JP2002046262A - インクジェット記録ヘッド - Google Patents

インクジェット記録ヘッド

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JP2002046262A
JP2002046262A JP2000232950A JP2000232950A JP2002046262A JP 2002046262 A JP2002046262 A JP 2002046262A JP 2000232950 A JP2000232950 A JP 2000232950A JP 2000232950 A JP2000232950 A JP 2000232950A JP 2002046262 A JP2002046262 A JP 2002046262A
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Japan
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diaphragm
ink
electrode
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jet recording
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JP2000232950A
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English (en)
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Yasuo Miyoshi
康雄 三好
Fumito Masubuchi
文人 増渕
Hirotoshi Eguchi
裕俊 江口
Etsuko Fujisawa
悦子 藤沢
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、振動板に対向する個別電極部分に溝
を形成し、振動板を低電圧で適切に変形させて小型でイ
ンク吐出性能の良好なインクジェット記録ヘッドを提供
する。 【解決手段】インクジェット記録ヘッド1は、共通イン
ク流路10から液体抵抗9を通してインクの供給される
各液室8の一部に設けられた振動板6及び各振動板6に
所定のギャップをおいて対向して配設された個別電極4
を有し封止されているアクチュエータ部13の個別電極
4部分に、振動板6と個別電極4との間に電圧が印加さ
れたときに、当該個別電極4側に変形する振動板6が接
触しない形状の電極溝3を形成している。したがって、
振動板6が個別電極4側に変形する際にアクチュエータ
部13内部に生じる圧力上昇を抑制して、低電力で安定
して振動板6を変形させ、安定したインク滴吐出性能を
実現して、高速記録を行うことができるとともに、記録
画像の画像品質を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録ヘッドに関し、詳細には、記録を必要とするときのみ
静電引力を利用して振動板を変位させて、当該振動板上
の液室を圧縮してインク滴を吐出するインク・オン・デ
マンド型のインクジェット記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置は、現像・定着
等のプロセスを必要とせず、非接触で記録を行うことが
できるために、記録時の騒音が極めて小さいこと、高速
印字が可能であること、インクの自由度が高く、安価な
普通紙を使用できることなど多くの利点を有している。
インクジェット記録装置の中でも、記録を必要とすると
きにのみインク液滴を吐出する、いわゆるインク・オン
・デマンド方式のインクジェット記録装置が、記録に不
要なインク液滴の回収を必要せず、メインテナンスが容
易で、インクジェット記録装置が小型で、安価であるこ
とから、現在注目されている。
【0003】このようなインク・オン・デマンド方式の
インクジェット記録ヘッドとしては、例えば、特公平2
−51734号公報に記載されているように、駆動手段
として、圧電素子を用いたもの、特公昭61−5991
1号公報に記載されているように、インクを加熱して気
泡を発生させることによる圧力でインクを吐出させるも
の及び特願平3−234537号公報に記載されている
ように、駆動手段として、静電気力を利用して振動板を
振動させインクの吐出を行うものがある。
【0004】この静電気力を用いた方式のインクジェッ
ト記録ヘッドは、小型高密度・高印字品質及び長寿命で
あるという利点を有している。
【0005】この静電気力を用いたインクジェット記録
ヘッドは、例えば、特開平5−50601号公報に記載
されているように、シリコンからなる中基板に、ノズ
ル、吐出室、記録体キャビティー及び振動板をエッチン
グにより形成し、記録体供給口を有する上基板と振動板
に対向して電極を設けた下基板とを一体化した構成とし
ている。このインクジェット記録ヘッドでは、振動板と
電極に電界を引加して、振動板を振動させて、記録体キ
ャビティー内のインクを加圧して、インクの吐出を行
う。
【0006】このような静電気力を用いたインクジェッ
ト記録ヘッドでは、静電気力が、印加電圧の2乗に比例
し、振動板と電極との距離あるいは振動板と絶縁膜との
距離の2乗に反比例するため、低電圧で駆動する場合、
振動板と絶縁体(電極)との距離を短くする必要があ
る。
【0007】ところが、アクチュエータ部が密封されて
いる場合、距離を短くすればするほど、振動板の変位に
よるアクチュエータ部内部圧力の上昇の影響が大きくな
るという問題があった。
【0008】そこで、従来、ノズルと、該ノズルに連通
するインク流路と、該流路の一部に形成された振動板
と、該振動板に対向して形成された電極とを有し、前記
振動板と前記電極との間に電気パルスを印加し、前記振
動板を静電気力により変形させ、前記ノズルからインク
