JP2002059492A - カーカスプライ用素材への折曲部形成方法および装置 - Google Patents

カーカスプライ用素材への折曲部形成方法および装置

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JP2002059492A
JP2002059492A JP2000250844A JP2000250844A JP2002059492A JP 2002059492 A JP2002059492 A JP 2002059492A JP 2000250844 A JP2000250844 A JP 2000250844A JP 2000250844 A JP2000250844 A JP 2000250844A JP 2002059492 A JP2002059492 A JP 2002059492A
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carcass
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cord
bent portion
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Tsutomu Saeki
佐伯  勉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数個所の折曲部の形成能率を高めるととも
に、各折曲部の塑性変形量を十分大ならしめる。 【解決手段】 複数本のカーカスコード2の相互の連結
下で、コード軸線とほぼ直交する方向に延在するカーカ
スプライ用素材3の、ビードコアの周りに巻き返される
各側部部分で、コード軸線方向の複数個所のそれぞれ
に、相互に異なる押込刃7,8,9による、ほぼV字状
をなすそれぞれの溝4,5,6内へのカーカスプライ用
素材3の押込みにより、ゴードコアに巻き付く向きに折
れ曲がるそれぞれの折曲部を形成するに当り、各カーカ
スコード2に対するそれぞれの折り曲げの各々を一の加
工工程で時間を隔てて行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、タイヤビード部
に配設するビードコアの周りに側部部分を巻き返して固
定されるカーカスプライの形成に用いるカーカスプライ
用素材の、その巻き返し側部部分と対応する部分に、ビ
ードコアに巻き付く向きに折れ曲がる複数の塑性変形部
を形成する折曲部形成方法および装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】少なくとも一枚のカーカスプライを、タ
イヤのトレッド部からサイドウォール部を経てビード部
までトロイダルに延在させるとともに、各ビード部に埋
設したリング状のビードコアの周りで、タイヤ半径方向
の内側から外側へ巻き返してなる一般的な空気入りタイ
ヤ、たとえば重荷重用ラジアルタイヤでは、タイヤの負
荷転動に際するカーカスコードの引抜けを防止すべく、
巻き返し高さを高くして、その巻き返し部分をゴム質中
に埋込み固定することとしている。
【0003】図6(a)はこのことを示すビード部の略
線横断面図であり、これは、ビードコア51の周りで、
タイヤ幅方向の内側から外側へ向けて巻き返したカーカ
スプライ52の巻き返し部分53の半径方向外端を、ワ
イヤチェファ54の同様の外端より半径方向外側に位置
させたものである。
【0004】ところが、このような従来のビード部構造
にあっては、カーカスプライ52の巻き返し外端位置を
境として、タイヤ半径方向の内外側に剛性段差を生じる
ことになるので、タイヤの負荷転動に際する、ビード部
からサイドウォール部にかけての繰返しの撓み変形およ
び周方向剪断変形等によって、前記巻き返し外端および
その近傍に応力が集中することになり、これがため、そ
の外端の、ゴム質からのセパレーションが発生し易く、
このセパレーションが、図6(b)に示すようなビード
部クラックcrの原因になるという問題があった。
【0005】従来のビード部構造のこのような問題点を
解決するためには、図7に例示するように、カーカスプ
ライ52の巻き返し部分53を、リング状のビードコア
