JP2002045143A - 野菜シートおよびその製造方法 - Google Patents

野菜シートおよびその製造方法

Info

Publication number
JP2002045143A
JP2002045143A JP2000232161A JP2000232161A JP2002045143A JP 2002045143 A JP2002045143 A JP 2002045143A JP 2000232161 A JP2000232161 A JP 2000232161A JP 2000232161 A JP2000232161 A JP 2000232161A JP 2002045143 A JP2002045143 A JP 2002045143A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vegetable
sheet
trehalose
vegetables
texture
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000232161A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenkun Chin
建君 陳
Yoichi Kimura
洋一 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SANSEI SHOKUHIN KK
Original Assignee
SANSEI SHOKUHIN KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SANSEI SHOKUHIN KK filed Critical SANSEI SHOKUHIN KK
Priority to JP2000232161A priority Critical patent/JP2002045143A/ja
Publication of JP2002045143A publication Critical patent/JP2002045143A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preparation Of Fruits And Vegetables (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 機能保持性ならびに食感に優れ、のり巻き用
の海苔の代りに使用することもできる野菜シートとその
製造方法を提供する。 【解決手段】 所定形態を有する野菜の組織内水分の一
定割合以上をトレハロース溶液で置換したトレハロース
溶液置換野菜を原料とし、これを適宜破砕して得られる
スラリーを薄膜状に成形し乾燥することによって、機能
保持性ならびに食感に優れた野菜シートを得る。この野
菜シートは、例えばのり巻き用の海苔の代りに使用する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機能保持性及び食
感に優れたシート状食品であって、例えば海苔巻き用の
海苔の代りに使用こともできる野菜シートおよびその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】乾燥海苔は、長期保存可能な食品として
大宝律令にも記され、鎌倉時代には源頼朝が後白河法皇
に献上したとの記録もある貴重品であり、古くから日本
の伝統的な食べ物として珍重されて来た。最近は、国内
だけでなく、欧米でもヘルシーフードとして、また中華
圏ではスナックとして消費が伸び、人々の食生活に欠か
せないものになっている。
【0003】海苔巻おにぎり、巻き寿司、手巻き寿司、
海苔巻きおかき等は、大人から子供まで広い年齢層に好
まれ、米食文化に欠かせない食材として日本の伝統文化
とも言うべき存在となっている。しかしながら、各種開
発行為による自然海岸の減少、海洋汚染等により、国内
の海苔養殖業は減少を続け、輸入品も輸出国の国内加工
比率上昇等により減少しつつあり、高級海苔は益々高価
なものとなっているのが現状である。
【0004】一方、食生活の過度の欧米化への反省と野
菜の機能性成分の再評価等に伴い、最近では野菜摂取の
ための様々な工夫がなされている。このような背景のも
とで、高級海苔の食感を有する野菜シートを安価に創製
することができれば、子供から老人まで、手軽に野菜を
摂取する事が出来、米の消費拡大と相俟って、国民の健
康増進に資するところ大であると考えられる。
【0005】従来、野菜シートの製造法に関しては様々
な提案がなされており、すでに市販製品の製造に応用さ
れているものもあるが、何れも一長一短があり、大きな
市場を獲得するに至っていないのが現状である。
【0006】例えば、特開昭60−149355号公報
に開示された技術は、ブランチングした野菜を細断した
のち、海苔、わかめ、昆布、澱粉糊等が2種以上混合し
た結着剤含有液に混合し、混合スラリーの中の固形分を
網状物に付着させて乾燥することによりシート状物を得
るものであるが、この方法では、均一な厚さの薄いシー
トを得ることは困難であり、また野菜に含まれる有用成
分の相当部分が失なわれてしまうという重大な欠点があ
った。
【0007】また、特公平8−8840号公報に開示さ
れた技術は、あく抜き、高圧鍋による茹で上げ、洗浄、
ミンチ、等の工程を経た野菜のり素材に、小麦粉を添加
して練り上げ、適度なねばりを持たせて均一な厚さのシ
ートを形成させ、乾燥させる事を特徴とする人造野菜の
りの製造法であるが、相当量の小麦粉をバインダーとし
て用いるために、高級海苔の物性と食感とを併せ持たせ
る事が困難である。
【0008】さらに特開昭62−118860号公告に
開示された技術は、単純に野菜を擂り潰し、薄く展ばし
て乾燥させたもので、目的は野菜破砕乾燥物を長期間腐
敗することなく安定に保存することにあり、厚さも1〜
5mmの硬い板状のもので、のり巻き等の用途には適さ
ないものである。
【0009】また、特開平9−56340号公報に開示
された技術は、酵素共存下に野菜や果物をボイルするこ
とにより、食品シートにしなやかさを付与しようとする
ものであり、従来の野菜シートが有していた剛性による
割れ易い欠点を取り除くことにより、手巻き寿司にも適
用可能な食品シートを提供せんとするものである。
【0010】しかしながら、酵素の作用の制御が難し
く、ともすると酵素の作用が強すぎて、繊維組織の分解
が進み過ぎて、全体がドロドロになり、栄養成分が失わ
れたり、かえってシートが煎餅のように硬くなったりす
るという欠点が避けられないものであった。
【0011】また、特開平1−206965号公報に
は、野菜の内容成分を減少することなく、青臭みがな
く、旨みが付与されて、かつ食べ易い野菜シートを提供
するために、塩または酢で処理した野菜を磨砕し、得ら
れたスラリー状物を成形し乾燥することを特徴とするシ
ート状食品の製造方法が開示されているが、この方法は
漬物等には適した方法であるが、野菜シート一般には適
用し難いものである。
【0012】一般に、生の野菜をそのまま破砕したシー
ト状食品は、生野菜特有の青臭みが残り、また酵素の作
用により色調および味が劣化し易いという問題点があっ
た。一方、酵素の影響を回避するために水中加熱による
ブランチング処理を行なうと、野菜の有用成分が失われ
易くなるというジレンマがあった。さらに粘着剤あるい
は結着剤を混合したシート状食品は、歯にくっつき易く
食べにくいという欠点があった。
【0013】また、機能性の面からも、野菜はビタミ
ン、ミネラル、食物繊維、その他多くの有用微量成分や
生理活性物質を含み、我々の健康増進に有効な成分の宝
庫であるため、近年、自己免疫疾患や生活習慣病の予防
に野菜食品の大量摂取が提唱されている。また、野菜の
もつ各種機能性、特に抗酸化性にも注目が集まってい
る。
【0014】乾燥野菜は、いつでもどこでも便利に利用
でき、他の食品と組合わせて摂取することができる利点
