JP2002053467A - ジンセノサイドRb1からなる皮膚組織再生促進剤 - Google Patents

ジンセノサイドRb1からなる皮膚組織再生促進剤

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JP2002053467A JP2000248458A JP2000248458A JP2002053467A JP 2002053467 A JP2002053467 A JP 2002053467A JP 2000248458 A JP2000248458 A JP 2000248458A JP 2000248458 A JP2000248458 A JP 2000248458A JP 2002053467 A JP2002053467 A JP 2002053467A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、皮膚組織再生・再構築促進剤もし
くは創傷治癒促進剤として有用なジンセノサイド類特に
はジンセノサイドRb又はその誘導体の有効な静脈内
投与用製剤、皮膚外用剤、粘膜外用剤もしくは化粧品を
提供する。また、本発明は、植物組織の新生・再生促進
剤として有用な、ジンセノサイド類特にはジンセノサイ
ドRb又はその誘導体からなる肥料添加物を提供す
る。 【解決手段】 本発明は、ジンセノサイド類特にジンセ
ノサイドRb又はその誘導体を含有してなる静脈内投
与用製剤、粘膜外用剤、皮膚外用剤もしくは化粧品に関
し、特に皮膚もしくは粘膜の切開創、開放創、咬傷、欠
損後の組織再生・再構築の促進もしくは創傷治癒促進の
ために有用である。また、本発明は、ジンセノサイド類
特にジンセノサイドRb又はその誘導体を含有してな
る肥料添加物に関し、特に農作物の水栽培・育成のため
に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジンセノサイドR
などのジンセノサイド類もしくはその代謝産物又は
それらの塩を含有してなる生体組織の病理組織学的変化
をきたす器質的疾患、より詳細には皮膚組織又は粘膜組
織の損傷、創傷、外傷もしくは欠損による疾患、さらに
詳細には皮膚組織又は粘膜組織の再生又は再構築の促
進、又は創傷治癒の促進のための医薬組成物又は獣医薬
組成物に関する。本発明は、皮膚組織再生・再構築促進
剤、創傷治癒促進剤として有用なジンセノサイド類もし
くはその代謝産物又はそれらの塩にも関する。また、本
発明は、前記疾患の予防・処置又は治療用組成物の静脈
内投与用製剤もしくは皮膚外用製剤に関する。さらに本
発明は皮膚組織の疾患に対する予防・処置もしくは治療
のための有効成分、又は皮膚組織の再生促進剤もしくは
創傷治癒促進剤を探索するためのリード化合物としての
ジンセノサイドRbなどのジンセノサイド類又はその
代謝産物の使用に関する。また、本発明は、ジンセノサ
イドRbなどのジンセノサイド類もしくはその代謝産
物又はそれらの塩を含有してなる、皮膚の老化症状の予
防、処置、改善に有用な化粧品組成物、発毛育毛組成物
などの皮膚外用組成物に関する。さらに、本発明は、ジ
ンセノサイドRbなどのジンセノサイド類もしくはそ
れらの代謝産物又はそれらの塩を含有してなる植物又は
動物組織の再生・新生又は再構築の促進のための組成
物、より詳細には成長調整組成物に関する。本発明の成
長調整組成物は、肥料組成物や飼料組成物などとして有
用である。また、本発明は、被検物質を動物の脳室内に
投与して、脳細胞又は神経細胞の保護作用を測定するこ
とからなる、生体組織の再生、新生、発根、発芽、成
長、分化又は再構築を促進するための物質を探索する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】皮膚や粘膜の損傷や欠損、すなわち創
傷、咬傷、熱傷、凍傷、放射線障害、紫外線照射、電撃
傷、外傷、皮膚潰瘍、褥創、ならびに水疱性皮膚疾患等
は、すべて皮膚組織構成細胞や粘膜組織構成細胞の変性
脱落、壊死、アポトーシスもしくはアポトーシス様細胞
死をもたらすことが知られているが、これら皮膚組織や
粘膜組織の機械的・物理的損傷や欠損による疾患を予防
もしくは治療するための有効な方法として、変性脱落し
た皮膚組織ならびに粘膜組織及びそれらの構成細胞を速
やかに再生・再構築せしめ、創傷治癒を促進する薬剤の
投与が考えられる。皮膚組織を例にとって組織の再生・
再構築について以下に略記する。一般に疾病や外傷など
によって皮膚組織の一部が脱落もしくは欠損すると、脱
落組織周辺に生存している表皮細胞が分裂・増殖して欠
損部に移動してくるが、本明細書ではこの現象を狭義に
表皮細胞もしくは表皮組織の再生と定義する。その後、
欠損部に移動するか移動中の再生表皮細胞は互いに接着
し始めて分裂・増殖を中止し、表皮組織を再び形成する
ようにる。この現象を本明細書では表皮細胞もしくは表
皮組織(表皮)の再構築と定義することとする。このよ
うにして表皮細胞もしくは表皮組織の再生・再構築が起
きる生命現象を一般に上皮化という。ちなみに、表皮組
織に含まれる表皮細胞の多くは表皮角化細胞(表皮ケラ
チノサイト)もしくは角質細胞であるが、その他数は少
ないものの表皮角化細胞もしくは角質細胞にまじって、
メラノサイト(メラニン色素を産生する細胞)、メルケ
ル細胞(皮膚感覚に関わる細胞)、ランゲルハンス細胞
(皮膚免疫とくにリンパ球への抗原提示に関わる細
胞)、幹細胞(すべての細胞種に分化できる細胞)、表
皮細胞から分化する汗腺の細胞、表皮細胞から分化する
皮脂腺の細胞、表皮細胞から分化する毛包の細胞、等が
ありこれらの細胞種もやはり皮膚組織が損傷を受けたと
きや皮膚疾患の際に、上皮化と相呼応して分裂・増殖・
接着・分化という複雑な過程を経て、表皮組織(もしく
は表皮ともいう)の中に組みこまれるか、表皮組織と連
絡を保ちながら皮膚の深部(真皮や皮下組織)へ移動し
たのちに皮膚附属器(汗腺、皮脂腺、毛包等)を形成す
るのである。すなわち、皮膚組織が再生・再構築するた
めには、メラノサイト、メルケル細胞、ランゲルハンス
細胞、幹細胞、汗腺もしくは汗腺の細胞、皮脂腺もしく
は皮脂腺の細胞、毛包もしくは毛包の細胞等すべての表
皮由来の細胞や皮膚付属器が再生・再構築しなければな
らないのである。一方、真皮や皮下組織の再生・再構築
現象においてもっとも中心的な役割を果たすのが、線維
芽細胞と血管である。線維芽細胞も表皮細胞と同様に分
裂・増殖・移動・分化という過程を経て、膠原線維(コ
ラーゲン線維)、弾性線維、細網線維、各種細胞外基質
成分を産生分泌(再生)せしめ、しかもこれらの分泌成
分が真皮や皮下組織において健常組織に近い状態にまで
規則正しく整然と再構築されなければ、すなわち線維芽
細胞、膠原線維(コラーゲン線維)、弾性線維、細網線
維、各種細胞外基質成分のすべてが確実に速やかに再生
・再構築しなければ皮膚組織の再生・再構築はうまくゆ
かないのである。言い換えれば皮膚の真皮や皮下組織の
再生・再構築現象において、線維芽細胞が果たす役割は
極めて重要であり、線維芽細胞の分裂・増殖・移動・分
化を抑制するかもしくは線維芽細胞におけるコラーゲン
線維・弾性線維・細網線維・各種細胞外基質の産生を抑
制することは、皮膚組織の再生・再構築を円滑に進める
ために避けなければならない。さて、血管の重要性につ
いては言うまでもなく、皮膚組織の再生・再構築が活発
に行われているときには、皮膚損傷によって断裂・破綻
した血管(血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、血管の中膜
や外膜の線維芽細胞を含む)の再生・新生が活発に起き
なければならないが、皮膚組織の再生・再構築が完了す
ると、余分な血管は退縮して、必要な血管だけが残ると
いう調節機構が働き、血管の再構築がなされなければな
らない。その他、皮膚の損傷や疾病の際には、損傷や病
変を有する皮膚に分布していた末梢神経や神経受容器
(メルケル小体、パチニー小体等)なども切断もしくは
破壊されるが、これらの神経組織も同時に再生・再構築
することが再生皮膚組織の機能維持という観点から重要
である。
【0003】このように皮膚組織の再生・再構築という
生命現象は、前述のごとく極めて複雑な生命現象が順を
追って規律正しく進行しなければうまく行かないのであ
るが、この生命現象に関わる分子群として、EGF、T
GF−β、TGF−α、FGF、VEGF、PDGF
−BB、TGF−β、PDGF−AB、IGF、KG
F、PDGF、TGF−β、TGF−β、FGF−
2、U−PA、t−PA、インテグリン、接着因子等が
あげられる(Singer, A.J. and Clark, R.A.F.New Eng
l. J. Med., 341, 738-746, 1999)。その他、皮膚組織
損傷時に血管外へ漏れた、血球成分や血漿成分なども重
要なはたらきをすると言われている。従って、前述した
ごとく皮膚組織の再生・再構築という生命現象は、極め
て複雑なものでありそれに関わる細胞種、血管、神経、
分子群は計り知れない。このように複雑な生命現象を1
つの化合物がすべて制御・調節し、組織の再生・再構築
を速やかにかつ確実に促進せしめるなどということは、
これまでほぼ不可能と考えられてきた。これまで塩基性
線維芽細胞成長因子(basic fibroblast growth facto
r,bFGF)や血小板由来増殖因子(platelet derive
d growth factor,PDGF)などの局所塗布や局所噴
霧が部分的に皮膚組織の再生・再構築を促進し、皮膚潰
瘍や褥創に効果・効能を示すことが知られているが、必
ずしもその効果は臨床的見地からも満足すべきものであ
るとは言えない(Singer, A. J. and Clark, R. A. F.
New Eng. J. Med., 341, 738-746, 1999)。また前述の
ペプチド性因子(bFGF,PDGF)は局所塗布や局
所噴霧のみ可能な医薬組成物であり、静脈内投与等の全
身投与ではほとんど効果・効能を期待できない。従っ
て、今後皮膚組織のみならず、損傷や欠損を受けた粘膜
組織、四肢、頭頸部、腹部、胸部の内臓器官や皮膚以外
の組織の再生・再構築を促進するためにも、静脈内投与
可能な皮膚組織再生促進剤ならびに内臓器官や組織の再
生を促進するための医薬組成物もしくは獣医薬組成物の
発明が望まれる。また、前記疾患の予防、処置もしくは
治療のための優れた皮膚外用剤・粘膜外用剤又は皮膚や
粘膜の老化症状(皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、ふ
け、脱毛、白髪、かゆみ、かさつき、皮脂欠乏、角質細
胞剥離、角層剥離、ひびわれ、しみ、しわ、そばかす、
色素沈着、乾燥等もしくは粘膜の萎縮、ひびわれ、再生
不良、乾燥等)を予防、改善、処置するための優れた化
粧品組成物又は健康薬組成物も必要である。さらに、前
述の動物組織の再生・再構築を促進するための医薬組成
物に加えて、植物組織の発根・発芽・成長・分化・再生
・新生又は再構築を促進するための成長調整用組成物又
は肥料添加物も、農作物栽培、水栽培、野菜栽培、フル
ーツ栽培、きのこ栽培、天然植物栽培、生花の保存、た
ばこ栽培、薬用植物栽培、植物改良、茶葉栽培のために
必要不可欠である。
【0004】一方、ジンセノサイドRbは、下記構造
【0005】
【化1】
【0006】で示される化合物であり、ジンセノサイド
Rbは柴田ら(Shibata S. et al.,Economic and med
icinal plant research, World Scientific, Philadelp
hia,pp 217-284, 1985)などにより公知の物質である。
特願平10−365560号(ジンセノサイドRb
らなる脳細胞又は神経細胞保護剤)において、本発明者
の一人(阪中)は、低用量のジンセノサイドRbの静
脈内持続投与がアポトーシス様神経細胞死を抑止するこ
とにより脳梗塞病巣体積を非投与群の4分の1程度に縮
小せしめることを発明した。すなわち、ジンセノサイド
Rbは患部組織における細胞外液濃度が1ng/ml
以下、好ましくは10pg/ml以下より好ましくは1
00fg/ml以下のときに、細胞死抑制遺伝子産物B
cl−xの発現を促進し、あらゆる細胞のアポトーシ
スもしくはアポトーシス様細胞死を抑止することによ
り、細胞保護作用を示すことが阪中らによって発明され
た。しかし、前述の発明においては、ひとたび死滅した
細胞や変性脱落した組織の再生を低濃度のジンセノサイ
ドRbが促進せしめるか否かについては明らかにされ
ていない。また、外傷もしくは損傷を受けて変性脱落し
た組織が、脱落組織近傍に存在する生存細胞の分裂・増
殖・移動・分化等により正常に近い状態にまで回復する
現象は一般に組織再生・再構築と呼ばれているが、この
組織再生・再構築を低濃度・低用量のジンセノサイドR
の静脈内持続投与もしくは病変部局所投与が促進す
るかどうかについては、これまでまったく注目されてい
なかった。
【0007】米国特許5,663,160において、高
い細胞外液濃度のジンセノサイドRb(100μg/
ml)が皮膚の表皮角化細胞もしくは角質細胞の分裂増
殖を促進し、発毛・育毛作用、皮膚の保護作用、皮膚の
保湿作用、表皮の再生、しわの抑止に有効であることが
記述されている。また、WO99/07338において
10μg/mlの細胞外液濃度のジンセノサイドRb
が皮膚の線維芽細胞のエラスチン産生を促進し、皮膚の
しわの抑止に有効であることが記述されている。前述の
米国特許5,663,160ならびにWO99/073
38においては、ジンセノサイドRbを0.001重
量%以上の濃度(すなわち10μg/mlもしくは10
μg/g以上の濃度)で化粧品もしくは皮膚外用剤に混
入して、皮膚に外用投与すると発毛・育毛作用、皮膚の
保護作用、皮膚の保湿作用、表皮の再生、しわの抑止に
有効であると記述されている。しかし、本発明者(阪
中)の実験結果では、特願平10−365560号、P
CT/JP99/02550に記載されたごとく、高濃
度のジンセノサイドRbは必ずしも細胞に好ましい効
果を与えずむしろ細胞に障害を与えることもあり得る。
特に、化粧品に前述のごとく高濃度のジンセノサイドR
を混入して、長期にわたり皮膚に外用投与すること
は副作用出現の可能性もあり好ましいとは言えない。
【0008】本発明者らは、ジンセノサイド類特にはジ
ンセノサイドRbの皮膚組織における細胞外液濃度が
1ng/ml以下、好ましくは10pg/ml以下、よ
り好ましくは100fg/ml以下になるように調整し
た上で、低用量のジンセノサイド類特にはジンセノサイ
ドRbを静脈内へ持続投与もしくは皮膚へ外用投与す
ることにより、これまでまったく予想すらされなかった
優れた皮膚組織再生・再構築促進作用もしくは創傷治癒
促進作用が出現することを見出し、本発明を完成した。
より詳細には、低用量・低濃度のジンセノサイドRb
投与により、皮膚の表皮、真皮、真皮の乳頭、皮下組
織、結合組織、汗腺、脂腺、毛包、毛乳頭、血管、末梢
神経、表皮細胞、表皮角化細胞、角質細胞、メルケル細
胞、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、幹細胞、間葉
系細胞、線維芽細胞、汗腺の細胞、毛包の細胞、血管内
皮細胞、血管平滑筋細胞等がすべて再生・再構築し、細
胞外基質、コラーゲン線維、弾性線維、細網線維なども
健常組織に近い状態まで再生・再構築することが発明さ
れた。すなわち皮膚組織の損傷や欠損による疾患もしく
は皮膚の病理組織学的変化をきたすあらゆる疾患(創
傷、熱傷、放射線障害、凍傷、紫外線障害、電撃症、外
傷、皮膚潰瘍、褥創、接触性皮膚炎、水疱性皮膚炎、ア
トピー性皮膚炎、乾皮症、糖尿病性皮膚潰瘍、自家感作
性皮膚炎、紅皮症、剥脱性皮膚炎、表皮水疱症、光線過
敏症、慢性色素性紫斑(シャンバーグ病)、ストロフル
ス、虫刺され、痒疹、多形滲出性紅斑、環状紅斑、結節
性紅斑、天疱瘡、類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、掌蹠膿疱
症、乾癬、扁平苔癬、魚鱗癬、毛孔性苔癬、黄色腫症、
皮膚アミロイドーシス、単純疱疹、ウイルス性いぼ、伝
染性軟属腫、膿皮症、皮膚結核、皮膚非定型抗酸菌症、
白癬、皮膚・口腔カンジダ症、疥癬、毛虱症、梅毒、ケ
ロイド、肥厚性瘢痕、血管腫、リンパ腫、母斑、尋常性
白斑、雀卵斑、肝斑、黒皮症、汗疱、あせも、にきび、
酒査皮(しゅさ)、酒査皮(しゅさ)様皮膚炎、口腔粘
膜損傷、口内炎、口囲皮膚炎、皮膚の老化症状、脱毛
症、爪囲炎、嵌入爪等)に対して、低用量・低濃度のジ
ンセノサイド類特にはジンセノサイドRbは皮膚組織
の再生・再構築促進作用を介して効果・効能を発揮する
ことが見出された。さらに本発明者らは、ジンセノサイ
ド類特にはジンセノサイドRbもしくはその代謝産物
又はそれらの塩の患部組織における細胞外液濃度が前述
のごとく低濃度に維持されるように調整した上で、口腔
粘膜に外用することにより、これまでまったく予想すら
されなかった優れた口腔粘膜組織再生・再構築促進作
用、創傷治癒促進作用、もしくは咬傷治癒促進作用が出
現することを見出し、本発明を完成した。より詳細に
は、低用量・低濃度のジンセノサイド類特にはジンセノ
サイドRbの粘膜外用投与により、口腔粘膜の上皮、
粘膜固有層、唾液腺、粘液腺、混合腺、結合組織、筋組
織、血管、末梢神経、上皮細胞、腺細胞、筋上皮細胞、
線維芽細胞、幹細胞、間葉系細胞、血管内皮細胞、血管
平滑筋細胞、筋細胞等がすべて再生・再構築し、細胞外
基質、コラーゲン線維、弾性線維、細網線維なども健常
組織に近い状態まで再生・再構築することが発明され
た。すなわち、粘膜特には口腔粘膜の創傷や欠損による
疾患もしくは粘膜特には口腔粘膜の病理組織学的変化を
きたすあらゆる疾患(う蝕、歯髄炎、辺縁性歯周組織
炎、口内炎、舌炎、再発性アフタ、口腔内アフタ、口
臭、口腔異常感症、歯性感染症、口腔粘膜咬傷、舌の咬
傷、口腔粘膜熱傷、口腔粘膜損傷、口腔粘膜潰瘍等)に
対して、低用量・低濃度のジンセノサイド類特にジンセ
ノサイドRbが粘膜組織の再生・再構築促進作用を介
して効果・効能を発揮することが見出された。また、本
発明者らは、薬用人蔘もしくはそのエキス又は薬用人蔘
成分もしくはそれらの代謝産物が、思いもかけず動物組
織のみならず植物組織もしくはあらゆる植物細胞の新生
・再生・発根・発芽・成長・分化もしくは再構築をも促
進することを見出し本発明を完成した。より詳細には、
本発明は薬用人蔘の粗サポニン分画もしくはジンセノサ
イド類特にジンセノサイドRbが、植物組織たとえば
ポトスの茎・枝などの挿し木もしくは水栽培の際に発根
・発芽・成長・分化・再生・新生促進剤又は肥料添加物
として有用であることを見出した。すなわち、薬用人蔘
もしくはそのエキス又は薬用人蔘成分もしくはそれらの
代謝産物が、植物の栽培・育成・保存、生花の保存、水
栽培、農作物栽培、農作物育成、野菜の栽培、果実の栽
培・育成、植物の改良、たばこの栽培・育成、茶葉の栽
培・育成等に使用できることが発明された。さらに本発
明者らは、PCT/JP00/04102(薬用人蔘か
らなる脳細胞または神経細胞保護剤)において記載した
ジンセノサイド類誘導体の1つであるジヒドロジンセノ
サイドRbが、ジンセノサイドRbと同様に神経細
胞保護作用のみならず優れた皮膚組織再生・再構築促進
作用もしくは創傷治癒促進作用を示すことを見出した。
すなわち前述したジンセノサイドRbの効果・効能・
用途はすべてジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジ
ンセノサイドRbにもあてはまることが発明された。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、皮膚
の損傷や欠損すなわち創傷、熱傷、凍傷、放射線障害、
紫外線照射、電撃傷、外傷、潰瘍、褥創、ならびに皮膚
もしくはその他の臓器の病理組織学的変化をきたす疾患
等により皮膚組織もしくはその他の臓器・組織が変性脱
落もしくは形態学的に変化した後に静脈内持続投与もし
くは皮膚局所外用塗布でき、かつ優れた組織再生・再構
築促進作用、創傷治癒促進作用を示す薬物を提供するこ
とである。より詳細には、本発明は、低用量・低濃度の
ジンセノサイド類もしくはその代謝産物又はそれらの塩
を含有してなる、生体組織の病理組織学的変化をきたす
器質的疾患の予防・処置又は治療用の医薬組成物若しく
は獣医薬組成物、化粧品組成物もしくは健康薬組成物な
どの皮膚外用組成物、粘膜外用組成物、又は、動物若し
くは植物の成長調整用組成物を提供するものである。な
お、本発明においては、健康薬とは狭義の健康薬のみな
らず健康食品、健康飲料水、健康飲料食品等を包含す
る。また、本発明は、ジンセノサイド類もしくはその代
謝産物をリード化合物として、皮膚組織又は粘膜組織の
疾患に対する予防・処置又は治療のための有効成分を探
索する方法、及びそのためのジンセノサイド類もしくは
その代謝産物の使用を提供する。さらに、本発明は、被
検物質を動物の脳室内に投与して、脳細胞又は神経細胞
の保護作用を測定することからなる、生体組織の再生、
新生、発根、発芽、成長、分化又は再構築を促進するた
めの物質を探索する方法を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、ジンセノサイ
ドRbなどのジンセノサイド類もしくはその代謝産物
又はそれらの塩を含有してなる生体組織の病理組織学的
変化をきたす器質的疾患の予防・処置又は治療用の医薬
組成物又は獣医薬組成物に関する。より詳細には、本発
明は、ジンセノサイドRbなどのジンセノサイド類も
しくはその代謝産物又はそれらの塩の含有量が0.00
1重量%未満である低用量・低濃度での前記の医薬組成
物又は獣医薬組成物に関する。即ち、本発明は、ジンセ
ノサイド類もしくはその代謝産物又はそれらの塩の含有
量が、組成物全体の0.001重量%未満である生体組
織の病理組織学的変化をきたす器質的疾患の予防・処置
又は治療用の医薬組成物又は獣医薬組成物に関し、好ま
しくはジンセノサイド類もしくはその代謝産物又はそれ
らの塩の患部組織における細胞外液濃度が、1ng/m
l以下となるように、より好ましくは患部組織における
細胞外液濃度が、0.01〜100fg/mlもしくは
1〜10000fg/mlである前記医薬組成物又は獣
医薬組成物に関する。本発明の医薬組成物又は獣医薬組
成物の好ましい投与製剤としては、単回静脈内注入製剤
又は静脈内持続投与用製剤などの静脈内投与用製剤、粘
膜外用製剤、又は皮膚外用製剤が挙げられる。
【0011】また、本発明は、ジンセノサイド類もしく
はその代謝産物又はそれらの塩を、組成物中の0.00
1重量%未満含有してなる皮膚外用組成物又は粘膜外用
組成物に関し、本発明の皮膚外用組成物又は粘膜外用組
成物は、化粧品組成物、ケミカルピーリングのための皮
膚外用組成物、健康薬組成物、又は発毛・育毛用組成物
として皮膚組織又は粘膜組織に直接的又は間接的に適用
される。より詳細には、本発明は、ジンセノサイドRb
などのジンセノサイド類もしくはその代謝産物又はそ
れらの塩の含有量が0.001重量%未満である低用量
・低濃度での前記の皮膚外用組成物又は粘膜外用組成物
に関し、好ましくはジンセノサイド類もしくはその代謝
産物又はそれらの塩の皮膚組織又は粘膜組織における細
胞外液濃度が、1ng/ml以下となる、より好ましく
は当該濃度が、0.01〜100fg/mlもしくは1
〜10000fg/mlである皮膚外用組成物又は粘膜
外用組成物に関する。
【0012】また、本発明は、ジンセノサイド類もしく
はその代謝産物又はそれらの塩を含有してなる、植物又
は動物の組織又は細胞の新生、再生、成長、再構築、分
化、保存、育成又は栽培を促進するための成長調整用組
成物に関し、本発明の成長調整用組成物は、植物に対す
る発根・発芽促進剤などの成長促進用組成物、肥料組成
物として使用され、また動物に対する発根促進剤、成長
促進剤などの成長促進用組成物、飼料組成物として使用
される。より詳細には、本発明は、ジンセノサイドRb
などのジンセノサイド類もしくはその代謝産物又はそ
れらの塩の含有量が0.001重量%未満である低用量
・低濃度での前記の成長調整用組成物に関する。
【0013】さらに、本発明は、ジンセノサイドRb
などのジンセノサイド類もしくはその代謝産物をリード
化合物として、皮膚組織又は粘膜組織の疾患に対する予
防・処置又は治療のための有効成分を探索する方法、及
び皮膚又は粘膜の疾患に対する予防・処置又は治療のた
めの有効成分を探索するためのリード化合物としてのジ
ンセノサイド類又はその代謝産物の使用に関する。ま
た、本発明は、これらの方法により探索された物質を含
有してなる皮膚組織又は粘膜組織の疾患に対する予防・
処置又は治療のための医薬組成物又は獣医薬組成物にも
関する。また、本発明は、被検物質を動物の脳室内に投
与して、脳細胞又は神経細胞の保護作用を測定すること
からなる、生体組織の再生、新生、発根、発芽、成長、
分化又は再構築を促進するための物質を探索する方法に
も関する。本発明は、当該方法により、脳室内投与によ
り脳細胞又は神経細胞保護作用を示た化合物又はそれら
の塩を含有してなる、生体組織の再生、新生、成長、分
化又は再構築を促進するための医薬組成物又は獣医薬組
成物にも関する。
【0014】そして、本発明は、ジンセノサイド類を産
生する培養細胞もしくは植物株を用いて、ジンセノサイ
ド類もしくはその代謝産物を大量生産する方法にも関す
る。
【0015】本発明の生体組織としては、ヒト、動物、
植物、微生物などの生物の生体組織であり、例えば、皮
膚組織、粘膜組織などの生体の外部の組織、肝臓、腎
臓、脾臓、膵臓、肺、腸管や胃などの消化器官、膀胱な
どの泌尿器、子宮や精巣などの生殖器官などの腹部や胸
部の内臓組織、頭頸部の組織、骨、関節、靱帯、筋、血
管、神経などの組織が挙げられ、これらの生体組織は生
体内に有る状態が好ましいが、臓器移植用などのように
生体外にある状態であってもよい。また、本発明の生体
組織の病理組織学的変化としては、前記した生体組織に
おける正常な組織が病理組織学的に変化した状態であ
り、例えば、損傷、創傷、外傷、創傷もしくは欠損など
が挙げられ、これらの病理組織学的変化をきたす原因は
特に制限さるものではなく、例えば、外部からの物理的
な力によるもの、外科的処置及び手術における切断又は
縫合、消化性潰瘍病変などの病的なものなどのいずれの
原因による変化であってもよい。
【0016】本発明の医薬組成物又は獣医薬組成物は、
生体組織の病理組織学的変化をきたす器質的疾患の予防
・処置又は治療に使用され、病理組織学的変化をきたし
た生体組織の細胞又は組織の再生及び/又は再構築を促
進させることを特徴とするものである。したがって、本
発明の医薬組成物又は獣医薬組成物の特徴は、病理組織
学的変化をきたした生体組織又はその細胞の再生及び/
又は再構築により、器質的疾患の治癒を促進するもので
ある。また、本発明の医薬組成物又は獣医薬組成物は、
ジンセノサイド類もしくはその代謝産物又はそれらの塩
の含有量が、組成物全体の0.001重量%未満、より
詳細には0.0001重量%以下、0.00001重量
%以下、0.000001重量%以下、0.00000
01重量%以下、又は0.00000001重量%以下
という極めて低用量・低濃度での使用が好ましいことを
特徴とするものである。このような低用量・低濃度での
使用により、有効成分のジンセノサイド類もしくはその
代謝産物又はそれらの塩の患部組織における細胞外液濃
度が、1ng/ml以下、好ましくは0.01〜100
fg/ml又は1〜10000fg/mlとなり、この
ような低濃度における有効成分の新たな作用を見出した
ことを特徴とするものである。
【0017】本発明の「ジンセノサイド類」としては、
薬用人蔘の成分であるジンセノサイドRbなどのジン
セノサイドとよばれている化合物、これを含有している
薬用人蔘などの天然物又はその抽出物、エキス、分画成
分、若しくは精製分画などであってもよく、さらに天然
に存在するジンセノサイドRbなどのジンセノサイド
化合物を化学的な手段で化学修飾して誘導された化合物
であってもよい。
【0018】本発明における「ジンセノサイド類」又は
天然に存在しているジンセノサイド化合物としては、例
えば次のものが挙げられる。すなわち、ジンセノサイド
Ro(ginsenoside Ro;チクセツサポニンV;chikuset
susaponin V;サポニンA;saponin A)、ジンセノサイ
ドRa(ginsenoside Ra)、ジンセノサイドRa
(ginsenoside Ra)、ジンセノサイドRb (ginsen
oside Rb;サポニンD(saponin D)、ジンセノサイ
ドRb(ginsenoside Rb)、ジンセノサイドRb
(ginsenoside Rb)、ジンセノサイドRc(ginsenos
ide Rc)、ジンセノサイドRd(ginsenoside Rd)、ジ
ンセノサイドRe(ginsenoside Re);ジンセノサイド
Ra(ginsenoside Ra);ノトジンセノサイドR
(notoginsenoside R);キンケノサイドR(kinke
noside R);ジンセノサイドRs(ginsenoside Rs
);ジンセノサイドRs(ginsenoside Rs);
(20s)−ジンセノサイドRg(20s-ginsenoside
Rg);20−グルコジンセノサイドRf(20-glucogi
nsenoside Rf);ノトジンセノサイドR(notoginsen
oside R);ジンセノサイドRf(ginsenoside R
f);(20R)−ジンセノサイドRg(20R-ginseno
side Rg);(20R)−ジンセノサイドRh(20R
-ginsenoside Rh);ジンセノサイドRf(ginsenosi
de Rf);ジンセノサイドRg(ginsenoside R
g);ジンセノサイドRg(ginsenoside Rg);
チクセツサポニンI(chikusetsusaponinI);ジンセノ
サイドRg(ginsenoside Rg);ジンセノサイドR
(ginsenoside Rh);ジンセノサイドRh(gi
nsenoside Rh);マロニルジンセノサイドRb(ma
ronylginsenoside Rb);マロニルジンセノサイドR
(maronylginsenoside Rb);マロニルジンセノ
サイドRc(maronylginsenoside Rc);マロニルジン
セノサイドRd(maronylginsenoside Rd);チクセツ
サポニンIa(chikusetsusaponin Ia);チクセツサポ
ニンIb(chikusetsusaponin Ib);チクセツサポニン
III(chikusetsusaponin III);チクセツサポニンIV
(chikusetsusaponin IV);サポニンB(saponin
B);チクセツサポニンIVa(chikusetsusaponin IV
a);サポニンC(saponin C);プロトパナキサジオー
ル(protopanaxadiol)、プロトパナキサトリオール(p
rotopanaxatriol)、オレアノール酸(oleanolic aci
d)等、又はこれらの化合物の立体異性体である。本発
明において、これらのジンセノサイド類は、互いに化学
構造が類似しているため共通の効果・効能・用途を有す
ると考えられるので、単独で用いることもできるし、あ
るいは、異なる複数のジンセノサイド類を組み合わせて
同時に用いることもできる。
【0019】また、本発明に「ジンセノサイド類」おけ
るジンセノサイド化合物を含有している薬用人蔘などの
天然物又はその抽出物、エキス、分画成分、若しくは精
製分画としては、前記したジンセノサイド化合物を比較
的多量に含有している天然物であればよく、当該天然物
そのままであっても、それからジンセノサイド化合物を
含有する成分を抽出して濃縮した抽出物であってもよ
く、当該抽出物を液状又は個体状に製剤化したエキスま
たは錠剤であってもよく、されに当該抽出物の精製分離
したジンセノサイド化合物含有の分画、例えばサポニン
分画などであってもよく、さらに、ジンセノサイド化合
物含有分画を精製してジンセノサイド化合物が乳成分の
精製物であってもよい。好ましい、ジンセノサイド化合
物を含有している薬用人蔘などの天然物又はその抽出
物、エキス、分画成分、若しくは精製分画としては、例
えば、薬用人蔘、薬用人蔘エキス、又は薬用人蔘の粗サ
ポニン分画などが挙げられる。
【0020】また、天然に存在するジンセノサイドRb
などのジンセノサイド化合物を化学的な手段で化学修
飾して誘導された化合物としては、前記した天然のジン
セノサイド類の化学構造を以下の要領で修飾したものを
いう(以下、本明細書においてはこれらの化合物を「ジ
ンセノサイド類誘導体」という。)。すなわち、(1)
ジンセノサイド類のステロイド様骨格(ダマラン骨格)
に結合している側鎖(カーボンチェーン)の二重結合を
還元したもの(いわゆるジヒドロジンセノサイド類)、
(2)ジンセノサイド類の水酸基をアセチル化したも
の、(3)アセチル化に加えて側鎖(カーボンチェー
ン)の二重結合を単結合にして、同部に任意の官能基
(たとえば水酸基)を結合させたもの、(4)アセチル
化に加えて側鎖の二重結合を切断して末端をアルデヒド
基にしたもの、(5)アセチル化に加えて側鎖の末端に
アルキル基やアリル基等任意の官能基を結合させたも
の、(6)アセチル化に加えて側鎖の二重結合を切断し
てカルボキシル基を結合させたもの、(7)側鎖の二重
結合を切断してカルボキシル基を結合させたもの、
(8)側鎖末端にある一方のメチル基を水素原子に置換
し、他方のメチル基をアルキル基やアリル基等任意の官
能基に置換したもの、(9)側鎖の二重結合を単結合に
して、同部に任意の官能基たとえば水酸基を結合させた
もの、(10)プロトパナキサジオール、プロトパナキ
サトリオール、ダマラン、オレアノール酸又はそれらの
還元体を基本骨格として有する任意の化合物、である。
なお、前記したジンセノサイド類(特にプロトパナキサ
ジオール系サポニンとプロトパナキサトリオール系サポ
ニン)の誘導体については、PCT/JP00/041
02(薬用人蔘からなる脳細胞または神経細胞保護剤)
にも記載されている。さらに、PCT/JP00/04
102においては、上記ジンセノサイド類誘導体の1つ
であるジヒドロジンセノサイドRbの神経細胞保護作
用、作成法ならびにNMRチャート等が記述されてい
る。
【0021】また、ジンセノサイド類の中でもやや異な
る化学構造を有するオレアノール酸たとえばジンセノサ
イドRo(チクセツサポニンV)については、以下の要
領で化学修飾したものが挙げられる。すなわち(1)ジ
ンセノサイド類(オレアノール酸)のステロイド様骨格
もしくはアグリコンの化学構造に1ヶ所存在する二重結
合を還元したもの(いわゆるジヒドロジンセノサイド
類)、(2)(1)の還元部位の水素原子を任意の官能
基(たとえば水酸基、アルキル基、アリル基等)に置換
したもの、(3)カルボキシル基をエステル化したも
の、(4)水酸基をアセチル化したもの、(5)ならび
に(1)〜(4)の修飾法のいずれか2つ以上を組み合
わせたもの、である。以上記述したジンセノサイド類誘
導体又はそれらの立体異性体は、互いに化学構造が類似
しているため、共通の効果・効能・用途を有すると考え
られるので、本発明において単独で用いることもできる
し、あるいは、異なる複数のジンセノサイド類誘導体又
はジンセノサイド類と組み合わせて同時に用いることも
できる。
【0022】本発明のジンセノサイド類の代謝産物とし
ては、本発明のジンセノサイド類が生体内において代謝
を受けた結果生産される化合物であり、本発明の有効成
分は前記したジンセノサイド類に限定されるものではな
く、これらの生体内での代謝産物であって、本発明の目
的を達成することができる化合物である。
【0023】次に本発明の低用量・低濃度のジンセノサ
イド類の静脈内投与、粘膜外用投与もしくは皮膚外用投
与の創傷治癒促進作用又は組織再生・再構築促進作用に
ついて具体例に基づいて詳細に説明する。このため、本
発明のジンセノサイド類として代表的なジンセノサイド
の1種であるジンセノサイドRbならびにその化学修
飾された誘導体であるジンセノサイド類誘導体の1つで
あるジヒドロジンセノサイドRbを用いた実験結果に
基づいて説明する。まず、本発明者らは低用量、低濃度
のジンセノサイドRbが皮膚組織の再生・再構築に与
える効果を調べるため、たとえば組織や細胞の再生現象
が容易に観察される皮膚の切開創に対するジンセノサイ
ドRbの静脈内持続注入の効果を検討した。このため
に、雄性ウィスターラット(体重300g程度)を使用
した。同動物は12時間ごとの明暗サイクル室で飼育
し、水ならびに餌は自由摂取とした。吸入麻酔下で同動
物の背部に長さ3cm程度の切開創を作成し、ナイロン
糸で縫合後、約1時間経過してからジンセノサイドRb
(60μg)の生理食塩水溶解液を単回静脈内注入し
た。その後アルザミニ浸透圧ポンプを用いてジンセノサ
イドRbを7日間静脈内へ持続注入した(60μg/
日)。なお、同様の切開創を作成してナイロン糸で縫合
した対照動物には、同量の生理食塩水のみを静脈内投与
した。
【0024】ジンセノサイドRbもしくは生理食塩水
の静脈内持続注入終了後2日目に、動物をペントバルビ
タールにて麻酔し、4%パラホルムアルデヒドを含有す
る0.1Mリン酸緩衝液で経心的に灌流固定した。その
後、切開縫合部位を含む皮膚組織を採取し、後固定後常
法通りパラフィンに包埋した。厚さ5μm程度のパラフ
ィン切片を作成してヘマトキシリンエオジン(HE)染
色に供した。その結果を図1に示す。図1は図面に変わ
る写真である。図1AはジンセノサイドRb投与例、
図1Bは生理食塩水投与例を示している。また“s”は
瘢痕(scar)を示す。図1Aに示されるごとく、ジンセ
ノサイドRb投与例では、図1Bの生理食塩水投与例
と比較して、切開創局部の直近に汗腺、脂腺、毛包等の
皮膚付属器が多数観察された。このことは、低用量のジ
ンセノサイドRb静脈内投与により汗腺、脂腺、毛包
ならびにそれらを構成する細胞が速やかに再生・再構築
を完了したことを物語っている。また、低用量のジンセ
ノサイドRb投与例では、生理食塩水投与例と異なり
創傷局部を除いては、表皮、真皮、皮下組織がほぼ正常
に近い状態にまで再生・再構築、もしくは回復してい
た。すなわち、ジンセノサイドRb静脈内投与により
創傷を受けた皮膚組織がすみやかに再生・再構築し、そ
の結果明らかに創傷治癒が促進されたと言える。
【0025】一方、図1Bの生理食塩水投与例では、瘢
痕(scar)、いわゆる傷跡が大きく成長してきている
が、損傷を受けた組織の再生はあまり見られない。即
ち、従来の創傷治癒においては瘢痕(scar)が大きくな
るだけで、損傷を受けた組織が系統的に再生・再構築す
ることはなかったのであるが、図1Aにみられるように
本発明では、ジンセノサイドRb投与により、瘢痕
(scar)部分が縮小するのみならず創傷を受けた各々の
組織の再生・再構築が行われることが大きな特徴であ
る。
【0026】従って、ジンセノサイドRbの静脈内投
与により、このように皮膚組織の深部に至るまで組織の
再生・再構築が進行し、創傷治癒が順調に進むことから
判断すると、縫合不全を生じやすい高齢者、低栄養患
者、糖尿病患者、免疫不全病患者、エイズ患者もしくは
癌患者の術前術後にジンセノサイド類特にはジンセノサ
イドRbを静脈内投与しておけば、優れた効果・効能
を発揮するものと期待される。また、形成外科手術(い
わゆる美容形成外科手術を含む)の前後にあるいは皮膚
の損傷、創傷、外傷もしくは欠損による疾患の発生後に
ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbを静脈内
投与しても、すぐれた創傷治癒促進効果と組織再生再構
築促進作用を介して、“より傷が早く確実に治る”もの
と思われる。図1Aに示すごとくジンセノサイドRb
投与例では、組織再生・再構築が順調に進み、真皮や皮
下組織において膠原線維(コラーゲン線維)、弾性線
維、細網線維、細胞外基質が正常に近い状態まで充分に
産生分泌されたために、その結果として図1Bの生理食
塩水投与例よりも、瘢痕が少なくなっていた。
【0027】次に発明者らは、皮膚組織の欠損が生じる
疾患(褥創、皮膚潰瘍、熱傷、凍傷、放射線障害、開放
創、紫外線障害、電撃傷等)においても、低用量のジン
セノサイドRbの静脈内投与が皮膚組織の再生・再構
築を促進するかどうかを調べた。このために、たとえば
雄性ウィスターラット(体重300g程度)を使用し
て、吸入麻酔下で同動物の背部に直径6mmのパンチバ
イオプシーを施し開放創を作成して放置した。その後、
約1時間経過してからジンセノサイドRb(12μ
g)の生理食塩水溶解液を単回静脈内投与し、続いてア
ルザミニ浸透圧ポンプを用いてジンセノサイドRb
7日間静脈内へ持続注入(12μg/日)した。なお、
同様の開放創を作成して放置した対照動物には、同量の
生理食塩水のみを静脈内投与した。
【0028】ジンセノサイドRbもしくは生理食塩水
の静脈内持続注入終了後2日目に、動物をペントバルビ
タールにて麻酔し、4%パラホルムアルデヒドを含有す
る0.1Mリン酸緩衝液で経心的に灌流固定した。その
後、開放創を含む皮膚組織を摘出し、後固定後常法通り
パラフィンに包埋した。厚さ5μm程度のパラフィン切
片を作成してヘマトキシリンエオジン(HE)染色に供
した。その結果を図2に示す。図2は図面に変わる写真
である。図2AはジンセノサイドRb投与例、図2B
は生理食塩水投与例を示している。図2A、Bの矢印よ
り左側が健常部を、図2Aの矢印より右側が再生皮膚組
織を、図2Bの矢印より右側が主として瘢痕部(scar,
s)を示している。図2Aの再生皮膚組織には表皮下の
結合組織(真皮もしくは皮下組織)に毛包ならびに毛乳
頭やそれに付随した皮脂腺や立毛筋が多数みられ、再生
ならびに再構築した皮膚組織の下に瘢痕(scar,s)が
少し存在している。図2Aに示されるごとく、ジンセノ
サイドRb投与例では、図2Bの生理食塩水投与例と
比較して、上皮化も充分起きており、乳頭を有する真皮
の結合組織、皮下組織の再生・再構築がほぼ正常組織に
近い状態までに進行していた。また、ジンセノサイドR
投与例では、生理食塩水投与例と異なり、開放創の
再生皮膚組織内に毛包、毛乳頭、脂腺、立毛筋、汗腺等
の皮膚付属器が豊富に認められ、血管網もほぼ正常組織
に近い状態まで再生・再構築もしくは回復していた。お
そらく、このような表皮、真皮の結合組織、真皮の乳
頭、皮下組織、皮膚付属器、血管の再生・再構築に伴
い、開放創作成時に切断された末梢神経もジンセノサイ
ドRbの静脈内投与により再生していると考えられ
た。図2Aに示すごとく、低用量のジンセノサイドRb
投与例では組織再生・再構築が順調に進み、真皮や皮
下組織において膠原線維(コラーゲン線維)、弾性線
維、細網繊維、細胞外基質が正常に近い状態にまで充分
に産生分泌されたために、その結果として図2Bの生理
食塩水投与例よりも、瘢痕が少なくなっていた。
【0029】次に発明者らは、皮膚の開放創を作成する
前にあらかじめジンセノサイドRb を静脈内投与した
ときも皮膚組織の再生・再構築が促進するかどうかを調
べた。このために、雄性ウィスターラット(体重300
g程度)に吸入麻酔下でジンセノサイドRb(12μ
g)の生理食塩水溶解液を単回静脈内投与し、続いてア
ルザミニ浸透圧ポンプを用いてジンセノサイドRb
4日間静脈内へ持続注入(12μg/日)した。その
後、吸入麻酔下で同動物の背部に直径6mmのパンチバ
イオプシーを施し開放創を作成するとともに、ジンセノ
サイドRbの静脈内持続注入をさらに3日間継続し
た。なお、同様の開放創を作成して放置した対照動物に
は、同量の生理食塩水のみを静脈内投与した。
【0030】ジンセノサイドRbもしくは生理食塩水
の静脈内持続注入終了後2日目(すなわち開放創作成後
5日目)に、動物をペントバルビタールにて麻酔し、4
%パラホルムアルデヒドを含有する0.1Mリン酸緩衝
液で経心的に灌流固定した。その後、開放創を含む皮膚
組織を摘出し、後固定後常法通りパラフィンに包埋し
た。厚さ5μm程度のパラフィン切片を作成してヘマト
キシリンエオジン(HE)染色に供した。その結果を図
3に示す。図3は図面に変わる写真である。図3Aはジ
ンセノサイドRb投与例、図3Bは生理食塩水投与例
を示している。“i”は痂皮(incrustationもしくはes
char)を、“ep”は表皮(epidermis)の重層扁平上
皮(stratified squamous epithelium)を、“bv”は
血管(blood vessel)を示す。図3Aに示されたごと
く、ジンセノサイドRb投与例では、開放創作成後5
日目には既に痂皮の下に明らかな表皮(重層扁平上皮組
織)が再生・再構築しており、表皮(重層扁平上皮)直
下には赤血球で満たされた太い再生血管もしくは新生血
管が分布するとともに、同血管から枝分れしたと思われ
る比較的細い血管が真皮の結合組織や皮下組織内に密に
存在していた。一方、図3Bに示されたごとく、生理食
塩水投与例では、開放創作成後5日目においても痂皮の
下の表皮再生は極めて不完全であり、非常に薄い表皮の
直下にある再生血管も、ジンセノサイドRb静脈内投
与例と比較して明らかに細かった。そのため将来瘢痕に
なると考えられる表皮下の結合組織には極めて細い血管
が少数散見されるのみであった。従って、ジンセノサイ
ドRbの静脈内投与により、皮膚組織の再生・再構築
が明らかに促進され、開放創によってひとたび破綻・切
断された血管の再生・新生・再構築もジンセノサイドR
の静脈内投与により促進されることが発明されたこ
とになる。また、ここで忘れてはならないことは、図3
AのごとくジンセノサイドRb投与例で開放創作成後
5日目にみられた表皮(重層扁平上皮)直下の太い血管
が、開放創作成後9日目には図2Aのごとくほぼ退縮
し、同部には乳頭を有する真皮の結合組織がみられるこ
とである。すなわち、ジンセノサイドRb投与例で