51に対して半径方向外方へ高く巻き上げることに代え
て、ビードコア51の周面に沿わせてそこに巻き付け
て、巻き返し部分53の、ビードコア51より半径方向
外方への突出をほとんどもしくは全くなくすることが効
果的である。
【0006】しかるに、カーカスプライ巻返し部分の、
ビードコア周面へのこのような巻付けを、たとえば、周
知のブラダ、羽根、ロール等を用いて、カーカスコー
ド、ひいては、カーカスプライに、前記巻き付け方向の
弾性変形を行わせることと、弾性変形させた巻き返し部
分をビードコア周面にゴム粘着させることとによって行
う場合には、カーカスコードをビードコア周面に、所期
した通りの高い精度で巻付けることが困難であり、しか
も、弾性復元力の小さい、カーカスコードはともかくと
して、スチールコード、芳香族ポリアミドコード等のよ
うな弾性復元力の大きいカーカスコードについては、そ
れを所要の巻き付け位置に正確に維持することができ
ず、結局は、カーカスコードの引抜けおよびカーカスプ
ライ巻返し端のセパレーションのそれぞれを十分に防止
することができないという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、弾性復元力の
大きなスチールコードをカーカスコードとして用いる場
合にあってなお、カーカスプライの巻き返し部分を、ビ
ードコアの周面に所期した通りに巻き付けるとともに、
その巻き付け姿勢を確実に維持することを目的として、
カーカスプライ用素材の側部部分の所要位置に、ビード
コアに巻き付く向きに折れ曲がる折曲部を、押込刃と溝
部との協働の下で、カーカスプライ用素材をその溝部内
へ押込むことによって形成することが提案されている。
【0008】しかるにこの場合、カーカスプライ用素材
の側部部分の一個所だけに折曲部を形成するだけでは、
その側部部分を、ビードコア周面に正確に沿わせて巻き
付けることが難しい等上記目的を十分に達成し得ない不
都合がある。これに対し、その側部部分の、カーカスコ
ードの軸線方向に所定の間隔をおく複数個所に折曲部を
形成するときは、ビードコア周面に沿う巻き付き性を大
きく改善し、また、巻き付け姿勢の維持確保が容易にな
るも、複数個所の折曲部の形成に当たって、それの一個
所ずつを別個の加工工程をもって形成する場合には、加
工工程数が折曲部の数に応じて増加するという他の問題
の発生があり、この一方で、コード軸線方向に間隔をお
く、複数個所に折曲部を同時に形成する場合には、各折
曲部の塑性変形量を所期した通りに増加させることがで
きないという他の問題があった。
【0009】この発明は、カーカスプライ用素材の側部
部分の複数個所に折曲部を形成する場合のこのような問
題点を解決することを課題とするものであり、それの目
的とするところは、複数個所の折曲部の形成能率を高め
るとともに、各折曲部の塑性変形量を十分大ならしめる
カーカスプライ用素材への折曲部形成方法および装置を
提供するにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は、カーカスプ
ライ用素材の側部部分の複数個所に、押込刃と溝部との
協働作用の下で同時に折曲部を形成する場合には、各カ
ーカスコードが、それの延在方向の複数個所で、溝部内
へ同時に押込まれることになり、たとえば、一個所での
押込みに起因するコード張力の増加が他の押込み個所で
の押込み抵抗を高めることになるため、押込刃の押込力
を高めてなお、カーカスコードを、溝部表面に大きな力
で押し付けて十分に塑性変形させることが困難になり、
これが、複数個所に折曲部を同時に形成するに際しての
塑性変形量の不足の主な原因になるとの知見に基づいて
なされたものであり、この発明の、カーカスプライ用素
材への折曲部形成方法は、整列させて平行配置した複数
本のカーカスコードの相互の連結下、たとえば、コーテ
ィングゴム、糸状体または帯状体等による相互の連結下
で、コード軸線とほぼ直交する方向、たとえば、コード
軸線に対して70〜90°の角度をなす方向に延在する
カーカスプライ用素材の、タイヤビード部に配設するビ
ードコアの周りに巻き返される各側部部分で、コード軸
線方向の複数個所のそれぞれに、相互に異なる押込刃に
