JP4775923B2 - 弗化物の薄膜作成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スパッタにて成膜する、弗化物の薄膜作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ターゲットに電力を供給して基板に薄膜を形成するスパッタ装置において、プラズマダメージによる膜質の低下等の問題があった。この様な問題に対し従来はプラズマダメージの少ない成膜方法として、ターゲットに直流(DC)電力を供給するDCスパッタ、ターゲットにDC電力を供給し基板に高周波(VHF)電力を供給するバイアススパッタ、またはターゲットを対面に配置した対向スパッタ等の手法が一般に行われていた。
【0003】
特開平10−36962号公報では、基板と対向しない形態を示しているが、プラズマを閉じ込めるには至らず、プラズマ電位と基板電位の差から生ずる正イオンのダメージが懸念される。また、この方法では、プラズマの空間分布により、基板上での膜質の斑(むら)が生ずることが考えられる。
【0004】
また、特開平9−87839号公報では、基板の裏に磁場を生成させることにより正イオンによるダメージを減らしているが、負イオンに関しては、対策がなされていない。
【0005】
また、特開平5−226250号公報および特開平5−39571号公報では、メッシュ電極を基板とターゲット間に設置しているが、この方式でも基板は負イオンのダメージから逃れられない。負イオンは、寿命が短く、シースで加速された後すぐに中性化してしまうので、メッシュ電極は無意味である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
プラズマダメージに敏感な膜の成膜において、従来の手法ではプラズマダメージにより吸収膜しか得られない等の問題があった。その原因としては、プラズマによって生ずる正イオン、負イオン、及び電子が、プラズマの電位によって加速され、基板に到達することによって生じている。
【0007】
そこで、本発明の目的は、プラズマによって生ずる負イオンを除去し、さらに正イオンおよび電子の基板に到達する数およびエネルギーを制御することを可能な、弗化物の薄膜作成法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の弗化物の薄膜作成法は、スパッタにて基板上に成膜する際、スパッタ面を成膜される基板に対面しない位置に配置して直流電流が印加されたターゲットをカソードとして放電させるDCスパッタ方式で成膜を行なう、弗化物の薄膜作成法において、ターゲットはリング状であって、リング状のターゲットの一方の開口にはターゲットの電位よりも高い電位となる基板と対面する電極が配され、他方の開口にはアノードが配され、プラズマ中の荷電粒子の軌道を、電場を発生させる一対の電極、あるいは磁場を発生させる機構である、ターゲットと基板との間に配置された軌道制御手段によって制御することにより、基板に入射する荷電粒子のそれぞれの量及びエネルギーを制御して成膜することを特徴としている。
【0011】
なおまた、成膜された膜は弗化物を主原料とするものであること、さらに、この弗化物は、弗化マグネシウム(MgF2 )であること、も好ましい。
【0012】
(作用)
本発明では、さらに、プラズマダメージの少ない成膜装置および方法を提供することにより、可視領域から真空紫外領域まで光吸収の少ない弗化膜を作成することが可能となる。具体的には、プラズマによって生ずる正イオン、負イオンおよび電子がすべての基板に到達する数、およびエネルギーを制御することにより、可能となる。
【0013】
まず、負イオンを除去するために、ターゲットと基板を向かい合わないように配置した。負イオンは、プラズマとターゲット間のシースによって加速されるので、基板位置が負イオンの加速方向にない位置にすればよい。次に電子および正イオンは、主にプラズマ中に多く存在する。したがって、プラズマ近傍に電界および磁界を形成することによりプラズマの分布を制御することができる。基板近傍にプラズマが来ないように、閉じ込めることにより、基板への荷電粒子によるダメージは大幅に軽減される。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の薄膜作成法の一実施例のための装置の概略構成図である。
【0016】
スパッタ面が円柱状マグネシウムMgターゲット103の内面で、基板102に対面しない配置である。ターゲット底面に基板102と反対側に対面するアノードがある構成であり、アルゴンArおよび弗素F2 等の反応性ガスをアノードから供給してDCスパッタで弗化マグネシウムMgF2 膜を形成する。
【0017】
