JP4180150B2 - 定着ロール用クリーニングシート、定着ロール用クリーニング材、及び定着ロール用クリーニング装置 - Google Patents

定着ロール用クリーニングシート、定着ロール用クリーニング材、及び定着ロール用クリーニング装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は定着ロール用クリーニングシート、定着ロール用クリーニング材、及び定着ロール用クリーニング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリなどの電子写真装置においては、定着ロールと加圧ロールとの間に未定着トナー像を担持した複写シート(例えば、紙、フィルムなど)を供給し、熱及び圧力の作用により、複写シート表面にトナーを定着させていた。そのため、定着ロール及び/又は加圧ロール表面にトナーが転写され、その転写されたトナーが複写シートの後端部又は次に通過する複写シートに再度転写されて、複写シートを汚す(いわゆるオフセット)という問題があった。そのため、定着ロール表面にオイルを塗布することにより定着ロール表面からのトナーの離型性を高めたうえで、不織布などのクリーニングシートによってトナーを払拭していた。
【0003】
このトナーの定着について、定着部における模式的断面図である図1をもとに説明する。まず、定着ロール1と加圧ロール2との間に、未定着トナー像を担持した複写シート3が供給される。そして、この複写シート3が定着ロール1と加圧ロール2との間を通過する際に、熱と圧力の作用により未定着トナーが複写シート3に定着された後、排出される。他方、定着ロールはトナーの離型性を高めるために、複写シート3と接触する前の段階で、オイル塗布装置4からオイル4aが塗布される。次いで、定着ロール1は未定着トナーを複写シート3に定着させた後、定着されないで残留したトナーがクリーニングシート5によって払拭される。
【0004】
このようにして複写シート3に未定着トナーが定着されるため、複写シート3に定着されたトナー以外にオイルも転写される。そのため、複写シート3が紙からなり、トナーが定着されていない部分を有する場合には、定着されていない部分によってオイルが吸収されるため、大きな問題はない。しかしながら、複写シートの表面全体にトナーを定着させる場合(例えば、カラーコピー機により写真を複写する場合など)や、複写シートがフィルムの場合、前者はトナーはオイルを吸収せず、後者は複写シートはオイルを吸収せず、オイルは定着したトナー上に残留したままの状態となるため、複写された画像品位が低下するという問題があった。
【0005】
特に、オイル塗布装置4によるオイルの塗布は、クリーニングシート5により定着ロール表面を払拭した後に行われるが、従来使用しているクリーニングシート5は表面が粗く、繊維の分散性が悪く、しかも繊維が毛羽立ちやすい傾向があったため、このクリーニングシート5により不均一に払拭され、定着ロール表面に残留するオイルの厚さが不均一(図2(a)参照)になる傾向があった。そのため、オイル塗布装置4によるオイルの塗布が均一に実施されたとしても、定着ロール表面におけるオイル厚さの不均一さを助長(図2(b)参照)してしまい、その結果、複写シートに定着されたトナー上にオイルが不均一に転写され、画像品位を著しく低下させていた。
【0006】
そのため、クリーニングシートの定着ロールへの押圧力を高くすることにより、オイル厚さの不均一さを低減しようと試みられたが、クリーニングシートを強く押し付けるがゆえに定着ロール表面に傷をつけやすく、定着ロールの寿命が短くなるという問題や、定着ロールとの摩擦が高くなることによって機械的振動を引き起こすなどの弊害があった。
【0007】
また、オイル塗布装置から定着ロールへ塗布するオイルの量を少なくするという試みもなされているが、オイルの量を少なくすることによりトナーの離型性が悪くなり、オフセットが発生しやすいという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、複写シートに複写された画像品位を向上させることのできる定着ロール用クリーニングシート、定着ロール用クリーニング材、及び定着ロール用クリーニング装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のオイルを含有させないで定着ロール表面と接触させて使用する定着ロール用クリーニングシート(以下、単に「クリーニングシート」という)は、融着性繊維と耐熱性繊維とを含み、この融着性繊維が全面的に融着した見掛密度が0.55〜0.71g/cm 繊維シートからなり、この融着性繊維が繊維シート中、60〜80mass%含まれており、しかもこの融着性繊維以外の繊維を無作為に選んだ100本の繊維の繊維径の平均値である平均繊維径が11μm以下のものである。