があるため、乾燥野菜食品に関しては従来から多くの提
案がなされている。しかしながら、野菜本来の栄養価ま
たは機能性成分が安定的に保持されなければ、食品とし
ての価値は大きく損なわれてしまう。
【0015】従来の技術は、この点で極めて不満足のレ
ベルにあり、さらに食感、味、品位・色彩、等において
も不完全な商品であった。乾燥野菜ならびに野菜シート
が従来消費者に受け入れられず、大きなマーケットを獲
得できなかった理由はここにあるものと推定される。
【0016】また、これら乾燥野菜食品における野菜由
来の栄養価や機能性成分活性は、製造以後の時間経過と
共に低下し、野菜本来の数値、例えば、ポリフェノール
価、カロチン価、抗酸化力価、等が安定に保持されず、
徐々に低下してしまうことも避けられない欠点として認
識されてきた。乾燥野菜食品の製造において、 野菜本来
の栄養価ならびに各種機能性成分活性を長期にわたり安
定保持することに成功した例は未だ知られていない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、乾燥野
菜食品の問題点は以下の項目に集約される。 (1)製造工程中における有用成分の流失。 (2)製造工程中における品位・色彩等の低下。 (3)製品の栄養価ならびに各種機能活性の経時的劣
化。 (4)製品の品位・色彩、食感・食味等の経時的劣化。 (5)高級海苔との物性、テクスチャー、食感の大きな
差異。
【0018】このような状況を踏まえ、本発明者らは、
既存の乾燥野菜食品の上記欠点を改良し、製造工程中に
おける有用成分の流失防止と品位・色彩の低下防止、製
品中の栄養価と機能活性ならびに製品の品位・色彩、食
感・食味等の経時的劣化防止等を達成した上で、さらに
高級海苔類似の物性、テクスチャー、食感を具備させて
なる、機能保持性ならびに食感に優れたのり巻き用野菜
シートの開発を課題として取り組んだ。
【0019】
【課題を解決する為の手段】本発明者らは、既存の乾燥
野菜食品の上記欠点を改良し、さらには、のり巻き用の
海苔の代りに使用するに適した特性を付与した野菜シー
トを提供すべく鋭意検討を続けた結果、特定量のトレハ
ロースを特定の用法で野菜に適用する事によって、従来
の方法の欠点が大幅に克服され、かつ食感、物性ともに
高級海苔の特性を有する野菜シートが得られることを見
出し、本発明を完成したのである。
【0020】すなわち、本発明にかかる野菜シートは、
野菜成分とトレハロースを含有するシート状成形体から
なり、前記トレハロースの含有量が5〜70重量%であ
ることを特徴としている。上記野菜成分としては、葉菜
類、葉茎菜類、果菜類、花菜類、根菜類、芋類、豆類、
山菜野草類、茸類、等の一種または2種以上から得られ
る成分を使用することができる。なお、シートの厚み
は、0.1 〜0.6mm であるのが好ましい。
【0021】また、本発明にかかる野菜シートの製造方
法は、所定形態を有する野菜とトレハロース溶液とを接
触させて野菜組織内へトレハロース溶液を浸透定着させ
る工程と、得られるトレハロース溶液置換野菜を破砕し
て得られるスラリーとする工程と、得られたスラリーを
薄膜状に成形して乾燥する工程とを経て所定厚みのシー
ト状成形体を得ることを特徴としている。上記トレハロ
ース溶液置換野菜は、野菜の組織内水分の10%以上、
好ましくは50%以上がトレハロース溶液で置換されて
いるのが好ましい。さらに成形法としては、スラリーを
抄造法、流延法、ドクターブレード法またはロールコー
ト法のいずれかの方法により薄膜状に成形する方法が採
用できる。
【0022】驚くべきことに、結着剤としてのトレハロ
ースを製造工程の初期段階から使用し、野菜組織内部へ
トレハロース溶液を浸透定着させてなるトレハロース溶
液置換野菜を原料として用い、これを破砕して得られる
スラリーを薄膜状に成形し、乾燥して、最終製品中に多
機能性結着剤としてのトレハロースが5〜70重量%含
まれるようにした場合に、初めて、機能保持性ならびに
食感に優れた野菜シートを製造できることが判明したの
である。
【0023】この知見に基づき、本発明においては、多
機能性結着剤としてのトレハロースを製造工程の初期段
階から最終段階まで多重に使用することによって、製造
工程中における、有用成分の流失防止、品位・色彩の低
下防止、さらには製品保存中の栄養価、機能活性、品位
・色彩、食感・食味等の経時的劣化防止、併せて、最終
製品中においては結着剤として高級海苔類似の物性、テ
クスチャー、食感を創出する等々、様々の工程・段階に
応じてトレハロースの多様な作用効果をフルに利用する
という画期的手段によって、従来の乾燥野菜食品の欠点
を大幅に改良し、上記課題を解決することに成功したの
である。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、具体例を挙げつつ本発明を
詳細に説明する。まず、本発明に用いるトレハロース
は、α,α−トレハロースであって、野菜シートの製造
工程中においては、野菜の表皮あるいは細胞膜を透過し
て野菜組織内に浸透し、製造工程中における有用成分の
流失防止および品位・色彩の低下防止、製品中にあって
は、製品中の栄養価・機能活性低下防止ならびに製品保
存中の品位・色彩、食感・食味等の経時的劣化防止、さ
らに最終製品中にあっては結着剤として高級海苔類似の
物性、テクスチャー、食感の創出等、様々の作用効果を
奏するものであれば、いかなるものも使用可能であっ
て、その由来、製法は問わない。
【0025】例えば、特開平7−170977号公報、
特開平7−213283号公報等に開示される方法で製
造されるトレハロースの含水または無水の結晶粉末等が
適宜採用できる。より具体的には、例えば、澱粉から酵
素法により工業的に生産されている高純度含水結晶トレ
ハロース(株式会社林原商事販売、登録商標「トレ
ハ」)が有利に利用できる。
【0026】本発明の野菜シート製品中におけるトレハ
ロース含有量は、5〜70重量%の範囲にあることが必
要である。5重量%以下では、本発明品の目的とする、
製造工程中ならびに製品中における前述のような様々な
作用効果が充分発揮されず、機能保持性ならびに食感に
優れたのり巻き用野菜シートが得られない。
【0027】また、70重量%以上になると、野菜シー
トが硬く脆くなり、のり巻きに適した物性から逸脱する
とともに、甘味を強く呈するようになり、スナック菓子
のような食感・食味となるので本発明の目的には採用で
きない。
【0028】本発明野菜シートにおけるトレハロース含
有量の好適値は、野菜の種類、シートの用途、食感・食
味の演出方法、消費者の年齢、等によって異なるが、例
えば手巻寿司用の野菜シートをそれぞれ単独素材を用い
て作成した場合について、トレハロース含有量の好適値
を例示すると、人参32%、大根葉41%,ほうれん草
28%、高菜39%、菊菜35%である。
【0029】また、トレハロース以外の成分としては、
小割合の呈味料、調味料、香料、各種生理活性物質、塩
類、多糖類、水溶性高分子、界面活性剤、浸透剤、トレ
ハロース誘導体、各種糖類及びその誘導体、酸化防止
剤、着色用色素等が任意に併用できるが、その割合は、
野菜シートの食感あるいは機能保持性を低下させない範
囲にとどめるべきである。
【0030】本発明に用いる野菜は、破砕することによ
り流動性のあるスラリー状になり、シート状に成形・乾
燥後、のり巻き等として使用できる程度の可撓性がある
ものであれば、いかなるものも採用できる。また、それ
自身単独では使用に耐えなくても、他の繊維質の多い野
菜あるいは可食性繊維質と混合使用することによって、
優れたシートが得られることも多い。
【0031】好適に使用できる野菜としては、キャベ
ツ、ホウレン草、小松菜、からし菜、ねぎ、大根葉、
芹、しそ、パセリ、等の葉菜類、アスパラガス、ブロッ
コリー、カリフラワー、セロリ、等の葉茎菜類、キュウ
リ、瓜、カボチャ、茄子、ピーマン、トマト、唐辛子、
等の果菜類、菊花、つつじ、菜の花、茗荷、等の花菜
