JP2002079669A - インクジェット記録ヘッド - Google Patents

インクジェット記録ヘッド

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JP2002079669A
JP2002079669A JP2000272433A JP2000272433A JP2002079669A JP 2002079669 A JP2002079669 A JP 2002079669A JP 2000272433 A JP2000272433 A JP 2000272433A JP 2000272433 A JP2000272433 A JP 2000272433A JP 2002079669 A JP2002079669 A JP 2002079669A
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diaphragm
recording head
ink jet
jet recording
ink
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JP2000272433A
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Tadashi Mimura
忠士 三村
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2002/14411Groove in the nozzle plate

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、振動板の個別電極に対向する側の面
に複数の凹部を形成し、振動板を低電圧で適切に変形さ
せて小型でインク吐出性能の良好なインクジェット記録
ヘッドを提供する。 【解決手段】インクジェット記録ヘッド1は、共通液室
からインク流路を通してインクの供給される各液室の一
部に設けられた振動板6及び各振動板6に所定のギャッ
プをおいて対向して配設された個別電極4を有し封止さ
れているアクチュエータ部11の振動板6の個別電極4
に対向する側の面に、複数の凹部10が形成されてい
る。したがって、アクチュエータ部11の体積を振動板
6の真下部分で増やして、振動板6が個別電極4側に変
形する際にアクチュエータ部11内部に生じる圧力上昇
を抑制し、低電力で安定して振動板6を変形させて、安
定したインク滴吐出性能を実現して、高速記録を行うこ
とができるとともに、記録画像の画像品質を向上させる
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録ヘッドに関し、詳細には、静電引力を利用して振動板
を変位させて、当該振動板上の液室を圧縮してインク滴
を吐出するインクジェット記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録ヘッドは、現像・定
着等のプロセスを必要とせず、非接触で記録を行うこと
ができるために、記録時の騒音が極めて小さいこと、イ
ンクの自由度が高く、安価な普通紙を使用できることな
ど多くの利点を有していることから、現在注目されてい
る。
【0003】このようなインクジェット記録ヘッドとし
ては、静電気力で駆動されるアクチュエータを利用した
インクジェット記録ヘッドが多く用いられている(特開
平2−289351号公報参照)。
【0004】この静電気力を利用したアクチュエータ
は、振動板と振動板に対向して配置された個別電極間の
電位差によって振動板を駆動し、低電圧で駆動可能であ
ることが望ましいが、振動板と個別電極間のギャップが
小さい場合、振動板の変位時に密封されたアクチュエー
タ内部の空気圧が上昇して、振動板の変位が十分に得ら
れない(エアーダンパ効果)ことがあり、余分な電圧を
印加するなどの対策を必要とするという問題がある。
【0005】そこで、従来、ノズルと、該ノズルに連通
するインク流路と、該流路の一部に形成された振動板
と、該振動板に対向して形成された電極とを有し、前記
振動板と前記電極との間に電気パルスを印加し、前記振
動板を静電気力により変形させ、前記ノズルからインク
液滴を吐出するインクジェットヘッドを有するインクジ
ェット記録装置において、前記振動板と前記電極とによ
って形成される振動室を少なくとも含むアクチュエータ
を気密に構成し、かつ、前記アクチュエータの容積V
と、駆動時に前記振動板によって排除される容積ΔVと
の比が、2≦V/ΔV≦8の範囲に入るように、前記ア
クチュエータの容積Vを設定したことを特徴とするイン
クジェット記録装置が提案されている(特開平7−29
9908号公報参照)。そして、このインクジェット記
録装置では、前記アクチュエータ容積Vには、前記電極
につながる配線部が形成された溝の容積が含まれている
ものも提案されている。
【0006】また、従来、記録体を吐出する吐出口と、
該記録体に吐出の圧力を加える加圧液室を有しかつ該加
圧液室の一部を構成する振動板が形成された振動板基板
と、電極を形成した電極板とを互いに対向する位置に配
置し、前記電極と振動板の間に働く静電力によって該振
動板を変形せしめ、該振動板の変形によって発生した圧
力によって前記記録体を被記録体に吐出する記録ヘッド
において、前記振動板が形成されている振動板基板と電
極との間隔が、振動板直下での間隔よりも振動板直下以
外での間隔の方が長いことを特徴とする記録ヘッドが提
案されている(特開平11−34319号公報参照)。
