JP2002035132A - 電気配線を有する可撓管の製造方法および電気配線を有する可撓管 - Google Patents

電気配線を有する可撓管の製造方法および電気配線を有する可撓管

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JP2002035132A
JP2002035132A JP2000221313A JP2000221313A JP2002035132A JP 2002035132 A JP2002035132 A JP 2002035132A JP 2000221313 A JP2000221313 A JP 2000221313A JP 2000221313 A JP2000221313 A JP 2000221313A JP 2002035132 A JP2002035132 A JP 2002035132A
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Shigeo Maeda
重雄 前田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気配線を有し、管外径が極めて小さく、優
れた柔軟性および屈曲性を有する(管の曲げ剛性および
最小曲げ半径が十分に小さい)可撓管を簡単かつ短時間
で製造できるようにする。 【解決手段】 軸線方向に引き伸ばすことにより縮径し
得る芯線1の外周面に第1の高分子材料層2を形成し、
該第1の高分子材料層2の外周に、補強材用の線状体3
と、電気配線用の線状体4a、4bとを、一方の線状体
間の隙間に他方の線状体が配置されるように、それぞれ
螺旋状に巻き付け、さらに、当該巻き付けた補強材用の
線状体および電気配線用の線状体を被覆するように、第
1の高分子材料層2の外周面に接合し得る第2の高分子
材料層5を形成した後、芯線1を軸線方向に引き伸ばし
て縮径して、芯線1の外周面から第1の高分子材料層2
を分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気配線を有する可
撓管およびその製造方法に関し、特に、マイクロカテー
テルに好適な可撓管およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、人体の血管、食道、消化管、
尿道等の管腔にカテーテルを挿入して、患部の診断や患
部に薬の投与を行うカテーテル医療が行われている。ま
た、近年においては、薬の投与を目的に使用するカテー
テルだけでなく、狭くなった心臓の血管を風船で広げて
心筋梗塞を治療するカテーテルや、脳動脈を血管内から
塞栓して脳動脈瘤の破裂を未然に防止するカテーテルな
どが開発されている。これらの心臓血管や脳血管等の極
めて細い血管に挿通して、外科手術の代替治療を行うカ
テーテルは、特に、マイクロカテーテルとも呼ばれてい
る。
【0003】かかるマイクロカテーテルにおいては、当
然のことながら、極めて細い管腔に挿通して患部まで確
実に到達しうる操作性と、目的の治療や診断に応じた機
能を具備したものでなければならない。そのために、例
えば、外装材である可撓管には管壁の略全長にかけて、
管の先端部に搭載する複数のセンサ(血流センサ、圧力
センサなど)からの情報を管の基端部側(操作側)へ伝
達するための配線を埋設し、可撓管内には治療用デバイ
スを挿入するための中空スペースを確保した構成として
いる。なお、可撓管の先端部に搭載する複数のセンサ
(センシング機構)は、可撓管の先端の管壁に埋設する
場合の他、可撓管の先端に装着される可撓管とは別体の
機能部材(例えば、心筋梗塞の治療用カテーテルの血管
拡張用のバルーン)にセンサを付設する場合もある。
【0004】ところで、通常、カテーテルの外装材であ
る可撓管には、安全性の点から高分子材料(ゴム、樹
脂)製のチューブ(以下、高分子製チューブとも略称す
る)が使用されるが、カテーテルが複雑に曲がった管腔
にスムーズに挿通できるよう、可撓管には、優れた柔軟
性(曲げ剛性が十分に小さいこと)とともに、優れた屈
曲性(座屈を生じることなく十分に小さい曲げ半径で屈
曲し得る性質)、および、捩れにくさが要求される。前
記のマイクロカテーテルは極めて細い血管に挿通するの
で、外装材である可撓管もより細径のものが用いられ
る。よって、細径の可撓管に対して優れた柔軟性と屈曲
