JP2002061095A - 紙塗工ラテックス用反応性乳化剤、紙塗工用共重合体ラテックス、及び紙塗工用組成物 - Google Patents

紙塗工ラテックス用反応性乳化剤、紙塗工用共重合体ラテックス、及び紙塗工用組成物

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JP2002061095A JP2000244077A JP2000244077A JP2002061095A JP 2002061095 A JP2002061095 A JP 2002061095A JP 2000244077 A JP2000244077 A JP 2000244077A JP 2000244077 A JP2000244077 A JP 2000244077A JP 2002061095 A JP2002061095 A JP 2002061095A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ウエットピック強度、耐ブリスター性、及び
光沢性に優れた塗工紙を得ることができる、高速流動性
が良好な紙塗工用組成物を提供すること。 【解決手段】 一般式(I)で表される化合物(I)か
らなる紙塗工ラテックス用反応性乳化剤の存在下、下記
(a)(b)及び(c)からなる単量体混合物を乳化重
合することにより得られた共重合体ラテックスを顔料と
混合してなる紙塗工用組成物。(a)脂肪族共役ジエン
系単量体20〜70重量%、(b)エチレン系不飽和カ
ルボン酸単量体0.5〜10重量%、(c)共重合可能
な他の単量体20〜79.5重量%。 【化1】 (ここで、[化1]中、Rは炭素数8〜12のアルキ
ル基、Rは水素またはプロペニル基、Aは炭素数2〜
4のアルキレン基または置換アルキレン基、nは1〜2
00の整数、Xは水素または[化2]で表される置換基
であり、[化2]中、Mはアルカリ金属、NHまたは
アルカノールアミン残基、Rは[化1]のX以外の残
基である。) 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙塗工ラテックス
用反応性乳化剤、紙塗工用共重合体ラテックス、及び紙
塗工用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようする課題】塗工紙を製
造するための紙塗工液(紙塗工用組成物)は、主として
顔料、結合剤、水、及び各種の添加剤からなる水系分散
体混合物であり、顔料としては、焼成クレー、炭酸カル
シウム、カオリン等が、また、結合剤(または接着剤)
としては、SBR系ラテックス、NBR系ラテックス等
の共重合体ラテックスが用いられている。
【0003】近年、需要激増によって塗工紙の生産能力
の向上が社会的に熱望されている。これに鑑み、塗工工
程の高速化が進んでおり、そのためには、紙塗工用組成
物に優れた高速流動性が要求されるようになった。また
一方、印刷速度の高速化も進められており、塗工紙には
このような高速印刷に耐え得る優れたウエットピック強
度、耐ブリスター性が必要となる。
【0004】前述した結合剤である共重合体ラテックス
にもこれらの性能の向上が要求されてきている。紙塗工
用組成物の高速流動性を改良するには、これに含まれる
前記共重合体ラテックスの粒子径を小さくすることが有
効であることが知られている。
【0005】共重合体ラテックスの粒子径を小さくする
方法としては、例えば特開平8−48705号公報に示
されているように、遷移金属化合物の存在下、重合開始
剤および反応性乳化剤を使用することで重合安定性を確
保し、それにより粒径分布が狭く微小な粒子径のラテッ
クスが得られるという技術が提案されている。
【0006】しかしながら、ここで開示されている反応
性乳化剤を使用したラテックスでは耐水性向上が十分で
ないため、塗工紙のウエットピック強度、耐ブリスター
性が低いという問題があった。
【0007】[発明の目的]本発明は上記の実情に鑑み
てなされたものであり、その目的は、高速流動性が良好
な(より微小な共重合粒子を含有する)紙塗工用組成物
を提供するところにあり、ウエットピック強度、耐ブリ
スター性、光沢性に優れた塗工紙を得ることのできる紙
塗工用共重合体ラテックスおよびこれを用いた紙塗工用
組成物を提供するところにあり、前記組成物および前記
ラテックスを得ることのできる紙塗工ラテックス用反応
