JP2002047541A - 冷間加工性に優れた高耐食ステンレス鋼およびそれを用いた直線案内装置 - Google Patents
冷間加工性に優れた高耐食ステンレス鋼およびそれを用いた直線案内装置Info
- Publication number
- JP2002047541A JP2002047541A JP2000231726A JP2000231726A JP2002047541A JP 2002047541 A JP2002047541 A JP 2002047541A JP 2000231726 A JP2000231726 A JP 2000231726A JP 2000231726 A JP2000231726 A JP 2000231726A JP 2002047541 A JP2002047541 A JP 2002047541A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- stainless steel
- mass
- cold workability
- corrosion resistance
- high corrosion
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16C—SHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
- F16C33/00—Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
- F16C33/30—Parts of ball or roller bearings
- F16C33/58—Raceways; Race rings
- F16C33/62—Selection of substances
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16C—SHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
- F16C29/00—Bearings for parts moving only linearly
- F16C29/04—Ball or roller bearings
- F16C29/06—Ball or roller bearings in which the rolling bodies circulate partly without carrying load
- F16C29/0633—Ball or roller bearings in which the rolling bodies circulate partly without carrying load with a bearing body defining a U-shaped carriage, i.e. surrounding a guide rail or track on three sides
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Bearings For Parts Moving Linearly (AREA)
Abstract
有する冷間加工性の良いステンレス鋼を提供し、そのス
テンレス鋼を冷間加工してなる高耐食性の直線案内装置
を提供する。 【解決手段】 炭素:0.25〜0.45質量%、珪
素:0.5質量%以下、マンガン:0.1〜0.5質量
%、硫黄:0.005質量%を越え0.02質量%以
下、クロム:13.0〜16.5質量%、モリブデン:
1.5質量%以下、酸素:0.005質量%以下、窒
素:0.03〜0.15質量%、を含有し、残部が鉄お
よび不可避不純物からなるマルテンサイト系の高耐食ス
テンレス鋼によって、上記課題を解決する。そして、こ
の冷間加工性に優れたステンレス鋼を用いることによっ
て、高耐食性の直線案内装置を精度良く製造する。
Description
た高耐食ステンレス鋼およびそれを用いた直線案内装置
に関し、更に詳しくは、高い耐食性と高い疲労寿命を有
しつつ、変形抵抗を低下させて冷間加工性を向上させた
高耐食ステンレス鋼、およびそれを用いた直線案内装置
に関する。
物担持用のテーブル等を案内する直線案内装置の一例を
示すものである。この直線案内装置は、長手方向に沿っ
て転動体転走面1aが形成された軌道レール1と、多数
の転動体2を介してこの軌道レール1に装着すると共に
内部に転動体2の無限循環路を備えたスライド部材3と
から構成されている。この直線案内装置において、軌道
レール1を固定した場合には、転動体2の循環によって
スライド部材3が往復運動するように動作するが、スラ
イド部材3を固定した場合には、転動体2の循環によっ
て軌道レール1が往復運動するように動作する。