このように融着性繊維以外の繊維が細く、これら繊維によって形成される繊維シートの空隙が小さいばかりでなく、この小さい空隙が大量(60〜80mass%)の融着性繊維の融着によって更に小さい空隙を形成した、非常に平滑な表面を有するクリーニングシートであるため、残留したトナーを払拭する際にオイルの厚さが均一となるように払拭することができる。したがって、このクリーニングシートを使用すれば、複写シートの表面全体にトナーを定着させるような場合であっても、画像品位の優れる複写を実施することができる。
【0010】
本発明の定着ロール用クリーニング材は、上記オイルが付着していないクリーニングシートの一端がシャフトに巻回されており、このクリーニングシートの他端が別のシャフトに固定されたものである。そのため、常に新しいクリーニングシートと定着ロール表面とを接触させることができるため、常にオイルの厚さが均一となるように払拭することができる。
【0011】
本発明の定着ロール用クリーニング装置は、上記クリーニング材からクリーニングシートを巻き出し、押圧手段によりこのクリーニングシートを定着ロールに押圧した後、このクリーニングシートを巻き取る機構を有するものである。そのため、常に新しいクリーニングシートと定着ロール表面とを接触させることができるため、常にオイルの厚さが均一となるように払拭することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のクリーニングシートを構成する繊維シートとしては、織物、編物、不織布、或いはこれらの複合体であることができる。これらの中でも、繊維がランダムに配置することができ、表面の平滑性を向上させやすい不織布を、繊維シート表面に含んでいるのが好ましい。
【0013】
本発明の繊維シートは繊維間を融着できるとともに、繊維表面を平滑にできるように、融着性繊維を含んでいる。この融着性繊維としては、例えば、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維、未延伸ポリブチレンテレフタレート繊維、未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維、6ナイロンや66ナイロンなどのナイロン系未延伸繊維などを1種類以上使用できる。これらの中でも未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維は(1)融点が255℃と高く、定着ロールと接触しても融着力が低下せず、クリーニングシートが破断しない、(2)融着する際の温度が比較的低温で、しかも融着温度範囲が広いため製造しやすい、という理由から好適に使用することができる。
【0014】
この融着性繊維は繊維シート表面を平滑にしやすいように、繊維シート中、50mass%以上含まれているのが好ましく、55mass%以上含まれているのがより好ましく、60mass%以上含まれているのが最も好ましい。また、耐熱性をもたせるために耐熱性繊維を混合するのが好ましいため、融着性繊維は繊維シート中、90mass%以下であるのが好ましく、80mass%以下であるのがより好ましく、70mass%以下であるのが最も好ましい。
【0015】
この融着性繊維の平均繊維径は特に限定するものではないが、融着繊維の分散性及び繊維シートの平滑性に優れるように、25μm以下であるのが好ましく、21μm以下であるのがより好ましく、19μm以下であるのが最も好ましい。なお、下限は特に限定するものではないが、10μm程度が適当である。
【0016】
なお、本発明において、繊維の断面形状が非円形である場合には、その断面積と同じ面積を有する円の直径を繊維径とみなす。また、平均繊維径は無作為に選んだ100本の繊維の繊維径の平均値をいう。
【0017】
本発明の繊維シートは前述のような融着性繊維に加えて、高温の定着ロールと接触しても破断することがないように、耐熱性繊維を含んでいる。この耐熱性繊維としては、例えば、メタ型又はパラ型の芳香族ポリアミド繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、芳香族ポリエーテルアミド繊維、ポリベンツイミダゾール繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、芳香族ポリエステル繊維などを1種類以上使用できる。これらの中でも芳香族ポリアミド繊維はトナーの払拭性に優れ、しかも収縮して繊維シートに皺を発生させることがなく、繊維シートの平滑性を維持しやすいため好適に使用できる。
