JP2002052996A - 移動体用緩衝装置 - Google Patents

移動体用緩衝装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 緩衝装置の基体に設けた陥没穴の底板により
衝撃エネルギーの吸収量の増加を図り、乗員や積載物の
保護を確実に図れる移動体用緩衝装置を提供することに
ある。 【解決手段】 外部衝撃が入力する頂端aよりトラック
(被衝撃体)1に連結される取付け端bまで連続する側
壁面11を周方向に複数コーナー部12を介して順次配
設してなる中空多面柱状の基体7と、側壁面11に同面
の長手方向に沿って順次形成される陥没穴13と、同陥
没穴13の側壁面長手方向と直交する方向の両端部にそ
れぞれ形成される貫通穴14とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動体の衝突時
に、被衝撃体である移動体に加わる衝突エネルギーを吸
収し、移動体及び対向物体が受ける衝撃を低減させるこ
とのできる移動体用緩衝装置に関する。
【0002】
【従来の技術】移動体、例えば、トラックは走行時に障
害物と衝突したり他車両より側突を受けることがあり、
このような場合における乗員や積載物の保護、あるいは
対向車両の保護を図るため、車両の外周壁構成部材の支
持には緩衝装置を使用する場合がある。例えば、車両の
バンパーや側方からの物体の巻き込み防止用のサイドガ
イドバーは車両の基部を成すサイドフレームやクロスメ
ンバに緩衝装置を介して取り付けられ、これらバンパー
やサイドガイドバーを介して入力した衝撃力で緩衝装置
自体が塑性変形を伴う崩壊をすることで衝撃エネルギー
を吸収し、衝撃低減を図るようにしている。
【0003】例えば、実公平2−49402号公報に開
示される緩衝装置は、中空多面柱状の基体の各側壁面に
複数の貫通穴を基体長手方向に沿って順次形成し、互い
に隣あう各側壁面間に位置するコーナー部にも基体長手
方向に沿って切欠き穴を順次形成している。これら貫通
穴や切欠き穴は完全に開口され、連続的座屈変形による
衝撃吸収を可能として衝撃エネルギーの吸収を図るとい
う機能を確実に発揮できる。しかも、頂端側の切欠き穴
を取付け端側より大きくして比較的早期に座屈変形を生
じさせ、図5の概略的な崩壊長さ−衝突荷重特性線に示
すように、衝突時の最大加減速度である初期ピーク加重
Pmax’を破線で示すように効果的に低減させ、乗員
や積載物の保護を確実に図れるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、緩衝装置の
側壁面やコーナー部に完全に開口した貫通穴や切欠き穴
を形成した場合、貫通穴とコーナー部との間の間隔を比
較的小さくでき、この非穴部分での座屈変形を促進で
き、連続的座屈変形による衝撃エネルギーの吸収機能を
確保できる。しかし、貫通穴とコーナー部との間の非穴
部分での座屈が生じた後、貫通穴や切欠き穴は全く変形
抵抗を生じさせない。このため、基体の複数の側壁面回
りの各貫通孔とコーナー部との間の非穴部分での座屈に
おける衝撃エネルギーの吸収量は非穴部分の座屈特性の
みで決定され、比較的小さいこととなり、衝撃エネルギ
ーの吸収量増加を図ることが望まれていた。
【0005】本発明は、上述の課題に基づき、緩衝装置
の基体に設けた陥没穴の底板により衝撃エネルギーの吸
収量の増加を図り、乗員や積載物の保護を確実に図れる
移動体用緩衝装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、請求項1の発明は、外部衝撃が入力する頂端より
被衝撃体に連結される取付け端まで連続する側壁面を周
方向に複数コーナー部を介して順次配設してなる中空多
面柱状の基体と、上記側壁面に同面の長手方向に沿って
順次形成される陥没穴と、同各陥没穴の上記側壁面長手
方向と直交する方向の両端部にそれぞれ形成される貫通
穴とを具備したことを特徴とする。基体の側壁面に同面
の長手方向に沿って陥没穴を順次形成し、各陥没穴の側
壁面長手方向と直交する方向の両端部にそれぞれ貫通穴
を形成したことより、各陥没穴の両端の貫通穴と対向す
る各コーナー部との間の非穴部分が比較的小さくなり同
非穴部分に応力集中が生じ座屈変形が発生し易くなり、
しかも、座屈変形後において陥没穴の底板が屈曲して変
形抵抗を増すように機能する。このため、貫通穴とコー
