JP2002047546A - 溶融亜鉛めっき鋼板の製造設備 - Google Patents

溶融亜鉛めっき鋼板の製造設備

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JP2002047546A JP2000230719A JP2000230719A JP2002047546A JP 2002047546 A JP2002047546 A JP 2002047546A JP 2000230719 A JP2000230719 A JP 2000230719A JP 2000230719 A JP2000230719 A JP 2000230719A JP 2002047546 A JP2002047546 A JP 2002047546A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好なめっき外観を有し、さらにめっき密着
性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板あるいは合金化溶融亜鉛
めっき鋼板を製造できる製造設備を提供する。 【解決手段】 鋼板清浄化装置と、鋼板の表面にSを含
有する物質の溶液を塗布する溶液塗布装置と、オールラ
ジアントチューブ型焼鈍炉と、溶融亜鉛めっき浴と、あ
るいはさらに合金化炉を、順次配設する。鋼板清浄化装
置は、脱脂処理手段と、酸洗処理手段と、あるいはさら
に水洗手段と乾燥手段とを順次配設したものとするのが
好ましい。また、溶液塗布装置はロールコート方式とす
るのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融亜鉛めっき鋼
板の製造設備に係り、とくに溶融亜鉛めっき鋼板のめっ
き外観の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車、家電などの分野では、その使用
環境に鑑み、高耐食性を有する表面処理鋼板が要求され
ており、種々の亜鉛系めっき鋼板が開発され、実用化が
進んでいる。なかでも、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶
融亜鉛めっき鋼板などの溶融亜鉛系めっき鋼板は、電気
亜鉛系めっき鋼板に比べ、製造コストが低廉でかつ良好
な耐食性を有しているため広く使用されている。
【0003】一方、地球温暖化防止の観点から、自動車
の燃費向上が大きな課題の1つとなっており、自動車車
体の軽量化と、乗員の安全性確保との両立を目指して、
使用する鋼板のゲージダウンや高強度化が求められてい
る。一般に、鋼板の高強度化のために、Si、Mn、P等の
固溶強化元素の添加が行われている。しかし、これらS
i、Mn、P等の固溶強化元素は、一般的な連続式溶融め
っき鋼板製造ラインでの還元焼鈍工程で選択酸化されて
鋼板表面に濃化する。この鋼板表面に濃化したSi、Mn、
P等の酸化物により、鋼板と溶融亜鉛との濡れ性が著し
く低下する。このため、溶融亜鉛めっき層の密着性が著
しく低下し、極端な場合には溶融亜鉛が鋼板に付着しな
い、いわゆる不めっきといった現象が生じる。
【0004】また、溶融亜鉛めっき処理に引き続き、合
金化加熱処理を施して製造する合金化溶融亜鉛めっき鋼
板の場合には、還元焼鈍工程で鋼板表面に濃化した固溶
強化元素の酸化物により合金化が著しく遅延し、合金化
温度を極端に高くするか、あるいは、ライン速度を極端
に遅くしないと、従来の合金化処理装置では合金化が完
了しないという問題もある。しかし、合金化温度を極端
に高めると、硬くて脆い合金相の生成が助長されてプレ
ス成形時にめっき層が剥離しやすくなる。また、ライン
速度を極端に遅くすると、生産性が著しく低下するとい
う問題が生じる。
【0005】さらに、Pが多量に添加された場合には、
Pの粒界偏析により合金化挙動にばらつきが生じ、色調
むらが発生するという問題もある。しかし、このような
問題のために、鋼種の違いにより合金化加熱温度、ライ
