JP2002060964A - 表面清浄なステンレス鋼管およびその製造方法 - Google Patents
表面清浄なステンレス鋼管およびその製造方法Info
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- JP2002060964A JP2002060964A JP2000251697A JP2000251697A JP2002060964A JP 2002060964 A JP2002060964 A JP 2002060964A JP 2000251697 A JP2000251697 A JP 2000251697A JP 2000251697 A JP2000251697 A JP 2000251697A JP 2002060964 A JP2002060964 A JP 2002060964A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 半導体製造プロセスの配管などに使用される
クリーンパイプを電解研磨や機械加工により内面の表面
粗さの最大高さRmaxを1μm以下に平滑化する工程を
用いずに表面粗さの大きいBA管に湿式法でより高性能
な酸化被膜を形成する。 【構成】 冷間抽伸後に光輝焼鈍仕上げした内面の表面
粗さの最大高さRmax1.0〜3.0μmのオーステナ
イトステンレス鋼管の内表面に硝酸水溶液浸漬により形
成した不働態被膜の厚みが20Å〜30Åで、CrO/
FeOが3.3〜4.0であることを特徴とする表面清
浄なオーステナイトステンレス鋼管。冷間抽伸後に光輝
焼鈍仕上げした内面の表面粗さの最大高さRmax1.0
〜3.0μmのオーステナイトステンレス鋼管を濃度3
0〜40%、温度50〜70℃の硝酸水溶液に浸漬する
ことによりCr含有量の高い不働態被膜を形成する。
クリーンパイプを電解研磨や機械加工により内面の表面
粗さの最大高さRmaxを1μm以下に平滑化する工程を
用いずに表面粗さの大きいBA管に湿式法でより高性能
な酸化被膜を形成する。 【構成】 冷間抽伸後に光輝焼鈍仕上げした内面の表面
粗さの最大高さRmax1.0〜3.0μmのオーステナ
イトステンレス鋼管の内表面に硝酸水溶液浸漬により形
成した不働態被膜の厚みが20Å〜30Åで、CrO/
FeOが3.3〜4.0であることを特徴とする表面清
浄なオーステナイトステンレス鋼管。冷間抽伸後に光輝
焼鈍仕上げした内面の表面粗さの最大高さRmax1.0
〜3.0μmのオーステナイトステンレス鋼管を濃度3
0〜40%、温度50〜70℃の硝酸水溶液に浸漬する
ことによりCr含有量の高い不働態被膜を形成する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体製造プラン
ト、高真空装置等の高清浄度を要求される装置の配管材
として特に適する表面清浄なオーステナイトステンレス
鋼管およびその製造方法に関する。
ト、高真空装置等の高清浄度を要求される装置の配管材
として特に適する表面清浄なオーステナイトステンレス
鋼管およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体製造プラント用などの超高純度ガ
ス用管等に用いられる表面の清浄な管は、通常「クリー
ンパイプ」と称されており、ステンレス鋼管を冷間引き
抜きで製造し、光輝焼鈍仕上げしたBA(Bright
Annealing)管およびさらに電解研磨して平
滑に仕上げたEP(Electric Polishi
ng)管の製造方法が知られている。
ス用管等に用いられる表面の清浄な管は、通常「クリー
ンパイプ」と称されており、ステンレス鋼管を冷間引き
抜きで製造し、光輝焼鈍仕上げしたBA(Bright
Annealing)管およびさらに電解研磨して平
滑に仕上げたEP(Electric Polishi
ng)管の製造方法が知られている。
【0003】半導体製造プロセスでは、比較的安定な一
般ガス(O2 ,N2 ,H2 ,He)から反応性、腐食性