ナー部との間の非穴部分での座屈変形を促進でき初期ピ
ーク加重を比較的小さく抑えられる上に、特に、陥没穴
の底板が変形抵抗を増すことで衝撃エネルギーの吸収量
の増加を図れ、乗員や積載物の保護を確実に図れ、しか
も、陥没穴のプレス陥没加工は打ち抜きに比べて工数低
減が容易と成り、低コスト化を図れる。
【0007】請求項2の発明は、請求項1記載の移動体
用緩衝装置において、上記コーナー部に上記頂端より上
記取付け端に向かって漸次小さくなる切欠き部を順次形
成したことを特徴とする。この場合、基体の頂端側の剛
性を取付け端側より確実に小さくでき、このため、比較
的剛性の低い頂端側で座屈変形を開始させ、初期ピーク
加重をより確実に小さく抑えた上で、順次比較的剛性の
高い取付け端側に座屈変形を生じるようにでき、連続的
座屈変形による衝撃エネルギーの吸収量の確保を図れ、
乗員や積載物の保護を確実に図れる。好ましくは上記切
欠き部はコーナー側陥没穴として形成されても良い。こ
の場合、コーナー側陥没穴の底板が変形抵抗を増すこと
で衝撃エネルギーの吸収量の増加をより図れる。
【0008】
【発明の実施の形態】図1、図2には本発明の一実施形
態としての移動体用緩衝装置を示し、同移動体用緩衝装
置は移動体としてのトラック1に装着される。トラック
1はその基体を成す前後に長い一対のサイドフレーム2
を備え、その先端部にクロスメンバ3を一体結合し、ク
ロスメンバ3の左右2位置において左右一対の緩衝装置
4を介しバンパー5を取付けている。しかも、一対のサ
イドフレーム2の左右側面には複数の緩衝装置4’を介
して車体側方からの物体の巻き込みを防止するためのサ
イドガイドバー9を取り付けている。なお、サイドガイ
ドバー9の取付け用の複数の緩衝装置4’は、バンパー
5の取付け用の緩衝装置4と比較し、その全長が相違す
る以外は同一構成を成すことより、ここでは主に、バン
パー取付け用の緩衝装置4を説明する。
【0009】バンパー5は車幅方向Yに向け延びる湾曲
バー状部材を本体501とし、その本体501の裏面に
連結ブラケット502を一体結合し、その連結ブラケッ
ト502の後部を嵌着し(図3参照)相互に加硫接着さ
れる弾性枠体6とを備える。弾性枠体6は左右一対の肉
厚部601と、これら肉厚部601を互いに結合する中
央連結部602を有し、これらは一体成形されている。
左右一対の緩衝装置4は同一構成を採り、それぞれの先
端が肉厚部601に、根本側である取付け端がクロスメ
ンバ3に連結される。
【0010】図1、図3に示すように、緩衝装置4は全
体としては車体前方に延びる中空角錘柱状の基体7とそ
の頂端aに溶接される4角板状の頂部プレート8と、取
付け端bに溶接される取付け枠20とを有する。基体7
は所定厚の鋼板をプレス加工により角錘柱状に成形し、
図示しない突合せ端を互いに溶接たもので、頂端aより
取付け端bまで連続する縦長の4つの側壁面11と、互
いに隣合う各側壁面11間に位置する4つのコーナー部
12とを備える。図4(a)に示すように,頂部プレー
ト8は鋼板を4角板状にプレス成形したもので、その4
角にボルト穴h0を形成され、この穴に嵌挿された図示
しないボルトによって肉厚部601内の図示しない芯金
に螺着される。
【0011】基体7の周方向に配備された4つの側壁面
11には各面の長手方向(図3では左右方向)に延びる
側壁面中心線L1に沿って所定ピッチpで陥没穴13が
順次形成される。しかも、各陥没穴13の側壁面長手方
向と直交する方向(図3で上下方向)の両端部に貫通穴
14がそれぞれ形成される。なお、ここでの陥没穴13
はプレス加工により、その両端の貫通穴14は陥没穴プ
レスに先立つドリル加工により成形される。
【0012】図3、図6(a)に示すように,各陥没穴
13は各側壁面11の両側に位置する両コーナー部12
に向けて長い、平面視で菱形に形成され、ほぼ菱形の底
板131を有する。陥没穴13の穴長手方向(図6
(a)では上下方向)両端の貫通穴14と各コーナー部
12との間の非穴部分eの距離、すなわち側壁面中心線
L1と直交方向での間隔B1は比較的小さくなり、これ
と隣あう側壁面11の陥没穴13の両端の貫通穴14と
コーナー部12との間隔B1も同様に小さくなる。
【0013】このように側壁面中心線L1と直交方向に
長い陥没穴13及びその両端の貫通穴14を4つの各側
壁面11の長手方向である側壁面中心線L1の方向の同
位置にすべて形成した。これにより、衝撃荷重Fが基体
