JP2002048870A - 放射線検出器およびシンチレータパネル - Google Patents
放射線検出器およびシンチレータパネルInfo
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Abstract
つなぎ目付近における解像度低下やシンチレータのはく
離を予防し得る構成の放射線検出器およびシンチレータ
パネルを提供する。 【解決手段】 基板20上の隅近傍に2次元状に配列さ
れている複数の光電変換素子21からなる受光部22を
有する撮像基板2には、受光部22表面から近傍の側壁
25部分まで連続してシンチレータ3が形成され、この
側壁25部分を突き合わせて大画面化されている。
Description
シンチレータパネルに関し、特に大面積の放射線画像を
撮像するために複数のイメージセンサを並べて構成した
放射線撮像装置に好適に適用可能な放射線検出器および
シンチレータパネルに関する。
ィルムに代えてCCDを用いたX線イメージセンサが普
及してきている。このような放射線イメージングシステ
ムにおいては、複数の画素を有する放射線検出素子を用
いて放射線による2次元画像データを電気信号として取
得し、この信号を処理装置により処理して、モニタ上に
表示している。代表的な放射線検出素子は、1次元ある
いは2次元に配列された光検出器上にシンチレータを配
して、入射する放射線をシンチレータで光に変換して、
検出する仕組みになっている。
ほど製造時の歩留まりが劣化する。その解決策として、
胸部のレントゲン撮影等に用いる大画面の撮像装置を製
作する際には、特開平9-153606号公報に開示されている
ように複数の検出素子を並べて大画面化する技術が知ら
れている。同公報には、実際の撮像画面より小さい受光
画面の素子を組み合わせることで、素子あたりの歩留ま
りの低下を防止し、製作コストを低減すると記載されて
いる。
うに複数の検出素子を並べて大画面化した場合、隣接す
る検出素子との境界部分(つなぎ目部分)からシンチレ
ータがはく離しやすいという問題点がある。これは、つ
なぎ目付近における解像度の低下や、シンチレータの全
面はく離という問題を引き起こすおそれがある。
並べて用いた際に、つなぎ目付近における解像度低下や
シンチレータのはく離を予防し得る構成の放射線検出器
およびシンチレータパネルを提供することを課題とす
る。
め、本発明に係る放射線検出器は、(1)基板と、この基
板上の少なくとも1辺近傍に2次元状に配列されている
複数の光電変換素子からなる受光部とを有する撮像基板
と、(2)この撮像基板の受光部表面から近傍の側壁部分
まで連続して形成されているシンチレータと、を備えて
いることを特徴とする。
は、(1)シンチレータ形成基板と、(2)このシンチレータ
形成基板の少なくとも1辺の側壁部分からこのシンチレ
ータ形成基板の一方の表面の所定の領域まで連続して形
成されているシンチレータと、を備えていることを特徴
とする。
基板)の側壁部分まで連続してシンチレータを形成する
ことで、基板表面に形成されるシンチレータは側壁近傍
までほぼ均一に形成される。すなわち、基板の縁までほ
ぼ均一なシンチレータが形成されることになる。
ンチレータ形成基板をシンチレータが形成されている側
壁同士を隣接配置して固定すると大画面の放射線検出器
あるいは大画面用のシンチレータパネルが得られる。本
発明によれば、縁まで均一に近いシンチレータが形成さ
れているのでつなぎ目部分に生ずる感度の低下した領域
の幅を最小限に抑制することができる。
の少なくとも1辺と受光部との間に光電変換素子に電気
的に接続される回路部及びボンディングパッド部の少な
くとも一方を備えていることが好ましい。このようにす
ると、電気信号の読出ラインの形成が容易となる。
に備えていることが好ましい。これによりシンチレータ
のはがれがさらに効果的に防止される。
の好適な実施の形態について詳細に説明する。説明の理
解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に
対しては可能な限り同一の参照番号を附し、重複する説
明は省略する。また、各図面における寸法、形状は実際
のものとは必ずしも同一ではなく、理解を容易にするた
め誇張している部分がある。
施形態を示す平面図であり、図2はその断面図である。
この実施形態の放射線検出器100は、セラミック製の
基台1上に4枚の撮像基板である固体撮像素子2a〜2
dを2×2枚並べて載置されている。
基板20上に、光電変換を行う光電変換素子21を2次
元上に配列することで構成されている。この光電変換素