および毒性の強いフッ素系、塩素系などのプロセスガス
やクリーニングガスが使用される。
般ガス(O2 ,N2 ,H2 ,He)から反応性、腐食性
および毒性の強いフッ素系、塩素系などのプロセスガス
やクリーニングガスが使用される。
【0004】これらのガスを使用する配管やチャンバー
の材料には、ガスとの反応性、耐腐食性の他、強度、加
工性、溶接性、管内外表面の仕上げ研磨性等を考慮し
て、オーステナイト系またはフェライト系のステンレス
鋼が使用されており、より適するステンレス鋼材料の開
発が進められている。
の材料には、ガスとの反応性、耐腐食性の他、強度、加
工性、溶接性、管内外表面の仕上げ研磨性等を考慮し
て、オーステナイト系またはフェライト系のステンレス
鋼が使用されており、より適するステンレス鋼材料の開
発が進められている。
【0005】ステンレス鋼は、乾燥ガス雰囲気では耐蝕
性に優れているが、フッ素系や塩素系のガス雰囲気中で
水分が存在する場合は容易に腐食されてしまうという問
題がある。このため、ステンレス鋼管の表面には何らか
の耐蝕性処理が必要になる。
性に優れているが、フッ素系や塩素系のガス雰囲気中で
水分が存在する場合は容易に腐食されてしまうという問
題がある。このため、ステンレス鋼管の表面には何らか
の耐蝕性処理が必要になる。
【0006】ステンレス鋼の耐蝕性向上のために表面に
酸化被膜を形成することは周知であり、例えば、酸化性
雰囲気で500℃程度に1〜2時間程度加熱して金属表
面に薄いCrの酸化物被膜を作る方法(特開昭63−1
69391号公報、特開平1−31956号公報、特開
平1−87760号公報、特開平1−198463号公
報、特開平2−141566号公報)が知られている。
酸化被膜を形成することは周知であり、例えば、酸化性
雰囲気で500℃程度に1〜2時間程度加熱して金属表
面に薄いCrの酸化物被膜を作る方法(特開昭63−1
69391号公報、特開平1−31956号公報、特開
平1−87760号公報、特開平1−198463号公
報、特開平2−141566号公報)が知られている。
【0007】また、水素ガスまたは水素と不活性ガスと
の混合ガス中に4ppm未満の酸素または500ppb
未満の水分を含有するガス雰囲気、あるいは500pp
b〜2%の水分を含有するガス雰囲気で300〜600
℃に加熱して酸化被膜を形成する方法(特開平6−41
629号公報、特開平6−116632号公報、特開平
7−233476号公報)も知られている。
の混合ガス中に4ppm未満の酸素または500ppb
未満の水分を含有するガス雰囲気、あるいは500pp
b〜2%の水分を含有するガス雰囲気で300〜600
℃に加熱して酸化被膜を形成する方法(特開平6−41
629号公報、特開平6−116632号公報、特開平
7−233476号公報)も知られている。
【0008】比較的高温で加熱する方法としては、H2
雰囲気で900〜1200℃で加熱して水切れ性と耐蝕
性を向上する方法(特許2541011号公報)、H2
ガスを流しながら固溶体焼鈍仕上げしてCr酸化被膜を
形成し、水切れ性と耐蝕性を向上する方法(特開平4−
350180号公報)、酸素10ppm以下かつ水蒸気
10ppm以下の雰囲気で750〜1200℃で加熱す
る方法(特開平7−62520号公報)が知られてい
る。
雰囲気で900〜1200℃で加熱して水切れ性と耐蝕
性を向上する方法(特許2541011号公報)、H2
ガスを流しながら固溶体焼鈍仕上げしてCr酸化被膜を
形成し、水切れ性と耐蝕性を向上する方法(特開平4−
350180号公報)、酸素10ppm以下かつ水蒸気
10ppm以下の雰囲気で750〜1200℃で加熱す
る方法(特開平7−62520号公報)が知られてい
る。
【0009】また、1〜6重量%の高Al含有のステン
レス鋼を微量のO2 を含む不活性ガス雰囲気または大気
中で800〜1100℃に1〜2分間加熱してAlの酸
化物被膜を形成する方法(特開平7−60099号公
報)も知られている。
レス鋼を微量のO2 を含む不活性ガス雰囲気または大気