液滴を吐出するインクジェットヘッドを有するインクジ
ェット記録装置において、前記振動板と前記電極とによ
って形成される振動室を少なくとも含むアクチュエータ
を気密に構成し、かつ、前記アクチュエータの容積V
と、駆動時に前記振動板によって排除される容積ΔVと
の比が、2≦V/ΔV≦8の範囲に入るように、前記ア
クチュエータの容積Vを設定したことを特徴とするイン
クジェット記録装置が提案されている(特開平7−29
9908号公報参照)。そして、このインクジェット記
録装置では、前記アクチュエータ容積Vには、前記電極
につながる配線部が形成された溝の容積が含まれている
ものも提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平7−299908号公報記載のインクジェット記録
装置にあっては、アクチュエータの容積Vと、駆動時に
前記振動板によって排除される容積ΔVとの比が、2≦
V/ΔV≦8の範囲に入るように、前記アクチュエータ
の容積Vを設定し、また、アクチュエータ容積Vに、電
極につながる配線部が形成された溝の容積が含まれてい
るようにして、配線部が形成されている溝の容積を使っ
てアクチュエータの容積を増加させている。
【0010】ところが、配線部が形成されている溝の容
積を使ってアクチュエータの容積を増加させようとする
と、逆に、不必要な配線であっても、配線部の溝でアク
チュエータの容積Vを2≦V/ΔV≦8の範囲に入る容
量に確保するために、当該不必要な配線部分を作成する
必要があるという問題があった。
【0011】そこで、請求項1記載の発明は、共通液室
からインク流路を通してインクの供給される各液室の一
部に設けられた振動板及び各振動板に所定のギャップを
おいて対向して配設された個別電極を有し封止されてい
るアクチュエータ部の個別電極部分に、振動板と個別電
極との間に電圧が印加されたときに、当該個別電極側に
変形する振動板が接触しない形状の溝を形成することに
より、振動板が個別電極側に変形する際にアクチュエー
タ部内部に生じる圧力上昇を抑制して、低電力で安定し
て振動板を変形させ、高周波駆動を可能とするととも
に、安定したインク滴吐出性能(インク滴噴出特性)を
実現して、高速記録が可能で、記録画像の画像品質を向
上させることのできるインクジェット記録ヘッドを提供
することを目的としている。
【0012】請求項2記載の発明は、溝を、個別電極の
中央部分から外れた位置に形成することにより、溝が形
成されることによる静電気力の低下を抑制して、より一
層低電力で安定して振動板を変形させ、安定したインク
滴吐出性能を実現して、高速記録が可能で、記録画像の
画像品質をより一層向上させることのできるインクジェ
ット記録ヘッドを提供することを目的としている。
【0013】請求項3記載の発明は、個別電極の振動板
側の面に、電極保護膜を形成し、当該電極保護膜の厚さ
を変化させることで溝を形成することにより、溝が形成
されることによる静電気力の低下をより一層抑制して、
より一層低電力で安定して振動板を変形させ、安定した
インク滴吐出性能を実現して、高速記録が可能で、記録
画像の画像品質をより一層向上させることのできるイン
クジェット記録ヘッドを提供することを目的としてい
る。
【0014】請求項4記載の発明は、溝に連通しアクチ
ュエータ部内の体積を調整する空気室を形成することに
より、振動板が個別電極側に変形する際にアクチュエー
タ部内部に生じる圧力上昇をより一層抑制して、より一
層低電力で安定して振動板を変形させ、高周波駆動を可
能として、より一層安定したインク滴吐出性能を実現し
て、高速記録が可能で、記録画像の画像品質をより一層
向上させることのできるインクジェット記録ヘッドを提
供することを目的としている。
【0015】請求項5記載の発明は、アクチュエータ部
の内部に空気よりも圧力伝搬速度の速いガスを封入する
ことにより、振動板の変形によるアクチュエータ部内部
に生じる圧力変化の伝搬を良好なものとし、高周波駆動
した場合にもより一層安定したインク滴吐出性能を実現
して、より一層高速記録が可能で、記録画像の画像品質
をより一層向上させることのできるインクジェット記録
ヘッドを提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明のイ
ンクジェット記録ヘッドは、液室柱で区切られインクの
充填されている複数の液室と、前記液室内の前記インク
を吐出するノズルと、前記液室にインク流路で連通され
前記液室に前記インクを供給する共通液室と、前記各液
室の一部に設けられた振動板及び前記各振動板に所定の
ギャップをおいて対向して配設された個別電極を有し封
止されているアクチュエータ部と、を備え、前記振動板
と前記個別電極との間に印加される電圧で生じる静電気
力で前記振動板を変形させて前記液室に圧力を発生さ
せ、当該液室内の前記インクを前記ノズルから吐出させ
るインクジェット記録ヘッドにおいて、前記個別電極部
分に、前記電圧印加時に当該個別電極側に変形する前記
振動板が接触しない形状の溝が形成されていることによ
り、上記目的を達成している。
【0017】上記構成によれば、共通液室からインク流
路を通してインクの供給される各液室の一部に設けられ
た振動板及び各振動板に所定のギャップをおいて対向し
て配設された個別電極を有し封止されているアクチュエ
ータ部の個別電極部分に、振動板と個別電極との間に電
圧が印加されたときに、当該個別電極側に変形する振動
板が接触しない形状の溝を形成しているので、振動板が
個別電極側に変形する際にアクチュエータ部内部に生じ
る圧力上昇を抑制して、低電力で安定して振動板を変形
させることができ、高周波駆動を可能とするとともに、
安定したインク滴吐出性能(インク滴噴出特性)を実現
して、高速記録を行うことができるとともに、記録画像
の画像品質を向上させることができる。
【0018】この場合、例えば、請求項2に記載するよ
うに、前記溝は、前記個別電極の中央部分から外れた位
