JP2002046353A - 可逆性感熱記録材料 - Google Patents

可逆性感熱記録材料

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JP2002046353A JP2000235413A JP2000235413A JP2002046353A JP 2002046353 A JP2002046353 A JP 2002046353A JP 2000235413 A JP2000235413 A JP 2000235413A JP 2000235413 A JP2000235413 A JP 2000235413A JP 2002046353 A JP2002046353 A JP 2002046353A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】明瞭なコントラストで画像の形成・消去が可能
で、日常生活の環境下で経時的に安定な画像を保持可能
な可逆性感熱記録材料を提供することである。 【解決手段】支持体上に無色ないし淡色の染料前駆体
と、加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆
的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤とを含有する
可逆性感熱記録材料において、消色促進剤としてシアノ
基、水素結合基及び炭化水素基を分子内に持つ化合物の
少なくとも1種を含有する事を特徴とする可逆性感熱記
録材料。特に下記一般式(1)で表される化合物を消色
促進剤として用いる可逆性感熱記録材料。 【化14】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱エネルギーの制
御により画像形成及び消去が可能な可逆性感熱記録材料
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】感熱記録材料は一般に、支持体上に電子
供与性の無色ないし淡色の染料前駆体と電子受容性の顕
色剤とを主成分とする感熱記録層を設けたものであり、
熱ヘッド、熱ペン、レーザー光等で加熱することによ
り、染料前駆体と顕色剤が瞬時反応し記録画像が得られ
るもので、特公昭43−4160号公報、特公昭45−
14039号公報等に開示されている。
【0003】一般にこのような感熱記録材料は、一旦画
像を形成するとその部分を消去して再び画像形成前の状
態に戻すことは不可能であるため、更に情報を記録する
場合には画像が未形成の部分に追記するしかなかった。
そのため感熱記録部分の面積が限定され必要な情報を全
て記録できないという問題が生じていた。
【0004】近年、この様な問題に対処するため画像形
成・画像消去が繰り返して可能な可逆性感熱記録材料が
考案されている。例えば、特開昭54−119377号
公報、特開昭63−39377号公報、特開昭63−4
1186号公報には、樹脂母材とこの樹脂母材中に分散
された有機低分子から構成された感熱記録材料が記載さ
れている。しかしこの方法は、熱エネルギーによって感
熱記録材料の透明度を可逆的に変化させる物であるた
め、画像形成部と画像未形成部のコントラストが十分と
はいえない。
【0005】また、特開昭50−81157号公報、特
開昭50−105555号公報に記載された方法は、形
成画像は環境温度によっても変化するものであるため、
画像形成状態と消去状態を保持する温度が異なってお
り、常温下ではこの2つの状態を任意の期間安定に保持
することが出来ない。
【0006】更に、特開昭59−120492号公報に
は、呈色成分のヒステリシス特性を利用し、記録材料を
ヒステリシス温度域に保つことにより画像形成状態・消
去状態を維持する方法が記載されている。この方法では
画像形成及び消去に加熱源と冷却源が必要な上、画像の
形成状態及び消去状態を保持できる温度領域がヒステリ
シス温度領域内に限られる欠点を有しており、日常生活
の温度環境で使用するには未だ不十分である。
【0007】一方、特開平2−188293号公報、特
開平2−188294号公報、国際公開番号WO90/
11898号には、ロイコ染料と加熱によりロイコ染料
を発色及び消色させる顕減色剤から構成される可逆性感
熱記録媒体が記載されている。顕減色剤は、ロイコ染料
を発色させる酸性基と、発色したロイコ染料を消色させ
る塩基性基を有する両性化合物で、熱エネルギーの制御
により酸性基による発色作用または塩基性基による消色
作用の一方を優先的に発生させ、発色と消色を行うもの
である。しかしこの方法では、熱エネルギーの制御のみ
で完全に発色反応と消色反応を切り換えることは不可能
で、両反応がある割合で同時に起こるため、十分な発色
濃度が得られず、また、消色も完全には行えず、十分な
コントラストが得られない。また、塩基性基の消色作用
は常温で発色部にも作用するため、経時的に発色部の濃
度が低下する現象が避けられない。更に、特開平5−1
24360号公報には加熱によりロイコ染料を発色及び
消色させる可逆性感熱記録媒体が記載されており、可逆
性顕色剤として有機ホスホン酸化合物、α−ヒドロキシ
脂肪族カルボン酸、脂肪酸ジカルボン酸及び炭素数12
以上の脂肪族基を有するアルキルチオフェノール、アル
キルオキシフェノール、アルキルカルバモイルフェノー
ル、没食子酸アルキルエステルなどの特定のフェノール
化合物が例示されている。しかし、この記録媒体でもや
はり発色濃度が低いか、または、消色が不完全というふ
たつの問題を同時に解決することはできない。更に、画
像の経時的安定性においても実用上満足すべきものでは
ない。更に、特開平5−294063号公報に於いて、
上記可逆性感熱記録媒体の消去性を改良する消色促進剤
