JP2002030499A - 調理器用アルミニウム基材の製造方法 - Google Patents

調理器用アルミニウム基材の製造方法

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JP2002030499A
JP2002030499A JP2000207347A JP2000207347A JP2002030499A JP 2002030499 A JP2002030499 A JP 2002030499A JP 2000207347 A JP2000207347 A JP 2000207347A JP 2000207347 A JP2000207347 A JP 2000207347A JP 2002030499 A JP2002030499 A JP 2002030499A
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Japan
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fluororesin coating
aluminum
cooker
electrochemical etching
aluminum substrate
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JP2000207347A
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Kazuhiro Matsumura
一広 松村
Junji Furukawa
純司 古川
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Sumitomo Electric Fine Polymer Inc
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Sumitomo Electric Fine Polymer Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 改善された電気化学エッチング処理法によ
り、フッ素樹脂被覆層との接着力が顕著に向上し、か
つ、フッ素樹脂被覆層にピンホールが発生することがな
い調理器用アルミニウム基材の製造方法を提供するこ
と。 【解決手段】 塩素イオン濃度が0.1重量%以上かつ
pHが0.01〜3.0の水溶液中で、アルミニウム基
材に交流もしくはパルス電流、または半波整流を印加し
て、その表面を電気化学エッチング処理する工程を含む
調理器用アルミニウム基材の製造方法、並びに、該調理
器用アルミニウム基材の表面に、所望により陽極酸化皮
膜を形成した後、フッ素樹脂塗膜を形成する調理器用フ
ッ素樹脂被覆物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、調理器用アルミニ
ウム基材の製造方法に関し、さらに詳しくは、炊飯器の
内釜などのアルミニウム製調理器を形成するための電気
化学エッチング処理されたアルミニウム基材の製造方法
に関する。また、本発明は、電気化学エッチング処理さ
れた調理器用アルミニウム基材の表面に、フッ素樹脂塗
膜が形成された調理器用フッ素樹脂被覆物の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】炊飯器の内釜やフライパンなどのアルミ
ニウム製調理器は、一般に、その表面に四フッ化エチレ
ン樹脂や四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合
体などのフッ素樹脂の塗膜(被覆層)が形成されてい
る。フッ素樹脂は、耐食性、非粘着性、電気絶縁性、耐
熱性、低摩擦性などに優れている。そのため、フッ素樹
脂被覆層を有するアルミニウム製調理器は、耐食性、非
粘着性などに優れており、調理食品のこびりつきが防止
され、しかも洗浄が容易であるという特徴を有してい
る。このフッ素樹脂被覆層は、繰り返し加熱調理して
も、劣化し難い。
【0003】しかし、フッ素樹脂は、非粘着性に優れて
いるというまさにその特性の故に、アルミニウム基材と
の接着性に劣るという問題がある。従来より、アルミニ
ウム基材とフッ素樹脂被覆層との接着性を向上させる方
法として、プライマー法、金属溶射法、エッチング法な
どの多数の方法が提案されている。そのなかでも、アル
ミニウム基材の表面を電気化学的にエッチング処理する
方法は、エッチング処理により形成されたアルミニウム
基材表面の微細な凹凸により、直接、フッ素樹脂被覆層
との機械的な接着性を向上させることができるため、
(1) 接着性向上のためのプライマーや無機充填剤などが
不必要であり、食品衛生上の問題がないこと、(2) 熱水
や熱油による接着性の低下が起こりにくいこと、(3) 純
粋なフッ素樹脂を用いることができるため、非粘着性が
低下し難いことなどの利点を有している。
【0004】また、電気化学エッチング処理法によれ
ば、いわゆるアンカー効果により、アルミニウム基材表
面とフッ素樹脂被覆層との間の接着力を高めることがで
きるため、平板上のアルミニウム基材表面に電気化学エ
ッチング処理を施した後、その上にフッ素樹脂被覆層を
形成し、次いで、得られたフッ素樹脂被覆物を成型加工
して、炊飯器の内釜などの所望の形状に成型することが
できる。
【0005】より具体的には、電気化学エッチング処理
したアルミニウム基材を使用してフッ素樹脂被覆物を作
製し、必要に応じて円板状などの所定の形状に打ち抜き
加工した後、プレス成型などにより所定の形状に成型加
工することができる。炊飯器の内釜などの容器形状を形
成するには、プレス成型により絞り加工を行う。予め円
板状などの所定の形状に打ち抜き加工したアルミニウム
基材を用いて、フッ素樹脂被覆物を作製してもよい。こ
の方法によれば、平板状のアルミニウム基材にフッ素樹
脂被覆をすることができるため、工程が簡単で、しかも
耐久性に優れた調理器を得ることができる。
【0006】さらに、アルミニウム基材の表面に陽極酸
化皮膜を形成した後、電気化学エッチング処理を行った
り、電気化学エッチング処理後、その上に陽極酸化皮膜
を形成することにより、フッ素樹脂被覆物の耐摩耗性を
向上させる方法が提案されている(特公昭56−331
54号公報)。また、マンガン(Mn)及びマグネシウ
ム(Mg)を含有するアルミニウム合金から形成された
アルミニウム基材を用いることにより、フッ素樹脂被覆
層の耐食性を向上させた保温用厨房具を得る方法が提案
されている(特公昭50−25866号公報)。
【0007】しかし、調理器用アルミニウム基材の分野