性乳化剤を提供するところにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の紙塗工ラ
テックス用反応性乳化剤は、下記一般式(I)で表され
る化合物(I)からなる。
【0009】
【化6】 (ここで、上記[化6]中、Rは炭素数8〜12のア
ルキル基、Rは水素またはプロペニル基、Aは炭素数
2〜4のアルキレン基または置換アルキレン基、nは1
〜200の整数、Xは水素または下記[化7]で表され
る置換基であり、[化7]中、Mはアルカリ金属、NH
4またはアルカノールアミン残基、Rは上記[化6]
のX以外の残基である。)
【化7】
【0010】請求項2記載の紙塗工ラテックス用反応性
乳化剤は、下記一般式(II)で表される化合物(I
I)および下記一般式(III)で表される化合物(I
II)からなる紙塗工ラテックス用反応性乳化剤。
【0011】
【化8】
【化9】 (ここで、上記[化8]及び[化9]中、Rは炭素数
8〜12のアルキル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン
基または置換アルキレン基、nは1〜200の整数、X
は水素または下記[化10]で表される置換基であり、
[化10]中、Mはアルカリ金属、NH又はアルカノ
ールアミン残基、Rは上記[化8]及び[化9]のX
以外の残基である。なお、上記したR、A、n、X、
M、及びR はそれぞれ互いに同じであってもよいし、
異なっていてもよい。)
【化10】
【0012】請求項3に記載の紙塗工ラテックス用反応
性乳化剤は、前記化合物(II)および前記化合物(I
II)との重量比率が80:20〜99:1の範囲であ
ることを特徴とする請求項2記載の紙塗工ラテックス用
反応性乳化剤。
【0013】請求項4に記載の紙塗工用共重合体ラテッ
クスは、請求項1、2または3に記載の紙塗工ラテック
ス用反応性乳化剤の存在下、下記(a)、(b)及び
(c)からなる単量体混合物を乳化重合することにより
得られた重合体粒子を含有してなる。
【0014】(a)脂肪族共役ジエン系単量体20〜7
0重量% (b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜10
重量% (c)共重合可能な他の単量体20〜79.5重量%。
【0015】請求項5に記載の紙塗工用共重合体ラテッ
クスは、請求項4に記載の紙塗工用共重合体ラテックス
において、前記単量体混合物を、当該単量体混合物10
0重量部(以下、単に「部」という)に対して上記一般
式(I)で表される化合物(I)又は上記一般式(I
I)、(III)で表される化合物(II)、(II
I)の混合物0.1〜15重量部を存在させて乳化重合
することによって得られた重合体粒子を含有してなる紙
塗工用共重合体ラテックス。
【0016】請求項6に記載の紙塗工用組成物は、請求
項4または5に記載の紙塗工用共重合体ラテックスと顔
料を含有してなる。
【0017】
【発明の実施の形態】化合物(I) 化合物(I)におけるRは炭素数8〜12のアルキル
基であり、具体的には、オクチル基、ノニル基、デシル
基、ドデシル基などが挙げられる。Rの炭素数が8未
満の場合、親水性が高くなり、耐水性が悪くなるという
問題が生じ、12を超える場合、乳化重合時の安定性が
悪くなるという問題が生じる。
【0018】Rは水素またはプロペニル基である。プ
ロペニル基には1−プロペニル基、2−プロペニル基、
イソプロペニル基があり、特に1−プロペニル基が、共
重合しやすいという理由で好ましい。
【0019】Aは炭素数2〜4のアルキレン基、又はメ
チルやエチルなどによって置換された置換アルキレン基
である。例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン
基、イソブチレン基の単独若しくはホモポリマー又はブ
ロック若しくはランダムポリマーあるいはそれらの混合
物であってもよい。
【0020】nは1〜200であり、好ましくは1〜1
00である。nが200を超える場合、界面活性能が低
下するという問題が生じる。
【0021】Mは、Na、Kなどのアルカリ金属、NH
またはアルカノールアミン残基である。
【0022】化合物(II)及び(III) 化合物(II)、(III)におけるRは炭素数8〜
12のアルキル基であり、具体的には、オクチル基、ノ
ニル基、デシル基、ドデシル基などが挙げられる。R
の炭素数が8未満の場合、親水性が高くなり、耐水性が