【0007】すなわち、この記録ヘッドは、振動板直下
以外の部分でアクチュエータ部の容積を増加させて、振
動板の変位による内部圧力の上昇を少なくしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平7−299908号公報記載のインクジェット記録
装置にあっては、アクチュエータの容積Vと、駆動時に
振動板によって排除される容積ΔVとの比が、2≦V/
ΔV≦8の範囲に入るように、アクチュエータの容積V
を設定し、また、アクチュエータ容積Vに、電極につな
がる配線部が形成された溝の容積が含まれているように
して、配線部が形成されている溝の容積を使ってアクチ
ュエータの容積を増加させている。
【0009】ところが、配線部が形成されている溝の容
積を使ってアクチュエータの容積を増加させようとする
と、逆に、不必要な配線であっても、配線部の溝でアク
チュエータの容積Vを2≦V/ΔV≦8の範囲に入る容
量に確保するために、当該不必要な配線部分を作成する
必要があるという問題があった。
【0010】また、上記特開平11−34319号公報
記載の記録ヘッドにあっては、振動板直下以外の部分で
アクチュエータ部の容積を増加させて、振動板の変位に
よる内部圧力の上昇を少なくしようとしているため、ア
クチュエータ部の内部圧力の上昇を十分に低下させるに
は、振動板以外の箇所に空間を形成する必要があり、イ
ンクジェット記録ヘッドが大型化するという問題があっ
た。
【0011】そして、これらの問題を解決するために、
図16に示すように、電極基板100に凹状の所定の容
積Vを有する振動室101を形成し、振動室101の底
面に個別電極102を形成して、当該個別電極102の
表面上を絶縁膜103で被覆している。この振動室10
1の下部の電極基板100に大きな空気室104が形成
されており、空気室104と振動室101を連通する切
り欠き105が振動室101の底部に形成されている。
【0012】電極基板100の上面に、振動板基板10
6が接合されており、振動板基板106には、振動室1
01に面する部分に振動板107が形成されている。そ
して、振動室101に形成された個別電極102から振
動板107に至るアクチュエータ部108は、封止され
ている。
【0013】このインクジェット記録ヘッドは、振動板
107と個別電極102との間に駆動電圧が印加される
と、振動板107が個別電極102との間の静電気力に
引っ張られて、復元力と静電気力がつりあうところまで
変位する。
【0014】そして、アクチエータ部108が封止され
ている場合、振動板107は、上記静電気力と振動板1
07自体の復元力の他に、アクチエータ部108の体積
変化による圧力を受けるようになる。振動板107は、
このアクチュエータ部108内の内部圧力の上昇をう
け、内部圧力と振動板107の復元力の和が静電気力と
つりあう位置まで戻されることになる。
【0015】ところが、電極基板100には、振動室1
01、すなわち、アクチュエータ部108に切り欠き1
05で連通する空気室104が形成されているため、振
動室101の容積Vを、空気室104の容積分だけ増大
させることができ、振動板107が個別電極102方向
に変位することによる排除容積ΔVに対する振動室10
1の実容積を増大させて、エアーダンパ効果を低減する
ことができる。
【0016】ところが、上記図16のように、振動室1
01の底面に切り欠き105で連通する大きな容積の空
気室104を形成すると、振動板107が変位する際の
空気の移動距離が大きくなり、振動板107の駆動周波
数が高いと、振動室101の空気が切り欠き105を通
して空気室104に移動する移動速度が振動板107の
駆動周波数に追随できなくなり、高周波駆動を行う際に
不利となる。
【0017】そこで、請求項1記載の発明は、共通液室
からインク流路を通してインクの供給される各液室の一
部に設けられた振動板及び各振動板に所定のギャップを
おいて対向して配設された個別電極を有し封止されてい
るアクチュエータ部の振動板の個別電極に対向する側の
面に、複数の凹部を形成することにより、簡単な構成で
アクチュエータ部内部の体積を振動板直下で増やして、
振動板が個別電極側に変形する際にアクチュエータ部内
部の圧力が上昇して十分な振動板の変位を得ることがで
きなくなるエアーダンパ効果を低減し、低電力で安定し
て振動板を変形させて、高周波駆動を可能とするととも
に、安定したインク滴吐出性能(インク滴噴出特性)を
実現して、高速記録が可能で、記録画像の画像品質を向
上させることのできる小型でかつ安価なインクジェット
記録ヘッドを提供することを目的としている。
【0018】請求項2記載の発明は、凹部を、振動板に
格子状に配置して形成することにより、凹部を振動板と
なる部分に均等に配置して、振動板の変位時に加わるエ
アーダンパ効果を効率よく低減するとともに、個別電極
と振動板との間に電圧を印加したときに発生する静電気
力が、振動板に均一に働いて、効率よく振動板を変位さ
せ、高速記録が可能で、記録画像の画像品質を向上させ
ることのできる小型でかつ安価なインクジェット記録ヘ
ッドを提供することを目的としている。
【0019】請求項3記載の発明は、凹部を、振動板に
千鳥状に配置して形成することにより、凹部を振動板と
なる部分に均等に配置して、振動板の変位時に加わるエ
アーダンパ効果を効率よく低減するとともに、個別電極
と振動板との間に電圧を印加したときに発生する静電気
力が、振動板に均一に働いて、効率よく振動板を変位さ
せ、高速記録が可能で、記録画像の画像品質を向上させ
