JP2002047565A - 薄膜の製造方法および光学装置 - Google Patents
薄膜の製造方法および光学装置Info
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Abstract
する。 【解決手段】 ターゲット13は、真空排気される容器
10内のターゲットホルダー12に配設され、複数のリ
ング状の一体型永久磁石14がターゲット13の外面を
取り囲んで略円筒形ターゲット13内壁のスパッタ面に
平行に配置されている。基体70は、ターゲット13で
囲まれた空間18の一方の開口部を塞ぐように設置され
たアノード41に対向するように、空間18の他方の開
口部側に配される。スパッタリングガスは、スパッタリ
ングガス導入系30より放電空間18に導入され、反応
ガスは反応ガス導入系31より放電空間18外から容器
10内に導入される。電力供給手段80は、スパッタ電
力として、直流電力または直流に極性が反転するパルス
を重畳した電力を供給する
Description
よび光学装置に関し、とりわけ、ターゲットをスパッタ
リングして、基体ホルダーに取り付けられた基体上に薄
膜を成膜するスパッタリング方法で、プラズマダメージ
に非常に弱い弗素含有薄膜を低温で形成する方法に関す
る。
ーなどの光学薄膜を形成する場合、成膜材料を真空中で
電子ビームなどで加熱し蒸発させて基板に付着させる真
空蒸着法が主に使われてきた。
マグネシウムなどの屈折率の低い材料と、酸化ジルコニ
ウム、酸化タンタル、酸化チタンなどの屈折率の高い材
料のいずれか一方、あるいはこれらを組み合わせた多層
膜などによって構成され、要求される光学性能によっ
て、層構成、膜厚等を様々に調整している。
面積基板上に高速に成膜でき、生産性に優れた成膜方法
であるが、膜厚の高精度制御、自動生産機開発が困難
で、さらには基板温度が低い状況で成膜を行うと膜の強
度が不足し、傷が付きやすく、また、膜と基板の密着性
も低いなどの問題を生じていた。
められてきていることから、これらの光学薄膜において
も、真空蒸着法に比較して工程の省力化・品質の安定
化、膜質(密着性、膜強度)などの面で有利なスパッタ
リング法によるコーティングの要求が高まってきた。
a2O5、TiO2等の酸化物誘電体薄膜の形成を行う
と、低吸収、高屈折率薄膜が容易に得られる。
るスパッタリング装置は、平行平板型のマグネトロンス
パッタリング装置であり、これは、真空容器内に、薄膜
の材料となるターゲットと、基体ホルダーに取り付けら
れた基体とを対向するように配置して、プラズマを生成
してターゲットをスパッタリングし、スパッタリングに
よって叩き出されたターゲット粒子を基体上に堆積させ
る方法である。これは、簡便で高速成膜、大面積成膜、
ターゲット寿命等に優れた成膜方法である。
グ装置も従来から知られている。
ゲットと基体が対向している平行平板型スパッタ装置か
ら基体あるいはターゲットを90度回転した、オフアク
シス型スパッタ装置が提案されている。
には、スパッタされる面が空間を隔てて対面するように
配置するとともに、スパッタされる面に垂直な方向の磁
界を発生させ前記ターゲット間の空間の側方に配置した
基体上に薄膜形成をするような対向ターゲットスパッタ
装置が提案されている。
には、プラズマを生成するプラズマ生成室と成膜を行な
う基体を配置するプラズマ処理室の間に少なくとも1枚
のプラズマ分離用のメッシュプレートを配設し、該メッ
シュプレートには複数の開口部が設けられており、該開
口部の径がプラズマのデバイ長の2倍以下を特徴とする
プラズマ処理装置等が提案されている。
として、ArFエキシマレーザ光源やF2エキシマレー
ザ光源を使用した装置が開発され、その光学系を構成す
る光学部品として、高品質、高耐久の弗素含有膜が望ま
れるようになっている。
のスパッタリング装置を用いて、弗化アルミニウムや弗
化マグネシウム等の弗素含有薄膜を形成する方法の検討
を行った。
よって形成する方法として、特開平4−289165号
公報に開示されているようなものが知られている。すな
わち、MgF2などのアルカリ土類金属弗化物膜をAr
などの不活性ガスとCF4などの弗素系ガスとの混合ガ
スを用いてスパッタリングする方法である。
示されているように、金属ターゲットを用い、Arなど
の不活性ガスとCF4などの弗素系ガスとの混合ガスを
用いてDCスパッタリングする方法も知られている。
やF2ガス等の反応ガスを導入してレンズ等に弗化物材
料を成膜する場合、ターゲットから飛び出した弗素、弗
素化合物の負イオンがカソードシース電圧で加速され、
生成した高エネルギ粒子が膜に入射し膜に物理的ダメー
ジを与えたり、膜の組成比を変動させる。さらに、ター
ゲット材料やスパッタリング条件によっては基体上に膜
が形成されず逆に基体がエッチングされる等、負イオン
によるダメージが生じることがある。さらに、イオンシ
ースで加速されたイオンおよび電子が基体表面に形成さ
れた膜にダメージを与え、基体の温度を上昇させたり、
膜の光吸収を増大させることがある。特にエネルギの高
い紫外光においては、光透過率が顕著に低くなってしま
う。
法は、未だ十分なものとはいい難かった。
外光における透過率が高く、光の有効利用が可能な薄膜
の製造方法、および光学装置を提供することにある。
ン、電子によるダメージの少ない薄膜の製造方法、およ
び光学装置を提供することにある。
製造方法において、容器を用意する工程、スパッタされ
る面が放電空間を囲むようにターゲットを配する工程、
該ターゲットで囲まれた該空間の一方の開口部を塞ぐよ
うに設置されたアノードに対向するように、該空間の他
方の開口部側に基体を配する工程、該容器内に、スパッ
タリングガスと弗素含有ガスとを供給する工程、該ター
ゲットと該アノード間に直流電力または該直流電力に極
性が反転するパルスを重畳した電力を供給する工程、を
含み、該放電空間に放電を生ぜしめて該ターゲットをス
パッタし、該基板上に弗素含有薄膜を形成することを特
徴とする。
間内にスパッタリングガスを供給し、放電空間外から容
器内に弗素含有ガスを供給することが望ましい。
間内に還元性ガスを供給することが望ましい。
に水を供給することが望ましい。
して希ガスを用いることが望ましい。
弗素ガス、弗化窒素ガス、弗化炭素ガス、弗化硫黄ガ
ス、弗化水素化炭素ガスから選択される少なくとも一種
を用いることが望ましい。
間に向けて水素ガス、重水素ガス、炭化水素ガス、アン
モニアガスから選択されるガスを供給することが望まし
い。
トと同じ材料で形成された表面と、多数のガス放出孔を
有することが望ましい。
間に、多数の孔を有する磁性体の磁気シールドが配置さ
れていることが望ましい。
Al、La、Nd、Th、Li、Y、CaあるいはGd
から選択される少なくとも一種を含む金属からなること
が望ましい。
弗化マグネシウム、弗化アルミニウム、弗化ランタン、
弗化ネオジウム、弗化トリウム、弗化リチウム、弗化イ
ットリウム、弗化カルシウム、弗化ガドリニウムを製造
することが望ましい。
て、プラズマの電子温度Teが3eV以下であり、電子
密度が2×108個/cm3以下であり、かつプラズマ電
位と基体とのフローティング電位差が2V以下である条
件で薄膜を製造することが望ましい。
シウムを用いることが好ましい。
る電圧をモニターし、ターゲットに印加される電圧が略
一定になるように、反応ガスの供給量を制御することが
望ましい。
Hz〜500KHzとすることが望ましい。
