JP2008065232A - ディジタル信号処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】音響効果特性をモード切り替え制御する際に要する時間を短縮化させる。
【解決手段】アッテネーション部4a,4bは、オーディオ信号をなすディジタル信号についての信号処理にかかる音響効果特性の変更指示を外部から受けると、有限インパルス応答フィルタ部1による信号処理前のディジタル信号について実質的にレベル「0」となるまで減衰させるとともに、有限インパルス応答フィルタ部1による前記信号処理後であって遅延部3での遅延処理前のディジタル信号について通過又は減衰させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ディジタル信号処理装置に関し、更に、再生されるオーディオ信号に音響効果を付与する際に用いて好適の、ディジタル信号処理装置に関するものである。
従来より、スピーカ等を通じて再生されるオーディオ信号に残響効果等の音響効果を付与する装置が知られている。特に、近年においては、DSP(Digntal Signal Processor)を用いて、ディジタルオーディオ信号にディジタル信号処理を施すことにより、オーディオ信号に音響効果を付与する装置が用いられるようになってきている。
図14は、このような音響効果を付与する信号処理を行なうDSP104が搭載されたオーディオ信号処理装置100の一般的な構成例を示す図である。この図14に示すオーディオ信号処理装置100においては、DIR(Digital Interface Receiver)101,SRC(Sampling Rate Converter)102,SEL(Selecter)103,DSP104,A/D(Analog/Digital)コンバータ105,D/A(Digital / Analog)コンバータ106およびマイクロコンピュータ(μCom)107をそなえている。
ここで、SEL103は、ディジタルオーディオ信号の入力側インターフェイスとなるDIR101およびSRC102を介して入力された信号と、アナログオーディオ信号の入力インターフェイスとなるA/Dコンバータ106からの信号と、のいずれかを選択的に出力する。
そして、DSP104は、SEL103から出力された信号について、上述の音響効果を付与するためのディジタル信号処理を施す。更に、D/Aコンバータ105は、DSP104で上述のディジタル信号処理が施されたディジタル信号についてアナログ信号に変換し、再生のためにスピーカ(図15の符号109参照)等へ出力する。このDSP104におけるディジタル信号処理としては、具体的には、音響効果を付与するためのFIR(Finite Impulse Response)フィルタ処理や、スピーカ等で再生される音場に即して再生音質を最適化するための遅延処理等が行なわれる。
図15は、上述のDSP104で行なわれるディジタル信号処理を行なうための機能を模式的に示すブロック図である。この図15に示すように、DSP104においては、FIRフィルタ部111,フィードバックゲイン付与部112および遅延部113をそなえている。FIRフィルタ部111は更にタップ遅延部111aをそなえるとともに、タップ遅延部111aでタップ遅延された信号データについてタップ演算を行なうタップ演算部111bをそなえている。
また、フィードバックゲイン付与部112は、入力されるディジタル信号に対して残響効果を付与するための信号成分としてフィードバックゲインを入力ディジタル信号に付与する。更に、遅延部113は、FIRフィルタ部111でフィルタ処理が行なわれたディジタル信号について定められた遅延時間だけ遅延させて出力するものである。
また、図14に示すマイクロコンピュータ107は、LAN(Local Area Network)108やシリアル通信による制御信号を受けて、上述のDIR101,SRC102,SEL103,DSP104,A/Dコンバータ106およびD/Aコンバータ105を制御する。例えば、上述のSEL103での選択を制御したり、複数の音響効果特性のうちのいずれかの特性となるようモード切り替え制御したりする。
具体的には、マイクロコンピュータ107では、オペレータからの指示をLAN108などから受けると、その指示内容に基づいて、オーディオ信号に付与すべき音響効果を変更するための制御をDSP104に対して行なう。具体的には、タップ演算部111bでタップ演算を行なう際のタップ係数等を変更すること等を通じて、DSP104をなすFIRフィルタ111のフィルタ特性を指示内容に即した音響効果を与えられるようにしている。
ところで、上述のDSP104でFIRフィルタ111のフィルタ特性を変更するにあたっては、音響効果特性のモード切り替え時の再生音の不自然さを防止するために、DSP104に入力されるオーディオディジタル信号の入力を一定期間ミュートさせて、少なくともFIRフィルタ111および遅延部113での遅延処理用に確保しているデータを「0」にクリアするようにしている。
その他、本願発明に関連する従来技術としては、例えば以下に示す特許文献1および2に記載されたものがある。
特許第3008726号公報 実開平5−64898号公報
しかしながら、上述のごとき従来技術においては、上述の図15に示すように、DSP104でオーディオ信号に付与すべき音響効果特性をモード切り替え制御する場合には、DSP104ではFIRフィルタ111でフィルタ処理をしてから遅延部113での遅延処理を行なうようになっているので、DSP104内のデータがクリアされるために要する時間は、FIRフィルタ111および遅延部113それぞれの遅延処理用に確保している時間の累積時間が少なくとも必要となり、モード切り替えに比較的長時間を要するという課題がある。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、音響効果特性をモード切り替え制御する際に要する時間を短縮化させることを目的とする。
