JP3988284B2 - インクジェットヘッド及び記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインク滴を吐出するための圧力発生手段として静電アクチュエータを用いたインクジェットヘッドに関し、特にそのアクチュエータの気密化に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットヘッドにはアクチュエータに静電気による吸引力を利用したものが採用されてきており、例えば特開平2−289351号公報にはその種のインクジェットヘッドが開示されている。このインクジェットヘッドは、ノズルと、ノズルに連通するインク流路と、流路の一部に形成された振動板と、振動板にエアギャップを介して対向して形成された電極とを有し、振動板と電極との間に電気パルスを印加し、振動板を静電気力により変形させて、ノズルからインク液滴を吐出するようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記公報の振動板及び電極から構成される振動室を含むアクチュエータは大気に開放されており、従って、駆動時に空気中の埃等を吸引してしまうおそれがあった。このため、アクチュエータを封止することが考えられるが、そのようにした場合には、振動室内に封入された空気が振動板の吸引時に抵抗となり充分な吸引力が得られなくなるおそれがある。振動室の吸引力が低下すると、インク吐出に足る十分な吐出力が得られなくなり、印刷の品位及び信頼性を著しく低下させてしまう。この問題を回避するためには、例えばアクチュエータに印加する電圧を大きくすればよいが、一般的にプリンタとして常用される電源電圧の範囲内で、十分な吸引力を得ることは困難であった。
【0004】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、アクチュエータを封止しても充分な吸引力が得られるようにしたインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェット記録装置は、ノズルからインク滴を吐出し、記録媒体上に印刷を行うインクジェット記録装置において、振動板が形成された第1の基板と、電極が形成され、前記第1の基板に接合される第2の基板と、当該第2の基板を前記第1の基板に接合した際に、前記電極は、前記振動板と所定のギャップをもって対向し、これにより形成されるキャパシタと、前記キャパシタに充電、放電を行い、前記振動板を静電気力により変形させ、それにより、前記ノズルからインク滴を吐出する駆動回路と、前記第2の基板に形成され、前記駆動回路を前記電極に接続するためのリードと、前記振動板によって形成される壁面と、前記電極が付設された壁面とを含む振動室と、リードが付設された壁面を含み、前記振動室と連通する第1のキャビティとを備え、前記振動室は、気密封止されており、更に、前記振動室もしくは、前記第1のキャビティに連通する第2のキャビティを備え、前記第2のキャビティは、前記第1の基板に形成されることにより、気密封止された部分の圧力上昇を少なくすることを特徴とする。
【0006】
上記のインクジェット記録装置では、前記第1の基板はシリコンであってもよい。
【0007】
上記のインクジェット記録装置では、前記第2のキャビティを構成する壁面は、シリコンの(111)面で構成されていてもよい。
【0008】
上記のインクジェット記録装置では、前記第2のキャビティが、前記ノズルの下部付近に設けられていてもよい。
【0009】
本発明のインクジェットヘッドは、ノズルと、該ノズルに連通し、インクが充填されるインク室と、該インク室の一壁をなす振動板と、該振動板を挟んで前記インク室とは反対側で前記振動板に、該振動板とはギャップを介して対向する電極と、を備え、前記電極と前記振動板との間に発生させた静電気力で前記振動板を変形させることにより、前記インク室内の前記インクに圧力を加えて、当該インクを前記ノズルからインク滴として吐出するインクジェットヘッドであって、前記インク室を構成するとともに前記振動板を底部とする第1の凹部を有する第1の基板と、前記電極が形成され、前記第1の基板に接合された第2の基板と、前記第1の基板及び前記第2の基板が接合された状態で前記振動板によって前記第1の凹部から隔てられるとともに、前記振動板及び前記電極間の前記ギャップを含む空間であって、気密封止された振動室と、を有し、前記第1の基板は、前記振動室に連通し、前記振動室の容積を拡張する第2の凹部と、前記第1の凹部及び前記第2の凹部間を隔てる隔壁と、を有することを特徴とする。