性、および、捩れにくさを付与し、かつ、管壁に電気配
線を埋設しなければならない。
【0005】例えば、雑誌(「エレクトロニクス」、1
997年、4月号)に提案されている脳血管治療用のカ
テーテルでは、細径であるが管壁の厚みが比較的厚い高
分子製チューブ(外径1.8mm、肉厚0.4mmのポ
リウレタンチューブ)を可撓管に用い、これの管壁に螺
旋状の溝をエキシマレーザを用いた直接パターニング技
術で形成して、可撓管の曲げ剛性を小さくし、また、屈
曲性を向上させている。一方、可撓管の管壁に埋設する
配線は、上記高分子製チューブの管壁に、下地パターン
となる螺旋状溝(上記の管の柔軟性を高めるための螺旋
状溝とは別の螺旋状溝)を上記と同様のエキシマレーザ
を用いた直接パターニング技術で形成し、次いで、イオ
ンビームアシスト蒸着で管壁の外周面全域に銅薄膜を形
成してから、該銅薄膜の下地パターン上に形成された部
分のみを残して他の部分を剥離し、さらに残された銅薄
膜に電気メッキによって銅を付着させて厚膜化(低抵抗
化)した後、絶縁性の膜で銅配線の表面を被覆すること
により、形成している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記提案のマイクロカ
テーテルにおける電気配線を管壁に埋設した構造の可撓
管を得るには、前記のように、高分子製チューブに対し
て、エキシマレーザを用いた溝加工、イオンビーム
アシスト蒸着による配線用の銅薄膜の形成、配線用の
銅薄膜の不要部分の除去(剥離)、電気メッキによる
銅薄膜の厚膜化、および、絶縁性の膜による配線表面
の被覆、の5つの処理を行う必要があり、また、各処理
は互いに異なる処理装置を用いて個別に行われる処理で
あるため、作製工程が極めて複雑で、作業時間も極めて
長くなるという問題がある。特に、エキシマレーザによ
る溝加工およびイオンビームアシスト蒸着は特殊な装置
を用いた処理であるため、これらの処理は、特に煩雑さ
を伴う。また、可撓管に優れた柔軟性と優れた屈曲性を
付与するために、管壁の厚みが比較的厚い高分子製チュ
ーブの管壁に螺旋状の溝を形成しているが、溝深さを深
くして、管の柔軟性を高めようとすると、溝を形成した
部分の肉厚が薄くなって座屈や捩れが生じやすくなり、
管の柔軟性と屈曲性の両方を十分に向上できない(ま
た、管の柔軟性向上と耐捩れ性の両立化も困難であ
る)。また、可撓管内に治療用デバイス挿入用の中空ス
ペースを十分に確保するために高分子製チューブの内径
を比較的大きくしているが、高分子製チューブの管壁の
厚みが比較的厚いので、管の外径が十分に細いものにな
っていない(外径:1.8mm)。また、管壁に埋設す
る電気配線をイオンビームアシスト蒸着と電気メッキ技
術を用いて低抵抗化(厚膜化)しているが、その電気抵
抗率は4Ω/m程度であり、配線の電気抵抗が高いとい
う問題がある。
【0007】本発明は、かかる事情に鑑み、電気配線を
有し、管外径が極めて小さく、優れた柔軟性および屈曲
性を有する(すなわち、管の曲げ剛性および最小曲げ半
径が十分に小さい)可撓管、さらには捩れも十分に抑制
される可撓管を簡単かつ短時間で製造し得る方法および
該方法で製造された電気配線を有する可撓管を提供する
ことを目的としている。なお、上記「最小曲げ半径」と
は、「管が座屈を生じることなく屈曲し得る範囲での管
の曲げ半径の最小値」である。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明者は鋭意研究した結果、芯線に高分子材料の層を
被覆し、該高分子材料の層に補強材用の線状体と、電気
配線用の線状体を螺旋状に巻きつけた後、これらのコイ
ルを高分子材料の層で被覆して管構造を形成するように
すれば、電気配線が埋設し、細径であり、曲げ剛性が十
分に小さく、座屈や捩れも生じにくい可撓管を簡単に作
成できることを見出した。すなわち、本発明は以下の特
徴を有している。
【0009】(1)管壁に電気配線が埋設された可撓管
を製造する方法であって、軸線方向に引き伸ばすことに
より縮径し得る芯線の外周面に第1の高分子材料層を形
成し、該第1の高分子材料層の外周に、補強材用の線状
体と電気配線用の線状体とを、一方の線状体間の隙間に
他方の線状体が配置されるように、それぞれ螺旋状に巻
き付け、さらに、当該巻き付けた補強材用の線状体およ