ン速度といった合金化処理条件を頻繁に変更すること
は、処理条件の変更に時間を要し生産能率や歩留りが低
下すること、また、処理条件を短時間に安定化させるた
めにはかなりの熟練を要することなど、安定した合金化
処理を維持するには操業上多くの困難が伴い、容易では
ないのである。
【0006】上記したような問題に対し、例えば、特開
平11−50220 号公報には、Mn含有量が0.2 %以上、Nb含
有量が0.005 %以上、Ti含有量が0.01%以上のうち1ま
たは2以上を満たし、且つP含有量が0.02%以上である
高強度鋼板に、硫黄または硫黄化合物をS量として0.1
〜1000mg/m2 付着させたのち、水素を含む非酸化性雰囲
気の680 ℃以上の温度で焼鈍し、その後少なくとも0.05
〜0.30%のAlを含む溶融亜鉛浴に浸漬してめっきを行
う、P含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が開示
されている。特開平11−50220 号公報に記載された技術
によれば、めっき被膜の均一性に優れ、合金化ムラの発
生もなく、めっき外観に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼
板が得られるとしている。
【0007】また、特開平5-163558号公報には、Si含有
量が0.2 %以上である高強度鋼板にゼンジマー方式で溶
融亜鉛めっき、およびその後引き続いて加熱合金化処理
を行うプロセスにおいて、鋼板表面に濃度0.1 %以上の
硫黄化合物水溶液を塗布したのち、非酸化性雰囲気で焼
鈍するSi含有高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が提
案されている。なお、特開平5-163558号公報に記載され
た技術では、通常用いられるゼンジマー方式のプロセス
(溶融亜鉛めっき設備)を採用している。
【0008】また、特開平11−286763号公報には、溶融
亜鉛めっき鋼板の製造装置が開示されている。特開平11
−286763号公報に記載された溶融亜鉛めっき鋼板の製造
装置は、鋼板の入側から順に、溶液塗布装置、誘導加熱
方式または直接通電加熱方式による鋼板加熱装置、焼鈍
炉を配するめっき装置であり、または、焼鈍炉入側にお
いて、鋼板の入側から順に、鋼板加熱装置、溶液噴霧装
置、焼鈍炉を配するめっき装置である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
11−286763号公報に記載された溶融亜鉛めっき鋼板の製
造装置では、鋼板表面性状によって溶液付着量がばらつ
くため、この装置で製造された鋼板では、鋼板表面の全
域で均一な効果を得られにくい問題があった。すなわ
ち、鋼板表面に油分、異物等が付着していたり、酸化膜
等が厚く生成している場合には、鋼板表面の濡れ性が変
化し、溶液のはじきが発生して溶液付着量が均一になら
ないのである。そのため、溶液塗布による焼鈍時のSi、
Mn、P等の表面濃化抑制効果が鋼板表面で不均一とな
り、不めっき、合金化速度のばらつきによる色調ムラ等
の表面外観欠陥が発生するという問題があった。
【0010】また、特開平5-163558号公報に記載された
技術は、直火加熱方式の焼鈍炉を用いるゼンジマー方式
で溶融亜鉛めっきを行うプロセスを採用しており、本発
明者らの実験によれば、焼鈍時に均一な焼鈍が行えず、
鋼板表面の全域で均一な効果が得られないという問題が
ある。すなわち、直火加熱方式の焼鈍炉では、鋼板表面
における火炎の当たり方に不均一があり、それが鋼板表
面における各種反応の不均一をもたらし、そのため、溶
液塗布による焼鈍時のSi、Mn、P等の表面濃化抑制効果
が鋼板表面で不均一となり、不めっき、合金化速度のば
らつきによる色調ムラ等の表面外観欠陥が発生するとい
う問題があった。
【0011】本発明は、上記した従来技術の問題を解決
し、不めっき、合金化ムラ・色調ムラ等の表面外観欠陥
を防止し、良好なめっき外観を有し、さらにめっき密着