×10-3Pa以上1×10-1Pa以下とし、水素ガスの
分圧を5×10-2Pa以上に維持することが望ましい。
成分とし、膜中に含まれる酸素濃度が5wt%以下で、
かつ、MgO濃度が1.5wt%以下である薄膜を形成
することが望ましい。
成分とし、膜中に含まれる希ガスの含有率が1wt%〜
10wt%である薄膜を形成することが望ましい。
の製造方法により、該基体上に、該弗素含有薄膜を形成
して得られた光学部品と、紫外光を発生するレーザ光源
と、を組合わせた光学系を有することを特徴とする。
の薄膜の製造方法に用いられる反応性スパッタリング装
置について説明する。図1(a)はその反応性スパッタ
装置の縦断面図である。図1(b)は本発明の用いられ
るターゲットの一例を示している。
つ内部が排気可能な容器であり、この容器10内は排気
系20により真空に排気される。
れたターゲットホルダー12が設けられ、ターゲットホ
ルダー12には、ターゲット13が配設してある。
ットとしてスパッタされる内面により、放電空間18が
囲まれるように、略円筒形ターゲットを用いている。
部材40を介して固着されたアノード41が設けられて
いる。アノード41はターゲット13と同じ材料からな
り、絶縁部材40によって電気的にカソードとなるター
ゲット13とは分離独立化されている。
ト13の外面を取り囲んで磁界発生手段である複数の略
円筒形永久磁石またはリング状の一体型永久磁石14が
略円筒形ターゲット13内壁のスパッタ面に平行に配置
してある。
トホルダー12の部分には、冷却パイプ161、162
を介して冷却水が水冷ジャケット15内部を循環し、タ
ーゲット13および永久磁石14が冷却されるようにな
っている。
0に向かう一端がN極であり、アノード41にむかう他
端がS極であるように配置し、各々の磁石で磁界50が
閉ループを形成できる極性に配置してある。
ガスは、アノード41に設けられたスパッタリングガス
導入系30より容器10内の放電空間18に導入され
る。
の、反応ガスは容器10に設けられた反応ガス導入系3
1より放電空間18外から容器10内に導入される。本
発明においては、反応ガスとして弗素含有ガスを用い
る。
板で、ターゲット材料以外のスパッタリングを防止し薄
膜中への不純物混入を防止する役割や、ターゲットホル
ダー12、絶縁部材11等にスパッタリング粒子が堆積
するのを防ぐ防着板として、さらに陽極としても働く。
基体70を保持する基体ホルダー71が配設されてい
る。基体ホルダー71とターゲット開口部の基板ホルダ
ー側の近傍に開閉機構を有するシャッター板17が配設
されプリスパッタ時に基体70への酸化物や不純物を多
量に含んだ膜の付着を防止する。
して、直流電力または直流に極性が反転するパルスを重
畳した電力を供給する電力供給手段80はプラス側をア
ノード41に、マイナス側をカソードとなるターゲット
ホルダー12およびターゲット13に接続される。
方法の概略について図2を参照して説明する。
する。
空間18を囲むように、ターゲット13をターゲットホ
ルダー12上に配する。また、ターゲット13で囲まれ
た該空間18の一方の開口部を塞ぐように設置されたア
ノード41に対向するように、空間18の他方の開口部
側に基体70を配する。(工程S1) 容器10内を必要に応じて排気する。(工程S2) その後に、スパッタリングガス導入系30からスパッタ
リングガスを供給し、反応ガス導入系31より反応ガス
としての弗素含有ガスを供給する。(工程S3) ターゲット13とアノード41との間に電力供給手段8
0から直流電力または該直流電力に極性が反転するパル
スを重畳した電力を供給する。(工程S4) こうして、放電空間18に放電を生ぜしめてターゲット
13をスパッタリングガスの粒子にてスパッタし、基体
70上に弗素含有薄膜を形成する。
ら放電空間18に向けてスパッタリングガス(He、N
e、Ar、Kr、Xe、Rnなどから選択される少なく
とも一種の希ガス)を供給し、放電空間18外から容器
10内に弗素含有ガス(弗素ガス、弗化窒素ガス、弗化
炭素ガス、弗化硫黄ガス、弗化水素化炭素ガスから選択
される少なくとも一種)を供給することにより、ターゲ
ットのスパッタされる面が弗化することを抑制してい
る。
で準安定状態となったHeが基体表面に入射すること
で、表面反応を促進するので、より好ましいものであ
る。
に向けて還元性ガス(水素ガス、重水素ガス、炭化水素
ガス、アンモニアガスから選択される少なくとも一種の
ガス)を供給することにより、ターゲットの弗化や酸化
をより一層防止するとともに、放電空間18外から容器
10内に供給された水と相俟って、形成される薄膜の光
吸収を抑える。
(ダングリングボンド)をHおよびOH基により終端
し、成膜された膜中よりダングリングボンドを除去し
て、光の吸収を抑える。
料で形成された表面と、多数のガス放出孔を有してお
り、放電空間に均一にスパッタリングガスを供給するこ
とができる。
体を用いることが好ましい。そして、少なくともプラズ
マとの接触面(放電空間に向いた内面)がターゲットと
同じ材料で形成されるとよい。とりわけ、多数の孔をガ
ス放出孔として利用できる多孔質体からなるアノードを
用いることが好ましく、このような多孔質体は、例え
ば、ターゲットと同じ材料の金属粒子を焼成して形成で
きる。
の間に電力供給手段から直流電力を供給する。またはタ
ーゲットとアノードとの間に電力供給手段から該直流電
力に極性が反転するパルスを重畳した電力を供給しても
よい。
直流電力を印加するための電力供給手段のカソード側の
出力電圧波形である。この場合には、パルスの周波数は
1KHz〜500KHzにすることが好ましいものであ
る。極性が反転するパルス(電圧V1のパルス)は、弗
素含有誘電体膜を形成する時の電子の蓄積を中和し異常
放電を防止することができる。
の出力電圧として、一定の負電圧(例えば、図3の電圧
V2)を印加すればよい。
加される電圧をモニターし、ターゲットに印加される電
圧が略一定になるように、各種ガスの供給量を制御する
とよい。
ゲット13との間に、多数の孔を有する磁性体の磁気シ
ールドを配置することも好ましいものである。
の範囲であることが望ましい。スパッタ圧力が上限以下
であれば、実用上許容できる均一さで厚さ方向に屈折率
が安定した膜が得られる。またスパッタ圧力が下限以上
であれば、実用上許容できる範囲で安定した放電が継続
する。さらに望ましくは、スパッタ圧力を0.4〜1P
aの範囲とすることが望ましい。最も望ましいスパッタ
圧力が0.4〜0.8Paの範囲である。
た条件のもとで、スパッタリングを行うと、基体70の
表面上において、プラズマの電子温度Teが3eV以下
であり、プラズマの電子密度が2×108個/cm3以下
であり、かつプラズマ電位と基体とのフローティング電
位差が2V以下であるようなプラズマを維持することが
できる。
の薄膜に与えるダメージが少ない。
ッタ圧力が0.3Pa〜3Paの範囲で稼動させ、容器
内の基体位置に金属の短針を挿入し、外部から短針に直
流電圧を印加して得られた電流・電圧特性からプラズマ
中の電子温度Te、電子密度Ne、プラズマ電位Vpを
測定するラングミュアプローブ法で測定した結果、電子
温度Teは3eV以下、電子密度Neは2×108個/
cm3以下であり、プラズマ電位は2V以下であること
が確認できた。
ぼ同数の正イオンが存在しておりプラズマ電位Vbとフ
ローティング電位Vfの差の電圧で加速され基体と衝突
する。この場合フローティング電位Vfはプラズマ電位