ることのできる小型でかつ安価なインクジェット記録ヘ
ッドを提供することを目的としている。
【0020】請求項4記載の発明は、振動板を、SOI
基板を形成基板として形成することにより、凹部をドラ
イエッチングまたはウエットエッチングで形成する際の
エッチングの終点の検出を適切に行い、凹部の深さ寸法
を精度良く形成して、振動板の変位時に加わるエアーダ
ンパ効果をより一層効率よく低減して、より一層高速記
録が可能で、記録画像のより一層画像品質を向上させる
ことのできる小型でかつ安価なインクジェット記録ヘッ
ドを提供することを目的としている。
【0021】請求項5記載の発明は、振動板を、少なく
とも凹部の形成される領域の面方位が(100)である
シリコンウエハを基板として形成し、ウエットエッチン
グで凹部を形成することにより、シリコンウエハの(1
00)面をウエットエッチングして凹部を形成すると、
エッチング速度が非常に遅い(111)面で囲まれた凹
部を得ることができ、凹部の深さ寸法をより一層精度良
く形成して、振動板の変位時に加わるエアーダンパ効果
をより一層効率よく低減し、より一層高速記録が可能
で、記録画像のより一層画像品質を向上させることので
きる小型でかつ安価なインクジェット記録ヘッドを提供
することを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明のイ
ンクジェット記録ヘッドは、インクの充填されている複
数の液室と、前記各液室に連通して当該液室内の前記イ
ンクを吐出する複数のノズルと、前記各液室にインク流
路で連通され前記液室に前記インクを供給する共通液室
と、前記各液室の一部に設けられた振動板及び前記各振
動板に所定のギャップをおいて対向して配設された個別
電極を有し封止されているアクチュエータ部と、を備
え、前記振動板と前記個別電極との間に印加される電圧
で生じる静電気力で前記振動板を変形させて前記液室に
圧力を発生させ、当該液室内の前記インクを前記ノズル
から吐出させるインクジェット記録ヘッドにおいて、前
記振動板は、前記個別電極に対向する側の面に複数の凹
部が形成されていることにより、上記目的を達成してい
る。
【0023】上記構成によれば、共通液室からインク流
路を通してインクの供給される各液室の一部に設けられ
た振動板及び各振動板に所定のギャップをおいて対向し
て配設された個別電極を有し封止されているアクチュエ
ータ部の振動板の個別電極に対向する側の面に、複数の
凹部を形成しているので、簡単な構成でアクチュエータ
部内部の体積を振動板直下で増やして、振動板が個別電
極側に変形する際にアクチュエータ部内部の圧力が上昇
して十分な振動板の変位を得ることができなくなるエア
ーダンパ効果を低減して、低電力で安定して振動板を変
形させて、高周波駆動を可能とすることができ、安定し
たインク滴吐出性能(インク滴噴出特性)を実現して、
高速記録を行うことができるとともに、記録画像の画像
品質の良好なインクジェット記録ヘッドを小型でかつ安
価なものとすることができる。
【0024】この場合、例えば、請求項2に記載するよ
うに、前記凹部は、前記振動板に格子状に配置されて形
成されていてもよい。
【0025】上記構成によれば、凹部を、振動板に格子
状に配置して形成しているので、凹部を振動板となる部
分に均等に配置して、振動板の変位時に加わるエアーダ
ンパ効果を効率よく低減することができるとともに、個
別電極と振動板との間に電圧を印加したときに発生する
静電気力が、振動板に均一に働いて、効率よく振動板を
変位させることができ、高速記録を行うことができると
ともに、記録画像の画像品質のより一層良好なインクジ
ェット記録ヘッドを小型でかつ安価なものとすることが
できる。
【0026】また、例えば、請求項3に記載するよう
に、前記凹部は、前記振動板に千鳥状に配置されて形成
されていてもよい。
【0027】上記構成によれば、凹部を、振動板に千鳥
状に配置して形成しているので、凹部を振動板となる部
分に均等に配置して、振動板の変位時に加わるエアーダ
ンパ効果を効率よく低減することができるとともに、個
別電極と振動板との間に電圧を印加したときに発生する
静電気力が、振動板に均一に働いて、効率よく振動板を
変位させることができ、高速記録を行うことができると
ともに、記録画像の画像品質のより一層良好なインクジ
ェット記録ヘッドを小型でかつ安価なものとすることが
できる。
【0028】さらに、例えば、請求項4に記載するよう
に、前記振動板は、SOI基板を形成基板として形成さ
れていてもよい。
【0029】上記構成によれば、振動板を、SOI基板
を形成基板として形成しているので、凹部をドライエッ
チングまたはウエットエッチングで形成する際のエッチ
ングの終点の検出を適切に行うことができ、凹部の深さ
寸法を精度良く形成して、振動板の変位時に加わるエア
ーダンパ効果をより一層効率よく低減して、より一層高
速記録を行うことができるとともに、記録画像の画像品
質のより一層良好なインクジェット記録ヘッドを小型で
かつ安価なものとすることができる。
【0030】また、例えば、請求項5に記載するよう
に、前記振動板は、少なくとも前記凹部の形成される領
域の面方位が(100)であるシリコンウエハを基板と
して形成されており、ウエットエッチングで前記凹部が
形成されていてもよい。
【0031】上記構成によれば、振動板を、少なくとも
凹部の形成される領域の面方位が(100)であるシリ
コンウエハを基板として形成し、ウエットエッチングで
凹部を形成しているので、シリコンウエハの(100)
面をウエットエッチングして凹部を形成すると、エッチ
