JP2002047093A - シリコン単結晶引上装置 - Google Patents

シリコン単結晶引上装置

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JP2002047093A JP2000231225A JP2000231225A JP2002047093A JP 2002047093 A JP2002047093 A JP 2002047093A JP 2000231225 A JP2000231225 A JP 2000231225A JP 2000231225 A JP2000231225 A JP 2000231225A JP 2002047093 A JP2002047093 A JP 2002047093A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、チョクラルスキー法によるシリコ
ン単結晶の引上げ過程で最も重要とされる単結晶インゴ
ットのクラウン部成長工程においてフラッシュアウトの
発生を抑制し、所望形状で欠陥のないシリコン単結晶イ
ンゴットを製造することができるシリコン単結晶引上装
置を提供する。 【解決手段】 チョクラルスキー法を用いたシリコン単
結晶引上装置において、シリコン融液自由表面上からの
輻射放熱及びルツボ上部からの輻射放熱を抑制する輻射
カバー6を、前記融液自由表面とルツボ2側壁面の夫々
に近接して配設すると共に、前記ルツボ2内の底部融液
を保温する下部ヒータ7をルツボ2底面の近傍に配設し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はチョクラルスキー法
を用いたシリコン単結晶引上装置に関し、特に、単結晶
インゴットのクラウン部(肩部)形状が良好で、無転位
の単結晶インゴットが安定的に得られるシリコン単結晶
引上装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、チョクラルスキー法を用いた従来
のシリコン単結晶引上装置は、図6に示すように、水冷
チャンバー100と、前記水冷チャンバー100内に配
置された石英ルツボ101と、前記石英ルツボ101を
保持するカーボンサセプタ102と、前記サセプタ10
2の側面外周部を囲うカーボンヒータ103と、前記カ
ーボンヒータ103の熱放散ロスを防止する保温筒10
4(熱遮蔽筒)とを備えている。また、前記カーボンサ
セプタ102の底面にはルツボ支持軸105が配設さ
れ、外部の図示しない駆動機構によって上下動可能、回
転可能に構成されている。したがって、このルツボ支持
軸105により、サセプタ102を介して石英ルツボ1
01が回転、及び上下動する。
【0003】また、前記水冷チャンバー100には、そ
の天壁面を貫通してルツボ101内に垂下する引上げ用
ワイヤー107が配置されている。前記引上げ用ワイヤ
ー107は、水冷チャンバーの外部にあるプルヘッド1
06を介して図示しない引上げ制御機構に連結されると
共に、その先端部にシードチャック(図示しない)を介
してシード単結晶108が取り付けられている。このシ
ード単結晶108は、引上げ用ワイヤー107によって
上下動、及び回動する。なお、図6中の符号109は水
冷チャンバー100内を監視するための監視窓である。
【0004】このように構成されたシリコン単結晶引上
装置では、石英ルツボ101内に収容された多結晶シリ
コン等の原料をヒータ103で加熱溶融し、その融液L
1中にシード単結晶108の先端部を懸垂させて浸け
る。そして、充分になじませた後、シード単結晶108
の引上げを開始する。このとき、単結晶を無転位成長さ
せる条件として、シード単結晶108の先端部に直径数
mm程度のシードネック110を作成する(この工程を
「ネッキング」工程と呼ぶ)。その後、シード単結晶1
08を引き上げながら、単結晶を太らせてクラウン部1
11(この部分を「シードコーン部」または「肩部」と
も呼ぶ)を成長させ、引き続いて直胴部(図示しない)
を成長させることにより、全体として棒状の単結晶イン
ゴットを育成する。
【0005】このシリコン単結晶引上げ過程では、クラ
ウン部111の成長工程は最も重要な工程とされてい
る。即ち、このクラウン部のテーパ形状は、無転位成長
に影響を及ぼすことが文献等に指摘され、また、円形断
面の単結晶インゴットを得るためには、この工程での引
上げ速度やシード回転数の適切な調整が重要であること
も指摘されている(例えば、W.Zulehner,D.Huber,in;J.