置に形成されていてもよい。
【0019】上記構成によれば、溝を、個別電極の中央
部分から外れた位置に形成しているので、溝が形成され
ることによる静電気力の低下を抑制して、より一層低電
力で安定して振動板を変形させることができ、安定した
インク滴吐出性能を実現して、高速記録を行うことがで
きるとともに、記録画像の画像品質をより一層向上させ
ることができる。
【0020】また、例えば、請求項3に記載するよう
に、前記個別電極は、前記振動板側の面に電極保護膜が
形成されており、前記溝は、当該電極保護膜の厚さを変
化させることで形成されていてもよい。
【0021】上記構成によれば、個別電極の振動板側の
面に、電極保護膜を形成し、当該電極保護膜の厚さを変
化させることで溝を形成しているので、溝が形成される
ことによる静電気力の低下をより一層抑制して、より一
層低電力で安定して振動板を変形させることができ、安
定したインク滴吐出性能を実現して、高速記録を行うこ
とができるとともに、記録画像の画像品質をより一層向
上させることができる。
【0022】さらに、例えば、請求項4に記載するよう
に、前記インクジェット記録ヘッドは、前記溝に連通し
前記アクチュエータ部内の体積を調整する空気室が形成
されていてもよい。
【0023】上記構成によれば、溝に連通しアクチュエ
ータ部内の体積を調整する空気室を形成しているので、
振動板が個別電極側に変形する際にアクチュエータ部内
部に生じる圧力上昇をより一層抑制して、より一層低電
力で安定して振動板を変形させることができ、高周波駆
動を可能として、より一層安定したインク滴吐出性能を
実現して、高速記録を行うことができるとともに、記録
画像の画像品質をより一層向上させることができる。
【0024】また、例えば、請求項5に記載するよう
に、前記アクチュエータ部は、その内部に空気よりも圧
力伝搬速度の速いガスが封入されていてもよい。
【0025】上記構成によれば、アクチュエータ部の内
部に空気よりも圧力伝搬速度の速いガスを封入している
ので、振動板の変形によるアクチュエータ部内部に生じ
る圧力変化の伝搬を良好なものとすることができ、高周
波駆動した場合にもより一層安定したインク滴吐出性能
を実現して、より一層高速記録を行うことができるとと
もに、記録画像の画像品質をより一層向上させることが
できる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述
べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるか
ら、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本
発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定す
る旨の記載がない限り、これらの態様に限られるもので
はない。
【0027】図1〜図3は、本発明のインクジェット記
録ヘッドの第1の実施の形態を示す図であり、図1は、
本発明のインクジェット記録ヘッドの第1の実施の形態
を適用したインクジェット記録ヘッド1の長辺方向断面
図である。
【0028】図1において、インクジェット記録ヘッド
1は、電極基板2の上面側に電極溝(溝)3(図2及び
図3参照)が形成されており、当該電極溝3内に個別電
極4(図2及び図3参照)が形成されている。
【0029】個別電極4の形成された電極基板2上に、
図3に示すように、保護膜(電極保護膜)5が形成され
ており、保護膜5上に、所定間隔開けて、振動板6が形
成されている。
【0030】振動板6上に液室部材7が積層されて、液
室8、液体抵抗(インク流路)9及び共通インク流路
(共通液室)10が形成され、液室部材7上にノズル1
1の形成された蓋部材12が接合されている。共通イン
ク流路10は、図外のインクタンクに接続され、共通イ
ンク流路10内のインクが液体抵抗9を通して液室8に
供給される。この液室8に連通する状態でノズル11が
形成されており、液室8内のインクは、後述するよう
に、振動板6が振動することで生じる液室8内の圧力上
昇で、ノズル11から吐出される。
【0031】上記電極基板2は、単結晶シリコン、ガラ
ス、あるいは、セラミックス等の材料で形成され、電極
溝3は、単結晶シリコン等の電極基板2の上面を個別電
極4のパターニングされた異方性エッチングを行うこと
で形成されている。
【0032】個別電極4は、電極溝3の形成された電極
基板2に高融点のAl、Cr、Ni等の金属材料、不純
物をドープした半導体材料、あるいは、窒化チタン等の
導電性セラミック材料を用いて形成されており、電極基
板2の材料としてシリコンを用いる場合には、個別電極
4と電極基板2との間に、SiO2 等の絶縁膜を形成す
る。
【0033】電極溝3は、図2及び図3に示すように、
底部の中心部を挟んで両側に最深部が形成され、その他
の部分が平坦な形状に形成されており、この底部の中央
部を挟んだ両側の最深部に個別電極4が形成されてい
る。
【0034】振動板6は、シリコン等を用いることがで
き、シリコンで振動板6を形成する場合、予め不純物を
拡散して電気化学的に所望の厚さでエッチングを停止さ
せる方法、あるいは、SOI(silicon-on-insulator)
を用いる方法等の方法で形成されている。振動板6は、
厚さが、1〜20μmの範囲で形成されており、位置精
度の高い固相接合等の方法で電極基板2と接合されてい
る。なお、振動板6は、電極基板2としてホウケイ酸ガ
ラスを用いる場合には、300℃の温度下で、数百ボル
トの電界をかけて陽極接合で電極基板2と接合させるこ
とができ、また、電極基板2としてシリコンを用いる場
合には、直接接合で電極基板2と接合させることができ
る。
【0035】蓋部材12は、液室部材7上に接合され、
液室8、液体抵抗9及び共通インク流路10を液室部材
7との間に画成する。なお、液室部材7及び蓋部材12
は、複数の基板を積層した積層構造としてもよい。