中で800〜1100℃に1〜2分間加熱してAlの酸
化物被膜を形成する方法(特開平7−60099号公
報)も知られている。
【0010】通常、半導体製造プロセスに使用されるス
テンレス鋼管の内表面は、表面粗さの最大高さRmaxが
1μm以下となるまで平滑化されており、これらの高平
滑材は電解研磨仕上げによって製造され、高純度水によ
る洗浄、高純度ガスによる乾燥が施されて製品となる。
電解研磨の場合、平滑化ばかりでなく、表面に不働態化
被膜が生成し、耐蝕性向上の効果もある。
テンレス鋼管の内表面は、表面粗さの最大高さRmaxが
1μm以下となるまで平滑化されており、これらの高平
滑材は電解研磨仕上げによって製造され、高純度水によ
る洗浄、高純度ガスによる乾燥が施されて製品となる。
電解研磨の場合、平滑化ばかりでなく、表面に不働態化
被膜が生成し、耐蝕性向上の効果もある。
【0011】電解研磨を用いずに、機械加工により表面
粗さの最大高さRmaxを1μm以下に平滑化したオース
テナイトステンレス鋼を濃度:5〜60%、溶液温度:
20〜80℃の硝酸水溶液中に5分以上浸漬する湿式不
働態化処理によって表面にCrを主体(Crの量が95
原子%以上)とする厚さ10〜500Åの酸化被膜を形
成する方法も知られている(特開平9−3655号公
報)。
粗さの最大高さRmaxを1μm以下に平滑化したオース
テナイトステンレス鋼を濃度:5〜60%、溶液温度:
20〜80℃の硝酸水溶液中に5分以上浸漬する湿式不
働態化処理によって表面にCrを主体(Crの量が95
原子%以上)とする厚さ10〜500Åの酸化被膜を形
成する方法も知られている(特開平9−3655号公
報)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】半導体デバイスの製造
プロセスに使用されるステンレス鋼からなるクリーンパ
イプ内部は、腐食性ガスによる腐食生成物の発生を防止
するために鋼管内部を耐蝕性に優れたものとする必要が
ある。また、ステンレス鋼管内でパーチクルが出ないこ
と、水分の乾き性が良好なことも求められ、半導体チッ
プの高集積化、シリコンウエハの大型化、エピタキシャ
ルウエハの需要の高まりとともに、高耐蝕性ステンレス
鋼管の要求が強まっている。
プロセスに使用されるステンレス鋼からなるクリーンパ
イプ内部は、腐食性ガスによる腐食生成物の発生を防止
するために鋼管内部を耐蝕性に優れたものとする必要が
ある。また、ステンレス鋼管内でパーチクルが出ないこ
と、水分の乾き性が良好なことも求められ、半導体チッ
プの高集積化、シリコンウエハの大型化、エピタキシャ
ルウエハの需要の高まりとともに、高耐蝕性ステンレス
鋼管の要求が強まっている。
【0013】ステンレス鋼管表面に形成される不動態被
膜は通常CrO+FeOであるが、BA管製造での最終
熱処理である光輝焼鈍は、還元性ガス(H2)中で実施
するため、Cr比の大きい膜厚15Å以上の酸化被膜を
得ることは困難でありCr比は通常2.0以下である。
このため、高品質の酸化被膜を形成するために種々の工
夫がなされているが、コスト上昇の要因となっている。
上記の特開平9−3655号公報に開示されている方法
によれば、10〜500Åの酸化被膜を形成するために
機械加工でEP管の平滑面並に表面粗さの最大高さRma
xを1μm以下に管内面を平滑化する工程を必要として
いる。
膜は通常CrO+FeOであるが、BA管製造での最終
熱処理である光輝焼鈍は、還元性ガス(H2)中で実施
するため、Cr比の大きい膜厚15Å以上の酸化被膜を
得ることは困難でありCr比は通常2.0以下である。
このため、高品質の酸化被膜を形成するために種々の工
夫がなされているが、コスト上昇の要因となっている。
上記の特開平9−3655号公報に開示されている方法
によれば、10〜500Åの酸化被膜を形成するために
機械加工でEP管の平滑面並に表面粗さの最大高さRma
xを1μm以下に管内面を平滑化する工程を必要として
いる。
