JP2002036030A - 放電加工機及び放電加工方法 - Google Patents

放電加工機及び放電加工方法

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JP2002036030A
JP2002036030A JP2000223003A JP2000223003A JP2002036030A JP 2002036030 A JP2002036030 A JP 2002036030A JP 2000223003 A JP2000223003 A JP 2000223003A JP 2000223003 A JP2000223003 A JP 2000223003A JP 2002036030 A JP2002036030 A JP 2002036030A
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discharge
pulse
voltage
time
gap
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JP2000223003A
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English (en)
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Sotomitsu Hara
外満 原
Kiyokazu Okamoto
清和 岡本
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Mitutoyo Corp
Mitsutoyo Kiko Co Ltd
Original Assignee
Mitutoyo Corp
Mitsutoyo Kiko Co Ltd
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  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 放電加工機において、放電の不発を防止して
加工効率及び加工の質を向上させる。 【解決手段】 パルス電圧発生部14bから放電パルス
を発生し、高電圧重畳部14cで放電パルスに同期して
一定傾斜で電圧が上昇するパルスを放電パルスに重畳
し、電極24と被加工物28に印加する。放電電流検出
器26で放電電流を検出し、放電パルス幅制御器38に
供給する。放電パルス幅制御器38は、放電電流を時間
積分し、一定値に達した時点で放電指令パルスを解除し
放電パルスを停止する。また、放電電流値が一定のしき
い電流を超えた場合に放電が生じたとして重畳用のラン
プ信号を解除し重畳を停止する。放電開始時間を検出
し、適正時間との大小に応じて放電ギャップをフィード
バック制御し、適正値に収斂させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は放電加工機及び放電
加工方法、特に放電用パルス電圧の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電極と被加工物間に形成され
る放電ギャップにパルス電圧を印加して放電させ、この
放電エネルギを用いて被加工物を部分的に溶解し加工す
る放電加工機が知られている。従来の放電加工機では、
多数の時系列パルスからなる放電電流の時間的平滑値が
一定となるように電極と被加工物間の放電ギャップを機
械的運動機構により制御している。放電電流検出素子と
しては、低抵抗または電流トランス等が用いられ、これ
らは放電パルス電源と直流電源との間を結ぶ給電ワイヤ
の途中に挿入される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、低抵抗
や電流トランスの周波数特性は良好ではなく、放電電流
の変化に追従できない。しかも、低抵抗や電流トランス
で検出された信号はフィルタを通して平均化、平滑化さ
れるため、多数の時系列パルスからなる放電電流波形の
時間的に平均化された情報しか把握していなかった。検
出した放電電流を平均化、平滑化する理由は、放電ギャ
ップを制御する運動機構の応答速度が大変遅く、放電電
流の変化に追従できないため、前記運動機構の応答周波
数まで放電電流波形を鈍らせてギャップ制御の信号とし
ている。この結果、運動機構の数値制御位置決めデータ
としてフィードバックされる情報は、その時点で放電が
発生するのに適当な位置の情報ではなく時間的に遅れた
情報であり、放電ギャップも放電条件にとってしばしば
適当でない状態となっていた。例えば、放電ギャップが
広すぎれば放電しなくなり、その分だけ加工上のロスタ
イムが生じて生産性の低下を招く。一方、放電ギャップ
が狭すぎると過度の放電電流が流れて過度の融解痕を被
加工物の放電発生表面に残し、加工の品質低下につなが
る問題があった。
【0004】以下、この点を詳しく説明する。一般に、
液中放電加工では、I(t):放電電流(時間の関
数)、Td:放電電流持続時間、V:放電電圧、G:電
極と被加工物表面との放電ギャップ、の4つのパラメー
タが重要である。
【0005】ここで、
【数1】 はパルス1回当たりの除去量を決定し、Qの値が増大す
るほど除去量も大きくなる。そして、このQの値にパル
ス発生回数を乗じたものが加工速度となる。また、表面
粗さの向上にはきめ細かな放電痕をまんべんなく一様に
多数生じさせる方が好ましく、このためにはパルス1回
当たりのQ値の微細化が重要となる。
【0006】また、放電電圧Vと放電ギャップGは放電
の開始条件に関係し、Gが大きくなれば放電を発生させ
るために要するVも高くなる。但し、Gが大き過ぎる
(広過ぎる)と放電は発生せず、小さ過ぎる(狭過ぎ
る)と短絡状態となり放電は発生しない。一般的にはG
は0.1μm〜数μmであり、Vは50V〜150V程
度である。Gが決めればVは一つの値をとる。すなわ
ち、GとVは一価関数の関係にある。
【0007】このような状況において、被加工物を放電
加工する際には、まず最初にパルス1回当たりの除去量
Qに応じた値を決定し、加工表面粗さを指定する。次
に、単位時間当たりのパルスの発生回数を決定する。加
