JP2014155945A - 非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法 - Google Patents

非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014155945A
JP2014155945A JP2013027707A JP2013027707A JP2014155945A JP 2014155945 A JP2014155945 A JP 2014155945A JP 2013027707 A JP2013027707 A JP 2013027707A JP 2013027707 A JP2013027707 A JP 2013027707A JP 2014155945 A JP2014155945 A JP 2014155945A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
welding
arc
welding torch
time
frequency voltage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013027707A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideo Shiozaki
秀男 塩崎
Toshiaki Nakamata
利昭 中俣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daihen Corp
Original Assignee
Daihen Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daihen Corp filed Critical Daihen Corp
Priority to JP2013027707A priority Critical patent/JP2014155945A/ja
Publication of JP2014155945A publication Critical patent/JP2014155945A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法において、スタート用高周波電圧の印加によって発生する電磁波ノイズを低減すること。
【解決手段】時刻t2にロボットの移動によって溶接トーチが予め教示された溶接開始位置Lcに到着すると、溶接トーチを前進移動させ、時刻t3に溶接トーチが予め教示されたアーク発生位置Laに到着するとスタート用高周波電圧を印加し、時刻t4にアークが発生するとアークの発生状態を維持したままで溶接トーチを後退移動させ、時刻t5に溶接トーチが溶接開始位置Lcに復帰すると、溶接トーチを溶接線に沿って移動させて溶接を行う。これにより、スタート用高周波電圧の強度が弱く設定されても、電極と母材との距離を短くしてから印加するので、瞬時にアークが点弧し、かつ、電磁波ノイズも低減される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、溶接トーチに装着された電極と母材との間にスタート用高周波電圧を印加してアークを発生させる非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法に関するものである。
非消耗電極アーク溶接には、ティグ溶接、プラズマアーク溶接等がある。これらの非消耗電極アーク溶接において、アークを点弧するためにスタート用高周波電圧を電極と母材との間に引火する方法が慣用されている。
このスタート用高周波電圧は、数MHz数kVの高周波高電圧である。このスタート用高周波電圧を発生させる回路には、フライバックトランス、コンデンサ、放電ギャップ等が含まれている。フライバックトランスの2次側に発生した数kVの高電圧によってコンデンサが充電され、充電電圧が一定値を超えると放電ギャップで放電が発生して高周波高電圧が発生する。この高周波高電圧がカップリングコイルを介して電極と母材との間に印加される。スタート用高周波電圧の強度を、電極を母材に徐々に近づけていきアークが点弧した電極先端・母材間距離として表すことができる。このスタート用高周波電圧の強度は、フライバックトランスの2次側電圧、コンデンサの容量、放電ギャップの間隔等を調整することで変化させることができる。
上述したようなスタート用高周波電圧を使用するアークスタート方法では、強い電磁波ノイズが発生するために、周辺機器に対して誤動作を引き起こしたり、ときには故障を生じさせる場合もある。
この問題を解決するために、スタート用高周波電圧の強度を弱くすることが考えられる。電磁波ノイズの強度は、スタート用高周波電圧の強度と比例関係にあるので、スタート用高周波電圧の強度が弱くなると、電磁波ノイズも低減される。反面、この方法では、アークスタート時の電極先端・母材間距離が短くないとアークは点弧しないために、通常の電極先端・母材間距離ではアークスタート不良が多発することになる。このときに、電極を予め加熱して高温状態にしてから、スタート用高周波電圧を印加すると、強度が弱い状態であっても良好なアークスタートを行うことができる。これは、電極が高温状態にあると、電極からの電子の放出が容易になるためである(例えば、特許文献1参照)。しかし、この方法では、電極を予熱するための特別な機器が必要となり、コストアップとなる。
