JP2002316929A - L−セリン又はグリシンからなる抗アポトーシス剤 - Google Patents

L−セリン又はグリシンからなる抗アポトーシス剤

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JP2002316929A
JP2002316929A JP2001119047A JP2001119047A JP2002316929A JP 2002316929 A JP2002316929 A JP 2002316929A JP 2001119047 A JP2001119047 A JP 2001119047A JP 2001119047 A JP2001119047 A JP 2001119047A JP 2002316929 A JP2002316929 A JP 2002316929A
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glycine
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Masahiro Sakanaka
阪中雅広
Junya Tanaka
潤也 田中
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Japan Science and Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、抗アポトーシス剤として有用なB
cl−w発現促進作用を有するL−セリン若しくはグリ
シンを提供する。また本発明は、L−セリン及び/又は
グリシンからなる皮膚外用剤、粘膜外用剤もしくは化粧
品を提供する。 【解決手段】 本発明は、セリン及び/又はグリシンか
らなる抗アポトーシス剤に関し、特に本発明の医薬組成
物はBcl−wの発現促進を介してアポトーシスをきた
す末梢組織の疾患の予防、処置、治療のために有用であ
る。また本発明は、セリン及び/又はグリシンを含有し
てなる粘膜外用剤、皮膚外用剤もしくは化粧品に関し、
特に皮膚もしくは粘膜の老化症状の改善又は創傷治癒促
進のために有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細胞死を伴う疾患
特には皮膚疾患の予防、処置、又は治療に有効性を示し
かつ細胞死抑制遺伝子産物Bcl−wの発現を促進する
ことによりあらゆる細胞のアポトーシスもしくはアポト
ーシス様細胞死を抑止する薬物に関する。また本発明
は、L−セリン若しくはグリシン又はそれらの前駆体
(たとえばホスホヒドロキシピルベート、ホスホセリン
等)、又はそれらの脂肪酸化合物(たとえばミリスチル
化L−セリン、ホスファチジル−L−セリン、セラミ
ド、スフィンゴ脂質等)もしくはそれらの塩の1種又は
2種以上を含有してなる細胞のアポトーシスもしくはア
ポトーシス様細胞死抑止用医薬組成物、及びL−セリン
若しくはグリシン又はそれらの前駆体、又はそれらの脂
肪酸化合物もしくはそれらの塩の1種又は2種以上を含
有してなる細胞死抑制遺伝子産物Bcl−wの発現を促
進するための医薬組成物に関する。さらに本発明は、皮
膚もしくは粘膜の老化症状を予防、改善、軽減又は処置
するための前記化合物からなる皮膚用又は粘膜用の外用
組成物に関する。また、本発明はL−セリン若しくはグ
リシン又はそれらの前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物
もしくはそれらの塩の1種又は2種以上を含有してなる
動物もしくは植物の成長調整用組成物に関する。さら
に、本発明は被検物質を培養細胞に投与して、Bcl−
2蛋白群の発現調節作用を測定することからなる、生体
組織の再生、新生、発根、発芽、成長、分化又は再構築
を促進するための物質を探索する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】L−セリン又はグリシンは非必須アミノ
酸であるが、特異的に中枢神経細胞の生存を促進するこ
とがWO99/04781号において開示されている。
一方本発明者ら(阪中、田中)は、低濃度(30μM前
後)のセリンならびにグリシンが脳のグリア細胞の1つ
であるミクログリアの軽度の活性化を誘導することを見
出している(Tanaka J. et al., Glia, 24, 198-215, 1
998)。また、末梢神経細胞に対してもL−セリンが突
起伸長を促進することが報告されているが(Savoca R.
et al., J. Neuronsci. Methods., 60, 159-167, 199
5)、SavocaらはL−セリンが神経細胞の生存を促進す
るか否かについては言及していない。一般に、神経組織
におけるL−セリンならびにグリシンの細胞外液濃度は
〜5μM程度と極めて低く、神経細胞は脳のグリア細胞
の一種であるアストロサイトから分泌されるL−セリン
ならびにグリシンに依存して生存を維持していると考え
られる(三苫純也ら、生化学、71巻、536−54
1、1999;Tanaka J. et al., Glia, 24, 198-215,
1998)。一方、血清中には神経組織とは異なり〜10
0〜200μMという高濃度のL−セリンならびにグリ
シンが存在しているため、神経細胞又は脳細胞以外の細
胞(すなわち末梢の細胞)がL−セリンならびにグリシ
ンに依存しているとはこれまで思いもよらなかった。す
なわち、L−セリン又はグリシンの神経細胞保護作用
は、中枢神経組織に特異的なものであると考えられてき
た。
【0003】さて、神経細胞の生存がL−セリンに依存
する原因として、神経細胞ではL−セリン合成の最初の
律速段階である3−ホスホグリセリン酸脱水素酵素(3
PGDH)の発現量が極めて低いことがあげられている
(三苫純也ら、生化学、71巻、536-541、1999)。神経
細胞では、3PGDHの発現量が極めて低いため、同細
胞はL−セリンをあまり合成できず、その結果L−セリ
ンからグリシンを合成することも困難となり、もし細胞
外液にL−セリンやグリシンがなくなると、その生存が
脅かされるわけである。すなわち、L−セリン又はグリ
シンの神経細胞保護作用は、同細胞では3PGDHの発
現が極めて低いという事実から判断しても、中枢神経組
織に特異的であることが容易に想像される。
【0004】前述のごとく、神経細胞の生存がL−セリ
ン又はグリシンに特異的に依存することはこれまで明ら
かにされてきたが、ではなぜL−セリン又はグリシンが
存在すれば神経細胞の生存が延長されるのかという問題
は未解決のまま残されている。本発明者らは、もしL−
セリン又はグリシンの神経細胞保護作用のメカニズムす
なわち分子機構が解明されれば、L−セリン又はグリシ
ンの新規用途が発明されるのではないかと推測した。
【0005】さて、細胞のアポトーシスもしくはアポト
ーシス様細胞死を抑制する細胞死関連遺伝子として最近
注目を浴びているのがBcl−2蛋白群である。Bcl
−2蛋白群はアポトーシスもしくはアポトーシス様細胞
死に対して抑制作用を持つもの(Bcl−2、Bcl−
、Bcl−w、Mcl−1、Bf1−1/A1、N
r−13、BRAG−1、Boo/Diva、Gale
ctin−3等)と、アポトーシスもしくはアポトーシ
ス様細胞死に対して促進作用を持つもの(Bax、Ba
k、Bcl−xs、Bad、Bik/Nbk、Bid、
Bim/Bod、Hrk/DP5、BNIP3/Ni
x、Bok/Mtd、Blk、EGL−1等)に大別さ
れる(臓器別アポトーシス証明法;編集、大槻勝紀、小
路武彦、渡辺慶一、南江堂、2000、pp16-24)。
【0006】本発明者らは、L−セリン及び/又はグリ
シンが細胞死抑制遺伝子産物Bcl−wの発現を促進す
ることにより、神経細胞のみならずあらゆる細胞(たと
えば皮膚の細胞や粘膜の細胞)のアポトーシスもしくは
アポトーシス様細胞死を抑止することを思いもかけず見
出し本発明を完成した。すなわち本発明のL−セリン又
はグリシンはアポトーシスもしくはアポトーシス様細胞
死をきたすあらゆる疾患や病態の予防、治療又は処置に
有用であることが発明された。特に、医薬組成物の細胞
外濃度を容易にコントロールできる皮膚・粘膜病変に対
して、L−セリン及び/又はグリシンを外用剤に混入す
るための医薬組成物として使用すれば優れた効果・効能
が得られると考えられた。また、L−セリン及び/又は
グリシンは皮膚や粘膜の老化症状を予防、軽減、改善す
るための皮膚外用組成物としても使用可能であると考え
られた。なお、本発明においては、発毛育毛用組成物、
化粧品組成物、ケミカルピーリング用組成物、フィジカ
ルピーリング用組成物を総称して皮膚外用組成物と呼ぶ
ことにする。さらに、本発明のL−セリン及び/又はグ
リシンンは抗アポトーシス作用を介して、動物もしくは
植物の成長調整用組成物としても有用であると考えられ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は細胞死
を伴う疾患特には皮膚・粘膜疾患の予防、処置又は治療
に有効性を示し、かつ細胞死抑制遺伝子産物Bcl−w
の発現を促進することによりあらゆる細胞のアポトーシ
スもしくはアポトーシス様細胞死を抑止する薬物を提供
することである。また本発明は、L−セリン若しくはグ
リシン又はそれらの前駆体(たとえばホスホヒドロキシ
ピルベート、ホスホセリン等)又はそれらの脂肪酸化合
物(たとえばミリスチル化L−セリン、ホスファチジル
−L−セリン、セラミド、スフィンゴ脂質等)もしくは
それらの塩を含有してなる細胞死抑制遺伝子産物Bcl
−wの発現を促進するための医薬組成物を提供するもの
である。さらに本発明は、皮膚もしくは粘膜の老化症状
を予防、改善、軽減又は処置するための前記化合物から
なる皮膚外用組成物もしくは粘膜外用組成物を提供す
る。また本発明はL−セリン及び/又はグリシンもしく
はそれらの前駆体又はそれらの脂肪酸化合物もしくはそ
れらの塩からなる動物もしくは植物の成長調整用組成物
を提供するものである。さらに本発明は被検物質を培養
細胞に投与して、Bcl−2蛋白群の発現調節作用を測
定することからなる、生体組織の再生、新生、発根、発
芽、成長、分化又は再構築を促進するための物質を探索