ング速度が非常に遅い(111)面で囲まれた凹部を得
ることができ、凹部の深さ寸法をより一層精度良く形成
して、振動板の変位時に加わるエアーダンパ効果をより
一層効率よく低減することができ、より一層高速記録を
行うことができるとともに、記録画像の画像品質のより
一層良好なインクジェット記録ヘッドを小型でかつ安価
なものとすることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述
べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるか
ら、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本
発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定す
る旨の記載がない限り、これらの態様に限られるもので
はない。
【0033】図1〜図7は、本発明のインクジェット記
録ヘッドの第1の実施の形態を示す図であり、図1は、
本発明のインクジェット記録ヘッドの第1の実施の形態
を適用したインクジェット記録ヘッド1の短辺方向要部
断面図である。
【0034】図1において、インクジェット記録ヘッド
1は、電極基板2の上面側に振動室3が形成されてお
り、当該振動室3内に個別電極4が形成されている。
【0035】個別電極4の周囲に、保護膜5が形成され
ており、保護膜5上に、所定間隔開けて、振動板基板6
が配設されている。
【0036】振動板基板6には、活性層7と酸化膜層8
からなる振動板9が形成されており、振動板9の電極基
板2側の層である活性層7には、図2の左側に示すよう
な四角形状の凹部10が複数格子状に形成されている。
【0037】凹部10は、例えば、図2の左側半分に示
すように、10μm毎のピッチpで形成されており、2
×2μmサイズの四角形状で、深さ1.5μmに形成さ
れている。
【0038】電極基板2の振動室3を含む個別電極4か
ら振動板9に至る部分がアクチュエータ部11として機
能し、アクチュエータ部11の振動室3は、図示しない
封止材で封止されて、密閉状態となっている。
【0039】インクジェット記録ヘッド1は、図1には
図示しないが、振動板基板6に、各振動板9毎に形成さ
れた液室、各液室に連通するインク流路及びインク流路
を通して各液室にインクを供給する共通液室等が形成さ
れている。
【0040】この振動板基板6上に図示しないノズル基
板が配設されており、ノズル基板には、各液室に連通す
るノズルが形成されている。
【0041】上記インクジェット記録ヘッド1は、図3
〜図7に示す手順で製造される。すなわち、電極基板2
部分は、図1及び図7に示すように、電極基板2とし
て、その上面に2μmの厚さに酸化膜20の形成された
Si基板21を使用し、Si基板21の酸化膜(SiO
2 )20に、窪みを0.4μmドライエッチングで形成
して振動室3とする。
【0042】この振動室3となる窪みの底面に、厚さ
0.1μmのTiNをスパッタリングにより成膜し、そ
の後ドライエッチングによりパターンを形成して、個別
電極4を形成する。
【0043】次に、電極保護膜5として、SiO2
0.1μmの厚さでLP−CVDにより成膜し、レジス
トコート、露光、現像を行った後、ドライエッチングに
よりパターニングした。
【0044】振動板基板6は、図3に示すように、SO
I基板30を用い、SOI基板30は、ベース基板31
が厚さ400μmの基板であり、電極基板2に接合され
る面側に、厚さ1.5μmのシリコンからなる活性層7
が形成され、ベース基板31と活性層7との間に、厚さ
1.5μmの酸化膜層8が形成されている。
【0045】このSOI基板30の活性層7側の面に、
図4に示すように、レジストコート膜32を形成し、パ
ターニングにより振動板9となる部分全体に、ピッチp
10μmで、2×2μmのサイズで格子状にシリコンを
露出させ、図5に示すように、ドライエッチングにより
エッチングを行って、エッチング深さが、1.5μmの
酸化膜層8に達したところで、エッチングをストップさ
せる。
【0046】エッチングを完了すると、図6に示すよう
に、レジストコート膜32を除去すると、縦2×横2×
深さ1.5μmの凹部10が活性層7に形成され、振動
板基板6が作成される。
【0047】その後、凹部10の形成されたSOI基板
30、すなわち、振動板基板6を、上記電極基板2上
に、図7に示すように、直接接合により接合する。この
直接接合の接合条件としては、減圧下でプリボンドした
後、900℃で2時間接合し、その後、機械研磨を行っ
て振動板基板6を100μmまで減厚する。
【0048】そして、振動板9の上面に、窒化膜を0.
2μmの厚さに形成し、液室となる部分だけ窒化膜が露
出するようにパターニングし、ドライエッチングでシリ
コンを露出させる。その後(110)のSiをウエット
エッチングで酸化膜層8までエッチングして液室を形成
すると、液室の形成と同時に3μm厚の振動板9を得る
ことができる。
【0049】なお、上記製造方法では、ドライエッチン
グにより凹部10を形成しているが、ウエットエッチン
グで凹部10を形成してもよい。
【0050】ウエットエッチングで凹部10を形成する
場合は、SOI基板30の(110)面の活性層7に、
SiO2 をLP−CVDにより0.2μmの厚さに形成
し、ドライエッチでパターニングしてSiを露出させ
る。次に、ウエットエッチングにより、凹部10を形成
し、SiO2 の面に達した時点で、ウエットエッチング