として脂肪酸類、ワックス、高級アルコール、燐酸/安
息香酸/フタル酸またはオキシ酸の各種エステル類、シ
リコーンオイル、液晶性化合物、界面活性剤及び炭素数
10以上の脂肪酸飽和炭化水素等が開示されているが、
その効果は小さく消去時の画像濃度が高く実用的とは云
えない。
【0008】このように従来の技術では、明瞭な画像コ
ントラストを持ち、高濃度な画像の形成及び完全消去が
可能で、日常生活の環境下で経時的に安定な画像を保持
可能な実用的可逆性感熱記録材料の製造は困難であっ
た。一方、すでに特開平7−179043号公報及び同
7−214907号公報にて本出願人らは、無色ないし
淡色の染料前駆体に加熱により可逆的な色調変化、すな
わち、発色及び消色を生じせしめる可逆性顕色剤が存在
することを見い出しているが、更に良好な画像品質及び
使いやすい記録媒体を得るためには、消色時の画像濃
度、消色開始温度及び消色温度範囲等に改善すべき余地
があった。
【0009】その後、ヘテロ原子を含む長鎖脂肪族炭化
水素化合物について、発色消色制御剤なる特定の化合物
を使用した可逆性感熱記録媒体が特開平11−7073
1号公報等で提案されているが、依然充分なものではな
く、満足する可逆性感熱記録材料は得られていなかっ
た。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、良好
なコントラストで画像の形成・消去が可能で、日常生活
の環境下で経時的に安定な画像を保持可能な感熱記録材
料を提供することである。より具体的には、消色時の画
像濃度をより低く、消し残りが少なく、そして消去温度
に関しても、より低い温度でかつ幅広い温度領域で均一
な消去が可能であり、より高速での消去特性が良好な可
逆性感熱記録材料を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、支持体上
に無色ないし淡色の染料前駆体と、加熱後の冷却速度の
違いにより該染料前駆体に可逆的な色調変化を生じせし
める可逆性顕色剤とを含有する可逆性感熱記録材料にお
いて、消色促進剤としてシアノ基及び水素結合基及び炭
化水素基を分子内に持つ化合物の少なくとも1種を含有
する事によって、その幅広い温度領域で画像の消去が、
完全にかつ均一に実施可能であり、日常生活においても
実用上問題のない画像安定性を持ち、更にはより高速で
の印字・消去が可能な可逆性感熱記録材料が得られる事
を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明によれば下記一般式
(1)または(2)で表されるシアノ基及び水素結合基
を有する新規な炭化水素化合物が提供される。
【0013】
【化4】 式1中、Xaは酸素原子、硫黄原子または両末端に炭化
水素基を含まない−CONH−結合を最小構成単位とす
る二価の基を表す。R1は炭素数1から24の一価の炭
化水素基を表す。R2は炭素数1から18の二価の炭化
水素基を表す。nは1〜4の整数を表し、nが2以上の
とき繰り返されるR2およびXaは同一であっても異な
っていてもよい。
【0014】
【化5】 式2中、Xbは酸素原子、硫黄原子または両末端に炭化
水素基を含まない−CONH−結合を最小構成単位とす
る二価の基を表す。Xcは両末端に炭化水素基を含まな
い−CO−結合を最小構成単位とする二価の基を表す。
3は炭素数1から24の一価の炭化水素基を表す。
4、R5及びR6は炭素数1から18の二価の炭化水素
基を表す。mは0〜4の整数を表し、mが2以上のとき
繰り返されるR4およびXbは同一であっても異なって
いてもよい。
【0015】一般式(1)で表される化合物中、R1
炭素数1から24の一価の炭化水素基を表すが、好まし
くは炭素数6から20の一価の炭化水素基である。R2
は炭素数1から20の二価の炭化水素基を表すが、好ま
しくは炭素数1から12の炭化水素基である。R1及び
2は具体的には主として、各々アルキレン基及びアル
キル基を表すが、それぞれその基中に芳香環を含んでい
てもよい。一方、Xaは酸素原子、硫黄原子または両末
端に炭化水素基を含まない−CONH−結合を最小構成
単位とする二価の基(以下、HBGと呼称)を表す。H
BGの具体例としては、アミド(−CONH−、−NH
CO−)、尿素(−NHCONH−)、ウレタン(−N
HCOO−、−OCONH−)、ジアシルアミン(−C
ONHCO−)、ジアシルヒドラジド(−CONHNH
CO−)、シュウ酸ジアミド(−NHCOCONH
−)、アシル尿素(−CONHCONH−、−NHCO
NHCO−)、3−アシルカルバジン酸エステル(−C
ONHNHCOO−)、セミカルバジド(−NHCON
HNH−、−NHNHCONH−)、アシルセミカルバ
ジド(−CONHNHCONH−、−NHCONHNH
CO−)、ジアシルアミノメタン(−CONHCH2
HCO−)、1−アシルアミノ−1−ウレイドメタン
(−CONHCH2NHCONH−、−NHCONHC
2NHCO−)、マロンアミド(−NHCOCH2CO
NH−)等の基が挙げられる。
【0016】以下に、一般式(1)で示される消去促進
剤の具体例を化7〜化8に挙げるが、本発明はこれに限
定されるものではない。
【0017】
【化6】
【0018】
【化7】
【0019】一般式(2)で表される化合物中、R3
一般式(1)のR1と同義である。同様にR4、R5およ
びR6はR2と同義である。XbはHBGを表し、その具
体例は一般式(1)に列挙した結合基と同義である。ま
た、Xcは両末端に炭化水素基を含まない−CO−結合
を最小構成単位とする二価の基を表し、その具体例とし
ては、カルボニル(−CO−)、エステル(−OCO
−)、アミド(−NHCO−)、ジアシルアミン(−C
ONHCO−)、ジアシルヒドラジド(−CONHNH
CO−)、オキサミド(−NHCOCO−)、アシルウ