性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板あるいは合金化溶融亜鉛
めっき鋼板を、安定して、かつ生産性高く、工程的に製
造できる溶融亜鉛めっき鋼板の製造設備を提供すること
を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題を達成するために、不めっき、合金化ムラ・色調ム
ラ等の表面外観欠陥を防止できる、最適な溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造設備について鋭意検討した。その結果、合
金元素の表面濃化を抑制するために鋼板表面に溶液を塗
布する前に、鋼板表面を清浄化する必要があることに思
い至った。そして、溶融亜鉛めっき鋼板の製造設備にお
いて、鋼板表面に溶液塗布を行う溶液塗布装置の前に鋼
板清浄化装置を配設する必要があることを知見した。ま
た、めっき外観を良好とするためには、焼鈍時の鋼板表
面における反応を均一化する必要があり、そのために
は、焼鈍炉をオールラジアントチューブ方式の焼鈍炉と
する必要のあることを知見した。
【0013】本発明は、上記した知見に基づき、さらに
検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明
は、溶融亜鉛めっき浴を配し鋼板に連続的に溶融亜鉛め
っきを施す溶融亜鉛めっき鋼板の製造設備において、前
記溶融亜鉛めっき浴の入側に、前記鋼板の表面を清浄化
する鋼板清浄化装置と、前記鋼板の表面に溶液、好まし
くはSを含有する物質の溶液、を塗布する溶液塗布装置
と、オールラジアントチューブ型焼鈍炉とを、順次配設
することを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造設備で
あり、また、本発明では、前記鋼板清浄化装置が、脱脂
処理手段と、酸洗処理手段と、あるいはさらに水洗手段
と乾燥手段とを順次配設したものであることが好まし
く、また、本発明では、前記溶液塗布装置の出側で該溶
液塗布装置に近接して、前記溶液を塗布した鋼板を乾燥
する乾燥装置を配設することが好ましく、また、本発明
では、前記溶液塗布装置が、ロールコート方式の溶液塗
布装置であることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明の溶融亜鉛めっき鋼板の製造設備では、
溶融亜鉛めっき浴の入側、すなわち、鋼板の進行方向か
ら順に、鋼板清浄化装置と、溶液塗布装置と、焼鈍炉と
を順次配設し、ついで溶融亜鉛めっき浴を配して、鋼板
に連続的に溶融亜鉛めっきを施す。
【0015】図1に、本発明の一実施例である溶融亜鉛
めっき鋼板の製造設備を示す。図1では、コイル状に巻
き取られた鋼板1は、払出し設備2から払い出され、鋼
板清浄化装置3で鋼板表面を清浄化され、ついで清浄化
された鋼板の表面に、溶液塗布装置4で均一に溶液を塗
布され、直ちに焼鈍炉6に導かれて熱処理を施される。
焼鈍炉6で熱処理を施された鋼板は、溶融亜鉛15に浸漬
され、鋼板表面に溶融亜鉛めっき層を形成されたのち、
めっき付着量調整装置9でめっき付着量を調整され、巻
取り装置(図示せず)で巻き取られる。
【0016】本発明では、まず払い出された鋼板1の表
面を清浄化することが必要である。本発明における鋼板
清浄化装置3は、鋼板表面を溶液に対して充分濡れ性を
有する程度に清浄化できる装置であれば、とくに限定さ
れないが、鋼中に多量の強化元素、例えばSi:0.1 質量
%以上および/またはMn:0.8 質量%以上、あるいはさ
らにP:0.02質量%以上、を含有する鋼板の清浄化に
は、脱脂処理手段と、酸洗処理手段と、あるいはさらに
水洗手段と乾燥手段とを順次配設するのが好ましい。脱
脂処理と酸洗処理は、簡便であり、かつ効果的に鋼板表
面の清浄化が達成できるうえ、設備コスト、ランニング
コスト等が安価であるという利点がある。鋼中に多量の
強化元素を含有する鋼板を清浄化する場合に、脱脂処理
手段のみでは、鋼板表面の酸化膜あるいは異物の除去が