において、従来の電気化学エッチング処理法では、アル
ミニウム基材表面とフッ素樹脂被覆層との間の接着力を
更に改善することは困難であった。従来、調理器用アル
ミニウム基材を電気化学エッチング処理するには、塩化
物よりなる電解質(塩素イオン)を含む水溶液中にアル
ミニウム基材を浸漬しながら、アルミニウム基材に直流
電流を印加して陽極エッチング処理を行う方法が採用さ
れていた(例えば、特公昭56−33154号公報第3
欄第9〜16行)。この方法によれば、アルミニウム基
材の表面に大小さまざまな食孔(ピット)が形成され、
表面積が増大する。
【0008】つまり、電気化学エッチング処理法では、
塩素イオンが電解によるピット形成の開始点となり、一
度電解による溶解が始まると、直流電流を印加すること
により、ピット底部の塩素イオン濃度が高まり、ピット
の深さ方向に更に溶解が進行する。ところが、本発明者
らの検討結果によれば、この方法では、陽極エッチング
処理を開始した後、最初のピット形成点以外の部分が新
たなピット形成の開始点となることは少なく、エッチン
グ処理の終了後、アルミニウム基材の表面にピットが形
成されていない部分の生じることが判明した。アルミニ
ウム基材の表面にピットが形成されていない部分がある
ことは、例えば、アルミニウム基材の表面に圧延加工の
スジが残ることにより判別することができる。
【0009】このように、電気化学エッチング処理工程
でのピットの形成が不均一で、アルミニウム基材の表面
に微細な凹凸が全面に形成されていないと、フッ素樹脂
被覆層との接着力を十分に高めることができない。その
ため、炊飯器の内釜などの調理器に求められている耐久
性の更なる向上の要求に対して、十分に対応することが
できない。
【0010】電気化学エッチング処理により、生成する
ピット径を細かくして、アルミニウム基材の表面に高密
度のピットを形成させるには、直流電流の密度を増大さ
せる方法が考えられる。しかし、この方法では、設備費
が高くなることに加えて、発熱も問題になる。一方、ア
ルミニウム基材の表面粗さが大きすぎると、フッ素樹脂
被覆層にピンホールが発生しやすくなり、耐久性が低下
する。そのため、調理器用アルミニウム基材には、エッ
チング処理により、適度の表面粗さを付与することが望
ましい。しかし、従来の電気化学エッチング処理法で
は、アルミニウム基材の表面に、高密度のピットを形成
させ、かつ、適度の表面粗さを付与させることは、極め
て困難であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、改善
された電気化学エッチング処理法により、フッ素樹脂被
覆層との接着力が顕著に向上し、かつ、フッ素樹脂被覆
層にピンホールが発生することがない調理器用アルミニ
ウム基材の製造方法を提供することにある。
【0012】本発明の他の目的は、このような電気化学
エッチング処理された調理器用アルミニウム基材の表面
にフッ素樹脂塗膜が形成された調理器用フッ素樹脂被覆
物の製造方法を提供することにある。
【0013】本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意
研究した結果、特定の塩素イオン濃度とpHに調整した
水溶液中にアルミニウム基材を浸漬させながら、アルミ
ニウム基材に交流もしくはパルス電流、または半波整流
を印加して、その表面を電気化学エッチング処理するこ
とにより、フッ素樹脂被覆層との接着力が顕著に向上
し、フッ素樹脂被覆層にピンホールが発生することがな
い調理器用アルミニウム基材の得られることを見いだし
た。
【0014】この方法によれば、アルミニウム基材の表
面に高密度のピットを均一に形成させることができ、ま
た、電流密度、電気量、処理温度などの処理条件を調整
することにより、適度の範囲の表面粗さを有する調理器
用アルミニウム基材を得ることができる。さらに、本発
明の方法において、アルミニウム基材として、マンガン
(Mn)成分とマグネシウム(Mg)成分を含有する
か、あるいはMn成分のみを含有するアルミニウム合金
から形成されものを用いると、フッ素樹脂被覆層との接
着力を更に向上させることができる。本発明は、これら
の知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、塩素イ
オン濃度が0.1重量%以上、かつ、pHが0.01〜
3.0の水溶液中で、アルミニウム基材に交流もしくは
パルス電流、または半波整流を印加して、その表面を電
気化学エッチング処理する工程を含む調理器用アルミニ
ウム基材の製造方法が提供される。また、本発明によれ
ば、塩素イオン濃度が0.1重量%以上、かつ、pHが
0.01〜3.0の水溶液中で、アルミニウム基材に交
流もしくはパルス電流、または半波整流を印加して、そ
の表面を電気化学エッチング処理することにより得られ
た調理器用アルミニウム基材の表面に、所望により陽極
酸化皮膜を形成した後、フッ素樹脂塗膜を形成する調理
器用フッ素樹脂被覆物の製造方法が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明では、アルミニウム基材の
電気化学エッチング処理を行うために、塩素イオン濃度
が0.1重量%以上、かつ、pHが0.01〜3.0の
水溶液(電解液)を使用する。塩素イオンは、塩酸、塩
化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カリウムなどの
塩化物を水溶液中に含有させることによって、含ませる
ことができる。これらの塩化物は、それぞれ単独で、あ
るいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、塩酸が好ましい。
【0017】水溶液中の塩素イオン濃度は、0.1重量
%以上であることが必要である。塩素イオン濃度が低す
ぎると、電気化学エッチング処理時、塩素イオンによる
ピット形成の開始点が少なくなり、十分な表面粗さ(中
心線平均粗さRa)を有するアルミニウム基材を得るこ
とができない。つまり、電気化学エッチング処理により
微細な凹凸面がまばらに形成されて、いわゆる未処理の
平滑面が残る。
【0018】一方、水溶液中の塩素イオン濃度が高すぎ
ると、電気化学エッチング処理時、ピット形成の開始点
が非常に多くなって、全面腐食が起こり、エッチングに
より形成された凸部も更にエッチングされるため、中心
線平均粗さRaが小さくなる傾向を示す。その結果、エ
ッチング処理したアルミニウム基材は、フッ素樹脂被覆
層との間で十分な接着力を発揮することが困難になる。
水溶液中の塩素イオン濃度は、好ましくは0.1〜5.