また、上述した問題を解決する別の方法として、タッチスタート制御方法がある。このタッチスタート制御方法では、溶接トーチに装着された非消耗の電極を溶接トーチを前進移動させて母材と接触させ、電極が母材と接触して短絡状態になると小電流値の初期電流を通電し、その後に溶接トーチを後退移動させて電極を母材から引き離してアークを発生させ、アークが発生すると予め定めた定常電流を通電する。このタッチスタート制御方法では、電磁波ノイズは発生せず、良好なアークスタート性を得ることができる(例えば、特許文献2参照)。しかし、この方法では、電極が前進移動によって母材と接触したときに電極先端が損傷を受けることになる。この結果、頻繁に電極の交換又は研磨を行う必要があり、生産効率が大幅に低下する。
特開平6−79465号公報 特許第2640313号公報
そこで、本発明では、特別な機器を使用することなく、かつ、電極に損傷を与えることなく、電磁波ノイズを低減することができる非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、溶接トーチに装着された電極と母材との間にスタート用高周波電圧を印加してアークを発生させる非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法において、
ロボットの移動によって前記溶接トーチが予め教示された溶接開始位置に到着すると、前記溶接トーチを前進移動させ、前記溶接トーチが予め教示されたアーク発生位置に到着すると前記スタート用高周波電圧を印加し、前記アークが発生すると前記アークの発生状態を維持したままで前記溶接トーチを後退移動させ、前記溶接トーチが前記溶接開始位置に復帰すると、前記溶接トーチを溶接線に沿って移動させて溶接を行う、
ことを特徴とする非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法である。
請求項2の発明は、前記アークが発生した時点から前記溶接トーチが前記溶接開始位置に復帰するまでの後退移動期間中は予め定めたスタート電流を通電し、その後は予め定めた定常電流を通電する、
ことを特徴とする請求項1記載の非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法である。
請求項3の発明は、溶接休止時間を計測し、この溶接休止時間が所定時間未満のときは、前記溶接トーチが前記溶接開始位置に到着すると前記スタート用高周波電圧を印加し、前記アークが発生すると前記溶接トーチを前記溶接線に沿って移動させて溶接を行う、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法である。
本発明によれば、電極と母材との距離が短いアーク発生位置に溶接トーチが到着した時点でスタート用高周波電圧を印加するので、スタート用高周波電圧の強度が弱くても、瞬時にアークを点弧させることができる。スタート用高周波電圧の強度が弱く、かつ、瞬時にアークが点弧するので、電磁波ノイズが低減される。さらに、本発明では、特別な機器を使用する必要がなく、かつ、電極は母材と接触しないので電極に損傷を与えることもない。
本発明の実施の形態1に係る非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法を実施するための溶接装置の構成図である。 本発明の実施の形態1に係る非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法を示す図1の溶接装置における各信号のタイミングチャートである。 本発明の実施の形態2に係る非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法において、溶接休止時間が所定時間未満であるときの図1の溶接装置における各信号のタイミングチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法を実施するためのロボットを使用した溶接装置の構成図である。以下、同図を参照して、各構成物について説明する。
電流検出回路IDは、アーク3中を通電する溶接電流Iwを検出して、電流検出信号Idを出力する。通電判別回路WCRは、この電流検出信号Idを入力として、電流検出信号Idの値がしきい値以上のときはHighレベルとなる通電判別信号Wcrを出力する。しきい値は、電流が通電していることを判別するために1〜5A程度に設定される。溶接電流Iwが通電したことを判別してアーク3が発生したと判別している。これらの回路は、ロボット制御装置RC又は溶接電源PSに内蔵されることが多い。