び電気配線用の線状体を被覆するように、前記第1の高
分子材料層の外周面に接合し得る第2の高分子材料層を
形成した後、前記芯線を軸線方向に引き伸ばして縮径し
て、前記芯線の外周面から前記第1の高分子材料層を分
離することを特徴とする電気配線を有する可撓管の製造
方法。 (2)補強材用の線状体は、引張り強さが650〜40
00MPaの線状体である上記(1)記載の電気配線を
有する可撓管の製造方法。 (3)螺旋状に巻き付けた補強材用の線状体は1本の線
状体を螺旋状に巻き付けたものであり、螺旋状に巻き付
けた電気配線用の線状体は、2本の線状体を互いに離間
させて同時に螺旋状に巻き付けたものである上記(1)
記載の電気配線を有する可撓管の製造方法。 (4)芯線の外周面に離型剤を塗布してから当該外周面
に第1の高分子材料層を形成することを特徴とする上記
(1)記載の電気配線を有する可撓管の製造方法。 (5)第1および第2の高分子材料層を蒸着により形成
することを特徴とする上記(1)記載の電気配線を有す
る可撓管の製造方法。 (6)可撓管がカテーテル用の可撓管である上記(1)
〜(5)のいずれかに記載の電気配線を有する可撓管の
製造方法。 (7)補強材用の線状体コイルの線状体間の隙間に電気
配線用の線状体コイルの線状体を配置させたコイル複合
体を、高分子材料の蒸着層で被覆してなる電気配線を有
する可撓管。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面を参照してよ
り詳細に説明する。図1(a)〜図1(f)は本発明の
可撓管およびその製造方法の一例を示す図であり、断面
を示している。先ず、図1(a)に示すように、軸線方
向に引き伸ばして縮径し得る線状体を用意し、これを芯
線1とする。当該芯線1は、製造する可撓管の全長に対
応する長さのものを用意する。すなわち、可撓管の用途
によっても異なるが、当該芯線1の長さは、一般に、1
〜3mm程度である。当該芯線1に用いる軸線方向に引
き伸ばして縮径し得る線状体としては、容易に引き伸ば
すことのできる比較的軟質の金属線が好ましく、特に、
引き伸ばしたときに線状体の全長に亘って一様な線径が
得られやすい点から、銅線、アルミ線、軟質アルミ線等
が特に好適である。本発明が目的とする管壁に電気配線
が埋設された可撓管はカテーテル用の可撓管として特に
有用なものであり、この種の可撓管は断面が円形の可撓
管である。よって、芯線1には、通常、断面が円形の線
状体を用いるが、もちろん、多角形(例えば矩形)や楕
円などの円形以外の断面の可撓管を得るのであれば、芯
線1には断面が多角形や楕円の線状体を使用すればよ
い。また、芯線1の線径が可撓管の内径となるので、芯
線1の線径は、製造すべき可撓管の内部に挿入する部材
(例えば、マイクロカテーテルに挿入する治療用のデバ
イス等)の大きさに応じて適宜決定する。芯線1の断面
が円形の場合で、その直径(楕円の場合は長径)は通常
0.5〜5mm程度、好ましくは1〜2mm程度であ
る。芯線の断面が多角形の場合、その外接円の直径がか
かる直径に相当する外径とする。
【0011】次に、図1(b)に示すように、芯線1の
外周面に第1の高分子材料層2を形成する。なお、後述
の最終の工程で芯線1を引き伸ばして縮径することによ
って、芯線1を高分子材料層2から分離するが、その際
の分離が容易に行われるように、芯線1の外周面に離型
剤を塗布してから、第1の高分子材料層2を形成するの
が好ましい。離型剤としては、通常、界面活性剤が用い
られ、例えば、International Products Corporation
社製、MicroSoap(商品名)等が挙げられる。
なお、芯線1と第1の高分子材料層2との接着力を低減
し得るものであれば、界面活性剤以外の材料も使用可能
であり、例えば、種々のアルコール類やテレビン油等が
挙げられる。当該第1の高分子材料層2は最終的に可撓
管の管壁の内側層を構成する。よって、目的の可撓管の
柔軟性と機械的強度(管壁の耐破損性等)等を考慮し
て、高分子材料の種類を決定する。高分子材料として
は、各種の樹脂やゴムを使用できるが、ポリパラキシリ
レン、ポリイミド、ポリウレタン、ナイロン樹脂、フッ
素樹脂、シリコーンゴム等が好適である。特に、室温で
蒸着により芯線1の外周面に付着して層形成を行うこと
ができ、しかも、抗血栓性を有し、電気絶縁性、誘電特