5重量%、より好ましくは0.1〜5.0重量%であ
る。
【0019】水溶液のpHは、0.01〜3.0の範囲
に調整することが必要である。使用する水溶液のpHが
低すぎると、水溶液が強酸性になるため、アルミニウム
基材を浸漬した段階で、化学エッチングによる全面腐食
が起こり、表面粗さを制御することができなくなる。水
溶液のpHが低すぎると、通常、十分な中心線平均粗さ
Raを有するアルミニウム基材を得ることができない。
その結果、アルミニウム基材とフッ素樹脂被覆層との接
着力を十分に向上させることができない。
【0020】水溶液のpHが高すぎると、電気化学エッ
チング処理時に溶解したアルミニウムがAl23 ・3
2 0となり、不働態化されて、エッチング処理により
生じた微細な凹凸面に付着して、外観を悪化させる。水
溶液のpHが高すぎると、通常、中心線平均粗さRaが
高くなりすぎて、フッ素樹脂被覆層にピンホールが発生
しやすくなり、フッ素樹脂被覆層との接着力も低下傾向
を示す。
【0021】水溶液のpHを0.01〜3.0の範囲に
調整することにより、高密度で微細な凹凸面が形成さ
れ、フッ素樹脂被覆層との接着性が顕著に改善される。
水溶液のpHを0.01〜3.0の範囲に調整する方法
としては、塩酸などの塩化物を添加する方法に加えて、
必要に応じて、硫酸やアルカリ、各種塩類などを併用す
る方法がある。水溶液のpHは、好ましくは0.3〜
0.8である。
【0022】本発明では、前記水溶液中にアルミニウム
基材を浸漬させながら、該アルミニウム基材に交流もし
くはパルス電流、または半波整流を印加して、その表面
に電気化学エッチング処理を行う。同じ塩素イオン濃度
とpHを有する水溶液を用いた場合であっても、従来の
直流電流を用いる方法では、フッ素樹脂被覆層との接着
性を顕著に改善したアルミニウム基材を得ることができ
ない。
【0023】直流電流を用いた陽極エッチング処理で
は、前記した通り、塩素イオンが電解によるピット形成
の開始点となり、一度電解による溶解が始まると、直流
電流の印加を継続することにより、ピット底部の塩素イ
オン濃度が高まり、ピットの深さ方向に更に溶解が進む
だけである。この方法では、陽極エッチング処理中に新
たなピット形成の開始点が生成することは少なく、アル
ミニウム基材の表面にピットが形成されていない部分が
生じる。
【0024】これに対して、交流電流を用いた電気化学
エッチング処理では、陰極半サイクルの間に、pHの局
部的な上昇による酸化物または水酸化物の生成があり、
これによってエッチングピット面に不働態が生じるた
め、次の陽極半サイクルでは、前記エッチングピットと
は別の場所で新たなピットが生成されると考えられる。
これらの現象によって、アルミニウム基材の表面に高密
度のピットを均一に形成させることができると推定され
る。
【0025】交流の代わりにパルス電流を用いた陽極パ
ルスエッチング処理を行うことによっても、交流電流を
用いた場合と類似の効果を得ることができる。上記の如
き塩素イオンを含有する酸性水溶液中では、アルミニウ
ム基材の表面が極めて活性であるため、最初のパルス電
流印加により生成したピット部以外に、次のパルス電流
印加時には、十分に新たなエッチング反応が進むと考え
られる。一方、陰極パルスエッチング処理の場合は、交
流エッチング処理の場合と同じ作用が働くと考えられ
る。また、半波整流エツチングでは、電流の休止時間が
ないものの、陽極パルスエッチングと類似した効果を得
ることができると考えられる。
【0026】本発明では、前記の電気化学エッチング処
理により、アルミニウム基材表面の中心線平均粗さRa
を0.5〜3.5μmの範囲に調整することが好まし
い。アルミニウム基材表面の中心線平均粗さRaが小さ
すぎると、フッ素樹脂被覆層との接着力を十分に高める
ことが困難である。アルミニウム基材表面の中心線平均
粗さRaが大きすぎると、フッ素樹脂被覆層にピンホー
ルが発生しやすくなり、また、フッ素樹脂被覆層との接
着力を十分に高めることが難しい。中心線平均粗さRa
は、0.5〜3.3μmの範囲であることがより好まし
い。アルミニウム基材表面の中心線平均粗さRaを0.