耐食性、耐摩耗性、寸法安定性、耐熱性等の種々の特性
が要求されている。このうち、転動疲労寿命と耐食性
は、直線案内装置の耐久性に直接影響するので特に重要
である。こうした特性を発揮する種々の材料として、例
えばSUS431等のマルテンサイト系ステンレス鋼が
従来より検討されている。
ては、上記の特性を発揮する材料を容易且つ精度良く加
工できることが工業上極めて重要である。そのため、S
US420J2、SUS410等のマルテンサイト系ス
テンレス鋼や、特開平5−39546号公報に記載のマ
ルテンサイト系ステンレス鋼(以下「開示ステンレス
鋼」という。)等が検討されている。
料であっても、依然として以下のような問題がある。
したクロム鋼であるので、耐食性には優れるものの、焼
き鈍し硬さが高くて冷間加工性に劣るので、熱間鍛造に
よらなければ加工できない。しかも、熱間鍛造後の加工
品は、寸法精度が悪いので、その後に切削加工が必要と
なる。この切削加工は、熱間鍛造後の加工品の切削代を
大きく取って行われるので、不経済であると共に工程コ
ストが高いという問題がある。また、SUS431は、
焼き鈍し後の硬さが高いので、切削加工時の加工工具が
激しく消耗して工具費用がかさむという問題もある。
は、冷間加工性には優れるものの、焼入焼戻し硬さが低
く転動疲労寿命に劣ると共に、耐食性も劣るという問題
がある。
C相当の硬さ(HRCで58以上)を満足させつつ耐食
性の向上と冷間加工性の向上を図ったものであるが、耐
食性と冷間加工性については未だ十分な特性を発揮して
いるとはいえない。
環境にもよるが、転動疲労破壊を原因とするものより
も、錆(腐食生成物)の発生を原因とするものが多いと
いう現実がある。しかしながら、従来の直線案内装置
は、耐久性の向上を、主として転動疲労寿命の向上に委
ねていたので、材料開発にあたっては、高い転動疲労寿
命特性を有する鋼材の中から優れた耐食性を有する材料
を選定するという開発手法がとられていた。そのため、
高い耐食性を有して耐久性に優れた直線案内装置用の材
料については、必ずしも合理的に開発されていたとは言
えなかった。
と転動破壊疲労特性とを考慮しつつ上記問題を解決する
ためになされたものであって、優れた耐食性と必要十分
な焼入焼戻し硬さを有するステンレス鋼、およびそのス
テンレス鋼を冷間加工してなる高耐食性の直線案内装置
を提供する。
優れた高耐食ステンレス鋼は、炭素:0.25〜0.4
5質量%、珪素:0.5質量%以下、マンガン:0.1
〜0.5質量%、硫黄:0.005質量%を越え0.0
2質量%以下、クロム:13.0〜16.5質量%、モ
リブデン:1.5質量%以下、酸素:0.005質量%
以下、窒素:0.03〜0.15質量%、を含有し、残
部が鉄および不可避不純物からなることに特徴を有す
る。
に優れた高耐食ステンレス鋼(以下「本発明のステンレ
ス鋼」という。)は、焼き鈍し硬さが低いので、変形抵
抗が低い。そのため、冷間加工によって加工することが
できるので、寸法精度に優れた加工部品を容易に製造す
ることができ、加工コストの低減を図ることができる。
また、本発明のステンレス鋼は、優れた耐食性を示すの
で、錆の発生がなく、加工部品の寿命を向上させること
ができる。
加工性に優れた高耐食ステンレス鋼において、ニッケ
ル:1.25質量%以下をさらに含有することに特徴を
有する。
らに含有させることによって、耐食性をさらに向上させ
ることができる。
2に記載の冷間加工性に優れた高耐食ステンレス鋼にお
いて、焼入焼戻し後の硬さが、50HRC以上であるこ
とに特徴を有する。
50HRC以上であるので、その硬さが要求される加工
部品に好ましく使用できる。
請求項3の何れかに記載の冷間加工性に優れた高耐食ス
テンレス鋼を用いて製造したことに特徴を有する。
ステンレス鋼を用いて製造したので、寸法精度に優れた
直線案内装置を容易に製造することができ、加工コスト
の低減を図ることができる。また、こうして製造された
直線案内装置は、優れた耐食性を示すので、錆の発生が
なく、加工部品の寿命を向上させることができる。
ステンレス鋼 本発明の冷間加工性に優れた高耐食ステンレス鋼は、炭
素:0.25〜0.45質量%、珪素:0.5質量%以
下、マンガン:0.1〜0.5質量%、硫黄:0.00
5質量%を越え0.02質量%以下、クロム:13.0
〜16.5質量%、モリブデン:1.5質量%以下、酸
素:0.005質量%以下、窒素:0.03〜0.15
質量%、を含有し、残部が鉄および不可避不純物からな
るものである。こうした成分組成からなる本発明のステ
ンレス鋼は、優れた冷間加工性、高耐食性、高疲労寿命
といった特性の全てを満たすことができ、特に直線案内
装置用の鋼材として好ましく用いることができる。
のステンレス鋼が有する特徴の一つである。本発明にお
