JPH0939229A - インクジェット記録装置の駆動方法 - Google Patents

インクジェット記録装置の駆動方法

Info

Publication number
JPH0939229A
JPH0939229A JP19981595A JP19981595A JPH0939229A JP H0939229 A JPH0939229 A JP H0939229A JP 19981595 A JP19981595 A JP 19981595A JP 19981595 A JP19981595 A JP 19981595A JP H0939229 A JPH0939229 A JP H0939229A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
diaphragm
plate
driving
ink chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP19981595A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3384202B2 (ja
Inventor
Mari Sakai
真理 酒井
Masahiro Fujii
正寛 藤井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP19981595A priority Critical patent/JP3384202B2/ja
Publication of JPH0939229A publication Critical patent/JPH0939229A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3384202B2 publication Critical patent/JP3384202B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 隙間を開けて対向配置したインク室底面を形
成している振動板と対向壁の間に電圧を印加して、クー
ロン力で振動板を対向壁の側に撓めてインク滴の吐出を
行う形式のインクジェットヘッドにおいて、インクノズ
ル径よりも小さなインク小滴を吐出させて高品位画像を
印字可能にすること。 【解決手段】 インクジェッドヘッド1のインク室5の
底壁は振動板51として機能し、この一部分には、対向
壁表面92から他の部分よりも離れた難変位領域51a
が形成されている。振動板51を急激に対向壁表面92
に吸引してインク室内にインク圧を発生させ、これによ
り発生するインク圧力波動によって難変位領域の振動板
部分51aを対向壁方面92に変位させ、これにより発
生する短周期のインク圧波動を利用して、インクノズル
11から内方に引き込まれたインクメニスカス31の中
央からインク小滴32を分断して噴射させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インク室の底面等
に形成した振動板を、これに対向配置した対向板の側に
静電気力によって弾性変位させて、インク室内に発生す
るインク圧力によってインク滴をインク室に形成したノ
ズルから吐出する形式のインクジェットヘッドに関する
ものである。さらに詳しくは、本発明はこの形式のイン
クジェットヘッドを用いて、インクノズルの径よりも小
さなインク小滴を吐出させるためのインクジェット記録
装置の駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置としては、記録
を必要とする時にのみインク液滴を吐出する、所謂、イ
ンク・オン・デマンド方式のものが、記録に不要なイン
ク液滴の回収を必要としないために主流になってきてい
る。
【0003】この形式のインクジェット記録装置に搭載
されるインクジェットヘッドは、例えば、本願人により
出願された特開平6−71882号、同6−55732
号、同5−50601号の各公報に記載された構造とな
っている。このインクジェットヘッドは、3枚の基板を
積層して、その中間の基板に複数のインクノズルおよび
各ノズルに連通する独立したインク室を区画形成すると
共に、インク室の底壁が面外方向に振動可能な振動板と
して形成された構成となっている。この振動板は、その
裏面およびこれが対峙している下側の基板によって規定
される対向壁の表面にそれぞれ配置した対向電極の間に
電圧を印加することによって発生する静電気力を利用し
て振動させるようになっている。振動板の振動によっ
て、インク室の容積が増減し、これによって内部に発生
するインク圧力により、インク液滴がインクノズルから
吐出される。
【0004】インクジェット記録装置に対しては、出力
画像の高品位化と出力速度の高速化が求められており、
