JP4276916B2 - オイル塗布ローラ - Google Patents

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本発明はオイル塗布ローラに関する。より具体的には、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真装置の定着ローラ又は加圧ローラ表面と当接することにより、オイルを定着ローラ又は加圧ローラへ塗布して残留トナーの離型性を高めるとともに、残留トナーを払拭できるオイル塗布ローラに関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真装置においては、図2に示すように、定着ローラ1と加圧ローラ2との間にトナー4の転写された紙5を通すことにより、トナー4を紙5に定着させる方法が採用されているが、定着時に定着ローラ1にトナー4が残留し、オフセットを生じるという問題があった。そのため、定着ローラ表面にオイル塗布ローラ3によってオイルを塗布してトナー4の離型性を高めるとともに、残留トナーを払拭し、オフセットを防止していた。
このようなオイル塗布ローラとして、「離型剤が含浸させられ、円筒状外面を有する離型剤保持層と、上記離型剤保持層の外側に設けられ、上記離型剤保持層から移行してきた離型剤を毛細管現象によりその円筒状外面にまで移行させる離型剤拡散層と、上記離型剤拡散層の外側に離型剤の塗布量を制御し、円筒状外面を有する離型剤規制層とを備えた離型剤塗布ローラにおいて、上記離型剤拡散層は、2種類以上の繊維太さの繊維からなる不織布であることを特徴とする離型剤塗布ローラ」が提案されている(特許文献1)。この特許文献1においては、離型剤規制層が多孔性のポリテトラフルオロエチレンフィルム(PTFEフィルム)から構成されていることが記載されている。
しかしながら、PTFEフィルムは物体との摩擦係数が低く、特に温度が高いほど摩擦係数が低いため、残留トナーの払拭性が悪いものであった。そのため、残留トナーを払拭できるクリーニングウエブ、フェルト、或いはブレード等と併用する必要があった。また、PTFEフィルムは分子間凝集力が小さく、摺動の剪断作用により剛い分子鎖がむしりとられ、摩耗しやすいため、オイル塗布ローラ使用時に、定着ローラとの間に回転ムラが起こったり、特にブレーキをかけながら塗布ローラを回転させる場合には、使用経過に伴って、PTFEフィルムが損傷し、オイルの吐出ムラが発生しやすいものであった。更に、PTFEフィルムは接着剤との接着エネルギーが低いため、離型剤拡散層と離型剤規制層との間でずれが生じやすく、形態安定性の悪いものであった。
別のオイル塗布ローラとして、「繊維径が10μm以下の繊維を含む繊維シートからなるオイル保持層の外側に、微孔膜層を有し、微孔膜層の外側に、弾性体層を有するオイル塗布部材」が提案されている(特許文献2)。この特許文献2においては、具体的に、弾性体層がメタ系芳香族ポリアミド繊維(繊維径:14μm)と未延伸ポリエステル繊維(22.6μm)とからなる融着固定フェルト、及び繊維径が22.2μmのメタ系芳香族ポリアミド繊維層と繊維径が9.9μmのメタ系芳香族ポリアミド繊維層とを備えた水流絡合フェルトを開示している。
しかしながら、これら融着固定フェルト又は水流絡合フェルトを構成している繊維の繊維径が太いため、残留トナーの払拭に関与できる繊維表面積が小さく、十分に残留トナーを払拭できない場合があった。特に、近年におけるトナーの改良、定着ローラの改良などにより紙へのトナーの定着性が大幅に向上したことにともなって、残留トナー量が従来よりも大幅に低減した中で、微量の残留トナーを払拭するには不十分であった。また、融着固定フェルト又は水流絡合フェルトを構成している繊維の繊維径が太いため、塗布されるオイルの液滴が大きく、塗布された後にある程度オイルが拡散するものの、塗布されたオイルが均一に分布しておらず、オイルが存在しない部分も多く存在しやすいため、定着されずに残留するトナーが多く発生する傾向があった。また、融着固定フェルト又は水流絡合フェルトを微孔膜上に巻回しているが、繊維径が太いために通気性を小さくすることができないため、オイル塗布量を少量に規制することが困難で、少量のオイルを長期間にわたって安定して塗布することが困難であった。
更に別のオイル塗布ローラとして、「内部にオイルが貯留されたロール体と、このロール体の外周に配設されたオイル規制層とを具備し、前記オイル規制層を介して所望のオイル塗布量を達成するために、該オイル規制層の透気度が、前記オイルの粘度との関連において規定されていることを特徴とするオイル塗布ロール」を開示し、前記オイル規制層として、不織紙を備えていること、及び不織紙としてアラミド紙を使用できることを開示している(特許文献3)。
しかしながら、アラミド紙は短い繊維長のアラミド短繊維にパルプ繊維を多量に配合して抄紙し、高密度に圧着して製造したものであるため、アラミド短繊維間に多くのパルプ繊維が埋められた状態にあり、更に圧着によって空隙が殆ど存在しない状態にあるため、トナーの掻き取り効果が不十分で、十分に残留トナーを払拭できない問題があった。また、空隙が殆ど存在しないために通気性が非常に低く、離型性を高めるために必要な十分な量のオイルを長期間にわたって安定して塗布することができず、オフセットを発生しやすいものであった。
特開2001−282027号公報(請求項1、0010など) 特開平7−44051号公報(請求項1、請求項2、実施例4、実施例5) 特開平11−184296号公報(請求項1、請求項6、請求項10など)
本発明は上述のような問題点を解決するためになされたもので、残留トナーの払拭性、耐摩耗性、形態安定性に優れ、必要量のオイルを均一に安定して塗布できるオイル塗布ローラを提供することを目的とする。
本発明の請求項1にかかる発明は、「流体流の作用によって一部又は全部がフィブリル化した異方性ポリマー繊維を主体とし、更にポリエステル繊維を含み、このポリエステル繊維が圧着した繊維シートを、表面に備えていることを特徴とする、オイル塗布ローラ。」である。異方性ポリマー繊維は摩擦係数が高く、しかも流体流の作用によってフィブリル化していることによって更に摩擦係数が高い状態にあるため、残留トナーの払拭性に優れている。異方性ポリマー繊維は耐摩耗性にも優れ、しかも流体流の作用によってフィブリル化していることによって少なくとも一部は絡合しているため、摺動の剪断作用によっても損傷せず、オイルの吐出ムラが発生しにくいものである。また、異方性ポリマー繊維は隣接する層と強固に接着できるため、形態安定性の優れるオイル塗布ローラである。更に、異方性ポリマー繊維はフィブリル化していることによって、塗布するオイルの大きさを小さくすることができるため、均一にオイルを塗布して残留トナーを少なくすることができ、更には低い通気性又は透気度であることができるため、長期間にわたって必要量のオイルを安定して塗布することができる。なお、異方性ポリマー繊維は融点が高く、耐熱性に優れているため、高温の定着ローラに接触しても溶融しないという特長もある。更に、このようにポリエステル繊維が圧着していることによって、繊維シート表面が平滑で、対象ローラ(定着ローラ又は加圧ローラ)との密着性が向上し、微量のトナーであっても払拭性に優れている。また、ポリエステル繊維の圧着の程度によって、通気性又は透気度を制御しやすいという効果も奏する。
