JP2002044794A - 音場処理装置および音場処理方法 - Google Patents

音場処理装置および音場処理方法

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JP2002044794A
JP2002044794A JP2000226075A JP2000226075A JP2002044794A JP 2002044794 A JP2002044794 A JP 2002044794A JP 2000226075 A JP2000226075 A JP 2000226075A JP 2000226075 A JP2000226075 A JP 2000226075A JP 2002044794 A JP2002044794 A JP 2002044794A
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和斉 竹村
Joji Kasai
讓治 笠井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 壁等の反射面が存在する場合もしくは聴取者
の位置が一方に片寄っている場合においても、聴取者が
良好に左右対称な音場を得ることができる音場処理装置
および音場処理方法を提供すること。 【解決手段】入力された第1の信号もしくは第2の信号
から模擬反射信号を生成する音場補正手段と、第1の信
号に模擬反射信号を混合する第1の混合手段と、第2の
信号に模擬反射信号を混合する第2の混合手段とを備え
る音場処理装置が提供される。この音響処理装置は、第
1の信号もしくは第2の信号のうちいずれか一方から模
擬反射信号を生成し、模擬反射信号と模擬反射信号を生
成した第1の信号もしくは第2の信号とを混合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、反射面による反射
音から生じる音場の左右非対称性を解消する音場処理装
置ならびに音場処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ステレオ再生を行う音響再生
装置においては、音源としてL(左)/R(右)の2個の
スピーカが用いられる。また、多チャンネル信号を複数
のスピーカにより再生するサラウンド再生が用いられて
いる。最近では、これらの多チャンネル信号によるサラ
ウンド再生を、仮想音像定位(バーチャルサラウンド)
技術を用いてL/R2個のスピ−カのみで再生する方法
が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
音響再生装置においては、左右対称の音場を理想とし、
壁あるいは窓ガラス等の音響的な反射面が存在しないこ
とが、良好な音場(すなわち、音響再生信号に意図され
た定位感が得られる音場)の条件となっている。図8
は、従来の音響再生装置に、音源としてL/Rの2個の
スピーカを使用した構成を示す図である。音響再生装置
101および聴取者124の左側に壁125が存在する
場合を考える。Rスピーカ123から再生された音Vr
4は、概略、直接聴取者124に到達するのみである。
一方、Lスピーカ122から再生された音は、直接聴取
者124に到達する音Vl4だけではなく、壁125に
反射して聴取者124に到達する反射音Vl5が存在す
る。したがって、図8において、聴取者124は、左右
対称な音場を得ることはできない。
【0004】また、聴取者が左右対称で良好な音場を得
るための別の条件として、LスピーカおよびRスピーカ
から聴取者までの距離が等しいことがある。図9は、従
来の音響再生装置において、聴取者124がLスピーカ
122側に片寄った位置にいる状態を示す図である。こ
の状態では、聴取者からLスピーカまでの距離が、聴取
者からRスピーカ123までの距離より短くなる。した
がって、Lスピーカから再生された音Vl6は、Rスピ
ーカから再生された音Vr6より、タイミングが早くか
つ音圧が大きい状態で聴取者に到達する。したがって、
図9においても、聴取者124は左右対称な音場を得る
ことはできない。
【0005】このような反射面の存在もしくは聴取者の