は、開放創作成後早期には血管の再生もしくは新生が起
こり、皮膚組織の再生・再構築が完成するにつれて、血
管の再構築が生じることを物語っている。1つの化合物
が組織再生・再構築という複雑な生命現象を、かくも鮮
やかに成し遂げることを証明した本発明は、まさに人類
史上初のものであると言える。なお、健常組織において
は、ジンセノサイドRb投与例と生理食塩水投与例と
の間で、明らかな相異は認められなかった。このこと
は、低用量のジンセノサイドRbを静脈内へ持続投与
しても健常組織にはさしたる影響を与えず、病変組織や
損傷(創傷)組織にのみ好ましい効果をもたらすことを
支持している。すなわち、ジンセノサイド類特にジンセ
ノサイドRbは副作用の少ない医薬組成物と言える。
【0031】このように、開放創によってひとたび欠損
した皮膚組織がジンセノサイドRb の静脈内投与によ
り速やかにかつ正常に近い状態にまで再生・再構築する
という本実験結果は、ジンセノサイド類特にジンセノサ
イドRbが皮膚欠損部周辺の表皮細胞、表皮角化細
胞、角質細胞、メルケル細胞、ランゲルハンス細胞、幹
細胞、線維芽細胞、間葉系細胞、血管内皮細胞、立毛筋
の細胞、血管平滑筋細胞の分裂、増殖、移動、分化、な
らびに表皮細胞の毛包、汗腺、皮脂腺細胞への分化を促
進することをも明らかにしている。しかも前述の各種細
胞、末梢神経、血管がジンセノサイドRb投与により
有機的に系統立てて再生・再構築した結果、正常皮膚組
織に近い状態にまで皮膚の開放創が速やかに回復すると
いうことが発明されたことになる。すなわち、低用量の
ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbの静脈内
持続投与により、皮膚欠損部に新たに再生した表皮細胞
や線維芽細胞が正常の皮膚組織に類似した態様で配列
し、細胞外基質、膠原線維、弾性線維、細網線維なども
正常皮膚組織に近い状態にまで再生・再構築されると言
える。本実験結果(図2A、図3A)に示されたごと
く、ジンセノサイドRbの静脈内投与により皮膚の開
放創(皮膚欠損部)において表皮組織のみならず真皮や
皮下組織にいたるまで再生・再構築が促進されるので、
ひとたび開放創が上皮化されたのちに再び同部に外傷が
負荷されても、ジンセノサイドRb投与により上皮化
された開放創部では上皮組織の剥離が生じにくいものと
期待される。
【0032】一方、図2Bや図3Bに示すごとく生理食
塩水投与例では、外見上上皮化は起きていても、真皮や
皮下組織の再生・再構築を伴わず瘢痕が形成されている
ので、同部に軽い外力が加わっただけで容易に表皮組織
が剥離する恐れがある。ちなみに、発明者らの経験によ
れば表皮増殖因子(epidermal growth factor,EG
F)、血小板由来増殖因子(platelet-derived growth
factor,PDGF)や塩基性線維芽細胞成長因子(basi
c fibroblast growth factor,bFGF)をラット皮膚
の開放創局所に噴霧もしくは塗布しても、それらの創傷
治癒促進効果は低用量のジンセノサイドRbの静脈内
持続投与の効果に遠く及ばない。このように低用量のジ
ンセノサイドRbが単独で皮膚組織の再生・再構築も
しくは創傷治癒をかくもあざやかに成しとげるというこ
とは、皮膚組織の創傷治療もしくは再生・再構築にかか
わるサイトカイン類(EGF、TGF−β、TGF−
α、FGF、VEGF、PDGF−BB、TGF−
β、PDGF−AB、IGF、KGF、PDGF、T
GF−β、TGF−β、FGF−2、U−PA、t
−PA等)の産生や血球成分・血漿成分の機能なども低
用量のジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
より調節されていることを物語っている。すなわち、Si
nger,A.J.とClark,R.A.Fの総説(New Engl. J. Med., 3
41, 738-746, 1999)に記述されたごとく、創傷治癒も
しくは組織再生・再構築にかかわる複雑な生命現象を、
低用量・低濃度のジンセノサイド類特にはジンセノサイ
ドRbが単独ですべて成しとげたといえる。
【0033】ラット皮膚の開放創を用いた本実験結果よ
り、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbから
なる静脈内投与製剤の創傷治癒促進効果ならびに皮膚組
織再生・再構築促進作用は、歴史上最強のものと考えら
れる。おそらくジンセノサイド類特にはジンセノサイド
Rbもしくはその代謝産物又はそれらの塩が極めて強
力な創傷治癒促進作用、皮膚組織再生、再構築促進作用
を発揮するものと思われるが、このことはジンセノサイ
ド類特にはジンセノサイドRbもしくはその代謝産物
が皮膚の損傷、創傷、外傷もしくは欠損等による疾患や
皮膚の病理組織学的変化をきたす疾患の予防、処置、治
療のためのリード化合物になり得ることも支持してい
る。
【0034】ジンセノサイドRbをリード化合物とし
て利用することにより作成できる皮膚の疾患の治療薬の
候補物質として、もっとも可能性が高いものは、前記し
た構造式で示される化合物(ジヒドロジンセノサイドR
)であり、本化合物は既述のごとく、ジンセノサイ
ドRbのステロイド様骨格(ダマラン骨格)に結合し
ている側鎖(カーボンチェーン)の二重結合を還元する
ことにより容易に作成することができる。その他、図4
に示したジンセノサイドRbの化学的誘導体もジンセ
ノサイドRbと同様に皮膚又は粘膜の損傷、創傷、外
傷もしくは欠損による疾患もしくは皮膚又は粘膜の病理
組織学的変化をきたす疾患の治療、予防、処置剤となり
得る。図4左上の(1)は水酸基をアセチル化した誘導
体の例であり、(2)はアセチル化に加えて側鎖の二重
結合を単結合にして同部に任意の官能基(たとえば水酸
基)を結合させた例であり、(3)はアセチル化に加え
て側鎖の二重結合を切断して末端をアルデヒド基にした
誘導体の例であり、(4)はアセチル化に加えて側鎖の
末端にアルキル基やアリル基等任意の官能基を結合させ
た例であり、(5)はアセチル化に加えて側鎖の二重結
合を切断してカルボキシル基誘導体にした例である。右
側の(6)は側鎖の二重結合を切断してカルボキシル基
を結合した例であり、(7)は、側鎖末端にある一方の
メチル基を水素原子に置換し、他方のメチル基をアルキ
ル基やアリル基等任意の官能基に置換したものであり、
(8)は側鎖の二重結合を単結合にして、同部に任意の
官能基たとえば水酸基を結合させた例である。なお、前
記した誘導体については、本明細書の[発明が解決しよ
うとする課題]の項にも既述されている。また、薬用人
蔘にはジンセノサイドRb以外に公知のものだけでも
30種類前後の精製サポニン類すなわちジンセノサイド
類が含まれているが(庄司順三、薬用人蔘’95,pp25
1-261,熊谷 朗編、共立出版株式会社)、これらの精
製サポニン類すなわちジンセノサイド類の化学構造もジ
ンセノサイドRbの化学構造と類似しているので、前
記皮膚疾患又は粘膜疾患の治療、予防、処置剤となり得
る。もちろん、ジンセノサイドRbをリード化合物と
して利用することにより作成できる新規化学的誘導体は
前述のものに限定されるわけではない。また、ジンセノ
サイドRb以外の精製サポニン類すなわちジンセノサ
イド類(特にプロトパナキサジオール、プロトパナキサ
トリオール)についてもダマラン骨格(ステロイド様骨
格)側鎖を還元するかもしくは図4と同様の方法で化学
的誘導体を作成することができる。また、ジンセノサイ
ドRoを始めとするオレアノール酸の化学的誘導体につ
いては、[発明が解決しようとする課題]の項で既述し
ている。前述したジンセノサイド類特にはジンセノサイ
ドRbの化学的誘導体すなわちジンセノサイド類誘導
体ならびに公知の類似化合物すなわち前述の庄司の総説
に記載された3種類のアグリコンの化学構造を有する化
合物は、脳卒中、神経変性疾患、脊髄損傷、頭部外傷、
神経外傷等の脳神経疾患や細胞死を伴う諸疾病に対して
も、ジンセノサイドRbと同様の効果、効能を示すこ
とが期待される(特願平10−365560、PCT/
JP99/02550、ジンセノサイドRbからなる
脳細胞又は神経細胞保護剤;特願平11−34085
0、PCT/JP99/06804、ジンセノサイドR
からなる脳血管再生・再構築促進剤ならびに神経組
織二次変性抑止剤;PCT/JP00/04102、薬
用人蔘からなる脳細胞または神経細胞保護剤)。なお、
前述のジンセノサイド類又はジンセノサイド類誘導体の
適応が期待される、細胞死を伴う諸疾病や病態の中に
は、成書(今日の治療指針;監修、日野原重明、阿部正
和、医学書院;1995)に記載されたすべての疾病や
病態が含まれる。もちろん、厚生省が指定する45の特
定疾患もジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
又はジンセノサイド類誘導体特にジヒドロジンセノサイ
ドRbによる予防、処置、治療が可能である。
【0035】またジンセノサイド類特にジンセノサイド
Rbの皮膚組織再生・再構築促進効果は画期的なもの
であるので、ジンセノサイド類特にジンセノサイドRb
もしくはその代謝産物をリード化合物として新規皮膚
疾患治療薬もしくは組織再生促進剤を作成できるのみな
らず、ジンセノサイド類特にジンセノサイドRbもし
くはその代謝産物の標的分子を同定することにより、標
的分子の機能を修飾する化合物をも合成して皮膚疾患治
療薬の開発を目指すことができる。
【0036】本実験結果では、皮膚欠損を生じる開放創
を作成した後に低用量のジンセノサイドRbを静脈内
へ持続投与することにより、皮膚組織の再生・再構築が
促進され、創傷治癒が顕著に進んだ。このことは、低用
量のジンセノサイド類特にジンセノサイドRbの静脈
内持続投与が皮膚欠損を生ずる他の疾患(たとえば褥
創、皮膚潰瘍、熱傷、凍傷、放射線障害、水疱性皮膚疾
患、紫外線障害、電撃傷、日射病、皮膚の外傷等)にも
効果・効能を示すことを物語っている。また、皮膚のみ
ならず、他の臓器・組織の一部が欠損する疾患(たとえ
ば消化性潰瘍、潰瘍性大腸炎、粘膜びらん、粘膜潰瘍、
消化管粘膜びらん、慢性胃腸炎、急性胃腸炎、クローン
病、ベーチェット病、鼓膜損傷、角膜損傷、角膜びら
ん、角膜潰瘍、骨欠損、膀胱・尿道・陰茎損傷等)にも
ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbの静脈内
投与や局所投与が有効であるとされる。また、前述の疾
患において、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドR
を点鼻投与、挿肛投与、点耳投与、点眼投与、舌下
投与等してもよい。もちろん、各種臓器・組織の病理組
織学的変化をきたすその他のあらゆる疾患に対して、低
用量のジンセノサイド類特にジンセノサイドRbは病
理組織学的変化をきたした臓器・組織の再生・再構築を
促することにより、効果・効能を示す。このような病理
組織学的変化をきたす疾患や病態として、創傷、熱傷、
外傷、咬傷、皮膚潰瘍、褥創はもとより成書(今日の治
療指針;監修、日野原重明、阿部正和;医学書院;19
95)に記載されたすべての疾患や病態が考えられる。
【0037】ラット皮膚の開放創を用いた本実験におい
て、低用量のジンセノサイドRbの静脈内持続投与は
顕著に皮膚組織の再生・再構築を促進した。改めて言う
までもなく、皮膚は表皮(重層扁平上皮)、結合組織、
血管、神経、分泌腺等、他の臓器や組織と共通した構成
要素を持っている。従って、低用量のジンセノサイド類
特にはジンセノサイドRbの静脈内持続投与が皮膚組
織の再生・再構築を顕著に促進したという本実験事実
は、低用量のジンセノサイドRbの静脈内持続投与が
他のあらゆる臓器や組織(たとえば肝、腎、心臓、消化
管、唾液腺、膵、筋肉組織、呼吸器、感覚器、泌尿生殖
器、内分泌器官、角膜、粘膜、口腔粘膜、神経組織等)
の再生もしくは再構築をも促進することを示している。
すなわち、肝部分切除術後、クラッシュシンドローム、
急性尿細管壊死、急性腎不全、肝炎、腎炎、膵部分切
除、消化性潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病、角膜損
傷、角膜びらん、角膜潰瘍、口内炎、アフタ性口内炎、
口腔粘膜損傷、鼓膜損傷等の病態において、当該臓器の
再生もしくは再構築を促進するために、ジンセノサイド
類特にジンセノサイドRbの静脈内投与もしくは局所
投与が有効であると考えられる。
【0038】また、本発明のジンセノサイドRbは、
開放創による皮膚欠損部位において血管の再生・再構
築、末梢神経再生、毛包、汗腺、脂腺の再生をも促進す
ることが本実験において明らかにされた。これらのこと
より、低用量・低濃度のジンセノサイド類特にジンセノ
サイドRbは血流障害を主症状とする疾病(大動脈炎
症候群、末梢動脈閉塞症、閉塞性血栓血管炎、閉塞性動
脈硬化症、レイノー病、レイノー症候群、狭心症、心筋
梗塞、肺塞栓、脳梗塞、肝・腎・心虚血再灌流障害、脳
血管障害、痔疾、もやもや病等)の予防、治療、処置
剤、発毛・育毛剤、脱毛(円形脱毛症、男性型脱毛症、
び慢性脱毛症)の進行予防・治療・処置剤あるいは末梢
神経障害や神経痛の予防、治療、処置剤として、利用可
能であると考えられる。
【0039】以上の実験結果から、低用量・低濃度のジ
ンセノサイド類特にジンセノサイドRb又はその塩を
含有してなる静脈内投与用製剤が、優れた創傷治癒促進
作用もしくは皮膚組織再生・再構築促進効果を介して、
皮膚の損傷、創傷(切開創、開放創)、外傷もしくは欠
損による疾患又は皮膚の病理組織学的変化をきたす疾患
の治療、予防、処置に有用となることが明らかにされ
た。本発明の低用量・低濃度のジンセノサイド類特にジ
ンセノサイドRb又はその塩は、薬用人蔘の成分とし
て知られており、副作用の極めて少ない物質である。
【0040】次に本発明者らは、皮膚組織の欠損が生じ
る疾患(褥創、皮膚潰瘍、熱傷、凍傷、放射線障害、開
放創、紫外線障害、電撃障害等)において、ジンセノサ
イドRbの皮膚外用投与が効果・効能を発揮するかど
うかを調べた。このため、たとえば雄性ウイスターラッ
ト(体重300g程度)を使用して、吸入麻酔下で同動
物の背部を剃毛した後に直径6mmのパンチバイオプシ
ーを施し開放創を3ケ所作成した。そのうち2ケ所には
0.01重量%もしくは0.001重量%のジンセノサ
イドRbを含有する眼科用白色ワセリン(プロペト)
を連日0.1g単回塗布し、残りの開放創には同量の眼
科用白色ワセリン(プロペト)のみを塗布した。開放創
作成後、9日目に創部を含む皮膚を写真撮影した。さら
に、本発明者らは同様の方法で0.0001重量%、
0.00001重量%もしくは0.000001重量%
のジンセノサイドRb皮膚外用塗布の効果も調べた。
なお、実験動物は写真撮影直前に麻酔薬により安楽死さ
せ、写真撮影したのちに創傷部を採取するかもしくは創
傷部を採取したのちに写真撮影を実施した。その後創傷
部組織を固定液中で保存した。結果を図5及び図6に示
す。図5及び図6は図面に変わる写真である。
【0041】図5の上から1番目が開放創作成後プロペ
トのみを外用投与(外用塗布)したものであり、赤い開
放創(写真では黒い開放創)が目立つ。図5の上から2
番目が0.001%のジンセノサイドRbを含有する
プロペトを外用塗布(皮膚外用投与)したものである
が、上から1番目のプロペトのみを外用塗布したものに
比べて開放創面積がやや縮小していた。一方、0.01
重量%のジンセノサイドRbを含有するプロペトを外
用塗布(皮膚外用投与)された上から3番目の開放創
は、上から1番目の対照と比べて差異は認められなかっ
た。すなわち0.01重量%のジンセノサイドRb
含有するプロペト(すなわち軟膏基剤の1gあたり10
0μgのジンセノサイドRbを含有するプロペト)
は、開放創に塗布しても皮膚組織の再生・再構築を顕著
には促進せず、従って創傷治癒もそれほど進まず、その
結果瘢痕形成もそれほど抑止しないと考えられる。
【0042】また、図6の上から2番目と3番目に示し
たごとく、0.00001重量%(10−5重量%)も
しくは0.000001重量%(10−6重量%)のジ
ンセノサイドRbを含有するプロペトは、0.000
1重量%のジンセノサイドRbを含有するプロペトよ
りも優れた効果を示した。このことは、低濃度のジンセ
ノサイドRbからなる皮膚外用剤を開放創に外用塗布
もしくは外用噴霧しても、低用量のジンセノサイドRb
の静脈内持続投与とほぼ同じ効果・効能が得られるこ
とを明らかにしている。また0.000001重量%の
ジンセノサイドRbの皮膚外用投与により、再生した
開放創部より明らかな発毛が観察された。すなわち、低
用量のジンセノサイドRbの静脈内持続投与の効果・
効能・用途について、本発明で詳細に説明された事項
は、ほぼすべてジンセノサイドRb の病変部局所投与
や病変部外用投与にもあてはまると言える。すなわち、
低濃度のジンセノサイド類特にジンセノサイドRb
皮膚外用塗布が、皮膚の表皮組織、真皮の結合組織、真
皮の乳頭、血管、皮脂腺、神経、汗腺、毛乳頭、立毛
筋、毛包等の再生・再構築を促進し、創傷治療を早める
と考えられる。本発明者の知る限り、低濃度のジンセノ
サイドRbの皮膚外用投与の効果は、ペプチド性因子
(PDGF、EGF、bFGF)の効果よりはるかに優
れている。本実験で使用した低濃度のジンセノサイドR
を含有する軟膏もしくは外用剤は、皮膚のみならず
損傷もしくは、病理組織学的変化をきたすあらゆる臓器
・組織(角膜、口腔、外耳、鼓膜、膣、子宮、尿道、直
腸、肛門等)に外用投与して、病変組織の再生・再構築
を促進せしめることができる。本実験結果より、プロペ
ト10gあたりのジンセノサイド類特にはジンセノサイ
ドRbの混入量は0.1mg以下、好ましくは0.0
001mg以下ということが判明した。すなわち皮膚疾
患を有するヒトもしくは脊椎動物へのジンセノサイド類
特にはジンセノサイドRbの皮膚外用投与量は、患者
の個人差や病状にもよるが、従来考えられていたよりは
るかに少ないということになる。本実験では高濃度のジ
ンセノサイドRb(0.0001重量%以上)の効果
は動物によりばらつきがみられた。ラットでは0.00
1重量%〜0.0001重量%という高濃度のジンセノ
サイドRbを開放創に外用投与しても、しばしば同動
物は開放創をなめることがあるので、その結果として開
放創部のジンセノサイドRbの濃度が低下して時折好
ましい効果が得られたと考えられる。しかし、ヒトでは
開放創をなめるという行為はほとんど起こり得ないの
で、創傷治癒促進のためにはより低濃度(たとえば0.
00002重量%未満)のジンセノサイドRbを外用
投与することが好ましい。
【0043】前述のごとく、低濃度のジンセノサイドR
の皮膚外用塗布が、皮膚の表皮組織、真皮の結合組
織、真皮の乳頭、皮下組織、血管、立毛筋、皮脂腺、汗
腺、毛乳頭、毛包等の再生・再構築を促進するという事
実は、当然のことながらジンセノサイドRbの皮膚外
用塗布が、表皮細胞、表皮角化細胞、メルケル細胞、メ
ラノサイト、ランゲルハンス細胞、角質細胞、真皮なら
びに皮下組織の線維芽細胞、血管内皮細胞、血管平滑筋
細胞、皮脂腺の細胞、脂肪細胞、汗腺の細胞、毛包の細
胞、立毛筋の細胞、間葉系細胞、皮膚の幹細胞等の再生
・再構築をも促すことを明らかにしている。すなわち、
ジンセノサイド類特にジンセノサイドRbは皮膚組織
を構成するあらゆる細胞やその分泌物の再生・再構築を
促進すると考えられる。一方、加齢に伴う皮膚の諸症状
(皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、かさつき、
亀裂、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、
しみ、しわ、そばかす、脱毛、白髪、ふけ、色素沈着、
日焼け、乾燥等)は、皮膚組織を構成する前記細胞が、
紫外線障害や生体の老化に伴い徐々に死滅するかもしく
は機能不全に陥り、もとの健常な状態に再生できなくな
るために、生じるものと考えられる。たとえば、加齢や
老化に伴う皮膚のかさつき、乾燥、脱毛、亀裂、角質細
胞剥離、角層剥離、ひびわれ、皮脂欠乏、かゆみなどは
皮膚の汗腺、毛包、ならびに脂腺の細胞が、機能障害に
陥るか死滅したままで再生しないために、生じると考え
られる。また、日焼け、色素沈着、しみ、そばかす等
は、日光や紫外線に照射された皮膚の細胞が死に至って
も、元通りに細胞が再生しなくなるために起こると考え
られる。さらに加齢に伴う、皮膚のしわ、たるみ、萎縮
などは、真皮や皮下組織の線維芽細胞もしくは間葉系細
胞が、加齢とともに機能不全に陥るか数が減少したため
に、真皮や皮下組織で充分な膠原線維、弾性線維、細網
線維、細胞外基質を保持できなくなった結果、生じると
言える。一方、メラノサイトやランゲルハンス細胞の機
能障害により白髪や易感染性が生じると考えられる。
【0044】本発明の低濃度のジンセノサイド類特にジ
ンセノサイドRbは、皮膚組織を構成するすべての細
胞の再生・再構築を促進することができるので、化粧品
の組成物として利用すれば、老化に伴う皮膚の構成細胞
の減少(細胞死)、機能障害に帰因する諸症状(皮膚の
萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、かさつき、皮脂欠
乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、しみ、しわ、
そばかす、白髪、ふけ、脱毛、色素沈着、日焼け、再生
不良、乾燥等)を予防、軽減もしくは改善することがで
きる。さらに、ジンセノサイドRbは、本発明者ら
(阪中、田中)の既出願特許(特願平10−36556
0、PCT/JP99/02550、ジンセノサイドR
からなる脳細胞又は神経細胞保護剤;PCT/JP
00/04102、薬用人蔘からなる脳細胞または神経
細胞保護剤)において、細胞死抑制遺伝子産物Bcl−
の発現を上昇せしめ、表皮細胞、表皮角化細胞、角
質細胞、皮脂腺の細胞、毛包の細胞、立毛筋の細胞、汗
腺の細胞、線維芽細胞、幹細胞、間葉系細胞、血管内皮
細胞、血管平滑筋細胞、脂肪細胞等を含めたあらゆる皮
膚の細胞を保護すると考えられるので、やはり加齢や老
化に伴う皮膚の構成細胞の死や機能障害を未然に防ぐこ
とができると考えられる。このように、ジンセノサイド
類特にジンセノサイドRbは、皮膚を構成するあらゆ
る細胞を保護するのみならず、ひとたび皮膚の細胞が死
に至るか機能不全に陥っても、それらの細胞を再生せし
めることによって、加齢に伴う皮膚の老化症状(皮膚の
萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、亀裂、かさつき、皮
脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、しみ、し
わ、そばかす、白髪、ふけ、脱毛、色素沈着、日焼け、
再生不良、乾燥等)を予防、改善もしくは軽減すると考
えられる。すなわち、ジンセノサイド類特にジンセノサ
イドRbは細胞保護作用と組織・細胞再生促進作用と
いう2つの強力な作用を介して、加齢に伴う皮膚の老化
症状を改善、予防もしくは軽減すると言える。しかも、
本発明の実験結果や上記の既出願特許(特願平10−3
65560、PCT/JP99/02550)から明ら
かなように、ジンセノサイド類特にジンセノサイドRb
は患部組織や皮膚組織における細胞外液濃度が、1n
g/ml以下、好ましくは10pg/ml以下、より好
ましくは100fg/ml以下のときに、細胞保護作用
ならびに組織・細胞再生促進作用を発揮する。また、後
述の実施例のごとく、低濃度・低用量のジンセノサイド
類特にジンセノサイドRbは、粘膜組織の再生・再構
築をも促進し、口腔粘膜の咬傷を治療することができ
る。従って、ジンセノサイド類特にジンセノサイドRb
をあらゆる化粧品や健康薬(化粧水(スキンローショ
ン)、乳液(ミルクローション)、美容液、マッサージ
剤、パック剤、乳剤、ファンデーション、ハンドクリー
ム、ゲル、ローション、エマルジョン、パウダー、ヘア
ーダイ、ヘアーマニキュア、コールドクリーム、アイシ
ャドウ、クレンジングクリーム、洗顔フォーム、ナイト
クリーム、美白クリーム、トローチ、のどあめ、おしろ
い、口紅、入浴剤、化粧石けん、健康飲料水、アイソト
ニックウォーター、水割用氷、シャーベット、アイスク
リーム、アルコール飲料、洗眼薬、洗眼液、洗顔液、う
がい薬、シャンプー、リンス、歯みがき粉、リップクリ
ーム、下地クリーム(メイクアップベース)、UVリキ
ッドファンデーション、パウダーファンデーション等)
に微量混入して使用し、皮膚局所又は粘膜局所における
ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbの細胞外
液濃度を前記のごとく低濃度に維持すれば、皮膚や粘膜
の老化症状(萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、亀裂、
かさつき、再生不良、上皮剥離、粘膜剥離、皮脂欠乏、
角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、しみ、しわ、そば
かす、白髪、ふけ、脱毛、色素沈着、日焼け、乾燥等)
に対して優れた効果を発揮する。たとえば、加齢や老化
に伴い皮膚の脂(すなわち皮脂)が欠乏するだけでも、
皮膚のかさつき、ひびわれ、乾燥、かゆみ、角質細胞剥
離等が生じるが、低濃度のジンセノサイド類特にジンセ
ノサイドRbをあらゆる化粧品に混入して使用するこ
とにより、皮脂腺の保護もしくは再生・再構築が促進さ
れ前記の加齢に伴う皮膚の老化症状を予防、改善、もし
くは軽減すると考えられる。また、低濃度のジンセノサ
イド類特にはジンセノサイドRbを含有する任意の化
粧品は、表皮細胞(角質細胞)もしくは表皮角化細胞を
保護するのみならず、その再生をも促進するので、角質
細胞間脂質や天然保湿因子の産生や分泌も促進すること
により、皮膚の乾燥やかさつきを抑止し、皮膚に自然な
潤いをもたらす。また、たとえばミネラルウォーターな
どにジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb、薬
用人蔘エキス、薬用人蔘粗サポニン分画等を低濃度で混
入することにより、アルコール飲料や高温刺激物による
口腔粘膜や消化管粘膜(特に食道粘膜)の障害を改善、
予防、処置することができる。低濃度のジンセノサイド
類特にジンセノサイドRbはケミカルピーリング用の
組成物として、ケミカルピーリングの全過程(前、中、
後)で使用される試薬類又は投与剤のうち1種類もしく
は2種類以上に混入して使用することができる。なお、
本発明の化粧品組成物、発毛育毛用組成物、ケミカルピ
ーリング用組成物(薬用人蔘、薬用人蔘エキス、薬用人
蔘粗サポニン分画、ジンセノサイド類、ジンセノサイド
類誘導体)の基剤としては、油脂類、ロウ類、炭化水素
類、脂肪酸類、低級アルコール類、高級アルコール類、
多価アルコール類、エステル類、界面活性剤、水溶性高
分子化合物等があげられる。本発明の前記皮膚外用組成
物は、その他の皮膚細胞賦活剤、抗炎症剤、活性酸素消
去剤、美白剤、保湿剤、紫外線吸収剤、防腐防黴剤、エ
モリエント剤、天然物エキス、レチノン酸のいずれかあ
るいは2つ以上と併用してもよい。
【0045】次に本発明者の一人(阪中)は低濃度のジ
ンセノサイドRbを含有するプロペトが口腔粘膜の咬
傷に有効であるかどうか、自身で確認した。平成12年
5月2日午後2時頃に阪中は歯科治療後左三叉神経第三
枝の浸潤麻酔ならびに歯根膜麻酔が醒める前に、空腹の
あまり遅い昼食をとり始めた。15分以内に自身の左下
唇粘膜を3度噛んでしまい、その後口腔内に鉄の味覚
(血液)を感知したので、鏡にて咬傷を確認した所、少
なくとも5ケ所に口腔粘膜のびらんもしくは欠損を認
め、さらに1ケ所に血腫を認めた。このまま、放置する
と数日以内にアフタ性口内炎を併発し、完治までに1週
間から10日を要すると判断したので、本発明者らの動
物実験で効果・効能が確認されている低濃度(0.00
001重量%)のジンセノサイドRbを含有したプロ
ペトを、口腔粘膜咬傷部のびらんもしくは欠損をきたし
た領域5ケ所、ならびに血腫の部位1ケ所に少量外用塗
布した。外用塗布は、毎食前後ならびに間食前後に実施
した。なお、食後にはできるかぎり歯を磨いてから外用
塗布することにした。すなわち1日6〜10回に分けて
咬傷部位に0.00001重量%のジンセノサイドRb
を含有するプロペトを口唇粘膜へ外用塗布した。咬傷
後96時間目の口唇粘膜の写真を図7に示す。図7は図
面に変わる写真である。
【0046】図7の写真に示すごとく、咬傷後96時間
目には白矢頭で示すごとく血腫は残っているが、その他
の黒矢頭で示した口唇粘膜の咬傷部(すなわちびらんも
しくは欠損をきたした口腔粘膜)は、わずかに発赤がみ
られるのみでほぼ完全に上皮化が進んでおり、明らかに
創傷が治癒したと考えられた。なお、0.00001重
量%のジンセノサイドRbを含有するプロペトを咬傷
部に外用塗布し始めてからは、創部における疼痛も顕著
に軽減した。おそらく低濃度のジンセノサイドRb
口腔粘膜外用投与により、咬傷により切断した末梢神経
が上皮化とともに速やかに再生したため、疼痛が軽減し
たと考えられる。本発明者の経験では、このような咬傷
が治癒するのには、少なくとも7日から10日はかかる
が、低濃度のジンセノサイドRb外用投与により明ら
かに口唇粘膜組織が速やかに再生・再構築し、96時間
以内に咬傷(創傷)治癒が著しく促進されたと言える。
しかも、咬傷後にアフタ性口内炎を併発することもまっ
たくなかった。おそらく、粘膜病変に対しては、ジンセ
ノサイド類特にはジンセノサイドRbを含有する外用
剤を1日に1〜10回病変部に局所投与すれば効果がみ
られると考えられる。
【0047】一般にアフタ性口内炎にはデキサルチン軟
膏のようなステロイド剤が臨床現場でよく使用される
が、周知のごとくステロイド剤はアフタ性口内炎の疼痛
を軽減するものの、創傷や組織の欠損部位の治癒を遅ら
しむるという副作用を示す。しかも、雑菌が多く存在す
る口腔内の粘膜病変に対して免疫機能抑制作用を有する
ステロイド剤を外用塗布することは感染症の併発を考慮
すると必ずしも好ましいとは言えない。一方、低濃度の
ジンセノサイドRbの粘膜外用投与は創傷治癒や上皮
化を促進せしめ、かつ粘膜病変における末梢神経の再生
も促進させるので、ステロイド剤の粘膜外用投与よりも
優れた治療法と考えられる。しかも、低濃度のジンセノ
サイドRbは免疫機能抑制作用も示さないので、極め
て安全な医薬組成物と言える。今後、アフタ性口内炎の
第一選択薬としても低濃度ジンセノサイドRbは利用
できると期待される。
【0048】次に本発明者の一人(阪中)は、平成12
年5月26日昼食中に再度左下唇粘膜を噛んでしまった
ので、0.00001重量%のジンセノサイドRb
含有するプロペトを同様の方法で咬傷部へ外用塗布し
た。咬傷直後の写真を図8の左側に、咬傷後72時間目
の写真を図8の右側に示す。図8は図面に変わる写真で
ある。
【0049】図8に示すごとく、低濃度のジンセノサイ
ドRbを粘膜へ外用投与すれば、アフタ性口内炎を併
発することなく咬傷が速やかに治癒することが判明し
た。従って低濃度のジンセノサイドRbは、皮膚組織
のみならずヒト口腔粘膜を始めとする粘膜組織の再生・
再構築をも促進し、創傷治癒を速やかに進めるものと考
えらえる。このような事実にもとづけば、低濃度のジン
セノサイド類特にジンセノサイドRbは口腔粘膜を含
む粘膜や口腔内組織の病理組織学的変化をきたすあらゆ
る疾患や病態に対しても、組織再生・再構築促進作用を
介して効果・効能を発揮すると言える。このような疾患
として、う蝕、歯髄炎、辺縁性歯周組織炎、口内炎、舌
炎、再発性アフタ、口腔内アフタ、口臭、口腔異常感
症、歯性感染症、口腔粘膜咬傷、舌の咬傷、口腔粘膜熱
傷、舌の熱傷、口腔粘膜損傷、歯肉炎、歯槽膿漏、カタ
ール性口内炎、壊疽性口内炎、ワンサン口内炎、アフタ
性口内炎、急性疱疹性歯肉口内炎、ヘルパンギーナ、帯
状疱疹、口腔粘膜びらん、口腔粘膜潰瘍、褥瘡性潰瘍、
放射線性口内炎、天疱瘡、口腔カンジダ症、扁平苔癖、
Riga−Fede癖、平滑舌、赤平舌、角膜びらん、
角膜潰瘍、ドライアイ、シェーグレン症候群等があげら
れる。
【0050】また、口腔粘膜の咬傷に対して低濃度のジ
ンセノサイドRbの外用塗布が有効であったという事
実は、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
が、口腔粘膜を始めとする粘膜の上皮、粘膜固有層、
唾液腺、粘液腺、混合腺、結合組織、筋組織、血管、末
梢神経、上皮細胞、腺細胞、筋上皮細胞、線維芽細胞、
幹細胞、間葉系細胞、血管内皮細胞、平滑筋細胞、筋細
胞、細胞外基質、コラーゲン線維、弾性線維もしくは細
網線維の再生又は再構築を促進させることを支持してい
る。
【0051】なお、低濃度のジンセノサイド類特にはジ
ンセノサイドRbを含有する粘膜外用剤は、口腔粘膜
のみならず消化管粘膜、鼻粘膜、眼球粘膜(結膜、角
膜)、膣粘膜、子宮粘膜、尿道粘膜、膀胱粘膜、気管・
気管支粘膜等に外用塗布することにより、これらの粘膜
の病理組織学的変化をきたす疾患や病態に著効を示す。
特に粘膜の創傷、熱傷、炎症、びらん、潰瘍、欠損もし
くは花粉症や春季カタル等にジンセノサイド類特にはジ
ンセノサイドRbの外用投与が有効である。さらに、
低濃度のジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
を含有する粘膜外用剤は、粘膜の老化症状(萎縮、上皮
剥離、粘膜剥離、再生不良、ひびわれ、乾燥等)を予
防、改善、処置するための健康薬としても使用できる。
なお、これまでに記述されたジンセノサイド類特にはジ
ンセノサイドRbの効果、効能、用途は、薬用人蔘粗
サポニン分画、薬用人蔘エキス又は薬用人蔘にもあては
まる。もちろん、これまでに記述されたジンセノサイド
Rbの効果・効能・用途は、後述するジンセノサイド
類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbの効果・
効能・用途とも共通する。
【0052】次に本発明者らは、ジンセノサイド類特に
ジンセノサイドRbが皮膚組織や口腔粘膜組織のみな
らず、植物組織の新生・再生もしくは再構築をも促進す
るかどうかを調べた。このため植物組織として観葉植物
の1つであるポトスを選んだ。発明者の一人(田中)の
部屋にあるポトスの親株から、類似した挿し木を6本採
取し、3本は水のみを用いて水栽培し、残り3本は10
0fg/mlのジンセノサイドRbを含有する水中で
栽培した。栽培13日目の挿し木の写真を図9に示す。
図9は図面に変わる写真である。図9の左側は水のみで
挿し木(ポトスの茎と枝)を水栽培したものであり、図
9の右側は、低濃度のジンセノサイドRb(100f
g/ml)を含有する水で挿し木を水栽培したものであ
る。明らかに低濃度のジンセノサイドRb(100f
g/ml)を含有する水で、ポトスの挿し木を水栽培し
た場合に根の伸長が促進された。
【0053】次に、本発明者らは、前述の挿し木を引き
続き水栽培に供し、22日目に再度写真撮影を実施し
た。結果を図10に示す。図10は図面に変わる写真で
ある。図10の左側は、水のみでポトスの挿し木を3本
22日間水栽培したものであり、図10の右側は、低濃
度のジンセノサイドRb(100fg/ml)を含有
する水で挿し木を水栽培したものである。なお、水栽培
用の水もしくはジンセノサイドRbを含有する水は、
1週間ごとに一度交換した。さらに、本発明者らは27
日目にも発根部位を観察した。
【0054】図10に示すごとく、低濃度のジンセノサ
イドRb(100fg/ml)を含有する水で挿し木
を22日間水栽培すると、水のみで水栽培されたポトス
と比べて、より多くの根が新生もしくは再生し、水栽培
用ガラス容器に接するまでに伸長した。さらに、27日
目になると、低濃度のジンセノサイドRb(100f
g/ml)を含有する水で栽培されたポトスの挿し木3
本すべてに、一次発根部位より明らかな二次発根が観察
された。しかし、水のみで栽培されたポトスの挿し木3
本には、まったく二次発根は認められなかった。従っ
て、本実験結果より低濃度・低用量のジンセノサイド類
特にはジンセノサイドRbは皮膚組織やヒト口腔粘膜
組織のみならず、植物組織の発根・発芽・成長・分化・
新生・再生もしくは再構築をも促進することが明らかに
された。
【0055】次に本発明者らは、薬用人蔘の粗サポニン
分画が低濃度のジンセノサイドRb と同様にポトスの
挿し木の新生・再生もしくは再構築を促進するかどうか
をしらべた。このため、ポトスの親株から、類似した挿
し木を2本採取し、1本は水のみを用いて栽培し、残り
の1本は1450fg/mlの薬用人蔘の粗サポニン分
画を含有する水中で、水栽培した。栽培14日目の写真
を図11に示す。図11は図面に変わる写真である。図
11の左側は水のみで挿し木を栽培したものであり、図
11の右側は、低濃度の粗サポニン分画(1450fg
/ml)を含有する水で挿し木を水栽培したものであ
る。明らかに、低濃度の粗サポニン分画(1450fg
/ml)を含有する水で、ポトスの挿し木を水栽培した
場合に根の新生・再生又は伸長(すなわち発根)が促進
された。すなわち、粗サポニン分画もジンセノサイドR
と同様に植物組織の新生・再生もしくは再構築を促
進すると言える。当然のことながら、粗サポニン分画を
含有する薬用人蔘エキスや薬用人蔘も同様の作用を有す
ると言える。すなわち薬用人蔘、薬用人蔘エキス、薬用
人蔘粗サポニン分画、ジンセノサイド類特にジンセノサ
イドRbは、あらゆる生体組織(動物・植物組織)の
再生・新生・再構築を促進すると言える。
【0056】前記の実験で示したごとく、100fg/
mlのジンセノサイドRbもしくは1450fg/m
lの粗サポニン分画を含有する水溶液中で、植物組織た
とえばポトスの挿し木を栽培すると、対照の挿し木に比
べて明らかに根の新生が促進される。従って前述のごと
く、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb、薬
用人蔘粗サポニン分画、薬用人蔘粗サポニン分画を含有
する薬用人蔘エキス又は薬用人蔘が、動物組織のみなら
ず、植物組織の発根・発芽・成長・分化・新生・再生も
しくは再構築をも促進すると言える。しかも、植物組織
の発根・発芽・成長・分化・新生・再生もしくは再構築
を促進させるジンセノサイドRbもしくは粗サポニン
分画の細胞外液濃度は、動物組織(皮膚組織、口腔粘膜
組織)を再生・再構築させる場合と同様に、極めて低い
ことが本発明において見出された。従って、薬用人蔘、
薬用人蔘エキス、薬用人蔘粗サポニン分画、ジンセノサ
イド類特にはジンセノサイドRbは、植物の栽培・育
成・保存、生花の保存・栽培・育成、水栽培、水耕栽
培、農作物栽培・育成、野菜の栽培・育成、果実(フル
ーツ)の栽培・育成、たばこの栽培・育成、きのこ栽
培、薬用植物栽培、茶葉の栽培・育成等に利用できると
言える。前述の薬用人蔘、薬用人蔘エキス、薬用人蔘粗
サポニン分画もしくはジンセノサイド類特にはジンセノ
サイドRbからなる発根・発芽・成長・分化促進剤も
しくは肥料添加物は、任意の肥料に好ましくは低濃度で
混入又は添加することができるし、単独で植物組織の発
根・発芽・分化・再生・再構築・新生・成長促進剤とし
て使用してもよい。もちろん、後述するジンセノサイド
類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbも、ジン
セノサイドRbと同様に植物組織の発根・発芽・新生
・成長・再生・分化もしくは再構築を促進し、前述のよ
うな農産物、植物、野菜等の栽培・育成・保存に利用す
ることができる。
【0057】ジンセノサイド類特にはジンセノサイドR
もしくは薬用人蔘の粗サポニン分画が動物組織(皮
膚組織、口腔粘膜組織)のみならず植物組織の発根・発
芽・分化・成長・新生・再生もしくは再構築を促進する
という事実は、薬用人蔘、薬用人蔘エキス、薬用人蔘粗
サポニン分画、ジンセノサイドRbを始めとするジン
セノサイド類があらゆる生体組織の発根・発芽・分化・
成長・新生・再生もしくは再構築を促進することを物語
っている。従って薬用人蔘、薬用人蔘エキス、薬用人蔘
粗サポニン分画もしくはジンセノサイド類特にはジンセ
ノサイドRbは家畜、養殖用魚貝類、ペット用飼料の
添加物としても利用できると言える。たとえば、魚貝
類、甲殻類、ウナギ、真珠貝、アコヤ貝、アナゴ等の養
殖の際に、低濃度の薬用人蔘、薬用人蔘エキス、薬用人
蔘粗サポニン分画もしくはジンセノサイド類特にはジン
セノサイドRbを海水又は淡水に通常の飼料とともに
添加すれば、これらの水産資源もしくは海産資源の発育
が促進されると考えられる。もちろん、薬用人蔘、薬用
人蔘エキス、薬用人蔘粗サポニン分画もしくはジンセノ
サイド類特にジンセノサイドRbは、その細胞保護作
用を介して、魚貝類、甲殻類、ウナギ、アナゴ等の海産
・水産資源を外傷、創傷、病原微生物、バイオハザー
ド、内分泌撹乱物質、環境汚染、毒素等から守ることが
できる。すなわち、本発明の飼料添加物は来るべき食糧
危機から人類を救済するために必須のものとなる。ま
た、粗サポニン分画が植物組織の再生・新生もしくは再
構築を促進するという事実は、低濃度の粗サポニン分画
もしくは粗サポニン分画を含有する薬用人蔘エキス又は
薬用人蔘が皮膚組織あるいは粘膜組織の再生もしくは再
構築をも促進することにより、化粧品組成物、健康薬組
成物、獣医薬組成物もしくは医薬組成物として利用され
ることを支持している。もちろん、後述するジンセノサ
イド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbもジ
ンセノサイドRbと同様に、前記した水産資源もしく
は海産資源の発育促進に利用できる。
【0058】さて、前述の口腔粘膜咬傷例において、本
発明者(阪中)は0.00001重量%(10−5重量
%)のジンセノサイドRbを含有するプロペトを口腔
粘膜(下唇粘膜)に1日6〜10回外用塗布すると口腔
粘膜組織が速やかに再生・再構築し、創傷が治癒しアフ
タ性口内炎も未然に防がれることを示した。しかし、当
然のことながら口腔粘膜咬傷部に0.00001重量%
のジンセノサイドRb を含有するプロペトを外用塗布
しても、唾液によって咬傷部近傍のジンセノサイドRb
の細胞外液濃度は、すぐに低くなってしまうことが予
想される。おそらく、0.00001重量%のジンセノ
サイドRbを含有するプロペトは、口腔内の唾液によ
って、かなり希釈されても充分に口腔粘膜咬傷部組織の
再生・再構築を促進すると考えられる。すなわち、ジン
セノサイドRbは0.00001重量%よりはるかに
低い濃度域で効果・効能を発揮すると予想される。従っ
て、皮膚の創傷部にジンセノサイドRbを含有する外
用剤を塗布するときは、当該外用剤におけるジンセノサ
イドRbの濃度が唾液等で著しく希釈されることは考
えにくいので、0.00001重量%よりも低い濃度の
ジンセノサイドRb を使用する方が好ましいと考えら
れた。そこで本発明者らは、前述したラット皮膚の開放
創に、さらに低い濃度のジンセノサイドRbを含有す
るプロペトを外用塗布しその効果をしらべた。
【0059】吸入麻酔下でラット(n=3)の背部に直
径6mmのパンチバイオプシーを6ケ所に施し開放創を
作成した。その後、各開放創に、ジンセノサイドRb
をそれぞれ0.0001重量%(10−4重量%)、
0.00001重量%(10 重量%)、0.000
001重量%(10−6重量%)、0.0000001
重量%(10−7重量%)、0.00000001重量
%(10−8重量%)の濃度で、含有するプロペトを1
日単回0.1g9日間外用塗布した。コントロールには
プロペトのみを外用塗布した。その後麻酔により動物を
安楽死させた直後に、創傷部皮膚を採取し写真撮影を実
施した。採取した皮膚組織は固定液中で保存した。結果
を図12に示す。図12は図面に変わる写真である。図
12の上段は第1例目を示し、中段は第2例目を示し、
下段は第3例目を示す。各々、左右3個づつの合計6ケ
所に開放創の跡があり、左側の上から10 重量%の
場合、10−5重量%の場合、10−6重量%の場合、
右側の上から10−7重量%の場合、10−8重量%の
場合、0重量%の場合(コントロール)を示す。
【0060】図12に示すごとく10−6重量%から1
−8重量%のジンセノサイドRb を含有するプロペ
ト(すなわち10ng/gから100pg/gの濃度の
ジンセノサイドRb)を開放創に外用塗布しても明ら
かに、プロペトのみを外用塗布した開放創に比べて、創
傷治癒が促進された。また、低濃度のジンセノサイドR
を外用投与した例では、創傷治癒部に明らかな発毛
が観察された。従って、ジンセノサイド類特にはジンセ
ノサイドRbを皮膚外用剤として使用するときは、外
用剤における濃度は10−8重量%前後もしくはそれ以
下に設定することが好ましいと考えられた。従って、発
毛・育毛用組成物、ケミカルピーリング用組成物又は化
粧品組成物として、ジンセノサイド類特にはジンセノサ
イドRb 、薬用人蔘粗サポニン分画、薬用人蔘エキス
もしくは薬用人蔘を使用するときも、化粧品におけるそ
の濃度は0.001重量%未満、好ましくは0.000
01重量%(10−5%重量)以下、より好ましくは
0.00000001重量%(10−8重量%)以下に
設定することが必要である。
【0061】前述の実験例において、プロペトのみを外
用塗布した開放創(発赤部)の面積を分母にとり、10
−4重量%から10−8重量%のジンセノサイドRb
を外用塗布した開放創の面積を分子にとり、その比を算
出した。結果を図13に示す。図13では、n=3で*
印はP<0.05で有意差があることを示し、**印は
P<0.01で有意差があることを示す。なお、検定は
Scheffeのpost hoc testによっている。図13に示すご
とく、これら低濃度のジンセノサイドRbを開放創に
外用投与すると有意に創傷治癒が促進された。特に0.
