JP2002022946A - 位相差板および円偏光板 - Google Patents

位相差板および円偏光板

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JP2002022946A JP2000206695A JP2000206695A JP2002022946A JP 2002022946 A JP2002022946 A JP 2002022946A JP 2000206695 A JP2000206695 A JP 2000206695A JP 2000206695 A JP2000206695 A JP 2000206695A JP 2002022946 A JP2002022946 A JP 2002022946A
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Hiroaki Sata
博暁 佐多
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反射型液晶晶表示装置の視野角およびコント
ラストを改善できるλ/4板を、一枚のポリマーフイル
ムで実現する。 【解決手段】 波長450nmで測定したレターデーシ
ョン値(Re450)が100乃至125nmであり、
波長590nmで測定したレターデーション値(Re5
90)が120乃至160nmであり、そして、Re5
90−Re450≧2nmの関係を満足する一枚のポリ
マーフイルムからなり、吸湿膨張係数が30×10-5
cm2 /%RH以下である位相差板をλ/4板として用
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、位相差板およびそれを
用いた円偏光板に関する。特に本発明は、反射型液晶表
示装置のλ/4板として有利に使用できる位相差板に関
する。
【0002】
【従来の技術】λ/4板およびλ/2板は、反射防止膜
や液晶表示装置に関連する多くの用途を有しており、既
に実際に使用されている。しかし、λ/4板あるいはλ
/2板と称していても、ある特定波長でλ/4やλ/2
を達成しているものが大部分であった。特開平5−27
118号および同5−27119号の各公報には、レタ
ーデーションが大きい複屈折性フイルムと、レターデー
ションが小さい複屈折率フイルムとを、それらの光軸が
直交するように積層させた位相差板が開示されている。
二枚のフイルムのレターデーションの差が可視光域の全
体にわたりλ/4またはλ/2であれば、位相差板は理
論的には、可視光域の全体にわたりλ/4板またはλ/
2板として機能する。
【0003】特開平10−68816号公報に、特定波
長においてλ/4となっているポリマーフイルムと、そ
れと同一材料からなり同じ波長においてλ/2となって
いるポリマーフイルムとを積層させて、広い波長領域で
λ/4が得られる位相差板が開示されている。特開平1
0−90521号公報にも、二枚のポリマーフイルムを
積層することにより広い波長領域でλ/4を達成できる
位相差板が開示されている。以上のポリマーフイルムと
しては、ポリカーボネートのような合成ポリマーの延伸
フイルムが使用されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】二枚のポリマーフイル
ムを積層することにより、広い波長領域でλ/4または
λ/2を達成することができる。しかし、そのために
は、二枚のポリマーフイルムの角度を厳密に調整しなが
ら積層する必要がある。一枚のポリマーフイルムからな
るλ/4板またはλ/2板も提案されている。しかし、
広い波長領域でλ/4またはλ/2が達成されている一
枚のフイルムは、ほとんど存在していない。さらに、一
枚のポリマーフイルムからなるλ/4板を液晶表示装置
に組み込んで使用しても、液晶表示装置の視野角が期待
される程には改善されないことも判明した。従来のλ/
4板としては、合成ポリマーの延伸フイルムが用いられ
ている。しかし、延伸フイルムでは延伸むらによる遅相
軸方向のばらつき(軸ずれ)が発生しやすい。軸ずれが
大きいと、光もれが発生し、コントラストが低下する。
ポリマーフイルムからなる位相差板を用いた液晶表示装
置では、通電時に額縁状の「むら」が発生し、視覚特性
が低下する問題が起こりやすいことが知られている。本
研究者の研究から、この光漏れは湿熱条件の変化による
ポリマーフイルムの膨張あるいは収縮が位相差板全体と
して抑制され、ポリマーフイルムの光学特性が変化して
いることが原因であることが明らかになった。特にセル
ロースエステルのような水酸基を有するポリマーでは湿
度の影響が大きいことが判明した。本発明の目的は、一
枚のポリマーフイルムを用いて広い波長領域でλ/4ま
たはλ/2を達成する位相差板およびこれを用いた円偏
光板を提供することである。また、本発明の目的は、反
射型液晶表示装置の視野角と表示品質を改善できるλ/
4板を提供することでもある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)〜(6)の位相差板(λ/4板)、下記(7)の
円偏光板および下記(8)の位相差板(λ/2板)によ
り達成された。 (1)波長450nmで測定したレターデーション値
(Re450)が100乃至125nmであり、波長5
90nmで測定したレターデーション値(Re590)
が120乃至160nmであり、そして、Re590−
Re450≧2nmの関係を満足する一枚のポリマーフ
イルムからなり、吸湿膨張係数が30×10-5/cm2
/%RH以下であることを特徴とする位相差板。 (2)波長450nmで測定したレターデーション値
(Re450)が108乃至120nmであり、波長5
50nmで測定したレターデーション値(Re550)
が125乃至142nmであり、波長590nmで測定
したレターデーション値(Re590)が130乃至1
52nmであり、そして、Re590−Re550≧2
nmの関係を満足する(1)に記載の位相差板。 (3)面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相軸に
垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率nz
が、1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦2の関係を
満足する(1)に記載の位相差板。 (4)ポリマーフイルムが延伸処理されたフイルムであ
り、フイルム面内の遅相軸の平均的な方向が延伸方向か
ら±5゜以内であり、その標準偏差が2.0以内である
(1)に記載の位相差板。 (5)ポリマーフイルムが延伸処理されたフイルムであ
り、フイルム面内の遅相軸の平均的な方向が延伸方向か
ら±1゜以内であり、その標準偏差が1.0以内である
(1)に記載の位相差板。 (6)ポリマーフイルムが、セルロースエステルフイル
ムである(1)に記載の位相差板。
【0006】(7)位相差板と直線偏光膜とが、位相差
板の面内の遅相軸と直線偏光膜の偏光軸との角度が実質
的に45゜になるように積層されている円偏光板であっ
て、位相差板が、波長450nmで測定したレターデー
ション値(Re450)が100乃至125nmであ
り、波長590nmで測定したレターデーション値(R
e590)が120乃至160nmであり、そして、R
e590−Re450≧2nmの関係を満足する一枚の
ポリマーフイルムからなり、吸湿膨張係数が30×10
-5/cm2 /%RH以下であることを特徴とする円偏光
板。 (8)波長450nmで測定したレターデーション値
(Re450)が200乃至250nmであり、波長5
90nmで測定したレターデーション値(Re590)
が240乃至320nmであり、そして、Re590−
Re450≧4nmの関係を満足する一枚のポリマーフ
イルムからなり、吸湿膨張係数が30×10-5/cm2
/%RH以下であることを特徴とする位相差板。
【0007】
【発明の効果】本発明者は、研究の結果、ポリマーフイ
ルムの素材と製造方法を調節することにより、広い波長
領域でλ/4またはλ/2を達成する透明な位相差板を
製造することに成功した。さらに、この位相差板を反射
型液晶表示装置に取り付けて使用したところ、視野角と
コントラストが著しく改善された。一枚のポリマーフイ
ルムを用いて広い波長領域でλ/4またはλ/2を達成
できる位相差板が得られたことで、従来の二枚のポリマ
ーフイルムの角度を厳密に調整しながら積層する工程が
不要になった。また、本発明の位相差板を反射型液晶表
示装置に取り付けると、広い視野角が達成できる。さら
に、本発明ではλ/4またはλ/2を1枚のポリマーフ
イルムで実現しているため、厚みが薄く、光の減衰が少
ない。その結果、反射輝度が高い液晶表示装置が得られ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】[位相差板]位相差板をλ/4板
として使用する場合は、波長450nmで測定したレタ
ーデーション値(Re450)が100乃至125nm
であり、かつ波長590nmで測定したレターデーショ
ン値(Re590)が120乃至160nmであり、そ
して、Re590−Re450≧2nmの関係を満足す