をストップすることで、目的の形状の凹部10を形成す
ることができる。
【0051】また、上記製造方法では、振動板基板6と
して、SOIを用いているが、SOIに限るものではな
く、例えば、振動板基板6としては、シリコン基板に高
濃度の不純物(例えば、ボロン)を拡散させたようなS
i振動板を用いてもよく、この場合、エッチング時間を
制御することで、凹部10を寸法精度よく形成すること
ができる。
【0052】このようにして形成した振動板基板6に
は、その振動板9部分の振動室3側の面、すなわち、個
別電極4に対向する側の面に複数の凹部10が格子状に
形成されており、この凹部10は、上記例では、ピッチ
p10μmで、縦2×横2×深さ1.5μmのサイズに
格子状に形成しているが、振動板9が振動室3側に変形
した際のエアーダンパ効果の低減作用を、振動板9とし
ての機能を損なわずに形成するには、ピッチpを、1〜
100μm、底面積を、0.5μm2 〜500μm2
深さを、0.05〜4μmの範囲で形成することが望ま
しい。
【0053】そして、本実施の形態の凹部10の場合、
その体積Vは、2×2×1.5の6μm3 であり、振動
室3の体積は、長手方向1000μm×短手方向130
μm×ギャップg0.2μmとした場合、振動板9が振
動室3方向、すなわち、個別電極4方向に変形すること
により減少する減少体積をΔVとすると、V/ΔVは、
約2.5となる。
【0054】次に、本実施の形態の作用を説明する。本
実施の形態のインクジェット記録ヘッド1は、アクチュ
エータ部11を封止しても、振動板6の個別電極4側の
面に複数の凹部10を形成することで、アクチュエータ
部11内の容量を適切に増加させ、大きな電力を用いる
ことなく、振動板6を適切に振動させて、小型化すると
ともにインク吐出性能を向上させたところにその特徴が
ある。
【0055】すなわち、インクジェット記録ヘッド1
は、個別電極4と共通電極として機能する振動板6との
間に電圧Vが印加されると、個別電極4と振動板6との
間に、電極間距離の2乗に反比例する静電引力が発生
し、振動板6は、静電気力に引っ張られて、復元力と静
電気力がつりあうところまで変位する。
【0056】そして、アクチュエータ部11が封止され
ている場合、振動板6は、上記静電気力と振動板6自体
の復元力の他に、アクチュエータ部11の体積変化によ
る圧力を受けるようになる。振動板6は、このアクチュ
エータ部11内の内部圧力の上昇をうけ、内部圧力と振
動板6の復元力の和が静電気力とつりあう位置まで戻さ
れることになる。
【0057】この状態で吐出に必要な変位を振動板6に
生じさせるには、アクチュエータ部11の内部圧力の上
昇分とつりあうだけの静電気力を余分に発生させる必要
がある。そして、アクチュエータ部11の内部圧力の上
昇は、駆動電圧を印加しない状態(振動板6が変位して
いない状態)でのアクチュエータ部11の体積と振動板
6が変位した後のアクチュエータ部11の体積の割合で
決まる。
【0058】すなわち、図8及び図9に、振動板6に凹
部10を形成せずに上記本実施の形態のインクジェット
記録ヘッド1と同様の方法で作成した従来のインクジェ
ット記録ヘッド40を示しているが、この従来のインク
ジェット記録ヘッド40は、振動板6に凹部10が形成
されていない以外は、本実施の形態のインクジェット記
録ヘッド1と同様である。そこで、図8及び図9では、
インクジェット記録ヘッド1と同様の構成部分には、同
一の符号を付しており、振動板基板41に活性層42と
酸化膜層43からなる振動板44が形成されている。ま
た、図9では、振動板44上に液室45が形成され、液
室45がインク流路46を通して共通液室47に連通さ
れている。これら液室45、インク流路46及び共通液
室47を覆う状態でノズル基板48が接合されており、
ノズル基板48には、液室45に連通するノズル49が
形成されている。そして、振動室3は、図9に示すよう
に、振動室容積部分と配線用溝容積部分とに分けること
ができ、振動室3の体積Vは、短手方向の長さを、a、
長手方向の長さを、b、振動板44と個別電極4との距
離を、gとすると、V=a×b×gとなる。
【0059】この従来のインクジェット記録ヘッド40
の場合、振動板44が振動室3方向に変形した場合の排
除体積ΔVは、ΔV=8×a×b×g/15となる。
【0060】ここで、振動室3の容積Vと排除体積ΔV
の比V/ΔVは、15/8となり、2以下である。
【0061】そして、実験の結果、エアーダンパ効果
は、アクチュエータ容積Vとしては、振動板9、44の
直下の振動室3の容積の増加のみが大きな効果を及ぼ
し、振動板9、44の直下以外の容積増加、すなわち、
図9に示す配線用溝容積による容積増加等によるエアー
ダンパ効果の低減効果は小さいことが判明した。
【0062】したがって、図8及び図9に示した従来の
構成では、振動室3の容積Vを大きくして、振動室3の
容積Vと排除体積ΔVの比V/ΔVを大きくすることは
できない。
【0063】そこで、本実施の形態のインクジェット記
録ヘッド1は、上述のように、振動板6の個別電極4に
対向する側の面に、複数の凹部10を形成することで、
アクチュエータ部11内の体積、すなわち、振動板6の
真下の振動室3の体積を増加させ、振動板6が変形する
ことによるアクチュエータ部11内部の圧力増加を緩和
して、低電圧駆動を可能にしている。
【0064】そして、本実施の形態のインクジェット記
録ヘッド1の振動板9の変位量と、本実施の形態のイン
クジェット記録ヘッド1と同様の方法と寸法で作製した
図8及び図9に示した振動板44に凹部の形成されてい