悪くなるという問題が生じ、12を超える場合、乳化重
合時の安定性が悪くなるという問題が生じる。
【0023】プロペニル基には1−プロペニル基、2−
プロペニル基、イソプロペニル基があり、特に1−プロ
ペニル基が共重合しやすいという理由で好ましい。
【0024】Aは炭素数2〜4のアルキレン基、又はメ
チルやエチルなどによって置換された置換アルキレン基
である。例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン
基、イソブチレン基の単独若しくはホモポリマー又はブ
ロック若しくはランダムポリマーあるいはそれらの混合
物であってもよい。
【0025】nは1〜200であり、好ましくは1〜1
00である。nが200を超える場合、界面活性能が低
下するという問題が生じる。
【0026】Mは、Na、Kなどのアルカリ金属、NH
またはアルカノールアミン残基である。
【0027】脂肪族共役ジエン系単量体(a) 脂肪族共役ジエン系単量体(a)としては1,3−ブタ
ジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン
などが挙げられる。これらの脂肪族共役ジエン系単量体
は1種を単独で使用しても良いし、2種以上を併用する
こともできる。その割合は全単量体混合物に対して20
〜70重量%であり、25〜65重量%であることが好
ましい。20重量%未満の場合、得られるラテックスの
弾性と膜の硬さに劣り、70重量%を超える場合、得ら
れるラテックスの柔軟性が過ぎ、また耐水性に劣るので
好ましくない。
【0028】エチレン系不飽和カルボン酸単量体(b) エチレン系不飽和カルボン酸単量体(b)としては、例
えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン
酸、フマル酸などが挙げられる。これらのエチレン系不
飽和カルボン酸単量体は1種を単独で使用してもよい
し、2種以上を併用することもできる。
【0029】単量体(b)の割合は、全単量体混合物に
対して0.5〜10重量%、好ましくは1〜7重量%の
範囲である。この量が0.5重量%未満では重合時のラ
テックスの安定性が悪く、凝集物が発生し易く、また、
得られるラテックスの機械的、化学的安定性に劣る。一
方、10重量%以上では得られるラテックスの粘度が高
くなり、実用上好ましくない。
【0030】共重合可能な他の単量体(c) 共重合可能な他の単量体(c)としてはスチレン、α−
メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン
などの芳香族ビニル化合物、アクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、
アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジ
ルなどのアクリル酸あるいはメタクリル酸のアルキルエ
ステル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル
系単量体、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルア
クリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなどの
ヒドロキシアルキル基を有する不飽和単量体、アクリル
アミド、メタクリルアミドなどのアミド基含有エチレン
系不飽和化合物、酢酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエ
ステル類などが挙げられる。これらの共重合可能な他の
単量体(c)は1種あるいは2種以上を組み合わせても
よい。
【0031】その他 本発明のラテックスを用いた場合の塗工紙性能を維持で
きる範囲内で、必要に応じて上記の反応性乳化剤以外に
他の反応性乳化剤や非反応性の乳化剤を併用しても良
い。非反応性の乳化剤としては、例えば、脂肪族セッケ
ン、ロジン酸セッケン、アルキルスルホン酸塩、アルキ
ルアリールスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、
ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレ
ンアルキルアリール硫酸塩などのアニオン性界面活性
剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシ
エチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレ
ンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリ
オキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン性
界面活性剤、ラウリルベタイン、ステアリルベタインの
各々の塩、ラウリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミ
ノエチル)グリシンの各々の塩などの両性界面活性剤が
挙げられる。
【0032】本発明の共重合体ラテックスの乳化重合で
は、連鎖移動剤としてα−メチルスチレンダイマーを使
用することが望ましい。これを用いることにより優れた
性能の塗工紙が得られるラテックスを得る。α−メチル
スチレンダイマーは、全単量体混合物100部に対して
0.1〜5部使用する。α−メチルスチレンダイマーが
0.1部以上で、耐ブリスター性に優れる。5部以下で
安定的に重合することができる。
【0033】また、連鎖移動剤としてα−メチルスチレ
ンダイマーと共に他の連鎖移動剤を併用してもよい。他
の連鎖移動剤としては、n−ブチルメルカプタン、n−
オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、n
−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンな
どのメルカプタン類、四塩化炭素、四臭化炭素などのハ
ロゲン化炭化水素類などが挙げられる。
【0034】本発明のラテックスの乳化重合では、重合
開始剤は公知のものが使用でき、特に制限されない。重
合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウ
ム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性開始剤、過酸化ベ
ンゾイル、アゾビスイソブチルニトリルなどの油溶性開
始剤、あるいはレドックス系などの公知の開始剤が挙げ
られる。
【0035】本発明に関わる紙塗工用組成物は、本発明
のラテックスと顔料を含有せしめることにより得られ
る。顔料としては、公知の顔料が公知の方法で使用でき
特に制限されない。
【0036】
【実施例】以下、本発明の一実施例を挙げて具体的に説
明するが、本発明はこれによって限定されるものではな
い。
【0037】本発明反応性乳化剤(A)の合成例A オートクレーブにノニルプロペニルフェノール260g
を仕込み水酸化カリウムを触媒として圧力1.5kg/
cm、温度130℃の条件にて、エチレンオキサイド
440gを反応させ、エチレンオキサイド10モル付加
体を得た。
【0038】次に、上記のエチレンオキサイド10モル
付加体700gを、スルファミン酸97gを用いて12
0℃、3時間の条件にて硫酸化し、得られた反応粗製物
を、本発明反応性乳化剤(A)とした。得られた反応性
乳化剤(A)の構造式を下記[化11]に示す。
【0039】
【化11】
【0040】本発明反応性乳化剤(B)の合成例B オートクレーブにノニルプロペニルフェノール260g
(ノニル基がヒドロキシル基に対してパラ位/オルト位
=80/20の混合物)を仕込み水酸化カリウムを触媒
として圧力1.5kg/cm、温度130℃の条件に
て、エチレンオキサイド220gを反応させ、エチレン
オキサイド5モル付加体を得た。
【0041】次に、上記のエチレンオキサイド5モル付
加体480gを、スルファミン酸97gを用いて120
℃、3時間の条件にて硫酸化し、得られた反応粗製物
を、本発明反応性乳化剤(B)とした。得られた反応性
乳化剤(B)の構造式を下記[化12]に示す。
【0042】
【化12】
【0043】本発明反応性乳化剤(C)の合成例C 乳化剤(A)の合成例の中間体であるエチレンオキサイ
ド10モル付加体700gを反応容器に仕込み、撹拌し
ながらモノクロル酢酸ナトリウム117gを粉末のまま
室温にて30分間かけて仕込んだ。次に、反応容器内を
40℃に保ち、水酸化ナトリウム44gを粉末のまま3
時間かけて添加した。その後、更に40℃にて17時間
反応させた。
【0044】次に75%リン酸で中和した後、塩化メチ
レン400ml及び水200mlを加え、水洗を行なっ