したがって、より微細なインク滴をより高い周波数で安
定して吐出させることの可能なインクジェッドヘッドの
開発が急務となっている。このため、メインのインク滴
を高速吐出してその後の不要なインク滴の発生を抑制
し、繰り返してインク滴を吐出する周波数を高くすると
いう、インクジェットヘッドのインク滴の吐出特性を適
切に設定できるようにすることが必要である。そのため
には、インクジェットヘッドのインク室の底に形成した
振動板の振動による内圧の振動を適切に制御することが
重要である。インク室の底壁をインク圧力で変形する薄
肉の振動板とするための技術は、特開平6−32072
5号公報に開示されている。また、駆動方法について
は、特開平2−192947号公報に開示されている。
これらの技術は、インクジェットヘッドの構造で決まる
振動系の固有振動に着目し、この系に固有な振動の発生
を制御するものである。
【0005】この系に固有な振動を、インク滴の吐出時
には大きくし、インク滴の吐出後は小さくすることが良
好なインク吐出特性を得るために必要である。しかし、
これら2つの条件を両立させることは、温度等の環境変
化やインクジェットヘッドの製造誤差により固有振動が
変化するために、非常に難しい。
【0006】一方、インクジェットヘッドにおいては、
吐出されるインク滴の大きさは、基本的にはインクノズ
ル径によって決まる。したがって、小さなインク滴を吐
出して鮮明度の高い印刷画像を得るためには、インクノ
ズルの径を可能な限り小さくすればよい。しかし、小径
のノズルを作ることは一般に困難であり、製造コストも
高騰する。また、小径のノズルは、その目詰まりの問
題、製造誤差の問題等各種の問題が発生する。このよう
な問題点を解消するために、特公平4−36071号公
報には、インクノズルの径よりも小さなインク小滴を吐
出可能なインクジェット装置が開示されている。この公
報に開示の装置では、インクノズルから一旦その内方に
引き込まれたインクメニスカスをインクノズルから急速
に引き戻すことによりメニスカスの表面に共振が励起さ
れて、メニスカスの中心から突き出たインク波動部分が
形成され、このインク部分が、インクメニスカスから分
断して、インク小滴として吐出される現象に着目し、か
かる現象を利用して、インクノズル径よりも小さなイン
ク滴を吐出できるようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ここで、本願人は、イ
ンク室の圧力に応じて変形可能な振動板を備えたインク
ジェットヘッドにおいて、インク室の圧力で振動板が変
形した時に、変形した振動板が当接する位置に、それに
対向して対向壁を配置する構成を提案している。この構
成によれば、振動板が対向壁に当たっていない状態で
は、圧力に比例して振動板が撓む。すなわち、単位圧力
に対する壁の変形による容積変化として定義されるコン
プライアンスが一定に保持される。しかるに、振動板が
対向壁に当たった後は、圧力の増加に対する振動板の変
形が小さくなる。すなわち、コンプライアンスが変化し
て小さくなる。このコンプライアンスは、インクの振動
系の固有周期の決定に関与するパラメータである。した
がって、振動板が対向壁に当たっていない状態とそこに
当たっている状態では固有周期が異なり、当たっている
状態では固有周期が短くなる。また、当たり具合によっ
て固有周期は異なり、インクの吐出時には、大きな正圧
が発生して振動板が対向壁に当たり、系の応答性が速く
なり、高速でインク滴を吐出させることができる。逆
に、吐出後では振動板が対向壁から離れて系の応答系が
遅くなるので、吐出後の流体運動を緩和できる。さら
に、このように系の特性が非線形で変化するので、特定
の振動が強く発振することがなく、不必要なインク吐出
を抑制することができる。
【0008】本発明の課題は、このように構成されてい
る振動板と対向壁の間に電圧を印加して、クーロン力で
振動板を対向壁の側に撓めてインク滴の吐出を行う形式
のインクジェットヘッドにおいて、インクノズルの径よ
りも小さなインク小滴を吐出するのに適した駆動方法を
提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明は、インクを吐出するインクノズルと、こ
のインクノズルに連通していると共にインクを保持して
いるインク室と、このインク室にインクを供給するイン
ク供給路と、前記インク室を区画形成している周壁に形
成され、面外方向に弾性変位可能となっている振動板と
を有し、前記インク室の外側において前記振動板に対し
て隙間を置いて対向板を配置し、これら対向板および前
記振動板に対向電極を形成し、この対向電極間の充放電
を行うことにより、前記インクノズルからインク滴を吐
出させるインクジェット記録装置の駆動方法において、