位置の片寄りにより、ステレオ再生においてはステレオ
定位が悪化し、バーチャルサラウンドにおいては仮想音
像定位が悪化するなどのために、音響再生信号に意図さ
れた定位感を聴取者が得られない等の問題がある。
【0006】これらの問題を解決するために、実開平1
−153799号公報に、反射面による反射音とレベ
ル、遅延時間および周波数が等しくかつ極性が反転され
た逆相の音を生成し、反射音を打ち消すことにより、左
右対称音場を得る技術が提案されている。しかし、この
ような構成においては、逆相の音と反射音との到達時間
に少しでもずれが生じると、反射音を完全には打ち消す
ことができない。したがって、打ち消されずに残った、
反射音と逆相の音との影響により、聴取者には逆相感の
ある音場が生じるという問題がある。
【0007】本発明は上記従来の課題を解決するために
なされたものであり、その目的とするところは、壁等の
反射面が存在する場合もしくは聴取者の位置が一方に片
寄っている場合においても、聴取者が良好に左右対称な
音場を得ることができる音場処理装置および音場処理方
法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による音場処理装
置は、入力された第1の信号もしくは第2の信号から模
擬反射信号を生成する音場補正手段と、該第1の信号に
該模擬反射信号を混合する第1の混合手段と、該第2の
信号に該模擬反射信号を混合する第2の混合手段とを備
え、該第1の信号もしくは該第2の信号のうちいずれか
一方から模擬反射信号を生成し、該模擬反射信号と該模
擬反射信号を生成した第1の信号もしくは第2の信号と
を混合する。
【0009】好ましい実施形態においては、上記音場補
正手段は、上記第1の信号もしくは上記第2の信号より
再生された音が反射する反射面に基づく周波数特性を有
するフィルタ手段と、該反射面に基づく遅延を有する遅
延手段と、該反射面に基づいて音圧減衰させる係数乗算
手段とを有する。
【0010】好ましい実施形態においては、上記第1の
信号もしくは上記第2の信号のうち、上記模擬反射信号
を生成および混合する信号を選択する信号選択手段をさ
らに備える。
【0011】好ましい実施形態においては、上記信号選
択手段は、上記第1の信号を乗算する第1の乗算器と、
上記第2の信号を乗算する第2の乗算器と、上記模擬反
射信号を乗算し上記第1の混合手段に出力する第3の乗
算器と、上記模擬反射信号を乗算し上記第2の混合手段
に出力する第4の乗算器と、該第1の乗算器および該第
2の乗算器の出力を加算する加算器とを有する。
【0012】好ましい実施形態においては、上記第1の
信号を乗算し上記第1の混合手段に出力する第5の乗算
器、および上記第2の信号を乗算し上記第2の混合手段
に出力する第6の乗算器をさらに備える。
【0013】本発明の別の局面によれば音場処理方法が
提供される。この方法は、第1の信号もしくは第2の信
号のうちいずれか一方から模擬反射信号を生成する工程
と、該模擬反射信号と該模擬反射信号を生成した第1の
信号もしくは第2の信号とを混合する工程とを含む。
【0014】好ましい実施形態においては、上記第1の
信号より再生された音が反射面に反射する場合、上記第
2の信号から上記模擬反射信号を該反射面に対応した周
波数特性、遅延、および音圧減衰に基づいて生成し、該
模擬反射信号を該第2の信号に混合する。
【0015】好ましい実施形態においては、上記第2の
信号より再生された音が反射面に反射する場合、上記第
1の信号から上記模擬反射信号を該反射面に対応した周
波数特性、遅延、および音圧減衰に基づいて生成し、該
模擬反射信号を該第1の信号に混合する。
【0016】以下、本発明による音場処理装置の作用に
ついて説明する。本発明による音場処理装置は、音場補
正手段、第1および第2の混合手段を備えている。左右
のスピーカのうち、一方のスピーカの側に反射面が存在
すると、その一方のスピーカからの音について比較的大
きな一次反射音が発生する。また、他方のスピーカから
の音には前記反射面による反射音はきわめて小さく無視
することができる。そのため、たとえ、聴取者が左右ス
ピーカの中心軸上に位置していたとしても、左右対称な
音場が得られない。そこで、音場補正手段により、反射