工速度を指定することができるようになっているシステ
ムが使い易いと言える。Qを決定するには、I(t)と
Tdを各々独立に制御できる方が望ましい。
【0008】しかしながら、I(t)の制御は周波数成
分が高く帯域幅も広く、さらに扱う電力が数100Wと
巨大であるので、現在の半導体技術でもリニアに制御す
ることは極めて困難である。一方、Tdの制御は100
MHz周波数帯域においても回路技術としては困難では
ないが、I(t)の正確な波形が検出できなければこの
Tdだけ制御しても無意味である。
【0009】従来においては、I(t)が0.01μs
ecのオーダで変動するにもかかわらず、非常に長い時
間(0.01s〜0.1s)にわたって(パルス数にし
て数万〜数十万パルス)平均化したものを放電電流信号
として、放電ギャップを制御する運動機構の制御基準と
しており、放電ギャップGの瞬時値は放電条件にとって
適切でない場合が多く、加工上のロスタイムと表面粗さ
の質低下を招いていた。
【0010】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑
みなされたものであり、その目的は、加工上のロスタイ
ムをなくし、加工効率の向上と表面粗さの質向上を図る
ことができる放電加工機を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、パルス電圧を電極と被加工物間に印加し
て放電を生じさせ、前記被加工物を部分的に溶解させる
ことで加工する放電加工機であって、時間とともに電圧
が上昇するようなパルス電圧を供給するパルス電源と、
放電電流を検出する放電電流検出手段と、放電開始以後
の前記放電電流の時間積分値を算出し、前記時間積分値
が所定値となるように前記パルス電源を制御する電圧制
御手段とを有する。
【0012】ここで、本発明の放電加工機は、さらに、
放電開始時間を検出する時間検出手段と、前記放電開始
時間に基づいて前記電極と前記被加工物間の放電ギャッ
プをフィードバック制御するギャップ制御手段とを有
し、前記ギャップ制御手段は、前記放電開始時間が適正
時間より短い場合には前記放電ギャップを広げ、前記放
電開始時間が適正時間より長い場合には前記放電ギャッ
プを狭めることが好適である。
【0013】また、本発明の放電加工機は、さらに、放
電開始時の前記パルス電圧を検出するパルス電圧検出手
段と、前記放電開始時の前記パルス電圧に基づいて前記
電極と前記被加工物間の放電ギャップをフィードバック
制御するギャップ制御手段とを有し、前記ギャップ制御
手段は、前記放電開始時の前記パルス電圧が適正電圧よ
り低い場合には前記放電ギャップを広げ、前記放電開始
時の前記パルス電圧が適正電圧より高い場合には前記放
電ギャップを狭めることが好適である。
【0014】また、本発明の放電加工機は、さらに、放
電開始時間を検出する時間検出手段とを有し、前記電圧
制御手段は、前記放電開始時間が所定しきい時間よりも
短い場合に前記電極と前記被加工物の短絡状態を検出し
て前記パルス電圧の供給を停止することが好適である。
【0015】前記パルス電源は、放電パルスを出力する
パルス電圧発生部と、前記放電パルスに電圧を重畳する
高電圧重畳部とを有し、前記パルス電圧発生部は、前記
時間積分値が所定値に達した時点で前記放電パルスの出
力を停止し、前記高電圧重畳部は、前記放電パルスと同
期して前記放電パルスに時間とともに上昇する電圧を重
畳し、かつ、放電開始以後に前記重畳を停止することが
好適である。
【0016】また、前記電圧制御手段は、加工速度指令
に基づいて基準パルスを生成する基準パルス生成手段を
備え、前記パルス電圧発生部は前記基準パルスに同期し
て前記放電パルスの出力を開始し、前記高電圧重畳部は
前記基準パルスに同期して前記上昇する電圧の重畳を開
始することが好適である。
【0017】また、前記電圧制御手段は、前記放電電流
を積分する積分器と、前記所定値と前記積分器出力とを
比較する比較器とを更に備え、前記パルス電圧発生部
は、前記積分器出力が前記所定値に達したことを示す前
記比較器の出力によって前記放電パルスの出力を停止す
ることが好適である。
【0018】また、前記電圧制御手段は、前記放電電流
と所定しきい電流とを比較することにより放電を検出す
る放電検出手段を更に備え、前記高電圧重畳部は、前記
放電検出手段の出力によって前記上昇する電圧の重畳を
停止することが好適である。また、前記放電パルスの出
力開始後、前記所定しきい時間以内に前記放電検出手段
が放電を開始したことを検出した場合に、前記パルス電
圧発生部は前記放電パルスの出力を直ちに停止し、前記
高電圧重畳部は前記上昇する電圧の重畳を直ちに停止す
ることが好適である。
【0019】本発明において、前記放電電流検出手段
は、放電点近傍に配置することができる。
【0020】また、本発明において、前記放電電流検出
手段は、前記電極によりその中心部が貫かれるように配
置されたリング状の磁性体コアと、前記磁性体コアに巻
回されたコイルとを有することができる。
【0021】前記磁性体コアには、前記電極を通すため
の間隙が形成されることが好適である。
【0022】また、本発明は、パルス電圧を電極と被加
工物間に印加して放電を生じさせ、前記被加工物を部分
的に溶解させることで加工する放電加工機における放電
加工方法を提供する。この方法は、時間と共に電圧が上
昇するようなパルス電圧の供給を開始するパルス電圧供
給ステップと、放電開始を検出する放電開始検出ステッ
プと、放電開始以後の放電電流を積分する放電電流積分
ステップと、前記放電電流の積分結果を所定値と比較す
る積分結果比較ステップと、前記積分結果が前記所定値
以上となった場合に、前記パルス電圧の供給を停止する
パルス電圧停止ステップとを備える。
【0023】本発明の方法において、さらに、パルス電
圧の供給を開始してから、放電開始までの放電開始時間
を測定する放電開始時間測定ステップと、前記放電開始
時間と適正時間とを比較する放電開始適正時間比較ステ
ップと、前記放電開始時間が適正時間より短い場合には
前記電極と前記被加工物間の放電ギャップを広げ、前記
放電開始時間が適正時間より長い場合には前記放電ギャ
ップを狭める時間比較放電ギャップ調節ステップとを備
