JP3941351B2 - 音場処理装置および音場処理方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射面による反射音から生じる音場の左右非対称性を解消する音場処理装置ならびに音場処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ステレオ再生を行う音響再生装置においては、音源としてL(左)/R(右)の2個のスピーカが用いられる。また、多チャンネル信号を複数のスピーカにより再生するサラウンド再生が用いられている。最近では、これらの多チャンネル信号によるサラウンド再生を、仮想音像定位(バーチャルサラウンド)技術を用いてL/R2個のスピ−カのみで再生する方法が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の音響再生装置においては、左右対称の音場を理想とし、壁あるいは窓ガラス等の音響的な反射面が存在しないことが、良好な音場(すなわち、音響再生信号に意図された定位感が得られる音場)の条件となっている。図8は、従来の音響再生装置に、音源としてL/Rの2個のスピーカを使用した構成を示す図である。音響再生装置101および聴取者124の左側に壁125が存在する場合を考える。Rスピーカ123から再生された音Vr4は、概略、直接聴取者124に到達するのみである。一方、Lスピーカ122から再生された音は、直接聴取者124に到達する音Vl4だけではなく、壁125に反射して聴取者124に到達する反射音Vl5が存在する。したがって、図8において、聴取者124は、左右対称な音場を得ることはできない。
【0004】
また、聴取者が左右対称で良好な音場を得るための別の条件として、LスピーカおよびRスピーカから聴取者までの距離が等しいことがある。図9は、従来の音響再生装置において、聴取者124がLスピーカ122側に片寄った位置にいる状態を示す図である。この状態では、聴取者からLスピーカまでの距離が、聴取者からRスピーカ123までの距離より短くなる。したがって、Lスピーカから再生された音Vl6は、Rスピーカから再生された音Vr6より、タイミングが早くかつ音圧が大きい状態で聴取者に到達する。したがって、図9においても、聴取者124は左右対称な音場を得ることはできない。
【0005】
このような反射面の存在もしくは聴取者の位置の片寄りにより、ステレオ再生においてはステレオ定位が悪化し、バーチャルサラウンドにおいては仮想音像定位が悪化するなどのために、音響再生信号に意図された定位感を聴取者が得られない等の問題がある。
【0006】
これらの問題を解決するために、実開平1−153799号公報に、反射面による反射音とレベル、遅延時間および周波数が等しくかつ極性が反転された逆相の音を生成し、反射音を打ち消すことにより、左右対称音場を得る技術が提案されている。しかし、このような構成においては、逆相の音と反射音との到達時間に少しでもずれが生じると、反射音を完全には打ち消すことができない。したがって、打ち消されずに残った、反射音と逆相の音との影響により、聴取者には逆相感のある音場が生じるという問題がある。
【0007】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、壁等の反射面が存在する場合もしくは聴取者の位置が一方に片寄っている場合においても、聴取者が良好に左右対称な音場を得ることができる音場処理装置および音場処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による音場処理装置は、入力された第1の信号もしくは第2の信号から模擬反射信号を生成する音場補正手段と、該第1の信号に該模擬反射信号を混合する第1の混合手段と、該第2の信号に該模擬反射信号を混合する第2の混合手段とを備え、該第1の信号もしくは該第2の信号のうちいずれか一方から模擬反射信号を生成し、該模擬反射信号と該模擬反射信号を生成した第1の信号もしくは第2の信号とを混合する。
【0009】
好ましい実施形態においては、上記音場補正手段は、上記第1の信号もしくは上記第2の信号より再生された音が反射する反射面に基づく周波数特性を有するフィルタ手段と、該反射面に基づく遅延を有する遅延手段と、該反射面に基づいて音圧減衰させる係数乗算手段とを有する。
【0010】
