JP2002023545A - 定着部材用クリーニングシート、クリーニングシート供給体、及びクリーニング装置 - Google Patents

定着部材用クリーニングシート、クリーニングシート供給体、及びクリーニング装置

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JP2002023545A JP2001127553A JP2001127553A JP2002023545A JP 2002023545 A JP2002023545 A JP 2002023545A JP 2001127553 A JP2001127553 A JP 2001127553A JP 2001127553 A JP2001127553 A JP 2001127553A JP 2002023545 A JP2002023545 A JP 2002023545A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オイル担持体表面のオイルを均一に払拭除去
し、均一な厚さのオイル塗布層を形成可能な定着部材用
クリーニングシート、クリーニングシート供給体、及び
クリーニング装置を提供する。 【解決手段】 クリーニングシートは、軟化点が230
℃を越える樹脂からなり、横断面形状が非円形で、繊維
径が10μm以下の第1極細繊維と、軟化点が150℃
〜230℃の樹脂からなり、繊維径が10μm以下の第
2極細繊維とを含む極細繊維含有領域を有し、クリーニ
ングシートの少なくとも一方の表面は極細繊維含有領域
に含まれ、表面領域を構成する第2極細繊維は圧着変形
されている。クリーニングシート供給体は、前記クリー
ニングシートを含み、クリーニング装置は前記供給体を
含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、定着部材用クリー
ニングシート、定着部材用クリーニングシート供給体、
及び定着部材用クリーニング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、複写機、レーザービームプリンタ
ー、又はファクシミリなどの電子写真装置においては、
定着ロールと加圧ロールとの間に未定着トナー像を担持
した複写シート(例えば、紙、フィルムなど)を供給
し、熱及び圧力の作用により複写シート表面にトナー像
を定着させていた。そのため、定着ロール及び/又は加
圧ロール表面にトナーが転写され、その転写されたトナ
ーが複写シートの後端部又は次に通過する複写シートに
再度転写されて、複写シートを汚す(いわゆるオフセッ
ト)という問題があった。そのため、定着ロール表面に
オイルを塗布することにより定着ロール表面に転写され
たトナーの離型性を高めたうえで、クリーニングシート
によってトナーを払拭していた。
【0003】このトナー像の定着機構について、定着ロ
ールなどを含む定着装置の模式的断面図である図1をも
とに説明すると、まず、定着ロール1と加圧ロール2と
の間に、未定着トナー像3aを担持した複写シート3が
供給される。そして、この複写シート3が、図1の矢印
Aの方向に回転する定着ロール1と図1の矢印Bの方向
に回転する加圧ロール2との間を通過する際に、熱と圧
力の作用により未定着トナー像3aが複写シート3に定
着され、その後、定着トナー像3bを担持する複写シー
ト31が、図1の矢印Cの方向に排出される。他方、定
着ロール1にはトナーの離型性を高めるために、複写シ
ート3と接触する前の段階で、オイル塗布装置4からオ
イル4aが、オイル供給ロール4bを介して塗布され
る。次いで、定着ロール1は未定着トナー3aを複写シ
ート3に定着させた後、定着されないで転写したトナー
を担持した状態で回転するが、クリーニングシート5に
よってトナーは払拭される。
【0004】このように定着ロール1には転写されたト
ナーを除去しやすくするためにオイル4aが塗布されて
いるため、複写シート31にはトナー像3bが定着され
る以外に、定着ロール1に塗布されたオイルも転写され
る。複写シート3,31が紙からなり、トナーが定着さ
れていない部分を有する場合には、トナーが定着されて
いない部分によってオイルが吸収されるため、オイル転
写に伴う大きな問題は発生しない。しかしながら、複写
シート表面全体にトナーを定着させる場合(例えば、カ
ラーコピー機により写真を複写する場合など)には、複
写シート表面全体がトナーによって覆われているためオ
イルを吸収することができず、定着画像上に不均一なオ
イル筋が発生し、画像品位が低下するという問題があっ
た。また、複写シートがフィルムのように吸油性のない
材料からなる場合にも、複写シートがオイルを吸収する
ことができないため、オイルは定着したトナー像の上に
残留したままの状態となり、同様に画像品位が低下する
という問題があった。図1に示すようなオイル塗布装置
4による定着ロール1へのオイルの塗布は、クリーニン
グシート5により定着ロール1の表面を払拭した後に行
われる。従来から使用しているクリーニングシート5
は、クリーニングシート5を巻回して含む巻出シャフト
6から巻取シャフト7へ、図1の矢印Dで示す方向(又
はその逆方向)に搬送される間で、押圧ロール8により
定着ロール1の表面に押圧され、定着ロール1の表面の
トナーを払拭する。しかしながら、その際に、図2に示
すように、クリーニングシートにより定着ロール1から
オイルが不均一に払拭され、定着ロール表面には厚さが
不均一な残留オイル層41が形成される傾向があった。
そのため、オイル塗布装置4によるオイル塗布が均一に
行われたとしても、図3に示すように、定着ロール1の
表面に残留する不均一オイル層41におけるオイルの厚
さの不均一性を助長して新たなオイル層42が形成され
てしまい、その結果、複写シートに定着されたトナー像
上にオイルが不均一に転写されて、筋状のオイル層が形
成され、画像品位を著しく低下させていた。
【0005】こうした欠点を解消するために、クリーニ
ングシート5の定着ロール1への押圧力を高くすること
により、オイルを均一に払拭する試みが行われたが、ク
リーニングシート5を強く押し付けるために定着ロール
に傷をつけやすく、定着ロール1の寿命が短くなるとい
う問題や、クリーニングシート5と定着ロール1との摩
擦が大きくなることによって機械的振動を引き起こすな
どの弊害があった。また、オイル塗布装置4から定着ロ
ール1へ塗布するオイル量を少なくするという試みもな
されているが、オイル量を少なくすることによりトナー
の離型性が悪くなり、オフセットが発生しやすいという
問題があった。更には、クリーニングシート5を定着ロ
ール1と直接接触させるのではなく、定着ロール表面の
残留トナーを転写することのできる転写ロールを設置
し、この転写ロールにクリーニングシート5を接触させ
て残留トナー及びオイルを除去するという試みもなされ
ているが、複写シート上のオイル筋を完全に解消するこ
とができなかった。
【0006】また、別の電子写真装置における定着部材
では、クリーニングシートにオイルが含浸されており、
このクリーニングシートにより定着ロールに転写された
トナーの除去機能と定着ロールへのオイル塗布機能の両
方を併せ持つものが知られている。この場合も同様に、
定着ロール表面に塗布されるオイルの厚さが不均一とな
り、その結果、複写シートに定着されたトナー像上にオ
イルが不均一に転写(オイルが筋状に転写)され、画像
品位を著しく低下させていた。例えば、特許第2805
221号公報には、二種以上の樹脂成分からなる放射状
複合繊維を極細化処理した分割繊維、又はこの分割繊維
と熱可塑性繊維とで構成し、上記分割繊維の一種が4−
6ナイロン、芳香族ポリエステル、又は芳香族ポリアミ