する方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、L−セリン若
しくはグリシン又はそれらの前駆体、又はそれらの脂肪
酸化合物若しくはそれらの塩の1種又は2種以上、好ま
しくはさらに製薬上許容される担体を含有してなる、ア
ポトーシスもしくはアポトーシス様細胞死をきたす疾患
の予防・処置又は治療用の医薬組成物に関する。また、
本発明はL−セリン若しくはグリシン又はそれらの前駆
体、又はそれらの脂肪酸化合物もしくはそれらの塩の1
種又は2種以上、好ましくはさらに製薬上許容される担
体を含有してなる細胞死抑制遺伝子産物Bcl−wの発
現を促進するための医薬組成物に関する。より詳細に
は、本発明は、L−セリン若しくはグリシン又はそれら
の前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物もしくはそれらの
塩の含有量が0.0000001重量%〜1重量%であ
る前記の医薬組成物に関する。即ち、本発明は、L−セ
リン若しくはグリシン又はそれらの前駆体、又はそれら
の脂肪酸化合物もしくはそれらの塩の含有量が、組成物
全体の0.0000001重量%〜1重量%である、ア
ポトーシスもしくはアポトーシス様細胞死をきたす疾患
の予防・処置又は治療用の医薬組成物に関し、好ましく
はL−セリン若しくはグリシン又はそれらの前駆体、又
はそれらの脂肪酸化合物もしくはそれらの塩の患部組織
における細胞外液濃度が、1mM以下、好ましくは10
0μM以下、より好ましくは10nM〜30μMである
前記医薬組成物に関する。
【0009】本発明の医薬組成物の好ましい投与製剤と
しては、細胞外液濃度を容易にコントロールできる皮膚
外用剤又は粘膜外用剤があげられるが、その他病変部局
所外用剤、病変部局所注射剤、経口投与製剤、点鼻薬、
点耳薬、点眼薬、眼軟膏、坐薬、皮下注射薬、皮内注射
薬、筋肉注射薬、吸入薬、舌下薬、人工唾液、関節内投
与薬、経皮吸収薬、徐放剤、単回静脈内投与用製剤、静
脈内持続投与用製剤等任意の投与経路があげられる。し
たがって、本発明は、皮膚・粘膜疾患の予防、治療又は
処置のための外用組成物に関する。
【0010】本発明のL−セリン又はグリシンの前駆体
としては、生体内においてL−セリン又はグリシンに生
合成される原料となる物質であり、たとえばホスホヒド
ロキシピルビン酸、ホスホセリンなどが挙げられる。ま
た、本発明のL−セリン又はグリシンの脂肪酸化合物と
しては、これらの物質からなるアミド化合物、リン酸エ
ステル、リン酸アミドなどの生体適合性があって、生体
内においてL−セリン又はグリシンと同等の作用を発揮
できるものであればよく、たとえばミリスチル化L−セ
リン、ホスファチジル−L−セリン、セラミド、スフィ
ンゴ脂質等が挙げられる。
【0011】また、本発明の医薬組成物の構造の一部を
修飾してプロドラッグを作成したのちに前記のごとく任
意の投与経路を選択してもよい。たとえば、L−セリン
またはグリシンのカルボキシル基をエステル化してプロ
ドラッグを作成して投与したのちに、内因性エステラー
ゼで加水分解せしめてL−セリンまたはグリシンが生じ
るようにしてもよい。薬理学的及び薬剤学的に許容しう
る製剤用添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ない
し崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色
素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、、等張化
剤、pH調節剤、安定化剤、噴霧剤、又は粘着剤などを
用いることができる。経口投与に適する製剤としては、
例えば、錠剤、カプセル剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、ま
たはシロップ剤などを挙げることができる。また非経口
投与に適する製剤としては、既述のごとく、注射剤、点
滴剤、坐剤、吸入剤、経粘膜吸収剤、経皮吸収剤、点鼻
剤、点耳剤、点眼剤、皮膚外用剤、粘膜外用剤、又は貼
付剤などを挙げることができる。経口投与、経皮または
経粘膜投与、皮膚外用投与、粘膜外用投与に適する製剤
には、薬理学的及び製剤学的に許容しうる製剤用添加物
として、例えば、ブドウ糖などの賦形剤;カルボキシメ
チルセルロースなどの崩壊剤ないし崩壊補助剤;ヒドロ
キシメチルセルロースなどの結合剤;ステアリン酸マグ
ネシウムなどの滑沢剤;ワセリンなどの基剤を用いるこ
とができる。また、製剤用添加物として、例えば、圧縮
ガスなどの噴霧剤;ポリアクリル酸ナトリウムなどの粘
着剤;木綿などの基布を用いてもよい。注射又は点滴用
に適する製剤には、製剤用添加物として、注射用蒸留水
などの水性媒体;用時溶解型注射剤を構成しうる溶解剤
ないし溶解補助剤;ブドウ糖などの等張化剤;無機酸、
有機酸、無機塩基、又は有機塩基などのpH調節剤を用
いることができる。本発明の医薬組成物又は獣医薬組成
物の1日あたりの全身投与量は、病状や個体差にもよる
が体重60kgの哺乳動物又は脊椎動物当たり1mg〜
30gと考えられる。局所投与量もしくは皮膚・粘膜外
用投与量は1日あたり0.01ng〜100mgであ
る。
【0012】また、本発明は、L−セリン若しくはグリ
シン又はそれらの前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物も
しくははそれらの塩を、組成物中の0.0000001
重量%〜1重量%含有してなる皮膚外用組成物又は粘膜
外用組成物に関し、本発明の皮膚外用組成物又は粘膜外
用組成物は、化粧品組成物、ケミカルピーリング用組成
物、フィジカルピーリング用組成物、健康薬組成物、又
は発毛育毛用組成物として、皮膚組織又は粘膜組織の老
化症状を改善、予防、処置するために当該組織に直接的
又は間接的に適用される。より詳細には、本発明はL−
セリン若しくはグリシン又はそれらの前駆体、又はそれ
らの脂肪酸化合物もしくはそれらの塩の含有量が0.0
000001重量%以上である前記の皮膚外用組成物又
は粘膜外用組成物に関し、好ましくはL−セリン若しく
はグリシン又はそれらの前駆体、又はそれらの脂肪酸化
合物もしくはそれらの塩の皮膚組織又は粘膜組織におけ
る細胞外液濃度が、1mM以下、好ましくは100μM
以下、より好ましくは10nM〜30μMである皮膚用
又は粘膜用の外用組成物に関する。
【0013】また、本発明は、L−セリン若しくはグリ
シン又はそれらの前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物も
しくはそれらの塩の1種又は2種以上を含有してなる、
植物又は動物の組織又は細胞の成長、保存、育成又は栽
培を促進するための成長調製用組成物に関し、本発明の
成長調製用組成物は、肥料組成物、飼料組成物として使
用される。より詳細には、本発明は、L−セリン若しく
はグリシン又はそれらの前駆体、又はそれらの脂肪酸化
合物もしくはそれらの塩の含有量が0.0000001
重量%〜1重量%である前記の成長調製用組成物に関す
る。さらに本発明は被検物質を培養細胞に投与して、B
cl−2蛋白群の発現調節作用を測定することからな
る、生体組織の再生、新生、発根、発芽、成長、分化又
は再構築を促進するための物質を探索する方法に関す
る。
【0014】次に本発明のL−セリン若しくはグリシン
又はそれらの前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物もしく
はそれらの塩による神経細胞保護作用、抗アポトーシス
作用、細胞死抑制遺伝子産物Bcl−wの発現促進作用
について具体例に基づいて詳細に説明する。このため、
本発明の化合物として代表的なL−セリン及び/又はグ
リシンを用いた実験結果に基づいて説明する。その後、
本発明の前記化合物が抗アポトーシス作用を介して、老
化防止のための皮膚外用組成物、粘膜外用組成物、もし
くは成長調製用組成物として利用できることを説明す
る。
【0015】本発明者らはまず、L−セリン及び/又は
グリシンがWO99/04781号において開示された
ごとく、神経細胞保護作用を示すかどうかをしらべた。
胎生17日目ラット由来の大脳皮質神経細胞を、10%
牛胎仔血清(シグマ社製)を含むダルベッコの修飾イー
グル培地(Dulbecco's modified Eagle's medium(DM
EM培地、シグマ社製))中で16時間培養した。その
後細胞を、10mMHEPES(pH7.3;ベーリン
ガーマンハイム社製)、0.2mg/mlの牛血清アル
ブミン(bovine serum albumin,BSA,シグマ社
製)、L−セリン及び/又はグリシン(0〜100μ
M)を含む無血清のイーグルの最少必要培地(Eagle's
minimum essential medium(EMEM;イワキガラス社
製))中で培養した。なお、イワキガラス社製の無血清
EMEM培養液には、元来L−セリンやグリシンは含ま
れていないので、外来性のL−セリン及び/又はグリシ
ンを同培養液に添加することにより容易に培養液中のL
−セリン及び/又はグリシンの濃度を調整することがで
きる。前記神経細胞は、ポリエルリジンコートした24
ウェルプレート(コーニング社製)上で5日間維持し
た。また、L−セリン及び/又はグリシンのかわりにブ
ドウ糖(glucose)又はD−セリンを同様の濃度で培養
液に添加した実験も実施した。
【0016】その後、培養液に酸化還元色素であるアラ
マーブルー(10%v/v)を添加した。2時間後に、
細胞生存率(viability)を発明者ら(阪中、田中)(T
oku,K. et al., J. Neurosci. Res., 53, 415-425, 199
8)の方法に準じて測定した。結果を図1に示す。図1
Aの黒四角印はL−セリンを、白丸印はL−セリンとグ
リシンを、黒丸印はグリシンを、黒三角印はブドウ糖
を、それぞれ0〜100μMの濃度で培養液に添加した
時の神経細胞生存率を示している(n=5)。図1Aに
示すごとく、L−セリン又はグリシンを単独で培養液に
添加した場合に比べて、L−セリンとグリシンを同時投
与した場合の方が有意により優れた神経細胞保護作用が
観察された。*はP<0.05を示し、**はP<0.