Grabmaier(Ed.),Crystals 8,Silicon 、Chemical Etchi
ng, Springer,Berlin 、1982,p.7-10 )。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したようにチョク
ラルスキー法を用いたシリコン単結晶製造においては、
クラウン部(肩部)の成長工程が重要である。このクラ
ウン部(肩部)について、所望のテーパ形状及び断面形
状を得るためには、引上装置の構造、特に、前記装置の
引上げ部やホットゾーン(ヒータ、保温筒、熱遮蔽筒、
サセプタ、石英ルツボ等から構成される原料溶融のため
の構成部)の構造に合わせて、引上速度、シード回転
数、ルツボ回転数、ヒータ加熱の消費電力、ルツボ位置
等の多数の引上パラメータを調整する必要がある。
【0007】しかしながら、従来のシリコン単結晶引上
装置では、引上げる単結晶インゴットの径やそれに伴う
ホットゾーン容積が大きくなるに従い、このクラウン部
成長工程での調整が困難になる傾向がある。その結果、
ホットゾーンの構造やパラメータ調整の如何によって
は、例えば、図7(a)に示すように、前記クラウン部
111の成長途中でその直径が急激に張り出し拡大した
フラッシュアウト112が発生する。そして、その横断
面形状は図7(b)に示すように花びら状に変形する。
なお、図7(b)は図7(a)のa−a’断面図であ
る。このようにフラッシュアウト112が発生し、その
横断面が花びら状に変形した場合には、シリコン単結晶
の無転位成長が崩れる確率が非常に高くなり好ましくな
い。
【0008】前記したフラッシュアウトが発生すると、
その矯正は、前記パラメータ調整だけでは充分に達成で
きない場合が多く、この場合には、過去の経験を頼りに
試行錯誤によるホットゾーン構成の変更が必要となる。
【0009】本発明者等は、上記課題の解決を目的とし
て、先ず、前記クラウン部成長工程で生ずるフラッシュ
アウトの発生原因を究明すべく、前記工程時におけるル
ツボ内シリコン融液の温度分布の測定と融液流れの計算
機解析を実施した。この結果、図8に示すように、引上
げられるシリコン単結晶の凝固界面近傍の位置に、局所
的に周辺よりも低温となる領域(図8において符号Aで
示された部分)が認められた。そして、このような局所
的に低温領域を有する状態の融液から単結晶を引上げる
と、前記したフラッシュアウトが発生することが判明し
た。本発明者等は、上記知見に基づき、凝固界面近傍に
局所的に出現する低温領域の発生解消手段を鋭意検討し
た結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0010】本発明は、チョクラルスキー法によるシリ
コン単結晶の引上げ過程で最も重要とされる単結晶イン
ゴットのクラウン部成長工程においてフラッシュアウト
の発生を抑制し、所望形状で欠陥のないシリコン単結晶
インゴットを製造することができるシリコン単結晶引上
装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになされたものであり、チョクラルスキー法を
用いたシリコン単結晶引上装置において、シリコン融液
自由表面上からの輻射放熱及びルツボ上部からの輻射放
熱を抑制する輻射カバーを、前記融液自由表面とルツボ
側壁面の夫々に近接して配設すると共に、前記ルツボ内
の底部融液を保温する下部ヒータをルツボ底面の近傍に
配設したことを特徴としている。
【0012】このように、輻射カバーが前記融液自由表
面とルツボ側壁面の夫々に近接して配設され、前記ルツ
ボ内の底部融液を保温する下部ヒータをルツボ底面の近
傍に配設したため、シリコン単結晶引上げ過程のクラウ
ン部(肩部)成長工程において、フラッシュアウトの発
生が抑制され、所望のテーパ及び円形の横断面形状に制