レア(−NHCONHCO−)等の基が挙げられる。
【0020】以下に、一般式(2)で示される可逆性顕
色剤の具体例を化9に挙げるが、本発明はこれに限定さ
れるものではない。
【0021】
【化8】
【0022】また、本発明には一般式(3)で表される
フェノール性化合物を可逆性顕色剤として用いられる。
【0023】
【化9】 式(3)中、Xd及びXfは酸素原子、硫黄原子または
両末端に炭化水素基を含まない−CONH−結合を最小
構成単位とする二価の基を表す。R8は単結合または炭
素数1〜12の二価の炭化水素基を表す。R9は炭素数
1から18の二価の炭化水素基を表す。R10は炭素数1
から24の一価の炭化水素基を表す。pは0〜4の整数
を表し、pが2以上のとき繰り返されるR8およびXf
は同一であっても異なっていてもよい。
【0024】一般式(3)で表される化合物中、R9
炭素数1から24の一価の炭化水素基を表すが、好まし
くは炭素数6から20の一価の炭化水素基である。R7
は単結合または炭素数1から20の二価の炭化水素基を
表す。R8は炭素数1から20の二価の炭化水素基を表
すが、好ましくは炭素数1から12の炭化水素基であ
る。R7、R9及びR9は具体的には主として、各々アル
キレン基及びアルキル基を表すが、それぞれその基中に
芳香環を含んでいてもよい。一方、Xd及びXfは酸素
原子、硫黄原子またはHBGを表すが、HBGの具体例
は一般式(1)に列挙した結合基と同義である。
【0025】一般式(4)で表される化合物の具体例と
しては、以下の化11及び化12に示す化合物が挙げら
れるが本発明はこれに限定されない。
【0026】
【化10】
【0027】
【化11】
【0028】一般式(1)あるいは(2)で表される化
合物の好ましい使用量は、一般式(3)で表される可逆
性顕色剤に対し0.1重量%以上1000重量%以下で
あり、より好ましくは0.5重量%以上200重量%以
下である。更に、印字画像の耐熱保存性を考慮すれば、
1重量%以上100重量%以下が最も好ましい。また、
一般式(1)あるいは(2)で表される化合物は、単独
でも2種以上を併用し混合しても用いることができる。
【0029】本発明による可逆性顕色剤はそれぞれ1種
または2種以上を混合して使用してもよく、無色ないし
淡色の染料前駆体に対する本発明による可逆性顕色剤の
使用量は、5〜5000重量%、好ましくは10〜30
00重量%である。
【0030】本発明に用いられる無色ないし淡色の染料
前駆体としては一般に感圧記録紙や感熱記録紙等に用い
られる公知な化合物に代表されるが、特に制限されるも
のではない。具体的な例としては、例えば下記に挙げる
ものなどがあるが、本発明はこれに限定されるものでは
ない。
【0031】(1)トリアリールメタン系化合物 3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジ
メチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクト
ン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フ
タリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−
(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、
3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチ
ルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチ
ルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−
3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−
エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルイ
ンドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルア
ミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2
−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−
3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)
−4,7−ジアザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ
−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メ
チルインドール−3−イル)−7−アザフタリド、3−
(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニル
インドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,
2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルア
ミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインド
ール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,
3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−
ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニル
インドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリ
ド、3−p−ジメチルアミノフェニル−3−(1−メチ
ルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリ
ド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−4
−アザフタリド等。
【0032】(2)ジフェニルメタン系化合物 4,4′−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒド
リルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオー
ラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオ
ーラミン等。
【0033】(3)キサンテン系化合物 ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−ク
ロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベ
ンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オ
クチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フ
ェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェノキ
シフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオ
ラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフ
ルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロ
ロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−
(2−クロロアニリノ)フルオラン、
【0034】3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ア
ニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)ア
ミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペ
リジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−
(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−
フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4
−ニトロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−
6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチ
ル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノ
フルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミ
ノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−
メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7
−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラ
ヒドロフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフル
オラン等。
【0035】(4)チアジン系化合物 ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイ
ルロイコメチレンブルー等。
【0036】(5)スピロ系化合物 3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジ
ナフトピラン、3,3′−ジクロロスピロジナフトピラ
ン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナ
フト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロ
ピルスピロベンゾピラン等。
【0037】前記無色ないし淡色の染料前駆体は単独で
も、または2種以上を混合して使用してもよい。
【0038】本発明の可逆性感熱記録材料の製造方法の
具体例としては、染料前駆体と可逆性顕色剤を主成分と
し、これに本発明による化合物を添加し、支持体上に塗
布して可逆性感熱記録層を形成する方法が挙げられる。
【0039】染料前駆体と可逆性顕色剤及び本発明によ
る化合物を可逆性感熱記録層に含有させるための塗液作
製方法としては、各々の化合物を単独で溶媒に溶解もし
くは分散媒に分散してから混合する方法、各々の化合物
を混ぜ合わせてから溶媒に溶解もしくは分散媒に分散す
る方法、各々の化合物を加熱溶解し均一化した後冷却
し、溶媒に溶解もしくは分散媒に分散する方法等が挙げ
られるが、特に限定されるものではない。分散時には必
要なら分散剤を用いてもよい。水を分散媒として使う場
合の分散剤としてはポリビニルアルコール等の水溶性高
分子や各種の界面活性剤が利用できる。水系の分散の際
は、エタノール等の水溶性有機溶媒を混合してもよい。