る。Re590−Re450≧5nmであることがさら
に好ましく、Re590−Re450≧10nmである
ことが最も好ましい。波長450nmで測定したレター
デーション値(Re450)が108乃至120nmで
あり、波長550nmで測定したレターデーション値
(Re550)が125乃至142nmであり、波長5
90nmで測定したレターデーション値(Re590)
が130乃至152nmであり、そして、Re590−
Re550≧2nmの関係を満足することが好ましい。
Re590−Re550≧5nmであることがさらに好
ましく、Re590−Re550≧10nmであること
が最も好ましい。また、Re550−Re450≧10
nmであることも好ましい。
【0009】位相差板をλ/2板として使用する場合
は、波長450nmで測定したレターデーション値(R
e450)が200乃至250nmであり、かつ波長5
90nmで測定したレターデーション値(Re590)
が240乃至320nmであり、そして、Re590−
Re450≧4nmの関係を満足する。Re590−R
e450≧10nmであることがさらに好ましく、Re
590−Re450≧20nmであることが最も好まし
い 波長450nmで測定したレターデーション値(Re4
50)が216乃至240nmであり、波長550nm
で測定したレターデーション値(Re550)が250
乃至284nmであり、波長590nmで測定したレタ
ーデーション値(Re590)が260乃至304nm
であり、そして、Re590−Re550≧4nmの関
係を満足することが好ましい。またRe590−Re5
50≧10nmであることがさらに好ましく、Re59
0−Re550≧20nmであることが最も好ましい。
また、Re550−Re450≧20nmであることも
好ましい。
【0010】レターデーション値(Re)は、下記式に
従って算出する。 レターデーション値(Re)=(nx−ny)×d 式中、nxは、位相差板の面内の遅相軸方向の屈折率
(面内の最大屈折率)であり;nyは、位相差板の面内
の遅相軸に垂直な方向の屈折率であり;そして、dは、
位相差板の厚さ(nm)である。さらに、本発明の位相
差板は、下記式を満足する一枚のポリマーフイルムから
なることが好ましい。 1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦2 式中、nxは、位相差板の面内の遅相軸方向の屈折率で
あり;nyは、位相差板の面内の遅相軸に垂直な方向の
屈折率であり;そして、nzは、厚み方向の屈折率であ
る。位相差板を構成する一枚のポリマーフイルムの厚さ
は、5乃至1000μmであることが好ましく、10乃
至500μmであることがより好ましく、40乃至20
0μmであることがさらに好ましく、70乃至120μ
mであることが最も好ましい。位相差板の吸湿膨張係数
は、30×10-5/cm2 /%RH以下である。吸湿膨
張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時
の試料の長さの変化量で示す。吸湿膨張係数は、20×
10-5/cm2 /%RH以下であることが好ましく、1
5×10-5/cm2 /%RH以下であることがさらに好
ましい。
【0011】フイルム面内の遅相軸の方向は、延伸方向
となす角度を用いて示す。遅相軸の平均的な方向とは延
伸方向との間になす角度が、フイルム内における任意の
十か所の遅相軸の方向と延伸方向の間になす角度の平均
値と等しい角度となる方向である。遅相軸の平均的な方
向は延伸方向から±5°以内であることが好ましく、±
2°以内であることがさらに好ましく、±1°以内であ
ることが最も好ましい。標準偏差は2.0以内であるこ
とが好ましく、1.5以内であることがより好ましく、
0.8以内であることがさらに好ましく、0.5以内で
あることが最も好ましい。以上のような光学的性質を有
する位相差板は、以下に述べる材料と方法により製造す
ることができる。
【0012】[ポリマー]ポリマーフイルムのポリマー
としては、セルロースエステルが好ましく、セルロース
の低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸と
は、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子
数は、2(セルロースアセテート)、3(セルロースプ
ロピオネート)または4(セルロースブチレート)であ
ることが好ましい。セルロースアセテートが特に好まし
い。セルロースアセテートプロピオネートやセルロース
アセテートブチレートのような混合脂肪酸エステルを用
いてもよい。セルロースアセテートの平均酢化度(アセ
チル化度)は、45.0乃至62.5%であることが好
ましく、55.0乃至61.0%であることがさらに好
ましい。平均酢化度の調整のために2種類以上のセルロ
ースアセテートを用いてもよい。各々のセルロースアセ
テートの酢化度の差は2.0乃至6.0%であることが
好ましく、2.0乃至4.0%であることがさらに好ま
しい。また、混合するセルロースアセテートのうち、最
も大きい粘度平均重合度(P1)と最も小さい粘度重合
度(P2)の比(P2/P1)は1乃至3であることが
好ましい。
【0013】[レターデーション上昇剤]各波長におけ
るレターデーション値を調整するため、レターデーショ
ン上昇剤をポリマーフイルムに添加することができる。
レターデーション上昇剤は、ポリマー100重量部に対
して、0.05乃至20重量部の範囲で使用することが
好ましく、0.1乃至10重量部の範囲で使用すること
がより好ましく、0.2乃至5重量部の範囲で使用する
ことがさらに好ましく、0.5乃至2重量部の範囲で使
用することが最も好ましい。二種類以上のレターデーシ
ョン上昇剤を併用してもよい。レターデーション上昇剤
は、250乃至400nmの波長領域に最大吸収を有す
ることが好ましい。レターデーション上昇剤は、可視領
域に実質的に吸収を有していないことが好ましい。
【0014】レターデーション上昇剤としては、少なく
とも二つの芳香族環を有する化合物を用いることが好ま
しい。本明細書において、「芳香族環」は、芳香族炭化
水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族炭化
水素環は、6員環(すなわち、ベンゼン環)であること
が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘ
テロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環ま
たは7員環であることが好ましく、5員環または6員環
であることがさらに好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般
に、最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒
素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子
が特に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン
環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソ
オキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イ
ミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾー
ル環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジ
ン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含
まれる。芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チ
オフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール
環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピ
リミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン
環が好ましい。
【0015】レターデーション上昇剤が有する芳香族環
の数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至12
であることがより好ましく、2乃至8であることがさら
に好ましく、2乃至6であることが最も好ましい。二つ
の芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場
合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を
介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、ス
ピロ結合は形成できない)。結合関係は、(a)〜
(c)のいずれでもよい。