不充分となり、塗布した溶液のはじきが発生して、溶液
を均一に塗布することが困難となる。また、酸洗処理手
段のみでも、鋼板表面に付着した油分の除去が不充分と
なり、塗布した溶液のはじきが発生して、溶液を均一に
塗布することが困難となる。なお、脱脂処理手段では、
アルカリ脱脂あるいは電解脱脂とするのが好ましく、ま
た酸洗処理手段では、塩酸あるいは硫酸等を用いた浸漬
酸洗とするのが好ましい。
【0017】鋼板清浄化装置3では、脱脂処理手段、酸
洗処理手段に続いて、水洗手段と乾燥手段を配設し、鋼
板表面に付着した残液を洗い流すのが好ましい。水洗手
段については、特に限定する必要はないが、従来から使
用されている手段がいずれも好適に用いることができ
る。例えば、スプレー方式の水洗あるいは浸漬方式の水
洗等が好ましい。
【0018】鋼板清浄化装置3で表面を清浄化された鋼
板は、ついで、溶液塗布装置4に導かれる。鋼板1は、
溶液塗布装置4で表面に溶液を塗布される。塗布する溶
液は、Sを含有する物質の溶液とするのが好ましい。本
発明における溶液塗布装置4は、鋼板1表面の幅方向、
長手方向に均一かつ所望量の溶液を塗布することができ
る装置であればよく、この条件に合致した公知の溶液塗
布装置がいずれも好適に適用でき、特に限定されない。
本発明において好適な溶液塗布装置としては、 接触方式、浸漬方式、スプレー噴霧方式、ロー
ルコート方式等の各種方式の溶液塗布装置が挙げられ
る。
【0019】接触方式の溶液塗布装置の一例を模式的に
図3に示す。図3に示す溶液塗布装置は、溶液を浸透す
る材料で作製された塗布端子16(例えば、布製)に、溶
液供給タンク13から配管14等を介し溶液を供給し、溶液
を含んだ塗布端子16を鋼板1の表面に機械的に接触させ
て、鋼板表面に溶液を塗布する方式の溶液塗布装置であ
る。しかし、この方式の溶液塗布装置では、塗布端子16
の材質と鋼板の組合せによっては、鋼板表面に擦り疵が
発生する場合があり、使用に際しては注意を要する。鋼
板表面に擦り疵が発生すると、めっき後の合金化過程で
合金化速度に差が生じ、筋状の色調むらとなったり、あ
るいは擦り疵がひどい場合には、めっき後の表面に筋状
の凹凸模様が発生するといった問題がある。
【0020】浸漬方式の溶液塗布装置の一例を模式的に
図4に示す。図4に示す溶液塗布装置は、鋼板1を、溶
液25を貯えた溶液槽23に浸漬して、鋼板表面に溶液を塗
布する方式の溶液塗布装置である。しかし、この浸漬方
式の溶液塗布装置では、大容量の溶液槽を必要とし、設
備費が高価であるうえ、多額のメンテナンスコストも必
要となる。また、鋼板との反応によって溶液槽中の溶液
濃度が変化する場合があり、濃度を一定に保持するため
の溶液濃度制御装置が必要になることもある。
【0021】スプレー噴霧方式の溶液塗布装置の一例を
模式的に図5に示す。図5(a)に示す溶液塗布装置
は、溶液供給用タンク13からスプレーヘッダー20を介し
溶液25を鋼板にスプレー噴霧し、鋼板表面に溶液を塗布
する方式の溶液塗布装置である。この方式の溶液塗布装
置では、余剰溶液回収装置18により集めた余剰の溶液
を、溶液タンク22に回収し、再利用することもできる。
この方式の溶液塗布装置では、鋼板に溶液を均一に塗布
するために、鋼板板幅以上のスリット状スプレーヘッダ
ー20を設置する必要がある。また、鋼板板幅以下のスプ
レーヘッダー20であれば、鋼板幅方向に走査するスプレ
ーヘッダー20を走査する装置が必要である。
【0022】図5(b)に示す溶液塗布装置は、溶液供
給用タンク13からスプレーヘッダー20を介し溶液25を鋼
板にスプレー噴霧したのち、余剰溶液掻取り装置21で余
剰溶液を掻き落とす方式の溶液塗布装置である。スプレ
ー噴霧の場合には、鋼板に衝突しない余剰の溶液あるい
は鋼板に衝突して弾かれた溶液が、溶液塗布装置周辺に
飛散して、周辺を汚染することのないように、溶液塗布
装置に飛散防止カバーを必要とする。
【0023】ロールコート方式の溶液塗布装置の一例を
模式的に図6に示す。図6(a)に示す溶液塗布装置