ド等の耐熱樹脂成分から成る断面略三角形の超極細繊維
である熱圧着不織布シートにシリコーンオイルを含浸付
着した複写機の定着ロール用クリーニングシートが開示
されている。この定着ロール用クリーニングシートによ
れば、従来のクリーニングシートよりも均一なシリコー
ンオイル層を定着ロール表面に形成することができる。
しかしながら、その効果は不十分であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、上記のような従来技術の欠点を解決することにあ
り、具体的には、定着ロールなどの定着部材の寿命を短
くしたり、機械的振動を引き起こしたり、あるいはトナ
ーの離型性を損なうことなく、定着部材表面のオイルを
均一に払拭して除去することができ、及び/又は均一な
厚さのオイル塗布層を形成することのできる定着部材用
クリーニングシートを提供すること、そして前記の定着
部材用クリーニングシートを供給する供給体、及び前記
の定着部材用クリーニングシート供給体を備えた定着部
材用クリーニング装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、本発明
の、定着部材用のクリーニングシートであって、(1)
そのクリーニングシートが、(a)軟化点が230℃を
越える樹脂からなり、繊維横断面形状が非円形で、繊維
径が10μm以下の第1の極細繊維(以下、極細繊維A
と称することがある)と、(b)軟化点が150℃〜2
30℃の範囲内にある樹脂からなり、繊維径が10μm
以下の第2の極細繊維(以下、極細繊維Bと称すること
がある)とを含む極細繊維含有領域を有し、(2)クリ
ーニングシートの少なくとも一方の表面は前記極細繊維
含有領域に含まれており、しかも、その表面を含む表面
領域を構成する前記第2極細繊維は圧着変形されている
ことを特徴とする、前記のクリーニングシートによって
解決することができる。本発明の定着部材用クリーニン
グシートは、トナーの払拭性やオイルの払拭性の点で優
れている。これは、定着部材(例えば、定着ロール)と
接触する表面に第1極細繊維(すなわち、極細繊維A)
を含んでおり、第2極細繊維(すなわち、極細繊維B)
が融着した状態ではなく、圧着変形した状態にあるため
と思われる。また、本発明のクリーニングシートの表面
は平滑で、定着部材(例えば、定着ロール)との接触面
積が広く、オイルの払拭性に優れており、そして厚さの
均一なオイル層を形成することができる。これは、定着
部材(例えば、定着ロール)と接触する表面に極細繊維
Bを圧着変形した状態で含んでいるためと考えられる。
更に、本発明のクリーニングシートは、従来のクリーニ
ングシートよりもオイルの払拭性に優れており、そして
厚さの均一なオイル層を形成することができる。これ
は、本発明のクリーニングシートを構成する極細繊維B
が、定着部材、例えば、定着ロール(表面温度:150
℃〜200℃程度)との接触によって軟化し、クリーニ
ングシートが定着部材の形状に沿って変形することがで
きるためと思われる。このように本発明のクリーニング
シートは、従来のクリーニングシートと同様の方法で使
用するだけで、オイルの払拭性に優れており、あるいは
厚さの均一なオイル層を形成することができ、定着部材
(例えば、定着ロール)へ強く押し付ける必要がないた
め、定着部材の寿命を短くしたり、機械的振動を引き起
こしたりすることがなく、しかも定着部材に塗布するオ
イル量を少なくする必要がないため、トナーの離型性を
損なうことがない。
【0009】また、本発明は、前記の定着部材用クリー
ニングシートと、その一端から前記クリーニングシート
を巻回して含む巻出シャフトと、前記クリーニングシー
トのもう一方の端部を巻き取り可能な状態で含む巻取シ
ャフトとを含むことを特徴とする、定着部材用クリーニ
ングシート供給体にも関する。このクリーニングシート
供給体はクリーニングシートの常に新しい面を定着部材
(例えば、定着ロール)表面と接触させることができる
ため、定着部材のオイルを均一に払拭除去することがで
き、更にオイル層の厚さを均一に形成することができ
る。
【0010】更にまた、本発明は、前記のクリーニング
シート供給体と、そのクリーニングシート供給体の保持
手段と、前記クリーニングシート供給体のクリーニング
シートの搬送手段と、そのクリーニングシートを定着部
材に押圧する押圧手段とを有することを特徴とする、定
着部材のクリーニング装置にも関する。本発明の定着部
材用クリーニング装置はクリーニングシートの常に新し
い面を定着部材(例えば、定着ロール)表面と接触させ
ることができるため、定着部材表面のオイルを均一に払
拭除去することができ、更にオイル層の厚さを均一に形
成することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のクリーニングシートは、
極細繊維含有領域を含む。この極細繊維含有領域は、ク
リーニングシートの少なくとも一方の表面を含み、後述
するように層状領域又は大略層状の領域である。なお、
前記の表面は、定着部材(例えば、定着ロール)の表面
と接触させる表面である。本発明のクリーニングシート
は、この極細繊維含有領域のみからなることができる。
この態様では、前記の極細繊維含有領域は、シート状で
ある。また、本発明のクリーニングシートは、極細繊維
含有領域と、第2の繊維含有領域とからなることもでき
る。この態様では、極細繊維含有領域と、第2の繊維含
有領域とが、それぞれおおむね層状で積層しているが、
明瞭な2層構造を確認することができるものではない。
従って、本明細書においては、「極細繊維含有層」の用
語を使用せずに、「極細繊維含有領域」の用語を使用す
る。
【0012】また、本発明のクリーニングシートに含ま
れる前記の極細繊維含有領域は、その一部に「表面領
域」を含む。この「表面領域」は、圧着変形されている
前記第2極細繊維を含む領域であり、定着部材(例え
ば、定着ロール)の表面と接触させる表面(以下、接触
表面と称することがある)を含む。従って、極細繊維含
有領域は、接触表面を含む表面領域と内側領域とを含
み、接触表面を含む表面領域と内側領域とは、それぞれ
おおむね層状で積層しているが、明瞭な2層構造を確認
することができるものではない。従って、本明細書にお
いては、「表面層」の用語を使用せずに、「表面領域」
の用語を使用する。
【0013】本発明のクリーニングシートは、前記の通
り、極細繊維含有領域を含み、この極細繊維含有領域に
は、(a)軟化点が230℃を越える樹脂からなり、
(b)繊維横断面形状が非円形で、(c)繊維径が10
μm以下の第1の極細繊維(すなわち、極細繊維A)が
含まれている。本発明のクリーニングシートは、前記の
極細繊維Aを含んでいるため、高温の定着部材、例え
ば、定着ロール(表面温度:150℃〜200℃程度)
と接触しても極細繊維含有領域の形態を維持することが
でき、トナーやオイルの払拭性に優れ、後述の第2の極
細繊維Bと協働して接触表面を平滑にすることができる
ものと考えられる。
【0014】この極細繊維Aを構成する樹脂の軟化点
は、高温の定着部材、例えば、定着ロール(表面温度:
150℃〜200℃程度)と接触しても極細繊維含有領
域の形状を維持することができるように、230℃を越
える必要があり、好ましくは235℃以上であり、より
好ましくは238℃以上である。この極細繊維Aを構成
する樹脂は、軟化点が230℃を越える樹脂であれば特
に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド(例
えば、ナイロン66)、ポリエチレンテレフタレート、
ポリフェニレンサルファイド、又はポリエチレンナフタ