よる、ほぼV字状をなすそれぞれの溝内へのカーカスプ
ライ用素材の押込みにより、各カーカスコードがビード
コアに巻き付く向きに折れ曲がるそれぞれの折曲部を形
成するに当たって、各カーカスコードに対するそれぞれ
の折り曲げの各々を、一の加工工程において時間を隔て
て行うものである。
【0011】この方法では、折曲部の所要の形成個所に
応じた複数枚の押込刃と、複数本の溝部との協働作用を
もって、一の塑性加工工程で複数の折曲部を形成するこ
とにより、それぞれの折曲部を相互に別個の加工工程を
もって形成する場合に比して工程数を有利に低減させて
加工時間を大きく短縮することができ、また、各カーカ
スコードに対するそれぞれの折り曲げの各々、いいかえ
れば、複数枚のそれぞれの押込刃の、一本のカーカスコ
ードに対する作用を、時間を隔てて行って、一本のカー
カスコードの複数個所での同時の折り曲げ加工を回避す
ることで、各折曲部の塑性変形量を所期した通りに増大
させることができる。
【0012】この方法において好ましくは、上述した時
間の隔たりを、カーカスコードの折り曲げ加工部におけ
る、折り曲げ前後のコード長さの差に基づいて選択し、
より好ましくは、コード長さの差が長いほどその隔たり
を大きくする。
【0013】このように、それぞれの折り曲げ加工に際
する時間の隔たりを、折り曲げの前後のコード長さの差
に基づいて選択するのは、折り曲げコード長さによる表
現が物理的に把握し易いことによる。
【0014】いいかえれば、それぞれの折曲部の形成に
際する時間の隔たりがあってなお、それが小さすぎる
と、一の押込刃の極く近傍で他の押込刃が機能すること
になり、一の押込刃の作用によるカーカスコードの塑性
変形によって一の折り曲げ加工が施され、これによって
延在経路が変化したカーカスコードに近接して存在する
他のカーカスコードが、他の押込刃によって、先の折り
曲げ加工部からコード軸線方向に離隔した位置に折り曲
げ加工を施されて、上記カーカスコードとは異なった経
路を経て延在することになるため、近接して存在する両
カーカスコード間のたとえばコーティングゴムが、それ
ぞれのカーカスコードに共連されて、それぞれの押込刃
の方向へ引き伸ばされるように剪断変形され、これによ
って、その厚みを減じられるおそれがあり、また、カー
カスコードの相互連結を糸状体、帯状体等にて行うとき
は、糸状体の不測の切断によってカーカスコードがばら
けたり、塑性変形量の不足によって十分な折り曲げ加工
を施すことができない等のおそれがある。しかるに、時
間の隔たりを、折り曲げの前後のコード長さの差に基づ
いて選択して、その差が大きいほど隔たりを大きくし、
たとえば、長さの差に相当する以上の時間間隔とした場
合には、それぞれの押込刃の作用位置が十分大きく離隔
することになって、一の押込刃の作用による折り曲げ加
工を、他の押込刃の作用による折り曲げ加工に、ほとん
ど影響を及ぼすことなしに、また影響を受けることなし
に行うことができる。
【0015】ここでのこの時間の隔たりは、たとえば、
押込刃を、中心軸線の周りに回転される回転押込刃とし
た場合には、それぞれの回転押込刃の中心軸線を、水平
面内で、溝部の延在方向に間隔をおいて位置させること
により実現することができ、これによれば、それぞれの
回転押込刃の、溝部に沿う方向への相対移動に基づき、
一本のカーカスコードに対するそれぞれの折り曲げ加工
タイミングを、前記中心軸線の水平距離に対応する時間
だけずらすことができる。
【0016】なおここで、セミラジアルタイヤ、バイア
スタイヤ等に適用されるカーカスプライ用素材の如く
に、カーカスコードの延在方向とカーカスプライ用素材
の延在方向との交角が0°〜60°となるものにおける
上記時間の隔たりは、カーカスコードの延在方向を考慮
して、回転押込刃の中心軸線間距離を、小さくすること
または大きくすることにより実現することができる。
【0017】そして、この方法においてより好ましく
は、カーカスプライ用素材の折曲部を回転押込刃により
形成するとともに、上記時間の隔たりを回転押込刃の直
径に応じて調整し、さらに好ましくは、直径の増加につ
れをその隔たりを大きくする。
【0018】回転押込刃の直径が増加すると、押込刃
の、溝部への入り込み周長が長くなり、結果として、カ