0000001重量%(10 重量%)以下のジンセ
ノサイドRbすなわち1ng/g以下もしくは1ng
/ml以下のジンセノサイドRbの外用投与が開放創
を有意に縮小せしめたという事実は、ジンセノサイドR
が患部組織の細胞外液濃度が1ng/ml以下のと
きに生体組織の新生・再生又は再構築を促進するという
ことを強く支持している。
【0062】次に、本発明者らはジンセノサイド類誘導
体が、ジンセノサイドRbと同様に低濃度・低用量で
組織再生・再構築を促進するかどうかをしらべた。この
ため、ジンセノサイド類誘導体の1つとしてジヒドロジ
ンセノサイドRbを選び、同化合物の開放創治療効果
を検討した。なお、ジヒドロジンセノサイドRbの詳
細についてはPCT/JP00/04102(薬用人蔘
からなる脳細胞または神経細胞保護剤)に記載されてい
る。吸入麻酔下でラット(n=4)の背部に直径6mm
のパンチバイオプシーを5ケ所に施し開放創を作成し
た。その後、各開放創に、ジヒドロジンセノサイドRb
をそれぞれ0.0001重量%(10 重量%)、
0.00001重量%(10−5重量%)、0.000
001重量%(10−6重量%)、0.0000001
重量%(10−7重量%)、の濃度で、含有するプロペ
トを1日単回9日間外用塗布した。コントロールにはプ
ロペトのみを外用塗布した。その後、麻酔により動物を
安楽死させた直後に創傷部皮膚を採取し写真撮影を実施
した。採取した皮膚組織は固定液中で保存した。結果を
図14に示す。図14は図面に変わる写真である。図1
4は4例が示されており、上から第1例目、第2例目、
第3例目、及び第4例目が示されている。各々、左側に
2個、右側に3個づつの合計5ケ所に開放創の跡があ
り、左側の上から10−4重量%の場合、10−5重量
%の場合、右側の上から10−6重量%の場合、10
−7重量%の場合、0重量%の場合(コントロール)を
示す
【0063】図14に示すごとく0.00001重量%
(10−5重量%)から0.0000001重量%(1
−7重量%)のジヒドロジンセノサイドRbを含有
するプロペト(すなわち100ng/gから1ng/g
の濃度のジヒドロジンセノサイドRb)を開放創に外
用塗布すると明らかに、プロペトのみを外用塗布した開
放創に比べて、創傷治癒が促進された。また、低濃度の
ジヒドロジンセノサイドRbを外用投与した例では、
創傷治癒部に明らかな発毛が観察された。従って、ジン
セノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRb
を皮膚外用剤として使用するときは、外用剤における
濃度は0.0000001重量%(10 −7重量%)前
後もしくはそれ以下に設定することが好ましいと考えら
れた。従って、化粧品組成物として、ジンセノサイド類
誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbを使用する
ときも、化粧品又は健康薬におけるその濃度は0.00
1重量%未満、好ましくは0.00001重量%(10
−5%重量)以下、より好ましくは0.0000001
重量%(10−7重量%)以下に設定することが好まし
い。
【0064】前述の実験例において、プロペトのみを外
用塗布した開放創の面積を分母にとり、0.0001重
量%(10−4重量%)から0.0000001重量%
(10−7重量%)のジヒドロジンセノサイドRb
外用塗布した開放創の面積を分子にとり、その比を算出
した。結果を図15に示す。図15では、n=4で*印
はP<0.05で有意差があることを示す。なお、検定
はFsherのPLSDによっている。図15に示すごとく、
0.00001重量%(10−5重量%)以下の濃度の
ジヒドロジンセノサイドRbを開放創に外用投与する
と皮膚組織の再生・再構築が促進され、有意に創傷治癒
も促進された。特に0.00001重量%(10
量%)以下のジンセノサイドRbすなわち100ng
/g以下もしくは100ng/ml以下のジヒドロジン
セノサイドRbの外用投与が開放創を有意に縮小せし
めたという事実は、ジンセノサイドRbが患部組織の
細胞外液濃度が100ng/ml以下のときに生体組織
の新生・再生又は再構築を促進するということを強く支
持している。
【0065】次に本発明者らは、ジヒドロジンセノサイ
ドRbがジンセノサイドRbと同様の効果・効能・
用途を有するということを確認するため、さらに培養神
経細胞を用いて実験を実施した。本発明者(阪中、田
中)らは、培養神経細胞を一酸化窒素供与体であるニト
ロプルシッドナトリウム(SNP)に短時間暴露すると
神経細胞のアポトーシスもしくはアポトーシス様神経細
胞死が誘導されることを報告している(Toku K. etal.,
J. Neurosci. Res., 53, 415-425, 1998)。この培養
実験系を用いて、本発明者らはすでにジンセノサイドR
が1ng/ml以下の細胞外液濃度で神経細胞のア
ポトーシスもしくはアポトーシス様神経細胞死を抑止す
ることを見出している(特願平10−365560、P
CT/JP99/02550、ジンセノサイドRb
らなる脳細胞又は神経細胞保護剤)。そこで、同様の実
験系を用いてジヒドロジンセノサイドRbの神経細胞
保護作用をしらべた。
【0066】妊娠17日齢のラットの胎仔大脳皮質よ
り、トリプシンEDTAを用いて神経細胞を分離し、ポ
リエルリジンコートした24ウェルプレートに蒔いた。
10%牛胎仔血清を含むDulbecco's modified Eagle's
medium(DMEM)中で16時間培養後、培養液をイン
シュリン、トランスフェリン等を含む神経細胞培養用無
血清培地に置き換え、3ないし4日間培養した。培養3
または4日目に、300μMの濃度でニトロプルシッド
ナトリウム(SNP)を添加し、10分間インキュベー
トした。その後、培養液をジヒドロジンセノサイドRb
(0〜1ng/ml)及び牛血清アルブミンを含むEa
gle's minimum essential medium(EMEM)に置き換
えた。SNP負荷後16時間目にLaemmliの電気泳動用
サンプル緩衝液を用いて神経細胞を溶解し、ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動を行い、ニトロセルロース膜に転
写後、神経細胞特異タンパク質MAP2に対する抗体を
用いてイムノブロッティングを行った。神経細胞の生存
率を定量化するため、免疫染色されたMAP2のバンド
をデンシトメトリーにより解析した。結果を図16及び
図17に示す。図16は図面に変わる写真である。図1
7では、n=5で、*印はP<0.001で有意差があ
ることを示し、**印はP<0.0001で有意差があ
ることを示す。なお、検定はScheffeのpost hoc testに
よっている。また、参考までにジヒドロジンセノサイド
RbのNMRチャート(400MHz,CDOD)
を図18に示す。
【0067】図16はmicrotuble associated protein
2(MAP2)のイムノブロットの結果を示す図面に代
わる写真である。左から1番目のレーンがコントロール
の培養神経細胞であり、明らかなMAP2のバンド(す
なわち神経細胞のマーカーのバンド)が認められた。S
NP処理をすると、多くの神経細胞がアポトーシスもし
くはアポトーシス様神経細胞死に陥るので、MAP2の
バンドが左から2番目のレーンのごとく明らかに弱くな
った。ジヒドロジンセノサイドRbを0.01fg/
ml(レーン3)から1ng/ml(レーン7)の濃度
で培養メディウムに添加しておくと、SNPによる神経
細胞のアポトーシス又はアポトーシス様神経細胞死が明
らかに抑止され、その結果神経細胞の生存の指標である
MAP2の強いバンドが観察された。
【0068】前述のMAPのイムノブロット実験を5回
くり返し、結果をデンシトメトリー解析したものが図1
7である。図17に示すごとく、0.01fg/ml〜
1ng/mlのジヒドロジンセノサイドRbは有意に
神経細胞のアポトーシスもしくはアポトーシス様神経細
胞死を抑止することが判明した。すなわち、ジヒドロジ
ンセノサイドRbは、ジンセノサイドRbよりもや
や広い濃度域で、細胞特には神経細胞に対して好ましい
効果を発揮すると考えられる。従って、ジンセノサイド
類誘導体特にジヒドロジンセノサイドRbは、患部組
織における細胞外液濃度が100ng/ml以下、好ま
しくは10pg/ml以下、より好ましくは0.000
1fg/ml〜100fg/mlのときに細胞のアポト
ーシスもしくはアポトーシス様細胞死を抑止することに
より、優れた細胞保護作用を発揮すると考えられる。統
計解析法はScheffeのpost hoc testである。*はP<
0.001を、**はP<0.0001を示す。
【0069】また、ジヒドロジンセノサイドRb
0.0001重量%(10−5重量%)含有する皮膚外
用剤が優れた開放創治療効果を示すという前述の実験結
果から判断すると、ジンセノサイド類誘導体特にジヒド
ロジンセノサイドRbはやはり、患部組織における細
胞外液濃度が100ng/ml以下、好ましくは10p
g/ml以下、より好ましくは0.0001fg/ml
〜100fg/mlのときに優れた生体組織の再生・再
構築を作用を発揮すると言える。
【0070】以上の実験結果より、ジンセノサイド類誘
導体特にジヒドロジンセノサイドRbは、ジンセノサ
イドRbと同様に低濃度・低用量で優れた皮膚組織再
生・再構築促進作用、創傷治癒促進作用、細胞保護作用
を示すことが判明した。しかも、PCT/JP00/0
4102(薬用人蔘からなる脳細胞または神経細胞保護
剤)において、低用量のジヒドロジンセノサイドRb
の静脈内持続投与は、ジンセノサイドRbと同様に、
優れた脳梗塞治療効果を発揮することも発明されてい
る。従って、ジンセノサイド類誘導体特にジヒドロジン
セノサイドRbは、本発明および既出願特許(PCT
/JP99/02550、PCT/JP99/0680
4、PCT/JP00/04102)で記述されたジン
セノサイドRbの効果・効能・用途をすべて兼ね備え
ていると言える。すなわち、ジンセノサイド類誘導体特
にはジヒドロジンセノサイドRbは、生体組織(植物
組織及び動物組織)の新生・再生・成長・発根・発芽・
分化もしくは再構築の促進作用を有するので(1)病理
組織学的変化をきたすあらゆる疾患(病態を含む)の予
防、治療、処置のための医薬組成物又は獣医薬組成物、
(2)皮膚あるいは粘膜の老化症状を予防、改善、軽
減、処置するための化粧品組成物又は健康薬組成物、
(3)農産物、野菜、植物、生花の栽培、育成、保存の
ための成長調整用組成物又は肥料添加物、(4)海産資
源、水産資源、家畜、養殖用魚貝類を保護、育成するた
めの成長調製用組成物又は飼料添加物、(5)細胞死を
きたすあらゆる疾患の予防、処置又は治療用医薬組成物
等として有用である。ジンセノサイド類誘導体特にはジ
ヒドロジンセノサイドRbは、粘膜外用組成物、化粧
品組成物、発毛・育毛用組成物、ケミカルピーリング用
組成物、医薬組成物、健康薬組成物、成長調製用組成
物、飼料添加物、肥料添加物、植物の発根・発芽・成長
・分化促進剤として、ジンセノサイドRbと同様の方
法で使用できる。ただし、ジンセノサイド類誘導体特に
はジヒドロジンセノサイドRbは、ジンセノサイドR
よりも広い濃度域で細胞・組織に好ましい効果を発
揮する可能性があるということを留意して、適切な投与
用量を選択することが必要である。
【0071】さらに、ジヒドロジンセノサイドRb
優れた生体組織再生・再構築促進作用を発揮するという
本実験結果は、ジンセノサイド類特にはジンセノサイド
Rb をリード化合物として利用することにより優れた
皮膚・粘膜疾患治療薬、組織再生・新生・発根・発芽促
進剤等が新規に作成できることを証明したことになる。
現時点では合成法が確立されていないジンセノサイド類
特にはジンセノサイドRbをリード化合物として利用
することにより組織再生・再構築促進用医薬組成物を作
成するという発想は、本発明者の知る限りこれまでには
なかったものである。
【0072】さて、本発明においてジンセノサイド類特
にジンセノサイドRbが生体組織の再生・再構築を促
進することが見出されたが、それに加えて本発明者(阪
中)の既出願特許において低濃度のジンセノサイドRb
がBcl−x発現増強作用を介して細胞保護作用も
発揮することが発明されている(特願平10−3655
60、PCT/JP99/02550)。さらに、ジン
セノサイドRbは脳血管の再生・再構築をも促進する
ことが、本発明者ら(阪中、田中)の既出願特許(特願
平11−340850、PCT/JP99/0680
4)において見出されている。一方、本発明者ら(阪
中、田中)は、プロサポシン関連ペプチドがジンセノサ
イドRbと同様の低濃度域で、すなわち患部組織の細
胞外液濃度が1ng/ml(5nM)以下、好ましくは
10pg/ml(5pM)以下、より好ましくは100
fg/ml(50fM)以下の時、Bcl−x発現増
強作用を介して、細胞保護作用を示すことを発明してい
る(特願平11−185155)。なお、プロサポシン
関連ペプチドとは、特願平11−185155に記載さ
れたごとく、特定の共通アミノ酸配列(consensus sequ
ence)を有するプロサポシン由来あるいはサイトカイン
由来のペプチドを指している。従って、ジンセノサイド
Rbとプロサポシン関連ペプチドは、化学構造は異な
るものの、その効果・効能・用途が類似している。事
実、中大脳動脈皮質枝永久閉塞ラット(すなわち脳梗塞
ラット)の脳室内にジンセノサイドRbもしくはプロ
サポシン関連ペプチドを脳血管閉塞後に注入すると同様
の脳梗塞縮小効果ならびに場所学習障害改善効果が認め
られることを本発明者ら(阪中、田中)は発表している
(Igase, K. et al., J. Cereb. Blood Flow Metab., 1
9, 298-306, 1999; Zhang, B.et al., J. Stroke Cereb
rovasc. Dis., 7, 1-9, 1998)。このことから判断する
と、プロサポシン関連ペプチドは、ジンセノサイドRb
と同様に脳血管組織の再生・再構築をも促進すると考
えられる。すなわち、プロサポシン関連ペプチドは、ジ
ンセノサイドRbと同様の低濃度域で、脳血管の内皮
細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞、内膜、中膜、外膜、結
合組織、コラーゲン線維、弾性線維、細網線維もしくは
細胞外基質の再生・再構築を促進することが容易に推測
される。このように、ジンセノサイドRbとプロサポ
シン関連ペプチドの効果・効能・用途が酷似していると
いう事実に基づけばプロサポシン関連ペプチドもジンセ
ノサイドRbと同様にあらゆる生体組織の再生・再構
築を促進すると考えられる。また、前記の特願平11−
185155においてエリスロポエチンを始めとするサ
イトカイン類も、プロサポシン関連ペプチドやジンセノ
サイドRbと同様の低モル濃度域で、Bcl−x
現を増強せしめ細胞保護作用を示すことが発明されてい
る。しかも、エリスロポエチンは、プロサポシン関連ペ
プチドやジンセノサイドRbと同様に、中大脳動脈皮
質枝永久閉塞ラット(脳梗塞ラット)の脳室内に投与さ
れると、やはり脳梗塞巣縮小効果ならびに場所学習障害
改善作用を示すことを本発明者(阪中)は見出している
(Sadamoto, Y. et al., Biochem. Biophys. Res. Comm
un., 253, 26-32, 1998)。従って、低モル濃度のエリ
スロポエチンも脳血管を始めとする生体組織の再生・再
構築を促進すると考えられる。また、エリスロポエチン
と同様にコロニー刺激因子の1つとしてあげられるイン
ターロイキン3(IL−3)も脳室内投与により、神経
細胞を保護しBcl−xの発現を促進することを本発
明者ら(阪中、田中)は見出している(Wen, T. -C. et
al., J. Exp. Med., 188, 635-649, 1998)ので、同
様にIL-3も低いモル濃度で組織の再生・再構築を促進す
ると推察できる。以上のごとく、脳室内投与により神経
細胞保護作用を示す非ペプチド因子(たとえばジンセノ
サイドRb、イソカルバサイクリン類、プロスタグラ
ンディン類、イソカルバサイクリン誘導体)もしくはサ
イトカイン類や成長因子類(たとえばエリスロポエチ
ン、インターロイキン3、プロサポシン関連ペプチド)
はすべて低モル濃度域であらゆる生体組織の再生・再構
築を促進すると推論できる。言い換えれば、脳虚血モデ
ル動物において脳室内注入することにより脳細胞又は神
経細胞保護作用を示す化合物(たとえば、ジンセノサイ
ド類、イソカルバサイクリン類、栄養因子類、プロスタ
グランディン類、ステロイド類、成長因子類、増殖因子
類、プロサポシン関連ペプチド、サイトカイン類、ケモ
カイン類、ペプチド性因子類、非ペプチド性化合物もし
くはそれらの代謝産物等)はすべて、前述のごとく、低
モル濃度で組織再生・再構築促進作用を示すと考えられ
る。なお、脳室内投与により脳細胞又は神経細胞保護作
用を示す具体的な化合物もしくは生理活性物質として、
塩基性線維芽細胞成長因子 (bFGF)、毛様体神経
栄養因子(CNTF)、脳由来神経栄養因子(BDN
F)、インターロイキン6、イソカルバサイクリン類の
一種であるTEI−7165、エストラジオール、グル
タミン酸拮抗薬、表皮増殖因子(EGF)、血小板由来
増殖因子(PDGF)、グルタミン酸受容体拮抗薬、1
5R−イソカルバサイクリン誘導体、プロスタグランデ
ィン類、15−デオキシ−イソカルバサイクリン誘導体
等があげられるが、これらに限定されるわけではない。
前述のイソカルバサイクリン類、プロスタグランディン
類、イソカルバサイクリン誘導体の詳細については、特
開平11−222436、特開平11−228418、
特開平11−228417、昭59−210044、平
4−26654、昭61−197518、平2−167
227、特開平8−20540、特開平8−2054
1、特開平8−40909の公開特許公報等に明記され
ており、TEI−7165の虚血脳保護作用に関する論
文は、本発明者らの一人(阪中)により公表されている
(Matsuda, S. et al., Brain Res., 769,321-328, 199
7)。すなわち、前記の化合物はすべて、患部組織にお
ける細胞外液濃度が1ng/ml以下もしくは0.5n
M以下、好ましくは10pg/ml以下もしくは5pM
以下、より好ましくは0.01〜100fg/mlもし
くは0.005〜50fM又は1〜10000fg/m
lもしくは0.5〜5000fMのときに組織再生・再
構築促進作用を介して、病理組織学的変化をきたす器質
的疾患の予防・治療もしくは処置に役立つと考えられ
る。もちろん、前記の化合物はすべて、本発明の明細書
で記載されたジンセノサイド類(ジンセノサイドRb
を含む)やジヒドロジンセノサイドRbと同様の効果
・効能・用途を有する。すなわち、再生、新生、発根、
発芽、成長、分化又は再構築を伴うかもしくはそれらが
遅延する生体組織の疾患、病態、症状又は状態を予防、
処置、改善もしくは治療するための組成物、医薬組成
物、健康薬組成物、化粧品組成物、肥料添加物、飼料添
加物又は獣医薬組成物として、前記化合物もしくはそれ
らの代謝産物又はそれらの塩がジンセノサイドRb
同様に有用とされる。たとえば、このような前記化合物
の適応が期待される疾患、病態、症状又は状態として、
PCT/JP00/04102に記載された細胞死をき
たすすべての疾患や病態、本明細書で記載された皮膚や
粘膜の老化症状、ポトスの挿し木のように水栽培中の植
物の発根、発芽、成長の状態、あるいは養殖魚介類の成
長の状態、等があげられる。特に、創傷、熱傷、褥創、
皮膚潰瘍等の皮膚疾患の予防、治療又は処置のために、
前記化合物(医薬組成物)を皮膚外用剤として使用する
ときは、患部組織における当該化合物の細胞外液濃度を
比較的容易に調整できるので、ジンセノサイドRb
しくはジヒドロジンセノサイドRbと同様に低濃度
(0.001重量%以下又は未満、好ましくは0.00
001重量%以下、より好ましくは0.0000001
重量%以下、さらに好ましくは0.000000001
重量%以下)の前記化合物を皮膚外用剤に混入して患部
組織に外用塗布もしくは噴霧すれば優れた効果が得られ
る。
【0073】次に本発明をさらに詳細に説明する。以上
で説明してきたように、本発明は、ジンセノサイド類も
しくはその代謝産物又はそれらの塩が、好ましくはこれ
らの低濃度、低用量での使用が、生体組織の病理組織学
的変化をきたす器質的疾患の予防・処置又は治療に極め
て優れた作用を有することを見出したことを基本とする
ものである。そして、本発明のジンセノサイド類もしく
はその代謝産物又はそれらの塩は、好ましくはこれらの
低濃度、低用量での使用により、生体組織の病理組織学
的変化をきたす器質的疾患を単に治癒させるということ
だけでなく、病理組織学的変化をきた生体組織を再生又
は再構築する、例えば、前記で具体的に例示してきたよ
うに皮膚の損傷の場合には、単に損傷箇所を生体組織外
と遮断して内部組織を保護だけの回復ではなく、損傷箇
所の各組織を再生し、再生された各組織がもとの状態に
なるように再構築され、損傷前の生理的な状況を再生さ
せるということが本発明の大きな特徴である。また、本
発明のジンセノサイド類もしくはその代謝産物又はそれ
らの塩、好ましくはこれらの低濃度、低用量での使用が
生体組織の病理組織学的変化をきたす器質的疾患の治癒
を促進させることを見出したことも、本発明の特徴のひ
とつである。他の本発明の特徴は、低濃度、低用量で、
好ましくは極めて低濃度、低用量でジンセノサイド類も
しくはその代謝産物又はそれらの塩を使用することによ
り、従来知られていたジンセノサイド類の作用とは全く
異なった新規な作用を発現することを見出したことであ
る。さらに、本発明の他の特徴は、低濃度、低用量で、
好ましくは極めて低濃度、低用量でジンセノサイド類も
しくはその代謝産物又はそれらの塩を、静脈内投与、粘
膜外用投与もしくは皮膚外用投与などの非経口投与する
ことを特徴とするものである。
【0074】したがって、本発明は、ジンセノサイドR
などのジンセノサイド類もしくはその代謝産物又は
それらの塩を、好ましく低濃度、低用量で含有してな
る、生体組織の病理組織学的変化をきたす器質的疾患の
予防・処置又は治療用の新規な医薬組成物又は獣医薬組
成物を提供するものである。より詳細には、本発明は、
生体組織の損傷や欠損などによる病理組織学的変化をき
たす疾患を、当該病理組織学的に変化した組織を再生さ
せ、再構築させることにより処置又は治療し、また、そ
のような変化を起こすおそれのある生体組織を予防する
ことができ、そしてこれらの疾患の治癒を促進させるこ
とのできる新規な医薬組成物又は獣医薬組成物を提供す
るものである。
【0075】また、本発明は、前記した本発明の医薬組
成物又は獣医薬組成物の有効量を、生体組織の病理組織
学的変化をきたす器質的疾患を有する患者に投与するこ
とからなる、これらの疾患の予防・処置又は治療する方
法を提供するものである。より詳細には、本発明は、前
記した本発明の医薬組成物又は獣医薬組成物の有効量
を、生体組織の損傷や欠損などによる病理組織学的変化
をきたす疾患を有する患者に投与することからなる、当
該病理組織学的に変化した組織を再生させ、再構築させ
ることにより処置又は治療し、また、そのような変化を
起こすおそれのある生体組織を予防し、そしてこれらの
疾患の治癒を促進させる新規な予防方法・処置方法又は
治療方法を提供するものである。
【0076】さらに本発明は、前記した本発明の医薬組
成物又は獣医薬組成物を製造するためのジンセノサイド
Rbなどのジンセノサイド類もしくはその代謝産物又
はそれらの塩の使用を提供するものである。
【0077】本発明における器質的疾患としては、生体
組織の正常な状態が破壊された状態であればよく、例え
ば、皮膚組織の疾患としては、皮膚組織の創傷、熱傷、
放射線障害、凍傷、紫外線障害、電撃傷、外傷、皮膚潰
瘍、褥創、外科的手術後の各種の創傷、電撃症、外傷、
接触性皮膚炎、水疱性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、うつ
帯性皮膚炎、乾皮症、糖尿病性皮膚潰瘍、自家感作性皮
膚炎、紅皮症、剥脱性皮膚炎、表皮水疱症、光線過敏
症、慢性色素性紫斑(シャンバーグ病)、ストロフル
ス、花粉症、虫刺され、痒疹、多形滲出性紅斑、環状紅
斑、結節性紅斑、天疱瘡、類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、掌
蹠膿疱症、乾癬、扁平苔癬、魚鱗癬、毛孔性苔癬、黄色
腫症、皮膚アミロイドーシス、単純疱疹、ウイルス性い
ぼ、伝染性軟属腫、膿皮症、皮膚結核、皮膚非定型抗酸
菌症、白癬、皮膚・口腔カンジダ症、疥癬、毛虱症、梅
毒、ケロイド、肥厚性瘢痕、血管腫、リンパ腫、母斑、
尋常性白斑、雀卵斑、肝斑、黒皮症、汗疱、あせも、に
きび、酒査皮(しゅさ)、酒査皮(しゅさ)様皮膚炎、
口腔粘膜損傷、口内炎、口囲皮膚炎、皮膚の老化症状
(例えば、皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、ふけ、脱
毛、白髪、かゆみ、かさつき、皮脂欠乏、角質細胞剥
離、角層剥離、ひびわれ、しみ、しわ、そばかす、再生
不良、色素沈着、乾燥等)、脱毛症、爪囲炎、嵌入爪等
が挙げられる。
【0078】本発明の組成物により再生又は再構築を促
進される皮膚組織又は皮膚細胞としては、表皮細胞、真
皮、真皮の乳頭、皮下組織、結合組織、毛乳頭、毛包、
立毛筋、皮脂腺、汗腺、末梢神経、血管、表皮細胞、表
皮角化細胞、角質細胞、ランゲルハンス細胞、メルケル
細胞、メラノサイト、幹細胞、間葉系細胞、毛包の細
胞、立毛筋の細胞、汗腺の細胞、皮脂腺の細胞、線維芽
細胞などが挙げられる。また、粘膜組織としては、口腔
粘膜などの粘膜組織の損傷、咬傷、創傷、熱傷、外傷又
は欠損による疾患などの粘膜組織の病理組織学的変化を
きたすあらゆる疾患や病態が挙げられ、例えば、う蝕、
歯髄炎、辺縁性歯周組織炎、口内炎、舌炎、再発性アフ
タ、口腔内アフタ、口臭、口腔異常感症、歯性感染症、
口腔粘膜咬傷、舌の咬傷、口腔粘膜熱傷、舌の熱傷、舌
の損傷、口腔粘膜損傷、歯肉炎、歯槽膿漏、カタール性
口内炎、壊疽性口内炎、ワンサン口内炎、アフタ性口内
炎、急性疱疹性歯肉口内炎、ヘルパンギーナ、帯状疱
疹、口腔粘膜びらん、口腔粘膜潰瘍、褥瘡性潰瘍、放射
線性口内炎、天疱瘡、口腔カンジダ症、扁平苔癬、Riga
-Fede病、平滑舌、赤平舌、粘膜潰瘍、粘膜びらん、白
内障、眼球結膜のびらん、角膜のびらん、消化管粘膜の
びらん、シェーグレン症候群、粘膜特に口腔粘膜の老化
症状(例えば、萎縮、粘膜剥離、ひびわれ、上皮剥離、
再生不良、乾燥)などが挙げられる。なお、広義には熱
傷、褥創、皮膚潰瘍、凍傷、電撃傷なども創傷の中に含
まれることを付記しておく。ただし、これらの疾患の治
療に適する薬剤もしくは医薬組成物はおのずと異なる。
たとえば褥創やコンタクトレンズ等による角膜の損傷で
は、緩徐に皮膚や角膜の上皮細胞がアポトーシス様細胞
死もしくはアポトーシスに陥るので、いわゆる細胞保護
剤又は抗アポトーシス剤がこれらの疾患に効果・効能を
発揮することが期待される。しかし、創傷(たとえば切
開創、開放創、熱傷、咬傷等)により瞬時にして生体組
織を構成する細胞が脱落もしくは欠損したときには、原
則として細胞保護剤よりも組織再生・再構築促進剤を使
用するべきと考えられる。もっとも、創傷部周辺でアポ
トーシス様細胞死もしくはアポトーシスが頻繁に起こる
場合は、細胞保護剤や抗アポトーシス剤が創傷病変の伸
展・悪化を防ぐのに役立つことがあるかもしれない。
【0079】本発明における器質的疾患としては、前記
した皮膚組織や粘膜組織に限定されるものではなく、他
のあらゆる組織、例えば、中枢神経組織、肝臓、腎臓、
脾臓、造血組織、消化管、肺、膵臓、角膜、内分泌腺、
外分泌腺、唾液腺、性腺、膀胱などの病理組織学的変化
をきたす器質的疾患が包含される。これらの、疾患とし
ては、例えば、肝炎、肝切除ならびに肝虚血再灌流後の
肝組織の疾患、神経外傷(頭部外傷・脊髄損傷)後の中
枢神経の疾患、切断指趾の疾患、腎炎、急性尿細管壊死
後の腎組織の疾患、脾臓の疾患、膵臓の疾患、肺切除後
の臓器の疾患、移植骨髄の再生・定着、鼓膜損傷、白内
障、角膜損傷、角膜びらん、角膜潰瘍、爪の損傷、消化
性潰瘍、外科手術(胸部や腹部外科手術、整形外科手
術、形成外科手術、美容外科手術、産婦人科手術、泌尿
器科手術、眼科手術、頭頸部外科手術、歯科口腔外科手
術、耳鼻咽喉科手術、獣医学手術、脳神経外科手術等)
後の損傷や傷害などが挙げられる。
【0080】さらに、皮膚の開放創(欠損)において
は、皮膚欠損部に分布していた末梢神経や血管も破綻、
切断されるが、明らかにこの末梢神経や血管も、ジンセ
ノサイドRbの静脈内投与もしくは皮膚外用投与によ
り速やかにかつもとの健常な状態に近いところまで再生
・再構築・回復・修復すると思われる。従って、ジンセ
ノサイド類特にはジンセノサイドRbは神経組織や血
管組織の再生や再構築を促進するための医薬組成物とし
ても利用可能である。すなわち、糖尿病性神経症、椎間
板ヘルニア、脊柱管狭窄症、脊椎分離、脊椎すべり症、
頚椎症、脊椎症性脊髄症、脊椎症性神経根症、後縦靱帯
骨化症、顔面神経麻痺、脊髄損傷、末梢神経障害、圧迫
性神経障害、頭部外傷、神経外傷、神経痛、神経変性疾
患、末梢神経麻痺、脳卒中のいずれかの病態において、
ひとたび損傷を受けた神経組織の再生・再構築を促すこ
とによりジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
の静脈内投与、局所投与、点鼻投与、挿肛投与等が効果
・効能を発揮するものと思われる。一方、血管の再生・
再構築促進作用を介して、ジンセノサイド類特にはジン
セノサイドRbは血流障害を主症状とする疾病(大動
脈炎症候群、膠原病、末梢動脈閉塞症、閉塞性血栓血管
炎、閉塞性動脈硬化症、血栓性静脈炎、糖尿病性皮膚潰
瘍、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、網膜中心動静脈閉
塞症、レイノー病、レイノー症候群、心筋梗塞、褥創、
痔疾、肛門周囲炎、骨壊死、骨端症、末梢循環不全、狭
心症、肝・腎・心虚血再灌流障害、脳血管障害、骨萎
縮、変形治癒骨折、遷延治癒骨折等)に効果・効能を示
すと思われる。以上記述した、ジンセノサイド類特にジ
ンセノサイドRbの効果、効能、用途は、薬用人蔘粗
サポニン分画、薬用人蔘エキス又は薬用人蔘にもあては
まる。
【0081】本発明における器質的疾患としては、前述
の疾病や外傷に加えて、あらゆる臓器・組織の病理組織
学的変化をきたす疾患や病態が包含され、より具体的に
は、成書(今日の治療指針;監修、日野原重明、阿部正
和、医学書院;1995;今日の治療指針;総編集、多
賀須幸男、尾形悦郎、医学書院;2000;或いは、今
日の小児治療指針第12版;編集、矢田純一、柳澤正
義、山口規容子、大関武彦、医学書院;2000)に記
載されたすべての疾病や病態が考えられる。もちろん、
将来原因不明の器質的疾患が新規に出現しても、もしそ
の疾患が生体組織の病理組織学的変化をきたすものであ
れば、これらの疾患も本発明の器質的疾患に包含される
ものである。
【0082】本発明の医薬組成物又は獣医薬組成物の態
様を、さらに詳細に説明すれば次のようになる。なお、
本発明は当然のことながら獣医薬組成物にも関するが、
以下の記述では医薬組成物という表現のみを用いて、獣
医薬組成物という表現を省略することもあることを付記
しておく。本発明の医薬組成物又は獣医薬組成物は、皮
膚組織の病理組織学的変化をきたす器質的疾患を、表
皮、真皮、真皮の乳頭、皮下組織、結合組織、毛乳頭、
毛包、皮脂腺、立毛筋、汗腺、末梢神経ならびに血管の
再生・再構築促進作用もしくは創傷治癒促進作用により
予防・処置または治療するための組成物、当該組成物を
用いた予防・処置または治療方法、及びその製造のため
のジンセノサイド類もしくはその代謝産物又はそれらの
塩の使用を提供するものである。本発明の医薬組成物又
は獣医薬組成物は、皮膚組織の再生・再構築を促進させ
るための組成物、当該組成物を用いた予防・処置または
治療方法、及びその製造のためのジンセノサイド類もし
くはその代謝産物又はそれらの塩の使用を提供するもの
である。本発明の医薬組成物又は獣医薬組成物は、粘膜
組織の損傷、咬傷、創傷、熱傷、外傷もしくは欠損によ
る疾患や口腔粘膜などの粘膜組織の病理組織学的変化を
きたすあらゆる疾患を、損傷箇所の再生・再構築を促進
させ、治癒促進作用により予防・処置または治療するた
めの組成物、当該組成物を用いた予防・処置または治療
方法、及びその製造のためのジンセノサイド類もしくは
その代謝産物又はそれらの塩の使用を提供するものであ
る。本発明の医薬組成物又は獣医薬組成物は、病理組織
学的変化をきたした生体組織の細胞又は組織の再生及び
/又は再構築を促進させる組成物、当該組成物を用いた
予防・処置または治療方法、及びその製造のためのジン
セノサイド類もしくはその代謝産物又はそれらの塩の使
用を提供するものである。本発明の医薬組成物又は獣医
薬組成物は、病理組織学的変化をきたした生体組織又は
その細胞の再生及び/又は再構築により、器質的疾患の
治癒を促進する組成物、当該組成物を用いた予防・処置
または治療方法、及びその製造のためのジンセノサイド
類もしくはその代謝産物又はそれらの塩の使用を提供す
るものである。本発明の医薬組成物又は獣医薬組成物
は、皮膚組織又は粘膜組織の老化症状を予防、改善、処
置するための医薬組成物若しくは獣医薬組成物又は皮膚
外用組成物若しくは粘膜外用組成物、当該組成物を用い
た予防・処置または治療方法、及びその製造のためのジ
ンセノサイド類もしくはその代謝産物又はそれらの塩の
使用を提供するものである。
【0083】本発明の医薬組成物又は獣医薬組成物は、
粘膜組織特には口腔粘膜組織の疾患を、上皮、粘膜固有
層、唾液腺、粘液腺、混合腺、結合組織、筋組織、血
管、末梢神経の再生・再構築促進作用もしくは創傷治癒
促進作用により予防・処置または治療するための組成
物、当該組成物を用いた予防・処置または治療方法、及
びその製造のためのジンセノサイド類もしくはその代謝
産物又はそれらの塩の使用を提供するものである。さら
に、本発明の医薬組成物又は獣医薬組成物は、前記口腔
粘膜構成組織ならびに粘膜組織の上皮細胞、腺細胞、筋
上皮細胞、線維芽細胞、幹細胞、間葉系細胞、血管内皮
細胞、平滑筋細胞、細胞外基質、コラーゲン線維、弾性
線維、細網線維の再生又は再構築を促進させるための組
成物、当該組成物を用いた予防・処置または治療方法、
及びその製造のためのジンセノサイド類もしくはその代
謝産物又はそれらの塩の使用を提供するものである。
【0084】本発明の医薬組成物又は獣医薬組成物にお
ける有効成分である、ジンセノサイド類もしくはその代
謝産物又はそれらの塩としては、前記したジンセノサイ
ドやジンセノサイドを含有する天然物又はその抽出物、
及び化学修飾などにより誘導されるジンセノサイド誘導
体などが挙げられる。ジンセノサイドとしては、天然の
ジンセノサイドRbが好ましい。
【0085】ジンセノサイドRbは前記した構造式で
示されるものであり、ジンセノサイドRbは、例え
ば、柴田ら(Shibata S. et al., Economic and medici
nal plant research, World Scientific, Philadelphi
a, pp 217-284, 1985)の方法に準じて分離・精製する
ことができる。このような方法により精製されたものは
その純度が98%以上であることが、薄層クロマトグラ
フィーならびに核磁気共鳴スペクトルにより確認されて
いる(Kawashima Y. and Samukawa K., J. Med. Pharma
col. Soc. Wakan-Yaku, 3, 235-236, 1986)。他のジン
セノサイドも公知の方法に準じて入手することができ
る。
【0086】本発明のジンセノサイド類として天然物又
はその抽出物などを用いることができる。このような天
然物又は抽出物などとしては、ジンセノサイド類を含有
する任意の天然植物、例えば、オタネニンジン、アメリ
カ人蔘、三七人蔘、チクセツ人蔘、ヒマラヤ人蔘、伝七
人蔘などを用いることができる。これらの天然物は、そ
れをそのまま使用してもよいが、抽出処理、濃縮処理、
精製処理、製剤化処理などがなされた抽出物、エキス、
液剤、錠剤、分画、精製物などを使用することができ
る。例えば、薬用人蔘の粗サポニン分画は、紅蔘をメタ
ノール抽出し、そのエキスを水に懸濁して、エーテルで
洗浄後、水飽和ブタノールで振出すという通常の方法に
より得たものであり、収率は約8%である。ちなみに薬
用人蔘エキスの収率は35〜45%程度である。なお、
後述の実施例で用いたジンセノサイドRbならびに粗
サポニン分画は、本発明者の一人(阪中)の既発表論文
(Wen, T.-C. et al., Acta Neuropathol., 91, 15-22,
1996)において用いたもの(凍結乾燥結晶)と同じもの
である。ただし、粗サポニン分画抽出に用いられる天然
物としては紅蔘(オタネニンジン)のみならず、チクセ
ツニンジン、トチバニンジン、ヒマラヤニンジン、サン
シチニンジン、アメリカニンジン、伝七人蔘等任意のも
のが使用できる。
【0087】本発明の組成物の有効成分であるジンセノ
サイド類は、前記した天然のジンセノサイドを前述した
方法により化学修飾したジンセノサイド類誘導体であっ
てもよい。このようなジンセノサイド類誘導体としては
後述するジヒドロジンセノサイドRbなどが挙げられ
る。ジヒドロジンセノサイドRbは、天然のジンセノ
サイドRbを還元して製造することができる。
【0088】本発明のジンセノサイド類は遊離のものを
使用することもできるが、それを適当な塩と使用するこ
ともできる。また、それらの水和物のような溶媒和物と
して使用することもできる。また、これらのジンセノサ
イド類の化学構造の一部を修飾してプロドラッグを作成
し、任意の投与経路、投与方法を選択することができ
る。たとえば、ジンセノサイドRbの水酸基をエステ
ル化してプロドラッグを作成した後に投与し、内因性エ
ステラーゼで加水分解せしめることによりジンセノサイ
ドRbを生体組織内で作用させることも可能である。
【0089】本発明の医薬組成物又は獣医薬組成物は、
ジンセノサイドRbなどのジンセノサイド類もしくは
その代謝産物又はそれらの塩を、低濃度で含有してなる
ものが好ましい。本発明の実験結果によれば、ジンセノ
サイドRbを皮膚組織再生・再構築促進剤として使用
するときの静脈内投与量は、同化合物を脳細胞又は神経
細胞保護剤として使用するときの静脈内投与量と類似し
ている(特願平10−365560、PCT/JP99
/02550、ジンセノサイドRbからなる脳細胞又
は神経細胞保護剤)。このことから判断すると、本発明
のジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbが皮膚
組織もしくは口腔粘膜組織の再生・再構築促進剤として
作用する濃度は、特願平10−365560号、PCT
/JP99/02550(ジンセノサイドRbからな
る脳細胞又は神経細胞保護剤)で記述されたものと同様
に低濃度が好ましく、より具体的には、病変部の細胞外
液濃度が1ng/ml以下、好ましくは10pg/ml
以下、より好ましくは100fg/ml以下となる濃度
である。本発明のジンセノサイド類特にはジンセノサイ
ドRb を静脈内投与用製剤もしくは皮膚外用剤として
使用する場合にも、患者の患部組織における細胞外液濃
度が前記の濃度になるように製剤を調整することが好ま
しい。本発明の医薬組成物や製剤は、患部組織の細胞外
液濃度が1〜100fg/ml程度もしくはそれ以下の
濃度(たとえば0.01fg/ml)でも充分な効果が
得られる。すなわち、ジンセノサイド類特にはジンセノ
サイドRbは患部組織における細胞外液濃度が0.0
1〜100fg/mlもしくは1〜10000fg/m
lのときに最も優れた効果・効能を発揮すると考えられ
る。また、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
を化粧品や健康薬の組成物として使用することによ
り、皮膚や粘膜の老化症状の予防、処置、改善を目指す
ときも、皮膚局所又は粘膜局所におけるジンセノサイド
類特にはジンセノサイドRbの細胞外液濃度が前記の
ごとく低濃度になるよう化粧品又は健康薬へのジンセノ
サイド類特にはジンセノサイドRbの配合量を調整す
る必要がある。
【0090】後述するように、ジンセノサイド類は米国
特許5,663,160号又はWO99/07338号
に記載された他の化粧品組成物とともに化粧品に混合す
ることができるが、本発明の組成物は、これらの米国特
許5,663,160号又はWO99/07338号で
記載された濃度よりも低い濃度で使用することを特徴と
するものである。また、ジンセノサイド類特にはジンセ
ノサイドRbはその他の任意の化粧品組成物又は健康
薬組成物とともにあらゆる化粧品又は健康薬の中に混入
することができるが、ジンセノサイド類特にはジンセノ
サイドRbとともに使用するその他の任意の化粧品組
成物又は健康薬組成物についても従来の文献や特許明細
書で記載された濃度より低い濃度で使用することが好ま
しい。
【0091】前記してきた実施例からも明らかなよう
に、皮膚の切開創、開放創、欠損を受けたラット(体重
約300g)にジンセノサイドRbを1日あたり12
〜60μgの用量で静脈内投与すると、皮膚組織再生・
再構築促進作用、創傷治癒促進作用、を介して、歴史上
かつてないほど優れた治療効果が認められた。また、
0.0001重量%、0.00001重量%、0.00
0001重量%、0.0000001重量%もしくは
0.00000001重量%のジンセノサイドRb
含有する皮膚外用剤をラットの開放創に塗布することに
より、創傷治癒ならびに皮膚組織再生・再構築が明らか
に促進され、開放創部の面積が対照群の1/2〜1/4
程度に縮小した。また0.00001重量%のジンセノ
サイドRbを含有する粘膜外用剤はヒト口腔粘膜の咬
傷にも著効を示した。しかし、0.01重量%の濃度の
ジンセノサイドRbのラット開放創治療効果は軽微で
あったので、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドR
は0.001重量%以下又は未満の濃度で皮膚外用
剤もしくは粘膜外用剤に配合することが好ましい。これ
らの実験結果は、本発明のジンセノサイド類は、低濃度
で使用することが有効であることを示している。
【0092】前述のような実験結果に基づけば、皮膚組
織又は粘膜組織の損傷、創傷、外傷もしくは欠損による
疾病もしくは皮膚又は粘膜の病理組織学的変化をきたす
疾病を患ったヒトもしくは脊椎動物(体重60kgと仮
定)の静脈内への至適薬物(ジンセノサイド類特にはジ
ンセノサイドRb)投与量は、体重あたりで計算する
と1日あたり2.4mgから12mgということにな
る。従って本発明の医薬組成物をヒト皮膚疾患又は粘膜
疾患の予防、治療、処置に使用する場合、1日あたりの
全身投与量としては、患者の個人差や病状にもよるが、
0.01mg以上、好ましくは0.1mg以上、より好
ましくは10mg以上である。しかし、一般に動物の体
重が増加するにつれて体重あたりの必要薬物投与量が減
少することから、ヒトでは、この用量の10分の1以下
でも充分効果・効能を示す可能性がある。本発明の医薬
組成物は副作用が少なく、前記皮膚疾患の予防、処置、
治療における投与量の上限としてはかなり多量にするこ
ともできるが、1日あたり1g以下、好ましくは0.1
g以下である。また、皮膚外用剤もしくは粘膜外用剤1
0g中に含有されるジンセノサイド類特にはジンセノサ
イドRbの量も0.1mg以下、好ましくは0.00
1mg以下、より好ましくは0.0001mg以下であ
ると言える。すなわち、皮膚疾患や粘膜疾患を有するヒ
トへの1日あたりのジンセノサイド類特にはジンセノサ
イドRbの皮膚又は粘膜外用投与量は病状や個人差に
もよるが通常0.1mg以下、好ましくは0.001m
g以下、より好ましくは0.0001mg以下と考えら
れる。
【0093】本発明のジンセノサイド類として、天然物
又はその抽出物を使用する場合には、一般に、薬用人蔘
粗サポニン分画の患部組織における至適細胞外液濃度
は、ジンセノサイドRbの至適細胞外液濃度の14.