【0010】
上記のインクジェットヘッドでは、前記ノズルは複数設けられ、前記インク室、前記振動板、前記電極、前記第1の凹部、前記第2の凹部、前記振動室及び前記隔壁は前記複数のノズルに対応して複数独立して設けられていてもよい。
【0011】
上記のインクジェットヘッドでは、前記第2の基板は、前記振動室に連通する溝と、該溝内に形成され、前記電極に接続されたリードとを有していてもよい。
【0012】
上記のインクジェットヘッドでは、前記第1の基板がシリコンであってもよい。
【0013】
上記のインクジェットヘッドでは、前記第2の凹部を構成する壁面は、シリコンの(111)面で構成されていてもよい。
【0014】
本発明のインクジェット記録装置は、上記のインクジェットヘッドと、前記振動板を駆動する駆動回路と、を有することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を用いて本発明を詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドの分解斜視図であり、一部断面図で示してある。図2は図1のA部の拡大図、図3は図1の実施例のインクジェットヘッドの組立て後の斜視図、図4は図1の実施例のインクジェットヘッドの断面側面図であり、図5は図4のA−A断面図である。本実施例はインク液滴を基板の端部に設けたノズル孔から吐出させるエッジイジェクトタイプの例を示すものであるが、基板の上面部に設けたノズル孔からインク液滴を吐出させるフェイスイジェクトタイプのものでもよい。本実施例のインクジェットヘッド10は次に詳述する構造を持つ3枚の基板1、2、3を重ねて接合した積層構造となっている。
【0017】
中間の第1の基板1は、シリコン基板であり、複数のノズル孔4を構成するように、基板1の表面に一端より平行に等間隔で形成された複数のノズル溝11と、各々のノズル溝11に連通し、底壁を振動板5とする吐出室6を構成することになる凹部12と、凹部12の後部に設けられたインク流入口のための細溝13と、各々の吐出室6にインクを供給するための共通のインクキャビティ8を構成することになる凹部14とを有する。そして、凹部14の後方にはインク流入口13aが設けられており、これはノズル孔4よりも小さい寸法から構成されており、インク内のごみがヘッド内に入るのを防止するフィルタとしての機能も発揮する。なお、細溝13は、第1の基板1と第3の基板3とが接合されるとオリフィス7を構成することになる。さらに、基板1の下面には、基板2と接合することにより、後述する振動室9と連通する第2のキャビティ40を構成することになる凹部41がノズル溝11と対向する位置に配置されている。
【0018】
また、第1の基板1への共通電極17の付与については、半導体及び電極である金属の材料による仕事関数の大小が重要であり、本実施例では共通電極材料にはチタンを下付けとし白金、又はクロムを下付けとし金を使用しているが、本実施例に限定されるものではなく、半導体及び電極材料の特性により別の組合わせでもよい。なお、振動板5は、第1の基板1にボロンドープしてエッチストップさせることにより形成されており、薄く均一な厚さのものが得られている。
【0019】
また、図2に示すように、第1の基板1には共通電極17を除く全面に厚さ1μm程度に酸化膜24が形成され、これはインクジェットヘッドの駆動時に振動板5と後述する個別電極21とが接触した場合に、絶縁破壊、ショート等を防止するための絶縁層として機能する。
【0020】
第1の基板1の下面に接合される下側の第2の基板2にはホウ珪酸系ガラスを使用し、第2の基板2の上面には振動室9を構成することになる凹部15が設けられている。本実施例においては、振動板5とこれに対向して配置される個別電極21との対向距離、即ちギャップ部16の長さG(図3参照、以下「ギャップ長」と記す。)が、凹部15の深さと個別電極21の厚さとの差になるように、間隔保持手段を第2の基板2の上面に形成した振動室用の凹部15により構成されている。
【0021】
また、別の例として凹部の形成は第1の基板1の下面でもよい。ここでは、凹部15の深さをエッチングにより0.3μmとしている。なお、ノズル溝11のピッチは0.14mmであり、その幅は30μmである。
【0022】