Vpとアース電位の間の電位となる。
タでは、ガス種や条件によって若干変動するが一般に電
子温度Teは5eV〜十数eV、電子密度Neは1×1
09〜1×1011個/cm3、プラズマ電位Vpとフロー
ティング電位Vfの差の電圧も数十∨程度あり基体およ
び堆積した膜に大きなダメージを与える。
および堆積した膜に対するプラズマダメージを大幅に低
下することが可能となる。
テンレス、アルミニウムなどの導電体、シリコンなどの
半導体、酸化シリコン、酸化アルミニウム、樹脂などの
絶縁体など何でもよいが、紫外光用の光学部品を作成す
るためには、石英ガラス、弗化カルシウム結晶などが好
ましく用いられる。
は、Mg、Al、La、Nd、Th、Y、Li、Caあ
るいはGdから選択される少なくとも一種を含む金属
(純金属や合金)であり、形成すべき薄膜に応じて選択
される。
は、弗素ガスあるいは弗素化合物のガスであり、具体的
にはF2、NF3、CF4、C2F6、C3F8、CHF3また
はSF 6のいずれか一種である。
は、上述した金属を少なくとも一種含む弗化物の膜であ
り、具体的には、弗化マグネシウム、弗化アルミニウ
ム、弗化ランタン、弗化ネオジウム、弗化トリウム、弗
化イットリウム、弗化リチウム、弗化カルシウム、弗化
ガドリニウムである。 (第2の実施形態)図4は本発明の薄膜の製造方法に用
いられる反応性スパッタリング装置の断面図である。
置に磁気シールド板60を配設した構造であり、装置の
基本構成や成膜方法の基本的な工程は前述したとおりで
ある。
ド板60について説明する。
側で基板ホルダー71とシールド板16の間に、円筒タ
ーゲットの開口部分と対面する部分に直径5mmの穴が
開口率50%で多数あいた形状で永久磁石14の外周部
分で高さが永久磁石の半分部分を覆う形状で透磁率の高
いパーマロイの磁気シールド板60が対面するように配
設されている。磁気シールド板60により、今まで、タ
ーゲットと基体との間に広がっていた磁界50が磁気シ
ールド板60に捉えられていることがわかる。これによ
り、基体近傍のプラズマをより低温、低密度のものとす
ることができる。
ミュレーションを行った結果である。
ズマシミュレーションを行った結果である。
(b)は電子温度Te分布、(c)は電子密度Ne分
布、(d)はイオン密度Ni分布である。比較すると全
ての項目において磁気シールドを配設した図4の装置形
態のほうが基体近傍のプラズマ密度は低く、略円筒形タ
ーゲットとアノードで囲まれた空間にプラズマを閉じこ
める効果が高いことがわかる。
される負イオンダメージの低減化は、特に以下の点に因
る。 ターゲットを互いにスパッタされる面が対向するよう
にして、放電空間を囲むように配置すること。
して略円筒形のものを用いている。この略円筒形とは、
図1(a)、図4における水平面に沿ったターゲットの
断面が円または楕円の筒状であることを意味し、模式的
斜視図は図1(b)のとおりである。
を持つ形態にすれば、ターゲットのある点で発生した負
イオンのほとんどは、ターゲット中心線を挟んで対称な
位置にあるターゲット面に入射するために、直接基体に
入射する負イオンを減少することができる。つまり、ス
パッタ面の法線が基板ホルダー上の基体成膜面と交わら
ない配置構成にすることにより基体には負イオンダメー
ジを与えないようになる。
上記作用に鑑みれば、略円筒形に限定されることはな
く、放電空間を連続的あるいは断続的に一つあるいは複
数のターゲットで囲んだ形態であってもよい。 必要に応じて、反応ガスがターゲットに直接吹き付け
られない構造とし、ターゲットの弗化を抑制すること。
はスパッタリング時に負イオンを発生しやすい。本実施
形態では、放電空間を囲む略円筒形ターゲットの底面を
なすアノードを通してスパッタリングガスを供給するこ
とで、略円筒形ターゲット内部の空間がスパッタガスに
より満たされるような環境を形成する。これにより、反
応ガスが略円筒形ターゲットに侵入しにくくなり、ター
ゲットを金属状態のままスパッタすることができる。
は、スパッタリングのための比較的高密度のプラズマを
基体より離して、ターゲットとアノードで形成された空
間にできるだけ閉じ込めることで、達成できる。具体的
には、 直流電力あるいはそれに極性が反転するパルスを重畳
した電力をプラズマ発生に用いることで、従来のRF電
力使用時よりも、基体近傍でのプラズマ密度を低くする
ことができる。 必要に応じて、ターゲットを取り囲むように永久磁石
などの磁界発生器を配することで、プラズマの殆どをタ
ーゲットで囲まれた放電空間に留めることができる。 さらに必要に応じて、ターゲットと基体との間に磁気
シールドを挿入することで、高密度のプラズマが基体近
傍にまで広がることをより一層防いでいる。
オン・電子によるダメージを抑制するための望ましいプ
ラズマの状態を作り出すために、スパッタ圧力が0.3
〜3Paの範囲内の時に、基体位置におけるプラズマの
電子温度Teが3eV以下であり、電子密度が2×10
8個/cm3以下であり、かつプラズマ電位と基体のフロ
ーティング電位差が2V以下の条件を選択することが望
ましいのである。
を用いて成膜する過程について記述する。
囲むように設置されたリング状の永久磁石のために、略
円筒形内壁部分のスパッタ面ではターゲット表面に垂直
な電界と径方向にほぼ垂直な磁界が交差する同軸マグネ
トロン放電条件が達成され、電子はターゲット表面に垂
直な弧(サイクロイド曲線)を描き、スパッタガス分子
と衝突してイオン化させながら周方向(閉ループ)に移
動するマグネトロン放電を発生させる。イオン化された
スパッタガス分子は負電位にバイアスされたターゲット
表面に向かって加速、衝突してスパッタリングが開始さ
れる。
ュウム等の弗化物を成膜するために、Al、Mg等の負
イオンの発生しやすいターゲットと弗素含有ガスを使用
して、通常の反応性スパッタリング方法を行うと、反応
ガスの影響でターゲット表面に薄い弗化アルミニウム
(AlF3など)、弗化マグネシウム(MgF2など)等
の弗素を含んだ化合物が形成される。
ッタリングすると負イオンが一部で形成される。形成さ
れた負イオンはイオンシース電圧で加速され大きな運動
エネルギーと方向性を持つに至る。
化合物は非常に不安定なために飛行中にガス分子との衝
突で中和され中性粒子となる。このため、方向性と大き
な運動エネルギを持った中性粒子は、基体と衝突し基体
または成膜された膜に大きなダメージを与える。また、
スパッタリング条件によっては負イオン(飛行中に中性
粒子となる。)のエッチング速度が堆積速度より大きい
場合もあり膜が形成されないこともある。
は、アノードから供給されたガスは、アノードを底面と
してターゲットを側面とする略円筒形の中に満ち、容器
内槽に供給されている弗素を含む反応ガスの円筒内部へ
の侵入を抑え、ターゲットおよびアノードの弗化を抑制
し、ターゲットおよびアノードの表面を金属状態に保
つ。
とは、放電安定化(チャージアップによる異常放電の防
止)にも効果があり、ターゲット表面の弗化を抑制する
ことは負イオンの形成抑制に大きな効果がある。よっ
て、アノードを、弗素を含有しないスパッタリングガス
を放出する構成にすることはより好ましいものである。
ーゲット構成原子は、基体への飛行過程で弗素系ガスと
衝突することにより弗化されるか、または金属状態で基
体表面に到達したとしても、基体表面に入射する弗素系
ガス分子との衝突によって弗化され、基体表面に所望の
弗化物薄膜を形成する。
ッタ面では、ターゲット表面に垂直な電界と径方向にほ