は、溶液供給タンク13と配管14で接続された溶液溜まり
26に一部浸漬させたピックアップロール17を介してコー
タロール24に溶液を供給し、コータロール24を鋼板に接
触させることにより溶液を鋼板表面に塗布するロールコ
ート方式の溶液塗布装置である。この溶液塗布装置は、
鋼板の搬送速度により塗布量が変化する場合がある。
【0024】図6(b)に示す溶液塗布装置は、溶液供
給タンク13と配管14で接続されたスプレーヘッダー20を
介し溶液25をコータロール24に供給し、コータロール24
にロール表面に不織布を貼り付けた不織布ロール19を接
触させて余剰溶液を吸い取って、一定量の溶液を鋼板1
の表面に塗布するロールコート方式の溶液塗布装置であ
る。この方式の溶液塗布装置によれば、一定量の溶液が
鋼板の搬送速度によらず塗布できる。
【0025】本発明では、溶液塗布装置は、適用する鋼
板の種類、サイズ、適用量等の操業条件に応じ、上記し
た溶液塗布装置から適宜、選択すればよい。上記した溶
液塗布装置のいずれかを利用して溶液を塗布すれば、鋼
板表面の幅方向、長手方向に均一に溶液を塗布すること
ができ、不めっきの防止あるいは合金化むらの防止が可
能となる。
【0026】本発明では、溶液塗布装置4の出側で、溶
液塗布装置4に近接して、溶液を塗布された鋼板1を乾
燥する乾燥装置5を配設するのが好ましい。溶液塗布装
置4の出側に近接して乾燥装置5を配設した一例を図2
に示す。乾燥装置5における乾燥手段は特に限定されな
いが、通電加熱方式、赤外加熱方式、放射加熱方式等の
加熱方式を採用した乾燥炉、あるいは熱風を用いたブロ
ワーが好適である。
【0027】溶液塗布装置4で、表面に溶液を塗布され
た鋼板1は、液ダレを防止したり、さび発生を防止する
ために、乾燥装置5で直ちに乾燥するのが好ましい。溶
液塗布装置4、あるいは乾燥装置5に続いて、焼鈍炉6
が配設される。本発明では、焼鈍炉6は、オールラジア
ントチューブ型焼鈍炉とする。焼鈍炉6は、通常公知の
焼鈍炉と同様に加熱帯10、均熱帯11、冷却帯13と分割さ
れた炉とするのが好ましく、加熱帯10、均熱帯11におけ
る加熱はすべてラジアントチューブによるものとする。
【0028】焼鈍炉を、オールラジアントチューブ型と
することにより、還元焼鈍時の塗布した溶液と鋼板との
反応が、鋼板の幅方向あるいは長手方向いずれにおいて
も均一とすることができ、不めっきや合金化むらの発生
を防止できる。オールラジアントチューブ型焼鈍炉とす
ることにより、はじめて不めっきや合金化むらの発生が
防止でき、本発明の最大の効果が得られるのである。
【0029】オールラジアントチューブ型焼鈍炉では、
NOF型焼鈍炉のように加熱帯で直火バーナーを使用し
ないため、火炎が直接鋼板に当たらず、塗布した溶液と
鋼板との反応が不均一とならない。さらに、オールラジ
アントチューブ型焼鈍炉では、スケールの発生もなく炉
内がクリーンに保持される。このため、スケールのピッ
クアップによる押し傷の発生がなく、また、スケール除
去といった炉内メンテナンスの必要もない。なお、図
1、図2では、焼鈍炉は横型としたが、縦型の焼鈍炉を
使用しても本発明の効果を損なうものではない。なお、
焼鈍炉と溶融亜鉛めっき浴との間の鋼板通路は、鋼板の
酸化等が生じないように、非酸化性雰囲気とするのが好
ましい。
【0030】焼鈍炉6の出側には、溶融亜鉛めっき浴7
が配設される。溶融亜鉛めっき浴7は、通常公知の溶融
亜鉛めっき浴でよく、所定の浴組成、温度に調節され
る。本発明では、溶融亜鉛めっき浴ポット7の出側、好
ましくはめっき付着量調節装置9の出側に、溶融亜鉛め
っき層の合金化を行う合金化炉8を配設することができ
る。合金化炉8は、めっき層の合金化処理ができる能力
があれば、ガス加熱方式、誘導加熱方式、通電加熱方式
等の炉あるいはこれらの組合せになる炉がいずれも適用
でき、炉の形式等はとくに限定する必要はない。
【0031】
【実施例】図2に示す溶融亜鉛めっき装置を用いて通板
速度:80m/min で、表1に示すSi、Mn、P含有鋼板(板