5〜3.5μmの範囲に調整するために、前記の電気化
学エッチング処理工程において、電流密度、電気量、処
理温度などの処理条件を調整することが好ましい。
【0027】本発明においては、電気化学エッチング処
理時の電流密度を0.1〜1.0A/cm2 の範囲に調
整することが望ましい。電流密度が低すぎると、腐食に
よるピット形成の開始点が少なく、微細な凹凸面がまば
らに形成されるため、フッ素樹脂被覆層との間の接着力
を向上させることが困難になる。一方、電流密度が高く
なると、中心線平均粗さRaが大きくなり、フッ素樹脂
被覆層にピンホールが形成されやすくなる。電流密度を
高めすぎると、ピット形成の開始点が非常に多くなり、
エッチングにより形成された凸部をも含めた全面腐食が
起こりやすくなる。そのため、フッ素樹脂被覆層の接着
力を向上させることが難しくなる。
【0028】電流密度を0.1〜1.0A/cm2 の範
囲に調整することにより、高密度で微細な凹凸面を形成
することが容易となり、中心線平均粗さRaを前記の好
ましい範囲に容易に制御することができる。電流密度
は、0.1〜0.3A/cm2の範囲とすることがより
望ましい。
【0029】本発明においては、電気化学エッチング処
理時の電気量を5〜50C/cm2の範囲に調整するこ
とが望ましい。電気量が低すぎると、未エッチング部が
残存して、フッ素樹脂被覆層との間の接着力を十分に向
上させることが困難になる。一方、電気量が高すぎる
と、腐食によるピットが深さ方向に進行するだけで、フ
ッ素樹脂を被覆した時に、ピンホールが発生しやすくな
り、外観不良の問題が起こり、かつ、耐食性に劣る。電
気量は、10〜30C/cm2 の範囲に調整することが
より望ましい。
【0030】本発明においては、電気化学エッチング処
理時の温度(水溶液の温度)を0〜50℃の範囲に調整
することが望ましい。エッチング温度が低すぎると、水
溶液が凝固するため、エッチング処理を実施することが
できなくなる。一方、エッチング温度が高くなりすぎる
と、アルミニウム基材を浸漬した段階で、化学エッチン
グによる全面腐食が起こり、表面粗さを制御することが
困難になる。エッチング温度が高すぎると、通常、中心
線平均粗さRaが小さくなり、フッ素樹脂被覆層との間
の接着力を向上させることができなくなる。
【0031】以上によれば、電気化学エッチング処理条
件として、電流密度0.1〜1.0A/cm2 、電気量
5〜50C/cm2 、及びエッチング温度0〜50℃と
することが望ましく、電流密度0.1〜0.3A/cm
2 、電気量10〜30C/cm2 、及びエッチング温度
10〜40℃とすることがより望ましい。これらの望ま
しい処理条件を採用することにより、アルミニウム基材
の表面に高密度で微細な凹凸を形成して、中心線平均粗
さRaを望ましい0.5〜3.5μmの範囲に調整する
ことが容易となる。
【0032】電気化学エッチング処理によるピット形成
を制御するため、水溶液中にアルミニウムイオンを適度
に溶解したり、硫酸、リン酸、アジピン酸等の比較的粘
度の高い溶液を添加することができる。これらは、エッ
チングにより形成されたピット部分に皮膜を形成するた
め、エッチング処理を継続すると、この皮膜以外、つま
りピット部分以外が溶解し始める。その結果、高密度で
微細な凹凸がアルミニウム基材の全面に形成されやすく
なる。
【0033】本発明では、アルミニウム基材として、一
般に、純アルミニウム板、アルミニウム合金板などが用
いられる。ただし、必要に応じて、平板状のアルミニウ
ムを所望の形状に賦形したアルミニウム基材を用いるこ
ともできる。本発明の方法により、フッ素樹脂被覆層と
の接着力を高度に向上させるには、アルミニウム合金か
らなるアルミニウム基材を用いることが望ましい。この
ようなアルミニウム合金としては、マンガン(Mn)含
有量が0.2〜1.5重量%で、マグネシウム(Mg)
含有量が0〜1.3重量%のアルミニウム合金が挙げら
れる。
【0034】本発明の方法により電気化学エッチング処
理されたアルミニウム基材は、一般に、その表面にフッ
素樹脂層が被覆されてフッ素樹脂被覆物とされる。フッ
素樹脂塗膜を形成する前に、電気化学エッチング処理さ
れたアルミニウム基材を陽極酸化処理して酸化被膜を形
成させておくことが、フッ素樹脂被覆層との接着性を向
上させる上で好ましい。エッチング処理面に陽極酸化皮
膜を形成させるには、特公昭56−33154号公報な
どに記載の常法に従って、例えば、硫酸水溶液中で直流
電流を印加させて陽極酸化処理する方法が挙げられる。
【0035】フッ素樹脂としては、四フッ化エチレン樹
脂(PTFE)、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレ
ン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン−パーフルオ
ロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)などが挙
げられる。フッ素樹脂は、粉体塗料でもディスパージョ
ンでもよい。また、フッ素樹脂被覆層は、1層または2
層以上を形成することができる。さらに、フッ素樹脂に
は、必要に応じて、顔料、充填剤、有機添加剤(ポリア
ミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミドなどのエ
ンジニアリングプラスチックなど)などを含有させるこ
とができる。フッ素樹脂塗膜の厚みは、通常、5〜10
0μm、好ましくは10〜50μm程度である。
【0036】フッ素樹脂被覆物は、必要に応じて円板状
などの所定の形状に打ち抜き加工した後、プレス成型な
どにより所定の形状に成型加工することができる。調理
器としては、特に制限されないが、例えば、釜、鍋、フ
ライパンなどの一般的調理器;ホットプレート、グリル
パン、オートベーカリー、餅つき器等に代表される家電
調理器;炊飯器の内釜などを挙げることができる。
【0037】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明
の好ましい実施の形態について、より具体的に説明す
る。測定法は、次の通りである。 (1)中心線平均粗さRa 触針式表面粗さ測定器を用いて、JIS B−0601
に規定されている測定法に従って、中心線平均粗さRa
(μm)を測定した。
【0038】(2)180°剥離の接着力 幅15mmに切断した短冊状試験片の一端を剥離させ
て、フッ素樹脂塗膜とアルミニウム板が、ほぼ180°
の角度になるように引張試験機のつかみを取り付けた。
引張荷重曲線を測定して、その頂点(数値の高い値)を
求め、これを接着力とした。
【0039】(3)碁盤目試験での剥離開始回数の測定 フッ素樹脂塗膜面に鋭利なナイフを用いてアルミニウム
基材に達する幅1mmの碁盤目100個を作り、その上
にセロテープ(登録商標)を圧着し、ただちにテープを
剥がして碁盤目部分のフッ素樹脂片が剥離するか否かを
調べた。同じ動作を、碁盤目のフッ素樹脂片が1個以上
剥がれるまで繰り返して、1個以上が剥れるまでの回数
を測定した。
【0040】[実施例1]1.0%塩酸水溶液(塩素イ
オン濃度=1.0重量%;pH=0.6)中に、液温3
0℃でアルミニウム板(JIS種別3004)を浸漬
し、該アルミニウム板を陽極として、交流電流を電流密
度0.2A/cm2 、電気量20C/cm2で印加して
電気化学エッチング処理を行った。エッチング処理品に
ついて、中心線平均粗さRaを測定し、その結果を表1
に示す。
【0041】上記でエッチング処理したアルミニウム板
を15%硫酸水溶液中に浸漬し、液温20℃、電圧15
Vで直流電流を印加して、陽極酸化処理を10分間行っ
た。陽極酸化皮膜を形成した面に、四フッ化エチレン樹
脂の水性分散液を塗膜厚さが約20〜30μmになるよ
うに塗装し、380℃で焼成して、フッ素樹脂被覆物を
作製した。このようにして得られたフッ素樹脂被覆物に
ついて、180°剥離の接着力と碁盤目試験剥離開始回
数を測定し、その結果を表1に示す。
【0042】[比較例1]1.0%塩酸水溶液(塩素イ
オン濃度=1.0重量%;pH=0.6)中に、液温3
0℃でアルミニウム板(JIS種別3004)を浸漬
し、該アルミニウム板を陽極として、直流電流を電流密
度0.2A/cm2 、電気量20C/cm2で印加して
電気化学エッチング処理を行った。エッチング処理品に
ついて、中心線平均粗さRaを測定し、その結果を表1
に示す。上記でエッチング処理したアルミニウム板を用
いたこと以外は、実施例1と同様にして、陽極酸化皮膜
を形成し、次いで、フッ素樹脂被覆物を作製した。結果
を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】表1の結果から明らかなように、交流エッ
チング処理(実施例1)を行うと、直流エッチング処理
(比較例1)に比べて、中心線平均粗さRaが小さく、
フッ素樹脂被覆層の接着力が大きくなることが分かる。
つまり、直流エッチング処理では、微細な凹凸面がまば
らに形成されて、いわゆる凹凸未処理の平滑面が残るた
め、フッ素樹脂被覆層の接着力が小さい。一方、交流エ
ッチング処理では、高密度で微細な凹凸面が形成される
ので、フッ素樹脂被覆層との接着性が顕著に改善され
る。
【0045】[実施例2]0.1%塩酸水溶液(塩素イ
オン濃度=0.1重量%;pH=0.6)中に、液温3
0℃でアルミニウム板(JIS種別3004)を浸漬
し、該アルミニウム板を陽極として、交流電流を電流密
度0.2A/cm2 、電気量20C/cm2で印加して
電気化学エッチング処理を行った。エッチング処理品に
ついて、中心線平均粗さRaを測定し、その結果を表2
に示す。上記でエッチング処理したアルミニウム板を用
いたこと以外は、実施例1と同様にして、陽極酸化皮膜
を形成し、次いで、フッ素樹脂被覆物を作製した。結果
を表2に示す。
【0046】[実施例3]5.0%塩酸水溶液(塩素イ
オン濃度=5.0重量%;pH=0.1)中に、液温3
0℃でアルミニウム板(JIS種別3004)を浸漬
し、該アルミニウム板を陽極として、交流電流を電流密
度0.2A/cm2 、電気量20C/cm2で印加して
電気化学エッチング処理を行った。エッチング処理品に
ついて、中心線平均粗さRaを測定し、その結果を表2
に示す。上記でエッチング処理したアルミニウム板を用
いたこと以外は、実施例1と同様にして、陽極酸化皮膜
を形成し、次いで、フッ素樹脂被覆物を作製した。結果
を表2に示す。
【0047】[実施例4]5.1%塩酸水溶液(塩素イ