【0018】
この耐熱性繊維はクリーニングシートが定着ロールと接触しても破断することがないように、繊維シート中、10mass%以上含まれているのが好ましく、20mass%以上含まれているのがより好ましい。また、繊維シートの平滑性のために融着性繊維を50mass%以上含んでいる必要があるため、耐熱性繊維は50mass%以下含まれている。
【0019】
また、耐熱性繊維は繊維シートが平滑となりやすいように、平均繊維径が11μm以下であるのが好ましく、9μm以下であるのがより好ましく、8.5μm以下であるのが最も好ましい。下限は特に限定するものではないが、5μm程度が適当である。
【0020】
本発明の繊維シートは前述の融着性繊維及び耐熱性繊維以外に、定着ロールの熱によって軟化する繊維(以下、「軟化繊維」という)を混合することができる。この軟化繊維は定着ロールと接触した際に定着ロール表面に沿って変形し、クリーニングシートの平滑性をより向上させることができる。また、軟化繊維の変形によって、クリーニングシートと定着ロールとの接触面積が広くなり、定着ロールを損傷しにくくなる、という効果も奏する。
【0021】
この軟化繊維としては、例えば、6ナイロン繊維や66ナイロン繊維などのポリアミド系繊維、延伸ポリエチレンテレフタレート繊維や延伸ポリブチレンテレフタレート繊維などのポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ビニロン系繊維、延伸ポリフェニレンサルファイド繊維などを1種類以上使用できる。これらの中でも、延伸ポリエチレンテレフタレート繊維は融点が255℃程度と高く、しかも定着ロール設置箇所の雰囲気温度では軟化及び溶融しにくいため好適に使用できる。なお、前述の融着性繊維が軟化繊維と同様の作用を発揮する場合もある。この軟化繊維は繊維シート中、0〜40mass%含むことができる。
【0022】
また、軟化繊維も繊維シートが平滑となるように、平均繊維径が11μm以下であるのが好ましく、9μm以下であるのがより好ましく、8.5μm以下であるのが最も好ましい。下限は特に限定するものではないが、5μm程度が適当である。
【0023】
本発明のクリーニングシートを構成する繊維の断面形状は円形である必要はなく、多角形状(例えば、三角形、四角形など)やアルファベット形状(例えば、Y形状、X形状など)などの非円形であっても良い。なお、融着性繊維以外の繊維の断面形状が非円形であると、トナーの払拭性及びクリーニングシートの平滑性に優れている。
【0024】
本発明の繊維シートを構成する繊維のうち、融着性繊維以外の繊維(例えば、耐熱性繊維、軟化繊維など)の平均繊維径は、繊維シートが平滑となるように、11μm以下である必要がある。より好ましくは9μm以下であり、最も好ましくは8.5μm以下である。下限は特に限定するものではないが、5μm程度が適当である。また、融着性繊維以外の繊維として、繊維径が10μm以下の繊維を、繊維シート中、10mass%以上含んでいるのが好ましい。
【0025】
本発明の繊維シートは融着性繊維により融着しているが、繊維シート表面の平滑性に優れるように、全面的に融着しているのが好ましい。このように全面的に融着していることによって、クリーニングシートが定着ロールと接触した際に収縮して平滑性を損なうということがない、という効果も奏する。
【0026】
また、本発明の繊維シートの面密度や厚さは特に限定するものではなく、面密度は10〜60g/m2、厚さは20〜120μm(より好ましくは30〜100μm)程度であれば良い。なお、繊維シートの見掛密度が0.5〜0.8g/cm3であるのが好ましい。繊維シートの見掛密度が0.5g/cm3未満であると、繊維シートの平滑性が悪い傾向があり、0.8g/cm3を越えると、繊維シート表面が平滑すぎてトナーを払拭できなかったり、トナーを保持できなくなる傾向があるためで、0.55〜0.75g/cm3であるのがより好ましく、0.6〜0.75g/cm3であるのが最も好ましい。なお、厚さはマイクロメーター(JIS B 7502:測定面積φ6.3)を用いて測定した値をいう。
【0027】
本発明のクリーニングシートにはオイルが付着している必要はないが、オイルを付着させておいて、定着ロール表面に残留したトナーを払拭する際に、オイルの厚さを平滑化すると同時にオイルを塗布して、オイル塗布装置によるオイル塗布の補助をすることもできる。
【0028】