001を示す。統計解析法はANOVA+Fisherのpost hoc t
estによる。図1Aに示した実験では例数が少ないため
にL−セリン及びグリシンの濃度が3μM以上のときに
有意な神経細胞生存率上昇作用が認められているが、実
際に実験例を増加せしめると、さらに低い濃度でも有意
な効果が得られるものと推測できる。従って、L−セリ
ン及び/又はグリシンは、患部組織における細胞外液濃
度が0.01nM〜1mMのときに神経細胞保護作用を
示すと考えられる。すなわち、WO99/04781号
において開示された濃度域(10〜200μM)よりも
やや広い範囲で、L−セリン及び/又はグリシンは神経
細胞の生存を延長するといえる。図1Bの黒四角印はL
−セリンを、白丸印はD−セリンを、それぞれ0〜10
0μMの濃度で培養液に添加した時の神経細胞生存率を
示している(n=4)。図1Bに示すごとく、L−セリ
ンは神経細胞の生存を促進したが、D−セリンにはその
ような作用は認められなかった。*はP<0.05を示
し、**はP<0.001を示す。統計解析法はANOVA+
Fisherのpost hoc testによる。
【0017】次に本発明者らは、L−セリン及び/又は
グリシン存在下で神経細胞の生存ならびに突起伸長が促
進されるかどうかをしらべた。このため、胎生17日目
ラット由来の大脳皮質神経細胞を、10%牛胎仔血清
(シグマ社製)を含むダルベッコの修飾イーグル培地
(Dulbecco's modified Eagle's medium(DMEM培
地、シグマ社製))中で16時間培養した。その後細胞
を、10mMHEPES(pH7.3;ベーリンガーマ
ンハイム社製)、0.2mg/mlの牛血清アルブミン
(bovine serum albumin,BSA,シグマ社製)、L−
セリン及び/又はグリシン(0〜100μM)を含む無
血清のイーグルの最少必要培地(Eagle's minimum esse
ntial medium(EMEM;イワキガラス社製))中で培
養した。なお、イワキガラス社製の無血清EMEM培養
液には、元来L−セリンやグリシンは含まれていないの
で、外来性のL−セリン及び/又はグリシンを同培養液
に添加することにより容易に培養液中のL−セリン及び
/又はグリシンの濃度を調整することができる。前記神
経細胞は、ポリエルリジンコートした24ウェルプレー
ト(コーニング社製)上で5日間維持した。また、L−
セリン及び/又はグリシンのかわりにブドウ糖(glucos
e)を同様の濃度で培養液に添加した実験も実施した。
【0018】その後レムリ(Laemmli)の電気泳動用サ
ンプル緩衝液を用いて神経細胞を溶解し、ポリアクリル
アミドゲル電気泳動を行い、ニトロセルロース膜に転写
後、神経細胞特異蛋白質MAP2(microtuble-associa
ted protein 2)に対するモノクローナル抗体(スタン
バージャー社製)を用いてウエスタンブロットを行っ
た。ちなみにMAP2は神経細胞の生存率及び/又は突
起伸長の指標と考えられる。さらに、神経細胞の生存率
及び/又は突起伸長を定量するため、ウエスタンブロッ
トで免疫染色されたMAP2のバンドをデンシトメトリ
ーにより解析した。結果を図2に示す。
【0019】図2Aの上段左は各濃度のL−セリンを培
養液に添加したとき、図2Aの上段右は各濃度のグリシ
ンを培養液に添加したとき、図2Aの下段左は各濃度の
L−セリン及びグリシンを培養液に添加したとき、図2
Aの下段右は各濃度のブドウ糖を培養液に添加したと
き、その結果(代表例)を示す図面に代わる写真であ
る。L−セリン及びグリシンを添加したときには1μM
の濃度でもMAP2のバンドが認められたが、L−セリ
ン及びグリシンを単独で使用したときは3μM以上の濃
度でMAP2のバンドが観察された。ブドウ糖を添加し
てもMAP2のバンドはほとんど認められなかった。
【0020】図2Bは、図2Aで示したMAP2のウエ
スタンブロットの実験を5回くり返し、それらの結果を
デンシトメトリー解析したものである。黒四角印はL−
セリンを培養液に添加したとき、黒丸印はグリシンを培
養液に添加したとき、白丸印はL−セリン及びグリシン
を培養液に添加したとき、黒三角印は、ブドウ糖を培養
液に添加したとき、の結果を示す。*はP<0.05
を、**はP<0.001を表す。統計解析法はANOVA+
Fisherのpost hoc testによる。
【0021】図2Bに示すごとく、10μM以上の濃度
域で、L−セリン及び/又はグリシンが有意にMAP2
のバンドを濃くせしめること、すなわち神経細胞の生存
及び/又は突起伸長を促進せしめることが判明した。ま
た、L−セリン及び/又はグリシンの濃度が1μM以下
の場合でもMAP2のウエスタンブロット実験をさらに
くり返せば有意な効果が検出されるものと推測された。
【0022】以上の実験結果より、L−セリン及び/又
はグリシンが10nM〜1mMの細胞外液濃度域で、神
経細胞の生存及び/又は突起伸長を促進することがわか
った。
【0023】以上のごとく、L−セリン及び/又はグリ
シンもしくはそれらの前駆体又はそれらの脂肪酸化合物
もしくはそれらの塩は、WO99/04781号におい
て開示された濃度域よりもやや広い範囲で神経細胞に対
して特異的に保護作用を発揮することがわかった。
【0024】次に本発明者らは、L−セリン及び/又は
グリシンの神経細胞保護作用の分子メカニズムを解明す
れば、さらにL−セリン及び/又はグリシンの新規用途
が発明されるのではないかと期待して、鋭意研究を継続
した。その結果、思いもかけずL−セリン及び/又はグ
リシンが細胞死抑制遺伝子産物Bcl−wの発現を促進
することを見出した。以下にその実験の内容を記述す
る。
【0025】胎生17日目ラット由来の大脳皮質神経細
胞を、10%牛胎仔血清(シグマ社製)を含むダルベッ
コの修飾イーグル培地(Dulbecco's modified Eagle's
medium(DMEM培地、シグマ社製))中で16時間培
養した。その後細胞を、10mMHEPES(pH7.
3;ベーリンガーマンハイム社製)、0.2mg/ml
の牛血清アルブミン(bovine serum albumin,BSA,
シグマ社製)、L−セリン及び/又はグリシン(0〜1
00μM)を含む無血清のイーグルの最少必要培地(Ea
gle's minimum essential medium(EMEM;イワキガ
ラス社製))中で4時間または24時間、ポリエルリジ
ンをコートした90mmディッシュ(住友社製)を用い
て培養した。なお、イワキガラス社製の無血清EMEM
培養液には、元来L−セリンやグリシンは含まれていな
いので、外来性のL−セリン及び/又はグリシンを同培
養液に添加することにより容易に培養液中のL−セリン
及び/又はグリシンの濃度を調整することができる。
【0026】その後培養神経細胞から総RNAを抽出し
た。DNAase処理済の総RNAから、オリゴdTプ
ライマーと逆転写酵素(Moloney murine leukemia viru
s reverse transcriptase)を用いてcDNAを生成し
た。遺伝子増幅反応(RT−PCR)によりこれを増幅
した。RT−PCRは、Taqポリメラーゼ(タカラ社
製)を用いて、本発明者らの既発表論文(Wen, T.-C. e
t al., J. Exp. Med.,188, 635-649, 1998)に記載され
た方法に準じて実施した。まず94℃にて5分間2本鎖
cDNAを処理して、1本鎖cDNAとした。その後、
(1)94℃、1.5分間、(2)57℃、1分間、
(3)74℃、1.5分間を1サイクルとし、Bcl−
w又はBcl−xに関しては35サイクル、β−アク
チン(内部標準)に関しては22サイクルで遺伝子増幅
反応を実施した。RT−PCR産物を3%アガロースゲ
ルにて泳動し、エチジュウムブロマイド染色によって可
視化した。なお遺伝子増幅反応用のプライマーとして次
のものを用いた。β−アクチンのセンス:AGA AG
A GCT ATG AGC TGC CTG AC
G;β−アクチンのアンチセンス:TAC TTG C
GC TCA GGA GGA GCA ATG; B
cl−wのセンス:ATG GCG ACC CCA
GCC TCA ACC C; Bcl−wのアンチセ
ンス:CTT GCT AGC AAA AAA GG
C CCC; Bcl−xのセンス:GTA GTG
AAT GAA CTC TTT CGC GAT;
Bcl−xLのアンチセンス:CCA GCC GC
C GTT CTC CTG GATCCA。結果を図
3A,Bに示す。
【0027】図3Aは、L−セリン及びグリシン存在下
で神経細胞を4時間培養した時の、β−アクチンmRN
A,Bcl−w mRNA,Bcl−x mRNAの
発現量を示す、図面に代わる写真である。図3Aに示す
ごとく、L−セリン及びグリシン(30μM又は100
μM)存在下では、β−アクチンmRNAならびにBc
l−x mRNAの発現量には変化はみられず、Bc
l−w mRNAの発現量が明らかに増加した。
【0028】図3Bは、L−セリン及びグリシン存在下
で神経細胞を24時間培養した時の、β−アクチンmR
NA,Bcl−w mRNAの発現量を示す、図面に代
わる写真である。図3Bに示すごとく、L−セリン及び
グリシン(30μM又は100μM)存在下では、β−
アクチンmRNAの発現量には変化はなく、この時期で
もBcl−w mRNAの発現量が増加していた。
【0029】次に本発明者らは、L−セリン及び/又は
グリシンがBcl−w蛋白の発現を増加せしめるかどう
かをウエスタンブロットにより調べた。胎生17日目ラ
ット由来の大脳皮質神経細胞を、10%牛胎仔血清(シ
グマ社製)を含むDulbecco's modified Eagle's medium
(DMEM培地、シグマ社製)中で16時間培養した。
その後細胞を、10mMHEPES(pH7.3;ベー
リンガーマンハイム社製)、0.2mg/mlの牛血清
アルブミン(bovine serum albumin,BSA,シグマ社
製)、L−セリン及び/又はグリシン(0〜100μ
M)を含む無血清のEagle's minimum essential medium
(EMEM;イワキガラス社製)中で7時間、ポリエル
リジン(シグマ社製)をコートした90mmディッシュ
(住友社製)を用いて培養した。なお、イワキガラス社
製の無血清EMEM培養液には、元来L−セリンやグリ
シンは含まれていないので、外来性のL−セリン及び/
又はグリシンを同培養液に添加することにより容易に培
養液中のL−セリン及び/又はグリシンの濃度を調整す
ることができる。また、L−セリン及び/又はグリシン
の代わりにブドウ糖を同様の濃度で培養液に添加した実
験も実施した。
【0030】その後、Laemmliの電気泳動用サンプル緩
衝液を用いて神経細胞を溶解し、ポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動を行い、ニトロセルロース膜に転写後、抗B
cl−wヤギ抗体(サンタクルズ社製)ならびにアルカ
リフォスファターゼ標識抗ヤギIgG抗体(ケミコンイ
ンターナショナル社製)を用いてウエスタンブロットを
実施した。結果を図3Cに示す。