好ましい実施形態においては、上記第1の信号もしくは上記第2の信号のうち、上記模擬反射信号を生成および混合する信号を選択する信号選択手段をさらに備える。
【0011】
好ましい実施形態においては、上記信号選択手段は、上記第1の信号を乗算する第1の乗算器と、上記第2の信号を乗算する第2の乗算器と、上記模擬反射信号を乗算し上記第1の混合手段に出力する第3の乗算器と、上記模擬反射信号を乗算し上記第2の混合手段に出力する第4の乗算器と、該第1の乗算器および該第2の乗算器の出力を加算する加算器とを有する。
【0012】
好ましい実施形態においては、上記第1の信号を乗算し上記第1の混合手段に出力する第5の乗算器、および上記第2の信号を乗算し上記第2の混合手段に出力する第6の乗算器をさらに備える。
【0013】
本発明の別の局面によれば音場処理方法が提供される。この方法は、第1の信号もしくは第2の信号のうちいずれか一方から模擬反射信号を生成する工程と、該模擬反射信号と該模擬反射信号を生成した第1の信号もしくは第2の信号とを混合する工程とを含む。
【0014】
好ましい実施形態においては、上記第1の信号より再生された音が反射面に反射する場合、上記第2の信号から上記模擬反射信号を該反射面に対応した周波数特性、遅延、および音圧減衰に基づいて生成し、該模擬反射信号を該第2の信号に混合する。
【0015】
好ましい実施形態においては、上記第2の信号より再生された音が反射面に反射する場合、上記第1の信号から上記模擬反射信号を該反射面に対応した周波数特性、遅延、および音圧減衰に基づいて生成し、該模擬反射信号を該第1の信号に混合する。
【0016】
以下、本発明による音場処理装置の作用について説明する。
本発明による音場処理装置は、音場補正手段、第1および第2の混合手段を備えている。左右のスピーカのうち、一方のスピーカの側に反射面が存在すると、その一方のスピーカからの音について比較的大きな一次反射音が発生する。また、他方のスピーカからの音には前記反射面による反射音はきわめて小さく無視することができる。そのため、たとえ、聴取者が左右スピーカの中心軸上に位置していたとしても、左右対称な音場が得られない。そこで、音場補正手段により、反射音が無視し得る方の信号について、反射面による特性と概略等しい特性(遅延、周波数、および音圧減衰)に基づいて生成された模擬反射信号を生成し、混合して出力する。したがって、本発明による音場処理装置によれば、一方のスピーカの側に反射面が存在する場合でも、聴取者は両側から反射音が到来するように感じられ、左右対称な音場を得ることができる。さらに、本発明による音場処理装置は、反射音を逆相の音を用いて打ち消すのではなく、反射音と概略等しい模擬反射音により聴取者の両側から反射音を与えているので、反射音と模擬反射音との到達時間にずれが存在する場合にも、聴取者は逆相感を感じることはない。本発明の音場処理装置を用いれば、回路規模の小さい極めて簡単な構成により、ステレオ再生においてはステレオ定位が良好になり、バーチャルサラウンドにおいては仮想音像定位を良好に行え、よって、音響再生信号に意図された定位感を得ることができる。
【0017】
好ましい実施形態においては、音場処理装置は信号選択手段を備えているので、模擬反射音を生成し混合する信号を選択することができる。したがって、模擬反射音を生成する音場補正手段を共通化でき、回路規模をさらに簡易にすることができる。
【0018】
好ましい実施形態においては、信号選択手段は、第1〜第4の乗算器、および加算器を有しているので、第1〜第4の乗算器の係数を切換えることにより、きわめて容易に信号を選択することができる。
【0019】
好ましい実施形態においては、音場処理装置は、第5および第6の乗算器を有しているので、第1もしくは第2の信号のいずれかを遅延および乗算して出力できる。または、第1もしくは第2の信号のいずれかに模擬反射信号を混合して出力できる。したがって、反射面が存在する場合だけでなく、聴取者がL/Rスピーカに対して片寄って位置している場合にも、左右対称な音場を得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図1〜図7を参照し具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0021】
図1は、本発明の好ましい実施形態による音場処理装置を示す概略図である。本発明の音場処理装置1は、第1の入力端子2、第2の入力端子3、音場補正手段4、第1の混合手段5、第2の混合手段6、第1の出力端子7、および第2の出力端子8を備えている。
