JP2002023310A - 写真感光材料用支持体 - Google Patents

写真感光材料用支持体

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JP2002023310A
JP2002023310A JP2000210393A JP2000210393A JP2002023310A JP 2002023310 A JP2002023310 A JP 2002023310A JP 2000210393 A JP2000210393 A JP 2000210393A JP 2000210393 A JP2000210393 A JP 2000210393A JP 2002023310 A JP2002023310 A JP 2002023310A
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film
polyethylene naphthalate
photographic
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layer
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JP2000210393A
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English (en)
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Fumiyuki Suzuki
文行 鈴木
Takahito Miyoshi
孝仁 三好
Yukio Shirokura
幸夫 白倉
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 巻癖カール解消性及び切断適性に優れ、加工
性及び取扱い性に優れたポリエチレンナフタレートフィ
ルムからなる135型写真フィルムに好適な写真感光材
料用支持体を提供する。 【解決手段】 引張り破断伸度が50%以下、引張り破
断強度が196MPa以下、ガラス転移温度が100℃
以上、かつ、極限粘度が0.35〜0.50であるポリ
エチレンナフタレート樹脂からなる写真感光材料用支持
体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、写真感光材料用支
持体に関するものであり、詳しくは、巻癖カール解消性
と切断適性に優れたポリエチレンナフタレートフィルム
からなる写真感光材料用支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、写真感光材料(写真フィルム)
には、X線撮影用フィルム、製版用フィルム及びカット
フィルムのようなシート状の形態のもの、そしてロール
状の形態のものがある。ロールフィルムの代表的なもの
としては、35mm幅又はそれ以下の幅でパトローネ内に
収められた、一般のカメラに装填して撮影に用いられる
カラーフィルム又は黒白ネガフィルムが挙げられる。3
5mm幅の写真フィルムは、通常135型写真フィルムと
して一般のカメラ用のネガフィルム又はポジフィルムに
広く使用されている。
【0003】前記135型写真フィルムとは、JIS
K 7519−1982の「135型フィルム・パトロ
ーネ」に規定されたフィルムである。135型(ライ
カ)写真フィルムは、上記規定された寸法を有すると共
に、上記規定されたパトローネに充填等が容易に行なう
ことができ、かつ135型写真フィルム用に設計された
カメラでトラブルなく使用することができ、更に撮影し
たフィルムの現像、定着等の処理操作においても支障の
ないことが要求される。
【0004】前記135型写真フィルムとしては、従来
からセルローストリアセテート(以下、「TAC」と称
することがある。)フィルムが用いられている。TAC
フィルムは、セルローストリアセテートを塩化メチレン
等の有機溶媒に溶解し、得られた溶液を金属ベルト等に
流延、乾燥することにより得られる。このセルロースト
リアセテートの溶解に使用される有機溶剤、特に塩化メ
チレン等の塩素系溶剤は、人体に毒性を示し、作業環境
や大気を汚染するため、使用上、環境上の問題がある。
【0005】一方、上記溶剤を使用せずにフィルム形成
が可能な材料として、ポリエチレンテレフタレート(以
下、「PET」と称することがある。)が一部使用され
ている。PETフィルムは、通常PETを溶融押出した
後、二軸延伸することにより得られる。このようなPE
Tフィルムは、従来からX線フィルム、リスフィルムの
支持体として使用されている。しかしながら、このPE
Tフィルムを前記135型写真フィルムに、即ち、ロー
ル状態で使用した場合、巻癖カールを起こしやすいた
め、例えば、現像工程での現像斑の発生、焼付工程等で
のスリ傷の発生、焦点ボケ、搬送時のジャミング等の発
生などの問題がある。
【0006】さらに、同じく前記溶剤を使用せずにフィ
ルム形成が可能な材料であるポリエチレンナフタレート
(以下、「PEN」と称することがある。)も一部使用
されている。ポリエチレンナフタレート(PEN)は、
ガラス転移温度がPET等に比べて高く、また強度のあ
る硬いフィルムを与えることで知られている。そこで、
PENフィルムをガラス転移温度よりわずかに低い温度
で熱処理することにより、巻癖カールを防止することが
提案され(特開平6−175287号、特開平6−26
6049号等)、新しいカメラシステムであるアドバン
スドフォトシステム(APSシステム)等、一体型カメ
ラの写真フィルムに使用できる薄い支持体の形成材料と
して実用化されている(EP0606070A1、特開
平7−72584号)。
【0007】しかしながら、前記PENフィルムは硬
く、また切断しにくい特性を有するため、従来の135
型写真フィルムとしてポリエチレンナフタレートを導入
する場合、製造工程でのスリットや、パーフォーレーシ
ョンのせん孔のみならず、現像所で駒位置識別のための
ノッチを開けたり、ネガ返却シートに収納するため切り
揃えたりする各種の切断工程において、切断故障が発生
し易いという問題がある。特に、切断刃のメンテナンス
が不十分な場合も予想される小規模の現像所では、刃の
摩耗による切断不良の発生が一層懸念される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける問題を解決し、以下の目的を達成することを課題
とする。即ち、本発明は、巻癖カール解消性及び切断適
性に優れ、加工性及び取扱い性に優れたポリエチレンナ
フタレートフィルムからなる写真感光材料用支持体、特
に、135型写真フィルムに好適な写真感光材料用支持
体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する手段
は、以下の通りである。即ち、引張り破断伸度が50%
以下、引張り破断強度が196MPa以下、ガラス転移
温度が100℃以上、かつ、極限粘度が0.35〜0.
50であるポリエチレンナフタレート樹脂からなること
を特徴とする写真感光材料用支持体である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の写真感光材料用支持体
は、引張り破断伸度が50%以下、引張り破断強度が1
96MPa以下、ガラス転移温度が100℃以上、か
つ、極限粘度が0.35〜0.50であるポリエチレン
ナフタレート樹脂からなる。ここでは、材料ポリマーで
あるポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂について
説明する。
【0011】(ポリエチレンナフタレート樹脂)本発明
の写真感光材料用支持体に用いられるポリエチレンナフ
タレート(ポリエチレン2,6−ジナフタレート)樹脂
は、高い力学強度及び弾性率を有し、かつガラス転移温
度も120℃付近であり、優れた物性を有するポリエス
テルの一種である。本発明のポリエチレンナフタレート
樹脂は、例えば、酸成分として、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸又はその誘導体(無水物、低級アルキルエス
テル等のエステル形成可能な誘導体)と、グリコール成
分として、エチレングリコール又はその誘導体(アルキ
レンオキサイド等のエステル形成可能な誘導体)とを、
触媒の存在下にて適当な反応条件のもとで重合させるこ
とによって製造される。
【0012】具体的には、前記ポリエチレンナフタレー
ト(PEN)樹脂は、従来公知のポリエステルの製造方
法により合成できる。例えば、酸成分をグリコール成分
と直接エステル化反応するか、または酸成分としてジア
ルキルエステルを用いる場合は、まず、グリコール成分
とエステル交換反応をし、これを減圧下で加熱して余剰
のグリコール成分を除去することにより、合成すること
ができる。あるいは、酸成分を酸ハライドとしておき、
グリコールと反応させてもよい。この際、必要に応じ
て、エステル交換反応の触媒あるいは重合反応触媒を用
いたり、更に、公知の熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止
剤、滑材、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、顔料、染料、遮
光剤、フィラー類等を添加してもよい。
【0013】前記エステル交換反応の触媒としては、酢
酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸マグネシウム、酢酸カ
ルシウム、酢酸カドミウム、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酸化マ
グネシウム及びそれらの水和物や、酸化鉛等が一般に使
用される。これらは単独で使用しても混合して使用して
もよい。エステル化反応は特に触媒を添加しなくても進
行するが、上記の触媒を用いることにより効率よく反応
を進めることができる。又、重縮合反応触媒としては、
三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、三弗化アンチモ
ン、硫化アンチモン、アンチモントリブチレート、アン
チモンエチレングリコラート、アンチモン酸カリウム、
酢酸アンチモン、三塩化アンチモン、二酸化ゲルマニウ
ム、三酸化ゲルマニウム、酢酸マンガン、酢酸亜鉛、酢
酸鉛、安息香酸アルカリ金属塩、チタンアルコキシド
(例、チタンブトキサイド)、及びチタン酸のアルカリ
金属塩等が一般に使用される。これらは単独で使用して
も混合して使用してもよい。
【0014】前記熱安定剤としては、燐酸、亜燐酸もし
くはこれらのエステル化合物を添加してもよい。例え
ば、燐酸トリメチル、燐酸トリエチル、燐酸トリフェニ
ル、亜燐酸トリフェニル、亜燐酸トリメチル、亜燐酸ト
リエチル、亜燐酸トリフェニル及び燐酸または亜燐酸の
モノあるいはジエステル等を挙げることができる。ま
た、前記酸化防止剤として、公知のヒンダードフェノー
ル類を添加してもよい。例えば、イルガノックス101
0、同スミライザーBHT、同スミライザーGA−80
等の商品名で市販されているものが好適に挙げられる。
さらに、これらの一次酸化防止剤に二次酸化防止剤を組
み合わせることも可能である。二次酸化防止剤として
は、例えばスミライザーTPL−R、同スミライザーT
PM、同スミライザーTP−D等の商品名で市販されて
いるものを使用することができる。
【0015】本発明のポリエチレンナフタレート樹脂
は、2,6−ナフタレンジカルボン酸や2,6−ナフタ
レンジカルボン酸ジメチル等のジカルボン酸又はその誘
導体とエチレングリコール等の二価アルコールをエステ
ル交換反応あるいはエステル化反応(エステル反応槽)
させることによりオリゴマーを得て、さらに真空下で重
縮合反応(重縮合反応槽)を行って合成することができ
る。即ち、エステル交換反応の場合は、多塩基酸と多価
アルコールを、98〜196kPaの加圧下又は大気圧
下で、180〜280℃(好ましくは230〜270
℃)において0.5〜8時間(好ましくは2〜4時間)
反応させ、アルコールの留出を終了させることにより行
う。エステル化反応の場合は、同様に水の流出を終了さ
せることにより行う。次いで、槽内の圧力を6.7〜
0.13kPaの真空にするとともに、240〜300
℃に昇温し、必要により0.13kPa以下の高真空に
して、合計1〜3時間加熱してポリエチレンナフタレー
ト樹脂を得ることができる。この際、攪拌機の軸トルク
から測定される樹脂の溶融粘度を調節することにより、
重合度を調節し、目的の物性を有するポリエチレンナフ
タレート樹脂を得ることができる。
【0016】本発明のポリエチレンナフタレート樹脂か
らなる写真感光材料用支持体は、用途に応じて易滑性を
付与することもできる。易滑性を付与する手段として
は、例えば、不活性微粒子を含有させる方法、易滑剤を
塗布する方法等がある。不活性微粒子を含有させる方法
では、平均粒子径0.1〜1.0μmの不活性微粒子を
300ppm以下(好ましくは50〜300ppm)の
量で含有させることが好ましい。また、不活性微粒子と
しては、例えば、タルク、シリカ、アルミノシリケー
ト、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム
などの無機化合物や、架橋されたアクリル樹脂、ベンゾ
グアナミン樹脂、スチレン樹脂等の架橋高分子などの有
機化合物を挙げることができる。これらの中でも、支持
体の透明性を確保する観点より、不活性微粒子として、
ポリエチレンナフタレート樹脂の屈折率に近い屈折率を
有するものが好ましく、例えば、硫酸バリウム、炭酸カ
ルシウム、アルミノシリケート、架橋有機粒子(架橋ポ
リスチレン等)などがより好ましい。
【0017】さらに、不活性微粒子を含有させる場合、
支持体の透明性を維持するためには、粒子を実質的に含
まないポリエチレンナフタレート樹脂からなる支持体の
少なくとも片側の面に、不活性微粒子を含有した層を薄
く積層する方法も好ましい。この手段としては、例えば
複数の押出機ならびにフィードブロック又はマルチマニ
フォールドダイによる共押出し法が有効な手段として好
適に挙げられる。
【0018】なお、本発明の写真感光材料用支持体とし
ては、透明性(ヘイズ)は3%以下が好ましく、1%以
下がより好ましく、0.5%以下が特に好ましい。ヘイ
ズが高すぎると、透明性が低下し、写真感光材料の支持
体として適さなくなる。
【0019】本発明のポリエチレンナフタレート樹脂か
らなる写真感光材料用支持体は、用途に応じて染料、顔
料等により各種の色相(青、緑、赤、灰色等)に着色す
ることもできる。
【0020】本発明の写真感光材料用支持体を構成する
ポリエチレンナフタレート樹脂は、135型写真フィル
ムとして用いるのに好適な物性を有するものである。こ
のために、最適の処理条件にて、ポリエチレンナフタレ
ート樹脂について二軸延伸等の成膜処理を行い、フィル
ム状の支持体を作製している。
【0021】本発明のポリエチレンナフタレート樹脂か
らなる写真感光材料用支持体は、二軸方向に配向された
ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(二軸延
伸ポリエチレンナフタレートフィルム)であることが好
ましい。二軸延伸は一般にテンター式延伸機で行われ
る。前記二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム
は、下記の方法で得ることができる。前記不活性微粒子
を含むポリエチレンナフタレート樹脂をあらかじめ乾燥
させ、280℃〜330℃でシート状に溶融押し出した
後、30〜110℃で冷却固化して無定型シートを作製
する。次いで、100℃〜160℃(110℃〜150
℃が好ましく、120℃〜135℃がより好ましい)の
温度にて縦方向(長尺方向)に2〜5倍(好ましくは
2.5〜4倍)に延伸し、さらに、110〜160℃
(110℃〜150℃が好ましく、120℃〜140℃
がより好ましい)の温度にて横方向(幅方向)に2〜5
倍(好ましくは2.8〜4.5倍)に延伸する。その
後、165〜290℃(好ましくは170〜250℃)
で熱固定することによって、前記二軸延伸ポリエチレン
ナフタレートフィルムを得ることができる。熱固定後、
熱固定温度より5℃前後低い温度で熱緩和処理が行われ
る。熱緩和の際、両側のテンター幅を狭めることにより
収縮を緩和することができる。熱緩和処理の際の収縮率
は、3〜8%程度が好ましい。さらに、得られたフィル
ムは、ガラス転移温度以下の温度でアニール処理を施し
てもよい。
【0022】本発明の特定の物性を有するポリエチレン
ナフタレートフィルムは、ポリエチレンナフタレート樹
脂を用いて上記二軸延伸することにより得られるが、本
発明では、後述する特定の物性を有するように、縦延伸
は120〜130℃で、3.0〜4.0倍の延伸倍率で
行い、横延伸は120〜135℃で、3.0〜4.0倍
の延伸倍率で行い、熱固定は170〜230℃で行うこ
とが特に好ましい。
【0023】本発明のポリエチレンナフタレート樹脂か
らなる支持体の厚みは、写真感光材料としての使用態様
によって適宜選択できるが、135型写真フィルムとし
て使用する場合には、80〜130μmが好ましく、9
0〜120μmがより好ましく、95〜110μmが特
に好ましい。
【0024】前記二軸延伸ポリエチレンナフタレートフ
ィルムは、二軸延伸後、熱処理することが巻癖カール解
消性を向上させる上で好ましい。前記熱処理は、50℃
以上ガラス転移温度以下の温度で、0.1〜1500時
間行うことが好ましい。この効果は熱処理温度が高いほ
ど速く進む。しかし熱処理温度がガラス転移温度を越え
るとフィルム内の分子がむしろ乱雑に動き逆に自由体積
が増大し、分子が流動し易い、即ち巻癖のつき易いフィ
ルムとなる。従ってこの熱処理はガラス転移温度以下で
行うことが必要である。一方、50℃以下の温度では、
この効果は著しく遅い速度でしか進行しないため多大な
時間を必要とし非現実的である。従ってこの熱処理は、
ガラス転移温度を少し下廻る温度で行うことが処理時間
短縮のために望ましく、50℃以上ガラス転移温度以
下、より好ましくは、ガラス転移温度を30℃下廻る温
度以上ガラス転移温度以下である。一方、この温度条件
で熱処理を行う場合、0.1時間以降効果が認められ
る。一方、1500時間以上では、その効果はほとんど
飽和する。従って0.1時間以上1500時間以下で熱
処理することが必要である。
【0025】本発明の写真感光材料用支持体を構成する
ポリエチレンナフタレート樹脂は、135型写真フィル
ム用の支持体として用いるのに好適な物性を有する。こ
こでは、前記ポリエチレンナフタレート樹脂の各物性、
即ち、引張り破断伸度、引張り破断強度、極限粘度及び
ガラス転移温度(Tg)、ならびに切断荷重及びコアセ
ットカール値について説明する。
【0026】(引張り破断伸度及び引張り破断強度)二
軸延伸フィルムサンプルを縦延伸方向に長さ120m
m、横延伸方向に幅10mmの長方形に切り出して試験
片とし、東洋精機製ストログラフを用い、チャック間
距離20mm、引張り速度5mm/分、環境25
℃、60%RH、の測定条件のもと、試験片を引張って
破断した際の伸度(試験片の元の長さに対して、破断し
た際の、試験片の伸びの割合)を、引っ張り破断伸度と
定義した。また、上記条件で試験片を引張って破断した
際の応力(破断した際の応力を、試験片の元の断面積で
除した値)を、引張り破断強度と定義した。
【0027】アドバンスドフォトシステム(APSシス
テム)等で用いられているポリエチレンナフタレートフ
ィルムは硬く、また切断しにくい特性を有する。該ポリ
エチレンナフタレートフィルムは、引張り破断伸度が1
50%程度であり、引張り破断強度が245MPa程度
の値を有する。よって、該ポリエチレンナフタレートフ
ィルムを、そのまま従来の135型写真フィルムとして
用いた場合、製造工程でのスリット加工及びパーフォー
レーション加工等の各種切断工程において、切断故障が
発生し易いという問題が発生する。ポリエチレンナフタ
レートフィルムを、135型写真フィルムとして用いる
場合は、引張り破断伸度が50%より大きいと、もしく
は引張り破断強度が196MPaより大きいと、切断故
障の発生する確率が高くなる。その一方で、引張り破断
伸度が5%以下、もしくは引張り破断強度が49MPa
以下では、通常の取扱いで線切れしやすくなり、写真感
光材料用支持体としては適さない。従って、本発明のポ
リエチレンナフタレート樹脂からなる写真感光材料用支
持体としては、引張り破断伸度は、5〜50%が好まし
く、10〜45%がより好ましく、15〜40%が特に
好ましい。また、引張り破断強度は、49〜196MP
aが好ましく、98〜180MPaがより好ましく、9
8〜157MPaが特に好ましい。
【0028】(ガラス転移温度)ガラス転移温度(T
g)の測定は、示差熱分析計(DSC)を用いて行う。
二軸延伸フィルムサンプル30〜50mgを、DSCに
おいて、窒素気流中、30℃/分で300℃まで昇温
し、その状態で1分間保持する。次いで、サンプルを液
体窒素中にて急冷しアモルファス状態とする。このアモ
ルファスサンプルをさらに窒素気流中にて10℃/分で
昇温していった時、ベースラインから偏奇しはじめる温
度と新たなベースラインに戻る温度の算術平均温度をガ
ラス転移温度(Tg)として定義した。
【0029】本発明のポリエチレンナフタレート樹脂か
らなる写真感光材料用支持体において、ガラス転移温度
(Tg)が100℃より低いと巻癖が付きやすく、ロー
ル状写真感光材料用支持体としては適さない。また、写
真フィルムは真夏の自動車内等に放置されることもあ
り、耐熱性が要求される。従って、本発明のポリエチレ
ンナフタレート樹脂のTgとしては、少なくとも100
℃以上であることが好ましく、105〜120℃がより
好ましく、110〜120℃が特に好ましい。
【0030】(極限粘度)極限粘度とは、固有粘度とも
いい、溶液の比粘度をηsp、濃度をcとしたとき、下
記式で表される値[η]をいう。 ・極限粘度[η]= lim(ηsp/c) なお、溶液の比粘度ηspは、溶液の粘度をη、純溶媒
の粘度をη0としたとき、ηsp=(η−η0)/η0
表される。一般に、高分子希薄溶液の極限粘度を求める
ことにより、高分子の分子量を簡便に測定できることが
知られている。
【0031】本発明においては、下記方法により本発明
のポリエチレンナフタレート樹脂の極限粘度を求めた。
まず、二軸延伸フィルムサンプルを、フェノールと1,
1,2,2−テトラクロロエタンの3:2(重量比)混
合液に溶解し、ウベローデ型粘度計で、25℃にて測定
を行った。具体的には、濃度cが異なる溶液を調製し、
ウベローデ型粘度計でそれぞれの粘度を測定した後、比
粘度ηspを求め、濃度cに対してプロットし、得られ
た直線をc→0に補外した値を極限粘度[η]と定義し
た。
【0032】アドバンスドフォトシステム(APSシス
テム)等で用いられているポリエチレンナフタレートフ
ィルムは、0.55〜0.60程度の極限粘度の値を有
している。しかし、該ポリエチレンナフタレートフィル
ムを、そのまま従来の135型写真フィルムとして用い
た場合、その硬さや剛性により、切断故障が発生し易い
という問題が発生する。従って、135型写真フィルム
に好適な本発明の写真感光材料用支持体を構成するポリ
エチレンナフタレート樹脂の極限粘度としては、0.5
0より低いことが好ましい。0.50以上の極限粘度を
有するポリエチレンナフタレート樹脂は、引張り破断伸
度の値が好ましい範囲を逸脱する。一方、極限粘度の値
が0.35より低くなると製膜が困難となる。よって、
極限粘度としては、0.35〜0.50が好ましく、
0.37〜0.47がより好ましく、0.40〜0.4
5が特に好ましい。
【0033】(切断荷重)フィルムサンプルについて、
縦延伸方向を長手方向として長さ100mm、横延伸方
向に幅35mmの長方形に切り出して試験片とし、この
試験片に対してカッターインサーター(ENV−M4型
・ノーリツ社製)のカッターハンドルにより荷重をかけ
た場合、35mm全幅が切断されるために要する荷重
(kg)が切断荷重として定義される。同様の寸法で、
厚さが122μmのトリアセチルセルロース(TAC)
フィルムを切断するのに要する荷量は3.6kgである
ため、本発明のポリエチレンナフタレート樹脂からなる
写真感光材料用支持体としては、切断荷重は3.0〜
4.2kgが好ましく、3.2〜4.0kgがより好ま
しく、3.4〜3.8kgが特に好ましい。
【0034】(コアセットカール値)コアセットカール
値とは、フィルムの巻癖の付き易さの程度を示す値であ
る。サンプルを100℃で24時間熱処理したものを、
縦延伸方向に長さ120mm、横延伸方向に幅35mm
に切り出して試験片とし、直径11.5mmのコアに長
手方向に巻いた後、80℃の雰囲気下で2時間放置し
て、コアからフィルムを取り外した場合、得られたフィ
ルムの、カール半径の逆数の値(下記式)で定義され
る。 ・コアセットカール値 = 1/R[m-1] (R
[m]:カールの半径) 本発明の写真感光材料用支持体としては、コアセットカ
ール値は、0〜70m -1が好ましく、0〜60m-1がよ
り好ましく、0〜50m-1が特に好ましい。
【0035】前記物性を有するポリエチレンナフタレー
ト樹脂からなる写真感光材料用支持体を用いて、135
型写真フィルム等の写真感光材料を作製することができ
る。 (写真感光材料の作製)本発明の写真感光材料用支持体
を用いて135型写真フィルム等の写真感光材料を作製
する場合、支持体が疎水性の表面を有するため、ゼラチ
ンを主とした保護コロイドからなる写真層(例えば感光
性ハロゲン化銀乳剤層、中間層、フィルター層等)を支
持体上に強固に接着させることは非常に困難である。こ
の様な難点を克服するために試みられた従来技術として
は、(1)薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火
焔処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活
性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化
処理、などの表面活性化処理をしたのち、直接写真乳剤
を塗布する方法、あるいは接着力を得たのち下塗層を設
け、この上に写真乳剤層を塗布する方法、(2)これら
の表面処理なしで、下塗層を設けこの上に写真乳剤層を
塗布する方法との二法がある。
【0036】(1)の前記表面処理によって、いずれも
本来は疎水性であった支持体表面に多少とも極性基が形
成され、また、表面の架橋密度が増加され、その結果と
して下塗液中に含有される成分の極性基との親和力が増
加し、また接着表面の堅牢度が増加すること等が考えら
れる。また、(2)の前記下塗層の構成としても種々の
工夫が行なわれており、第1層として支持体によく接着
する層(以下、下塗第1層と略す)を設け、その上に第
2層として写真層とよく接着する親水性の樹脂層(以
下、下塗第2層と略す)を塗布する、いわゆる重層法
と、疎水性基と親水性基との両方を含有する樹脂層を一
層のみ塗布する単層法とがある。(2)の下塗法では、
前記重層法における下塗第1層で、例えば塩化ビニル、
塩化ビニリデン、ブタジエン、メタクリル酸、アクリル
酸、イタコン酸、無水マレイン酸などの中から選ばれた
単量体を出発原料とする共重合体を始めとして、種々の
ポリマーを使用することができる。下塗第2層では主と
してゼラチンが使用される。
【0037】前記単層法においては、多くの支持体を膨
潤させ、親水性下塗ポリマーと界面混合させることによ
って良好な接着性を達成している場合が多い。親水性下
塗ポリマーとしては、水溶性ポリマー、セルロースエス
テル、ラテックスポリマー、水溶性ポリエステルなどが
好ましい。前記水溶性ポリマーとしては、ゼラチン、ゼ
ラチン誘導体、カゼイン、寒天、アルギン酸ソーダ、で
んぷん、ポリビニールアルコール、ポリアクリル酸共重
合体、無水マレイン酸共重合体などがより好ましく、前
記セルロースエステルとしては、カルボキシメチルセル
ロース、ヒドロキシエチルセルロースなどがより好まし
く、前記ラテックスポリマーとしては、塩化ビニル含有
共重合体、塩化ビニリデン含有共重合体、アクリル酸エ
ステル含有共重合体、酢酸ビニル含有共重合体、ブタジ
エン含有共重合体などがより好ましい。この中でもゼラ
チンが最も好ましい。
【0038】バック層のバインダーとしては、疎水性ポ
リマーでもよく、下塗層に用いられる親水性ポリマーで
あってもよい。バック層には、帯電防止剤、易滑剤、マ
ット剤、界面活性剤、染料等を含有することができる。
帯電防止剤として最も好ましいものは、ZnO、TiO
2 、SnO2 、Al2 3 、In2 3 、SiO2 、M
gO、BaO、MoO3 、V2 5 の中から選ばれた少
なくとも1種の結晶性の金属酸化物、又はこれらの複合
酸化物の微粒子である。
【0039】次に、135型写真フィルム等の写真感光
材料に設けられた写真層(ハロゲン化銀乳剤層)につい
て説明する。ハロゲン化銀乳剤層としては、黒白用、カ
ラー用何れでもよい。ここではカラーハロゲン化銀写真
感光材料について説明する。写真感光材料としては、支
持体上に青感色性層、緑感色性層、赤感色性層のハロゲ
ン化銀乳剤層の少なくとも1層が設けられていればよ
く、ハロゲン化銀乳剤層及び非感光性層の層数及び層順
は、特に制限がない。典型的な例としては、支持体上
に、実質的に感色性は同じであるが感光度の異なる複数
のハロゲン化銀乳剤層から成る感光性層を少なくとも1
つ有するハロゲン化銀写真感光材料が挙げられる。該感
光性層は、青色光、緑色光、および赤色光の何れかに感
色性を有する単位感光性層であり、多層ハロゲン化銀カ
ラー写真感光材料においては、一般に単位感光性層の配
列が、支持体側から順に赤感色性層、緑感色性層、青感
色性の順に設置される。しかし、目的に応じて上記設置
順が逆であっても、また同一感色性層中に異なる感光性
層が挟まれたような設置順をとることができる。上記ハ
ロゲン化銀感光性層の間および最上層、最下層には各層
の中間層等の非感光性層を設けてもよい。該中間層に
は、カプラー、DIR化合物等が含まれていてもよく、
通常用いられるように混色防止剤を含んでいてもよい。
【0040】ハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、十
四面体のような規則的な結晶を有するもの、球状、板状
のような変則的な結晶形を有するもの、双晶面などの結
晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの複合形でもよ
い。ハロゲン化銀の粒径は、約0.2μm以下の微粒子
でも投影面積直径が約10μmに至るまでの大サイズ粒
子でもよく、多分散乳剤でも単分散乳剤でもよい。ま
た、アスペクト比が約5以上であるような平板状粒子も
使用できる。結晶構造は、一様なものでも、内部と外部
とが異質なハロゲン組成からなるものでもよく、層状構
造をなしていてもよい。また、エピタキシャル接合によ
って組成の異なるハロゲン化銀が接合されていてもよ
く、例えば、ロダン銀、酸化鉛などのハロゲン化銀以外
の化合物と接合されていてもよい。さらに、種々の結晶
形の粒子の混合物を用いてもよい。
【0041】ハロゲン化銀乳剤は、通常、物理熟成、化
学熟成および分光増感を行ったものを使用する。本発明
の効率は、金化合物と含イオウ化合物で増感した乳剤を
使用したときに特に顕著に認められる。このような工程
で使用される添加剤はリサーチ・ディスクロージャーN
o. 17643および同No. 18716に記載されて
いる。
【0042】前記写真層には、種々のカラーカプラーを
使用することができ、その具体例は前出のリサーチ・デ
ィスクロージャー(RD)No. 17643、VII −C
〜Gに記載された特許に記載されている。
【0043】写真感光材料は、乳剤層を有する側におけ
る、全親水性コロイド層の膜厚の総和が28μm以下で
あり、かつ、膜膨潤速度T1/2は30秒以下が好まし
い。膜厚は、25℃相対湿度55%調湿下(2日)で測
定した膜厚を意味し、膜膨潤速度T1/2は、当該技術分
野において公知の手法に従って測定することができる。
例えば、エー・グリーン(A.Green)らによりフ
ォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリ
ング(Photogr.Sci.Eng.)、19巻、
2号、124〜129頁に記載の型のスエロメーター
(膨潤計)を使用することにより測定でき、T1/2は発
色現像液で30℃、3分15秒処理した時に到達する最
大膨潤膜厚の90%を飽和膜厚とし、このT1/2の膜厚
に到達するまでの時間と定義する。
【0044】135型写真フィルムを装填するための、
パトローネのスプールの直径は、通常10〜14mmが
好ましく、11〜13mmがより好ましい。
【0045】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明するが、本発明
はこの実施例に何ら限定されるものではない。
【0046】(実施例)2,6−ナフタレンジカルボン
酸ジメチル100部及びエチレングリコール54部を、
酢酸マンガン四水塩0.045部を触媒として、エステ
ル交換により反応させた後、リン酸トリメチル0.06
5部及び三酸化アンチモン0.03部を添加した。その
後300℃にて系を徐々に減圧し、107Paとした。
そして、攪拌機の軸トルクから2000poiseに相
当する溶融粘度に到達するまで重縮合反応を進行させ
た。それにより、極限粘度0.46、ガラス転移温度1
16℃のポリエチレンナフタレート樹脂を得た。次に、
得られたポリエチレンナフタレート樹脂を180℃で6
時間乾燥後、305℃で溶融押出を行い、キャスティン
グドラム上で冷却、固化させシートを得た。続いて、得
られたシートを127℃にて縦方向に3.2倍に延伸
し、次いで130℃にて横方向に3.4倍に延伸した
後、これを210℃で熱固定して厚さ105μmの二軸
延伸ポリエチレンナフタレートフィルムを作製した。こ
の二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムの極限粘
度を測定したところ、溶融製膜工程を経たために、0.
43まで低下していた。この二軸延伸フィルムを110
℃にて32時間熱処理し、写真感光材料用支持体とし
た。
【0047】(比較例1)2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸ジメチル100部及びエチレングリコール54部
を、酢酸マンガン四水塩0.045部を触媒として、エ
ステル交換により反応させた後、リン酸トリメチル0.
065部及び三酸化アンチモン0.03部を添加した。
その後300℃にて系を徐々に減圧し、107Paとし
た。そして、攪拌機の軸トルクから6000poise
に相当する溶融粘度に到達するまで重縮合反応を進行さ
せた。それにより、極限粘度0.60、ガラス転移温度
120℃のポリエチレンナフタレート樹脂を得た。次
に、得られたポリエチレンナフタレート樹脂を180℃
で6時間乾燥後、305℃で溶融押出を行い、キャステ
ィングドラム上で冷却、固化させシートを得た。続い
て、得られたシートを130℃にて縦方向に3.2倍に
延伸し、次いで140℃にて横方向に3.4倍に延伸し
た後、これを250℃で熱固定して厚さ90μmの二軸
延伸ポリエチレンナフタレートフィルムを作製した。こ
の二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムの極限粘
度を測定したところ、溶融製膜工程を経たために、0.
57まで低下していた。この二軸延伸フィルムを110
℃にて32時間熱処理し、写真感光材料用支持体とし
た。
【0048】(比較例2)二軸延伸後の熱固定を150
℃で行ったこと以外は、実施例と同様の条件及び方法に
より、厚さ105μm、極限粘度が0.38の二軸延伸
ポリエチレンナフタレートフィルムを得た。この二軸延
伸ポリエチレンナフタレートフィルムを110℃にて3
2時間熱処理し、写真感光材料用支持体とした。
【0049】(比較例3)二軸延伸後の熱固定を150
℃で行ったこと以外は、比較例1と同様の条件及び方法
により、厚さ90μm、極限粘度が0.57の二軸延伸
フィルムを得た。この二軸延伸フィルムを110℃にて
32時間熱処理し、写真感光材料用支持体とした。
【0050】(測定及び評価)上記実施例及び比較例で
得られた写真用感光材料用支持体について、下記の測定
方法に従って測定し、評価を行った。
【0051】−引張り破断伸度及び引張り破断強度− 二軸延伸フィルムサンプルを縦延伸方向に長さ120m
m、横延伸方向に幅10mmの長方形に切り出して試験
片とし、東洋精機製ストログラフを用い、下記条件にお
いて測定を行った。測定条件は、チャック間距離20
mm、引張り速度5mm/分、環境25℃、60%
RHである。上記条件で試験片を引張って破断した際の
伸度(試験片の元の長さに対して、破断した際の、試験
片の伸びの割合)を、引っ張り破断伸度とした。また、
上記条件で試験片を引張って破断した際の応力(破断し
た際の応力を、試験片の元の断面積で除した値)を、引
張り破断強度とした。
【0052】−極限粘度− 二軸延伸フィルムサンプルを、フェノールと、1,1,
2,2−テトラクロロエタンの3:2(重量比)混合液
に溶解し、ウベローデ型粘度計で、25℃にて測定を行
った。具体的には、濃度cが異なる溶液を調製し、ウベ
ローデ型粘度計でそれぞれの粘度を測定した後、比粘度
ηspを濃度cに対してプロットし、得られた直線をc
→0に補外して、極限粘度[η]を求めた。
【0053】−ガラス転移温度(Tg)− 示差熱分析計(DSC)を用いてガラス転移温度(T
g)の測定を行った。まず、二軸延伸フィルムサンプル
30〜50mgを、窒素気流中、30℃/分で300℃
まで昇温し、その状態で1分間保持した。次いで、サン
プルを液体窒素中にて急冷しアモルファス状態とした。
このアモルファスサンプルをさらに窒素気流中にて10
℃/分で昇温していった時、ベースラインから偏奇しは
じめる温度と新たなベースラインに戻る温度の算術平均
温度をガラス転移温度(Tg)とした。
【0054】−切断荷重− 二軸延伸フィルムサンプルについて、縦延伸方向を長手
方向として長さ100mm、横延伸方向に幅35mmの
長方形に切り出して試験片とし、この試験片に対してカ
ッターインサーター(ENV−M4型・ノーリツ社製)
のカッターハンドルにより荷重をかけた場合、35mm
全幅が切断されるために要する荷重(kg)を求めた。
【0055】−コアセットカール値− コアセットカール値とは、巻癖の付き易さの程度を示す
値である。二軸延伸フィルムサンプルを100℃で24
時間熱処理したものを、縦延伸方向に長さ120mm、
横延伸方向に幅35mmに切り出して試験片とし、直径
11.5mmのコアに長手方向に巻いた後、80℃の雰
囲気下で2時間放置して、コアからフィルムを取り外
し、得られたフィルムのコアセットカール値を測定し
た。コアセットカール値は、下記の式で表される。 ・コアセットカール値 = 1/R[m-1] (R
[m]:カールの半径)
【0056】−切断適性の評価− 切断適性の評価としては、同様の寸法で、厚さが122
μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを切
断するのに要する荷量(3.6kg)と、測定された前
記切断荷重を比較した場合に、ほぼ同等又は同等以下の
場合を良好(○)とした。
【0057】−巻癖カール解消性の評価− 巻癖カール解消性の評価としては、同様の寸法で、厚さ
が122μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィ
ルムのコアセットカール値(50m-1)と、測定された
コアセットカール値とを比較した場合に、同等以下の値
の場合を良好(適)とした。
【0058】実施例及び比較例において作製されたポリ
エチレンナフタレート樹脂からなる写真感光材料用支持
体について、前記測定方法により測定した値及びその評
価結果を、表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】表1の結果から明らかなように、実施例の
写真感光材料用支持体は、比較例の写真感光材料用支持
体と比べて極限粘度が低く、引張り破断伸度及び引張り
破断強度が小さく、また切断荷重も少なかった。コアセ
ットカール値に関しても、トリアセチルセルロース(T
AC)フィルムと同等に優れていた。
【0061】
【発明の効果】本発明によると、前記従来における諸問
題を解決し、巻癖カール解消性及び切断適性に優れ、加
工性及び取扱い性に優れたポリエチレンナフタレートフ
ィルムからなる写真感光材料用支持体、特に、135型
フィルムに好適な写真感光材料用支持体を提供すること
ができる。
フロントページの続き (72)発明者 白倉 幸夫 静岡県富士宮市大中里200番地 富士写真 フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2H023 FA01 FA12

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 引張り破断伸度が50%以下、引張り破
    断強度が196MPa以下、ガラス転移温度が100℃
    以上、かつ、極限粘度が0.35〜0.50であるポリ
    エチレンナフタレート樹脂からなることを特徴とする写
    真感光材料用支持体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8017795B2 (en) 2005-04-21 2011-09-13 Ndsu Research Foundation Radiation curable polymer films having improved laser ablation properties and radiation curable sensitizers therefor

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8017795B2 (en) 2005-04-21 2011-09-13 Ndsu Research Foundation Radiation curable polymer films having improved laser ablation properties and radiation curable sensitizers therefor

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