いては、ステンレス鋼中の炭素含有量とクロム含有量と
を調整することによって、焼き鈍し状態で析出する炭化
物を、冷間加工を阻害しないM23C6 型の炭化物とし
た。このとき、冷間加工を阻害するM7C3型の巨大な炭
化物はほとんど析出することがない。さらに、珪素含有
量とマンガン含有量を低減させることによって、冷間加
工性をより向上させた。このとき、単に炭素含有量を低
減させると、δ−フェライト相が生成して冷間加工性が
向上するが、δ−フェライト相の周囲に析出した炭化物
の影響により耐食性の低下が生じたり、転動疲労寿命が
低下してしまう。
テンレス鋼が有する特徴の一つである。本発明において
は、冷間加工性の場合と同様、ステンレス鋼中の炭素含
有量とクロム含有量とを調整してδ−フェライト相の生
成を抑制することによって、優れた耐食性を確保した。
も、本発明のステンレス鋼が有する特徴の一つである。
本発明においては、冷間加工性および耐食性の場合と同
様、ステンレス鋼中の炭素含有量とクロム含有量とを調
整してδ−フェライト相の生成を抑制することによっ
て、優れた転動疲労寿命を確保した。また、ステンレス
鋼中の酸素含有量を一定量以下にすることによって、酸
化物系介在物の生成を抑制して転動疲労寿命の低下を防
いだ。また、低い炭素含有量による強度の低下を補うた
めに、炭素と同じ侵入型固溶原子である窒素の含有量を
調整した。また、冷間加工後に1000〜1100℃で
熱処理することによって、析出炭化物の径を30μm以
下、且つアスペクト比10以下とすることができ、転動
疲労寿命を向上させた。なお、析出炭化物の径およびア
スペクト比は、ミクロ組織観察により調査を行った。
た理由を説明する。なお、以下において、「%」は「質
量%」を意味する。
さを持たせる必須の元素である。この炭素は、主にクロ
ムや鉄と炭化物を形成する。炭素含有量が0.25%未
満では、δ−フェライト相が生成して冷間加工性が向上
するものの、焼きが入りにくく、後述するような適度な
硬さ(具体的には、50HRC以上)を得ることができ
ない。さらに、生成したδ−フェライト相の周囲に炭化
物が生成し易く、その炭化物の影響により耐食性の低下
が生じたり、転動疲労寿命が低下することがある。一
方、炭素含有量が0.45%を超えると、焼き鈍し後の
組織に、冷間加工を阻害するM7C3型の巨大炭化物が生
成しやすいので、冷間加工性が悪くなる。そのため、炭
素含有量を、冷間加工を阻害しないM23C6 型の炭化物
が析出し易い0.25〜0.45%の範囲に限定した。
炭素含有量をこうした範囲にすることによって、焼き鈍
し時に、加工性を阻害しない球状炭化物を析出させるこ
とができる(図2を参照。)。さらに冷間加工後の焼入
焼き戻し処理を行うと、炭化物を僅かに残したまま、炭
素(C)をマトリックス中に固溶させることができる
(図3を参照。)。
る。珪素は、炭素との親和力が小さいので炭化物を作ら
ず、フェライトに固溶して硬さおよび強さを高める効果
を有している。しかし、0.50%を超えて含有させる
と、冷間加工性が低下する。そのため、珪素含有量を、
0.5%以下に限定した。
れる。マンガンは、硫黄と化合物(MnS)を形成して
被削性を確保すると共に、赤熱脆さを防止したり、固溶
して変態点を下げて焼入れ性を向上させたり、強度や靭
性を増す効果を有している。マンガン含有量が0.1%
未満では、被削性が低下する。一方、マンガン含有量が
0.5%を超えると、靱性と冷間加工性が低下する。そ
のため、マンガン含有量を、0.1〜0.5%の範囲に
限定した。
S)を形成して被削性を確保する効果を有している。硫
黄含有量が0.005%以下では、被削性が低下する。
一方、硫黄含有量が0.02%を超えると、耐食性が低
下することがある。そのため、硫黄含有量を、0.00
5%を越え0.02%以下の範囲に限定した。
重要な元素であり、鋼材の表面に耐食性に優れた緻密な
皮膜を形成する。この皮膜が形成されたステンレス鋼
は、大気中はもちろん硝酸などの酸化性の酸に対しても
腐食されにくく、また高温での耐酸化性も改善される。
さらに、クロムは、炭素と結合して炭化物を形成し易い
元素であるが、生成した炭化物の型や量によって得られ
る部材の特性が変化するので、炭素含有量との関係から
も重要な元素である。クロム含有量が13.0%未満で
は、耐食性がやや低下することがある。一方、クロム含
有量が16.5%を超えると、δ−フェライト相が生成
し易く、転動疲労寿命が低下することがある。そのた
め、クロム含有量を、13.0〜16.5%の範囲に限
定した。なお、クロム含有量の下限を15.0%とする
ことが好ましく、耐食性をさらに向上させることができ
る。
化物となって析出し、ステンレス鋼の高度を高めたり、
耐食性を向上させる作用を有している。しかし、モリブ