ぼ垂直な磁界が交差する同軸マグネトロン放電条件とな
る。電子はターゲット表面に垂直な弧(サイクロイド曲
線)を描き、スパッタガス分子と衝突してイオン化させ
ながら周方向(閉ループ)に移動するマグネトロン放電
が発生しプラズマ密度の高いプラズマを略円筒形内面に
閉じこめる。マグネトロン磁場で閉じ込められなかっ
た、ほとんどの電子は、アノードに向かって進む。この
ように略円筒形内壁部分のカソードとその略円筒形底面
のアノードが近傍に配置されることで強い電界が生じ電
子の大部分がアノードで捕捉される。
の磁界50に巻き付いて、ターゲットと基体との間の空
間に広がる。磁気シールドは、この基体近傍に存在する
プラズマを効果的に抑制することができる。磁気シール
ドにより略円筒形ターゲット開口部側の磁界に巻き付い
て進行してきた電子は磁気シールドに捕獲され、さら
に、ターゲットからの磁束の漏れを抑えることで、基体
近傍の磁束密度を下げることが可能となり、よって、基
体近傍のプラズマの電子温度Te、電子密度Ne、プラ
ズマ電位Vpを小さくすることを可能とする。
限定はなく、パーマロイ、軟鉄等が好適に用いられる。
また、磁気シールドはターゲットより放出されたスパッ
タリング粒子の通過をできるだけ妨げずに、基体近傍へ
のプラズマの漏れを防止するものが望ましく開口する孔
は直径が5〜10mmの範囲であることが望ましい。ま
た、磁気シールドの開口率は、50〜80%であること
が望ましい。開口率が上限以下であれば、充分な成膜速
度を保ちながら、実用上許容できる程度にプラズマを略
円筒形内に閉じ込めることが可能となる。また、開口率
が下限以上であれば、実用上許容できる成膜速度で、プ
ラズマを閉じ込めることが可能である。
ることは、基体に対するプラズマダメージの抑制には大
きな効果があるが、基体表面にプラズマから入射するイ
オンのエネルギを表面反応に利用する反応性スパッタの
場合には、逆に基体表面で反応速度が小さくなる恐れが
ある。その場合には、基体表面での反応を促進するため
スパッタガスの一種としてHeガス用いるようにして高
密度プラズマに導入することでHeガスの準安定状態
(Heの正イオン)を効率良く作りだす。Heガスの準
安定状態は長寿命なため、基体まで輸送され基体表面で
の衝突でエネルギを授与し、反応を促進させる。
って上昇する。1つは電子衝撃による温度上昇と、もう
1つはターゲットからの輻射である。プラズマからの電
子衝撃による温度上昇は前述のように基体近傍の電子温
度Te、電子密度Neを低下させることで抑制すること
が可能である。また、ターゲットのスパッタ面の法線が
基板ホルダーの基体成膜面と交わらないので、スパッタ
面からの有効輻射量が小さく、基体温度の上昇を抑える
ことができる。
ダメージと正イオン・電子ダメージを極力抑えた構成の
スパッタリングが可能となり、従来方式のスパッタは困
難であった弗素系の良質な薄膜を得ることができる。
膜の製造方法は、上述した各実施形態と基本構成を同じ
くするスパッタリング装置を用いる。そして、反応性ガ
ス導入量制御手段により、ターゲットに印加される電圧
をモニターしながら、基板と開口との間に流す反応性ガ
スの導入量を制御することで、ターゲットの電圧を略一
定になるように制御する。
スの流量や、ターゲットの印加電力を変化させるのでは
なく、反応性ガスの導入量を制御することで、ターゲッ
トの表面を金属状態に保持しやすく、そして、ターゲッ
ト電圧が一定に保持されることで、スパッタリングレー
トを高速で安定化できる。 (第3の実施形態)図7は、本発明の第3の実施形態に
係る薄膜の製造方法に用いられるDCマグネトロンスパ
ッタリング装置の概略断面図である。
態に維持する容器10、容器10を排気する真空ポンプ
等からなる排気系20を設けている。
空形状の金属のターゲット13を内部に載置した、開口
21の形成されたスパッタ電極部22が設けられ、薄膜
が形成される基体70がホルダー71に保持されてい
る。また、開口21と基体70との間には、弗素含有ガ
スや酸素含有ガスなどのの反応性ガスを供給する第1の
反応性ガス供給装置31AおよびH2、H2O等の反応性
ガスを供給する第2の反応性ガス供給装置32の供給ポ
ート33、34が設けられており、反応性ガスがターゲ
ット13の表面に拡散しにくいような、反応性ガスの導
入系および排気系の構成としている。
イプ161、162を設けた一端が開口した中空形状の
電極であるカソード兼ターゲットホルダー12と、カソ
ード12の他端に絶縁部材40を挟んで設置されたアノ
ード41と、カソード12に対して絶縁材16Aで絶縁
されているアース電極兼シールド板16と、カソード1
2に接するように配置されることで電気的に接続されて
いるターゲット13およびターゲット13の表面に磁気
回路を形成する永久磁石14とヨークからなる中空形状
マグネトロンスパッタ源とを有している。
ングガスを(必要に応じて還元性ガスを)供給するスパ
ッタガス供給装置30が接続されている。
81により制御可能な構成としている。カソード12に
はスパッタ用電源82により、直流バイアスおよび1k
Hz〜500kHzの高周波または矩形波を重畳した電
圧を印加でき、この電力によってターゲット13の表面
上の放電空間18に放電を起こし、ターゲット13のス
パッタリングを行う。また、プラズマは放電空間18内
に閉じ込められ、一部ターゲット表面で負イオンが形成
されても直接基体70に入射しない構成となっている。
面に位置する基体70の前面には、高速に開閉可能なシ
ャッター板17が設けられている。なお、この被処理体
70は、ゲートバルブ91を介してロードロック室92
の間を搬送され、容器10内を大気に暴露することな
く、基体70の搬入・搬出がなされ、容器10内に搬入
された際、ターゲット13の表面の法線23と交わらな
い位置に配置される。
装置31、第2の反応性ガス供給装置32、およびスパ
ッタガス供給装置30から導入されるガス流量およびタ
ーゲット13の電圧をモニタし、制御するものである。
方法について説明する。
円筒形のターゲット13をカソード12上に取り付け
る。
し、ロードロック室92に設置し、1×10-4Pa以下
程度に排気する。この時、基体70表面の汚染物質を除
去するため、加熱または紫外線照射などの有機物除去を
目的とした洗浄を行えば、膜質が安定し、非常に有効で
ある。排気終了後ゲートバルブ91を経てホルダー71
に基体70を搬送し、保持する。
体70を400℃まで加熱しながら成膜可能であるが、
本実施形態においては室温状態で成膜を行うため、ヒー
タの電源はONしない。
タガス供給装置30からAr、H2を各々導入し、さら
に反応性ガス供給装置31、32から5体積%程度に希
釈されたF2とArとの混合ガスと、H2Oをそれぞれ導
入して全圧を0.3Pa〜3Pa程度に設定し、カソー
ド12に300W程度のスパッタ電力を印加し、ターゲ
ット13の表面にマグネトロンプラズマを発生させる。
この時同時にターゲット表面の極性が反転する矩形電圧
を1kHzで重畳し、ターゲット表面等のチャージをキ
ャンセルし、安定して放電が維持できるようにしてい
る。なお、各ガスの導入量、圧力の設定およびスパッタ
電力および矩形電圧は、上記数値に限定されるものでは
ない。
おりであり、中空形状のターゲット13のスパッタ面に
均一にガス導入ができるように多数の穴が形成されたも
の、またはターゲット13と同じ材料からなる多孔質体
が好ましい。ここで、導入するガスは、流量、純度、圧
