JP3642174B2 - シリコン単結晶の引上げ装置及びその引上げ方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコン単結晶棒を引上げて育成するシリコン単結晶の引上げ装置及びその引上げ方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シリコン単結晶棒を育成する方法としてるつぼ内のシリコン融液から半導体用の高純度シリコン単結晶棒を成長させるチョクラルスキー法(以下、CZ法という)が知られている。このCZ方法では、石英るつぼの周囲に設けられたカーボンヒータにより石英るつぼ内のシリコン融液を加熱して所定温度に維持し、ミラーエッチングされた種結晶をシリコン融液に接触させ、種結晶を引上げてシリコン単結晶棒を育成するものである。このシリコン単結晶棒の育成方法では、種結晶を引上げてシリコン融液から種絞り部を作製した後、目的とするシリコン単結晶棒の直径まで結晶を徐々に太らせて肩部を形成し、その後更に引上げてシリコン単結晶棒の直胴部を形成するようになっている。
【0003】
このCZ方法におけるシリコン単結晶棒の品質及び生産性を向上させるために、従来この種の装置には、チャンバ内に設けられたシリコン融液を貯留する石英るつぼを上昇又は下降させるるつぼ昇降手段と、シリコン融液から成長するシリコン単結晶棒を包囲する筒状の熱遮蔽体とを備えたものが知られている。るつぼ昇降手段は、石英るつぼを上昇させることによりシリコン単結晶棒の引上げに伴うシリコン融液表面の低下を防止し、シリコン融液の表面を所定位置に維持して均一なシリコン単結晶棒を得るようにするとともに、熱遮蔽体がシリコン単結晶棒を包囲して、シリコン融液の熱が成長したシリコン単結晶棒に到達しないように遮蔽し、シリコン単結晶棒の冷却速度を向上させて引上げ速度を増大し、シリコン単結晶棒の生産性を向上するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のシリコン単結晶の引上げでは、熱遮蔽体によるシリコン融液の熱の遮蔽効果が乏しく、特にシリコン融液近傍におけるシリコン単結晶棒の冷却が十分でなかった。このため、シリコン単結晶棒の中心部の軸方向の固液界面近傍における温度勾配が変動する不具合がある。一方、シリコン単結晶棒の大口径化が進むと、上記シリコン単結晶棒の中心部の軸方向の温度勾配の変動は更に大きくなることが予想される。このため、シリコン単結晶棒中に上記温度勾配の変動に基づく熱的ストレスが発生する恐れがあった。
本発明の目的は、シリコン融液から引上げ中のシリコン単結晶棒の中心部の軸方向の固液界面近傍における温度勾配を均一にすることにより、シリコン単結晶棒中の熱的ストレスの発生を抑制できるシリコン単結晶の引上げ装置及びその引上げ方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、シリコン融液12を貯留する石英るつぼ13を上昇又は下降させるるつぼ昇降手段17と、シリコン融液12から成長するシリコン単結晶棒25を包囲する筒状の熱遮蔽体26とを備えたシリコン単結晶の引上げ装置の改良である。
その特徴ある構成は、石英るつぼ13の内面と熱遮蔽体26の外面の間を覆う面積を有する環状の熱輻射体27と、チャンバ11の上部から吊り下げられ周囲にラックギヤが形成され下端に熱輻射体27が取付けられた支持棒42と、チャンバ11の上部に設けられラックギヤに歯合する駆動ギヤが内蔵され駆動ギヤの回転により支持棒42を上下動させるギヤボックス43と、チャンバ11の上部に設けられ駆動ギヤを駆動する駆動モータ46とを備えたところにある。
駆動モータ46により駆動ギヤを駆動して支持棒42を昇降させ、熱輻射体27を熱遮蔽体26及びるつぼ昇降手段17とそれぞれ独立して上昇又は下降させることにより、熱輻射体27がシリコン融液12の熱をチャンバ内に放散するのを防ぎ、熱遮蔽体26とともに成長したシリコン単結晶棒25の冷却を促進し、直胴部25cの形成時のシリコン単結晶棒25の中心部の軸方向の温度勾配を均一にする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、図4に示すように、熱輻射体27に1又は2以上の通孔27cが形成されたシリコン単結晶の引上げ装置である。
