも
対応できるすベり免震装置が得られる。
【0036】すべり支承を構成するすべり材が四フッ化
エチレン樹脂を主成分とする樹脂で形成され、平滑小板
の表面に潤滑性被膜が形成されてなるので、低い摩擦係
数で、耐久性に優れたすベり免震装置が得られる。
【0037】また、平滑板上をすべり材がすべり出すま
で、地震による水平力に抗して変形可能な部材がすべり
支承に直列に配置されてなるので、また、該変形可能な
部材がゴム材または積層ゴム材であるので、地震による
残留すべりの発生を抑え、構造体の初期位置を維持する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】すべり免震装置の断面図である。
【図2】すべり支承部分を表す図である。
【図3】他の例のすべり支承部分を表す図である。
【符号の説明】
1 下部躯体 2 上部躯体 3 すべり支承 4 平滑板 5 すべり材 6 地震力に抗して変形可能な部材 7 中板

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部躯体と上部躯体との間に配設される
    すべり支承を備えてなるすベり免震装置であって、 前記すべり支承は、前記下部躯体側に配置される平滑板
    と、前記上部躯体側に配置されるすべり材とが相互にそ
    れぞれの滑動面を接触して配設され、前記平滑板が複数
    の平滑小板を継ぎはりしてなり、少なくとも前記すべり
    支承設置時には、前記継ぎはりした継ぎ目に前記すべり
    材の滑動面が接触していないことを特徴とするすべり免
    震装置。
  2. 【請求項2】 前記すべり支承稼働時には、前記すべり
    材の滑動面が前記継ぎ目に接触することを特徴とする請
    求項1記載のすべり免震装置。
  3. 【請求項3】 前記すべり材が四フッ化エチレン樹脂を
    主成分とする樹脂で形成され、前記平滑小板の表面に潤
    滑性被膜が形成されてなることを特徴とする請求項1ま
    たは請求項2記載のすべり免震装置。
  4. 【請求項4】 前記平滑板上を前記すべり材がすべり出
    すまで、地震による水平力に抗して変形可能な部材が前
    記すべり支承に直列に配置されてなることを特徴とする
    請求項1、請求項2または請求項3記載のすべり免震装
    置。
  5. 【請求項5】 前記変形可能な部材がゴム材または積層
    ゴム材であることを特徴とする請求項4記載のすべり免
    震装置。
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