【0014】また、長尺ステンレス鋼管表面に不動態被
膜を形成する方法において、酸化性ガスを炉内、または
鋼管内面のみに流して高温で処理する方法は、作業効率
が低く、バッチ処理ごとの被膜の特性変動などの問題が
あり、作業効率の向上と高性能の均一な被膜を形成でき
る方法の開発が求められている。ステンレス鋼管の冷間
引き抜きで内面の表面粗さの最大高さRmaxを1.0μ
m未満とすることは困難であり、電解研磨や機械加工に
より表面粗さの最大高さRmaxを1μm以下に平滑化す
る工程を用いずに、従来得られていないCr含有量が非
常に多い高耐食性の酸化被膜を表面粗さの大きいBA管
に湿式法によって形成できれば、クリーンパイプ製造の
作業効率を向上させ、クリーンパイプを安価に提供でき
ることになる。
膜を形成する方法において、酸化性ガスを炉内、または
鋼管内面のみに流して高温で処理する方法は、作業効率
が低く、バッチ処理ごとの被膜の特性変動などの問題が
あり、作業効率の向上と高性能の均一な被膜を形成でき
る方法の開発が求められている。ステンレス鋼管の冷間
引き抜きで内面の表面粗さの最大高さRmaxを1.0μ
m未満とすることは困難であり、電解研磨や機械加工に
より表面粗さの最大高さRmaxを1μm以下に平滑化す
る工程を用いずに、従来得られていないCr含有量が非
常に多い高耐食性の酸化被膜を表面粗さの大きいBA管
に湿式法によって形成できれば、クリーンパイプ製造の
作業効率を向上させ、クリーンパイプを安価に提供でき
ることになる。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、クリーンパイ
プの製造においてBA管を対象として湿式法を採用して
上記課題を解決したものであり、高性能な内面酸化被膜
を有するオーステナイトステンレス鋼からなるクリーン
パイプおよびその製造方法を提供するものである。
プの製造においてBA管を対象として湿式法を採用して
上記課題を解決したものであり、高性能な内面酸化被膜
を有するオーステナイトステンレス鋼からなるクリーン
パイプおよびその製造方法を提供するものである。
【0016】すなわち、本発明は、冷間抽伸後に光輝焼
鈍仕上げした内面の表面粗さの最大高さRmax1.0〜
3.0μmのオーステナイトステンレス鋼管の内表面に
硝酸水溶液浸漬により形成した不働態被膜の厚みが20
Å〜30Åで、CrO/FeOが3.3〜4.0である
ことを特徴とする表面清浄なオーステナイトステンレス
鋼管である。
鈍仕上げした内面の表面粗さの最大高さRmax1.0〜
3.0μmのオーステナイトステンレス鋼管の内表面に
硝酸水溶液浸漬により形成した不働態被膜の厚みが20
Å〜30Åで、CrO/FeOが3.3〜4.0である
ことを特徴とする表面清浄なオーステナイトステンレス
鋼管である。
【0017】不働態被膜はCrO+FeOからなる酸化
被膜であり、その厚みが20Å未満および不働態被膜中
のCr含有量の割合(Cr比)を示すCrO/FeOが
3.3未満では、耐食性が悪くなる。また、CrO/F
eOが3.3以上であれば酸化被膜の厚みは30Å以下
で十分耐食性があり膜厚をこれ以上大きくする必要はな
い。また、硝酸水溶液濃度の高い溶液で酸化被膜形成処
理をする場合、処理時間を長くすると酸化被膜の溶解が
起こり膜厚を30Åを超えて大きくすることは困難であ
り、CrO/FeOの上限はほぼ4.0程度である。
被膜であり、その厚みが20Å未満および不働態被膜中
のCr含有量の割合(Cr比)を示すCrO/FeOが
3.3未満では、耐食性が悪くなる。また、CrO/F
eOが3.3以上であれば酸化被膜の厚みは30Å以下
で十分耐食性があり膜厚をこれ以上大きくする必要はな
い。また、硝酸水溶液濃度の高い溶液で酸化被膜形成処
理をする場合、処理時間を長くすると酸化被膜の溶解が
起こり膜厚を30Åを超えて大きくすることは困難であ
り、CrO/FeOの上限はほぼ4.0程度である。
【0018】また、本発明は、冷間抽伸後に光輝焼鈍仕
上げした内面の表面粗さの最大高さRmax1.0〜3.