熱輻射体27に1又は2以上の通孔27cを形成することにより、不活性ガスをこの通孔27cに流通させてシリコン融液12の表面から蒸発したガスをこの不活性ガスとともに有効に排出する。
【0008】
請求項3に係る発明は、石英るつぼ13に貯留されたシリコン融液12から成長するシリコン単結晶棒25を筒状の熱遮蔽体26で包囲した状態でシリコン単結晶を引上げるシリコン単結晶の引上げ方法の改良である。
その特徴ある点は、シリコン単結晶棒25の肩部25b形成時に石英るつぼ13の内面と熱遮蔽体26の外面の間を覆う面積を有する環状の熱輻射体27を熱遮蔽体26に遊嵌して石英るつぼ13の上端又は上方に配置し、シリコン単結晶棒25の直胴部25c形成時にシリコン融液12の液面近傍に熱輻射体27を配置するところにある。
肩部25bの形成時に熱輻射体27を石英るつぼ13の上端又は上方に配置し、シリコン融液12の熱を形成途中の肩部25bに積極的に放散させることにより、速やかに肩部25bを形成させ、シリコン単結晶棒25の直胴部25cの形成時にシリコン融液12の液面近傍に熱輻射体27を配置し、シリコン融液12の熱が直胴部25cに直接放散するのを防ぎ、熱遮蔽体26とともに成長したシリコン単結晶棒25の冷却を促進して、直胴部25c形成時のシリコン単結晶棒25の中心部の軸方向の温度勾配を肩部25bの形成時と同等に高く維持する。
【0009】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3に示すように、シリコン単結晶の引上げ装置10のチャンバ11内には、シリコン融液12を貯留する石英るつぼ13が設けられ、この石英るつぼ13の外面は黒鉛サセプタ14により被覆される。石英るつぼ13の下面は黒鉛サセプタ14を介して支軸16の上端に固定され、この支軸16の下部はるつぼ昇降手段17に接続される。るつぼ昇降手段17は図示しないが石英るつぼ13を回転させる第1回転用モータと、石英るつぼ13を昇降させる昇降用モータとを有し、これらのモータにより石英るつぼ13が所定の方向に回転し得るとともに、上下方向に移動可能となっている。石英るつぼ13の外周面は石英るつぼ13から所定の間隔をあけてカーボンヒータ18により包囲され、このカーボンヒータ18は保温筒19により包囲される。カーボンヒータ18は石英るつぼ13に投入された高純度のシリコン多結晶体を加熱・溶融してシリコン融液12にする。
【0010】
またチャンバ11の上端には円筒状のケーシング21が接続される。このケーシング21には引上げ手段22が設けられる。引上げ手段22はケーシング21の上端部に水平状態で旋回可能に設けられた引上げヘッド(図示せず)と、このヘッドを回転させる第2回転用モータ(図示せず)と、ヘッドから石英るつぼ13の回転中心に向って垂下されたワイヤケーブル23と、上記ヘッド内に設けられワイヤケーブル23を巻取り又は繰出す引上げ用モータ(図示せず)とを有する。ワイヤケーブル23の下端にはシリコン融液12に浸してシリコン単結晶棒25を引上げるための種結晶24が取付けられる。
【0011】
更に、チャンバ11にはこのチャンバ11のシリコン単結晶棒側に不活性ガスを供給しかつ上記不活性ガスをチャンバ11のるつぼ内周面側から排出するガス給排手段28が接続される。ガス給排手段28は一端がケーシング21の周壁に接続され他端が上記不活性ガスを貯留するタンク(図示せず)に接続された供給パイプ29と、一端がチャンバ11の下壁に接続され他端が真空ポンプ(図示せず)に接続された排出パイプ30とを有する。供給パイプ29及び排出パイプ30にはこれらのパイプ29,30を流れる不活性ガスの流量を調整する第1及び第2流量調整弁31,32がそれぞれ設けられる。
【0012】
一方、シリコン単結晶棒25の外周面と石英るつぼ13の内周面との間には、シリコン単結晶棒25を包囲する筒状の熱遮蔽体26が設けられる。熱遮蔽体26はシリコン融液12の熱をシリコン単結晶棒25に到達しないように遮蔽するために設けられ、この熱遮蔽体26の上縁には外方に略水平方向に張り出すフランジ部26aが連設される。このフランジ部26aを保温筒19上に載置することにより熱遮蔽体26はチャンバ11内に固定され、熱遮蔽体26の下縁は石英るつぼ13に貯留されたシリコン融液12表面から所定の距離だけ上方に位置するように構成される。
【0013】