この時プラズマ閉じ込め効果を高めるためにリング状ターゲットの外側にマグネットを配置しターゲット表面で電界と磁界が直交するマグネトロン磁場を形成する。また、基板102とターゲット103間に電極105を設けて偏向用の電界を形成し、ターゲット103から基板102に向かって飛行する正負イオンおよび電子の軌道を反らし、基板102に到達する正イオンおよび電子の数およびエネルギーを制御する機構を備えている。
【0018】
以上のようなダメージを少なくする構成および方法をとることにより可視領域から真空紫外領域まで低吸収な弗化マグネシウムMgF2 膜が得られた。
【0019】
(第2の実施例)
図2は、本発明の薄膜作成法の第2の実施例のための装置の概略構成図である。
【0020】
本例は、スパッタ面がリング状マグネシウムMgターゲットの内面で基板に対面しないように配置されている点では実施例1と同じである。ターゲット近傍に基板と反対側に対面するアノードがある構成でアルゴンおよびF2 等の反応性ガスをアノードから供給してDCスパッタでMgF2 膜を形成する。この時プラズマを閉じこめる効果を高めるために、リング状ターゲットの外側にマグネットを配置しターゲット表面で電界と磁界が直交するマグネトロン磁場を形成する。また、基板とターゲット間に磁石を用いて偏向用の磁場を形成し、ターゲットから基板に向かって飛行する正負イオンおよび電子の軌道を反らし、基板に到達する正イオンおよび電子の数およびエネルギーを制御する機構を備えている。
【0021】
以上のようなダメージを少なくする構成および方法をとることにより可視領域から真空紫外領域まで低吸収な弗化マグネシウム(MgF2 )膜が得られた。
【0022】
(第3の実施例)
図3は、本発明の薄膜作成法の第3の実施例における、ターゲットとその近傍の概略断面図である。
【0023】
ターゲット301はマグネシウムMg、アルミニウムAl等の金属でできており、円筒形状をしている。ターゲットには、可変DC電源が繋がれている。その底面303には、ターゲットと同材料でできている電極を配置し、その電位を可変とする。荷電粒子の捕捉効率向上、および電極で加速された荷電粒子が、基板に直接入射しないように、本実施例では電極303は、円錐形状にしている。また、ターゲット上部には、シールド板を兼ねたアノード302を配置し、放電によって生成されるプラズマ304からの荷電粒子捕捉の役割をしている。成膜される基板はターゲットの底面303と対峙しており、ターゲットのスパッタ面301からの法線領域にはない。
【0024】
この方法でプラズマの電子密度分布測定をしたところ、プラズマによる荷電粒子は、アノード302および電極303によって捕捉され、基板近傍では大幅に低下していることが観測できた。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、正または負の電場もしくは、アース電位をかけることができる導体または半導体からなる電極を操作する方法、あるいは、磁場を用いた機構を操作する方法等により、プラズマ中の正イオンおよび電子の軌道を制御し、基板に入射する正イオンおよび電子のそれぞれの量およびエネルギーを制御して成膜するので、プラズマによって生ずる負イオンを除去し、さらに正イオンおよび電子の基板に到達する数およびエネルギーを制御することが可能な、弗化物の薄膜作成法を提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄膜作成法の一実施例のための装置の概略構成図である。
【図2】本発明の薄膜作成法の第2の実施例のための装置の概略構成図である。
【図3】本発明の薄膜作成法の第3の実施例における、ターゲットとその近傍の概略断面図である。
【符号の説明】
101,201 真空チャンバー
102,202 基板
103,203 Mg円柱状ターゲット
104,204 真空ポンプ
105, 303 電極
106,205,206 磁石
301 円筒状ターゲット
302 アノード
304 プラズマ
Claims (2)
- スパッタにて基板上に成膜する際、スパッタ面を成膜される基板に対面しない位置に配置して直流電流が印加されたターゲットをカソードとして放電させるDCスパッタ方式で成膜を行なう、弗化物の薄膜作成法において、
前記ターゲットはリング状であって、リング状の前記ターゲットの一方の開口には前記ターゲットの電位よりも高い電位となる前記基板と対面する電極が配され、他方の開口にはアノードが配され、プラズマ中の荷電粒子の軌道を、電場を発生させる一対の電極、あるいは磁場を発生させる機構である、前記ターゲットと前記基板との間に配置された軌道制御手段によって制御することにより、前記基板に入射する荷電粒子のそれぞれの量及びエネルギーを制御して成膜することを特徴とする、弗化物の薄膜作成方法。 - 前記弗化物は、弗化マグネシウム(MgF2)である、請求項1に記載の弗化物の薄膜作成方法。
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