0μmのオーステナイトステンレス鋼管を濃度30〜4
0%、温度50〜70℃の硝酸水溶液に浸漬することを
特徴とする上記の表面清浄なオーステナイトステンレス
鋼管の製造方法である。なお、表面粗さの最大高さは、
JIS B0601−1982に定められた測定法に基
づく値である。また、CrO/FeOはX線光電子分光
法(XPS)に基づく値である。
上げした内面の表面粗さの最大高さRmax1.0〜3.
0μmのオーステナイトステンレス鋼管を濃度30〜4
0%、温度50〜70℃の硝酸水溶液に浸漬することを
特徴とする上記の表面清浄なオーステナイトステンレス
鋼管の製造方法である。なお、表面粗さの最大高さは、
JIS B0601−1982に定められた測定法に基
づく値である。また、CrO/FeOはX線光電子分光
法(XPS)に基づく値である。
【0019】
【発明の実施の形態】ステンレス鋼管を冷間引き抜き後
に脱脂を施し、乾燥後、光輝焼鈍仕上げを行う。光輝焼
鈍仕上げは、鋼管の内外面の酸化によるスケールの発生
を防止するために水素炉や真空加熱炉を用いて行う。次
に、矯正機で鋼管を真っ直ぐにし、湿式法による酸化被
膜形成方法として硝酸水溶液槽への浸漬処理を実施して
酸化被膜を形成した後処理槽より取り出して、所定の長
さに切断後、管端の面仕上げを実施し製品とする。
に脱脂を施し、乾燥後、光輝焼鈍仕上げを行う。光輝焼
鈍仕上げは、鋼管の内外面の酸化によるスケールの発生
を防止するために水素炉や真空加熱炉を用いて行う。次
に、矯正機で鋼管を真っ直ぐにし、湿式法による酸化被
膜形成方法として硝酸水溶液槽への浸漬処理を実施して
酸化被膜を形成した後処理槽より取り出して、所定の長
さに切断後、管端の面仕上げを実施し製品とする。
【0020】光輝焼鈍のための加熱炉として、マッフル
炉を用い、マッフル管内にH2 ガスまたは不活性ガスを
流してステンレス鋼管内外面を光輝焼鈍仕上げすること
ができる。光輝焼鈍仕上げ後の鋼管内面の表面粗さの最
大高さRmaxは、1.0〜3.0μm、通常は1.7〜
2.5μmである。
炉を用い、マッフル管内にH2 ガスまたは不活性ガスを
流してステンレス鋼管内外面を光輝焼鈍仕上げすること
ができる。光輝焼鈍仕上げ後の鋼管内面の表面粗さの最
大高さRmaxは、1.0〜3.0μm、通常は1.7〜
2.5μmである。
【0021】硝酸水溶液槽への浸漬工程は硝酸水溶液槽
にステンレス鋼管を常法により浸漬する方法により行
う。約0.5〜2時間浸漬した後、取り出し、内外面を
高圧水で洗浄し、純水に浸漬後、乾燥する。硝酸の濃度
は30〜40%、水溶液温度は50〜70℃が好まし
い。水溶液の温度が高いほど酸化被膜のCr含有量は高
くなる傾向があるが、70℃を超えると水溶液の蒸発が
速くなり水溶液の濃度管理が困難になる。また、ステン
レス鋼管の水溶液槽への出し入れによる水溶液温度の変
化も大きくなり、水溶液の温度管理も難しくなり、一定
条件での安定した硝酸水溶液処理が困難になる。
にステンレス鋼管を常法により浸漬する方法により行
う。約0.5〜2時間浸漬した後、取り出し、内外面を
高圧水で洗浄し、純水に浸漬後、乾燥する。硝酸の濃度
は30〜40%、水溶液温度は50〜70℃が好まし
い。水溶液の温度が高いほど酸化被膜のCr含有量は高
くなる傾向があるが、70℃を超えると水溶液の蒸発が
速くなり水溶液の濃度管理が困難になる。また、ステン
レス鋼管の水溶液槽への出し入れによる水溶液温度の変
化も大きくなり、水溶液の温度管理も難しくなり、一定
条件での安定した硝酸水溶液処理が困難になる。
【0022】形成される酸化被膜の厚みは、硝酸水溶液
濃度が35%で最も厚くなるが、さらに、濃度が高くな
ると酸化被膜の厚みは逆に薄くなる。したがって、硝酸
水溶液濃度が35%前後で、水溶液の温度60℃前後が
最も優れた酸化被膜を形成できる。
濃度が35%で最も厚くなるが、さらに、濃度が高くな
ると酸化被膜の厚みは逆に薄くなる。したがって、硝酸
水溶液濃度が35%前後で、水溶液の温度60℃前後が
最も優れた酸化被膜を形成できる。
【0023】
【実施例】実施例1 ステンレス鋼管としてSUS316Lステンレス鋼管を
用いた。鋼管のサイズは、長さ4000mm、外径6.