音が無視し得る方の信号について、反射面による特性と
概略等しい特性(遅延、周波数、および音圧減衰)に基
づいて生成された模擬反射信号を生成し、混合して出力
する。したがって、本発明による音場処理装置によれ
ば、一方のスピーカの側に反射面が存在する場合でも、
聴取者は両側から反射音が到来するように感じられ、左
右対称な音場を得ることができる。さらに、本発明によ
る音場処理装置は、反射音を逆相の音を用いて打ち消す
のではなく、反射音と概略等しい模擬反射音により聴取
者の両側から反射音を与えているので、反射音と模擬反
射音との到達時間にずれが存在する場合にも、聴取者は
逆相感を感じることはない。本発明の音場処理装置を用
いれば、回路規模の小さい極めて簡単な構成により、ス
テレオ再生においてはステレオ定位が良好になり、バー
チャルサラウンドにおいては仮想音像定位を良好に行
え、よって、音響再生信号に意図された定位感を得るこ
とができる。
【0017】好ましい実施形態においては、音場処理装
置は信号選択手段を備えているので、模擬反射音を生成
し混合する信号を選択することができる。したがって、
模擬反射音を生成する音場補正手段を共通化でき、回路
規模をさらに簡易にすることができる。
【0018】好ましい実施形態においては、信号選択手
段は、第1〜第4の乗算器、および加算器を有している
ので、第1〜第4の乗算器の係数を切換えることによ
り、きわめて容易に信号を選択することができる。
【0019】好ましい実施形態においては、音場処理装
置は、第5および第6の乗算器を有しているので、第1
もしくは第2の信号のいずれかを遅延および乗算して出
力できる。または、第1もしくは第2の信号のいずれか
に模擬反射信号を混合して出力できる。したがって、反
射面が存在する場合だけでなく、聴取者がL/Rスピー
カに対して片寄って位置している場合にも、左右対称な
音場を得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
について、図1〜図7を参照し具体的に説明するが、本
発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0021】図1は、本発明の好ましい実施形態による
音場処理装置を示す概略図である。本発明の音場処理装
置1は、第1の入力端子2、第2の入力端子3、音場補
正手段4、第1の混合手段5、第2の混合手段6、第1
の出力端子7、および第2の出力端子8を備えている。
【0022】第1の入力端子2には第1の信号が、第2
の入力端子3には第2の信号が入力される。例えば、第
1の信号は左スピーカへ出力される左信号、第2の信号
は右スピーカへ出力される右信号である。
【0023】第1の信号が、第1の入力端子2から音場
補正手段4に入力される。もしくは、第2の信号が、第
2の入力端子3から音場補正手段4に入力される。音場
補正手段4は、第1の信号もしくは第2の信号から模擬
反射信号を生成する。模擬反射信号は、一方のスピーカ
からの音が反射する反射面の特性と、概略等しい特性
(周波数、遅延、音圧減衰)に基づいて模擬的に生成さ
れた音である。第1の信号から生成された模擬反射信号
は、第1の混合手段5に出力される。もしくは第2の信
号から生成された模擬反射信号は、第2の混合手段6に
出力される。
【0024】音場補正手段4は、フィルタ手段9、遅延
手段10、および係数乗算手段11を有している。フィ
ルタ手段9は、反射面に基づく周波数特性を有してお
り、入力された信号の所定の周波数帯域を減衰させる。
反射面に基づく周波数特性とは、反射音と直接到来する
音との周波数特性の変化分であり、反射面の吸音率α等
に依存する。フィルタ手段9は、例えば、IIR(無限
インパルス応答)フィルタ、FIR(有限インパルス応
答)フィルタ等が採用され得る。好ましくは、回路規模
を簡易にできるという理由で、IIRフィルタが採用さ
れ得る。図2は、フィルタ手段9の実施例(IIRフィ
ルタ)を示す概略図である。フィルタ手段9は、例え
ば、入力された信号を1サンプリング遅延する遅延器9
a〜9d、係数乗算器9e〜9j、および加算器9kを
有している。遅延手段10は、反射面に基づく遅延を有