【0031】図3Cは前記したBcl−wのウエスタン
ブロットの代表例を示す、図面に代わる写真である。L
−セリン及び/又はグリシン存在下で、コントロールに
比べて明らかにBcl−w蛋白のバンドが濃くなってい
たが、ブドウ糖存在下ではBcl−w蛋白のバンドには
コントロールと比べて変化は認められなかった。
【0032】図3Cで示した実験を7回くり返し、Bc
l−w蛋白のバンドをデンシトメトリー解析に供した。
結果を図3Dに示す。図3Dに示すごとく、L−セリン
及び/又はグリシンにより、Bcl−w蛋白の発現量
は、コントロールに比べて有意に増加した。しかし、ブ
ドウ糖にはそのような効果は認められなかった。*はP
<0.05を示す。統計解析法はANOVA+Fisherのpost h
oc testである。
【0033】以上のごとく、L−セリン及び/又はグリ
シンもしくはそれらの前駆体又はそれらの脂肪酸化合物
もしくはそれらの塩は、Bcl−w蛋白の発現促進を介
して神経細胞保護作用を示すことが判明した。
【0034】さて、従来の技術にも記載したごとく、B
cl−wは細胞の種を越えて発現される細胞死抑制遺伝
子産物又は抗アポトーシス因子であるので、L−セリン
及び/又はグリシンが神経細胞におけるBcl−w m
RNAならびに蛋白の発現を促進するという事実は、L
−セリン及び/又はグリシンもしくはそれらの前駆体又
はそれらの脂肪酸化合物もしくはそれらの塩が、神経細
胞以外のあらゆる細胞において、Bcl−w mRNA
及び蛋白の発現を促進せしめ、アポトーシスもしくはア
ポトーシス様細胞死を抑止することを明らかにしてい
る。従って、L−セリン及び/又はグリシンもしくはそ
れらの前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物もしくはそれ
らの塩は、細胞死をきたすあらゆる疾患や病態の予防、
処置又は治療のための医薬組成物となることが発明され
たと言える。本発明の医薬組成物は、当然のことながら
ヒトのみならず家畜、ペットなどの脊椎動物にも投与可
能なので、獣医薬組成物としても使用できる。したがっ
て、本明細書における医薬組成物は、獣医薬組成物を包
含している。
【0035】さて、L−セリン若しくはグリシン又はそ
れらの前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物もしくはそれ
らの塩の1種又は2種以上を含有してなる医薬組成物の
適応が期待される疾患や病態として、アポトーシスもし
くはアポトーシス様細胞死をきたすすべての疾患や病態
が考えられるが、中でも患部組織の細胞外液濃度を10
nM〜1mMに維持することが容易な皮膚・粘膜疾患に
対して、本発明の医薬組成物が優れた効果・効能を発揮
すると言える。このような細胞死をきたす皮膚・粘膜疾
患や病態の例を以下のごとくあげることができる。皮膚
組織の創傷、レーザー傷害、熱傷、放射線障害、凍傷、
紫外線障害、電撃症、外傷、皮膚潰瘍、褥創、外科的手
術後の各種の創傷、接触性皮膚炎、水疱性皮膚炎、アト
ピー性皮膚炎、うつ帯性皮膚炎、乾皮症、糖尿病性皮膚
潰瘍、自家感作性皮膚炎、紅皮症、剥脱性皮膚炎、表皮
水疱症、光線過敏症、慢性色素性紫斑(シャンバーグ
病)、ストロフルス、花粉症、虫刺され、痒疹、多形滲
出性紅斑、環状紅斑、結節性紅斑、天疱瘡、類天疱瘡、
疱疹状皮膚炎、掌蹠膿疱症、乾癬、扁平苔癬、魚鱗癬、
毛孔性苔癬、黄色腫症、皮膚アミロイドーシス、単純疱
疹、ウイルス性いぼ、伝染性軟属腫、膿皮症、皮膚結
核、皮膚非定型抗酸菌症、白癬、皮膚・口腔カンジダ
症、疥癬、毛虱症、梅毒、ケロイド、肥厚性瘢痕、血管
腫、リンパ腫、母斑、尋常性白斑、雀卵斑、肝斑、黒皮
症、汗疱、あせも、にきび、酒査皮(しゅさ)、酒査皮
(しゅさ)様皮膚炎、口腔粘膜損傷、口内炎、口囲皮膚
炎、皮膚の老化症状(例えば、皮膚の萎縮、易感染症、
たるみ、ふけ、脱毛、白髪、かゆみ、かさつき、皮脂欠
乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、あかぎれ、し
み、しわ、そばかす、色素沈着、乾燥等)、脱毛症、爪
囲炎、嵌入爪等があげられる。さらに口腔粘膜などの粘
膜組織の損傷、咬傷、創傷、熱傷、外傷又は欠損による
疾患などの粘膜組織構成細胞の細胞死をきたすあらゆる
疾患や病態が挙げられ、例えば、う蝕、歯髄炎、辺縁性
歯周組織炎、口内炎、舌炎、再発性アフタ、口腔内アフ
タ、口臭、口腔異常感症、歯性感染症、口腔粘膜咬傷、
舌の咬傷、口腔粘膜熱傷、舌の熱傷、舌の損傷、口腔粘
損傷、歯肉炎、歯槽膿漏、カタール性口内炎、壊疽性口
内炎、ワンサン口内炎、アフタ性口内炎、急性疱疹性歯
肉口内炎、ヘルバンギーナ、帯状疱疹、口腔粘膜びら
ん、口腔粘膜潰瘍、褥瘡性潰瘍、放射線性口内炎、天疱
瘡、口腔カンジダ症、扁平苔癬、リガフェデ(Riga
−Fede)病、平滑舌、赤平舌、舌痛症、粘膜潰瘍、
粘膜びらん、白内障、ドライアイ、眼球結膜のびらん、
角膜のびらんまたは潰瘍、角膜損傷などの角結膜疾患、
消化管粘膜のびらん又は潰瘍、シェーグレン症候群、粘
膜特に口腔粘膜の老化症状(例えば、萎縮、粘膜剥離、
ひびわれ、上皮剥離、再生不良、乾燥)などが挙げられ
る。
【0036】本発明のL−セリン若しくはグリシン又は
それらの前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物もしくはそ
れらの塩の1種又は2種以上からなる前記疾患の予防、
処置、治療のための皮膚外用剤もしくは粘膜外用剤は、
公知又は任意の基剤たとえば水溶性基剤、乳剤性基剤、
配合剤もしくは脂溶性基剤(軟膏基剤)に本発明の化合
物を混入することにより作成できる。また、アフタッチ
やパップ剤のように粘膜や皮膚の病変部位に密着する製
剤に同様に本発明の医薬組成物を混入してもよい。具体
的には水溶性基剤(クリーム等)、乳剤性基剤、配合剤
もしくは軟膏基剤(脂溶性基剤)たとえば眼科用白色ワ
セリン(プロペト)100gあたりに、本発明の医薬組
成物を100ng(0.0000001重量%)以上、
1g(1重量%)以下となるように混入した後に、前記
疾患の予防、処置もしくは治療のための皮膚外用剤もし
くは粘膜外用剤として使用できる。
【0037】もちろん、前述の皮膚外用剤もしくは粘膜
外用剤の中に本発明の医薬組成物の他に任意の医薬組成
物(たとえば、ブドウ糖、抗生物質、ビタミンE、ビタ
ミンE誘導体、ビタミンD、ビタミンD誘導体、ビタミ
ン類、抗ウィルス剤、免疫抑制剤、抗アレルギー剤、ス
テロイド剤、薬用人蔘成分、ジンセノサイドRb、ジ
ヒドロジンセノサイドRb、天然物成分等)を混入し
てもよい。
【0038】その他、L−セリン若しくはグリシン又は
それらの前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物もしくはそ
れらの塩の適応が期待されるアポトーシスもしくはアポ
トーシス様細胞死をきたす疾患や病態としては、成書
(今日の治療指針:総編集、多賀須幸男、尾形悦郎;医
学書院、2000;今日の眼疾患治療指針:編集、田野
保雄、樋田哲夫;医学書院、2000;今日の皮膚疾患
治療指針:編集、池田重雄、今村貞夫、大城戸宗男、荒
田次郎;医学書院、2000)に記載されたすべての疾
患や病態が考えられるが、以下にそれらの代表例を記述
する。すなわちアポトーシス様神経細胞死もしくはアポ
トーシスを伴う一次性・二次性神経変性疾患(アルツハ
イマー病、ピック病、脊髄小脳変性症、パーキンソン
病、脱髄疾患、舞踏病を始めとするポリグルタミン病、
筋萎縮性側索硬化症、緑内障、老人性黄斑変性症、糖尿
病性網膜症、網膜中心動静脈閉塞症、網膜剥離、網膜色
素変性症、エイズ脳症、肝性脳症、脳炎、脳性マヒ、頭
部外傷、脊髄損傷、一酸化炭素中毒、新生児仮死、末梢
神経障害、痙性対麻痺、脳腫瘍、脳炎、アルコール中
毒、中毒性神経疾患、スフィンゴリピドーシス、進行性
核上性麻痺、脊髄血管障害、ミトコンドリア脳筋症、髄
膜炎等)ならびに脳卒中、神経外傷、頭部外傷、一過性
脳虚血発作、脊髄損傷、心筋・肝臓・腎臓の虚血再灌流
障害、心筋症、心不全、心筋梗塞、狭心症、末梢循環不
全、褥創、創傷、自己免疫病、免疫不全病、臓器移植後
の拒絶反応、筋ジストロフィー、角膜びらん、角膜潰
瘍、角膜損傷、放射線障害、紫外線障害、感染症、膠原
病、大動脈炎症候群、急性動脈閉塞症、閉塞性血栓血管
炎、閉塞性動脈硬化症、レイノー病、糖尿病、レイノー
症候群、血栓性静脈炎、膵炎、肝炎、腎炎、糖尿病性腎
症、糖尿性心筋症、舌痛症、大動脈炎症候群、膠原病、
急性末梢動脈閉塞症、閉塞性血栓血管炎、閉塞性動脈硬
化症、血栓性静脈炎、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、
網膜中心動静脈閉塞症、急性末梢循環不全、ショック、
レイノー病、レイノー症候群、痔疾、心筋梗塞、末梢循
環不全、狭心症、肝・腎・心虚血再灌流障害などが挙げ
られるが、これらの疾患や病態に限定されるものではな
い。
【0039】L−セリン若しくはグリシン又はそれらの
前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物もしくはそれらの塩
からなる上記疾患の予防、処置、治療のための医薬組成
物は、粘膜外用剤、皮膚外用剤もしくは皮膚外用塗布・
外用噴霧が好ましいが、患部組織における細胞外液濃度
を前記のごとく維持できるのであれば、静脈内投与用製
剤、病変部局所外用剤、病変部局所注射剤、経口投与製
剤、点鼻薬、点耳薬、点眼薬、眼軟膏、坐薬、皮下注射
薬、皮内注射薬、筋肉注射薬、吸入薬、舌下薬、人工唾
液、関節内投与、経皮吸収薬等、任意の投与経路が選択
できる。また徐放剤として使用してもよい。
【0040】経口投与のためには、固形製剤あるいは液
体製剤とすることができる。固形製剤としては、例えば
錠剤、丸剤、散剤あるいは顆粒剤がある。このような固
形製剤においては活性物質が薬学的に許容しうる担体、
例えば重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、ばれいしょ
でんぷん、ショ糖、マンニトール、カルボキシメチルセ
ルロースなどと混合される。製剤操作は常法に従って行
われるが、上記担体以外の製剤化のための添加剤、例え
ばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム
のような潤滑剤を含有してもよい。
【0041】上記のような固形製剤に、例えばセルロー
スアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースフタレート、ポリビニルアルコールフタレー
ト、スチレン無水マレイン酸共重合体あるいはメタクリ
ル酸、メタクリル酸メチル共重合体のような腸溶性物質
の有機溶媒による溶液、あるいは水溶液を噴霧して腸溶
性被覆を施し、腸溶性製剤とすることもできる。散剤、
顆粒剤などの固形製剤は腸溶性カプセルで包むこともで
きる。
【0042】経口投与のための液体製剤は、例えば乳濁
剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤あるいはエリキシル剤
を含む。これらの製剤は一般的に用いられる薬学的に許