類、人参、大根、ゴボウ、蓮根、玉葱、ニンニク、生
姜、等の根菜類、サツマ芋、じゃがいも、里芋、山芋、
等の芋類、枝豆、空豆、さやいんげん、さやえんどう、
等の豆類、タラの芽、蕗の董、ヨモギ、わらび、ぜんま
い、いたどり、つくし,山うど、ノビル、等の山菜野草
類、椎茸、岩茸、キクラゲ、鮑茸、舞茸等の茸類、等々
が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】これらの野菜は、二種以上を混合使用して
も良い。混合する時期は任意である。破砕前に混合して
も良いが、多くの場合、破砕後のスラリー段階以降に混
合するのが好都合である。多種類の野菜の混合シートを
作成して味に変化を持たせる事もできるし、シート成形
の段階で多層シートとして成形して、色彩、味、食感の
変化を併せて楽しむシートとする事もできる。
【0033】野菜シートの食感・食味改良および味付け
のために、様々な食材、調味料、呈味料、香味料、エッ
センス、抽出液、出汁、酵素、油、セルロースパウダ
ー、パルプ、炭酸カルシュウム、クレー、等を加えるこ
とができるが、これらはあくまで脇役であって、主役の
野菜シートの優れた機能保持性と優れた食感を阻害しな
い範囲にとどめるべきである。
【0034】本発明に用いるトレハロースを溶解する溶
媒としては、水、ジメチルスルフォオキサイド、モルフ
ォリンおよびこれらの混合溶媒等が挙げられるが、通常
は水が最も安全・安価・簡便な溶媒である。
【0035】所定形態を有する野菜とトレハロース溶液
とを接触させ、野菜組織内の水の一定割合以上をトレハ
ロース溶液で置換する方法としては、様々な方法が採用
できる。対象とする野菜全体を丸ごとトレハロース溶液
中に一定時間浸漬する方法、葉をつけた茎の切断面や根
菜断面の様に導管が多く露出した野菜組織の一部分をト
レハロース溶液中に浸漬する方法等も、目的と場合によ
っては採用できる。
【0036】しかしながら、工業的に実施するには、輪
切りあるいは薄切り野菜をトレハロース溶液中に浸漬す
る方法、あるいはトレハロース溶液を細断野菜上部から
供給し、流下接触せしめる方法等が便利であり、現実的
に採用し易い方法である。
【0037】また、適宜の大きさに切断した野菜を、先
ずトレハロース水溶液を用いてブランチングし、ブラン
チング後の野菜を、引続き、より高い濃度のトレハロー
ス水溶液に浸漬あるいは接触させることによって拡散浸
透せしめ、トレハロース溶液置換野菜を得る方法が簡便
かつ適切である。
【0038】しかし、これらに限定されるものではな
く、対象とする野菜の大きさや性質、用途に応じて、様
々な工夫や組み合わせが可能である。場合によっては、
加温、減圧、加圧が処理速度の向上に有効である。野菜
の種類によっては、適当な前処理により灰汁、樹脂、タ
ンニンなどの浸透阻害物質を除去することが処理速度の
向上にしばしば有効である。
【0039】トレハロース溶液が野菜組織内部に浸透す
る過程は拡散過程であるため、距離が増大すると浸透に
要する時間が非線形的に増大する。また、一般に濃度差
が大きいほど、温度が高いほど、媒体の粘度が低いほど
拡散係数は増大する。このような理由から、野菜のトレ
ハロース溶液置換処理にあたっては、野菜をできるだけ
薄くして比表面積を大きくし、望ましくは繊維に直角は
面がより多く露出する様に切断し、高温・高濃度で処理
することが望ましい。
【0040】機能保持性ならびに食感に優れた野菜シー
トを得るためには、野菜組織内に存在する組織内水分の
可及的大部分がトレハロース溶液で置換されることが望
ましいが、本発明の効果を確かなものとするためには、
各野菜の組織内水分(生きた状態でその野菜が平均的に
含有する水分)の少なくとも10%以上、好ましくは5
0%以上がトレハロース溶液で置換されることが必要で
ある。これが10%未満では、顕著な機能保持性の向上
効果が得られない。
【0041】本発明において、所定形態を有する野菜と
トレハロース溶液とをあらかじめ接触させ、野菜組織内
へトレハロース溶液を浸透定着させ、かくして得られた
トレハロース溶液置換野菜を原料として用いることの作
用機構は、未だ解明されていないが、以下の様に推測さ
れる。
【0042】原料としてトレハロース溶液置換野菜を用
いた場合には、その後の、破砕工程ならびに破砕スラリ
ーを抄造法、流延法、ドクターブレード法またはロール
コート法等により薄膜状に成形する工程において、野菜
内部の有用成分がトレハロースとともに細胞内部もしく
は組織内部に留まり、外部へ流失することが相対的に少
ないのに対し、トレハロース溶液置換していない通常の
野菜を原料として用いた場合には、その後の、破砕工程
ならびに破砕スラリーの薄膜成形工程において、野菜に
含まれる多くの有用成分が野菜組織内部の水とともによ
り多く流失してしまうものと推定される。
【0043】加うるに、予めトレハロース溶液で置換し
た野菜を原料として用いた時には、最終的に得られる製
品野菜シートの物性と食感とのバランスが、高級海苔に
極めて近いものになるという作用効果も得られる。この
ように、トレハロース含有量が同じでも異なる挙動や物
性を示す原因は、トレハロースの存在様式によるもの、
すなわち、予めトレハロース溶液で置換した野菜の場合
には、トレハロースが野菜の細胞内や組織内により多く
存在し、このことが様々なメリットを生み出しているも
のと思料される。
【0044】トレハロース溶液置換に用いるトレハロー
ス溶液の濃度は、5〜60重量%が適当である。5%未
満では、有用成分の流出阻止効果が不充分であり、60
%を越えて高くなると浸透圧、粘度ともに高くなり、野
菜がやせて流出阻止効果がかえって低下したり、増粘効
果により置換効率が低下するので好ましくない。
【0045】トレハロース溶液置換野菜の破砕には、目
的にかなうものであればいかなる器具、装置を用いても
よい。例えば、包丁、カッター、リファイナー、ミキサ
ー、ニーダー、フードプロセッサー、臼、すり鉢等が挙
げられる。
【0046】工業的に大量生産する場合の破砕の方法、
装置、条件、時間等は、対象とする野菜の種類、形状、
硬さ、製膜装置の種類、生産速度、最終製品の厚み等に
より適宜選択すべきであるが、食品の破砕に多用される
高速攪拌機、らいかい機、磨砕機、ナイフミキサー、フ
ードプロセッサー、等が何れも使用できる。
【0047】野菜の破砕の際に、先に述べた各種添加物
を添加するのが混合攪拌を兼ねて好都合な場合が多い。
たとえば、おにぎり用野菜シートの味作りのために、昆
布、スルメ、鮭、カワハギ、でんぶ、たらこ、梅干、し
そ、ストリング・チーズ、唐辛子、などの乾物や佃煮、
調味材料、等を添加してもよい。破砕途中または後に添
加する場合は、粉末状または微細繊維状に加工してお
く。
【0048】凍結した野菜を切削、 磨砕、破砕、粉砕す
ると、野菜組織が一部破壊されずに保存されるために、
野菜独特の風味が保存され、有用成分も多く保持される
ので好ましい。トレハロース溶液置換野菜を冷凍破砕す
ると、本発明の効果は一層助長される。
【0049】実験室的には、破砕スラリーを、身近にあ
るクッキングシート等の多孔性シート上に薄膜状にのば
し、乾燥、剥離することによって野菜シート状食品を容
易に得る事ができる。トレハロース溶液置換野菜の破砕
スラリーを薄膜状に成形する工程で用いる工業的成形方
法としては、抄造法、流延法、ドクターブレード法また
はロールコート法が適当であり、中でも板海苔の製造に
用いられる水切りスノコを用いる手漉き和紙の手法が簡
便であるが、さらに大量生産に適した円網や長網を用い
た抄造法、ツインワイヤー法と呼ばれる2枚のワイヤー
網の間で圧力をかけて両面から濾水する高速抄造法等が
便利に使用できる。
【0050】破砕スラリーのレオロジカルな性質が良好
であれば、スリットダイから押出してドラムまたはベル
ト上に流延し、乾燥する方法が採用できる。ダイやベル
トに適当な振動を与えることにより均一性を高めること
ができる。野菜の破砕スラリーの均一性および流動性が