レートを挙げることができ、これらの中でもポリエチレ
ンテレフタレートから構成されているのが好ましい。な
お、本明細書における「軟化点」は、示差熱量計を用
い、昇温温度10℃/分で室温から昇温して得られる融
解吸熱曲線の開始点を与える温度をいう。
【0015】この極細繊維Aの繊維横断面形状(繊維の
長さ方向と直交する方向における断面形状)は、非円形
である。このため、トナーやオイルの払拭性に優れたク
リーニングシートを提供することができるものと考えら
れる。非円形の横断面形状を有する繊維とは、例えば、
繊維表面に、長さ方向に連続的に延びる突起部(特に
は、鋭角的突起部)を有する繊維である。非円形の横断
面形状としては、具体的には、鋭角的突起部として、三
角形や四角形などの多角形状、ワイ(Y字)形状やエッ
クス(X字)形状などのアルファベット形状、非鋭角的
突起部として、楕円形状、又は長円形状などを挙げるこ
とができる。これらの中でも、多角形状又はアルファベ
ット形状の鋭角的突起部であるとトナーやオイルの払拭
性に優れているため好適であり、多角形状(特に略三角
形状)であるとトナーやオイルの払拭性が特に優れてい
るため好適である。
【0016】更に、極細繊維Aの繊維径は10μm以下
であるため、後述の極細繊維Bと協働して極細繊維含有
領域の接触表面を平滑にすることができ、また微細孔を
形成することができるため、オイルの保持性にも優れて
いる。より好ましい繊維径は8μm以下であり、更に好
ましい繊維径は5μm以下である。他方、極細繊維Aの
繊維径の下限は、特に限定されないが、0.01μm程
度が適当である。本明細書における「繊維径」とは、繊
維横断面形状が円形である場合には、その直径を繊維径
とし、繊維横断面形状が非円形である場合(例えば、極
細繊維Aの場合)には、等面積を有する円形断面に換算
した時の直径を繊維径とみなす。
【0017】本発明のクリーニングシートを構成する極
細繊維含有領域は、前述のような極細繊維Aに加えて、
(a)軟化点が150℃〜230℃の範囲内にある樹脂
からなり、(b)繊維径が10μm以下の第2の極細繊
維(すなわち、極細繊維B)を含む。本発明のクリーニ
ングシートは前記の極細繊維Bを含むので、定着部材
(例えば、定着ロール)と密着させることができ、その
結果として、オイルを均一に払拭して除去したり、均一
な厚さのオイル層を形成することができるものと考えら
れる。この極細繊維Bを構成する樹脂は、軟化点が15
0℃〜230℃の範囲内にある樹脂からなるため、クリ
ーニングシートが定着部材、例えば、定着ロール(表面
温度:150℃〜200℃程度)と接触した際に、この
極細繊維Bは軟化して定着部材(例えば、定着ロール)
の表面形状に沿って変形することができ、従って、オイ
ルを均一に払拭して除去したり、均一な厚さのオイル層
を形成することができるものと考えられる。なお、クリ
ーニングシートがオイルを含有している場合には、極細
繊維Bの変形によって、オイルを押し出し、多量のオイ
ルを定着部材(例えば、定着ロール)に塗布することが
できるという効果も奏する。極細繊維Bを構成する樹脂
の好ましい軟化点は150℃〜210℃であり、更に好
ましい軟化点は150℃〜190℃である。この極細繊
維Bを構成する樹脂は軟化点が150℃〜230℃の範
囲内にある樹脂であれば限定されるものではないが、例
えば、ポリアミド(例えば、ナイロン6)、アクリル樹
脂、ビニロン、ポリビニリデン、アセテート樹脂、又は
ポリブチレンテレフタレートを挙げることができ、これ
らの中でもポリアミド(例えば、ナイロン6)から構成
されているのが好ましい。
【0018】この極細繊維Bの繊維横断面形状(繊維の
長さ方向と直交する方向における断面形状)は、圧着変
形前において非円形であるのが好ましい。なお、極細繊
維Bは、極細繊維含有領域の少なくとも「表面領域」に
おいて圧着変形されているが、圧着変形された状態で非
円形であるのが好ましい。このように圧着変形後の繊維
横断面形状が非円形であると、トナーやオイルの払拭性
に優れたクリーニングシートを提供することができるも
のと考えられる。圧着変形前後における非円形の横断面
形状としては、具体的には、前記極細繊維Aと同様に、
鋭角的突起部を有する形状〔例えば、三角形や四角形な
どの多角形状、ワイ(Y字)形状、エックス(X字)形
状、あるいはアイ(I字)形状などのアルファベット形
状〕、非鋭角的突起部を有する形状(例えば、楕円形
状、又は長円形状など)を挙げることができる。これら
の中でも、圧着変形後における横断面形状が鋭角的突起
部を有する形状(多角形状やアルファベット形状)であ
るとトナーやオイルの払拭に関与できるため好適であ
り、圧着変形前における横断面形状がアルファベット形
状であると、極細繊維Bが後述のように圧着されて変形
して平滑な面を形成しやすいためより好適である。
【0019】極細繊維Bの繊維径は10μm以下である
ため、前述の極細繊維Aと協働して極細繊維含有領域の
接触表面を平滑にすることができ、また微細孔を形成す
ることができるため、オイルの保持性にも優れている。
より好ましい繊維径は8μm以下であり、更に好ましい
繊維径は6μm以下である。他方、極細繊維Bの繊維径
の下限は、特に限定されないが、0.01μm程度が適
当である。
【0020】極細繊維Bは、極細繊維含有領域の少なく
とも接触表面を含む表面領域において圧着変形した状態
にある。このため、この極細繊維含有領域の接触表面が
平滑な状態になり、オイルを均一に払拭して除去した
り、均一な厚さのオイル層を形成することができるもの
と考えられる。極細繊維Bは、極細繊維含有領域の全体
において圧着変形した状態にあることもできるが、表面
領域を含む一部においてのみ圧着変形した状態にあるの
が好ましい。このような状態にあると、圧着変形してい
ない領域において、除去したオイルの保持量や、予めオ
イルを含有させた場合のオイルの保持量を多くすること
ができる。本発明における「極細繊維含有領域の表面領
域」とは、例えば、極細繊維含有領域の厚さ方向断面に
おいて、極細繊維含有領域の表面から極細繊維含有領域
の厚さ方向へ5μmまでの範囲をいう。なお、本明細書
において「極細繊維含有領域の表面」とは、極細繊維含
有領域上に、1cm2あたり1gの平板を積層した場合
に、前記平板の極細繊維含有領域側表面と一致する仮想
表面を極細繊維含有領域の表面とみなす。また、本発明
における「極細繊維含有領域の厚さ方向」とは、極細繊
維含有領域の表面と直交する方向をいう。更に、「極細
繊維含有領域の厚さ方向」の距離は、極細繊維含有領域
表面からの距離を意味する。また、本明細書において
「圧着変形した状態」とは、樹脂の軟化によらず、加圧
変形のみによって固定している状態をいい、製法的に
は、樹脂の軟化温度未満の温度で加圧することによっ
て、樹脂を軟化させることなく、変形させて固定した状
態をいう。
【0021】本発明のクリーニングシートを構成する極
細繊維含有領域は、前記の極細繊維Aと極細繊維Bとの
みからなることもできるが、他の機能を付加することの
できる繊維(以下、機能付加繊維Cと称することがあ
る)を含有することができる。機能付加繊維Cとして
は、例えば、繊維径が10μmを越え、軟化点が230
℃を越える樹脂からなる繊維、例えば、ポリアミド繊維
(例えば、ナイロン66繊維)、ポリエチレンテレフタ
レート繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、もしく
はポリエチレンナフタレート繊維などや;又は非溶融性
の樹脂からなる繊維、例えば、メタ又はパラ系全芳香族
ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリアミ
ドイミド繊維、芳香族ポリエーテルアミド繊維、もしく
はポリベンゾイミダゾール繊維などを挙げることができ
る。このような機能付加繊維Cを含むことによって、耐
熱性を向上させることができる。その結果、定着部材、
例えば、定着ロールの温度を高くすることができるた
め、定着速度を速くすることができる。また、機能付加
繊維Cとして、例えば、金属繊維、金属メッキされた繊
維、又は研磨粒子を含む繊維を含有させることによっ
て、トナーの払拭性を向上させることができる。
【0022】本発明のクリーニングシートを構成する極
細繊維含有領域において、極細繊維A、極細繊維B及び
機能付加繊維C(例えば、繊維径が10μmを越え、軟
化点が230℃を越える樹脂からなる繊維、非溶融性の
樹脂からなる繊維、金属繊維、金属メッキされた繊維、
又は研磨粒子を含む繊維など)の存在質量比率は特に限
定するものではないが、(極細繊維A):(極細繊維
B):(機能付加繊維C)=30〜85:15〜70:
0〜55であるのが好ましい。なお、極細繊維A、極細
繊維B、及び場合により機能付加繊維Cは、前記の質量
比率で、極細繊維含有領域の全体に均一に分布すること
ができるし、一部に分布していることもできる。極細繊
維A及び極細繊維Bのみが表面領域を構成していると、
トナーの払拭性やオイルの払拭性等の点で優れている。
【0023】本発明のクリーニングシートの極細繊維含
有領域を構成する極細繊維Bは、接触表面を含む表面領
域において極細繊維Bの軟化点よりも低い温度で圧着変
形されているのが好ましい。このような温度で圧着変形
されていると、軟化点以上の温度で圧着変形されている
場合と比較して、クリーニングシートが定着部材(例え
ば、定着ロール)と接触した際に、定着部材の表面形状
に沿って変形しやすく、オイルを均一に払拭して除去し
たり、均一な厚さのオイル層を形成することができる。
この極細繊維Bは、(極細繊維Bのガラス転移温度)か
ら(極細繊維Bの軟化点よりも10℃低い温度)の範囲
内の温度で圧着変形されているのが好ましく、(極細繊
維Bのガラス転移温度よりも20℃高い温度)から(極
細繊維Bの軟化点よりも20℃低い温度)の範囲内の温
度で圧着変形されているのがより好ましい。なお、極細
繊維Bを圧着変形させる際の圧力は特に限定されるもの
ではないが、0.3〜3kN/cmであるのが好まし
く、0.8〜2kN/cmであるのがより好ましい。本
発明における「ガラス転移温度」はJIS K 712
-1987に規定されているガラス転移温度の求め方によ
り得られる値をいう。
【0024】本発明のクリーニングシートを構成する極
細繊維含有領域は、極細繊維含有領域の厚さ方向断面に
おいて、極細繊維含有領域の一方の表面(接触表面)か
ら、極細繊維含有領域の厚さ方向へ25μmまでの範囲
内において、この範囲内における極細繊維含有領域構成
材全体に対して極細繊維Bの占める面積比率が15%以
上であるのが好ましい。この面積比率で極細繊維Bが存
在していると、クリーニングシートが定着部材(例え
ば、定着ロール)と接触した際に、定着部材の熱によっ
て極細繊維Bが容易に軟化し、接触表面を含む表面領域
が変形することによって、オイルを均一に払拭して除去
したり、均一な厚さのオイル層を形成することができ
る。前記の面積比率は20%以上であるのが好ましく、
25%以上であるのがより好ましい。他方、前記の面積
比率の上限は、特に限定されるものではないが、極細繊
維Aとの関係から70%以下であるのが好ましい。
【0025】なお、面積比率は次の式(1): S=(B/T)×100 (1) により得られる値をいう。前記式(1)で、Sは面積比
率(%)を表し、Bは極細繊維Bの占める面積を表し、
Tは極細繊維含有領域を構成する構成材全部(例えば、
極細繊維A、極細繊維B、及び場合により機能付加繊維
C)の占める面積を表す。なお、極細繊維Bの占める面
積や極細繊維含有領域構成材の占める面積は、例えば、
電子顕微鏡写真から測定することができる。なお、この
ような面積比率を満足する表面領域は、極細繊維含有領
域の一方の表面(接触表面)側のみに形成させるだけで
なく、極細繊維含有領域の両方の表面側に設けることが
できる。前記の面積比率を満足する表面領域を一方の表
面側のみに設ける場合は、この表面側が定着部材(例え
ば、定着ロール)と接触する接触表面とするのが好まし
い。
【0026】本発明のクリーニングシートを構成する極
細繊維含有領域は、極細繊維A及び極細繊維Bのいずれ
の繊維径よりも繊維径の大きい太繊維を、機能付加繊維
Cの1つとして含んでいるのが好ましい。このような太
繊維を含んでいることによって、極細繊維含有領域に強
度を付与することができ、クリーニングシートが定着部
材(例えば、定着ロール)に接触して極細繊維Bが軟化
して変形しても、十分な強度を維持することができる。
前記の太繊維は、極細繊維Aを構成する樹脂部分及び極
細繊維Bを構成する樹脂部分を含むのが好ましい。こう
した太繊維は、例えば、分割性繊維、特には、極細繊維
Aを構成する樹脂部分及び極細繊維Bを構成する樹脂部
分とからなる分割性繊維を非分割状態で極細繊維含有領
域に含有させることができる。前記の分割性繊維の太繊
維において、極細繊維Aを構成する樹脂部分及び極細繊
維Bを構成する樹脂部分の存在状態としては、特に限定
するものではないが、太繊維の繊維横断面形状におい
て、例えば、芯鞘状(偏芯状も含む)、貼り合わせ状、
海島状、オレンジ状、又は多重バイメタル状であること
ができる。これらの中でもオレンジ状であるのが好まし
い。
【0027】また、太繊維の繊維径は、極細繊維A及び
極細繊維Bのいずれの繊維径よりも太い限り、特に限定
するものではないが、太すぎると極細繊維含有領域の接
触表面における平滑性に悪影響を及ぼす場合があるた
め、10〜25μmであるのが好ましく、12〜20μ
mであるのがより好ましい。この太繊維は、極細繊維含
有領域の接触表面における平滑性に悪影響を及ぼさない
ように、極細繊維含有領域の厚さ方向断面において、極
細繊維含有領域の一方の表面(接触表面)から10μm
以上離れて、極細繊維含有領域の内側に、好ましくはほ
とんどの太繊維が、より好ましくは全ての太繊維が存在
している。
【0028】本発明のクリーニングシートを構成する極
細繊維含有領域は、極細繊維Aと極細繊維Bとが、束状
となった束部分を有していると、極細繊維Bの圧着変形
によって極細繊維Aがしっかりと固定され、定着部材
(例えば、定着ロール)との接触によっても毛羽立った
りしないため好適な態様である。このような束部分は前
記効果を発揮しやすいように、極細繊維含有領域の接触
表面を含む表面領域に存在しているのが好ましい。な
お、このような束部分は規則正しく存在している必要は
全くなく、不規則に存在していてもよい。なお、この
「束部分」は極細繊維Aと極細繊維Bとが1つの集合体
であるような束状となっていればよく、このような状態
は、例えば、電子顕微鏡写真により確認することができ
る。また、こうした「束部分」は、例えば、極細繊維A
を構成する樹脂部分と極細繊維Bを構成する樹脂部分と
を含む分割性繊維を分割するが、分割後の極細繊維A及
び極細繊維Bの配向方向を乱しにくい分割方法(例え
ば、低圧力の流体流)によって生成することができる。
【0029】本発明のクリーニングシートの好ましい態
様においては、極細繊維含有領域の厚さ方向断面におい
て、極細繊維含有領域の一方の表面(接触表面)から1
0μm以内に存在している極細繊維Bの偏平率が、極細
繊維含有領域の中心部に存在する極細繊維Bの偏平率よ
りも大きい。この態様では、極細繊維含有領域の接触表
面が平滑になるため、オイルを均一に払拭して除去した
り、均一な厚さのオイル層を形成することができると同