子21は、フォトダイオード(PD)やトランジスタか
らなる。これらの光電変換素子21の配列された部分を
以下、受光部22と呼ぶ。そして、基板20表面の一方
の隅によって、その隅側の2辺近傍まで光電変換素子2
1が配置されている。各光電変換素子21は図示してい
ない信号ラインによって固体撮像素子2の隣り合う二
辺、つまり、前述した隅側の2辺とは別の2辺に配置さ
れた電極パッド23のうち対応する電極パッド23とシ
フトレジスタ24を介して電気的に接続されている。
射した放射線を光電変換素子21が感度を有する波長帯
の光に変換する柱状構造のシンチレータ3a〜3dがそ
れぞれ形成されている。シンチレータ3には、各種の材
料を用いることができるが、発光効率が良いTlドープの
CsI等が好ましい。このシンチレータ3は、固体撮像素
子2の受光部上から前述した基板20の隅側の2辺部分
の側壁25まで連続して形成されている。そのため、そ
の側壁25側の最も端に位置する光電変換素子21上に
形成されているシンチレータ3の厚み(位置A)も他の
部分、特に中央部分に位置する光電変換素子21上に形
成されているシンチレータ3の厚み(位置B)とほぼ同
一になっている。
ンチレータ3を覆って各固体撮像素子2の電極パッド2
3とシフトレジスタ24との間から前述の隅側の側壁2
5部分まで広がり、シンチレータ3を密封する保護膜4
が形成されている。この保護膜4は、X線透過性で、水
蒸気を遮断するものであり、例えば、ポリパラキシリレ
ン樹脂(スリーボンド社製、商品名パリレン)、特にポ
リパラクロロキシリレン(同社製、商品名パリレンC)
を用いることが好ましい。パリレンによるコーティング
膜は、水蒸気及びガスの透過が極めて少なく、撥水性、
耐薬品性も高いほか、薄膜でも優れた電気絶縁性を有
し、放射線、可視光線に対して透明であるなど保護膜4
にふさわしい優れた特徴を有している。
部22が隣り合うように、電極パッド23が外側に来る
ようにして上述したシンチレータ3が形成されている側
壁25部分同士を突き合わせて配置されている。このよ
うに配置することで、各固体撮像素子2の受光部22を
できるだけ接近させて配置することができ、それぞれの
受光部間の隙間をできるだけ小さくして画像の得られな
い不感領域を狭くすることができる。それぞれの固体撮
像素子2a〜2dを突き合わせた側壁25部分には樹脂
6が充填されて接着固定されている。
射線検出器の製造工程を具体的に説明する。最初に図3
に示されるような構造の固体撮像素子2を4枚用意す
る。この固体撮像素子2をそれぞれ蒸着基板ホルダー2
00にセットする。図4、図5はセット後の断面図と下
から見た図を示したものである。このとき、固体撮像素
子2は、図4に示されるようにその二辺に沿って設けら
れている電極パッド22部分を蒸着基板ホルダー200
の突出部200aによって支持することにより収容部2
00b内に収容、支持されている。一方、固体撮像素子
2の受光部21に近接している側の基板ホルダー200
の受光部21側には切り欠き部200cが形成されてお
り、固体撮像素子2はその側壁25の頂部が蒸着室20
1に対して露出されるように配置されている。
装置内にセットして、真空蒸着法によって固体撮像素子
2の受光部22上にTlをドープしたCsIを厚さ約250μm
の柱状結晶として成長させて、シンチレータ3層を形成
する(図6参照)。蒸着基板ホルダー200に設置され
た固体撮像素子2の受光部22の周囲には、受光部22
より蒸着室201側に突出した部分は突出部200aを
除いて存在しないので、この突出部200a側、つま
り、電極パッド23部分を除いて側壁25部分に至るま
で連続してシンチレータ3層が形成される。この結果、
側壁25近くの端部分の光電変換素子21部分に至るま
でほぼ均一な厚みのシンチレータ3層を形成することが
可能である。
ておくと空気中の水蒸気を吸湿して溶解してしまうの
で、その保護のため、図7に示されるように、CVD(化
学的蒸着)法によりシンチレータ3が形成された固体撮
像素子2全体を厚さ10μmのパリレンで包み込み、保護
膜4を形成する。
中で蒸着によるコーティングを行うもので、原料となる
ジパラキシリレンモノマーを熱分解して、生成物をトル
エン、ベンゼンなどの有機溶媒中で急冷しダイマーと呼
ばれるジパラキシリレンを得る工程と、このダイマーを
熱分解して、安定したラジカルパラキシリレンガスを生
成させる工程と、発生したガスを素材上に吸着、重合さ
せて分子量約50万のポリパラキシリレン膜を重合形成
させる工程からなる。
リレンはこの狭い隙間にある程度入り込むので、保護膜
4は、シンチレータ3層に密着し、シンチレータ3を密