この他に炭化水素類に代表される有機溶媒が分散媒の場
合は、レシチンや燐酸エステル類等を分散剤に用いても
よい。
【0040】また、可逆性感熱記録層の強度を向上する
等の目的でバインダーを可逆性感熱記録層中に添加する
事も可能である。バインダーの具体例としては、デンプ
ン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイ
ン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコー
ル、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド/アクリ
ル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸
エステル/メタクリル酸3元共重合体、スチレン/無水
マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレ
イン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性高分子、ポリ酢
酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、ス
チレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタ
ジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合
体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/塩化ビ
ニル共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン/塩化ビニリ
デン共重合体、ポリ塩化ビニリデン等のラテックス類が
挙げられる。これらのバインダーの役割は、組成物の各
素材が印字、消去の熱印加によって片寄ることなく均一
に分散した状態を保つことにある。したがって、バイン
ダー樹脂には耐熱性の高い樹脂を用いることが好まし
い。最近になって、プリペイドカード、ストアドカード
といった付加価値の高い可逆性感熱記録材料が用いられ
ることが多くなり、それに伴い、耐熱性、耐水性、更に
は接着性といった高耐久品が要求されるようになってき
ている。このような要求に対しては、硬化性樹脂は特に
好ましい。
【0041】硬化性樹脂としては、例えば熱硬化性樹
脂、電子線硬化樹脂、紫外線硬化樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えばフェノキシ樹脂、ポリビ
ニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネ
ート樹脂等の水酸基、カルボキシル基が架橋剤と反応
し、硬化するものが挙げられる。この際の架橋剤として
は、例えば、イソシアネート類、アミン類、フェノール
類、エポキシ類等が挙げられる。
【0042】電子線及び硬化線樹脂に用いられるモノマ
ーとしては、アクリル系に代表される単官能性モノマ
ー、二官能モノマー、多官能モノマー等が挙げられる
が、特に紫外線架橋の際には光重合開始剤、光重合促進
剤を用いる。
【0043】また、可逆性感熱記録層の発色感度を調節
するための添加剤として、熱可融性物質を可逆性感熱記
録層中に含有させることもできる。60℃〜200℃の
融点を有するものが好ましく、特に80℃〜180℃の
融点を有するものが好ましい。一般の感熱記録紙に用い
られている増感剤を使用することもできる。これらの化
合物としては、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミ
ド、ベヘン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン
酸アミドなどのワックス類、2−ベンジルオキシナフタ
レン等のナフトール誘導体、p−ベンジルビフェニル、
4−アリルオキシビフェニル等のビフェニル誘導体、
1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2,
2′−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテ
ル、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル等のポリエ
ーテル化合物、炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、
シュウ酸ビス(p−メチルベンジル)エステル等の炭酸
またはシュウ酸ジエステル誘導体等があげられ、2種以
上併用して添加することもできる。
【0044】本発明の可逆性感熱記録材料に用いられる
支持体としては、紙、各種不織布、織布、ポリエチレン
テレフタレートやポリプロピレン等の合成樹脂フィル
ム、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂をラミ
ネートした紙、合成紙、金属箔、ガラス等、あるいはこ
れらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用
いることができるが、これらに限定されるものではな
く、これらは不透明、半透明或いは透明のいずれであっ
てもよい。地肌を白色その他の特定の色に見せるため
に、白色顔料や有色染顔料や気泡を支持体中又は表面に
含有させても良い。特にフィルム類等水性塗布を行なう
場合で支持体の親水性が小さく可逆性感熱記録層の塗布
困難な場合は、コロナ放電等による表面の親水化処理や
バインダーに用いるのと同様の水溶性高分子類を、支持
体表面に塗布するなどの易接着処理してもよい。