時に、極細繊維含有領域の中心部付近は緻密になり過ぎ
ず、適度な空隙を保っているため、吸収したオイルの保
持量や塗布するオイルの保持量が多くなる。なお、極細
繊維Bの偏平率は次の式(2): F=(LMIN/LMAX)×100 (2) から導き出される値をいう。式(2)で、Fは偏平率
(%)を表し、LMINは極細繊維Bの繊維横断面におい
て、最も短く採ることのできる長さを表し、LMAXは極
細繊維Bの繊維横断面において、最も長く採ることので
きる長さを表す。
【0030】クリーニングシートの面密度、厚さ、及び
見掛密度は特に限定されるものではないが、クリーニン
グシートが極細繊維含有領域のみからなる場合、面密度
は20〜120g/m2であるのが好ましく、30〜1
00g/m2であるのがより好ましく、厚さは40〜2
40μmであるのが好ましく、60〜200μmである
のがより好ましく、見掛密度(面密度を厚さで除した
値)は0.3〜0.7g/cm3であるのが好ましく、
0.4〜0.6g/cm3であるのがより好ましい。な
お、厚さは、マイクロメーター(JIS B 750
2:測定面積=直径6.3mm)を用いて測定した値を
いう。
【0031】本発明のクリーニングシートを構成する極
細繊維含有領域の態様としては、例えば、織物、編物、
不織布、あるいはこれらの複合体であることができる。
これらの中でも、繊維がランダムに配置することができ
るため、接触表面の平滑性に優れ、しかも除去したオイ
ルの保持性や、予めオイルを含有させた場合のオイルの
保持性に優れる不織布を含んでいるのが好ましく、不織
布から実質的になるのがより好ましい。
【0032】本発明のクリーニングシートは、極細繊維
含有領域のみからなるだけでなく、前記の通り、極細繊
維含有領域と第2の繊維含有領域とからなることができ
る。第2の繊維含有領域を構成する繊維としては、定着
部材(例えば、定着ロール)と接触した際における形態
安定性や強度的に優れているように、軟化点が230℃
を越える樹脂からなる繊維や、炭化温度が300℃を越
える樹脂からなる繊維から構成されているのが好まし
い。軟化点が230℃を越える樹脂からなる繊維として
は、例えば、ポリエステル繊維、又はポリアミド繊維
(例えば、66ナイロン繊維)などを挙げることがで
き、炭化温度が300℃を越える樹脂からなる繊維とし
ては、例えば、メタ系全芳香族ポリアミド繊維、パラ系
全芳香族ポリアミド繊維、ポリアミドイミド繊維、芳香
族ポリエーテルアミド繊維、ポリベンゾイミダゾール繊
維、又は全芳香族ポリエステル繊維などを挙げることが
できる。これら繊維を、単独で、又は混合した状態で含
有していることができる。
【0033】なお、これら繊維の繊維径が10μmを越
える太さであると、より補強効果が優れている。また、
第2の繊維含有領域は、極細繊維A及び極細繊維Bを含
有していない。また、第2の繊維含有領域は、極細繊維
含有領域を構成するための繊維ウエブと、この第2の繊
維含有領域を構成するための繊維ウエブとを積層した後
に、水流などの流体流を作用させることにより形成する
ことができる。また、本発明のクリーニングシートは、
極細繊維含有領域と、フィルム、ネット、紐、あるいは
糸などとを複合した複合体であってもよい。更に、極細
繊維含有領域と、第2の繊維含有領域と、フィルム、ネ
ット、紐、あるいは糸などとを複合した複合体であって
もよい。これらの態様では、極細繊維含有領域の接触表
面が複合体の一方の表面に露出するように、複合体を製
造する。
【0034】本発明のクリーニングシートは、例えば、
極細繊維Aと極細繊維Bとを発生可畔分割性繊維を用い
て、常法により極細繊維含有領域を形成する際、あるい
は形成した後に、分割性繊維を分割して得ることができ
る。例えば、極細繊維含有領域が不織布からなる好適な
クリーニングシートは、次のようにして製造することが
できる。まず、極細繊維Aと極細繊維Bとを発生可能な
分割性繊維を用意する。必要であれば、前述のような機
能付加繊維Cなどを用意する。この分割性繊維は前述の
ような極細繊維Aを構成する樹脂部分と、前述のような
極細繊維Bを構成する樹脂部分とを含んでいればよく、
これら樹脂以外の樹脂部分を更に含んでいても構わな
い。この分割性繊維を構成する樹脂は、例えば、分割性
繊維の横断面形状が芯鞘状(偏芯状も含む)、貼り合わ
せ状、海島状、オレンジ状、又は多重バイメタル状に配
置していることができる。これらの中でも、オレンジ状
又は多重バイメタル状であると、非円形の極細繊維Aを
発生させやすいため好適である。この分割性繊維は機械
的(例えば、水流などの流体流、カレンダー、ニード
ル、又はフラットプレスなど)に分割可能であっても、
化学的(例えば、樹脂の除去処理、又は樹脂の膨潤処理
など)に分割可能であってもよいが、接触表面が緻密で
平滑な不織布とすることができるように、機械的に分割
可能であるのが好ましい。この分割性繊維は、繊維径が
10μm以下の極細繊維Aと繊維径が10μm以下の極
細繊維Bとを発生することのできるものであればよく、
繊度は特に限定されるものではない。また、分割性繊維
の繊維長は分割性繊維が均一に分散できるように、1〜
160mmであるのが好ましく、3〜110mmである
のがより好ましい。
【0035】次いで、分割性繊維を含む繊維ウエブを形
成する。極細繊維含有領域のみから実質的になるクリー
ニングシートを調製する場合は、前記の分割性繊維を含
む繊維ウエブのみを形成する。また、極細繊維含有領域
と第2の繊維含有領域とからなるクリーニングシートを
調製する場合は、極細繊維含有領域用の前記の分割性繊
維を含む繊維ウエブと、第2の繊維含有領域用で、分割
繊維を含まない繊維ウエブを形成する。この繊維ウエブ
の形成方法としては、例えば、湿式法や乾式法(例え
ば、カード法、エアレイ法、スパンボンド法、又はメル
トブロー法)を挙げることができる。なお、極細繊維A
及び極細繊維Bによって平滑な接触表面を有するクリー
ニングシートを形成しやすいように、極細繊維含有領域
用の繊維ウエブは、分割性繊維を好ましくは50mas
s%以上、より好ましくは70mass%以上含む。ま
た、同じ又は異なる方法により形成した極細繊維含有領
域用及び/又は第2の繊維含有領域用の繊維ウエブを2
枚以上積層してもよい。特に、繊維ウエブの長さ方向に
繊維が配向した繊維ウエブをクロスレイヤーなどによっ
て繊維ウエブの長さ方向と交差するように繊維を配向さ
せた繊維ウエブは、繊維が線的に定着部材表面のトナー
と接触できる不織布を形成できるため極細繊維含有領域
用の繊維ウエブとして好適である。
【0036】次いで、少なくとも極細繊維含有領域用の
繊維ウエブに対して水流などの流体流を作用させて、分
割性繊維を分割させ、極細繊維A及び極細繊維Bを絡合
させるのが好ましい。このように絡合させることによっ
て、表面耐性を向上させることができ、クリーニングシ
ート使用中における毛羽の発生を抑制することができ
る。この流体流は分割性繊維を分割し、極細繊維Aと極
細繊維Bとを絡合できる程度で作用させればよく、特に
限定されるものではないが、例えば、ノズル径0.05
〜0.3mm、及びピッチ0.2〜3mmで一列又は二
列以上にノズルを配置したノズルプレートから、圧力1
MPa〜30MPaの流体流を噴出すればよい。このよ
うな流体流は1回以上、極細繊維含有領域用繊維ウエブ
の少なくとも片面に対して噴出すればよい。片面側のみ
に噴出する場合は、接触表面側に対して噴出する。な
お、流体流で処理する際に、極細繊維含有領域用繊維ウ
エブを載置する支持体(例えば、ネット、多孔板など)
の非開孔部が太いと、得られる不織布(クリーニングシ
ート)も大きな孔を有するものとなり、接触表面の平滑
性が損なわれる傾向があるため、非開孔部の太さが0.