【0016】(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮
合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン
環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン
環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン
環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベン
ゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベ
ンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミ
ダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダ
ゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、
キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサ
リン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール
環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン
環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイ
ン環、フェノキサジン環およびチアントレン環が含まれ
る。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾ
オキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾ
ール環、ベンゾトリアゾール環およびキノリン環が好ま
しい。(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間
の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの
芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環ま
たは非芳香族性複素環を形成してもよい。
【0017】(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素
原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン
基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O
−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせである
ことが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下
に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆に
なってもよい。
【0018】 c1:−CO−O− c2:−CO−NH− c3:−アルキレン−O− c4:−NH−CO−NH− c5:−NH−CO−O− c6:−O−CO−O− c7:−O−アルキレン−O− c8:−CO−アルケニレン− c9:−CO−アルケニレン−NH− c10:−CO−アルケニレン−O− c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO
−アルキレン− c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−
CO−アルキレン−O− c13:−O−CO−アルキレン−CO−O− c14:−NH−CO−アルケニレン− c15:−O−CO−アルケニレン−
【0019】芳香族環および連結基は、置換基を有して
いてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、C
l、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シア
ノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファ
モイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキ
ニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アル
コキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボ
ニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル
基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族
置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換
スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香
族性複素環基が含まれる。
【0020】アルキル基の炭素原子数は、1乃至8であ
ることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル
基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。
アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ、カルボ
キシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有して
いてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例
には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2
−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メト
キシエチルおよび2−ジエチルアミノエチルが含まれ
る。アルケニル基の炭素原子数は、2乃至8であること
が好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基
の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。
アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。ア
ルケニル基の例には、ビニル、アリルおよび1−ヘキセ
ニルが含まれる。アルキニル基の炭素原子数は、2乃至
8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖
状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が
特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有して
いてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブ
チニルおよび1−ヘキシニルが含まれる。
【0021】脂肪族アシル基の炭素原子数は、1乃至1
0であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、ア
セチル、プロパノイルおよびブタノイルが含まれる。脂
肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至10である
ことが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセ
トキシが含まれる。アルコキシ基の炭素原子数は、1乃
至8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置
換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコ
キシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキ
シ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含ま
れる。アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2乃至
10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の
例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニル
が含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子
数は、2乃至10であることが好ましい。アルコキシカ
ルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ
およびエトキシカルボニルアミノが含まれる。
【0022】アルキルチオ基の炭素原子数は、1乃至1
2であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メ
チルチオ、エチルチオおよびオクチルチオが含まれる。
アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至8である
ことが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタ
ンスルホニルおよびエタンスルホニルが含まれる。脂肪
族アミド基の炭素原子数は、1乃至10であることが好
ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含ま
れる。脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃至
8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例
には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミドお
よびn−オクタンスルホンアミドが含まれる。脂肪族置
換アミノ基の炭素原子数は、1乃至10であることが好
ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミ
ノ、ジエチルアミノおよび2−カルボキシエチルアミノ
が含まれる。脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数
は、2乃至10であることが好ましい。脂肪族置換カル
バモイル基の例には、メチルカルバモイルおよびジエチ
ルカルバモイルが含まれる。脂肪族置換スルファモイル
基の炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。脂
肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモ
イルおよびジエチルスルファモイルが含まれる。脂肪族
置換ウレイド基の炭素原子数は、2乃至10であること
が好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウ
レイドが含まれる。非芳香族性複素環基の例には、ピペ
リジノおよびモルホリノが含まれる。レターデーション
上昇剤の分子量は、300乃至800であることが好ま
しい
【0023】[ポリマーフイルムの製造]ソルベントキ
ャスト法によりポリマーフイルムを製造することが好ま
しい。ソルベントキャスト法では、ポリマーを有機溶媒
に溶解した溶液(ドープ)を用いてフイルムを製造す
る。有機溶媒は、炭素原子数が3乃至12のエーテル、
炭素原子数が3乃至12のケトン、炭素原子数が3乃至
12のエステルおよび炭素原子数が1乃至6のハロゲン
化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。エ
ーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有してい
てもよい。エーテル、ケトンおよびエステルの官能基
(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のい
ずれかを二つ以上有する化合物も、有機溶媒として用い
ることができる。有機溶媒は、アルコール性水酸基のよ
うな他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能
基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれ
かの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
【0024】炭素原子数が3乃至12のエーテル類の例
には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジ
メトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキ
ソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネ
トールが含まれる。炭素原子数が3乃至12のケトン類
の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメ
チルシクロヘキサノンが含まれる。炭素原子数が3乃至
12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピ
ルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテー
ト、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含ま
れる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、
2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノー
ルおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。ハロゲン
化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好
ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化
水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲ
ン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている
割合は、25乃至75モル%であることが好ましく、3
0乃至70モル%であることがより好ましく、35乃至
65モル%であることがさらに好ましく、40乃至60
モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリド
が、代表的なハロゲン化炭化水素である。二種類以上の
有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0025】一般的な方法でポリマー溶液を調製でき
る。一般的な方法とは、0℃以上の温度(常温または高
温)で、処理することを意味する。溶液の調製は、通常
のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法およ
び装置を用いて実施することができる。なお、一般的な
方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特
にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。ポリマ
ーの量は、得られる溶液中に10乃至40重量%含まれ
るように調整する。ポリマーの量は、10乃至30重量
%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中
には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
溶液は、常温(0乃至40℃)でポリマーと有機溶媒と
を攪拌することにより調製することができる。高濃度の
溶液は、加圧および加熱条件下で攪拌してもよい。具体
的には、ポリマーと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉
し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が
沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温
度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60乃至2
00℃であり、さらに好ましくは80乃至110℃であ
る。
【0026】各成分は予め粗混合してから容器に入れて
もよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は攪拌
できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の
不活性気体を注入して容器を加圧することができる。ま
た、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。
あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加しても
よい。加熱する場合、容器の外部より加熱することが好
ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いる
ことができる。また、容器の外部にプレートヒーターを
設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を
加熱することもできる。容器内部に攪拌翼を設けて、こ