5倍と考えられることから、前記してきた量の14.5
倍を使用すればよい。
【0094】本発明の医薬組成物又は獣医薬組成物は、
静脈内投与、粘膜投与や皮膚外用投与などの非経口投与
形態のものが好ましい。より詳細には、本発明の医薬組
成物又は獣医薬組成物は、ジンセノサイド類特にはジン
セノサイドRbもしくはその代謝産物又はそれらの塩
を低濃度で含有してなる非経口投与製剤、粘膜外用塗布
・外用噴霧製剤もしくは皮膚外用塗布・外用噴霧製品が
好ましい。したがって、本発明は、ジンセノサイドRb
などのジンセノサイド類もしくはその代謝産物又はそ
れらの塩を好ましくは低濃度で含有してなる前記疾患の
予防・処置又は治療用の非経口投与製剤、好ましくは静
脈内もしくは血管内投与用製剤、粘膜外用剤又は皮膚外
用剤を提供する。
【0095】これらの本発明の医薬組成物又は獣医薬組
成物は、静脈内投与用製剤、粘膜外用剤、皮膚外用剤も
しくは皮膚外用塗布・外用噴霧が好ましいが、病変部局
所外用剤、病変部局所注射剤、経口投与製剤、点鼻薬、
点耳薬、点眼薬、眼軟膏、坐薬、皮下注射薬、皮内注射
薬、筋肉注射薬、吸入薬、舌下薬、人工唾液、関節内投
与、経皮吸収薬等、任意の投与経路が選択できる。また
徐放剤として使用してもよい。また、本発明は前記の静
脈内投与用製剤、粘膜外用剤、皮膚外用剤、健康薬又は
化粧品などからなる皮膚疾患もしくは粘膜疾患の長期に
わたる治療・予防、もしくは処置剤、皮膚組織もしくは
粘膜の再生・再構築促進剤、創傷治癒促進剤又は皮膚も
しくは粘膜の老化症状抑止用化粧品又は健康薬を提供す
る。
【0096】本発明の静脈内投与用製剤としては、血管
内、好ましくは静脈内に直接適用できるものであればよ
く、生理食塩水、蒸留水、リン酸緩衝液、ブドウ糖液、
リポソーム、脂肪乳剤等に溶解した後に、単回静脈内注
入用製剤もしくは静脈内持続投与用製剤として使用でき
る。また、点滴用組成物などの静脈内投与製剤に添加し
て使用できる剤型であってもよい。本発明のジンセノサ
イド類特にはジンセノサイドRbからなる生体組織の
病理組織学的変化をきたす器質的疾患の予防、処置、治
療のための皮膚外用剤もしくは粘膜外用剤は、任意の基
剤たとえば水溶性基剤、乳剤性基剤、配合剤もしくは脂
溶性基剤(軟膏基剤)にジンセノサイド類特にはジンセ
ノサイドRbを好ましくは低濃度で混入することによ
り作成できる。また、アフタッチのように粘膜に密着す
る製剤に低濃度のジンセノサイド類特にはジンセノサイ
ドRbを混入してもよい。具体的には水溶性基剤(ク
リーム等)、乳剤性基剤、配合剤もしくは軟膏基剤(脂
溶性基剤)たとえば眼科用白色ワセリン(プロペト)1
00gあたりに、ジンセノサイド類特にはジンセノサイ
ドRbを100mg(0.1重量%)以下又は未満、
好ましくは10mg(0.01重量%)以下又は未満、
より好ましくは1mg(0.001重量%)以下又は未
満、1fg(10−15重量%)以上となるように混入
した後に、前記疾患の予防、処置もしくは治療のための
皮膚外用剤もしくは粘膜外用剤として使用できる。
【0097】もちろん、前述の皮膚外用剤もしくは粘膜
外用剤の中にジンセノサイド類特にはジンセノサイドR
の他に任意の医薬組成物(たとえば、ブドウ糖、抗
生物質、ビタミンE、ビタミンE誘導体、ビタミンD、
ビタミンD誘導体、ビタミン類、抗ウィルス剤、免疫抑
制剤、抗アレルギー剤、ステロイド剤、薬用人蔘成分、
天然物成分等)を混入してもよい。なお、ジンセノサイ
ドRbと他の医薬組成物又は皮膚・粘膜外用組成物を
併用するときは、ジンセノサイドRbの濃度の上限を
0.001重量%未満から0.00002重量%未満に
設定することが好ましい。特にアトピー性皮膚炎、接触
性皮膚炎もしくは花粉症等のアレルギー性の皮膚粘膜疾
患に対しては、常用量以下もしくは従来の特許文書で開
示された用量未満のステロイド(剤)、抗アレルギー用
医薬組成物(剤)又は免疫抑制用医薬組成物(剤)等
を、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbから
なる皮膚外用剤や粘膜外用剤に混入すると著効が得られ
る。また、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
を含有する皮膚外用剤もしくは粘膜外用剤とその他任
意の医薬組成物を含有する皮膚外用剤もしくは粘膜外用
剤とを併用してもよい。前記疾患の予防、処置、治療の
ための皮膚外用剤もしくは粘膜外用剤におけるジンセノ
サイド類特にはジンセノサイドRbの濃度の上限は、
10重量%以下、好ましくは1重量%以下である。
【0098】本発明のジンセノサイド類特にはジンセノ
サイドRbは、皮膚の切開創、開放創もしくは欠損発
症後に1週間程度静脈内へ持続投与することにより又は
単回もしくは連日皮膚局所へ外用塗布・噴霧することに
より、脱落した皮膚組織の再生・再構築を促進して創傷
治癒を早めることができる。また、本発明のジンセノサ
イドRbは口腔粘膜の咬傷後に5日前後、創傷部位に
1日1〜10回外用塗布することにより脱落した口腔粘
膜組織の再生・再構築を促進して創傷治癒を早めること
ができる。
【0099】本発明の医薬組成物又は獣医薬組成物の投
与方法としては、血管内投与特に静脈内投与が好まし
く、前記した投与量を断続的又は連続的に投与すること
ができる。本発明の有効成分であるジンセノサイド類特
にはジンセノサイドRbはサポニンの1種であり、通
常の方法により製剤化することができる。例えば、本発
明の水溶性医薬組成物は、凍結乾燥結晶を生理食塩水、
蒸留水、リン酸緩衝液、ブドウ糖液等に溶解することに
より静脈内投与することができる。もちろん、前記のご
とく溶解後に点滴用組成物などの静脈内投与製剤に添加
して使用してもよい。さらに、脂肪乳剤、リポソーム製
剤、徐放剤としても使用可能である。静脈内投与すると
きの製剤の濃度としてはあまり高濃度でない限り任意の
濃度に調整することができ、例えば0.001〜100
mg/ml、好ましくは0.01〜10mg/ml、よ
り好ましくは0.1〜1mg/ml程度にして投与する
ことができる。前述の疾患の予防、処置もしくは治療の
ための皮膚外用剤もしくは粘膜外用剤としてジンセノサ
イド類特にはジンセノサイドRbを利用するときは、
既述のごとく任意の基剤たとえば水溶性基剤、乳剤性基
剤、軟膏基剤、配合剤もしくは脂溶性基剤に、ジンセノ
サイド類特にはジンセノサイドRbを0.1重量%以
下、好ましくは0.01重量%以下、より好ましくは
0.001重量%以下又は未満、10−15重量%以上
となるように混入すればよい。ただし、ジンセノサイド
類特にはジンセノサイドRbを含有する皮膚外用剤を
長期にわたって投与するとき、あるいは皮膚の創傷の程
度が軽症である患者に投与するときは、その濃度を10
−20重量%まで下げてもよい。前記皮膚外用剤もしく
は粘膜外用剤におけるジンセノサイド類特にはジンセノ
サイドRbの濃度の上限は、10重量%以下、好まし
くは1重量%以下である。ジンセノサイド類特にはジン
セノサイドRbからなる皮膚外用剤は、皮膚局所に塗
布できる形であってもよいし、噴霧できる形であっても
よい。
【0100】さらに、本発明のジンセノサイド類特には
ジンセノサイドRbの薬剤としての特徴で、見逃せな
いのが、これと言った副作用を示さない点である。事
実、腹腔内投与されたジンセノサイドRbのLD50
は1110mg/kgであることが報告されているので
(Kaku T. et al., Arzneim. Forsch/Drug Res., 25, 5
39-547, 1975)、後述の実施例で示すごとく体重300
g程度のラットに1日あたり12〜60μgを静脈内持
続投与して皮膚組織の切開創、開放創、欠損の治療を目
指す限りにおいては、ジンセノサイドRbは極めて安
全な医薬組成物であると考えられる。また、皮膚外用剤
や粘膜外用剤として使用するジンセノサイドRbの投
与量は、静脈内投与量に比べてはるかに少ない。もちろ
ん、本発明者らが、今回の各実験例において、本発明の
ジンセノサイドRbを投与した動物を注意深く観察し
た範囲内でも、副作用は検出されなかった。
【0101】本発明の医薬組成物は、外用剤として皮膚
組織や粘膜組織の病理組織学的変化をきたした器質的疾
患の予防、改善、処置、治療に有効であることから、本
発明の医薬組成物を皮膚組織や粘膜組織に適用する化粧
品、ケミカルピーリング剤、発毛育毛剤などの皮膚外用
組成物又は粘膜外用組成物として適用することができ
る。例えば、老化に伴う皮膚の各種老化症状(例えば、
皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、ふけ、脱毛、白髪、か
ゆみ、かさつき、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、
ひびわれ、しみ、しわ、そばかす、再生不良、色素沈
着、乾燥等)や脱毛症などの予防、改善、処置のために
外用剤として適用することができる。また、前述した実
験例において示したように、皮膚の開放創(欠損)にお
いては、当然のことながら毛包も速やかに脱落するが、
低用量のジンセノサイドRb の皮膚外用投与により、
明らかに開放創部の発毛・育毛が促進されることが観察
された。このことから判断すると、低用量のジンセノサ
イドRbの皮膚外用投与は、開放創(皮膚の欠損)作
成後、同部の発毛・育毛を促進することにより、創傷部
をもとの健常な組織により近い状態にまで再生・再構築
せしめると言える。すなわち、低用量のジンセノサイド
Rbなどのジンセノサイド類は発毛・育毛促進剤もし
くは脱毛進行予防剤としても適用できることが示され
た。
【0102】前述のごとく、ジンセノサイドRbの皮
膚外用塗布が、皮膚の表皮組織、真皮の結合組織、真皮
の乳頭、皮下組織、血管、立毛筋、皮脂腺、汗腺、毛乳
頭、毛包等の再生・再構築を促進するという事実は、当
然のことながらジンセノサイド類特にはジンセノサイド
Rbの皮膚外用塗布が、表皮細胞、表皮角化細胞、メ
ラノサイト、メルケル細胞、ランゲルハンス細胞、角質
細胞、真皮ならびに皮下組織の線維芽細胞、血管内皮細
胞、血管平滑筋細胞、皮脂腺の細胞、汗腺の細胞、立毛
筋の細胞、毛包の細胞、間葉系細胞、皮膚の幹細胞、膠
原線維、弾性線維、細網線維、細胞間基質等の再生・再
構築をも促すことを明らかにしている。すなわち、ジン
セノサイド類特にはジンセノサイドRbは皮膚組織を
構成するあらゆる細胞やその分泌成分の再生・再構築を
促進すると考えられる。一方、加齢に伴う皮膚の諸症状
(皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、かさつき、
亀裂、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、
しみ、しわ、そばかす、白髪、脱毛、ふけ、色素沈着、
日焼け、再生不良、乾燥等)は、皮膚組織を構成する前
記細胞が、紫外線障害や生体の老化に伴い徐々に死滅も
しくは機能不全に陥り、もとの健常な状態に再生できな
くなるために、生じるものと考えられる。たとえば、加
齢や老化に伴う皮膚のかさつき、乾燥、脱毛、角質細胞
剥離、角層剥離、ひびわれ、皮脂欠乏、かゆみなどは皮
膚の汗腺、毛包、ならびに脂腺の細胞が、機能障害に陥
るか死滅したままで再生しないために、生じると考えら
れる。
【0103】また、日焼け、色素沈着、しみ、そばかす
等は、日光や紫外線に照射された皮膚の細胞が死に至っ
ても、元通りに細胞が再生しなくなるために起こると考
えられる。さらに加齢に伴う、皮膚のしわ、たるみ、萎
縮などは、真皮や皮下組織の線維芽細胞もしくは間葉系
細胞が、加齢とともに機能不全に陥るか数が減少したた
めに、真皮や皮下組織で充分な膠原線維、弾性線維、細
網線維、細胞外基質を保持できなくなった結果、生じる
と言える。一方、メラノサイトの機能障害により白髪が
増加するものと考えられる。さらにランゲルハンス細胞
の機能障害により皮膚の免疫機能が低下し、易感染性が
生じると考えられる。本発明の低濃度・低用量のジンセ
ノサイドRbは、皮膚組織を構成するすべての細胞や
その分泌成分の再生・再構築を促進することができるの
で、ジンセノサイド類特にジンセノサイドRbを化粧
品の組成物として利用すれば、老化に伴う皮膚の構成細
胞の減少(細胞死)、機能障害に帰因する諸症状(皮膚
の萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、かさつき、亀裂、
皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、しみ、
しわ、そばかす、脱毛、白髪、ふけ、色素沈着、日焼
け、再生不良、乾燥等)を予防、軽減もしくは改善する
ことができる。さらに、ジンセノサイドRbは、本発
明者の一人(阪中)の既出願特許(特願平10−365
560、PCT/JP99/02550、ジンセノサイ
ドRbからなる脳細胞又は神経細胞保護剤)におい
て、細胞死抑制遺伝子産物Bcl−xの発現を上昇せ
しめ、表皮細胞、表皮角化細胞すなわちケラチノサイ
ト、ランゲルハンス細胞、メルケル細胞、角質細胞、皮
脂腺の細胞、毛包の細胞、汗腺の細胞、線維芽細胞、幹
細胞、間葉系細胞、血管内皮細胞、立毛筋の細胞、血管
平滑筋細胞、脂肪細胞等を含めた皮膚の細胞を保護する
と考えられるので、やはり加齢や老化に伴う皮膚の構成
細胞の死や機能障害を未然に防ぐことができると考えら
れる。
【0104】このように、ジンセノサイド類特にはジン
セノサイドRbは、皮膚を構成するあらゆる細胞を保
護するのみならず、ひとたび皮膚の細胞が死に至るか機
能不全に陥っても、それらの細胞を再生せしめることに
よって、加齢に伴う皮膚の老化症状(皮膚の萎縮、易感
染性、たるみ、かゆみ、かさつき、亀裂、皮脂欠乏、角
質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、しみ、しわ、そばか
す、脱毛、白髪、ふけ、色素沈着、日焼け、再生不良、
乾燥等)を予防、改善もしくは軽減すると考えられる。
すなわち、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
は細胞保護作用と組織・細胞再生促進作用という2つ
の強力な作用を介して、加齢に伴う皮膚の老化症状を改
善、予防もしくは軽減すると言える。しかも、本発明の
実験結果や上記の既出願特許(特願平10−36556
0、PCT/JP99/02550)から明らかなよう
に、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbは患
部組織や皮膚組織における細胞外液濃度が、1ng/m
l以下、好ましくは10pg/ml以下、より好ましく
は100fg/ml以下のときに、細胞保護作用ならび
に組織・細胞再生促進作用を発揮する。もちろん、ジン
セノサイド類特にはジンセノサイドRbは、粘膜の老
化症状(萎縮、上皮剥離、粘膜剥離、再生不良、ひびわ
れ、乾燥等)を予防、改善もしくは軽減するための健康
薬組成物又は粘膜外用組成物としても有用である。
【0105】したがって、本発明は、ジンセノサイド類
もしくはその代謝産物又はそれらの塩を、低濃度、低容
量で含有する、好ましくは組成物中の0.001重量%
未満含有してなる皮膚外用組成物又は粘膜外用組成物を
提供するものである。本発明の皮膚外用組成物又は粘膜
外用組成物としては、化粧品、発毛育毛剤、トイレタリ
ー用品、衛生用品、ケミカルピーリング用組成物、健康
用品など外用できる物品のあらゆるものに適用すること
ができる。また、本発明は、前記した本発明の皮膚外用
組成物又は粘膜外用組成物を用いた予防方法・改善方法
又は処置方法を提供するものである。さらに、本発明
は、前記した本発明の皮膚外用組成物又は粘膜外用組成
物を製造するためのジンセノサイド類もしくはその代謝
産物又はそれらの塩の使用を提供するものである。ま
た、本発明は、当該組成物を用いた前記症状又は疾患の
予防方法・改善方法又は処置方法、及びその製造のため
のジンセノサイド類もしくはその代謝産物又はそれらの
塩の使用を提供するものである。
【0106】本発明の皮膚外用組成物又は粘膜外用組成
物のより詳細な態様としては、次のものが挙げられる。
本発明の皮膚外用組成物又は粘膜外用組成物は、皮膚の
老化症状(皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、ふけ、脱
毛、白髪、かゆみ、かさつき、皮脂欠乏、角質細胞剥
離、角層剥離、ひびわれ、しみ、しわ、そばかす、再生
不良、色素沈着、乾燥等)を予防、改善、処置するため
の化粧品組成物、当該組成物を用いた予防方法・改善方
法又は処置方法、化粧方法、及びその製造のためのジン
セノサイド類もしくはその代謝産物又はそれらの塩の使
用を提供するものである。本発明の皮膚外用組成物又は
粘膜外用組成物は、皮膚もしくは粘膜の老化症状を予
防、処置、改善するための化粧品、健康薬、健康食品、
当該製品を用いた予防方法・改善方法又は処置方法、化
粧方法、及びその製造のためのジンセノサイド類もしく
はその代謝産物又はそれらの塩の使用を提供するもので
ある。本発明の皮膚外用組成物又は粘膜外用組成物は、
粘膜特に口腔粘膜や食道粘膜の老化症状(萎縮、粘膜剥
離、ひびわれ、上皮剥離、再生不良、乾燥)を予防、処
置、改善するための健康薬組成物、当該組成物を用いた
予防方法・改善方法又は処置方法、及びその製造のため
のジンセノサイド類もしくはその代謝産物又はそれらの
塩の使用を提供するものである。本発明の皮膚外用組成
物又は粘膜外用組成物は、発毛・育毛用組成物、当該組
成物を用いた予防方法・改善方法又は処置方法、及びそ
の製造のためのジンセノサイド類もしくはその代謝産物
又はそれらの塩の使用を提供するものである。本発明の
皮膚外用組成物又は粘膜外用組成物は、ケミカルピーリ
ング用組成物、当該組成物を用いた予防方法・改善方法
又は処置方法、及びその製造のためのジンセノサイド類
もしくはその代謝産物又はそれらの塩の使用を提供する
ものである。本発明の皮膚外用組成物又は粘膜外用組成
物は、トイレタリー用品又は衛生用品を提供するもので
ある。
【0107】本発明の実験結果によれば、ジンセノサイ
ドRbを皮膚組織再生・再構築促進剤として使用する
ときの静脈内投与量は、同化合物を脳細胞又は神経細胞
保護剤として使用するときの静脈内投与量と類似してい
る(特願平10−365560、PCT/JP99/0
2550、ジンセノサイドRbからなる脳細胞又は神
経細胞保護剤)。このことから判断すると、本発明のジ
ンセノサイド類特にはジンセノサイドRbが皮膚組織
もしくは口腔粘膜組織の再生・再構築促進剤として作用
する濃度は、特願平10−365560号、PCT/J
P99/02550(ジンセノサイドRbからなる脳
細胞又は神経細胞保護剤)で記述されたものと同様に低
濃度が好ましく、より具体的には、病変部の細胞外液濃
度が1ng/ml以下、好ましくは10pg/ml以
下、より好ましくは100fg/ml以下となる濃度で
ある。本発明のジンセノサイド類特にはジンセノサイド
Rb を静脈内投与用製剤もしくは皮膚外用剤として使
用する場合にも、患者の患部組織における細胞外液濃度
が前記の濃度になるように製剤を調整することが好まし
い。本発明の医薬組成物や製剤は、患部組織の細胞外液
濃度が1〜100fg/ml程度もしくはそれ以下の濃
度(たとえば0.01fg/ml)でも充分な効果が得
られる。すなわち、ジンセノサイド類特にはジンセノサ
イドRbは患部組織における細胞外液濃度が0.01
〜100fg/mlもしくは1〜10000fg/ml
のときに最も優れた効果・効能を発揮すると考えられ
る。
【0108】また、ジンセノサイド類特にはジンセノサ
イドRbを化粧品や健康薬の組成物として使用するこ
とにより、皮膚や粘膜の老化症状(皮膚の萎縮、易感染
性、たるみ、ふけ、脱毛、白髪、かゆみ、かさつき、皮
脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、しみ、し
わ、そばかす、再生不良、色素沈着もしくは乾燥等又は
粘膜の萎縮、再生不良、剥離、上皮剥離、ひびわれもし
くは乾燥等)の予防、処置、改善を目指すときも、皮膚
局所又は粘膜局所におけるジンセノサイド類特にはジン
セノサイドRbの細胞外液濃度が前記のごとく低濃度
になるよう化粧品又は健康薬へのジンセノサイド類特に
はジンセノサイドRb配合量を調整する必要がある。
もちろんジンセノサイド類特にジンセノサイドRb
米国特許5,663,160号又はWO99/0733
8号で記載された他の化粧品組成物とともに化粧品に配
合することができるが、他の化粧品組成物についても米
国特許5,663,160号又はWO99/07338
号で記載された濃度よりも低い濃度で使用することを特
徴とするものである。また、ジンセノサイド類特にはジ
ンセノサイドRbはその他の任意の化粧品組成物又は
健康薬組成物とともにあらゆる化粧品又は健康薬の中に
配合することができるが、ジンセノサイド類特にはジン
セノサイドRbとともに使用するその他の任意の化粧
品組成物又は健康薬組成物についても従来の文献や特許
明細書で記載された濃度より低い濃度で使用することが
好ましい。したがって、本発明の化粧品組成物又は健康
薬組成物は、通常の化粧品のみならず、歯みがきやシャ
ンプーなどの医薬部外品や、健康グッズなどの生体の表
皮又は口腔部などの粘膜に直接又は間接的に接触する物
品をすべて包含する。
【0109】従って、ジンセノサイド類特にはジンセノ
サイドRbをあらゆる化粧品や健康薬(化粧水(スキ
ンローション)、美容液、マッサージ剤、パック剤、乳
剤、乳液(ミルクローション)、ファンデーション、ハ
ンドクリーム、コールドクリーム、ローション、ゲル、
エマルジョン、ボディーミルク、ヘアーダイ、ヘアーマ
ニキュア、アイシャドウ、クレンジングクリーム、洗顔
フォーム、ナイトクリーム、美白クリーム、トローチ、
のどあめ、あめ、健康飲料水、アイソトニックウォータ
ー、シャーベット、氷、健康食品、キャンディー、おし
ろい、洗眼液、洗顔液、洗眼薬、口紅、化粧石けん、う
がい薬、シャンプー、リンス、歯みがき粉、入浴剤、リ
ップクリーム、ヘアートニック、ヘアーリキッド、下地
クリーム(メイクアップベース)、UVリキッドファン
デーション、パウダーファンデーション等)に微量配合
して使用し、皮膚局所又は粘膜局所におけるジンセノサ
イド類特にはジンセノサイドRbの細胞外液濃度を前
記のごとく低濃度に維持すれば、皮膚や粘膜の老化症状
(萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、かさつき、亀裂、
皮脂欠乏、再生不良、上皮剥離、粘膜剥離、角質細胞剥
離、角層剥離、ひびわれ、しみ、しわ、そばかす、脱
毛、白髪、ふけ、色素沈着、日焼け、乾燥等)に対して
優れた効果を発揮する。
【0110】たとえば、加齢や老化に伴い皮膚の脂(す
なわち皮脂)が欠乏するだけでも、皮膚のかさつき、か
ゆみ、亀裂、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、乾燥
等が生じるが、低濃度のジンセノサイド類特にはジンセ
ノサイドRbをあらゆる化粧品に混入して使用するこ
とにより、皮脂腺の保護もしくは再生・再構築が促進さ
れ前記の加齢に伴う皮膚の老化症状を予防、改善もしく
は軽減すると考えられる。また、低濃度のジンセノサイ
ド類特にはジンセノサイドRbを含有する任意の化粧
品は、表皮細胞(表皮角化細胞、角質細胞)を保護する
のみならず、その再生をも促進するので、角質細胞間脂
質や天然保湿因子の産生や分泌も促進することにより、
皮膚の乾燥やかさつきを抑止し、皮膚に自然な潤いをも
たらす。また、たとえばミネラルウォーターなどにジン
セノサイド類特にはジンセノサイドRb、薬用人蔘エ
キス、薬用人蔘粗サポニン分画等を低濃度で混入するこ
とにより、アルコール飲料による口腔粘膜や消化管粘膜
の障害を改善、予防、処置することもできる。さらに、
低濃度のジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
はケミカルピーリング(Chemical peeling)において、
皮膚組織の再生・再構築を促進するための組成物として
も使用できる。ジンセノサイド類特にはジンセノサイド
Rbは介護施設、温泉保養施設、病院にて入浴剤とし
て使用することにより、皮膚の老化や疾患の予防、処
置、改善に役立つ。ドレッシング剤、消毒薬、洗浄剤、
絆創膏、被覆剤などに混入することにより、創傷の治癒
を促進し、その悪化を防止することもできる。本発明の
皮膚外用組成物の基剤ならびに併用可能なその他の組成
物については既述した。
【0111】本発明の皮膚外用組成物又は粘膜外用組成
物を発毛・育毛用組成物として使用する場合には、任意
の又は公知の基剤に有効成分を配合した後、単独で使用
してもよいし、その他の薬効成分(たとえば血行促進用
組成物、局所刺激用組成物、毛包賦活用組成物、抗男性
ホルモン、抗脂漏用組成物、角質溶解用組成物、抗生物
質、生薬エキス、ビタミン、アミノ酸等)と併用しても
よい。その際には、ジンセノサイドRbの濃度の上限
を0.00002重量%未満に設定することが好まし
い。具体的には、円形脱毛症、男性型脱毛症、び慢性脱
毛症に対して低用量のジンセノサイド類特にはジンセノ
サイドRbの静脈内投与や局所外用塗布等が有効と考
えられる。
【0112】液状の化粧品、たとえば通常のUVリキッ
ドファンデーションにジンセノサイド類特にはジンセノ
サイドRbを混入するときは、その濃度が1000n
g/ml以下、好ましくは10ng/ml以下、より好
ましくは0.01fg/ml〜100pg/mlとなる
ように調整した上で、連日皮膚に外用塗布もしくは外用
噴霧すれば皮膚局所におけるジンセノサイド類特にはジ
ンセノサイドRbの細胞外液濃度が前記のごとく、低
く維持され、皮膚の老化症状(皮膚の萎縮、易感染性、
たるみ、かゆみ、脱毛、ふけ、白髪、かさつき、亀裂、
皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、乾燥、
しみ、しわ、そばかす、色素沈着、再生不良、日焼け
等)の改善、進行予防もしくは悪化予防に役立つ。ま
た、固形、ゲル状もしくはクリーム状の化粧品たとえ
ば、通常の下地クリームやナイトクリームにジンセノサ
イド類特にはジンセノサイドRbを混入するときも、
ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbの混入量
をクリーム1gあたり1000ng以下、好ましくは1
0ng以下、より好ましくは0.01fg〜100pg
程度にして、連日皮膚に外用塗布すれば、皮膚の老化症
状(萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、かさつき、亀
裂、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、乾
燥、しみ、しわ、そばかす、白髪、ふけ、脱毛、色素沈
着、再生不良、日焼け等)の予防、改善、処置に役立
つ。
【0113】ただし、ジンセノサイド類特にジンセノサ
イドRbを任意の化粧品に配合して、きわめて長期に
わたって使用するときは化粧品1gあたりのジンセノサ
イド類特にはジンセノサイドRbの含有量を0.00
00001fgまで下げてもよい。ジンセノサイド類特
にはジンセノサイドRbを皮膚の老化症状の予防、改
善、処置の目的で上記の化粧品に混入する際の濃度の上
限は、液状の化粧品の場合、10μg/ml以下、固
形、ゲル状もしくはクリーム状の化粧品の場合は10μ
g/g以下である。言い換えれば、ジンセノサイド類特
にはジンセノサイドRbは0.001重量%以下、好
ましくは0.001重量%未満の濃度で上記の化粧品に
混入することが好ましい。さもなければ、かえって皮膚
の正常細胞の膜を障害することにもなりかねない。すな
わち、長期間使用する化粧品や健康薬にジンセノサイド
類特にはジンセノサイドRbを混入するときは、本発
明で既述した皮膚疾患や粘膜疾患の予防、処置、治療用
の外用剤よりも濃度を低くする方が安全と考えられる。
もちろん、上記のごとくジンセノサイド類特にはジンセ
ノサイドRbを微量含有する化粧品は、顔面に外用塗
布、外用噴霧するのみならず、日光に頻繁に照射される
その他の皮膚組織(たとえば四肢、体幹、頚部、項部
等)に外用塗布もしくは外用噴霧できる。このように、
低濃度のジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
を含有する化粧品もしくは健康薬を長期にわたって常時
使用することにより、皮膚の老化に伴う症状(皮膚の萎
縮、易感染性、たるみ、かゆみ、かさつき、亀裂、皮脂
欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、しみ、し
わ、そばかす、白髪、ふけ、脱毛、色素沈着、日焼け、
再生不良、乾燥等)を予防もしくは改善することができ
る。ただし、皮膚外用剤、粘膜外用剤、健康薬又は化粧
品に混入するジンセノサイド類特にはジンセノサイドR
の量は一応の目安であり、実際には皮膚局所もしく
は粘膜局所におけるジンセノサイド類特にはジンセノサ
イドRbの細胞外液濃度が1ng/ml以下、好まし
くは10pg/ml以下、より好ましくは100fg/
ml以下になるようにジンセノサイド類特にはジンセノ
サイドRbの配合量を調整する必要がある。
【0114】もちろん、ジンセノサイド類特にはジンセ
ノサイドRbを前述のごとく低濃度で健康薬(たとえ
ばうがい薬、洗眼液等)に混入して使用することによ
り、粘膜の老化(萎縮、上皮剥離、再生不良、粘膜剥
離、ひびわれ、乾燥等)を予防、改善又は軽減すること
もできる。ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
又は後述する薬用人蔘粗サポニン分画、薬用人蔘エキ
スもしくは薬用人蔘を、健康飲料食品、うがい薬、入浴
剤、洗眼薬等の健康薬の組成物として使用するときも、
好ましくは0.001重量%未満の濃度で健康薬の原液
を作成し、使用時にジンセノサイド類特にはジンセノサ
イドRb又は薬用人蔘粗サポニン分画、薬用人蔘エキ
スもしくは薬用人蔘の濃度が1ng/ml以下又は1
4.5ng/ml以下、好ましくは10pg/ml以下
又は145pg/ml以下、より好ましくは100fg
/ml以下又は1450fg/ml以下となるように原
液を希釈すればよい。もちろん前述の原液を凍結乾燥
後、粉末状の健康薬の原末として使用してもよい。原液
を凍結乾燥して粉末にした場合は、当然のことながら当
該粉末における健康薬組成物の重量%は増加するが、使
用時に凍結乾燥粉末を、健康薬組成物が上記のごとく低
濃度になるように希釈すればよい。一般に、薬用人蔘粗
サポニン分画の患部組織における至適細胞外液濃度は、
ジンセノサイドRbの至適細胞外液濃度の14.5倍
と考えられる。
【0115】前記の栽培実験により明らかにされている
ように、本発明の医薬組成物は、ヒトのみならず植物や
家畜やペットなどの生体組織にも適用することができ、
動物や植物の成長を調整することができる。したがっ
て、本発明は、ジンセノサイド類もしくはその代謝産物
又はそれらの塩、好ましくは薬用人蔘、薬用人蔘エキ
ス、薬用人蔘の粗サポニン分画、若しくはジンセノサイ
ド類又はそれらの塩からなる、植物又は動物の組織又は
細胞の新生、再生、成長、再構築、分化、保存、育成又
は栽培を促進するための成長調整用組成物を提供する。
また、本発明は、前記した本発明の成長調整用組成物を
用いた、植物の栽培方法、及び動物の飼育方法を提供す
るものである。本発明の成長調整用組成物としては、植
物の組織又は細胞の新生、再生、成長、再構築、分化、
保存、育成又は栽培を促進するための植物成長調整用組
成物、及び海産物、海産資源、水産物、水産資源、海産
動物、水産動物、ペット又は家畜の育成、保護又は養殖
のための動物成長調整用組成物が包含される。より詳細
には、本発明の成長調整用組成物としては、植物におけ
る成長促進剤、肥料添加物、肥料組成物などが挙げら
れ、動物における成長促進剤、飼料添加物、飼料組成物
などが挙げられる。
【0116】本発明の低濃度・低用量のジンセノサイド
類特にはジンセノサイドRbは、ヒトのみならずペッ
トや家畜の疾病・外傷・創傷の予防・治療・処置にも利
用することできる。さらに、低濃度のジンセノサイド類
特にはジンセノサイドRbは海産物(魚貝類、甲殻
類、ウナギ、アナゴ、ウニ、カキ、ワカメ、真珠貝、ア
コヤ貝等)及び水産物の養殖や農産物栽培にも利用され
る。もちろん、水族館などで飼育される魚介類の保護・
育成にも利用される。この場合、ジンセノサイド類特に
はジンセノサイドRbは、海洋資源や農作物を内分泌
撹乱物質、毒素、外傷、微生物、バイオハザード・環境
汚染等から守るものと考えられる。さらに、例えば水耕
野菜においてジンセノサイド類特にはジンセノサイドR
を栽培用の水に添加することにより、当該野菜を増
産することもできる。
【0117】本発明の成長調整用組成物の態様として
は、つぎのものが挙げられる。本発明は、ジンセノサイ
ド類もしくはその代謝産物又はそれらの塩、好ましくは
薬用人蔘もしくはそのエキス又は薬用人蔘成分もしくは
それらの代謝産物又はそれらの塩を含有してなる植物組
織の再生・新生又は再構築を促進するための組成物、成
長調製用組成物又は肥料組成物を提供する。本発明は、
植物組織の再生・新生又は再構築促進剤として有用な、
ジンセノサイド類もしくはその代謝産物又はそれらの
塩、好ましくは薬用人蔘もしくはそのエキス又は薬用人
蔘成分もしくはそれらの代謝産物又はそれらの塩を含有
してなる植物組織の損傷・外傷・切断もしくは欠損の予
防・処置・修復又は治療用の肥料添加物又は肥料組成物
を提供する。本発明は、植物組織たとえばポトスの茎・
枝などの挿し木もしくは水栽培に有用な、ジンセノサイ
ド類もしくはその代謝産物又はそれらの塩、好ましくは
薬用人蔘もしくはそのエキス又は薬用人蔘成分もしくは
それらの代謝産物又はそれらの塩からなる肥料添加物又
は肥料組成物を提供する。本発明は、ジンセノサイド類
もしくはその代謝産物又はそれらの塩、好ましくは薬用
人蔘もしくはそのエキス又は薬用人蔘成分もしくはそれ
らの代謝産物又はそれらの塩からなる動物用の飼料添加
物又は飼料組成物を提供する。
【0118】さらに詳細には、本発明は植物組織たとえ
ばポトスの茎・枝などの挿し木もしくは水栽培に有用
な、低濃度の薬用人蔘の粗サポニン分画もしくはジンセ
ノサイド類特にはジンセノサイドRbに関する。すな
わち、本発明は、植物の栽培・育成・保存・改良、生花
の保存、水栽培、農作物栽培・育成、野菜の栽培・育
成、果実・果樹の栽培・育成、たばこの栽培・育成、園
芸植物の栽培・育成・改良、薬用植物の栽培、きのこ栽
培、茶葉の栽培・育成等に有用な、ジンセノサイド類も
しくはその代謝産物又はそれらの塩、好ましくは薬用人
蔘もしくはそのエキス又は薬用人蔘成分もしくはそれら
の代謝産物又はそれらの塩からなる発根・発芽・成長促
進用組成物又は肥料添加物を提供する。
【0119】本発明の肥料添加物又は肥料組成物は、薬
用人蔘もしくはそのエキス又は薬用人蔘成分もしくはそ
れらの代謝産物又はそれらの塩を低濃度で含有してなる
ものが好ましい。肥料組成物として薬用人蔘成分たとえ
ばジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbを水栽
培に単独で、もしくは他の有効成分とともに使用すると
きは、水栽培用の溶液中のジンセノサイド類特にはジン
セノサイドRbの濃度は1ng/ml以下、好ましく
は10pg/ml以下、より好ましくは100fg/m
l以下に調整することが好ましい。本発明のジンセノサ
イド類特にジンセノサイドRbは0.01fg/ml
程度の濃度域でも充分に水栽培植物組織の発根・発芽・
成長・分化・再生・新生もしくは再構築を促進し、野
菜、果実、生花を含むあらゆる農作物・植物の保存・育
成・栽培・改良に利用することができる。また、ジンセ
ノサイド類特にはジンセノサイドRbを任意の固形肥
料、ゲル状肥料、液状肥料、液体肥料、粉末状肥料(た
とえば、単肥、土壌改良資材又は肥料、育苗肥料、水稲
・麦用肥料、緩効性肥料、高度化成、普通化成、有機化
成、NK・PK・PM化成、有機配合肥料、液肥等)に
添加又は混入するときも、その濃度は化粧品の場合と同
様に、0.001重量%以下もしくは未満、10−20
%以上に設定することが好ましい。肥料組成物としての
ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbの濃度の
上限は0.1重量%以下、好ましくは0.001重量%
以下である。本発明の薬用人蔘粗サポニン分画を肥料添
加物又は肥料組成物としてあるいは単独で水栽培に使用
するときは、水栽培用の溶液中の粗サポニン分画の濃度
は、14.5ng/ml以下、好ましくは145pg/
ml以下、より好ましくは1450fg/ml以下に調
整することが好ましい。本発明の薬用人蔘粗サポニン分
画は0.145fg〜1450fg/mlの濃度域でも
充分に水栽培植物組織の発根・発芽・成長・再生・新生
もしくは再構築を促進し、野菜、果実、生花を含むあら
ゆる農作物・植物の保存・育成・栽培に利用することが
できる。また薬用人蔘の粗サポニン分画を任意の固形肥
料、ゲル状肥料、液状肥料、液体肥料、粉末状肥料(た
とえば、単肥、土壌改良資材又は肥料、育苗肥料、水稲
・麦用肥料、緩効性肥料、高度化成、普通化成、有機化
成、NK・PK・PM化成、有機配合肥料、液肥等)に
添加又は混入するときも、その濃度は化粧品の場合と同
様に0.01重量%以下、好ましくは0.001重量%
以下、より好ましくは0.0001重量%以下、10
−20重量%以上とすることが好ましい。もちろん、薬
用人蔘の粗サポニン分画と同量もしくはその5〜6倍量
以下の薬用人蔘又は、薬用人蔘エキスを肥料組成物とし
て使用してもよい。肥料組成物としての粗サポニン分
画、薬用人蔘エキスの濃度の上限は1重量%以下であ
る。
【0120】後述の実施例で示すごとく、100fg/
mlのジンセノサイドRbもしくは1450fg/m
lの薬用人蔘粗サポニン分画を含有する水中で、植物組
織たとえばポトスの挿し木を栽培すると、対照の挿し木
に比べて明らかに根の新生(すなわち発根・成長)が促
進される。このことから判断すると、ジンセノサイド類
特にはジンセノサイドRb、薬用人蔘粗サポニン分
画、薬用人蔘粗サポニン分画を含有する薬用人蔘エキス
又は薬用人蔘が、動物組織のみならず、植物組織の新生
・再生もしくは再構築をも促進すると言える。しかも、
植物組織の新生・再生もしくは再構築を促進させるジン
セノサイドRbもしくは粗サポニン分画の細胞外液濃
度は、動物組織(皮膚組織、口腔粘膜組織)を再生・再
構築させる場合と同様に、極めて低いことが本発明にお
いて見出された。従って、薬用人蔘、薬用人蔘エキス、
薬用人蔘粗サポニン分画、ジンセノサイド類特にはジン
セノサイドRbは、植物の栽培・育成・保存、生花の
保存・栽培・育成、水栽培、農作物栽培・育成、野菜の
栽培・育成、果実(フルーツ)の栽培・育成、たばこの
栽培・育成、きのこ栽培、薬用植物栽培、茶葉の栽培・
育成等に利用できると言える。前述の薬用人蔘、薬用人
蔘エキス、薬用人蔘粗サポニン分画もしくはジンセノサ
イド類特にはジンセノサイドRbからなる肥料添加物
又は肥料組成物は、任意の肥料に好ましくは低濃度で混
入することができるし、単独で植物組織の発根・発芽・
新生・再生・成長・再構築促進剤として使用してもよ
い。
【0121】ジンセノサイド類特にはジンセノサイドR
もしくは薬用人蔘の粗サポニン分画が動物組織(皮
膚組織、口腔粘膜組織)のみならず植物組織の新生・再
生もしくは再構築を促進するという事実は、薬用人蔘、
薬用人蔘エキス、薬用人蔘粗サポニン分画、ジンセノサ
イドRbを始めとするジンセノサイド類があらゆる生
体組織の新生・再生もしくは再構築を促進することを物
語っている。従って薬用人蔘、薬用人蔘エキス、薬用人
蔘粗サポニン分画もしくはジンセノサイド類特にジンセ
ノサイドRbは家畜、養殖用魚貝類、ペット用飼料へ
の添加物すなわち飼料組成物としても利用できると言え
る。たとえば、魚貝類、甲殻類、ウナギ、ウニ、カキ、
アナゴ、真珠貝、アコヤ貝等の養殖の際に、低濃度の薬
用人蔘、薬用人蔘エキス、薬用人蔘粗サポニン分画もし
くはジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbを海
水又は淡水に通常の飼料とともに添加すれば、これらの
水産資源もしくは海産資源の発育が促進されると考えら
れる。もちろん、薬用人蔘、薬用人蔘エキス、薬用人蔘
粗サポニン分画もしくはジンセノサイド類特にジンセノ
サイドRbは、その細胞保護作用を介して、魚貝類、
甲殻類、ウナギ、アナゴ等の海産・水産資源を外傷、創
傷、病原微生物、バイオハザード、内分泌撹乱物質、環
境汚染、毒素等から守ることができる。すなわち、本発
明の飼料添加物又は飼料組成物は来るべき食糧危機から
人類を救済するために必須のものとなる。以上のごと
く、薬用人蔘粗サポニン分画、薬用人蔘エキス、薬用人
蔘、ジンセノサイド類は10−20重量%から0.1重
量%又は1重量%の濃度域で成長調整用組成物として使
用できる。また、ジンセノサイドRbなどのジンセノ
サイド類や薬用人蔘の粗サポニン分画が植物組織の再生
・新生もしくは再構築を促進するという事実は、低濃度
の粗サポニン分画もしくは粗サポニン分画を含有する薬
用人蔘エキス又は薬用人蔘が皮膚組織の再生もしくは再
構築をも促進することにより、ケミカルピーリング用組
成物、化粧品組成物、健康薬組成物、発毛・育毛用組成
物、医薬組成物もしくは獣医薬組成物として利用される
ことを支持している。
【0122】本発明の前記してきた各組成物、すなわち
医薬組成物、獣医薬組成物、皮膚外用組成物、粘膜外用
組成物、健康薬組成物、化粧品組成物、発毛育毛用組成
物、成長調整用組成物などは、ジンセノサイドRb
どのジンセノサイド類もしくはその代謝産物又はそれら
の塩を、低濃度で含有してなるものが好ましい。また、
本発明のこれらの組成物は、静脈内投与、粘膜投与や皮
膚外用投与などの非経口投与形態のものが好ましい。よ
り詳細には、本発明の医薬組成物、獣医薬組成物、健康
薬組成物もしくは化粧品組成物は、ジンセノサイド類誘
導体特にはジヒドロジンセノサイドRbもしくはその
代謝産物又はそれらの塩を低濃度で含有してなる非経口
投与製剤、粘膜外用塗布・外用噴霧製剤もしくは皮膚外
用塗布・外用噴霧製品が好ましい。また、本発明は、ジ
ンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドR
もしくはその代謝産物又はそれらの塩を好ましくは
低濃度で含有してなる生体組織の病理組織学的変化をき
たす疾患の予防・処置又は治療用の非経口投与製剤、好
ましくは静脈内もしくは血管内投与用製剤、粘膜外用剤
又は皮膚外用剤をも提供するものである。さらに本発明
は、ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサ
イドRb もしくはその代謝産物又はそれらの塩を好ま
しくは低濃度で含有してなる、皮膚もしくは粘膜の老化
症状を予防、処置、改善するための化粧品又は健康薬を
提供するものである。
【0123】本発明のこれらの組成物は、静脈内投与用
製剤、粘膜外用剤、皮膚外用剤もしくは皮膚外用塗布・
外用噴霧が好ましいが病変部局所外用剤、病変部局所注
射剤、経口投与製剤、点鼻薬、点耳薬、点眼薬、眼軟
膏、坐薬、皮下注射薬、皮内注射薬、筋肉注射薬、吸入
薬、舌下薬、人工唾液、関節内投与薬、経皮吸収薬等、
任意の投与経路が選択できる。また徐放剤として使用し
てもよい。
【0124】以上説明してきたように、ジンセノサイド
類特にはジンセノサイドRbの静脈内投与、粘膜外用
投与もしくは皮膚外用投与は、皮膚組織や粘膜組織の再
生・再構築促進作用もしくは創傷治癒促進作用を介し
て、前記したあらゆる皮膚疾患もしくは口腔疾患の予
防、治療、処置に効果・効能を示すと考えられる。この
ように静脈内投与、粘膜局所投与もしくは皮膚局所投与
により、傷害を受けた皮膚組織もしくは粘膜組織を傷害
前に近い状態にまで再生・再構築せしめる化合物として
は、低濃度・低用量のジンセノサイド類特にはジンセノ
サイドRbが人類史上最初のものと考えられる。
【0125】すなわち、本発明者らは、ジンセノサイド
類特にはジンセノサイドRb又はその代謝産物が、皮
膚組織もしくは粘膜組織の再生又は再構築の促進作用、