性に優れる点で好ましいポリパラキシリレンが特に好適
である。層の形成方法としては、蒸着(重合)の他、デ
ィップコート等の種々の方法を用いることができる。蒸
着の場合、ディップコート等に比べて均一な厚みの層が
形成でき、好ましい。当該第1の高分子材料層2の厚み
は、管の外径を十分に小さくする点から、5〜25μm
程度が好ましく、特に好ましくは10〜15μm程度で
ある。
【0012】次に、図1(c)に示すように、第1の高
分子材料層2上に、補強材用の線状体3を、芯線1の軸
線方向へ螺旋状に巻き付けてコイル3Aを形成し、さら
に、図1(d)に示すように、2本の配線用の線状体4
a、4bを、互いに離間させて、前記螺旋状に巻き付け
た補強材用線状体3の隣り合う線間の隙間に巻き付けて
コイル4Aを形成する。ここで、配線用の線状体に2本
の線状体4a、4bを使用するのは、可撓管の先端に搭
載する電気・電子部品(例えば、マイクロカテーテル用
の可撓管における各種センサ)の入力用と出力側の配線
を形成するためである。なお、図では、補強材用の線状
体3を巻き付けてから、配線用の線状体4a、4bを巻
きつけているが、これの順序は逆でもよい。補強材用の
線状体3は、可撓管の管構造を保持するための骨格であ
り、可撓管の柔軟性および屈曲性の点から、通常、JI
S G 4309に規定の測定方法で測定した引張り強
さが650〜4000MPa、好ましくは1500〜3
500MPaのものが使用される。かかる引張り強さを
有する線状体としては、例えば、SUS304、SUS
3196、SUS201、SUS303、SUS30
5、SUS309、SUS310等のステンレス鋼線、
硬鋼線、ピアノ線、銅線、黄銅線、洋白線、りん青銅
線、ベリリウム銅線などが挙げられる。また、かかる補
強材用の線状体3は一般に断面が円形の丸線が用いられ
るが、断面が扁平形状の平線、断面が矩形の角線等も使
用できる。当該補強材用の線状体3の線径は30〜35
0μm程度が好ましく、特に好ましくは100〜200
μm程度である。かかる範囲の線径であれば、可撓管の
柔軟性を損なうことなく、管の座屈や捩れに対する耐性
を十分に高めることができる。
【0013】当該補強材用の線状体3からなるコイル3
Aにおける線状体3のピッチP1は狭すぎると可撓管の
柔軟性が損なわれる傾向となり、広すぎると可撓管の座
屈や捩れに対する耐性が低下する傾向となる。よって、
該ピッチP1は、線径の2〜4倍程度が好ましく、特に
好ましくは線径の2.5〜3.5倍程度である。芯線1
の軸線方向、すなわち、可撓管の軸線方向で管の曲げ剛
性を一定とする場合は、コイル3Aの全長に亘って一定
のピッチとするが、管の曲げ剛性を変化させる場合は、
コイル3Aの軸線方向において段階的または連続的にピ
ッチを変化させてもよい。例えば、可撓管の基端部側か
ら先端部側へとコイル3Aにおける線状体3の巻きピッ
チP1を段階的または連続的に大きくすれば、管の基端
部側から先端部側に向かうにつれて段階的または連続的
に曲げ剛性が小さくなる可撓管が得られる。
【0014】配線用の線状体4a、4bとしては、電気
抵抗率が3.5Ω/m以下、好ましくは0.2〜3Ω/
mの良導電性を有し、かつ、芯材に巻き付けて保持され
得る線状体が使用される。例えば、銅線、銀線、金線等
が好適であり、芯材への巻き付け作業時の引張強度の点
から銅線が特に好ましい。また、当該線状体4a、4b
は断面が円形の丸線でも、扁平形の平線でも、矩形の角
線でもよい。また、線径は80〜350μm程度が好ま
しく、特に好ましくは100〜200μm程度である。
また、2本の線状体4a、4b間の間隔L1(軸線間の
距離)は、通常、30〜50μm程度とする。また、当
該配線用の線状体4a、4bは、図1(d)に示すよう
に、補強材用の線状体3の隣り合う線間の隙間の略真中
の位置に巻き付けるのが好ましい。これは、補強材用の
線状体3(コイル3A)の隣り合う線状体間における管
の機械的強度(耐破損性等)の均一化を図るとともに、
可撓管の使用時において配線用の線状体4a、4bの前
記第1の高分子材料層1や後述の第2の高分子材料層へ
の接着性が低下した場合に、その位置がズレて補強材用
の線状体3に接触することがないように、補強材用の線
状体3との間隔を十分に確保するためである。上記補強
材用の線状体3および配線用の線状体4a、4bの巻き