デン含有量が1.5%を超えると、δ−フェライトが生
成し易く、靱性が低下して転動疲労寿命が低下すること
がある。そのため、モリブデン含有量を、1.5%以下
に限定した。
して転動疲労寿命を低下させる原因となったり、他の金
属元素と酸化物を生じて粒界に偏析して赤熱脆さの要因
となる。特に、0.0050%(50ppm)を超える
と、酸化物系介在物等が存在して転動疲労寿命が低下す
る。そのため、酸素含有量を、0.0050%(50p
pm)以下に限定した。本発明においては、酸素含有量
と後述の窒素含有量を%表示しているが、これらの成分
は微量分析が可能であり、しばしばppm表示されるの
で併せて表記した。
であり、炭素含有量の低減に基づく強度の低下を補うと
共に、耐食性の確保のために添加される。窒素含有量が
0.0300(300ppm)%未満では、適度な焼入
焼戻し硬さ(具体的には、50HRC以上)を得ること
ができないと共に、耐食性も低下する。一方、窒素含有
量が0.1500%(1500ppm)を超えると、ブ
ローホールが生成することがある。そのため、窒素含有
量を、0.0300(300ppm)〜0.1500%
(1500ppm)の範囲に限定した。
ほかに、ニッケル(Ni)を1.25%以下含有させる
こともできる。この範囲のニッケルの添加は、ステンレ
ス鋼の耐食性をさらに向上させる。しかし、ニッケル含
有量が1.25%を超えると焼き鈍しし難くなると共に
焼き鈍ししても硬さが低下せず、冷間加工性が悪くな
る。そのため、ニッケルを添加する場合には、その含有
量を、1.25%以下に限定した。
物が含まれる。また、本発明のステンレス鋼には、本発
明の目的を阻害しない範囲内であることを条件に、その
他の元素(例えば、リン(P)など)が含まれていても
よい。
ステンレス鋼において、焼き鈍し状態でのミクロ組織
は、冷間加工を阻害しないM23C6 型の炭化物を有する
組織となり、変形抵抗が低く、優れた冷間加工性を発揮
することができる。また、冷間引き抜き後に1000〜
1100℃で焼入焼戻しを行うと、そのミクロ組織は、
フェライト相の生成が抑制されたマルテンサイト相とな
り、さらに、最大径が30μm以下でアスペクト比が1
0以下の炭化物を有する組織となる。こうしたミクロ組
織を有する本発明のステンレス鋼は、靱性に優れ、高い
転動疲労寿命を発揮することができると共に、高い耐食
性を有している。また、このステンレス鋼には、少なく
とも50HRC(ロックウエル硬さのCスケール)以上
の硬さをもたせることができるので、少なくとも50H
RC以上の硬さが要求される部材用の材料として、好ま
しく用いることができる。
鋼は、優れた冷間加工性と耐食性と転動疲労寿命を有す
るので、直線案内装置に使用される部品、例えば軌道レ
ールやスライド部材として好ましく使用することができ
る。
鋼、すなわち冷間加工性に優れたマルテンサイト系の高
耐食ステンレス鋼を用いて製造したものである。
は、高耐食性と適度な転動疲労寿命を有していると共に
冷間加工し易いという特徴があるので、このステンレス
鋼を冷間加工することによって、寸法精度に優れた直線
案内装置を容易に製造することができる。その結果、製
造の容易化・効率化と加工コストの低減を図ることがで
きる。また、製造された直線案内装置は、優れた耐食性
を示すので、錆の発生がなく、加工部品の寿命を向上さ
せることができる。
る成分の作用により切削性も優れている。そのため、切
削加工を行う場合にあっては、切削加工を容易に行うこ
とができると共に、加工治具の消耗も少ない。なお、切
削加工は、冷間加工によって精度良く加工された後に行
われるので、熱間加工の場合と比較すると、その切削代
を著しく少なくすることができるという利点がある。
スライド部材や軌道レールであることが好ましいが、そ
の他直線案内装置に用いられる各種部品であってもよ
い。直線案内装置を、同じ材料からなる部品で構成する
ことは、耐食性の観点からも好ましい。なお、軌道レー
ルは、図1に示すような断面が角形状のもののほか、断
面が略円形の軌道レールでも、ボールねじのように冷間
引き抜き加工後に切削加工が必要なものであってもよ
い。また、スライド部材についても、図1に示すものの
ほか、各種の形状のものにも好ましく適用できる。
うなプロセスで製造される。
た本発明のステンレス鋼を、1100℃前後で熱間鍛造
や熱間圧延等を行って、冷間加工に供する所定サイズの
母材に加工する。
サイズに加工し、必要に応じて切削加工し、本発明の直
線案内装置を製造する。冷間加工は、一般的には冷間引
き抜き加工が採用されるが、冷間鍛造や冷間圧延等の各
種の冷間加工であってもよく、製造する直線案内装置の
形状によって選択することができ、特に限定されない。
こうした冷間加工に際しては、必要に応じ、ステンレス
鋼材に潤滑皮膜を付与したり、ステンレス鋼を潤滑剤の