力は高精度に制御されている。
た磁石14で形成されたスパッタ面に平行な最大250
×10-4Tの磁束密度の磁界に対して垂直な電界が形成
されている。この様に磁界と電界が垂直に形成されると
ターゲット13に印加された電界で移動した電子は磁界
で曲げられサイクロイド運動しながら平板状のターゲッ
ト13表面にトラップされる。サイクロイド運動する電
子は飛行距離が長くなり、ガス分子と衝突する確率が高
くなる。電子と衝突したガス分子は、イオン化されマグ
ネトロン放電が形成される。ターゲット13には、スパ
ッタ用電源82から負の電圧が印加されているのでイオ
ン化されたガス分子は、ターゲット13のスパッタ面に
加速され、ターゲット13に衝突しターゲット材料をス
パッタする。この時放電の色は、印加電力、F2ガス分
圧によって、薄い青緑(アルゴン放電色)から緑色(M
g放電色)に変わる。高速スパッタを行うには、ターゲ
ット13の表面が金属状態となる緑色放電条件でスパッ
タすることが好ましい。
を設置し、ターゲット13の表面の発光を分光測定し、
常にターゲット金属の発光色の強度と波長を維持するよ
うに反応性ガス分圧を制御すれば、ターゲット13の表
面を金属状態に保持して安定な成膜が可能となる。
ライザなどによってもこのような状態を維持することは
可能である。
ため、別の導入系で導入するようにしている。また、H
2ガスはArと共に導入しているが、これは、単にスパ
ッタガスとして導入しているためではなく、F2との反
応をできるだけ成膜雰囲気中で行わせる目的と、ターゲ
ット13の表面で形成されたプラズマ中にH2ガスを導
入することで活性なH原子やH2分子を生成し、反応性
を向上させる目的とを併せ持っている。
らってシャッター板17を開け、基体70上にMgF2
膜を成膜する。
によりその場測定(インサイチュモニタ)するとターゲ
ットバイアス電圧の絶対値が徐々に小さくなっていく現
象が確認される。これは、真空容器内のF2、H2O分圧
などの変化によってターゲット13の表面の状態が変化
するためであることがわかった。このようなターゲット
バイアス電圧変化の一例を図8(a)に示す。
が膜厚方向に変化する不均質な膜となってしまう。ま
た、スパッタリングレートも安定せず、膜質も安定しな
い。
力が小さい場合、極端にスパッタリングレートが減少す
る。これは、ターゲット表面にMgF2のような弗化膜
が形成されるためである。
かもより一層均質に再現性良く成膜するためには、ター
ゲット表面の状態を常に金属状態に保つ必要があるが、
ターゲット状態を監視し、常に一定の状態に保つことは
非常に困難である。
とによって、ターゲットバイアス電圧の経時的な変化を
抑えて成膜を行う。すなわち、制御装置160によっ
て、ターゲットバイアス電圧を監視し、この値が一定に
なるようにガス導入量を制御してMgF2のような弗素
含有膜を成膜する。図8(b)は、ターゲットバイアス
電圧(符号は負)のH2Oガスの供給流量依存性を示し
ている。このような場合には、時間の経過とともにH2
Oガスの供給量を減らすような傾向の制御を行えばよ
い。
に保持することで、スパッタリングレートも安定し、こ
のため、成膜時間を制御することで非常に高精度に膜厚
を制御することができる。
2のような弗素含有膜を室温状態で形成できる。従っ
て、基体70としてプラスチックなどを用いることも可
能である。また、スパッタリングレートが安定している
ため、従来の蒸着法に比ベて高精度な膜厚制御も可能
で、高品質な光学薄膜を形成でき、このような光学薄膜
を積層して形成した反射防止膜やミラーは設計値通りの
特性の光学部品が製造できる。
い、ガスとしてAr、H2、F2、H 2Oを用いたが、ス
パッタリングガスとして、Arの代わりに、He、N
e、Kr、Xe等の希ガスを用いてもよい。
に、CH4、NH3等プラズマ中で解離してHを供給可能
なガスを用いてもよい。
F4、NF3、SF6などのガスを用いてもよい。さらに
は、H2Oガスに代えて、H2O2などを用いてもよい。
形電圧を重畳すると放電が広がり、プラズマのダメージ
に弱い弗化物薄膜の場合、紫外域で吸収が増加してしま
う恐れがあるため、紫外域で低吸収弗化物薄膜が必要な
場合には、50kHz以下の周波数を用いることがより
好ましい。
層膜を構成するAl2O3などの酸化物薄膜を形成するこ
ともできる。この場合、異常放電を防止するように1k
Hz〜500kHzの高周波または矩形波を重畳して
も、低吸収な光学薄膜を得られる。このような高周波を
重畳しない場合、異常放電によってパーティクルが多数
膜中に混入し、散乱の大きい膜となってしまう。
質的に閉じたターゲット空間とし、この放電空間18に
Ar、H2等のガスを流し、F2、H2O等の反応性ガス
のターゲット13の近傍でのガス分圧を低減する構成に
しつつ、ターゲット電圧を一定に保持することによっ
て、高品質の薄膜を形成することができる。
態に強く依存し、本実施形態において高速なスパッタリ
ングを実現するためにはその表面状態を金属状態に保持
しなければならない。このため、ターゲット13の表面
近傍の反応性ガス分圧は極力低く抑える必要がある。
の反応性ガス供給装置31および第2の反応性ガス供給
装置32から、基体70とターゲット13との間に流す
F2またはH2Oの供給流量を制御装置160により時間
の経過とともに、それらの分圧が低くなるように制御す
ることでターゲットバイアス電圧を調整する。
等のスパッタリングガスの流量や、ターゲット13の印
加電力を変化してしまうとターゲット13の表面の反応
性ガス分圧が変動しやすく、膜質の安定化が図れず、ス
パッタリングレートの安定化も図れなくなる。
製造方法によれば、制御装置160により、基体70と
ターゲット13との間、すなわち、スパッタ電極部22
の外部であり、基体70と開口21との間に流す反応性
ガスの導入量を制御することで、スパッタ電極部22の
放電空間18内に配置されたターゲット13の近傍での
反応性ガスのガス分圧を低減することができるととも
に、ターゲット電圧を一定に保持することができる。こ
れにより、ターゲット13を金属状態に保持しやすく、
また、ターゲット電圧を一定に制御することで、スパッ
タリングレートを高速で安定化でき、不均質でない高品
質な光学薄膜を形成することができる。そして、スパッ
タリングレートを安定化できるので、成膜時間を制御す
ることで膜厚制御を高精度化できる。
められ、一部ターゲット表面で形成された負イオンも直
接基体70に入射しないため、荷電粒子による基体70
へのダメージを抑えることができる。
内に導入し、プラズマ中で解離してH原子や活性なH2
分子を基体70の近傍に供給することで膜中の不要な酸
素を還元除去し、ダングリングボンドをターミネートす
ることで紫外域において低吸収な光学薄膜を形成するこ
とが可能となる。特に、MgF2膜を形成中膜中に取り
込まれるMgOを還元することで、真空紫外域において
も低吸収な光学薄膜を得ることができる。
重畳することで電荷のチャージによる異常放電を防止で
き、膜中にゴミの混入を防止することも可能である。
光学薄膜を基材上に単層または多層形成して反射防止効
果もしくはミラー、ビームスプリッタなどを形成すれ
ば、安価に高品質な光学部材を提供することが可能とな
る。 (第4の実施形態)次に、図9に、本発明の第4の実施
形態に係る薄膜の製造方法に用いられるスパッタリング
装置の概略断面図を示す。
パッタ用電源82はアース電位から完全に浮いており、