えることが好適である。
【0024】また、本発明の方法において、さらに、放
電開始時の前記パルス電圧を測定するパルス電圧測定ス
テップと、前記放電開始時の前記パルス電圧と適正電圧
とを比較するパルス電圧適正電圧比較ステップと、前記
放電開始時の前記パルス電圧が前記適正電圧より低い場
合には前記電極と前記被加工物間の放電ギャップを広
げ、前記放電開始時の前記パルス電圧が前記適正電圧よ
り高い場合には前記放電ギャップを狭める電圧比較放電
ギャップ調節ステップとを備えることが好適である。
【0025】また、本発明の方法において、さらに、パ
ルス電圧の供給を開始してから、放電開始までの放電開
始時間を測定する放電開始時間測定ステップと、前記放
電開始時間と所定しきい時間とを比較する所定しきい時
間比較ステップとを備え、前記放電開始時間が所定しき
い時間よりも短い場合に前記電極と前記被加工物の短絡
状態を検出して前記パルス電圧停止ステップにおいて前
記パルス電圧の供給を停止することが好適である。
【0026】前記パルス電圧供給ステップは、さらに、
放電パルスを出力する放電パルス出力ステップと、前記
放電パルスに電圧を重畳する高電圧重畳ステップとを含
み、前記高電圧重畳ステップは、前記放電パルスと同期
して前記放電パルスに時間とともに上昇する電圧を重畳
し、かつ、前記放電開始検出ステップにおいて放電を開
始したことを検出した時点で前記重畳を停止することが
できる。
【0027】前記パルス電圧供給ステップは、さらに、
加工速度指令に基づいて基準パルスを生成する基準パル
ス生成ステップを備え、前記放電パルス出力ステップは
前記基準パルスに同期して前記放電パルスの出力を開始
し、前記高電圧重畳ステップは前記基準パルスに同期し
て前記上昇する電圧の重畳を開始することができる。
【0028】本発明においては、放電電流I(t)の値
は制御せず、放電電流検出手段によりI(t)の時間波
形を正確に検出し、この放電電流を時間積分して放電持
続時間Tを
【数2】 となるように電圧制御手段で制御する。これにより、1
パルス当たりの除去量に対応して定まる表面粗さを制御
することができる。放電ギャップが適正値でない場合に
は、所定電圧値を有するパルス電圧を印加しても放電が
生じない場合もあるが、本発明では時間とともに電圧が
上昇するようなパルス電圧を用いているため、放電ギャ
ップが適正値でなくてもいずれかの時点で放電を生じさ
せることができ、放電の不発を確実に防止して加工効率
を上げることができる。
【0029】放電ギャップが適正値でなく、適正値に比
べて広狭がある場合、この広狭は放電開始時間の相違と
なって顕在化する。すなわち、適正値に比べて放電ギャ
ップが広い場合には放電開始時間が長くなり、逆に適正
値に比べて放電ギャップが見狭い場合には放電開始時間
が短くなる。そこで、放電開始時間を検出し、この放電
開始時間に基づいて放電ギャップをフィードバック制御
することで、放電ギャップを適正値に収斂させることが
できる。フィードバック制御は、具体的には放電開始時
間が長い場合には放電ギャップを狭くし、放電開始時間
が短い場合には放電ギャップを広くするように行われ
る。
【0030】放電ギャップが極端に短く電極と被加工物
が短絡状態にある場合、パルス電圧を印加すると直ちに
電流が流れ始める。そこで、放電開始時間を検出して所
定しきい時間と比較し、所定しきい時間より短い場合に
は短絡状態にあると判定できる。そして、短絡状態にあ
ると判定された場合には直ちにパルス電圧の供給を停止
することで、短絡状態における被加工物へのダメージを
抑制することができる。短絡状態では、当然ながら放電
開始時間は適正時間より短くなるので、この場合にも放
電ギャップを広げる方向にフィードバック制御され、短
絡状態が速やかに解消される。
【0031】時間とともに上昇するパルス電圧は、一定
値を有する放電パルスに時間とともに上昇する電圧を重
畳することで得ることができる。時間とともに上昇する
電圧は放電パルスに同期して、すなわち放電パルスの立
ち上がりタイミングと同一タイミングで重畳することが
好ましく、放電が開始された後は放電パルスのみで放電
を維持することができ、かつ放電電流の値を所望値に制
御するために放電開始以後は重畳を停止することが好適
である。
【0032】放電パルスと重畳パルスを同期させるため
には、放電パルスと重畳パルスを同一基準クロックでセ
ットされる2つのフリップフロップで生成することが好
適である。これにより、放電パルスと重畳パルスの立ち
上がりタイミングを容易に一致させることができる。ま
た、放電パルスは放電電流の時間積分値が所定値、すな
わちQ値に達した場合に解除する必要がある。そこで、
放電パルスをフリップフロップから出力する場合には放
電電流の時間積分値がQ値に達した時点でこのフリップ
フロップにリセット信号を供給することで、放電パルス
を容易に解除することができる。一方、重畳パルスの停
止に関しても、放電が開始された以後にフリップフロッ
プにリセット信号を出力することで容易に重畳を停止す
ることができる。なお、放電が開始されたか否かは、放
電電流が所定しきい電流を超えたか否かで判定すること
ができる。
【0033】本発明においては、放電電流の時間積分値
に基づいて放電パルスの印加を制御する。したがって、
放電電流を遅れなく検出することが要求される。リアル
タイムで放電電流を検出するためには、放電点の近傍に
放電電流検出手段を配置することが好適である。時間的
位相差の発生を排除するためである。放電点の近傍に配
置するためには、例えば電極により貫かれる磁性体コア
とコイルで放電電流検出手段を構成するのが好適であ
る。放電電流によりコイルに電圧が誘起され、この誘起
電圧を放電電流波形として検出することで、配線の分布
インダクタンスによらず放電点における放電電流のパル
ス波形を忠実に検出することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施
形態について説明する。
【0035】図1には、本実施形態の放電加工機の構成
図が示されている。直流電源10は商用電源を整流し、
2種類の直流を供給する。1つは50V程度あるいは1
00V程度の比較的低い電圧+LVで大電流を供給する