熱遮蔽体26には環状の熱輻射体27が遊嵌して設けられる。図5に示すように、熱輻射体27は環状のカーボンのケーシング27bの内部に断熱材27aを充填することにより作られ、熱輻射体27は石英るつぼ13の内面と熱遮蔽体26の外面の間を覆う面積を有するように構成される。また、図4及び図5に示すように、熱輻射体27はガス給排手段28(図1〜図3)により供給された不活性ガスを流通させるために下部から上部に向って互いに広がるように斜めに形成された複数の通孔27cと、後述する熱輻射体昇降手段41(図1〜図3)により支持されるための一対の支持孔27dが形成される。熱輻射体27はシリコン融液12からの放熱を反射しかつシリコン融液12からの輻射熱を蓄熱する。これにより、熱輻射体27はシリコン融液12の熱がチャンバ11内に放散するのを防ぐとともに、熱遮蔽体26とともに成長したシリコン単結晶棒25の冷却を促進し、とくに直胴部25cの形成時(図1及び図2)におけるシリコン単結晶棒25の軸方向の温度勾配を肩部25bの形成時(図3)と同等に高く維持するようになっている。
【0014】
図1〜図3に戻って、チャンバ11の上部にはケーシング21を挟むように一対の熱輻射体昇降手段41が設けられる。熱輻射体昇降手段41は周囲にラックギヤ(図示せず)が形成され下端が熱輻射体27の支持孔27dに挿通された支持棒42と、チャンバ11の上部に設けられラックギヤに歯合する駆動ギヤが内蔵され駆動ギヤの回転により支持棒42を上下動させるギヤボックス43と、チャンバ11の上部にサポート部材44を介して取付けられ回転軸46aが駆動ギヤに接続された駆動モータ46とを有する。熱輻射体27の支持孔27dに挿通され支持棒42の下部には大径部42aが形成され、この大径部42aは熱輻射体27を下面から支持するように構成される。熱輻射体昇降手段41は、駆動モータ46による回転軸46aの回転によりギヤボックス43に内蔵された図示しない駆動ギヤが回転し、支持棒42を上下動させることにより熱輻射体27を上昇又は下降させるように構成される。
【0015】
一方、引上げ手段22における引上げ用モータの出力軸(図示せず)にはロータリエンコーダ(図示せず)が設けられ、るつぼ昇降手段17には石英るつぼ13内のシリコン融液12の重量を検出する重量センサ(図示せず)と、支軸16の昇降位置を検出するリニヤエンコーダ(図示せず)とが設けられる。ロータリエンコーダ、重量センサ及びリニヤエンコーダの各検出出力はコントローラ(図示せず)の制御入力に接続され、コントローラの制御出力は引上げ手段22の引上げ用モータ、るつぼ昇降手段17の昇降用モータ及び熱輻射体昇降手段41の駆動モータ46にそれぞれ接続される。またコントローラにはメモリ(図示せず)が設けられ、このメモリにはロータリエンコーダの検出出力に対するワイヤケーブル23の巻取り長さ、即ちシリコン単結晶棒25の引上げ長さが第1マップとして記憶され、重量センサの検出出力に対する石英るつぼ13内のシリコン融液12の液面レベルが第2マップとして記憶される。コントローラは重量センサの検出出力に基づいて石英るつぼ13内のシリコン融液12の液面を常に一定のレベルに保つように、るつぼ昇降手段17の昇降用モータを制御するとともに、熱輻射体27をるつぼ昇降手段17と独立して上昇又は下降するように熱輻射体昇降手段41の駆動モータ46を制御するように構成される。
【0016】
このように構成された装置による本発明によるシリコン単結晶の引上げ方法を説明する。
図3に示すように、石英るつぼ13に高純度のシリコン多結晶体を投入し、カーボンヒータ18によりこの高純度のシリコン多結晶体を加熱・溶融してシリコン融液12にする。このシリコン多結晶体の溶融に際し、熱輻射体昇降手段41は支持棒42を上方に移動させ、この実施の形態では熱輻射体27を石英るつぼ13の上方に配置する。シリコン多結晶体が溶融して石英るつぼ13にシリコン融液12が貯留されたならば、次に、第1及び第2流量調整弁31,32を開くことにより不活性ガスをケーシング21内に供給してシリコン融液12の表面から蒸発したガスをこの不活性ガスとともに排出パイプ30から排出させる。
【0017】
次に、引上げ手段の図示しない引上げ用モータによりワイヤ19を繰出して種結晶24を降下させ、種結晶24の先端部をシリコン融液12に接触させる。その後種結晶24を徐々に引上げて種絞り部25aを形成した後、更に種結晶24を引上げることにより種絞り部25aの下部に先ず肩部25bを育成させる。この肩部25bの形成時において、熱輻射体27が石英るつぼ13の上方に配置されているので、シリコン融液12の熱が形成途中の肩部25bに積極的に放散し、速やかに肩部25bの形成が行われる。