次のようにして、インクノズル径よりも小さなインク小
滴を吐出できるようにしている。
【0010】すなわち、予め、前記振動板の一部を、そ
れ以外の振動板の部分に比べて、前記対向板の側に変位
させることが困難な難変位領域となるように構成してお
く。そして、前記対向電極の間の充電を行い、前記難変
位領域以外の前記振動板の部分を前記対向板の側に吸引
して密着させた状態を形成し、これにより前記インク室
内に発生するインク圧力波動によって前記振動板の難変
位領域を前記対向壁表面の側に変位させて微少なインク
圧力波動を発生させることにより、前記インクノズルの
内方に引き込まれたインクメニスカスからインク小滴を
分断して噴射させる。しかる後に、前記インク室内のイ
ンク圧振動を充分に緩和できるように、前記対向電極の
間に蓄えられた電荷を徐々に放電する。
【0011】ここで、前記振動板の前記難変位領域は次
のようにして形成することができる。その一つは、当該
振動板と前記対向壁の隙間を部分的に広くすることによ
り形成することができる。隙間を部分的に広くするため
には、前記対向板の表面を段状にすればよい。あるい
は、前記対向電極を部分的に形成しないようにすれば、
対向電極が形成されている部分の隙間を広くできる。
【0012】また、前記振動板の前記難変位領域を、当
該振動板を部分的に厚くすることによって形成してもよ
い。あるいは、前記振動板の前記難変位領域を、当該振
動板の幅を部分的に狭くすることによって形成してもよ
い。
【0013】一方、充電速度については、前記対向電極
間の充電区間において、該対向電極間の電圧の上昇に伴
い、充電速度を加速するように制御することが望まし
い。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して本発明の
実施例を説明する。
【0015】図1は本発明を適用したインクジェットヘ
ッドの断面図であり、図2はその平面図であり、図3は
その部分断面図である。
【0016】これらの図に示すように、インクジェッド
ヘッド1は、シリコン基板2を挟み、上側に同じくシリ
コン製のノズルプレート3、下側にシリコンと熱膨張率
が近いホウ珪酸ガラス基板4がそれぞれ積層された3層
構造となっている。中央のシリコン基板2には、その表
面からエッチングを施すことにより、独立した5つのイ
ンク室5と、1つの共通インク室6と、この共通インク
室6を各インク室5に連通しているインク供給路7とし
てそれぞれ機能する溝が加工されている。これらの溝が
ノズルプレート3によって塞がれて、各部分5、6、7
が区画形成されている。
【0017】ノズルプレート3には、各インク室5の先
端側の部分に対応する位置に、インクノズル11が形成
されており、これらが各インク室5に連通している。ま
た、共通インク室6が位置しているノズルプレート3の
部分には、これに連通するインク供給口12(図2参
照)が形成されている。インクは、外部の図示しないイ
ンクタンクから、インク供給口12を通って共通インク
室6に供給される。共通インク室6に供給されたインク
は、各インク供給路7を通って、独立した各インク室5
に供給される。
【0018】独立した各インク室5は、その底壁51が
薄肉とされて、面外方向、すなわち、図1において上下
方向に弾性変位可能な振動板として機能するように設定
されている。したがって、この底壁51の部分を、以後
の説明の都合上、振動板と称して説明することもある。
【0019】次に、シリコン基板2の下側に位置してい
るガラス基板4においては、その上面であるシリコン基
板2との接合面には、シリコン基板2の各インク室5に
対応した位置に、浅くエッチングされた凹部9が形成さ
れている。したがって、各インク室5の底壁51は、非
常に僅かの隙間Gを隔てて凹部9が形成されたガラス基
板からなる対向壁91の表面92に対峙している。この
底壁51と対向壁表面92の間隔については、詳細を後
述する。
【0020】ここで、各インク室5の底壁51は、各イ
ンク室側の共通電極として機能する。そして、各インク
室の底壁51に対峙するように、ガラス基板4の凹部表
面91には、セグメント電極10が形成されている。各
セグメント電極10の表面は無機ガラスからなる絶縁層
15により覆われている。このように、セグメント電極
10の上に形成した絶縁層15と隙間Gを挟み、各イン
ク室底壁51と、対応する各セグメント電極10が対向
電極を形成している。
【0021】図2に示すように、これらの対向電極の間
に駆動電圧を印加するための電圧印加手段21は、図示
していない外部からの印字信号に応じて、これらの対向
電極間の充放電を行う。電圧印加手段21の一方の出力
は個々のセグメント電極10に接続され、他方の出力は
シリコン基板2に形成された共通電極端子22に接続さ
れている。シリコン基板2自体は導電性をもつため、こ
