JP2002053794A - プライマー剤、金属酸化物ガラス膜のコーティング方法、電子機器の製造方法、および電子機器 - Google Patents

プライマー剤、金属酸化物ガラス膜のコーティング方法、電子機器の製造方法、および電子機器

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JP2002053794A
JP2002053794A JP2000238698A JP2000238698A JP2002053794A JP 2002053794 A JP2002053794 A JP 2002053794A JP 2000238698 A JP2000238698 A JP 2000238698A JP 2000238698 A JP2000238698 A JP 2000238698A JP 2002053794 A JP2002053794 A JP 2002053794A
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oxide glass
coating
primer
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JP2000238698A
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Kazunori Kikura
一則 木倉
Toshitomo Morisane
敏倫 森実
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 撥水性で、かつ、皮膜の表面硬度が高い金属
酸化物ガラス膜を常温で樹脂基材表面にコーティングす
ることを可能とするプライマー剤、金属酸化物ガラス膜
のコーティング方法、この方法を用いた電子機器の製造
方法、および電子機器を提供すること。 【解決手段】 イソプロピルコール等のアルコール系溶
剤に代えて、あるいはこれらのアルコール系溶剤と混合
して、ダイアセトンアルコ−ル、プロピレングリコ−
ル.モノメチルエ−テル、イソブチル、エタノ−ル、イ
ソプロピルアルコ−ル、トルエン、酢酸-n−ブチル、
n-ブチルアルコ−ル、プロピレングリコ−ル.メノメチ
ルエ−テルを配合したプライマー剤を樹脂基材1の表面
に塗布した後、その表面に、有機ポリシロキサンを含む
コーティング剤2を塗布し、しかる後に常温で放置し
て、樹脂基材1の表面に金属酸化物ガラス膜2Aを強固
にコーティングする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プライマー剤、金
属酸化物ガラス膜のコーティング方法、電子機器の製造
方法、および電子機器に関するものである。さらに詳し
くは、電子機器の樹脂基材表面に対するコーティング技
術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】各種の電子機器のうち、例えば、飲食店
の厨房あるいはその付近で使用するレシート発行プリン
ターなどの電子機器には水滴が付着しやすいことから、
防水性が要求される。また、レシート発行プリンターな
どの電子機器では、油等の汚れが付着しやすいことか
ら、油等の汚れを洗浄しやすい、あるいは拭き取りやす
いことも要求される。従って、このようなプリンターの
外装ケースには、防水性を有し、かつ、汚れが付着して
も汚れを洗浄しやすい、あるいは拭き取りやすいステン
レス基材が採用されている。しかし、ステンレス基材を
成形するとなると、樹脂基材と異なり、複雑な形状がで
きない。
【0003】そこで、レシート発行プリンターなどの電
子機器においても、外装ケースを樹脂基材にする一方、
この樹脂基材からなる外装ケースにコーティングを施し
て汚れを除去しやすくすることが検討されている。
【0004】このようなコーティング剤としては、無機
塗料と有機塗料がある。無機塗料は耐候性は高いが、従
来は、かなりの高温で焼き付けないと硬化しないため、
樹脂基材に塗布できないという問題点がある。これに対
し、有機塗料は、ほとんどの場合、低温で硬化可能であ
るので、樹脂基材表面にもコーティングでき、かつ、現
場で施工するのに適している。しかし、有機塗料は、耐
候性が低い上に、無機塗料と比較して汚れやすいなどの
問題点がある。
【0005】そこで、低温下で硬化する無機塗料が開発
された(特開平4−175388号参照)。しかし、こ
れに開示の無機塗料は、親水性で、かつ、皮膜表面の硬
度が低いため、汚れを拭き取るときにコーティング膜に
傷がつきやすく、かつ、汚れの付着を防止するために混