【0022】
第1の入力端子2には第1の信号が、第2の入力端子3には第2の信号が入力される。例えば、第1の信号は左スピーカへ出力される左信号、第2の信号は右スピーカへ出力される右信号である。
【0023】
第1の信号が、第1の入力端子2から音場補正手段4に入力される。もしくは、第2の信号が、第2の入力端子3から音場補正手段4に入力される。音場補正手段4は、第1の信号もしくは第2の信号から模擬反射信号を生成する。模擬反射信号は、一方のスピーカからの音が反射する反射面の特性と、概略等しい特性(周波数、遅延、音圧減衰)に基づいて模擬的に生成された音である。第1の信号から生成された模擬反射信号は、第1の混合手段5に出力される。もしくは第2の信号から生成された模擬反射信号は、第2の混合手段6に出力される。
【0024】
音場補正手段4は、フィルタ手段9、遅延手段10、および係数乗算手段11を有している。フィルタ手段9は、反射面に基づく周波数特性を有しており、入力された信号の所定の周波数帯域を減衰させる。反射面に基づく周波数特性とは、反射音と直接到来する音との周波数特性の変化分であり、反射面の吸音率α等に依存する。フィルタ手段9は、例えば、IIR(無限インパルス応答)フィルタ、FIR(有限インパルス応答)フィルタ等が採用され得る。好ましくは、回路規模を簡易にできるという理由で、IIRフィルタが採用され得る。図2は、フィルタ手段9の実施例(IIRフィルタ)を示す概略図である。フィルタ手段9は、例えば、入力された信号を1サンプリング遅延する遅延器9a〜9d、係数乗算器9e〜9j、および加算器9kを有している。遅延手段10は、反射面に基づく遅延を有している。ここで、反射面に基づく遅延とは、反射面による反射音が直接到来する音に対して遅延する時間差である。遅延手段10は、例えば、1〜64サンプリングのものが採用され得る。係数乗算手段11は、反射面に基づいて音圧減衰されるよう、入力された信号に係数を乗算する。ここで、反射面に基づいた音圧減衰とは、反射面による反射音と直接到来する音との音圧の比であり、壁の吸音率α(反射率1−α)、伝搬距離(距離の2乗に反比例)、および壁の向きに依存する。
【0025】
第1の混合手段5は、第1の信号および模擬反射信号が入力される。第1の混合手段5は、代表的には、加算器が採用され得る。第1の混合手段5は、第1の信号に模擬反射信号を混合し、混合した信号を第1の出力端子7へ出力する。第1の信号に模擬反射信号を混合しない場合には、第1の信号をそのまま第1の出力端子7に出力する。第2の混合手段6についても同様に、入力された第2の信号および模擬反射信号を混合し、混合した信号を第2の出力端子8に出力する。
【0026】
音場処理装置1は、信号選択手段12をさらに備えている。信号選択手段12は、第1または第2の信号のうち、模擬反射信号が混合されて出力される信号を選択する。好ましくは、信号選択手段12は、第1の信号を1または0倍する第1の乗算器13、第2の信号を1または0倍する第2の乗算器14、模擬反射信号を1または0倍し第1の混合手段5に出力する第3の乗算器15、模擬反射信号を1または0倍し第2の混合手段6に出力する第4の乗算器16、および第1、第2の乗算器の出力を加算する加算器17を有している。このような信号選択手段12によれば、第1〜第4の乗算器の係数を1または0に切換えるのみで、きわめて容易に信号を選択できる。すなわち、第1の信号を選択し模擬反射信号を混合する場合は、第1の乗算器13および第3の乗算器15の係数を1とし、第2の乗算器14および第4の乗算器16の係数を0とする。こうすることにより、第1の信号が音場補正手段4により処理され模擬反射信号が生成され、第1の混合手段により模擬反射信号が混合され出力されることになる。
【0027】
同様に、第2の信号を選択し模擬反射信号を混合する場合は、第2および第4の乗算器の係数を1とし、第1および第3の乗算器の係数を0とする。こうして、第2の信号が音場補正手段4により処理され模擬反射信号が生成され、第2混合手段6で模擬反射信号が混合され出力される。
【0028】
音場処理装置1は、代表的には、DSP(Digital Signal Processor)を用いて、構成されている。従って、音場処理装置1への入出力信号がアナログ信号である場合には、入力側にA/D変換器、出力側にD/A変換器を接続して用いられる。