れを用いて攪拌することが好ましい。攪拌翼は、容器の
壁付近に達する長さのものが好ましい。攪拌翼の末端に
は、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けるこ
とが好ましい。容器には、圧力計、温度計等の計器類を
設置してもよい。容器内で各成分を溶剤中に溶解する。
調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるい
は、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0027】冷却溶解法により、溶液を調製することも
できる。冷却溶解法では、通常の溶解方法では溶解させ
ることが困難な有機溶媒中にもポリマーを溶解させるこ
とができる。なお、通常の溶解方法でポリマーを溶解で
きる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な
溶液が得られるとの効果がある。冷却溶解法では最初
に、室温で有機溶媒中にポリマーを撹拌しながら徐々に
添加する。ポリマーの量は、この混合物中に10乃至4
0重量%含まれるように調整することが好ましい。ポリ
マーの量は、10乃至30重量%であることがさらに好
ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を
添加しておいてもよい。
【0028】次に、混合物を−100乃至−10℃(好
ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50
乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃)に
冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール
浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液
(−30乃至−20℃)中で実施できる。このように冷
却すると、ポリマーと有機溶媒の混合物は固化する。冷
却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/
分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上で
あることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好まし
いが、10000℃/秒が理論的な上限であり、100
0℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が
実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始す
る時の温度と最終的な冷却温度との差を冷却を開始して
から最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値で
ある。
【0029】さらに、これを0乃至200℃(好ましく
は0乃至150℃、さらに好ましくは0乃至120℃、
最も好ましくは0乃至50℃)に加温すると、有機溶媒
中にポリマーが溶解する。昇温は、室温中に放置するだ
けでもよし、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4
℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上である
ことがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最
も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、100
00℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技
術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限
である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と
最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な
加温温度に達するまでの時間で割った値である。以上の
ようにして、均一な溶液が得られる。なお、溶解が不充
分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。
溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を
観察するだけで判断することができる。
【0030】冷却溶解法においては、冷却時の結露によ
る水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ま
しい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、
加温時の減圧すると、溶解時間を短縮することができ
る。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。なお、セルロースアセテート
(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷
却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20重量
%の溶液は、示差走査熱量測定(DSC)によると、3
3℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在
し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、
この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移
温度プラス10℃程度の温度で保存する必要がある。た
だし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの
平均酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機
溶媒により異なる。
【0031】調製したポリマー溶液(ドープ)から、ソ
ルベントキャスト法によりポリマーフイルムを製造す
る。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を
蒸発させてフイルムを形成する。流延前のドープは、固
形分量が18乃至35%となるように濃度を調整するこ
とが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態
に仕上げておくことが好ましい。ソルベントキャスト法
における流延および乾燥方法については、米国特許23
36310号、同2367603号、同2492078
号、同2492977号、同2492978号、同26
07704号、同2739069号、同2739070
号、英国特許640731号、同736892号の各明
細書、特公昭45−4554号、同49−5614号、
特開昭60−176834号、同60−203430
号、同62−115035号の各公報に記載がある。ド
ープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上
に流延することが好ましい。流延した2秒以上風に当て
て乾燥することが好ましい。得られたフイルムをドラム
またはバンドから剥ぎ取り、さらに100から160℃
まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発
させることもできる。以上の方法は、特公平5−178
44号公報に記載がある。この方法によると、流延から
剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この
方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンド
の表面温度においてドープがゲル化することが必要であ
る。本発明に従い調製した溶液(ドープ)は、この条件
を満足する。製造するフイルムの厚さは、40乃至14
0μmであることが好ましく、70乃至120μmであ
ることがさらに好ましい。
【0032】ポリマーフイルムには、機械的物性を改良
するため、または乾燥速度を向上するために、可塑剤を
添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステ
ルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リン酸エス
テルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)
およびトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれ
る。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステルお
よびクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステ
ルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチル
フタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DB
P)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフ
タレート(DPP)およびジエチルヘキシルフタレート
(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、
O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)および
O−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含ま
れる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン
酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジ
ブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。フ
タル酸エステル系可塑剤(DMP、DEP、DBP、D
OP、DPP、DEHP)が好ましく用いられる。DE
PおよびDPPが特に好ましい。可塑剤の添加量は、セ
ルロースエステルの量の0.1乃至25重量%であるこ
とが好ましく、1乃至20重量%であることがさらに好
ましく、3乃至15重量%であることが最も好ましい。
【0033】ポリマーフイルムには、劣化防止剤(例、
酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不
活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。劣化
防止剤については、特開平3−199201号、同5−
1907073号、同5−194789号、同5−27
1471号、同6−107854号の各公報に記載があ
る。劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の
0.01乃至1重量%であることが好ましく、0.01
乃至0.2重量%であることがさらに好ましい。添加量
が0.01重量%未満であると、劣化防止剤の効果がほ
とんど認められない。添加量が1重量%を越えると、フ
イルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出
し)が認められる場合がある。特に好ましい劣化防止剤
の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BH
T)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることがで
きる。
【0034】ポリマーフイルムには、吸湿膨張係数を低
くするために、疎水性を有する化合物を添加してもよ
い。疎水性を有する素材としては、分子中にアルキル基
やフェニル基のような疎水基を有する素材であれば特に
制限はないが、上記の可塑剤や劣化防止剤の中で該当す
る素材が特に好ましく用いられる。添加量は調整する溶
液(ドープ)の0.01乃至10重量%が好ましく、
0.1乃至5重量%がさらに好ましく、1乃至3重量%
が最も好ましい。
【0035】ポリマーフイルムには、製造時のハンドリ
ング性向上のために、片面または両面にマット剤とポリ
マーを含有するマット層を設けてもよい。マット剤およ
びポリマーについては特開平10−44327に記載さ
れている素材を好適に用いることができる。
【0036】ポリマーフイルムは、さらに延伸処理によ
り屈折率(面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の遅相
軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折率n
z)を調整することが好ましい。固有複屈折率が正であ
ると、ポリマー鎖が配向した方向に屈折率が高くなる。
このような固有複屈折率が正のポリマーを延伸すると、
通常、屈折率は、nx>ny≧nzとなる。これは、面
内の方向に配向したポリマー鎖が、延伸によってx成分
が多くなり、z成分が最も小さくなるためである。これ
により、1≦(nx−nz)/(nx−ny)の関係を
満足することができる。さらに、(nx−nz)/(n
x−ny)≦2の関係を満足するためには、一軸延伸の
延伸倍率を制御するか、あるいはアンバランスな二軸延
伸を実施して屈折率を調整すればよい。延伸温度はポリ
マーのガラス転移温度より10℃以上高く、結晶化温度
より20℃以上低い温度が好ましく、ガラス転移温度よ
り10℃以上高く、結晶化温度より40℃以上低い温度
がさらに好ましい。ここで、ガラス転移温度と結晶化温
度は示差走査熱量計(DSC)を用い、昇温速度10℃
/minで測定したときの値である。延伸方法は特に制限
しないが、ロール延伸法が好ましい。延伸処理は、複数
回行われてもよく、同時処理であっても、逐次処理であ
ってもよい。
【0037】延伸処理したフイルムを熱処理しても良
い。熱処理温度はポリマーフイルムのガラス転移温度よ
り20℃低い値から10℃高い温度で行うことが好まし
い。熱処理時間は1秒間乃至3分間であることが好まし
く、1秒間乃至2分間であることがさらに好ましく、1
秒間乃至1分間であることが最も好ましい。加熱方法は
ゾーン加熱であっても、赤外線ヒータのような熱源を用
いた部分加熱であっても良い。
【0038】[円偏光板]λ/4板と偏光膜とを、λ/
4板の面内の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度が実質的
に45゜になるように積層すると円偏光板が得られる。
実質的に45゜とは、40乃至50゜であることを意味
する。λ/4板の面内の遅相軸の平均的な方向と偏光膜
の偏光軸との角度は、41乃至49゜であることが好ま
しく、42乃至48゜であることがより好ましく、43
乃至47゜であることがさらに好ましく、44乃至46
゜であることが最も好ましい。偏光膜には、ヨウ素系偏
光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏
光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一
般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて製造す
る。偏光膜の偏光軸は、フイルムの延伸方向に垂直な方
向に相当する。偏光膜のλ/4板とは反対側の面には、
透明保護膜を設けることが好ましい。
【0039】[反射型液晶表示素子]図1は、反射型液晶
表示装置の基本的な構成を示す模式図である。図1に示
す反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板(a)、
反射電極(b)、下配向膜(c)、液晶層(d)、上配
向膜(e)、透明電極(f)、上基板(g)、λ/4板
(h)、そして偏光膜(i)からなる。下基板(a)と
反射電極(b)が反射板を構成する。下配向膜(c)〜
上配向膜(e)が液晶セルを構成する。λ/4板(h)
は、反射板と偏光膜(i)との間の任意の位置に配置す
ることができる。カラー表示の場合には、さらにカラー
フィルター層を設ける。カラーフィルター層は、反射電
極(b)と下配向膜(c)との間、または上配向膜
(e)と透明電極(f)との間に設けることが好まし
い。図1に示す反射電極(b)の代わりに透明電極を用
いて、別に反射板を取り付けてもよい。透明電極と組み
合わせて用いる反射板としては、金属板が好ましい。反
射板の表面が平滑であると、正反射成分のみが反射され
て視野角が狭くなる場合がある。そのため、反射板の表
面に凹凸構造(特許275620号公報記載)を導入す
ることが好ましい。反射板の表面が平坦である場合は
(表面に凹凸構造を導入する代わりに)、偏光膜の片側
(セル側あるいは外側)に光拡散フイルムを取り付けて
もよい。
【0040】液晶セルは、TN(twisted nematic )
型、STN(Supper Twisted Nematic)型またはHAN
(Hybrid Aligned Nematic)型であることが好ましい。
TN型液晶セルのツイスト角は、40乃至100゜であ
ることが好ましく、50乃至90゜であることがさらに
好ましく、60乃至80゜であることが最も好ましい。
液晶層の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)と
の積(Δnd)の値は、0.1乃至0.5μmであるこ
とが好ましく、0.2乃至0.4μmであることがさら
に好ましい。STN型液晶セルのツイスト角は、180
乃至360゜であることが好ましく、220乃至270
゜であることがさらに好ましい。液晶層の屈折率異方性
(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δnd)の値
は、0.3乃至1.2μmであることが好ましく、0.