放電用、もう1つは250V程度の比較的高い電圧+H
Vで小電流を供給するトリガ用である。高電圧+HV及
び低電圧+LVは給電ケーブル12を介してパルス発生
用の半導体等の能動的電子素子からなる放電パルス電源
14に供給される。
【0036】放電パルス電源14はフィルタ14a、パ
ルス電圧発生部14b及び高電圧重畳部14cの3つの
部分から構成される。フィルタ14aは直流電源10を
受ける受電側に設けられ、高周波成分の空間放射を抑制
するためのチョークコイルと平滑コンデンサを有する。
パルス発生電圧部14bは、半導体素子(図ではMOS
FET)により直流低電圧+LVを放電加工パルスに変
調する。具体的には、半導体素子のゲートをパルスで駆
動することでソース・ドレイン間を順次OFF、ON、
OFFさせスイッチイングする。ゲートは、絶縁式高周
波整合回路40を介して放電パルス幅制御器38に接続
され、この放電パルス幅制御器38からの放電指令パル
スによりスイッチング制御される。高電圧重畳部14c
はパルス電圧発生部14bのゲートドライブ信号、すな
わち放電指令パルスと同期し同一スタートタイミングで
電圧を一定傾斜で上昇させ、その電圧を低電圧+LV
(逆電流防止ダイオード14dのカソード側)に重畳さ
せる。これにより、放電ギャップGの広狭にかかわらず
(放電ギャップGが最適値に設定されていなくても)、
確実に放電を開始させる。なお、フィルタ14aの低電
圧+LV出力側には逆流防止ダイオード14dが接続さ
れる。但し、加工条件によっては逆極性に接続されるこ
ともある。
【0037】パルス電源発生部14により発生した短い
立ち上がり時間の放電加工パルスは+側リード線16、
ブラシ18を介してスピンドル20に取り付けられたチ
ャック22で保持される回転電極24側に供給される。
また、パルス電圧発生部14bの−側はリード線30を
介して被加工物28に接続される。
【0038】被加工物28はY軸位置決め装置32及び
X軸位置決め装置34によりXY平面内で移動自在に保
持される。また、スピンドル20はZ軸位置決め装置3
6によりZ軸方向(XY平面に対して垂直方向)に移動
自在に保持される。なお、スピンドル20の回転軸は加
工する形状により一定速度で回転する場合もあれば、角
度を割り出しながら被加工物28との相対運動を維持し
て加工形状を作り出す場合もある。これら位置決め装置
32、34、36により、回転電極24と被加工物28
との相対的位置関係を規定することができる。特に、Z
軸位置決め装置36により放電ギャップGが調整され、
回転電極24を被加工物28に近づけ放電ギャップGが
所定値以下となると放電が発生する。3軸の位置決め装
置32、34、36は放電パルス幅制御器38からの位
置決め指令により駆動される。
【0039】また、放電点の近傍には放電電流をリアル
タイムでモニタするための放電電流検出器26が配置さ
れる。放電電流検出器26は可能な限り放電点の近傍に
配置するのが好ましい。放電電流検出器26で検出され
た放電電流I(t)は放電パルス幅制御器38に供給さ
れる。放電パルス幅制御器38は、検出された放電電流
I(t)に基づいてパルス電圧発生部14bを駆動する
放電指令パルス並びに高電圧重畳部14cを駆動するラ
ンプ信号を出力する。
【0040】図2には、放電パルス幅制御器38の回路
図が示されている。加工速度指令が入力されると、加工
速度指令値はA/D変換器38pにてデジタルデータに
変換され、デジタルデータJとしてレートマルチプライ
ヤ38cに供給される。nビットのレートマルチプライ
ヤ38cでは、内部クロックをJ/2n倍し、周期J・
f/2nの出力パルスを基準パルスとして生成する。レ
ートマルチプライヤ38cの出力パルスはフリップフロ
ップ(F/F)38i及び38jのセット端子Sに供給
されてこれらをセットする。
【0041】また、内部設定されるサンプリング時間間
隔指令はA/D変換器38nにてデジタルデータに変換
され、デジタルデータSとしてレートマルチプライヤ3
8bに供給される。レートマルチプライヤ38bでは、
内部クロックをS/2n倍し、周期S・f/2nの出力パ
ルスを生成する。レートマルチプライヤ38bの出力パ
ルスはANDゲート38dを介してサンプリングパルス
となり、A/D変換器38aのスタート信号となる。
【0042】そして、放電電流検出器26から供給され
た放電電流I(t)は、A/D変換器38aでデジタル
データに変換され、積分器のフルアダー38eの一方に
供給される。フルアダー38eの出力は次段の積算レジ
スタ38fの入力に接続されており、積算レジスタ38
fの出力はフルアダー38eの他方に接続されている。
したがって、ANDゲート38dからサンプリングパル
スが与えられる度にA/D変換器38aの出力が積算レ
ジスタ38fに積算され、積算レジスタ38fの出力は
放電電流I(t)を時間積分した値∫I(t)dtとな
る。積算レジスタ38fの出力はデジタルコンパレータ
38gの一方に供給される。デジタルコンパレータ38
gの他方には、入力された加工粗さ指令値をA/D変換
器38rでデジタルデータに変換して得られるQ値が供
給され、放電電流の積分値とQ値が大小比較される。そ
して、放電電流の積分値がQ値以上となった時点、すな
わちQ≦∫I(t)dt(但し時間積分区間は0〜T)
となった時点でデジタルコンパレータ38gはリセット
信号を出力する。リセット信号はORゲート38hを介
してフリップフロップ(F/F)38iのリセット端子
Rに供給され、F/F38iをリセットする。F/F3
8iのセット端子にはレートマルチプライヤ38cから
のJ・f/2nのパルス信号が供給されるから、このパ
ルス信号で放電指令パルスはセットされ、ORゲートか
らのリセット信号により解除されることになる。すなわ
ち、I(t)の時間積分値がQ値に達すると、放電指令
パルスが解除され、放電パルスが出力されなくなる。ま
た、ORゲート38hからのリセット信号は積分レジス
タ38fにも供給され、積分レジスタ38fをリセット
してI(t)の積分値を0にクリアする。なお、F/F
38iからの出力はANDゲート38dにも供給され、
これによりANDゲート38dが閉じてレートマルチプ
ライヤ38bからのS・f/2nのパルスはA/D変換
器38aに入力されなくなる。