封する。このパリレンコーティングにより、凹凸のある
シンチレータ3層表面に均一な厚さの精密薄膜コーティ
ングを形成することができる。また、パリレンのCVD形
成は、金属蒸着時よりも真空度が低く、常温で行うこと
ができるため、加工が容易である。
3とシフトレジスタ24との間と側壁25の外側に沿っ
て切れ目を入れ、外側の保護膜4をはがすことで、電極
パッド23を露出させて図8に示されるような撮像基板
を得る。
上にこうして撮像基板として形成した各固体撮像素子2
a〜2dの側壁25同士に厚さ10〜20μmの例え
ば、ジビニルベンゼンを含むUV硬化樹脂を塗布して突
き合わせ、各受光部22が隣接して各電極パッド23部
分が外側に配列されるように光電変換素子21の受光面
を表にして縦横に2枚ずつ並べて載置してこの硬化樹脂
を硬化させることにより撮像素子2a〜2d同士を貼り
合わせて基台1へと固定することで図1に示される放射
線検出素子100を得る。なお、撮像基板の受光部22
とは隣接しない他の少なくとも一辺と受光部22との間
には、光電変換素子21に電気的に接続される回路部及
びボンディングパッド部が設けられている。
より説明する。入射面側から入射したX線(放射線)
は、保護膜4を透過してシンチレータ3に達する。この
X線は、シンチレータ3で吸収され、X線の光量に比例
した所定の波長の光が放射される。放射された光は受光
部22内の各々の光電変換素子21へと到達する。各々
の光電変換素子21では、光電変換により、到達した光
の光量に対応する電気信号が生成されて一定時間蓄積さ
れる。この光の光量は入射するX線の光量に対応してい
るから、つまり、各々の光電変換素子21に蓄積されて
いる電気信号は、入射するX線の光量に対応することに
なり、X線画像に対応する画像信号が得られる。光電変
換素子21に蓄積されたこの画像信号は、図示していな
い信号ラインからシフトレジスタ24を介して各電極パ
ッド23から順次出力されて外部へと転送され、これを
所定の処理回路で処理することにより、モニター上にX
線像を表示することができる。
には、その受光部22の端まで均一なシンチレータ3層
が形成されている。そして、各固体撮像素子2の受光部
を近接して配置することが可能なため、固体撮像素子2
間の不感領域となるデッドスペースは1〜3画素分の幅
まで抑制することが可能であり、受光部22の端部分ま
で有効に活用することができる。
れるような蒸着基板ホルダー210、220を用いて固
体撮像素子2上にシンチレータ3を形成した場合、図1
1あるいは図12に示されるように受光部22の端では
充分なシンチレータ3を形成することができない。その
ため、固体撮像素子2をできるだけ近接して配置した場
合でも、その間に不可避に生ずるデッドスペースに加え
て、シンチレータ3層が十分でないために生ずる不感領
域が数〜数十画素分存在しており、これにより無視でき
ないほどのデッドスペースが生じてしまう。本発明によ
れば不感領域の幅を無視し得るほど小さくすることが可
能である。
で保護膜4を設けていることと、この側壁25部分を樹
脂により固定しているので、シンチレータ4のはく離現
象を効果的に防止でき、耐久性が確保できる。そして、
受光画面の小さい素子を組み合わせることで、大画面の
素子を製作する場合に比べて素子あたりの歩留まりの低
下を防止することができ、製作コストの低減も図れる。
2の実施形態を示す平面図である。この図に示されるよ
うに、2枚の撮像基板である固体撮像素子2a、2bを
連結して大画面の放射線検出器を製造してもよい。さら
に、3枚以上の固体撮像素子を一列に並べて大画面化し
たり、2×m列あるいはm×n列並べて大画面化しても
構わない。固体撮像素子を2×m列(ただしmは3以上
の整数)並べる場合は、少なくとも四隅に配置される以
外の固体撮像素子2’は、少なくとも3辺の境界部分ま
で受光部22が配置されている構造(図14参照)を有
している必要がある。また、固体撮像素子をm×n列
(ただしm、nとも3以上の整数)並べる場合は、さら
に中央部分に配置される固体撮像素子2”は、表面全体
に受光部22が配置される構造(図15参照)を有して
いる必要がある。この場合、電極パッドは背面に設け
て、基台1を貫通する配線を利用して信号を読み出すこ
とが好ましい。もちろん上述した各固体撮像素子は単体
でも使用することができることは言うまでもない。
3の実施形態を示す断面図である。固体撮像素子2上
に、本発明に係るシンチレータパネル6a、6bが配置
されて構成されている。各シンチレータパネル6は、シ
ンチレータ形成基板としてのガラス基板60の片面61
から側壁62にかけて連続してシンチレータ3が形成さ