厚:0.7mm 、板幅:1000mm)に溶融亜鉛めっきを施し
た。コイル状に巻き取られた鋼板1を払出し、その表面
を鋼板清浄化装置3で清浄化した。鋼板清浄化装置3
は、脱脂処理手段、酸洗処理手段、および水洗手段、乾
燥手段を有するものを使用した。なお、脱脂処理は、10
mass%NaOH水溶液を80℃に加温し、鋼板を浸漬し、通電
量:5A/dm2、通電時間:5秒とする電解脱脂とした。酸
洗処理は、10mass%HCl 水溶液を60℃に加温して、鋼板
を5秒間浸漬した。脱脂処理−酸洗処理後、スプレー方
式および浸漬方式を組み合わせた水洗処理手段を用い
て、水洗処理を実施した。水洗処理後、乾燥手段(ブロ
ワー)を用いて、120 ℃の熱風で乾燥した。
【0032】鋼板の清浄化処理後、ついで溶液塗布装置
4を用いてSを含有する物質の溶液を鋼板表面に塗布し
た。Sを含有する物質の溶液として、硫酸アンモニウム
を水に溶解した20mass%濃度とした溶液を使用した。溶
液塗布装置4としては、図6(b)に示す表面に不織布
を付着したロール19を用いるロールコート方式の溶液塗
布装置を使用した。なお、溶液温度は室温とした。溶液
の塗布量はS換算で50mg/m2 とした。溶液塗布した後、
直に乾燥装置5で乾燥した。乾燥装置5としては、熱風
ブロワーを用いた。溶液塗布2秒後に120 ℃の熱風で乾
燥した。
【0033】乾燥後、鋼板に、アールラジアントチュー
ブ型焼鈍炉6で熱処理(焼鈍)を施した。焼鈍条件は下
記のとおりとした。 <焼鈍条件> 板温 : 800 ℃で20秒保持 雰囲気: N2+5vol%H2、露点:−35℃ 熱処理後直ちに鋼板1を、溶融亜鉛めっき浴ポット7に
浸漬し、溶融亜鉛めっき処理を施した。めっき条件は下
記のとおりとした。 <めっき条件> 浴温 : 470 ℃(≒侵入板温) 浴組成: Zn−0.14mass%Al−不可避不純物 付着量: 片面50g/m2 溶融亜鉛めっき処理後、鋼板に、合金化炉8で合金化処
理を施した。合金化処理条件は下記のとおりとした。
【0034】<合金化処理条件> 板温 : 490℃ なお、図1に示す溶融亜鉛めっき設備を用い、条件は上
記の場合と同一とし、脱脂処理、酸洗処理、溶液塗布の
いずれか一つ以上を実施しない場合を比較例とした。他
の条件は本発明例と同一とした。
【0035】得られた溶融亜鉛めっき鋼板については、
めっき性、めっき密着性を調査し、合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板については、合金化ムラ・色調ムラ、耐パウダリ
ング性を評価した。 (1)めっき性 各溶融亜鉛めっき鋼板のめっき表面を、10倍に拡大して
目視で、不めっき発生状況を観察し、めっき性を評価し
た。なお、不めっき箇所が認められる場合を×、認めら
れない場合を○とした。 (2)めっき密着性 各溶融亜鉛めっき鋼板ついてボールインパクト試験を実
施し、めっき密着性を評価した。ボールインパクト試験
は、1kgの重りを1mの高さから、直径1.27cmの半球状
突起の上に載せた溶融亜鉛鋼板上に落下させて、めっき
層の剥離状態を調査する。めっき層の剥離状態は、セロ
ハン粘着テープをはり付け、引き剥がしてめっき密着性
を評価した。なお、セロハン粘着テープ引き剥がし後の
めっき層の剥離状態は、めっき剥離ありを×、めっき剥
離なし・めっき亀裂ありを△、めっき剥離なし・めっき
亀裂なしを○、として評価した。 (3)色調ムラ・合金化ムラ 各合金化溶融亜鉛めっき鋼板の外観を、目視で観察し、
色調ムラあるいは合金化ムラの状況を調査した。その観
察結果を、○:色調ムラおよび合金化ムラの発生なく良
好、△:うすい色調ムラあるいはうすい合金化ムラが発
生、×:明瞭な色調ムラあるいは明瞭な合金化ムラが発
生、として評価した。 (4)耐パウダリング試験 各合金化溶融亜鉛めっき鋼板から採取した曲げ試験片
(30mm幅×40mm長さ)に、90゜曲げ戻しを行った後、谷
側の曲げ戻し部位に長さ300mm にわたりめっき面にセロ
ハン粘着テープをはり付け、引き剥がして、テープに付