【0043】また、レートマルチプライヤ38cからの
J・f/2nのパルスはF/F38jのセット端子Sに
も供給され、F/F38jの出力は次段のアナログ時間
積分器38kに接続され、放電指令パルスと同期して立
ち上がり、一定の傾斜で上昇するランプ信号として出力
される。ランプ信号は、放電ギャップの値にかかわらず
放電を確実に起こさせるためのものであるから、実際に
放電が生じた時点で速やかに解除される必要がある。放
電の開始は、放電電流I(t)がしきい値Ipを超えた
か否かで判定することができる。そこで、図2に示され
るように、放電電流検出器26で検出された放電電流I
(t)をアナログコンパレータ38qに供給して所定の
しきい値Ipと比較し、放電電流I(t)がIpを超え
た時点でアナログコンパレータ38qからF/F38j
及びアナログ時間積分器38kにリセット信号を出力す
る。これにより、ランプ信号は放電が生じた時点で解除
されることになる。なお、アナログ時間積分器38kが
ランプ動作、すなわち放電指令パルスと同期した一定の
傾斜を有するパルス信号を出力する動作を行っている
間、すなわち放電開始前は、放電電流I(t)の時間積
分を行うべきではないので、F/F38jの反転出力を
ANDゲート38dに供給し、ランプ信号が出力されて
いる間はスタート信号であるS・f/2nのパルス信号
のA/D変換器38aへの供給を禁止している。これに
より、放電電流I(t)の時間積分はランプ動作の終了
後行われることになる。
【0044】また、放電ギャップGが狭すぎて短絡状態
にある場合には、ランプ動作の継続時間Trが無いか、
あるいは極端に短くなる。短絡状態において放電を開始
させることは好ましくないので、放電指令パルスを速や
かに解除する必要がある。タイマ38mは、レートマル
チプライヤ38cからのJ・f/2nパルスによってセ
ットされ、プリセットされた所定の時間内だけ正論理”
H”が出力されている。もし、この時間内にフリップフ
ロップ38jが、I(t)がIpを超えることによって
リセットされる場合は、ANDゲート38sを通してO
Rゲート38hに信号を出力し、F/F38iをリセッ
トして放電指令パルスをランプ信号解除後に速やかに解
除する。
【0045】一方、放電ギャップGが広すぎて放電がな
かなか生じない場合には、放電ギャップを小さくする必
要がある。そこで、アナログ時間積分器38kからのラ
ンプ信号をアナログコンパレータ38tに供給し、適正
電圧と比較することでランプ動作の継続時間と適正放電
ギャップにおけるランプ継続時間との大小関係を判定す
る。アナログコンパレータ38tはホールド回路を含ん
でおり、アナログコンパレータ38qの出力信号の立上
り(論理”L”から論理”H”への切り替わり時点=放
電開始時点)で、アナログ時間積分器38kの出力(ラ
ンプ信号)をホールドする。その後、時間Tdが経過し
て放電が終了すると、アナログコンパレータ38qの出
力信号が論理”L”に戻り、その時点でアナログコンパ
レータ38t内部の比較器はホールド回路にホールドさ
れたランプ信号と適正電圧との比較を行い、その結果を
正負論理符号(論理”H”又は論理”L”)としてZ軸
位置決め装置36に供給する。つまり、アナログコンパ
レータ38tは放電開始時のランプ信号と適正電圧との
比較の結果によって、ランプ継続時間が長すぎる場合
(つまり、ランプ信号が適正電圧よりも大きくなってか
ら放電が始まる場合。)には、放電ギャップGが広すぎ
るので、放電ギャップGを狭め、容易に放電開始できる
ようにする。逆の場合(つまり、ランプ信号が適正電圧
よりも小さいうちに放電が始まる場合。)には放電ギャ
ップGを広げ、放電ギャップGが最適値となるようにフ
ィードバック制御する。
【0046】後述する図3の例では、ランプ電圧と適正
電圧との電圧比較の結果からZ軸位置決め装置36に供
給する信号を生成しているが、このランプ電圧は、時間
の経過と共に増加していく電圧であるから、電圧比較を
行う代りに、別の実施形態として、時間比較を行うこと
によっても可能である。つまり放電指令パルスがF/F
38iから出力された時刻から、放電が開始した時刻ま
での放電開始時間(ランプ信号の経過時間:Tr1)を
図示しない時間検出手段によって検出し、これと適正時
間Tr2との比較を行っても良い。
【0047】図3〜図6には、本実施形態のタイミング
チャートが示されている。ここで、Tr1はランプ信号
の継続時間、Tr2は適正な放電ギャップにおけるラン
プ継続時間、Tr0は短絡状態を判定するための極めて
短い時間である。
【0048】図3はランプ信号の継続時間Tr1が適正
時間Tr2を超えている場合(Tr1>Tr2)、つま
り放電ギャップGが広すぎる場合の例である。(A)は
放電指令パルスのタイミングチャートであり、F/F3
8iから出力されてパルス電圧発生部14b内のMOS
トランジスタのゲートに印加される。(B)はランプ信
号により高電圧が重畳された加工パルスのタイミングチ
ャートである。ランプ信号はアナログ時間積分器38k
から高電圧重畳部14cのトランジスタのベースに印加
され、+LVから+HVまで一定の傾斜で上昇していく
電圧を生成する。(C)は放電電流I(t)のタイミン
グチャートであり、電圧が上昇していくとある時点で回
転電極24と被加工物26間で放電が発生し、しきい値
Ipを超える。放電電流I(t)がしきい値Ipを超え
るとランプ信号がリセットされ、放電電流I(t)の時
間積分が開始される。Tr1はランプ信号の継続時間で
あるが、これは放電指令パルスが立ち上がってから実際
に放電が生じるまでの時間に他ならない。一旦放電が開
始すると放電ギャップGに印加される電圧は極めて低く
なるので、この時点でランプ信号を解除して重畳電圧を
0Vとし、つまり放電電圧を+LVに落としても放電の
持続には影響なく、放電電流I(t)にもほとんど影響
を与えない。すなわち、ランプ信号及び高電圧重畳部1
4cは放電トリガとして機能し、放電開始後はパルス電
圧発生部14bによって放電電圧が供給される。そし
て、放電電流の積分値が所定値Qに達すると、F/F3
8iがリセットされて放電指令パルスが解除される。
(D)は放電ギャップGの変化を示すタイミングチャー
トであり、Tr1とTr2を比較した結果、Tr1>T
