JP4201697B2 - 線状物の巻枠体及びそれを備えた包装装置 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1に開示される糸束テープ製造装置は、その第1実施例では糸を巻取り輪に規定数巻き付けて糸束を作った後、これを解きながら糸束の外周にテープをスパイラル状に貼り付け、さらに規定長さで切断するようになっている。該開示によれば糸を無駄にすることなく、自動化を図れるとしている。しかし、本構成では糸束を把持しないために巻取り輪から糸を解いた時点で糸のほつれや弛みを生じてしまい、巻取り時の状態を完全に保持したまま包装することはできない。また、装置の大型化を招く問題がある。
従来、この干渉を避ける為に正多角形状を維持したまま巻取り輪を全体に大きくして、各辺の長さに予備長区間を加え、始端・終端固定装置が設けられている辺でも規定長の糸束を包装できるようにしていた。ところが、始端・終端固定装置の有無に関わらず予備長を設けるため、必要以上に多角形の各角部付近におけるロス部分が大きくなり、生産性の低下を招いていた。
ここで、巻枠体は少なくとも1本の線状物を多角形状に巻取ると共に、巻取られた線状物束を巻枠体上に巻回した状態で各辺ごとに包装可能な線状物の巻枠体である。
巻枠体には、線状物の始端又は終端の少なくともいずれかを把持する単数又は複数の端部把持機構を備え、該端部把持機構をいずれかの辺の多角形角部近傍に配設する。
そして、請求項1に記載の発明は、該多角形の各辺長を、該端部把持機構を設けない辺は所定の第1辺長とする一方、該端部把持機構を設ける辺は該第1辺長よりも長い第2辺長とするものである。
本構成は、従来全ての辺長を同一にしていたのに対して、端部把持機構を設けた辺だけを長くすることで不等辺多角形を形成させるものであり、線状物束製造時のロスを抑制する技術である。
すなわち、請求項5に記載の構成は、上記巻枠体を備え、巻取られた線状物束を該巻枠体上に巻回した状態で各辺ごとに包装機により包装する線状物の包装装置である。
そして、巻枠体における多角形の各辺長を、端部把持機構を設けていない辺は所定の第1辺長とする一方、それを設けていない辺は該第1辺長よりも長い第2辺長とする。このように包装機を用いて一定の位置で連続的に包装を行う際に、本発明の巻枠体は特に効果を奏する。
「発明を実施するための最良の形態」
図1は本発明に係る中空糸を巻取る巻枠体(A)の正面図であり、図2は包装機を用いて包装する際の動作領域を示す部分拡大図である。
巻枠体(A)は本実施例では図示しない駆動装置により回転する回転中心部(10)と、該回転軸支部(10)から放射状に所定の角度で配設されたハンド部(11)〜(16)を備え、中空糸(B)の巻取り時には6角形形状をなす。
なお、本発明では1本の線状物を巻取る場合だけでなく、既に複数本例えば数百本の束になった線状物をさらに巻取って数千本、数万本といった多数の線状物から成る束を製造する際に用いることができる。以下、単に中空糸と呼ぶ場合にも、1本の中空糸の場合及び複数の中空糸束を指すものとする。
しかし、その一方、角部近傍に把持体(17)(18)を配設する必要があるため、端部把持機構を配設した角部を含む多角形状の辺には把持体(17)(18)が突出することが避けられない。
特に、全てのハンド体間の巻数を均一にするためには図4のようにハンド体(11)の両側に端部把持機構を設ける必要があり、その場合には包装長L1(22)の両側に調整長L3(24)を加えるため、全ての辺に大きな予備長(25)が必要であった。
この各角部における予備長(25)の2倍に相当する部分は全てロスとなり、廃棄或いは再資源化をする必要があるため、廃棄量の増加や消費エネルギーの増大を招く問題があった。また、製造コストの高い中空糸がロスになるため、生産コストが高くなる点も問題であった。
本発明では適宜調整により端部把持機構を設けた辺を長くとり、設けていない辺を短くすることで構成することもできるが、特に次のように設計すると好適である。以下、図5に基づいて説述するが、説明の便宜のためにハンド体(11)〜(16)については厚みの中心線を基線とし、端部把持機構の厚みには該ハンド体の厚みも考慮されているものとする。