の共通電極端子22から底壁51の共通電極に電圧を供
給することができる。また、より低い電気抵抗で共通電
極に電圧を供給する必要がある場合には、例えば、シリ
コン基板の一方の面に金等の導電性材料の薄膜を蒸着や
スパッタリングで形成すればよい。本実施例では、シリ
コン基板2とガラス基板4との接続に陽極接合を用いて
いるので、シリコン基板2の流路形成面側に導電膜を形
成してある。
【0022】ここで、このように構成したインクジェッ
トヘッド1においては、電圧印加手段21からの駆動電
圧が対向電極間に印加されると、対向電極間に充電され
た電荷によるクーロン力が発生し、底壁(振動板)51
はセグメント電極10の側へ撓み、インク室5の容積が
拡大する。次に、電圧印加手段21からの駆動電圧を解
除して対向電極間の電荷を放電すると、振動板51はそ
の弾性復帰力によって復帰し、インク室5の容積が急激
に収縮する。この時発生するインク圧力により、インク
室5を満たすインクの一部が、このインク室に連通して
いるインクノズル11からインク滴として吐出する。し
かるに、本例では、以下に説明するように、振動板51
の一部分に難変位領域を形成して、インクノズル径より
も小さなインク小滴を吐出できるようにしてある。
【0023】図1を参照して説明すると、各振動板51
の裏面は平坦面となっているが、ガラス基板4の側の対
向壁91は、インク室5の長手方向に向けて階段状に深
くなっている。インク室5の基端側、すなわち、インク
供給路7の側の底板部分が対峙している対向壁91の部
分が最も小さな隙間G1となっている。この隙間G1に
隣接したインク室5の中程の部分の底壁部分に対峙して
いる対向壁91の部分は、これよりも大きな中程度の隙
間G2となっている。そして、インク室5の先端側、す
なわりインクノズル11の側の底壁部分と対向壁91の
間には最も大きな隙間G3が形成されている。勿論、こ
れらの隙間は、正確には、図3に示すように、絶縁層1
5の表面から底壁裏面までの距離である。
【0024】このように隙間が異なるので、同一の駆動
電圧を印加しても、その大きさによって弾性変位して対
向壁表面92の側に吸引接合される部分が異なる。最も
広い隙間G3に対応する振動板51の部分51aが最後
に弾性変位して対向壁表面92に吸引される部分であ
り、これが、本例における振動板の難変位部分として機
能する。
【0025】このように構成した本例のインクジェット
ヘッド1においては、各インク室の底壁としての振動板
51は、これが対向壁91に当たるまで弾性変位しない
ような変位状態(振動状態)では、圧力に比例して撓
む。すなわち、コンプライアンスが一定に保持される。
しかし、振動板51が対向壁に密着する程度の大きな弾
性変位を起こすと、対向壁に密着した状態では、インク
圧力が増加してもそれ以上に振動板が撓むことが出来な
いので、コンプライアンスは小さくなる。
【0026】振動板51と対向壁91の隙間Gは、イン
ク室の長手方向に向けて、最も小さな隙間G1の部分
と、中程度の隙間G2の部分と、最も大きな隙間G3の
部分が、その基端側から先端側に向けてこの順序で形成
されている。
【0027】したがって、一定の駆動電圧を対向電極間
に印加した(充電した)場合には、図4(a)に示すよ
うに、まず、最も小さな隙間部分G1に対応する振動板
の部分51cが弾性変位して対向壁91の側に吸引さ
れ、次に、隙間部分G2に対応する部分51bが弾性変
位して吸引される。最も広い隙間部分G3に対応する部
分51aが弾性変位して対向壁表面92の側に吸引され
るのは最後となる。
【0028】振動板51の難変位領域である振動板部分
51a以外の部分が対向壁表面92の側に吸引される
と、インク室5が膨張して、その内圧が負圧状態に急変
し、インクノズル11のインクメニスカス20が内方に
引き込まれる。図4(b)にはこの状態を示してある。
この結果、インクノズル11のインクメニスカス31が
内方に引きこまれた状態となる。
【0029】このようにインク室5の内圧が急激に上昇
すると、それによってインク室内に発生するインク圧力
波動によって、難変位領域である振動板部分51aが変
位して、図4(c)に示すように、対向壁表面92の側
に吸引される。この変位によって、インク室内には、微
少なインク圧力波動が発生する。すなわち、この難変位
領域である振動板部分51aが対向壁表面92に密着す
ると、振動板は全体としてそれ以上変位できないので、
インク振動系のコンプライアンスが急激に小さくなり、
この結果、インク振動系の固有振動が急激に小さくな
る。すなわち、振動板全体の振動によるインク圧振動よ
りも大きな周波数のインク振動が励起される。この結
果、一旦、インクノズル内に引き込まれたインクメニス
カス31の中心からインク小滴32が突出して図4
(d)に示すように、このインク小滴32がインクノズ