さらに良好であれば、ドクターブレード法またはロール
コート法が利用でき、さらに厚み精度と生産性を高める
ことができる。
【0051】乾燥方法は、原則として任意であり、天日
乾燥、熱風乾燥、赤外線乾燥、低温乾燥、凍結乾燥、減
圧乾燥、等がいずれも採用できるが、一方では、乾燥工
程は、野菜シート中の有用成分の流失、品位・色彩の低
下、製品中の栄養価と機能活性ならびに製品の品位・色
彩、食感・食味等の劣化、さらには高級海苔類似の物
性、テクスチャー、食感のすべてに影響するところが大
きいので、極めて重要な工程である。基本的には、出来
る限り低温で乾燥することが望ましいのであるが、生産
性とコストを勘案して選ぶ必要がある。
【0052】シート中の水分率が50%以上の恒率乾燥
期は温度を高くしても、野菜シート内部の温度は左程高
くならないので、顕著な障害は生じない。乾燥速度が速
いとトレハロースがマイグレーションを起こして表面付
近に集まるという現象により、内部は結着剤が少なくな
ってふわっとした構造になり、表面は結着剤が多く集ま
ってパリッとした感触に仕上がるので、積極的にテクス
チャーの調節に利用することが出来る。
【0053】具体的には、乾燥の前半は60℃以上の温
度で乾燥し、後半はそれ以下の低温乾燥を行なうと、高
級海苔に類似のテクスチャー、食感の野菜シートを得る
ことが出来る。例えば、60℃の温風下で2 時間乾燥した
後、40℃以下の冷風乾燥をすると、中心部がしなやかで
ありながら外側がパリパリとした高級海苔状の食感を有
するテクスチャ的にも非常に安定な野菜シートを得るこ
とができる。
【0054】また、40℃の冷風乾燥でできた野菜シート
を中間層にして、両側に60℃の温風で予備乾燥した野菜
シートを貼り合わせ、更に40℃以下の冷風下で所定の水
分含量まで乾燥すると、中心部がしっかりとした歯ごた
えのある食感を有しながら、外側がソフトでしなやかさ
を持つ、テクスチャ的にも非常にユニークな野菜シート
が得られる。
【0055】本発明野菜シートの厚みは、0.1 〜0.6mm
が適当であり、この範囲を逸脱して薄くなると、均斉度
の高いシートを得ることが困難になり、無理に作ろうと
すると紙ライクのシートになってしまい、高級海苔の食
感を創出し難く、逆にこの範囲を超えて厚くすると、可
撓性が失われてのり巻き用高級海苔の用途には適合し難
くなるので、ともに採用し難い。
【0056】本発明野菜シートの引張り強度は5〜50
Kg/cm2の範囲にあることが重要であり、この範囲
以下の引張り強度では、弱すぎてのり巻きには使用でき
ず、一方この範囲以上の引張り強度では、強すぎて食べ
難くなるので、のり巻き用には採用できない。
【0057】シートの破断力は0.5〜5kg/2cm
の範囲にあることが適当であり、この範囲以下の破断力
では、もろすぎてのり巻きには使用出来ず、一方この範
囲以上の破断力では、強すぎて歯切れが悪くなり、食い
千切れなくなるので、のり巻き用には採用できない。
【0058】高級海苔は、口の中で食い千切られたあ
と、唾液等と出会うことによって、海苔の枚葉の単位ま
で急速に崩壊し、そこで若干の歯ごたえを与えながら砕
分化されて行くのである。この口腔内における咀嚼時の
崩壊感を表す指標として、水中崩壊時間が適当であるこ
とを見出した。この指標は、巾0.5cmx長さ4cmの短
冊状のシートを37℃の水中に浸漬して、完全に崩壊す
るまでの時間を目視により測定するものである。
【0059】本発明野菜シートの水中崩壊時間は3〜6
0分であることが必要である。この範囲以下の水中崩壊
時間では、崩壊が早すぎてのり巻きの用途に使うと食べ
る前にすでに崩壊が始まる傾向となり、取り扱い性、食
感ともに不良で、不適当である。一方この範囲を超えて
水中崩壊時間が長くなると、口腔内における咀嚼時の崩
壊感が得られず、紙を食べているような感触で、結果的
に食感不良となるので、のり巻き用には採用できない。
【0060】本発明野菜シートの厚み、引張り強度、破
断力、水中崩壊時間の四つの特性値は、すべてが同時に
上記適切な範囲内にあることが望ましいことは云うまで
もない。
【0061】本発明の野菜シートに具体的に付与される
機能保持性ならび食感向上効果とは、次のとおりであ
る。 (1)製造工程中における有用成分の流失防止効果によ
り、ポリフェノール価、カロチン価、抗酸化力価、等の
機能性成分の活性が高レベルに保持されるとともに、品
位・色彩等の製品の商品価値を高める。 (2)製造後の製品の栄養価ならびに各種機能活性値の
経時的低下が緩やかとなり、同時に製品の品位・色彩、
食感・食味の経時劣化を防ぐことにより商品価値を高め
ることができる。 (3)高級海苔に類似した物性、テクスチャー、食感を
付与することにより、のり巻き用に適用した際の消費性
能が顕著に向上する。
【0062】また、野菜組織内部へトレハロースを浸透
定着させることにより、湿度感受性が低下し、高湿度環
境下に置かれても剛性が保持され、ヘタらないという副
次的効果も得られ、それに付随して、 1)優れた食感の長期維持、 2)品位の長期維持、 3)くっつき防止、 4)保存耐久性の向上、 5)商品価値の向上、 等の効果も得られる。
【0063】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらにくわしく
説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるもので
はない。本発明における各種試験方法は以下の方法に従
って行なった。
【0064】<試験方法の記載> (試験法1) <シート厚みの測定方法>マイクロメーター厚み計を用
いて測定対象となるシートの面積10x10cm当たり5 〜6
個所の厚みを測定し、その平均値を以って平均厚みと
し、最小値と最大値を以って厚み範囲とした。
【0065】(試験法2) <水中崩壊時間測定方法>刃先が尖って良く切れる刺身
ナイフを用いて、対象とするシートを5 x40mmの短冊
状に切断する。この短冊状のシート10枚を取り、容量30
0ml のガラス製ビーカーに入れ、35〜37℃の温水200ml
を加える。このガラスビーカーを37℃のインキュベータ
ーの中に設置してあるマグネチック・スターラー上に載
せ、直径8mmx長さ30mmのスターラーバーを用い
て、90 rpmの回転速度で緩やかに攪拌しながら、温水中
の短冊状シート10枚が完全崩壊するまでの時間を目視
により測定する。
【0066】(試験法3) <野菜シートの引張り強度測定方法>FUDOH レオメータ
ー(NRM-2010-J-CW 型、株式会社レオテック)を用い
て、温度22〜23℃、相対湿度60%に空調管理された室内
環境下で各シートの引張り強度測定を行う。
【0067】測定対象シートは、刃先が尖って良く切れ
る刺身用ナイフを用いて、サイズ2x10cmに切断し、こ
のシートの両側をレオメーター引張り試験機の固定用ク
ランプで把持し、マニュアル通りの方法で装置に取り付
け、ヘッドスピードを6cm/分で移動させ、シートの
引っ張り強度を測定した。
【0068】なお、引張り強度は、シート両端付近で切
れた場合のデータを除外し、シート中間領域(中間長さ
4cm の部分)で切れた場合のデータのみを採用し、5 枚
シートの平均値を当該シートの引っ張り強度とした。
【0069】(試験法4) <野菜シートの破断力の測定方法>FUDOH レオメーター
(NRM-2010-J-CW 型、株式会社レオテック)を用いて、
温度22〜23℃、相対湿度60%に空調管理された室内環境
下で各シートの破断力の測定を行った。
【0070】測定対象のシートはまず刃先が尖って良く
切れる刺身用ナイフを用いて、長さ4cm x幅2cm の長方
形に切断し、図1 に示す破断力の測定用治具に取り付け
る。このシート1を同一サイズ(長さ4cm x幅2cm )の
金属製台(幅1mmの深い溝3が中央部にある)2に水
平に取り付け、上部からV 型プランジャ−(先端部断面
がV 字型になった薄板状プランジャーで、横2cm 、縦1.