【0045】本発明の可逆性感熱記録材料の層構成は、
可逆性感熱記録層のみであっても良い。必要に応じて、
可逆性感熱記録層上に保護層を設けることも又、可逆性
感熱記録層と支持体の間に水溶性高分子や白色ないし有
色染顔料や中空粒子のいずれか一つ以上を含む中間層を
設けることもできる。この場合、保護層及び/または中
間層は2層ないしは3層以上の複数の層から構成されて
いてもよい。可逆性感熱記録層も各成分を一層ずつに含
有させたり層別に配合比率を変化させたりして2層以上
の多層にしてもよい。更に、可逆性感熱記録層中及び/
または他の層及び/または可逆性感熱記録層が設けられ
ている面と反対側の面に、電気的、光学的、磁気的に情
報が記録可能な材料を含んでも良い。また、可逆性感熱
記録層が設けられている面と反対側の面にブロッキング
防止、カール防止、帯電防止を目的としてバックコート
層を設けることもできる。
【0046】なお、本発明における各層を支持体上に積
層し、本発明の可逆性感熱記録材料を形成する方法は特
に制限されるものではなく、従来の方法により形成する
ことができる。例えば、エアーナイフコーター、ブレー
ドコーター、バーコーター、カーテンコーター等の塗抹
装置、平版、凸版、凹版、フレキソ、グラビア、スクリ
ーン、ホットメルト等の方式による各種印刷機等を用い
る事が出来る。更に通常の乾燥工程の他、UV照射・E
B照射により各層を保持させる事が出来る。
【0047】可逆性感熱記録層は、各成分を微粉砕して
得られる各々の分散液を混合し、支持体上に塗布乾燥す
る方法、各成分を溶媒に溶解して得られる各々の溶液を
混合し、支持体上に塗布乾燥する方法などにより得るこ
とができる。乾燥条件は水等の分散媒ないし溶媒によっ
ても異なる。この他に各成分を混合し加熱して可融分を
溶融し熱時塗布する方法もある。
【0048】また、可逆性感熱記録層及び/または保護
層及び/または中間層には、ケイソウ土、タルク、カオ
リン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、水酸化アルミ
ニウム、尿素−ホルマリン樹脂等の顔料、その他に、ヘ
ッド摩耗防止、スティッキング防止等の目的でステアリ
ン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属
塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化
ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスターワックス
等のワックス類を、また、ジオクチルスルホコハク酸ナ
トリウム等の分散剤、更に界面活性剤、蛍光染料、紫外
線吸収剤などを含有させることもできる。
【0049】次に、本発明の可逆性感熱記録材料の発色
及び消色方法について述べる。発色を行うには、加熱に
引き続き急速な冷却が起これば良く、例えばサーマルヘ
ッド、レーザー光等による加熱により可能である。又、
加熱後ゆっくり冷却すれば消色し、例えばサーマルヘッ
ド、熱ロール、熱スタンプ、高周波加熱、熱風、電熱ヒ
ーター及びタングステンランプ、ハロゲンランプ等の光
源などからの輻射熱等を用いることにより行うことがで
きる。
【0050】
【作用】本発明の感熱記録材料の画像形成及び消去原理
は未だ明確ではないが、以下の様に考えられる。無色な
いし淡色の染料前駆体は、フェノール性化合物のような
可逆性顕色剤と共に加熱すると染料前駆体から可逆性顕
色剤への電子移動が起こり発色する。この時、可逆性顕
色剤分子は発色した染料分子の極めて近傍に存在してい
ると考えられる。また、発色した染料分子から可逆性顕
色剤分子を引き離すと、発色した染料分子は再び電子を
受け取り、発色前の染料前駆体の状態となる。本発明は
加熱により、可逆性顕色剤分子と染料分子との距離を変
化させ発色及び消色を行うものと考えられる。
【0051】更に詳しく述べるならば、これまでに可逆
性顕色剤の多くは、その構造の中に脂肪鎖を持つため、
染料前駆体分子及び発色した染料分子との相溶性が低
く、凝固した状態では互いに殆ど溶け合わないと考えら
れる。また、加熱溶融状態の様に染料前駆体分子と可逆
性顕色剤分子が自由に運動できる状態では、染料前駆体
分子と可逆性顕色剤分子は互いにある割合で溶け合い、
発色状態となる。それ故、発色している溶融状態の混合
物をゆっくり冷却すると、降温するに従い可逆性顕色剤
分子と染料分子は互いに溶け合わなくなり相分離し、消
色する。特に、本発明に好ましく使用される一般式
(3)で表される可逆性顕色剤は分子内に、アミド結合
等の水素結合能力を持つ二価の基を含有しているため、
分子間水素結合により速やかに結晶化してしまうと考え
られる。一方、急速に冷却を行うと、相分離する前、即
ち発色状態のままで固化するため、発色状態が固定され
固化後も発色状態が安定に保持される。
【0052】本発明に於いて用いられる一般式(1)あ
るいは(2)で表される消色促進剤は、上記可逆性顕色
剤と同様に分子内に脂肪鎖及び場合によってはアミド結
合等の水素結合能力を持つ二価の基を併せ持つため、相
溶性がある。一方で、本発明に用いられる消色促進剤は
分子内にシアノ基を有する化合物である。このシアノ基
はπ結合を有することから、結晶性が比較的悪く、結晶
性化合物である本発明の消色促進剤においても、融点以
上に加熱した後、室温まで放冷した場合、再固化するの
にある程度の時間を必要とするものが多い。即ちこの特
性は、降温後の染料前駆体と可逆性顕色剤の相分離時
に、消色時間をより助長しているものと考えられ、その
結果、より低温度で消色可能となった。
【0053】次に、本発明の消色促進剤の具体的製造方
法についてその一部を例示するが、本発明はこれに限定
されるものではない。