入している酸化チタン、金属等が脱落しやすいので、長
期間、使用していくと、汚れ防止機能が低下するという
問題点がある。
【0006】そこで、撥水性で、かつ、コーティング皮
膜の表面硬度が高く、しかも、常温で金属酸化物ガラス
膜として硬化する無機塗料が開発され、かかる無機塗料
は、登録番号2538527号などに開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、登録番
号2538527号に開示されている塗料から生成される金属
酸化物ガラス膜は、金属基材などには密着性が高いもの
の、樹脂基材に対する密着性が低いという問題点があ
る。
【0008】そこで、本発明の課題は、撥水性で、か
つ、皮膜の表面硬度が高い金属酸化物ガラス膜を常温で
樹脂基材表面にコーティングすることを可能とするプラ
イマー剤、このプライマー剤を用いた金属酸化物ガラス
膜のコーティング方法、このコーティング方法を用いた
電子機器の製造方法、および電子機器を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本願発明者は、各種実験を繰り返し行なった結果、
樹脂基材の表面であっても、樹脂基材の表面に予め、特
殊なプライマー剤を塗布すれば、樹脂基材の表面に金属
酸化物ガラス膜を強固にコーティングできるという知見
を得た。すなわち、従来、広く溶剤として用いられてい
るイソプロピルコール等のアルコール系溶剤に加え、ダ
イアセトンアルコ−ル、プロピレングリコ−ル.モノメ
チルエ−テル、イソブチル、エタノ−ル、トルエン、酢
酸-n−ブチル、n-ブチルアルコ−ル、プロピレングリ
コ−ル配合したプライマー剤を樹脂基材の表面に塗布す
れば、その表面に金属酸化物ガラス膜を強固にコーティ
ングできるという新たな知見を得たのである。
【0010】そこで、本発明に係るプライマー剤では、
少なくとも加水分解可能な有機金属化合物にアクリル樹
脂、二酸化ケイ素、アルコキシシラン加水分解縮合物を
配合し、ダイアセトンアルコ−ル、プロピレングリコ−
ル.モノメチルエ−テル、イソブチル、エタノ−ル、イ
ソプロピルアルコ−ル、トルエン、酢酸-n−ブチル、
n-ブチルアルコ−ル、プロピレングリコ−ルを含む溶
剤を配合したことを特徴とする。
【0011】本発明に係るプライマー剤において、前記
有機金属化合物は、例えば、有機ポリシロキサンであ
る。
【0012】本発明に係る金属酸化物ガラス膜のコーテ
ィング方法では、前記プライマー剤を樹脂基材表面に塗
布することによりプライマー層を形成した後、該プライ
マー層の表面に、少なくとも加水分解可能な有機金属化
合物を含むコーティング剤を塗布し、しかる後に、当該
コーティング剤を硬化させて金属酸化物ガラス膜を形成
することを特徴とする。このような方法によれば、プラ
イマー層は、下地である樹脂基材に強固にコーティング
される一方、このプライマー層の表面に金属酸化物ガラ
ス膜が強固にコーティングされる。
【0013】従って、樹脂基材の表面であっても、金属
酸化物ガラス膜を強固にコーティングすることができ
る。それ故、樹脂基材の表面を傷や汚れが付きにくく、
かつ、抗菌性を有するものに改質できる。
【0014】本発明において、前記コーティング剤に含
まれる有機金属化合物は、例えば、有機ポリシロキサン
である。
【0015】このような金属酸化物ガラス膜のコーティ
ング方法は、例えば、電子機器に用いられている樹脂基
材の表面を金属酸化物ガラス膜によってコーティングす
るのに適している。また、このような方法によって、樹
脂基材の表面が金属酸化物ガラス膜によってコーティン
グされている電子機器では、樹脂基材の表面が金属酸化
物ガラス膜でコーティグされているので、傷が付きにく
い。また、表面に油性の汚れが付着して、拭き取るなど
の方法で汚れを簡単に除去できる。さらに、金属酸化物
ガラス膜は、抗菌性を有しているので、表面を清浄に保
つことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施の形態を説明する。
【0017】本形態では、ABS樹脂、PS樹脂、ポリ
カーボネート樹脂などからなる樹脂基材の表面に金属酸
化物ガラス膜を低温条件下でコーティングするにあたっ
て、以下のプライマー剤およびコーティング剤を用い
る。
【0018】プライマー剤の組成 主 材
【0019】溶剤
【0020】コーティング剤の組成
【0021】本形態では、プライマー剤およびコーティ
ング剤のいずれもが、メチル基、アクリル基、フェニル
基などを有する液状の有機ポリシロキサン(主剤)と、
アルコキシ基、アシロキシ基、オキシム基などの官能性