25mm以下の支持体を使用するのが好ましい。
【0037】次いで、流体流を作用させた極細繊維含有
領域用繊維ウエブ(場合により、第2の繊維含有領域用
の繊維ウエブを含む)を、極細繊維Bの軟化点よりも低
い温度〔(極細繊維Bのガラス転移温度)から(極細繊
維Bの軟化点よりも10℃低い温度)であるのが好まし
く、(極細繊維Bのガラス転移温度よりも20℃高い温
度)から(極細繊維Bの軟化点よりも20℃低い温度)
であるのがより好ましい〕かつ圧力(好ましくは0.3
〜3kN/cm、より好ましくは0.8〜2kN/c
m)を作用させることにより極細繊維Bを圧着変形させ
て、本発明のクリーニングシートに使用可能な不織布を
得ることができる。なお、極細繊維Bを圧着変形させる
場合には、加熱と加圧を同時に作用させる必要はなく、
加熱後に加圧しても同様に不織布(クリーニングシー
ト)を製造することができる。このような極細繊維Bの
圧着変形は、加熱と加圧を同時に作用させる場合には、
例えば、カレンダーロール、又はフラットプレス機によ
り実施することができ、加熱後に加圧する場合には、例
えば、熱風乾燥機により加熱した後、一対のロール間を
通過させることにより実施することができる。
【0038】本発明のクリーニングシートとして好適で
ある、極細繊維含有領域の厚さ方向断面において、極細
繊維含有領域の一方の表面(接触表面)から、極細繊維
含有領域の厚さ方向へ25μmまでの範囲内において、
極細繊維Bの前記範囲内における極細繊維含有領域構成
材全体に対して占める面積比率が15%以上である不織
布(クリーニングシート)は、例えば、極細繊維含有領
域用繊維ウエブとして、分割性繊維を50mass%以
上含む繊維ウエブを使用し、前記表面領域が構成される
ように配置することにより形成することができる。
【0039】本発明のクリーニングシートとして好適で
ある、極細繊維Aを構成する樹脂部分及び極細繊維Bを
構成する樹脂部分を含み、かつ極細繊維A及び極細繊維
Bのいずれの繊維径よりも繊維径の大きい太繊維を含む
不織布(クリーニングシート)、特に、極細繊維含有領
域の厚さ方向断面において、極細繊維含有領域の一方の
表面(接触表面)から10μm以上離れた領域に太繊維
が存在している不織布(クリーニングシート)は、例え
ば、機械的に分割可能な分割性繊維を使用し、接触表面
を含む表面領域に存在する分割性繊維のみが分割しやす
いように比較的弱い圧力の流体流を作用させたり、分割
性繊維を構成する少なくとも1つの樹脂を予め圧着変形
又は融着させて固定した後に流体流を作用させ、接触表
面を含む表面領域における分割性繊維の分割のみを進行
させる、などの方法により製造することができる。
【0040】本発明のクリーニングシートとして好適で
ある、極細繊維Aと極細繊維Bとが束状となった束部分
を有する不織布(クリーニングシート)、特に、束部分
が極細繊維含有領域の接触表面を含む表面領域に存在し
ている不織布(クリーニングシート)は、例えば、機械
的に分割可能な分割性繊維を使用し、接触表面を含む表
面領域に存在する分割性繊維が完全に分割されて分散し
ないように、比較的弱い圧力の流体流を作用させたり、
分割性繊維を構成する少なくとも1つの樹脂を予め圧着
変形又は融着させて固定し、分割性繊維の分散を抑制し
た状態で流体流を作用させる、などの方法により製造す
ることができる。
【0041】更に、本発明のクリーニングシートとして
好適である、極細繊維含有領域の厚さ方向断面におい
て、極細繊維含有領域の一方の表面(接触表面)から1
0μm以内に存在している極細繊維Bの偏平率が、極細
繊維含有領域の中心部に存在する極細繊維Bの偏平率よ
りも大きいクリーニングシートは、例えば、極細繊維B
を圧着変形させる時の温度を軟化点よりも低い温度
〔(極細繊維Bのガラス転移温度)から(極細繊維Bの
軟化点よりも10℃低い温度)であるのが好ましく、
(極細繊維Bのガラス転移温度よりも20℃高い温度)
から(極細繊維Bの軟化点よりも20℃低い温度)であ
るのがより好ましい〕としたり、極細繊維Bを圧着変形
させる時の圧力を比較的低くしたり、あるいはこれらの
条件を併用するなどの方法により製造することができ
る。
【0042】本発明のクリーニングシートは定着部材
(例えば、定着ロール)表面におけるトナーの離型性を
高めるために、オイルを含有していてもよい。このオイ
ルとしては、例えば、メチルシリコーンオイル、ジメチ
ルシリコーンオイル、エチルシリコーンオイル、フェニ
ルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エ
ポキシ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコー
ンオイル、又は3,3,3−トリフロロプロピルシリコ
ーンオイルなどのシリコーンオイルを単独で、又は混合
した状態で含有していることができる。このオイルの含
有量はクリーニングシートの厚さなどによって変化する
ため特に限定するものではないが、10〜120g/m
2であるのが好ましい。また、オイルの粘度は定着部材
表面におけるオイルの拡散性に優れるように、10〜3
0,000センチストークスであるのが好ましい。この
ようなオイルは前述のようにして製造したクリーニング
シートをオイル中に浸漬したり、クリーニングシートに
オイルをスプレー又はコーティングして含有させること
ができる。
【0043】本発明のクリーニングシート供給体は、例
えば、図4に示すように、前記のクリーニングシート5
1と、その一端から前記クリーニングシート51を巻回
して含む巻出シャフト61と、前記クリーニングシート
51のもう一方の端部を巻き取り可能な状態で含む巻取
シャフト71とを含む。そのため、このクリーニングシ
ート供給体は、巻出シャフト61から順次クリーニング
シート51を巻き出すことによって、常に新しいクリー
ニングシート51を定着部材(例えば、定着ロール1
1)と接触させることができるため、常にオイルの厚さ
が均一であるようにオイルを除去することができたり、
オイルの厚さが均一であるようにオイルを塗布すること
ができる。クリーニングシート51の巻取シャフト71
への固定方法としては、例えば、(1)両面テープによ
る固定、(2)ホットメルト樹脂などの融着樹脂による
固定、(3)巻取シャフト71が熱可塑性樹脂からなる
場合には、巻取シャフト71を熱融着させることによる
固定、(4)巻取シャフト71にピンなどを設置し、ク
リーニングシート51にピンなどを差し込むことによる
固定、(5)巻取シャフト71に溝を形成し、その溝に
クリーニングシート51を差し込むことによる固定、な
どがある。なお、上記(1)〜(3)の方法によりクリ
ーニングシート51を固定する場合には、巻取シャフト
71に対して全面的に固定してもよいし、部分的に固定
してもよい。また、巻出シャフト61側においては、ク
リーニングシート51を巻取シャフト71と同様に固定
することができるが、巻出シャフト61に必ず固定する
必要はなく、巻出シャフト61に単に巻き込むだけでも
よい。
【0044】本発明のクリーニング装置は、図4に示す
とおり、上述のクリーニングシート供給体と、そのクリ
ーニングシート供給体の保持手段62,72と、前記ク
リーニングシート供給体のクリーニングシートの搬送手
段(例えば、巻取シャフト71の回転手段)と、そのク
リーニングシート51を定着部材に押圧する押圧手段8
2とを有する。前記のクリーニング供給体の保持手段6
2,72に代えて、巻出シャフト61及び/又は巻取シ
ャフト71をそのままクリーニング装置のハウジングに
設けた保持具に直接はめこむこともできる。本発明によ
るクリーニング装置は、巻出シャフト61から順次クリ
ーニングシート51を巻き出すことによって、常に新し
いクリーニングシート51を定着部材表面と接触させる
ことができるため、常にオイルの厚さが均一であるよう
にオイルを除去することができ、しかもオイルの厚さが
均一であるようにオイルを塗布することができる。
【0045】本発明のクリーニング装置におけるクリー
ニングシートの定着部材への押圧手段82としては、例
えば、断面形状が円形状や多角形状(例えば、四角形、
又は六角形など)の棒状体を使用することができる。こ
れらの中でも、断面形状が円形状の棒状体であると、ク
リーニングシートを定着部材に均一に押圧することがで
き、オイル層の厚さが均一であるようにオイルを除去す
ることができ、オイル層の厚さが均一であるようにオイ
ルを塗布することができるため好適である。この棒状体
は弾性及び耐熱性に優れているのが好ましいため、例え
ば、発泡又は無発泡のシリコーンゴムなどからなるのが
好ましい。なお、この棒状体の定着部材への押圧力はオ
イル層の厚さが均一であるようにオイルを除去すること