このため、本発明のディジタル信号処理装置は、オーディオ信号をなすディジタル信号について設定された音響効果特性で信号処理を行なう有限インパルス応答フィルタ部と、前記信号処理後のディジタル信号について、所定の遅延時間による遅延処理を行なって、出力オーディオ信号として出力する遅延部と、該有限インパルス応答フィルタ部による前記信号処理前のディジタル信号について通過又は減衰させる処理を行なうとともに、該有限インパルス応答フィルタ部による前記信号処理後で且つ該遅延部での前記遅延処理が行なわれる前段のディジタル信号を通過又は減衰させる処理を行なうアッテネーション部と、をそなえ、該アッテネーション部は、前記オーディオ信号をなすディジタル信号についての信号処理にかかる音響効果特性の変更指示を外部から受けると、該有限インパルス応答フィルタ部による前記信号処理前のディジタル信号について実質的にレベル「0」となるまで減衰させるとともに、該有限インパルス応答フィルタ部による前記信号処理後であって該遅延部での前記遅延処理前のディジタル信号について通過又は減衰させる処理を行なうことを特徴としている。
また、該有限インパルス応答フィルタ部は、入力されるディジタル信号についてタップ遅延させるタップ遅延部と、該タップ遅延部で遅延された信号について前記設定された音響効果特性のためのタップ演算を行なうタップ演算部とにより構成され、該タップ遅延部による累計のタップ遅延時間は、該遅延部による遅延時間よりも長い時間となるように構成されるとともに、該遅延部において遅延されているディジタル信号が、前記減衰により全てレベル「0」となった時点で、該遅延部において前記遅延処理のために保持されているデータを該タップ遅延部におけるタップ遅延要素にコピーするコピー部をそなえることとしてもよい。
さらに、該有限インパルス応答フィルタ部は、直列に接続された複数のサブ有限インパルス応答フィルタにより構成され、且つ、前記直列に接続される該複数のサブ有限インパルス応答フィルタの間において、それぞれ入力されるディジタル信号を通過又は減衰させる処理を行なうサブアッテネーション部と、をそなえ、該サブアッテネーション部は、前記音響効果特性の変更指示を外部から受けると、それぞれ入力されるディジタル信号を減衰させることもできる。
この場合においては、該サブ有限インパルス応答フィルタにおいて入力されるディジタル信号をタップ遅延させるタップ遅延時間は、該遅延部における遅延時間以下となるように設定されていることとしてもよい。
さらに、前記音響効果特性の変更指示を外部から受けた場合において、該遅延部による前記遅延処理前又は前記遅延処理後のディジタル信号を、実質的にレベル「0」となるまで徐々に減衰させるリニアアッテネーション部をそなえることができる。
このように、本発明によれば、アッテネーション部により、音響効果特性の変更指示を外部から受けると、有限インパルス応答フィルタ部による信号処理前のディジタル信号について実質的にレベル「0」となるまで減衰させるとともに、有限インパルス応答フィルタ部による信号処理後であって遅延部での遅延処理前のディジタル信号について通過又は減衰させる処理を行なうとともに、有限インパルス応答フィルタ部による前記信号処理後で且つ遅延部での前記遅延処理が行なわれる前段のディジタル信号を通過又は減衰させる処理を行なうことができるので、従来技術の場合に比べて、データのクリアに要する時間を短縮化させることができ、音響効果特性をモード切り替え制御する際に要する時間を短縮化させることができる利点がある。
以下、図面を参照することにより、本発明の実施の形態について説明する。
なお、上述の本願発明の目的のほか、他の技術的課題,その技術的課題を解決する手段及び作用効果についても、以下の実施の形態による開示によって明らかとなる。
[A−1]第1実施形態の説明
図1は本発明の第1実施形態にかかるディジタル信号処理装置としてのDSP10の機能を模式的に示す図である。第1実施形態におけるDSP10は、前述の図14に示すオーディオ信号処理装置100をなすDSP104(図15参照)の機能を改善するものものである。以下においては、DSP10を図14に示すDSP104に代えて配置した場合を前提において説明を行なう。
ここで、図1においては、DSP10でのディジタル信号処理を行なうための機能を模式的に示すものであって、前述の図15に示すもの(符号111〜113参照)と同様のFIRフィルタ1,フィードバックゲイン付与部2および遅延部3をそれぞれそなえるとともに、アッテネーション部としての2つのゲイン付与部4a,4bをそなえている。
すなわち、FIRフィルタ(有限インパルス応答フィルタ部)1は、オーディオ信号をなすディジタル信号について、図15に示すマイクロコンピュータ107によって設定された残響特性を持たせたオーディオ信号を出力するための信号処理を行なうものであり、前述の図15におけるもの(符号111a,111b)と同様のタップ遅延部1aおよびタップ演算部1bをそなえたトランスバーサル形のディジタルフィルタの構成により実現する。
すなわち、タップ遅延部1aは、入力されるディジタル信号についてタップ遅延させるもので、タップ演算部1bは、タップ遅延部1aで遅延された信号について、マイクロコンピュータ107によって設定された音響効果特性のためのタップ演算を行なう。このFIRフィルタ部1のフィルタ特性によって、例えばコンサートホールなどでの特徴的な音響効果を付与してオーディオ再生を行なうことができるようになっている。
また、フィードバックゲイン付与部2は、入力されるディジタル信号に対して残響効果を付与するための信号成分としてフィードバックゲインを入力ディジタル信号に付与する。
さらに、遅延部3は、FIRフィルタ1での信号処理後のディジタル信号について、所定の遅延時間による遅延処理を行なって、出力オーディオ信号として出力するものである。尚、DSP10から出力されたオーディオ信号は、D/Aコンバータ105(図14参照)でディジタル信号からアナログ信号に変換された後、スピーカ109で再生されるようになっている。この遅延部3での遅延時間の設定により、後段のスピーカ109が設置されている音響環境に即して、再生音質を最適化することができるようになっている。