【0036】インクジェット記録ヘッド1は、上記組立
形成された後、個別電極4がFPC基板20に接続さ
れ、このとき振動板6と個別電極4への汚染を防止する
ために、開口部を封止して、電極基板2から振動板6に
至るアクチュエータ部13を封止する。
【0037】そして、上記電極溝3は、後述するよう
に、電極溝3の形成されていない場合のアクチュエータ
部13の体積が、電極溝3が形成されることにより20
%以上増加する大きさに形成されているとともに、振動
板6が印加電圧で変形変位しても接触しない形状に形成
されている。
【0038】電極基板2に電極溝3を形成すると、電極
溝3内に形成されている個別電極4と振動板6との距離
が増加し、静電気力が低下して、振動板6をインクの吐
出に必要な量だけ変形させるのに必要な静電気力が大き
くなるおそれがある。
【0039】振動板6を変形させるのに同一の静電気力
で吸引する場合、振動板6の中心部が最大変位となるよ
うに変形させると最も体積が増加する。
【0040】したがって、低電圧で振動板6を必要量だ
け変位させるためには、振動板6の中心部に静電気力が
生じる構成とすることが必要である。すなわち、個別電
極4の中心部に電極溝3を形成しない構成、逆に、電極
溝3の最深部に個別電極4を形成しない構成とすること
で、静電気力の低下を抑制することができる。
【0041】また、振動板6と個別電極4との間の距離
の最も短い箇所に最大の静電気力が作用するため、振動
板6と個別電極4との間の距離を短くすることが可能な
箇所、すなわち、振動板6の端に電極溝3を形成しない
ことが重要である。
【0042】そこで、本実施の形態のインクジェット記
録ヘッド1は、図2及び図3に示すように、個別電極4
は、電極溝3の最深部を外して、傾斜面に1対形成され
ている。
【0043】次に、本実施の形態の作用を説明する。本
実施の形態のインクジェット記録ヘッド1は、アクチュ
エータ部13を封止しても、個別電極4を電極基板2に
形成した電極溝3内に形成することで、大きな電力を用
いることなく、振動板6を適切に振動させて、小型化す
るとともにインク吐出性能を向上させたところにその特
徴がある。
【0044】すなわち、インクジェット記録ヘッド1
は、個別電極4と共通電極として機能する振動板6との
間に電圧Vが印加されると、次式(1)で示す静電引力
Pが発生する。なお、式(1)において、Pは、圧力
[Pa=N/m2 ]、Vは、電個別電極4と振動板6間
の電位[V]、tは、電個別電極4と振動板6間の距離
[m]、εは、誘電率[F/m]である。
【0045】
【数1】 そして、振動板6は、上記静電引力Pが作用すると、そ
の復元力に抗して次式(2)で示す変位δまで変形変位
する。なお、式(2)において、aは、振動板6の短辺
方向の幅(短辺幅)[m]、kは、定数、Eは、ヤング
率[Pa]、hは、振動板6の厚さ(振動板厚)
[m]、νは、ポアソン比である。
【0046】
【数2】 振動板6が、上記式(2)で示す変位δだけ変形変位す
ることによるアクチュエータ部13内の排除体積ΔV
は、次式(3)で与えられる。なお、式(3)におい
て、aは、振動板6の短辺方向の幅(短辺幅)[m]、
bは、振動板6の長辺方向の幅(長辺幅)[m]であ
る。
【0047】
【数3】 そして、上述のように、アクチュエータ部13が封止さ
れていると、振動板6が、上記式(2)で与えられる変
位δだけ変位して、アクチュエータ部13内の体積が、
上記式(3)で与えられる排除体積ΔVだけ排除される
と、次式(4)で示す内部圧力Piの上昇が生じる。な
お、式(4)において、Poは、大気圧[Pa]、V
は、アクチュエータ部13の容積[m3 ]、ΔVは、上
記式3で与えられる排除体積[m3 ]である。
【0048】
【数4】 振動板6は、アクチュエータ部13が封止されている
と、静電引力Pにより変位することで、上記式(4)で
示す内部圧力Piをうけるため、上記静電引力P及び上
記内部圧力Piと振動板6の復元力との和が釣り合う位
置まで、変位が戻されることになる。
【0049】そして、アクチュエータ部13が封止され
ていると、インクの吐出に必要な振動板6の変位δを得
るためには、本実施の形態のように電極溝3が形成され
ていない場合、式(1)−式(2)で得られるアクチュ
エータ部13が封止されていないとき、すなわち、開放
状態での電圧値に加えて、アクチュエータ部13の内部
圧力上昇分と釣り合うだけの電圧を余分に印加する必要
がある。
【0050】ところが、本実施の形態のインクジェット
記録ヘッド1は、電極基板2の振動板6側の面に電極溝
3が形成されているとともに当該電極溝3内に個別電極
4を形成しているため、電極溝3の分だけアクチュエー
タ部13内部の容積を増加させることができるととも
に、振動板6が変位することにより、個別電極4と振動
板6との距離tが接近して、電極溝3内に形成されてい
る個別電極4と振動板6との静電気力を増加させること
ができる。
【0051】したがって、電圧の上昇分を抑制しつつ、
振動板6をインク吐出に必要な量だけ変位させることが
でき、インクジェット記録ヘッド1を小型で、インク吐
出性能の良好なものとすることができる。
【0052】例えば、上述のように、電極溝3をアクチ
ュエータ部13の体積を、電極溝3が形成されていない
ときのアクチュエータ部13の体積の20%以上である
30%の体積に形成すると、振動板6をインク吐出に必
要な変位δだけ変位させた場合のアクチュエータ部13
の内部圧力の増加は、振動板6が電極溝3の形状に沿っ
て変形したとして、上記式(4)から大気圧Poの2倍
程度となる。
【0053】ところが、電極溝3を形成しない場合に
は、振動板6の最大変位を電極溝3が形成されている本
実施の形態のインクジェット記録ヘッド1の場合の90
%としても、アクチュエータ部13の内部圧力の増加
は、大気圧Poの9倍となる。
【0054】したがって、電極溝3を形成することによ