r2であると判定されるので、コンパレータ38tから
Z軸位置決め装置36に対してフィードバック制御信号
が出力され、放電ギャップGを狭める方向に駆動する。
図において、放電ギャップGが過大ギャップから適正ギ
ャップに変化しているのはこのことを示している。 図
4はランプ信号の継続時間Tr1、すなわち放電開始時
間Tr1が所定時間Tr0よりも短く、回転電極24と
被加工物28が短絡状態にある場合の例である。(A)
は放電指令パルス、(B)は加工パルス電圧、(C)は
放電電流、(D)は放電ギャップGのタイミングチャー
トである。ランプ信号により高電圧+HVを重畳した加
工パルスを印可すると、短絡状態にあるため極めて短時
間(Tr1<Tr0)に放電が生じ、放電電流I(t)
がしきい値Ipを超える。したがって、極めて短時間に
ランプ信号が解除される。プリセットタイマ38mは、
レートマルチプライヤ38cからのJ・f/2nパルス
によってセットされ、Tr0までは正論理”H”が出力
される。この間に放電電流I(t)がしきい値Ipを超
えてランプ信号が解除されるとF/F38jの反転出力
が正論理”H”となるからANDゲート38sが開放
し、このANDゲート38sからのリセット信号により
F/F38iがリセットされ、放電指令パルスもほぼT
r1時間で解除される。すなわち、放電電流の時間積分
値がQ値に至る前に放電指令パルスは解除されて放電加
工が中止される。Tr1は当然ながらTr2より短いの
で、コンパレータ38tからZ軸位置決め装置36にフ
ィードバック制御信号が供給され、放電ギャップGを広
げるように制御される。この場合、短絡により被加工物
28に与えるダメージは∫I(t)dt(但し、時間積
分区間は0〜Tsで、Tsは加工パルスの印加時間)と
なり、Z軸位置決め装置36が短絡状態を抜け出すのに
要する時間内に発生するパルス数を乗じたとしても、こ
のようなパルス解除機能を有しない場合に比べてダメー
ジを非常に小さくすることができる。
【0049】図5はランプ信号の継続時間、すなわち放
電開始時間Tr1が短絡状態判定時間Tr0よりも長
く、所定時間Tr2よりも短い場合の例である。(A)
は放電指令パルス、(B)は加工パルス電圧、(C)は
放電電流、(D)は放電ギャップGのタイミングチャー
トである。放電指令パルスに同期して加工パルスが立ち
上がり、一定の傾斜で電圧が+LVから+HVに向けて
上昇していく。この過程で放電が開始し、放電電流I
(t)がしきい値Ipを超える。すると、ランプ信号が
解除されて加工パルス電圧は+LVまで低下し、放電電
流I(t)の時間積分が開始される。放電電流I(t)
の時間積分値が所定値Qに達すると、放電指令パルスが
解除され、放電が停止する。放電開始時間Tr1がTr
2より短いので、コンパレータ38tからZ軸位置決め
装置36に対して放電ギャップGを増大させる方向のフ
ィードバック制御信号が供給され、放電ギャップGは適
正値に収斂していく。
【0050】図6はランプ信号の継続時間、すなわち放
電開始時間Tr1が適正時間Tr2にほぼ等しい場合の
例である。(A)は放電指令パルス、(B)は加工パル
ス電圧、(C)は放電電流、(D)は放電ギャップGの
タイミングチャートである。放電指令パルスに同期して
加工パルスが立ち上がり、一定の傾斜で電圧が+LVか
ら+HVに向けて上昇していく。この過程で放電が開始
し、放電電流I(t)がしきい値Ipを超える。する
と、ランプ信号が解除されて加工パルス電圧は+LVま
で低下し、放電電流I(t)の時間積分が開始される。
放電電流I(t)の時間積分値が所定値Qに達すると、
放電指令パルスが解除され、放電が停止する。放電開始
時間Tr1が適正時間Tr2にほぼ等しいので、コンパ
レータ38tからはフィードバック制御信号が出力され
ず、Z軸位置決め装置36は現在の放電ギャップGを維
持する。
【0051】このように、ランプ信号により一定傾斜で
高電圧を印加して加工パルスを印加するので放電ギャッ
プの広狭によらず確実に放電を生じさせることができ
る。そして、放電が開始された場合には放電電流の時間
積分値をモニタし、放電電流の時間積分値がQ値、すな
わちパルス1回当たりの除去量に達した場合に速やかに
加工パルスを解除することで高精度の加工が可能とな
る。さらに、加工パルス印加から放電開始時間をモニタ
し、適正時間より短い場合には放電ギャップを広げ、適
正時間より長い場合には放電ギャップを狭めるようにフ
ィードバック制御することで、放電ギャップを放電に最
適な間隔に制御することができる。
【0052】なお、本実施形態においては、放電電流を
リアルタイムで検出し、この時間積分値に基づいて放電
パルスを制御しているので、放電電流を応答性良く検出
することが必要である。
【0053】図7には、放電電流検出器26の構成が示
されている。放電電流検出器は、リング状の磁性体コア
26aと、このコアに巻回されたコイル26bを含んで
構成される。回転電極24に放電電流が流れると、コイ
ル26bには放電電流による誘起電圧が生じ、これによ
り放電電流波形を検出することができる。リング状の磁
性体コア26aは絶縁処理された微細鉄粉末で作製さ
れ、高周波パルス電流が流れても渦電流が発生せず、周
波数応答に優れている。また、エネルギロスがないので
空間的体積を小さくしても発熱は極めて小さい。磁性体
コア26aはその中心が回転電極24に貫通されるよう
に配置され、これにより放電点の近傍に配置することが
できる。パルス電流は高速に変化するため、磁性体コア
26aは放電点の近傍に配置する必要がある。例えば放
電電流検出器26を+側リード線16の端子付近に配置
すると、リード線16の分布インダクタンスにより放電
点における電流との間に時間的位相差が生じ、放電点で
の正確な電流波形を検出することができなくなるからで
ある。放電電流検出手段26の空間的体積を小さくする
ことで、放電点の極く近傍に容易に配置することができ
る。
【0054】なお、ワイヤ状電極の場合には、ワイヤを
リング状の磁性体コア26aに通すのが困難となる場合
もある。そこで、図8に示されるように磁性体コア26
aの一部に間隙を形成し、ワイヤを通し易くするのが好
適である。ワイヤの直径を0.2mm、間隙の幅を0.