【0054】合成例1 例示化合物(1−3)の合成。 撹拌機、冷却器及び塩化カルシウム乾燥管を付けたフラ
スコ内に、3−アミノプロピオニトリル2.9g及び2
−ブタノン200mlを仕込み、室温下攪拌した。イソ
シアン酸オクタデシル11.8gをゆっくり滴下した。
滴下終了後、1時間加熱還流した。反応混合物を室温ま
で冷却した後、析出した結晶を減圧下濾取した。2−プ
ロパノールより再結晶を行い、目的物12.6gを得
た。融点124℃。
【0055】合成例2 例示化合物(1−7)の合成。 撹拌機、冷却器及び塩化カルシウム乾燥管を付けたフラ
スコ内に、6−〔N−オクタデシルカルバモイル)アミ
ノ〕ヘキサン酸8.5g、3−アミノプロピオニトリル
1.7g、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・1水和
物4.0g、N,N′−ジイソプロピルカルボジイミド
3.3g及びテトラヒドロフラン200mlを仕込み、
2時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却した
後、析出した結晶を減圧下濾取した。2−プロパノール
より再結晶を行い、目的物9.0gを得た。融点153
℃。
【0056】合成例3 例示化合物(2−2)の合成。 撹拌機、冷却器及び塩化カルシウム乾燥管を付けたフラ
スコ内に、3,3′−イミノジプロピオニトリル3.7
g及びアセトン150mlを仕込み、室温下攪拌した。
この溶液にイソシアン酸オクタデシル5.9gをゆっく
り滴下した。滴下終了後、1時間加熱還流した。反応混
合物を室温まで冷却した後、析出した結晶を減圧下濾取
した。アセトニトリルより再結晶を行い、目的物4.2
gを得た。融点102℃。
【0057】合成例4 例示化合物(2−8)の合成。 撹拌機、冷却器及び塩化カルシウム乾燥管を付けたフラ
スコ内に、6−〔N−オクタデシルカルバモイル)アミ
ノ〕ヘキサン酸8.5g、3,3′−イミジプロピオニ
トリル3.0g、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール・
1水和物4.0g、N,N′−ジイソプロピルカルボジ
イミド3.3g及びテトラヒドロフラン200mlを仕
込み、2時間加熱還流した。反応混合物を室温まで冷却
した後、析出した結晶を減圧下濾取した。n−プロパノ
ールより再結晶を行い、目的物5.7gを得た。融点1
48℃。
【0058】
【実施例】以下の実施例によって本発明を更に詳しく説
明する。実施例中の部数や百分率は重量基準である。
【0059】実施例に使用した染料前駆体を化13に示
す。
【0060】
【化12】
【0061】実施例1 (A)可逆性感熱塗液の作製 例示化合物(Black−1)40部と例示化合物(3
−1)100部を8%ポリビニルアセタール(積水化学
工業製、BL−1、アセタール化度63モル%)のテト
ラヒドロフラン(THF)溶液9100部と共にペイン
トコンディショナーで粉砕し可逆性顕色剤分散液(A
液)を得た。更に、例示化合物(1−1)20部をTH
F20部と共にペイントコンディショナーで粉砕し消色
促進剤分散液(B液)を得た。これらA液及びB液の2
種の分散液を混合し、可逆性感熱塗液を作製した。
【0062】(B)可逆性感熱記録層の塗工 (A)で作製した可逆性感熱塗液にコロネートL(日本
ポリウレタン株式会社製)29部を加えた後、ポリエチ
レンテレフタレート(PET)シートに、固形分塗抹量
4.0g/m2となる様に塗抹した。60℃で24時間乾
燥し、スーパーカレンダーで処理して可逆性感熱記録材
料を得た。
【0063】(C)保護層の塗工 (B)で作製した塗工シート上に、アロニックスM80
30(東亞合成化学工業製)90部、N−ビニル−2−
ピロリドン5部、イルガキュア500(日本チバガイギ
ー製)5部、及びニップシールE220A(日本シリカ
製)10部を加え攪拌後、保護層の塗液とし、1.0g
/m2となるように塗工した後、紫外線照射装置にて硬
化を行い、保護層を有する可逆性感熱記録材料を得た。
【0064】実施例1と同様に、本発明に好ましく用い
られる一般式(3)で表される可逆性顕色剤、染料前駆
体及び一般式(1)または(2)で表される消色促進剤
の組み合わせを表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】比較例に使用した消色促進剤を化14に示
す。
【0067】
【化13】
【0068】比較例1 実施例2で用いた例示化合物(1−3)を使用しなかっ
たた他は、実施例2と同様にして可逆性感熱記録材料を
得た。
【0069】比較例2 実施例1で用いた例示化合物(1−1)の代わりに例示
化合物(4−1)を使用した他は、実施例1と同様にし
て可逆性感熱記録材料を得た。
【0070】比較例3 実施例3で用いた例示化合物(1−6)の代わりに例示
化合物(4−2)を使用した他は、実施例3と同様にし
て可逆性感熱記録材料を得た。
【0071】比較例4 実施例5で用いた例示化合物(2−1)の代わりに例示
化合物(4−3)使用した他は、実施例5と同様にして
可逆性感熱記録材料を得た。
【0072】比較例5 実施例8で用いた例示化合物(1−7)を使用しなかっ
た他は、実施例8と同様にして可逆性感熱記録材料を得
た。
【0073】比較例6 実施例7で用いた例示化合物(1−2)の代わりに例示
化合物(4−1)を使用した他は、実施例12と同様に
して可逆性感熱記録材料を得た。
【0074】比較例7 実施例10で用いた例示化合物(1−15)の代わりに
例示化合物(4−2)を使用した他は、実施例10と同
様にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0075】比較例8 実施例12で用いた例示化合物(2−6)の代わりに例