本発明の請求項2にかかる発明は、「異方性ポリマー繊維が全芳香族ポリエステル繊維からなることを特徴とする、請求項1記載のオイル塗布ローラ」である。全芳香族ポリエステルからなる異方性ポリマー繊維は軟化点及び融点があり、比較的柔軟であるため、定着ローラ又は加圧ローラを損傷しにくい、という特長がある。
本発明の請求項3にかかる発明は、「一部又は全部がフィブリル化した液晶ポリエステル系繊維を主体とする繊維シートを、表面に備えていることを特徴とする、オイル塗布ローラ」である。液晶ポリエステル系繊維は摩擦係数が高く、しかもフィブリル化していることによって更に摩擦係数が高い状態にあるため、残留トナーの払拭性に優れている。液晶ポリエステル系繊維は耐摩耗性にも優れているため、摺動の剪断作用によっても損傷しにくく、オイルの吐出ムラが発生しにくいものである。また、液晶ポリエステル系繊維は隣接する層と強固に接着できるため、形態安定性の優れるオイル塗布ローラである。更に、液晶ポリエステル系繊維はフィブリル化していることによって、塗布するオイルの大きさを小さくすることができるため、均一にオイルを塗布して残留トナーを少なくすることができ、更には低い通気性又は透気度であることができるため、長期間にわたって必要量のオイルを安定して塗布することができる。なお、液晶ポリエステル系繊維は融点が高く、耐熱性に優れているため、高温の定着ローラに接触しても溶融しないという特長もある。更に、液晶ポリエステル系繊維は軟化点及び融点があり、比較的柔軟であるため、定着ローラ又は加圧ローラを損傷しにくい、という特長もある。
本発明の請求項4にかかる発明は、「液晶ポリエステル系繊維が流体流によって絡合していることを特徴とする、請求項3記載のオイル塗布ローラ」である。液晶ポリエステル系繊維が流体流によって絡合していることによって、耐摩耗性に更に優れている。
本発明の請求項5にかかる発明は、「表面を構成する繊維シートの通気性が0.1〜2cm/cm・sec.、又は透気度が50秒以下であることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のオイル塗布ローラ」である。このような通気性又は透気度であることによって、オイルの塗布量を必要かつ十分な最小量としやすい。
本発明の請求項6にかかる発明は、「表面を構成する繊維シートが、更にポリエステル繊維を含み、このポリエステル繊維が圧着した繊維シートであることを特徴とする、請求項〜請求項5のいずれかに記載のオイル塗布ローラ」である。このようにポリエステル繊維が圧着していることによって、繊維シート表面が平滑で、対象ローラ(定着ローラ又は加圧ローラ)との密着性が向上し、微量のトナーであっても払拭性に優れている。また、ポリエステル繊維の圧着の程度によって、通気性又は透気度を制御しやすいという効果も奏する。
本発明の請求項7にかかる発明は、「表面を構成する繊維シートと通気性が同じ繊維シート、又は表面を構成する繊維シートよりも通気性が高い繊維シートを、内部に備えていることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載のオイル塗布ローラ」である。このような繊維シートを内部に備えていることによって、十分な量のオイルを保持できるとともに、表面を構成する繊維シートによる毛細管作用によって、塗布により消費したオイルを速やかに補給することができるため、安定してオイルを塗布することができる。
本発明の請求項8にかかる発明は、「見掛密度が0.2g/cm以上の繊維シートを、内部に備えていることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれかに記載のオイル塗布ローラ」である。このような繊維シートを内部に備えていることによって、オイル塗布ローラにある程度の剛性を付与し、へたりを防止することができる。また、オイルを保持する層としても作用できるため、オイル保持量を多くすることができる。
本発明の請求項9にかかる発明は、「オイル塗布ローラ全体にオイルが存在していることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれかに記載のオイル塗布ローラ」である。このように全体にオイルが存在していることによって、初期から優れたオイル塗布性能を発揮できる。
本発明の請求項9にかかる発明は、「オイル塗布ローラの表面を構成する繊維シートの単位体積あたりにおけるオイル存在量よりも、オイル塗布ローラの最も内部を構成する材料の単位体積あたりにおけるオイル存在量の方が多いことを特徴とする、請求項1〜請求項9のいずれかに記載のオイル塗布ローラ」である。このように表面を構成する繊維シートのオイル存在量よりも、最も内部を構成する材料のオイル存在量を多くすることによって、使用初期において、必要以上にオイルを塗布することを防ぐことができるため、使用初期から使用後期にわたり、必要最低量以上のオイルを安定して塗布することができる。
本発明のオイル塗布ローラは、残留トナーの払拭性、耐摩耗性、形態安定性に優れ、必要量のオイルを均一に安定して塗布できる。
本発明のオイル塗布ローラについて、オイル塗布ローラの軸方向に直交する方向の模式的断面図である図1をもとに説明する。図1において、オイル塗布ローラ10は表面から順に、繊維シートからなる表面層11、表面層11を構成する繊維シートと通気性が同じか、通気性が高い繊維シート(以下、両方を総称して「高通気性繊維シート」という)からなる内部繊維層12、見掛密度が0.2g/cm以上の繊維シート(以下、「高密度繊維シート」という)からなる最内繊維層13、及びシャフト14を備えている。
本発明の表面層11を構成する繊維シートとして、(1)流体流の作用によって一部又は全部がフィブリル化した異方性ポリマー繊維を主体とする繊維シート(以下、異方性ポリマー繊維シートということがある)と、(2)一部又は全部がフィブリル化した液晶ポリエステル系繊維を主体とする繊維シート(以下、液晶ポリエステル系繊維シートということがある)、の2種類がある。
(異方性ポリマー繊維シート)
異方性ポリマー繊維シートにおいては、耐熱性、残留トナーの払拭性、耐摩耗性、形態安定性に優れ、通気性の制御が容易で、必要量のオイルを均一に安定して塗布できるように、フィブリル化した異方性ポリマー繊維を主体としている。
この異方性ポリマー繊維は、リオトロピック(溶液液晶)ポリマー又はサーモトロピック(溶融液晶)ポリマーを、溶液紡糸(湿式紡糸)又は溶融紡糸して得られる繊維であり、配向度と結晶化度が高い繊維である。この種のポリマーは、分子鎖に規則的な平行配列を含んでおり、一般に細長く、偏平で、分子の長軸方向に剛性が高いため、残留トナーの払拭性に優れている。
なお、リオトロピック(溶液液晶)ポリマー又はサーモトロピック(溶融液晶)ポリマーは、剛直な分子構造を持ち、残留トナーの払拭性に優れるように、芳香族ポリマー(すなわち、主鎖が芳香族環の繰り返し単位から構成されるポリマー)からなるものが好ましい。例えば、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、全芳香族ポリアゾメチン、全芳香族ポリイミド、全芳香族複素環ポリマー樹脂からなるものが好ましい。この中でも、ポリマー分子設計によって、適当な温度域に軟化点や融点を設定しやすく、比較的柔軟で、定着ローラ又は加圧ローラを損傷しにくい、全芳香族ポリエステルからなる異方性ポリマーが好ましい。