た。更に水200mlを使用した水洗を2回行なった
後、有機層の塩化メチレンを蒸留により除去した。残さ
れた反応粗製物を48%水酸化ナトリウムを用いてpH
8まで中和し、本発明反応性乳化剤(C)を得た。得ら
れた反応性乳化剤(C)の構造式を下記[化13]に示
す。
【0045】
【化13】
【0046】本発明反応性乳化剤(D)の合成例D 乳化剤(A)の合成例の中間体であるエチレンオキサイ
ド10モル付加物700gに対し、無水リン酸47gを
用いてリン酸エステル化反応を80℃で5時間行ない乳
化剤(D)を得た。なお、本合成例の乳化剤(D)で
は、[化10]に示したX基が(b)のモノエステル及
び(c)のジエステルの混合物であり、(b)のモノエ
ステルがモル比で70%、(c)のジエステルがモル比
で30%の混合比となっていた。得られた反応性乳化剤
(D)の構造式を下記[化14]に示す。
【0047】
【化14】
【0048】本発明反応性乳化剤(E)の合成例E オートクレーブにオクチルプロペニルフェノール246
gを仕込み水酸化カリウムを触媒として圧力1.5kg
/cm、温度130℃の条件にて、エチレンオキサイ
ド880gを反応させ、エチレンオキサイド20モル付
加体を得た。
【0049】次に、上記のエチレンオキサイド20モル
付加体1126gを、スルファミン酸97gを用いて1
20℃、3時間の条件にて硫酸化し、得られた反応粗製
物を、本発明反応性乳化剤(E)とした。得られた反応
性乳化剤(E)の構造式を下記[化15]に示す。
【0050】
【化15】
【0051】本発明反応性乳化剤(F)の合成例F 乳化剤(E)の合成例で得られたエチレンオキサイド2
0モル付加体1126gを、スルファミン酸97gを用
いて120℃、3時間の条件にて硫酸化し、得られた反
応粗製物を本発明反応性乳化剤(F)とした。得られた
反応性乳化剤(F)の構造式を下記[化16]に示す。
【0052】
【化16】
【0053】本発明反応性乳化剤(G)の合成例G 乳化剤(E)の合成例で得られたエチレンオキサイド2
0モル付加体1126gと無水マレイン酸100gとの
エステル化反応を80℃で2時間行なった。その後、こ
の反応混合物に水3000gを投入し、内温30℃以下
にて水酸化ナトリウム水溶液により中和した。
【0054】次に、重亜硫酸ソーダ120gを仕込み、
70℃にて3時間スルホン化反応を行ない、本発明反応
性乳化剤(G)を得た。得られた反応性乳化剤(G)の
構造式を下記[化17]に示す。
【0055】
【化17】
【0056】本発明反応性乳化剤(H)の合成例H オートクレーブにドデシルプロペニルフェノール302
gを仕込み水酸化カリウムを触媒として圧力1.5kg
/cm、温度130℃の条件にて、ブチレンオキサイ
ド360g、次にエチレンオキサイド2200gを反応
させ、ブチレンオキサイド5モル、エチレンオキサイド
50モルブロック付加体を得た。
【0057】次に、上記のブチレンオキサイド5モル、
エチレンオキサイド50モルブロック付加体2862g
を、スルファミン酸97gを用いて120℃、3時間の
条件にて硫酸化し、得られた反応粗製物を、本発明反応
性乳化剤(H)とした。得られた反応性乳化剤(H)の
構造式を下記[化18]に示す。
【0058】
【化18】
【0059】実施例1〜4 イオン交換水100部、ブタジエン37部、スチレン5
0部、アクリロニトリル5部、メタクリル酸メチル5
部、イタコン酸3部、t−ドデシルメルカプタン0.7
部、α−メチルスチレンダイマー1.5部および下記
[表1]に示す反応性乳化剤3部からなる混合液を作成
した。
【0060】次に、オートクレーブの内部を窒素置換
し、作成した混合液の20%を仕込み80℃に調整した
後、過硫酸アンモニウム1部をイオン交換水5部ととも
に添加し、次に残りの混合液を内温を80℃に保ちなが
ら5時間にわたって添加した。混合物を添加終了したあ
と90℃に昇温し、3時間経過後に乳化重合を終了し
た。
【0061】次に水酸化ナトリウムでpHを8に調整し
た後、残存する単量体を水蒸気蒸留にて除去し、共重合
体ラテックスを得た。
【0062】得られた共重合体ラテックスの凝集物量、
粒子径、ゲル分率及び起泡性を測定した。結果を下記
[表1]に併記する。
【0063】また、得られた共重合体ラテックスと、下
記[表2]に示す成分とを、同表に記載した割合で以て
混合し、紙塗工用組成物を調製した。この組成物に関す
る高せん断下での粘度を測定した。結果を下記[表1]
