JP2004114814A - 車体前部構造 - Google Patents

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柴 健
Kimihiro Hayashi
林 公博
Hart Simon
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Honda Motor Co Ltd
Japan Research Institute Ltd
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

【解決手段】サブフレーム14を車体前後方向に延ばすとともにサブフレーム14の後部にほぼS字状の屈曲部52,52を設け、これらの屈曲部52,52の後端部を車体側としてのアウトリガ12,13に取付けるとともに、屈曲部52,52の後方に且つアウトリガ12,13に、これらの屈曲部52,52が後方に移動したときに屈曲部52,52を受け止めるキャッチャ部材23,24を設けた。
【効果】車体の前部が衝突して、衝撃荷重がフロントサイドフレーム及びサブフレームに伝わったときに、サブフレームから屈曲部を介してキャッチャ部材、そして車体側のフロアフレーム、フロアパネルにその荷重を伝達することができ、衝突エネルギーをフロントサイドフレーム及びサブフレームの両方で吸収しつつ車体側へ分散させることができる。
【選択図】    図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、ミッドシップ車において、車両衝突時に衝突エネルギーをサイドフレームとサブフレームとの両方で効率良く吸収して車体側へ分散する車体前部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の車体前部構造として、サブフレームを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−264847号(第3−4頁、図1)
【0004】
特許文献1の図1を以下の図8で説明する。なお、符号は振り直した。
図8は従来の車体前部構造を示す平面図であり、車体の前部に、クロスメンバ本体201と、このクロスメンバ本体201を車体側(例えば左右のフロントフレーム202,202及びこれらのフロントフレーム202,202の後部にそれぞれ連結した連結フレーム203)に取付けるための取付けブラケット204,204及び取付けアーム部材205,205とからなるサブフレームとしての車両用クロスメンバが記載されている。
クロスメンバ本体201は、前輪用サスペンションを構成するロアアーム207,207及び図示せぬエンジンを支持する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した車両用クロスメンバは、前輪用サスペンション及びエンジンを支持するために、その剛性を高めているので、例えば、車両が前面衝突した際に、フロントフレーム202,202で受けた衝撃荷重が上記のクロスメンバに伝われば、衝撃荷重を上記のクロスメンバとフロントフレーム202,202とで吸収しつつ車体側へ分散することが可能になる。
【0006】
しかし、例えば、車体の前部にエンジンを搭載しないミッドシップ車では、クロスメンバに前輪用サスペンションやステアリングギヤボックス等を取付けるだけでよく、クロスメンバの剛性は小さくなる。従って、車両の衝突時の衝撃を剛性の小さいクロスメンバで吸収するのは難しく、ミッドシップ車のフロントフレームだけで衝突時の衝撃の大部分を吸収することになり、負担が大きくなる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、特に、ミッドシップ車において車体前部構造を改良することで、車両衝突時に衝突エネルギーをサイドフレームとサブフレームとの両方で効率良く吸収して車体側へ分散させることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、車体前部の左右にフロントサイドフレームを設け、このフロントサイドフレームに、サスペンションを支持するサブフレームを取付けた車体前部構造において、サブフレームを車体前後方向に延ばすとともにサブフレームの後部にほぼS字状の屈曲部を設け、この屈曲部の後端部を車体側に取付けるとともに、屈曲部の後方に且つ車体側に、この屈曲部が後方へ移動したときに屈曲部を受け止めるキャッチャ部材を設けたことを特徴とする。
【0009】
サブフレームのS字状の屈曲部の後方にキャッチャ部材を設けることで、車体の前部が衝突して、衝撃荷重がフロントサイドフレーム及びサブフレームに伝わったときに、サブフレームから屈曲部を介してキャッチャ部材、そして車体側のフロアフレームにその荷重を伝達することができ、衝突エネルギーをフロントサイドフレーム及びサブフレームの両方で吸収しつつ車体側へ分散させることができる。