側鎖を有する有機ポリシロキサン(架橋剤)と、Zn、
Al、Ti、Sn等の含金属有機化合物およびB3+ハロ
ゲン(硬化触媒)とを含んでいる。
【0022】従って、これらの成分を所定の溶剤に溶か
して塗布すると、下式で表される反応過程(化学式1、
2)を経てプライマー剤およびコーティング剤が硬化す
る。なお、本形態で用いたプライマー剤とコーティング
剤では、それぞれが略同様な成分を含んでいるので、い
ずれも同様な過程を辿って略同一組成のシリコン酸化膜
が形成されるが、以下の説明において、プライマー剤の
硬化によって形成される膜をプライマー層と称し、コー
ティング剤の硬化によって形成される膜を金属酸化物ガ
ラス膜と称する。
【0023】
【化1】
【化2】 なお、上記の反応過程は、第一段(化学式1)におい
て、空気中の水分により主剤の有機ポリシロキサン官能
基が加水分解して水酸基に変化し、第二段(化学式2)
において、この有機ポリシロキサンの水酸基を架橋剤の
有機シロキサンの官能基がアタックするとともに、以下
の化学式3、4、5、6に示すような硬化触媒の作用も
受けて脱アルコール反応を起して三次元構造の高分子化
合物のポリシロキシサン硬化体を形成するものと考えら
れる。
【0024】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】 すなわち、化学式3で示すように、B3+とX-とから生
じるBX4 -錯イオンが、化学式4で示すように、(O
R)nのMと極めて容易に交換してMX-n+1錯イオンと
なり、化学式5、化学式6に示す加水分解、脱水縮合の
反応が促進される結果、常温領域において金属酸化物ガ
ラスが得られるものと考えられる。
【0025】例として配合成分は、アルコ−ル類可溶型
液状、例えばメチル基、フェニル基を有するオルガノシ
ロキサン、触媒としてTi4 +、Zn2 +、Al3 +、Sn4 +
などの有機金属化合物、またはアルコ−ル可溶性金属ハ
ロゲン化合物およびボロン(B 3 +)またはボロンとハロ
ゲン(Cl-、F-)を使用する。
【0026】主剤オルガノポリシロキサン官能基が空気
中、基材構造の加水分解を受け、OH基(水酸基)を生
じ、該オルガノポリシロキサン水酸基に対し、架橋剤オ
ルガノポリシロキサン水酸基がアタックし、触媒の作用
を受け、脱アルコ−ル反応を起こしながら、三次元構造
の高分子化合物のポリシロキサン硬化体を形成する。そ
の後、金属酸化物に変換することにより生成する。常温
領域での単一、または多成分系金属酸化物(ガラス)膜
を成形することになる。
【0027】配合例 金属ならば何でも添加することが可能であり、 γ-グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン、Siモノマ−
(シリコンアルコレ−ト)CH2-CH-CH2O(C
23 Si(OCH33 Si(OC254 など
をM(OR)nとすれば上記反応式となる。
【0028】(コーティング方法)このようなプライマ
ー剤およびコーティング剤を用いて樹脂基材の表面に金
属酸化物ガラス膜をコーティングする方法を説明する。
【0029】図1(A)、(B)は、本発明を適用した
金属酸化物ガラス膜のコーティング方法を示す工程断面
図である。
【0030】まず、図1(A)に示すように、樹脂基材
1の表面に、はけ塗り、浸漬、スプレー法によりプライ
マー剤3を任意膜厚に塗布できるが、塗布基材の変形、
衝撃によるクラック防止からから1μm〜30μmの厚さ
で塗布するするのが望ましい。
【0031】次に、プライマー剤3表面を乾燥させ、プ
ライマー層3Aを形成する。
【0032】次に、図1(B)に示すように、プライマ
ー層3Aの表面にコーティング剤2を1μm〜30μmの
厚さで塗布する。
【0033】次に、常温(25℃〜30℃)であれば3
0分間、50℃であれば20分間、空気中に放置する。
【0034】その結果、コーティング剤2およびプライ
マー層3Aは、空気中の水分と反応しながら前記の化学
式で表わした過程を経て硬化し、樹脂基材1の表面に
は、プライマー剤3が硬化してなるポリシロキサン硬化
体が下地層として形成され、その表面には、コーティン
グ剤2が硬化してなるポリシロキサン硬化体がトップコ
ート層(金属酸化物ガラス膜2A)として形成される。
【0035】このように、本形態では、樹脂基材1の表
面に金属酸化物ガラス膜2Aをコーティングするにあた
って、アクリル樹脂、二酸化ケイ素、アルコキシシラン
加水分解縮合物、ダイアセトンアルコ−ル、プロピレン
グリコ−ル.モノメチルエ−テル、イソブチル、エタノ