に併記する。
【0064】次に、調製した紙塗工用組成物を秤量80
g/mの上質紙に15g/m(ドライ換算)塗布
し、熱風乾燥機で乾燥後、スーパーカレンダー処理を行
ない、塗工紙を得た。得られた塗工紙に関する白紙光沢
度、ブリスター発生温度、及びウエットピック強度を測
定した。結果を下記[表1]に併記する。
【0065】比較例1〜3 反応性乳化剤を比較乳化剤(X)〜(Z)のいずれかに
変更したという以外は上記の実施例1〜4と同様の操作
を行なった。結果を下記[表1]に併記する。比較乳化
剤(X)〜(Z)の構造式は下記[化19]〜[化2
1]の通りである。
【0066】
【化19】 R=C12,C13の混合 「エレミノールJS−2」(三洋化成工業(株)製)
【化20】 n=10 「アデカリアソープSE−10N」 (旭電化工業(株)製)
【化21】 「ネオゲンSC」(第一工業製薬(株)製)。
【0067】なお、上記した各測定事項の測定方法、及
び評価方法は次の通りである。
【0068】[凝集物量]:乳化重合後のラテックスを
150メッシュの金網でろ過し、金網上の残査を105
℃で乾燥し、その重量を測定し全モノマーに対する重量
%で示した。
【0069】[粒子径]:コールター社のサブミクロン
アナライザー(モデルN4)で測定した。
【0070】[ゲル分率]:ラテックスをイソプロピル
アルコールで凝固させ、この凝固物を洗浄、乾燥したの
ち、0.5gをトルエン100ml中に20時間浸漬し
た。その後、試料を120メッシュの金網でろ過し、得
られた残存固形分の仕込み全固形分に対する割合を求め
た。
【0071】[起泡性]:蒸留水にて2倍に希釈したラ
テックスを100mlの栓付メスシリンダーに50ml
入れ、25℃にて上下に激しく30回振り、静置1分後
の泡量を評価した。
【0072】[高せん断粘度]:ハーキュレス高せん断
粘度計HR−801C、Fボブ、8800回転 25℃
の条件で測定した。
【0073】[白紙光沢度]:日本電色工業株式会社製
VG−10型、測定角度75°、表示%。
【0074】[ブリスター発生温度]:両面印刷塗工紙
を調湿(約6%)した後、加熱したオイルバスに投げ込
みブリスターが発生するときの最低温度で示した。
【0075】[ウエットピック強度]:RI印刷機でモ
ントンロールを用い、湿し水を与えたときのピッキング
の程度を肉眼で判定し、5段階で評価した。点数の高い
ものほど良好である。
【0076】
【表1】
【表2】
【0077】実施例5〜8 イオン交換水100部、ブタジエン30部、スチレン5
0部、アクリロニトリル5部、メタクリル酸メチル10
部、イタコン酸3部、アクリル酸2部、t−ドデシルメ
ルカプタン0.5部、α−メチルスチレンダイマー1.
5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部
および下記[表3]に示す反応性乳化剤1部からなる混
合液を作成した。
【0078】次に、オートクレーブの内部を窒素置換
し、作成した混合液の20%を仕込み80℃に調整した
後、過硫酸アンモニウム1部をイオン交換水5部ととも
に添加し、次に残りの混合液を内温を80℃に保ちなが
ら5時間にわたって添加した。混合物を添加終了したあ
と90℃に昇温し、1時間経過後に乳化重合を終了し
た。
【0079】次に水酸化ナトリウムでpHを8に調整し
た後、残存する単量体を水蒸気蒸留にて除去し、共重合
体ラテックスを得た。
【0080】得られた共重合体ラテックスの凝集物量、
粒子径、ゲル分率及び起泡性を測定した。結果を下記
[表3]に併記する。
【0081】また、得られた共重合体ラテックスと、上
記[表2]に示す成分とを、同表に記載した割合で以て
混合し、紙塗工用組成物を調製した。この組成物に関す
る高せん断下での粘度を測定した。結果を下記[表3]
に併記する。
【0082】次に、調製した紙塗工用組成物を秤量80
g/mの上質紙に15g/m(ドライ換算)塗布
し、熱風乾燥機で乾燥後、スーパーカレンダー処理を行
ない、塗工紙を得た。得られた塗工紙に関する白紙光沢
度、ブリスター発生温度、及びウエットピック強度を測
定した。結果を下記[表3]に併記する。
【0083】なお、上記した各測定事項の測定方法、及
び評価方法は前述した方法と同じである。
【0084】比較例4 反応性乳化剤をラウリル硫酸ナトリウムに変更したとい
う以外は上記した実施例5〜8と同様の操作を行なっ