このスパッタ用電源82はアノード41−カソード12
間に電圧を印加する構成となっている。また、アノード
電位はアノード用直流電源81によって、アース電位に
対してプラス側、マイナス側どちらにも設定できる。
定すると、プラズマ電位がアース電位よりも高くなり、
プラズマ中で生成した陽イオンを基体70側に放出する
ようになる。
ス側に設定すると、プラズマ電位がアース電位よりも低
くなり、プラズマ中の電子を基体70側に放出する。
で、基体70の近傍のプラズマ密度を変化させて成膜す
ることが可能となる。
形態で説明した薄膜形成装置と基本的に同様であるた
め、詳細の説明は省略する。
プラズマ密度が高く、電子温度も高い場合、膜にダメー
ジを与える。しかし、この装置をAl2O3などの酸化物
の成膜に用いる場合には、膜の密度をあげ、屈折率を増
加するためにはむしろプラズマによるアシストを積極的
に導入する必要がある。
対してプラスもしくはマイナス側に制御して積極的に基
体70近傍のプラズマ密度を増加することが有効とな
る。
ある程度プラズマ密度を増加することで膜の密度、密着
性、硬度をより改善することができる。
りアノード41の電圧を制御することで基体70近傍の
プラズマ密度を制御して、成膜する膜種に応じて反応活
性種濃度を増し、反応性向上を図ったり、成膜時の基体
70へのArイオンの入射エネルギ、密度を増して膜の
緻密性、密着性を改善することが可能となる。また、こ
のArイオンエネルギを制御して、膜中に取り込まれた
Ar濃度を抑え、低吸収な光学薄膜が得られる。
に、制御装置160により、基体70とターゲット13
との間に流す反応性ガスの導入量を制御することで、ス
パッタ電極部22の放電空間18内に配置されたターゲ
ット13の近傍での反応性ガスのガス分圧を低減するこ
とができるとともに、ターゲット電圧を一定に保持する
ことができる。これにより、ターゲット13を金属状態
に保持しやすく、また、ターゲット電圧を一定に制御す
ることで、スパッタリングレートを高速で安定化でき、
不均質でない高品質な光学薄膜を形成することができ
る。そして、スパッタリングレートを安定化できるの
で、成膜時間をパラメータにして高精度な膜厚制御がで
きる。
8内に導入し、プラズマ中で解離してH原子や活性なH
2分子を基体70の近傍に供給することで膜中の不な酸
素を還元除去し、ダングリングボンドをターミネートす
ることで紫外域において低吸収な光学薄膜を形成するこ
とが可能となる。特に、MgF2膜を形成中膜中に取り
込まれるMgOを還元し、Mgの未結合手、MgOの未
結合手をターミネートしてMgH、MgOHを形成する
ことで、真空紫外域においても低吸収な光学薄膜を得る
ことができる。
光学薄膜を基材上に単層または多層形成して反射防止膜
や増反射膜を形成すれば、高品位質で安価な、レンズ、
ミラー、ビームスプリッターなどの光学部品を提供する
ことが可能となる。
により説明する。ここでは可視領域から真空紫外領域ま
で適応できるMgF2膜の成膜方法について述べる。
性スパッタリング装置を用意した。
系31は円筒ターゲットスパッタ面に均一にガス導入が
できるようにアノード底面に多数の穴が開いたものを用
いた。リング状永久磁石14としては、ターゲット13
のスパッタ面では、スパッタ面に平行な最大250×1
0-4Tの磁束密度の磁界と垂直の電界が形成できるもの
を用いた。
mm深さ70mmの純度99.99%の金属Mgターゲ
ットを用い、基体70には波長193nmのArFレー
ザ波長においても吸収の少ない石英ガラスの基体(日本
石英製EDH)を用いた。
部から80mmの位置に保持させ、容器10内を真空ポ
ンプ20で高真空状態にした後、アノード底面に設けら
れたスパッタガス導入系30から、表面反応を補助する
ためのへリウム(He)ガスを100sccm、スパッ
タガスの主成分であるアルゴン(Ar)ガスを100s
ccm、および基体上の膜中からダングリングボンドを
取り除くための還元性ガスである水素ガスを100sc
cmとを混合したガスをアノード41を通じて円筒ター
ゲットとアノードで囲まれた空間に導入した。同時に、
反応ガス導入系31からアルゴン(Ar)希釈の5体積
%弗素(F2)ガスを200sccmおよび、および基
体上の膜中からダングリングボンドを取り除くための還
元性ガスである水(H2O)を5sccmとを混合して
導入しスパッタ圧力を0.3Pa〜3Paの範囲に収ま
るようにした。
C電源である電力供給手段80よりアノード41を陽
極、カソード12を陰極となるように0.5kWの電力
を印加し、放電を開始させた。
ターゲット表面の酸化膜層および汚染層を除いた。放電
色が薄い緑色となり、ターゲット表面に金属が露出した
ことが確認された後に、シャッター板17を開き成膜を
30分行った。この処理により、MgF2は基体上に3
00nmの厚さで成膜された。
光器で測定したところ193nmの波長で屈折率1.4
4で180nm近傍まで光吸収の少ない良好な膜である
ことがわかった。
めに、基体のかわりにプラズマ計測用のラングミュアプ
ローブ(ISA JOBIN YVON SOFIE
製)を基体位置にセットして前記と同条件でプラズマを
発生し、プラズマ状態を計測したところ電子温度Te=
2eV、電子密度Ne=8×107個/cm3、プラズマ
電位Vp=1Vであることがわかった。
カボネート基体を基板ホルダー71に保持させて、前記
第1の実施例と同条件で成膜した。その結果、この樹脂
基体上にも透明で密着性の良好なMgF2薄膜が得られ
た。
ラベルを貼り付け前記と同条件で成膜を行った後、容器
からポリカボネート基体を取り出しサーモラベルの温度
を観察したところ40℃以下と低温であった。
ッタリング装置を用いて、第1の実施例と同様の条件で
MgF2膜を成膜した。その結果。光学膜特性が第1の
実施例で得られら膜と同レベルの膜が得られた。
形態で、DC電源のかわりに13.56MHzの高周波
電源を用いて上記同様の成膜実験を行った。高周波放電
では円筒ターゲットと略円筒形の底面アノードで囲まれ
た空間にプラズマを閉じこめることができなく真空チャ
ンバー全体にプラズマが広がった。その結果成膜された
MgF2膜は茶色であり、波長が180〜400nmの
光に対して、強い吸収を持つ膜であった。前記同様プラ
ズマ計測用のラングミュアプローブを基体位置にセット
してプラズマ状態を計測したところ電子温度Te=6e
V、電子密度Ne=5×109個/cm3、プラズマ電位
Vp=20Vであった。
体に広がったプラズマより、過剰な電子および正イオン
が成膜中の膜に入射し膜質を劣化させたものと推測され
る。
グネトロンスパッタリング成膜装置を用意した。
(b)と同じ符号を付したところは同じ構成であり、説
明を省略する。
ガスは、スパッタガス導入系30より容器内に導入され
る。また、弗素含有ガスは、反応ガス導入系31より容
器10内に導入される。
して固着されたターゲットホルダー12が設けられ、タ
ーゲットホルダー12には平板型ターゲットTが基体7
0に平行に配設してある。この平板型ターゲットTの裏
面に接して、水冷ジャケットが設けられており、冷却パ
イプ16を通して冷却液が供給されている。
ットTの中心部と周辺部には永久磁石14が埋め込まれ
ており、中心部の永久磁石は、基体と対向する方向がS
極であるように配置されており、周辺部の永久磁石は基
体と対向する方向がN極であるように配置されており磁
界50を形成している。
板で、さらに陽極としても働く。
電力が印加され、それにより、平板型ターゲット近傍に