【0029】
好ましくは、第1の入力端子2に乗算器18が、第1の出力端子7に乗算器19が接続されている。乗算器18で信号のレベルを低下させ(例えば、1/2にする)、乗算器19で信号のレベルを増加させることにより、第1の混合手段5で第1の信号と模擬反射信号とを混合する際のオーバーフローを防止することができ、また信号のレベル低下を回復させることができる。同様に、第2の入力端子3に乗算器20が、第2の出力端子に乗算器21が接続されている。
【0030】
次に、このような構成を有する音場処理装置1に、音源としてスピーカを接続した際の動作について説明する。図3は、スピーカを接続した音場処理装置1の動作を説明する概略図である。
【0031】
音場処理装置1は、第1の出力端子7にケーブルを介してL(左)スピーカ22が、第2の出力端子8にケーブルを介してR(右)スピーカ23が接続されている。音場処理装置1の出力は、Rスピーカ22およびLスピーカ23から再生される。ここで、LスピーカおよびRスピーカから同距離に聴取者24が存在し、聴取者24の左側に反射面である壁25が存在する場合について考える。
【0032】
聴取者24の左側に壁25が存在する場合、Lスピーカ22から第1の信号が再生される音は、直接、音Vl1として聴取者24に到達すると共に、壁25により反射されて反射音Vl2として聴取者24に到達する。つまり、聴取者24には、仮想スピーカ26が存在するように感じられる。図4(a)は、音Vl1および反射音Vl2を測定したインパルス応答特性である。但し、壁25とLスピ−カとの距離aが0.4m、聴取者から両スピーカまでの距離bが1.5m、サンプリング周波数48kHz、Vl1とVl2との遅延時間は0.547msecである。図4(b)は、図4(a)における周波数−音圧特性を示したグラフである。
【0033】
次に、Rスピーカ23から再生される音について説明する。Rスピーカ23から再生される音は、音場処理装置1を使用しない場合、概略、第2の信号が再生され直接聴取者に到達する音Vr1のみであるので、音場に左右非対称性が生じると考えられる。そこで、音場処理装置1において、第2の信号(右信号)から模擬反射信号を生成し混合して出力する。模擬反射信号は、Rスピーカから模擬反射音Vr2として再生される。図5(a)は、Rスピーカから再生される音Vr1および模擬反射音Vr2をシミュレーションした結果である。図5(b)は、図5(a)における周波数−音圧特性を示すシミュレーション結果である。このように、Rスピーカ23から再生される音についても、直接、音Vr1として聴取者に到達すると共に、反射面の特性と概略等しい特性(周波数、遅延、音圧減衰)に基づいて生成された模擬反射音Vr2が聴取者に到達する。したがって、音場処理装置1により、聴取者24はRスピーカ23の右側にも壁27が存在するように感じられる。つまり、聴取者には、仮想スピーカ28が存在するように感じられる。
【0034】
ここで、模擬反射音の生成について詳細に説明する。模擬反射音Vr2は、図5(a)に示すように、遅延手段10により、反射音Vl2の遅延時間と概略等しい遅延時間が与えられる。ここで、聴取者からL、Rスピーカまでの距離をb、聴取者から仮想スピーカ26または28までの距離をcとする。すると、反射音Vl2の音Vl1に対する遅延時間Tは、音速をVとすると次式になる。
【数1】
Figure 0003941351
【0035】
したがって、左右対称の音場を生成するために例えば、b=2m、c=2.34m、V=340m/sの時、必要な遅延時間は約1msecとなる。したがって、サンプリング周波数を48kHzとすると、48サンプリング遅延させることになる。また、Lスピーカ22から壁までの距離aが大きくなれば、反射音Vl2の遅延時間も大きくなるが、実際に聴取者に到達する反射音は減衰され小さくなるので、設計上は、Lスピーカと壁との距離aが例えば1m以内(遅延時間は例えば3msec以内)の場合を考慮すればよい。
【0036】
模擬反射音Vr2は図5(a)のようにVr1に対する音圧減衰が、反射音Vl2のVl1に対する音圧減衰と概略等しくなるよう生成される。先述の通り、係数乗算手段11は、吸音率、伝搬距離、および壁の向きに応じて第2の信号を乗算する。
【0037】