25mm程度とすれば、電磁結合にほとんど影響がな
い。
【0055】磁性体コア26a及びコイル26bで検出
された放電電流I(t)は、図9に示されるように同軸
ケーブル26cにより放電パルス幅制御器38に供給さ
れ、既述したようにパルス電圧発生部14bと高電圧重
畳部14cの制御に用いられる。また、Z軸位置決め装
置36などの運動機構へフィードバックされる。
【0056】図10と図11は本発明による放電加工機
における放電加工方法の実施形態を示す。図10におい
て、S10において処理を開始し、S20において時間
と共に電圧が上昇するようなパルス電圧の供給を開始す
る。S30では時間と共に電圧が上昇するパルス電圧が
供給された結果、電極と被加工物間の絶縁が破られるま
でパルス電圧が上昇して放電が開始したことを検出す
る。S40では、パルス電圧の供給を開始してから、前
記の放電が開始するまでの時間を測定し、S50におい
て、この放電開始時間と、適正な放電ギャップによって
決まる適正時間との比較を行い、その結果、S60にお
いて、前記放電開始時間が適正時間より短い場合には適
正なパルス電圧値よりも低い電圧値で放電が開始したこ
とから、前記電極と前記被加工物間の放電ギャップが狭
すぎると判断してこれを広げ、前記放電開始時間が適正
時間より長い場合には逆に前記放電ギャップが広すぎる
と判断してこれを狭める。これらのS40、S50、S
60の処理は、これに代えてS41、S51、S61の
処理を行うことができる。即ち、S41においては、放
電開始時のパルス電圧を測定する。このパルス電圧測定
は、電極に印加される電圧を測定しても良いが、通常は
高電圧のため、測定が容易ではない。その場合には、電
極電圧の測定に代えて図2におけるランプ信号を測定し
ても良い。S51では、このようにして測定された放電
開始時のパルス電圧(又はランプ信号)と放電適正電圧
(あるいはそれに相当するランプ信号電圧)との比較を
行う。その結果、S61において前記放電開始時の前記
パルス電圧が前記適正電圧より低い場合には前記電極と
前記被加工物間の放電ギャップを広げ、前記放電開始時
の前記パルス電圧が前記適正電圧より高い場合には前記
放電ギャップを狭める。次にS70では、パルス電圧の
供給を開始してから、放電開始までの放電開始時間と、
微少な所定しきい時間との比較を行ない、その結果を変
数へ格納しておく。電極と被加工物間が短絡している場
合は、パルス電圧印加直後の適正な電圧まで上昇する前
に、直ちに電流が流れ始めるため、この微少な所定しき
い時間以前に電流が流れはじめたことから短絡を検出す
る。次に、S80では、放電開始後の放電電流の時間に
対する積分を行う。S90では前記の放電電流の積分値
と、1パルス当たりの除去量に対応して定まる所定値と
比較を行い、S100において、前記積分結果が前記所
定値以上となった場合に、前記パルス電圧の供給を停止
する。又、このパルス電圧は、S70において変数に格
納された比較結果(短絡検出結果)から短絡を検出した
場合にも直ちにパルス電圧の供給を停止する。
【0057】このように放電加工用のパルス電圧を供給
し、S110において加工完了が判断されるとS120
において処理を終了する。加工が完了していない場合
は、S20へ処理を戻して、パルス電圧を繰り返し供給
する。
【0058】図11は前記S20におけるパルス電圧の
供給手順を更に詳細に説明した図で、S20から開始す
る。S21は加工速度指令に基づいて放電パルス間隔を
決めるための基準パルスを生成する。S21はこの基準
パルスに同期して放電パルスの供給を開始し、S22で
はこの放電パルスに対して更に時間と共に増加する電圧
を重畳する。この重畳に際しては、前記放電パルスと同
期してこの放電パルスに時間とともに上昇する電圧を重
畳し、かつ、S30において放電を開始したことを検出
した時点で前記重畳を停止する。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
加工上のロスタイムをなくし、加工効率の向上と表面粗
さの質向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の全体構成図である。
【図2】 図1における放電パルス幅制御器の構成図で
ある。
【図3】 他の実施形態のタイミングチャート(Tr1
>Tr2の場合)である。
【図4】 他の実施形態のタイミングチャート(Tr1
<Tr0の場合)である。
【図5】 他の実施形態のタイミングチャート(Tr0
<Tr1<Tr2の場合)である。
【図6】 他の実施形態のタイミングチャート(Tr1
=Tr2の場合)である。
【図7】 図1における放電電流検出手段の構成図であ
る。
【図8】 図7における磁性体コアの構成図である。
【図9】 図1における放電電流検出手段の他の構成図
である。
【図10】 更に他の実施形態のフローチャートであ
る。
【図11】 図10の一部詳細フローチャートである。
【符号の説明】
14 放電パルス電源、24 回転電極、26 放電電
流検出器、28 被加工物、38 放電パルス幅制御
器。

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルス電圧を電極と被加工物間に印加し
    て放電を生じさせ、前記被加工物を部分的に溶解させる
    ことで加工する放電加工機であって、 時間とともに電圧が上昇するようなパルス電圧を供給す
    るパルス電源と、 放電電流を検出する放電電流検出手段と、 放電開始以後の前記放電電流の時間積分値を算出し、前
    記時間積分値が所定値となるように前記パルス電源を制
    御する電圧制御手段と、 を有することを特徴とする放電加工機。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の装置において、さら
    に、 放電開始時間を検出する時間検出手段と、 前記放電開始時間に基づいて前記電極と前記被加工物間
    の放電ギャップをフィードバック制御するギャップ制御
    手段と、 を有し、前記ギャップ制御手段は、前記放電開始時間が
    適正時間より短い場合には前記放電ギャップを広げ、前
    記放電開始時間が適正時間より長い場合には前記放電ギ
    ャップを狭めることを特徴とする放電加工機。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の装置において、さら
    に、 放電開始時の前記パルス電圧を検出するパルス電圧検出
    手段と、 前記放電開始時の前記パルス電圧に基づいて前記電極と
    前記被加工物間の放電ギャップをフィードバック制御す
    るギャップ制御手段と、 を有し、前記ギャップ制御手段は、前記放電開始時の前
    記パルス電圧が適正電圧より低い場合には前記放電ギャ
    ップを広げ、前記放電開始時の前記パルス電圧が適正電
    圧より高い場合には前記放電ギャップを狭めることを特
    徴とする放電加工機。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の装置において、さら
    に、 放電開始時間を検出する時間検出手段と、 を有し、前記電圧制御手段は、前記放電開始時間が所定
    しきい時間よりも短い場合に前記電極と前記被加工物の