ないインクジェット記録ヘッド40の振動板44の変位
量を測定したところ、振動板9、44が電極基板2に接
触を開始する駆動電圧は、凹部10を設けた振動板9の
方が低く、凹部10が振動室3として機能したことが確
認できた。
【0065】また、振動板9の活性層7に凹部10を配
置するにあたって、図2の左側半分に示したように、格
子状に配置したことで、振動板9に一様な凹部10を分
布させることができ、エアーダンパ効果による振動板9
の変位抵抗を効率よく抑制することができる。
【0066】したがって、アクチュエータ部11を封止
する場合にも、複数の凹部10を振動板6の個別電極4
に対向する側の面に形成するという簡単な構成でアクチ
ュエータ部11内部の体積を振動板6の真下部分で増や
して、振動板6が個別電極4側に変形する際にアクチュ
エータ部11内部に生じる圧力上昇を抑制することがで
き、低電力で安定して振動板6を変形させて、高周波駆
動を可能とするとともに、安定したインク滴吐出性能を
実現して、高速記録を行うことができるとともに、記録
画像の画像品質の良好なインクジェット記録ヘッド1を
小型でかつ安価なものとすることができる。
【0067】さらに、本実施の形態のインクジェット記
録ヘッド1は、振動板9を、SOI基板30を形成基板
として形成している。
【0068】したがって、凹部10をドライエッチング
またはウエットエッチングで形成する際のエッチングの
終点の検出を適切に行うことができ、凹部10の深さ寸
法を精度良く形成して、振動板9の変位時に加わるエア
ーダンパ効果をより一層効率よく低減して、より一層高
速記録を行うことができるとともに、記録画像の画像品
質のより一層良好なインクジェット記録ヘッド1を小型
でかつ安価なものとすることができる。
【0069】図10〜図15は、本発明のインクジェッ
ト記録ヘッドの第2の実施の形態を示す図であり、図1
0は、本発明のインクジェット記録ヘッドの第2の実施
の形態を適用したインクジェット記録ヘッド50の短辺
方向要部断面図である。
【0070】なお、本実施の形態は、上記第1の実施の
形態のインクジェット記録ヘッド1と同様のインクジェ
ット記録ヘッドに適用したものであり、第1の実施の形
態のインクジェット記録ヘッド1と同様の構成部分に
は、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0071】図10において、インクジェット記録ヘッ
ド50は、その電極基板2側の構成は、上記第1の実施
の形態と同様であり、振動板基板51には、振動板52
が形成されている。振動板52には、その個別電極4側
の面に、複数の凹部53が形成されており、凹部53
は、図2の右側半分に示すように、四角錐形状に形成さ
れているとともに、千鳥状に配置して形成されている。
上記電極基板2の振動室3を含む個別電極4から振動板
52に至る部分がアクチュエータ部54として機能し、
アクチュエータ部54の振動室3は、図示しない封止材
で封止されて、密閉状態となっている。
【0072】この振動板基板51は、図11〜図15に
示すように、以下の手順で製造される。すなわち、振動
板基板51としては、図11に示すように、SOI基板
60を用い、SOI基板60は、ベース基板61が厚さ
400μmの基板であり、電極基板2に接合される面側
に、厚さ3μmで面方位が(100)のシリコンからな
る活性層62が形成され、ベース基板61と活性層62
との間に、厚さ0.5μmの酸化膜層63が形成されて
いる。
【0073】このSOI基板60の活性層62側の面
に、SiO2 を、LP−CVDにより0.15μm成膜
し、次いで、図12に示すように、レジストコート膜6
4を形成して、パターニングにより振動板52となる部
分全体に、10μmのピッチpで、3×3μmのサイズ
で、千鳥状にSiO2 を露出させる。次に、ドライエッ
チにより、SiO2 をエッチングし、Siを露出させ
る。その後、図13に示すように、KOHによるウエッ
トエッチングで、図2の右側半分に示したような四角錐
形状の凹部53を形成する。
【0074】すなわち、凹部53の形成においては、S
iの(100)面をウエットエッチングすることで、図
2の右側半分に示したように、エッチングの進行速度が
非常に遅い(111)面によって囲まれた四角錐の形状
の凹部53が形成される。すなわち、Siを露出させる
大きさによって、凹部53の深さを決定することがで
き、寸法を精度よく制御することができる。
【0075】ウエットエッチングを完了すると、図14
に示すように、レジストコート膜64を除去すると、縦
3×3μm2×深さ2.15μmの四角錐形状の凹部53
が複数活性層62に形成され、振動板基板51が作成さ
れる。
【0076】その後、複数の凹部53の形成されたSO
I基板60、すなわち、振動板基板51を、上記電極基
板2上に、図15に示すように、直接接合により接合す
る。この直接接合の接合条件としては、減圧下でプリボ
ンドした後、900℃で2時間接合し、その後、機械研
磨を行って振動板基板51を100μmまで減厚する。
以下、上記第1の実施の形態と同様に、液室まで完成さ
せる。
【0077】なお、本実施の形態では、振動板52に形
成する複数の凹部53を、10μmのピッチpで、底面
積3×3μm2 ×深さ2.15μmのサイズに形成して
いるが、振動板52が振動室3側に変形した際のエアー
ダンパ効果の低減作用を、振動板52としての機能を損
なわずに形成するには、ピッチpを、1〜100μm、
底面積を、0.5μm2 〜500μm2 、深さを、0.