95cm、厚み1.5mm )4をヘッドスピードが6cm/分で
降下させ、中央の溝部でシートをせん断的に破断し、そ
の時の最大応力を破断力とした。5 回の平均値を用い
て、当該シートの破断力とした。
【0071】(試験法5)<トレハロース含有量の測定
方法>サンプリングした試料を精秤(Wo)し、105
℃、16時間減圧乾燥(−0・1MPa )して絶乾重量を
精秤(Wd)して、試料の揮発分率(≒水分率)および
非揮発分率(≒固形分率)を測定したのち、絶乾試料と
して以下の分析に供する。絶乾試料をスイス製クッキン
グミキサー(バーミックス133 型)で5分間高速破砕
し、10gを秤取し、試料重量の10倍量の蒸溜水を加
え、密栓して80℃で2時間振蕩抽出し、平衡抽出液を
適当な濃度になるように蒸留水で調整し、メンブランフ
ィルター(0.45μm )で濾過したものを試料溶液とし
た。液体クロマトグラフィ分析法(カラム:AQ-303 YMC
直径4.6mm ×長さ250mm 、流動層:蒸留水、流速:0.
5ml/Min 、検出器:示差屈折検出器、測定環境:25−26
℃の室内、サンプルサイズ:5-20μl )を用いて、得ら
れたトレハロースのクロマトグラムより面積法でトレハ
ロース濃度を算定し、試料中のトレハロース含量を計算
した。
【0072】(試験法6) <野菜シートの抗酸化力評価試験法>野菜シートの抗酸
化力はラード酸化に対する各シートの脂質抗酸化力指数
を用いて評価した。つまり各サンプルシートを粉砕し、
20メッシュパスの微粉末5gを秤取し、50℃の湯浴
で加温中の市販のラード(雪印乳業株式会社)20gに
添加し、十分混合させてから40℃で20時間静置後の
ラードの過酸化物価上昇量(ΔPOV1 )および対照の
サンプル無添加ラードの過酸化物価上昇量(ΔPOV
0 )をヨウ素滴定法〔油化学38、276-278 (1987)〕に
準じて測定し、それぞれのサンプル添加によるラードの
過酸化物価上昇抑制率を抗酸化力指数とした。
【0073】すなわち、抗酸化力指数をAOIとする
と、次式で与えられる。 AOI=(ΔPOV0 −ΔPOV1 )×100/ ΔPO
0
【0074】(試験法7) <野菜のトレハロース溶液置換率の決定法−A法>野菜
の組織内水分のトレハロース溶液による置換率について
は、以下のようにして決定した。まず所定形状を有する
切断後生野菜100gを秤取し、その重量Woを精秤
し、105℃で16時間減圧乾燥(−0・1MPa )して
絶乾し、絶乾重量Wdを精秤し、WoとWdから野菜の
水分率h、野菜の固形分率sを求める。 [h=(Wo−Wd)/Wo、s=Wd/Wo]
【0075】次に各トレハロース溶液置換区において、
置換前の野菜重量Woおよび野菜重量の5倍量のトレハ
ロース溶液(濃度Cx)中に温度Txで時間tx浸漬し
た後の重量Wt(Cx)[=f(Cx,Tx,t
x)]、さらにこれらの各試料を105℃で16時間減
圧乾燥(−0・1MPa )して絶乾し、それぞれの絶乾重
量Wod,Wtd(Cx)を精秤する。トレハロース溶
液(濃度Cx)の代わりに蒸留水を用いて同様な条件で
処理した対象試料を作成し、その浸漬後重量Wt(Cx
=0)、絶乾重量Wtd(Cx=0)を求めた。
【0076】野菜総重量は、固形分(S)と水分(H)
とトレハロース分(Th)から構成されて入るゆえに、
生野菜(O)、浸漬前野菜(B)(=生野菜)、浸漬後
野菜(A)、乾燥後野菜(D)の重量について、以下の
式が成り立つ。
【0077】生野菜(O): W(O)=Wo=So(O)+Ho(O) h=(WoWd)/Wo、s=WdWo So(O)=Wo×s=Wo×(1−w) Ho(O)=Wo×w s+w=1,s=1−w 浸漬前野菜(B)(=生野菜): W(B)=W(O)=Wo=So(B)+Ho(B) So(B)=So(O)=Wo×s=Wo×(1−w) Ho(B)=Ho(O)=Wo×w s+w=1,s=1−w 浸漬後野菜(A): W(A)=S(A)+H(A)+Th(A)Wt(Cx=X) =Sx(A)+Hx(A)+Th
(A)Wt(Cx=0) =So(A)+Ho(A) 乾燥後野菜(D): W(D)=S(D) +Th(D)Wtd(Cx=X) =Sx(D) +Th(D)Wtd(Cx=0) =So(D) Th(D)=Th(A) Sx(A)=Sx(D) So(A)=So(D)
【0078】経験的にHo(B)≒Ho(A)が成り立
つので、上式の未知数は、下線を引いた測定可能量から
すべて計算することができる。かくして浸漬後野菜中に
含まれるトレハロース重量Th(A)を求めることがで
きる。(同時に、この値は乾燥後野菜中のトレハロース
重量Th(D)に等しい。)このTh(A)は、濃度C
x(重量%)のトレハロース水溶液Ngに由来するもの
であり、置換前野菜中の水分重量Ho(B)(=Ho
(O)=Wo×w)の一部がトレハロース水溶液Ngに
置換されたと考えて置換率Rを算出することができる。
【0079】R=N/Ho(B) =N/(Wo×w) =100×100×Th(D)/(Wo×w×Cx) ここに、wは生野菜の水分率であり、野菜固有の数値で
ある。Cxは置換に使用したトレハロース水溶液の濃度
であり、測定可能量である。したがって、Th(D)の
値から置換率R(%)を決定することができる。
【0080】(試験法8) <野菜のトレハロース溶液置換率の決定法−B法>(試
験法7)と同様な式を用い、Th(D)の決定を(試験
法5)に示した液体クロマトグラフィ分析法を用いて行
なうことによって、迅速かつ容易に置換率Rを求めるこ
とができる。
【0081】(実験1) <トレハロース溶液置換野菜の製造>人参及び大根葉を
用いて、表1 に示す各種条件で、トレハロース溶液の濃
度、温度および浸漬時間を変え、各種のトレハロース溶
液置換野菜を作成し、野菜シート原料として実施例、比
較例に用いた。
【0082】人参は、市販の5寸人参(一本の重量約1
50g)を良く水洗し、へたと先細根部を切り落とした
後、家庭用スライサーを用いてへたの方から厚み約0.