ーカスプライ用素材に対する折り曲げ加工長さも長くな
るので、隣接する押込刃がそのカーカスプライ用素材に
他の折り曲げ加工を施すまでの時間間隔をもまたそれに
合わせて長くすること、いいかえれば、回転押込刃の中
心軸線間距離を大きくすることで、時間の隔たりが小さ
すぎることに起因する、前述したような問題の発生を有
効に防止することができる。
【0019】またこの発明の、カーカスプライ用素材へ
の折曲部形成装置は、前記したようなカーカスプライ用
素材の各側部部分で、コード軸線方向の複数個所のそれ
ぞれに、先に述べたような折曲部を形成するものであ
り、カーカスプライ用素材を位置決めする支持台に、カ
ーカスコードの軸線方向に間隔をおく、横断面形状がほ
ぼV字状をなす複数本の溝部を相互に平行に設けるとと
もに、カーカスプライ用素材をそれぞれの溝部へ押し込
むそれぞれの押込刃を設け、これらの押込刃の相互を、
それぞれの押込刃の、溝部への進入域が、溝部と直交す
る方向で相互に重なり合わない位置まで、溝部の延在方
向に離隔させて配置したものである。ここで、横断面形
状がほぼV字状をなす溝部の各溝壁は、一以上の折曲点
を有するものとすることもでき、この場合は、押込刃の
刃先部分もまた対応する折曲点を有するものとする。
【0020】これによれば、それぞれの押込刃を同時に
作用させてなお、特定のカーカスコードに対する、複数
個所での同時の折り曲げ加工の進行を防止して各折曲部
の塑性変形量を十分大ならしめることができる。
【0021】ここで、各押込刃は、中心軸線の周りに回
転される回転押込刃とする他、溝部への進入位置と後退
位置との間で往復運動もしくは揺動運動される進退押込
刃とすることもできる。
【0022】ここにおいて、各押込刃を回転押込刃とす
る場合には、それぞれの回転押込刃の中心軸線を、カー
カスプライ用素材の折曲部形成部分の、その折曲部の形
成前後の溝部横断長さの差に相当する距離以上に水平面
内で相互に離隔させることが好ましい。
【0023】これによれば、カーカスプライ用素材に対
する一の折り曲げ加工と次の折り曲げ加工との時間の隔
たりを、上述した長さの差に応じて調整することがで
き、それ故に、それぞれの折り曲げ加工が相互に及ぼす
前述したような影響を十分に取り除くことができる。ま
たここで、長さの差を「相対距離」とするのは、溝の深
さや隔たりによって、最適な点の位置が違うことによ
る。ただし、コード間隔である1mmが物理的最小値に
なる。
【0024】そしてまた、回転押込刃の直径の変化を考
慮する場合には、上述したところに加えて、回転押込刃
の、基準直径に対する直径の増加に伴う、回転押込刃と
カーカスプライ用素材との接触長さの増加につれて、回
転押込刃の中心軸線の離隔距離を大きくすることが好ま
しい。これによれば、先に述べたように、回転押込刃の
直径が増加してなお、十分な時間間隔を確保して、それ
ぞれの折り曲げ加工を所期した通りに行わせることがで
きる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下にこの発明の実施の形態を図
面に示すところに基づいて説明する。図1はこの発明に
係る装置の実施の形態を示す略線斜視図であり、図中1
は支持台を示す。この支持台1は、たとえば図に仮想線
で示すように、整列させて平行配置した多数本のカーカ
スコード2の、たとえば未加硫コーティングゴム等によ
る相互の連結下で、コード軸線とほぼ直交する方向、図
では直交方向に延在するカーカスプライ用素材3を支持
すべく機能する。
【0026】ここでは、かかる支持台1の表面上に、横
断面形状がほぼV字状をなし、カーカスコード2の軸線
方向に間隔をおいて相互に平行に伸びる複数本、たとえ
ば三本の溝部4〜6を形成する。ここにおけるこれらの
溝部4〜6の間隔は、カーカスプライ用素材3の側部部
分に、タイヤビード部に配設されるビードコアに巻き付
く向きに折れ曲がる折曲部を形成するべく、たとえば、
ビードコアの横断面輪郭形状における、隅部間距離と対
応する寸法とすることが好ましい。
【0027】またここでは、全体として円盤状をなし、
ともに同一の直径を有するそれぞれの回転押込刃7〜9
を、それぞれの溝部4〜6と対応する位置で、同一の水