している。ここで、反射面に基づく遅延とは、反射面に
よる反射音が直接到来する音に対して遅延する時間差で
ある。遅延手段10は、例えば、1〜64サンプリング
のものが採用され得る。係数乗算手段11は、反射面に
基づいて音圧減衰されるよう、入力された信号に係数を
乗算する。ここで、反射面に基づいた音圧減衰とは、反
射面による反射音と直接到来する音との音圧の比であ
り、壁の吸音率α(反射率1−α)、伝搬距離(距離の
2乗に反比例)、および壁の向きに依存する。
【0025】第1の混合手段5は、第1の信号および模
擬反射信号が入力される。第1の混合手段5は、代表的
には、加算器が採用され得る。第1の混合手段5は、第
1の信号に模擬反射信号を混合し、混合した信号を第1
の出力端子7へ出力する。第1の信号に模擬反射信号を
混合しない場合には、第1の信号をそのまま第1の出力
端子7に出力する。第2の混合手段6についても同様
に、入力された第2の信号および模擬反射信号を混合
し、混合した信号を第2の出力端子8に出力する。
【0026】音場処理装置1は、信号選択手段12をさ
らに備えている。信号選択手段12は、第1または第2
の信号のうち、模擬反射信号が混合されて出力される信
号を選択する。好ましくは、信号選択手段12は、第1
の信号を1または0倍する第1の乗算器13、第2の信
号を1または0倍する第2の乗算器14、模擬反射信号
を1または0倍し第1の混合手段5に出力する第3の乗
算器15、模擬反射信号を1または0倍し第2の混合手
段6に出力する第4の乗算器16、および第1、第2の
乗算器の出力を加算する加算器17を有している。この
ような信号選択手段12によれば、第1〜第4の乗算器
の係数を1または0に切換えるのみで、きわめて容易に
信号を選択できる。すなわち、第1の信号を選択し模擬
反射信号を混合する場合は、第1の乗算器13および第
3の乗算器15の係数を1とし、第2の乗算器14およ
び第4の乗算器16の係数を0とする。こうすることに
より、第1の信号が音場補正手段4により処理され模擬
反射信号が生成され、第1の混合手段により模擬反射信
号が混合され出力されることになる。
【0027】同様に、第2の信号を選択し模擬反射信号
を混合する場合は、第2および第4の乗算器の係数を1
とし、第1および第3の乗算器の係数を0とする。こう
して、第2の信号が音場補正手段4により処理され模擬
反射信号が生成され、第2混合手段6で模擬反射信号が
混合され出力される。
【0028】音場処理装置1は、代表的には、DSP
(Digital Signal Processo
r)を用いて、構成されている。従って、音場処理装置
1への入出力信号がアナログ信号である場合には、入力
側にA/D変換器、出力側にD/A変換器を接続して用
いられる。
【0029】好ましくは、第1の入力端子2に乗算器1
8が、第1の出力端子7に乗算器19が接続されてい
る。乗算器18で信号のレベルを低下させ(例えば、1
/2にする)、乗算器19で信号のレベルを増加させる
ことにより、第1の混合手段5で第1の信号と模擬反射
信号とを混合する際のオーバーフローを防止することが
でき、また信号のレベル低下を回復させることができ
る。同様に、第2の入力端子3に乗算器20が、第2の
出力端子に乗算器21が接続されている。
【0030】次に、このような構成を有する音場処理装
置1に、音源としてスピーカを接続した際の動作につい
て説明する。図3は、スピーカを接続した音場処理装置
1の動作を説明する概略図である。
【0031】音場処理装置1は、第1の出力端子7にケ
ーブルを介してL(左)スピーカ22が、第2の出力端
子8にケーブルを介してR(右)スピーカ23が接続さ
れている。音場処理装置1の出力は、Rスピーカ22お
よびLスピーカ23から再生される。ここで、Lスピー
カおよびRスピーカから同距離に聴取者24が存在し、
聴取者24の左側に反射面である壁25が存在する場合
について考える。
【0032】聴取者24の左側に壁25が存在する場
合、Lスピーカ22から第1の信号が再生される音は、
直接、音Vl1として聴取者24に到達すると共に、壁
25により反射されて反射音Vl2として聴取者24に
到達する。つまり、聴取者24には、仮想スピーカ26