また、ゲイン付与部4aは、FIRフィルタ1に入力されるオーディオディジタル信号について、実質的に0dBのゲインを付与(0dBで増幅)することにより通過させたり、実質的に−∞dBのゲインを付与する(−∞dBで増幅)することにより減衰させたりすることができるものである。又、ゲイン付与部4bは、遅延部3に入力されるオーディオディジタル信号について、実質的に0dBのゲインを付与(0dBで増幅)することにより通過させたり、実質的に−∞dBのゲインを付与する(−∞dBで増幅)することにより減衰させたりすることができるものである。
すなわち、ゲイン付与部4a,4bが協働することにより、FIRフィルタ1による信号処理前のディジタル信号について通過又は減衰させる処理を行なうとともに、FIRフィルタ1による信号処理後で且つ遅延部3での遅延処理が行なわれる前段のディジタル信号を通過又は減衰させる処理を行なうアッテネーション部を構成する。
第1実施形態におけるDSP1においては、マイクロコンピュータ107からの指示を受けて、上述の音響効果特性のモード切り替えを、FIRフィルタ1のフィルタ特性の変更制御により行なうことができる。ここで、上述の変更制御のための指示をLAN108等からマイクロコンピュータ107が受けると、ゲイン付与部4aにおいてはFIRフィルタ1での信号処理前のディジタル信号のレベルを、ゲイン付与部4bにおいてはFIRフィルタ1での信号処理後であり遅延部3での遅延処理を行なう前段のディジタル信号のレベルを、それぞれ実質的にレベル「0」となるまで減衰させる。
したがって、上述のゲイン付与部4a,4bにより、FIRフィルタ1による信号処理前のディジタル信号について通過又は減衰させる処理を行なうとともに、FIRフィルタ1による信号処理後で且つ遅延部3での遅延処理が行なわれる前段のディジタル信号を通過又は減衰させる処理を行なうアッテネーション部を構成する。
DSP10では、マイクロコンピュータ107からの音響効果特性のモード切り替え制御信号を受けると、ゲイン付与部4a,4bにおけるゲインを実質的に同時に−∞dBとなるようにしているので、各ゲイン付与部4a,4bに入力されるオーディオ信号は実質的に同時にミュートされる。
FIRフィルタ1をなすタップ遅延部1aにおいては、例えばn(nは複数)段のタップ遅延要素をそなえており、保持されているオーディオディジタルデータは、内部クロックのタイミングに同期して後段のタップ遅延要素として順次繰り下がるようになっている。即ち、内部クロック周期がfであれば、タップ遅延部1aでの累計の遅延時間はf×nとなる。従って、ゲイン付与部4aによりミュートされたオーディオデータ「0」がn段のタップ遅延要素全体に保持されるようになれば、音響効果特性の切り替え時におけるタップ遅延部1aで保持されているデータがクリアされたことになる。
同様に、遅延部3についてもメモリ機能により実現することができ、内部クロックに同期して入力されるオーディオ信号について保持することができる信号数で遅延量(遅延時間)を対応付けることができる。例えば、d個の信号を保持するのであれば、遅延量はd×nとなる。従って、ゲイン付与部4bによりミュートされたオーディオデータ「0」が遅延部3に入力されるようになってから、遅延部3で保持することができる全てのデータが「0」となれば、遅延部3で保持されているデータがクリアされたことになる。
これにより、ゲイン付与部4aからFIRフィルタ1に入力されるオーディオ信号、およびゲイン付与部4bから遅延部3に入力されるオーディオ信号を、それぞれレベル「0」に順次していくことができ、又、FIRフィルタ1をなすタップ遅延部1aで保持されているデータのクリアと、遅延部3で保持されているデータのクリアと、を実質的に同じタイミングで開始することができる。
したがって、前述の図15に示す従来技術の場合のように、FIRフィルタ111をなすタップ遅延部111aで保持されているデータがクリアされてから、遅延部113で保持されているデータをクリアする場合に比べて、第1実施形態にかかるDSP10の構成によって、データのクリアに要する時間を短縮化させることができる。
たとえば、FIRフィルタ1では100msのクリア時間を要し、遅延部3では50msのクリア時間を要する場合には、前述の従来技術においてはこれらの時間の累積である150msを少なくともミュートのための時間として必要としていたが、第1実施形態によれば、FIRフィルタ1および遅延部3でのクリアを事実上並行して行なうことができるので、100msをミュートのための時間とすれば足りるため、データのクリアに要する時間を短縮化させることができる。
上述の構成による、本発明の第1実施形態の動作について、図2(a)〜図2(d)に示すフローチャートを用いて以下に説明する。
すなわち、マイクロコンピュータ107では、LAN108等を介して音響効果特性のモード切り替えのための指示を受けると、当該モード切り替え指示にかかる音響効果特性に従った特性で動作するようにDSP10のマイクロプログラムの設定を行なう。この場合においては、ゲイン付与部4a,4bでのゲインを実質的に−∞となるような設定とするとともに、FIRフィルタ1のフィルタ特性を所期の音響効果特性が得られるフィルタ特性とすべく、FIRフィルタ1におけるタップ演算部1bでの演算に用いられるタップ係数を更新し、かつFIRフィルタ1での遅延量を設定する。
具体的には、図2(a)のフローチャートに示すように、マイクロコンピュータ107において、LAN108等を介して音響効果特性のモード切り替えのための指示を受けると、FIRフィルタ1および遅延部3で保持するデータを「0」とする(「0埋め」する)処理の開始を示す各フラグ(FIR0埋め開始フラグおよび遅延0埋め開始フラグ)をそれぞれON設定して(ステップA1,A2)、次いで、ゲイン付与部4a,4bでのゲインを実質的に−∞とすることにより、FIRフィルタ1および遅延部3の入力ゲインを実質的に−∞とする(ステップA3,A4)。尚、これらゲイン付与部4a,4bでのゲイン設定については、連続的であれば順序は逆でもよく、又同時並行して行なうようにすることもできる。