長手方向に加わる際に、基体7の周方向に配列される各
貫通穴14とコーナー部12との間の非穴部分e及び底
板131に応力が集中し、これら応力集中部で座屈変形
が生じ易く成るようにしている。
【0014】更に、基体7の4つのコーナー部12に
は、各陥没穴13間の側壁面中心線L1方向のピッチp
を1/2ずらせた、隣合う陥没穴13との中間位置に、
屈曲した開口を有する切欠き穴15を形成している。し
かも、切欠き穴15は頂端aより取付け端b側に向かっ
て漸次小さくなるように形成され、ここでは4つの大き
さの異なる切欠き穴15が各コーナー部12に順次形成
される。頂端aに最も近い切欠き穴15は頂端aに対し
て所定幅iを保って形成される。このため、基体7の頂
端aより所定幅iのネック部nからは、切欠き穴15や
貫通穴14が排除され、同部の剛性強化を図っている。
【0015】一方、取付け端bと対向する根本近くの陥
没穴13は取付け端bに対しピッチpより大きな根本間
隔paを保って形成されている。すなわち、取付け端b
側の4つの側壁面11には頂端aの方向に向かい根本間
隔paの領域において陥没穴13及びその両端の貫通穴
14を排除して剛性強化部Aを形成している。しかも、
剛性強化部Aの取付け端b側の部位には取付け枠20が
取付けられる。図3,図4(b)に示すように、取付け
枠20はL型縦断面のアングル材を4つ矩形枠状に組み
合わせ、互いの突合せ端を相互に溶着して形成される。
剛性強化部Aと対向する取付け枠20の溶接片部w1は
2つの長穴h1を形成され、同長穴h1の位置でも側壁
面11に溶接される。更に、取付け枠20の溶接片部w
1より延出する取付け片部w2はクロスメンバ3(図3
参照)に重ねられ、複数形成されたボルト穴h2(図4
(b)参照)に挿通される図示しないボルトでクロスメ
ンバ3に締結される。
【0016】このようなバンパー取付け用の緩衝装置4
は、車両の走行時に、路面反力を受けて振動し、特に、
先端側の頂部プレート8に締結された重量が比較的大き
なバンパー5は上下振動を受けて大きく変位し、バンパ
ー5を支持する基体7のネック部nには曲げ応力が集中
して加わり、同時に根本である剛性強化部Aにも大きな
曲げ応力が集中して加わる。この場合、ネック部nや剛
性強化部Aより切欠き穴15、陥没穴13、貫通穴14
を形成しないため、同部の剛性強化が十分に図られてお
り、長期にわたり基体7のネック部nの剛性を十分に確
保できる。このようなバンパー取付け用の緩衝装置4を
装備するトラックが障害物と衝突し、バンパー5が衝撃
荷重Fを受けると、その衝撃は緩衝装置4の基部7の長
手方向に加わるが、その際、剛性強化部Aが十分に剛性
強化されていることより、この部位での屈曲変位は生じ
ない。
【0017】この際、コーナー部12の切欠き穴15の
内、頂端a近傍のものを最も大きな開口とし、頂端a近
傍の切欠き穴15、陥没穴13及びその両端の貫通穴1
4の近傍での剛性が比較的低減され、同部での早期の座
屈変形が発生する。すなわち、最も剛性の小さな頂部a
側の4つの各側壁面11の周方向に配列される陥没穴1
3の両端の貫通穴14とコーナー部12やそのコーナー
部上の切欠き穴15との間の非穴部分e及び底板131
に応力が集中し、これら応力集中部で比較的早期に座屈
変形が生じる。
【0018】この結果,衝突時の最大加減速度である初
期ピーク加重Pmaxを比較的低く抑えることができ
る。しかも、この座屈変形では底板131が図6(b)
に2点鎖線で示すように、座屈変形し、同部による変形
抵抗が衝撃エネルギーの吸収量を向上させる。ここで、
図5に破線で示す従来の底板のない貫通穴のみの緩衝装
置(底板部を開口させた点以外は図1の緩衝装置と同
一)の場合(初期ピーク加重Pmax’)に対し、実線
で示す底板131を有する陥没穴13を有する図1の緩
衝装置4では、同一崩壊長さ当たりの衝突荷重Pの吸収
量が明らかに大きくなっている。
【0019】このように、衝突時の最大減速度を効果的
に低減させ、乗員や積載物の保護を確実に図れる上で、
特に、同一崩壊長さ当たりの衝突荷重Pの吸収量が明ら
かに大きく成り、トラックの乗員や積載物の保護及び対
向物体の保護を確実に図れる。しかも、基体7の陥没穴
13のプレス陥没加工は打ち抜きに比べて工数低減が容
易と成り、低コスト化を図れる。
【0020】図1の緩衝装置4のコーナー部12には、
頂端aより取付け端b側に向かって漸次小さくなり、屈
曲開口を有する切欠き穴15を形成していたが、場合に