御することができる。その結果、結晶欠陥の生成が抑制
された良品質のシリコン単結晶を得ることができる。
【0013】即ち、シリコン単結晶引上装置におけるル
ツボ中心から径方向のシリコン融液面温度分布を示した
線図(図8)を参照することにより明らかなように、従
来の装置では、凝固界面近傍で局所に周囲よりも低温と
なる領域(図8において符号Aで示された部分)が見ら
れる。そして、前記融液の温度分布を有する従来の装置
からシリコン単結晶を引上げた場合、そのクラウン部引
上げ工程において高確率でフラッシュアウト及び花びら
変形が発生する。
【0014】この局所的な低温領域は、図9から明らか
ように、ルツボ壁の高温部(図9において符号Bで示さ
れた部分)から内側(中心部)ヘ移動しつつ上昇し、凝
固界面で温度低下した後に、融液自由表面を外周に向か
う流動が、ルツボ壁に沿って上昇し融液自由表面で中心
に向かう別の流動と衝突して滞留する結果生じる。従っ
て、上記の局所的な低温領域の発生を抑制するには、凝
固界面近傍の融液自由表面で衝突する上記二つの流動
(融液表面を外周に向かう流動とルツボ壁に沿って上昇
し融液表面で中心に向かう流動)を生じさせないことが
必要である。
【0015】従来の装置のルツボ内融液が図9に示した
ような複数の流動セルに分岐した流動状態を示す原因に
としては、以下のことが推定される。即ち、図6に示し
た装置にあっては、ヒータの発熱分布及びヒータからル
ツボ内部側への入熱分布が均一ではなく、ヒータの発熱
中心に近い部分の入熱が最大となる。その結果、入熱最
大の部分にあたるルツボ壁及びその壁に接触する融液の
温度が高くなる(例えば、図9でのB部)。
【0016】この高温部(図9のB部)とルツボ中心
部、ルツボ上部との温度差が大きい場合には、融液の対
流は前記高温部(B部)を起点として融液内側に向かっ
て上昇し、凝固界面で温度低下した後に、融液表面を外
周に向かう流動が発生する。同時に、同じ高温部(B
部)を起点として、ルツボ壁に沿って上昇し融液表面で
中心に向かう流動も発生する。そして、上記二つの流動
が衝突する結果、融液が表面近傍に部分的に滞留する部
分が生じ、これが局所的な低温領域(図9でのA部)と
なる。
【0017】従って、図9のB部を起点とする分岐流動
する複数の流動セルの発生を抑え、凝固界面近傍の局所
的な低温領域(A部)の生成を抑制するには、高温部で
あるB部に対する局所的な過加熱を低減することが必要
である。その方法として、ヒータからの入熱を、融液自
由表面、ルツボ上部、ルツボ底部から放熱させないこと
が効果的である。即ち、上記放熱を抑制することによっ
て、ルツボと融液の接触部の温度が均一になり、その結
果、B部のような過加熱による高温部が解消される。
【0018】以上のように、本発明は、融液自由表面上
及び石英ルツボ上部からの輻射放熱を抑制するための輻
射カバーと、ルツボ底部の融液を保温するための下部ヒ
ーターとを組み合わせ、夫々を前記所定位置に設けるこ
とにより上記作用効果を奏させ、本発明の目的を達成し
たものである。
【0019】特に、前記輻射カバーが、引上げられるシ
リコン単結晶の直胴部径より大径の開口を有する基底板
部と、前記基底板部の外周縁から上方に延びる筒部と、
前記筒部の上端に設けられたフランジ部とを備え、前記
輻射カバーの基底板部の下面と前記融液自由表面との距
離が10〜50mmの範囲に、かつ前記輻射カバーの筒
部の外周面とルツボ側壁面との距離が10〜50mmの
範囲に夫々位置するように、輻射カバーが配設されるこ
とが望ましい。前記融液自由表面からの輻射放熱と石英
ルツボ上部からの輻射放熱をいずれも効果的に抑制する
ことができる。
【0020】また、前記下部ヒータがルツボ支持軸を中
心にして対称に配設される共に、前記下部ヒータの消費
電力がルツボ側面に配置された主ヒータの消費電力の1
0〜40%に制御されることが望ましい。石英ルツボ底