この第2の基板2を第1の基板1に接合することによって振動室9とそれに連通する第2のキャビティ40を構成するとともに、第2の基板2上の振動板5に対応する各々の位置に、金を0.1μmスパッタし、振動板5とほぼ同じ形状に金パターンを形成して個別電極21としている。個別電極21は、リード部22及び端子部23を備えている。リード部22は、電極21が形成されている凹部15と同じ深さの溝の底面に形成されており、第1の基板と第2の基板を接合することにより、この溝の部分に第1のキャビティ22aが形成される。なお、これらの電極等21、22、23の材料は金の代わりにITO等の酸性導電膜でもよい。
【0023】
第1の基板1の上面に接合される上側の第3の基板3は、第2の基板2と同じくホウ珪酸系ガラスを用いている。この第3の基板3の接合によって、ノズル孔4、吐出室6、オリフィス7及びインクキャビティ8が構成される。
【0024】
次に、第1の基板1と第2の基板2を温度270〜400℃、電圧500〜800Vの印可で陽極接合し、また同条件で第1の基板1と第3の基板3とを接合し、図3のようにインクジェットヘッドを組み立てる。陽極接合後に、振動板5と第2の基板2上の個別電極21との間に形成されるギャップ長Gは、上述のように凹部15の深さと個別電極21の厚さとの差であり、本実施例では0.2μmとしてある。
【0025】
上記のようにインクジェットヘッドを組み立てた後は、図3又は図4に示されるように、共通電極17と個別電極21の端子部23間にそれぞれ配線(FPC:フレキシブル・プリント・サーキット)101により駆動回路102を接続する。配線101と電極17,23との接合手段として、本実施例においては異方性導電膜を使用している。振動室9には窒素ガスが挿入され、絶縁封止剤30により気密封止されている。本実施例においては端子部23の近傍、即ち第1のキャビティ22aの端にて封止されており、振動室9及び第2のキャビティ40、第1のキャビティ22aの容積がアクチュエータの容積に含まれるように構成されている。本実施例では、インク103は、図示しないインクタンクよりインク供給管33、インクジェットヘッド後部に外嵌されたインク供給容器32を経て第1の基板1の内部に供給され、インクキャビティ8、吐出室6等を満たしている。そして、吐出室6のインクは、図4に示されるように、インクジェットヘッド10の駆動時にノズル孔4よりインク液滴104となって吐出され、記録紙105に印字される。
【0026】
本実施例では、前述のようにアクチュエータは気密構造となっているが、この場合以下に示す理由により、振動板5による排除体積ΔVとアクチュエータの容積Vとの比ΔV/Vの値を十分に小さく抑えることが望ましい。以下にその理由を説明する。
【0027】
図6は振動板5の動作説明図である。本実施例においては、共通電極17と個別電極21の間に電圧を印加することにより、共通電極17と導通している振動板5と個別電極21との間に静電気力を発生させ、振動板5を変形させることでインクの吐出力を得ている。アクチュエータの静電吸引圧力Peは次式で表される。ただし、ε0:真空中の誘電率(8.85×10−12(F/m))、Vh=印加電圧(=駆動電圧)、εr=アクチュエータ内の比誘電率、である。本実施例においては、Vh=35(V)、εr=約1、G=0.2(μm)である。
【0028】
【数1】
【0029】
上式はアクチュエータの静電吸引圧力Peは、振動板5が個別電極21に接近するにつれ増加することを示しており、逆に、振動板5が個別電極21から離れている時には、印加電圧に対して効率のよい圧力を発生することはできないことを意味している。
【0030】
次に、アクチュエータが気密構造になっている場合、振動板5の変形による排除体積ΔVにより、アクチュエータ内圧力は増加する。この圧力増加量ΔPは次式で表される。ただし、P0:大気圧、Pi:アクチュエータ内圧力、V:アクチュエータの容積である。
【0031】
【数2】
【0032】
上式は、ΔV/Vの値が大きくなるほど、アクチュエータ内圧力増加量ΔPの値も増加することを示しており、このΔPは振動板5が個別電極21に接近するのを阻害する方向に働く。
【0033】
図7は、本実施例におけるインクの吐出過程を示す図である。本実施例においては、振動板5を個別電極21で吸引することで吐出室6を拡大する方向に変形させ、インクをいったんノズルの中へ引き込ませてから吸引圧力を解除し、弾性によって振動板を復元する方向で働く圧力によってインクを吐出するという過程を経る。
【0034】