5mmにスライスした。得られた輪切人参を表1に示す
各種条件下で人参重量の5倍量のトレハロース溶液に所
定温度で所定時間浸漬し、人参の組織内含有水分をトレ
ハロース溶液で置換した後、目開き3mmのステンレス金
網ザルに移し、10分間液切りをしてから、吸収性の良
いペーパータオルの上で転動させて表面付着液を除去
し、トレハロース溶液置換野菜とした。必要に応じこれ
を蒸篭に移し、強熱蒸気で約5分間蒸煮し、トレハロー
ス溶液置換野菜(蒸煮後)とした。これらのトレハロー
ス溶液置換野菜原料は、以降の実施例・比較例で適宜使
用に供した。
【0083】大根の葉については、根に近い部分を切り
落とした大根の葉および茎を十分水洗した後、1cmごと
に切断し、得られた大根葉切断体を、人参の場合と同様
に、表1に示す各条件表に従い、大根葉重量の5倍量の
トレハロース溶液に所定温度で所定時間浸漬し、大根葉
組織内水分をトレハロース溶液で置換した後、目開き3
mmのステンレス金網ザルに移し、10分間液切りをして
から、吸収性の良いペーパータオルの上で転動させて表
面付着液を除去し、トレハロース溶液置換野菜とした。
必要に応じこれを蒸篭に移し、強熱蒸気で約3分間蒸煮
し、トレハロース溶液置換野菜(蒸煮後)とした。これ
らのトレハロース溶液置換野菜原料は、以降の実施例・
比較例で適宜使用に供した。
【0084】野菜の組織内水分のトレハロース溶液によ
る置換率については(試験法7)により測定した。
【0085】
【表1】
【0086】
【実施例1】実験1で得られたトレハロース置換人参
(原料番号C3、C4、C6)を用いて、それぞれに対
して2重量%相当の食塩及び0.1 重量%相当のビール酵
母エキスを添加し、バーチカルカッターミキサー(R-10
D 型、エフ・エム・アイ株式会社製)を用いて5 分間破
砕した。得られたスラリーを家庭用クッキングシート
(ライオン販売、リードホット・クッキングシート)上
に薄膜状に塗布展延により均一に成形し、温度60℃、相
対湿度30%の恒温恒湿器(株式会社東洋製作所、AE-21
5)にて2時間乾燥した後、更に送風乾燥機(ユニマッ
ク製、冷風乾燥機「 ミニカン」 )の中で40℃、水分含量
8%になるまで乾燥し、表2に示した通り、トレハロー
ス置換人参原料から厚み0. 2mmの3種類の人参シー
トを得た。
【0087】実験1で、トレハロース溶液置換処理を施
していない人参(原料番号C0)を用いて、それに上記
と同様に人参原料に対して2重量%の食塩および0. 1
重量%の酵母エキスを加えた後、破砕し、得られたスラ
リーから上記同様の工程を経て、厚み0.2 mmのトレハ
ロースを含まない人参シートをも得て、比較品1とし
た。
【0088】また、比較品1と同じくトレハロース溶液
置換処理を施していない人参(原料番号C0)を用い
て、それに人参原料に対して2重量%の食塩および0.
1重量%の酵母エキスを加えた後、更に5重量%のトレ
ハロ−ス2含水結晶を添加し、上記と同じ工程を経てト
レハロース粉末混合の人参からも同じく厚み0.2 mmの
シートを得て、 比較品2とした。
【0089】作成した各種人参シートについてはその色
彩及びカロチン含量をシート間で比較した。シートの色
彩については6段階評価を行い、生と同等の色調のもの
を4点とし、乾燥により鮮やかになった場合5点、退色
又は褐変などで色調が劣化した場合に減点し、完全に退
色した場合、0点とした。
【0090】カロチン含量について生人参100g当た
りのそれぞれのシートにおける総カロチン量を栄養表示
基準(平成8年5月厚生省告示第146 号)における栄養
成分等の分析方法に準じて定量分析した。
【0091】その結果、表2に示すように、本発明品は
トレハロースを含まない人参シート(比較品1)やトレ
ハロース混合破砕からなる人参シート(比較品2)に比
べて色彩がより鮮やかであると共に、非常に高い量の総
カロチンがシートに残り、栄養保持効果に優れていた。
また、トレハロース溶液による置換度が高いほど、より
よい栄養保持効果が得られた。
【0092】
【表2】
【0093】
【実施例2】実験1で得られた各種のトレハロース溶液
置換大根葉(R1、R3、R5、R6、R8、R9、R
10)を用いて、それぞれ100gに対して食塩2重量
%、グルタミン酸ナトリウム0.2重量%、ビール酵母
エキス0.1重量%の割合で添加し、実施例1と同様の
工程を経て、トレハロース含有量の異なる各種大根葉シ
ートを得た。
【0094】次に原料番号R0の大根葉を用いて、同じ
く原料重量に対して食塩2重量%、グルタミン酸ナトリ
ウム0.2重量%、ビール酵母エキス0.1重量%の割
合で添加し、実施例1と同様の工程を経て、トレハロー
スを含まない大根葉シートと、食塩、グルタミン酸ナト
リウム、酵母エキスの他に、更にR0原料に対して1重
量%または10重量%のアルファ澱粉(光洋商会株式会
社)を添加してなる2種類の澱粉添加大根葉シートをも
作成し、トレハロース置換野菜シートとの比較品とし
た。
【0095】上記の通り、得られた各種の大根葉シート
について、のり巻き用としてそれぞれの味および食感の
適性を比較検討した。
【0096】味については、大根葉本来の味とトレハロ
ースの甘味が適度に調和して苦味も甘味も無く然も旨み
がよく引き出され、最も美味しく感じられる場合3点、
旨みが感じられるが、大根葉由来の苦味またはトレハロ
ースの甘味のどちらかが感じられる場合2点、旨みがや
や感じられにくく、大根葉由来の苦味またはトレハロー
スの甘味のどちらかが強く感じられる場合1点、大根葉
由来の苦味またはトレハロースの甘味のどちらかが強す
ぎて、旨みが殆ど感じられない場合0点、という4段階
評価基準に基づき、10人のパネラーに試食させ、各パ
ネラーの主観判断によりそれぞれのシートに点数を付
け、10人のパネラーの合計点数を用いて評価した。
【0097】食感について口腔内における咀嚼時の崩壊
感を表す指標としての水中崩壊時間を前記の試験方法に
て調べ、このデータに基づいて評価した。
【0098】その結果、表3に示す通り、トレハロース
溶液置換大根葉からなる野菜シートはシート中のトレハ
ロースの含有量増加につれて、水中の崩壊時間が短くな
り、口溶けが速くなることが判明した。しかし、トレハ
ロース含量76.4%( N0. 9) および83.7%( N0. 1
0) のシートは崩壊が早すぎて、のり巻き用途に使うと
食べる前に崩壊が始まる傾向となる。これに加えて、味
的にも甘味が強過ぎてのり巻き用に不適当であった。ま
た、トレハロース含量4.3 %のシート( No.1) はト
レハロース含量が低すぎて、トレハロースによる口溶け
改善効果が不十分であった。この場合、大根葉由来の苦
味が強く、味的にも好ましくなかったので、のり巻き用
には採用できなかった。
【0099】原料番号R6の大根葉を用いたシートは4
1. 6%のトレハロースを含有し、水中崩壊時間10
分、高級海苔(水中崩壊時間8分)と最も近い食感であ
った。このシートは大根葉由来の苦味とトレハロースの
甘味と見事に調和し、甘くも苦くもなく、味的に一番優
れていた。
【0100】一方、トレハロース溶液置換処理を施して
いないシート( No. 8) や澱粉を添加した大根葉シー
トは水中崩壊時間が長く、口腔内における咀嚼時の崩壊
感が得られず、特に澱粉添加シートが口の中でネバネバ
していて食感不良となり、本発明のトレハロース溶液置
換野菜シートとは明白な差が確認された。
【0101】
【表3】
【0102】
【実施例3】実験1で得られたトレハロース溶液置換人
参C6を用いて、実施例1と同じように、食塩及びビー
ル酵母エキスを添加し、バーチカルカッターミキサー
(R-10D 型、エフ・エム・アイ株式会社製)で破砕した
後、更に人参原料10重量%相当量のミカンパルプを混
合し、得られたスラリーを厚みの異なる薄膜状に成型
し、以下、実施例1と同様の工程を経て、各種厚みのト
レハロース溶液置換人参シートを得た。厚みの異なる人
参シートに対して、のり巻き用としての適性について検
討したところ、表4に示すように、厚み0.2 mmから0.