ロボット制御装置RCは、外部からの溶接開始信号St及び上記の通電判別信号Wcrを入力として図2で詳述する以下の処理を行い、ロボットRMの動作制御を行う動作制御信号McをロボットRMの各軸のサーボモータ(図示は省略)に出力すると共に、起動信号On及び電流設定信号Irを溶接電源PSに出力する。
1)溶接開始信号StがHighレベルになると、ロボットRMに搭載された溶接トーチ4を予め教示された溶接開始位置Spに移動させるための動作制御信号Mcを出力する。
2)溶接トーチ4が溶接開始位置Spに到着すると、溶接トーチ4を前進移動させるための動作制御信号Mcを出力する。前進移動の方向は、電極1の長手方向に母材2に近づく方向である。
3)溶接トーチ4が予め教示されたアーク発生位置Apに到着すると、溶接トーチ4の移動を停止させるための動作制御信号Mcを出力する。同時に、起動信号OnをHighレベル(溶接電源PSによるスタート用高周波電圧の出力開始)にして出力すると共に、電流設定信号Irを予め定めたスタート電流設定値Isrにして出力する。
4)スタート用高周波電圧の印加によってアーク3が発生して溶接電流Iwが通電すると、通電判別信号WcrがHighレベルに変化する。これに応動して、溶接トーチ4を後退移動させるための動作制御信号Mcを出力する。後退移動の方向は、前進移動と逆方向である。
5)後退移動によって溶接トーチ4が溶接開始位置Spに復帰すると、溶接トーチ4の後退移動を停止させて、溶接線に沿って移動させるための動作制御信号Mcを出力する。同時に、電流設定信号Irを予め定めた定常電流設定値Icrに切り換えて出力する。
ロボットRMは、溶接トーチ4を搭載して、上記の動作制御信号Mcに従って溶接トーチ4の先端位置(TCP)を予め教示された動作軌跡に沿って移動させる。
溶接電源PSは、垂下特性又は定電流特性の電源であり、上記の通電判別信号Wcr、上記の起動信号On及び上記の電流設定信号Irを入力として、起動信号OnがHighレベルになるとスタート用高周波電圧及び溶接電圧Vwの出力を開始し、通電判別信号WcrがHighレベルになるとスタート用高周波電圧の出力を停止し、アーク3が発生すると電流設定信号Irによって定まる溶接電流Iwを出力する。
溶接トーチ4に装着されたタングステン等の非消耗の電極1と母材2との間にアーク3が発生する。電極1と母材2との間に溶接電圧Vwが印加し、アーク3中を溶接電流Iwが通電する。電極1の先端と母材2との距離が電極先端・母材間距離Lw(mm)であり、したがってこの電極先端・母材間距離Lwはアーク発生中はアーク長と同一になる。
図2は、本発明の実施の形態1に係る非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法を示す図1の溶接装置における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの時間変化を示し、同図(B)は起動信号Onの時間変化を示し、同図(C)は電流設定信号Irの時間変化を示し、同図(D)は通電判別信号Wcrの時間変化を示し、同図(E)は溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(F)は電極先端・母材間距離Lwの時間変化を示す。以下、同図を参照して説明する。
(1)時刻t1〜t2の期間
時刻t1において、同図(A)に示すように、溶接開始信号Stが外部から入力(Highレベル)されると、ロボットRMに搭載された溶接トーチ4を移動させて、時刻t2において溶接トーチ4は予め教示された溶接開始位置Spに到着して停止する。同図(F)に示すように、電極先端・母材間距離Lwは、時刻t1から短くなり、時刻t2で定常距離Lcとなる。
(2)時刻t2〜t3の期間
時刻t2において、溶接トーチ4が溶接開始位置Spに到着すると、溶接トーチ4は前進移動を開始する。同図(F)に示すように、電極先端・母材間距離Lwは、次第に短くなる。
(3)時刻t3〜t4の期間
時刻t3において、前進移動によって溶接トーチ4が予め教示されたアーク発生位置Asに到着すると、溶接トーチ4の前進移動を停止する。同時に、同図(B)に示すように、起動信号OnはHighレベルに変化する。これに応動して、溶接電源PSは、スタート用高周波電圧の出力を開始する。また、溶接電源PSは、定電流特性を形成して出力を開始するが、この期間中は電極1と母材2との間は無負荷状態にあるために、無負荷電圧が印加する。さらに、同図(C)に示すように、電流設定信号Irは、時刻t2において、予め定めた定常電流設定値Icrから予め定めたスタート電流設定値Isrに変化する。同図(F)に示すように、電極先端・母材間距離Lwは、時刻t3ではアーク発生距離Laになっており、その状態が時刻t4まで継続する。当然、La<Lcである。時刻t3〜t4の期間中、スタート用高周波電圧の印加が継続し、溶接トーチ4は停止状態にある。
(4)時刻t4〜t5の期間
時刻t4において、スタート用高周波電圧の印加によってアーク3が点弧すると、同図(E)に示すように、溶接電流Iwとしてスタート電流Isが通電する。これに応動して、同図(D)に示すように、通電判別信号WcrがHighレベルに変化する。これを受けて、アーク発生状態を維持したままで溶接トーチ4の後退移動が開始される。このために、同図(F)に示すように、電極先端・母材間距離Lwは、アーク発生距離Laから次第に長くなる。