ができたり、オイル層の厚さが均一であるようにオイル
を塗布することができるように、棒状体の定着部材表面
における作用幅(ニップ幅)が、2〜5mmであるよう
な押圧力であるのが好ましい。また、棒状体はクリーニ
ングシートを構成する極細繊維含有領域の極細繊維Bが
表面領域において圧着変形された状態にある面(接触表
面)が定着部材と接触するように押圧する。
【0046】本発明によるクリーニングシートによって
処理することのできる定着部材としては、複写機、レー
ザービームプリンター、又はファクシミリなどの電子写
真装置における定着ロールを挙げることができ、定着ロ
ールの他に、(1)定着ロールに代って複写シートへト
ナーを直接定着させることのできる循環ベルト、(2)
定着ロール又は前記循環ベルトと接触して設けられてお
り、トナー及びオイルが転写される転写ロール、を例示
することができる。
【0047】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。
【実施例1】図5に示す断面形状を有する分割性繊維を
用意した。すなわち、ポリエチレンテレフタレート(軟
化点=238℃;図5のA)を繊維軸から伸びるナイロ
ン6(ガラス転移温度=48℃;軟化点=180℃;図
5のB1,B2)により8分割したオレンジ状の繊維横断
面形状を有する分割性繊維(繊度:2.2dtex、繊
維長:38mm、ポリエチレンテレフタレートとナイロ
ン6との質量比は7:3)を用意した。この分割性繊維
は機械的作用により、繊維横断面形状が略三角形状で繊
維径が4.2μmのポリエチレンテレフタレートからな
る極細繊維Aを8本と、繊維横断面形状が略X字形状で
繊維径が6μmのナイロン6からなる極細繊維B1を1
本と、繊維横断面形状が略I字形状で繊維径が3μmの
ナイロン6からなる極細繊維B2を4本とに分割可能で
あった。
【0048】次いで、この分割性繊維100%をカード
機により開繊して、繊維ウエブの長さ方向に繊維が配向
した極細繊維含有領域用一方向性繊維ウエブ(面密度:
20g/m2)を形成した。次いで、前記と全く同様に
して形成した一方向性繊維ウエブをクロスレイヤーによ
り繊維ウエブの長さ方向と交差するように繊維を配向さ
せ、極細繊維含有領域用交差繊維ウエブ(面密度:60
g/m2)を形成した。
【0049】次いで、前記一方向性繊維ウエブと交差繊
維ウエブとを積層した積層繊維ウエブを、線径(非開口
部)0.15mmのネット上に載置し、ノズル径0.1
3mm、ピッチ0.6mmで一列に配列させたノズルプ
レートから、圧力5MPaの水流を交差繊維ウエブ側に
対して噴出した後、同様のノズルプレートから一方向性
繊維ウエブ側に対して圧力5MPaの水流を噴出し、続
いて同様のノズルプレートから交差繊維ウエブ側に対し
て圧力5MPaの水流を噴出し、更に同様のノズルプレ
ートから一方向性繊維ウエブ側に対して圧力5MPaの
水流を噴出することにより、前記積層繊維ウエブを構成
する分割性繊維を分割して、極細繊維A(軟化点:23
8℃、繊維断面形状:略三角形、繊維径:4.2μ
m)、極細繊維B1(ガラス転移温度:48℃、軟化
点:180℃、繊維断面形状:略X字形状、繊維径:6
μm)及び極細繊維B2(ガラス転移温度:48℃、軟
化点:180℃、繊維断面形状:略I字形状、繊維径:
3μm)を発生させると同時に絡合させて、絡合不織布
を形成した。
【0050】次いで、この絡合不織布を、温度90℃に
設定されたスチールロールとコットンロールとの間(線
圧:1.5kN/cm)を、交差繊維ウエブに由来する
面がスチールロールと接触するするように通過させて、
絡合不織布の表面から厚さ方向へ20μmまでの表面領
域に存在する極細繊維Bのみを圧着変形(絡合不織布の
表面領域以外の領域においては極細繊維Bは圧着変形し
た状態にない)させて、面密度80g/m2、厚さ16
0μm、見掛密度0.5g/cm3の圧着絡合不織布、
つまりクリーニングシートを製造した。
【0051】このクリーニングシートの表面及び厚さ方
向断面における電子顕微鏡写真を撮り、観察した結果、
次のような状態にあることがわかった。このクリーニン
グシート(圧着絡合不織布)の厚さ方向断面において、
クリーニングシートの一方の表面(交差繊維ウエブに由
来する表面)から、クリーニングシートの厚さ方向へ2
5μmまでの範囲内において、極細繊維Bの前記範囲内
におけるクリーニングシート構成材全体に対して占める
面積比率は約34%であった。また、クリーニングシー
トの他方の表面(一方向性繊維ウエブに由来する表面)
から、クリーニングシートの厚さ方向へ25μmまでの
範囲内において、極細繊維Bの前記範囲内におけるクリ
ーニングシート構成材全体に対して占める面積比率は約
34%であった。なお、このクリーニングシート(圧着
絡合不織布)は、ポリエチレンテレフタレートが繊維軸
から伸びるナイロン6によって分割されたオレンジ状の
断面形状を有する、繊維径が15μmの全ての太繊維
が、クリーニングシートの厚さ方向断面において、クリ
ーニングシートの一方の表面から10μm以上離れてお
り、クリーニングシートの他方の表面から10μm以上
離れた領域内に、不規則に存在しているものであった。
また、極細繊維Aと極細繊維Bとが束状となった束部分
がクリーニングシートの両表面領域に、不規則に存在す
るものであった。更に、クリーニングシートの厚さ方向
断面において、クリーニングシートの一方の表面から1
0μm以内に存在している極細繊維Bの偏平率及び他方
の表面から10μm以内に存在している極細繊維Bの偏
平率ともに、クリーニングシートの厚さ方向断面におい
て、クリーニングシートの中心部に存在している極細繊
維Bの偏平率よりも大きいものであった。
【0052】次いで、このクリーニングシートを粘度が
100CS(センチストークス)のジメチルシリコーン
オイル浴中に浸漬した後、一対のロール間を通過させて
余剰のジメチルシリコーンオイルを除去し、70g/m
2のジメチルシリコーンオイルを含むクリーニングシー
トを製造した。
【0053】
【比較例】繊維径8.7μm(繊度:0.83dte
x)、繊維長38mmのポリエチレンテレフタレート極
細繊維(軟化点:238℃、断面:円形)と、繊維径
8.4μm(繊度:0.78dtex)、繊維長38m
mのメタ型芳香族ポリアミド極細繊維(炭化温度:40
0℃、断面:円形)とを用意した。
【0054】次いで、前記ポリエチレンテレフタレート
極細繊維30mass%と、前記メタ型芳香族ポリアミ
ド極細繊維70mass%とを混合し、カード機により
開繊して、繊維ウエブの長さ方向に繊維が配向した一方
向性繊維ウエブ(面密度:20g/m2)を形成した。
次いで、前記と全く同様にして形成した一方向性繊維ウ
エブをクロスレイヤーにより繊維ウエブの長さ方向と交
差するように繊維を配向させて、交差繊維ウエブ(面密
度:60g/m2)を形成した。
【0055】次いで、前記一方向性繊維ウエブと交差繊
維ウエブとを積層した積層繊維ウエブを、いずれの水圧
も15MPaとしたこと以外は、実施例1と全く同様に
水流を積層繊維ウエブに対して噴出することにより繊維
同士を絡合させて、絡合不織布を形成した。
【0056】次いで、この絡合不織布を、温度240℃
に設定されたスチールロールとコットンロールとの間
(線圧:2kN/cm)を、交差繊維ウエブに由来する
面がスチールロールと接触するように通過させて、ポリ
エチレンテレフタレート極細繊維を軟化変形させること
によりメタ型芳香族ポリアミド極細繊維を固定して、面
密度80g/m2、厚さ160μm、見掛密度0.5g
/cm3の固定絡合不織布、つまりクリーニングシート
を製造した。次いで、実施例1と全く同様にして、70
g/m2のジメチルシリコーンオイルを含むクリーニン
グシートを製造した。
【0057】
【クリーニングシートの評価】(1)オイル平滑化の評
価;表面がRTVシリコーンゴム(肉厚:1mm)から
なる定着ロール(表面温度:170℃)と、表面がRT
Vシリコーンゴム(肉厚:2mm)からなる加圧ロール
とからなり、いずれのロールにもヒータが内蔵された定
着装置を備えたカラー複写機を用意した。次いで、実施
例1及び比較例のオイル含有クリーニングシートを、そ
れぞれ定着ロールの回転方向とは反対方向に移動するよ
うに、かつクリーニングシートの交差繊維ウエブに由来
する表面が定着ロールと接触するように供給し、円柱状
の発泡シリコーンゴムからなる押圧ロールにより、供給
されたクリーニングシートを定着ロールに押圧(ニップ
幅:4mm、押圧力:0.04kg/cm)できるよう
に設定した。そして、写真画像の複写をOHPフィルム
(複写シート)に対して連続的に10枚実施した。次い
で、その10枚目のOHPフィルムを投影機により投影
し、OHPフィルム上のオイル筋を目視により観察し