4 mmのトレハロース人参シートはのり巻き用に最も適
しているが、0.05mmの厚みになると、強度が足らず、
非常に破れやすく、破れずにおにぎりなどを包み巻くこ
とが出来なかった。また、厚み0.7 mm若しくは0.8 m
mになると、厚すぎて可撓性が失われてのり巻き用途に
は適合しなかった。
【0103】
【表4】
【0104】
【実施例4】実験1で得られたトレハロース溶液置換大
根葉原料R3とR6を用いて、実施例1と同じ割合の食
塩及びビール酵母エキスを添加し、バーチカルカッター
ミキサー(R-10D 型、エフ・エム・アイ株式会社製)を
用いて破砕し、破砕時間を変え、破砕時間の異なるスラ
リーから、実施例1と同様の工程を経て、厚み0. 1―
0. 6mmの範囲内で引張り強度の異なる各種トレハロ
ース溶液置換野菜シートを得た(表5)。これらの大根
葉シートに対して、のり巻き用としての適性と食感を比
較検討したところ、表5に示すように、引張り強度1
7. 5- 28. 5kg/ cm2の大根葉シートは強度的
にも食感的にものり巻き用に最も適しているが、引張り
強度が55.3及び63.4kg/cm 2となるとおにぎり
を包み巻けるが、摂食の際、筋っぽく噛み砕けず、食べ
難く食感不良となった。また、引張り強度4.2kg/
cm2のシートは強度が足らず、包み巻く時、折れてし
まうので、のり巻き用途には適しなかった。
【0105】
【表5】
【0106】
【実施例5】実験1で得られたトレハロース溶液置換人
参原料C6及び大根葉原料R2を用いて、其々の重量に
対して、2重量%の食塩を添加した後、0.0 ―0.4 重量
%のキサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ株式会
社)を添加し、実施例1と同じように、バーチカルカッ
ターミキサー(R-10D 型、エフ・エム・アイ株式会社
製)で破砕し、成型・乾燥等の工程を経て、キサンタン
ガム添加量の違いから各種破断力のトレハロース溶液置
換野菜シート(表6)を得た。得られた各種シートに対
して、其々のり巻き用としての適性と食感を比較検討し
たところ、表6に示すように、破断力が0.8及び1.
6kg/ 2cmの野菜シートはパリッとした高級海苔状
の食感を有し、のり巻き用として最も適しているが、破
断力が5.9kg/ 2cmの人参シートは、硬すぎて歯切
れが悪く食感不良となった。また、破断力が0. 4kg
/ 2cmになるとそのシートはおにぎりなどを包み巻く
時、強度が足りず割れてしまうので、のり巻き用途には
適しなかった。
【0107】
【表6】
【0108】
【実施例6】水洗した大根葉、人参、ほうれん草、高
菜、春菊を水切り後、約1cm の長さに切断し、5倍量の
10重量%トレハロース水溶液(100℃)に入れ、野
菜の種類に応じて、1−5分間野菜含有水分をトレハロ
ース溶液で置換した。トレハロース溶液置換後の野菜に
対し、2重量%相当の食塩、0.4重量%のキサンタン
ガム、0.1重量%のビール酵母エキスを添加し、バー
チカルカッターミキサー(R-10D 型、エフ・エム・アイ
株式会社製)で破砕し、混練した。
【0109】得られたペースト状物をトレハロース3重
量%、食塩2重量%、グルタミン酸ナトリウム0.2重
量%の水溶液に分散させ、海苔を漉くと同様にして、簾
上に薄板膜状に成型し、50℃の温風で乾燥し、其々の
野菜シートを得た(表7)。これらの野菜シートは、各
素材固有の風味を有しながら、野菜のえぐみや青臭さが
なく、高級海苔の食感をもつよいものであった。
【0110】
【表7】
【0111】
【実施例7】市販の長崎人参1200gを厚み0.5m
mにスライスし、10重量%のトレハロース水溶液5リ
ットル中、100℃で4分間人参含有水分と置換した。
置換後の人参スライスにトレハロース120g 、唐辛子
乾燥粉末10g、食塩15g を添加混合してからミキサーで
破砕した。
【0112】得られたスラリーを2枚のクッキングシー
ト(ライオン販売、リードホット・クッキングシート)
の間に挟み、ゲージ付ローラーを通して、厚さ0.5m
mの薄板膜状に均一に成型し、60℃の温風で水分含量
約1 3%になるまで乾燥し、厚み0.2mmの人参シー
ト260gを得た。
【0113】
【比較例】上記と同じ配合でトレハロースの代わりに乳
糖、砂糖を用いた場合および糖質無添加の場合につい
て、それぞれ厚さ0.2mmの人参シートを作り、乳糖
人参シート257g 、砂糖人参シート268g及び糖質
無添加人参シート141gを得た。
【0114】各シートの出来上がりの色彩、風味、食感
について4段階評価し、最も優れた色彩または風味を1
とし、最も高級海苔に近い食感を1として、その逆の最
も劣っている場合を4として、10人のパネラーに其々
順位をつけて貰い、その平均順位で総合評価した(表
8)。その結果、トレハロースを用いた本発明品は、人
参に一番近い色彩や優れた風味を有しながら、食感も風
合いも海苔に一番近いと評価され、他の糖質に較べ明ら
かに優れていた。
【0115】
【表8】
【0116】
【実施例8】実施例7に記載の各種野菜シートにおける
総カロチン含量および製造日の翌日から120日間25
℃で遮光保存後の総カロチン含量の経時変化量を栄養表
示基準(平成8年5月厚生省告示第1 46号)における
栄養成分等の分析方法に準じて測定し、各種野菜シート
間における比較検討をしたところ、表3 に示すように2
5℃下120日間保存した場合、糖質無添加の人参シー
トのカロチン残存量は殆どゼロに近く、続いて、乳糖人
参シート8.1%、砂糖人参シート24.7%の低い残
存量に対して、本発明品は43.6%の高い残存率を示
し、保存期間中のカロチン安定性に優れていた。
【0117】また、本発明品は保存開始時のカロチン含
量が乳糖及び砂糖の場合より高いことから、シート状食
品の製造加工過程においてもカロチンの安定化効果が優
れていた。
【0118】
【表9】
【0119】
【実施例9】実施例8に記載の各種人参シート及び実施
例6に記載の大根葉、ほうれん草、高菜、菊菜シートを
アルミ包装袋に入れ、製造後翌日から25℃下120日
間遮光保存し、保存終了時における各シートの脂質抗酸
化力を前記の抗酸化力評価試験法により調べた。表10
に示す通り、25℃下120日間保存した場合、糖質無
添加或いは乳糖又は砂糖を用いた野菜シートはラードに
対して全く抗酸化力を示さないか或いはわずかに1 1以
下の低い抗酸化力指数に対して本発明のトレハロース含
有野菜シートは32以上の高い脂質抗酸化力指数を示
し、野菜の抗酸化機能の持続性に優れていた。
【0120】
【表10】
【0121】
【実施例10】水洗した菊菜(2000g)を5cmの長
さに切断し、菊菜含有の水分をトレハロース10重量%
の水溶液にて100℃、2分間置換した。トレハロース
溶液置換後の菊菜を0.5cm に刻み、トレハロース2含水
結晶(300g)、昆布粉末(50g)、塩( 15g)
及び醤油(8g)を加え、スイス製クッキングミキサー
(バーミックス133 型)を用いて3 分間高速回転で破砕
し、得られたスラリーをクッキングシート(ライオン販
売、リードホット・クッキングシート)に挟み、厚み
1.0mmの板状に均一に成型し、60℃の温風で2時
間乾燥した後、上記のシートを外し、シート状の内容物
を目開き5mm の網上に移し、送風乾燥機40℃、RH1
0%の条件下でさらに4時間乾燥し、厚み0.5mmの菊菜
シート (重量679 g、水分含量17.8%、トレハロー
ス含量52%) を得た。この菊菜シートは菊菜の風味を
有し、中心部がしなやかでありながら外側がパリパリ食
感を持つ歯ざわりや噛み応えに優れたテクスチャのもの
で、のり巻き用に勿論のこと、スナック用にも十分適す
るものであった。
【0122】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、野菜本来の成分を損なわず、機能保存性と食
感に優れ、のり巻き用の海苔の代用品としても使用でき
る新規な野菜シートが実現できる。この野菜シートは、
薄肉のシート状であるから、重ね合わせてコンパクトに
収納することができ、必要に応じて任意の量を取り出し
て使用することができる。なお、以上の説明ではのり巻
き用の海苔の代りに使用する例について詳述したが、こ
の野菜シートを他の料理の材料としてに使用したり、そ
のまま食用に供したりすることができることは言うまで
もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 破断力測定方法の説明図である。
【符号の説明】
1 野菜シート 2 金属製台