(5)時刻t5以降の期間
時刻t5において、後退移動によって溶接トーチ4が上記の溶接開始位置Spに復帰すると、溶接トーチ4は後退移動を停止し、溶接線に沿っての移動を開始する。これに応動して、同図(C)に示すように、電流設定信号Irは、予め定めた定常電流設定値Icrに変化し、同図(E)に示すように、溶接電流Iwは定常電流Icに変化する。同図(F)に示すように、電極先端・母材間距離Lwは、時刻t5では上記の定常距離Lcとなり、それ以降もその値を維持する。時刻t2〜t5の期間がアークスタート期間となり、時刻t5以降の期間が定常溶接期間となる。
本実施の形態においては、スタート用高周波電圧の強度を通常よりも弱くなるように設定する。この設定は、上述したように、フライバックトランスの2次側電圧を低くすること、コンデンサの容量を小さくすること、放電ギャップの間隔を狭くすること等によって行う。上記の定常距離Lcは、定常溶接期間中のアーク長となり、ワークの板厚、継手形状、電極の直径、定常電流値Ic等に応じて適正値に設定される。例えば、Lc=5mmである。上記のアーク発生距離Laは、定常距離Lcの30〜50%程度に設定される。したがって、上記の溶接開始位置Spは、電極先端・母材間距離Lwが定常距離Lcとなる位置である。また、上記のアーク発生位置Apは、電極先端・母材間距離Lwがアーク発生距離Laとなる位置である。
上述した実施の形態1によれば、ロボットの移動によって溶接トーチが予め教示された溶接開始位置に到着すると、溶接トーチを前進移動させ、溶接トーチが予め教示されたアーク発生位置に到着するとスタート用高周波電圧を印加し、アークが発生するとアークの発生状態を維持したままで溶接トーチを後退移動させ、溶接トーチが溶接開始位置に復帰すると、溶接トーチを溶接線に沿って移動させて溶接を行う。これにより、電極と母材との距離が短いアーク発生位置に溶接トーチが到着した時点でスタート用高周波電圧を印加するので、スタート用高周波電圧の強度が弱くても、瞬時にアークを点弧させることができる。スタート用高周波電圧の強度が弱く、かつ、瞬時にアークが点弧するので、電磁波ノイズが低減される。さらに、本実施の形態では、特別な機器を使用する必要がなく、かつ、電極は母材と接触しないので電極に損傷を与えることもない。
上記のスタート電流Isは、定常電流Icが100A程度未満の小電流値であるときは、定常電流Icよりも大きな値に設定されることが多い。このようにすることで、電極及び母材が直ぐに高温状態になり、溶接状態が安定化する。また、定常電流Icが100A程度以上のときには、スタート電流Isは定常電流Icよりも小さな値に設定されることが多い。このようにすることで、アークスタート部のビードが定常溶接部よりも盛り上がることを抑制することができる。このときに、溶接トーチの後退移動時の電極先端・母材間距離Lwに応じてスタート電流Isを定常電流値Icまで傾斜を有して増加させるようにしても良い。これにより、スタート電流Isから定常電流Icへとスムーズに変化するので、溶融池の振動が小さくなり、溶接状態が安定化する。
[実施の形態2]
実施の形態2の発明は、溶接休止時間を計測し、この溶接休止時間が所定時間未満のときは、溶接トーチが溶接開始位置に到着するとスタート用高周波電圧を印加し、アークが発生すると溶接トーチを溶接線に沿って移動させて溶接を行うものである。すなわち、溶接休止時間が所定時間以上のときは実施の形態1のアークスタート制御方法を実施し、未満のときは溶接開始位置でスタート用高周波電圧を印加してアークを点弧させる従来技術のアークスタート制御方法を実施する。
溶接休止時間とは、前回の溶接終了から今回の溶接開始までの時間である。溶接終了は起動信号OnがLowレベルになり、溶接電源の出力が停止された時点である。溶接開始は起動信号OnがHighレベルになり、溶接電源が出力を開始した時点である。
実施の形態2に係る非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法を実施するための溶接装置は、上述した図1と同一である。但し、ロボット制御装置RCの動作が異なっている。溶接休止時間が所定時間以上のときの動作は、上述した図2と同一であるので、説明は省略する。溶接休止時間が所定時間未満のときの動作は、図3で後述する。
図3は、本発明の実施の形態2に係る非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法において、溶接休止時間が所定時間未満であるときの図1の溶接装置における各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの時間変化を示し、同図(B)は起動信号Onの時間変化を示し、同図(C)は電流設定信号Irの時間変化を示し、同図(D)は通電判別信号Wcrの時間変化を示し、同図(E)は溶接電流Iwの時間変化を示し、同図(F)は電極先端・母材間距離Lwの時間変化を示す。以下、同図を参照して説明する。