このオイルとしては、例えば、メチルシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、エチルシリコーンオイル、フェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、3,3,3−トリフロロプロピルシリコーンオイルなどのシリコーンオイルを単独で、又は混合して使用することができる。
【0029】
このオイルの付着量は繊維シートの厚さなどによって異なるが、100g/m2以下であるのが好ましい。また、オイルの粘度は定着ロール表面における拡散性に優れるように、10〜30,000センチストークスであるのが好ましい。
【0030】
本発明のクリーニングシートを構成する繊維シートは常法により製造することができる。例えば、繊維シートとして好適である不織布からなるクリーニングシートは次のようにして製造することができる。
【0031】
まず、前述のような融着性繊維及び耐熱性繊維を含む(場合により軟化繊維も含む)繊維ウエブを形成する。この繊維ウエブの形成方法としては、例えば、カード法、エアレイ法などの乾式法や、湿式法などがある。これらの中でも、カード法により繊維ウエブの長さ方向に繊維を配向させると、クリーニングシートの長さ方向における強度を強くすることができ、クリーニングシートを使用している時に破断しにくいため好適である。
【0032】
なお、繊維ウエブは一層である必要はなく、同種又は異種の繊維ウエブを二枚以上積層しても良い。例えば、融着性繊維量の多い繊維ウエブと耐熱性繊維量の多い繊維ウエブとを積層することにより、前者の繊維ウエブからなる面の平滑性を著しく向上させることができるとともに、後者の繊維ウエブからなる層によって高温下における強度を維持することができる。
【0033】
次いで、この繊維ウエブを構成する融着性繊維を融着させて、不織布を製造することができる。この融着性繊維の融着は不織布表面が平滑となるように、例えば、繊維ウエブを熱カレンダーロール間に通したり、平板プレス機により実施することができる。前者の方法であると、連続生産に優れているため好適である。この好適である熱カレンダー間を通過させる際の条件としては、平滑かつ強固に融着でき、しかも厚さを調整できるように、温度170〜250℃、線圧98〜980N/cmで実施するのが好ましく、温度190〜230℃、線圧294〜686N/cmで実施するのがより好ましい。
【0034】
なお、上述のように融着性繊維を融着させる前に、水流などの流体流やニードルによって絡合させると、繊維同士の接触点が多い状態で融着性繊維が融着することになるため、引張り強度を向上させることができたり、毛羽立ちを抑えることができる。更には、より緻密な構造とすることができ、平滑性をより向上させることができるため好適である。
【0035】
なお、クリーニングシートがオイルを含有している場合には、上述のような方法で製造した不織布をオイル中に浸漬したり、不織布にオイルをスプレー又はコーティングすれば良い。
【0036】
本発明のクリーニング材は、上述のようなクリーニングシートの一端がシャフト(巻き出しシャフト)に巻回されており、このクリーニングシートの他端が別のシャフト(巻き取りシャフト)に固定されたものである。このクリーニング材は巻き出しシャフトから順次クリーニングシートを巻き出すことによって、常に新しいクリーニングシートを定着ロールと接触させることができるため、払拭したトナーによって妨げられることなく、常にオイルの厚さを均一にすることができる。
【0037】
なお、クリーニングシートのシャフトへの固定方法としては、例えば、(1)両面テープによる固定、(2)ホットメルト樹脂などの融着樹脂による固定、(3)シャフトが熱可塑性樹脂からなる場合には、シャフトを熱融着させることによる固定、(4)シャフトにピンなどを設置し、クリーニングシートを差し込むことによる固定、(5)シャフトに溝を形成し、その溝にクリーニングシートを差し込むことによる固定、などがある。なお、上記(1)〜(3)の方法により固定する場合には、シャフトの全面に固定しても良いし、部分的に固定しても良い。また、巻き出しシャフト側においては、クリーニングシートを必ずしも固定する必要はなく、シャフトに単に巻き込むだけでも良い。
【0038】
本発明のクリーニング装置は、上記のクリーニング材からクリーニングシートを巻き出し、押圧手段によってこのクリーニングシートを定着ロールに押圧した後、このクリーニングシートを巻き取る機構を有するものである。このクリーニング装置は巻き出しシャフトから順次クリーニングシートを巻き出すことによって、常に新しいクリーニングシートを定着ロールと接触させることができるため、払拭したトナーによって妨げられることなく、常にオイルの厚さを均一にすることができる。