中で加工したり、さらに、冷間加工によって加工硬化し
たステンレス鋼材を加工し易くするための焼き鈍し処理
等を施すことができる。このとき、潤滑被膜の付与とし
ては、リン酸亜鉛潤滑被膜の湿式成膜処理や二硫化モリ
ブデンの塗布処理等を挙げることができ、潤滑剤中での
加工としては、二硫化モリブデン粉末中や、珪酸ナトリ
ウム等のガラス系の潤滑粉末中での加工を挙げることが
できる。こうした手段によって、加工性を良くしたり、
ダイス等の加工治具との焼き付き等を防止することがで
きる。
工が好ましく採用され、先ず、本発明のステンレス鋼材
に潤滑性被膜を形成して引き抜き加工し、次いで任意の
温度(例えば、870℃、4時間)で焼き鈍し処理し、
さらに引き続いて潤滑性被膜の形成や引き抜き加工を段
階的に行った後、焼入焼戻し等の熱処理を行うことによ
って、所望の形状・サイズおよび特性を有する軌道レー
ルが製造される。また、スライド部材等の製造には、冷
間鍛造加工が好ましく採用される。
部品は、高耐食且つ必要十分な硬度を有するので、例え
ばスライド部材内で無限循環する転動体に接触する軌道
レールとして用いることによって、腐食生成物の発生の
ない安定した転動接触面を維持できる直線案内装置とす
ることができる。
らに具体的に説明する。
真空溶解炉にて溶製した後、1100℃での熱間鍛造に
より所定の径の丸棒に鍛伸した。このとき、転動疲労寿
命評価は直径65mmの丸棒に鍛伸したものを用い、そ
の他の評価は直径25mmの丸棒に鍛伸したものを用い
た。表1の各鋼において、実施鋼1、2は本発明のステ
ンレス鋼であり、比較鋼1〜3は、本発明で規定する成
分組成の範囲から外れた鋼である。なお、比較鋼2は、
従来品として使用されているSUS431に相当するも
のであり、比較鋼3は、従来品として使用されているS
US420J2に相当するものである。
ーリング加工して先付加工した後、潤滑剤である二硫化
モリブデンを塗布して、引き抜き加工を行った。引き抜
き加工は、荒引き、中引き、中引き、仕上げ引きの順で
行い、仕上げ引き後を除き、各引き抜き加工後に焼き鈍
し処理と潤滑処理を施した。焼き鈍し処理は、大気雰囲
気中で870℃・4時間熱処理し、その後、約30℃/
Hrの条件で650℃まで冷却し、その後空冷した。ま
た、潤滑処理は、上記同様、二硫化モリブデンを塗布し
て潤滑膜を形成した。
状に加工された仕上げ引き後の試験試料を焼入焼戻し処
理した。焼入焼戻し処理は、1050℃で30分間保持
した後水冷し、その後150℃・1時間の条件で焼き戻
しした。
3に示した。焼入焼戻し後のミクロ組織には、球状の炭
化物11が観られた。このとき、炭化物11の径は30
μm以下であり、アスペクト比は10以下であった。
転動疲労寿命測定、硬さ測定を行い、その結果を表2に
示した。また、上記の引き抜き加工状態を相対的に評価
した冷間加工性についての結果も表2に示した。
(5%NaCl水溶液、35℃、16時間)によった。
評価は、耐食性試験後において、錆が発生していない場
合を合格とし、錆が発生した場合を不合格とした。
大ヘルツ圧縮応力(Pmax ):4410MPa(450
kgf/mm2 )、応力繰り返し速度:1800cp
m、潤滑剤:スピンドル油の条件下で試験を行い、B10
寿命(10%累積破損確率)で転動疲労寿命を評価し
た。B10寿命が、応力繰り返し数5×106 回以上の場
合を合格とし、5×106 回未満の場合を不合格とし
た。
RC)での測定値(合格基準は50HRC以上。)で評
価した。
価によって判断し、鋼材および引き抜き機器がともに問
題なしの場合を合格とし、鋼材が破断もしくは引き抜き
機器への負荷が大きい場合は不合格とした。
は、何れも優れた特性を示していた。一方、炭素含有量
が低い比較鋼1を使用した比較試料1は、δ−フェライ
ト相が形成され、耐食性と転動疲労寿命に劣る結果とな
った。ニッケル含有量が高い比較鋼2を使用した比較試
料2は、冷間加工性に劣っていた。酸素含有量が高い比
較鋼3を使用した比較試料3は、酸化物系介在物の形成
が観られ、転動疲労寿命に劣る結果となった。また、ク
ロム量が低く、耐食性も劣る結果となった。
ス鋼によれば、焼き鈍し硬さが低く変形抵抗が低いの
で、冷間加工によって加工することができる。その結
果、寸法精度に優れた加工部品を容易に製造することが
でき、加工コストの低減を図ることができる。また、本
発明のステンレス鋼は、優れた耐食性を示すので、錆の
発生がなく、加工部品の寿命を向上させることができ
る。
装置を上記のステンレス鋼を用いて製造したので、寸法
精度に優れた直線案内装置を容易に製造することがで
き、加工コストの低減を図ることができる。また、こう
して製造された直線案内装置は、優れた耐食性を示すの
で、錆の発生がなく、加工部品の寿命を向上させること
ができる。