(1)時刻t1〜t2の期間
時刻t1において、同図(A)に示すように、溶接開始信号Stが外部から入力(Highレベル)されると、ロボットRMに搭載された溶接トーチ4を移動させて、時刻t2において溶接トーチ4は予め教示された溶接開始位置Spに到着して停止する。同図(F)に示すように、電極先端・母材間距離Lwは、時刻t1から短くなり、時刻t2で定常距離Lcとなる。
(2)時刻t2〜t3の期間
時刻t2において、溶接トーチ4が溶接開始位置Spに到着すると、同図(B)に示すように、起動信号OnはHighレベルに変化する。これに応動して、溶接電源PSは、スタート用高周波電圧の出力を開始する。また、溶接電源PSは、定電流特性を形成して出力を開始するが、この期間中は電極1と母材2との間は無負荷状態にあるために、無負荷電圧が印加する。起動信号OnがHighレベルに変化した時点において、溶接休止時間が計測される。この溶接休止時間と所定時間とを比較する。同図は、溶接休止時間が所定時間未満の場合である。同図(C)に示すように、電流設定信号Irは予め定めた定常電流設定値Icrのままである。同図(F)に示すように、電極先端・母材間距離Lwは、時刻t2以降は定常距離Lcのままである。時刻t2〜t3の期間中、スタート用高周波電圧の印加が継続し、溶接トーチ4は停止状態にある。
(3)時刻t3以降の期間
時刻t3において、スタート用高周波電圧の印加によってアーク3が点弧すると、同図(E)に示すように、溶接電流Iwとして定常電流Icが通電する。これに応動して、同図(D)に示すように、通電判別信号WcrがHighレベルに変化する。これを受けて、溶接トーチ4は溶接線に沿っての移動を開始する。時刻t2〜t3の期間がアークスタート期間となり、時刻t3以降の期間が定常溶接期間となる。
今回の溶接開始時点における電極の温度は、溶接休止時間が長くなるのに伴い低くなる。溶接休止時間が所定時間未満であれば、電極の温度は基準温度よりも高い状態にある。電極の温度が高いほど、スタート用高周波電圧の強度が弱くても、電極先端・母材間距離Lwが定常距離Lcの状態で瞬時にアークを点弧させることができる。したがって、溶接休止時間が所定時間未満のときは、実施の形態1のように電極先端・母材間距離Lwを短くする前進移動動作を行わないようにしている。上記の所定時間は、スタート用高周波電圧の強度が弱く設定されても、定常距離Lcでアークが瞬時に点弧する電極の温度以上となる値として設定される。所定時間は、前回の溶接における定常電流値Ic及び溶接時間に応じて適正値に変化させることが望ましい。例えば、所定時間は3〜6秒程度に設定される。
上述した実施の形態2によれば、溶接休止時間を計測し、この溶接休止時間が所定時間未満のときは、溶接トーチが溶接開始位置に到着するとスタート用高周波電圧を印加し、アークが発生すると溶接トーチを溶接線に沿って移動させて溶接を行う。これにより、実施の形態1の効果に加えて、溶接トーチを前進移動及び後退移動させる時間が不要になるので、アークスタートにかかる時間を短縮することができる。このために、生産効率を高めることができる。
1 電極
2 母材
3 アーク
4 溶接トーチ
Ap アーク発生位置
As アーク発生位置
Ic 定常電流
Icr 定常電流設定値
ID 電流検出回路
Id 電流検出信号
Ir 電流設定信号
Is スタート電流
Isr スタート電流設定値
Iw 溶接電流
La アーク発生距離
Lc 定常距離
Lw 電極先端・母材間距離
Mc 動作制御信号
On 起動信号
PS 溶接電源
RC ロボット制御装置
RM ロボット
Sp 溶接開始位置
St 溶接開始信号
Vw 溶接電圧
WCR 通電判別回路
Wcr 通電判別信号

Claims (3)

  1. 溶接トーチに装着された電極と母材との間にスタート用高周波電圧を印加してアークを発生させる非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法において、
    ロボットの移動によって前記溶接トーチが予め教示された溶接開始位置に到着すると、前記溶接トーチを前進移動させ、前記溶接トーチが予め教示されたアーク発生位置に到着すると前記スタート用高周波電圧を印加し、前記アークが発生すると前記アークの発生状態を維持したままで前記溶接トーチを後退移動させ、前記溶接トーチが前記溶接開始位置に復帰すると、前記溶接トーチを溶接線に沿って移動させて溶接を行う、
    ことを特徴とする非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法。
  2. 前記アークが発生した時点から前記溶接トーチが前記溶接開始位置に復帰するまでの後退移動期間中は予め定めたスタート電流を通電し、その後は予め定めた定常電流を通電する、
    ことを特徴とする請求項1記載の非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法。
  3. 溶接休止時間を計測し、この溶接休止時間が所定時間未満のときは、前記溶接トーチが前記溶接開始位置に到着すると前記スタート用高周波電圧を印加し、前記アークが発生すると前記溶接トーチを前記溶接線に沿って移動させて溶接を行う、