り、振動板6の変位に伴うアクチュエータ部13の内部
圧力の増加を大幅に抑制することができ、電圧の上昇分
を抑制しつつ、振動板6をインク吐出に必要な量だけ変
位させて、インクジェット記録ヘッド1を小型で、イン
ク吐出性能の良好なものとすることができる。
【0055】このように、本実施の形態のインクジェッ
ト記録ヘッド1は、共通インク流路10から液体抵抗9
を通してインクの供給される各液室8の一部に設けられ
た振動板6及び各振動板6に所定のギャップをおいて対
向して配設された個別電極4を有し封止されているアク
チュエータ部13の個別電極4部分に、振動板6と個別
電極4との間に電圧が印加されたときに、当該個別電極
4側に変形する振動板6が接触しない形状の電極溝3を
形成している。
【0056】したがって、振動板6が個別電極4側に変
形変位する際にアクチュエータ部13内部に生じる圧力
上昇を抑制して、低電力で安定して振動板6を変形させ
ることができ、高周波駆動を可能とするとともに、安定
したインク滴吐出性能を実現して、高速記録を行うこと
ができるとともに、記録画像の画像品質を向上させるこ
とができる。
【0057】また、本実施の形態のインクジェット記録
ヘッド1は、電極溝3を、個別電極4の中央部分から外
れた位置に形成している。
【0058】したがって、電極溝3が形成されることに
よる静電気力の低下を抑制して、より一層低電力で安定
して振動板6を変形させることができ、安定したインク
滴吐出性能を実現して、高速記録を行うことができると
ともに、記録画像の画像品質をより一層向上させること
ができる。
【0059】なお、アクチュエータ部13の体積を増加
させても静電気力を低下させない他の方法としては、例
えば、保護膜5の厚さを変えて保護膜5上に電極溝3に
代わる溝を形成してもよい。
【0060】このようにすると、個別電極4と振動板6
との距離は変化しないため、静電気力の低下を抑制し
て、より一層低電力で安定して振動板6を変形させるこ
とができ、安定したインク滴吐出性能を実現して、高速
記録を行うことができるとともに、記録画像の画像品質
をより一層向上させることができる。
【0061】図4及び図5は、本発明のインクジェット
記録ヘッドの第2の実施の形態を示す図であり、図4
は、本発明のインクジェット記録ヘッドの第2の実施の
形態を適用したインクジェット記録ヘッド30の長辺方
向断面図である。
【0062】図4において、インクジェット記録ヘッド
30は、電極基板31の上面側に電極溝(溝)32(図
5参照)が形成されており、当該電極溝32内に個別電
極33(図5参照)が形成されている。
【0063】電極基板31には、電極溝32に隣接して
空気室34が形成されており、空気室34は、連通孔3
5により電極溝32に連通している。
【0064】個別電極33の形成された電極基板31上
に、保護膜(電極保護膜)36が形成されており、保護
膜36上に、所定間隔開けて、振動板37が形成されて
いる。
【0065】振動板37上に液室部材38が積層され
て、液室39、液体抵抗(インク流路)40及び共通イ
ンク流路(共通液室)41が形成され、液室部材38上
にノズル42の形成された蓋部材43が接合されてい
る。共通インク流路41は、図外のインクタンクに接続
され、共通インク流路41内のインクが液体抵抗40を
通して液室39に供給される。この液室39に連通する
状態でノズル42が形成されており、液室39内のイン
クは、振動板37が振動することで生じる液室39内の
圧力上昇で、ノズル42から吐出される。
【0066】上記電極基板31は、上記第1の実施の形
態と同様に、単結晶シリコン、ガラス、あるいは、セラ
ミックス等の材料で形成され、電極溝32は、単結晶シ
リコン等の電極基板31の上面を個別電極33のパター
ニングされた異方性エッチングを行うことで形成されて
いる。空気室34及び連通孔35は、電極基板31をエ
ッチングすることで形成されている。
【0067】個別電極33は、第1の実施の形態と同様
に、電極溝32の形成された電極基板31に高融点のA
l、Cr、Ni等の金属材料、不純物をドープした半導
体材料、あるいは、窒化チタン等の導電性セラミック材
料を用いて形成されており、電極基板31の材料として
シリコンを用いる場合には、個別電極33と電極基板3
1との間に、SiO2 等の絶縁膜を形成する。
【0068】振動板37は、シリコン等を用いることが
でき、第1の実施の形態と同様の方法で、厚さ、1〜2
0μmの範囲で形成されて、位置精度の高い固相接合等
で電極基板31と接合されている。
【0069】蓋部材43は、液室部材38上に接合さ
れ、液室39、液体抵抗40及び共通インク流路41を
液室部材38との間に画成する。なお、液室部材38及
び蓋部材43は、複数の基板を積層した積層構造として
もよい。
【0070】インクジェット記録ヘッド30は、上記組
立形成された後、個別電極33が図示しないFPC基板
に接続され、このとき振動板37と個別電極33への汚
染を防止するために、開口部を封止して、電極基板31
から振動板37に至るアクチュエータ部44を封止す
る。
【0071】そして、上記電極溝32は、第1の実施の
形態と同様に、電極溝32の形成されていない場合のア
クチュエータ部44の体積が、電極溝32が形成される
ことにより20%以上増加する大きさに形成されてい
る。
【0072】さらに、アクチュエータ部44内部と空気
室34内には、圧力伝搬速度が空気よりも速いガス、例
えば、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが封入
されており、振動板37が高周波数で駆動された場合に
も短時間でアクチュエータ部44内部と空気室34との
圧力伝搬を行って、振動板37の変位の乱れを防止して
いる。
【0073】次に、本実施の形態の作用を説明する。本
実施の形態のインクジェット記録ヘッド30は、アクチ
ュエータ部44を封止しても、個別電極33を電極基板
31に形成した電極溝32内に形成するとともに、電極