05〜4μmの範囲で形成することが望ましい。
【0078】そして、本実施の形態の凹部53の場合、
その体積Vは、6.45μm3 であり、振動室3の体積
は、長手方向1000μm×短手方向130μm×ギャ
ップg0.2μmとした場合、振動板52が振動室3方
向、すなわち、個別電極4方向に変形することにより減
少する減少体積をΔVとすると、V/ΔVは、約2.5
となる。
【0079】本実施の形態のインクジェット記録ヘッド
50は、上述のように、振動板52の個別電極4に対向
する側の面に、複数の凹部53を形成することで、アク
チュエータ部54内の体積、すなわち、振動板6の真下
の振動室3の体積を増加させ、振動板52が変形するこ
とによるアクチュエータ部54内部の圧力増加を緩和し
て、低電圧駆動を可能にしている。
【0080】そして、本実施の形態のインクジェット記
録ヘッド50の振動板9の変位量と、本実施の形態のイ
ンクジェット記録ヘッド1と同様の方法と寸法で作製し
た図8及び図9に示したインクジェット記録ヘッド40
の振動板44の変位量を測定したところ、振動板52、
44が電極基板2に接触を開始する駆動電圧は、凹部5
3を設けた振動板52の方が低く、凹部53が振動室3
として機能したことが確認できた。
【0081】また、振動板52の活性層62に凹部53
を配置するにあたって、図2の右側半分に示したよう
に、千鳥状に配置したことで、振動板52に一様な凹部
53を分布させることができ、エアーダンパによる振動
板52の変位抵抗を効率よく抑制することができる。
【0082】したがって、アクチュエータ部54を封止
する場合にも、複数の凹部53を振動板52の個別電極
4に対向する側の面に形成するという簡単な構成でアク
チュエータ部54内部の体積を振動板52の真下部分で
増やして、振動板52が個別電極4側に変形する際にア
クチュエータ部54内部に生じる圧力上昇を抑制するこ
とができ、低電力で安定して振動板52を変形させて、
高周波駆動を可能とするとともに、安定したインク滴吐
出性能を実現して、高速記録を行うことができるととも
に、記録画像の画像品質の良好なインクジェット記録ヘ
ッド50を小型でかつ安価なものとすることができる。
【0083】さらに、本実施の形態のインクジェット記
録ヘッド50は、振動板52を、SOI基板60を形成
基板として形成している。
【0084】したがって、凹部53をドライエッチング
またはウエットエッチングで形成する際のエッチングの
終点の検出を適切に行うことができ、凹部53の深さ寸
法を精度良く形成して、振動板52の変位時に加わるエ
アーダンパ効果をより一層効率よく低減して、より一層
高速記録を行うことができるとともに、記録画像の画像
品質のより一層良好なインクジェット記録ヘッド50を
小型でかつ安価なものとすることができる。
【0085】また、本実施の形態のインクジェット記録
ヘッド50は、振動板52を、少なくとも凹部53の形
成される領域の面方位が(100)であるシリコンウエ
ハ60を基板として形成し、ウエットエッチングで凹部
53を形成している。
【0086】したがって、シリコンウエハ60の(10
0)面をウエットエッチングして凹部53を形成する
と、エッチング速度が非常に遅い(111)面で囲まれ
た凹部53を得ることができ、凹部53の深さ寸法をよ
り一層精度良く形成して、振動板52の変位時に加わる
エアーダンパ効果をより一層効率よく低減することがで
き、より一層高速記録を行うことができるとともに、記
録画像の画像品質のより一層良好なインクジェット記録
ヘッド50を小型でかつ安価なものとすることができ
る。
【0087】さらに、凹部53を、振動板52に千鳥状
に配置して形成している。したがって、凹部53を振動
板52となる部分に均等に配置して、振動板52の変位
時に加わるエアーダンパ効果を効率よく低減することが
できるとともに、個別電極4と振動板52との間に電圧
を印加したときに発生する静電気力が、振動板52に均
一に働いて、効率よく振動板52を変位させることがで
き、高速記録を行うことができるとともに、記録画像の
画像品質のより一層良好なインクジェット記録ヘッド5
0を小型でかつ安価なものとすることができる。
【0088】なお、上記各実施の形態に示したインクジ
ェット記録ヘッド1及びインクジェット記録ヘッド50
は、上記構成においても十分にエアーダンパ効果の低減
作用を発揮させることができるが、上記図8及び図9に
示した配線用溝容積を形成したインクジェット記録ヘッ
ド40の構成とを組み合わせて用いてもよく、このよう
にすると、エアーダンパ効果の低減作用をより一層効率
的に発揮させることができる。
【0089】以上、本発明者によってなされた発明を好
適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は
上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱
しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもな
い。
【0090】
【発明の効果】請求項1記載の発明のインクジェット記
録ヘッドによれば、共通液室からインク流路を通してイ
ンクの供給される各液室の一部に設けられた振動板及び
各振動板に所定のギャップをおいて対向して配設された
個別電極を有し封止されているアクチュエータ部の振動
板の個別電極に対向する側の面に、複数の凹部を形成し
ているので、簡単な構成でアクチュエータ部内部の体積
を振動板直下で増やして、振動板が個別電極側に変形す
る際にアクチュエータ部内部の圧力が上昇して十分な振
動板の変位を得ることができなくなるエアーダンパ効果
を低減して、低電力で安定して振動板を変形させて、高
周波駆動を可能とすることができ、安定したインク滴吐
出性能(インク滴噴出特性)を実現して、高速記録を行
うことができるとともに、記録画像の画像品質の良好な
インクジェット記録ヘッドを小型でかつ安価なものとす
ることができる。
【0091】請求項2記載の発明のインクジェット記録
ヘッドによれば、凹部を、振動板に格子状に配置して形
成しているので、凹部を振動板となる部分に均等に配置
して、振動板の変位時に加わるエアーダンパ効果を効率
よく低減することができるとともに、個別電極と振動板
との間に電圧を印加したときに発生する静電気力が、振
動板に均一に働いて、効率よく振動板を変位させること
ができ、高速記録を行うことができるとともに、記録画