5乃至1.0μmであることがさらに好ましい。HAN
型液晶セルは、片方の基板上では液晶が実質的に垂直に
配向しており、他方の基板上のプレチルト角が0乃至4
5゜であることが好ましい。液晶層の屈折率異方性(Δ
n)と液晶層の厚み(d)との積(Δnd)の値は、
0.1乃至1.0μmであることが好ましく、0.3乃
至0.8μmであることがさらに好ましい。液晶を垂直
配向させる側の基板は、反射板側の基板であってもよい
し、透明電極側の基板であってもよい。偏光膜には、ヨ
ウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリ
エン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光
膜は、一般にポリビニルアルコール系フイルムを用いて
製造する。偏光膜の偏光軸は、フイルムの延伸方向に垂
直な方向に相当する。反射型液晶表示装置は、印加電圧
が低い時に明表示、高い時に暗表示であるノーマリーホ
ワイトモードでも、印加電圧が低い時に暗表示、高い時
に明表示であるノーマリーブラックモードでも用いるこ
とができる。ノーマリーホワイトモードの方が好まし
い。
【0041】[ゲストホスト反射型液晶表示素子]図2
は、ゲストホスト反射型液晶表示素子の代表的な態様を
示す断面模式図である。図2に示すゲストホスト反射型
液晶表示素子は、下基板(1)、有機層間絶縁膜
(2)、金属反射板(3)、λ/4板(4)、下透明電
極(5)、下配向膜(6)、液晶層(7)、上配向膜
(8)、上透明電極(9)、光拡散板(10)、上基板
(11)および反射防止層(12)が、この順に積層さ
れた構造を有する。下基板(1)および上基板(2)
は、ガラス板またはプラスチックフイルムからなる。下
基板(1)と有機層間絶縁膜(2)との間には、TFT
(13)が取り付けられている。液晶層(7)は、液晶
と二色性色素との混合物からなる。液晶層は、スペーサ
ー(14)により形成されているセルギャップに液晶と
二色性色素との混合物を注入して得られる。光拡散板
(10)を設ける代わりに、金属反射板(3)の表面に
凹凸を付けることで、金属反射板(3)に光拡散機能を
付与してもよい。反射防止層(12)は、反射防止機能
に加えて、防眩機能も有していることが好ましい。
【0042】図3は、ゲストホスト反射型液晶表示素子
の別の代表的な態様を示す断面模式図である。図3に示
すゲストホスト反射型液晶表示素子は、下基板(1)、
有機層間絶縁膜(2)、コレステリックカラー反射板
(3)、λ/4板(4)、下透明電極(5)、下配向膜
(6)、液晶層(7)、上配向膜(8)、上透明電極
(9)、上基板(11)および反射防止層(12)が、
この順に積層された構造を有する。下基板(1)および
上基板(2)は、ガラス板またはプラスチックフイルム
からなる。下基板(1)と有機層間絶縁膜(2)との間
には、TFT(13)が取り付けられている。λ/4板
(4)は、光拡散板としても機能させてもよい。液晶層
(7)は、液晶と二色性色素との混合物からなる。液晶
層は、スペーサー(14)により形成されているセルギ
ャップに液晶と二色性色素との混合物を注入して得られ
る。上透明電極(9)と上基板(11)との間には、ブ
ラックマトリックス(15)が取り付けられている。反
射防止層(12)は、反射防止機能に加えて、防眩機能
も有していることが好ましい。
【0043】本発明に従うλ/4板は、図2および図3
で説明したゲストホスト反射型液晶表示素子のλ/4板
(4)として使用できる。λ/4板を備えたゲストホス
ト反射型液晶表示素子については、特開平6−2223
50号、同8−36174号、同10−268300
号、同10−292175号、同10−293301
号、同10−311976号、同10−319442
号、同10−325953号、同10−333138
号、同11−38410号の各公報に記載がある。本発
明に従うλ/4板は、上記各公報記載のゲストホスト反
射型液晶表示素子にも利用することができる。
【0044】
【実施例】(光学特性の測定)作製したポリマーフイル
ム(位相差板)について、エリプソメーター(M−15
0、日本分光(株)製)を用いて、波長450nm、5
50nmおよび590nmにおけるレターデーション
(Re)値を測定した。また、アッベ屈折率計による屈