より、図7に示す緩衝装置4’のように、その基体7’
のコーナー部12’に有底のコーナー側陥没穴15’を
形成してもよい。このコーナー側陥没穴15’は切欠球
体の内周壁を成す湾曲底板151を有する。この場合、
衝撃荷重Fを受け基体の頂端側の貫通穴14とコーナー
部12やそのコーナー部上の切欠き穴15’との間の非
穴部分や底板131と共に、湾曲底板151でも座屈変
形が生じ、同湾曲底板151による変形抵抗が衝撃エネ
ルギーの吸収量をより向上させ、同一崩壊長さ当たりの
荷重吸収量Pがより大きくなり、しかも、プレス陥没加
工を用いるので、低コスト化をより図れる。
【0021】上述のところにおいて、バンパー取付け用
の緩衝装置4を説明したが、サイドガイドバー9の取付
け用の緩衝装置4’もサイドガイドバー9からの衝撃を
受けた際に同様の作用効果を発揮できる。更に、移動体
としてトラックを説明したがその他のバスやトラクタ等
の各種車両及びその他移動体の緩衝装置にも同様に本発
明を適用でき、各移動体の外壁構成部材が受けた衝撃を
本発明の適用された緩衝装置によって受けることで同様
の作用効果を得ることができる。
【0022】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明は、貫通
穴とコーナー部との間の非穴部分での座屈変形を促進で
き初期ピーク加重を比較的小さく抑えられる上に、特
に、陥没穴の底板が変形抵抗を増すことで衝撃エネルギ
ーの吸収量の増加を図れ、乗員や積載物の保護を確実に
図れ、しかも、陥没穴のプレス陥没加工は打ち抜きに比
べて工数低減が容易と成り、低コスト化を図れる。
【0023】請求項2の発明は、特に、基体の頂端側の
剛性を取付け端側より確実に小さくできるため、比較的
剛性の低い頂端側で座屈変形を開始させ、初期ピーク加
重をより確実に小さく抑えた上で、順次比較的剛性の高
い取付け端側に座屈変形を生じるようにでき、連続的座
屈変形による衝撃エネルギーの吸収量の確保を図れ、乗
員や積載物の保護を確実に図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態として移動体用緩衝装置を
取り付けたトラックの概略切欠平面図である。
【図2】図1のトラックの全体概略平面図である。
【図3】図1の移動体用緩衝装置が用いる緩衝装置の側
面図である。
【図4】図3の緩衝装置の部分図であり、(a)は頂部
プレートの平面図を、(b)は取付け枠の底面図を示
す。
【図5】図1の緩衝装置の衝突荷重−崩壊長さ特性線図
である。
【図6】図1の緩衝装置の陥没穴及び貫通穴を示し、
(a)は陥没穴及び貫通穴の拡大平面図を、(b)は同
部分の拡大部分断面図を示す。
【図7】図1の緩衝装置に採用されている切欠き穴の変
形例の部分切欠側面図である。
【符号の説明】
1 トラック 2 サイドフレーム 3 クロスメンバ 4 緩衝装置 5 バンパー 7 基体 11 側壁面 12 コーナー部 13 陥没穴 14 貫通穴 a 頂端 b 取付け端
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林田 興明 東京都大田区下丸子四丁目21番1号・三菱 自動車エンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 3J066 AA02 AA23 BA03 BB01 BF02 BG05

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外部衝撃が入力する頂端より被衝撃体に連
    結される取付け端まで連続する側壁面を周方向に複数コ
    ーナー部を介して順次配設してなる中空多面柱状の基体
    と、上記側壁面に同面の長手方向に沿って順次形成され
    る陥没穴と、同各陥没穴の上記側壁面長手方向と直交す
    る方向の両端部にそれぞれ形成される貫通穴とを具備し
    たことを特徴とする移動体用緩衝装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の移動体用緩衝装置におい
    て、 上記コーナー部に上記頂端より上記取付け端に向かって
    漸次小さくなる切欠き部を順次形成したことを特徴とす
    る移動体用緩衝装置。
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