オン濃度=5.1重量%;pH=0.1)中に、液温3
0℃でアルミニウム板(JIS種別3004)を浸漬
し、該アルミニウム板を陽極として、交流電流を電流密
度0.2A/cm2 、電気量20C/cm2で印加して
電気化学エッチング処理を行った。エッチング処理品に
ついて、中心線平均粗さRaを測定し、その結果を表2
に示す。上記でエッチング処理したアルミニウム板を用
いたこと以外は、実施例1と同様にして、陽極酸化皮膜
を形成し、次いで、フッ素樹脂被覆物を作製した。結果
を表2に示す。
【0048】[比較例2]0.05%塩酸水溶液(塩素
イオン濃度=0.05重量%;pH=3.5)中に、液
温30℃でアルミニウム板(JIS種別3004)を浸
漬し、該アルミニウム板を陽極として、交流電流を電流
密度0.2A/cm2 、電気量20C/cm2 で印加し
て電気化学エッチング処理を行った。エッチング処理品
について、中心線平均粗さRaを測定し、その結果を表
2に示す。上記でエッチング処理したアルミニウム板を
用いたこと以外は、実施例1と同様にして、陽極酸化皮
膜を形成し、次いで、フッ素樹脂被覆物を作製した。結
果を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】表2の結果から明らかなように、塩素イオ
ン濃度が0.1重量%以上、かつ、5.0重量%以下の
水溶液でエッチング処理(実施例2〜3)を行うと、塩
素イオン濃度が0.1重量%より低い(比較例2)エッ
チング処理に比べて、アルミニウム板表面の中心線平均
粗さRaが適度の範囲内にあり、フッ素樹脂被覆物との
接着力に優れている。塩素イオン濃度が0.1重量%よ
り低いと、微細な凹凸面がまばらに形成されて、いわゆ
る凹凸未処理の平滑面が残るため、中心線平均粗さRa
が小さくなる。
【0051】一方、塩素イオン濃度が5.0%より高い
水溶液を用いたエッチング処理(実施例4)では、化学
エッチングによる全面腐食も起こり、エッチングにより
生じた凸部分も更にエッチングされるため、中心線平均
粗さRaが小さくなる傾向を示す。したがって、塩素イ
オン濃度が0.1〜5.0重量%の時に、高密度で微細
な凹凸面が形成され、顕著にフッ素樹脂との接着性が改
善されるので、好ましい。
【0052】[実施例5]1.0%塩酸水溶液(塩素イ
オン濃度=1.0重量%)に硫酸を添加して、pHを
0.01に調整した水溶液中に、液温30℃でアルミニ
ウム板(JIS種別3004)を浸漬し、該アルミニウ
ム板を陽極として、交流電流を電流密度0.2A/cm
2 、電気量20C/cm2 で印加して電気化学エッチン
グ処理を行った。エッチング処理品について、中心線平
均粗さRaを測定し、その結果を表3に示す。上記でエ
ッチング処理したアルミニウム板を用いたこと以外は、
実施例1と同様にして陽極酸化皮膜を形成し、次いで、
フッ素樹脂被覆物を作製した。結果を表3に示す。
【0053】[実施例6]1.0%塩酸水溶液(塩素イ
オン濃度=1.0重量%)に水酸化カリウムを添加して
pHを3.0に調整した水溶液中に、液温30℃でアル
ミニウム板(JIS種別3004)を浸漬し、該アルミ
ニウム板を陽極として、交流電流を電流密度0.2A/
cm2 、電気量20C/cm2 で印加して電気化学エッ
チング処理を行った。エッチング処理品について、中心
線平均粗さRaを測定し、その結果を表3に示す。上記
でエッチング処理したアルミニウム板を用いたこと以外
は、実施例1と同様にして、陽極酸化皮膜を形成し、次
いで、フッ素樹脂被覆物を作製した。結果を表3に示
す。
【0054】[比較例3]1.0%塩酸水溶液(塩素イ
オン濃度=1.0重量%)に硫酸を添加して、pHを
0.01より小さくし、測定できなくなるまで調整した
水溶液中に、液温30℃でアルミニウム板(JIS種別
3004)を浸漬し、該アルミニウム板を陽極として、
交流電流を電流密度0.2A/cm2 、電気量20C/
cm2 で印加して電気化学エッチング処理を行った。エ
ッチング処理品について、中心線平均粗さRaを測定
し、その結果を表3に示す。上記でエッチング処理した
アルミニウム板を用いたこと以外は、実施例1と同様に
して、陽極酸化皮膜を形成し、次いで、フッ素樹脂被覆
物を作製した。結果を表3に示す。
【0055】[比較例4]1.0%塩酸水溶液(塩素イ
オン濃度=1.0重量%)に水酸化カリウムを添加して
pHを3.1に調整した水溶液中に、液温30℃でアル
ミニウム板(JIS種別3004)を浸漬し、該アルミ
ニウム板を陽極として、交流電流を電流密度0.2A/
cm2 、電気量20C/cm2 で印加して電気化学エッ
チング処理を行った。エッチング処理品について、中心
線平均粗さRaを測定し、その結果を表3に示す。上記
でエッチング処理したアルミニウム板を用いたこと以外
は、実施例1と同様にして、陽極酸化皮膜を形成し、次
いで、フッ素樹脂被覆物を作製した。結果を表3に示
す。
【0056】
【表3】
【0057】表3の結果から明らかなように、エッチン
グ液のpHが0.01以上、3.0以下でエッチング処
理(実施例5〜6)を行うと、エッチング液のpHが
0.01より低いエッチング処理(比較例4)か、ある
いは3.0より高いエッチング処理(比較例5)に比べ