特に皮膚の切開創、開放創もしくは欠損後の皮膚組織再
生・再構築の促進作用、ヒト口腔粘膜の咬傷後の粘膜組
織再生・再構築促進作用、創傷治癒促進作用又は表皮、
真皮、真皮の乳頭、皮下組織、粘膜固有層、筋組織、結
合組織、毛包、毛乳頭、立毛筋、皮脂腺、汗腺、唾液
腺、粘液腺、混合腺、末梢神経、血管、線維芽細胞、幹
細胞、間葉系細胞、上皮細胞、腺細胞、筋上皮細胞、表
皮細胞、表皮角化細胞、角質細胞、メラノサイト、メル
ケル細胞、血管内皮細胞、立毛筋の細胞、血管平滑筋細
胞、平滑筋細胞、筋細胞、膠原線維、弾性線維、細網線
維、細胞外基質の再生・再構築を促進する作用を有する
ことを初めて見出したものである。
【0126】従って、本発明は、ジンセノサイド類特に
はジンセノサイドRb又はその代謝産物を前記した皮
膚組織ならびに口腔組織やその他の臓器・組織の疾患の
予防・処置又は治療用の他の有効成分を探索するための
リード化合物として使用することができることを提供す
るものである。また、ジンセノサイド類特にはジンセノ
サイドRbの化学構造の一部を修飾してプロドラッグ
を作成したのちに、任意の投与経路を選択することも可
能である。さらに、ジンセノサイド類特にはジンセノサ
イドRbもしくはその代謝産物の標的分子を同定する
ことにより、標的分子の機能を修飾する新規化合物をも
合成して皮膚疾患治療薬・創傷治癒促進剤、皮膚組織再
生・再構築促進剤、口腔疾患治療薬、粘膜組織再生・再
構築促進剤、皮膚又は粘膜の老化症状抑止用化粧品の開
発を目指すこともできる。
【0127】従って、本発明は、これらの疾患の新しい
予防・処置又は治療用の有効成分を探索するためのリー
ド化合物としてのジンセノサイド類特にはジンセノサイ
ドRb又はその代謝産物を提供するものでもある。も
ちろん、薬用人蔘もしくはそのエキス又はジンセノサイ
ドRbを含む薬用人蔘成分もしくはそれらの代謝産物
をリード化合物として利用することにより、植物組織の
発根・発芽・成長・分化・新生・再生もしくは再構築を
促進するための組成物又は肥料組成物を新規に開発する
こともできる。このように、今後は、ジンセノサイドR
もしくはその代謝産物をリード化合物として利用す
ることにより、皮膚組織もしくは口腔粘膜の損傷、創
傷、外傷もしくは欠損による疾患もしくは皮膚や口腔な
らびにその他の臓器や粘膜の病理組織学的変化をきたす
疾患の予防、治療、処置剤を多種類作成できる。
【0128】すなわち、本発明は、ジンセノサイド類特
にはジンセノサイドRbもしくはその代謝産物が皮膚
組織のあらゆる疾患に対する予防・処置又は治療に極め
て有効であることを見出したものであり、従って本発明
はジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb又はそ
の代謝産物をリード化合物として、皮膚疾患もしくは後
述する口腔粘膜疾患あるいは粘膜疾患全般に対する予防
・処置又は治療のための有効成分を探索する方法に関す
る。さらに、本発明は、皮膚組織もしくは粘膜の疾患に
対する予防・処置又は治療のための有効成分を探索する
ためのリード化合物としてのジンセノサイド類特にはジ
ンセノサイドRb又はその代謝産物の使用に関する。
本発明は、前記した方法又は使用により得られた皮膚組
織や口腔粘膜の疾患に対する予防・処置又は治療剤にも
関する。
【0129】次に、本発明のジンセノサイド類特にはジ
ンセノサイドRb又はその代謝産物をリード化合物と
して新規な誘導体を創製する例を示す。この例は、ジン
セノサイドRbを水素還元により化学修飾したジヒド
ロジンセノサイドRbについてのものである。
【0130】本発明者らは、ジンセノサイド類誘導体特
にはジヒドロジンセノサイドRb又はその代謝産物
が、皮膚組織の再生又は再構築の促進作用、特に皮膚の
開放創もしくは欠損後の皮膚組織再生・再構築の促進作
用、創傷治癒促進作用又は表皮、真皮、真皮の乳頭、皮
下組織、結合組織、毛包、毛乳頭、立毛筋、皮脂腺、汗
腺、末梢神経、血管、線維芽細胞、幹細胞、間葉系細
胞、上皮細胞、腺細胞、筋上皮細胞、表皮細胞、表皮角
化細胞、角質細胞、メラノサイト、メルケル細胞、血管
内皮細胞、立毛筋の細胞、血管平滑筋細胞、平滑筋細
胞、筋細胞、膠原線維、弾性線維、細網線維、細胞外基
質の再生・再構築を促進する作用を有することを初めて
見出したものであり、従って、本発明は、ジンセノサイ
ド類特にはジンセノサイドRb又はその代謝産物を前
記した皮膚組織やその他の臓器・組織の疾患の予防・処
置又は治療用の他の有効成分を探索するためのリード化
合物として使用することができることを証明するもので
ある。また、ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジ
ンセノサイドRbの化学構造の一部を修飾してプロド
ラッグを作成したのちに、任意の投与経路を選択するこ
とも可能である。もちろん、薬用人蔘もしくはそのエキ
ス又はジンセノサイドRbを含む薬用人蔘成分もしく
はそれらの代謝産物をリード化合物として利用すること
により、植物組織の発根・発芽・成長・分化・新生・再
生もしくは再構築を促進するための成長調整用組成物又
は肥料組成物を新規に開発することができることも、本
発明は明らかにしている。
【0131】本発明のジヒドロジンセノサイドRb
下記構造式
【0132】
【化2】
【0133】で示されるものであり、ジヒドロジンセノ
サイドRbは、以下の方法で製造できることがPCT
/JP00/04102(薬用人蔘からなる脳細胞また
は神経細胞保護剤)に記述されている。まず10%Pd
/c(パラジウムチャーコール)10.2mgを秤量
し、活セン付2口フラスコに入れる。メタノール(特
級)を1ml加えて懸濁させる。水素風船(約1.1気
圧)をとりつけ30分0℃で触媒を活性化する。ジンセ
ノサイドRb19.9mgをメタノール1mlで溶か
し注射器で注入する。混合物を10時間半0℃で激しく
攪拌する(磁気スターラー)。反応混合物をろ紙及び
0.45μmのメンブランフィルターでろ過する。メタ
ノールを減圧除去する。純水10mlに溶解させたのち
凍結乾燥すると19.9mg(収率97%)のジヒドロ
ジンセノサイドRbが白色粉末として得られる。ジヒ
ドロジンセノサイドRbの融点は193−195℃で
ある。ちなみにジンセノサイドRbの融点は197−
198℃(文献値)である。なお、ジヒドロジンセノサ
イドRbのNMRチャートについては、PCT/JP
00/04102に提示されている。このような方法に
より製造されたジヒドロジンセノサイドRbの純度は
98%以上であることが核磁気共鳴スペクトル(NM
R)ならびにHPLCにより確認されている。また、ジ
ンセノサイドRb以外のジンセノサイド類についても
同様の方法により還元し、ジヒドロ化することができ
る。
【0134】本発明のジンセノサイド類誘導体特にはジ
ヒドロジンセノサイドRbはPCT/JP00/04
102で記載されたごとく、遊離のものを使用すること
もできるが、それを適当な塩と使用することもできる。
また、それらの水和物のような溶媒和物として使用する
こともできる。本発明のジンセノサイド類誘導体特には
ジヒドロジンセノサイドRbはジンセノサイドRb
と同様にあらゆる化粧品や健康薬(化粧水(スキンロー
ション)、乳液(ミルクローション)、美容液、マッサ
ージ剤、パック剤、乳剤、ファンデーション、ゲル、ロ
ーション、エマルジョン、パウダー、ヘアーダイ、ヘア
ーマニキュア、ハンドクリーム、コールドクリーム、ア
イシャドウ、クレンジングクリーム、洗顔フォーム、ナ
イトクリーム、美白クリーム、トローチ、おしろい、口
紅、化粧石けん、入浴剤、うがい薬、健康飲料水、アイ
ソトニックウォーター、氷、シャーベット、アイスクリ
ーム、洗眼液、洗眼薬、洗顔液、シャンプー、リンス、
歯みがき粉、リップクリーム、下地クリーム(メイクア
ップベース)、ヘアーリキッド、ヘアートニック、UV
リキッドファンデーション、パウダーファンデーション
等)に好ましくは低濃度で混入することができる。ジン
セノサイド類誘導体の基剤ならびに併用可能な皮膚外用
組成物についてはジンセノサイドRbの場合と同様で
ある。本発明の実験結果によれば、ジヒドロジンセノサ
イドRbを細胞保護剤として利用するときの細胞外液
濃度は、100ng/ml以下、好ましくは10pg/
ml以下、より好ましくは100fg/ml以下であ
る。またジヒドロジンセノサイドRbを0.0000
1重量%(10−5重量%)〜0.0000001重量
%(10−7重量%)含有する皮膚外用剤は有意に開放
創を縮小せしめることが後述の実施例で明らかにされて
いる。ちなみに、0.00001重量%のジヒドロジン
セノサイドRbは100ng/gもしくは100ng
/ml程度の濃度と考えられる。これらのことから判断
すると、本発明のジンセノサイド類誘導体特にはジヒド
ロジンセノサイドRbが皮膚組織の再生・再構築促進
剤として作用する濃度は、PCT/JP00/0410
2(薬用人蔘からなる脳細胞又は神経細胞保護剤)で記
述されたものと同様に低濃度が好ましく、より具体的に
は、病変部の細胞外液濃度が100ng/ml以下、好
ましくは10pg/ml以下、より好ましくは100f
g/ml以下となる濃度である。本発明のジンセノサイ
ド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbを静脈
内投与用製剤もしくは皮膚外用剤として使用する場合に
も、患者の患部組織における細胞外液濃度が前記の濃度
になるように製剤を調整することが好ましい。本発明の
医薬組成物や製剤は、患部組織の細胞外液濃度が0.0
1〜100fg/ml程度もしくはそれ以下の濃度(た
とえば0.00001fg/ml)でも充分な効果が得
られる。また、ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロ
ジンセノサイドRbを化粧品や健康薬の組成物として
使用することにより、皮膚や粘膜の老化症状(皮膚の萎
縮、易感染性、たるみ、ふけ、脱毛、白髪、かゆみ、か
さつき、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわ
れ、しみ、しわ、そばかす、再生不良、色素沈着もしく
は乾燥等又は粘膜の萎縮、上皮剥離、粘膜剥離、再生不
良、ひびわれもしくは乾燥等)の予防、処置、改善を目
指すときも、皮膚局所又は粘膜局所におけるジンセノサ
イド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbの細
胞外液濃度が前記のごとく低濃度になるよう化粧品又は
健康薬へのジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジン
セノサイドRb混入量を調整する必要がある。もちろ
んジンセノサイド類誘導体特にジヒドロジンセノサイド
Rbは米国特許5,663,160で記載された他の
化粧品組成物とともに化粧品に混入することができる
が、他の化粧品組成物についても米国特許5,663,
160で記載された濃度よりも低い濃度で使用すること
を特徴とするものである。また、ジンセノサイド類誘導
体特にジヒドロジンセノサイドRbはその他の任意の
化粧品組成物又は健康薬組成物とともにあらゆる化粧品
又は健康薬の中に混入することができるが、ジンセノサ
イド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbとと
もに使用するその他の任意の化粧品組成物又は健康薬組
成物についても従来の文献や特許明細書で記載された濃
度より低い濃度で使用することが好ましい。したがっ
て、本発明の化粧品組成物又は健康薬組成物は、通常の
化粧品のみならず、歯みがきやシャンプーなどの医薬部
外品や、健康グッズなどの生体の表皮又は口腔部などの
粘膜に直接又は間接的に接触する物品をすべて包含す
る。
【0135】さて、後述の実施例で示すごとく、ジヒド
ロジンセノサイドRbは、ジンセノサイドRbとほ
ぼ同様の低濃度・低濃度域で神経細胞のアポトーシスも
しくはアポトーシス様神経細胞死を抑止し、かつ外用投
与により皮膚の開放創の治癒を顕著に促進する。しか
も、PCT/JP00/04102(薬用人蔘からなる
脳細胞または神経細胞保護剤)において発明されたごと
く、ジヒドロジンセノサイドRbからなる静脈投与用
製剤は、ジンセノサイドRbからなる静脈内投与用製
剤とほぼ同様の用量で、優れた脳梗塞治療効果を示す。
すなわち、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
の効果・効能・用途は、ジンセノサイド類誘導体特に
はジヒドロジンセノサイドRbの効果・効能・用途と
酷似していると言える。このような推測に基づけば、本
発明において明らかにされたジンセノサイドRbの効
果・効能・用途はすべてジンセノサイド類誘導体特には
ジヒドロジンセノサイドRbにもあてはまると言え
る。従って、ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジ
ンセノサイドRbは、ジンセノサイドRbと同様
に、粘膜組織の再生・再構築を促進させるための医薬組
成物、植物組織の発根・発芽・成長・新生・分化・再生
もしくは再構築を促進させるための成長調整用組成物又
は肥料組成物、魚貝類・海産資源・水産資源・家畜もし
くはペットの育成、保護又は養殖のための飼料組成物又
は成長調製用組成物、として利用できることになる。当
然のことながら、ジンセノサイド類誘導体特にはジヒド
ロジンセノサイドRbは前述のごとく静脈内投与用製
剤又は粘膜外用剤として使用できる。以下にこれらのこ
とについて記述する。
【0136】本発明のジンセノサイド類誘導体特にはジ
ヒドロジンセノサイドRbからなる静脈内投与用製剤
は、血管内、好ましくは静脈内に直接できるものであれ
ばよく、生理食塩水、蒸留水、リン酸緩衝液、ブドウ糖
液、リポソーム、脂肪乳剤等に溶解した後に、単回静脈
内注入用製剤もしくは静脈内持続投与用製剤として使用
できる。また、点滴用組成物などの静脈内投与製剤に添
加して使用できる剤型であってもよい。また、ジンセノ
サイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRb
化学構造の一部を修飾してプロドラッグを作成し、任意
の投与経路、投与方法を選択することができる。たとえ
ば、ジヒドロジンセノサイドRbの水酸基をエステル
化してプロドラッグを作成した後に投与し、内因性エス
テラーゼで加水分解せしめることによりジヒドロジンセ
ノサイドRbを生体組織内で作用させることも可能で
ある。本発明のジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロ
ジンセノサイドRbからなる生体組織の病理組織学的
変化をきたす器質的疾患の予防、処置、治療のための皮
膚外用剤もしくは粘膜外用剤は、任意又は公知の基剤た
とえば水溶性基剤(クリーム等)、乳剤性基剤、配合剤
もしくは脂溶性基剤(軟膏基剤)にジンセノサイド類誘
導体特にはジヒドロジンセノサイドRbを好ましくは
低濃度で混入することにより作成できる。また、アフタ
ッチのように粘膜に密着する製剤に低濃度のジンセノサ
イド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbを混
入してもよい。具体的には水溶性基剤、乳剤性基剤、配
合剤もしくは軟膏基剤(脂溶性基剤)たとえば眼科用白
色ワセリン(プロペト)100gあたりに、ジンセノサ
イド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbを1
g(1重量%)以下又は未満、好ましくは10mg
(0.01重量%)以下又は未満、より好ましくは0.
1mg(0.0001重量%)以下又は未満、1fg
(10−15重量%)以上となるように混入した後に、
前記疾患の予防、処置もしくは治療のための皮膚外用剤
もしくは粘膜外用剤として使用できる。もちろん、前述
の皮膚外用剤もしくは粘膜外用剤の中にジンセノサイド
類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbの他に任
意の医薬組成物(たとえば、ブドウ糖、抗生物質、ビタ
ミンE、ビタミンE誘導体、ビタミンD、ビタミンD誘
導体、ビタミン類、抗ウィルス剤、免疫抑制剤、抗アレ
ルギー剤、ステロイド剤、薬用人蔘成分、天然物成分
等)を混入してもよい。特にアトピー性皮膚炎、接触性
皮膚炎もしくは花粉症等のアレルギー性の皮膚粘膜疾患
に対しては、常用量以下もしくは従来の特許文書で開示
された用量未満のステロイド(剤)、抗アレルギー用医
薬組成物又は免疫抑制用医薬組成物等をジンセノサイド
類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbからなる
皮膚外用剤や粘膜外用剤に混入すると著効が得られる。
また、ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノ
サイドRbを含有する皮膚外用剤もしくは粘膜外用剤
とその他任意の医薬組成物を含有する皮膚外用剤もしく
は粘膜外用剤とを併用してもよい。前記疾患の予防、処
置、治療のための皮膚外用剤もしくは粘膜外用剤におけ
るジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイ
ドRbの濃度の上限は、10重量%以下、好ましくは
1重量%以下である。
【0137】液状の化粧品、たとえば通常のUVリキッ
ドファンデーションにジンセノサイド類誘導体特にはジ
ヒドロジンセノサイドRbを混入するときは、その濃
度が100μg/ml以下、好ましくは10ng/ml
以下、より好ましくは0.01fg/ml〜100pg
/mlとなるように調整した上で、連日皮膚に外用塗布
もしくは外用噴霧すれば皮膚局所におけるジンセノサイ
ド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbの細胞
外液濃度が前記のごとく、低く維持され、皮膚の老化症
状(皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、脱毛、ふ
け、白髪、かさつき、亀裂、皮脂欠乏、角質細胞剥離、
角層剥離、ひびわれ、乾燥、しみ、しわ、そばかす、色
素沈着、再生不良、日焼け等)の改善、進行予防もしく
は悪化予防に役立つ。また、固形、ゲル状もしくはクリ
ーム状の化粧品たとえば、通常の下地クリームやナイト
クリームにジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジン
セノサイドRbを混入するときも、ジンセノサイド類
誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbの混入量を
クリーム1gあたり100μg以下、好ましくは10n
g以下、より好ましくは0.01fg〜100pg程度
にして、連日皮膚に外用塗布すれば、皮膚の老化症状
(萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、かさつき、亀裂、
皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、乾燥、
しみ、しわ、そばかす、白髪、ふけ、脱毛、色素沈着、
再生不良、日焼け等)の予防、改善、処置に役立つ。た
だし、ジンセノサイド類誘導体特にジヒドロジンセノサ
イドRb を任意の化粧品に混入して、きわめて長期に
わたって使用するときは化粧品1gあたりのジンセノサ
イド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbの含
有量を0.0000001fgまで下げてもよい。ジン
セノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRb
を皮膚の老化症状の予防、改善、処置の目的で上記の
化粧品に混入する際の濃度の上限は、液状の化粧品の場
合、10mg/ml以下、固形、ゲル状もしくはクリー
ム状の化粧品の場合は10mg/g以下、すなわち1重
量%以下である。しかし、1重量%という高濃度のジン
セノサイド類誘導体は、かえって皮膚の正常細胞の膜を
障害することにもなりかねないので、長期間使用する化
粧品や健康薬にジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロ
ジンセノサイドRbを混入するときは、本発明で記述
した皮膚疾患や粘膜疾患の予防、処置、治療用の外用剤
における至適濃度よりも濃度を低くする方が安全と考え
られる。もちろん、上記のごとくジンセノサイド類誘導
体特にはジヒドロジンセノサイドRbを微量含有する
化粧品は、顔面に外用塗布、外用噴霧するのみならず、
日光に頻繁に照射されるその他の皮膚組織(たとえば四
肢、体幹、頚部、項部等)に外用塗布もしくは外用噴霧
できる。このように、低濃度のジンセノサイド類誘導体
特にはジヒドロジンセノサイドRbを含有する化粧品
もしくは健康薬を長期にわたって常時使用することによ
り、皮膚の老化に伴う症状(皮膚の萎縮、易感染性、た
るみ、かゆみ、かさつき、亀裂、皮脂欠乏、角質細胞剥
離、角層剥離、ひびわれ、しみ、しわ、そばかす、白
髪、ふけ、脱毛、色素沈着、日焼け、再生不良、乾燥
等)を予防もしくは改善することができる。ただし、皮
膚外用剤、粘膜外用剤、健康薬又は化粧品に混入するジ
ンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドR
の量は一応の目安であり、実際には皮膚局所もしく
は粘膜局所におけるジンセノサイド類誘導体特にはジヒ
ドロジンセノサイドRbの細胞外液濃度が100ng
/ml以下、好ましくは10pg/ml以下、より好ま
しくは100fg/ml以下になるようにジンセノサイ
ド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbの混入
量を調整する必要がある。もちろん、ジンセノサイドR
と同様に、ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロ
ジンセノサイドRbを前述のごとく低濃度で健康薬
(たとえばうがい薬、洗眼液、健康飲料水、健康飲料食
品等)に混入して使用することにより、粘膜の老化(萎
縮、上皮剥離、粘膜剥離、再生不良、ひびわれ、乾燥
等)を予防、改善又は軽減することもできる。
【0138】本発明のジンセノサイド類誘導体特にはジ
ヒドロジンセノサイドRbは、ジンセノサイドRb
と同様、皮膚の切開創、開放創もしくは欠損発症後に1
週間程度静脈内へ持続投与することにより又は単回もし
くは連日皮膚局所へ外用塗布・噴霧することにより、脱
落した皮膚組織の再生・再構築を促進して創傷治癒を早
めることができると考えられる。また、本発明のジヒド
ロジンセノサイドRb は、ジンセノサイドRbと同
様に、口腔粘膜の咬傷後に1週間前後、創傷部位に1日
1〜10回外用塗布することにより脱落した口腔粘膜組
織の再生・再構築を促進して創傷治癒を早めることがで
きると考えられる。従って、ジンセノサイド類誘導体特
にはジヒドロジンセノサイドRbの静脈内投与、粘膜
外用投与もしくは皮膚外用投与は、ジンセノサイドRb
と同様に、皮膚組織や粘膜組織の再生・再構築促進作
用もしくは創傷治癒促進作用を介して、前記したあらゆ
る皮膚疾患もしくは口腔疾患の予防、治療、処置に効果
・効能を示すと考えられる。ジヒドロジンセノサイドR
を用いてなされた本発明は、今後ジンセノサイド類
特にはジンセノサイドRbもしくはその代謝産物をリ
ード化合物として利用することにより、皮膚組織もしく
は口腔粘膜の損傷、創傷、外傷もしくは欠損による疾患
もしくは皮膚や口腔ならびにその他の臓器や粘膜の病理
組織学的変化をきたす疾患の予防、治療、処置剤を多種
類作成できることを明らかにするものである。
【0139】また、本発明のジンセノサイド類誘導体特
にはジヒドロジンセノサイドRbの静脈内持続投与、
口腔粘膜外用投与もしくは皮膚外用投与は損傷、創傷、
外傷もしくは欠損を受けた皮膚組織や口腔粘膜組織の再
生・再構築を促進して創傷治癒を早めると考えられるの
で、このような事実に基づけば、ジンセノサイド類誘導
体特にはジヒドロジンセノサイドRbの静脈内投与や
局所投与は、腹部や胸部の内臓器官、頭頸部の器官、な
らびに骨、関節、靱帯、筋、血管、神経の損傷、外傷、
創傷もしくは欠損による疾患や同臓器の病理組織学的変
化をきたすあらゆる疾患に対しても、皮膚組織もしくは
口腔粘膜組織の損傷、創傷、外傷、欠損の場合と同様
に、組織再生・再構築促進作用又は創傷治癒促進作用を
介して効果・効能を発揮するものとされる。従って、外
科的処置及び手術における臓器切断縫合部の回復促進、
縫合不全防止、消化性潰瘍病変の予防、治療、処置、肝
・腎・脾・膵・肺・腸管・消化器・泌尿生殖器・内分泌
腺・外分泌腺・子宮・膀胱・胆のう切除術後の臓器再生
・再構築促進、骨・関節・靱帯・腱・末梢神経・髄膜再
建手術(整形外科及び脳神経外科手術)における当該組
織の再生・再構築促進、肝・腎・脾・膵・肺・腸管・泌
尿生殖器等の臓器の損傷、創傷、外傷、欠損の予防、治
療、処置にも低用量・低濃度のジンセノサイド類誘導体
特にはジヒドロジンセノサイドRbの静脈内投与、術
中局所投与、点鼻投与、挿肛投与等が有効である。ま
た、前記した臓器・組織の病理組織学的変化をきたすあ
らゆる内因性・外因性疾患に対して低用量・低濃度のジ
ンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドR
が有効である。このような疾患としては、成書(今
日の治療指針;監修、日野原重明、阿部正和、医学書
院;1995;今日の治療指針;総編集、多賀須幸男、
尾形悦郎、医学書院;2000;或いは今日の整形外科
治療指針第4版;編集、二ノ宮節夫、富士川恭輔、越智
隆弘、国分正一、医学書院;2000)に記載されたす
べての疾病や病態が含まれる。本発明の低濃度・低用量
のジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイ
ドRbは、ヒトのみならずペットや家畜の疾病・外傷
・創傷の予防・治療・処置にも利用できる。さらに、低
濃度のジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノ
サイドRb は海産物(魚貝類、甲殻類、ウナギ、アナ
ゴ、ウニ、カキ、ワカメ、真珠貝、アコヤ貝等)及び水
産物の養殖や農産物栽培にも利用される。この場合、ジ
ンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドR
は、海洋資源や農作物を内分泌撹乱物質、毒素、外
傷、微生物、バイオハザード・環境汚染等から守るもの
と考えられる。さらに、例えば水耕野菜においてジンセ
ノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRb
を栽培用の水に添加することにより、当該野菜を増産す
ることもできる。
【0140】さらに、本発明のジンセノサイド類誘導体
特にはジヒドロジンセノサイドRb の薬剤としての特
徴で、見逃せないのが、これと言った副作用を示さない
点である。事実、PCT/JP00/04102(薬用
人蔘からなる脳細胞または神経細胞保護剤)において示
されたごとく体重300g程度のラットに1日あたり6
μgを静脈内持続投与して脳梗塞の治療を目指す限りに
おいては、ジヒドロジンセノサイドRbは極めて安全
な医薬組成物であると考えられる。また、皮膚外用剤や
粘膜外用剤として使用するジンセノサイドRbの投与
量は、静脈内投与量に比べてはるかに少ない。もちろ
ん、本発明者らが、今回の各実験例において、本発明の
ジヒドロジンセノサイドRbを皮膚外用投与した動物
を注意深く観察した範囲内でも、副作用は検出されなか
った。
【0141】後述の実施例で示すごとく、0.0000
1重量%(10−5重量%)、0.000001重量%
(10−6重量%)もしくは0.0000001重量%
(10−7重量%)のジヒドロジンセノサイドRb
含有する皮膚外用剤をラットの開放創に塗布することに
より、創傷治癒ならびに皮膚組織再生・再構築が明らか
に促進され、開放創部の面積の平均が対照群の1/2〜
1/4程度に縮小した。しかし、0.0001重量%
(10−4重量%)の濃度のジヒドロジンセノサイドR
のラット開放創治療効果は軽微であったので、ジン
セノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRb
は0.0001%以下又は未満の濃度で皮膚外用剤に
混入することが好ましいと考えられた。これらのこと
は、ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサ
イドRbが皮膚組織の損傷、欠損、変性脱落を示す疾
患(皮膚の潰瘍、外傷、熱傷、凍傷、紫外線障害、放射
線障害、電撃傷、褥創、創傷、水疱性皮膚疾患等)や皮
膚の病理組織学的変化をきたす疾患(たとえば、今日の
皮膚疾患治療指針第2版;編集、池田重雄、今村貞夫、
大城戸宗男、荒田次郎、医学書院;1996に記載の疾
患ならびに、創傷、熱傷、放射線障害、凍傷、紫外線障
害、電撃症、外傷、皮膚潰瘍、褥創、接触性皮膚炎、水
疱性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、乾皮症、自家感作性皮
膚炎、紅皮症、剥脱性皮膚炎、表皮水疱症、光線過敏
症、慢性色素性紫斑(シャンバーグ病)、ストロフル
ス、虫刺され、痒疹、多形滲出性紅斑、環状紅斑、結節
性紅斑、天疱瘡、類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、掌蹠膿疱
症、乾癬、扁平苔癬、魚鱗癬、毛孔性苔癬、黄色腫症、
皮膚アミロイドーシス、単純疱疹、ウイルス性いぼ、伝
染性軟属腫、膿皮症、皮膚結核、皮膚非定型抗酸菌症、
白癬、皮膚・口腔カンジダ症、疥癬、毛虱症、梅毒、ケ
ロイド、肥厚性瘢痕、血管腫、リンパ腫、母斑、尋常性
白斑、雀卵斑、肝斑、黒皮症、汗疱、あせも、にきび、
酒査皮(しゅさ)、酒査皮(しゅさ)様皮膚炎、口腔粘
膜潰瘍、口内炎、口囲皮膚炎、皮膚の老化症状、脱毛
症、爪囲炎、ドライアイ、嵌入爪等)の予防・治療・処
置に有用であることを物語っている。なお、当然のこと
ながら、皮膚組織の損傷、欠損、変性脱落を示す疾患
も、皮膚の病理組織学的変化をきたす疾患の中に含まれ
る。もちろん、ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロ
ジンセノサイドRbは、低濃度・低用量のジンセノサ
イドRbと同様に、口腔粘膜の損傷、咬傷、創傷、熱
傷、外傷もしくは欠損による疾患や粘膜ならびに口腔粘
膜の病理組織学的変化をきたすあらゆる疾患や病態、す
なわちう蝕、歯髄炎、辺緑性歯周組織炎、口内炎、舌
炎、再発性アフタ、口腔内アフタ、口臭、口腔異常感
症、歯性感染症、口腔粘膜咬傷、舌の咬傷、口腔粘膜熱
傷、舌の熱傷、舌の損傷、口腔粘膜損傷、歯肉炎、歯槽
膿漏、カタール性口内炎、壊疽性口内炎、ワンサン口内
炎、アフタ性口内炎、急性疱疹性歯肉口内炎、ヘルパン
ギーナ、帯状疱疹、口腔粘膜びらん、口腔粘膜潰瘍、褥
瘡性潰瘍、放射線性口内炎、天疱瘡、口腔カンジダ症、
粘膜欠損、粘膜びらん、粘膜潰瘍、扁平苔癖、Riga
−Fede病、平滑舌、赤平舌、シェーグレン症候群等
による疾患の予防・処置又は治療に有用である。
【0142】PCT/JP00/04102(薬用人蔘
からなる脳細胞または神経細胞保護剤)において、本発
明者ら(阪中、田中、仲田)は、ジヒドロジンセノサイ
ドRbを6μg/日〜60μg/日の用量で体重30
0g程度の脳梗塞ラットに静脈内投与すれば優れた脳梗
塞治療効果が得られることを発明している。また、ジン
セノサイドRbも同様の用量で静脈内投与すると、優
れた脳梗塞治療効果、創傷治癒促進作用又は皮膚組織再
生・再構築促進作用がみられる。従って、ジヒドロジン
セノサイドRbも前記した用量で静脈内投与すると、
優れた創傷治癒促進作用又は皮膚組織再生・再構築促進
作用を発揮すると考えられる。このような推測に基づけ
ば、皮膚組織又は粘膜組織の損傷、創傷、外傷もしくは
欠損による疾病もしくは皮膚又は粘膜の病理組織学的変
化をきたす疾病を患ったヒトもしくは脊椎動物(体重6
0kgと仮定)の静脈内への至適薬物(ジンセノサイド
類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRb)投与量
は、体重あたりで計算すると1日あたり1.2mgから
12mgということになる。従って本発明の医薬組成物
をヒト皮膚疾患又は粘膜疾患の予防、治療、処置に使用
する場合、1日あたりの全身投与量としては、患者の個
人差や病状にもよるが、0.001mg以上、好ましく
は0.1mg以上、より好ましくは1mg以上、さらに
好ましくは10mg以上である。しかし、一般に動物の
体重が増加するにつれて体重あたりの必要薬物投与量が
減少することから、ヒトでは、この用量の10分の1以
下でも充分効果・効能を示す可能性がある。本発明の医
薬組成物は副作用が少なく、前記皮膚疾患の予防、処
置、治療における投与量の上限としてはかなり多量にす
ることもできるが、1日あたり1g以下、好ましくは
0.1g以下である。また、皮膚外用剤もしくは粘膜外
用剤10g中に含有されるジンセノサイド類誘導体特に
はジヒドロジンセノサイドRbの量も100mg以
下、好ましくは1mg以下、より好ましくは0.001
mg以下、さらに好ましくは0.00001mg以下で
あると言える。すなわち、皮膚疾患や粘膜疾患を有する
ヒトへの1日あたりのジンセノサイド類誘導体特にはジ
ヒドロジンセノサイドRbの皮膚又は粘膜外用投与量
は病状や個人差にもよるが通常100mg以下、好まし
くは1mg以下、より好ましくは0.001mg以下、
さらに好ましくは0.00001mg以下と考えられ
る。
【0143】本発明の医薬組成物又は獣医薬組成物の投
与方法としては、血管内投与特に静脈内投与が好まし
く、前記した投与量を断続的又は連続的に投与すること
ができる。本発明の有効成分であるジンセノサイド類誘
導体特にはジヒドロジンセノサイドRbはサポニンの
1種であり、通常の方法により製剤化することができ
る。例えば、本発明の水溶性医薬組成物は、凍結乾燥結
晶を生理食塩水、蒸留水、リン酸緩衝液、ブドウ糖液等
に溶解することにより静脈内投与することができる。も
ちろん、前記のごとく溶解後に点滴用組成物などの静脈
内投与製剤に添加して使用してもよい。さらに、脂肪乳
剤、リポソーム製剤、徐放剤としても使用可能である。
静脈内投与するときの製剤の濃度としてはあまり高濃度
でない限り任意の濃度に調整することができ、例えば
0.001〜100mg/ml、好ましくは0.01〜
10mg/ml、より好ましくは0.1〜1mg/ml
程度にして投与することができる。前述の疾患の予防、
処置もしくは治療のための皮膚外用剤もしくは粘膜外用
剤としてジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセ
ノサイドRbを利用するときは、既述のごとく任意の
基剤たとえば水溶性基剤、乳剤性基剤、軟膏基剤、配合
剤もしくは脂溶性基剤等に、ジンセノサイド類誘導体特
にはジヒドロジンセノサイドRbを1重量%以下、好
ましくは0.01重量%以下、より好ましくは0.00
01重量%以下又は未満さらに好ましくは0.0000
01重量%以下、10−15重量%以上となるように混
入すればよい。ただし、ジンセノサイド類誘導体特には
ジヒドロジンセノサイドRbを含有する皮膚外用剤を
長期にわたって投与するとき、あるいは皮膚の創傷の程
度が軽症である患者に投与するときは、その濃度を10
−20重量%まで下げてもよい。前記皮膚外用剤もしく
は粘膜外用剤におけるジンセノサイド類誘導体特にはジ
ヒドロジンセノサイドRbの濃度の上限は、10重量
%以下である。ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロ
ジンセノサイドRbからなる皮膚外用剤は、皮膚局所
に塗布できる形であってもよいし、噴霧できる形であっ
てもよい。ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジン
セノサイドRbは、既製のあらゆる化粧品や任意の有
効成分を含有する新規化粧品に混入することができる
が、化粧品内におけるジンセノサイド類誘導体特にはジ
ヒドロジンセノサイドRbの濃度は0.001重量%
(10−3重量%)未満、10−15重量%以上に維持
することが好ましい。ただし、ジンセノサイド類誘導体
特にはジヒドロジンセノサイドRbを含有する化粧品
又は健康薬をきわめて長期にわたって使用するときは、
その濃度を10−20重量%まで下げてもよい。また、
前述のジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノ
サイドRbからなる皮膚外用剤、粘膜外用剤、健康薬
もしくは化粧品は、病変局所もしくは皮膚局所における
ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイド
Rbの細胞外液濃度を100ng/ml以下、好まし
くは10pg/ml以下、より好ましくは100fg/
ml以下に維持できるのであれば、単回皮膚もしくは粘
膜に外用投与するのみならず連日皮膚もしくは粘膜に外
用投与してもよいし、常時外用塗布もしくは外用噴霧し
てもよい。
【0144】ジンセノサイド類誘導体特にジヒドロジン
セノサイドRbは、ジンセノサイドRbと同様にを
静脈内へ持続注入することにより優れた効果を示すが、
実際の一般外来において皮膚組織の損傷、創傷、外傷も
しくは欠損による疾病もしくは皮膚の病理組織学的変化
をきたす疾病を患ったヒト又は動物を治療するときは、
連日ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサ
イドRbの単回静脈内注入を効果がみられるまで実施
してもよい。また、連日ジンセノサイド類特にはジンセ
ノサイドRbを点滴用組成物に混入したのちに1時間
前後の時間をかけて、効果がみられるまで静脈内へ投与
することも可能である。もちろん、皮膚の創傷、切開
創、開放創、褥創、潰瘍、熱傷、外傷、凍傷、放射線障
害、紫外線障害、電撃傷、水疱性皮膚炎、接触性皮膚
炎、アトピー性皮膚炎、乾皮症、自家感作性皮膚炎、紅
皮症、花粉症、剥脱性皮膚炎、表皮水疱症、光線過敏
症、慢性色素性紫斑(シャンバーグ病)、ストロフル
ス、虫刺され、痒疹、多形滲出性紅斑、環状紅斑、結節
性紅斑、天疱瘡、類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、掌蹠膿疱
症、乾癬、扁平苔癬、魚鱗癬、毛孔性苔癬、黄色腫症、
皮膚アミロイドーシス、単純疱疹、ウイルス性いぼ、伝
染性軟属腫、膿皮症、皮膚結核、皮膚非定型抗酸菌症、
白癬、皮膚・口腔カンジダ症、疥癬、毛虱症、梅毒、ケ
ロイド、肥厚性瘢痕、血管腫、リンパ腫、母斑、尋常性
白斑、雀卵斑、肝斑、黒皮症、汗疱、あせも、にきび、
酒査皮(しゅさ)、酒査皮(しゅさ)様皮膚炎、口腔粘
膜損傷、口内炎、口囲皮膚炎、皮膚の老化症状、脱毛
症、爪囲炎、嵌入爪等を有する患者や外科手術前後の患
者のうちで、長期にわたって入院加療を要するヒトに対
しては、たとえば高カロリー輸液(IVH)製剤の中に
ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイド
Rbを添加した上で同化合物を1ヶ月以上の長期にわ
たって静脈内投与することもできる。もちろん、前述の
疾患の予防、処置又は治療のために、ジンセノサイド類
誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbからなる皮
膚外用剤もしくは粘膜外用剤を連日病変局所に必要回数
(1日につき1〜10回程度)塗布または噴霧してもよ
い。
【0145】本発明は低用量・低濃度のジンセノサイド
類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbが開放創
(欠損)を受けた皮膚の表皮組織、真皮の結合組織、真
皮の乳頭、皮下組織、毛包、毛乳頭、立毛筋、汗腺、脂
腺、末梢神経、血管を速やかにかつ傷害前に近い状態に
まで再生・再構築せしめることを世界に先がけて報告す
るものである。ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロ
ジンセノサイドRbが表皮(上皮)組織、結合組織、
血管、末梢神経、腺組織の再生・再構築を促進するとい
うことは、ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジン
セノサイドRb が単に皮膚のみならず他のあらゆる組
織(たとえば、中枢神経組織、肝臓、腎臓、脾臓、造血
組織、消化管、肺、膵臓、角膜、内分泌腺、外分泌腺、
唾液腺、性腺、膀胱等)の再生・再構築にも有効である
ことを物語っている。すなわち、肝炎、肝切除ならびに
肝虚血再灌流後の肝組織再生・再構築、神経外傷(頭部
外傷・脊髄損傷)後の中枢神経再生・再構築、切断指趾
の再生・再構築・定着、腎炎、急性尿細管壊死後の腎組
織再生・再構築、脾・膵・肺切除後の臓器再生・再構
築、移植骨髄の再生・定着、鼓膜損傷、角膜損傷、角膜
びらん、角膜潰瘍、爪の損傷および疾患の予防、治療、
処置、消化性潰瘍の予防、治療、処置、外科手術(胸部
や腹部外科手術、整形外科手術、形成外科手術、美容外
科手術、産婦人科手術、泌尿器科手術、眼科手術、頭頸
部外科手術、歯科口腔外科手術、耳鼻咽喉科手術、獣医
学手術、脳神経外科手術等)後に損傷や傷害を受けた当
該臓器・組織の再生・再構築等にもジンセノサイド類誘
導体特にはジヒドロジンセノサイドRbの静脈内投
与、挿肛投与、術中局所投与、点鼻投与もしくは病変部
局所投与等が有効であるとされる。もちろん、前述の疾
病や外傷に加えて、あらゆる臓器・組織の病理組織学的
変化をきたす疾患や病態の予防、処置、治療にも、ジン
セノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRb
は組織再生・再構築促進作用を介して効果、効能を発
揮する。このようなジンセノサイド類誘導体特にはジヒ
ドロジンセノサイドRbの適応が期待される疾患や病
態として、成書(今日の治療指針;監修、日野原重明、
阿部正和、医学書院;1995;今日の治療指針;総編
集、多賀須幸男、尾形悦郎、医学書院;2000)に記
載されたすべての疾病や病態が考えられる。もちろん、
将来原因不明の器質的疾患が新規に出現しても、もしそ
の疾患が生体組織の病理組織学的変化をきたすものであ
れば、ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノ
サイドRbの適応が期待される。以上記述した、ジン
セノサイド類誘導体特にジヒドロジンセノサイドRb
の効果、効能、用途は、ジンセノサイドRbの効果・
効能・用途と一致する。また後述の実施例で示すごと
く、ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサ
イドRbは、神経細胞を始めとする細胞のアポトーシ
スもしくはアポトーシス様細胞死を抑止することもでき
る。従って、ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジ
ンセノサイドRbは細胞死を伴うあらゆる疾患に効果
・効能を発揮する。細胞死をきたす疾患についてはPC
T/JP00/04102に記載されている。さらに、
ジヒドロジンセノサイドRbは静脈内投与により優れ
た脳卒中・脳梗塞治療効果をも発揮することがPCT/
JP00/04102において発明されている。
【0146】また、皮膚の開放創(欠損)においては、
当然のことながら毛包も速やかに脱落するが低用量・低
濃度のジヒドロジンセノサイドRbの皮膚外用投与に
より、明らかに開放創部の発毛・育毛が促進される。こ
のことから判断すると、低用量・低濃度のジヒドロジン
セノサイドRbの皮膚外用投与は、開放創(皮膚の欠
損)作成後、同部の発毛・育毛を促進することにより、
創傷部をもとの健常な組織により近い状態にまで再生・
再構築・回復・修復せしめると言える。すなわち、低用
量・低濃度のジヒドロジンセノサイド類誘導体特にはジ
ヒドロジンセノサイドRbは発毛・育毛促進剤もしく
は脱毛進行予防剤としても利用可能と思われる。もちろ