−ル、イソプロピルアルコ−ル、トルエン、酢酸-n−
ブチル、n-ブチルアルコ−ル、プロピレングリコ−ル
を含むプライマー剤3を樹脂基材1の表面に塗布し、し
かる後に、このプライマー剤3(プライマー層3A)の
表面にコーティング剤2を塗布する。
【0036】従って、低温条件下であっても、樹脂基材
1の表面に金属酸化物ガラス膜2Aを強固にコーティン
グすることができる。その理由としては、アクリル樹
脂、二酸化ケイ素、アルコキシシラン加水分解縮合物、
ダイアセトンアルコ−ル、プロピレングリコ−ル.モノ
メチルエ−テル、イソブチル、エタノ−ル、イソプロピ
ルアルコ−ル、トルエン、酢酸-n−ブチル、n-ブチル
アルコ−ル、プロピレングリコ−ルを含む溶剤はイソプ
ロピルアルコールなどの溶剤と比較して、樹脂基材1表
面を溶解する力が強いので、プライマー剤3によって形
成されたプライマー層3Aは、樹脂基材1の表面に強固
にコーティングされ、その表面にトップコート層として
形成した金属酸化物ガラス膜2Aが強固にコーティング
されるためであると考えられる。
【0037】(金属酸化物ガラス膜の耐汚れ性の評価)
このようにして、樹脂基材の表面にコーティングした金
属酸化物ガラス膜について、耐汚れ性を評価したので、
その結果を説明する。
【0038】まず、比較例として、樹脂基材からなる試
料1、樹脂基材の表面に使用済の食用油(大豆白絞油)
を塗布した試料2、樹脂基材の表面に使用済の食用油
(大豆白絞油)を塗布した後、温度50℃、湿度90%
の雰囲気中で144時間放置した試料3を準備する。
【0039】また、本発明の実施例に係る試料として、
樹脂基材の表面に本発明に係る方法で金属酸化物ガラス
膜をコーティングした試料4、樹脂基材の表面に本発明
に係る方法で金属酸化物ガラス膜をコーティングしたも
のに使用済の食用油(大豆白絞油)を塗布した試料5、
樹脂基材の表面に本発明に係る方法で金属酸化物ガラス
膜をコーティングしたものに使用済の食用油(大豆白絞
油)を塗布し、しかる後に、温度50℃、湿度90%の
雰囲気中で144時間放置した試料6を準備する。
【0040】次に、水道水50mlに中性洗剤を5滴加
えた洗浄液を準備し、上記の試料1〜6を5秒間、浸漬
した状態で洗浄液を攪拌する。次に、各試料1〜6を洗
浄液から引き上げて、表面を拭き取る。
【0041】このようにして洗浄した各試料の表面をX
線光電子分光分析にかけ、各試料のカーボンスペクトル
を評価した。
【0042】その結果を表1に示す。この表には、カー
ボンスペクトルとして、C−H、C−O、C=O、CO
−Oに相当するスペクトル強度を相対比較してあるが、
LPれらのスペクトルのうち、C=O、CO−Oのスペ
クトル強度が油分の存在を示す。従って、C=O、CO
−Oのスペクトル強度が高いほど、油分が多量に存在し
ていることを表わす。なお、表1には、使用した油の分
析結果も示して有る。
【0043】
【表1】
【0044】表1から明らかなように、樹脂基材の表面
に金属酸化物ガラス膜をコーティングした実施例に係る
試料5、6では、試料2、3と違って、C=O、CO−
Oのスペクトルが検出されないことから、金属酸化物ガ
ラス膜をコーティングすると、油が付着しても容易に洗
浄除去できることが確認できた。
【0045】(金属酸化物ガラス膜の抗菌性)次に、樹
脂基材の表面にコーティングした金属酸化物ガラス膜に
ついて、抗菌性を評価したので、その結果を説明する。
【0046】まず、比較例として、樹脂基材からなる試
料7を準備する一方、本発明の実施例に係る試料とし
て、樹脂基材の表面に本発明に係る方法で金属酸化物ガ
ラス膜をコーティングした試料8を準備する。
【0047】次に、試料7,8の表面に、1/500濃
度普通ブイヨン培地で調製した大腸菌および黄色ブドウ
球菌の懸濁液を0.5ml滴下し、その表面をポリエチ
レン製フィルムで被覆する。
【0048】次に、35℃で24時間、放置した後、生
菌数を測定する。
【0049】このようにして、菌の増殖状態を確認した
結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
【0051】表2から明らかなように、樹脂基材の表面
に金属酸化物ガラス膜をコーティングした実施例に係る
試料8では、大腸菌および黄色ブドウ球菌が著しく減少
することが確認できた。
【0052】次に、本発明の実施例に係る試料として、
樹脂基材の表面に本発明に係る方法で金属酸化物ガラス
膜をコーティングした試料9を準備する一方、比較例と
して、樹脂基材の表面に市販の抗菌剤を塗布した試料1
0、11と、樹脂基材の表面に市販の防カビ剤を塗布し
た試料12、13を準備する。