れており、このシンチレータ3を覆って包み込むように
パリレンによる保護膜4が形成されている。そして、1
枚の固体撮像素子2の受光部22上にこのシンチレータ
パネル6a、6bが側壁62同士を突き合わせてシンチ
レータ3が形成されている側を固体撮像素子2に向けて
配置されている。
図4〜図8で示された工程に準じているためその説明は
省略する。このようなシンチレータパネル6を用いた場
合も第一の実施形態の放射線検出器と同様の効果が得ら
れる。さらに、シンチレータパネル6だけでなく、固体
撮像素子2側も複数の固体撮像素子をパネル状に組み合
わせて構成してもよい。シンチレータパネルのシンチレ
ータ側を固体撮像素子の受光部に向けて配置する場合、
シンチレータを形成する基板60は放射線透過性である
必要がある。放射線透過性の基板としては、ガラスの他
にAl、Be製の基板や炭素を主成分とする材料、例え
ばアモルファスカーボンやグラファイトが使用可能であ
る。
像素子の受光図に向けて配置する場合は、基板はシンチ
レータで発せられた光を透過する必要があり、シンチレ
ータとしてCsIを用いる場合は可視光透過性であるガラ
スが好ましい。
製の単一膜構造の保護膜について説明してきたが、第
1、第2の実施形態においては、パリレン膜の表面にA
l、Ag、Au等の金属薄膜からなる反射膜を設けれ
ば、シンチレータ3から放射された光を光電変換素子2
1へと戻すことで、輝度の高い画像を得ることができ
る。また、第3の実施形態においては、放射線透過性基
板とシンチレータとの間に反射膜を設けることで、精度
の高い画像を得ることができる。第1、第2の実刑体に
おいては、この金属薄膜の保護のため、さらにその表面
にパリレン膜等を施してもよい。シンチレータ3として
防湿性の材料を使用した場合や、装置全体を防湿性の保
護ケース内に収容するような場合は、保護膜4を設けな
くともよい。
像基板の受光部表面あるいはシンチレータパネルの光透
過板表面に形成しているシンチレータ層を側壁部分まで
連続して形成しているので、端部分まで均一なシンチレ
ータ層を形成することができる。こうして端部分まで均
一なシンチレータ層を有するシンチレータパネルあるい
は撮像基板をシンチレータが形成されている側壁部分で
突き合わせて組み合わせることで、間のデッドスペース
の少ない大画面のシンチレータパネル、撮像素子を形成
することが容易である。
平面図である。
る。
像素子を蒸着基板ホルダーにセットした様子を示す断面
図である。
ある。
レータ層を示す断面図である。
チレータ層を示す断面図である。
を示す平面図である。
体撮像素子を示す平面図である。
れる固体撮像素子を示す平面図である。
を示す平面図である。
保護膜、6…シンチレータパネル、20…基板、21…
光電変換素子、22…受光部、23…電極パッド、24
…シフトレジスタ、25…側壁、60…ガラス基板、2
00…蒸着基板ホルダー。
Claims (8)
- 【請求項1】 基板と、前記基板上の少なくとも1辺近
傍に2次元状に配列されている複数の光電変換素子から
なる受光部とを有する撮像基板と、 前記撮像基板の受光部表面から近傍の側壁部分まで連続
して形成されているシンチレータと、 を備えている放射線検出器。 - 【請求項2】 前記撮像基板の受光部とは隣接しない他
の少なくとも1辺と受光部との間に前記光電変換素子に
電気的に接続される回路部及びポンディングパッド部の
うちの少なくとも一方を備えている請求項1記載の放射
線検出器。 - 【請求項3】 複数の前記撮像基板を前記シンチレータ
が形成されている側壁同士を隣接配置して固定した請求
項1または2のいずれかに記載の放射線検出器。 - 【請求項4】 前記シンチレータを覆う耐湿保護膜をさ
らに備えている請求項1〜3のいずれかに記載の放射線
検出器。 - 【請求項5】 シンチレータ形成基板と、前記シンチレ
ータ形成基板の少なくとも1辺の側壁部分から前記シン
チレータ形成基板の一方の表面の所定の領域まで連続し
て形成されているシンチレータと、 を備えるシンチレータパネル。 - 【請求項6】 複数の前記シンチレータ形成基板を前記
シンチレータが形成されている側壁同士を隣接配置して
固定した請求項5記載のシンチレータパネル。 - 【請求項7】 前記シンチレータを覆う耐湿保護膜をさ
らに備えている請求項5または6のいずれかに記載のシ
ンチレータパネル。 - 【請求項8】 前記シンチレータ形成基板は放射線透過
性を有している請求項5〜7のいずれかに記載のシンチ
レータパネル。
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