溝32に連通する空気室34を形成することで、大きな
電力を用いることなく、振動板6をより一層適切に振動
させて、小型化するとともにインク吐出性能をより一層
向上させたところにその特徴がある。
【0074】すなわち、本実施の形態のインクジェット
記録ヘッド30は、電極基板31の振動板37側の面に
電極溝32が形成されており、この電極溝32に連通孔
35で連通する空気室34が電極基板31に形成されて
いる。
【0075】したがって、電極溝32及び空気室34の
分だけアクチュエータ部44内部の容積を増加させるこ
とができるとともに、振動板37が変位して個別電極3
3と振動板37との距離が接近した場合のアクチュエー
タ部44内部の圧力上昇をより一層低下させることがで
き、電圧の上昇分をより一層抑制しつつ、振動板37を
インク吐出に必要な量だけ変位させることができる。そ
の結果、インクジェット記録ヘッド30を小型で、イン
ク吐出性能のより一層良好なものとすることができる。
【0076】さらに、振動板37が個別電極33側に変
位した場合に、振動板37と電極基板31の表面との距
離が狭くなることで、アクチュエータ部44内の空気が
移動しにくくなって、局部的にアクチュエータ部44内
部の圧力上昇が生じて振動板37の変位が乱れ、インク
吐出性能に影響を与えるおそれがある。
【0077】ところが、本実施の形態のインクジェット
記録ヘッド30は、アクチュエータ部44内部及び空気
室34内に圧力伝搬速度が空気よりも速いガスが封入さ
れているため、振動板37が個別電極33側に変位した
際に、当該ガスによりアクチュエータ部44内部の圧力
変化を速やかに空気室34に伝搬することができ、振動
板37の変位の乱れを防止して、インク吐出性能を向上
させることができる。
【0078】また、本実施の形態のインクジェット記録
ヘッド30は、アクチュエータ部44内部及び空気室3
4内に封入する圧力伝搬速度が空気よりも速いガスとし
て、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを用いて
いるので、スパークの発生を防止することができ、保護
膜36の信頼性を向上させて、インクジェット記録ヘッ
ド30の信頼性を向上させることができる。
【0079】このように、本実施の形態のインクジェッ
ト記録ヘッド30は、電極溝32に連通しアクチュエー
タ部44内の体積を調整する空気室34を形成してい
る。
【0080】したがって、振動板37が個別電極33側
に変形する際にアクチュエータ部44内部に生じる圧力
上昇をより一層抑制して、より一層低電力で安定して振
動板37を変形させることができ、高周波駆動を可能と
して、より一層安定したインク滴吐出性能を実現して、
高速記録を行うことができるとともに、記録画像の画像
品質をより一層向上させることができる。
【0081】また、本実施の形態のインクジェット記録
ヘッド30は、アクチュエータ部44の内部に空気より
も圧力伝搬速度の速いガスを封入している。
【0082】したがって、振動板37の変形によるアク
チュエータ部44内部に生じる圧力変化の伝搬を良好な
ものとすることができ、高周波駆動した場合にもより一
層安定したインク滴吐出性能を実現して、より一層高速
記録を行うことができるとともに、記録画像の画像品質
をより一層向上させることができる。
【0083】
【実施例】〈実施例1〉上記第1の実施の形態のインク
ジェット記録ヘッド1と同様のインクジェット記録ヘッ
ドを次の条件で作成し、振動板6の変位を観察した。
【0084】すなわち、本実施例では、上記第1の実施
の形態のインクジェット記録ヘッド1と同様の形状、す
なわち、図3に示したように、一対の個別電極4部分が
深く、その他の部分が平坦な形状の電極溝3を形成し、
その上に保護膜5を電極溝3と同形状に形成した。そし
て、振動板6の幅を、130μm、長さを、1000μ
m、厚さを、3μmとし、振動板6と個別電極4との最
大距離を、0.25μmとした。このときのアクチュエ
ータ部の体積は、20plであった。
【0085】このようにして作成したインクジェット記
録ヘッドの振動板6と個別電極4との間に、電圧を印加
して、振動板6の変位を観察した。
【0086】振動板6の変位は、28Vの印加電圧を印
加したときに、最大変位が0.25μmであった。 〈実施例2〉上記第1の実施の形態のインクジェット記
録ヘッド1と同様のインクジェット記録ヘッドを次の条
件で作成し、振動板6の変位を観察した。
【0087】すなわち、本実施例では、上記第1の実施
の形態のインクジェット記録ヘッド1の電極溝3部分
を、図6に示すように、なめらかなすり鉢形状の電極溝
50に形成して、その傾斜面に個別電極4を形成し、そ
の上に保護膜51を形成して、当該保護膜51の個別電
極4と対応する部分に溝51aを形成して、保護膜51
の膜厚を薄く形成した。なお、振動板6は、その幅、長
さ及び厚さが、実施例1と同様であり、振動板6と個別
電極4との最大距離も同様に、0.25μmとした。こ
のときのアクチュエータ部の体積は、実施例1と同様
に、20plである。
【0088】このようにして作成したインクジェット記
録ヘッドの振動板6と個別電極4との間に、電圧を印加
して、振動板6の変位を観察した。
【0089】振動板6の変位は、26Vの印加電圧を印
加したときに、最大変位が0.25μmであった。
【0090】〈比較例1〉上記第1の実施の形態のイン
クジェット記録ヘッド1と同様のインクジェット記録ヘ
ッドを次の条件で作成し、振動板6の変位を観察した。
【0091】すなわち、本実施例では、上記第1の実施
の形態のインクジェット記録ヘッド1の電極溝3部分
を、図7に示すように、なめらかなすり鉢形状の電極溝
60に形成して、その傾斜面に個別電極4を形成し、そ
の上に保護膜61を均等の厚さに形成した。なお、振動
板6は、その幅、長さ及び厚さは、実施例1と同様であ
り、振動板6と個別電極4との最大距離も同様に、0.