そして、FIRフィルタ1で遅延のために保持するデータがすべて「0」となることが見込まれる時間、即ちタップ遅延部1aでの遅延時間相当の時間を計時するため、FIR入力ゲイン用タイマを起動し(ステップA5)、更に、遅延部3での遅延のために保持するデータがすべて「0」となることが見込まれる時間、即ち遅延部3での遅延時間相当の時間を計時するため、遅延部入力ゲイン用タイマを起動する(ステップA6)。
また、FIRフィルタ1におけるタップ演算部1bでの演算に用いられるタップ係数の更新のため、マイクロコンピュータ107では、(マイクロプログラムの更新を通じて)FIRフィルタ1に対して更新されるタップ係数の転送を開始する(ステップA7)。
その後、図2(b)のフローチャートに示すように、マイクロコンピュータ107において、上述のステップA5で起動されたFIR入力ゲイン用タイマがタイムアウトした場合には、FIRフィルタ1のタップ遅延部1aでの「0埋め」が完了したことになるので(ステップA51)、ステップA3でON設定したFIR0埋め開始フラグをOFFとし(ステップA52)、FIR入力ゲイン用タイマを解除する(ステップA53)。
同様に、図2(c)のフローチャートに示すように、マイクロコンピュータ107において、上述のステップA6で起動された遅延入力ゲイン用タイマがタイムアウトした場合には、遅延部3での「0埋め」が完了したことになるので(ステップA61)、ステップA2でON設定した遅延0埋め開始フラグをOFFとし(ステップA62)、遅延入力ゲイン用タイマを解除する(ステップA63)。
そして、図2(d)のフローチャートに示すように、上述のステップA7において開始されたマイクロコンピュータ107からDSP10への更新タップ係数の転送が完了し、かつ、上述のFIR0埋め開始フラグおよび遅延0埋め開始フラグがOFFとなったことを確認するまでタイマ計時およびタップ係数の転送が継続される(ステップA8のNOルート,ステップA8のYESルートを経たA9のNOルート)。
そして、更新タップ係数の転送が完了し、かつFIR0埋め開始フラグおよび遅延0埋め開始フラグがOFFとなった場合には(ステップA8のYESルートを経たステップA9のYESルート)、ゲイン付与部4aで付与するゲインを実質的に0dBとすることにより、FIRフィルタ1での入力ゲインに0dBを設定して、FIRフィルタ1への入力のミュートを解除する(ステップA10)。更に、切り替えがなされる音響効果特性に即した遅延時間を遅延部3に設定する(ステップA11)。
ついで、ゲイン付与部4bで付与するゲインを実質的に0dBとすることにより、遅延部3での入力ゲインを0dBに設定して、遅延部3への入力のミュートを解除する(ステップA12)。その後、DSP10では、上述のごとく設定変更された音響効果特性を入力されるオーディオ信号に付与して、後段のD/Aコンバータ105およびスピーカ109を介して再生させることができる。
このように、本発明の第1実施形態によれば、ゲイン付与部4a,4bにより、音響効果特性の変更指示を外部から受けると、FIRフィルタ1による信号処理前のディジタル信号について実質的にレベル「0」となるまで減衰させるとともに、FIRフィルタ1による信号処理後であって遅延部3での遅延処理前のディジタル信号について通過又は減衰させる処理を行なうとともに、FIRフィルタ1による前記信号処理後で且つ遅延部3での前記遅延処理が行なわれる前段のディジタル信号を通過又は減衰させる処理を行なうことができるので、前述の図15に示す従来技術の場合に比べて、データのクリアに要する時間を短縮化させることができ、音響効果特性をモード切り替え制御する際に要する時間を短縮化させることができる利点がある。
[A−2]第1実施形態の変形例の説明
図3は本発明の第1実施形態の変形例にかかるDSP10′の機能を模式的に示す図である。この図3に示すDSP10′においては、前述の第1実施形態の場合と異なり、FIRフィルタ1およびFIRフィルタ1の後段に接続される遅延部3の対を、並列に複数個(この場合には3つ)そなえるとともに、各並列対のFIRフィルタ1の入力側に前述の第1実施形態の場合と同様のゲイン付与部4aが、各並列対の遅延部3の入力側に前述の第1実施形態の場合と同様のゲイン付与部4bが、それぞれそなえられている。尚、図3中においては、フィードバックゲイン付与部2の図示は省略している。
そして、これら各並列対におけるゲイン付与部4aはいずれも同様に動作するものであり、DSP10′を構成するマイクロプログラムにより設定される係数を共通の係数とすることができる。換言すれば、DSP10′内のメモリにおいて、ゲイン付与部4aを実現するための係数を、各並列対で共有するように構成することができる。これにより、マイクロコンピュータ107からのゲイン設定個数を削減させることができるようになる。
同様に、各並列対におけるゲイン付与部4bについても、DSP10′を構成するマイクロプログラムにより設定される係数を共通の係数とすることができる。換言すれば、DSP10′内のメモリにおいて、ゲイン付与部4bを実現するための係数を、各並列対で共有するように構成されている。
このように構成されたDSP10′においては、前述の第1実施形態の場合と同様の効果を、メモリ領域を効率的に使用しながら実現することができる。
[B]第2実施形態の説明
図4は本発明の第2実施形態にかかるディジタル信号処理装置としてのDSP20の機能を模式的に示す図である。第2実施形態におけるDSP20は、前述の第1実施形態におけるDSP10に比して、FIRフィルタ1をなすタップ遅延部1aおよび遅延部3における遅延のために保持されているデータをクリアする際に要する時間を更に削減することができるものである。
すなわち、第2実施形態にかかるDSP20は、第1実施形態におけるDSP10の構成に、コピー部21が付加されたものである。尚、図4中において図1と同一の符号はほぼ同様の部分を示している。
ここで、DSP20のタップ遅延部1aは、その累計のタップ遅延時間が遅延部3による遅延時間よりも長い時間となるように構成されるとともに、コピー部21は、遅延部3において遅延のために保持されているディジタル信号が、減衰により全てレベル「0」となった時点で、当該保持されているデータ内容をタップ遅延部1aにおけるタップ遅延要素にコピーするようになっている。