この好適である全芳香族ポリエステルは芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸を適宜組み合わせて得られる樹脂からなるものが好ましく、p−ヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシナフタレン−6−カルボン酸とのポリエステル共重合体は紡糸性及び耐熱性のバランスに優れているので好適に使用することができ、p−ヒドロキシ安息香酸とテレフタル酸と4,4'−ジヒロドキシビフェニルとのポリエステル共重合体は耐熱性に優れているため、好適に使用することができる。
このような異方性ポリマー繊維は異方性ポリマー繊維シートにおいて、流体流の作用によって一部又は全部がフィブリル化した状態にある。そのため、摩擦係数が更に高いため残留トナーの払拭性に優れ、また、流体流の作用で少なくとも一部は絡合しているため耐摩耗性に優れ、更には、通気性が制御されており、塗布するオイルの大きさを小さくすることができるため、均一にオイルを塗布して残留トナーを少なくすることができ、長期間にわたって必要量のオイルを安定して塗布することができる。
異方性ポリマー繊維のフィブリル化の程度は特に限定するものではないが、フィブリル化の程度が高ければ高い程、前記性能に優れているため、全部がフィブリル化した状態にあるのが最も好ましい。
このように異方性ポリマー繊維に対して作用させる流体流は、異方性ポリマー繊維をフィブリル化できる流体流であれば良く、特に限定するものではない。なお、流体流は異方性ポリマー繊維を主体とする異方性ポリマー繊維シートを形成する前(つまり繊維の状態)、異方性ポリマー繊維シートを形成する時、或いは異方性ポリマー繊維シート形成後に作用させることができる。
例えば、好適である不織布態様の異方性ポリマー繊維シートは、まず、湿式法、カード法やエアレイ法などの乾式法、スパンボンド法やメルトブロー法などの直接法により繊維ウエブを形成する。なお、カード法により繊維ウエブを形成する場合には、払拭性に優れるように、交差繊維ウエブを含んでいるのが好ましい。次いで、繊維ウエブに対して水流などの流体流を作用させ、異方性ポリマー繊維をフィブリル化させるとともに、絡合させて異方性ポリマー繊維シートを得る。この流体流を作用させる条件としては、異方性ポリマー繊維の一部又は全部がフィブリル化する条件であれば良く、特に限定するものではないが、例えば、ノズル径0.05〜0.3mm、ノズルピッチ0.2〜3mmで、一列又は二列以上に配列したノズルプレートから、圧力1〜30MPaの流体流を噴出する。なお、付加的にバフィングを行って、異方性ポリマー繊維のフィブリル化を促進させることができる。
本発明の異方性ポリマー繊維シートは上述のような異方性ポリマー繊維を主体、つまり異方性ポリマー繊維シート中50mass%以上を異方性ポリマー繊維が占めるものであるため、残留トナーの払拭性、耐摩耗性、形態安定性に優れ、オイルを均一に塗布できるものであるが、異方性ポリマー繊維量が多い程、前記性能に優れるため、60mass%以上含んでいるのが好ましく、70mass%以上含んでいるのがより好ましい。
本発明の異方性ポリマー繊維シートは、前述のような異方性ポリマー繊維以外に、例えば、ポリエステル繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ビニロン繊維、ナイロン6繊維、ナイロン6/6繊維、ナイロン4/6繊維、ナイロン12繊維、ポリアミドイミド繊維、芳香族ポリエーテルアミド繊維、ポリベンゾイミダゾール繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ノボロイド繊維、メラミン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリパーフルオロエチレン繊維を挙げることができる。これら繊維の中でも、ポリエステル繊維を含み、このポリエステル繊維が圧着した状態にあると、異方性ポリマー繊維シート表面が平滑になり、対象ローラ(定着ローラ又は加圧ローラ)との密着性が向上し、微量のトナーであっても払拭性に優れ、また適度な通気性又は透気度であることができるため好適である。なお、この場合のポリエステル繊維は延伸ポリエステル繊維であっても良いし、未延伸ポリエステル繊維(延伸が不十分なポリエステル繊維)であっても良いが、より変形しやすく、圧着しやすい未延伸ポリエステル繊維であるのがより好ましい。このようにポリエステル繊維(以下、単にポリエステル繊維と表記した場合には、延伸ポリエステル繊維と未延伸ポリエステル繊維の両方を含む)を含んでいる場合には、異方性ポリマー繊維とポリエステル系繊維との質量比率は、95:5〜50:50であるのが好ましく、90:10〜70:30であるのがより好ましい。
このようなポリエステル繊維が圧着した異方性ポリマー繊維シートは、例えば、フィブリル化していない異方性ポリマー繊維とポリエステル繊維とを用いて、常法(例えばカード法)により繊維ウエブを形成した後、水流などの流体流を作用させることにより異方性ポリマー繊維をフィブリル化させるとともに絡合した後、240℃〜260℃の温度で加熱した後に加圧して、又は180℃〜240℃の温度で加熱するとともに加圧して製造することができる。このように、繊維同士が絡んで繊維同士の接点が多い状態で加圧して圧着させると、耐摩耗性に優れているため好適である。
本発明の異方性ポリマー繊維シートは、必要かつ十分な最小のオイル量を塗布できれば良い。この必要かつ十分な最小のオイル量は、対象ローラの材質、トナーの材質、プリント速度、紙材質などによって異なり、塗布するオイルの粘度によっても変化するため、特に限定するものではないが、通気性が0.1〜2cm/cm・sec.であるか、透気度が50秒以下であるのが好ましい。つまり、一般的に高粘度と呼ぶべき1000〜100000cSt(センチストークス、25℃)の粘度のオイルの場合には、通気性が0.1cm/cm・sec未満であると、定着ローラの損傷及びオフセットを防止するのに必要な最小量に満たない量しか塗布することができない傾向があり、通気性が2cm/cm・secを超えると、必要量以上のオイルを塗布してしまいオイル塗布ローラのライフを短くする傾向があるためで、0.1〜1cm/cm・sec.であるのがより好ましい。一方、一般的に低粘度と呼ぶべき10〜1000cSt(25℃)の粘度のオイルの場合には、透気度が50秒を超えると、定着ローラの損傷又はオフセットを防止するのに必要な最小量に満たない量しか塗布することができない傾向があるため、30秒以下であるのがより好ましい。なお、必要量以上のオイルを塗布してしまいオイル塗布ローラのライフを短くしないように、透気度は3秒以上であるのが好ましい。以上は一般論であり、オイルの粘度が1000cSt以上である場合であっても、通気性の測定よりも透気度の測定の方が適している場合には、透気度が50秒以下(より好ましくは3〜30秒)であるのが好ましく、反対に、オイルの粘度が1000cSt以下である場合であっても、透気度の測定よりも通気性の測定の方が適している場合には、通気性が0.1〜2cm/cm・sec.(より好ましくは0.1〜1cm/cm・sec.)であるのが好ましい。
本発明における「通気性」はJIS L 1096:1999 8.27.1A法(フラジール法)によって得られる値をいい、「透気度」はJIS P 8117:1980 紙及び板紙の透気度試験方法によって得られる値をいう。