【0010】
請求項2は、車体前方からの衝撃荷重を緩衝しつつサブフレームに伝えるボックス状部材をサブフレームの前部若しくは前方に設けたことを特徴とする。
車体前方からの衝撃荷重を衝突初期の段階で迅速にボックス状部材からサブフレームへ伝えて車体側へ分散させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る車体前部構造を示す第1斜視図(車体前部の下部を見上げた図で、矢印(front)は車体前方を表す。)であり、車両10のフロアパネル11の前端部に左右一対のアウトリガ(Outrigger:張出し部)12,13を取付け、これらのアウトリガ12,13にサブフレーム14の後端を取付け、このサブフレーム14の側部に、フロントサスペンションを構成するA字形のロアアーム16,17及びステアリングギヤボックス18を取付け、フロアパネル11を支持するフロアフレーム21,22の前端部に前述のアウトリガ12,13をそれぞれ被せ、これらのアウトリガ12,13に、車両衝突時の衝撃でサブフレーム14が後退したときにサブフレーム14を受け止めるキャッチャ部材23,24をそれぞれ取付けたことを示す。なお、25は右前輪である。
【0012】
図2は本発明に係る車体前部構造を示す第2斜視図(車体前部の下部を見上げた図)であり、図1に示したフロントサブフレーム14を外して、サブフレーム14の後端部を取付けるためにアウトリガ12,13(アウトリガ12は不図示)においてボックスに近い形状に窪ませた取付凹部31を示す。
【0013】
アウトリガ12,13は、詳しくは、フロアパネル11とこのフロアパネル11の前端部に取りつけたダッシュボードロアパネル33との結合部に下方から被せるとともに、左右のフロントサイドフレーム35,36(フロントサイドフレーム35は不図示)の各後端をダッシュボードロアパネル33に連結するパネル部材である。
【0014】
キャッチャ部材23,24(キャッチャ部材23は不図示)は、フロントサイドフレーム35,36とフロアフレーム21,22(フロアフレーム21は不図示)との連結部に下方から被せたアウトリガ12,13に取りつけたものである。なお、41はロアアーム17の先端に取付けたナックル、42はナックル41に下端側を取付けるとともに上端側を車体に取付けたフロントダンパである。
【0015】
図3は本発明に係る車体前部構造を示す底面図であり、ダッシュボードロアパネル33(図2参照)から車体前方に左右のフロントサイドフレーム35,36を延ばし、これらのフロントサイドフレーム35,36にクロスメンバ44を介してサブフレーム14の前部を取付け、このサブフレーム14の後端部をアウトリガ12,13に取付け、サブフレーム14の後端部の内側にキャッチャ部材23,24を配置した状態を示す。なお、45…(…は複数個を表す。以下同じ。)はサブフレーム14をクロスメンバ44及びアウトリガ12,13に取付けるための取付ボルト、46はバンパビームである。
【0016】
サブフレーム14は、車体前後方向に延ばしたストレート部51及びこのストレート部51の後部に連結したS字状の屈曲部52からなるパイプ状部材53、54を左右に配置してこれらのパイプ状部材53,54をビーム56で一体に連結したものであり、各ストレート部51にロアアーム16,17を上下スイング可能に取付ける。
【0017】
図4は図3の4−4線断面図であり、サブフレーム14の後方にキャッチャ部材23,24(キャッチャ部材24は不図示)を配置し、また、サブフレーム14の前部に一体的にエネルギー吸収部材であるボックス状部材60を設けたことを示す。
【0018】
キャッチャ部材23は、水平部63と、この水平部63の前端から上方斜め後方に延ばした傾斜部64と、この傾斜部64の先端に設けたフランジ部65とからなるほぼV字断面の部材であり、水平部63の後端とフランジ部65とをアウトリガ12に取付ける。キャッチャ部材24もキャッチャ部材23と同一形状のものである。
【0019】
ボックス状部材60は、車体前部に設けたトランクルーム(後で詳述する。)の隅部に形成した箱形の部材であり、トランクルームの壁67,68と、これらの壁67,68の間に取付けたボックス形成プレート71及びトランクルームの底板72はボックス状部材60の一部を構成する。ボックス状部材60と一対になる右側のボックス状部材61(図3参照)もボックス状部材60と同一形状の部材である。なお、35はフロントサイドフレームであり、サブフレーム14よりも上方に配置するとともにダッシュボードロアパネル33(図2参照)側から車体前方へほぼ直線状に延ばした部材である。フロントサイドフレーム36もフロントサイドフレーム35と同様である。