ん、ジンセノサイド類誘導体特にジヒドロジンセノサイ
ドRbは発毛・育毛用組成物として任意の基剤に混入
後単独で使用してもよいし、その他の薬効成分(たとえ
ば血行促進用組成物、局所刺激用組成物、毛包賦活用組
成物、抗男性ホルモン、抗脂漏組成物、角質溶解用組成
物、抗生物質、生薬エキス、ビタミン、アミノ酸等)と
併用してもよい。具体的には、円形脱毛症、男性型脱毛
症、び慢性脱毛症に対して低用量・低濃度のジンセノサ
イド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbの静
脈内投与や局所外用塗布等が有効と考えられる。さら
に、皮膚の開放創(欠損)においては、皮膚欠損部に分
布していた末梢神経や血管も破綻、切断されるが、明ら
かにこの末梢神経や血管も、ジンセノサイドRbの静
脈内投与もしくは皮膚外用投与により速やかにかつもと
の健常な状態に近いところまで再生・再構築・回復・修
復すると思われる。従って、ジンセノサイド類誘導体特
にはジヒドロジンセノサイドRbは神経組織や血管組
織の再生や再構築を促進するための医薬組成物としても
利用可能である。すなわち、糖尿病性神経症、椎間板ヘ
ルニア、脊柱管狭窄症、脊椎分離、脊椎すべり症、頚椎
症、脊椎症性脊髄症、脊椎症性神経根症、後縦靱帯骨化
症、顔面神経麻痺、脊髄損傷、末梢神経障害、圧迫性神
経障害、頭部外傷、神経外傷、神経痛、神経変性疾患、
末梢神経麻痺、脳卒中のいずれかの病態において、ひと
たび損傷を受けた神経組織の再生・再構築を促すことに
よりジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサ
イドRbの静脈内投与、局所投与、点鼻投与、挿肛投
与等が効果・効能を発揮するものと思われる。一方、血
管の再生・再構築促進作用を介して、ジンセノサイド類
誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbは血流障害
を主症状とする疾病(大動脈炎症候群、膠原病、末梢動
脈閉塞症、閉塞性血栓血管炎、閉塞性動脈硬化症、血栓
性静脈炎、糖尿病性皮膚潰瘍、糖尿病性網膜症、糖尿病
性腎症、網膜中心動静脈閉塞症、レイノー病、レイノー
症候群、心筋梗塞、褥創、痔疾、肛門周囲炎、骨壊死、
骨端症、末梢循環不全、狭心症、肝・腎・心虚血再灌流
障害、脳血管障害、骨萎縮、変形治癒骨折、遷延治癒骨
折等)に効果・効能を示すと思われる。。以上記述し
た、ジンセノサイド類誘導体特にジヒドロジンセノサイ
ドRbの効果、効能、用途は、ジンセノサイドRb
の効果・効能・用途と一致する。
【0147】前述のごとく、ジヒドロジンセノサイドR
の皮膚外用塗布が、皮膚の表皮組織、真皮の結合組
織、真皮の乳頭、皮下組織、血管、立毛筋、皮脂腺、汗
腺、毛乳頭、毛包等の再生・再構築を促進するという事
実は、当然のことながらジンセノサイド類誘導体特には
ジヒドロジンセノサイドRbの皮膚外用塗布が、表皮
細胞、表皮角化細胞、メラノサイト、メルケル細胞、ラ
ンゲルハンス細胞、角質細胞、真皮ならびに皮下組織の
線維芽細胞、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、皮脂腺の
細胞、汗腺の細胞、立毛筋の細胞、毛包の細胞、間葉系
細胞、筋上皮細胞、皮膚の幹細胞、膠原線維、弾性線
維、細網線維、細胞間基質等の再生・再構築をも促すこ
とを明らかにしている。すなわち、ジンセノサイド類誘
導体特にはジヒドロジンセノサイドRbは皮膚組織を
構成するあらゆる細胞やその分泌成分の再生・再構築を
促進すると考えられる。一方、加齢に伴う皮膚の諸症状
(皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、かさつき、
亀裂、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、
しみ、しわ、そばかす、白髪、脱毛、ふけ、色素沈着、
日焼け、再生不良、乾燥等)は、皮膚組織を構成する前
記細胞が、紫外線障害や生体の老化に伴い徐々に死滅も
しくは機能不全に陥り、もとの健常な状態に再生できな
くなるために、生じるものと考えられる。たとえば、加
齢や老化に伴う皮膚のかさつき、乾燥、脱毛、角質細胞
剥離、角層剥離、ひびわれ、皮脂欠乏、かゆみなどは皮
膚の汗腺、毛包、ならびに脂腺の細胞が、機能障害に陥
るか死滅したままで再生しないために、生じると考えら
れる。また、日焼け、色素沈着、しみ、そばかす等は、
日光や紫外線に照射された皮膚の細胞が死に至っても、
元通りに細胞が再生しなくなるために起こると考えられ
る。さらに加齢に伴う、皮膚のしわ、たるみ、萎縮など
は、真皮や皮下組織の線維芽細胞もしくは間葉系細胞
が、加齢とともに機能不全に陥るか数が減少したため
に、真皮や皮下組織で充分な膠原線維、弾性線維、細網
線維、細胞外基質を保持できなくなった結果、生じると
言える。一方、メラノサイトの機能障害により白髪が増
加するものと考えられる。さらにランゲルハンス細胞の
機能障害により皮膚の免疫機能が低下し、易感染性が生
じると考えられる。本発明の低濃度・低用量のジヒドロ
ジンセノサイドRbは、ジンセノサイドRbと同様
に皮膚組織を構成するすべての細胞やその分泌成分の再
生・再構築を促進することができるので、ジンセノサイ
ド類誘導体特にジヒドロジンセノサイドRbを化粧品
の組成物として利用すれば、老化に伴う皮膚の構成細胞
の減少(細胞死)、機能障害に帰因する諸症状(皮膚の
萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、かさつき、亀裂、皮
脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、しみ、し
わ、そばかす、脱毛、白髪、ふけ、色素沈着、日焼け、
再生不良、乾燥等)を予防、軽減もしくは改善すること
ができる。さらに、ジヒドロジンセノサイドRbはジ
ンセノサイドRbと同様に、表皮細胞、表皮角化細胞
すなわちケラチノサイト、ランゲルハンス細胞、メルケ
ル細胞、角質細胞、皮脂腺の細胞、毛包の細胞、汗腺の
細胞、線維芽細胞、幹細胞、間葉系細胞、血管内皮細
胞、立毛筋の細胞、血管平滑筋細胞、脂肪細胞等を含め
たあらゆる皮膚の細胞を保護すると考えられるので、や
はり加齢や老化に伴う皮膚の構成細胞の死や機能障害を
未然に防ぐことができると思われる。このように、ジン
セノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRb
は、皮膚を構成するあらゆる細胞を保護するのみなら
ず、ひとたび皮膚の細胞が死に至るか機能不全に陥って
も、それらの細胞を再生せしめることによって、加齢に
伴う皮膚の老化症状(皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、
かゆみ、かさつき、亀裂、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角
層剥離、ひびわれ、しみ、しわ、そばかす、脱毛、白
髪、ふけ、色素沈着、日焼け、再生不良、乾燥等)を予
防、改善もしくは軽減すると考えられる。すなわち、ジ
ンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドR
は細胞保護作用と組織・細胞再生促進作用という2
つの強力な作用を介して、加齢に伴う皮膚の老化症状を
改善、予防もしくは軽減すると言える。しかも、本発明
の実験結果から明らかなように、ジンセノサイド類誘導
体特にはジヒドロジンセノサイドRbは患部組織や皮
膚組織における細胞外液濃度が、100ng/ml以
下、好ましくは10pg/ml以下、より好ましくは1
00fg/ml以下のときに、細胞保護作用ならびに組
織・細胞再生促進作用を発揮する。もちろん、ジンセノ
サイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRb
は、ジンセノサイドRbと同様に粘膜の老化症状
(萎縮、粘膜剥離、上皮剥離、再生不良、ひびわれ、乾
燥等)を予防、改善もしくは軽減するための健康薬組成
物としても有用である。
【0148】従って、ジンセノサイド類誘導体特にはジ
ヒドロジンセノサイドRbをあらゆる化粧品や健康薬
(化粧水(スキンローション)、乳液(ミルクローショ
ン)、ファンデーション、美容液、マッサージ剤、パッ
ク剤、乳剤、ハンドクリーム、コールドクリーム、ロー
ション、ゲル、エマルジョン、ボディーミルク、ヘアー
ダイ、ヘアーマニキュア、アイシャドウ、クレンジング
クリーム、洗顔フォーム、ナイトクリーム、美白クリー
ム、トローチ、のどあめ、健康飲料水、アイソトニック
ウォーター、氷、シャーベット、アイスクリーム、あ
め、キャンディー、おしろい、洗眼液、洗顔液、洗眼
薬、口紅、化粧石けん、うがい薬、シャンプー、リン
ス、歯みがき粉、入浴剤、リップクリーム、ヘアートニ
ック、ヘアーリキッド、下地クリーム(メイクアップベ
ース)、UVリキッドファンデーション、パウダーファ
ンデーション等)に微量混入して使用し、皮膚局所にお
けるジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサ
イドRbの細胞外液濃度を前記のごとく低濃度に維持
すれば、皮膚や粘膜の老化症状(萎縮、易感染性、たる
み、かゆみ、かさつき、亀裂、皮脂欠乏、角質細胞剥
離、角層剥離、上皮剥離、ひびわれ、しみ、しわ、そば
かす、脱毛、白髪、ふけ、色素沈着、日焼け、再生不
良、乾燥等)に対して優れた効果を発揮する。たとえ
ば、加齢や老化に伴い皮膚の脂(すなわち皮脂)が欠乏
するだけでも、皮膚のかさつき、かゆみ、亀裂、角質細
胞剥離、角層剥離、ひびわれ、乾燥等が生じるが、低濃
度のジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサ
イドRbをあらゆる化粧品に混入して使用することに
より、皮脂腺の保護もしくは再生・再構築が促進され前
記の加齢に伴う皮膚の老化症状を予防、改善もしくは軽
減すると考えられる。また、低濃度のジンセノサイド類
誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbを含有する
任意の化粧品は、表皮細胞(表皮角化細胞、角質細胞)
を保護するのみならず、その再生をも促進するので、角
質細胞間脂質や天然保湿因子の産生や分泌も促進するこ
とにより、皮膚の乾燥やかさつきを抑止し、皮膚に自然
な潤いをもたらす。さらに、低濃度のジンセノサイド類
誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbはケミカル
ピーリング(Chemical peeling)において、皮膚組織の
再生・再構築を促進するための組成物として、ケミカル
ピーリングの全過程(前、中、後)で使用される試薬類
又は投与剤のうち1種類又は2種類以上に混入すること
ができる。ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジン
セノサイドRbは介護施設、温泉保養施設、病院にて
入浴剤として使用することにより、皮膚の老化や疾患の
予防、処置、改善に役立つ。ドレッシング剤、消毒薬、
洗浄剤、絆創膏、被覆剤などに混入することにより、創
傷の治癒を促進し、その悪化を防止することもできる。
ジヒドロジンセノサイドRbの基剤ならびに併用可能
な皮膚外用組成物については、ジンセノサイドRb
同様である。
【0149】本発明のジンセノサイド類誘導体特にジン
セノサイドRbは、ジンセノサイドRbと同様に植
物組織の発根・発芽・新生・成長・再生又は再構築を促
進させることができる。肥料組成物又は成長調製用組成
物としてジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセ
ノサイドRbを水栽培に単独で、もしくは他の有効成
分とともに使用するときは、水栽培用の溶液中のジンセ
ノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRb
の濃度(すなわち植物組織の細胞外液濃度)は100n
g/ml以下、好ましくは10pg/ml以下、より好
ましくは100fg/ml以下に調整することが好まし
い。本発明のジンセノサイド類誘導体特にジヒドロジン
セノサイドRbは0.0001〜0.01fg/ml
程度の濃度域でも充分に水栽培植物組織の発根・発芽・
成長・分化・再生・新生もしくは再構築を促進し、野
菜、果実、生花を含むあらゆる農作物・植物の保存・育
成・栽培・改良に利用することができる。また、ジンセ
ノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRb
を任意の固形肥料、ゲル状肥料、液状肥料、液体肥料、
粉末状肥料(たとえば、単肥、土壌改良資材又は肥料、
育苗肥料、水稲・麦用肥料、緩効性肥料、高度化成、普
通化成、有機化成、NK・PK・PM化成、有機配合肥
料、液肥等)に添加又は混入するときも、その濃度は化
粧品の場合と同様に、1重量%以下、10−20%以上
に設定することが好ましい。肥料添加物としてのジンセ
ノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRb
の濃度の上限は10重量%以下である。前述のごとく、
植物組織の新生・再生もしくは再構築を促進させるジヒ
ドロジンセノサイドRbの細胞外液濃度は、動物組織
(皮膚組織)を再生・再構築させる場合と同様に、極め
て低いと言える。従って、低用量・低濃度のジンセノサ
イド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbは、
植物の栽培・育成・保存、生花の保存・栽培・育成、水
栽培、農作物栽培・育成、野菜の栽培・育成、果実(フ
ルーツ)の栽培・育成、たばこの栽培・育成、きのこ栽
培、薬用植物栽培、茶葉の栽培・育成等に利用できると
言える。ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセ
ノサイドRbからなる肥料組成物は、任意の肥料に好
ましくは低濃度で混入することができるし、単独で植物
組織の発根・発芽・新生・再生・成長・再構築促進剤と
して使用してもよい。
【0150】ジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジ
ンセノサイドRbが、ジンセノサイドRbと同様に
動物組織(皮膚組織、口腔粘膜組織)のみならず植物組
織の発根・発芽・新生・再生もしくは再構築を促進する
という推測は、ジヒドロジンセノサイドRbを始めと
するジンセノサイド類誘導体があらゆる生体組織の新生
・再生もしくは再構築を促進することを物語っている。
従ってジンセノサイド類誘導体特にジヒドロジンセノサ
イドRbは家畜、養殖用魚貝類、ペット用飼料への添
加物すなわち飼料組成物又は成長調製用組成物としても
利用できると言える。たとえば、魚貝類、甲殻類、ウナ
ギ、ウニ、カキ、アナゴ、アコヤ貝、真珠貝等の養殖の
際に、低濃度のジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロ
ジンセノサイドRbを海水又は淡水に通常の飼料とと
もに添加すれば、これらの水産資源もしくは海産資源の
発育が促進されると考えられる。もちろん、ジンセノサ
イド類誘導体特にジヒドロジンセノサイドRbは、そ
の細胞保護作用を介して、魚貝類、甲殻類、ウナギ、ア
ナゴ等の海産・水産資源を外傷、創傷、病原微生物、バ
イオハザード、内分泌撹乱物質、環境汚染、毒素等から
守ることができる。すなわち、本発明の飼料添加物は来
るべき食糧危機から人類を救済するために必須のものと
なる。
【0151】次に本発明の実施の態様をさらに詳細に説
明する。本発明は、低濃度のジンセノサイド類特にはジ
ンセノサイドRbの静脈内投与用製剤、粘膜外用剤も
しくは皮膚外用剤からなる極めて有効な皮膚又は粘膜の
損傷もしくは欠損による疾患又は皮膚又は粘膜の病理組
織学的変化をきたす疾患の治療・予防・処置用医薬組成
物を提供する。皮膚の損傷もしくは欠損をきたす疾患と
して、外傷、凍傷、挫傷、挫滅創、創傷、熱傷、放射線
障害、紫外線障害、電撃傷、皮膚潰瘍、切開創、開放
創、褥創、水疱性皮膚疾患、乾皮症等があげられる。ま
た皮膚の病理組織学的変化をきたす疾患として創傷、熱
傷、放射線障害、凍傷、紫外線障害、電撃症、外傷、皮
膚潰瘍、褥創、水疱性皮膚炎、接触性皮膚炎、アトピー
性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、乾皮症、自家感作性皮膚
炎、紅皮症、剥脱性皮膚炎、表皮水疱症、光線過敏症、
慢性色素性紫斑(シャンバーグ病)、ストロフルス、虫
刺され、痒疹、多形滲出性紅斑、環状紅斑、結節性紅
斑、天疱瘡、類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、掌蹠膿疱症、乾
癬、扁平苔癬、魚鱗癬、毛孔性苔癬、黄色腫症、皮膚ア
ミロイドーシス、単純疱疹、ウイルス性いぼ、伝染性軟
属腫、膿皮症、皮膚結核、皮膚非定型抗酸菌症、白癬、
皮膚・口腔カンジダ症、疥癬、毛虱症、梅毒、ケロイ
ド、肥厚性瘢痕、血管腫、リンパ腫、母斑、尋常性白
斑、雀卵斑、肝斑、黒皮症、汗疱、あせも、にきび、酒
査皮(しゅさ)、酒査皮(しゅさ)様皮膚炎、口腔粘膜
損傷、口内炎、口囲皮膚炎、皮膚の老化症状、脱毛症、
爪囲炎、嵌入爪等があげられる。ジンセノサイド類特に
はジンセノサイドRbの優れた前記皮膚疾患の予防・
処置・治療効果は、皮膚組織再生・再構築促進作用、も
しくは創傷治癒促進作用によってもたらされる。糖尿病
患者、高齢者、免疫不全病患者、エイズ患者、低栄養患
者、癌患者などが外科手術を受ける際に、本発明のジン
セノサイド類特にはジンセノサイドRbを術前術後に
わたって静脈内持続投与もしくは皮膚外用投与しておけ
ば術創の治癒が促進され、組織の再生・再構築が促進さ
れるので、縫合不全も未然に防がれて術後の早期回復が
期待される。もちろん、一般状態の良好な患者が、外科
手術を受ける前後にジンセノサイド類特にはジンセノサ
イドRbを静脈内投与もしくは皮膚局所投与してもよ
い。術中に低濃度のジンセノサイド類特にはジンセノサ
イドRbを局所投与することも極めて有用と考えられ
る。口腔粘膜の損傷、咬傷、創傷、熱傷、外傷もしくは
欠損による疾患や口腔粘膜の病理組織学的変化をきたす
疾患や病態として、う蝕、歯髄炎、辺縁性歯周組織炎、
口内炎、舌炎、再発性アフタ、口腔内アフタ、口臭、口
腔異常感症、歯性感染症、口腔粘膜咬傷、舌の咬傷、口
腔粘膜熱傷、舌の熱傷、舌の損傷、口腔粘膜損傷、歯肉
炎、歯槽膿漏、カタール性口内炎、壊痕性口内炎、ワン
サン口内炎、アフタ性口内炎、急性疱疹性歯肉口内炎、
ヘルパンギーナ、帯状疱疹、口腔粘膜びらん、口腔粘膜
潰瘍、褥瘡性潰瘍、放射線性口内炎、天疱瘡、口腔カン
ジダ症、扁平苔癬、Riga−Fede病、平滑舌、赤
平舌、シェーグレン症候群等があげられるが、これらの
疾患や病態すべてにジンセノサイド類特にはジンセノサ
イドRbが有効とされる。もちろん、薬用人蔘、薬用
人蔘エキス、薬用人蔘粗サポニン分画、ジンセノサイド
類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbも本発明
のジンセノサイド類特にはジヒドロジンセノサイドRb
と同様の効果・用途・効能を示すと言える。
【0152】また、本発明の低濃度、低用量のジンセノ
サイド類特にはジンセノサイドRb の静脈内投与、口
腔粘膜もしくは皮膚外用投与は損傷、外傷、創傷もしく
は欠損を受けた皮膚組織や口腔粘膜組織の再生・再構築
を促進して創傷治癒を早めるので、このような事実に基
づけば、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
の静脈内投与は、腹部や胸部の内臓器官、脳神経、頭頸
部の器官、ならびに骨、関節、筋、血管、神経の損傷、
外傷、創傷もしくは欠損に対しても、皮膚組織の損傷、
創傷、外傷もしくは欠損の場合と同様に、組織再生・再
構築促進作用、創傷治癒促進作用を介して効果・効能を
発揮するものとされる。従って、外科的手術における臓
器切断吻合部の回復促進、縫合不全防止、消化性潰瘍病
変の予防、治療、処置、肝・腎・脾・膵・肺・腸管・子
宮・膀胱・胆のう切除術後の臓器再生・再構築促進、骨
・関節・筋・靱帯・腱・末梢神経再建手術(整形外科手
術)における当該組織の再生・再構築促進、肝・腎・脾
・膵・肺・腸管・泌尿生殖器、内分泌器官等の臓器の損
傷、創傷、外傷、欠損の予防、治療、処置にもジンセノ
サイド類特にはジンセノサイドRbの静脈内投与、点
鼻投与、点耳投与、舌下投与、吸入投与、局所投与、挿
肛投与等が有効と考えられる。例えば指尖損傷に於い
て、皮膚、爪、結合組織、骨、血管、神経を再生させる
ことも可能である。もちろん、ジンセノサイド類特にジ
ンセノサイドRbはあらゆる臓器・組織において病理
組織学的変化をきたす器質的疾患に対して、組織再生・
再構築促進作用を介して効果・効能を発揮する。また、
ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbを含有す
る薬用人蔘、薬用人蔘エキス、薬用人蔘の粗サポニン分
画ならびにジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジン
セノサイドRbも、ジンセノサイドRbと同様の効
果・効能・用途を有する。
【0153】本発明は低用量・低濃度のジンセノサイド
類特にはジンセノサイドRbの静脈内持続投与粘膜外
用投与もしくは皮膚外用投与により、切開創、開放創
(欠損)、咬傷を受けた皮膚もしくは口腔粘膜の表皮組
織、上皮組織、真皮の結合組織、真皮の乳頭、皮下組
織、粘膜固有層、立毛筋、毛包、唾液腺、毛乳頭、汗
腺、混合腺、脂腺、筋組織、末梢神経、血管が速やかに
かつ傷害前に近い状態にまで再生・再構築することを世
界に先がけて報告するものである。ジンセノサイド類特
にジンセノサイドRbが表皮(重層扁平上皮)、結合
組織、末梢神経、腺組織の再生・再構築を促進するとい
うことは、ジンセノサイドRbが単に皮膚のみならず
他のあらゆる組織・臓器(たとえば、肝臓、腎臓、脾
臓、造血組織、脳、脊髄、末梢神経、消化管、肺、膵
臓、角膜、唾液腺、性腺、泌尿器等)の再生・再構築に
も有効であることを物語っている。すなわち、肝炎、肝
切除ならびに肝虚血再灌流後の肝再生・再構築、腎炎、
急性尿細管壊死後の腎再生・再構築、脾切除後の脾再生
・再構築、切断指趾の再生・再構築・定着、移植臓器・
組織・細胞・骨髄の再生・定着、鼓膜損傷後の再生・再
構築、角膜損傷後の再生・再構築、角膜びらん、角膜潰
瘍、角膜ヘルペス、爪の損傷および疾患の予防、治療、
処置、消化性潰瘍の予防、治療、処置、更年期障害、外
科的手術(胸部外科手術、腹部外科手術、整形外科手
術、形成外科手術、産婦人科手術、泌尿器科手術、美容
外科手術、眼科手術、頭頸部外科手術、耳鼻咽喉科手
術、獣医学手術、口腔外科手術、脳神経外科手術等)の
際に傷害を受けた当該臓器・組織の再生・再構築等にも
ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbの静脈内
投与、術中局所投与、挿肛投与、舌下投与、吸入投与、
皮膚外用投与、粘膜外用投与、点鼻投与もしくは病変部
局所投与等が有効であるとされる。特に外科的手術にお
けるジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbの縫
合不全防止効果は極めて大きいと考えられる。もちろ
ん、ヒトのみならず前記疾患を有するペット、家畜、脊
椎動物に対しても、低濃度・低用量のジンセノサイド類
特にはジンセノサイドRbを既述の方法で獣医薬組成
物として投与できる。また、ジンセノサイド類を含有す
る薬用人蔘、薬用人蔘エキス、薬用人蔘の粗サポニン分
画ならびにジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジン
セノサイドRbも、ジンセノサイド類特にはジンセノ
サイドRbと同様の効果・効能・用途を有する。
【0154】また、皮膚の開放創(欠損)においては、
当然のことながら毛包も速やかに脱落するが低用量・低
濃度のジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
静脈内投与もしくは皮膚外用投与により、明らかに開放
創部の発毛・育毛が促進される。このことから判断する
と、低用量・低濃度のジンセノサイド類特にはジンセノ
サイドRbの静脈内投与や皮膚外用投与は、開放創
(皮膚の欠損)部の発毛・育毛を促進することにより、
創傷部をもとの健常な組織により近い状態にまで回復・
修復せしめると言える。すなわち、低用量・低濃度のジ
ンセノサイド類特にジンセノサイドRbは発毛・育毛
促進剤もしくは脱毛進行予防剤としても利用可能と思わ
れる。より具体的には、ジンセノサイド類特にはジンセ
ノサイドRbの静脈内投与もしくは局所投与・外用塗
布・外用噴霧が円形脱毛症、男性型脱毛症、び慢性脱毛
症の予防・治療・処置に有効とされる。さらに、皮膚の
開放創(欠損)や口腔粘膜の咬傷においては、皮膚欠損
部や粘膜欠損部に分布していた末梢神経や血管も破綻、
切断されるが、明らかにこの末梢神経や血管も、ジンセ
ノサイド類特にはジンセノサイドRbの静脈内投与も
しくは皮膚外用投与により速やかにかつもとの健常な状
態に近いところまで再生・再構築・回復すると思われ
る。従って、ジンセノサイド類特にジンセノサイドRb
は神経組織や血管組織の再生や再構築を促進するため
の医薬組成物としても利用可能である。すなわち、糖尿
病性神経症、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、脊椎分
離、脊椎すべり症、頚椎症、後縦靱帯骨化症、顔面神経
麻痺、脊髄損傷、頭部外傷、神経外傷、神経変性疾患、
末梢神経麻痺、神経痛、脳卒中のいずれかの病態におい
て、ひとたび損傷や傷害を受けた神経組織の再生・再構
築を促すことによりジンセノサイド類特にはジンセノサ
イドRbの静脈内投与、点鼻投与、挿肛投与もしくは
病変部局所投与等が効果・効能を発揮するものと思われ
る。一方、血管の再生・再構築促進作用を介して、ジン
セノサイド類特にジンセノサイドRbは血流障害を主
症状とする疾病(大動脈炎症候群、膠原病、末梢動脈閉
塞症、閉塞性血栓血管炎、閉塞性動脈硬化症、血栓性静
脈炎、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、網膜中心動静脈
閉塞症、レイノー病、レイノー症候群、心筋梗塞、褥
創、末梢循環不全、狭心症、肝・腎・心虚血再灌流障
害、痔疾、脳血管障害等)に効能を示すと思われる。も
ちろん、特願平10−365560号ならびにPCT/
JP99/02550(ジンセノサイドRbからなる
脳細胞又は神経細胞保護剤)に記載されたごとくこれら
の血流障害を主症状とする疾病において、血流障害にさ
らされた当該組織における細胞死を抑制することもジン
セノサイド類特にジンセノサイドRb の忘れてはなら
ない効能である。従って、中枢末梢を問わず血流障害を
主要症状とする疾病において、ジンセノサイドRb
少なくとも2つの作用機構を介して、血流障害にさらさ
れた組織・細胞の障害を軽減する。また、ジンセノサイ
ド類を含有する薬用人蔘、薬用人蔘エキス、薬用人蔘の
粗サポニン分画ならびにジンセノサイド類誘導体特には
ジヒドロジンセノサイドRbもジンセノサイド類特に
はジンセノサイドRbと同様の効果・効能・用途を有
する。
【0155】前述の特願平10−365560、PCT
/JP99/02550(ジンセノサイドRbからな
る脳細胞又は神経細胞保護剤)にて発明されたごとく、
ジンセノサイドRbは細胞死抑制遺伝子産物Bcl−
の発現上昇を介して強力に細胞・組織を保護すると
考えられるので、このことから判断すると、低濃度のジ
ンセノサイド類特にジンセノサイドRbは皮膚移植用
ケラチノサイト培養シートの保護・保存・維持にも有効
とされる。また、培養皮膚の保存のみならず培養皮膚作
成のための細胞の保存・保護・維持、人工臓器作成のた
めの幹細胞の保存・保護・維持、ならびに移植用臓器・
組織又は細胞(肝臓、腎臓、心臓、膵臓、肺、髄膜、
骨、関節、靱帯、消化管、角膜、皮膚、血管、末梢神経
等)の保存・保護・維持にも有用と考えられる。さら
に、培養皮膚移植において、ジンセノサイド類特にはジ
ンセノサイドRbの皮膚外用投与を併用すれば、さら
に移植成績も向上する。もちろんジンセノサイド類特に
ジンセノサイドRbは移植手術の前中後にレシピエン
トに既述のごとく任意の方法で投与することにより、移
植用臓器・組織又は細胞の再生・再構築もしくは新生を
促進することができる。さらに、ジンセノサイド類特に
ジンセノサイドRbは輸血用血球成分・血小板の保護
・維持・再生・新生、凍結細胞(精子、卵子、幹細胞
等)や凍結培養皮膚シートの保存・保護・維持・再生・
再構築・新生にも有効とされる。このようにジンセノサ
イド類特にジンセノサイドRbは再生医学(tissue e
ngineering)に於いて臓器・組織または細胞の増殖、再
生、分化、定着の促進などに供することが可能である。
強力な細胞保護作用ならびに組織再生促進作用を有する
ジンセノサイド類特にジンセノサイドRbは、海産物
(魚貝類、甲殻類、ウナギ、アナゴ等)の養殖や農産物
の栽培にも有用であることは前述した。この場合、ジン
セノサイド類特にジンセノサイドRbは海洋資源や農
作物を、内分泌撹乱物質、毒素、外傷、微生物、バイオ
ハザード、環境汚染等から守ると考えられる。さらに、
低濃度・低用量のジンセノサイド類特にジンセノサイド
Rbは、粘膜の老化症状(萎縮、上皮剥離、粘膜剥
離、ひびわれ、再生不良、乾燥等)の予防、改善、処置
のための健康薬組成物としても利用できる。ジンセノサ
イド類を含有する薬用人蔘、薬用人蔘エキス、薬用人蔘
の粗サポニン分画ならびにジンセノサイド類誘導体特に
はジヒドロジンセノサイドRbもジンセノサイド類と
同様の効果・用途・効能を有する。
【0156】本発明のジンセノサイド類特にジンセノサ
イドRbは創傷、開放創、切開創もしくは損傷を受け
て変性脱落した皮膚組織の再生・再構築を促進すること
ができるので、当然のことながら紫外線照射を受けて変
性脱落した皮膚組織をも、もとの健常な状態にまで再生
・再構築せしめることができると考えられる。一般に皮
膚の老化は主として紫外線照射や加齢に伴う皮膚の細胞
の脱落や機能障害によりもたらされることが知られてお
り、その結果皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、亀裂、か
ゆみ、かさつき、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、
ひびわれ、しみ、しわ、そばかす、白髪、ふけ、脱毛、
色素沈着、日焼け、乾燥等が年齢とともに悪化の一途を
たどることが多い。従って、低用量・低濃度のジンセノ
サイド類特にはジンセノサイドRbの静脈内投与や皮
膚外用塗布・噴霧等は紫外線照射や加齢に伴い変性脱落
した皮膚組織の再生や再構築を促進することにより、加
齢もしくは老化に伴う皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、
かゆみ、かさつき、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥
離、ひびわれ、しみ、しわ、そばかす、白髪、ふけ、脱
毛、色素沈着、日焼け、再生不良、乾燥等の予防・処置
・治療に有効であると考えられる。すなわち、低濃度の
ジンセノサイド類特にジンセノサイドRbはあらゆる
化粧品の原材料・組成物としても利用可能である。ま
た、ケミカルピーリング(Chemical peeling)後に皮膚
組織の再生・再構築を促進させるための組成物として
も、低濃度・低用量のジンセノサイド類特にはジンセノ
サイドRbの静脈内投与、局所投与、局所塗布、局所
噴霧が有用とされる。ジンセノサイド類を含有する薬用
人蔘、薬用人蔘エキス、薬用人蔘の粗サポニン分画なら
びにジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサ
イドRbもジンセノサイド類特にはジンセノサイドR
と同様の効果・用途・効能を有する。
【0157】本発明のジンセノサイド類特にジンセノサ
イドRbは、患部組織の細胞外液濃度が低濃度で維持
できる限り静脈内投与剤としてのみならず外用剤や病変
部局所注射剤としても使用可能である。さらに、ジンセ
ノサイド類特にはジンセノサイドRbの投与法とし
て、皮下注射、筋肉注射、点眼、眼軟こう、点鼻、点
耳、耳軟こう、吸入、挿肛投与、経口投与、舌下投与、
経皮投与等任意の経路が選択できる。ただし、ジンセノ
サイド類特にはジンセノサイドRbを経口投与剤とし
て使用する時は、ジンセノサイド類単独投与では効果が
あまり期待できないことがあるので、消化管での分解を
阻止する担体(たとえばシェラック、キトサンカプセ
ル、ゼラチン、油層等)あるいは消化管での吸収を促進
する担体にジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
を混入・封入又は結合させたのちに、経口投与するこ
とが必要になる。また、ジンセノサイド類特にはジンセ
ノサイドRbの代謝産物のうちジンセノサイド類と同
等もしくはそれ以上の効果・効能を有するものが同定さ
れれば、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
の適応が期待される前述の疾病に対して、その活性代謝
産物を既述の方法で投与することもできる。また本発明
のジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbもしく
はその代謝産物と高分子化合物との分散体を作成した
後、噴霧乾燥させて任意の投与経路を選択することも可
能である。さらに、高分子化合物のミクロ粒子にジンセ
ノサイドRbをコーティングしたのちに、任意の投与
経路を選択してもよい。ジンセノサイド類を含有する薬
用人蔘、薬用人蔘エキス、薬用人蔘の粗サポニン分画な
らびにジンセノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノ
サイドRbもジンセノサイド類特にはジンセノサイド
Rbと同様の効果・用途・効能を有する。
【0158】本発明のジンセノサイド類特にはジンセノ
サイドRbからなる静脈内投与製剤、粘膜外用剤もし
くは皮膚外用剤は、皮膚組織再生・再構築促進作用、口
腔粘膜組織再生・再構築促進作用もしくは創傷治癒促進
作用を介して、皮膚の損傷、創傷、外傷もしくは欠損に
よる疾患の予防・治療・処置に対して歴史上かつてない
画期的な効果を発揮する。まさしく、ジンセノサイド類
特にはジンセノサイドRbの投与により“傷が早く確
実に治る”のである。従って、ジンセノサイド類特には
ジンセノサイドRbもしくはその代謝産物をリード化
合物として使用することにより、今後、さらに皮膚の損
傷、創傷、外傷、欠損をもたらす疾患の治療薬が数多く
新規に開発されるものと期待される。さらに、このこと
を裏付けるために本発明ではすでにジンセノサイドRb
をリード化合物として使用することにより作成したジ
ヒドロジンセノサイドRbが優れた皮膚組織再生・再
構築促進作用を示すことを見出している。また、ジンセ
ノサイド類特にはジンセノサイドRbの標的分子を同
定することにより、標的分子の機能を修飾する新規化合
物の合成も可能となる。また、ジンセノサイド類特には
ジンセノサイドRb の化学構造の一部を修飾すること
によりプロドラッグを作成し、既述のごとく任意の投与
経路、投与方法を選択することができる。本発明の医薬
組成物は低濃度、低用量のものを使用する限り副作用が
ほとんど無く、安定性の高い薬物を提供するものであ
る。
【0159】さて、以下に化粧品組成物としてのジンセ
ノサイド類特にはジンセノサイドRbによる皮膚の老
化症状防止についてさらに詳述する。加齢に伴う皮膚や
粘膜の老化は主として皮膚や粘膜を構成する細胞の減少
(死)、機能障害、再生不良もしくは紫外線照射により
もたらされ、萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、かさつ
き、亀裂、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわ
れ、しみ、しわ、そばかす、脱毛、白髪、ふけ、色素沈
着、日焼け、乾燥等の症状を呈する。ジンセノサイドR
は患部組織の細胞外液濃度が1ng/ml以下、好
ましくは10pg/ml以下、より好ましくは100f
g/ml以下で皮膚組織又は粘膜組織ならびにそれらの
組織を構成する細胞の再生・再構築を促進し、かつ細胞
死抑制遺伝子産物Bcl−xの発現を促進して、表皮
細胞、表皮角化細胞、上皮細胞、皮脂腺の細胞、角質細
胞、メラノサイト、ランゲルハンス細胞、メルケル細
胞、毛包の細胞、唾液腺の細胞、汗腺の細胞、粘液腺の
細胞、筋細胞、漿液腺の細胞、立毛筋の細胞、線維芽細
胞、幹細胞、間葉系細胞、脂肪細胞等を含めた皮膚や粘
膜の細胞を保護すると考えられるので(特願平10−3
65560、PCT/JP99/02550、ジンセノ
サイドRbからなる脳細胞又は神経細胞保護剤)、あ
らゆる化粧品や健康薬、たとえば化粧水(スキンローシ
ョン)、乳液(ミルクローション)、その他のローショ
ン、ゲル、エマルジョン、パウダー、ヘアーダイ、ヘア
ーマニキュア、ファンデーション、ハンドクリーム、コ
ールドクリーム、アイシャドウ、クレンジングクリー
ム、洗眼液、洗眼薬、洗顔液、洗顔フォーム、ナイトク
リーム、美白クリーム、チューインガム、トローチ、の
どあめ、おしろい、口紅、入浴剤、化粧石けん、うがい
薬、シャンプー、リンス、歯みがき粉、リップクリー
ム、下地クリーム(メイクアップベース)、UVリキッ
ドファンデーション、パウダーファンデーション等にジ
ンセノサイド類特にはジンセノサイドRbを微量混入
して使用し、皮膚局所又は粘膜局所における細胞外液濃
度を前記のごとく低濃度に維持すれば皮膚や粘膜の老化
症状(皮膚の萎縮、再生不良、易感染性、たるみ、亀
裂、かゆみ、かさつき、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層
剥離、ひびわれ、しみ、しわ、そばかす、白髪、ふけ、
脱毛、色素沈着、日焼け、乾燥等又は粘膜の萎縮、剥
離、上皮剥離、再生不良、ひびわれ、乾燥等)に対して
優れた効果を発揮する。
【0160】液状の化粧品、たとえば通常のUVリキッ
ドファンデーションにジンセノサイド類特にはジンセノ
サイドRbを混入するときは、その濃度が1000n
g/ml以下、好ましくは10ng/ml以下、より好
ましくは0.01fg/ml〜100pg/mlとなる
ように調整した上で、連日皮膚に外用塗布もしくは外用
噴霧すれば皮膚局所におけるジンセノサイド類特にはジ
ンセノサイドRbの細胞外液濃度が前記のごとく、低
く維持され、皮膚の老化症状(皮膚の萎縮、易感染性、
たるみ、亀裂、かゆみ、かさつき、皮脂欠乏、角質細胞
剥離、角層剥離、ひびわれ、乾燥、しみ、しわ、そばか
す、白髪、ふけ、脱毛、色素沈着、再生不良、日焼け
等)の改善、進行予防もしくは悪化予防に役立つ。ま
た、固形、ゲル状もしくはクリーム状の化粧品たとえ
ば、通常の下地クリームやナイトクリームにジンセノサ
イド類特にはジンセノサイドRbを混入するときも、
ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbの混入量
をクリーム1gあたり1000ng以下、好ましくは1
0ng以下、より好ましくは0.01fg〜100pg
程度にして、連日皮膚に外用塗布すれば、皮膚の老化症
状(萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、かさつき、亀
裂、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、乾
燥、しみ、しわ、そばかす、白髪、ふけ、脱毛、色素沈
着、再生不良、日焼け等)の予防、改善、処置に役立
つ。ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb を皮
膚の老化症状の予防、改善、処置の目的で上記の化粧品
に混入する際の濃度の上限は、液状の化粧品の場合、1
0μg/ml未満または以下、固形ゲル状もしくはクリ
ーム状の化粧品の場合は10μg/g未満または以下で
ある。言い換えれば、ジンセノサイド類特にジンセノサ
イドRbは0.001重量%未満または以下の濃度で
上記の化粧品に混入することが好ましい。さもなけれ
ば、かえって皮膚の正常細胞の膜を障害することにもな
りかねない。すなわち、長期間使用する化粧品や健康薬
にジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbを混入
するときは、本発明で既述した皮膚疾患の予防、処置、
治療用の外用剤よりもさらに濃度を低くする方が安全と
考えられる。前述のごとく、皮膚の開放創を治療するの
には0.00000001重量%(10−8重量%)の
ジンセノサイドRbを外用投与すれば充分な効果が得
られるので、通常化粧品内のジンセノサイド類特にはジ
ンセノサイドRbの濃度はそれよりも低くする方が好
ましい。従って、薬用人蔘、薬用人蔘エキスもしくは薬
用人蔘粗サポニン分画を化粧品組成物として使用すると
きも、その濃度は0.001重量%未満に、好ましくは
0.00001重量%以下、より好ましくは0.000
0001重量%以下に下げることが好ましい。もちろ
ん、上記のごとくジンセノサイド類特にジンセノサイド
Rbを微量含有する化粧品は、顔面に外用塗布、外用
噴霧するのみならず、日光に頻繁に照射されるその他の
皮膚組織(たとえば四肢、体幹、頭頚部、項部等)に外
用塗布もしくは外用噴霧できる。低濃度のジンセノサイ
ド類特にジンセノサイドRbは介護施設、温泉保養施
設、病院等において任意の入浴剤に微量混入することに
より、皮膚の老化症状の予防、処置、改善に役立ち、高
齢者や寝たきり患者の皮膚疾患(褥創、潰瘍等)を予
防、処置、治療することができる。粘膜の老化症状を予
防、処置、改善するためにジンセノサイド類特にはジン
セノサイドRbを健康薬組成物又は粘膜外用組成物と
して使用するときも、上記のごとく低濃度のものを用い
ることが必要である。
【0161】このように、低濃度のジンセノサイド類特
にはジンセノサイドRbを含有する化粧品もしくは健
康薬を長期にわたって常時使用することにより、皮膚や
粘膜の老化に伴う症状(萎縮、易感染性、たるみ、亀
裂、かゆみ、かさつき、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層
剥離、ひびわれ、しみ、しわ、そばかす、白髪、ふけ、
脱毛、色素沈着、日焼け、再生不良、乾燥等)もしくは
粘膜の老化症状(萎縮、粘膜剥離、上皮剥離、再生不
良、ひびわれ、乾燥等)を予防、軽減もしくは改善する
ことができる。もちろん、ジンセノサイド類特にはジン
セノサイドRbのかわりに低濃度の薬用人蔘粗サポニ
ン分画、薬用人蔘エキス又は薬用人蔘を用いて、皮膚や
粘膜の老化症状を予防、改善、軽減してもよい。ジンセ
ノサイド類特にジンセノサイドRbは前述のごとく低
濃度のものを用いる限り、既製のあらゆる化粧品や健康
薬に混入することができる。また、ジンセノサイド類特
にジンセノサイドRbはこれまで使用されたあらゆる
化粧品組成物とともに化粧品に混入できる。ジンセノサ
イド類特にジンセノサイドRbとともに使用できる化
粧品組成物については米国特許5,663,160なら
びにWO99/07338に記載されている。ただし、
これらのジンセノサイド類特にジンセノサイドRb
ともに使用できる化粧品組成物の濃度も、米国特許5,
663,160ならびにWO99/07338に記載さ
れたものよりも低くすることを本発明は特徴としてい
る。もちろん、任意の有効成分を含有する化粧品又は健
康薬の基剤を新規に開発する場合にも、その中にジンセ
ノサイド類特にはジンセノサイドRbを前述のごとく
低濃度で混入することにより皮膚又は粘膜の老化による
諸症状を予防、処置、改善することができる。また、ケ
ミカルピーリング(chemical peeling)において皮膚組
織の再生・再構築を促進する際も、前述のごとく低濃度
(0.001重量%未満もしくは以下、好ましくは0.