着するめっき量により耐パウダリング性を評価した。幅
24mmのテープに付着するZn量が蛍光X線測定装置による
カウント数が1000cps 以下を○、1000超2000cps 以下を
△、2000cps 超を×として評価した。
【0036】これらの結果を表2に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】本発明例は、いずれもめっき性、めっき密
着性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板、および色調ムラ・合
金化ムラがなく、耐パウダリング性に優れた合金化溶融
亜鉛めっき鋼板となっている。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
Si、Mn、Pを含有する高張力鋼板を下地鋼板として溶融
亜鉛めっき処理あるいはさらに合金化処理を施しても、
不めっきや合金化ムラ・色調ムラの発生がなくめっき外
観に優れ、めっき密着性、耐パウダリング性に優れた溶
融亜鉛めっき鋼板を、安価でしかも安定して、生産性高
く工程生産が可能となり、産業上格段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である溶融亜鉛めっき鋼板の
製造設備を模式的に示す概略図である。
【図2】本発明の一実施例である溶融亜鉛めっき鋼板の
製造設備を模式的に示す概略図である。
【図3】溶液塗布装置の一実施例である、接触方式の溶
液塗布装置を模式的に示す概略図である。本発明の一実
施例である溶融亜鉛めっき鋼板の製造設備を模式的に示
す概略図である。
【図4】溶液塗布装置の一実施例である、浸漬方式の溶
液塗布装置を模式的に示す概略図である。
【図5】溶液塗布装置の一実施例である、スプレー噴霧
方式の溶液塗布装置を模式的に示す概略図である。
【図6】溶液塗布装置の一実施例である、ロールコート
方式の溶液塗布装置を模式的に示す概略図である。
【符号の説明】
1 鋼板 2 払出し設備 3 鋼板清浄化装置 4 溶液塗布装置 5 乾燥装置 6 焼鈍炉 7 溶融亜鉛めっき浴ポット 8 合金化炉 9 めっき付着量調整装置 10 加熱帯 11 均熱帯 12 冷却帯 13 溶液供給タンク 14 配管 15 溶融亜鉛 16 塗布端子 17 ピックアップロール 18 余剰溶液回収装置 19 不織布ロール 20 ノズルヘッダー 21 余剰溶液掻取り装置 22 溶液タンク 23 溶液槽 24 コーターロール 25 溶液 26 溶液溜まり

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融亜鉛めっき浴を配し鋼板に連続的に
    溶融亜鉛めっきを施す溶融亜鉛めっき鋼板の製造設備に
    おいて、前記溶融亜鉛めっき浴の入側に、前記鋼板の表
    面を清浄化する鋼板清浄化装置と、前記鋼板の表面に溶
    液を塗布する溶液塗布装置と、オールラジアントチュー
    ブ型焼鈍炉とを、順次配設することを特徴とする溶融亜
    鉛めっき鋼板の製造設備。
  2. 【請求項2】 前記鋼板清浄化装置が、脱脂処理手段
    と、酸洗処理手段と、あるいはさらに水洗手段と乾燥手
    段とを順次配設したものであることを特徴とする請求項
    1に記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造設備。
  3. 【請求項3】 前記溶液塗布装置の出側で該溶液塗布装
    置に近接して、前記溶液を塗布した鋼板を乾燥する乾燥
    装置を配設することを特徴とする請求項1または2記載
    の溶融亜鉛めっき鋼板の製造設備。
  4. 【請求項4】 前記溶液塗布装置が、ロールコート方式
    の溶液塗布装置であることを特徴とする請求項1ないし
    3のいずれかに記載の溶融亜鉛めっき鋼板の製造設備。
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