平面内で相互に平行に離隔して位置する中心軸線の周り
に回転可能に配設し、これらのそれぞれの押込刃7〜9
の、周辺部分に位置する刃先部を、相互に独立させて、
または一体的に、それぞれの溝部4〜6内へ、所要の力
で押込み可能とする。
【0028】そしてさらには、これらの回転押込刃7〜
9のそれぞれの中心軸線の相対距離DHを、それらのそ
れぞれの刃先部の、溝部4〜6への進入域が、溝部4〜
6と直交する方向で相互に重なり合わない位置まで、溝
部4〜6の延在方向に離隔して位置するよう、押込刃直
径との関連の下に選択し、これにより、一のカーカスコ
ード2に、複数の押込刃が同時に作用するのを防止す
る。
【0029】ここで、この相対距離DHは、たとえば、
押込刃直径が200mm以下の場合には、図2に、一の
溝部4と一の押込刃7とを例にとって、それらの協働状
態を示すところにおいて、カーカスプライ用素材3、よ
り直接的にはカーカスコード2の折曲部形成部分の、そ
の折曲部10の形成前後の溝部横断長さ差(L−l)以
上とすることが好ましい。なお、この差(L−l)を、
溝部4の深さをD、溝部4の溝壁交角をθとして近似す
ると、 (L/2)cos((1/2)θ)=D (L/2)sin((1/2)θ)=l/2 であることに基づき、 L−l=〔2D(1−sin(1/2)θ)〕/cos
((1/2)θ) として表わすことができる。
【0030】ところでここにおいて、押込刃直径が20
0mmをはるかに越えるものであるときは、図3にその
押込刃の側面輪郭部分を、直径が200mm以下の一般
的な押込刃7と対比して破線で例示するところから明ら
かなように、溝部4内への進入域、いいかえれば、それ
の刃先部の、溝縁との交差長さC1が、押込刃7の刃先
部の溝縁交差長さC2より相当大きくなり、これによ
り、押込刃中心軸線の相対距離DHを上述したようにし
て特定してなお、とくに、相対距離DHの下限値もしく
はその近傍において、特定のカーカスコードの複数個所
に折り曲げ加工が同時に施されることになるおそれ、ま
たは、前述したような、時間の隔たりが少なすぎること
に起因する不都合等が生じるおそれがあるので、かかる
場合には、上記交差長さの差(C1−C2)に相当する
分だけ、先の相対距離DHを長くすることが好ましい。
【0031】このように構成してなる装置をもって、カ
ーカスプライ用素材3の側部部分の所定位置に三個所の
折曲部を形成する場合には、はじめに、図1に示すよう
に、カーカスコード2がそれぞれの溝部4〜6と所定の
角度で交差する姿勢として、そのカーカスプライ用素材
3を支持台1上に位置決め配置し、次いで、それぞれの
回転押込刃7〜9の、中心軸線の周りでの回転駆動と、
押込刃7〜9、ひいては、それらの刃先部の、それぞれ
の溝部4〜6への、所要の力での押込みとを適宜の順序
で行うとともに、回転押込刃7〜9と支持台1との水平
相対変位に基づいて、それぞれの回転押込刃7〜9を、
それぞれの溝部4〜6内で溝に沿わせて変位させる。
【0032】これによれば、ともに等しい速度で回転す
るそれぞれの押込刃7〜9は、各カーカスコード2上
を、中心軸線の相対距離DHに応じた時間を隔てて順次
に通過して、それぞれの押込刃が、そのカーカスコード
の軸線方向に所定の間隔をおいたそれぞれの位置に、そ
れぞれの溝部4〜6との協働下で、図2に例示するよう
にして折り曲げ加工を施す。
【0033】従ってここでは、相対距離DHすなわち、
時間の隔たりを先に述べたように選択することで、特定
のカーカスコード2に、複数の押込刃が同時に折り曲げ
加工を施すことに起因する問題はもちろん、その相対距
離DHが短かすぎること、いいかえれば、時間の隔たり
が少なすぎることに起因する問題を十分に解決してな
お、カーカスプライ用素材3の側部部分の複数個所に、
高い作業能率で折曲部を形成することができ、併せて、
各折曲部の塑性変形量を十分に大ならしめて、上記側部
部分に所期した通りの折り曲げ加工を施すことができ
る。
【0034】ちなみに、図1に示すところにおいて、回
転押込刃7〜9の外径を170mm、溝部の深さ(D)
を12mm、溝壁交角(θ)を15°とした場合には、
相対距離(DH)を200mmとするとともに、押込刃
7〜9と支持台1との水平相対変位速度を5.0m/m