付けは、例えば、マイクロコイリング装置等の公知の巻
線装置で行われる。
【0015】次に、図1(e)に示すように、補強材用
の線状体3(コイル3A)と配線用の線状体4a、4b
(コイル4A)の表面を被覆するように、第1の高分子
材料層2の全面に亘って第2の高分子材料層5を形成す
る。第2の高分子材料層5に使用する材料は、前記の第
1の高分子材料層2の具体例として挙げたポリパラキシ
リレン、ポリイミド、ポリウレタン、ナイロン樹脂、フ
ッ素樹脂、シリコーンゴム等が好適であり、第1の高分
子材料層2との間で不連続部分(性状が相違する境界
部)を形成しにくい点から、通常、第1の高分子材料層
2と同じ高分子材料が選択される。また、層の形成方法
も、第1の高分子材料層2のそれと同じ方法を用いるこ
とができ、特に蒸着を用いるのが好ましい。また、当該
第2の高分子材料層5の厚みは、前記第1の高分子材料
層と同様に、5〜25μm程度が好ましく、特に好まし
くは10〜15μm程度である。可撓管の柔軟性の点か
ら、第1の高分子材料層2と同じ厚みとするのが好まし
い。
【0016】最後に、前記芯線1を軸線方向に引き伸ば
して縮径させ、芯線1の外周表面から第1の高分子材料
層2を分離して、芯線1を引き抜くことにより、図1
(f)に示すように、可撓管10が取得される。
【0017】このように本発明の方法では、エキシマレ
ーザによる溝加工やイオンビームアシスト蒸着による配
線金属の蒸着等の特殊な加工技術を用いることなく、芯
線にに対して高分子材料層を形成する作業と線状体を巻
き付ける作業(コイルを形成する作業)を行うことのみ
によって、簡単に電気配線を有する可撓管を製造するこ
とができる。また、このようにして得られる本発明の可
撓管10は、高分子材料(第1および第2の高分子材料
層2、5)で形成された管壁6に補強材用の線状体3の
コイル3Aと電気配線用の線状体4a、4bのコイル4
Aが埋設された構造で、電気配線(電気配線用の線状体
4a、4b)の電気抵抗率が十分に低く、従来よりも低
抵抗の電気配線を有するものとなる。そして、第1の高
分子材料層2と第2の高分子材料層5のトータルの厚み
(すなわち、管壁6の厚み)が、20〜30μmの範囲
であれば、補強材料の線状体3の線径を管の最大外径部
(補強材用の線状体3が存在する部分)の外径が従来の
1.8mmよりも小さくなる線径にしても、管の最大外
径部を少なくとも1.3mm以上にする線径であれば
(管の内径は1〜1.06mm程度)、可撓管の曲げ剛
性は十分に小さく(下記の曲げ剛性試験で得られる曲げ
剛性が概ね0.03N以下、特に0.01〜0.02
N)、かつ、優れた屈曲性(最小曲げ半径が4mm以
下)を示し、さらに、管内に挿通する部材との接触や可
撓管の保管時等における他の物体との接触によっても管
壁に破損が生じない強度が得られることを確認してい
る。また、特に第1の高分子材料層2と第2の高分子材
料層5をポリパラキシリレンの蒸着層で形成したもの
は、該蒸着層の厚みを薄くしてもピンホール発生の心配
がなく、気密性に優れた可撓管となる。
【0018】曲げ剛性試験 JIS K 7203に規定される試験方法に準拠し
て、5cm長に切断した管を試料として、三点曲げによ
り2mmたわみ時の荷重を測定しこれを曲げ剛性とす
る。試験条件は、試験速度が10mm/min、支持点
間の距離が30mm、試験温度が23℃である。
【0019】本発明の電気配線を有する可撓管は、マイ
クロカテーテル等のカテーテル用の可撓管に特に好適で
ある。
【0020】
【実施例】以下、実施例を示し、本発明をより具体的に
説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもので
はない。 実施例1 外径1mm、全長1.5mの銅線を芯線として、これの
外周面にInternational Products Corporation社製、
MicroSoap(商品名)を0.1〜0.5μmの
厚みに塗布した。次に、前記芯線(銅線)の外周面にポ
リパラキシリレンを蒸着して厚み10μmの層を形成し
た。次に、このポリパラキシリレンの層の上に、線径が
200μmのステンレス鋼線(引っ張り強度:1650
MPa)をマイクロコイリング機により600μmの一
定のピッチで芯線の全長に亘って螺旋状に巻き付けた。
次に、マイクロコイリング機によって中心線間が150