はRFプラズマが発生する。
01.6mm、厚さ6mmの平板ターゲットを用いて、
第1の実施例と同様の条件で成膜実験をおこなった。
した領域の基体には膜の形成が認められなかった。これ
は前述したように、負イオン由来の高エネルギ中性粒子
が基体に入射するためである。
向していない領域には茶色い膜が形成されていた。これ
は、成膜された膜が基体近傍のプラズマ中の電子・正イ
オンでダメージを被ったためと思われる。基体ホルダー
71にラングミュアプローブを設置して、基体近傍のプ
ラズマの状態を計測をしたところ、ターゲット正面位置
の電子温度Teは8eVで電子密度Neは2×109個
/cm3でターゲット正面からはずれた領域での電子温
度Teは6eVで電子密度Neは8×108個/cm3で
あった。
マグネトロン装置でポリカボネート基体に上記の成膜条
件で成膜したところ基体とターゲットの配置により、基
体に熟膨張の差が生じたと思われ、それによると思われ
るMgF2膜の剥離がみられた。
ボネート基体にサーモラベルを貼り付け成膜したところ
100℃であった。
用いた薄膜の製造方法について説明する。
9.9%)を用い、それをカソードに取り付けた。
浄し、ロードロック室に設置し、1×10-4Pa以下ま
で排気した。排気終了後ゲートバルブを経てホルダーに
被処理基体を搬送し、保持させた。
ml/min導入し、さらにからF2(5体積%)とA
rとの混合ガスを100ml/min、H2Oを5ml
/minをそれぞれ導入して全圧を0.3Pa〜3Pa
に設定し、カソードに300Wのスパッタ電力を印加
し、ターゲットの表面にマグネトロンプラズマを発生さ
せた。この時同時にターゲット表面の極性が反転する矩
形電圧を1kHzで重畳した。
らってシャッタを開けた。
もに、小さくならないように、制御装置160により、
ターゲット電圧をモニタしながら、H2O、F2ガスの供
給量を制御して、それぞれの分圧を制御することで、タ
ーゲット電圧を略一定に維持して、成膜を行った。
光特性を図10に示す。図10に示すように不均質も無
く、可視から紫外域にかけて低吸収のMgF2膜を形成
できた。
70上に形成したMgF2膜であるにも係わらず、密着
性も良く、膜の硬さも蒸着のハードコート(300℃加
熱)並の硬さを持っていた。また、パッキング密度も1
00%に近く、ほとんど分光特性の経時変化を生じない
ものであった。
した装置を用いて、上述した実施例のような手順で成膜
を行い、さらに、紫外域での吸収低減を図るために、成
膜時のAr、F2、H2、H2O等の分圧と膜組成、吸収
との関係について各種分析を行って評価した。
2膜の波長193nmにおける吸収とXPS(X線電子
分光法)の分析結果を示す。
り、この酸素のMgF2膜中での結合状態を酸素の1s
軌道の結合エネルギの波形分離してMgOH結合とMg
O結合の比率と膜吸収の関係を評価した。なお、表1中
において、Loss(193nm)膜厚100nmと
は、波長193nmにおける、吸収、散乱を含んだ損失
であり、膜厚100nmあたりに換算した値である。L
oss(248nm)膜厚100nmについても同様で
ある。
残留ガスとして存在する酸素やH2Oの影響によるもの
や、成膜後大気中に解放された時点で導入されるもので
あると考えられ、完璧に排除することは不可能である。
従って、H2を導入して還元するかまたは膜中に混入し
ても吸収に問題を生じない状態に変えられないか検討し
た。
ち、193nmのLossが0.1%と小さい、すなわ
ち、低吸収な膜はNo.1、No.2である。また、2
48nmのLossが0.1%と小さい膜は、No.
1、No.2、No.5である。すなわち、No.1、
No.2は、193nm、248nmの両波長域におい
て最も低吸収な膜であり、No.5は、248nmの波
長域において、No.1、No.2と同等に低吸収な膜
である。
て検討する。
t%のうちの2割5分がMgOに関与する酸素である。
すなわち、No.1では、MgOの結合状態にある酸素
濃度は、4.0wt%×0.25=1.0wt%とな
る。
t%のうちの3割がMgOに関与する酸素である。すな
わち、No.2では、MgOの結合状態にある酸素濃度
は、4.5wt%×0.3=1.35wt%となる。
t%のうちの3割5分がMgOに関与する酸素である。
すなわち、No.5では、MgOの結合状態にある酸素
濃度は、6.5wt%×0.35=2.28wt%とな
る。
濃度が4.0wt%、4.5wt%と低く、また、Mg
Oの比率も低い。一方、No.5は、膜中酸素濃度が
6.5wt%と高いが、MgOの比率が低い。
小さく、また、膜中に混入した酸素がMgOの状態では
なく、MgOHの状態で存在(MgOの比率が低い)し
ている時に、膜の吸収が小さくできることが明らかとな
った。膜中の酸素濃度はH2分圧に依存して低減できる
が、完全になくすことはできなかった。
このうちMgOの結合状態にある酸素濃度は1.5wt
%以下であるとき、特に低吸収なMgF2膜となること
が明らかとなった。
なると、MgF2の酸化が進行して、短波長域での吸収
が増加するばかりでなく、ターゲットの電圧の安定化が
困難になり、結果として膜質およびスパッタリングレー
トの安定化が困難となってしまうことが、明らかとなっ
た。一方、1×10-3Pa以下の場合、膜中酸素濃度、
MgO/MgOH比が増加して、吸収の大きい膜となっ
てしまうことも明らかとなった。
場合、膜中酸素の還元が十分に行えず、また、H2は一
部MgO結合手などのターミネートにも寄与しているた
め、特に短波長側で吸収の大きい膜となってしまうこと
も明らかとなった。
で、このうちMgOの結合状態にある酸素濃度は1.5
wt%以下である低吸収なMgF2膜を形成するために
は、成膜時のH2O分圧が1×10-3Pa以上1×10
-1Pa以下でH2分圧が5×10 -2Pa以上である必要
があることが明らかとなった。
を用いて、Al2O3/MgF2多層反射防止膜石英基板
上に形成し、特性を評価した。
ットとして高純度Mg金属(99.9%)を用い、ガス
としてAr、F2、H2、H2Oを導入してMgF2膜を形
成した。
金属(99.99%)を用い、ガスとしてAr、He、
O2、F2、H2、H2Oを導入してAl2O3膜を形成し
た。
に形成する動作を繰り返しえ、反射防止膜を得た。
す。反射率の低い波長域が広く、良好な反射特性を有す
る光学素子が製造できた。
と高く、吸収も非常に少ない。さらに、本実施例ではA
l2O3、MgF2共に高速スパッタリングが可能で、ス
パッタリングレートの安定性も向上しているため、設計
値通りの反射防止特性を高速に形成できた。
した装置を用いて、アノード電位をアースに対してプラ
ス50V〜マイナス50Vに設定して、PC(ボリカー
ボネート)基板上の表面に低吸収MgF2膜を形成し
た。
ックスキャッタリング)で測定したところ、膜中に数%
のArが含まれていた。さらに、XRD(X線回折)を
おこなったところ、得られた薄膜は結晶化しており、格
子間隔がMgF2単結晶に比べ、1〜2%広がってお
り、格子間にArが混入することでMgF2結晶が歪ん
だ状態にあることが確認できた。このArは基板に入射
するArイオンと相関があり、イオン入射量が多く、膜
中Arが多い膜は密着性、緻密性、硬度に優れる結果が
得られた。特に、MgF2薄膜中のAr量として、1〜
10wt%程度のMgF2膜は優れていることが明らか
となった。
分圧、成膜圧力、スパッタリングレートなど様々なパラ