00001重量%以下、より好ましくは0.00000
001重量%以下、10 20重量%以上)のジンセノ
サイド類特にはジンセノサイドRbをケミカルピーリ
ング剤の中に混入し、主としてケミカルピーリング直後
から使用すればよい。また、その他の任意の化粧品組成
物を、低濃度のジンセノサイド類特にはジンセノサイド
Rbと併用するときは、それら任意の化粧品組成物の
濃度も従来より低く設定することが好ましい。さらに、
ジンセノサイド類特にジンセノサイドRbは、既製の
発毛・育毛剤や任意の有効成分を含有する新規の発毛・
育毛剤に、化粧品の場合と同様の方法で好ましくは低濃
度(0.001重量%未満または以下、好ましくは0.
00001重量%以下、より好ましくは0.00000
001重量%以下、10−20重量%以上)で混入する
ことにより、発毛、育毛、脱毛の悪化予防、脱毛の進行
予防のために使用することができる。もちろん、ジンセ
ノサイド類特にはジンセノサイドRbのかわりに、ジ
ンセノサイドRbを含有する任意の天然物、天然物の
エキス、天然物の抽出物、薬用人蔘、薬用人蔘エキス、
薬用人蔘粗サポニン分画等をあらゆる化粧品、発毛剤、
育毛剤又は脱毛進行予防剤に混入して、ジンセノサイド
類特にはジンセノサイドRbの最終的な含有量が前述
のごとく低濃度に維持できるのであれば皮膚もしくは粘
膜の老化症状や脱毛の改善、予防又は処置のために利用
できる。ただし、上記の化粧品や発毛剤・育毛剤・脱毛
進行予防剤に混入するジンセノサイド類特にはジンセノ
サイドRbの濃度はあくまでも目安であり、実際には
皮膚局所の細胞外液濃度が1ng以下、好ましくは10
pg/ml以下、より好ましくは100fg/ml以下
になるように、化粧品・健康薬(入浴剤を含む)・発毛
剤・育毛剤・脱毛進行予防剤へのジンセノサイド類特に
はジンセノサイドRbならびにジンセノサイド類含有
天然物の混入量を調整する必要がある。既述のごとく長
期にわたって、ジンセノサイド類特にはジンセノサイド
Rb、薬用人蔘、薬用人蔘エキス又は薬用人蔘粗サポ
ニン分画を化粧品組成物、発毛・育毛用組成物、健康薬
組成物として使用するときは、化粧品、発毛・育毛剤、
健康薬中のそれらの濃度を10−20重量%まで低くし
ても効果がみられる。
【0162】ジンセノサイド類特にはジンセノサイドR
を褥創治療、皮膚潰瘍治療、創傷治療、皮膚組織再
生・再構築促進等のために、皮膚の病変部もしくはその
周辺に局所注射するときも、局所注射液内のジンセノサ
イド類特にはジンセノサイドRbの濃度を、10μg
/ml以下、好ましくは100ng/ml以下、より好
ましくは1fg〜1000pg/ml程度に調整するこ
とが必要である。局所注射液におけるジンセノサイド類
特にはジンセノサイドRbの濃度の上限は、10mg
/ml以下、好ましくは100μg/ml以下である。
ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbからなる
皮膚局所注射剤の溶媒としては、ジンセノサイドRb
を静脈内投与用製剤として使用するときと同様に、生理
食塩水、蒸留水、リン酸緩衝液、ブドウ糖液、リポソー
ム、脂肪乳剤等任意のものが選択できる。もちろん前述
の局所注射剤は皮膚のみならず、あらゆる臓器・組織
(移植臓器を含むに注入することができるし、点眼薬、
点耳薬としても利用可能である。また、局所注射剤にお
ける前述のジンセノサイド類の濃度はあくまでも目安で
あり、実際には皮膚局所におけるジンセノサイド類特に
はジンセノサイドRb の細胞外液濃度が1ng/ml
以下、好ましくは10pg/ml以下、より好ましくは
100fg/ml以下になるように局所注射剤へのジン
セノサイド類特にはジンセノサイドRbの混入量を調
整する必要がある。
【0163】ジンセノサイド類特にジンセノサイドRb
を褥創治療、皮膚潰瘍治療、創傷治療、皮膚組織再生
促進等のために皮膚外用剤として利用するときも、任意
の基剤にジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
を混入して使用できるが、やはりその濃度は基剤100
gもしくは100mlあたり、100mg(0.1重量
%)以下又は未満、好ましくは10mg(0.01重量
%)以下又は未満、より好ましくは1mg(0.001
重量%)以下又は未満、1fg(10−15重量%)以
上に調整する必要がある。ジンセノサイド類を前述の皮
膚疾患の予防、治療、処置のために皮膚外用剤に混入す
る際の濃度の上限は、およそ10重量%以下、好ましく
は1重量%以下と考えられる。ただし、皮膚疾患治療用
外用剤におけるジンセノサイド類特にはジンセノサイド
Rbの含有量はあくまでも目安であり、実際には皮膚
局所におけるジンセノサイド類の細胞外液濃度を指標に
して外用剤へのジンセノサイド類の混入量を調整する必
要がある。
【0164】さて、PCT/JP00/04102に記
載されたごとく以下に薬用人蔘の粗サポニン分画につい
て本発明者が有している実験結果を詳細に紹介すること
により、粗サポニン分画が、ジンセノサイドRbと同
様に皮膚組織の再生・再構築に対しても効果・効能を発
揮することを述べたい。本発明者の一人(阪中)は、ジ
ンセノサイドRb(60μg/日)の静脈内持続投与
が寝たきりの脊髄損傷ラット(体重約300g)を起立
せしめるという優れた効果・効能を示すことをすでに見
出している(特願平11−243378、PCT/JP
99/06804、ジンセノサイドRbからなる脳血
管再生・再構築促進剤ならびに神経組織二次変性抑止
剤)。さらに、本発明者ら(阪中、仲田)は低用量の薬
用人蔘の粗サポニン分画(870μ/日)の静脈内持続
投与が、ジンセノサイドRb(60μg/日)の静脈
内持続投与と同様に、寝たきりの脊髄損傷ラット(体重
約300g)を起立せしめるということをすでに見出し
ている(PCT/JP00/04102、薬用人蔘から
なる脳細胞または神経細胞保護剤)。このように脊髄損
傷ラットを用いた実験結果において、薬用人蔘の粗サポ
ニン分画(870μ/日)の静脈内持続投与が、ジンセ
ノサイドRb(60μg/日)の静脈内持続投与と同
様の効果を示すということは、ジンセノサイドRb
りおよそ14.5倍程度多い粗サポニン分画を持続投与
すれば、患部組織の細胞外液において有効な粗サポニン
分画の濃度が維持できることを示している。ちなみに本
発明者の一人(阪中)は、ジンセノサイドRbが患部
組織における細胞外液濃度が1ng/ml以下、好まし
くは10pg/ml以下、より好ましくは100fg/
ml以下となる濃度で効果・効能を発揮することを特願
平10−365560、PCT/JP99/02550
(ジンセノサイドRbからなる脳細胞又は神経細胞保
護剤)において明らかにしている。従って、低用量の粗
サポニン分画は、患部組織における細胞外液濃度が、1
4.5ng/ml以下、好ましくは145pg/ml以
下、より好ましくは1450fg/ml以下の濃度で優
れた神経細胞保護作用を示すと考えられる。また、ジン
セノサイドRbは患部組織の細胞外液濃度が1〜10
0fg/ml程度あるいはそれ以下(たとえば0.01
fg/ml)でも充分な効果が得られるので、粗サポニ
ン分画からなる医薬組成物や製剤は、患部組織の細胞外
液濃度が14.5〜1450fg/mlまたはその10
0分の1程度でも充分な効果を示すと考えられる。
【0165】ところで、ジンセノサイドRb(60μ
g/日)の静脈内持続投与は、特願平10−36556
0、PCT/JP99/02550(ジンセノサイドR
からなる脳細胞又は神経細胞保護剤)において本発
明者の一人(阪中)により明らかにされたごとく、優れ
た脳卒中・脳梗塞治療効果を発揮することが判明してい
る。また、前述の脊髄損傷ラットを用いた実験結果か
ら、粗サポニン分画(870μg/日)の静脈内持続投
与が、ジンセノサイドRb(60μg/日)の静脈内
持続投与と同様に、優れた脊髄損傷治療効果を示すこと
も判明している。これらのことから考えると、粗サポニ
ン分画(870μg/日)の静脈内持続投与は、ジンセ
ノサイドRb(60μg/日)の静脈内持続投与と同
様に、優れた脳卒中・脳梗塞治療効果をも発揮すること
が容易に推測できる。さらに、ジンセノサイドRb
6μg/日の静脈内持続投与も優れた脳梗塞・脳卒中治
療効果を示すことより(特願平10−365560、P
CT/JP99/02550、ジンセノサイドRb
らなる脳細胞又は神経細胞保護剤)、粗サポニン分画8
7μg/日の静脈内持続投与も優れた脳梗塞・脳卒中治
療効果を発揮すると考えられる。すなわち、薬用人蔘の
粗サポニン分画は体重約300gのラットにおいて、1
日あたり87μgから870μgの静脈内持続投与によ
り、優れた脳細胞又は神経細胞保護作用を示すと言え
る。従って1日あたり2.9mg/kgから0.29m
g/kgの粗サポニン分画を静脈内へ持続投与すること
により、優れた脳細胞保護効果もしくは神経細胞保護効
果が得られることになる。しかし、これはあくまでも体
重300g程度のラットに対する粗サポニン分画投与量
の目安であって、粗サポニン分画をヒトに静脈内投与す
るときは、体重1kgあたりの投与量を、前述の量の2
分の1から20分の1程度にする必要があると考えられ
る。すなわち、ヒトに粗サポニン分画を静脈内持続投与
するときは、患者の病状や個人差にもよるが1日あたり
1450μg/kg以下、14.5μg/kg以上に設
定することが好ましい。
【0166】また、特願平10−365560、PCT
/JP99/02550(ジンセノサイドRbからな
る脳細胞又は神経細胞保護剤)において、本発明者の一
人(阪中)はジンセノサイドRb(60μg/日)の
静脈内持続投与により、脳神経組織の細胞死抑制因子す
なわちBcl−x遺伝子発現が上昇することを発明し
ているので、粗サポニン分画(870μg/日)の静脈
内持続投与でもBcl−x遺伝子発現が上昇すると考
えられる。すなわち、粗サポニン分画は、患部組織にお
ける細胞外液濃度が、14.5ng/ml以下、好まし
くは145pg/ml以下、より好ましくは1450f
g/ml以下の濃度で、神経細胞のBcl−x遺伝子
の発現を促進すると考えられる。
【0167】さらに、低用量の粗サポニン分画の静脈内
持続投与が、脊髄損傷・脳梗塞・脳卒中の予防、治療、
処置に有用であるということは、粗サポニン分画に含有
される成分のいずれかが前述の脳・神経疾患に対して優
れた効果・効能を示すことを明らかにしている。もちろ
ん、粗サポニン分画の複数の成分が前述の脳・神経疾患
に対して優れた効果・効能を示すことも考えられる。さ
て、粗サポニン分画の中に含有される化学構造が類似し
た精製サポニン類もしくはジンセノサイド類はジンセノ
サイドRo、ジンセノサイドRb、ジンセノサイドR
、ジンセノサイドRc、ジンセノサイドRd、ジン
セノサイドRe、ジンセノサイドRf、ジンセノサイド
Rg、ジンセノサイドRg、ジンセノサイドR
、ジンセノサイドRh、ジンセノサイドRh
ジンセノサイドRa、ジンセノサイドRa、ジンセ
ノサイドRa、ノトジンセノサイドR、キンケノサ
イドR 、マロニルジンセノサイドRb、ジンセノサ
イドRS、マロニルジンセノサイドRb、ジンセノ
サイドRS、マロニルジンセノサイドRc、マロニル
ジンセノサイドRd、ジンセノサイドRb、(20
S)−ジンセノサイドRg 、20−グルコジンセノサ
イドRf、ノトジンセノサイドR、(20R)−ジン
セノサイドRg、(20R)−ジンセノサイドRh
等であるが、このうちジンセノサイドRbの含量が他
の精製サポニンの2倍量以上存在することが知られてい
る。ジンセノサイドRbは、患部における細胞外液濃
度が1ng/ml以下、好ましくは10pg/ml以
下、より好ましくは100fg/ml以下のときに神経
細胞もしくは脳細胞保護作用を示すことを考えると、そ
の他の精製サポニンすなわちジンセノサイド類もこれと
同等ないし、それよりも10分の1から100分の1程
度低い濃度域で脳細胞又は神経細胞を保護する可能性が
高いと考えられる。ただし、粗サポニン分画に含まれる
成分は、前述の精製サポニン類すなわちジンセノサイド
類に限定されるものではない。
【0168】以上のことより、薬用人蔘の粗サポニン分
画もしくは粗サポニン分画構成成分のいずれかがジンセ
ノサイドRbと同様に優れた脳細胞・神経細胞保護作
用ならびに脊髄損傷、頭部外傷、神経外傷治療効果を示
すことが推測される。従って、低濃度・低用量の粗サポ
ニン分画、もしくは粗サポニン分画構成成分のいずれか
が、特願平10−365560、PCT/JP99/0
2550(ジンセノサイドRbからなる脳細胞又は神
経細胞保護剤)ならびに特願平11−243378、P
CT/JP99/06804(ジンセノサイドRb
らなる脳血管再生・再構築促進剤ならびに神経組織二次
変性抑止剤)において本発明者の一人(阪中)が記載し
たジンセノサイドRbの効果・効能・用途を、すべて
兼ね備えていると考えられる。すなわち、低濃度・低用
量の粗サポニン分画もしくは粗サポニン分画構成成分の
いずれかは、ジンセノサイドRbと同様に細胞死抑制
遺伝子産物Bcl−xの発現を上昇せしめ、神経細胞
のアポトーシスもしくはアポトーシス様神経細胞死を抑
止するのみならず、末梢組織においても優れた細胞保護
作用を発揮するものと考えられる。
【0169】ジンセノサイドRb(60μg/日)の
静脈内持続投与が脳卒中や神経外傷を始めとする脳神経
疾患の予防、処置、治療に極めて有効であり、かつ優れ
た細胞保護効果を示すということを見出した既出願特許
(特願平10−365560、PCT/JP99/02
550;特願平11−243378、PCT/JP99
/06804)に加えて、本発明ではジンセノサイドR
(60μg/日もしくは12μg/日)の静脈内持
続投与が、皮膚組織再生・再構築促進作用もしくは創傷
治癒促進作用を介して、優れた皮膚疾患治療効果を示す
ことが判明した。従って、ジンセノサイドRb(60
μg/日)の静脈内持続投与が薬用人蔘の粗サポニン分
画(870μg/日)の静脈内持続投与と同様の効果・
効能を示すという前述の推測に基づけば、薬用人蔘の粗
サポニン分画(870μg/日)の静脈内持続投与も、
皮膚組織再生促進作用もしくは創傷治癒促進作用を介し
て、優れた皮膚疾患治療効果を示すと考えられる。すな
わち、本発明において新たに見出されたジンセノサイド
類特にはジンセノサイドRbの効果・効能・用途はす
べて、低用量・低濃度の粗サポニン分画もしくはその成
分が有していると思われる。事実、前述のごとくポトス
の挿し木を用いた実験で、薬用人蔘の粗サポニン分画は
ジンセノサイドRbと同様植物組織の再生・新生・再
構築を促進することも見出されている。
【0170】また、粗サポニン分画もしくは粗サポニン
分画構成成分の投与方法としては、ジンセノサイドRb
と同様に患部組織における細胞外液濃度が既述のごと
く低濃度に維持できるのであれば任意の投与経路が選択
できる。具体的には、低濃度・低用量の粗サポニン分画
もしくは粗サポニン分画構成成分のいずれかは静脈内投
与剤としてのみならず外用剤や病変部局所投与剤として
も使用可能である。さらに、粗サポニン分画もしくは粗
サポニン分画構成成分のいずれかの投与法として、皮下
注射、筋肉注射、点眼、点鼻、点耳、吸入、挿肛投与、
経口投与、舌下投与、経皮投与等任意の経路が選択でき
る。粗サポニン分画を徐放剤として使用してもよい。も
ちろん、粗サポニン分画を製剤化するときの溶媒や基剤
はジンセノサイドRbの場合と同様任意のものが利用
できる。ただし、粗サポニン分画もしくは粗サポニン分
画構成成分のいずれかを経口投与剤として使用する時
は、粗サポニン分画もしくは粗サポニン分画構成成分の
いずれかを単独に投与したのでは効果があまり期待でき
ない場合があるので、消化管での分解を阻止する担体あ
るいは消化管での吸収を促進する担体に粗サポニン分画
もしくは粗サポニン分画構成成分のいずれかを混入・封
入又は結合させたのちに、経口投与することが必要にな
るかもしれない。また、粗サポニン分画もしくは粗サポ
ニン分画構成成分のいずれかの代謝産物のうち、粗サポ
ニン分画もしくは粗サポニン分画構成成分のいずれかと
同等もしくはそれ以上の効果・効能を有するものが同定
されれば、低濃度・低用量の粗サポニン分画もしくは粗
サポニン分画構成成分のいずれかの適応が期待される前
述の疾病に対して、その活性代謝産物を既述の方法で投
与することもできる。また低濃度・低用量の粗サポニン
分画もしくは粗サポニン分画構成成分のいずれかと高分
子化合物との分散体を作成した後、噴霧乾燥させて任意
の投与経路を選択することも可能である。さらに、高分
子化合物のミクロ粒子に粗サポニン分画もしくは粗サポ
ニン分画構成成分のいずれかをコーティングしたのち
に、任意の投与経路を選択してもよい。もちろん、粗サ
ポニン分画もしくは粗サポニン分画構成成分のいずれか
を用いてプロドラッグを作成したのちに、任意の投与経
路を選択してもよい。
【0171】また、低濃度・低用量の粗サポニン分画も
しくは粗サポニン分画構成成分のいずれかは、ジンセノ
サイドRbと同様に、加齢に伴う免疫機能低下、皮膚
機能低下、循環機能低下、消化機能低下、骨代謝機能低
下、筋力低下、関節機能低下、性機能減退等の諸症状を
改善する目的で、健康薬としても使用可能である。さら
に、低濃度・低用量の粗サポニン分画もしくは粗サポニ
ン分画構成成分のいずれかを化粧品の組成物として利用
することにより、加齢に伴う皮膚の老化症状(皮膚の萎
縮、易感染性、たるみ、かゆみ、かさつき、皮脂欠乏、
角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、しみ、しわ、そば
かす、白髪、ふけ、脱毛、色素沈着、日焼け、再生不
良、乾燥等)の予防・治療・処置にも利用できる。
【0172】化粧品の組成物としての薬用人蔘の粗サポ
ニン分画についてもう少し詳しく以下に述べる。通常薬
用人蔘の粗サポニン分画は、紅蔘をメタノール抽出し、
そのエキス(収率35〜45%)を水に懸濁して、エー
テルで洗浄後、水飽和ブタノールで振出すという方法に
より得られ、収率は約8%である。ただし、本発明にお
いて言及している薬用人蔘粗サポニン分画は紅蔘から得
られたものに限らず、その他の薬用人蔘(たとえば三七
人蔘、人蔘田七、ヒマラヤ人蔘、アメリカ人蔘、チクセ
ツニンジン等)から得られたものも含んでいる。加齢に
伴う皮膚の老化は主として紫外線照射、皮膚の細胞の死
もしくは機能障害によりもたらされ、皮膚の萎縮、易感
染性、たるみ、かゆみ、亀裂、かさつき、皮脂欠乏、角
質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、しみ、しわ、そばか
す、白髪、ふけ、脱毛、色素沈着、日焼け、再生不良、
乾燥等の症状を呈する。薬用人蔘の粗サポニン分画は患
部組織の細胞外液濃度が14.5ng/ml以下、好ま
しくは145pg/ml以下、より好ましくは1450
fg/ml以下で、表皮細胞、表皮角化細胞、上皮細
胞、ランゲルハンス細胞、メラノサイト、メルケル細
胞、角質細胞、唾液腺の細胞、混合腺の細胞、皮脂腺の
細胞、毛包の細胞、粘液腺の細胞、筋細胞、立毛筋の細
胞、汗腺の細胞、線維芽細胞、幹細胞、間葉系細胞、脂
肪細胞等を含めた皮膚や粘膜の細胞を保護する作用なら
びに同細胞の再生・再構築促進作用を発揮すると考えら
れるので、あらゆる化粧品や健康薬、たとえば化粧水
(スキンローション)、乳液(ミルクローション)、そ
の他のローション、ゲル、ファンデーション、エマルジ
ョン、パウダー、ヘアーダイ、ヘアーマニキュア、ハン
ドクリーム、コールドクリーム、クレンジングクリー
ム、洗顔フォーム、ナイトクリーム、のどあめ、チュー
インガム、トローチ、美白クリーム、おしろい、口紅、
入浴剤、化粧石けん、洗眼液、洗眼薬、洗顔液、シャン
プー、リンス、歯みがき粉、うがい薬、リップクリー
ム、下地クリーム(メイクアップベース)、UVリキッ
ドファンデーション、パウダーファンデーション等に薬
用人蔘粗サポニン分画を微量混入して皮膚局所における
細胞外液濃度を前記のごとく低濃度に維持すれば皮膚の
老化症状に対して優れた効果を発揮すると考えられる。
薬用人蔘粗サポニン分画の基剤ならびに併用可能な皮膚
外用組成物については、ジンセノサイドRbの場合と
同様である。
【0173】液状の化粧品、たとえば通常のUVリキッ
ドファンデーションに薬用人蔘の粗サポニン分画を混入
するときは、その濃度が14.5μg/ml以下、好ま
しくは145ng/ml以下、より好ましくは0.14
5fg/ml〜1450pg/ml以下となるように調
整した上で、連日皮膚に外用塗布もしくは外用噴霧すれ
ば皮膚局所における粗サポニン分画の細胞外液濃度が前
記のごとく、低く維持され、皮膚の老化症状(皮膚の萎
縮、易感染性、亀裂、たるみ、かゆみ、かさつき、皮脂
欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、乾燥、し
み、しわ、そばかす、白髪、ふけ、脱毛、色素沈着、日
焼け等)の改善、進行予防もしくは悪化予防に役立つ。
また、固形、ゲル状もしくはクリーム状の化粧品たとえ
ば、通常の下地クリームやナイトクリームに粗サポニン
分画を混入するときも、粗サポニン分画の混入量をクリ
ーム1gあたり14.5μg以下、好ましくは145n
g以下、より好ましくは0.145fg〜1450pg
程度にして、連日皮膚に外用塗布すれば、皮膚の老化症
状(萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、かさつき、皮脂
欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、乾燥、し
み、しわ、そばかす、白髪、ふけ、脱毛、色素沈着、再
生不良、日焼け等)の予防、治療、処置に役立つ。粗サ
ポニン分画を皮膚の老化症状の予防、改善、処置の目的
で上記の化粧品に混入する際の濃度の上限は、液状化粧
品の場合、145μg/ml、固形、ゲル状もしくはク
リーム状の化粧品の場合は145μg/g以下である。
言い換えれば、粗サポニン分画は0.0145重量%以
下の濃度で上記の化粧品に混入することが好ましい。さ
もなければ、かえって皮膚の正常細胞の膜を障害するこ
とにもなりかねない。すなわち、長期間使用する化粧品
や健康薬に粗サポニン分画を混入するときは、濃度を低
くする方が安全と考えられる。おそらく、ジンセノサイ
ドRbが0.00000001重量%(10−8重量
%)という低濃度で優れた開放創治療効果を示すことか
ら判断すれば、薬用人蔘の粗サポニン分画や後述する薬
用人蔘エキスや薬用人蔘の濃度もジンセノサイド類と同
様に0.001重量%以下または未満とする方が好まし
い。もちろん、上記のごとく薬用人蔘の粗サポニン分画
を微量含有する化粧品は、顔面に外用塗布、外用噴霧す
るのみならず、日光に頻繁に照射されるその他の皮膚組
織(たとえば四肢、体幹、頭頚部、項部等)に外用塗布
もしくは外用噴霧できる。このように、低濃度の粗サポ
ニン分画を含有する化粧品もしくは皮膚外用剤を長期に
わたって常時使用することにより、皮膚の老化に伴う症
状(萎縮、易感染性、亀裂、たるみ、かゆみ、かさつ
き、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、乾
燥、しみ、しわ、そばかす、白髪、ふけ、脱毛、色素沈
着、再生不良、日焼け等)を予防もしくは改善すること
ができる。薬用人蔘粗サポニン分画は、粘膜の老化症状
(萎縮、ひびわれ、乾燥等)を予防、軽減、改善するた
めに、上記のごとく低濃度で健康薬組成物として使用す
ることもできる。低濃度の薬用人蔘粗サポニン分画、薬
用人蔘エキスもしくは薬用人蔘は、ジンセノサイド類特
にはジンセノサイドRbと同様に、海産物の養殖、農
産物の栽培、介護施設や温泉保養施設における入浴剤に
利用できることはすでに記述した。
【0174】また、粗サポニン分画のかわりに、ジンセ
ノサイド類特にはジンセノサイドRbとほぼ同じ量の
薬用人蔘粗サポニン分画の成分を化粧品や皮膚外用剤に
混入しても皮膚の老化に伴う諸症状を防ぐことができ
る。ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb、薬
用人蔘の粗サポニン分画もしくはそのジンセノサイド類
以外の成分は、前述のごとく低濃度のものを用いる限
り、既製のあらゆる化粧品や皮膚外用剤に混入すること
ができる。もちろん、任意の有効成分を含有する化粧品
の基剤を新規に開発する場合にも、その中にジンセノサ
イド類、ジンセノサイドRb、薬用人蔘の粗サポニン
分画、もしくは薬用人蔘の粗サポニン分画のジンセノサ
イド類以外の成分を前述のごとく低濃度で混入すること
により皮膚や粘膜の老化による諸症状を予防、処置、改
善することができる。また、前述のごとく低濃度のジン
セノサイド類、ジンセノサイドRb、薬用人蔘の粗サ
ポニン分画、もしくは薬用人蔘の粗サポニン分画の成分
のいずれかを、複数組み合わせて既製の化粧品、健康薬
又は皮膚外用剤に混入するか、もしくは任意の有効成分
を含有する新規の化粧品の基剤に混入することにより、
皮膚や粘膜の老化による諸症状を予防、処置、改善する
ための化粧品、健康薬又は皮膚外用剤を作成できる。ジ
ンセノサイド類特にはジンセノサイドRb、薬用人蔘
の粗サポニン分画、もしくは薬用人蔘の粗サポニン分画
の成分のいずれかを、複数組み合わせて化粧品、健康薬
又は皮膚外用剤に混入するときは、化粧品や皮膚外用剤
におけるそれぞれの濃度が前述のごとく低濃度である限
り、任意の濃度のものが選択できる。また、ケミカルピ
ーリング(chemical peeling)において皮膚組織の再生
・再構築を促進する際にも、前述のごとく低濃度の粗サ
ポニン分画、粗サポニン分画成分、薬用人蔘、薬用人蔘
エキスもしくはジンセノサイド類特にはジンセノサイド
Rbを、ケミカルピーリング剤の中に混入すればよ
い。
【0175】さらに、ジンセノサイドRbを始めとす
るジンセノサイド類、薬用人蔘の粗サポニン分画、もし
くは薬用人蔘の粗サポニン分画の成分は、既製の発毛・
育毛剤や任意の有効成分を含有する新規の発毛・育毛剤
に、化粧品の場合と同様の方法で低濃度で混入すること
により、発毛、育毛、脱毛の悪化予防、脱毛の進行予防
のために使用することができる。また、化粧品、発毛剤
もしくは育毛剤に混入する薬用人蔘の粗サポニン分画の
かわりに、およそ粗サポニン分画と同量もしくはその5
〜6倍量程度以下の薬用人蔘抽出物(エキス)もしくは
薬用人蔘を使用してもよい。もちろん低濃度のものを使
用する限り、薬用人蔘の粗サポニン分画と薬用人蔘エキ
スを併用して、前述の化粧品もしくは発毛剤、育毛剤、
脱毛の進行予防剤に混入してもよい。さらに、ジンセノ
サイド類特にはジンセノサイドRbもしくはその他の
薬用人蔘成分を含有する任意の天然物や天然物の組成物
をあらゆる化粧品、発毛剤、育毛剤又は脱毛進行予防剤
に混入して、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドR
もしくはその他の薬用人蔘成分の最終的な含有量が
前述のごとく低濃度に維持できるのであれば皮膚の老化
症状や脱毛の改善、予防又は処置のために利用できる。
薬用人蔘エキスもしくは薬用人蔘粗サポニン分画の成分
は、ジンセノサイドRbと同様に低濃度である限り海
産物の養殖、農産物の栽培、介護施設や温泉保養施設に
おける入浴剤に利用できることは既述した。
【0176】薬用人蔘の粗サポニン分画を、褥創治療、
皮膚潰瘍治療、創傷治療、皮膚組織再生促進等のため
に、皮膚の病変部もしくはその周辺に局所注射するとき
も、局所注射液内の粗サポニン分画の濃度を、145μ
g/ml以下、好ましくは1.45μg/ml以下、よ
り好ましくは0.145fg/ml〜14.5ng/m
l程度に調整することが必要である。局所注射液におけ
る粗サポニン分画の濃度の上限は、14.5mg/ml
以下、好ましくは1.45mg/ml以下である。粗サ
ポニン分画からなる皮膚局所注射剤の溶媒としては、ジ
ンセノサイドRb を皮膚局所注射剤もしくは静脈内投
与製剤として使用するときと同様に、生理食塩水、蒸留
水、リン酸緩衝液、ブドウ糖液、リポソーム、脂肪乳剤
等任意のものが選択できる。もちろん前述の局所注射剤
は、皮膚のみならず、あらゆる臓器・組織に注入するこ
とができるし、点眼薬、点耳薬としても利用できる。ま
た、局所注射剤ににおける前述の粗サポニン分画の濃度
はあくまでも目安であり、実際には皮膚局所における粗
サポニン分画の細胞外液濃度が14.5ng/ml以
下、好ましくは145pg/ml以下、より好ましくは
1450fg/ml以下になるように局所注射剤への粗
サポニン分画の混入量を調整する必要がある。
【0177】薬用人蔘の粗サポニン分画を皮膚外用剤と
して、褥創治療、皮膚潰瘍治療、創傷治療、皮膚組織再
生・再構築促進のために利用するときも、任意の基剤に
粗サポニン分画を混入して利用できるが、その濃度は基
剤100gもしくは100mlあたり、145mg
(0.145重量%)以下、好ましくは1.45mg
(0.00145重量%)以下、より好ましくは0.1
45mg(0.000145重量%)以下に調整する必
要がある。粗サポニン分画を前述の皮膚疾患の予防・治
療・処置のために皮膚外用剤に混入する際の濃度の上限
は、およそ1.45%程度と考えられる。ただし、前述
のごとくジンセノサイドRbは0.00000001
重量%(10−8重量%)の濃度で開放創を治療できる
ので、薬用人蔘、薬用人蔘エキスや薬用人蔘の粗サポニ
ン分画の皮膚外用剤における濃度も0.001重量%未
満に設定した方がよいと考えられる。もちろん、皮膚疾
患治療用外用剤における前記の薬用人蔘粗サポニン分画
の含有量はあくまでも目安であり、実際には皮膚局所に
おける粗サポニン分画の細胞外液濃度を指標にして外用
剤への粗サポニン分画の混入量を調整する必要がある。
最後に、本発明で使用されるジンセノサイド類特にジン
セノサイドRb又は薬用人蔘粗サポニン分画は薬用人
蔘の成分として知られており、極めて副作用の少ない医
薬組成物、粘膜外用組成物、健康薬組成物、発毛・育毛
用組成物、獣医薬組成物、ケミカルピーリング用組成
物、成長調整用組成物、もしくは化粧品組成物である。
なお、本発明で記載されたジンセノサイド類特にはジン
セノサイドRbの効果・効能・用途は、Bcl−x
発現増強作用を有するプロサポシン関連ペプチド(特願
平11−185155)やその他の脳室内投与により脳
細胞保護作用を示す化合物にもあてはまることはすでに
述べた。
【0178】以上のように、本発明の医薬組成物、化粧
品組成物、ケミカルピーリング用組成物、健康薬組成
物、肥料組成物、飼料組成物、粘膜外用組成物、成長調
整用組成物、獣医薬組成物及び発毛・育毛用組成物は、
生体組織(動物組織・植物組織)ならびに病変組織の再
生・新生・再構築という優れた作用効果を奏するもので
ある。したがって、本発明は、前記した本発明の医薬組
成物又は獣医薬組成物を用いて器質的疾患を細胞又は組
織の再生・再構築により治療する方法を提供する。ま
た、本発明の化粧品組成物により化粧方法、本発明のケ
ミカルピーリング用組成物によりケミカルピーリングの
方法、及び本発明の発毛・育毛組成物を用いた発毛・育
毛方法を提供するものである。また、本発明の肥料組成
物、飼料組成物により食料の増産方法を提供するもので
ある。さらに本発明は、本発明の医薬組成物又は獣医薬
組成物からなる医薬製剤又は獣医薬製剤を製造するため
のジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbの使用
を提供するものである。また、本発明は、ジンセノサイ
ドRbと効果・効能・用途が酷似するジンセノサイド
類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbの使用を
提供するものである。
【0179】
【実施例】次に、具体的な試験例により本発明を詳細に
説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるもの
ではない。
【0180】実施例1(ジンセノサイドRbの静脈内
注入による切開創治療) 雄性ウィスターラット(体重300g程度)を使用し
た。同動物は12時間ごとの明暗サイクル室で飼育し、
水ならびに餌は自由摂取とした。吸入麻酔下で同動物の
背部に長さ3cm程度の切開創を作成し、ナイロン糸で
縫合後、約1時間経過してからジンセノサイドRb
(60μg)の生理食塩水溶解液を単回静脈内注入し
た。その後アルザミニ浸透圧ポンプを用いてジンセノサ
イドRbを7日間静脈内へ持続注入した(60μg/
日)。なお、同様の切開創を作成してナイロン糸で縫合
した対照動物には、同量の生理食塩水のみを静脈内投与
した。
【0181】ジンセノサイドRbもしくは生理食塩水
の静脈内持続注入終了後2日目に、動物をペントバルビ
タールにて麻酔し、4%パラホルムアルデヒドを含有す
る0.1Mリン酸緩衝液で経心的に灌流固定した。その
後、切開縫合部位を含む皮膚組織を採取し、後固定後常
法通りパラフィンに包埋した。厚さ5μm程度のパラフ
ィン切片を作成してヘマトキシリンエオジン(HE)染
色に供した。その結果を図1に示す。図1Aはジンセノ
サイドRb投与例、図1Bは生理食塩水投与例を示し
ている。また、“s”は瘢痕(scar)を示す。図1Aに
示されるごとく、ジンセノサイドRb投与例では、図
1Bの生理食塩水投与例と比較して、明らかに瘢痕形成
が少なく、切開創局部の直近に汗腺、脂腺、毛包等の皮
膚付属器も多数観察された。また、ジンセノサイドRb
投与例では、生理食塩水投与例と異なり創傷局部を除
いては、表皮、真皮、皮下組織がほぼ正常に近い状態に
まで再生・再構築、もしくは回復していた。
【0182】実施例2(ジンセノサイドRbの静脈内
注入による開放創もしくは皮膚欠損治療) 雄性ウィスターラット(体重300g程度)を使用し
て、吸入麻酔下で同動物の背部に直径6mmのパンチバ
イオプシーを施し開放創を作成して放置した。その後、
約1時間経過してからジンセノサイドRb(12μ
g)の生理食塩水溶解液を単回静脈内投与し、続いてア
ルザミニ浸透圧ポンプを用いてジンセノサイドRb
7日間静脈内へ持続注入(12μg/日)した。なお、
同様の開放創を作成して放置した対照動物には、同量の
生理食塩水のみを静脈内投与した。
【0183】ジンセノサイドRbもしくは生理食塩水
の静脈内持続注入終了後2日目に、動物をペントバルビ
タールにて麻酔し、4%パラホルムアルデヒドを含有す
る0.1Mリン酸緩衝液で経心的に灌流固定した。その
後、開放創を含む皮膚組織を摘出し、後固定後常法通り
パラフィンに包埋した。厚さ5μm程度のパラフィン切
片を作成してヘマトキシリンエオジン(HE)染色に供
した。その結果を図2に示す。図2Aはジンセノサイド
Rb投与例、図2Bは生理食塩水投与例を示してい
る。図2A、Bの矢印より左側が健常部を、図2Aの矢
印より右側が再生皮膚組織を、図2Bの矢印より右側が
主として瘢痕部(scar,s)を示している。図2Aの再
生皮膚組織には表皮下の結合組織(真皮もしくは皮下組
織)に毛包やそれに付随した皮脂腺や立毛筋が多数みら
れ、再生ならびに再構築した皮膚組織の下に瘢痕(sca
r,s)が少し存在している。図2Aに示されるごと
く、ジンセノサイドRb投与例では、図2Bの生理食
塩水投与例と比較して、明らかに瘢痕形成が少なく上皮
化も充分起きており、乳頭を有する真皮の結合組織、皮
下組織の再生・再構築がほぼ正常組織に近い状態までに
進行していた。また、ジンセノサイドRb投与例で
は、生理食塩水投与例と異なり、開放創の再生皮膚組織
内に毛包、毛乳頭、立毛筋、汗腺、脂腺等の皮膚付属器
が豊富に認められ、血管網もほぼ正常組織に近い状態ま
で再生・再構築もしくは回復していた。
【0184】実施例3(ジンセノサイドRbの静脈内
事前注入による開放創もしくは皮膚欠損改善効果) 雄性ウィスターラット(体重300g程度)に吸入麻酔
下でジンセノサイドRb(12μg)の生理食塩水溶
解液を単回静脈内投与し、続いてアルザミニ浸透圧ポン
プを用いてジンセノサイドRbを4日間静脈内へ持続
注入(12μg/日)した。その後、吸入麻酔下で同動
物の背部に直径6mmのパンチバイオプシーを施し開放
創を作成するとともに、ジンセノサイドRbの静脈内
持続注入をさらに3日間継続した。なお、同様の開放創
を作成して放置した対照動物には、同量の生理食塩水の
みを静脈内投与した。
【0185】ジンセノサイドRbもしくは生理食塩水
の静脈内持続注入終了後2日目(すなわち開放創作成後
5日目)に、動物をペントバルビタールにて麻酔し、4
%パラホルムアルデヒドを含有する0.1Mリン酸緩衝
液で経心的に灌流固定した。その後、開放創を含む皮膚
組織を摘出し、常法通りパラフィンに包埋した。厚さ5
μm程度のパラフィン切片を作成してヘマトキシリンエ
オジン(HE)染色に供した。その結果を図3に示す。
図3AはジンセノサイドRb投与例、図3Bは生理食
塩水投与例を示している。“i”は痂皮(incrustation
もしくはeschar)を、“ep”は表皮(epidermis)の
重層扁平上皮(stratified squamous epithelium)を、
“bv”は血管(blood vessel)を示す。図3Aに示さ
れたごとく、ジンセノサイドRb投与例では、開放創
作成後5日目には既に痂皮の下に明らかな表皮(重層扁
平上皮組織)が再生・再構築しており、表皮(重層扁平
上皮)直下には赤血球で満たされた太い再生血管もしく
は新生血管が分布するとともに、同血管から枝分れした
と思われる比較的細い血管が真皮の結合組織や皮下組織
内に密に存在していた。一方、図3Bに示されたごと
く、生理食塩水投与例では、開放創作成後5日目におい
ても痂皮の下の表皮(重層扁平上皮)再生は極めて不完
全であり、非常に薄い表皮組織の直下にある再生血管
も、ジンセノサイドRb静脈内投与例と比較して明ら
かに細かった。そのため将来瘢痕になると考えられる表
皮下の結合組織には極めて細い血管が少数散見されるの
みであった。従って、ジンセノサイドRbの静脈内投
与により、皮膚組織の再生・再構築が明らかに促進さ
れ、開放創によってひとたび破綻・切断された血管の再
生・新生・再構築もジンセノサイドRbの静脈内投与
により促進されることが発明されたことになる。以上の
実施例により、ジンセノサイドRbは開放創を作成す
る前に静脈内投与しても、あるいは開放創を作成した後
に静脈内投与しても、優れた皮膚組織再生・再構築促進
作用を発揮すると言える。
【0186】実施例4(ジンセノサイド類特にはジンセ
ノサイドRbによる縫合不全発症の予防、治療、処
置) 糖尿病患者、高齢者、免疫不全病患者、低栄養患者、癌
患者などは外科的手術後に縫合不全を発症することが多
いので、これを未然に防ぐことが何よりも肝要であると
考えられている。従って、術前もしくは術後より通常の
治療に加えてジンセノサイド類特にはジンセノサイドR
を、1日当たり0.02mg以上、好ましくは0.
2mg以上、より好ましくは10mg以上の用量で静脈
内へ連日単回注入もしくは持続注入しておくと、術後の
縫合不全発症率が有意に低下し、術創の回復も早くな
る。また、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
の静脈内注入を実施するとともに、水溶性基剤、軟膏
基剤、脂溶性基剤等の任意の基剤に低濃度のジンセノサ
イドRbを混入して皮膚外用剤(クリーム、ゲル、噴
霧剤又は軟膏等)を作成し、術創部局所及びその周辺部
に創傷が治癒するまで、塗布してもよい。また、術中に
ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbを局所投
与してもよい。その際に局部におけるジンセノサイドR
の細胞外液濃度が1ng/ml以下、好ましくは1
0pg/ml以下、より好ましくは100fg/ml以
下となるように基剤ならびに局所投与剤へのジンセノサ
イドRb 混入量を調整する。すなわち、皮膚外用剤へ
のジンセノサイドRb混入量は0.001%未満とす
ることが好ましい。
【0187】実施例5(ジンセノサイド類特にはジンセ
ノサイドRbによる放射線障害もしくは熱傷の治療、
処置) 重症の放射線障害患者や熱傷患者は、皮膚組織が広範に
変性脱落し、皮膚培養シート移植によっても満足すべき
効果が得られず、患者の生命予後が脅かされることがあ
る。このような患者に対して、移植培養シートからの皮
膚組織再生や健常皮膚組織構成細胞の分裂・増殖・病巣
部への移動・分化による病変組織の再生を促すために、
ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbを1日当
たり0.02mg以上、好ましくは0.2mg以上、よ
り好ましくは10mg以上の用量で静脈内へ症状の改善
がみられるまで連日単回注入もしくは持続注入する。も
ちろん、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
の静脈内注入を実施するとともに、水溶性基剤あるいは
脂溶性基剤にジンセノサイド類特にはジンセノサイドR
を混入して皮膚外用剤(クリーム、ゲル、ローショ
ン、噴霧剤又は軟膏等)を作成し、皮膚病変部及びその
周辺に病巣が改善・治癒するまで塗布してもよい。その
際に病変部局所におけるジンセノサイド類特にはジンセ
ノサイドRb の細胞外液濃度が1ng/ml以下、好
ましくは10pg/ml以下、より好ましくは100f
g/ml以下となるように基剤へのジンセノサイド類特
にはジンセノサイドRb混入量を調整する。皮膚外用
剤におけるジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
の濃度は0.001%未満とすることが好ましい。ま
た、放射線障害や熱傷が比較的軽症の場合は、前述の皮
膚外用剤のみを投与しても構わない。
【0188】実施例6(ジンセノサイド類特にはジンセ
ノサイドRbによる褥創の予防・治療・処置) 寝たきり患者ならびに高齢者の褥創は、全身状態を悪化
させるきっかけともなりQOL(生活の質、quality of
life)を著しく損なう皮膚疾患である。褥創の早期に
は病変部皮膚の発赤がみられるが、この時点で病変部局
所ならびにその周辺に塗布して効果・効能を示す外用剤
もしくは静脈内投与製剤がほとんどないことが、皮膚科
領域で大きな問題となっている。もちろん、皮膚組織が
欠損した褥創病変の治療も困難を極めることが多々あ
る。ブドウ糖を含有するか含有しない水溶性基剤あるい
は脂溶性基剤にジンセノサイド類特にはジンセノサイド
Rbを混入して皮膚外用剤(クリームまたは軟膏)を
作成し、褥創部局所およびその周辺部に褥創病変が治癒
するか縮小するかあるいは悪化しなくなるまで、常時塗
布する。皮膚外用剤におけるジンセノサイド類特にはジ
ンセノサイドRbの濃度は0.001%未満とするこ
とが好ましい。その際に局部におけるジンセノサイド類
特にはジンセノサイドRbの細胞外液濃度が1ng/
ml以下、好ましくは10pg/ml以下、より好まし
くは100fg/ml以下となるように基剤へのジンセ
ノサイド類特にはジンセノサイドRb混入量を調整す
る。また、必要に応じて、本実施例4ならびに本実施例
5に記載された要領でジンセノサイド類特にはジンセノ
サイドRbの静脈内投与を併用する。ジンセノサイド
Rbは、特願平10−365560、PCT/JP9
9/02550(ジンセノサイドRbからなる脳細胞
又は神経細胞保護剤)で記述されたごとく、強力な細胞
保護作用を介して褥創病変の伸展を抑止し、ひとたび皮
膚組織が欠損した褥創病変に対しては、皮膚組織の再生
・再構築を促進することにより優れた治療効果を発揮す
る。
【0189】実施例7(ジンセノサイド類特にはジンセ
ノサイドRbによる消化性潰瘍の治療) 胃潰瘍や十二指腸潰瘍の薬物治療の手段として、H2受
容体阻害剤、プロトンポンプ阻害剤、消化管粘膜保護剤
等が主として用いられるが、薬剤によって一時的に潰瘍
病変が治癒しても、薬物投与を中止するとしばしば潰瘍
病変が再発する。また潰瘍病変は、消化管の難病に指定
されているクローン病や潰瘍性大腸炎においても頻繁に
みられ、患者の予後を悪化させる原因になっている。胃
潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病発症
後、通常の治療手段を施しながら、できるだけ早期にジ
ンセノサイド類特にはジンセノサイドRbの静脈内注
入、挿肛投与、点耳投与もしくは内視鏡下での病変部粘
膜外用投与を実施し、内視鏡にて病変の治癒もしくは改
善が確認されるまで治療を継続する。
【0190】実施例8(ジンセノサイド類特にはジンセ
ノサイドRbによる糖尿病性皮膚潰瘍の治療) 糖尿病性皮膚潰瘍は病変部の血流障害や皮膚組織の欠損
等を伴う難治性疾患であるが、血管や皮膚組織の再生・
再構築を促進せしめる作用を有するジンセノサイド類特
にはジンセノサイドRbを静脈内投与、局所注入もし
くは外用塗布すれば効果が得られる。すなわち、糖尿病
性皮膚潰瘍を有する患者に対して、通常の治療に加え
て、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbを1
日当たり0.02mg以上、好ましくは0.2mg以
上、より好ましくは10mg以上の用量で静脈内へ連日
単回注入もしくは持続注入する。また必要に応じて、本
実施例4に記載したごとくジンセノサイドRbを含有
する皮膚外用剤を病変部及びその周辺部に塗布してもよ
いし、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
生理食塩水溶解液を病変部局所に注入してもよい。その
際、病変部におけるジンセノサイド類特にはジンセノサ
イドRbの細胞外液濃度が1ng/ml以下、好まし
くは10pg/ml以下、より好ましくは100fg/
ml以下となるように基剤へのジンセノサイド類特には
ジンセノサイドRb混入量もしくはジンセノサイドR
含有生理食塩水(溶解剤)の局所注入量を調整す
る。
【0191】実施例9(ジンセノサイドRbからなる
皮膚外用剤による開放創もしくは皮膚欠損治療) 雄性ウイスターラット(体重300g程度)を使用し
て、吸入麻酔下で動物の背部を剃毛した後に直径6mm
のパンチバイオプシーを施し開放創を3ヶ所作成した。
そのうち、2ヶ所には0.01重量%もしくは0.00
1重量%のジンセノサイドRbを含有する眼科用白色
ワセリン(プロペト)を連日0.1g単回塗布し、残り
の開放創には同量の眼科用白色ワセリン(プロペト)の
みを塗布した。開放創作成後、9日目に創部を含む皮膚
を写真撮影した。さらに、本発明者らは同様の方法で
0.0001重量%、0.00001重量%もしくは
0.000001重量%のジンセノサイドRb皮膚外
用塗布の効果も調べた。なお、実験動物は写真撮影直前
に麻酔薬により安楽死させ、写真撮影したのちに創傷部
を採取するかもしくは創傷部を採取したのちに写真撮影
を実施した。その後創傷部組織を固定液中で保存した。
結果を図5及び図6に示す。
【0192】図5の上から1番目が開放創作成後、プロ
ペトのみを外用投与(外用塗布)したものであり、赤い
開放創(写真では黒い開放創)が目立つ。図5の上から
2番目が0.001%のジンセノサイドRbを含有す
るプロペトを外用塗布(皮膚外用投与)したものである
が、上から1番目のプロペトのみを外用塗布したものに
比べて開放創面積がやや縮小していた。一方、0.01
重量%のジンセノサイドRb1を含有するプロペトを外
用塗布(外用投与)された上から3番目の開放創は、上
から1番目の対照と比べて差異は認められなかった。ま
た、図6の上から2番目と3番目に示したごとく、0.