模擬反射音Vr2は、フィルタ手段9により反射面に基づく周波数特性と概略等しい周波数特性が与えられている。図5(b)に示すように、音Vr1および模擬反射音Vr2の周波数−音圧特性に、図4(b)と同様に、反射面による影響が付加されている。
【0038】
以上のように、聴取者は、L、Rスピーカからの音Vl1およびVr1を受け取ると共に、Vl1、Vr1からは遅れて反射音Vl2および模擬反射音Vr2を受け取ることになる。したがって、音場処理装置1はきわめて簡単な構成により、左側のみに反射面がある場合にも、音場を左右対称にすることができる。
【0039】
次に、聴取者の右側に反射面が存在する場合について説明する。この場合も同様に、Rスピーカから再生される音は、直接、聴取者に到達すると共に、反射面に反射して聴取者に到達する。一方、Lスピーカから再生される音は、音場処理装置を使用しない場合には、概略、直接聴取者に到達する音のみである。そこで、信号選択手段12により左信号を選択し、模擬反射信号を生成、左信号に混合し、Lスピーカに出力する。したがって、Lスピーカから再生される音は、直接、聴取者に到達すると共に、模擬反射音として聴取者に到達する。
【0040】
本実施形態においては、音場補正手段を第1の信号と第2の信号とで共通としたが、第1の信号、第2の信号に対してそれぞれ音場補正手段を用いてもよい。この場合には、信号選択手段は省略し、模擬反射信号を混合する信号に対する音場補正手段のみを動作すればよい。
【0041】
次に、本発明による別の実施形態について説明する。本実施形態による音場処理装置は、聴取者の一方の側に反射面が存在する場合だけでなく、L、Rスピーカから聴取者までの距離が異なる場合にも、左右対称な音場を提供する。図6は、本実施形態による音場処理装置51を示す図であり、図1の音場処理装置1と同一部分には同一番号を付け説明は省略する。
【0042】
音場処理装置51は、第5の乗算器52および第6の乗算器53をさらに有している。第5の乗算器52は、第1の信号を1または0倍して、第1の混合手段5に出力する。第6の乗算器53は、第2の信号を1または0倍して、第2の混合手段6に出力する。
【0043】
このような構成の音場処理装置51に、音源としてスピーカを接続した際の動作について説明する。図7は、スピーカを接続した音場処理装置51の動作を説明する概略図である。ここで、聴取者24がLスピーカ22側に片寄っている(つまり、Lスピーカから聴取者までの距離dが、Rスピーカから聴取者までの距離eより短い)場合について説明する。
【0044】
音場処理装置51を使用しない場合には、聴取者に近いLスピーカ22からの音Vl3がRスピーカからの音Vr3より、タイミングが早く、音圧が強く聴取者に到達する。そこで、信号選択手段12は、第1の信号(左信号)を選択する。すなわち、第1の乗算器13、第3の乗算器15は係数が1、第2の乗算器14、第4の乗算器16は係数が0となる。さらに、第5の乗算器52は係数が0、第6の乗算器53は係数が1となる。
【0045】
選択された第1の信号は、遅延手段10および係数乗算手段11により、遅延および音圧減衰されLスピーカ22に出力される。なお、フィルタ手段9は動作させず、信号をそのまま通過させる。一方、第2の信号(右信号)は、そのままRスピーカ23へと出力される。このように、Lスピーカ22から再生される音Vl3は、遅延され音圧が減衰されているので、両スピーカから聴取者までの距離が等しい場合と同様に、Vl3、Vr3は聴取者24に到達することができる。したがって、音場処理装置51を使用することにより、左右対称音場を得ることができる。
【0046】
逆に、聴取者24がRスピーカ23側に片寄っている場合は、第2の信号(右信号)を遅延、音圧を減衰し出力し、第1の信号(左信号)はそのまま出力することにより、聴取者24は左右対称な音場を得ることができる。
【0047】
さらに、音場処理装置51は、第5の乗算器52、および第6の乗算器53の係数を共に1とすることにより、図1に示す音場処理装置1と同じ構成となる。したがって、第5、第6の乗算器の係数を1とすることにより、反射音による左右音場の非対称性を模擬反射音により、解消することができる。
【0048】
さらに、音場処理装置51において、反射面が存在する場合、および聴取者が一方のスピーカ側に片寄って位置している場合を同時に補正するには、2つの音場処理装置51を縦続接続することにより実現できる。
【0049】