含む斜視図である。
クロ組織(焼きなまし状態)である。
クロ組織(焼入焼戻し状態)である。
Claims (4)
- 【請求項1】 炭素:0.25〜0.45質量%、珪
素:0.5質量%以下、マンガン:0.1〜0.5質量
%、硫黄:0.005質量%を越え0.02質量%以
下、クロム:13.0〜16.5質量%、モリブデン:
1.5質量%以下、酸素:0.005質量%以下、窒
素:0.03〜0.15質量%、を含有し、残部が鉄お
よび不可避不純物からなることを特徴とする冷間加工性
に優れた高耐食ステンレス鋼。 - 【請求項2】 ニッケル:1.25質量%以下をさらに
含有することを特徴とする請求項1に記載の冷間加工性
に優れた高耐食ステンレス鋼。 - 【請求項3】 焼入焼戻し後の硬さが、50HRC以上
であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載
の冷間加工性に優れた高耐食ステンレス鋼。 - 【請求項4】 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の
冷間加工性に優れた高耐食ステンレス鋼を用いて製造し
たことを特徴とする直線案内装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000231726A JP2002047541A (ja) | 2000-07-31 | 2000-07-31 | 冷間加工性に優れた高耐食ステンレス鋼およびそれを用いた直線案内装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000231726A JP2002047541A (ja) | 2000-07-31 | 2000-07-31 | 冷間加工性に優れた高耐食ステンレス鋼およびそれを用いた直線案内装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002047541A true JP2002047541A (ja) | 2002-02-15 |
Family
ID=18724516
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000231726A Pending JP2002047541A (ja) | 2000-07-31 | 2000-07-31 | 冷間加工性に優れた高耐食ステンレス鋼およびそれを用いた直線案内装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002047541A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006112212A1 (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-26 | Thk Co., Ltd. | 運動案内装置及びその製造方法 |
WO2015055187A1 (de) * | 2013-10-15 | 2015-04-23 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Lagerelement für ein wälz- oder gleitlager |
JP2018009214A (ja) * | 2016-07-13 | 2018-01-18 | 山陽特殊製鋼株式会社 | Ni含有高Cマルテンサイト系耐熱鋼 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000144246A (ja) * | 1998-11-18 | 2000-05-26 | Nippon Steel Corp | 冷間加工性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼の安価製造方法 |
-
2000
- 2000-07-31 JP JP2000231726A patent/JP2002047541A/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000144246A (ja) * | 1998-11-18 | 2000-05-26 | Nippon Steel Corp | 冷間加工性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼の安価製造方法 |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006112212A1 (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-26 | Thk Co., Ltd. | 運動案内装置及びその製造方法 |