25μmとした。このときのアクチュエータ部の体積
は、17plである。
【0092】このようにして作成したインクジェット記
録ヘッドの振動板6と個別電極4との間に、電圧を印加
して、振動板6の変位を観察した。
【0093】振動板6の変位は、28Vの印加電圧を印
加したときに、最大変位が0.202μmであった。
【0094】〈比較例2〉上記第1の実施の形態のイン
クジェット記録ヘッド1と同様のインクジェット記録ヘ
ッドを次の条件で作成し、振動板6の変位を観察した。
【0095】すなわち、本実施例では、上記第1の実施
の形態のインクジェット記録ヘッド1の電極溝3部分
を、図8に示すように、底面が平らな腕形状の電極溝7
0に形成して、その傾斜面に個別電極4を形成し、その
上に保護膜71を均等の厚さに形成した。なお、振動板
6は、その幅、長さ及び厚さは、実施例1と同様であ
り、振動板6と個別電極4との最大距離も同様に、0.
25μmとした。このときのアクチュエータ部の体積
は、20plである。
【0096】このようにして作成したインクジェット記
録ヘッドの振動板6と個別電極4との間に、電圧を印加
して、振動板6の変位を観察した。
【0097】振動板6の変位は、31Vの印加電圧を印
加したときに、最大変位が0.25μmであった。
【0098】〈実施例3〉上記第2の実施の形態のイン
クジェット記録ヘッド30と同様のインクジェット記録
ヘッドを次の条件で作成し、振動板37の変位を観察し
た。
【0099】すなわち、本実施例では、上記第2の実施
の形態のインクジェット記録ヘッド30と同様の形状、
すなわち、図3に示したように、電極基板31の振動板
37側の面に、個別電極33部分が深く、その他の部分
が平坦な形状の電極溝32を形成し、その上に保護膜3
6を電極溝32と同形状に形成した。そして、振動板3
7の幅を、130μm、長さを、1000μm、厚さ
を、3μmとし、振動板37と個別電極33との最大距
離を、0.25μmとした。このときのアクチュエータ
部の体積は、20plであった。さらに、この電極溝3
2に連通する空気室34を形成し、空気室34の体積を
8plとした。そして、アクチュエータ部及び空気室3
4の内部にアルゴンガスを封入した。
【0100】このようにして作成したインクジェット記
録ヘッドの振動板37と個別電極33との間に、駆動周
波数が1Khzの電圧を印加して、振動板37の変位を
観察した。
【0101】振動板37の変位は、23Vの印加電圧を
印加したときに、最大変位が0.25μmであった。
【0102】〈比較例3〉上記第2の実施の形態のイン
クジェット記録ヘッド30と同様のインクジェット記録
ヘッドを次の条件で作成し、振動板37の変位を観察し
た。
【0103】すなわち、本実施例では、上記第2の実施
の形態のインクジェット記録ヘッド69の電極溝32部
分を、図7に示したような、なめらかなすり鉢形状の電
極溝32に形成して、その傾斜面に個別電極33を形成
し、その上に保護膜36を均等の厚さに形成した。な
お、振動板37は、その幅、長さ及び厚さは、実施例3
と同様であり、振動板37と個別電極33との最大距離
も同様に、0.25μmとした。このときのアクチュエ
ータ部の体積は、17plである。
【0104】そして、この電極溝32に連通させて空気
室34を形成し、空気室34の体積を8plとした。
【0105】このようにして作成したインクジェット記
録ヘッドの振動板37と個別電極33との間に、駆動周
波数が1Khzの電圧を印加して、振動板37の変位を
観察した。
【0106】振動板37の変位は、23Vの印加電圧を
印加したときに、最大変位が0.25μmであった。
【0107】また、駆動周波数が8Khzの電圧を印加
すると、振動板37の変位は、23Vの印加電圧を印加
したときに、最大変位が0.21μmであった。
【0108】以上、本発明者によってなされた発明を好
適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は
上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱
しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもな
い。
【0109】
【発明の効果】請求項1記載の発明のインクジェット記
録ヘッドによれば、共通液室からインク流路を通してイ
ンクの供給される各液室の一部に設けられた振動板及び
各振動板に所定のギャップをおいて対向して配設された
個別電極を有し封止されているアクチュエータ部の個別
電極部分に、振動板と個別電極との間に電圧が印加され
たときに、当該個別電極側に変形する振動板が接触しな
い形状の溝を形成しているので、振動板が個別電極側に
変形する際にアクチュエータ部内部に生じる圧力上昇を
抑制して、低電力で安定して振動板を変形させることが
でき、高周波駆動を可能とするとともに、安定したイン
ク滴吐出性能(インク滴噴出特性)を実現して、高速記
録を行うことができるとともに、記録画像の画像品質を
向上させることができる。
【0110】請求項2記載の発明のインクジェット記録
ヘッドによれば、溝を、個別電極の中央部分から外れた
位置に形成しているので、溝が形成されることによる静
電気力の低下を抑制して、より一層低電力で安定して振
動板を変形させることができ、安定したインク滴吐出性
能を実現して、高速記録を行うことができるとともに、
記録画像の画像品質をより一層向上させることができ
る。
【0111】請求項3記載の発明のインクジェット記録
ヘッドによれば、個別電極の振動板側の面に、電極保護