35mm、肉厚1.0mmであり、ダイスとプラグを用
いる冷間抽伸加工によって製管し、露点−30℃以下の
水素雰囲気中で約5分間、1100℃の光輝焼鈍を行っ
た。得られた鋼管を真っ直ぐに矯正し、定尺の4000
mmに切断した。鋼管内面の表面粗さの最大高さRmax
は2.0μmであった。
用いた。鋼管のサイズは、長さ4000mm、外径6.
35mm、肉厚1.0mmであり、ダイスとプラグを用
いる冷間抽伸加工によって製管し、露点−30℃以下の
水素雰囲気中で約5分間、1100℃の光輝焼鈍を行っ
た。得られた鋼管を真っ直ぐに矯正し、定尺の4000
mmに切断した。鋼管内面の表面粗さの最大高さRmax
は2.0μmであった。
【0024】次いで、鋼管をつり下げて硝酸水溶液槽に
浸漬した。鋼管は硝酸水溶液槽から引き上げた後、水槽
内で揺動洗浄し、高圧水洗浄し、純水浸漬し、ガ−ゼブ
ローし、乾燥した。硝酸水溶液の濃度、温度、浸漬時間
とAES(オージェ電子分光法)、XPS(X線光電子
分光法)による測定結果を表1に示す。AESにより酸
化膜厚を測定し、XPSによりCrO/FeOを測定し
た。SEMI規格では、被膜成分の測定において酸素の
ピークが1/2になったところまでの厚みを不働態膜と
しており、AESによるO膜は不働態膜に相当する。ま
た炭素のピークが1/2になったところまでを最表面の
汚れとしている。AESによるC膜は汚れに相当する。
表中のNo.1〜8は比較例、No.9〜12は実施例
である。
浸漬した。鋼管は硝酸水溶液槽から引き上げた後、水槽
内で揺動洗浄し、高圧水洗浄し、純水浸漬し、ガ−ゼブ
ローし、乾燥した。硝酸水溶液の濃度、温度、浸漬時間
とAES(オージェ電子分光法)、XPS(X線光電子
分光法)による測定結果を表1に示す。AESにより酸
化膜厚を測定し、XPSによりCrO/FeOを測定し
た。SEMI規格では、被膜成分の測定において酸素の
ピークが1/2になったところまでの厚みを不働態膜と
しており、AESによるO膜は不働態膜に相当する。ま
た炭素のピークが1/2になったところまでを最表面の
汚れとしている。AESによるC膜は汚れに相当する。
表中のNo.1〜8は比較例、No.9〜12は実施例
である。
【0025】
【表1】
【0026】図1、図2に示すように、酸化被膜厚、C
rO/FeOとも硝酸水溶液濃度35%で水溶液温度6
0℃の場合の結果が最も良好であった。また、図3、図
4に示すように、硝酸水溶液濃度35%で水溶液温度6
0℃で処理したものは、酸化被膜厚が20Å以上であ
り、CrO/FeOは3.3以上であり、硝酸水溶液処
理なし、常温の硝酸水溶液処理、EP(電解研磨)管に
対する常温の硝酸水溶液処理よりもCr含有量の割合が
非常に高く、優れた耐食性が奏されることが分かる。
rO/FeOとも硝酸水溶液濃度35%で水溶液温度6
0℃の場合の結果が最も良好であった。また、図3、図
4に示すように、硝酸水溶液濃度35%で水溶液温度6
0℃で処理したものは、酸化被膜厚が20Å以上であ
り、CrO/FeOは3.3以上であり、硝酸水溶液処
理なし、常温の硝酸水溶液処理、EP(電解研磨)管に
対する常温の硝酸水溶液処理よりもCr含有量の割合が
非常に高く、優れた耐食性が奏されることが分かる。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、半導体製造プロセスな
どの用途に要望されている表面清浄で耐食性が非常に優
れたオーステナイトステンレス鋼管を安価に提供するこ
とができる。
どの用途に要望されている表面清浄で耐食性が非常に優
れたオーステナイトステンレス鋼管を安価に提供するこ
とができる。
【図1】図1は、硝酸水溶液処理条件と鋼管内面の酸化
被膜厚(Å)の関係を示すグラフである。
被膜厚(Å)の関係を示すグラフである。
【図2】図2は、硝酸水溶液処理条件と鋼管内面の酸化
被膜のCrO/FeOの関係を示すグラフである。
被膜のCrO/FeOの関係を示すグラフである。