inとすることで所期した通りの効果を実現することが
できた。
【0035】図4(a)は、押込刃の他の実施形態を一
の押込刃17について示すものであり、これは、平坦な
支持台1に直線状に形成した溝部4と対応させて配置し
た平板状の押込刃17の先端部分を、その押込刃17お
よび支持台1の少なくとも一方の往復運動に基づいて、
溝部4内へ進入させ、そしてそこから離隔させるもので
ある。
【0036】かかる押込刃では、押込刃先端部分の往復
作動によってコード2の一本もしくは複数本毎に折曲げ
加工を施すとともに、押込刃17とコード2とに間欠的
な水平相対送りを行わせ、併せて、コード2の軸線方向
に間隔をおくそれぞれの位置に時間を隔ててそれぞれの
押込刃を作用させることで、コード2の複数個所に、所
期した通りの折曲部を形成することができる。
【0037】かくして、このような押込刃の複数枚を用
いる場合には、それらの押込刃の相互を、図1に示すよ
うに、溝部4〜6の延在方向に離隔させて配置すること
の他、それぞれの押込刃の作動タイミングをずらすこと
を条件に、それらを溝部4〜6と直交する方向に並べて
配置することも可能である。
【0038】図4(b),(c)は、押込刃を往復運動
させることに代えて、その先端部分が溝部4内へ進入す
る位置とそこから十分に後退する位置との間で揺動変位
可能ならしめたものであり、図4(b)に示すものは、
押込刃27の側面視でその先端縁を直線状に延在させ、
または、図4(c)に示す押込刃37は、同様の先端縁
を曲線状に延在させたものである。
【0039】このような押込刃の作動は、図4(b)に
示すところでは、その押込刃27を、たとえば、一の支
点Oの周りに揺動運動させることにより、そして、図4
(c)に示すことろでは、押込刃37を、たとえば、相
対的に昇降変位される二個の支点の周りで揺動運動させ
ることで実現することができる。
【0040】これらの押込刃27,37によれば、それ
らの一回の揺動作動に基づき、複数本のコード2のそれ
ぞれに、一方側から他方側に向けて順次に折り曲げ加工
を施すことができ、それらのコード2の総てに同時に加
工を施す、図4(a)に示す場合に比して消費動力を有
利に低減させることができる。
【0041】ところで、これらの押込刃のそれぞれの複
数枚ずつの配置は、先の押込刃17と同様にして行うこ
とができる。
【0042】なお、以上に述べたところにおいて、ほぼ
V字状をなす溝部の横断面形状および、そこへ押込まれ
る押込刃の刃先部分断面形状はそれぞれ、図5(a),
(b)に示すように、断面内に、相互に対応する複数の
折曲点を有する輪郭形状とすることもでき、これらによ
れば、押込刃の一回の作用によって、コード2に複数の
折曲部を同時に形成することができる。
【0043】それぞれの押込刃とそれぞれの溝部との協
働作用によって、軸線方向の複数個所に所要の折曲部を
形成したコード、いいかえれば、折曲部を形成前に、複
数本の整列コードの相互を、糸状体、帯状体等をもって
または、未加硫コーディングゴムをもって予め相互連結
してなるカーカスプライ用素材は、それの適用状態の下
で、各コードに形成されて、タイヤビード部に配設し
た、たとえば図7に示すような多角形ビードコアの隅部
と対応して位置する複数個所の折曲部で、そのビードコ
アに巻付く向きに折れ曲がり、この結果として、カーカ
スプライの巻き返し部分は、ビードコアの周面に正確に
沿って巻き付いて、その巻き付き姿勢を確実に維持する
ことができる。
【0044】
【発明の効果】以上に述べたところから明らかなよう
に、この発明によれば、相互に異なる押込刃による、カ
ーカスコード、ひいては、カーカスプライ用素材に対す
る、コード軸線方向に間隔をおく指数個所での折り曲げ
加工を、一の加工工程で時間を隔てて行うことにより、
それぞれの折り曲げ加工を別個の工程で行う場合に比し
て作業能率を大きく高めることができるとともに、複数
個所の折り曲げ加工を同時に行う場合に比して塑性変形
量を十分大ならしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る装置の実施の形態を示す略線
斜視図である。
【図2】 押込刃の作用を示す正面図である。
【図3】 大小押込刃の刃先部の、溝縁との交差長さを