本発明の異方性ポリマー繊維シートは、一部又は全部がフィブリル化した異方性ポリマー繊維を主体としていれば良く、その目付及び厚さは特に限定するものではないが、目付は20〜200g/mであるのが好ましく、25〜120g/mであるのがより好ましい。また、厚さは0.02〜0.2mmであるのが好ましく、0.025〜0.12mmであるのがより好ましい。本発明における「目付」はJIS P 8124(紙及び板紙−坪量測定方法)に規定する方法に基いて得られる坪量をいう。また、本発明における「厚さ」は、JIS B 7502に規定する方法による測定値、すなわち、5N荷重時の外側マイクロメーターによる測定値をいう。
なお、フィブリル化前の異方性ポリマー繊維や異方性ポリマー繊維以外の繊維の繊度は、特に限定するものではないが、1.1〜7.7dtexのものを使用できる。また、フィブリル化前の異方性ポリマー繊維や異方性ポリマー繊維以外の繊維の繊維長は、異方性ポリマー繊維シートの形成方法によって異なるため、特に限定するものではないが、例えば、湿式法による場合には1〜25mm、乾式法による場合には20〜110mmのものを使用できる。
また、異方性ポリマー繊維シートの態様は、例えば、不織布態様、織物態様、編物態様、これらの複合体態様であることができる。これらの中でも、不織布態様を含んでいると、ランダムに繊維が配向することができ、残留トナーの払拭性に優れているため好適である。なお、これら態様からなる異方性ポリマー繊維シートは、異方性ポリマー繊維を使用すること以外は、公知の方法によって形成することができる。
(液晶ポリエステル系繊維シート)
液晶ポリエステル系繊維シートにおいては、耐熱性、残留トナーの払拭性、耐摩耗性、形態安定性に優れ、通気性の制御が容易で、必要量のオイルを均一に安定して塗布できるように、フィブリル化した液晶ポリエステル系繊維を主体としている。また、液晶ポリエステル系繊維は軟化点及び融点があり、比較的柔軟であるため、定着ローラ又は加圧ローラを損傷しにくい、という特長もある。
この液晶ポリエステル系繊維は、液晶ポリエステル系樹脂を溶融紡糸して得られる繊維であり、「液晶ポリエステル系樹脂」とは、異方性溶融相を形成することのできるポリマーである。この種のポリマーは、分子鎖に規則的な平行配列を含んでおり、一般に細長く、偏平で、分子の長軸方向に剛性が高い。異方性溶融相は、例えば、直交偏光子を用いる通常の偏向測定法によって確認することができる。
本発明で用いることのできる液晶ポリエステル系繊維は、前記液晶ポリエステル系樹脂を紡糸することによって得られるものである限り、特に限定されるものではないが、全芳香族ポリエステル(すなわち、主鎖が芳香族環の繰り返し単位から構成されるポリエステル)樹脂からなるものが好ましい。従って、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸を適宜組み合わせて得られる樹脂からなるものが好ましい。これらの中でも、p−ヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシナフタレン−6−カルボン酸とのポリエステル共重合体は紡糸性及び耐熱性のバランスに優れているので好適に使用することができ、p−ヒドロキシ安息香酸とテレフタル酸と4,4'−ジヒロドキシビフェニルとのポリエステル共重合体は耐熱性に優れているため、好適に使用することができる。
このような液晶ポリエステル系樹脂を紡糸して得られる液晶ポリエステル系繊維は、液晶ポリエステル系樹脂の融点よりも50℃程度低い温度で熱処理をして、耐熱性を向上させることができるが、長時間熱処理をすると、フィブリル化しにくくなるため、長時間熱処理をしない方が好ましい。より好ましくは、液晶ポリエステル系繊維を紡糸した後に、全く熱処理をしていない液晶ポリエステル系繊維を使用する。
このような液晶ポリエステル系繊維は液晶ポリエステル系繊維シートにおいて、一部又は全部がフィブリル化した状態にある。そのため、摩擦係数が更に高いため残留トナーの払拭性に優れ、また、通気性が制御されており、塗布するオイルの大きさを小さくすることができるため、均一にオイルを塗布して残留トナーを少なくすることができ、長期間にわたって必要量のオイルを安定して塗布することができる。
フィブリル化の程度は特に限定するものではないが、フィブリル化の程度が高ければ高い程、前記性能に優れているため、全部がフィブリル化した状態にあるのが最も好ましい。
このような一部又は全部がフィブリル化した液晶ポリエステル系繊維は、例えば、液晶ポリエステル系繊維に対して外力を作用させることにより得ることができる。なお、外力としては、例えば、水流などの流体流、カレンダー、ビーター、リファイナーなどを挙げることができる。なお、流体流やカレンダーによりフィブリル化する場合には、液晶ポリエステル系繊維シート形成前、液晶ポリエステル系繊維シート形成時、或いは液晶ポリエステル系繊維シート形成後にフィブリル化することができる。本発明の液晶ポリエステル系繊維シートは、一部又は全部がフィブリル化した液晶ポリエステル系繊維を用いて、常法(例えば湿式法)により液晶ポリエステル系繊維シート(例えば不織布)を製造することができる。また、フィブリル化していない液晶ポリエステル系繊維を含む繊維ウエブを形成した後、水流などの流体流を作用させることにより液晶ポリエステル系繊維をフィブリル化させるとともに絡合させて製造することもできる。後者の方法によれば、液晶ポリエステル系繊維は流体流(特に水流)によって絡合しており、絡合していることによって、更に耐摩耗性に優れているため好適である。
例えば、好適である不織布態様の液晶ポリエステル系繊維シートは、まず、湿式法、カード法やエアレイ法などの乾式法、スパンボンド法やメルトブロー法などの直接法により繊維ウエブを形成する。なお、カード法により繊維ウエブを形成する場合には、払拭性に優れるように、交差繊維ウエブを含んでいるのが好ましい。次いで、繊維ウエブに対して水流などの流体流を作用させ、液晶ポリエステル系繊維をフィブリル化するとともに、絡合させて液晶ポリエステル系繊維シートを得る。この流体流を作用させる条件としては、液晶ポリエステル系繊維の一部又は全部がフィブリル化する条件であれば良く、特に限定するものではないが、例えば、ノズル径0.05〜0.3mm、ノズルピッチ0.2〜3mmで、一列又は二列以上に配列したノズルプレートから、圧力1〜30MPaの流体流を噴出する。この液晶ポリエステル系繊維として、紡糸後に長時間熱処理をしていないものを使用するのが好ましいため、より耐熱性を高めるために、液晶ポリエステル系繊維シートを形成した後に、液晶ポリエステル系樹脂の融点よりも50℃程度低い温度で、熱処理をするのが好ましい。なお、必要に応じて、バフィング処理を行い、液晶ポリエステル系繊維のフィブリル化を促進することができる。
本発明の液晶ポリエステル系繊維シートは上述のような液晶ポリエステル系繊維を主体、つまり液晶ポリエステル系繊維シート中50mass%以上を液晶ポリエステル系繊維が占めるものであるため、残留トナーの払拭性、耐摩耗性、形態安定性に優れ、必要量のオイルを均一に塗布できるものであるが、液晶ポリエステル系繊維の量が多い程、前記性能に優れるため、60mass%以上含んでいるのが好ましく、70mass%以上含んでいるのがより好ましい。