容される担体、例えば水あるいは流動パラフィンを含
む。ココナッツ油、分画ココナッツ油、大豆油、とうも
ろこし油等の油性基剤を担体として用いることもでき
る。
【0043】薬学的に許容しうる担体には、その他必要
に応じて通常用いられる補助剤、芳香剤、安定化剤、あ
るいは防腐剤を含む。また、液体製剤はゼラチンのよう
な吸収される物質で作られたカプセルに入れて投与して
もよい。直腸内投与のための固形製剤としては、活性物
質を含み、公知の方法により製造される坐薬が含まれ
る。
【0044】非経口投与の製剤は、無菌の水性あるいは
非水性液剤、懸濁剤または乳濁剤として投与される。非
水性の溶液または懸濁剤は、例えばプロピルグリコー
ル、ポリエチレングリコール、オリーブ油または大豆油
のような植物油、オレイン酸エチルのような注射し得る
有機エステルを薬学的に許容し得る担体とする。このよ
うな製剤はまた防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定
化剤のような補助剤を含むことができる。これらの溶液
剤、懸濁剤および乳濁剤は、例えばバクテリア保留フィ
ルターを通す濾過、加熱、殺菌剤の配合あるいは紫外線
照射等の処理を適宜行うことによって無菌化できる。ま
た、無菌の固形製剤を製造し、使用直前に無菌水または
無菌の注射用溶媒に溶解して使用することもできる。ま
た、大豆油等の植物油と、シチレン等のリン脂質と、本
発明の医薬組成物との均一溶液に水を加え、例えば加圧
噴霧射ホモジナイザー、超音波ホモジナイザーなどのホ
モジナイザーにより均質化を行った脂肪乳剤なども注射
剤として使用できる。
【0045】本発明の医薬組成物の1日投与量は、患者
の症状の程度、年齢、性別、体重、投与経路等によって
異なるが、通常成人1日当たりの全身投与量は1mg〜
30g、局所投与量は0.01ng〜100mgであ
る。
【0046】L−セリン若しくはグリシン又はそれらの
前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物もしくはそれらの塩
は細胞死抑制遺伝子産物Bcl−wの発現促進を介して
強力に抗アポトーシス作用を示すと考えられるので、こ
のことから判断すると、本発明の医薬組成物は皮膚移植
用ケラチノサイト培養シートの保護・保存・維持にも有
効とされる。また、培養皮膚の保存のみならず培養皮膚
作成のための細胞の保存・維持、人工臓器作成のための
幹細胞の保存・維持、ならびに移植用臓器・組織又は細
胞(肝臓、腎臓、心臓、膵臓、肺、髄膜、骨、関節、靱
帯、消化管、角膜、皮膚、血管、末梢神経等)の保存・
維持にも有用と考えられる。さらに、本発明の医薬組成
物は、特願2001−049368に記載のジンセノサ
イド類と同様に、輸血用血球成分・血小板の保存・維
持、凍結細胞(精子、卵子、皮膚ケラチノサイト、幹細
胞等)や凍結培養皮膚シートあるいは凍結食品(魚貝
類、肉、野菜、米、パン等)の保存・維持にも有効とさ
れる。
【0047】さて、加齢に伴う皮膚の諸症状(萎縮、易
感染性、たるみ、かゆみ、かさつき、亀裂、皮脂欠乏、
角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、あかぎれ、しみ、
しわ、そばかす、脱毛、白髪、ふけ、色素沈着、日焼
け、乾燥等)は、皮膚組織を構成するあらゆる細胞(表
皮細胞、表皮角化細胞、メルケル細胞、メラノサイト、
ランゲルハンス細胞、角質細胞、真皮ならびに皮下組織
の線維芽細胞、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、皮脂腺
の細胞、脂肪細胞、汗腺の細胞、毛包の細胞、立毛筋の
細胞、間葉系細胞、皮膚の幹細胞等)が、紫外線障害や
生体の老化に伴い徐々に死滅するために、生じるものと
考えられる。たとえば、加齢や老化に伴う皮膚のかさつ
き、乾燥、脱毛、亀裂、角質細胞剥離、角層剥離、ひび
われ、あかぎれ、皮脂欠乏、かゆみなどは皮膚の汗腺、
毛包、ならびに脂腺の細胞が、機能障害に陥るか死滅す
るために、生じると考えられる。また、日焼け、色素沈
着、しみ、そばかす等は、日光や紫外線に照射された皮
膚の細胞が死に至った結果起こると考えられる。さらに
加齢に伴う、皮膚のしわ、たるみ、萎縮などは、真皮や
皮下組織の線維芽細胞もしくは間葉系細胞が、加齢とと
もに機能不全に陥るか数が減少したために、真皮や皮下
組織で充分な膠原線維、弾性線維、細網線維、細胞外基
質を保持できなくなった結果、生じると言える。一方、
メラノサイトやランゲルハンス細胞の機能障害や死滅に
より白髪や易感染性が生じると考えられる。
【0048】本発明のL−セリン若しくはグリシン又は
それらの前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物もしくはそ
れらの塩は、皮膚組織を構成するすべての細胞のアポト
ーシスもしくはアポトーシス様細胞死を抑止することが
できると考えられるので、化粧品の組成物として利用す
れば、老化に伴う皮膚の構成細胞の減少(細胞死)、機
能障害に帰因する諸症状(皮膚の萎縮、易感染性、たる
み、かゆみ、かさつき、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層
剥離、ひびわれ、あかぎれ、しみ、しわ、そばかす、白
髪、ふけ、脱毛、色素沈着、日焼け、乾燥等)を予防、
軽減もしくは改善することができる。より具体的には、
前記化合物からなる本発明の化粧品組成物は、細胞死抑
制遺伝子産物Bcl−wの発現を上昇せしめ、表皮細
胞、表皮角化細胞、角質細胞、皮脂腺の細胞、毛包の細
胞、立毛筋の細胞、汗腺の細胞、線維芽細胞、幹細胞、
間葉系細胞、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞、脂肪細胞
等を含めた皮膚の細胞のアポトーシスを抑止すると考え
られるので、加齢や老化に伴う皮膚の構成細胞の死や機
能障害を未然に防ぐことができると考えられる。このよ
うに、本発明の化粧品組成物は、皮膚を構成するあらゆ
る細胞のアポトーシスもしくはアポトーシス様細胞死を
抑止すると考えられるので、加齢に伴う皮膚の老化症状
(皮膚の萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、亀裂、かさ
つき、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、
あかぎれ、しみ、しわ、そばかす、白髪、ふけ、脱毛、
色素沈着、再生不良、日焼け、乾燥等)を予防、改善も
しくは軽減するとされる。また、L−セリン及び/又は
グリシンもしくはそれらの前駆体又はそれらの脂肪酸化
合物もしくはそれらの塩は、細胞死抑制遺伝子産物Bc
l−wの発現促進を介して、前記した皮膚細胞のみなら
ず粘膜細胞(たとえば上皮細胞、腺細胞、筋上皮細胞、
線維芽細胞、幹細胞、間葉系細胞、血管内皮細胞等)の
アポトーシスもしくはアポトーシス様細胞死を抑止する
と考えられる。
【0049】従って粘膜細胞のアポトーシスもしくはア
ポトーシス様細胞死に帰因する粘膜の老化症状(萎縮、
ひびわれ、乾燥、上皮剥離等)を予防、改善、軽減せし
めるために、本発明の前記化合物を粘膜外用組成物とし
て使用することができる。すなわち、L−セリン及び/
又はグリシンもしくはそれらの前駆体又はそれらの脂肪
酸化合物もしくはそれらの塩をあらゆる化粧品や健康薬
(化粧水(スキンローション)、乳液(ミルクローショ
ン)、ファンデーション、ハンドクリーム、ゲル、ロー
ション、エマルジョン、パウダー、ヘアーダイ、ヘアー
マニキュア、コールドクリーム、アイシャドウ、クレン
ジングクリーム、洗顔フォーム、ナイトクリーム、ミネ
ラルウォーター、氷、水割用氷、アイスクリーム、シャ
ーベット、健康飲料食品、健康飲料水、美白クリーム、
トローチ、のどあめ、おしろい、口紅、入浴剤、化粧石
けん、洗眼薬、洗眼液、洗顔液、うがい薬、シャンプ
ー、リンス、歯みがき粉、リップクリーム、下地クリー
ム(メイクアップベース)、UVリキッドファンデーシ
ョン、パウダーファンデーション等)に0.00000
01重量%〜1重量%程度の濃度で混入して使用し、皮
膚局所又は粘膜局所における前記化合物の細胞外液濃度
を10nM〜1mM程度に維持すれば、皮膚や粘膜の老
化症状(萎縮、易感染性、たるみ、かゆみ、亀裂、かさ
つき、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥離、ひびわれ、
あかぎれ、しみ、しわ、そばかす、白髪、ふけ、脱毛、
色素沈着、日焼け、上皮剥離、粘膜剥離、乾燥等)に対
して優れた効果を発揮する。たとえば、加齢や老化に伴
い皮膚の脂(すなわち皮脂)が欠乏するだけでも、皮膚
のかさつき、ひびわれ、乾燥、かゆみ、角質細胞剥離等
が生じるが、本発明の化粧品組成物をあらゆる化粧品に
混入して使用することにより、皮脂腺の細胞が保護され
前記の加齢に伴う皮膚の老化症状を予防、改善、もしく
は軽減すると考えられる。また、L−セリン及び/又は
グリシンもしくはそれらの前駆体、又はそれらの脂肪酸
化合物もしくはそれらの塩を含有する任意の化粧品は、
表皮細胞(角質細胞)もしくは表皮角化細胞のアポトー
シス又はアポトーシス様細胞死を抑止すると考えられる
ので、角質細胞間脂質や天然保湿因子の産生や分泌も維
持することにより、皮膚の乾燥やかさつきを抑止し、皮
膚に自然な潤いをもたらす。
【0050】また、たとえばミネラルウォーターなどに
本発明の粘膜外用組成物を混入することにより、アルコ
ール飲料や高温刺激物による口腔粘膜や消化管粘膜(特
に食道粘膜)の細胞死又は障害を予防、軽減、処置する
ことができる。L−セリン及び/又はグリシンもしくは
それらの前駆体又はそれらの脂肪酸化合物もしくはそれ
らの塩はケミカルピーリング用又はフィジカルピーリン
グ用の組成物として、ケミカルピーリング又はフィジカ
ルピーリングの全過程(前、中、後)で使用される試薬
類又は投与剤(すなわちケミカルピーリング剤又はフィ
ジカルピーリング剤)のうち1種類もしくは2種類以上
に混入して使用することができる。この場合、本発明の
ケミカルピーリング用組成物又はフィジカルピーリング
用組成物は、化学薬品(特に酸又はレーザー等)により
表皮細胞が剥離したのちに、その障害が真皮の結合組織
の細胞(線維芽細胞等)に及ぶのを未然に防ぐことがで
きる。さらに、L−セリン及び/又はグリシンもしくは
それらの前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物もしくはそ
れらの塩は、細胞死抑制遺伝子産物Bcl−wの発現促
進を介して、皮膚の毛包の細胞のアポトーシスもしくは
アポトーシス様細胞死を抑止すると考えられるので、発
毛育毛用組成物としても利用可能である。なお、L−セ
リン若しくはグリシン又はそれらの前駆体、又はそれら
の脂肪酸化合物もしくはそれらの塩の1種又は2種以上
を含有してなる化粧品組成物、発毛育毛用組成物、ケミ
カルピーリング用組成物、フィジカルピーリング用組成
物の基剤としては、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪
酸類、低級アルコール類、高級アルコール類、多価アル
コール類、エステル類、界面活性剤、水溶性高分子化合
物等があげられる。本発明の前記皮膚外用組成物は、そ
の他の皮膚細胞賦活剤、抗炎症剤、活性酸素消去剤、美
白剤、保湿剤、紫外線吸収剤、防腐防黴剤、エモリエン
ト剤、天然物エキス、レチノイン酸のいずれか1つある
いは2つ以上と併用してもよい。
【0051】さて、特開2000−191539号にお
いて、本発明者らはジンセノサイドRbがBcl−2
蛋白群の1つであるBcl−xの発現増強を介して抗
アポトーシス作用を示すことを発明している。一方、特
願2000−248458号において、細胞死抑制遺伝
子産物Bcl−xの発現増強作用を有するジンセノサ
イドRbが、抗アポトーシス作用のみならず、動物組
織ならびに植物組織の再生、新生、発根、発芽、成長、
分化、又は再構築を促進して、成長調製用組成物、肥料
組成物、飼料組成物として利用されることが発明されて
いる。このような事実に基づけば、Bcl−x蛋白と
機能が酷似するBcl−w蛋白の発現を促進するL−セ
リン及び/又はグリシンもしくはそれらの前駆体又はそ
れらの脂肪酸化合物もしくはそれらの塩も、ジンセノサ
イドRbと同様に生体(動物、植物)組織の再生、新
生、発根、発芽、分化、成長又は再構築を促進するため
の成長調製用組成物、肥料組成物もしくは飼料組成物と
なりうることが推測される。事実、本発明の実験例なら
びにSavoca R.らの論文(J. Neurosci. Methods.,61, 1
59-167, 1995)において、L−セリン及び/又はグリシ
ンが神経細胞の突起伸長を促進することが明らかにされ
ているので、L−セリン及び/又はグリシンもしくはそ
れらの前駆体又はそれらの脂肪酸化合物もしくはそれら
の塩が、末梢神経の再生を促すことは容易に推測され
る。さらに、L−セリン及び/又はグリシンもしくはそ
れらの前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物もしくはそれ
らの塩は、特願2000−248458、PCT/JP
00/05554に記載のジンセノサイド類と同様に、
抗アポトーシス作用に加えて生体組織の成長、分化、再
生、再構築、発根、発芽又は新生をも促すが故に、本明
細書において記述された疾患や病態の予防、処置、治療
用医薬組成物、化粧品組成物、ケミカルピーリング用組
成物、フィジカルピーリング用組成物、発毛育毛用組成
物、粘膜外用組成物、成長調製用組成物、肥料組成物、
飼料組成物として利用されると言える。さらに、前記の
ような推論に基づけば、培養細胞におけるBcl−2蛋
白群の発現を調節(増加または減少)せしめる化合物
は、生体組織(動物組織、植物組織)の再生、新生、発
根、発芽、成長、分化又は再構築を促進せしめると考え
られる。
【0052】本発明の植物成長調製用組成物は、植物の
栽培・育成・保存、生花の保存・栽培・育成、水栽培、
水耕栽培、農作物栽培・育成、野菜の栽培・育成、果実
(フルーツ)の栽培・育成、たばこの栽培・育成、きの
こ栽培、薬用植物栽培、茶葉の栽培・育成等に利用でき
ると言える。本発明のL−セリン若しくはグリシン又は
それらの前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物もしくはそ
れらの塩からなる発根・発芽・成長・分化促進剤もしく
は肥料組成物は、任意の又は公知の肥料に0.0000
001重量%〜1重量%の濃度で混入又は添加すること
ができるし、単独で植物組織の発根・発芽・分化・再生
・再構築・新生・成長促進剤として使用してもよい。
【0053】また、本発明のL−セリン若しくはグリシ
ン又はそれらの前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物もし
くはそれらの塩は、家畜、養殖用魚貝類、ペット用飼料
の組成物としても利用できると言える。たとえば、魚貝
類、甲殻類、ウナギ、真珠貝、アコヤ貝、アナゴ等の養
殖の際に、10nM〜1mM程度の濃度の前記化合物を
海水又は淡水に通常の飼料とともに添加すれば、これら
の水産資源もしくは海産資源の発育が促進されると考え
られる。もちろん、本発明の化合物は、特願2000−
248458、PCT/JP00/05554に記載の
ジンセノサイド類と同様に、その抗アポトーシス作用を
介して、野菜、米、果物、生け花などの植物・農産物、
魚貝類、甲殻類、ウナギ、アナゴ等の海産・水産資源を
外傷、創傷、病原微生物、バイオハザード、寒冷ストレ
ス、塩害、内分泌撹乱物質、環境汚染、毒素等から守る
ことができる。すなわち、L−セリン及び/又はグリシ
ンもしくはそれらの前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物
もしくはそれらの塩からなる肥料組成物、飼料組成物又
は動植物の成長調製用組成物は来るべき食糧危機から人
類を救済するために必須のものとなる。本発明のL−セ
リン若しくはグリシン又はそれらの前駆体、又はそれら
の脂肪酸化合物もしくはそれらの塩を成長調製用組成
物、飼料組成物、肥料組成物として使用する時の濃度も
0.0000001重量%〜1重量%が好ましいが、濃
度の上限を10重量%程度に設定してもよい。
【0054】
【実施例】次に、具体的な試験例について本発明を詳細
に説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるも
のではない。
【0055】実施例1(セリン及び/又はグリシンの神
経細胞生存促進作用) 本発明者らはまず、L−セリン及び/又はグリシンがW
O99/04781号において開示されたごとく、神経
細胞保護作用を示すかどうかをしらべた。胎生17日目
ラット由来の大脳皮質神経細胞を、10%牛胎仔血清
(シグマ社製)を含むダルベッコの修飾イーグル培地
(Dulbecco's modified Eagle's medium(DMEM培
地、シグマ社製))中で16時間培養した。その後細胞
を、10mMHEPES(pH7.3;ベーリンガーマ
ンハイム社製)、0.2mg/mlの牛血清アルブミン
(bovine serum albumin,BSA,シグマ社製)、L−
セリン及び/又はグリシン(0〜100μM)を含む無
血清のイーグルの最少必要培地(Eagle's minimum esse
ntial medium(EMEM;イワキガラス社製))中で培
養した。なお、イワキガラス社製の無血清EMEM培養
液には、元来L−セリンやグリシンは含まれていないの
で、外来性のL−セリン及び/又はグリシンを同培養液
に調整することができる。前記神経細胞は、ポリエルリ
ジンコートした24ウェルプレート(コーニング社製)
上で5日間維持した。また、L−セリン及び/又はグリ
シンの代わりにブドウ糖(glucose)又はD−セリンを
同様の濃度で培養液に添加した実験も実施した。
【0056】その後、培養液に酸化還元色素であるアラ
マーブルー(10%v/v)を添加した。2時間後に、
細胞生存率(viability)を発明者ら(阪中、田中)(T
oku,K. et al., J. Neurosci. Res., 53, 415-425, 199
8)の方法に準じて測定した。結果を図1に示す。
【0057】図1Aの黒四角印はL−セリンを、白丸印
はL−セリンとグリシンを、黒丸印はグリシンを、黒三
角印はブドウ糖を、それぞれ0〜100μMの濃度で培
養液に添加した時の神経細胞生存率を示している(n=
5)。図1Aに示すごとく、L−セリン又はグリシンを
単独で培養液に添加した場合に比べて、L−セリンとグ
リシンを同時投与した場合の方がより優れた神経細胞保
護作用が観察された。*はP<0.05を示し、**は
P<0.001を示す。統計解析法はANOVA+Fisherのpo
st hoc testによる。
【0058】図1Aに示した実験では例数が少ないため
にL−セリン及びグリシンの濃度が3μM以上のときに
有意な神経細胞生存率上昇作用が認められているが、実
際に実験例を増加せしめると、さらに低い濃度でも有意
な効果が得られるものと推測できる。従って、L−セリ
ン及び/又はグリシンは、患部組織における細胞外液濃
度が0.01nM〜1mMのときに神経細胞保護作用を
示すと考えられる。すなわち、WO99/04781号
において開示された濃度域(10〜20μM)よりもや
や広い範囲で、L−セリン及び/又はグリシンは神経細
胞の生存を延長するといえる。
【0059】図1Bの黒四角印はL−セリンを、白丸印
はD−セリンを、それぞれ0〜100μMの濃度で培養
液に添加した時の神経細胞生存率を示している(n=
4)。図1Bに示すごとく、L−セリンは神経細胞の生
存を促進したが、D−セリンにはそのような作用は認め
られなかった。*はP<0.05を示し、**はP<
0.001を示す。統計解析法はANOVA+Fisherのpost h
oc testによる。
【0060】実施例2(セリン及び/又はグリシンの神
経細胞保護作用ならびに突起伸長促進作用) 次に本発明者らは、L−セリン及び/又はグリシン存在
下で神経細胞の生存ならびに突起伸長が促進されるかど
うかをしらべた。このため、胎生17日目ラット由来の
大脳皮質神経細胞を、10%牛胎仔血清(シグマ社製)
を含むダルベッコの修飾イーグル培地(Dulbecco's mod
ified Eagle's medium(DMEM培地、シグマ社製))
中で16時間培養した。その後細胞を、10mMHEP
ES(pH7.3;ベーリンガーマンハイム社製)、
0.2mg/mlの牛血清アルブミン(bovine serum a
lbumin,BSA,シグマ社製)、L−セリン及び/又は
グリシン(0〜100μM)を含む無血清のイーグルの
最少必要培地(Eagle's minimum essential medium(E
MEM;イワキガラス社製))中で培養した。なお、イ
ワキガラス社製の無血清EMEM培養液には、元来L−
セリンやグリシンは含まれていないので、外来性のL−
セリン及び/又はグリシンを同培養液に添加することに
より容易に培養液中のL−セリン及び/又はグリシンの
濃度を調整することができる。前記神経細胞は、ポリエ
ルリジンコートした24ウェルプレート(コーニング社
製)上で5日間維持した。また、L−セリン及び/又は
グリシンのかわりにブドウ糖(glucose)を同様の濃度
で培養液に添加した実験も実施した。
【0061】その後レムリ(Laemmli)の電気泳動用サ
ンプル緩衝液を用いて神経細胞を溶解し、ポリアクリル
アミドゲル電気泳動を行い、ニトロセルロース膜に転写
後、神経細胞特異蛋白質MAP2(microtuble-associa
ted protein 2)に対するモノクローナル抗体(スタン
バージャー社製)を用いてウエスタンブロットを行っ
た。ちなみにMAP2は神経細胞の生存率及び/又は突
起伸長の指標と考えられる。さらに、神経細胞の生存率
及び/又は突起伸長を定量化するため、ウエスタンブロ
ットで免疫染色されたMAP2のバンドをデンシトメト
リーにより解析した。結果を図2に示す。
【0062】図2Aの上段左は各濃度のL−セリンを培
養液に添加したとき、図2Aの上段右は各濃度のグリシ