メータにより変化するが、本実施例で用いた図9に示し
た装置のようにアノード電位を制御することで、容易に
プラズマアシスト効果を制御でき、高品質なMgF2薄
膜を容易に得ることができた。
に増加した場合、膜の緻密性・硬度は増加するが、吸収
も増大する。また、膜の歪みも大きくなりすぎ、膜剥が
れも生じてしまう。この時の膜中のArが15%を超え
ていた。
〜10wt%に制御することで、低い基板温度でも可視
から紫外域にかけて低吸収で、基板との密着性に優れ、
緻密で硬いMgF2薄膜が得られる。なお、本実施例で
はArについて説明したが、通常スパッタリングで使用
するMgや酸素と反応して吸収を生じない不活性ガス
(He、Ne、Xe、Kr)でも同様の効果が得られ
る。
反射防止膜が形成できた。これまでのスパッタリングで
は、ターゲットからのγ電子の影響で基板表面がダメー
ジを受け、密着性の良くない膜しか形成できなかった
が、本手法によって、ダメージを制御でき、しかも低基
板温度で高品質な光学薄膜を形成できた。
る。
成された薄膜は、光学部品の反射防止膜や増反射膜とし
て好適に利用できる。
適宜組み合わせれば、レーザ発振器、露光装置等の光学
装置を製造しうる。
発振器を有するホトリソグラフィー用の露光装置を示
す。
紫外光を発光するレーザ発振器200は、レーザガスチ
ャンバー221と、フッ化カルシウムからなる一対の窓
222と共振器223とを有している。露光装置は、照
明光学系225と結像光学系226とを有しており、そ
れぞれ複数のレンズ群により構成される。
は、窓222、共振器223、照明光学系225、結増
光学系226などを構成するために用いられる。
光は、結像光学系226を通して、保持手段としてのス
テージ28上に載置されたワーク(被露光体)Wにレチ
クル227の光像を結像する。ワークWの代表例は、ホ
トレジストを有するSiウエハやガラスなどの基板であ
る。
区画分のエリアを露光するたびにステージを移動させて
別の1区画分のエリアを一括露光あるいは走査露光する
動作を繰返し行う。走査露光の場合はレチクルとステー
ジとを相対的に移動させながら露光する。
ストは現像され、エッチングやイオン打込み用のマスク
パターンとなる。
イオンを打込んだり、基板表面をエッチングしたりす
る。こうして、本発明の光学装置を用いれば、微細化さ
れた素子を作ることができる。
ネトロンスパッタでは不可能であった負イオンの発生し
やすいターゲット材料やダメージを受けやすい弗化膜の
成膜や、さらに温度に弱いプラスチック基体等にプラズ
マダメージの少ない薄膜を低温で高速に得ることが可能
となった。
ニターしながら、基板と開口との間に流す反応性ガスの
導入量を制御して、ターゲットの電圧を略一定になるよ
うに制御すれば、ターゲットの表面を金属状態に保持し
やすく、スパッタリングレートを高速で安定化でき、膜
特性の向上した、可視から紫外域にかけて透明で、吸収
のない薄膜を安価で高速に形成することができる。
グ装置の模式図およびターゲットの模式的斜視図であ
る。
トを示す図である。
形の一例を示す図である。
グ装置の模式図である。
るプラズマの状態を示す模式図である。
ズマの状態を示す模式図である。
グ装置の模式図である。
すグラフ、およびH2Oガスの供給流量と成膜時間とタ
ーゲットバイアス電圧の関係を示すグラフである。
グ装置の模式図である。
る。
ング装置を示す模式図である。
Claims (19)
- 【請求項1】薄膜の製造方法において、 容器を用意する工程、 スパッタされる面が放電空間を囲むようにターゲットを
配する工程、 該ターゲットで囲まれた該空間の一方の開口部を塞ぐよ
うに設置されたアノードに対向するように、該空間の他
方の開口部側に基体を配する工程、 該容器内に、スパッタリングガスと弗素含有ガスとを供
給する工程、 該ターゲットと該アノード間に直流電力または該直流電
力に極性が反転するパルスを重畳した電力を供給する工
程、 を含み、該放電空間に放電を生ぜしめて該ターゲットを
スパッタし、該基板上に弗素含有薄膜を形成することを
特徴とする薄膜の製造方法。 - 【請求項2】 前記アノード側から前記放電空間内に前
記スパッタリングガスを供給し、該放電空間外から前記
容器内に前記弗素含有ガスを供給する請求項1に記載の
薄膜の製造方法。 - 【請求項3】 前記アノード側から前記放電空間内に還
元性ガスを供給する工程をさらに含む請求項1に記載の
薄膜の製造方法。 - 【請求項4】 前記放電空間外から前記容器内に水を供
給する請求項1に記載の薄膜の製造方法。 - 【請求項5】 スパッタリングガスは希ガスである請求
項1に記載の薄膜の製造方法。 - 【請求項6】 前記弗素含有ガスは、弗素ガス、弗化窒
素ガス、弗化炭素ガス、弗化硫黄ガス、弗化水素化炭素
ガスから選択される少なくとも一種である請求項1に記
載の薄膜の製造方法。 - 【請求項7】 前記アノード側から前記放電空間に向け
て水素ガス、重水素ガス、炭化水素ガス、アンモニアガ
スから選択されるガスを供給する工程をさらに含む請求
項1に記載の薄膜の製造方法。 - 【請求項8】 前記アノードは、前記ターゲットと同じ
材料で形成された表面と、多数のガス放出孔を有する請
求項1に記載の薄膜の製造方法。 - 【請求項9】 前記基体とターゲットとの間に、多数の
孔を有する磁性体の磁気シールドが配置されている請求
項1に記載の薄膜の製造方法。 - 【請求項10】 前記ターゲットは、Mg、Al、L
a、Nd、Th、Li、Y、CaあるいはGdから選択
される少なくとも一種を含む金属からなる請求項1に記
載の薄膜の製造方法。 - 【請求項11】 前記弗素含有薄膜は、弗化マグネシウ
ム、弗化アルミニウム、弗化ランタン、弗化ネオジウ
ム、弗化トリウム、弗化リチウム、弗化イットリウム、
弗化カルシウム、弗化ガドリニウムである請求項1に記
載の薄膜の製造方法。 - 【請求項12】 前記基体の表面上において、該プラズ
マの電子温度Teが3eV以下であり、電子密度が2×
108個/cm3以下であり、かつプラズマ電位と基体と
のフローティング電位差が2V以下である請求項1に記
載の薄膜の製造方法。 - 【請求項13】 前記基体は、弗化カルシウムからなる
請求項1に記載の薄膜の製造方法。 - 【請求項14】 前記ターゲットに印加される電圧をモ
ニターし、前記ターゲットに印加される電圧が略一定に
なるように、前記ガスの供給量を制御する請求項1に記
載の薄膜の製造方法。 - 【請求項15】 前記パルスの周波数は1KHz〜50
0KHzである請求項1に記載の薄膜の製造方法。 - 【請求項16】 成膜時の水の分圧を1×10-3Pa以
上1×10-1Pa以下とし、水素ガスの分圧を5×10
-2Pa以上に維持する請求項1に記載の薄膜の製造方
法。 - 【請求項17】 フッ化マグネシウムを主成分とし、膜
中に含まれる酸素濃度が5wt%以下で、かつ、MgO
濃度が1.5wt%以下である薄膜を形成する請求項1
に記載の薄膜の製造方法。 - 【請求項18】 フッ化マグネシウムを主成分とし、膜
中に含まれる希ガスの含有率が1wt%〜10wt%で
ある薄膜を形成する請求項1に記載の薄膜の製造方法。 - 【請求項19】 光学装置において、 請求項1に記載の薄膜の製造方法により、該基体上に、
該弗素含有薄膜を形成して得られた光学部品と、 紫外光を発生するレーザ光源と、 を組合わせた光学系を有することを特徴とする光学装
置。
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