た。結果を下記[表3]に併記する。
【0085】
【表3】
【0086】
【発明の効果】本発明において、紙塗工用共重合体ラテ
ックスを得るべく行われる乳化重合時に特定の反応性乳
化剤を使用することにより、乳化重合時の凝集物の発生
が少なくなり、結果的に細かい粒子(平均粒子径20〜
60nm)のラテックスが得られるとともに粒子径分布
も狭くなる。得られた紙塗工用共重合体ラテックスがこ
のように微粒子からなることにより、高速流動性に優れ
た紙塗工用組成物が得られる。
【0087】また、得られた紙塗工用共重合体ラテック
スは、非反応性の界面活性剤を使用した時と比べ、表面
張力が高く、泡立ち(起泡性)が少ない。さらに、ラテ
ックスから得られるポリマーフィルムは耐水性、光沢性
に優れている。紙塗工用に使用すると、耐ブリスター
性、ウエットピック強度、光沢性に優れた塗工紙が得ら
れるといった作用効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 KA06 KB08 KB29 4J100 AB02Q AB03Q AB04Q AG04Q AJ02R AJ08R AJ09R AL03Q AL05Q AL09Q AL10Q AM02Q AM03Q AM15Q AS02P AS03P AS06P BB01P BB01Q CA05 EA07 FA20 JA13 4L055 AG57 AG70 AG75 AH33 FA11 FA13

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で表される化合物(I)
    からなる紙塗工ラテックス用反応性乳化剤。 【化1】 (ここで、上記[化1]中、Rは炭素数8〜12のア
    ルキル基、Rは水素またはプロペニル基、Aは炭素数
    2〜4のアルキレン基または置換アルキレン基、nは1
    〜200の整数、Xは水素または下記[化2]で表され
    る置換基であり、[化2]中、Mはアルカリ金属、NH
    またはアルカノールアミン残基、Rは上記[化1]
    のX以外の残基である。) 【化2】
  2. 【請求項2】下記一般式(II)で表される化合物(I
    I)および下記一般式(III)で表される化合物(I
    II)からなる紙塗工ラテックス用反応性乳化剤。 【化3】 【化4】 (ここで、上記[化3]及び[化4]中、Rは炭素数
    8〜12のアルキル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン
    基または置換アルキレン基、nは1〜200の整数、X
    は水素または下記[化5]で表される置換基であり、
    [化5]中、Mはアルカリ金属、NH又はアルカノー
    ルアミン残基、Rは上記[化3]及び[化4]のX以
    外の残基である。なお、上記したR、A、n、X、
    M、及びRはそれぞれ互いに同じであってもよいし、
    異なっていてもよい。) 【化5】
  3. 【請求項3】前記化合物(II)および前記化合物(I
    II)との重量比率が80:20〜99:1の範囲であ
    ることを特徴とする請求項2記載の紙塗工ラテックス用
    反応性乳化剤。
  4. 【請求項4】請求項1、2または3記載の紙塗工ラテッ
    クス用反応性乳化剤の存在下、下記(a)、(b)及び
    (c)からなる単量体混合物を乳化重合することにより
    得られた重合体粒子を含有してなる紙塗工用共重合体ラ
    テックス。 (a)脂肪族共役ジエン系単量体20〜70重量% (b)エチレン系不飽和カルボン酸単量体0.5〜10
    重量% (c)共重合可能な他の単量体20〜79.5重量%。
  5. 【請求項5】請求項4記載の紙塗工用共重合体ラテック
    スにおいて、前記単量体混合物を、当該単量体混合物1
    00重量部に対して上記一般式(I)で表される化合物
    (I)又は上記一般式(II)及び(III)で表され
    る化合物(II)及び(III)の混合物0.1〜15
    重量部を存在させて乳化重合することによって得られた
    重合体粒子を含有してなる紙塗工用共重合体ラテック
    ス。
  6. 【請求項6】請求項4または5に記載の紙塗工用共重合
    体ラテックスと顔料を含有してなる紙塗工用組成物。
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