具体的には、コピー部21は、遅延部3としてデータを保持しているDSP20内の記憶領域から、タップ遅延部1aをなす記憶領域のうちで、クリアが完了していない記憶領域に、データ「0」を例えばDMA(Direct Memory Access)転送により転送する。
すなわち、タップ遅延部1aによる累計のタップ遅延時間は、遅延部3による遅延時間よりも長い時間となるように構成されているので、遅延部3とタップ遅延部1aでのクリアが同時期に開始されるとしても、遅延部3で保持されているデータの内容が全て「0」となったときに、FIRフィルタ1をなすタップ遅延部1aのタップ遅延要素のうちでクリアされていないものが未だ残っていることになる。
このようにタップ遅延部1aにおいてクリアされていないタップ遅延要素については、図4に示すように、全体がクリアされた遅延部3の内容をコピーすることで、タップ遅延部1aで保持されているデータのクリアを早めることができる。
たとえば、遅延部3で50msecの遅延時間が設けられ、タップ遅延部1aでは100msecの遅延時間が設けられている場合においては、タップ遅延部1aで半分のタップ遅延要素1a−1のクリアが行なわれた時点で、遅延部3のクリアが完了することが想定される。この場合には、クリアが完了した遅延部3で保持している内容(オール「0」)を、タップ遅延部1aにおけるクリアが済んでいない50msec分のタップ遅延要素1a−2にコピーすることで、タップ遅延部1aでのクリア作業の終了を大幅に早めることができる。
上述の構成による、本発明の第2実施形態の動作について、図5(a)〜図5(c)のフローチャートを用いて以下に説明する。
すなわち、前述の第1実施形態の場合と同様に、DSP20の動作設定を制御するマイクロコンピュータ(図14の符号107参照)では、LAN等から音響効果特性のモード切り替えのための指示を受けると、FIRフィルタ1および遅延部3で保持するデータを「0」とする(「0埋め」する)処理の開始を示すフラグをそれぞれON設定し(図5(a)のステップB1)、次いで、ゲイン付与部4a,4bでのゲインを実質的に−∞に設定することにより、FIRフィルタ1および遅延部3の入力ゲインを実質的に−∞とする(ステップB2,B3)。
そして、遅延部3での遅延のために保持するデータがすべて「0」となることが見込まれる時間、即ち遅延部3での遅延時間相当の時間を計時するため、入力ゲイン用タイマを起動する(ステップB4)。尚、第1実施形態の場合と比べて、FIRフィルタ1で遅延のために保持するデータがすべて「0」となる時間は、コピー部21の作用によりタップ遅延部1aでの遅延時間相当の時間よりも短くしているので、タップ遅延部1aでの遅延時間の計時は省略することができる。
また、FIRフィルタ1におけるタップ演算部1bでの演算に用いられるタップ係数の更新のため、マイクロコンピュータでは、(マイクロプログラムの更新を通じて)FIRフィルタ1に対して更新されるタップ係数の転送を開始する(ステップB5)。
その後、図5(b)のフローチャートに示すように、マイクロコンピュータ107において、上述のステップB4で起動された遅延入力ゲイン用タイマがタイムアウトした場合には、遅延部3での「0埋め」が完了したことになるので(ステップB41)、ステップB1でON設定した0埋め開始フラグをOFFとし(ステップB42)、遅延入力ゲイン用タイマを解除する(ステップB43)。
そして、コピー部21により、遅延部3としてデータを保持しているDSP20内の記憶領域から、タップ遅延部1aをなす記憶領域のうちで、クリアが完了していない記憶領域に、データ「0」を例えばDMA転送により転送する(ステップB44)。
たとえば、タップ遅延部1aにおいて100msecの遅延時間が設けられ、遅延部3で50msecの遅延時間が設けられている場合においては、タップ遅延部1aで前半の半分(50msec)のタップ遅延要素1a−1のクリアが行なわれた時点で、遅延部3のクリアが完了することが想定される。この場合には、クリアが完了した遅延部3で保持している内容(50msec分のオール「0」)を、タップ遅延部1aにおけるクリアが済んでいない後半の50msec分のタップ遅延要素1a−2にコピーする。
そして、図5(c)のフローチャートに示すように、上述のステップB5において開始されたマイクロコンピュータからDSP20への更新タップ係数の転送が完了し、かつ、上述の遅延0埋め開始フラグがOFFとなったことを確認するまでタイマ計時およびタップ係数の転送が継続される(ステップB6のNOルート,ステップB6のYESルートを経たB7のNOルート)。
そして、更新タップ係数の転送が完了し、かつ遅延0埋め開始フラグがOFFとなった場合には(ステップB6のYESルートを経たステップB7のYESルート)、ゲイン付与部4aで付与するゲインを実質的に0dBとすることにより、FIRフィルタ1での入力ゲインに0dBを設定して、FIRフィルタ1への入力のミュートを解除する(ステップB8)。更に、切り替えがなされる音響効果特性に即した遅延時間を遅延部3に設定する(ステップB9)。
ついで、ゲイン付与部4bで付与するゲインを実質的に0dBとすることにより、遅延部3での入力ゲインを0dBに設定して、遅延部3への入力のミュートを解除する(ステップB10)。その後、DSP10では、上述のごとく設定変更された音響効果特性を入力されるオーディオ信号に付与して、後段のD/Aコンバータ(図14の105参照)およびスピーカ109を介して再生させることができる。
このように、本発明の第2実施形態にかかるDSP20においても、前述の第1実施形態の場合と同様、ゲイン付与部4a,4bにより、前述の第1実施形態の場合と同様、音響効果特性の変更を行なう場合に従来技術の場合に比べてデータのクリアに要する時間を短縮化させることができるほか、コピー部21により、更にデータのクリアに要する時間を短縮化させることができるので、音響効果特性をモード切り替え制御する際に要する時間を更に短縮化させることができる利点がある。
[C]第3実施形態の説明