部の融液の保温作用が得られるため望ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかるシリコン単
結晶引上装置の実施の形態を図面を参照して更に詳細に
説明する。なお、図1は、本発明のチョクラルスキー法
を用いたシリコン単結晶引上装置の構成を示す概略図で
ある。図1に示されたシリコン単結晶引上装置は、水冷
チャンバー1と、前記水冷チャンバー1内部に収容され
た石英ルツボ2と、前記石英ルツボ2を保持するカーボ
ンサセプタ3と、前記カーボンサセプタ3の側壁外側に
設けられた溶融加熱用主ヒータ4と、前記主ヒータ4の
外側に設けられた放熱を防止するための保温筒5と、前
記石英ルツボ2に収容されたシリコン融液の自由表面上
及び石英ルツボ上部からの輻射放熱を抑制するための輻
射カバー6と、前記石英ルツボ2の底部保温するための
下部ヒータ7と、下部ヒータ7の下方に設けられた放熱
を防止する下部保温板8とを備えている。
【0022】また、前記カーボンサセプタ3の底面には
ルツボ支持軸9が配設され、外部の図示しない駆動機構
によって上下動可能、回転可能に構成されている。した
がって、このルツボ支持軸9により、サセプタ3を介し
て石英ルツボ2が回転、及び上下動する。
【0023】前記水冷チャンバー1には、その天壁面を
貫通して石英ルツボ2内に垂下する引上げ用ワイヤー1
0が配置されている。前記引上げ用ワイヤー10は、水
冷チャンバー1の外部にあるプルヘッド11を介して図
示しない引上げ制御機構に連結されると共に、その先端
部にシードチャック(図示しない)を介してシード単結
晶12が取り付けられている。このシード単結晶12
は、引上げ用ワイヤー10によって上下動、及び回動す
る。なお、図1中の符号13は水冷チャンバー100内
を監視するための監視窓である。
【0024】また、前記輻射カバー6の好適な形態を、
図4、図5に示す。図示したように、前記輻射カバー
が、引上げられるシリコン単結晶の直胴部径より大径の
開口を有する円環状の基底板部41、51と、前記基底
板部の外周縁から上方に延びる筒部42、52と、前記
筒部42、52の上端に設けられた円環状フランジ部4
3、53とから構成されている。なお、図4に示した輻
射カバー6は、筒部42の上方にテーパ面42aを有す
る点において、図5に示した輻射カバー6と異なる。
【0025】この装置を稼働してシリコン単結晶を引上
げるには、先ず、石英ルツボ2内にシリコン多結晶等の
原料を入れ、これを主ヒータ4で加熱溶融させてシリコ
ン融液L1を形成する。このとき、下部ヒータ7を加熱
溶融のための補助ヒータとして用いても、用いなくても
良いが、溶融後のシード付け以前には通電しておき、石
英ルツボ2の底部の融液を保温する。また、加熱溶融時
には原料多結晶のチャージ面よりも充分に上方に待機さ
せていた輻射カバー6を、融液自由表面と石英ルツボ2
の側壁面の夫々に近接して配設する。
【0026】この状態における融液流動状態の解析結果
は、図2に示すように石英ルツボ2の底部から石英ルツ
ボ壁に沿って上方に流動する大きなセル流が認められる
だけで、図9に見られたような二つの流動セルの衝突現
象は見られない。しかも、シリコン融液の温度分布の測
定においても、図3に示されているように、図8に見ら
れたような凝固界面近傍の局所的な低温領域(図8のA
部)も発生していない。
【0027】上記のように、二つの流動セルの衝突現象
及び局所的な低温領域が抑制されたのは、輻射カバー6
と下部ヒータ7とを共に設置したためと考えられ、図1
の装置において、例えば輻射カバー6が配設されていな
い場合には、図9に示されたB部が石英ルツボ2上部に
移動するだけで、局所的な低温領域A部が凝固界面近傍
に発生する状態は変わらない。他方、下部ヒータ7を使
用しない場合には、過加熱されたB部は上記の場合とは