ル11から噴射されることになる。
【0030】このようにしてインク小滴32が吐出した
後は、対向電極間に蓄えられた電荷を徐々に放電する。
すなわち、インク小滴吐出後に、不所望なインク圧波動
が発生してインク滴が吐出することが無いように、振動
板51が所定の期間、対向壁91に対して当接状態に保
持され、その後、振動板51の全体が一度に急激に戻っ
てしまうことの無いように、徐々に放電を行ってインク
室内のインク圧振動を緩和させる。
【0031】図5にはこのようにインク小滴を吐出させ
るのに適した対向電極間の電圧波形の例を示してある。
この充放電Sは、時点t0から時点t1の区間で所定の
電圧値V0まで充電し、その後、充電を停止し、時点t
2まではその電圧値を保持し、時点t2から時点t3に
渡る区間で放電を行う。充放電Sのピーク電圧V0は、
少なくとも振動板51の難変位領域(51a)以外の部
分を対向壁表面92に吸引して密着させるのに充分な値
に設定されている。
【0032】また、充電(時点t0から時点t1までの
区間)は、インク室内のインク系の固有振動の周期より
も短い期間で急激に行われるように設定されている。こ
れに対して、ピーク電圧V0の保持期間(時点t1から
時点t2まで)は、インク系の固有振動の周期よりも長
くなるように設定されている。また、放電(時点tから
時点t3までの区間)は、インク系の固有振動周期に比
べて充分に長い期間となるように設定され、対向電極間
の電圧は徐々に降下し、インク室内のインク振動を充分
に抑制して、不必要なインク滴の吐出が行われることの
無いようにしてある。
【0033】なお、本例においては、対向電極間の隙間
Gを階段状に変化させてある。駆動電圧を印加して、一
旦、振動板51を対向壁91に密着させた後に電圧印加
を解除し、蓄えられた電荷を放電すると、クーロン力が
無くなり、振動板51はその弾性復帰力によって元の状
態に復帰しようとする。この時、発生していたクーロン
力は、大きな隙間G3の部分で最も小さく、しかも、こ
の隙間G3の部分では振動板51が最も大きく弾性変位
している。したがって、電圧印加を解除すると、大きな
隙間の部分から徐々に振動板51は離れていく。したが
って、振動板51の弾性復帰動作が全体として徐々に行
われる。したがって、この特性と、上記のように放電を
徐々に行うことにより、適正なインク吐出動作を実現す
ることができる。
【0034】振動板51が完全に対向壁91から離れて
いる状態では、振動板は圧力に比例して弾性変位するの
で、インク室5の剛性は低く、すなわち、コンプライア
ンスが大きく、インクの流れの振動を緩和し、インク滴
吐出後のノズルメニスカスの振動を抑制する。その後
は、インク流れの振動は、インクの粘性により徐々に減
衰し、振動板51は対向壁に接することなくインク室の
圧力を吸収するように振動する。
【0035】(難変位領域の形成方法)本例において
は、図3に示すように、振動板51の難変位領域を、振
動板51と対向壁表面92の隙間Gを部分的に広くする
ことにより形成した。難変位領域は、図8、9、10に
示すように形成することもできる。
【0036】図8に示す例は、各インク室5の幅を変え
ることにより振動板の難変位領域を形成した例である。
この例では、インク室5の底壁である振動板52の長手
方向の一方の側を広幅の部分52bとし、他方の側を狭
い幅の部分52aとしてある。狭い幅の部分52aは、
広幅の部分52bに比べて面外剛性が高くなるので、難
変位領域となる。この構成によっても、上記の例と同様
な作用効果を得ることができる。
【0037】図9に示す例は、振動板53と対向壁91
の隙間Gを、対向壁表面92の側に形成したセグメント
電極10の形成の有無によって変化させることにより、
振動板の難変位部分を形成したものである。すなわち、
対向壁であるガラス基板4に形成する凹部9は一定の深
さのものとし、この表面92には、振動板53の長手方
向のほぼ半分の領域に渡ってセグメント電極10を形成
し、残りの部分にはセグメント電極10を形成していな
い。この結果、振動板53と対向壁表面92の隙間G
は、振動板53の長手方向の一方の側では、電極10の
表面(実際にはこの上を覆っている絶縁層の表面)から
振動板までの狭い隙間となり、他方の側では、電極10
が形成されていないので、対向壁表面92から振動板ま
での広い隙間となる。したがって、広い隙間に位置して
いる振動板53の部分53aが難変位領域となる。
【0038】図10に示す例は、振動板の厚さを変える
ことにより難変位部分を形成した例である。この例で
は、振動板54の長手方向の一方の側を薄くし、他方の
側を厚くしてある。板厚さの厚い側の部分54aは面外
剛性が高いので、この部分が難変位部分として機能す
る。
【0039】(駆動電圧パルスの別の例)次に、図6、