振動板5に対する吸引圧力が解除された後の、インクの先端部(メニスカス)の動きは、自由振動する振動板の変位量と比例するため、インクの吐出量は振動板の吸引過程で引き込まれたインク先端部の移動容積で決まることとなる。
【0035】
インク吐出過程において、振動板の変形による排除体積ΔVは、上述の引き込まれたインク先端部の移動容積とインクキャビティ8からオリフィス7を通り吐出室に流れ込むインクの容積の2方向から補充されるが、この両者の配分は以下の理由により、振動板の吸引時間により決定する。
【0036】
インクの先端部をノズル内に引き込もうとする時、同先端部にはメニスカスの表面張力がインクを引き込むのを阻害する方向に働くこととなる。この作用のため、振動板が同じ排除体積だけ変形する場合、変形に要する時間が短かいほど、インク先端部の移動容量は大きくなり、吐出効率を増加させることができる。
【0037】
印加電圧を上げることなく、所定の剛性を持つ振動板を、所定の排除体積ΔVだけ変形させるのに要する時間を短縮する方法としては、振動板吸引圧力Peを阻害する方向に働く前述のΔPを小さくすることが最も効果的である。従って、ヘッドを設計するにあたり、前述のΔV/Vの値をできるだけ小さくすることが望ましいこととなる。
【0038】
ΔV/Vの値を小さな値にするために、本実施例では、振動室9や第1のキャビティ22aとは別個に第2のキャビティ40を設け、気密化したアクチュエータの容積Vを拡大させている。本実施例においては、振動室9や第1のキャビティ22aを合わせた容積の10倍の容積を持つ第2のキャビティ40を設けることで、10℃環境下で30ngのインク吐出重量を確保するのに必要な印加電圧を38Vから35Vに低減させている。
【0039】
また、本実施例においては、上記第2のキャビティ40は、第1の基板1の下面に、接合したとき第2の基板2の振動室9と連通するように設けている。アクチュエータの容積Vを増加させるためのキャビティを振動室9と同じ第2の基板2上に設けようとすると、効果的な容積を確保するためにヘッドサイズを大きくする必要が生じ、ヘッドのウエハからの取り数を減少させなければ実現できないが、このようなキャビティを第1の基板1の下面に設けた場合、第2の基板2に設ける時に比べ深い凹部を作成することができるため、ヘッドサイズを変えることなく容易に大きな容積を確保することが可能になる。
【0040】
また、本実施例においては、上記の第1の基板1の下面に構成する第2のキャビティ40をシリコンの異方性エッチングを用いて形成しており、同じくシリコンの異方性エッチングを用いて形成している同基板の上面のノズル孔4、吐出室6、オリフィス7、インクキャビティ8、インク流入口13aを構成する凹部や溝部と1度のエッチング工程で加工することが可能となる。このことにより、第2のキャビティ40作成における製造工数や製造コストの増加を抑制することができる。
【0041】
また、本実施例においては、上記の第2のキャビティ40のシリコンの異方性エッチングにおいて、エッチング面としてシリコンの(111)エッチング面を使用している。シリコンの(111)エッチング面は、他のエッチング面と比較してエッチングレートが極めて小さいため、同面の使用によって非常に高精度なキャビティの加工が可能となり、さらに高密度なパターン形成が可能となる。
【0042】
図8は、本発明のインクジェットヘッドの他の実施形態を示す断面図である。
【0043】
インクジェットヘッド210は、フェースイジェクションタイプのインクジェットヘッドであり、ノズル204は、1列に64個等間隔に配置されたノズルがノズルプレート203上に2列形成されている。上述した実施形態のインクジェットヘッド10と同様に、3枚の基板201,202,203を接合することによりインクジェットヘッド210が構成される。
【0044】
ノズルプレート203は、表面が100面のシリコン基板であり、ノズル204はエッチングにより形成される。流路基板201は、振動板205側の面には高濃度のボロンがドープされた結晶方位110面のシリコン基板であり、上述した実施形態のインクジェットヘッド10と同様に、異方性エッチングを用いて、吐出室206、振動板205等が区画形成されている。電極基板202は、ホウ珪酸ガラス製の基板であり、底面に個別電極221が形成された振動室209が設けられている。なお、基板201と202は陽極接合により、基板201と203は接着剤にて接合される。
【0045】