そして、中心から各辺までの垂線長L(33)がいずれの辺についても同一となるようにすることで、回転中心と各辺の距離を一定に保つ。
このとき、L(33)は数1の計算式によって算出することができる。ここで、R1(34)は端部把持機構を設けていないハンド体の略先端部(線状物巻回部位の底面位置)までの長さ、R2(35)は端部把持機構を設けたハンド体の同底面位置までの長さである。
(数1)
L=R1cos(θ1/2)
(数2)
R1×sin(θ1/2)=L1/2+L2
(数3)
L×tan(θ2−θ1/2)=L1/2+L2+L3
(数4)
R2=L/cos(θ2−θ1/2)
ここで、作成する巻枠体がn角形(図5の場合n=6)であるとき、
(数5)
θ2=(360-(n-2)×θ1)/2
であるから上記を満たすθ1、θ2、R1、R2を求めることができる。
まず図中(a)の状態で巻取りの完了した中空糸束に対し包装機を用いて包装を開始する。このような包装機は公知であり、例えば前述した特許文献1などに開示される紙巻き装置などでもよい。
次いで、端部把持機構が設けられていない辺について、巻枠体(A)をθ1度ずつ回転させながら、包装作業を行っていく。
このときにも、回転中心と包装位置の関係は一定であるため、包装機を動かすなどの作業場所を変更する必要がない。
なお、上記のように回転中心と各辺の距離を一定に保つことで常に同一の位置、角度を保ったまま包装作業が行えるため、特に自動的に連続生産する場合に好適である。
また、上記では6角形の場合に適用したが、巻枠体には3角形のものから8角形、12角形、20角形など様々な多角形が用いられており、どのような多角形であっても適用することができる。ただし、大きな多角となるほど角部の角度が大きくなるため、端部把持機構との干渉が生じにくくなり、製品ロスの発生量も縮小する。従って、本発明の実施においては特に3角形から18角形程度の巻枠体や、巻枠体に対して端部把持機構が大きな装置において特に好適である。ただし、製品長が短い時には24角形や30角形に適用しても効果的である。
本発明は、上記のように巻枠体単体で提供することもできるし、包装機と一体的に包装装置として構成し、提供することもできる。
包装長(22)が300mm、予備長(23)が20mm、調整長(24)が15mmである6角形状の巻枠体(A)を設計することを想定する。
従来の正6角形の場合、各辺長は全て等しくなり1辺が370mmであるから、全周長は2220mmとなる。ロス部分は各角部において70mmずつ生じるため、全体で420mm、18.9%がロスとなる。
このように同一の製品を同数得るために、従来の方法では420mm、本発明による方法では270mmのロスであるから、全周長の変化を考慮しても31%程度ロス部分を削減することができる。
B 中空糸束
10 回転中心部
11〜16 ハンド体
17 始端把持部
18 終端把持部
20 包装部分
Claims (2)
- 少なくとも1本の線状物を多角形状に巻取ると共に、巻取られた線状物束を巻枠体上に巻回した状態で各辺ごとに包装可能な線状物の巻枠体であって、該巻枠体が、線状物の始端又は終端の少なくともいずれかを把持する単数又は複数の端部把持機構を備え、該端部把持機構をいずれかの辺の多角形角部近傍に配設する構成において、
該多角形の各辺長を、該端部把持機構を設けない辺は所定の第1辺長とする一方、該端部把持機構を設ける辺は該第1辺長よりも長い第2辺長とすることを特徴とする線状物の巻枠体。 - 少なくとも1本の線状物を多角形状に巻取る巻枠体を備え、巻取られた線状物束を該巻枠体上に巻回した状態で各辺ごとに包装機により包装する線状物の包装装置であって、該巻枠体が、線状物の始端又は終端の少なくともいずれかを把持する単数又は複数の端部把持機構を備え、該端部把持機構をいずれかの辺の多角形角部近傍に配設する構成において、
該多角形の各辺長を、該端部把持機構を設けていない辺は所定の第1辺長とする一方、該端部把持機構を設けている辺は該第1辺長よりも長い第2辺長とすることを特徴とする線状物の包装装置。
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