【0053】次に、試料9〜12の表面に、1/500
濃度普通ブイヨン培地で調製した大腸菌および黄色ブド
ウ球菌の懸濁液を0.5ml滴下し、その表面をポリエ
チレン製フィルムで被覆する。
【0054】次に、35℃で24時間、放置した後、生
菌数を測定する。
【0055】このようにして、菌の増殖状態を確認した
結果を表3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】表3から明らかなように、樹脂基材の表面
に金属酸化物ガラス膜をコーティングした実施例に係る
試料9では、樹脂基材の表面に抗菌剤やを防カビ剤を塗
布したものと同様、抗菌性を有することが確認できた。
【0058】(電子機器への応用)図2は、本発明が適
用される電子機器の一例としてのレシート発行プリンタ
ーの外観を示す斜視図である。
【0059】図2に示すレシート発行プリンター10に
は、レシート排出口11、表示部12、操作部13が構
成されているとともに、各種機構部品が樹脂製の外装ケ
ース14内に配置されている。本形態では、この外装ケ
ース14の表面全体に、本発明に係る方法で金属酸化物
ガラス膜をコーティングしてある。
【0060】このため、レシート発行プリンター10を
飲食店の厨房あるいはその付近で使用したとき、外装ケ
ース14の表面に油等の汚れが付着しやすいとしても、
外装ケース14の表面全体には金属酸化物ガラス膜をコ
ーティングしてあるため、汚れが付着しても容易に除去
することができる。
【0061】また、この金属酸化物ガラス膜は抗菌性を
有するため、レシート発行プリンター10を衛生面でも
好適に保つことができる。さらに、外装ケース14の表
面に金属酸化物ガラス膜をコーティングしてあるため、
傷が付きにくい。しかも、本発明では、金属酸化物ガラ
ス膜のコーティングを常温で行なうため、外装ケース1
4を樹脂基材で構成しても、基材を劣化させることがな
いなどの効果を奏する。
【0062】なお、本発明に係るコーティング方法は、
レシート発行プリンター10の外装ケース14に限ら
ず、各種の電子機器の外装ケースなどの表面を金属酸化
物ガラス膜でコーティングするのに適用することができ
る。
【0063】(その他の実施の形態)なお、プライマー
剤あるいはコーティング剤に配合される有機金属化合物
は、加水分解が可能なものであれば、特に限定されな
い。例えば、上記形態では、有機ポリシロキサンを例に
あげたが、Ca、Mg、Al等を含む有機金属化合物で
あってもよい。
【0064】すなわち、有機ポリシロキサンの他にも、
MR2m(OR1n-mなる一般式(化学式中、Mは酸化
数nの金属、R1およびR2はアルキル基など、mは、0
〜(n−1)の整数を表す。)で表される金属アルコキ
シドを利用できる。ここで、R1およびR2は同一でもよ
く、異なる基でもよい。例えば、R1およびR2が炭酸原
子4個以下のアルキル基、即ちメチル基CH3、エチル
基C25(以下、Etで表す)、プロピル基C37(以
下Prで表す)、イソプロピル基i−C37(以下、i
−Prで表す)、プチル基C49(以下、Buで表す)
イソプチル基i−C49(以下、i−Buで表す)等の
低級アルキル基が好適に用いられる。
【0065】また、金属アルコキシドとしては、例え
ば、リチウムエトキシドLiOEt、ニオブエトキシド
Nb(OEt)5、マグネシウムイソプロポキシドMg
(OPr−i)2、アルミニウムイソプロポキシドAl
(OPr−i)3、亜鉛プロポキシドZn(OPr)2
テトラエトキシシランSi(OEt)4、チタンイソプ
ロポキシドTi(OPr−i)4、バリウムエトキシド
Ba(OEt)2、バリウムイソプロポキシドBa(O
Pr−i)2、トリエトシキボランB(BEt)3)ジル
コニウムプロキシドZn(OPr)4、ランタンプロボ
キシドLa(OPr)3、イットリウムプロポキシドY
(OPr)3、鉛イソプロポキシドPb(OPr−i)2
等が用いられる。
【0066】また、プライマー剤にダイアセトンアルコ
−ル、プロピレングリコ−ル.モノメチルエ−テル、イ
ソブチル、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、トル
エン、酢酸-n−ブチル、n-ブチルアルコ−ル、プロピ
レングリコ−ルを使用さえすれば、プライマー剤あるい
はコーティング剤において、その他の溶剤を用いてもよ
い。
【0067】一般的には、脂肪族の低級アルコール、例
えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロ
パノール、ブタノール、イソブタノール、エチレングリ