【図3】図3は、処理方法の違いと鋼管内面の酸化被膜
厚(Å)との関係を示すグラフである。
厚(Å)との関係を示すグラフである。
【図4】図4は、処理方法の違いと鋼管内面の酸化被膜
のCrO/FeOとの関係を示すグラフである。
のCrO/FeOとの関係を示すグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 冷間抽伸後に光輝焼鈍仕上げした内面の
表面粗さの最大高さRmax1.0〜3.0μmのオース
テナイトステンレス鋼管の内表面に硝酸水溶液浸漬によ
り形成した不働態被膜の厚みが20Å〜30Åで、Cr
O/FeOが3.3〜4.0であることを特徴とする表
面清浄なオーステナイトステンレス鋼管。 - 【請求項2】 冷間抽伸後に光輝焼鈍仕上げした内面の
表面粗さの最大高さRmax1.0〜3.0μmのオース
テナイトステンレス鋼管を濃度30〜40%、温度50
〜70℃の硝酸水溶液に浸漬して鋼管の内外表面に不働
態被膜を形成することを特徴とする請求項1記載の表面
清浄なオーステナイトステンレス鋼管の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000251697A JP2002060964A (ja) | 2000-08-22 | 2000-08-22 | 表面清浄なステンレス鋼管およびその製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1637785A1 (en) * | 2004-09-15 | 2006-03-22 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Steel tube excellent in exfoliation resistance of scale on inner surface |
JP2009545668A (ja) * | 2006-07-31 | 2009-12-24 | フェストアルピネ シュタール ゲーエムベーハー | 特性改善された防食層 |
JP2013159084A (ja) * | 2012-02-08 | 2013-08-19 | Brother Industries Ltd | インクカートリッジ及びインクカートリッジにおけるインクジェット記録用水性インクの析出防止方法 |
-
2000
- 2000-08-22 JP JP2000251697A patent/JP2002060964A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP1637785A1 (en) * | 2004-09-15 | 2006-03-22 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Steel tube excellent in exfoliation resistance of scale on inner surface |
US7377989B2 (en) | 2004-09-15 | 2008-05-27 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Steel tube excellent in exfoliation resistance of scale on inner surface |
JP2009545668A (ja) * | 2006-07-31 | 2009-12-24 | フェストアルピネ シュタール ゲーエムベーハー | 特性改善された防食層 |
JP2013159084A (ja) * | 2012-02-08 | 2013-08-19 | Brother Industries Ltd | インクカートリッジ及びインクカートリッジにおけるインクジェット記録用水性インクの析出防止方法 |
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