膜を形成し、当該電極保護膜の厚さを変化させることで
溝を形成しているので、溝が形成されることによる静電
気力の低下をより一層抑制して、より一層低電力で安定
して振動板を変形させることができ、安定したインク滴
吐出性能を実現して、高速記録を行うことができるとと
もに、記録画像の画像品質をより一層向上させることが
できる。
【0112】請求項4記載の発明のインクジェット記録
ヘッドによれば、溝に連通しアクチュエータ部内の体積
を調整する空気室を形成しているので、振動板が個別電
極側に変形する際にアクチュエータ部内部に生じる圧力
上昇をより一層抑制して、より一層低電力で安定して振
動板を変形させることができ、高周波駆動を可能とし
て、より一層安定したインク滴吐出性能を実現して、高
速記録を行うことができるとともに、記録画像の画像品
質をより一層向上させることができる。
【0113】請求項5記載の発明のインクジェット記録
ヘッドによれば、アクチュエータ部の内部に空気よりも
圧力伝搬速度の速いガスを封入しているので、振動板の
変形によるアクチュエータ部内部に生じる圧力変化の伝
搬を良好なものとすることができ、高周波駆動した場合
にもより一層安定したインク滴吐出性能を実現して、よ
り一層高速記録を行うことができるとともに、記録画像
の画像品質をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録ヘッドの第1の実
施の形態を適用したインクジェット記録ヘッドの長辺方
向断面図。
【図2】図1のインクジェット記録ヘッドの電極基板部
分の短辺方向斜視図。
【図3】図2のA−A矢視断面図。
【図4】本発明のインクジェット記録ヘッドの第2の実
施の形態を適用したインクジェット記録ヘッドの長辺方
向断面図。
【図5】図4のインクジェット記録ヘッドの電極基板部
分の短辺方向斜視図。
【図6】実施例2で形成した電極基板の短辺方向断面
図。
【図7】比較例1で形成した電極基板の短辺方向断面
図。
【図8】比較例2で形成した電極基板の短辺方向断面
図。
【符号の説明】
1 インクジェット記録ヘッド 2 電極基板 3 電極溝 4 個別電極 5 保護膜 6 振動板 7 液室部材 8 液室 9 液体抵抗 10 共通インク流路 11 ノズル 12 蓋部材 20 FPC基板 30 インクジェット記録ヘッド 31 電極基板 32 電極溝 33 個別電極 34 空気室 35 連通孔 36 保護膜 37 振動板 38 液室部材 39 液室 40 液体抵抗 41 共通インク流路 42 ノズル 43 蓋部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤沢 悦子 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2C057 AF34 AF54 AF55 AG37 AG42 AG54 AG60

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】液室柱で区切られインクの充填されている
    複数の液室と、前記液室内の前記インクを吐出するノズ
    ルと、前記液室にインク流路で連通され前記液室に前記
    インクを供給する共通液室と、前記各液室の一部に設け
    られた振動板及び前記各振動板に所定のギャップをおい
    て対向して配設された個別電極を有し封止されているア
    クチュエータ部と、を備え、前記振動板と前記個別電極
    との間に印加される電圧で生じる静電気力で前記振動板
    を変形させて前記液室に圧力を発生させ、当該液室内の
    前記インクを前記ノズルから吐出させるインクジェット
    記録ヘッドにおいて、前記個別電極部分に、前記電圧印
    加時に当該個別電極側に変形する前記振動板が接触しな
    い形状の溝が形成されていることを特徴とするインクジ
    ェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】前記溝は、前記個別電極の中央部分から外
    れた位置に形成されていることを特徴とする請求項1記
    載のインクジェット記録ヘッド。
  3. 【請求項3】前記個別電極は、前記振動板側の面に電極
    保護膜が形成されており、前記溝は、当該電極保護膜の
    厚さを変化させることで形成されていることを特徴とす
    る請求項1または請求項2記載のインクジェット記録ヘ
    ッド。
  4. 【請求項4】前記インクジェット記録ヘッドは、前記溝
    に連通し前記アクチュエータ部内の体積を調整する空気
    室が形成されていることを特徴とする請求項1から請求
    項3のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 【請求項5】前記アクチュエータ部は、その内部に空気
    よりも圧力伝搬速度の速いガスが封入されていることを
    特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のイ
    ンクジェット記録ヘッド。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012206294A (ja) * 2011-03-29 2012-10-25 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置

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