【0039】
本発明のクリーニング装置のクリーニングシートの定着ロールへの押圧手段としては、例えば、断面形状が円形状や多角形状(例えば、四角形、六角形など)の棒状体を使用することができる。これらの中でも、断面形状が円形状の棒状体であると、クリーニングシートを定着ロールへ均一に押圧できるため好適である。この棒状体は弾性及び耐熱性に優れているのが好ましいため、例えば、発泡又は無発泡のシリコーンゴムなどからなるのが好ましい。なお、この棒状体による定着ロールへの押圧力は、オイルの厚さを均一にできるように、棒状体の定着ロール表面における作用幅(ニップ幅)が、2〜5mmであるような押圧力であるのが好ましい。
【0040】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0041】
【実施例】
(実施例1)
メタ型芳香族ポリアミド繊維(繊維径8.5μm、繊維長38mm、断面円形)40mass%、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(22.6μm、繊維長38、断面円形)60mass%とを混綿し、カード機により開繊して、繊維が繊維ウエブの長さ方向に配向した一方向性繊維ウエブを形成した。
【0042】
次いで、この一方向性繊維ウエブを、温度210℃のスチールロールとコットンロールとの間(線圧490N/cm)との間を通すことにより、全面的に未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維を融着させて、面密度25g/m2、厚さ40μm、見掛密度0.63g/cm3の不織布、つまりクリーニングシートを製造した。
【0043】
(実施例2)
メタ型芳香族ポリアミド繊維(繊維径8.5μm、繊維長38mm、断面円形)20mass%、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(22.6μm、繊維長38、断面円形)80mass%とを使用したこと、及び温度210℃のスチールロールとコットンロールとの間(線圧539N/cm)との間を通したこと以外は、実施例1と同様にして、面密度25g/m2、厚さ35μm、見掛密度0.71g/cm3の不織布、つまりクリーニングシートを製造した。
【0044】
(実施例3)
温度210℃のスチールロールとコットンロールとの間(線圧343N/cm)との間を通したこと以外は、実施例1と同様にして、面密度25g/m2、厚さ52μm、見掛密度0.48g/cm3の不織布、つまりクリーニングシートを製造した。
【0045】
(比較例1)
メタ型芳香族ポリアミド繊維(繊維径8.5μm、繊維長38mm、断面円形)60mass%、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(22.6μm、繊維長38、断面円形)40mass%とを使用したこと、及び温度210℃のスチールロールとコットンロールとの間(線圧490N/cm)との間を通したこと以外は、実施例1と同様にして、面密度25g/m2、厚さ45μm、見掛密度0.56g/cm3の不織布、つまりクリーニングシートを製造した。
【0046】
(比較例2)
メタ型芳香族ポリアミド繊維(繊維径12.4μm、繊維長38mm、断面円形)40mass%、未延伸ポリエチレンテレフタレート繊維(22.6μm、繊維長38、断面円形)60mass%とを使用したこと、及び温度210℃のスチールロールとコットンロールとの間(線圧490N/cm)との間を通したこと以外は、実施例1と同様にして、面密度25g/m2、厚さ45μm、見掛密度0.56g/cm3の不織布、つまりクリーニングシートを製造した。
【0047】
(クリーニングシートの評価)
表面がRTVシリコーンゴム(肉厚1mm)からなる定着ロールと、表面がRTVシリコーンゴム(肉厚2mm)からなる加圧ロールとからなり、いずれのロールもヒータが内蔵された定着装置を備えたカラー複写機を用意した。
【0048】
次いで、実施例1〜3及び比較例1〜2のクリーニングシートを、それぞれ定着ロールの回転方向とは反対方向に移動するように供給し、円柱状の発泡シリコーンゴムからなる押圧部材により、供給されたクリーニングシートを定着ロールに押圧(ニップ幅3mm、押圧力0.05kg/cm)できるように設定した。
【0049】