図7には、本発明のインクジェット記録装置の駆動方法
によって得られる対向電極間の電圧波形の例を示してあ
る。
【0040】図6に示す例は、充放電S1の充電速度
を、時点taまでに比べて、それ以後の時点t1までの
充電速度を大きくしてある。
【0041】このように、充電時の充電速度を、対向電
極間の電圧が上昇するのに伴って加速することにより、
振動板の対向壁への弾性変位速度が加速されるので、振
動板を、極めて短い時間で対向壁の側に撓めることがで
きる。
【0042】図7に示す例は、充放電S2の充電を三段
階で行うようになっており、それぞれの充電速度を段階
的に増加させるようにしてある。このように充電を行っ
ても、図5、図6に示す場合と同様な作用効果が得られ
る。また、本例では、その放電も、三段階で段階的に行
なっている。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のインクジ
ェット記録装置の駆動方法においては、駆動電圧を印加
して対向電極間の充電を行い、振動板を対向壁表面に吸
引接合させて、インク室内のインク圧を急激に高め、こ
れにより発生するインク圧力波動によって振動板におけ
る難変位部分を急激に撓めることにより、短い周期のイ
ンク圧力波動を発生させて、インクノズルの内方に引き
込まれたインクメニスカスの中央部分からインク小滴を
分断吐出させるようにしている。したがって、本発明に
よれば、実質的にインクノズルの径よりも小さなインク
小滴を吐出させることができる。この結果、インクノズ
ル径を小さくすることなく、超高画質の画像を形成する
ことができる。また、振動板の弾性復帰動作を徐々に行
わせるようにしているので、インク小滴吐出後のインク
圧力波動を効率良く緩和できる。したがって、インク吐
出動作を安定させ、高い周波数によるインク吐出駆動が
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクジェットヘッドの概略
縦断面図である。
【図2】図1のインクジェットヘッドの平面図である。
【図3】図1のインクジェットヘッドの一部を示す概略
横断面図である。
【図4】図1のインクジェットヘッドの振動板の弾性変
位状態およびインク小滴の吐出状態を示す図であり、
(a)は振動板の難変位領域以外の部分が対向壁の側に
吸引された状態の説明図、(b)はその時のインクノズ
ルのインクメニスカスの状態を示す説明図、(c)は振
動板の難変位領域が対向壁の側に変位した状態を示す説
明図、(d)はその時にインクノズルから分断されるイ
ンク小滴の状態を示す説明図である。
【図5】図1のインクジェットヘッドの駆動に使用する
駆動電圧パルスの例を示す信号波形図である。
【図6】図1のインクジェットヘッドの駆動に使用する
駆動電圧パルスの別の例を示す信号波形図である。
【図7】図1のインクジェットヘッドの駆動に使用する
駆動電圧パルスの更に別の例を示す信号波形図である。
【図8】振動板に難変位領域を形成するための例を示す
説明図である。
【図9】振動板に難変位領域を形成するための別の例を
示す説明図である。
【図10】振動板に難変位領域を形成するための更に別
の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド 2 基板 3 ノズルプレート 4 ガラス基板 5 インク室 51、52、53、54 振動板(インク室の底壁) 51a、52a、53a、54a 振動板の部分(難変
位領域) 6 共通インク室 7 インク供給路 9 凹部 91 対向壁 92 対向壁表面 10 電極 11 インクノズル 12 インク供給口 21 電圧印加手段 22 共通電極端子 31 インクメニスカス 32 インク小滴 G 振動板と対向壁の隙間

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクを吐出するインクノズルと、この
    インクノズルに連通していると共にインクを保持してい
    るインク室と、このインク室にインクを供給するインク
    供給路と、前記インク室を区画形成している周壁に形成
    され、面外方向に弾性変位可能となっている振動板とを
    有し、前記インク室の外側において前記振動板に対して
    隙間を置いて対向板を配置し、この対向板および前記振
    動板に対向電極を形成し、これら対向電極間の充放電を
    行うことにより、前記インクノズルからインク滴を吐出
    させるインクジェット記録装置の駆動方法において、 前記振動板の一部を、それ以外の振動板の部分に比べ
    て、前記対向板の側に変位させることが困難な難変位領
    域となるように構成し、 前記対向電極の間の充電を行い、前記難変位領域以外の
    前記振動板の部分を前記対向板の側に吸引して密着させ