【0020】
図5は図3の5−5線断面図(図中の矢印(left)は車体左方、矢印(right)は車体右方を表す。)であり、アウトリガ12にサブフレーム14のパイプ状部材53の後端をボルト45及びナット75で取付け、このパイプ状部材53に隣接させて同じくアウトリガ12にキャッチャ部材23を取付け、また、アウトリガ13にサブフレーム14のパイプ状部材54の後端をボルト45及びナット75で取付け、このパイプ状部材54に隣接させて同じくアウトリガ13にキャッチャ部材24を取付けた状態を示す。
キャッチャ部材23,24は、それぞれ側壁77,77を備える。
【0021】
図6は本発明に係るサブフレーム及び車両のトランクルームを示す斜視図であり、サブフレーム14の前方の空間に、ミッドシップ車用の物入れとするトランクルーム80を配置し、このトランクルーム80の前部左右の隅部に前述のボックス状部材60,61を形成したことを示す。
トランクルーム80は、前壁67、前部側壁81,82、前部後壁83,68、後部側壁84,86、後壁87及び底板72からなる。
【0022】
上記したボックス状部材60は、前部前壁81と底板72とに断面がほぼL字状でフランジ91,92を設けたボックス形成プレート93を取付けることにより、このボックス形成プレート93、前壁67、前部側壁81、前部後壁83及び底板72で構成するものである。
【0023】
上記したボックス状部材61は、前部側壁82と底板72とに断面がほぼL字状でフランジ94,96を設けたボックス形成プレート71を取付けることにより、このボックス形成プレート71、前壁67、前部側壁82、前部後壁68及び底板72で構成するものである。
【0024】
ここで、101,101はロアアーム16,17(図3参照)の後部を取付けるためにサブフレーム14に設けたアーム取付部、102,102はロアアーム16,17のサブフレーム14への取付部の上方を覆うためにストレート部51,51の前端から側方に延ばしたカバー部材である。
【0025】
以上に述べた車体前部構造の作用を次に説明する。
図7(a),(b)は本発明に係る車体前部構造の作用を説明する作用図である。
(a)において、車両10に、白抜き矢印に示すように、前方から例えば、他の車両110が衝突すると、衝突直後には衝撃荷重が図中の矢印のように伝わる。即ち、衝撃荷重は、まず、矢印a,aのように、バンパビーム46からフロントサイドフレーム35,36に伝わり、更に、矢印c,cのように、フロントサイドフレーム35,36からクロスメンバ44を介してサブフレーム14に伝わり、矢印d,dのように、サブフレーム14から車体側であるフロアパネル側に伝わる。一方、衝撃荷重は、フロントサイドフレーム35,36から直接にフロアフレーム側に伝わる。
【0026】
この結果、まず、フロントサイドフレーム35,36のみが潰れ、これらのフロントサイドフレーム35,36の前端がボックス状部材60,61の前端に揃った後は、ボックス状部材60,61にも衝撃荷重が伝わるため、フロントサイドフレーム35,36及びボックス状部材60,61の双方が、(b)に示すように、矢印f,fのように、蛇腹状に潰れて衝突エネルギーを吸収しつつ、ボックス状部材60,61側ではその衝撃荷重をサブフレーム14に伝え、矢印g,gのように、サブフレーム14のストレート部51,51が後方へ移動することによって屈曲部52,52に曲げ変形が生じて、矢印h,hのように、ストレート部51,51の後部が内側に移動するとともに、矢印j,jのように屈曲部52,52がキャッチャ部材23,24に当たり、キャッチャ部材23,24を後方へ押すことで、キャッチャ部材23,24から衝突エネルギーがフロアフレーム側へ分散する。
また、フロントサイドフレーム35,36側でも、車体前後方向に潰れて衝突エネルギーを吸収しつつフロアフレーム側へ分散させる。
【0027】
このように、ボックス状部材60,61は、フロントサイドフレーム35,36の前端近傍に取付けたものであるから、衝突の初期の段階で、ボックス状部材60,61からサブフレーム14に衝撃荷重を伝えることができる。
【0028】
以上の図3及び図7で説明したように、本発明は第1に、車体前部の左右にフロントサイドフレーム35,36を設け、このフロントサイドフレーム35,36に、フロントサスペンションを構成するロアアーム16,17を支持するサブフレーム14を取付けた車体前部構造において、サブフレーム14を車体前後方向に延ばすとともにサブフレーム14の後部にほぼS字状の屈曲部52,52を設け、これらの屈曲部52,52の後端部を車体側としてのアウトリガ12,13に取付けるとともに、屈曲部52,52の後方に且つアウトリガ12,13に、これらの屈曲部52,52が後方へ移動したときに屈曲部52,52を受け止めるキャッチャ部材23,24を設けたことを特徴とする。