逆に石英ルツボ2下部に移動し、局所的な低温領域A部
が凝固界面近傍に発生する状態は、同様に変わらない。
即ち、本発明の目的とする効果を充分に奏するために
は、図1に示すように輻射カバー6と下部ヒータ7とを
共に、夫々の所定位置に配設することが必須である。
【0028】また、融液自由表面及び石英ルツボ上部か
らの輻射放熱を効果的に抑制するためには、前記輻射カ
バー6を、融液自由表面上及び石英ルツボ2側壁に近接
して配置することが好ましく、例えば、融液自由表面に
対向する輻射カバー6基底部下面と融液表面との距離は
50mm以下であることが好ましい。但し、前記輻射カ
バー6の基底部下面を融液表面に近接し過ぎると、融液
表面に波立ちが生じた場合に融液と接触してしまう危険
があるため、両者間には10mm以上の距離をおくこと
が好ましい。
【0029】また、上記と同様な理由により、前記輻射
カバー6の側壁部(短筒外周部)と石英ルツボ側壁部と
の間隔も50mm以下が好ましく、更に、10mm以下
に近づけると石英ルツボ2が加熱軟化して変形した場合
に、輻射カバー6と石英ルツボ2が接触する危険がある
ため、両者の間は10mm以上の距離をおくことが好ま
しい。
【0030】また、下部ヒータ7は、可能な限り石英ル
ツボ2の底部に近接させて配設するのが保温効果上好ま
しいが、石英ルツボ2自身が引上工程中に上下動するた
め、水冷チャンバー1下部の有効空間やカーボンサセプ
タ3の底部形状、肉厚等との関係からその設置位置は自
ずと限定される。一般的には、石英ルツボ2の底部外面
と前記下部ヒータ7上面との距離は、引上開始時200
〜300mm程度に設定される。また、下部ヒータ7
は、ルツボ支持軸を中心にして対称に配設され、石英ル
ツボ2の底部を均一に保温するように構成されている。
【0031】更に、下部ヒータ7の保温熱量の調整は、
主としてその消費電力を調整制御することにより達成さ
れる。一般に、この下部ヒータの消費電力は主ヒータ4
の消費電力の10〜40%程度に制御されることが保温
が適正かつ効果的に奏される点から好ましい。前記下部
ヒータ7の消費電力が大きすぎると石英ルツボ2下部が
過加熱状態となり、その結果、石英ルツボ2内の融液L
1 の上下方向の対流が増加し、単結晶中の酸素濃度の増
加や不均一な取り込みが起こる。具体的に、主ヒータ4
と下部ヒータ7について述べると、例えば、 円筒形主ヒータ :内径675mm×高さ540mm、
発熱長400mm、1600℃での抵抗値73mΩ 円板形下部ヒータ:直径465mm、厚さ32mm、1
600℃での抵抗値32mΩであって、ヒータ部が渦巻
き状(蚊取り線香型に形成されたものを用いることがで
きる。
【0032】
【実施例】「実施例1」図1の構成を備えた本発明のシ
リコン単結晶引上装置により、石英ルツボ(内径610
mm)内に150kgのシリコン多結晶原料を投入し、
次いで溶融して、深さ240mmの融液を調製した。輻
射カバー6の基底板部と融液表面との距離は30mm、
輻射カバー6の外周面(側壁部)と石英ルツボ2の側壁
部との距離は40mm、主ヒータ4の加熱電力(消費電
力)は100kw、下部ヒータ7は、石英ルツボ2の底
部の下方200mmに配設され、その加熱電力(消費電
力)は20kwであった。
【0033】図2に、その際の石英ルツボ内の融液流動
状態の解析結果を、図3に石英ルツボ内の融液自由表面
のルツボ中心から径方向の温度分布測定の結果を、夫々
示した(図2、図3は、いずれも石英ルツボ縦断面右半
分の状態を示す)。
【0034】この状態で、シード付け工程、ネッキング
工程と順次工程を以降させた後、クラウン部(肩部)成
長工程に進み、前記工程を引上速度を調整しながら行っ
た。シード回転、ルツボ位置等、その他のパラメータの
全てについて、通常インゴットの直胴部を育成するとき
の値(従来値)に設定した。その結果、引上げられた単
結晶インゴットのクラウン部にはフラッシュアウトや花