ンを培養液に添加したとき、図2Aの下段左は各濃度の
L−セリン及びグリシンを培養液に添加したとき、図2
Aの下段右は各濃度のブドウ糖を培養液に添加したと
き、の結果(代表例)を示す図面に代わる写真である。
L−セリン及びグリシンを添加したときには1μMの濃
度でもMAP2のバンドが認められたが、L−セリン及
びグリシンを単独で使用したときは3μM以上の濃度で
MAP2のバンドが観察された。ブドウ糖を添加しても
MAP2のバンドはほとんど認められなかった。
【0063】図2Bは、図2Aで示したMAP2のウエ
スタンブロットの実験を5回くり返し、それらの結果を
デンシトメトリー解析したものである。黒四角印はL−
セリンを培養液に添加したとき、黒丸印はグリシンを培
養液に添加したとき、白丸印はL−セリン及びグリシン
を培養液に添加したとき、黒三角印は、ブドウ糖を培養
液に添加したとき、の結果を示す。*はP<0.05
を、**はP<0.001を表す。統計解析法はANOVA+
Fisherのpost hoc testによる。
【0064】図2Bに示すごとく、10μM以上の濃度
域で、L−セリン及び/又はグリシンが有意にMAP2
のバンドを濃くせしめること、すなわち神経細胞の生存
及び/又は突起伸長を促進せしめることが判明した。ま
た、L−セリン及び/又はグリシンの濃度が1μM以下
の場合でもMAP2のウエスタンブロット実験をさらに
くり返せば有意な効果が検出されるものと推測された。
【0065】以上の実験結果より、L−セリン及び/又
はグリシンが10nM〜1mMの細胞外液濃度域で、神
経細胞の生存及び/又は突起伸長を促進することがわか
った。
【0066】以上のごとく、L−セリン及び/又はグリ
シンもしくはそれらの前駆体、又はそれらの脂肪酸化合
物もしくはそれらの塩は、WO99/04781号にお
いて開示された濃度域よりもやや広い範囲で神経細胞に
対して特異的に保護作用を発揮することがわかった。
【0067】実施例3(セリン及び/又はグリシンによ
るBcl−w mRNA発現促進作用) 胎生17日目ラット由来の大脳皮質神経細胞を、10%
牛胎仔血清(シグマ社製)を含むダルベッコの修飾イー
グル培地(Dulbecco's modified Eagle's medium(DM
EM培地、シグマ社製))中で16時間培養した。その
後細胞を、10mMHEPES(pH7.3;ベーリン
ガーマンハイム社製)、0.2mg/mlの牛血清アル
ブミン(bovine serum albumin,BSA,シグマ社
製)、L−セリン及び/又はグリシン(0〜100μ
M)を含む無血清のイーグルの最少必要培地(Eagle's
minimum essential medium(EMEM;イワキガラス社
製))中で4時間または24時間、ポリエルリジンをコ
ートした90mmディッシュ(住友社製)を用いて培養
した。なお、イワキガラス社製の無血清EMEM培養液
には、元来L−セリンやグリシンは含まれていないの
で、外来性のL−セリン及び/又はグリシンを同培養液
に添加することにより容易に培養液中のL−セリン及び
/又はグリシンの濃度を調整することができる。
【0068】その後培養神経細胞から総RNAを抽出し
た。DNAase処理済の総RNAから、オリゴdTプ
ライマーと逆転写酵素(Moloney murine leukemia viru
s reverse transcriptase)を用いてcDNAを生成し
た。遺伝子増幅反応(RT−PCR)によりこれを増幅
した。RT−PCRは、Taqポリメラーゼ(タカラ社
製)を用いて、本発明者らの既発表論文(Wen, T.-C. e
t al., J. Exp. Med.,188, 635-649, 1998)に記載され
た方法に準じて実施した。まず94℃にて5分間2本鎖
cDNAを処理して、1本鎖cDNAとした。その後、
(1)94℃、1.5分間、(2)57℃、1分間、
(3)74℃、1.5分間を1サイクルとし、Bcl−
w又はBcl−xに関しては35サイクル、β−アク
チン(内部標準)に関しては22サイクルで遺伝子増幅
反応を実施した。RT−PCR産物を3%アガロースゲ
ルにて泳動し、エチジュウムブロマイド染色によって可
視化した。なお遺伝子増幅反応用のプライマーとして次
のものを用いた。β−アクチンのセンス:AGA AG
A GCT ATG AGC TGC CTG AC
G;β−アクチンのアンチセンス:TAC TTG C
GC TCA GGA GGA GCA ATG; B
cl−wのセンス:ATG GCG ACC CCA
GCC TCA ACC C; Bcl−wのアンチセ
ンス:CTT GCT AGC AAA AAA GG
C CCC; Bcl−xのセンス:GTAGTG
AAT GAA CTC TTT CGC GAT;
Bcl−xのアンチセンス:CCA GCC GCC
GTT CTC CTG GATCCA。結果を図3
A,Bに示す。
【0069】図3Aは、L−セリン及びグリシン存在下
で神経細胞を4時間培養した時の、β−アクチンmRN
A,Bcl−w mRNA,Bcl−x mRNAの
発現量を示す、図面に代わる写真である。図3Aに示す
ごとく、L−セリン及びグリシン(30μM又は100
μM)存在下では、β−アクチンmRNAならびにBc
l−x mRNAの発現量には変化はみられず、Bc
l−w mRNAの発現量が明らかに増加した。
【0070】図3Bは、L−セリン及びグリシン存在下
で神経細胞を24時間培養した時の、β−アクチンmR
NA,Bcl−w mRNAの発現量を示す、図面に代
わる写真である。図3Bに示すごとく、L−セリン及び
グリシン(30μM又は100μM)存在下では、β−
アクチンmRNAの発現量には変化はなく、この時期で
もBcl−w mRNAの発現量が増加していた。
【0071】実施例4(セリン及び/又はグリシンによ
るBcl−w蛋白発現促進) 次に本発明者らは、L−セリン及び/又はグリシンがB
cl−w蛋白の発現を増加せしめるかどうかをウエスタ
ンブロットにより調べた。胎生17日目ラット由来の大
脳皮質神経細胞を、10%牛胎仔血清(シグマ社製)を
含むダルベッコの修飾イーグル培地(Dulbecco's modif
ied Eagle's medium(DMEM培地、シグマ社製))中
で16時間培養した。その後細胞を、10mMHEPE
S(pH7.3;ベーリンガーマンハイム社製)、0.
2mg/mlの牛血清アルブミン(bovine serum album
in,BSA,シグマ社製)、L−セリン及び/又はグリ
シン(0〜100μM)を含む無血清のイーグルの最少
必要培地(Eagle's minimum essential medium(EME
M;イワキガラス社製))中で7時間、ポリエルリジン
(シグマ社製)をコートした90mmディッシュ(住友
社製)を用いて培養した。なお、イワキガラス社製の無
血清EMEM培養液には、元来L−セリンやグリシンは
含まれていないので、外来性のL−セリン及び/又はグ
リシンを同培養液に添加することにより容易に培養液中
のL−セリン及び/又はグリシンの濃度を調整すること
ができる。また、L−セリン及び/又はグリシンの代わ
りにブドウ糖を同様の濃度で培養液に添加した実験も実
施した。
【0072】その後、レムリ(Laemmli)の電気泳動用
サンプル緩衝液を用いて神経細胞を溶解し、ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動を行い、ニトロセルロース膜に転
写後、抗Bcl−wヤギ抗体(サンタクルズ社製)なら
びにアルカリフォスファターゼ標識抗ヤギIgG抗体
(ケミコンインターナショナル社製)を用いてウエスタ
ンブロットを実施した。結果を図3Cに示す。
【0073】図3Cは前記したBcl−wのウエスタン
ブロットの代表例を示す、図面に代わる写真である。L
−セリン及び/又はグリシン存在下で、コントロールに
比べて明らかにBcl−w蛋白のバンドが濃くなってい
たが、ブドウ糖存在下ではBcl−w蛋白のバンドには
コントロールと比べて変化は認められなかった。
【0074】図3Cで示した実験を7回くり返し、Bc
l−w蛋白のバンドをデンシトメトリー解析に供した。
結果を図3Dに示す。図3Dに示すごとく、L−セリン
及び/又はグリシンにより、Bcl−w蛋白の発現量
は、コントロールに比べて有意に増加した。しかし、ブ
ドウ糖にはそのような効果は認められなかった。*はP
<0.05を示す。統計解析法はANOVA+Fisherのpost h
oc testである。
【0075】以上のごとく、L−セリン及び/又はグリ
シンもしくはそれらの前駆体又はそれらの脂肪酸化合物
もしくはそれらの塩は、Bcl−w蛋白の発現促進を介
して細胞の保護作用を示すことが判明した。
【0076】実施例5(L−セリン及び/又はグリシン
による角膜損傷・角膜びらん・角膜潰瘍の予防・治療・
処置) コンタクトレンズ装着あるいはエキシマレーザーによる
近視矯正術後に角膜損傷、角膜びらん、角膜潰瘍等が生
じることがよく知られているが、実際に角膜組織を保護
もしくは再生せしめる優れた点眼薬はほとんどないのが
現状である。任意の又は公知の点眼用基液又は基剤(た
とえば、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、水
酸化ナトリウム試液を含有する滅菌精製水または眼科用
白色ワセリン等)にL−セリン及び/又はグリシンもし
くはそれらの前駆体又はそれらの脂肪酸化合物もしくは
それらの塩を0.0000001重量%以上の濃度で混
入して点眼薬または眼軟こうを作成し、角膜損傷、角膜
びらん、角膜潰瘍を有する患者に連日必要回数点眼し、
角膜病変が改善するまであるいは治癒するまで点眼を継
続する。その際に角膜病変組織におけるL−セリン及び
/又はグリシンもしくはそれらの前駆体又はそれらの脂
肪酸化合物もしくはそれらの塩の細胞外液濃度が1mM
以下、好ましくは100μM以下、より好ましくは10
nM〜30μMとなるように基液又は基剤への前記化合
物の混入量を調整する。
【0077】実施例6(L−セリン及び/又はグリシン
による移植用角膜の保護又は再生促進) 角膜移植は、移植医療の中でももっとも成功率の高い治
療法として眼科領域では頻繁に実施されている。しか
し、御遺体から角膜を採取したのち移植手術を実施する
までの間にも移植用角膜組織を構成する細胞は確実に死
に至り始めるため、このことが角膜採取から移植手術ま
での時間を制約する最大の要因となっている。移植用角
膜を採取後、従来の角膜保存液の中にL−セリン及び/
又はグリシンもしくはそれらの前駆体又はそれらの脂肪
酸化合物もしくはそれらの塩を1mM以下、好ましくは
100μM以下、より好ましくは10nM〜30μMと
なるように混入して移植用角膜を保護することができ
る。また、同時に移植用角膜の再生を促進することもで
きる。L−セリン及び/又はグリシンもしくはそれらの
前駆体又はそれらの脂肪酸化合物もしくはそれらの塩は
角膜のみならずあらゆる移植用臓器・組織・細胞の保
護、保存、再生のために同様の方法で利用できる。
【0078】実施例7(L−セリン及び/又はグリシン
のケミカルピーリング又はフィジカルピーリングへの応
用) ケミカルピーリング又はフィジカルピーリングにおいて