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 野菜成分とトレハロースを含有するシー
    ト状成形体からなり、前記トレハロースの含有量が5〜
    70重量%である野菜シート。
  2. 【請求項2】 野菜成分が、葉菜類、葉茎菜類、果菜
    類、花菜類、根菜類、芋類、豆類、山菜野草類、茸類、
    等の一種または2種以上から得られる成分である特許請
    求項1に記載の野菜シート。
  3. 【請求項3】 厚みが0.1 〜0.6mmである請求項1また
    は2に記載の野菜シート。
  4. 【請求項4】 引張り強度が5〜50Kg/cm2 であ
    る請求項1、2または3記載の野菜シート。
  5. 【請求項5】 破断力が0.5〜5kg/cm2 である
    請求項1ないし4のいずれかに記載の野菜シート。
  6. 【請求項6】 水中崩壊時間が3〜60分である請求項
    1ないし5のいずれかに記載の野菜シート。
  7. 【請求項7】 所定形態を有する野菜とトレハロース溶
    液とを接触させて、野菜組織内へトレハロース溶液を浸
    透定着させる工程と、得られるトレハロース溶液置換野
    菜を破砕して得られるスラリーとする工程と、得られた
    スラリーを薄膜状に成形して乾燥する工程とを経て所定
    厚みのシート状成形体を得ることを特徴とする野菜シー
    トの製造方法。
  8. 【請求項8】 上記トレハロース溶液置換野菜は、野菜
    の組織内水分の10%以上、好ましくは50%以上がト
    レハロース溶液で置換されている請求項7に記載の野菜
    シートの製造方法。
  9. 【請求項9】 野菜が、葉菜類、葉茎菜類、果菜類、花
    菜類、根菜類、芋類、豆類、山菜野草類、茸類、等の一
    種または2種以上である請求項7または8に記載の野菜
    シートの製造方法。
  10. 【請求項10】 スラリーを抄造法、流延法、ドクター
    ブレード法またはロールコート法のいずれかの方法によ
    り薄膜状に成形する請求項7ないし9のいずれかに記載
    の野菜シートの製造方法。
JP2000232161A 2000-07-31 2000-07-31 野菜シートおよびその製造方法 Pending JP2002045143A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000232161A JP2002045143A (ja) 2000-07-31 2000-07-31 野菜シートおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000232161A JP2002045143A (ja) 2000-07-31 2000-07-31 野菜シートおよびその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002045143A true JP2002045143A (ja) 2002-02-12

Family

ID=18724885

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000232161A Pending JP2002045143A (ja) 2000-07-31 2000-07-31 野菜シートおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002045143A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003116481A (ja) * 2001-10-18 2003-04-22 Hayashibara Biochem Lab Inc トレハロースを使用した梅肉シート
JP2015084762A (ja) * 2013-11-01 2015-05-07 日本森林再生化学機構株式会社 植物乾燥シート食品の製造方法
JP2018025312A (ja) * 2016-08-08 2018-02-15 和子 菅 粉末醤油又は粉末味噌の製造方法
JP7544509B2 (ja) 2020-05-18 2024-09-03 株式会社ニップン シート状食品及びその製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003116481A (ja) * 2001-10-18 2003-04-22 Hayashibara Biochem Lab Inc トレハロースを使用した梅肉シート
JP2015084762A (ja) * 2013-11-01 2015-05-07 日本森林再生化学機構株式会社 植物乾燥シート食品の製造方法
JP2018025312A (ja) * 2016-08-08 2018-02-15 和子 菅 粉末醤油又は粉末味噌の製造方法
JP7544509B2 (ja) 2020-05-18 2024-09-03 株式会社ニップン シート状食品及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6105709B2 (ja) 乾燥カット柑橘系果実及びその褐変防止方法
DE69924783T2 (de) Verfahren zum Kochen mit Trehalose
CA2685110A1 (en) Modified potato flakes or modified potato granules, process for preparing them and uses thereof
JP2022164816A (ja) 胡椒の実の加工物及びその製造方法
KR20170085724A (ko) 매생이김 부각의 제조방법
RU2208358C2 (ru) Способ производства голубцов из рыбы
JP2002045143A (ja) 野菜シートおよびその製造方法
RU2088117C1 (ru) Способ получения рыбоовощного продукта
JP3817602B2 (ja) ノンフライ乾燥食品及びこれを含む乾燥食品
KR20200097155A (ko) 일반 무화과, 미숙과 그리고 저가 무화과를 이용한 품질향상 건조 무화과 및 분말 제조방법
RU2090102C1 (ru) Способ производства рыбоовощного продукта
KR101838555B1 (ko) 무와 무청을 주재료로 하는 피클 및 이의 제조방법
Біленька et al. Technological aspects of production of the candied fruits from non-traditional raw material
KR100328013B1 (ko) 시트상 야채식품 및 그 제조방법
KR102667887B1 (ko) 유자 중과피 과자 제조방법
JP4527026B2 (ja) ポテトサラダ
KR102705307B1 (ko) 양파를 이용한 김 형태의 가공식품 제조방법
KR101389279B1 (ko) 송이버섯과 굴비가 함유된 고추장 장아찌 및 이의 제조방법
RU2810600C1 (ru) Способ получения сублимированных кнелей из минтая
Mustakin et al. Effect of Cavendish banana maturity level (Musa acuminata) and the concentration of Agar-Agar on elasticity and organoleptic quality of sliced jam products enriched with egg shell powder
JP3601932B2 (ja) 冷凍用青果物及びこれを含む冷凍食品
Vaidya et al. Development of value-added products from kiwifruit in India
KR100504325B1 (ko) 김치를 제조하는 방법
KR20010026537A (ko) 단무지 제조방법
Rajchasom et al. Study of pre-treatment and frying condition for seasoned deep fried shredded bamboo shoots (Thyrsostachys siamensis)