本発明の液晶ポリエステル系繊維シートは、液晶ポリエステル系繊維以外に、例えば、ポリエステル繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ビニロン繊維、ナイロン6繊維、ナイロン6/6繊維、ナイロン4/6繊維、ナイロン12繊維、メタ型全芳香族ポリアミド繊維、パラ型全芳香族ポリアミド繊維、ポリアミドイミド繊維、ポリイミド繊維、芳香族ポリエーテルアミド繊維、ポリベンゾイミダゾール繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ノボロイド繊維、メラミン繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ポリパーフルオロエチレン繊維などを含んでいることができる。これら繊維の中でも、ポリエステル繊維を含み、このポリエステル繊維が圧着した状態にあると、液晶ポリエステル系繊維シート表面が平滑になり、対象ローラ(定着ローラ又は加圧ローラ)との密着性が向上し、微量のトナーであっても払拭性に優れ、また適度な通気性又は透気度であることができるため好適である。なお、この場合のポリエステル繊維は延伸ポリエステル繊維であっても良いし、未延伸ポリエステル繊維(延伸が不十分なポリエステル繊維)であっても良いが、より変形しやすく、圧着しやすい未延伸ポリエステル繊維を含んでいるのが好ましい。このようにポリエステル繊維(延伸ポリエステル繊維と未延伸ポリエステル繊維の両方を含む)を含んでいる場合には、液晶ポリエステル系繊維とポリエステル系繊維との質量比率は、95:5〜50:50であるのが好ましく、90:10〜70:30であるのがより好ましい。
このようなポリエステル系繊維が圧着した液晶ポリエステル系繊維シートは、例えば、一部又は全部がフィブリル化した液晶ポリエステル系繊維とポリエステル繊維とを用いて、常法(例えば湿式法)により繊維ウエブを形成した後、240℃〜260℃の温度で加熱した後に加圧して、又は180℃〜240℃の温度で加熱するとともに加圧して製造することができるし、フィブリル化していない液晶ポリエステル系繊維とポリエステル繊維とを用いて、常法(例えばカード法)により繊維ウエブを形成した後、水流などの流体流を作用させることにより液晶ポリエステル系繊維をフィブリル化させるとともに絡合した後、240℃〜260℃の温度で加熱した後に加圧して、又は180℃〜240℃の温度で加熱するとともに加圧して製造することができる。後者のように、繊維同士が絡んで繊維同士の接点が多い状態で加圧して圧着させると、更に耐摩耗性に優れているため好適である。
本発明の液晶ポリエステル系繊維シートは、必要かつ十分な最小のオイル量を塗布できれば良い。この必要かつ十分な最小のオイル量は、対象ローラの材質、トナーの材質、プリント速度、紙材質などによって異なり、塗布するオイルの粘度によっても変化するため、特に限定するものではないが、異方性ポリマー繊維シートと全く同じ理由により、通気性が0.1〜2cm/cm・sec.(0.1〜1cm/cm・sec.であるのがより好ましい)であるか、透気度が50秒以下(3〜30秒であるのがより好ましい)であるのが好ましく、測定に適した方法により測定した値が前記範囲内にあるのが好ましい。
本発明の液晶ポリエステル系繊維シートは、一部又は全部がフィブリル化した液晶ポリエステル繊維を主体としていれば良く、その目付及び厚さは特に限定するものではないが、目付は20〜200g/mであるのが好ましく、25〜120g/mであるのがより好ましい。また、厚さは0.02〜0.2mmであるのが好ましく、0.025〜0.12mmであるのがより好ましい。
なお、フィブリル化前の液晶ポリエステル系繊維や液晶ポリエステル系繊維以外の繊維の繊度は、特に限定するものではないが、1.1〜7.7dtexのものを使用できる。また、フィブリル化前の液晶ポリエステル系繊維や液晶ポリエステル系繊維以外の繊維の繊維長は、液晶ポリエステル系繊維シートの形成方法によって異なるため、特に限定するものではないが、例えば、湿式法による場合には1〜25mm、乾式法による場合には20〜110mmのものを使用できる。
また、液晶ポリエステル系繊維シートの態様は、例えば、不織布態様、織物態様、編物態様、これらの複合体態様であることができる。これらの中でも、不織布態様を含んでいると、ランダムに繊維が配向することができ、残留トナーの払拭性に優れているため好適である。なお、これら態様からなる液晶ポリエステル系繊維シートは、液晶ポリエステル系繊維を使用すること以外は、公知の方法によって形成することができる。
(高通気性繊維シート)
図1におけるオイル塗布ローラ10においては、上述のような異方性ポリマー繊維シート又は液晶ポリエステル系繊維シートからなる表面層11に隣接した内部に、表面層11を構成する繊維シート(異方性ポリマー繊維シート又は液晶ポリエステル系繊維シート)と通気性が同じ、又は通気性が高い高通気性繊維シートからなる内部繊維層12を備えている。そのため、十分な量のオイルを保持できるとともに、表面層11を構成する繊維シート(異方性ポリマー繊維シート又は液晶ポリエステル系繊維シート)による毛細管作用によって、塗布により消費したオイルを速やかに補給することができるため、安定してオイルを塗布することができる。
この高通気性繊維シートは、表面層11を構成する繊維シート(異方性ポリマー繊維シート又は液晶ポリエステル系繊維シート)による毛細管作用によって、塗布により消費したオイルを速やかに補給しやすいように、高通気性繊維シートの通気性は5〜100cm/cm・sec.であるのが好ましい。特に、高通気性繊維シートの通気性が20〜80cm/cm・sec.であると、オイル塗布ローラ使用時における熱によってオイル塗布ローラ内部における空気が膨張しても、膨張した空気がオイル塗布ローラの軸方向への抜けるのをある程度抑制することができ、オイル塗布ローラ表面の平滑性を維持しやすく、オイル塗布の均一性に優れているため好適である。
この高通気性繊維シートは表面層11を構成する繊維シート(異方性ポリマー繊維シート又は液晶ポリエステル系繊維シート)の通気性と同じ又は高ければ良く、特に限定するものではないが、(1)異方性ポリマー繊維又は液晶ポリエステル系繊維100%からなる繊維ウエブを流体流によりフィブリル化させるとともに絡合させた繊維シート、(2)異方性ポリマー繊維又は液晶ポリエステル系繊維とポリエステル繊維(延伸ポリエステル繊維及び/又は未延伸ポリエステル繊維)を含む、ポリエステル繊維を圧着させていない繊維シート、(3)異方性ポリマー繊維又は液晶ポリエステル系繊維とポリエステル繊維(延伸ポリエステル繊維及び/又は未延伸ポリエステル繊維)を含み、ポリエステル繊維を圧着させた繊維シートを、高通気性繊維シートとして使用することができる。
なお、高通気性繊維シートは表面層11を構成する繊維シート(異方性ポリマー繊維シート又は液晶ポリエステル系繊維シート)の通気性と同じ又は高ければ良く、その目付及び厚さは特に限定するものではないが、目付は20〜200g/mであるのが好ましく、25〜120g/mであるのがより好ましい。また、厚さは0.1〜1mmであるのが好ましく、0.2〜0.7mmであるのがより好ましい。なお、高通気性繊維シートは通気性が高い場合には、見掛密度が低く、圧力によって厚さを減ずる傾向があるため、圧縮弾性試験機(荷重:1.96kPa)で測定した値を「厚さ」とする。
(高密度繊維シート)
図1におけるオイル塗布ローラ10においては、上述のような高通気性繊維シートからなる内部繊維層12よりも内部、つまり最も内部(シャフト14に隣接)に、見掛密度が0.2g/cm以上の高密度繊維シートからなる最内繊維層13を備えている。そのため、オイル塗布ローラにある程度の剛性を付与し、へたりを防止することができ、また、オイル保持層としても作用できるため、オイル保持量を多くすることができる。なお、図1において高密度繊維シートは最も内部に位置しているが、最も内部に位置している必要はない。