が存在するように感じられる。図4(a)は、音Vl1
および反射音Vl2を測定したインパルス応答特性であ
る。但し、壁25とLスピ−カとの距離aが0.4m、
聴取者から両スピーカまでの距離bが1.5m、サンプ
リング周波数48kHz、Vl1とVl2との遅延時間
は0.547msecである。図4(b)は、図4
(a)における周波数−音圧特性を示したグラフであ
る。
【0033】次に、Rスピーカ23から再生される音に
ついて説明する。Rスピーカ23から再生される音は、
音場処理装置1を使用しない場合、概略、第2の信号が
再生され直接聴取者に到達する音Vr1のみであるの
で、音場に左右非対称性が生じると考えられる。そこ
で、音場処理装置1において、第2の信号(右信号)か
ら模擬反射信号を生成し混合して出力する。模擬反射信
号は、Rスピーカから模擬反射音Vr2として再生され
る。図5(a)は、Rスピーカから再生される音Vr1
および模擬反射音Vr2をシミュレーションした結果で
ある。図5(b)は、図5(a)における周波数−音圧
特性を示すシミュレーション結果である。このように、
Rスピーカ23から再生される音についても、直接、音
Vr1として聴取者に到達すると共に、反射面の特性と
概略等しい特性(周波数、遅延、音圧減衰)に基づいて
生成された模擬反射音Vr2が聴取者に到達する。した
がって、音場処理装置1により、聴取者24はRスピー
カ23の右側にも壁27が存在するように感じられる。
つまり、聴取者には、仮想スピーカ28が存在するよう
に感じられる。
【0034】ここで、模擬反射音の生成について詳細に
説明する。模擬反射音Vr2は、図5(a)に示すよう
に、遅延手段10により、反射音Vl2の遅延時間と概
略等しい遅延時間が与えられる。ここで、聴取者から
L、Rスピーカまでの距離をb、聴取者から仮想スピー
カ26または28までの距離をcとする。すると、反射
音Vl2の音Vl1に対する遅延時間Tは、音速をVと
すると次式になる。
【数1】
【0035】したがって、左右対称の音場を生成するた
めに例えば、b=2m、c=2.34m、V=340m
/sの時、必要な遅延時間は約1msecとなる。した
がって、サンプリング周波数を48kHzとすると、4
8サンプリング遅延させることになる。また、Lスピー
カ22から壁までの距離aが大きくなれば、反射音Vl
2の遅延時間も大きくなるが、実際に聴取者に到達する
反射音は減衰され小さくなるので、設計上は、Lスピー
カと壁との距離aが例えば1m以内(遅延時間は例えば
3msec以内)の場合を考慮すればよい。
【0036】模擬反射音Vr2は図5(a)のようにV
r1に対する音圧減衰が、反射音Vl2のVl1に対す
る音圧減衰と概略等しくなるよう生成される。先述の通
り、係数乗算手段11は、吸音率、伝搬距離、および壁
の向きに応じて第2の信号を乗算する。
【0037】模擬反射音Vr2は、フィルタ手段9によ
り反射面に基づく周波数特性と概略等しい周波数特性が
与えられている。図5(b)に示すように、音Vr1お
よび模擬反射音Vr2の周波数−音圧特性に、図4
(b)と同様に、反射面による影響が付加されている。
【0038】以上のように、聴取者は、L、Rスピーカ
からの音Vl1およびVr1を受け取ると共に、Vl
1、Vr1からは遅れて反射音Vl2および模擬反射音
Vr2を受け取ることになる。したがって、音場処理装
置1はきわめて簡単な構成により、左側のみに反射面が
ある場合にも、音場を左右対称にすることができる。
【0039】次に、聴取者の右側に反射面が存在する場
合について説明する。この場合も同様に、Rスピーカか
ら再生される音は、直接、聴取者に到達すると共に、反
射面に反射して聴取者に到達する。一方、Lスピーカか
ら再生される音は、音場処理装置を使用しない場合に
は、概略、直接聴取者に到達する音のみである。そこ
で、信号選択手段12により左信号を選択し、模擬反射
信号を生成、左信号に混合し、Lスピーカに出力する。
したがって、Lスピーカから再生される音は、直接、聴
取者に到達すると共に、模擬反射音として聴取者に到達
する。
【0040】本実施形態においては、音場補正手段を第
1の信号と第2の信号とで共通としたが、第1の信号、
第2の信号に対してそれぞれ音場補正手段を用いてもよ