示化合物(4−3)を使用した他は、実施例12と同様
にして可逆性感熱記録材料を得た。
【0076】試験1(発色濃度=熱応答性) 実施例1〜12及び比較例1〜8で得た可逆性感熱記録
材料を、京セラ製印字ヘッドKJT−256−8MGF
1付き大倉電気製感熱ファクシミリ印字試験機TH−P
MDを用いて印加パルス1.1ミリ秒で印加電圧26ボ
ルトの条件で印字し、得られた発色画像の濃度を濃度計
マクベスRD918を用いて測定した。
【0077】試験2(画像の消去性) 実施例1〜12及び比較例1〜8で得た可逆性感熱記録
材料を、京セラ製印字ヘッドKJT−256−8MGF
1付き大倉電気製感熱ファクシミリ印字試験機TH−P
MDを用いて印加パルス1.1ミリ秒で印加電圧26ボ
ルトの条件で印字し、これを熱スタンプを用いて120
℃で1秒間加熱した後、試験1と同様にして濃度を測定
した。
【0078】試験3(消色開始温度) 実施例1〜12及び比較例1〜8で得た可逆性感熱記録
材料を、京セラ製印字ヘッドKJT−256−8MGF
1付き大倉電気製感熱ファクシミリ印字試験機TH−P
MDを用いて印加パルス1.1ミリ秒で印加電圧26ボ
ルトの条件で印字し、これを熱スタンプを用いて80℃
から170℃まで10℃間隔で計10箇所、各々1秒間
加熱した後、試験1と同様にしてそれぞれの濃度を測定
した。印字画像の光学濃度が0.15を下回った加熱温
度を消色開始温度とした。
【0079】試験4(発色濃度の経時変化=画像安定
性) 実施例1〜12及び比較例1〜8で得た可逆性感熱記録
材料を、京セラ製印字ヘッドKJT−256−8MGF
1付き大倉電気製感熱ファクシミリ印字試験機TH−P
MDを用いて、印加パルス1.1ミリ秒で印加電圧26
ボルトの条件で印字し、温度50℃、相対湿度20%の
雰囲気下に24時間保存した後、試験1と同様にして、
発色部の濃度を測定し、下記数1により画像残存率を計
算した。
【0080】
【数1】A=(C/B)×100 A:画像残存率(%) B:試験前の画像濃度 C:試験後の画像濃度
【0081】実施例1〜12及び比較例1〜8の試験1
〜4の結果を表2に示した。
【0082】
【表2】
【0083】
【発明の効果】表2に示したように、無色ないし淡色の
染料前駆体と、加熱後の冷却速度の違いにより該染料前
駆体に可逆的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤と
を含有する可逆性感熱記録材料において、一般式(1)
または(2)で表される消色促進剤を含有させることに
より、明瞭なコントラストで画像の形成・消去が可能
で、日常生活の環境下で経時的に安定な画像が保持可能
であり、更に画像の消去温度領域を下げる事も可能とな
り、より実用性の高い可逆性感熱記録材料を得ることが
できた。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に無色ないし淡色の染料前駆体
    と、加熱後の冷却速度の違いにより該染料前駆体に可逆
    的な色調変化を生じせしめる可逆性顕色剤とを含有する
    可逆性感熱記録材料において、消色促進剤としてシアノ
    基、水素結合基及び炭化水素基を分子内に持つ化合物の
    少なくとも1種を含有する事を特徴とする可逆性感熱記
    録材料。
  2. 【請求項2】 前記消色促進剤の炭化水素基が脂肪族炭
    化水素基である事を特徴とする請求項1記載の可逆性感
    熱記録材料。
  3. 【請求項3】 前記消色促進剤として下記一般式(1)
    で表される化合物の少なくとも1種を用いる事を特徴と
    する請求項1、2のいずれかに記載の可逆性感熱記録材
    料。 【化1】 (式1中、Xaは酸素原子、硫黄原子または両末端に炭
    化水素基を含まない−CONH−結合を最小構成単位と
    する二価の基を表す。R1は炭素数1から24の一価の
    炭化水素基を表す。R2は炭素数1から18の二価の炭
    化水素基を表す。nは1〜4の整数を表し、nが2以上
    のとき繰り返されるR2およびXaは同一であっても異
    なっていてもよい。)
  4. 【請求項4】 前記消色促進剤として下記一般式(2)
    で表される化合物の少なくとも1種を用いる事を特徴と
    する請求項1、2のいずれかに記載の可逆性感熱記録材
    料。 【化2】 (式2中、Xbは酸素原子、硫黄原子または両末端に炭
    化水素基を含まない−CONH−結合を最小構成単位と
    する二価の基を表す。Xcは両末端に炭化水素基を含ま
    ない−CO−結合を最小構成単位とする二価の基を表
    す。R3は炭素数1から24の一価の炭化水素基を表
    す。R4、R5及びR6は炭素数1から18の二価の炭化
    水素基を表す。mは0〜4の整数を表し、mが2以上の
    とき繰り返されるR4およびXbは同一であっても異な
    っていてもよい。)
  5. 【請求項5】 前記可逆性顕色剤として下記一般式
    (3)で表される化合物の少なくとも1種を用いる事を
    特徴とする請求項1〜4 のいずれかに記載の可逆性感
    熱記録材料。 【化3】 (式3中、Xd及びXfは酸素原子、硫黄原子または両
    末端に炭化水素基を含まない−CONH−結合を最小構
    成単位とする二価の基を表す。R7は単結合または炭素
    数1〜12の二価の炭化水素基を表す。R8は炭素数1
    から18の二価の炭化水素基を表す。R9は炭素数1か
    ら24の一価の炭化水素基を表す。pは0〜4の整数を
    表し、pが2以上のとき繰り返されるR8およびXfは
    同一であっても異なっていてもよい。)
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