高密度繊維シートの見掛密度が高ければ高い程、前述の効果に優れているため、0.3g/cm以上であるのがより好ましく、0.35g/cm以上であるのが更に好ましい。高密度繊維シートの見掛密度の上限はオイル保持層としても作用できるように、0.7g/cm程度が好ましい。なお、この見掛密度は目付(g/cm)を厚さ(cm)で除した値をいう。高密度繊維シートの「厚さ」は、JIS B 7502に規定する方法による測定値、すなわち、5N荷重時の外側マイクロメーターによる測定値をいう。
なお、高密度繊維シートの目付や厚さは特に限定するものではないが、目付は10〜50g/mであるのが好ましく、20〜40g/mであるのがより好ましい。また、厚さは0.02〜0.25mmであるのが好ましく、0.03〜0.1mmであるのがより好ましい。
この高密度繊維シートとして、例えば、(1)液晶ポリエステル系繊維と未延伸ポリエステル繊維とを含み、この未延伸ポリエステル繊維が圧着した液晶ポリエステル系繊維シート、(2)未延伸ポリエステル繊維を含み、この未延伸ポリエステル繊維が圧着したポリエステル系繊維シート、(3)異方性ポリマー繊維(特に、全芳香族ポリアミド繊維)と未延伸ポリエステル繊維とを含み、この未延伸ポリエステル繊維が圧着した異方性ポリマー繊維シート、(4)異方性ポリマー繊維(特に、全芳香族ポリアミド繊維)、液晶ポリエステル系繊維、及び/又は延伸ポリエステル繊維を主体とする繊維ウエブを、高温高圧カレンダーなどで高密度化した繊維シート、などを挙げることができる。
図1のオイル塗布ローラ10は上述の通り、表面から順に、異方性ポリマー繊維シート又は液晶ポリエステル系繊維シートからなる表面層11、高通気性繊維シートからなる内部繊維層12、高密度繊維シートからなる最内繊維層13、及びシャフト14からなり、オイルを塗布できるように、オイルが存在している。このオイルはどのように存在していても良いが、オイル塗布ローラ10全体(つまり、表面層11、内部繊維層12及び最内繊維層13)にオイルが存在していると、使用初期から優れたオイル塗布性能を発揮できるので好ましい。なお、オイルはオイル塗布ローラ10全体に均一に存在しているよりも、オイル塗布ローラ10の表面を構成する繊維シート(異方性ポリマー繊維シート又は液晶ポリエステル系繊維シート)の単位体積あたりにおけるオイル存在量よりも、オイル塗布ローラの最も内部を構成する材料(図1では高密度繊維シート)の単位体積あたりにおけるオイル存在量の方が多いように偏在していると、使用初期において、必要以上にオイルを塗布することを防ぐことができるため、使用初期から使用後期にわたって、必要最低量以上のオイルを安定して塗布することができる。
本発明のオイル塗布ローラ10に存在しているオイルは特に限定するものではないが、例えば、メチルシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、エチルシリコーンオイル、フェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、3,3,3−トリフロロプロピルシリコーンオイルなどのシリコーンオイルを単独で、又は混合して存在することができる。
このようなオイルの充填量は、多ければ多いほど良いが、使用初期において、内部に包含する空気の熱膨張により、急激に多量のオイルが押し出され、多量のオイルが塗布されることがないように、オイル塗布ローラ全体の空隙に対するオイルの充填占有体積率(常温状態)は、95%以下であるのが望ましい。また、オイル塗布ローラの寿命が長いように、充填占有体積率(常温状態)は70%以上であるのが望ましい。
この占有体積率(Vr)は、例えば、オイル塗布ロールを構成する繊維が繊維A、繊維B及び繊維Cの3種類の繊維からなる場合、次の式から算出される値をいう。
Vr=[Vo/{Vt−(Va+Vb+Vc)}]×100
ここで、Voはオイルの体積、Vtはオイル塗布ロールのシャフト以外の占める体積、Vaは繊維Aの占める体積、Vbは繊維Bの占める体積、Vcは繊維Cの占める体積をそれぞれ意味する。
このような図1に示すオイル塗布ローラ10の製造方法は、特に限定するものではないが、例えば、異方性ポリマー繊維シート又は液晶ポリエステル系繊維シート、高通気性繊維シート、高密度繊維シート、及びシャフトを用意した後、シャフトの周囲に高密度繊維シート、高通気性繊維シート、異方性ポリマー繊維シート又は液晶ポリエステル系繊維シートを順に、平巻き状又は螺旋状に1周又は2周以上巻き付けた後、オイル浴に浸漬して製造することができる。或いは、シャフトの周囲に高密度繊維シート、高通気性繊維シートを順に、平巻き状又は螺旋状に1周又は2周以上巻き付けた後、オイル浴に浸漬してオイルを含浸し、次いで、表面のオイルを拭き取った後、異方性ポリマー繊維シート又は液晶ポリエステル系繊維シートを平巻き状又は螺旋状に1周又は2周以上巻き付けて製造することができる。
なお、各層間はアクリル系接着剤や両面テープ等により、部分的(例えば、両端部)に接着することができる。本発明の異方性ポリマー繊維シート又は液晶ポリエステル系繊維シートは従来のPTFEフィルムと異なり、接着性に優れているため、層間の剥離が生じにくく、形態安定性に優れている。また、表面を構成する繊維シートの単位体積あたりにおけるオイル存在量よりも、オイル塗布ローラの最も内部を構成する材料の単位体積あたりにおけるオイル存在量の方が多いように偏在したオイル塗布ローラは、例えば、オイルを含浸した後に、乾燥機内でオイルを均一に分散させるとともに、余分なオイルを放出させるエージング処理を行った後、ローラ表面に浮き出たオイルを乾いた布などで拭き取ったり、絞り取るなどして、ローラ表面のオイルを除去して製造できる。
このような図1に示すオイル塗布ローラは、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真装置の定着ローラ又は加圧ローラ表面と当接するように設置し、定着ローラ又は加圧ローラに従動させたり、定着ローラ又は加圧ローラと反対方向へ回転させたり、或いは定着ローラ又は加圧ローラと同じ方向へ回転させるものの、速度差を設けることにより、オイルを定着ローラ又は加圧ローラへ塗布し、残留トナーの離型性を高めるとともに、残留トナーを払拭することができる。