コール、プロピレングリコールおよびそれらの混合物等
が好適に用いられる。また、ブタノール+セロソルブ+
プチセロソルブ、あるいはキシロール+セロソルプアセ
テート+メチルイソプチルケトン+シクロヘキサン等の
混合溶媒を使用することもできる。
【0068】
【発明の効果】このような方法によれば、プライマー層
は、下地である樹脂基材に強固にコーティングされる一
方、このプライマー層の表面に金属酸化物ガラス膜が強
固にコーティングされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)はそれぞれ、本発明を適用した
金属酸化物ガラス膜のコーティング方法を示す肯定断面
図である。
【図2】本発明を適用した金属酸化物ガラス膜のコーテ
ィング方法を利用して製造される電子機器の一例として
のレシート発行プリンターの外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 樹脂基材 2 コーティング剤 2A 金属酸化物ガラス膜(コーティング皮膜) 3 プライマー剤 3A プライマー層 10 レシート発行プリンター 11 レシート排出口 12 表示部 13 操作部 14 外装ケース
フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 AE03 CA02 CA34 CA36 CA38 CA45 DA23 DB35 DB37 DB43 DB48 DC18 DC21 EA41 EB22 EB43 EB47 EC03 EC30 4J038 AA011 CG141 CG142 DL031 DL032 HA211 HA441 HA446 JA05 JA19 JA20 JA23 JA26 JA33 JA56 JC38 KA06 NA07 NA11 PA18 PB09 PC08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加水分解可能な有機金属化合物にアクリル
    樹脂、二酸化ケイ素、アルコキシシラン加水分解縮合物
    を配合した主剤と、ダイアセトンアルコ−ル、プロピレ
    ングリコ−ル.モノメチルエ−テル、イソブチル、エタ
    ノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、トルエン、酢酸-n
    −ブチル、n-ブチルアルコ−ル、プロピレングリコ−
    ルを含む溶剤とを配合したことを特徴とするプライマー
    剤。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記有機金属化合物
    は、有機ポリシロキサンであることを特徴とするプライ
    マー剤。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、基材に対し
    てのプライマ−コ−ト剤として前記樹脂、溶剤を配合し
    たことを特徴とするプライマー剤。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに規定する
    プライマー剤を樹脂基材表面に塗布することによりプラ
    イマー層を形成した後、該プライマー層の表面に、少な
    くとも加水分解可能な有機金属化合物を含むコーティン
    グ剤を塗布し、しかる後に当該コーティング剤を硬化さ
    せて金属酸化物ガラス膜を形成したことを特徴とする金
    属酸化物ガラス膜のコーティング方法。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記コーティング剤
    に含まれる有機金属化合物は、有機ポリシロキサンであ
    ることを特徴とする金属酸化物ガラス膜のコーティング
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項4または5に規定する金属酸化物
    ガラス膜のコーティグ方法を用いて、樹脂基材の表面の
    少なくとも一部を金属酸化物ガラス膜によってコーティ
    ングすることを特徴とする電子機器の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に規定する製造方法で製造した
    電子機器。
  8. 【請求項8】 樹脂基材の表面の少なくとも一部が金属
    酸化物ガラス膜によってコーティングされていることを
    特徴とする電子機器。
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