    短絡状態を検出して前記パルス電圧の供給を停止するこ
    とを特徴とする放電加工機。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の装置に
    おいて、 前記パルス電源は、 放電パルスを出力するパルス電圧発生部と、 前記放電パルスに電圧を重畳する高電圧重畳部と、 を有し、 前記パルス電圧発生部は、前記時間積分値が所定値に達
    した時点で前記放電パルスの出力を停止し、 前記高電圧重畳部は、前記放電パルスと同期して前記放
    電パルスに時間とともに上昇する電圧を重畳し、かつ、
    放電開始以後に前記重畳を停止することを特徴とする放
    電加工機。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の装置において、 前記電圧制御手段は、 加工速度指令に基づいて基準パルスを生成する基準パル
    ス生成手段を備え、前記パルス電圧発生部は前記基準パ
    ルスに同期して前記放電パルスの出力を開始し、 前記高電圧重畳部は前記基準パルスに同期して前記上昇
    する電圧の重畳を開始することを特徴とする放電加工
    機。
  7. 【請求項7】 請求項5、6のいずれかに記載の装置に
    おいて、 前記電圧制御手段は、 前記放電電流を積分する積分器と、 前記所定値と前記積分器出力とを比較する比較器と、 を更に備え、 前記パルス電圧発生部は、 前記積分器出力が前記所定値に達したことを示す前記比
    較器の出力によって前記放電パルスの出力を停止するこ
    とを特徴とする放電加工機。
  8. 【請求項8】 請求項5〜7のいずれかに記載の装置に
    おいて、 前記電圧制御手段は、 前記放電電流と所定しきい電流とを比較することにより
    放電を検出する放電検出手段を更に備え、 前記高電圧重畳部は、前記放電検出手段の出力によって
    前記上昇する電圧の重畳を停止することを特徴とする放
    電加工機。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の装置において、 前記放電パルスの出力開始後、前記所定しきい時間以内
    に前記放電検出手段が放電を開始したことを検出した場
    合に、 前記パルス電圧発生部は前記放電パルスの出力を直ちに
    停止し、 前記高電圧重畳部は前記上昇する電圧の重畳を直ちに停
    止することを特徴とする放電加工機。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載の装置
    において、前記放電電流検出手段は、放電点近傍に配置
    されることを特徴とする放電加工機。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載の装
    置において、 前記放電電流検出手段は、 前記電極によりその中心部が貫かれるように配置された
    リング状の磁性体コアと、 前記磁性体コアに巻回されたコイルと、 を有することを特徴とする放電加工機。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の装置において、前
    記磁性体コアには、前記電極を通すための間隙が形成さ
    れることを特徴とする放電加工機。
  13. 【請求項13】 パルス電圧を電極と被加工物間に印加
    して放電を生じさせ、前記被加工物を部分的に溶解させ
    ることで加工する放電加工機における放電加工方法であ
    って、 時間と共に電圧が上昇するようなパルス電圧の供給を開
    始するパルス電圧供給ステップと、 放電開始を検出する放電開始検出ステップと、 放電開始以後の放電電流を積分する放電電流積分ステッ
    プと、 前記放電電流の積分結果を所定値と比較する積分結果比
    較ステップと、 前記積分結果が前記所定値以上となった場合に、前記パ
    ルス電圧の供給を停止するパルス電圧停止ステップと、 を備えることを特徴とする放電加工機における放電加工
    方法。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の方法において、さら
    に、 パルス電圧の供給を開始してから、放電開始までの放電
    開始時間を測定する放電開始時間測定ステップと、 前記放電開始時間と適正時間とを比較する放電開始適正
    時間比較ステップと、 前記放電開始時間が適正時間より短い場合には前記電極
    と前記被加工物間の放電ギャップを広げ、前記放電開始
    時間が適正時間より長い場合には前記放電ギャップを狭
    める時間比較放電ギャップ調節ステップと、 を備えることを特徴とする放電加工機における放電加工
    方法。
  15. 【請求項15】 請求項13記載の方法において、さら
    に、 放電開始時の前記パルス電圧を測定するパルス電圧測定
    ステップと、 前記放電開始時の前記パルス電圧と適正電圧とを比較す
    るパルス電圧適正電圧比較ステップと、 前記放電開始時の前記パルス電圧が前記適正電圧より低
    い場合には前記電極と前記被加工物間の放電ギャップを
    広げ、前記放電開始時の前記パルス電圧が前記適正電圧
    より高い場合には前記放電ギャップを狭める電圧比較放
    電ギャップ調節ステップと、 を備えることを特徴とする放電加工機における放電加工
    方法。
  16. 【請求項16】 請求項13記載の方法において、さら
    に、 パルス電圧の供給を開始してから、放電開始までの放電
    開始時間を測定する放電開始時間測定ステップと、 前記放電開始時間と所定しきい時間とを比較する所定し
    きい時間比較ステップと、 を備え、前記放電開始時間が所定しきい時間よりも短い
    場合に前記電極と前記被加工物の短絡状態を検出して前
    記パルス電圧停止ステップにおいて前記パルス電圧の供
    給を停止することを特徴とする放電加工機における放電
    加工方法。
  17. 【請求項17】 請求項13〜16のいずれかに記載の
    方法において、 前記パルス電圧供給ステップは、さらに、 放電パルスを出力する放電パルス出力ステップと、 前記放電パルスに電圧を重畳する高電圧重畳ステップ
    と、を含み、 前記高電圧重畳ステップは、前記放電パルスと同期して
    前記放電パルスに時間とともに上昇する電圧を重畳し、
    かつ、前記放電開始検出ステップにおいて放電を開始し
    たことを検出した時点で前記重畳を停止する、 ことを特徴とする放電加工機における放電加工方法。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載の方法において、 前記パルス電圧供給ステップは、さらに、 加工速度指令に基づいて基準パルスを生成する基準パル
    ス生成ステップを備え、前記放電パルス出力ステップは
    前記基準パルスに同期して前記放電パルスの出力を開始
    し、 前記高電圧重畳ステップは前記基準パルスに同期して前
    記上昇する電圧の重畳を開始することを特徴とする放電
    加工機における放電加工方法。
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