以上、本発明のオイル塗布ローラについて、図1をもとに説明したが、図1とは異なり、(1)高密度繊維シートからなる層がない態様、つまり、高通気性繊維シートと異方性ポリマー繊維シート又は液晶ポリエステル系繊維シートの2層構造、(2)高通気性繊維シートからなる層がない態様、つまり高密度繊維シートと異方性ポリマー繊維シート又は液晶ポリエステル系繊維シートの2層構造、(3)高密度繊維シートからなる層を2層以上備えた態様、例えば、内層から順に、高密度繊維シートからなる層、高通気性繊維シートからなる層、異方性ポリマー繊維シート又は液晶ポリエステル系繊維シートからなる層、高密度繊維シートからなる層、異方性ポリマー繊維シート又は液晶ポリエステル系繊維シートからなる層を備えた構造、(4)高通気性繊維シートからなる層を2層以上備えた態様、例えば、内層から順に、高密度繊維シートからなる層、高通気性繊維シートからなる層、異方性ポリマー繊維シート又は液晶ポリエステル系繊維シートからなる層、高通気性繊維シートからなる層、異方性ポリマー繊維シート又は液晶ポリエステル系繊維シートからなる層を備えた構造、(5)内部繊維層12又は最内繊維層13に替えて、発泡ゴムスポンジ層からなる態様、(6)内部繊維層12又は最内繊維層13に替えて、セラミック筒体層からなる態様、(7)シャフト14が外周に多数の貫通穴が設けられた中空円柱状シャフトからなり、その内部にオイルが注入された態様、(8)最内繊維層13とシャフト14との間に、最内繊維層13の幅よりも短い幅をもつスペーサを介在させた態様、などの変更を行うことができる。前記(1)又は(2)の態様によれば、構造を簡易にすることができて、製造工程を簡略化でき、前記(3)の態様によれば、より精度良くオイル量を規制することができ、かつ形態安定性により優れる態様であり、前記(4)の態様によれば、より精度良くオイル量を規制することができ、かつより優れたオイル補給性(オイル塗布量の多い)態様であり、前記(5)の態様によれば、オイル塗布ローラに弾性を付与することができ、対象ロールとの密着性を高めることができ、前記(6)の態様によれば、オイル塗布ローラ内部へ速やかに伝熱できるため、速やかにオイルの粘度を低下させ、速やかにオイルを表面層へ供給でき、前記(7)の態様によれば、多量のオイルを蓄えることができるため、オイル塗布ローラの寿命を長くすることができ、そして、前記(8)の態様によれば、スペーサが介在していない領域から空気を排気でき、オイル塗布ローラの内圧の上昇を抑制することができるため、オイル塗布量を適正量に維持することが容易である。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
先ず初めに、オイル塗布ローラを構成する各繊維シートを、以下の方法により製造した。
(高通気性繊維シートの製造)
液晶ポリエステル系繊維(p−ヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシナフタレン−6−カルボン酸との共重合体、繊度:2.2dtex、繊維長:51mm、クラレ製、登録商標:ベクトランNTタイプ(熱処理なし))、及び未延伸ポリエステル繊維(繊度:4dtex、繊維長:38mm)を用意し、カード機を用いて、液晶ポリエステル系繊維と未延伸ポリエステルとを80:20の質量比率で混綿、及び開繊を行い、一方向性繊維ウエブを形成した。また、一方向性繊維ウエブをクロスレイヤーにより、繊維ウエブの流れ方向に対して交差させ、交差繊維ウエブも形成した。次いで、一方向性繊維ウエブ上に交差繊維ウエブを積層し、積層繊維ウエブ(一方向性繊維ウエブの目付は15g/m、交差繊維ウエブの目付は55g/m)を形成した。
次いで、前記積層繊維ウエブの交差繊維ウエブ側に対して、直径が0.13mmのノズルをピッチ0.6mmで4列に配列したノズルプレートから、圧力10MPaの水流を噴出し、液晶ポリエステル系繊維の一部をフィブリル化すると共に絡合させ、目付が70g/mで、厚さが0.4mmで、通気度が70cm/cm・sec.の高通気性繊維シート(高通気性不織布)を製造した。
(液晶ポリエステル系繊維シートの製造)
上述のようにして製造した高通気性繊維シートを、温度200℃に設定したスチールローラとコットンローラとの間(線圧:1kN/cm)を通過させ、未延伸ポリエステル繊維を熱圧着させて、目付が70g/mで、厚さが0.07mmで、通気度が0.3cm/cm・sec.の液晶ポリエステル系繊維シート(液晶ポリエステル系不織布)を製造した。
(高密度繊維シートの製造)
メタ型全芳香族ポリアミド繊維(繊度:1.7dtex、繊維長:38mm)、及び未延伸ポリエステル繊維(繊度:5.6dtex、繊維長:38mm)を用意し、カード機を用いて、メタ型全芳香族ポリアミド繊維と未延伸ポリエステルとを60:40の質量比率で混綿、及び開繊を行い、一方向性繊維ウエブを形成した。
次いで、前記一方向性繊維ウエブを温度200℃に設定したスチールローラとコットンローラとの間(線圧:0.5kN/cm)を通過させ、未延伸ポリエステル繊維を熱圧着させて、目付が25g/mで、厚さが0.65mmで、見掛密度が0.38g/cmで、通気度が170cm/cm・sec.の高密度繊維シート(高密度不織布)を製造した。
(実施例1)
先ず初めに、直径が8mmのシャフトに上述の高密度繊維シートを平巻き状に巻きつけた。次に、上述の高通気性繊維シートを高密度繊維シート上に、平巻き状に巻きつけて前駆ローラ(外径:25mm、高密度繊維シート層13と高通気性繊維シート層12の体積比は75:25)を形成した。
次いで、常温で粘度が10000cStのジメチルシリコールオイルを温度150℃に加熱し、粘度低下を促進させた粘度が2000cStのジメチルシリコールオイルからなるオイル浴を用意した。次いで、このオイル浴に前記前駆ローラを浸漬し、シリコーンオイルの前駆ローラの空隙に対する充填占有体積率(常温状態)が95%になるようにシリコーンオイルを含浸し、表面のシリコーンオイルを拭き取って、オイル含浸前駆ローラを形成した。
その後、オイル含浸前駆ローラの高通気性繊維シート層12上に、液晶ポリエステル系繊維シートを1周平巻き状に巻いた後、温度200℃に設定した乾燥機へ15分間投入し、エージング処理を行って余分なシリコーンオイルを放出させた後に、シリコーンオイルを払拭除去し、最終的にシリコーンオイルのオイル塗布ローラの空隙に対する充填占有体積率(常温状態)が85%のオイル塗布ローラ10(外径:25.1mm、長さ:310mm)を製造した。なお、各層間の接着は両面テープ(アクリル系接着剤)により行った。また、オイル塗布ローラの表面を構成する液晶ポリエステル系繊維シートの単位体積あたりにおけるオイル存在量よりも、オイル塗布ローラの最も内部を構成する高密度繊維シートの単位体積あたりにおけるオイル存在量の方が多かった。
(比較例1)
実施例1と全く同様にしてオイル含浸前駆ローラを形成した。その後、オイル含浸前駆ローラの高通気性繊維シート層上に、平均孔径が1μmのポリテトラフルオロエチレン膜(通気度:0.3cm/cm・sec.)を1周平巻き状に巻いた後、温度200℃に設定した乾燥機へ15分間投入し、エージング処理を行って余分なシリコーンオイルを放出させた後に、シリコーンオイルを払拭除去し、最終的にシリコーンオイルのオイル塗布ローラの空隙に対する充填占有体積率(常温状態)が85%のオイル塗布ローラ(外径:25.1mm、長さ:310mm)を製造した。なお、各層間の接着は両面テープ(アクリル系接着剤)で行った。また、オイル塗布ローラの表面を構成するポリテトラフルオロエチレン膜の単位体積あたりにおけるオイル存在量よりも、オイル塗布ローラの最も内部を構成する高密度繊維シートの単位体積あたりにおけるオイル存在量の方が多かった。
(比較例2)
メタ系全芳香族ポリアミド繊維(繊度:2.2dtex、繊維長:38mm)60mass%と、未延伸ポリエステル繊維(繊度:5.5dtex、繊維長:38mm)40mass%とを混綿し、カード機を用いて開繊し、一方向性繊維ウエブを形成した。
次いで、一方向性繊維ウエブを、温度217℃に設定したスチールローラとコットンローラとの間(線圧:882N/cm)を通過させ、未延伸ポリエステル繊維を熱圧着させて、目付が26g/mで、厚さが0.065mmの熱圧着不織布を製造した。
また、実施例1と全く同様にしてオイル含浸前駆ローラを形成した。
その後、オイル含浸前駆ローラの高通気性繊維シート層上に、上述の熱圧着不織布を1周平巻き状に巻いた後、温度200℃に設定した乾燥機へ10分間投入し、エージング処理を行って余分なシリコーンオイルを放出させた後に、シリコーンオイルを払拭除去し、最終的にシリコーンオイルのオイル塗布ローラの空隙に対する充填占有体積率(常温状態)が85%のオイル塗布ローラ(外径:25.1mm、長さ:310mm)を製造した。なお、各層間の接着は両面テープ(アクリル系接着剤)で行った。また、オイル塗布ローラの表面を構成する熱圧着不織布の単位体積あたりにおけるオイル存在量よりも、オイル塗布ローラの最も内部を構成する高密度繊維シートの単位体積あたりにおけるオイル存在量の方が多かった。
(比較例3)
市販のアラミド紙を用意した。このアラミド紙は目付が42g/mで、厚さが0.062mmで、透気度が15000秒(4時間)であった。
このアラミド紙は透気度が非常に低かったため、定着ロールの熱によって内圧が急激に上昇し、オイルがオイル塗布ローラの軸方向端部から漏出しないように、充填占有体積率(常温状態)が75%になるようにシリコーンオイルを含浸したこと以外は、実施例1と全く同様にしてオイル含浸前駆ローラを形成した。
その後、オイル含浸前駆ローラの高通気性繊維シート層上に、上述のアラミド紙を1周平巻き状に巻いた後、温度200℃に設定した乾燥機へ5分間投入し、エージング処理を行って余分なシリコーンオイルを放出させた後に、シリコーンオイルを払拭除去し、最終的にシリコーンオイルのオイル塗布ローラの空隙に対する充填占有体積率(常温状態)が72%のオイル塗布ローラ(外径:25.1mm、長さ:310mm)を製造した。なお、各層間の接着は両面テープ(アクリル系接着剤)で行った。また、オイル塗布ローラの表面を構成するアラミド紙の単位体積あたりにおけるオイル存在量よりも、オイル塗布ローラの最も内部を構成する高密度繊維シートの単位体積あたりにおけるオイル存在量の方が多かった。
(オイル塗布安定性の評価)
ヒートローラー方式の定着装置を備えた複写機を用意し、当該複写機の定着ローラ(表面温度:190℃)に、実施例及び比較例のオイル塗布ローラを各々当接(ニップ幅:2mm、押圧力0.4N/cm)し、定着ローラに従動させるように設置した。
次に、A4サイズの紙を毎分50枚の速度で、A4サイズの紙1枚当りの画像定着率が12%のプログラムモードに設定し、連続通紙を30万枚行った。この時、通紙5万枚ごとに、オイル塗布ローラを複写機から取り出し、24時間冷却放置した後に、オイル塗布ローラの質量を測定し、オイル塗布ローラ使用前の質量との差を算出した。この算出した値をオイル消費量(定着ローラへのオイル塗布量)とみなして、通紙1枚当たりにおける平均オイル塗布量(算術平均値)を算出した。この結果は、図3に示す通りであった。この図3から明らかなように、本発明のオイル塗布ローラはオイルを均一に安定して塗布できるものであった。なお、本複写機における目標オイル塗布量は0.1〜0.2mg/A4であった。また、図3においては、平均値であることを示すために、2万5千枚をはじめとして、5万枚ごとに平均オイル塗布量の値をプロットした。
(オイル塗布ローラの耐摩耗性の評価)
前述の(オイル塗布性の評価)方法によって、平均オイル塗布量を算出した結果、0.05mg/A4よりも少なくなった時点で、オイル塗布ローラの使用寿命が尽きたと判断し、この時点におけるオイル塗布ローラの表面を顕微鏡により摩耗状態を観察した。この結果は表1に示す通りであった。この表1から明らかなように、本発明のオイル塗布ローラは摩耗が観察されない、耐摩耗性に優れるものであった。
(オイル塗布ローラの形態安定性の評価)
前述の(オイル塗布性の評価)方法によって、平均オイル塗布量を算出した結果、0.05mg/A4よりも少なくなった時点で、オイル塗布ローラの使用寿命が尽きたと判断し、この時点におけるオイル塗布ローラの形態の崩れを目で観察した。この結果は表1に示す通りであった。この表1から明らかなように、本発明のオイル塗布ローラは変形が観察されない、形態安定性に優れるものであった。
(残留トナーの払拭性評価)
前述の(オイル塗布性の評価)方法によって、通紙5万枚ごとにオイル塗布ローラの質量を測定する前に、ベタ白モードでの複写を3枚行い、3枚目の通紙画像上におけるオフセットトナーの定着状態を目で観察した。この観察は目標オイル塗布量である0.1〜0.2mg/A4を満たしていた時に行った。なお、比較例3のオイル塗布ローラは目標オイル塗布量を1度も満たさなかったため、5万枚通紙させた時に観察した。この結果は表1に示す通りであった。この表1から明らかなように、本発明のオイル塗布ローラはオフセットトナーがほとんど観察されない、払拭性の優れるものであった。
Figure 0004276916
本発明のオイル塗布ローラの軸方向に直交する方向の模式的断面図 電子写真装置の模式的断面図 通紙枚数と平均オイル塗布量との関係を表すグラフ
符号の説明
1 定着ローラ
2 加圧ローラ
3 オイル塗布ローラ
4 トナー
5 紙
10 オイル塗布ローラ
11 表面層
12 内部繊維層
13 最内繊維層
14 シャフト

Claims (10)

  1. 流体流の作用によって一部又は全部がフィブリル化した異方性ポリマー繊維を主体とし、更にポリエステル繊維を含み、このポリエステル繊維が圧着した繊維シートを、表面に備えていることを特徴とする、オイル塗布ローラ。
  2. 異方性ポリマー繊維が全芳香族ポリエステルからなることを特徴とする、請求項1記載のオイル塗布ローラ。
  3. 一部又は全部がフィブリル化した液晶ポリエステル系繊維を主体とする繊維シートを、表面に備えていることを特徴とする、オイル塗布ローラ。
  4. 液晶ポリエステル系繊維が流体流によって絡合していることを特徴とする、請求項3記載のオイル塗布ローラ。
  5. 表面を構成する繊維シートの通気性が0.1〜2cm/cm・sec、又は透気度が50秒以下であることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のオイル塗布ローラ。
  6. 表面を構成する繊維シートが、更にポリエステル繊維を含み、このポリエステル繊維が圧着した繊維シートであることを特徴とする、請求項〜請求項5のいずれかに記載のオイル塗布ローラ。
  7. 表面を構成する繊維シートと通気性が同じ繊維シート、又は表面を構成する繊維シートよりも通気性が高い繊維シートを、内部に備えていることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載のオイル塗布ローラ。
  8. 見掛密度が0.2g/cm以上の繊維シートを、内部に備えていることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれかに記載のオイル塗布ローラ。
  9. オイル塗布ローラ全体にオイルが存在していることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれかに記載のオイル塗布ローラ。
  10. オイル塗布ローラの表面を構成する繊維シートの単位体積あたりにおけるオイル存在量よりも、オイル塗布ローラの最も内部を構成する材料の単位体積あたりにおけるオイル存在量の方が多いことを特徴とする、請求項1〜請求項9のいずれかに記載のオイル塗布ローラ。
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