    た状態を形成し、これにより前記インク室内に発生する
    インク圧力波動によって前記振動板の難変位領域を前記
    対向壁表面の側に変位させて微少なインク圧力波動を発
    生させることにより、前記インクノズルの内方に引き込
    まれたインクメニスカスからインク小滴を分断して噴射
    させ、 しかる後に、前記インク室内のインク圧振動を充分に緩
    和できるように、前記対向電極間に蓄えられた電荷の放
    電を徐々に行うことを特徴とするインクジェット記録装
    置の駆動方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記振動板の前記難
    変位領域を、当該振動板と前記対向壁の隙間を部分的に
    広くすることにより形成したことを特徴とするインクジ
    ェット記録装置の駆動方法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記対向板の表面を
    段状にすることにより、前記隙間を部分的に広くしたこ
    とを特徴とするインクジェット記録装置の駆動方法。
  4. 【請求項4】 請求項2において、前記対向電極を部分
    的に形成しないようにすることにより、前記隙間を部分
    的に広くしたことを特徴とするインクジェット記録装置
    の駆動方法。
  5. 【請求項5】 請求項1において、前記振動板の前記難
    変位領域を、当該振動板を部分的に厚くすることによっ
    て形成したことを特徴とするインクジェット記録装置の
    駆動方法。
  6. 【請求項6】 請求項1において、前記振動板の前記難
    変位領域を、当該振動板の幅を部分的に狭くすることに
    よって形成したことを特徴とするインクジェット記録装
    置の駆動方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のうちの何れかの項にお
    いて、前記対向電極間の充電区間において、該対向電極
    間の電圧の上昇に伴い、充電速度を加速することを特徴
    とするインクジェット記録装置の駆動方法。
JP19981595A 1995-08-04 1995-08-04 インクジェット記録装置の駆動方法 Expired - Fee Related JP3384202B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19981595A JP3384202B2 (ja) 1995-08-04 1995-08-04 インクジェット記録装置の駆動方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19981595A JP3384202B2 (ja) 1995-08-04 1995-08-04 インクジェット記録装置の駆動方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0939229A true JPH0939229A (ja) 1997-02-10
JP3384202B2 JP3384202B2 (ja) 2003-03-10

Family

ID=16414108

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19981595A Expired - Fee Related JP3384202B2 (ja) 1995-08-04 1995-08-04 インクジェット記録装置の駆動方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3384202B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1053872A1 (en) * 1998-12-08 2000-11-22 Seiko Epson Corporation Ink-jet head, ink-jet printer, and its driving method
US6491378B2 (en) 1998-12-08 2002-12-10 Seiko Epson Corporation Ink jet head, ink jet printer, and its driving method
JP2011000756A (ja) * 2009-06-17 2011-01-06 Seiko Epson Corp 静電アクチュエーター、その駆動方法、並びに、その静電アクチュエーターを備えた液滴吐出ヘッド及びそれを搭載した液滴吐出装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1053872A1 (en) * 1998-12-08 2000-11-22 Seiko Epson Corporation Ink-jet head, ink-jet printer, and its driving method