以上のように、本実施形態では、図1に示す音場処理装置1に乗算器を2個追加するという簡単な構成で、反射音および聴取者の位置の片寄りから生じる左右音場の非対称性をきわめて良好に解消することができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明による音場処理装置は、模擬反射音を生成する音場補正手段を備えるので、一方のスピーカの側のみに反射面が存在する場合にも、聴取者は両側から反射音が到来するように感じることができる。したがって、本発明の音場処理装置によれば、一方のスピーカ側に反射面がある場合にも、左右対称な音場を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施形態による音場処理装置を示す概略図である。
【図2】フィルタ手段の実施例を示す概略図である。
【図3】スピーカを接続した音場処理装置の動作を説明する概略図である。
【図4】(a)は、音Vl1および反射音Vl2を測定したグラフである。(b)は、(a)における周波数−音圧特性を示したグラフである。
【図5】(a)は、音Vr1および模擬反射音Vr2をシミュレーションした結果である。(b)は、(a)における周波数−音圧特性を示すシミュレーション結果である。
【図6】本発明の別の実施形態による音場処理装置を示す概略図である。
【図7】本発明の別の実施形態による音場処理装置にスピーカを接続した際の動作を説明する概略図である。
【図8】従来の音響再生装置において、聴取者の左側に反射面が存在する状態について説明する図である。
【図9】従来の音響再生装置において、聴取者がLスピーカ側に片寄っている状態を説明する図である。
【符号の説明】
1、51 音場処理装置
4 音場補正手段
5 第1の混合手段
6 第2の混合手段
9 フィルタ手段
10 遅延手段
11 係数乗算手段
12 信号選択手段
13 第1の乗算器
14 第2の乗算器
15 第3の乗算器
16 第4の乗算器
17 加算器
52 第5の乗算器
53 第6の乗算器

Claims (7)

  1. 入力された第1の信号もしくは第2の信号のうち、模擬反射信号を生成および混合する信号を選択する信号選択手段と、該第1の信号もしくは第2の信号から模擬反射信号を生成する音場補正手段と、該第1の信号に該模擬反射信号を混合する第1の混合手段と、該第2の信号に該模擬反射信号を混合する第2の混合手段とを備え、
    選択した該第1の信号もしくは該第2の信号のうちいずれか一方から模擬反射信号を生成し、該模擬反射信号と該模擬反射信号を生成した第1の信号もしくは第2の信号とを混合する、音場処理装置。
  2. 前記音場補正手段が、前記第1の信号もしくは前記第2の信号より再生された音が反射する反射面に基づく周波数特性を有するフィルタ手段と、該反射面に基づく遅延を有する遅延手段と、該反射面に基づいて音圧減衰させる係数乗算手段とを有する、請求項1に記載の音場処理装置。
  3. 前記信号選択手段が、前記第1の信号を乗算する第1の乗算器と、前記第2の信号を乗算する第2の乗算器と、前記模擬反射信号を乗算し前記第1の混合手段に出力する第3の乗算器と、前記模擬反射信号を乗算し前記第2の混合手段に出力する第4の乗算器と、該第1の乗算器および該第2の乗算器の出力を加算する加算器とを有する、請求項1または2に記載の音場処理装置。
  4. 前記第1の信号を乗算し前記第1の混合手段に出力する第5の乗算器、および前記第2の信号を乗算し前記第2の混合手段に出力する第6の乗算器をさらに備える、請求項1〜のいずれかに記載の音場処理装置。
  5. 選択した第1の信号もしくは第2の信号のうちいずれか一方から模擬反射信号を生成する工程と、
    該模擬反射信号と該模擬反射信号を生成した第1の信号もしくは第2の信号とを混合する工程とを含む、音場処理方法。
  6. 前記第1の信号より再生された音が反射面に反射する場合、前記第2の信号から前記模擬反射信号を該反射面に対応した周波数特性、遅延、および音圧減衰に基づいて生成し、該模擬反射信号を該第2の信号に混合する、請求項に記載の音場処理方法。
  7. 前記第2の信号より再生された音が反射面に反射する場合、前記第1の信号から前記模擬反射信号を該反射面に対応した周波数特性、遅延、および音圧減衰に基づいて生成し、該模擬反射信号を該第1の信号に混合する、請求項に記載の音場処理方法。
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