い。この場合には、信号選択手段は省略し、模擬反射信
号を混合する信号に対する音場補正手段のみを動作すれ
ばよい。
【0041】次に、本発明による別の実施形態について
説明する。本実施形態による音場処理装置は、聴取者の
一方の側に反射面が存在する場合だけでなく、L、Rス
ピーカから聴取者までの距離が異なる場合にも、左右対
称な音場を提供する。図6は、本実施形態による音場処
理装置51を示す図であり、図1の音場処理装置1と同
一部分には同一番号を付け説明は省略する。
【0042】音場処理装置51は、第5の乗算器52お
よび第6の乗算器53をさらに有している。第5の乗算
器52は、第1の信号を1または0倍して、第1の混合
手段5に出力する。第6の乗算器53は、第2の信号を
1または0倍して、第2の混合手段6に出力する。
【0043】このような構成の音場処理装置51に、音
源としてスピーカを接続した際の動作について説明す
る。図7は、スピーカを接続した音場処理装置51の動
作を説明する概略図である。ここで、聴取者24がLス
ピーカ22側に片寄っている(つまり、Lスピーカから
聴取者までの距離dが、Rスピーカから聴取者までの距
離eより短い)場合について説明する。
【0044】音場処理装置51を使用しない場合には、
聴取者に近いLスピーカ22からの音Vl3がRスピー
カからの音Vr3より、タイミングが早く、音圧が強く
聴取者に到達する。そこで、信号選択手段12は、第1
の信号(左信号)を選択する。すなわち、第1の乗算器
13、第3の乗算器15は係数が1、第2の乗算器1
4、第4の乗算器16は係数が0となる。さらに、第5
の乗算器52は係数が0、第6の乗算器53は係数が1
となる。
【0045】選択された第1の信号は、遅延手段10お
よび係数乗算手段11により、遅延および音圧減衰され
Lスピーカ22に出力される。なお、フィルタ手段9は
動作させず、信号をそのまま通過させる。一方、第2の
信号(右信号)は、そのままRスピーカ23へと出力さ
れる。このように、Lスピーカ22から再生される音V
l3は、遅延され音圧が減衰されているので、両スピー
カから聴取者までの距離が等しい場合と同様に、Vl
3、Vr3は聴取者24に到達することができる。した
がって、音場処理装置51を使用することにより、左右
対称音場を得ることができる。
【0046】逆に、聴取者24がRスピーカ23側に片
寄っている場合は、第2の信号(右信号)を遅延、音圧
を減衰し出力し、第1の信号(左信号)はそのまま出力
することにより、聴取者24は左右対称な音場を得るこ
とができる。
【0047】さらに、音場処理装置51は、第5の乗算
器52、および第6の乗算器53の係数を共に1とする
ことにより、図1に示す音場処理装置1と同じ構成とな
る。したがって、第5、第6の乗算器の係数を1とする
ことにより、反射音による左右音場の非対称性を模擬反
射音により、解消することができる。
【0048】さらに、音場処理装置51において、反射
面が存在する場合、および聴取者が一方のスピーカ側に
片寄って位置している場合を同時に補正するには、2つ
の音場処理装置51を縦続接続することにより実現でき
る。
【0049】以上のように、本実施形態では、図1に示
す音場処理装置1に乗算器を2個追加するという簡単な
構成で、反射音および聴取者の位置の片寄りから生じる
左右音場の非対称性をきわめて良好に解消することがで
きる。
【0050】
【発明の効果】本発明による音場処理装置は、模擬反射
音を生成する音場補正手段を備えるので、一方のスピー
カの側のみに反射面が存在する場合にも、聴取者は両側
から反射音が到来するように感じることができる。した
がって、本発明の音場処理装置によれば、一方のスピー
カ側に反射面がある場合にも、左右対称な音場を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施形態による音場処理装置
を示す概略図である。
【図2】フィルタ手段の実施例を示す概略図である。
【図3】スピーカを接続した音場処理装置の動作を説明
する概略図である。
【図4】(a)は、音Vl1および反射音Vl2を測定
したグラフである。(b)は、(a)における周波数−
音圧特性を示したグラフである。