流路基板206の吐出室206の底面(振動板205)は110面が露出しているが、側壁206aはエッチング速度の遅い111面により構成される。このため、図示のように吐出室206の側壁は底壁に対して傾斜した斜面となり、流路基板201の2列に配置されたノズル204の下部付近には比較的肉厚の大きな部分ができる。本実施形態では、この比較的肉厚の大きな部分にキャビティ240を設けてある。キャビティ240は、流路基板201の裏側(吐出室の反対側)から異方性エッチングを行うことにより形成される。キャビティ240となる凹部の壁面240aは全て111面からなるため、精度良く空気室を形成することが可能である。即ち、振動室209、キャビティ240等の和からなる各アクチュエータ容積Vがばらつくことをおさえることができる。
【0046】
また、ノズル間ピッチが非常に小さく、電極パターン等も高密度に集積されたヘッドでは、電極基板202内に効果的かつ、アクチュエータ間に均等に容積を増加させるキャビティを設けることは難しいが、本実施形態のように、ノズル204の下付近において、流路基板201の裏面にキャビティを設けることにより、ヘッドサイズを大きくすることなく、効果的に、かつ各アクチュエータ間に均等にキャビティを付加することが可能である。
【0047】
なお、フェースイジェクションタイプのインクジェットヘッドは、基本構造や動作原理において第1の実施例、即ち、エッジイジェクションタイプのインクジェットヘッドと等価であり、単にノズルの位置とその配列が相違するのみであるので、詳細な説明を省略する。即ち、エッジイジェクションタイプのインクジェットヘッドに関する説明は、ノズル位置及び配列に関するものを除いて、フェースイジェクションタイプにも該当するものである。
【0048】
また、以上の実施形態では、第2のキャビティを振動室に連通するように構成したが、これに限らず、底壁に電極につながるリードが設けられた第1のキャビティに連通するように構成しても良い。
【0049】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、まずアクチュエータが気密構造になるため、振動板の駆動時に空気中の塵埃がヘッド内に侵入するおそれがなくなっている。また、振動室に連通したキャビティを設けることによって、アクチュエータの容積を、駆動時に振動板によって排除される容積に対して十分大きくとることができるため、駆動時のアクチュエータ内の圧力上昇が少なく、インク吐出に必要な吐出力を十分に確保することが可能になるため、印字品質及び信頼性に優れたインクジェットヘッドを得ることができる。
【0050】
また、本発明によれば、上記のキャビティをインク流路、振動板が形成されるのと同一の基板上に形成するようにしたため、小さな領域に大きな容積のキャビティを構成することができるようになり、ヘッドサイズを大きくすることなく、十分な大きさのキャビティを確保することができる。
【0051】
また、本発明によれば、上記のインク流路、振動板が形成されるのと同一の基板上に形成するキャビティを、シリコンの異方性エッチングを用いて作成するようにしたため、キャビティとインク流路、振動板をエッチング工程1回で形成することが可能となり、製造工数やコストを抑制することができる。
【0052】
また、本発明によれば、上記のシリコンの異方性エッチングの面にエッチングレートが極めて小さい(111)面を用いるようにしたため、更に精度の高いキャビティの加工ができるようになり、より高密度のパターン形成が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るインクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】図1の実施例のインクジェットヘッドの組立て後の斜視図である。
【図4】図1のインクジェットヘッドの断面側面図である。
【図5】図5は図4のA−A断面図である。
【図6】図1の実施例における振動板の動作説明図である。
【図7】図1の実施例におけるインクの吐出過程説明図である。
【図8】 本発明のインクジェットヘッドの他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 第1の基板
2 第2の基板
5 振動板
6 吐出室
9 振動室
30 絶縁封止剤
40空気室
Claims (10)
- ノズルからインク滴を吐出し、記録媒体上に印刷を行うインクジェット記録装置において、
振動板が形成された第1の基板と、