図6は本発明の第3実施形態にかかるDSP30の機能を説明するための図である。この図6に示すように、第3実施形態にかかるDSP30は、前述の第1実施形態におけるDSP10とは異なるFIRフィルタ31の構成を有している。尚、フィードバックゲイン付与部2,遅延部3およびゲイン付与部4a,4bとしての構成は、前述の第1実施形態の場合と基本的に同様であり、図6中、フィードバックゲイン付与部2および遅延部3の構成については図示を省略している。
すなわち、FIRフィルタ31は、それぞれ直列に接続された複数(ここでは3個)のFIRフィルタ(サブ有限インパルス応答フィルタ)31−1〜31−3により構成されている。これらFIRフィルタ31−1〜31−3のタップ長(又はタップ遅延時間)は、総計すると、第1実施形態におけるFIRフィルタ2のタップ長Aと実質的に同様となるように構成される。従って、各FIRフィルタ31−1〜31−3のタップ長を互いに等しいBとすると、第1実施形態におけるFIRフィルタ2のタップ長Aは、A=B×3(「3」は、直列に接続されるFIRフィルタ31−1〜31−3の数)とあらわすことができる。
さらに、第3実施形態におけるDSP30においては、前述の第1実施形態の場合と同様のゲイン付与部4a,4bのほかに、これら直列に接続される3つのFIRフィルタ31−1〜31−3の間にサブアッテネーション部としてのゲイン付与部4c,4dをそなえている。
すなわち、ゲイン付与部4cは、FIRフィルタ31−2の入力側において上流側FIRフィルタ31−1からのディジタル信号についてFIRフィルタ31−2へ通過させるか又は減衰によりミュートさせる処理を行なうものである。同様に、ゲイン付与部4dは、FIRフィルタ31−3の入力側において上流側FIRフィルタ31−2からのディジタル信号についてFIRフィルタ31−3へ通過させるか又は減衰によりミュートさせる処理を行なうものである。
なお、ゲイン付与部4aは、直列接続される3つのFIRフィルタ31−1〜31−3のうちの最も信号経路の上流側のFIRフィルタ31−1の入力側に設けられ、入力されるディジタル信号についてFIRフィルタ31−1側へ通過させるか又は減衰によりミュートさせる処理を行なう。
これにより、マイクロコンピュータ(図14の符号107参照)で、音響効果特性のモード切り替えのための指示を受けていなければ、ゲイン付与部4c,4dでは、ゲイン付与部4a,4bと同様0dBのゲインを付与するが、音響効果特性のモード切り替えのための指示を受けると、ゲイン付与部4a,4bでのゲインを実質的に−∞となるような設定とするとともに、ゲイン付与部4c,4dにおいても、それぞれ入力されるディジタル信号を減衰させるべく、実質的に−∞dBのゲインを付与することができるようになっている。
このように構成された第3実施形態におけるDSP30においては、FIRフィルタ31を複数の直列接続されたFIRフィルタ31−1〜31−3により構成するとともに、各FIRフィルタ31−1〜31−3のタップ遅延要素を、ゲイン付与部4a,4c,4dにより並行してミュートさせることができるので、FIRフィルタ31でのタップ遅延要素のクリアに要する時間を大幅に削減させることができる。タップ長をFIRフィルタ31−1〜31−3で3等分する場合には、前述の第1実施形態における構成に比べて、タップ遅延要素のクリアに要する時間についても3分の1とすることができる。
また、FIRフィルタ31−1〜31−3において入力されるディジタル信号をタップ遅延させるタップ遅延時間は、遅延部3における遅延時間以下となるように設定することで、DSP30全体としての音響効果特性の切り替えを行なう際のミュート時間を、実質的に遅延部3で保持されるデータをクリアするために要する時間とすることができる。
たとえば、図7に示すように、遅延部3での遅延時間Tbと、各FIRフィルタ31−1〜31−3のタップ遅延時間Taと、を同じ時間Ta=Tbとすることにより、ゲイン付与部4bでの遅延部3へのオーディオ信号のミュートとほぼ同じタイミングで、ゲイン付与部4a,4c,4dによるFIRフィルタ31−1〜31−3へのオーディオ信号のミュートを開始することで、実質的に遅延部3での遅延のために保持しているデータのクリアに要する時間のみで、DSP30全体で蓄積しているデータのクリアを完了させることができる。
このように、本発明の第3実施形態にかかるDSP30においても、前述の第1実施形態の場合と同様、ゲイン付与部4a,4bにより、前述の第1実施形態の場合と同様、音響効果特性の変更を行なう場合に従来技術の場合に比べてデータのクリアに要する時間を短縮化させることができるほか、FIRフィルタ31−1〜31−3およびゲイン付与部4c,4dにより、更にデータのクリアに要する時間を短縮化させることができるので、音響効果特性をモード切り替え制御する際に要する時間を更に短縮化させることができる利点がある。
[D]第4実施形態の説明
図8は本発明の第4実施形態にかかるDSP40をなすゲイン付与部4b,4e(図9参照)の機能を説明するための図である。第4実施形態におけるDSP40は、図9に示すように、前述の第1実施形態におけるDSP10に比べて、遅延部3の入力側または出力側に、音響効果特性の変更指示を受けた場合に、実質的にレベル「0」となるまで徐々に減衰させるゲイン付与部4eがそなえられているが、その他の構成(符号1〜3,4a)についてはほぼ同様のものとすることができる。尚、図9中、FIRフィルタ1,フィードバックゲイン付与部2およびゲイン付与部4aについては図示を省略している。
ここで、第4実施形態におけるゲイン付与部4eにおいては、図8に示すように、音響効果特性の変更指示を受けた場合に、急激にゲインを0dBから−∞dBに変化させるものではなく、所定の時間的にリニアなゲイン変化を持たせて0dBから−∞dBとしている(リニアアッテネーション)。
通常のオーディオ信号がスピーカを通じて再生されている場合において、音響効果特性の変更指示により急激にミュートされた信号がスピーカを通じて出力されるようになると、ポップ音と呼ばれる不自然に感じうる音が再生される場合がある。第4実施形態においては、ゲイン付与部4eにおいて、入力されるオーディオ信号のゲインを時間的に徐々に0dBから−∞dBに変化させることで、上述のごときポップ音の発生を防止するようにしている。