【図5】(a)は、音Vr1および模擬反射音Vr2を
シミュレーションした結果である。(b)は、(a)に
おける周波数−音圧特性を示すシミュレーション結果で
ある。
【図6】本発明の別の実施形態による音場処理装置を示
す概略図である。
【図7】本発明の別の実施形態による音場処理装置にス
ピーカを接続した際の動作を説明する概略図である。
【図8】従来の音響再生装置において、聴取者の左側に
反射面が存在する状態について説明する図である。
【図9】従来の音響再生装置において、聴取者がLスピ
ーカ側に片寄っている状態を説明する図である。
【符号の説明】
1、51 音場処理装置 4 音場補正手段 5 第1の混合手段 6 第2の混合手段 9 フィルタ手段 10 遅延手段 11 係数乗算手段 12 信号選択手段 13 第1の乗算器 14 第2の乗算器 15 第3の乗算器 16 第4の乗算器 17 加算器 52 第5の乗算器 53 第6の乗算器
フロントページの続き Fターム(参考) 5D062 AA62 AA64 AA65 CC13 CC14 CC15 CC16 5D108 AA08 AB04 AB07 AC03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力された第1の信号もしくは第2の信号
    から模擬反射信号を生成する音場補正手段と、 該第1の信号に該模擬反射信号を混合する第1の混合手
    段と、 該第2の信号に該模擬反射信号を混合する第2の混合手
    段とを備え、 該第1の信号もしくは該第2の信号のうちいずれか一方
    から模擬反射信号を生成し、該模擬反射信号と該模擬反
    射信号を生成した第1の信号もしくは第2の信号とを混
    合する、音場処理装置。
  2. 【請求項2】前記音場補正手段が、前記第1の信号もし
    くは前記第2の信号より再生された音が反射する反射面
    に基づく周波数特性を有するフィルタ手段と、該反射面
    に基づく遅延を有する遅延手段と、該反射面に基づいて
    音圧減衰させる係数乗算手段とを有する、請求項1に記
    載の音場処理装置。
  3. 【請求項3】前記第1の信号もしくは前記第2の信号の
    うち、前記模擬反射信号を生成および混合する信号を選
    択する信号選択手段をさらに備える、請求項1または2
    に記載の音場処理装置。
  4. 【請求項4】前記信号選択手段が、前記第1の信号を乗
    算する第1の乗算器と、前記第2の信号を乗算する第2
    の乗算器と、前記模擬反射信号を乗算し前記第1の混合
    手段に出力する第3の乗算器と、前記模擬反射信号を乗
    算し前記第2の混合手段に出力する第4の乗算器と、該
    第1の乗算器および該第2の乗算器の出力を加算する加
    算器とを有する、請求項3に記載の音場処理装置。
  5. 【請求項5】前記第1の信号を乗算し前記第1の混合手
    段に出力する第5の乗算器、および前記第2の信号を乗
    算し前記第2の混合手段に出力する第6の乗算器をさら
    に備える、請求項1〜4のいずれかに記載の音場処理装
    置。
  6. 【請求項6】第1の信号もしくは第2の信号のうちいず
    れか一方から模擬反射信号を生成する工程と、 該模擬反射信号と該模擬反射信号を生成した第1の信号
    もしくは第2の信号とを混合する工程とを含む、音場処
    理方法。
  7. 【請求項7】前記第1の信号より再生された音が反射面
    に反射する場合、前記第2の信号から前記模擬反射信号
    を該反射面に対応した周波数特性、遅延、および音圧減
    衰に基づいて生成し、該模擬反射信号を該第2の信号に
    混合する、請求項6に記載の音場処理方法。
  8. 【請求項8】前記第2の信号より再生された音が反射面
    に反射する場合、前記第1の信号から前記模擬反射信号
    を該反射面に対応した周波数特性、遅延、および音圧減
    衰に基づいて生成し、該模擬反射信号を該第1の信号に
    混合する、請求項6に記載の音場処理方法。
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