像の画像品質のより一層良好なインクジェット記録ヘッ
ドを小型でかつ安価なものとすることができる。
【0092】請求項3記載の発明のインクジェット記録
ヘッドによれば、凹部を、振動板に千鳥状に配置して形
成しているので、凹部を振動板となる部分に均等に配置
して、振動板の変位時に加わるエアーダンパ効果を効率
よく低減することができるとともに、個別電極と振動板
との間に電圧を印加したときに発生する静電気力が、振
動板に均一に働いて、効率よく振動板を変位させること
ができ、高速記録を行うことができるとともに、記録画
像の画像品質のより一層良好なインクジェット記録ヘッ
ドを小型でかつ安価なものとすることができる。
【0093】請求項4記載の発明のインクジェット記録
ヘッドによれば、振動板を、SOI基板を形成基板とし
て形成しているので、凹部をドライエッチングまたはウ
エットエッチングで形成する際のエッチングの終点の検
出を適切に行うことができ、凹部の深さ寸法を精度良く
形成して、振動板の変位時に加わるエアーダンパ効果を
より一層効率よく低減して、より一層高速記録を行うこ
とができるとともに、記録画像の画像品質のより一層良
好なインクジェット記録ヘッドを小型でかつ安価なもの
とすることができる。
【0094】請求項5記載の発明のインクジェット記録
ヘッドによれば、振動板を、少なくとも凹部の形成され
る領域の面方位が(100)であるシリコンウエハを基
板として形成し、ウエットエッチングで凹部を形成して
いるので、シリコンウエハの(100)面をウエットエ
ッチングして凹部を形成すると、エッチング速度が非常
に遅い(111)面で囲まれた凹部を得ることができ、
凹部の深さ寸法をより一層精度良く形成して、振動板の
変位時に加わるエアーダンパ効果をより一層効率よく低
減することができ、より一層高速記録を行うことができ
るとともに、記録画像の画像品質のより一層良好なイン
クジェット記録ヘッドを小型でかつ安価なものとするこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録ヘッドの第1の実
施の形態を適用したインクジェット記録ヘッドの短辺方
向要部断面図。
【図2】図1及び図10のインクジェット記録ヘッドの
個別電極側から見た振動板の平面図。
【図3】図2の振動板基板の製造工程の振動板基板とし
て用いられるSOI基板の短辺方向断面図。
【図4】図3のSOI基板の活性層側の面にレジストコ
ート膜を形成した短辺方向断面図。
【図5】図4のSOI基板をドライエッチングして凹部
を形成した短辺方向断面図。
【図6】図5の凹部の形成されたSOI基板からレジス
トコート膜を除去した短辺方向断面図。
【図7】図6のSOI基板と電極基板を接合した状態の
短辺方向断面図。
【図8】振動室に配線用溝容積を有する従来のインクジ
ェット記録ヘッドの短辺方向断面図。
【図9】図8のインクジェット記録ヘッドの長辺方向断
面図。
【図10】本発明のインクジェット記録ヘッドの第2の
実施の形態を適用したインクジェット記録ヘッドの短辺
方向要部断面図。
【図11】図10の振動板基板の製造工程の振動板基板
として用いられるSOI基板の短辺方向断面図。
【図12】図11のSOI基板の活性層側の面にレジス
トコート膜を形成した短辺方向断面図。
【図13】図12のSOI基板をドライエッチングして
Siを露出させた後、ウエットエッチングして凹部を形
成した短辺方向断面図。
【図14】図13の凹部の形成されたSOI基板からレ
ジストコート膜を除去した短辺方向断面図。
【図15】図14のSOI基板と電極基板を接合した状
態の短辺方向断面図。
【図16】振動室に連通する空気室の形成された従来の
インクジェット記録ヘッドの短辺方向断面図。
【符号の説明】
1 インクジェット記録ヘッド 2 電極基板 3 振動室 4 個別電極 5 保護膜 6 振動板基板 7 活性層 8 酸化膜層 9 振動板 10 凹部 11 アクチュエータ部 12 蓋部材 20 酸化膜 21 Si基板 30 SOI基板 31 ベース基板 32 レジストコート膜 40 インクジェット記録ヘッド 41 振動板基板 42 活性層 43 酸化膜層 44 振動板 45 液室 46 インク流路 47 共通液室 48 ノズル基板 49 ノズル 50 インクジェット記録ヘッド 51 振動基板 52 振動板 53 凹部 54 アクチュエータ部 60 SOI基板 61 ベース基板 62 活性層 63 酸化膜層 64 レジストコート膜

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インクの充填されている複数の液室と、前
    記各液室に連通して当該液室内の前記インクを吐出する
    複数のノズルと、前記各液室にインク流路で連通され前
    記液室に前記インクを供給する共通液室と、前記各液室
    の一部に設けられた振動板及び前記各振動板に所定のギ
    ャップをおいて対向して配設された個別電極を有し封止
    されているアクチュエータ部と、を備え、前記振動板と
    前記個別電極との間に印加される電圧で生じる静電気力
    で前記振動板を変形させて前記液室に圧力を発生させ、
    当該液室内の前記インクを前記ノズルから吐出させるイ
    ンクジェット記録ヘッドにおいて、前記振動板は、前記
    個別電極に対向する側の面に複数の凹部が形成されてい
    ることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
  2. 【請求項2】前記凹部は、前記振動板に格子状に配置さ
    れて形成されていることを特徴とする請求項1記載のイ
    ンクジェット記録ヘッド。
  3. 【請求項3】前記凹部は、前記振動板に千鳥状に配置さ
    れて形成されていることを特徴とする請求項1記載のイ
    ンクジェット記録ヘッド。
  4. 【請求項4】前記振動板は、SOI基板を形成基板とし
    て形成されていることを特徴とする請求項1から請求項
    3のいずれかに記載のインクジェット記録ヘッド。
  5. 【請求項5】前記振動板は、少なくとも前記凹部の形成
    される領域の面方位が(100)であるシリコンウエハ
    を基板として形成されており、ウエットエッチングで前
    記凹部が形成されていることを特徴とする請求項1また
    は請求項4記載のインクジェット記録ヘッド。
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