ここで、ゲイン付与部4eでゲインを0dBから−∞dBまで変化させるために要する時間Tと、遅延部3で設定される遅延時間との大小によって、ゲイン付与部4eを設ける位置を定めることができる。
具体的には、ゲイン付与部4eでゲインを0dBから−∞dBまで変化させるために要する時間T(図8参照)が、遅延部3で設定される遅延時間よりも十分小さい場合には、図9に示すように、ゲイン付与部4eを遅延部3の出力側にそなえて、遅延部3での遅延処理後のオーディオ信号にリニアアッテネーションのためのゲインを付与する。
たとえば、この図9に示すように、遅延部3での遅延時間が8個のデータの転送に要する時間として設定される一方、図10に示すように、ゲイン付与部4eでゲインを0dBから−∞dBまで変化させるために要する時間Tが上述の6個のデータの転送に要する時間として設定される場合においては、2個のデータの転送に要する時間だけ遅延部3での遅延時間が長い。
この場合には、音響効果特性の変更指示を受けると、遅延部3前段のゲイン付与部4bで入力されるオーディオ信号のミュートを開始するとともに、この図10に示すように、遅延部3の後段にそなえられたゲイン付与部4eでは、遅延部3からタイムスロット♯1〜♯6で出力されるオーディオ信号について、単位データあたりの出力周期(例えばDSPの内部クロック周期)に従って、順次ゲインを0dBから低下させる。尚、このようにゲイン付与部4eでリニアアッテネーションが施されるオーディオ信号は、遅延部3をなすバッファメモリのリードポインタからタイムスロット♯1〜♯6でそれぞれ出力させるデータスロットD1〜D6(図9参照)にそれぞれ格納されている。
このとき、ゲイン付与部4bによるゲイン−∞の設定によって、タイムスロット♯8に続くタイムスロット♯9においてミュートされた信号が出力されるが、ゲイン付与部4eでゲインを−∞となったタイムスロット♯6以後タイムスロット♯9までの間、即ちタイムスロット♯7および♯8においては、ゲイン付与部4eでゲイン−∞の設定を維持しておく。これにより、一度−∞dBとなったゲインがもとの0dBに戻ることなく、従って急激なオーディオ信号の波形変化を防止して、ポップ音の発生を防止している。
したがって、上述のゲイン付与部4eは、音響効果特性の変更指示を外部から受けた場合において、遅延部3による遅延処理後のディジタル信号を、実質的にレベル「0」となるまで徐々に減衰させるリニアアッテネーション部を構成する。
また、ゲイン付与部4eでゲインを0dBから−∞dBまで変化させるために要する時間Tが、遅延部3で設定される遅延時間よりも大きい場合には、図11に示すように、遅延部3の入力側および出力側にそれぞれゲイン付与部4e−1,4e−2をそなえて、遅延部3での遅延処理前および遅延処理後のオーディオ信号にリニアアッテネーションのためのゲインを付与する。
たとえば、この図11に示すように、遅延部3での遅延時間が2個のデータの転送に要する時間として設定される一方、ゲイン付与部4eでゲインを0dBから−∞dBまで変化させるために要する時間T(図8参照)が、上述の図10に示すように6個のデータの転送に要する時間として設定される場合においては、4個のデータの転送に要する時間だけ遅延部3での遅延時間が短い。
図12(a)は、このように遅延部3での遅延時間がリニアアッテネーションに要する時間よりも短い場合において、遅延部3の出力側にのみリニアアッテネーションのためのゲイン付与部4eを設けた場合について、ゲイン付与部4eから出力される信号レベル変化について説明するための図である。
この図12(a)に示すように、音響効果特性の変更指示を受けたときに(タイムスロット♯0)、遅延部3の後段にそなえられたゲイン付与部4eで、遅延部3からタイムスロット♯1,♯2で出力されるオーディオ信号について音響効果特性の変更指示に対応してリニアアッテネーションを開始したとしても、−∞dBまでゲインを変化させるには時間が不足している。
したがって、続くタイムスロット♯3では、遅延部3の入力側に備えられたゲイン付与部4bによってミュートされた信号が出力されることになるので、タイムスロット♯2と♯3との間で、ゲイン付与部4eから出力される信号レベルの変化が大きくなるために、ポップ音が発生する場合も考えられる(図12(a)のA参照)。
そこで、この場合においては、図11に示すように、遅延部3の入力側でのゲイン付与部4bを、リニアアッテネーションを行なうゲイン付与部4e−1の構成とするとともに、遅延部3の出力側にそれぞれゲイン付与部4e−2をそなえて、遅延部3での遅延処理前および遅延処理後のオーディオ信号にリニアアッテネーションのためのゲインを付与する。これにより、図12(b)に示すように、ゲイン付与部4e−1でリニアアッテネーションされたオーディオ信号が遅延部3に蓄積させることができるので(図12(b)のB参照)、ゲイン付与部4e−2でのリニアアッテネーションとあいまって、タイムスロット♯3以降で出力されるオーディオ信号での急激なレベル変動を防止させ、ポップ音の発生を防止することができる(図12(b)のC参照)。
したがって、上述のゲイン付与部4e−1および4e−2は、音響効果特性の変更指示を外部から受けた場合において、遅延部3による遅延処理前および遅延処理後のディジタル信号を、実質的にレベル「0」となるまで徐々に減衰させるリニアアッテネーション部を構成する。又、ゲイン付与部4e−1については、FIRフィルタ1による信号処理後で且つ遅延部3での遅延処理が行なわれる前段のディジタル信号を通過又は減衰させる処理を行なうアッテネーション部としての機能についても併せ持っていることになる。
このように、本発明の第4実施形態によれば、前述の第1実施形態の場合と同様の利点を得ることができるほか、ミュートによる急激な波形変化が原因となるポップ音の発生を防止することができ、再生音の鑑賞感を向上させることができる。
なお、上述の遅延部3の入力側にそなえられたゲイン付与部4e−1においては、リニアアッテネーションを行なう機能と、−∞dBのゲインを維持してミュート状態を続ける機能とを共用するようになっているが、本発明によれば、これらのリニアアッテネーションを行なう機能と、−∞dBのゲインを維持してミュート状態を続ける機能とを別個のゲイン付与部に分けることができる。