そして、写真画像の複写をOHPフィルム(複写シート)に対して連続的に10枚実施した。次いで、その10枚目のOHPフィルムを投影機により投影し、OHPフィルム上のオイル筋を目視により観察した。この結果は表1に示す通りであった。
【0050】
【表1】
Figure 0004180150
#;◎・・オイル筋が全く観察されない
○・・オイル筋は観察されないが、若干のオイルムラがある
△・・薄いオイル筋が観察できる
×・・はっきりとオイル筋が観察できる
【0051】
表1から、(1)実施例1及び比較例1から融着性繊維量が50mass%程度以上必要であること、(2)実施例1及び比較例2から融着性繊維以外の繊維の平均繊維径が11μm程度以下である必要があること、(3)実施例1及び実施例3から見掛密度が0.5g/cm3程度以上が好ましく、0.55g/cm3程度以上がより好ましいこと、(4)実施例1及び実施例2から融着性繊維の量が70mass%以下程度がより好適であること、がわかった。
【0052】
【発明の効果】
本発明のオイルが付着していない定着ロール用クリーニングシートは、融着性繊維と耐熱性繊維とを含み、この融着性繊維が全面的に融着した繊維シートからなり、この融着性繊維が55〜90mass%含まれており、しかもこの融着性繊維以外の繊維の平均繊維径が11μm以下のものである。このように融着性繊維以外の繊維が細く、これら繊維によって形成される繊維シートの空隙が小さいばかりでなく、この小さい空隙が大量(55〜90mass%)の融着性繊維の融着によって更に小さい空隙を形成した、非常に平滑な表面を有するクリーニングシートであるため、残留したトナーを払拭する際にオイルの厚さが均一となるように払拭することができる。したがって、このクリーニングシートを使用すれば、複写シートの表面全体にトナーを定着させるような場合であっても、画像品位の優れる複写を実施することができる。
【0053】
本発明の定着ロール用クリーニング材は、上記オイルが付着していないクリーニングシートの一端がシャフトに巻回されており、このクリーニングシートの他端が別のシャフトに固定されたものである。そのため、常に新しいクリーニングシートと定着ロール表面とを接触させることができるため、常にオイルの厚さが均一となるように払拭することができる。
【0054】
本発明の定着ロール用クリーニング装置は、上記クリーニング材からクリーニングシートを巻き出し、押圧手段によりこのクリーニングシートを定着ロールに押圧した後、このクリーニングシートを巻き取る機構を有するものである。そのため、常に新しいクリーニングシートと定着ロール表面とを接触させることができるため、常にオイルの厚さが均一となるように払拭することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 定着部における模式的断面図
【図2】 (a) クリーニングシートによる払拭後の定着ロール表面におけるオイルの厚さを表す模式的拡大断面図
(b) オイル塗布装置によりオイルを塗布した後の定着ロール表面におけるオイルの厚さを表す模式的拡大断面図
【符号の説明】
1 定着ロール
2 加圧ロール
3 複写シート
3a 未定着トナー
4 オイル塗布装置
4a オイル
5 クリーニングシート

Claims (3)

  1. 融着性繊維と耐熱性繊維とを含み、この融着性繊維が全面的に融着した見掛密度が0.55〜0.71g/cm 繊維シートからなり、この融着性繊維が繊維シート中、60〜80mass%含まれており、しかもこの融着性繊維以外の繊維を無作為に選んだ100本の繊維の繊維径の平均値である平均繊維径が11μm以下であることを特徴とする、オイルを含有させないで定着ロール表面と接触させて使用する定着ロール用クリーニングシート。
  2. 請求項1に記載のオイルが付着していない定着ロール用クリーニングシートの一端がシャフトに巻回されており、この定着ロール用クリーニングシートの他端が別のシャフトに固定されていることを特徴とする定着ロール用クリーニング材。
  3. 請求項2記載の定着ロール用クリーニング材から定着ロール用クリーニングシートを巻き出し、押圧手段によりこの定着ロール用クリーニングシートを定着ロールに押圧した後、この定着ロール用クリーニングシートを巻き取る機構を有することを特徴とする定着ロール用クリーニング装置。
JP16243298A 1998-06-10 1998-06-10 定着ロール用クリーニングシート、定着ロール用クリーニング材、及び定着ロール用クリーニング装置 Expired - Fee Related JP4180150B2 (ja)

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