びら変形は発生せず、所望のテーパ形状を得ることがで
きた。そして、そのまま無転位で直胴部に移行し、最終
的に目的とする直径300mmの無転位の単結晶インゴ
ットを作製した。更に、上記と同様の条件で同様の操作
工程を繰り返し30回実施したが、いずれも極めて良好
な結果を得ることができ、再現性が極めて良好であっ
た。
【0035】
【発明の効果】上述したとおり、本発明のシリコン単結
晶引上装置によれば、クラウン部成長工程でのフラッシ
ュアウトや花びら変形の発生を抑制でき、形状の良好な
インゴットを無転位で容易に育成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明にかかるシリコン単結晶引上装
置の実施形態を示す概略図である。
【図2】図2は、図1に示したシリコン単結晶引上装置
のクラウン部成長工程での流動融液の流速ベクトルを示
した図である。
【図3】図3は、図1に示したシリコン単結晶引上装置
のクラウン部成長工程での融液表面の温度分布を示す図
である。
【図4】本発明にかかるシリコン単結晶引上装置で用い
られる輻射カバーの一例を示す概略図であって、(a)
は斜視図、(b)は縦断面図である。
【図5】本発明にかかるシリコン単結晶引上装置で用い
られる輻射カバーの他の例を示す概略図であって、
(a)は斜視図、(b)は縦断面図である。
【図6】図6は、従来のシリコン単結晶引上装置の全体
の構成を示す概略図である。
【図7】図7は、従来装置のクラウン部引上げの際に生
ずる変形を示す図であって、(a)はフラッシュアウ
ト、(b)はその横断面を示す図である。
【図8】図8は、従来装置のクラウン部成長工程での融
液表面の温度分布を示す図である。
【図9】図9は、従来装置のクラウン部成長工程での流
動融液の流速ベクトルを示す図である。
【符号の説明】
1 水冷チャンバー 2 石英ルツボ 3 カーボンサセプタ 4 主ヒータ 5 保温筒 6 輻射カバー 7 下部ヒータ 8 下部保温板 9 ルツボ支持軸 10 引上げ用ワイヤー 11 プルヘッド 12 シード単結晶 13 監視窓 14 シードネック 15 クラウン部 41、51 基底板部 42、52 筒部 43、53 フランジ部 L1 融液

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チョクラルスキー法を用いたシリコン単
    結晶引上装置において、 シリコン融液自由表面上からの輻射放熱及びルツボ上部
    からの輻射放熱を抑制する輻射カバーを、前記融液自由
    表面とルツボ側壁面の夫々に近接して配設すると共に、
    前記ルツボ内の底部融液を保温する下部ヒータをルツボ
    底面の近傍に配設したことを特徴とするシリコン単結晶
    引上装置。
  2. 【請求項2】 前記輻射カバーが、引上げられるシリコ
    ン単結晶の直胴部径より大径の開口を有する基底板部
    と、前記基底板部の外周縁から上方に延びる筒部と、前
    記筒部の上端に設けられたフランジ部とを備え、 前記輻射カバーの基底板部の下面と前記融液自由表面と
    の距離が10〜50mmの範囲に、かつ前記輻射カバー
    の筒部の外周面とルツボ側壁面との距離が10〜50m
    mの範囲に夫々位置するように、輻射カバーが配設され
    ることを特徴とする請求項1に記載されたシリコン単結
    晶引上装置。
  3. 【請求項3】 前記下部ヒータがルツボ支持軸を中心に
    して対称に配設される共に、前記下部ヒータの消費電力
    がルツボ側面に配置された主ヒータの消費電力の10〜
    40%に制御されることを特徴とする請求項1または請
    求項2に記載されたシリコン単結晶引上装置。
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