たとえば、図13に示すように、リニアアッテネーションを行なうゲイン付与部4e−11と、音響効果特性の切り替え時に、ゲイン設定を0dBから−∞dBのゲインに切り替えるゲイン付与部4e−12とする構成を採用してもよく、このようにすればDSP40に対するマイクロコンピュータの制御を容易にすることができる利点がある。
なお、遅延部3での遅延時間がリニアアッテネーションに要する時間よりも短い場合には、上述の図11に示す遅延部3の出力側でのゲイン付与部4e−2については省略することもできる。
本発明の第1実施形態にかかるディジタル信号処理装置としてのDSPの機能を模式的に示す図である。 (a)〜(d)はいずれも第1実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の第1実施形態の変形例にかかるDSPの機能を模式的に示す図である。 本発明の第2実施形態にかかるディジタル信号処理装置としてのDSPの機能を模式的に示す図である。 (a)〜(c)はいずれも第1実施形態の動作を説明するためのフローチャートである。 本発明の第3実施形態にかかるディジタル信号処理装置としてのDSPの機能を説明するための図である。 本発明の第3実施形態にかかるディジタル信号処理装置としてのDSPの機能を説明するための図である。 本発明の第4実施形態にかかるDSPをなすゲイン付与部の機能を説明するための図である。 本発明の第4実施形態にかかるDSPをなすゲイン付与部の機能を説明するための図である。 図9に示すゲイン付与部によるゲイン設定について説明するための図である。 本発明の第4実施形態にかかるDSPをなすゲイン付与部の機能を説明するための図である。 (a),(b)はともに図11に示すゲイン付与部によるゲイン設定について説明するための図である。 本発明の第4実施形態の変形例を模式的に示す図である。 音響効果を付与する信号処理を行なうDSPが搭載されたオーディオ信号処理装置の一般的な構成例を示す図である。 従来技術におけるDSPの機能を模式的に示す図である。
符号の説明
1,31 FIRフィルタ(有限インパルス応答フィルタ部)
1a タップ遅延部
1a−1,1a−2 タップ遅延要素
1b タップ演算部
2 フィードバックゲイン付与部
3 遅延部
4a,4b ゲイン付与部(アッテネーション部)
4c,4d ゲイン付与部(サブアッテネーション部)
4e,4e−1,4e−11,4e−12,4e−2 ゲイン付与部(リニアアッテネーション部)
10,10′,20,30,40 DSP(ディジタル信号処理装置)
21 コピー部
31−1〜31−3 FIRフィルタ(サブ有限インパルス応答フィルタ)
100 オーディオ信号処理装置
101 DIR
102 SRC
103 SEL
104 DSP
105 D/Aコンバータ
106 A/Dコンバータ
107 マイクロコンピュータ
108 LAN
111 FIRフィルタ
111a タップ遅延部
111b タップ演算部
112 フィードバックゲイン付与部
113 遅延部

Claims (5)

  1. オーディオ信号をなすディジタル信号について設定された音響効果特性で信号処理を行なう有限インパルス応答フィルタ部と、
    前記信号処理後のディジタル信号について、所定の遅延時間による遅延処理を行なって、出力オーディオ信号として出力する遅延部と、
    該有限インパルス応答フィルタ部による前記信号処理前のディジタル信号について通過又は減衰させる処理を行なうとともに、該有限インパルス応答フィルタ部による前記信号処理後で且つ該遅延部での前記遅延処理が行なわれる前段のディジタル信号を通過又は減衰させる処理を行なうアッテネーション部と、をそなえ、
    該アッテネーション部は、前記オーディオ信号をなすディジタル信号についての信号処理にかかる音響効果特性の変更指示を外部から受けると、該有限インパルス応答フィルタ部による前記信号処理前のディジタル信号について実質的にレベル「0」となるまで減衰させるとともに、該有限インパルス応答フィルタ部による前記信号処理後であって該遅延部での前記遅延処理前のディジタル信号について通過又は減衰させる処理を行なうことを特徴とする、ディジタル信号処置装置。
  2. 該有限インパルス応答フィルタ部は、入力されるディジタル信号についてタップ遅延させるタップ遅延部と、該タップ遅延部で遅延された信号について前記設定された音響効果特性のためのタップ演算を行なうタップ演算部とにより構成され、
    該タップ遅延部による累計のタップ遅延時間は、該遅延部による遅延時間よりも長い時間となるように構成されるとともに、
    該遅延部において遅延されているディジタル信号が、前記減衰により全てレベル「0」となった時点で、該遅延部において前記遅延処理のために保持されているデータを該タップ遅延部におけるタップ遅延要素にコピーするコピー部をそなえたことを特徴とする、請求項1記載のディジタル信号処理装置。
  3. 該有限インパルス応答フィルタ部は、直列に接続された複数のサブ有限インパルス応答フィルタにより構成され、
    且つ、前記直列に接続される該複数のサブ有限インパルス応答フィルタの間において、それぞれ入力されるディジタル信号を通過又は減衰させる処理を行なうサブアッテネーション部と、をそなえ、
    該サブアッテネーション部は、前記音響効果特性の変更指示を外部から受けると、それぞれ入力されるディジタル信号を減衰させることを特徴とする、請求項1記載のディジタル信号処理装置。
  4. 該サブ有限インパルス応答フィルタにおいて入力されるディジタル信号をタップ遅延させるタップ遅延時間は、該遅延部における遅延時間以下となるように設定されていることを特徴とする、請求項3記載のディジタル信号処理装置。
  5. 前記音響効果特性の変更指示を外部から受けた場合において、該遅延部による前記遅延処理前又は前記遅延処理後のディジタル信号を、実質的にレベル「0」となるまで徐々に減衰させるリニアアッテネーション部をそなえたことを特徴とする、請求項1記載のディジタル信号処理装置。
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