【0029】
サブフレーム14のS字状の屈曲部52,52の後方にキャッチャ部材23,24を設けることで、車体の前部が衝突して、衝撃荷重がフロントサイドフレーム35,36及びサブフレーム14に伝わったときに、サブフレーム14から屈曲部52,52を介してキャッチャ部材23,24、そして車体側のフロアフレーム21,22、フロアパネル11にその荷重を伝達することができ、衝突エネルギーをフロントサイドフレーム35,36及びサブフレーム14の両方で吸収しつつ車体側へ分散させることができる。従って、フロントサイドフレーム35,36の負担を軽減することができ、効率良く衝突エネルギーを吸収することができる。
【0030】
本発明は第2に、車体前方からの衝撃荷重を緩衝しつつサブフレーム14に伝えるボックス状部材60,61を、▲1▼サブフレーム14の前部に設ける、即ちボックス状部材60,61をサブフレーム14の前端に一体的に取付ける、若しくは、▲2▼サブフレーム14の前方に設ける、即ちボックス状部材60,61をサブフレーム14の前端から前方に離して設けることを特徴とする。
【0031】
上記▲1▼は、ボックス状部材60,61から直接にサブフレーム14に衝撃荷重を伝える。上記▲2▼は、車両衝突時に、ボックス状部材60,61が後方へ移動してサブフレーム14に当たった後にサブフレーム14に衝撃荷重を伝える。
【0032】
上記構成により、車体前方からの衝撃荷重を衝突初期の段階で迅速にボックス状部材60,61からサブフレーム14へ伝えて車体側へ分散させることができる。
【0033】
尚、本発明では、サブフレームの後部にほぼS字状の屈曲部を設けたが、これに限らず、屈曲部を複数の直線部分から構成してもよい。
【0034】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1の車体前部構造は、サブフレームを車体前後方向に延ばすとともにサブフレームの後部にほぼS字状の屈曲部を設け、この屈曲部の後端部を車体側に取付けるとともに、屈曲部の後方に且つ車体側に、この屈曲部が後方へ移動したときに屈曲部を受け止めるキャッチャ部材を設けたので、サブフレームのS字状の屈曲部の後方にキャッチャ部材を設けることで、車体の前部が衝突して、衝撃荷重がフロントサイドフレーム及びサブフレームに伝わったときに、サブフレームから屈曲部を介してキャッチャ部材、そして車体側のフロアフレームにその荷重を伝達することができ、衝突エネルギーをフロントサイドフレーム及びサブフレームの両方で吸収しつつ車体側へ分散させることができる。
【0035】
請求項2の車体前部構造は、車体前方からの衝撃荷重を緩衝しつつサブフレームに伝えるボックス状部材をサブフレームの前部若しくは前方に設けたので、車体前方からの衝撃荷重を衝突初期の段階で迅速にボックス状部材からサブフレームへ伝えて車体側へ分散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車体前部構造を示す第1斜視図
【図2】本発明に係る車体前部構造を示す第2斜視図
【図3】本発明に係る車体前部構造を示す底面図
【図4】図3の4−4線断面図
【図5】図3の5−5線断面図
【図6】本発明に係るサブフレーム及び車両のトランクルームを示す斜視図
【図7】本発明に係る車体前部構造の作用を説明する作用図
【図8】従来の車体前部構造を示す平面図
【符号の説明】
10…車両、11…車体側(フロアパネル)、12,13…車体側(アウトリガ)、14…サブフレーム、21,22…車体側(フロアフレーム)、23,24…キャッチャ部材、35,36…フロントサイドフレーム、52…サブフレームの屈曲部、60,61…ボックス状部材。

Claims (2)

  1. 車体前部の左右にフロントサイドフレームを設け、このフロントサイドフレームに、サスペンションを支持するサブフレームを取付けた車体前部構造において、
    前記サブフレームを車体前後方向に延ばすとともにサブフレームの後部にほぼS字状の屈曲部を設け、この屈曲部の後端部を車体側に取付けるとともに、前記屈曲部の後方に且つ車体側に、この屈曲部が後方へ移動したときに前記屈曲部を受け止めるキャッチャ部材を設けたことを特徴とする車体前部構造。
  2. 車体前方からの衝撃荷重を緩衝しつつ前記サブフレームに伝えるボックス状部材をサブフレームの前部若しくは前方に設けたことを特徴とする請求項1記載の車体前部構造。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010179897A (ja) * 2009-02-09 2010-08-19 Mazda Motor Corp 車両の前部車体構造
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