示す説明図である。
【図4】 進退押込刃を示す説明図である。
【図5】 溝部および押込刃刃先部分の断面形状の他の
例を示す図である。
【図6】 従来のビード部構造を示す断面図である。
【図7】 提案技術をタイヤの半部について示す横断面
図である。
【符号の説明】
1 支持台 2 カーカスコード 3 カーカスプライ用素材 4,5,6 溝部 7,8,9,17, 27, 37 押込刃 10 折曲部 D 溝部深さ θ 溝壁交角 DH 相対距離

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 整列させて平行配置した複数本のカーカ
    スコードの相互の連結下で、コード軸線とほぼ直交する
    方向に延在するカーカスプライ用素材の、タイヤビード
    部に配設するビードコアの周りに巻き返される各側部部
    分で、コード軸線方向の複数個所のそれぞれに、相互に
    異なる押込刃による、ほぼV字状をなすそれぞれの溝内
    へのカーカスプライ用素材の押込みにより、各カーカス
    コードがビードコアに巻き付く向きに折れ曲がるそれぞ
    れの折曲部を形成するに当たり、 各カーカスコードに対するそれぞれの折り曲げの各々を
    時間を隔てて行うカーカスプライ用素材への折曲部形成
    方法。
  2. 【請求項2】 上記時間の隔たりを、カーカスコードの
    折り曲げ加工部における、折り曲げ前後のコード長さの
    差に基づいて選択する請求項1に記載のカーカスプライ
    用素材への折曲部形成方法。
  3. 【請求項3】 コード長さの差が長いほど時間の隔たり
    を大きくする請求項2に記載のカーカスプライ用素材へ
    の折曲部形成方法。
  4. 【請求項4】 カーカスプライ用素材の折曲部を回転押
    込刃により形成するとともに、上記時間の隔たりを回転
    押込刃の直径に応じて調整する請求項2もしくは3に記
    載のカーカスプライ用素材への折曲部形成方法。
  5. 【請求項5】 整列させて平行配置した複数本のカーカ
    スコードの相互の連結下で、コード軸線とほぼ直交する
    方向に延在するカーカスプライ用素材の、タイヤビード
    部に配設するビードコアの周りに巻き返される各側部部
    分で、コード軸線方向の複数個所のそれぞれに、ビード
    コアに巻き付く向きに折れ曲がるそれぞれの折曲部を形
    成する装置であって、 カーカスプライ用素材を位置決め配置する支持台に、カ
    ーカスコードの軸線方向に間隔をおく、横断面形状がほ
    ぼV字状をなす複数本の溝部を相互に平行に設けるとと
    もに、カーカスプライ用素材をそれぞれの溝部へ押し込
    むそれぞれの押込刃を設け、これらのそれぞれの押込刃
    の相互を、それぞれの押込刃の、溝部への進入域が、溝
    部と直交する方向で相互に重なり合わない位置まで溝部
    の延在方向に離隔させて配置してなるカーカスプライ用
    素材への折曲部形成装置。
  6. 【請求項6】 各押込刃を、中心軸線の周りに回転され
    る回転押込刃としてなる請求項5に記載のカーカスプラ
    イ用素材への折曲部形成装置。
  7. 【請求項7】 各押込刃を、溝部への進入位置と後退位
    置との間で往復運動もしくは揺動運動される進退押込刃
    としてなる請求項5に記載のカーカスプライ用素材への
    折曲部形成装置。
  8. 【請求項8】 それぞれの回転押込刃の中心軸線を、カ
    ーカスプライ用素材の折曲部形成部分の、その折曲部の
    形成前後の溝部横断長さの差に相当する距離以上に水平
    面内で相互に離隔させてなる請求項5もしくは6に記載
    のカーカスプライ用素材への折曲部形成装置。
  9. 【請求項9】 回転押込刃の直径の増加に伴う、回転押
    込刃とカーカスプライ用素材との接触長さの増加につれ
    て、回転押込刃の中心軸線の離隔距離を大きくしてなる
    請求項8に記載のカーカスプライ用素材への折曲部形成
    装置。
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