00001重量%もしくは0.000001重量%のジ
ンセノサイドRbを含有するプロペトは、0.000
1重量%のジンセノサイドRbを含有するプロペトよ
りも優れた効果を示した。0.000001重量%のジ
ンセノサイドRbの皮膚外用投与により、再生した開
放創部より明らかな発毛が観察された。このことは、低
濃度のジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
らなる皮膚外用剤を開放創に外用塗布もしくは外用噴霧
しても、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
の静脈内持続投与とほぼ同じ効果・効能が得られること
を明らかにしている。
【0193】実施例10(ジンセノサイドRbによる
ヒト口腔粘膜咬傷治療:その1) 次に本発明者の一人(阪中)は低濃度のジンセノサイド
Rbを含有するプロペトが口腔粘膜の咬傷に有効であ
るかどうか、自身で確認した。平成12年5月2日午後
2時頃に阪中は歯科治療後左三叉神経第三枝の浸潤麻酔
ならびに歯根膜麻酔が醒める前に、空腹のあまり遅い昼
食をとり始めた。15分以内に自身の左下唇粘膜を3度
噛んでしまい、その後口腔内に鉄の味覚(血液)を感知
したので、鏡にて咬傷を確認した所、少なくとも5ケ所
に口腔内粘膜のびらんもしくは欠損を認め、さらに1ケ
所に血腫を認めた。このまま、放置すると数日以内にア
フタ性口内炎を併発し、完治までに1週間から10日を
要すると判断したので、本発明者の動物実験で効果・効
能が確認されている低濃度(0.00001重量%)の
ジンセノサイドRbを含有したプロペトを、口腔粘膜
のびらんもしくは欠損をきたした領域5ケ所、ならびに
血腫の部位1ケ所に少量外用塗布した。外用塗布は、毎
食前後ならびに間食前後に実施した。すなわち1日6〜
10回に分けて咬傷部位に0.00001重量%のジン
セノサイドRbを含有するプロペトを口唇粘膜へ外用
塗布した。咬傷後96時間目の口唇粘膜の写真を図7に
示す。
【0194】図7の写真に示すごとく、咬傷後96時間
目には白矢頭で示すごとく血腫は残っているが、その他
の黒矢頭で示した口唇粘膜の咬傷部(すなわちびらんも
しくは欠損をきたした口腔粘膜)は、わずかに発赤がみ
られるのみでほぼ完全に上皮化が進んでおり、明らかに
創傷が治癒したと考えられた。なお、0.00001重
量%のジンセノサイドRbを含有するプロペトを咬傷
部に外用塗布し始めてからは、創部における疼痛も顕著
に軽減した。
【0195】実施例11(ジンセノサイドRbによる
口腔粘膜咬傷治療:その2) 次に本発明者の一人(阪中)は、平成12年5月26日
昼食中に再度左下唇粘膜を噛んでしまったので、0.0
0001重量%のジンセノサイドRbを含有するプロ
ペトを同様の方法で咬傷部へ外用塗布した。咬傷直後の
写真を図8の左側に、咬傷後72時間目の写真を図8の
右側に示す。図8に示すごとく、低濃度のジンセノサイ
ドRbを粘膜へ外用投与すれば、アフタ性口内炎を併
発することなく咬傷が速やかに治癒することが判明し
た。
【0196】実施例12(ジンセノサイドRbによる
ポトスの挿し木の新生・再生促進効果) 本発明者らは、ジンセノサイド類特にジンセノサイドR
が皮膚組織や口腔粘膜組織のみならず、植物組織の
新生・再生もしくは再構築をも促進するかどうかを調べ
た。このため植物組織として観葉植物の1つであるポト
ス(学名、Epipremunum aureum;和名:オウゴンカズ
ラ;英名:golden pothos)を選んだ。発明者の一人
(田中)の部屋にあるポトスの親株から、類似した挿し
木を6本採取し、3本は水のみを用いて水栽培し、残り
3本は100fg/mlのジンセノサイドRbを含有
する水中で栽培した。栽培13日目の挿し木の写真を図
9に示す。図9の左側は水のみで挿し木(ポトスの茎と
枝)を水栽培したものであり、図9の右側は、低濃度の
ジンセノサイドRb(100fg/ml)を含有する
水で挿し木を水栽培したものである。明らかに低濃度の
ジンセノサイドRb(100fg/ml)を含有する
水で、ポトスの挿し木を水栽培した場合には水のみで水
栽培したものと比べて、根の伸長が促進された。
【0197】次に、本発明者らは、前述の挿し木を引き
続き水栽培に供し、22日目に再度写真撮影を実施し
た。結果を図10に示す。図10の左側は、水のみでポ
トスの挿し木を3本22日間水栽培したものであり、図
10の右側は、低濃度のジンセノサイドRb(100
fg/ml)を含有する水で挿し木を水栽培したもので
ある。なお、水栽培用の水もしくはジンセノサイドRb
を含有する水は、1週間に一度交換した。
【0198】図10に示すごとく、低濃度のジンセノサ
イドRb(100fg/ml)を含有する水で挿し木
を22日間水栽培すると、多くの根が新生もしくは再生
し、水栽培用ガラス容器に接するまでに伸長した。従っ
て、本実験結果より低濃度・低用量のジンセノサイド類
特にはジンセノサイドRbは皮膚組織やヒト口腔粘膜
組織のみならず、植物組織の新生・再生もしくは再構築
をも促進することが発明された。
【0199】実施例13(薬用人蔘粗サポニン分画によ
るポトスの挿し木の新生・再生促進効果) 次に本発明者らは、薬用人蔘の粗サポニン分画が低濃度
のジンセノサイドRb と同様にポトスの挿し木の新生
・再生もしくは再構築を促進するかどうかをしらべた。
このため、ポトスの親株から、類似した挿し木を2本採
取し、1本は水のみを用いて栽培し、残りの1本は14
50fg/mlの薬用人蔘粗サポニン分画を含有する水
中で、水栽培した。栽培14日目の写真を図11に示
す。図11の左側は水のみで挿し木を栽培したものであ
り、図11の右側は、低濃度の薬用人蔘粗サポニン分画
(1450fg/ml)を含有する水で挿し木を水栽培
したものである。明らかに、低濃度の粗サポニン分画
(1450fg/ml)を含有する水で、ポトスの挿し
木を水栽培した場合に水のみで水栽培したものと比べ
て、根の伸長が促進された。すなわち、粗サポニン分画
もジンセノサイドRbと同様に植物組織の新生・再生
もしくは再構築を促進すると言える。当然のことなが
ら、粗サポニン分画を含有する薬用人蔘エキスや薬用人
蔘も同様の作用を有すると言える。すなわち薬用人蔘、
薬用人蔘エキス、薬用人蔘粗サポニン分画、ジンセノサ
イド類特にジンセノサイドRbは、あらゆる生体組織
(動物・植物組織)の再生・新生・再構築を促進すると
言える。
【0200】実施例13(10−4重量%〜10−8
量%のジンセノサイドRbを含有するプロペトによる
開放創治療) 吸入麻酔下でラット(n=3)の背部に直径6mmのパ
ンチバイオプシーを6ケ所に施し開放創を作成した。そ
の後、各開放創に、ジンセノサイドRbをそれぞれ
0.0001重量%(10−4重量%)、0.0000
1重量%(10 重量%)、0.000001重量%
(10−6重量%)、0.0000001重量%(10
−7重量%)、0.00000001重量%(10−8
重量%)、含有するプロペトを1日単回0.1gを9日
間外用塗布した。コントロールにはプロペトのみを外用
塗布した。その後麻酔により動物を安楽死させた直後
に、創傷部皮膚を採取し写真撮影を実施した。採取した
皮膚組織は固定液中で保存した。結果を図12に示す。
【0201】図12に示すごとく10−6重量%から1
−8重量%のジンセノサイドRb を含有するプロペ
ト(すなわち10ng/mlから100pg/gの濃度
のジンセノサイドRb)を開放創に外用塗布しても1
−5重量%のジンセノサイドRbを含有するプロペ
トと同様に明らかに、プロペトのみを外用塗布した開放
創に比べて、創傷治癒が促進された。従って、ジンセノ
サイド類特にはジンセノサイドRbを皮膚外用剤とし
て使用するときは、外用剤における濃度は10 −8重量
%前後もしくはそれ以下に設定することが好ましいと考
えられた。従って、化粧品組成物又は健康薬組成物とし
て、ジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb、薬
用人蔘粗サポニン分画、薬用人蔘エキスもしくは薬用人
蔘を使用するときも、化粧品、ケミカルピーリング剤、
又は健康薬におけるその濃度は0.001重量%未満、
好ましくは0.00001重量%(10−5重量%)以
下、より好ましくは0.00000001重量%(10
−8重量%)以下に設定することが必要である。
【0202】前述の実験例において、プロペトのみを外
用塗布した開放創の面積を分母にとり、10−4重量%
から10−8重量%のジンセノサイドRbを外用塗布
した開放創の面積を分子にとり、その比を算出した。結
果を図13に示す。図13に示すごとく、低濃度のジン
セノサイドRbを開放創に外用投与すると有意に創傷
治癒が促進された。統計解析は、ANOVA+Scheffe's post
hoc testによる。*はP<0.05を、**はP<
0.01を示す。10−8%前後のジンセノサイドRb
を外用塗布すると開放創の面積は、対照群の4分の1
程度に縮小するので、低濃度のジンセノサイドRb
外用投与することにより開放創の体積はおよそ、8分の
1に縮小したと考えられる。
【0203】実施例15(低濃度のジンセノサイドRb
を含有するプロペトによる口腔粘膜熱傷もしくはアフ
タ性口内炎治療) 熱い飲食物を急いで口腔内へ入れたときに舌粘膜、口唇
粘膜、硬口蓋粘膜、軟口蓋粘膜が熱傷をこうむり、粘膜
上皮が脱落し、粘膜のびらんや発赤が出現することがよ
くある。もちろんこのような熱傷には疼痛を伴うことが
常である。また、口腔粘膜の咬傷や熱傷後にもしくは原
因が定かではないときにも、しばしばアフタ性口内炎が
生じ、1週間から10日程度、常時口腔内に疼痛を覚え
食事をするのも不自由なことがしばしばである。上記の
ような口腔粘膜の熱傷やアフタ性口内炎に対して、10
−3重量%未満、好ましくは10−5重量%以下、より
好ましくは10−7重量%以下のジンセノサイドRb
を含有する軟膏を1日に3〜10回、特に食事前後に病
変部に塗布すれば、疼痛も軽減し、粘膜欠損もしくは創
傷の治癒が促進される。なお、口腔粘膜外用剤としてジ
ンセノサイド類特にジンセノサイドRbを使用すると
きの基剤として、デキサルチン軟膏やケナログと同様の
基剤を用いてもよい。また、口腔粘膜外用剤に含有され
るジンセノサイド類特にはジンセノサイドRbの至適
濃度は、皮膚外用剤におけるジンセノサイド類の至適濃
度より、10倍〜1000倍程度高いと考えられる。
【0204】実施例16(ジヒドロジンセノサイドRb
を含有する皮膚外用剤による開放創治療) 次に、本発明者らはジンセノサイド類誘導体が、ジンセ
ノサイドRbと同様に低濃度・低用量で組織再生・再
構築を促進するかどうかをしらべた。このため、ジンセ
ノサイド類誘導体の1つとしてジヒドロジンセノサイド
Rbを選び、同化合物の開放創治療効果を検討した。
なお、ジヒドロジンセノサイドRbの詳細については
PCT/JP00/04102(薬用人蔘からなる脳細
胞または神経細胞保護剤)に記載されている。吸入麻酔
下でラット(n=4)の背部に直径6mmのパンチバイ
オプシーを5ケ所に施し開放創を作成した。その後、各
開放創に、ジヒドロジンセノサイドRbをそれぞれ
0.0001重量%(10 重量%)、0.0000
1重量%(10−5重量%)、0.000001重量%
(10−6重量%)、0.0000001重量%(10
−7重量%)、の濃度で、含有するプロペトを1日単回
0.1gを9日間外用塗布した。コントロールにはプロ
ペトのみを外用塗布した。その後、麻酔により動物を安
楽死させた直後に創傷部皮膚を採取し写真撮影を実施し
た。採取した皮膚組織は固定液中で保存した。結果を図
14に示す。
【0205】図14に示すごとく0.00001重量%
(10−5重量%)から0.0000001重量%(1
−7重量%)のジヒドロジンセノサイドRbを含有
するプロペト(すなわち100ng/gから1ng/g
の濃度のジヒドロジンセノサイドRb)を開放創に外
用塗布すると明らかに、プロペトのみを外用塗布した開
放創に比べて、創傷治癒が促進された。また、低濃度の
ジヒドロジンセノサイドRbを外用塗布した例では、
創傷治癒部に明らかな発毛が観察された。従って、ジン
セノサイド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRb
を皮膚外用剤として使用するときは、外用剤における
濃度は0.0000001重量%(10 −7重量%)前
後もしくはそれ以下に設定することが好ましいと考えら
れた。従って、化粧品組成物として、ジンセノサイド類
誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRbを使用する
ときも、化粧品又は健康薬におけるその濃度は0.00
1重量%未満、好ましくは0.00001重量%(10
−5%重量)以下、より好ましくは0.0000001
重量%(10−7重量%)以下に設定することが好まし
い。
【0206】前述の実験例において、プロペトのみを外
用塗布した開放創(発赤部)の面積を分母にとり、0.
00001重量%(10−4重量%)から0.0000
001重量%(10−7重量%)のジヒドロジンセノサ
イドRbを外用塗布した開放創の面積を分子にとり、
その比を算出した。結果を図15に示す。図15に示す
ごとく、0.00001重量%(10−5重量%)以下
の濃度のジヒドロジンセノサイドRbを開放創に外用
投与すると皮膚組織の再生・再構築が促進され、有意に
創傷治癒も促進された。特に0.00001重量%(1
−5重量%)以下のジヒドロジンセノサイドRb
なわち100ng/g以下もしくは100ng/ml以
下のジヒドロジンセノサイドRbの外用投与が開放創
を有意に縮小せしめたという事実は、ジヒドロジンセノ
サイドRbが患部組織の細胞外液濃度が100ng/
ml以下のときに生体組織の新生・再生又は再構築を促
進するということを強く支持している。統計解析は、A
NOVA+FisherのPLSDによる。*はP<0.05
を示す。
【0207】実施例17(ジヒドロジンセノサイドRb
による培養神経細胞保護) 次に本発明者らは、ジヒドロジンセノサイドRbがジ
ンセノサイドRbと同様の効果・効能・用途を有する
ということを確認するため、さらに培養神経細胞を用い
て実験を実施した。本発明者(阪中、田中)らは、培養
神経細胞を一酸化窒素供与体であるニトロプルミッドナ
トリウム(SNP)に短時間暴露すると神経細胞のアポ
トーシスもしくはアポトーシス様神経細胞死が誘導され
ることを報告している(Toku K. etal., J. Neurosci.
Res., 53, 415-425, 1998)。この培養実験系を用い
て、本発明者らはすでにジンセノサイドRbが1ng
/ml以下の細胞外液濃度で神経細胞のアポトーシスも
しくはアポトーシス様神経細胞死を抑止することを見出
している(特願平10−365560、PCT/JP9
9/02550、ジンセノサイドRbからなる脳細胞
又は神経細胞保護剤)。そこで、同様の実験を用いてジ
ヒドロジンセノサイドRbの神経細胞保護作用をしら
べた。
【0208】妊娠17日齢のラットの胎仔大脳皮質よ
り、トリプシンEDTAを用いて神経細胞を分離し、ポ
リエルリジンコートした24ウェルプレートに蒔いた。
10%牛胎仔血清を含むDulbecco's modified Eagle's
medium(DMEM)中で16時間培養後、培養液をイン
シュリン、トランスフェリン等を含む神経細胞培養用無
血清培地に置き換え、3ないし4日間培養した。培養3
または4日目に、300μMの濃度でニトロプルシッド
ナトリウム(SNP)を添加し、10分間インキュベー
トした。その後、培養液をジヒドロジンセノサイドRb
(0〜1ng/ml)及び牛血清アルブミンを含むEa
gle's minimum essential medium(EMEM)に置き換
えた。SNP負荷後16時間目にLaemmliの電気泳動用
サンプル緩衝液を用いて神経細胞を溶解し、ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動を行い、ニトロセルロース膜に転
写後、神経細胞特異蛋白質MAP2に対する抗体を用い
てイムノブロッティングを行った。神経細胞の生存率を
定量するため、免疫染色されたMAP2のバンドをデン
シトメトリーにより解析した。結果を図16及び図17
に示す。また、参考までにジヒドロジンセノサイドRb
のNMRチャート(400MHz,CD3OD)を図
18に示す。
【0209】図16はmicrotuble associated protein
2(MAP2)のイムノブロットの結果を示す図面に代
わる写真である。左から1番目のレーンがコントロール
の培養神経細胞であり、明らかなMAP2のバンド(す
なわち神経細胞のマーカーのバンド)が認められた。S
NP処理をすると、多くの神経細胞がアポトーシスもし
くはアポトーシス様神経細胞死に陥るので、MAP2の
バンドが左から2番目のレーンのごとく明らかに弱くな
った。ジヒドロジンセノサイドRbを0.01fg/
ml(レーン3)から1ng/ml(レーン7)の濃度
で培養メディウムに添加しておくと、SNPによる神経
細胞のアポトーシス又はアポトーシス様神経細胞死が明
らかに抑止され、その結果神経細胞の生存の指標である
MAP2の強いバンドが観察された。
【0210】前述のMAPのイムノブロット実験を5回
くり返し、結果をデンシトメトリー解析したものが図1
7である。図17に示すごとく、0.01fg/ml〜
1ng/mlのジヒドロジンセノサイドRbは有意に
神経細胞のアポトーシスもしくはアポトーシス様神経細
胞死を抑止することが判明した。すなわち、ジヒドロジ
ンセノサイドRbは、ジンセノサイドRbよりもや
や広い濃度域で、細胞特には神経細胞に対して好ましい
効果を発揮すると考えられる。従って、ジンセノサイド
類誘導体特にジヒドロジンセノサイドRbは、患部組
織における細胞外液濃度が100ng/ml以下、好ま
しくは10pg/ml以下、より好ましくは0.000
1fg/ml〜100fg/mlのときに細胞のアポト
ーシスもしくはアポトーシス様細胞死を抑止することに
より、優れた細胞保護作用を発揮すると考えられる。*
はP<0.001を、**はP<0.0001を示す。
【0211】また、ジヒドロジンセノサイドRb
0.0001重量%(10−5重量%)含有する皮膚外
用剤が優れた開放創治療効果を示すという前述の実験結
果から判断すると、ジンセノサイド類誘導体特にジヒド
ロジンセノサイドRbはやはり、患部組織における細
胞外液濃度が100ng/ml以下、好ましくは10p
g/ml以下、より好ましくは0.0001fg/ml
〜100fg/mlのときに優れた生体組織の再生・再
構築を作用を発揮すると言える。
【0212】
【発明の効果】本発明は、薬用人蔘の成分として知られ
ているジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
有効成分とする、極めて副作用の少ない医薬組成物、皮
膚外用組成物、粘膜外用組成物、健康薬組成物、ケミカ
ルピーリング用組成物、化粧品組成物、肥料組成物、飼
料組成物、成長調整用組成物、又は発毛・育毛用組成物
を提供するものである。本発明では、従来のものよりも
低濃度のジンセノサイド類特にはジンセノサイドRb
を使用することにより、従来のジンセノサイドRb
有組成物では見出すことができなかった優れた生体組織
の再生及び/又は再構築促進作用が新規に発明された。
低濃度・低用量のジンセノサイド類特にジンセノサイド
Rbは、生体組織の再生・再構築促進作用を介して、
病理組織学的変化をきたすあらゆる器質的疾患の予防、
治療もしくは処置ならびに農作物や海産物の栽培・育成
・養殖に有用とされる。また、本発明では、ジンセノサ
イド類誘導体特にはジヒドロジンセノサイドRb、薬
用人蔘、薬用人蔘エキスもしくは薬用人蔘の粗サポニン
分画も、前述したジンセノサイド類特にはジンセノサイ
ドRbと同様の効果・効能・用途を有することが見出
された。なお、本発明において記載されたジンセノサイ
ド類特にはジンセノサイドRbの効果・効能・用途
は、プロサポシン関連ペプチド(特願平11−1851
55)や脳室内投与により脳細胞保護作用を示すその他
の化合物にもあてはまる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、切開創に対するジンセノサイドRb
静脈内投与の効果を示す図面に代わる光学顕微鏡写真で
ある。AがジンセノサイドRb投与例、Bが生理食塩
水投与例である。
【図2】図2は、開放創に対するジンセノサイドRb
静脈内投与の治療効果を示す図面に代わる光学顕微鏡写
真である。AがジンセノサイドRb投与例、Bが生理
食塩水投与例である。
【図3】図3は、開放創に対するジンセノサイドRb
静脈内前投与の効果を示す図面に代わる光学顕微鏡写真
である。AがジンセノサイドRb投与例、Bが生理食
塩水投与例である。
【図4】図4は、ジンセノサイドRbをリード化合物
として利用することにより作成できる化学的誘導体の一
部を示す図である。
【図5】図5は、開放創に対する低濃度(0.001重
量%)のジンセノサイドRbの皮膚外用投与の軽微な
治療効果を示す図面に代わる写真である。
【図6】図6は、開放創に対するより低濃度(0.00
01重量%、0.00001重量%、0.000001
重量%)のジンセノサイドRbの皮膚外用投与の効果
を示す図面に代わる写真である。
【図7】図7は、ヒト口腔粘膜咬傷に対する10−5
量%のジンセノサイドRbの粘膜外用塗布の効果を示
す図面に代わる写真である。
【図8】図8は、ヒト口腔粘膜咬傷に対する10−5
量%のジンセノサイドRbの粘膜外用塗布の効果を示
す図面に代わる写真である。
【図9】図9は、ポトスの根の新生・再生・発根に対す
るジンセノサイドRb(100fg/ml)の13日
目の効果を示す図面に代わる写真である。
【図10】図10は、ポトスの根の新生・再生に対する
ジンセノサイドRb(100fg/ml)の22日目
の効果を示す図面に代わる写真である。
【図11】図11は、ポトスの根の新生・再生に対する
薬用人蔘粗サポニン分画(1450fg/ml)の14
日目の効果を示す図面に代わる写真である。
【図12】図12は、ラットの開放創に対する10−4
〜10−8重量%のジンセノサイドRbの外用投与の
効果を示す図面に代わる写真である。
【図13】図13は、ラットの開放創に対する10−4
〜10−8重量%のジンセノサイドRbの外用投与の
効果を示すグラフである。
【図14】図14は、ラットの開放創に対する10−4
〜10−7重量%のジヒドロジンセノサイドRbの外
用投与の効果を示す図面に代わる写真である。
【図15】図15は、ラットの開放創に対する10−4
〜10−7重量%のジヒドロジンセノサイドRbの外
用投与の効果を示すグラフである。
【図16】図16は、SNPによる培養神経細胞のアポ
トーシスもしくはアポトーシス様神経細胞死に対するジ
ヒドロジンセノサイドRbの保護効果を示す、図面に
代わるMAP2イムノブロットの写真である。
【図17】図17は、SNPによる培養神経細胞のアポ
トーシスもしくはアポトーシス様神経細胞死に対するジ
ヒドロジンセノサイドRbの保護効果を示すグラフで
ある。
【図18】図18は、ジヒドロジンセノサイドRb
NMRチャートを示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 45/00 A61K 45/00 A61P 1/02 A61P 1/02 17/02 17/02 17/14 17/14 17/16 17/16 43/00 107 43/00 107 C07J 17/00 C07J 17/00 Fターム(参考) 4C083 AA111 AA112 AC012 AD491 AD492 CC04 CC05 CC37 DD08 DD22 DD41 EE12 EE22 4C084 AA17 MA56 MA63 MA65 NA14 ZA672 ZA892 ZA922 ZB222 4C086 AA01 AA02 AA03 EA19 MA01 MA04 NA14 ZA67 ZA89 ZA92 ZB22 4C088 AB18 AC11 BA09 CA03 MA56 MA63 MA65 NA14 ZA67 ZA89 ZA92 ZB22 4C091 AA02 BB01 CC01 DD01 EE06 FF02 FF06 GG03 GG05 HH01 JJ03 KK01 LL02 LL03 LL06 LL09 MM01 NN01 PA02 PA07 PB05 QQ01 RR13

Claims (72)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジンセノサイド類もしくはその代謝産物
    又はそれらの塩を含有してなる生体組織の病理組織学的
    変化をきたす器質的疾患の予防・処置又は治療用の医薬
    組成物又は獣医薬組成物。
  2. 【請求項2】 ジンセノサイド類もしくはその代謝産物
    又はそれらの塩の含有量が、組成物全体の0.001重
    量%未満である請求項1に記載の医薬組成物又は獣医薬
    組成物。
  3. 【請求項3】 ジンセノサイド類もしくはその代謝産物
    又はそれらの塩の患部組織における細胞外液濃度が、1
    ng/ml以下となるように調整されている請求項1又
    は2に記載の医薬組成物又は獣医薬組成物。
  4. 【請求項4】 ジンセノサイド類もしくはその代謝産物
    又はそれらの塩の患部組織における細胞外液濃度が、
    0.01〜100fg/mlもしくは1〜10000f
    g/mlである請求項3に記載の医薬組成物又は獣医薬
    組成物。
  5. 【請求項5】 ジンセノサイド類もしくはその代謝産物
    又はそれらの塩が、ジンセノサイドRb又はジヒドロ
    ジンセノサイドRbである請求項1〜4のいずれかに
    記載の医薬組成物又は獣医薬組成物。
  6. 【請求項6】 ジンセノサイド類もしくはその代謝産物
    又はそれらの塩が、天然物の抽出物、その分画、又はそ
    の精製物の中に存在しているものである請求項1〜5の
    いずれかに記載の医薬組成物又は獣医薬組成物。
  7. 【請求項7】 ジンセノサイド類もしくはその代謝産物
    又はそれらの塩が、天然物から化学的な手段により化学
    修飾された誘導体である請求項1〜4のいずれかに記載
    の医薬組成物又は獣医薬組成物。
  8. 【請求項8】 化学的な手段が、還元である請求項7に
    記載の医薬組成物又は獣医薬組成物。
  9. 【請求項9】 化学修飾された誘導体が、ジヒドロジン
    セノサイドRbである請求項7又は8に記載の医薬組
    成物又は獣医薬組成物。
  10. 【請求項10】 天然物の抽出物、その分画、又はその
    精製物が、薬用人蔘、薬用人蔘エキス、又は薬用人蔘の
    粗サポニン分画である請求項6に記載の医薬組成物又は
    獣医薬組成物。
  11. 【請求項11】 薬用人蔘、薬用人蔘エキス、又は薬用
    人蔘の粗サポニン分画の含有量が0.001重量%未満
    である請求項10に記載の医薬組成物又は獣医薬組成
    物。
  12. 【請求項12】 薬用人蔘、薬用人蔘エキス、又は薬用
    人蔘の粗サポニン分画の患部組織における細胞外液濃度
    が、14.5ng/ml以下となるように調整されてい
    る請求項10又は11に記載の医薬組成物もしくは獣医
    薬組成物。
  13. 【請求項13】 薬用人蔘、薬用人蔘エキス、又は薬用
    人蔘の粗サポニン分画の患部組織における細胞外液濃度
    が、0.145〜1450fg/mlもしくは14.5
    〜145000fg/mlである請求項12に記載の医
    薬組成物又は獣医薬組成物。
  14. 【請求項14】 静脈内投与用製剤である請求項1〜1
    3のいずれかに記載の医薬組成物又は獣医薬組成物。
  15. 【請求項15】 静脈内投与用製剤が、単回静脈内注入
    製剤又は静脈内持続投与用製剤である請求項14に記載
    の医薬組成物又は獣医薬組成物。
  16. 【請求項16】 皮膚外用剤である請求項1〜13のい
    ずれかに記載の医薬組成物又は獣医薬組成物。
  17. 【請求項17】 粘膜外用剤である請求項1〜13のい
    ずれかに記載の医薬組成物又は獣医薬組成物。
  18. 【請求項18】 病理組織学的変化が、創傷によるもの
    である請求項1〜17のいずれかに記載の医薬組成物又
    は獣医薬組成物。
  19. 【請求項19】 創傷が、切開創、開放創、咬傷又は欠
    損である請求項18に記載の医薬組成物又は獣医薬組成
    物。
  20. 【請求項20】 創傷が、外科的手術後の縫合不全であ
    る請求項18又は19に記載の医薬組成物又は獣医薬組
    成物。
  21. 【請求項21】 病理組織学的変化をきたした生体組織
    の予防・処置又は治療が、細胞の再生及び/又は再構築
    を促進させるものである請求項1〜20のいずれかに記
    載の医薬組成物又は獣医薬組成物。
  22. 【請求項22】 病理組織学的変化をきたした生体組織
    の予防・処置又は治療が、当該組織の再生及び/又は再
    構築によるものである請求項1〜20のいずれかに記載
    の医薬組成物又は獣医薬組成物。
  23. 【請求項23】 器質的疾患の治癒を促進するものであ
    る請求項1〜22のいずれかに記載の医薬組成物又は獣
    医薬組成物。
  24. 【請求項24】 生体組織が、皮膚組織もしくは口腔粘
    膜組織を含む粘膜組織である請求項1〜23のいずれか
    に記載の医薬組成物又は獣医薬組成物。
  25. 【請求項25】 病理組織学的変化をきたした皮膚組織
    もしくは口腔粘膜組織を含む粘膜組織の予防・処置又は
    治療が、皮膚もしくは口腔粘膜組織を含む粘膜の表皮、
    上皮、真皮、真皮の乳頭、皮下組織、結合組織、粘膜固
    有層、筋組織、唾液腺、混合腺、汗腺、脂腺、粘液腺、
    漿液腺、毛乳頭、毛包、立毛筋、血管もしくは末梢神経
    の再生及び/又は再構築によるものである請求項24に
    記載の医薬組成物又は獣医薬組成物。
  26. 【請求項26】 病理組織学的変化をきたした皮膚組織
    もしくは口腔粘膜組織を含む粘膜組織の上皮化を促進す
    ることからなる請求項24又は25に記載の医薬組成物
    又は獣医薬組成物。
  27. 【請求項27】 病理組織学的変化をきたした皮膚組織
    もしくは口腔粘膜組織を含む粘膜組織の予防・処置又は
    治療が、皮膚組織もしくは口腔粘膜組織を含む粘膜組織
    の表皮細胞、表皮角化細胞、上皮細胞、メルケル細胞、
    メラノサイト、ランゲルハンス細胞、角質細胞、幹細
    胞、間葉系細胞、線維芽細胞、皮脂腺の細胞、唾液腺の
    細胞、筋上皮細胞、汗腺の細胞、平滑筋細胞、粘液腺の
    細胞、漿液腺の細胞、混合腺の細胞、筋細胞、血管内皮
    細胞、脂肪細胞もしくは毛包の細胞、又は膠原線維、弾
    性線維、細網線維もしくは細胞外基質の再生及び/又は
    再構築によるものである請求項24〜26のいずれかに
    記載の予防・処置又は治療用の医薬組成物又は獣医薬組
    成物。
  28. 【請求項28】 病理組織学的変化をきたした皮膚組織
    もしくは口腔粘膜組織を含む粘膜組織の予防・処置又は
    治療が、病理組織学的変化をきたした皮膚組織の発毛又
    は育毛によるものである請求項24〜26のいずれかに
    記載の予防・処置又は治療用の医薬組成物又は獣医薬組
    成物。
  29. 【請求項29】 病理組織学的変化をきたした皮膚組織
    もしくは口腔粘膜組織を含む粘膜組織の予防・処置又は
    治療が、皮膚もしくは粘膜の老化症状の予防、処置もし
    くは改善のためのものである請求項24〜26のいずれ
    かに記載の医薬組成物又は獣医薬組成物。
  30. 【請求項30】 生体組織が、移植用の臓器又は組織で
    ある請求項1〜29のいずれかに記載の医薬組成物又は
    獣医薬組成物。
  31. 【請求項31】 ジンセノサイド類もしくはその代謝産
    物又はそれらの塩を、組成物中の0.001重量%未満
    含有してなる皮膚外用組成物又は粘膜外用組成物。
  32. 【請求項32】 皮膚外用組成物が、化粧品組成物であ
    る請求項31に記載の皮膚外用組成物。
  33. 【請求項33】 皮膚外用組成物が、ケミカルピーリン
    グのためのものである請求項31に記載の皮膚外用組成
    物。
  34. 【請求項34】 皮膚外用組成物が、発毛・育毛用組成
    物である請求項31に記載の皮膚外用組成物。
  35. 【請求項35】 ジンセノサイド類もしくはその代謝産
    物又はそれらの塩の皮膚組織又は粘膜組織における細胞
    外液濃度が、1ng/ml以下となる請求項31〜34
    のいずれかに記載の皮膚外用組成物又は粘膜外用組成
    物。
  36. 【請求項36】 ジンセノサイド類もしくはその代謝産
    物又はそれらの塩のその濃度が、0.01〜100fg
    /mlもしくは1〜10000fg/mlである請求項
    35に記載の皮膚外用組成物又は粘膜外用組成物。
  37. 【請求項37】 ジンセノサイド類がジンセノサイドR
    である請求項36に記載の皮膚外用組成物又は粘膜
    外用組成物。
  38. 【請求項38】 ジンセノサイド類もしくはその代謝産
    物又はそれらの塩が、天然物の抽出物、その分画、又は
    その精製物の中に存在しているものである請求項31〜
    36のいずれかに記載の皮膚外用組成物又は粘膜外用組
    成物。
  39. 【請求項39】 天然物の抽出物、その分画、又はその
    精製物が、薬用人蔘、薬用人蔘エキス、又は薬用人蔘の
    粗サポニン分画である請求項38に記載の皮膚外用組成
    物又は粘膜外用組成物。
  40. 【請求項40】 薬用人蔘の粗サポニン分画、薬用人蔘
    エキスもしくは薬用人蔘もしくはそれらの代謝産物又は
    それらの塩の皮膚組織又は粘膜組織における細胞外液濃
    度が、14.5ng/ml以下となる請求項39に記載
    の皮膚外用組成物。
  41. 【請求項41】 薬用人蔘、薬用人蔘エキス、又は薬用
    人蔘の粗サポニン分画の濃度が、0.145〜1450
    fg/mlもしくは14.5〜145000fg/ml
    である請求項40に記載の皮膚外用組成物又は粘膜外用
    組成物。
  42. 【請求項42】 ジンセノサイド類もしくはその代謝産
    物又はそれらの塩が、天然物から化学的な手段により化
    学修飾された誘導体である請求項31〜36のいずれか
    に記載の皮膚外用組成物又は粘膜外用組成物。
  43. 【請求項43】 化学修飾された誘導体が、ジヒドロジ
    ンセノサイドRbである請求項42に記載の皮膚外用
    組成物又は粘膜外用組成物。
  44. 【請求項44】 皮膚外用組成物又は粘膜外用組成物
    が、皮膚細胞もしくは粘膜細胞の保護又は皮膚もしくは
    粘膜の老化症状の予防、処置又は改善のためのものであ
    る請求項31〜43のいずれかに記載の皮膚外用組成物
    又は粘膜外用組成物。
  45. 【請求項45】 皮膚もしくは粘膜の老化症状が、皮膚
    の萎縮、易感染性、たるみ、ふけ、脱毛、かゆみ、かさ
    つき、白髪、亀裂、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥
    離、ひびわれ、しみ、しわ、そばかす、日焼け、再生不
    良、色素沈着もしくは乾燥又は粘膜の萎縮、剥離、上皮
    剥離、再生不良、ひびわれもしくは乾燥である請求項4
    4に記載の皮膚外用組成物又は粘膜外用組成物。
  46. 【請求項46】 ジンセノサイド類もしくはその代謝産
    物をリード化合物として、皮膚組織又は粘膜組織の疾患
    に対する予防・処置又は治療のための有効成分を探索す
    る方法。
  47. 【請求項47】 皮膚組織又は粘膜組織の疾患が、皮膚
    組織又は粘膜組織の病理組織学的変化をきたすものであ
    る請求項46に記載の方法。
  48. 【請求項48】 皮膚組織又は粘膜組織の疾患が、皮膚
    の切開創、開放創もしくは欠損又は口腔粘膜組織の咬傷
    によるものである請求項46又は47に記載の方法。
  49. 【請求項49】 ジンセノサイド類の標的分子を用い
    て、新規に組織再生もしくは組織の再構築を促進するた
    めの物質を探索する方法。
  50. 【請求項50】 ジンセノサイド類が、ジンセノサイド
    Rb又はジヒドロジンセノサイドRbである請求項
    46〜49のいずれかに記載の方法。
  51. 【請求項51】 請求項46〜50に記載の方法により
    探索された物質を含有してなる皮膚組織又は粘膜組織の
    疾患に対する予防・処置又は治療のための医薬組成物又
    は獣医薬組成物。
  52. 【請求項52】 皮膚又は粘膜の疾患に対する予防・処
    置又は治療のための有効成分を探索するためのリード化
    合物としてのジンセノサイド類又はその代謝産物の使
    用。
  53. 【請求項53】 病理組織学的変化をきたした組織の再
    生促進剤又は再構築促進剤を探索するためのリード化合
    物としてのジンセノサイド類又はその代謝産物の使用。
  54. 【請求項54】 病理組織学的変化をきたした生体組織
    が、切開創又は開放創を受けた皮膚又は咬傷を受けた口
    腔粘膜である請求項53に記載の使用。
  55. 【請求項55】 皮膚組織又は粘膜組織の病理組織学的
    変化をきたす器質的疾患の予防・処置又は治療用の医薬
    組成物又は獣医薬組成物を製造するためのジンセノサイ
    ド類又はそれらの代謝産物又はそれらの塩の使用。
  56. 【請求項56】 ジンセノサイド類が、ジンセノサイド
    Rb又はジヒドロジンセノサイドRbである請求項
    52〜55のいずれかに記載の使用。
  57. 【請求項57】 ジンセノサイド類を産生する培養細胞
    もしくは植物株を用いて、ジンセノサイド類もしくはそ
    の代謝産物を大量生産する方法。
  58. 【請求項58】 薬用人蔘、薬用人蔘エキス、薬用人蔘
    の粗サポニン分画、若しくはジンセノサイド類又はそれ
    らの塩からなる、植物又は動物の組織又は細胞の新生、
    再生、成長、再構築、分化、保存、育成又は栽培を促進
    するための成長調整用組成物。
  59. 【請求項59】 成長調整用組成物が、植物又は動物の
    組織又は細胞の新生、再生、成長、再構築、分化、保
    存、育成又は栽培を促進するための植物成長調整用組成
    物である請求項58に記載の成長調整用組成物。
  60. 【請求項60】 植物成長調整用組成物が、肥料組成物
    である請求項59に記載の植物成長調整用組成物。
  61. 【請求項61】 植物の組織又は細胞が、水栽培された
    植物である請求項59又は60に記載の植物成長調整用
    組成物。
  62. 【請求項62】 水栽培された植物が、ポトスの挿し木
    である請求項61に記載の植物成長調整用組成物。
  63. 【請求項63】 成長調整用組成物が、海産物、海産資
    源、水産物、水産資源、海産動物、水産動物、ペット又
    は家畜の育成、保護又は養殖のための動物成長調整用組
    成物である請求項58に記載の成長調整用組成物。
  64. 【請求項64】 動物成長調整用組成物が、飼料組成物
    である請求項63に記載の成長調整用組成物。
  65. 【請求項65】 薬用人蔘、薬用人蔘エキス、薬用人蔘
    の粗サポニン分画もしくはジンセノサイド類が、天然物
    の抽出液又は抽出物である請求項58〜64のいずれか
    に記載の成長調整用組成物。
  66. 【請求項66】 ジンセノサイド類が、ジンセノサイド
    Rb又はジヒドロジンセノサイドRbである請求項
    58〜65のいずれかに記載の成長調整用組成物。
  67. 【請求項67】 被検物質を動物の脳室内に投与して、
    脳細胞又は神経細胞の保護作用を測定することからな
    る、生体組織の再生、新生、発根、発芽、成長、分化又
    は再構築を促進するための物質を探索する方法。
  68. 【請求項68】 脳室内に投与された被検物質の細胞外
    液濃度が1ng/ml以下又は0.5nM以下で、脳細
    胞又は神経細胞の保護作用が測定される請求項67に記
    載の方法。
  69. 【請求項69】 脳室内に投与された被検物質の細胞外
    液濃度が、0.01〜100fg/ml又は0.005
    〜50fMもしくは1〜10000fg/ml又は0.
    5〜5000fMである請求項67に記載の方法。
  70. 【請求項70】 請求項67〜69のいずれかに記載さ
    れた方法により、脳室内投与により脳細胞又は神経細胞
    保護作用を示した化合物又はそれらの塩を含有してな
    る、生体組織の再生、新生、成長、分化又は再構築を促
    進するための医薬組成物又は獣医薬組成物。
  71. 【請求項71】 請求項67〜69のいずれかに記載さ
    れた方法により、脳室内投与により脳細胞又は神経細胞
    保護作用を示した化合物又はそれらの塩を含有してな
    る、生体組織の再生、新生、成長、分化又は再構築を促
    進するための皮膚外用組成物。
  72. 【請求項72】 請求項67〜69のいずれかに記載さ
    れた方法により、脳室内投与により脳細胞又は神経細胞
    保護作用を示した化合物又はそれらの塩を含有してな
    る、生体組織の再生、新生、発根、発芽、成長、分化又
    は再構築を促進するための成長調整用組成物。
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