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法。
JP2013027707A 2013-02-15 2013-02-15 非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法 Pending JP2014155945A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013027707A JP2014155945A (ja) 2013-02-15 2013-02-15 非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013027707A JP2014155945A (ja) 2013-02-15 2013-02-15 非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014155945A true JP2014155945A (ja) 2014-08-28

Family

ID=51577201

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013027707A Pending JP2014155945A (ja) 2013-02-15 2013-02-15 非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014155945A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107635707A (zh) * 2014-12-19 2018-01-26 伊利诺斯工具制品有限公司 电弧启动系统和方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107635707A (zh) * 2014-12-19 2018-01-26 伊利诺斯工具制品有限公司 电弧启动系统和方法
CN107635707B (zh) * 2014-12-19 2019-08-27 伊利诺斯工具制品有限公司 电弧启动系统和方法
CN110640262A (zh) * 2014-12-19 2020-01-03 伊利诺斯工具制品有限公司 电弧启动系统和方法
US10987748B2 (en) 2014-12-19 2021-04-27 Illinois Tool Works Inc. Electric arc start systems and methods

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3844004B1 (ja) パルスアーク溶接制御方法及びパルスアーク溶接装置
US8362397B2 (en) Arc start control method
EP1749612B1 (en) Arc start control method in robot welding
JP2009226443A (ja) 2電極アーク溶接のアークスタート制御方法
JP6221075B2 (ja) 高周波発生装置および放電加工電源装置
JP2014155945A (ja) 非消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法
JP6308651B2 (ja) アンチスティック制御方法
JP2012206167A (ja) 消耗電極アーク溶接のアークスタート制御方法
JP6260007B2 (ja) 放電加工システム
JP6027887B2 (ja) 非消耗電極アーク溶接のタッチスタート制御方法
CN103182584A (zh) 消耗电极电弧焊的起弧控制方法
JP2022045136A (ja) 溶接電源システム
CA2351486C (en) Improved welding apparatus and method
JP2018202431A (ja) 非消耗電極アーク溶接制御方法
JP2014104498A (ja) 非消耗電極アーク溶接のタッチスタート制御方法
WO2021140970A1 (ja) アーク溶接制御方法及びアーク溶接装置
JP2022045137A (ja) 溶接電源システム
CN111344097B (zh) 电弧的无接触点火方法和用于执行点火工艺的焊接电流源
JP2015006675A (ja) 溶接終了時のワイヤ先端粒径の検出方法及びこれを用いたアークスタート制御方法
JP2023007555A (ja) 複合溶接方法
JP2019005790A (ja) 非消耗電極アーク溶接制御方法
JP2021120162A (ja) 被覆アーク溶接の溶接開始方法
JP5977553B2 (ja) プラズマアーク溶接方法およびプラズマアーク溶接システム
JP6444804B2 (ja) プラズマ溶接電源装置
JP2021020232A (ja) 被覆アーク溶接制御方法