【0018】
肩部25bが育成されたならば、図1に示すように、更に種結晶24を引上げることにより肩部25bの下方に直胴部25cを形成する。この直胴部25cの形成に際し、熱輻射体昇降手段41は支持棒42を下方に移動させ、シリコン融液12の液面近傍に予め熱輻射体27を配置する。シリコン融液12の液面近傍に位置する熱輻射体27は、シリコン融液12の熱が直胴部25cに直接放散するのを防ぎ、熱遮蔽体26とともに成長したシリコン単結晶棒25の冷却を促進し、直胴部25cの形成時における単結晶棒25の中心部の軸方向の温度勾配を肩部25bの形成時と同等に高く維持する。
【0019】
直胴部25cの育成に伴い、シリコン融液12の表面は低下し、減少する融液12の量に応じて図示しない昇降用モータはるつぼ13を上昇させ、図2に示すように、種結晶24の引上げとともに低下するシリコン融液12の表面を所定位置に維持させる。この石英るつぼ13の上昇にもかかわらず、熱輻射体昇降手段41はシリコン融液12の液面近傍に熱輻射体27を維持させる。シリコン融液12の液面近傍に位置する熱輻射体27はシリコン融液12の熱が直胴部25cに直接放散するのを防ぎ、熱遮蔽体26とともに成長したシリコン単結晶棒25の冷却を促進し、直胴部25cの中心部における軸方向の固液界面における温度勾配を均一にする。
【0020】
なお、上述した実施の形態では、環状のカーボンのケーシング27bの内部に断熱材27aを充填した熱輻射体27を使用したが、熱輻射体はシリコン融液12のチャンバ11内への放熱を防ぐことができる限り、図6及び図7に示すような環状のモリブデンからなる板材であっても良い。このような板状の熱輻射体47にあっては、支持孔47d及びガス給排手段により供給された不活性ガスを流通させるための複数の通孔47cを打抜き又は一部立ち上げにより形成することができる。
【0021】
また、上述した実施の形態では、肩部25bの形成に際し、熱輻射体27を石英るつぼ13の上方に配置したが、熱輻射体27を石英るつぼ13の上端に配置しても良い。熱輻射体27を石英るつぼ13の上端に配置すれば、石英るつぼ13の上端に位置する熱輻射体27はシリコン融液12の熱がチャンバ11内へ放散することを防ぎ、カーボンヒータ18からの熱が石英るつぼ13を介して効率良くシリコン融液12に伝達され、シリコン融液12を少ない電力で所定の温度にすることができる。
【0022】
【実施例】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図1に示すように、内径が約400mmの石英るつぼ13と内径及び高さがともに約400mmの熱遮蔽体26とを有するシリコン単結晶の引上げ装置10に、石英るつぼ13の内面と熱遮蔽体26の外面の間を覆う面積を有する厚さ約38mmの環状の熱輻射体27を熱遮蔽体26に遊嵌し、熱輻射体昇降手段41の支持棒42に吊持した。この熱輻射体27は厚さ約22mmであって、環状のカーボンのケーシング27bの内部に断熱材27aを充填することにより作られたものを使用した。このように構成された引上げ装置10を実施例1とした。
<比較例1>
図示しないが熱輻射体27を設けないことを除いて、引上げ装置を上記実施例1と同一に構成した。この引上げ装置を比較例1とした。
【0023】
<比較試験及び評価>
実施例1及び比較例1の各引上げ装置にて直胴部の直径300mmのシリコン単結晶棒を引上げ速度0.4mm/分で200mm、600mm及び1000mm引上げたときのシリコン単結晶棒の軸方向の固液界面近傍における温度勾配をを輻射伝熱を考慮した熱伝導解析プログラムにてシミュレーション計算し、比較を行った。この結果を図8に示す。
図8より明らかなように、比較例1ではシリコン単結晶棒を200mm引上げた時点が最大値を示し、その後600mm引上げた時点において最小値を示し、1000mm引上げた時点で僅かに上昇した。これに対して、実施例1ではシリコン単結晶棒を200mm引上げた時点が最小値を示し、その後600mm引上げた時点で僅かに上昇し、1000mm引上げた時点で僅かに下降してその値がほぼ均一化していることが判る。
これは、実施例1では熱輻射体がシリコン融液のチャンバ内への放熱を防ぎ、シリコン融液の熱が直胴部に直接放散するのを防止して熱遮蔽体とともに成長したシリコン単結晶棒の冷却を促進したのに対し、比較例1ではシリコン融液からチャンバ内へ熱が放散され、この熱により直胴部の中心部における軸方向の固液界面近傍における温度勾配が低下したためと考えられる。