て、高密度で微細な凹凸面が形成され、顕著にフッ素樹
脂被覆層との接着性が改善される。
【0058】[実施例7]1.0%塩酸水溶液(塩素イ
オン濃度=1.0重量%、pH=0.6)中に、液温3
0℃でアルミニウム板(JIS種別3004)を浸漬
し、該アルミニウム板を陽極として、交流電流を電流密
度0.1A/cm2 、電気量20C/cm2で印加して
電気化学エッチング処理を行った。エッチング処理品に
ついて、中心線平均粗さRaを測定し、その結果を表4
に示す。上記でエッチング処理したアルミニウム板を用
いたこと以外は、実施例1と同様にして、陽極酸化皮膜
を形成し、次いで、フッ素樹脂被覆物を作製した。結果
を表4に示す。
【0059】[実施例8]電流密度を0.1A/cm2
から1.0A/cm2 に変更したこと以外は、実施例7
と同様にして電気化学エッチング処理を行った。エッチ
ング処理品について、中心線平均粗さRaを測定し、そ
の結果を表4に示す。上記でエッチング処理したアルミ
ニウム板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、
陽極酸化皮膜を形成し、次いで、フッ素樹脂被覆物を作
製した。結果を表4に示す。
【0060】[比較例5]電流密度を0.1A/cm2
から0.05A/cm2 に変更したこと以外は、実施例
7と同様にして電気化学エッチング処理を行った。エッ
チング処理品について、中心線平均粗さRaを測定し、
その結果を表4に示す。上記でエッチング処理したアル
ミニウム板を用いたこと以外は、実施例1と同様にし
て、陽極酸化皮膜を形成し、次いで、フッ素樹脂被覆物
を作製した。結果を表4に示す。
【0061】[比較例6]電流密度を0.1A/cm2
から1.1A/cm2 に変更したこと以外は、実施例7
と同様にして電気化学エッチング処理を行った。エッチ
ング処理品について、中心線平均粗さRaを測定し、そ
の結果を表4に示す。上記でエッチング処理したアルミ
ニウム板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、
陽極酸化皮膜を形成し、次いで、フッ素樹脂被覆物を作
製した。結果を表4に示す。
【0062】
【表4】
【0063】表4の結果から明らかなように、電流密度
が0.1A/cm2 以上、1.0A/cm2 以下でエッ
チング処理(実施例7〜8)を行うと、電流密度が0.
1A/cm2 より小さいエッチング処理(比較例6)、
または1.0A/cm2 より大きいエッチング処理(比
較例7)に比ベて、高密度で微細な凹凸面が形成され
て、顕著にフッ素樹脂被覆層との接着性が改善される。
【0064】[実施例9]1.0%塩酸水溶液(塩素イ
オン濃度=1.0重量%、pH=0.6)中に、液温3
0℃でアルミニウム板(JIS種別3004)を浸漬
し、該アルミニウム板を陽極として、交流電流を電流密
度1.0A/cm2 、電気量5C/cm2 で印加して電
気化学エッチング処理を行った。エッチング処理品につ
いて、中心線平均粗さRaを測定し、その結果を表5に
示す。上記でエッチング処理したアルミニウム板を用い
たこと以外は、実施例1と同様にして陽極酸化皮膜を形
成し、次いで、フッ素樹脂被覆物を作製した。結果を表
5に示す。
【0065】[実施例10]電気量を5C/cm2 から
50C/cm2 に変更したこと以外は、実施例9と同様
にして電気化学エッチング処理を行った。エッチング処
理品について、中心線平均粗さRaを測定し、その結果
を表5に示す。上記でエッチング処理したアルミニウム
板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、陽極酸
化皮膜を形成し、次いで、フッ素樹脂被覆物を作製し
た。結果を表5に示す。
【0066】[比較例7]電気量を5C/cm2 から4
C/cm2 に変更したこと以外は、実施例9と同様にし
て電気化学エッチング処理を行った。エッチング処理品
について、中心線平均粗さRaを測定し、その結果を表
5に示す。上記でエッチング処理したアルミニウム板を
用いたこと以外は、実施例1と同様にして陽極酸化皮膜
を形成し、次いで、フッ素樹脂被覆物を作製した。結果
を表5に示す。
【0067】[比較例8]電気量を5C/cm2 から5
1C/cm2 に変更したこと以外は、実施例9と同様に
して電気化学エッチング処理を行った。エッチング処理
品について、中心線平均粗さRaを測定し、その結果を
表5に示す。上記でエッチング処理したアルミニウム板
を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、陽極酸化
皮膜を形成し、次いで、フッ素樹脂被覆物を作製した。
結果を表5に示す。
【0068】
【表5】
【0069】表5の結果から明らかなように、電気量が
5C/cm2 以上、50C/cm2以下でエッチング処
理(実施例9〜10)を行うと、電気量が5C/cm2
より小さいエッチング処理(比較例7)、または50C
/cm2 より大きいエッチング処理(比較例8)に比べ
て、高密度で微細な凹凸面が形成され、顕著にフッ素樹
脂被覆層との接着性が改善される。
【0070】[実施例11]1.0%塩酸水溶液(塩素
イオン濃度=1.0重量%、pH=0.6)中に、液温