JP5275626B2 (ja) * | 2005-03-31 | 2013-08-28 | Thk株式会社 | 運動案内装置 |
WO2015055187A1 (de) * | 2013-10-15 | 2015-04-23 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Lagerelement für ein wälz- oder gleitlager |
JP2018009214A (ja) * | 2016-07-13 | 2018-01-18 | 山陽特殊製鋼株式会社 | Ni含有高Cマルテンサイト系耐熱鋼 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1236809B1 (en) | High-hardness martensitic stainless steel excellent in corrosion resistance | |
EP3088550A1 (en) | Carburized-steel-component production method, and carburized steel component | |
JP2956324B2 (ja) | 加工性および転動疲労性に優れた軸受用鋼 | |
KR20150126699A (ko) | 표면 경화용 강재와 표면 경화강 부품 | |
JP5307729B2 (ja) | 無鉛快削鋼 | |
KR20200103821A (ko) | 침탄 처리가 행해지는 부품용 강재 | |
US11965231B2 (en) | Steel material to be starting material of carbonitrided bearing component | |
KR100712581B1 (ko) | 제조성과 내식성이 우수한 베어링 강 및 그 제조 방법 및베어링 부품 및 그 제조 방법 | |
JP6728612B2 (ja) | 軸受部品 | |
JP2001026836A (ja) | 冷間加工性、転動疲労強度およびねじり疲労強度に優れた高周波焼入用鋼ならびに機械構造用部品 | |
JPH0254739A (ja) | 加工性に優れ、かつ球状化焼鈍処理を簡略化または省略可能な軸受用鋼 | |
JP2003213380A (ja) | 転動装置 | |
JPH04349A (ja) | 加工性および転動疲労性に優れた軸受用鋼 | |
JP2002047541A (ja) | 冷間加工性に優れた高耐食ステンレス鋼およびそれを用いた直線案内装置 | |
JP2018165403A (ja) | 低サイクル疲労強度および被削性に優れた浸炭用鋼材および浸炭部品 | |
JP4949234B2 (ja) | 転がり運動装置及びその製造方法 | |
JP2000282182A (ja) | 冷間加工性に優れた高疲労寿命・高耐食マルテンサイト系ステンレス鋼 | |
EP1496132A1 (en) | Steel for case hardening bearing excellent in toughness and rolling fatigue life in quasi-high temperature region | |
JP5077814B2 (ja) | シャフト及びその製造方法 | |
JP2937735B2 (ja) | 高周波焼入用耐銹・耐摩耗用鋼 | |
JP3605276B2 (ja) | 耐異物環境用高周波焼入鋼および直線運動装置 | |
JPH07316742A (ja) | 耐銹性に優れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼および冷間成形加工品の製造方法 | |
JPS59159971A (ja) | 焼入性のすぐれた冷間鍛造用鋼 | |
JP7163770B2 (ja) | 転がり軸受部品及びその製造方法 | |
JP2000144333A (ja) | 溶解法による高硬度高速度工具鋼 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070703 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090616 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090623 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090824 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20100907 |