皮膚の表皮及び真皮の一部が剥離したのちに、L−セリ
ン及び/又はグリシンもしくはそれらの前駆体又はそれ
らの脂肪酸化合物もしくはそれらの塩を任意のケミカル
ピーリング用基剤又はフィジカルピーリング用基剤に混
入して当該皮膚へ外用投与すればその後の皮膚組織再生
が促進されるとともに、ケミカルピーリング後又はフィ
ジカルピーリング後に生じる過剰な皮膚細胞のアポトー
シスを抑止することができる。その際、前記化合物のケ
ミカルピーリング剤又はフィジカルピーリング剤におけ
る濃度は0.0000001重量%以上とする。もちろ
んこれらのケミカルピーリング用組成物又はフィジカル
ピーリング用組成物は、皮膚組織の再生能力もしくは細
胞防御能力をあらかじめ賦活しておくために、ケミカル
ピーリング又はフィジカルピーリングの前から皮膚に外
用投与してもよい。
【0079】
【発明の効果】本発明は、L−セリン若しくはグリシン
又はそれらの前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物もしく
はそれらの塩の1種又は2種以上を有効成分とする、細
胞死抑制遺伝子産物Bcl−wの発現を促進するための
医薬組成物ならびに抗アポトーシス剤を提供するもので
ある。また、本発明は、L−セリン若しくはグリシン又
はそれらの前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物もしくは
それらの塩の1種又は2種以上を有効成分とする、医薬
組成物、獣医薬組成物、皮膚外用組成物、粘膜外用組成
物、健康薬組成物、ケミカルピーリング用組成物、フィ
ジカルピーリング用組成物、化粧品組成物、肥料組成
物、飼料組成物、成長調整用組成物、又は発毛育毛用組
成物を提供するものである。本発明の前記化合物はBc
l−wの発現促進作用を介して、アポトーシスもしくは
アポトーシス様細胞死をきたすすべての疾患や病態に効
果・効能を示す。また、本発明の前記化合物は皮膚や粘
膜の老化症状を予防、改善、処置するための皮膚外用組
成物、粘膜外用組成物として有用であり、かつ農作物、
生花又は海産物の栽培・育成・保存・養殖等にも利用さ
れる。また、本発明では、被検物質を培養細胞に投与し
て、Bcl−2蛋白群の発現調節作用を測定することか
らなる、生体組織の再生、新生、発根、発芽、成長、分
化又は再構築を促進するための物質を探索する方法も見
出された。最後に本発明は、きわめて副作用の少ない安
全な化合物を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、L−セリン及び/又はグリシン、ブド
ウ糖、D−セリンが神経細胞の生存率に及ぼす影響を示
すグラフである。Aが、L−セリン及び/又はグリシ
ン、もしくはブドウ糖の効果を示しており、BがL−セ
リン又はD−セリンの効果を示す。
【図2】図2は、L−セリン及び/又はグリシン、ブド
ウ糖が神経細胞のMAP2発現に及ぼす効果を示す図面
に代わる写真(A)ならびにグラフ(B)である。Aが
代表的なMAP2のウエスタンブロットの結果を示す図
面に代わる写真であり、Bがウエスタンブロットの結果
を定量化したグラフである。
【図3】図3は、L−セリン及び/又はグリシンもしく
はブドウ糖がBcl−w mRNA,Bcl−x
RNA,又はBcl−w蛋白の発現に及ぼす効果を示す
図面に代わる写真(A,B,C)およびグラフ(D)で
ある。AがL−セリン及びグリシン処置後4時間でのB
cl−w mRNA,Bcl−x mRNAの発現量
を示す、図面に代わるRT−PCRの写真である。B
が、L−セリン及びグリシン処置後24時間でのBcl
−w mRNAの発現量を示す、図面に代わるRT−P
CRの写真である。CがL−セリン及び/又はグリシン
もしくはブドウ糖によるBcl−w蛋白発現変化を示
す、図面に代わるウエスタンブロットの写真であり、D
がウエスタンブロットの結果を定量化したグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 45/00 A61K 45/00 4C084 A61P 17/14 A61P 17/14 4C206 17/16 17/16 25/30 25/30 43/00 105 43/00 105 C12Q 1/02 C12Q 1/02 G01N 33/15 G01N 33/15 Z 33/50 33/50 Z // C12N 5/00 C12N 5/00 (72)発明者 田中 潤也 愛媛県温泉郡重信町大字横河原355−31 Fターム(参考) 2B150 AA01 AA06 AA07 AB03 AB10 BC01 DA44 DA62 2G045 AA40 4B063 QA18 QR77 QR78 QS24 QX01 4B065 AA87 BB12 CA43 CA49 4C083 AC581 AC582 CC02 EE12 EE22 FF01 4C084 AA17 MA56 MA63 NA14 ZA89 ZA92 ZB21 ZC02 4C206 AA01 AA02 FA51 MA01 MA04 MA76 MA83 NA14 ZA89 ZA92 ZB21 ZC02

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 L−セリン若しくはグリシン又はそれら
    の前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物もしくはそれらの
    塩の1種又は2種以上を含有してなる細胞死抑制遺伝子
    産物Bcl−wの発現を促進させるための医薬組成物。
  2. 【請求項2】 細胞のBcl−w発現低下をきたす疾患
    又は病態の予防、処置もしくは治療のための請求項1に
    記載の医薬組成物。
  3. 【請求項3】 細胞が神経細胞または脳細胞である請求
    項1又は2に記載の医薬組成物。
  4. 【請求項4】 L−セリン若しくはグリシン又はそれら
    の前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物もしくはそれらの
    塩の1種又は2種以上を含有してなる末梢組織の細胞の
    アポトーシス又はアポトーシス様細胞死を抑制させるた
    めの請求項1又は2に記載の医薬組成物。
  5. 【請求項5】 末梢組織の細胞のアポトーシス又はアポ
    トーシス様細胞死をきたす疾患又は病態の予防、処置も
    しくは治療のための請求項1、2、4のいずれかに記載
    の医薬組成物。
  6. 【請求項6】 末梢組織の細胞が、移植用臓器もしくは
    移植用組織の細胞である請求項4又は5に記載の医薬組
    成物。
  7. 【請求項7】 末梢組織の細胞が、皮膚細胞又は粘膜細
    胞である請求項4又は5に記載の医薬組成物。
  8. 【請求項8】 医薬組成物が、皮膚局所外用投与又は粘
    膜局所外用投与のためのものであり、有効成分の含有量
    が組成物全体の0.0000001重量%以上である請
    求項4〜7のいずれかに記載の医薬組成物。
  9. 【請求項9】 L−セリン若しくはグリシン又はそれら
    の前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物もしくはそれらの
    塩の1種又は2種以上を、組成物中の0.000000
    1重量%以上含有してなる皮膚用又は粘膜用の外用組成
    物。
  10. 【請求項10】 皮膚外用組成物が、化粧品組成物であ
    る請求項9に記載の皮膚用又は粘膜用の外用組成物。
  11. 【請求項11】 皮膚外用組成物が、ケミカルピーリン
    グ又はフィジカルピーリングのためのものである請求項
    9に記載の皮膚用又は粘膜用の外用組成物。
  12. 【請求項12】 皮膚外用組成物が、発毛育毛用組成物
    である請求項9に記載の皮膚用又は粘膜用の外用組成
    物。
  13. 【請求項13】 皮膚用又は粘膜用の外用組成物が、皮
    膚細胞もしくは粘膜細胞の保護又は皮膚もしくは粘膜の
    老化症状の予防、処置又は改善のためのものである請求
    項9〜12のいずれかに記載の皮膚用又は粘膜用の外用
    組成物。
  14. 【請求項14】 皮膚もしくは粘膜の老化症状が、皮膚
    の萎縮、易感染性、たるみ、ふけ、脱毛、かゆみ、かさ
    つき、白髪、亀裂、皮脂欠乏、角質細胞剥離、角層剥
    離、ひびわれ、あかぎれ、しみ、しわ、そばかす、日焼
    け、色素沈着もしくは乾燥又は粘膜の萎縮、剥離、上皮
    剥離、ひびわれもしくは乾燥である請求項13に記載の
    皮膚用又は粘膜用の外用組成物。
  15. 【請求項15】 L−セリン若しくはグリシン又はそれ
    らの前駆体、又はそれらの脂肪酸化合物もしくはそれら
    の塩の1種又は2種以上を含有してなる、植物又は動物
    の組織又は細胞の新生、再生、成長、再構築、分化、保
    存、発根、発芽、育成又は栽培を促進するための成長調
    整用組成物。
  16. 【請求項16】 成長調整用組成物が、植物組織又は細
    胞の新生、再生、成長、再構築、分化、保存、発根、発
    芽、育成又は栽培を促進するための植物成長調整用組成
    物である請求項15に記載の成長調整用組成物。
  17. 【請求項17】 植物成長調整用組成物が、肥料組成物
    である請求項16に記載の植物成長調整用組成物。
  18. 【請求項18】 成長調整用組成物が、海産物、海産資
    源、水産物、水産資源、海産動物、水産動物、ペット又
    は家畜の育成、保護又は養殖のための動物成長調整用組
    成物である請求項15に記載の成長調整用組成物。
  19. 【請求項19】 動物成長調整用組成物が、飼料組成物
    である請求項18に記載の成長調整用組成物。
  20. 【請求項20】 被検物質を培養細胞に投与してBcl
    −2蛋白群の発現調節作用を測定することからなる、生
    体組織の再生、新生、発根、発芽、成長、分化又は再構
    築を促進するための物質を探索する方法。
  21. 【請求項21】 請求項20に記載された方法により、
    培養細胞への投与によりBcl−2蛋白群の発現調節作
    用を示した化合物又はそれらの塩を含有してなる、生体
    組織の再生、新生、成長、分化、又は再構築を促進する
    ための医薬組成物。
  22. 【請求項22】 請求項20に記載された方法により、
    培養細胞への投与によりBcl−2蛋白群の発現調節作
    用を示した化合物又はそれらの塩を含有してなる、生体
    組織の再生、新生、成長、分化又は再構築を促進するた
    めの皮膚用又は粘膜用の外用組成物。
  23. 【請求項23】 請求項20に記載された方法により、
    培養細胞への投与によりBcl−2蛋白群の発現調節作
    用を示した化合物又はそれらの塩を含有してなる、生体
    組織の再生、新生、発根、発芽、成長、分化又は再構築
    を促進するための成長調整用組成物。
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