50℃でアルミニウム板(JIS種別3004)を浸漬
し、該アルミニウム板を陽極として、交流電流を電流密
度0.2A/cm2 、電気量20C/cm2で印加して
エッチング処理を行った。エッチング処理品について、
中心線平均粗さRaを測定し、その結果を表6に示す。
上記でエッチング処理したアルミニウム板を用いたこと
以外は、実施例1と同様にして、陽極酸化皮膜を形成
し、次いで、フッ素樹脂被覆物を作製した。結果を表6
に示す。
【0071】[比較例9]1.0%塩酸水溶液の液温を
50℃から55℃に変更したこと以外は、実施例11と
同様にして電気化学エッチング処理を行った。エッチン
グ処理品について中心線平均粗さRaを測定し、その結
果を表6に示す。上記でエッチング処理したアルミニウ
ム板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして陽極酸
化皮膜を形成し、次いで、フッ素樹脂被覆物を作製し
た。結果を表6に示す。
【0072】
【表6】
【0073】表6の結果から明らかなように、エッチン
グ温度が50℃以下でエッチング処理(実施例11)を
行うと、50℃より高いエッチング処理(比較例9)に
比べて、高密度で微細な凹凸面が形成され、顕著にフッ
素樹脂被覆層との接着性が改善される。
【0074】[実施例12]アルミニウム板をJIS種
別3004からJIS種別3003に変更したこと以外
は、実施例1と同様にして電気化学エッチング処理を行
った。エッチング処理品について、中心線平均粗さRa
を測定し、その結果を表7に示す。上記でエッチング処
理したアルミニウム板を用いたこと以外は、実施例1と
同様にして、陽極酸化皮膜を形成し、次いで、フッ素樹
脂被覆物を作製した。結果を表7に示す。
【0075】[実施例13]アルミニウム板をJIS種
別3004からJIS種別1100に変更したこと以外
は、実施例1と同様にして電気化学エッチング処理を行
った。エッチング処理品について、中心線平均粗さRa
を測定し、その結果を表7に示す。上記でエッチング処
理したアルミニウム板を用いたこと以外は、実施例1と
同様にして、陽極酸化皮膜を形成し、次いで、フッ素樹
脂被覆物を作製した。結果を表7に示す。
【0076】
【表7】
【0077】表7の結果から明らかなように、JIS種
別3004(実施例1)とJIS種別3003(実施例
12)の各アルミニウム合金板を、本発明の方法に従っ
て電気化学エッチング処理を行うと、JIS種別110
0(実施例13)の純アルミニウム板を用いた場合に比
べて、フッ素樹脂被覆層との接着性が改善される。
【0078】
【発明の効果】本発明によれば、特定の塩素イオン濃度
とpHに調整した水溶液中にアルミニウム基材を浸漬さ
せながら、アルミニウム基材に交流もしくはパルス電
流、または半波整流を印加して、その表面を電気化学エ
ッチング処理することにより、フッ素樹脂被覆層との接
着力が顕著に向上し、フッ素樹脂被覆層にピンホールが
発生することがない調理器用アルミニウム基材を得るこ
とができる。したがって、本発明の方法により表面処理
されたアルミニウム基材を用いたフッ素樹脂被覆物を調
理器に使用する場合、耐食性、耐久性などの向上の要求
に応えることができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩素イオン濃度が0.1重量%以上、か
    つ、pHが0.01〜3.0の水溶液中で、アルミニウ
    ム基材に交流もしくはパルス電流、または半波整流を印
    加して、その表面を電気化学エッチング処理する工程を
    含む調理器用アルミニウム基材の製造方法。
  2. 【請求項2】 電気化学エッチング処理により、表面の
    中心線平均粗さRaが0.5〜3.5μmのアルミニウ
    ム基材を得る請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 アルミニウム基材が、マンガン含有量が
    0.2〜1.5重量%で、マグネシウム含有量が0〜
    1.3重量%のアルミニウム合金から形成されたもので
    ある請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 塩素イオン濃度が0.1重量%以上、か
    つ、pHが0.01〜3.0の水溶液中で、アルミニウ
    ム基材に交流もしくはパルス電流、または半波整流を印
    加して、その表面を電気化学エッチング処理することに
    より得られた調理器用アルミニウム基材の表面に、所望
    により陽極酸化皮膜を形成した後、フッ素樹脂塗膜を形
    成する調理器用フッ素樹脂被覆物の製造方法。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1324165C (zh) * 2004-09-30 2007-07-04 广东格兰仕集团有限公司 铝制烹饪器皿及其表面处理工艺
JP2008095166A (ja) * 2006-10-16 2008-04-24 Ykk Ap株式会社 表面処理アルミニウム材または表面処理アルミニウム合金材、及びそれを使用した建材製品
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