EP1053872A4 (en) * 1998-12-08 2001-12-12 Seiko Epson Corp INK JET PRINTHEAD, INK JET PRINTER, AND DRIVE METHOD
US6474784B1 (en) 1998-12-08 2002-11-05 Seiko Epson Corporation Ink-jet head, ink jet printer, and its driving method
US6491378B2 (en) 1998-12-08 2002-12-10 Seiko Epson Corporation Ink jet head, ink jet printer, and its driving method
JP2011000756A (ja) * 2009-06-17 2011-01-06 Seiko Epson Corp 静電アクチュエーター、その駆動方法、並びに、その静電アクチュエーターを備えた液滴吐出ヘッド及びそれを搭載した液滴吐出装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP3384202B2 (ja) 2003-03-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5510816A (en) Method and apparatus for driving ink jet recording head
EP0765750B1 (en) Method of driving ink jet head
EP0738600B1 (en) An ink jet head, ink jet recording apparatus, and a control method therefor
US6371598B1 (en) Ink jet recording apparatus, and an ink jet head
JP3395463B2 (ja) インクジェットヘッドおよびその駆動方法
JPH09226106A (ja) インクジェット式記録装置
JP3525616B2 (ja) インクジェット記録装置及びその制御方法
JP3384202B2 (ja) インクジェット記録装置の駆動方法
JP3580343B2 (ja) インクジェット式記録装置
JP3384200B2 (ja) インクジェット記録装置およびその駆動方法
JP3444300B2 (ja) インクジェットヘッドの駆動方法及び駆動回路
JP3419410B2 (ja) インクジェットヘッド
JP3296391B2 (ja) インクジェット式記録ヘッド
JP3538983B2 (ja) インクジェット記録装置及びその駆動方法
JPH11123822A (ja) インクジェット式記録ヘッド
JPH05169650A (ja) インクジェットヘッド及びインクジェットヘッド駆動方法
JPH10286952A (ja) インクジェット式記録ヘッド
JPH09314837A (ja) インクジェットヘッド並びにそれを用いた印刷装置及びその制御方法
JPH06305134A (ja) インクジェットヘッド及びその駆動方法
JP2003145753A (ja) プリンタヘッド及びプリンタ
JPH09174836A (ja) インクジェット記録ヘッド及びその製造方法
JP3769371B2 (ja) インクジェット式記録ヘッドの駆動方法
JP2002067358A (ja) インクジェットヘッドの駆動方法
JP2003305848A (ja) インクジェットヘッド
JP2858958B2 (ja) インクジェットヘッドの駆動方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081227

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081227

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091227

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101227

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101227

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111227

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees