JP3429546B2 - ポリエステルフィルム及び写真用支持体 - Google Patents

ポリエステルフィルム及び写真用支持体

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JP3429546B2 JP01891894A JP1891894A JP3429546B2 JP 3429546 B2 JP3429546 B2 JP 3429546B2 JP 01891894 A JP01891894 A JP 01891894A JP 1891894 A JP1891894 A JP 1891894A JP 3429546 B2 JP3429546 B2 JP 3429546B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、積層ポリエステルフィ
ルムに関し、また、ロール状にして使用されるフィルム
の支持体として好適な写真用支持体に関する。
【0002】
【発明の背景】近年、手軽に撮影でき、取り扱いや携帯
にも便利な小型カメラが実用化されている。
【0003】しかし、携帯に便利で手軽さを考えると、
より一層の小型化が望まれているが、小型化を追求する
上で、内臓される写真フィルムの収納スペースのコンパ
クト化が不可欠である。通常、写真フィルムとしては、
ロール状フィルムをスプールに巻いた状態のものが内臓
されるので、そのスペースをコンパクト化して、なおか
つ一定の撮影枚数(例えば36枚撮り)を確保するため
には、写真フィルム自体の厚さを薄くする必要がある。
特に、写真フィルムの支持体であるトリアセチルセルロ
ース(TAC)フィルムの厚みは現行では120〜12
5μm程度あり、その上の感光層の厚み(20〜30μ
m程度)と比ベてもかなり厚いものであるため、この支
持体の厚みを薄くすることが、写真フィルム全体の厚み
を薄くする上で最も有効な手段と考えられる。ところ
が、TACフィルムは機械的強度が弱いため、現行より
もその厚さを薄くすると現像処理機の搬送で耳折れが起
こる等の事故が生じ実用に耐えることはできない。
【0004】一方、写真用支持体としてポリエチレンテ
レフタレート(PET)を用いることが従来知られてお
り、X線用フィルムや製版用フィルムに用いられてき
た。強度が優れていることからカラーネガフィルムヘの
応用も考えられるが、ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムは強度は優れているものの、ポリエチレンテレフタ
レートフィルムを巻いて長期保存しておくと巻きぐせが
つき、現像処理後もほとんど取れないという、巻きぐせ
解消性が劣るという欠点があった。
【0005】ポリエステル支持体の巻きぐせをなくす手
段として、特開平5−31804、5−69524号公
報には、親水性成分を共重合成分として含む共重合ポリ
エステルとポリエステルを積層した支持体を用いること
が示されているが、該支持体を用いた写真感光材料は、
通常用いられている7分という短時間処理型の現像処理
においては、現像処理後において巻きぐせが十分に解消
できず、写真用支持体として実用化するには問題があっ
た。
【0006】また、積層ポリエステルフィルムは、層間
の接着性が不十分なために切断性が悪く、積層ポリエス
テルフィルムを支持体として使用したハロゲン化銀写真
感光材料にJIS規格K−7519−1982のパーフ
ォレーションを穿孔する等の切断工程を行うと、層間の
剥離が発生しするという問題を発生し、さらに、支持体
として適度なアンチカールを有していないために、現像
処理後に感光材料の乳剤層側が大きく凹面に収縮してし
まい、プリントの焼き付けの際にフィルムが浮いてしま
いプリントのボケが起こるという問題が発生し、写真用
支持体として実用化するには問題があった。
【0007】
【発明の目的】従って、本発明の目的は、機械的強度が
保持され薄膜化が可能であり、短時間の現像処理におけ
る巻き癖解消性に優れ、切断適性、さらにプリント処理
適性に優れ、特に写真感光材料の支持体として好適なポ
リエステルフィルムを提供することにある。
【0008】
【発明の構成】本発明の上記目的は、 (1)少なくとも二層以上積層してなるポリエステルフ
ィルムであって、共重合成分として金属スルホネート基
を有する芳香族ジカルボン酸を含有し、かつ共重合成分
としてオキシアルキレン基の繰り返し構造を有する化合
物をポリマーの全重量に対して5重量%以上含有するポ
リエステル層(A層)と、共重合成分として金属スルホ
ネート基を有する芳香族ジカルボン酸を含有し、かつ共
重合成分としてオキシアルキレン基の繰り返し構造を有
する化合物をポリマーの全重量に対して5重量%未満含
有するポリエステル層(B層)とを有し、かつ、A層及
びB層のポリエステルの固有粘度が、0.45〜0.6
5であり、A層の厚みの総和dA、B層の厚みの総和dB
の比dA/dBが0.7未満であり、かつ、フィルムの全
厚みを半分に分割する面に対して、その面の上下で層構
成が非対称であって、任意の隣接する二層間の、金属ス
ルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸の含有量の差
(ΔS)が5.5モル%/全エステル結合以下であり、
オキシアルキレン基の繰り返し構造を有する化合物の含
有量の差(ΔAL)が1〜15重量%/全重量以下であ
ることを特徴とするポリエステルフィルム。 (2)三層以上のフィルムを積層してなるポリエステル
フィルムであって、共重合成分として金属スルホネート
基を有する芳香族ジカルボン酸を含有し、かつ共重合成
分としてオキシアルキレン基の繰り返し構造を有する化
合物をポリマーの全重量に対して5重量%以上含有する
層(A層)が表面を形成するように積層されていること
を特徴とする上記(1)に記載のポリエステルフィル
ム。 (3)アンチカール度が5〜30m-1であることを特徴
とする上記(1)または(2)に記載のポリエステルフ
ィルム。 (4)23℃、55%RHの雰囲気下におけるアンチカ
ールの凸面側の最上層の膜厚が20μm以下であること
を特徴とする上記(1)〜(3)に記載のポリエステル
フィルム。 (5)温水浴処理後の回復カール度が45m-1以下であ
ることを特徴とする上記(1)〜(4)に記載のポリエ
ステルフィルム。 (6)上記(1)〜(5)に記載のポリエステルフィル
ムよりなることを特徴とする写真用支持体。よって達成
することができる。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】先ず、共重合成分として金属スルホネート
基を有する芳香族ジカルボン酸を含有し、かつ共重合成
分としてオキシアルキレン基の繰り返し構造を有する化
合物をポリマーの全重量に対して5重量%以上含有する
ポリエステル層(以下、A層という。)を構成するポリ
エステル(以下、ポリエステルAという。)と、共重合
成分として金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボ
ン酸を含有し、かつ共重合成分としてオキシアルキレン
基の繰り返し構造を有する化合物をポリマーの全重量に
対して5重量%未満含有するポリエステル層(以下、B
層という。)を構成するポリエステル(以下、ポリエス
テルBという。)について説明する。
【0011】本発明に用いられるポリエステルA及びポ
リエステルBとしては、芳香族二塩基酸とグリコールを
主構成成分とする共重合ポリエステルが好ましい。上記
芳香族二塩基酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、グリコ
ールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4
−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコー
ル、p−キシリレングリコール等が挙げられる。なかで
もポリエステルA及びポリエステルBとしては、テレフ
タル酸とエチレングリコールを主構成成分とする共重合
ポリエチレンテレフタレート、2,6−ナフタレンジカ
ルボン酸とエチレングリコールを主構成成分とする共重
合ポリエチレン−2,6−ナフタレートが好ましい。ま
た、これら共重合ポリエステルの固有粘度は0.45〜
0.65である。
【0012】ポリエステルA及びポリエステルBの共重
合成分である金属スルホネート基を含有する芳香族ジカ
ルボン酸としては、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、4−ナトリウ
ムスルホテレフタル酸、4−ナトリウムスルホ−2,6
−ナフタレンジカルボン酸、及び、これらのエステル形
成性誘導体及びこれらのナトリウムを他の金属(カリウ
ム、リチウムなど)で置換した化合物等が挙げられる。
【0013】ポリエステルA及びポリエステルBのもう
一つの共重合成分であるオキシアルキレン基の繰り返し
構造を有する化合物としては、特に限定される分けでは
ないが、例えば、下記の化学式で示される化合物が挙げ
られる。
【0014】
【化1】 これら化学式で示される化合物としては、例えば、ポリ
アルキレングリコールやポリオキシアルキレンジカルボ
ン酸等および/またはその誘導体等を挙げることができ
る。
【0015】上記ポリアルキレングリコールとしては、
ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコー
ル等を挙げることができ、分子量は特に限定されない
が、300〜20000、好ましくは600〜1000
0、特に好ましくは1000〜5000である。ポリア
ルキレングリコールとしては、特にポリエチレングリコ
ールが好ましい。
【0016】上記ポリオキシアルキレンジカルボン酸と
しては、ポリオキシエチレンジカルボン酸、ポリオキシ
テトラメチレンジカルボン酸およびその誘導体等を挙げ
ることができ、分子量は特に限定されないが、600〜
20000、好ましくは1000〜10000、特に好
ましくは2000〜5000である。ポリオキシアルキ
レンジカルボン酸としては、特にポリオキシエチレンジ
カルボン酸またはその誘導体が巻きぐせ解消性の点から
好ましい。
【0017】巻ぐせ解消性の点からいうと、ポリエステ
ルA及びポリエステルBにおいて、金属スルホネート基
を有する芳香族ジカルボン酸は、共重合成分として全エ
ステル結合に対して2〜10モル%、特に、3〜8モル
%含有させることが好ましい。
【0018】なお、本明細書において、「共重合成分と
してオキシアルキレン基の繰り返し構造を有する化合物
をポリマーの全重量に対して5重量%未満含有する」と
の用語は、共重合成分としてオキシアルキレン基の繰り
返し構造を有する化合物を含まない場合をも意味してい
る用語として使用している。
【0019】また、本発明のポリエステルA及びポリエ
ステルBには、本発明の効果を阻害しない範囲で、飽和
脂肪族ジカルボン酸を用いることができる。用いること
ができる飽和脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、ア
ジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。これら飽和脂肪
族ジカルボン酸は、ポリエステルA及びポリエステルB
を合成するに当り、そのエステル形成誘導体として使用
することができるが、飽和脂肪族ジカルボン酸のエステ
ル形成誘導体としては、アジピン酸、セバシン酸のエス
テルであるアジピン酸ジメチル、セバシン酸ジメチルな
どが用いられる。好ましくはアジピン酸ジメチルであ
る。
【0020】本発明のポリエステルA及びポリエステル
Bには、本発明の効果を阻害しない範囲で、更に他の成
分が共重合されていてもよいし、また、他のポリマーが
ブレンドされていてもかまわない。
【0021】本発明のポリエステルA及びポリエステル
Bは公知の方法により合成することができる。例えば、
前述の本発明の共重合成分を、主構成成分をエステル交
換した後に添加し、溶融重合することによって、あるい
は、本発明の共重合成分を主構成成分をエステル交換す
る前に添加し、主構成成分と同時にエステル交換し、溶
融重合することによって合成することができる。また、
溶融重合で得られたポリマーを固相重合することもでき
る。重合時の温度等のプロセスの条件は本発明の効果を
損なわない限り適宜調節することができる。
【0022】本発明の積層ポリエステルフィルムにおい
て積層数は問わないが、製造設備が複雑化しコストが増
大する等の不利な点があることからすると、層数は二層
又は三層が好ましい。
【0023】層数を三層以上とする場合には、本発明の
効果を損なわなければ、本発明のA層、B層以外の他の
ポリエステル層等の層を積層することもできる。また、
本発明のA層あるいはB層を複数用いてもよい。A層あ
るいはB層を複数用いる場合、複数のA層あるいはB層
はそれぞれ同一のものであってもよく、また、異なった
ものであっても構わない。
【0024】本発明において、積層ポリエステルフィル
ムを構成する層とは、厚み2ミクロン以上のものをい
う。従って、下引層等はこれら層には入らない。
【0025】上記本発明の積層ポリエステルフィルムに
おいて用いられる本発明のA層、B層以外のポリエステ
ル層は、芳香族二塩基酸とグリコールとを主構成成分と
するポリエステルで構成されているものが好ましい。
【0026】上記芳香族二塩基酸としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等
が挙げられ、また、グリコールとしては、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオ
ペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、ジエチレングリコール、p−キシリレングリコー
ル等が挙げられる。これらなかでもテレフタル酸とエチ
レングリコールを主構成成分とするポリエチレンテレフ
タレートと2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレン
グリコールを主構成成分とするポリエチレン−2,6−
ナフタレートが好ましい。
【0027】上記ポリエステルは、ポリエステル本来の
優れた性質を損なわない範囲であれば、15モル%以下
の共重合成分を有する共重合体であってもよく、また、
他のポリマーがブレンドされていてもよい。
【0028】これらポリエステルの固有粘度は、0.4
5〜0.80であるものが好ましく、特に0.55〜
0.70であるものが好ましい。
【0029】本発明に用いるポリエステルには、本発明
の効果を損なわない限り種々の添加剤を含有せしめるこ
とができる。重合段階でリン酸、亜リン酸およびそれら
のエステル、無機粒子(シリカ、カオリン、炭酸カルシ
ウム、リン酸カルシウム、二酸化チタン等)等を加えて
もよいし、重合後ポリマーに無機粒子等をブレンドして
もよい。さらに重合段階、重合後のいずれかの段階で適
宜顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを添加してもか
まわない。好ましい酸化防止剤としてはヒンダードフェ
ノール系のものが挙げられる。
【0030】本発明に用いるポリエステルフィルム中に
は、写真乳剤層を塗設したフィルムに光がエッジから入
射した時に起こるライトパイピング現象(ふちかぶり)
を防止することを目的として、染料を添加することがで
きる。染料の種類は特に限定されないが、ポリエステル
フィルムは高温で製膜されるので、耐熱性に優れたもの
が好ましく、使用するのに好ましい染料としては、例え
ば、アンスラキノン系化学染料が挙げられる。また、フ
ィルム色調としては、一般の感光材料に見られるように
グレー染色が好ましく、1種類もしくは2種類以上の染
料を混合して用いてもよい。
【0031】本発明の積層フィルムは、例えば、積層体
を構成する樹脂を別々の押出機を用いて押し出し、押し
出された溶融ポリマーを導管内または押出口金内におい
て層流状で多層に接合せしめ、これを冷却ドラム上で冷
却固化し、未延伸フィルムを得た後、二軸延伸し、熱固
定する共押出法、単層フィルムあるいは積層フィルムを
押出機から溶融押出し、冷却ドラム上で冷却固化して得
た未延伸フィルムまたは該未延伸フィルムを一軸延伸し
た一軸配向フィルムに、必要に応じてアンカー剤、接着
剤等をコーティングした後、これに押出機から押し出さ
れた単層フィルムあるいは積層フィルムをエクストルー
ジョンラミネートし、次いで二軸延伸を完了した後、熱
固定するエクストルージョンラミネート方法で得ること
ができるが、工程の簡易性から共押出法を用いることが
好ましい。
【0032】フィルムの延伸条件は特に限定されない。
例えば、ガラス転移温度(Tg)が最も高い積層体構成
樹脂のTgからTg+100℃の温度範囲に積層フィル
ムを加熱し、二軸方向に延伸すればよい。延伸方法とし
ては、例えば、次の(A)〜(D)の方法を採用するこ
とができる。 (A)未延伸シートをまず縦方向に延伸し、次いで横方
向に延伸する方法。 (B)未延伸シートをまず横方向に延伸し、次いで縦方
向に延伸する方法。 (C)未延伸シートを1段または多段で縦方向に延伸し
た後、再度縦方向に延伸し、次いで横方向に延伸する方
法。 (D)未延伸シートを1段または多段で縦方向に延伸し
た後、横方向に延伸し、再度縦方向に延伸する方法。
【0033】延伸倍率は面積比で4〜16倍の範囲が好
ましい。また熱固定は150〜240℃の温度範囲で行
うことができる。
【0034】支持体の平面性から、好ましい延伸倍率は
面積比で9〜14倍であり、特に好ましくは10〜13
倍である。
【0035】本発明のポリエステルフィルムが3層以上
の層からなる積層フィルムである場合、A層を外層に、
B層を内層に積層するのが特に好ましい。この時、外層
のそれぞれに共重合成分量が異なるものを用いても構わ
ない。また、同様に、内層に用いるB層も共重合成分量
が異なるポリエステルを用いた2層を用いても構わな
い。また、隣接層間の成分量差が本発明内で有れば、
A′/B′/A″/B″(A′及びA″は共重合成分量
が異なるA層を示し、B′及びB″は共重合成分量が異
なるB層を示す。)というように積層しても構わない。
【0036】本発明の積層フィルムの各層の厚さは、用
いるポリエステル及び共重合ポリエステルによって適宜
決定しうるが、切断時に積層間で剥離が起こらない優れ
た切断性と現像処理後のプリントボケの起こりにくい特
性を得るために、A層の厚みの総和dAとB層の厚みの
総和dBとの比(dA/dB)が0.7未満であることが
必要である。A層の厚みの総和dAとB層の厚みの総和
Bとの比は、好ましくは0.3≦dA/dB≦0.65
である。また、フィルムの全厚みを半分に分割する面に
対して、その面の上下で層構成が非対称であることが必
要である。
【0037】dA/dBが0.7以上であると切断時に積
層間で剥離が生じてやすく、フィルムの平面性に対して
は好ましくない影響を及ぼすオキシアルキレン基の繰り
返し構造を有する化合物のポリエステルフィルム中に占
める割合が大きくなり、現像処理後のカールにばらつき
が生じたり、平面性が悪くなったりしてプリントボケが
おこり実用に耐えない。
【0038】また、フィルムの全厚みを半分に分割する
面の上下で層構成が非対称でないと、切断時に、上下の
両方の切断刃からの切り込みによる剥離が層間を伝播し
やすくなるためか、やはり剥離がおきやすいし、また、
アンチカールが生ぜず、現像処理後に乳剤層が収縮する
ために発生する乳剤側を凹面とするカールが大きく、プ
リントの焼き付けでプリントボケがおこり実用に耐えな
い。
【0039】これらのプリントボケと切断性の向上は、
巻ぐせ解消性との兼ね合いもあり、各層の組成の調節だ
けでは、解決することができないが、本発明では、各層
の組成及び層の厚み比を規定し、フィルムの全厚みを半
分に分割する面に対して層構成を非対称とすることによ
って解決することができた。
【0040】ここでいう非対称とは対称でないというこ
とで、特に限定されるものではないが、例えば、フィル
ムの全厚みを半分に分割する面の上下で、ポリエステル
層または共重合ポリエステル層の構成順序、層の厚さ、
ポリエステル種の主構成成分量、共重合成分又は共重合
成分量、さらには固有粘度を異ならしめるることによっ
て非対称とすることができる。
【0041】これら積層フィルムの非対称性は、各種分
析機器を用いて確認することができる。例えば、層構成
の非対称性は、フィルムの断面を顕微鏡で観察あるいは
顕微鏡写真を撮影し、目視により確認することができ
る。また、フィルムを顕微鏡で観察しながら各層を削り
取るか、フィルムを半分に分割する面まで上下から削り
取り、上下の層それぞれの分析対象物を得て、該分析対
象物を液体クロマトグラフィーとかNMR、IR(赤外
分光機器)、X線分光機とかの各種測定装置で測定して
確認することができる。結果として絶対量、もしくはそ
れに相当する測定結果のピークの位置、強度の違い等で
も非対称性を確認することができる。
【0042】本発明においては、接着性と短時間での巻
ぐせ解消性を考え合わせると、ΔSを1〜4モル%全エ
ステル結合とし、ΔALを4〜10重量%/全重量とす
ることが好ましい。
【0043】本発明で規定するΔS、ΔALを得るに
は、隣接する層の共重合成分量を調整してもよいし、ま
た、ブレンドにより調整してもよい。
【0044】また、本発明のポリエステルフィルムが2
層からなる積層フィルムである場合、A層を構成するポ
リエステルAとして、共重合成分として、金属スルホネ
ート基を有する芳香族ジカルボン酸を全エステル結合に
対して3〜7モル%有し、かつオキシアルキレン基の繰
り返し構造を有する化合物を全ポリマーに対して5〜1
2重量%以上有するポリエステルを用い、B層を構成す
るポリエステルBとして、共重合成分として、金属スル
ホネート基を有する芳香族ジカルボン酸を全エステル結
合に対して1〜4モル%有し、かつオキシアルキレン基
の繰り返し構造を有する化合物が全ポリマーに対して4
重量%以下有し、あるいは、有しないポリエステルを用
い、また、隣接する層の金属スルホネート基を有する芳
香族ジカルボン酸の含有量の差(以下、ΔSという。)
を1〜4モル%全エステル結合とし、隣接する層のオキ
シアルキレン基の繰り返し構造を有する化合物の含有量
の差(以下、ΔALという。)を4〜10重量%/全重
量としたものが最も好ましい。
【0045】本発明のポリエステルフィルムは、プリン
ト工程の取扱い性、プリントボケの観点からすると、5
〜30m-1のアンチカール度を有していることが好まし
い。更に好ましいアンチカール度は15〜25m-1であ
る。
【0046】上記アンチカール度は下記により求めたも
のである。 《アンチカール度》縦方向(ポリエステルフィルム製造
時の流れ方向)に2mm、横方向(巾手方向)に20m
m以上あるサンプルを切り出し、23℃、55%RHの
条件下で1日調湿後、巾手方向のカールの曲率半径を測
定する。アンチカール度は巾手方向のカールの曲率半径
の逆数(m-1)で表される。
【0047】なお、ポリエステルフィルムのアンチカー
ル度は、ポリエステルフィルムを支持体として用いた写
真感光材料から、パンクレアチン、または、次亜塩素酸
ナトリウム水溶液を使用してハロゲン化銀乳剤層、ゼラ
チンバツク層等を剥離して測定しても、実質的に同じ値
が得られるので、写真感光材料からハロゲン化銀乳剤
層、ゼラチンバツク層等を剥離したポリエステルフィル
ムを用いて測定してもよい。
【0048】本発明のポリエステルフィルムには、本発
明のポリエステルフィルムが二層、三層、四層以上であ
っても、外層比、層構成、膜厚、共重合成分量等の前述
の項目を適宜調節することにより、本発明の効果を与え
るアンチカールを付与することができる。
【0049】本発明のポリエステルフィルムが三層以上
の積層構成のポリエステルフィルムである場合、両外層
の厚みを異ならせることによりアンチカールを付与する
ことができる。両外層のそれぞれの層の厚みを厚いほう
からd1、d2とした場合、その比d1/d2は特に限定さ
れものではないが、1.1≦dA/dB≦5であることが
好ましく、1.3≦dA/dB≦3であることが更に好ま
しい。
【0050】本発明のポリエステルフィルムが三層構成
のポリエステルフィルムである場合、両外層が共にA層
である場合には、通常、ポリエステルフィルムには、厚
いA層を有する面が凹面となるアンチカールが付与され
る。また、内層がA層、外層がポリエステル層および/
またはB層である場合には、通常、ポリエステルフィル
ムには、薄い外層を有する側が凹面となるアンチカール
が付与される。さらに、外層の膜厚がほぼ同じ場合に
は、通常、ポリエステルフィルムには、共重合成分が多
い共重合ポリエステルから構成されている層を有する側
が凹面となるアンチカールが付与される。
【0051】本発明のポリエステルフィルムは、短時間
の現像処理によって良好な巻きぐせ解消性が得られると
いう観点からすると、45m-1以下の温水浴処理後の回
復カール度を有していることが好ましい。更に好ましく
い温水浴処理後の回復カール度は25m-1以下である。
【0052】上記温水浴処理後の回復カール度は下記に
より求めたものである。 《温水浴処理後の回復カール度》12cm×20mm大
きさに切り出したサンプルを、23℃、55%RHの雰
囲気下における凹面を外側にして直径10.8mmの巻
芯に巻き、55℃、20%RHの雰囲気下で4時間の熱
処理を行い、その後、巻芯から解放し70gの荷重をか
け38℃の水浴中に10分間浸漬後、荷重をかけたまま
55℃の温風乾燥機で3分間乾燥する。荷重をはずし、
サンプルを横置きにし23℃、55%RHの雰囲気下で
1日調湿後、横置きのサンプルの中央部分においてカー
ルの曲率半径を測定する。温水浴処理後の回復カール度
は横置きのサンプルの中央部分におけるカールの曲率半
径の逆数(m-1)で表される。
【0053】なお、ポリエステルフィルムの温水浴処理
後の回復カール度は、ポリエステルフィルムを支持体と
して用いた写真感光材料から、パンクレアチン、また
は、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を使用してハロゲン化
銀乳剤層、ゼラチンバツク層等を剥離して測定しても、
実質的に同じ値が得られるので、写真感光材料からハロ
ゲン化銀乳剤層、ゼラチンバツク層等を剥離したポリエ
ステルフィルムを用いて測定してもよい。
【0054】更に、穿孔時に層間の剥離を発生しにくく
するためには、23℃、55%RHの雰囲気下における
フィルムの凸面側の最上層の膜厚が20μm以下である
ことが好ましい。
【0055】本発明のポリエステルフィルムにおいて、
積層された層の厚みの総和は特に限定されないが、40
〜120μm、特に65〜90μmであるのが好まし
い。この範囲より薄いと必要な強度が得られない場合が
あり、厚いと本発明のポリエステルフィルムの切断性に
悪影響を及ぼすことがある。
【0056】本発明のポリエステルフィルムは、各種用
途に用いることが可能であるが、特にロール状写真フィ
ルムの支持体として有用である。
【0057】本発明のポリエステルフィルムを写真用支
持体として用いる場合、ハロゲン化銀乳剤層は、23
℃、55%RHの雰囲気下で保存された時に凸面となる
側に設けるのが好ましい。
【0058】このハロゲン化銀乳剤層は支持体上に直接
塗設されるか、あるいは、他の層、例えば、ハロゲン化
銀乳剤を含まない親水性コロイド層を介して塗設しても
よい。また、支持体には、支持体と支持体上に設けられ
る層との接着性を改善するために、コロナ放電処理、紫
外線処理、プラズマ処理、火炎処理等の物理的処理、ア
ルカリ処理等の化学的処理を施してもよい。
【0059】更に、ハロゲン化銀乳剤層の上に保護層と
しての親水性コロイド層を塗設してもよい。
【0060】ハロゲン化銀乳剤層は複数設けることがで
きる。複数のハロゲン化銀乳剤層を設ける場合、これら
複数のハロゲン化銀乳剤層は、例えば、異なる感度、例
えば、高感度及び低感度のハロゲン化銀乳剤層であって
も、また、異なった感色性を有するハロゲン化銀乳剤
層、例えば、青感性、緑感性及び赤感性のハロゲン化銀
乳剤層であってもよい。この場合、各ハロゲン化銀乳剤
層の間に、必要に応じて親水性コロイドから成る中間層
を設けてもよい。また、他の中間層、保護層、アンチハ
レーション層、バッキング層などの非感光性親水性コロ
イド層を設けることもできる。
【0061】ハロゲン化銀乳剤のハロゲン化銀として
は、任意の組成のものを使用できる。これらハロゲン化
銀としては、例えば、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、
臭化銀もしくは沃臭化銀が挙げられる。
【0062】本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤に
は、増感色素、可塑剤、帯電防止剤、界面活性剤、硬膜
剤などを加えることもできる。
【0063】ハロゲン化銀写真感光材料を現像処理する
には、例えば、T.H.ジェームス著ザ・セオリイ・オ
ブ・ザ・ホトグラフィツク・プロセス第4版(The
Theory of the Photographi
c Process,Fourth Edition)
第291頁〜334頁及びジャーナル・オブ・ザ・アメ
リカン・ケミカル・ソサエティ(Journal of
the American Chemical So
ciety)第73巻、第3100頁(1951)に記
載されているごとき現像剤を使用することができる。
【0064】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に詳
述する。
【0065】以下の実施例及び比較例において、アンチ
カール度、温水浴処理後の回復カール度の値は前述の方
法により求めたものである。
【0066】《切断適性》巾35mm、長さ120cm
のフィルムを使用し、0℃の環境下において、JISK
7519−1982に従いパーフォレーションを穿孔し
た。
【0067】パーフォレーションを目視により観察し、
次の3段階で評価した。
【0068】○:剥離の起こったパーフォレーションの
個数の割合が1%未満 △:剥離の起こったパーフォレーションの個数の割合が
1〜3% ×:剥離の起こったパーフォレーションの個数の割合が
3%を越える 実用上、△以上のグレードであれば乳剤塗設後の写真感
光材料の穿孔において問題はないが、○のグレードであ
ることが好ましい。
【0069】《巻きぐせ解消性》巾35mm、長さ12
0cmのフィルムを、直径10mmの巻芯にフィルムの
凹面を巻外にして巻き、55℃、20RH%の条件下に
おいて4時間の熱処理を行った。その後、フィルムを巻
芯から解放し、市場で用いられているミニラボ型自動現
像機(処理時間は約7分)で処理した。処理後23℃、
55%の雰囲気下で、フィルムの巻外をつかんで吊るし
1日間調湿した。自然に垂らしたときの巻芯に相当する
先端から12cmの部分の垂直高さを測定し、元の長さ
に対する割合を求め、次の3段階で評価した。
【0070】○:70%以上 △:50〜70% ×:50%未満 写真フィルムの支持体に用いる場合、△以上のグレード
が必要である。
【0071】《プリント適性》上記巻ぐせ解消性の評価
に用いたフィルムから長さ方向が1〜2mmになるよう
に10サンプル数切り出し、巾手方向のカールの曲率半
径を測定し、曲率半径の逆数(m-1)を算出し、巻外側
が凹面である場合を正の値としその平均を求め、次の3
段階で評価した。 ○:25〜35m-1の範囲 △:5〜25、35〜45m-1の範囲 ×:5m-1未満、45%m-1を越える 写真フィルムの支持体に用いる場合、△以上のグレード
が必要である。△以上のグレードであれば、プリントボ
ケが発生せず、かつ、取扱い性にも優れているが、○の
グレードであることが好ましい。
【0072】実施例1及び比較例1 テレフタル酸ジメチル100重量部及びエチレングリコ
ール64重量部に、エステル交換触媒として酢酸カルシ
ウムの水和物と酢酸マンガンをそれぞれテレフタル酸ジ
メチル1モルに対して2×10-4モル添加し、常法によ
りエステル交換反応を行った。得られた生成物に、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸ビス−β−ヒドロキシエ
チルエステル(S)のエチレングリコール溶液(濃度3
5重量%)28重量部(5モル%/全エステル結合)、
ポリエチレングリコール(AL)(数平均分子量:30
00)13重量部(10重量%/全重量)を添加し、次
いで、三酸化アンチモン0.05重量部、リン酸トリメ
チルエステル0.13重量部、酸化防止剤としてイルガ
ノックス245(CIBA−GEIGY社製)を生成物
ポリマーに対して1重量%になるように添加した。次い
で、徐々に昇温、減圧し、275℃、0.5mmHgで
重合を行い固有粘度0.55の共重合ポリエステルAを
得た。
【0073】また、共重合成分の添加量を変えた他は上
記と同様にして固有粘度0.55の表1に示す共重合成
分を有する共重合ポリエステルBを得た。
【0074】得られた共重合ポリエステルA及びBを各
々150℃で真空乾燥した後、3台の押出機を用い28
5℃で溶融押出し、Tダイ内で層状に接合し、冷却ドラ
ム上で急冷固化させ、表1に示す層構成を有する積層未
延伸フィルムを得た。次いで、85℃で縦延伸(3.3
倍)し、温度95℃にて横延伸(3.3倍)した後、2
10℃で熱固定を行い、表1に示す各層の膜厚及び厚み
比を有し、総膜厚が90〜95μmであり、かつ、表1
に示すアンチカール度及び温水浴処理後の回復カール度
を有する二軸延伸フィルム(試料No.1〜4)を得た。
【0075】試料No.1〜4の切断適性、巻ぐせ解消
性、プリント適性の評価を行った。得られた結果を表1
に示す。
【0076】実施例2 実施例1で得られた共重合ポリエステルA及びBを各々
150℃で真空乾燥した後、2台の押出機を用い285
℃で溶融押出し、Tダイ内で層状に接合し、冷却ドラム
上で急冷固化させ、表1に示す層構成を有する積層未延
伸フィルムを得た。次いで、85℃で縦延伸(3.3
倍)し、温度95℃にて横延伸(3.3倍)した後、2
10℃で熱固定を行い、表1に示す各層の膜厚及び厚み
比を有し、総膜厚が90μmで、かつ、表1に示すアン
チカール度及び温水浴処理後の回復カール度を有する二
軸延伸フィルム(試料No.5及び6)を得た。
【0077】試料No.5及び6の切断適性、巻ぐせ解消
性、プリント適性の評価を行った。得られた結果を表1
に示す。
【0078】実施例3及び比較例3 共重合成分の添加量を変えた以外は実施例1と同様にし
て固有粘度0.55の表1に示す共重合成分を有する共
重合ポリエステルA及びBを得た。
【0079】得られた共重合ポリエステルA及びBを用
い、実施例1と同様にして表1に示す層構成、各層の膜
厚及び厚み比を有し、総膜厚が90μmで、かつ、表1
に示すアンチカール度及び温水浴処理後の回復カール度
を有する二軸延伸フィルム(試料No.7〜14)を得
た。
【0080】試料No.7〜14の切断適性、巻ぐせ解消
性、プリント適性の評価を行った。得られた結果を表1
に示す。
【0081】上記の結果から、本発明のポリエステルフ
ィルムは切断性、巻ぐせ解消性、プリント適性が共に優
れていることがわかる。
【0082】また、凸面側の最上層の膜厚は20μm以
下が特に好ましい。また、好ましいアンチカール度は5
〜30m-1、好ましい温水浴処理後の回復カール度は4
5m-1以下であることがわかる。
【0083】また、試料No.10と試料No.11との比較
により、共重合成分として、金属スルホネート基を有す
る化合物を用いることが必須条件であることがわかる。 実施例4 テレフタル酸ジメチル100重量部及びエチレングリコ
ール64重量部、ポリエチレンオキシジカルボン酸(A
L)(数平均分子量:3000)13重量部(10重量
%/全重量)にエステル交換触媒として酢酸カルシウム
の水和物と酢酸マンガンをそれぞれテレフタル酸ジメチ
ル1モルに対して2×10-4モル添加し、常法によりエ
ステル交換反応を行った。得られた生成物に、5−ナト
リウムスルホイソフタル酸ビス−β−ヒドロキシエチル
エステル(S)のエチレングリコール溶液(濃度35重
量%)28重量部(5モル%/全エステル結合)を添加
し、次いで、三酸化アンチモン0.05重量部、リン酸
トリメチルエステル0.13重量部、酸化防止剤として
イルガノックス245(CIBA−GEIGY社製)を
生成物ポリマーに対して1重量%になるように添加し
た。次いで、徐々に昇温、減圧し、275℃、0.5m
mHgで重合を行い固有粘度0.55の共重合ポリエス
テルAを得た。
【0084】また、共重合成分の添加量を、S=3モル
%/全エステル結合、AL=2重量%/全重量と変えた
他は上記と同様にして固有粘度0.55の共重合ポリエ
ステルBを得た。
【0085】得られた共重合ポリエステルA及びBを用
い、実施例1と同様にして表1に示す層構成、各層の膜
厚及び厚み比を有し、総膜厚が90μmで、かつ、表1
に示すアンチカール度及び温水浴処理後の回復カール度
を有する二軸延伸フィルム(試料No.15)を得た。
【0086】試料No.15の切断適性、巻ぐせ解消性、
プリント適性の評価を行った。得られた結果を表1に示
す。
【0087】上記結果から、共重合成分として、オキシ
アルキレン基の繰り返し構造を有する化合物を用いるこ
とにより本発明の効果を挙げることができることがわか
る。また、使用する共重合成分としてはポリオキシアル
キレンジカルボン酸よりもポリアルキレングリコール
(試料No.1)の方が、巻ぐせ解消性の点からすると若
干好ましい。 実施例5 テレフタル酸ジメチル100重量部、エチレングリコー
ル64重量部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメ
チルエステル(S)8.2重量部(5モル%/全エステ
ル結合)及びポリエチレングリコール(AL)(数平均
分子量:3000)13重量部(10重量%/全重量)
にエステル交換触媒として酢酸カルシウムの水和物と酢
酸マンガンをそれぞれテレフタル酸ジメチル1モルに対
して2×10-4モル添加し、常法によりエステル交換反
応を行った。得られた生成物に、三酸化アンチモン0.
05重量部、リン酸トリメチルエステル0.13重量
部、酸化防止剤としてイルガノツクス245(CIBA
−GEIGY社製)を生成物ポリマーに対して1重量%
になるように添加した。次いで、徐々に昇温、減圧し、
275℃、0.5mmHgで重合を行い固有粘度0.5
5の共重合ポリエステルAを得た。
【0088】また、共重合成分の添加量を、S=3モル
%/全エステル結合、AL=2重量%/全重量と変えた
他は上記と同様にして固有粘度0.55の共重合ポリエ
ステルBを得た。
【0089】得られた共重合ポリエステルA及びBを用
い、実施例1と同様にして表1に示す層構成、各層の膜
厚及び厚み比を有し、総膜厚が90μmで、かつ、表1
に示すアンチカール度及び温水浴処理後の回復カール度
を有する二軸延伸フィルム(試料No.16)を得た。
【0090】試料No.16の切断適性、巻ぐせ解消性、
プリント適性の評価を行った。得られた結果を表1に示
す。
【0091】上記の結果と試料No.1の結果の比較か
ら、本発明の共重合ポリエステルを得るには、共重合成
分を主成分のエステル交換後に添加し溶融重合してもよ
いし、エステル交換前に共重合成分を添加し主成分と一
緒にエステル交換、溶融重合してもよいが、エステル交
換後に共重合成分を添加して溶融重合して得られた共重
合ポリエステルを用いた場合の方が、巻ぐせ解消性の点
で若干好ましいことがわかる。
【0092】実施例6 共重合成分を添加しなかった他は実施例1と同様にして
ポリエステルCを得た。
【0093】ポリエステルC及び実施例1で得られた共
重合ポリエステルA及びBを各々150℃で真空乾燥し
た後、3台の押出機を用い295℃で溶融押出し、Tダ
イ内で層状に接合し、冷却ドラム上で急冷固化させ、表
1に示す層構成を有する積層未延伸フィルムを得た。次
いで、90℃で縦延伸(3.3倍)し、温度95℃にて
横延伸(3.3倍)した後、220℃で熱固定を行い、
表1に示す各層の膜厚及び厚み比を有し、総膜厚90μ
mで、かつ、表1に示すアンチカール度及び温水浴処理
後の回復カール度を有する二軸延伸フィルム(試料No.
17)を得た。
【0094】試料No.17の切断適性、巻ぐせ解消性、
プリント適性の評価を行った。得られた結果を表1に示
す。
【0095】上記の結果から、本発明の要件を満たすも
のであれば、他のポリエステル層を用いることができる
ことがわかる。
【0096】
【表1】
【0097】
【発明の効果】本発明のポリエステルフィルムは、機械
的強度が保持され薄膜化が可能であり、短時間の現像処
理における巻き癖解消性に優れ、切断適性、さらにプリ
ント処理適性に優れ、写真感光材料の支持体として好適
である。
フロントページの続き (72)発明者 高田 昌人 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株 式会社内 (72)発明者 小澤 良道 山口県防府市大字大崎自由が丘3−22− 19 (72)発明者 橋村 鉄太郎 山口県防府市新田1751−15 (72)発明者 内藤 寛 山口県山口市大字吉敷2265−5 (56)参考文献 特開 平7−159926(JP,A) 特開 平6−23929(JP,A) 特開 平5−69524(JP,A) 特開 平4−248843(JP,A) 特開 平4−235036(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 G03C 1/795

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも二層以上積層してなるポリエ
    ステルフィルムであって、共重合成分として金属スルホ
    ネート基を有する芳香族ジカルボン酸を含有し、かつ共
    重合成分としてオキシアルキレン基の繰り返し構造を有
    する化合物をポリマーの全重量に対して5重量%以上含
    有するポリエステル層(A層)と、共重合成分として金
    属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸を含有
    し、かつ共重合成分としてオキシアルキレン基の繰り返
    し構造を有する化合物をポリマーの全重量に対して5重
    量%未満含有するポリエステル層(B層)とを有し、
    つ、A層及びB層のポリエステルの固有粘度が、0.4
    5〜0.65であり、A層の厚みの総和dA、B層の厚
    みの総和dBの比dA/dBが0.7未満であり、かつ、
    フィルムの全厚みを半分に分割する面に対して、その面
    の上下で層構成が非対称であって、任意の隣接する二層
    間の、金属スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸
    の含有量の差(ΔS)が5.5モル%/全エステル結合
    以下であり、オキシアルキレン基の繰り返し構造を有す
    る化合物の含有量の差(ΔAL)が1〜15重量%/全
    重量以下であることを特徴とするポリエステルフィル
    ム。
  2. 【請求項2】 三層以上のフィルムを積層してなるポリ
    エステルフィルムであって、共重合成分として金属スル
    ホネート基を有する芳香族ジカルボン酸を含有し、かつ
    共重合成分としてオキシアルキレン基の繰り返し構造を
    有する化合物をポリマーの全重量に対して5重量%以上
    含有する層(A層)が表面を形成するように積層されて
    いることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルフ
    ィルム。
  3. 【請求項3】 アンチカール度が5〜30m-1であるこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載のポリエステル
    フィルム。
  4. 【請求項4】 23℃、55%RHの雰囲気下における
    アンチカールの凸面側の最上層の膜厚が20μm以下で
    あることを特徴とする請求項1〜3に記載のポリエステ
    ルフィルム。
  5. 【請求項5】 温水浴処理後の回復カール度が45m-1
    以下であることを特徴とする請求項1〜4に記載のポリ
    エステルフィルム。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5に記載のポリエステルフィ
    ルムよりなることを特徴とする写真用支持体。
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