電極が形成され、前記第1の基板に接合される第2の基板と、
当該第2の基板を前記第1の基板に接合した際に、前記電極は、前記振動板と所定のギャップをもって対向し、これにより形成されるキャパシタと、
前記キャパシタに充電、放電を行い、前記振動板を静電気力により変形させ、それにより、前記ノズルからインク滴を吐出する駆動回路と、
前記第2の基板に形成され、前記駆動回路を前記電極に接続するためのリードと、
前記振動板によって形成される壁面と、前記電極が付設された壁面とを含む振動室と、
リードが付設された壁面を含み、前記振動室と連通する第1のキャビティとを備え、
前記振動室は、気密封止されており、更に、前記振動室もしくは、前記第1のキャビティに連通する第2のキャビティを備え、前記第2のキャビティは、前記第1の基板に形成されることにより、気密封止された部分の圧力上昇を少なくすることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 請求項1に記載のインクジェット記録装置において、前記第1の基板はシリコンであることを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項2に記載のインクジェット記録装置において、前記第2のキャビティを構成する壁面は、シリコンの(111)面で構成されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、前記第2のキャビティが、前記ノズルの下部付近に設けられていることを特徴とするインクジェット記録装置。
- ノズルと、
該ノズルに連通し、インクが充填されるインク室と、
該インク室の一壁をなす振動板と、該振動板を挟んで前記インク室とは反対側で前記振動板に、該振動板とはギャップを介して対向する電極と、を備え、前記電極と前記振動板との間に発生させた静電気力で前記振動板を変形させることにより、前記インク室内の前記インクに圧力を加えて、当該インクを前記ノズルからインク滴として吐出するインクジェットヘッドであって、
前記インク室を構成するとともに前記振動板を底部とする第1の凹部を有する第1の基板と、
前記電極が形成され、前記第1の基板に接合された第2の基板と、
前記第1の基板及び前記第2の基板が接合された状態で前記振動板によって前記第1の凹部から隔てられるとともに、前記振動板及び前記電極間の前記ギャップを含む空間であって、気密封止された振動室と、を有し、
前記第1の基板は、前記振動室に連通し、前記振動室の容積を拡大する第2の凹部と、前記第1の凹部及び前記第2の凹部間を隔てる隔壁と、を有することを特徴とするインクジェットヘッド。 - 請求項5に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記ノズルは複数設けられ、前記インク室、前記振動板、前記電極、前記第1の凹部、前記第2の凹部、前記振動室及び前記隔壁は前記複数のノズルに対応して複数独立して設けられていることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 請求項5又は6に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記第2の基板は、前記振動室に連通する溝と、該溝内に形成され、前記電極に接続されたリードとを有することを特徴とするインクジェットヘッド。 - 請求項5乃至7のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記第1の基板がシリコンであることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 請求項8に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記第2の凹部を構成する壁面は、シリコンの(111)面で構成されていることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 請求項5乃至9のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドと、
前記振動板を駆動する駆動回路と、を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
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