μmの間隔に保って送り出した、線径が90μmの2本
の軟銅線を、上記螺旋状に巻き付けたステンレス鋼線の
隙間の略真ん中の位置に配置して、芯線の全長に亘って
螺旋状に巻き付けた。次に、上記のステンレス鋼線と軟
銅線を被覆するように、ポリパラキシリレンを、上記の
ポリパラキシリレンの層の全面に対して蒸着して厚み1
0μmの層を形成した。そして、最後に芯線の両端を軸
線方向に引き伸ばして、ポリパラキシリレンの層から芯
線を分離して、可撓管を完成させた。得られた可撓管の
寸法は、全長が1.5m、管の内径が1mm、管の最大
外径部の外径が1.44mm、管壁の最小厚みが20μ
m、最大厚みが220μmであった。さらにこの可撓管
の最小曲げ半径は約3.6mm、曲げ剛性は0.015
Nであった。また、このような薄肉管であるのにかかわ
らず、ピンホールが存在しない気密性の高い可撓管であ
った。
【0021】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明によれば、電気配線を有する可撓管であって、管外径
が極めて小さく、優れた柔軟性および屈曲性を示す可撓
管を簡単かつ短時間で製造することができる。また、電
気配線の低抵抗化も容易に実現することができる。ま
た、管壁を樹脂の蒸着層で形成することで、特に気密性
に優れた可撓管を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜図1(f)は本発明の可撓管およ
びその製造方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 芯線 2 第1の高分子材料層 3 補強材用の線状体 4a、4b 配線用の線状体 5 第2の高分子材料層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 管壁に電気配線が埋設された可撓管を製
    造する方法であって、軸線方向に引き伸ばすことにより
    縮径し得る芯線の外周面に第1の高分子材料層を形成
    し、該第1の高分子材料層の外周に、補強材用の線状体
    と電気配線用の線状体とを、一方の線状体間の隙間に他
    方の線状体が配置されるように、それぞれ螺旋状に巻き
    付け、さらに、当該巻き付けた補強材用の線状体および
    電気配線用の線状体を被覆するように、前記第1の高分
    子材料層の外周面に接合し得る第2の高分子材料層を形
    成した後、前記芯線を軸線方向に引き伸ばして縮径し
    て、前記芯線の外周面から前記第1の高分子材料層を分
    離することを特徴とする電気配線を有する可撓管の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 補強材用の線状体は、引張り強さが65
    0〜4000MPaの線状体である請求項1記載の電気
    配線を有する可撓管の製造方法。
  3. 【請求項3】 螺旋状に巻き付けた補強材用の線状体は
    1本の線状体を螺旋状に巻き付けたものであり、螺旋状
    に巻き付けた電気配線用の線状体は、2本の線状体を互
    いに離間させて同時に螺旋状に巻き付けたものである請
    求項1記載の電気配線を有する可撓管の製造方法。
  4. 【請求項4】 芯線の外周面に離型剤を塗布してから当
    該外周面に第1の高分子材料層を形成することを特徴と
    する請求項1記載の電気配線を有する可撓管の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 第1および第2の高分子材料層を蒸着に
    より形成することを特徴とする請求項1に記載の電気配
    線を有する可撓管の製造方法。
  6. 【請求項6】 可撓管がカテーテル用の可撓管である請
    求項1〜5のいずれかに記載の電気配線を有する可撓管
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 補強材用の線状体コイルの線状体間の隙
    間に電気配線用の線状体コイルの線状体を配置させたコ
    イル複合体を、高分子材料の蒸着層で被覆してなる電気
    配線を有する可撓管。
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