た。その結果、実施例1のクリーニングシートを使用し
た場合には、全くオイル筋は観察されなかったのに対し
て、比較例のクリーニングシートを使用した場合には、
薄いオイル筋が観察された。この結果から、本発明のク
リーニングシートは均一な厚さのオイル塗布層を形成で
きるものであることがわかった。
【0058】(2)オイル塗布性の評価;前述の(1)
オイル平滑化の評価の場合と同様に実施例1及び比較例
のクリーニングシートを設置(クリーニングシートの送
り速度:A4サイズ1枚あたり0.3mm)した。次い
で、OHPフィルム(複写シート)を連続的に10枚、
定着ロールと加圧ロールとの間を通過させて、OHPフ
ィルムの通過前後における質量から、それぞれのOHP
フィルムについてオイル付着量を算出した。その結果、
実施例のクリーニングシートを用いた場合には、OHP
1枚あたりオイル付着量が1.5mg〜2.5mgであ
ったのに対して、比較例のクリーニングシートを用いた
場合には、OHP1枚あたりオイル付着量が1.0〜
7.0mgであった。この結果からも、本発明のクリー
ニングシートは均一な厚さのオイル塗布層を形成できる
ものであることがわかった。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、トナーの払拭性やオイ
ルの払拭性の点で優れたクリーニングシートが提供され
る。これは、本発明によるクリーニングシートが、定着
部材(例えば、定着ロール)と接触する表面に極細繊維
Aを含んでおり、極細繊維Bが融着した状態ではなく、
圧着変形した状態にあるためと思われる。また、本発明
のクリーニングシートの表面は平滑で、定着部材(例え
ば、定着ロール)との接触面積が広く、オイルの払拭性
に優れており、そして厚さの均一なオイル層を形成する
ことができる。これは、定着部材(例えば、定着ロー
ル)と接触する表面に極細繊維Bを圧着変形した状態で
含んでいるためと考えられる。更に、本発明のクリーニ
ングシートは、従来のクリーニングシートよりもオイル
の払拭性に優れており、そして厚さの均一なオイル層を
形成することができる。これは、本発明のクリーニング
シートを構成する極細繊維Bが、定着部材、例えば、定
着ロール(表面温度:150℃〜200℃程度)との接
触によって軟化し、クリーニングシートが定着部材の形
状に沿って変形することができるためと思われる。この
ように本発明のクリーニングシートは、従来のクリーニ
ングシートと同様の方法で使用するだけで、オイルの払
拭性に優れており、あるいは厚さの均一なオイル層を形
成することができ、定着部材(例えば、定着ロール)へ
強く押し付ける必要がないため、定着部材の寿命を短く
したり、機械的振動を引き起こしたりすることがなく、
しかも定着部材に塗布するオイル量を少なくする必要が
ないため、トナーの離型性を損なうことがない。
【0060】本発明の定着部材用クリーニングシート供
給体は、クリーニングシートの常に新しい面を定着部材
(例えば、定着ロール)表面と接触させることができる
ため、定着部材のオイルを均一に払拭除去できたり、オ
イル層の厚さを均一に形成することができる。
【0061】本発明の定着部材用クリーニング装置は、
クリーニングシートの常に新しい面を定着部材(例え
ば、定着ロール)表面と接触させることができるため、
定着部材表面のオイルを均一に払拭除去できたり、オイ
ル層の厚さを均一に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】定着ロールなどの従来の定着部材によりトナー
像が定着される機構を模式的に示す断面図である。
【図2】従来のクリーニングシートにより払拭した後の
定着ロール表面におけるオイル層の厚さを表す模式的拡
大断面図である。
【図3】従来のオイル塗布装置によりオイルを塗布した
後の定着ロール表面におけるオイル層の厚さを表す模式
的拡大断面図である。
【図4】本発明によるクリーニングシート供給体及びク
リーニング装置を模式的に示す断面図である。
【図5】実施例1において本発明のクリーニングシート
を調製する際に用いる分割性繊維の構造を模式的に示す
断面図である。
【符号の説明】
1,11・・・定着ロール;2・・加圧ロール;3,3
1・・複写シート;3a・・・未定着トナー像;3b・
・・定着トナー像;4・・・オイル塗布装置;4a・・
・オイル;4b・・・オイル供給ロール;5,51・・
・クリーニングシート;6,61・・・巻出シャフト;
7,71・・・巻取シャフト;8,81・・・押圧ロー
ル;62,72・・・保持手段;82・・・押圧手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D04H 1/70 D04H 1/70 Z 1/74 1/74

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 定着部材用のクリーニングシートであっ
    て、(1)そのクリーニングシートが、(a)軟化点が
    230℃を越える樹脂からなり、繊維横断面形状が非円
    形で、繊維径が10μm以下の第1の極細繊維と、
    (b)軟化点が150℃〜230℃の範囲内にある樹脂
    からなり、繊維径が10μm以下の第2の極細繊維とを
    含む極細繊維含有領域を有し、(2)クリーニングシー
    トの少なくとも一方の表面は前記極細繊維含有領域に含
    まれており、しかも、その表面を含む表面領域を構成す
    る前記第2極細繊維は圧着変形されていることを特徴と
    する、前記のクリーニングシート。
  2. 【請求項2】 前記の第2極細繊維が、その第2極細繊
    維の軟化点よりも低い温度で圧着変形されている、請求
    項1に記載のクリーニングシート。
  3. 【請求項3】 クリーニングシートの厚さ方向断面にお
    いて、前記極細繊維含有領域に含まれる表面から、前記
    クリーニングシートの厚さ方向へ25μmまでの範囲内
    において、前記極細繊維含有領域構成材全体に対し、前
    記第2極細繊維の占める面積比率が15%以上である、
    請求項1又は2に記載のクリーニングシート。
  4. 【請求項4】 前記極細繊維含有領域に、第1極細繊維
    及び第2極細繊維のいずれの繊維径よりも繊維径の大き
    い太繊維を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の
    クリーニングシート。
  5. 【請求項5】 前記太繊維が前記第1極細繊維を構成す
    る樹脂部分及び前記第2極細繊維を構成する樹脂部分を
    含んでいる、請求項4に記載のクリーニングシート。
  6. 【請求項6】 前記太繊維が、クリーニングシートの厚
    さ方向断面において、極細繊維含有領域に含まれる表面
    から10μm以上離れて存在している、請求項4又は5
    に記載のクリーニングシート。
  7. 【請求項7】 前記極細繊維含有領域において、複数の
    前記第1極細繊維と前記第2極細繊維とが束状の束部分
    を有する、請求項1〜6のいずれかに記載のクリーニン
    グシート。
  8. 【請求項8】 前記束部分が極細繊維含有領域に含まれ
    る表面領域に存在している、請求項7に記載の定着部材
    用クリーニングシート。
  9. 【請求項9】 前記クリーニングシートの厚さ方向断面
    において、前記極細繊維含有領域に含まれる表面から1
    0μm以内に存在している前記第2極細繊維の偏平率
    が、極細繊維含有領域の中心部に存在する第2極細繊維
    の偏平率よりも大きい、請求項1〜8のいずれかに記載
    のクリーニングシート。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載のクリ
    ーニングシートと、その一端から前記クリーニングシー
    トを巻回して含む巻出シャフトと、前記クリーニングシ
    ートのもう一方の端部を巻き取り可能な状態で含む巻取
    シャフトとを含むことを特徴とする、定着部材用クリー
    ニングシート供給体。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載のクリーニングシー
    ト供給体と、そのクリーニングシート供給体の保持手段
    と、前記クリーニングシート供給体のクリーニングシー
    トの搬送手段と、そのクリーニングシートを定着部材に
    押圧する押圧手段とを有することを特徴とする、定着部
    材のクリーニング装置。
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