【0024】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、熱遮蔽体が石英るつぼの内面と熱遮蔽体の外面の間を覆う面積を有する環状の熱輻射体を有し、熱輻射体昇降手段により熱輻射体を熱遮蔽体及びるつぼ昇降手段とそれぞれ独立して上昇又は下降させるようにしたので、シリコン融液の熱がチャンバ内に放散するのを防ぎ、熱遮蔽体とともに成長したシリコン単結晶棒の冷却を促進し、直胴部形成時の単結晶棒の中心部の軸方向の温度勾配を肩部形成時と同等に高く維持することができる。
また、熱輻射体に1又は2以上の通孔を形成すれば、不活性ガスをこの通孔に流通させてシリコン融液の表面から蒸発したガスをこの不活性ガスとともに有効に排出することができる。
【0025】
更に、シリコン単結晶棒の肩部の形成時に熱輻射体を石英るつぼの上端又は上方に配置すれば、シリコン融液の熱を形成途中の肩部に積極的に放散させることにより、速やかに肩部を形成させることができ、シリコン単結晶棒の直胴部の形成時にシリコン融液の液面近傍に熱輻射体を配置すれば、シリコン融液の熱が直胴部に直接放散するのを防ぎ、熱遮蔽体とともに成長したシリコン単結晶棒の冷却を促進して、直胴部形成時の単結晶棒の中心部の軸方向の温度勾配を肩部の形成時と同等に高く維持する。この結果、シリコン単結晶棒の中心部の軸方向の固液界面近傍における温度勾配を均一にし、シリコン単結晶棒中の熱的ストレスの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシリコン単結晶の引上げ装置の断面構成図。
【図2】シリコン単結晶棒の直胴部が引上げられた状態を示す図1に対応する断面構成図。
【図3】シリコン単結晶棒の肩部が引上げられた状態を示す図1に対応する断面構成図。
【図4】その熱輻射体の平面図。
【図5】図4のA−A線断面図。
【図6】その別の熱輻射体の平面図。
【図7】図6のB−B線断面図。
【図8】シリコン単結晶棒の引上げ長さに対するシリコン単結晶棒の中心部の軸方向の固液界面近傍における温度勾配の変化を示す図。
【符号の説明】
10 シリコン単結晶の引上げ装置
11 チャンバ
12 シリコン融液
13 石英るつぼ
17 るつぼ昇降手段
25 シリコン単結晶棒
25b 肩部
25c 直胴部
26 熱遮蔽体
27 熱輻射体
41 熱輻射体昇降手段
42 支持棒
43 ギヤボックス
46 駆動モータ
Claims (3)
- シリコン融液(12)を貯留する石英るつぼ(13)を上昇又は下降させるるつぼ昇降手段(17)と、前記シリコン融液(12)から成長するシリコン単結晶棒(25)を包囲する筒状の熱遮蔽体(26)とを備えたシリコン単結晶の引上げ装置において、
前記石英るつぼ(13)の内面と前記熱遮蔽体(26)の外面の間を覆う面積を有する環状の熱輻射体(27)と、
前記チャンバ (11) の上部から吊り下げられ周囲にラックギヤが形成され下端に前記熱輻射体 (27) が取付けられた支持棒 (42) と、
前記チャンバ (11) の上部に設けられ前記ラックギヤに歯合する駆動ギヤが内蔵され前記駆動ギヤの回転により前記支持棒 (42) を上下動させるギヤボックス (43) と、
前記チャンバ (11) の上部に設けられ前記駆動ギヤを駆動する駆動モータ (46) と
を備えたことを特徴とするシリコン単結晶の引上げ装置。 - 熱輻射体(27)に1又は2以上の通孔(27c)が形成された請求項1記載のシリコン単結晶の引上げ装置。
- 石英るつぼ(13)に貯留されたシリコン融液(12)から成長するシリコン単結晶棒(25)を筒状の熱遮蔽体(26)で包囲した状態で引上げる方法において、
前記シリコン単結晶棒(25)の肩部(25b)形成時に前記石英るつぼ(13)の内面と前記熱遮蔽体(26)の外面の間を覆う面積を有する環状の熱輻射体(27)を前記熱遮蔽体(26)に遊嵌して前記石英るつぼ(13)の上端又は上方に配置し、
前記シリコン単結晶棒(25)の直胴部(25c)形成時に前記シリコン融液(12)の液面近傍に前記熱輻射体(27)を配置する
ことを特徴とするシリコン単結晶の引上げ方法。
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