折率測定と、レターデーションの角度依存性の測定か
ら、波長550nmにおける面内の遅相軸方向の屈折率
nx、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚
み方向の屈折率nzを求め、(nx−nz)/(nx−
ny)の値を計算した。ポリマーフイルムの遅相軸の方
向と延伸方向のなす角度は自動複屈折計(KOBRA−
21ADH、王子計測機器(株))で測定した。各々の
測定はフイルム内の任意の10点で行い、平均的な方向
を求めた。10点の遅相軸の方向が平均的な遅相軸方向
となす角度については標準偏差も求めた。
【0045】(吸湿膨張係数の測定)作製したポリマー
フイルム(位相差板)から幅5mm、長さ20mmの試
料を切り出し、片方の端を固定して25℃、20%RHの
雰囲気下にぶら下げた。他方の端に0.5gの重りをぶ
ら下げて、一定時間放置した。次に、一定温度のまま、
湿度を80%RHにして、長さの変形量を測定した。測定
は同一試料につき10サンプル行い、平均値を採用し
た。
【0046】[実施例1] (位相差板の作製)室温において、平均酢化度59.7
%のセルロースアセテート120重量部、トリフェニル
ホスフェート9.36重量部、ビフェニルジフェニルホ
スフェート4.68重量部、下記のレターデーション上
昇剤1.00重量部、メチレンクロリド543.14重
量部、メタノール99.35重量部およびn−ブタノー
ル19.87重量部を混合して、溶液(ドープ)を調製
した。
【0047】
【化1】
【0048】得られたドープを、ガラス板上に流延し、
室温で1分間乾燥後、45℃で5分間乾燥させた。乾燥
後の溶剤残留量は30重量%であった。セルロースアセ
テートフイルムをガラス板から剥離し、100℃で20
分間、130℃で10分間乾燥した。フイルムを適当な
大きさに切断した後、130℃で流延方向とは平行な方
向に延伸した。延伸方向と垂直な方向は、自由に収縮で
きるようにした。延伸後、室温まで冷却し後、延伸フイ
ルムを取り出した。延伸後の溶剤残留量は0.5重量%
であった。得られたフイルムの厚さは、102μmであ
った。また、延伸倍率は1.41倍であった。得られた
ポリマーフイルム(位相差板)について、光学特性と吸
湿膨張係数を測定した。結果は第1表、第2表に示す。
【0049】[実施例2] (位相差板の作製)室温において、平均酢化度59.7
%のセルロースアセテート120重量部、実施例1で用
いたレターデーション上昇剤1.20重量部、トリフェ
ニルホスフェート9.36重量部、ビフェニルジフェニ
ルホスフェート4.68重量部、メチレンクロリド60
9.37重量部、およびメタノール53.0重量部を混
合して、溶液(ドープ)を調製した。得られたドープを
用いた以外は、実施例1と同様に位相差板を作製した。
得られたフイルムの厚さは、100μmであった。ま
た、延伸倍率は、1.41であった。得られたポリマー
フイルム(位相差板)について、光学特性と吸湿膨張係
数を測定した。結果は第1表、第2表に示す。
【0050】[実施例3] (位相差板の作製)室温において、平均酢化度59.7
%のセルロースアセテート117.87重量部、実施例
1で用いたレターデーション上昇剤1.18重量部、ト
リフェニルホスフェート9.19重量部、ビフェニルジ
フェニルホスフェート4.60重量部、トリベンジルア
ミン2.36重量部、メチレンクロリド609.37重
量部、およびメタノール53.0重量部を混合して、溶
液(ドープ)を調製した。得られたドープを、ガラス板
上に流延し、室温で1分間乾燥後、45℃で5分間乾燥
させた。乾燥後の溶剤残留量は25重量%であった。セ
ルロースアセテートフイルムをガラス板から剥離し、1
00℃で10分間乾燥した後、120℃で20分間乾燥
させた。乾燥後の残留溶剤量は2.1%であった。乾燥
させたフイルムを適当な大きさに切断した後、130℃
で流延方向とは平行な方向に1.4倍に延伸した。延伸
方向と垂直な方向は、自由に収縮できるようにした。延
伸後、そのままの状態で室温雰囲気下に取り出し冷却し
た。得られたフイルムの膜厚は102μmであった。ま
た、溶剤残留量は0.1重量%であった。得られたポリ
マーフイルム(位相差板)について、光学特性と吸湿膨
張係数を測定した。結果は第1表、第2表に示す。
【0051】[実施例4] (位相差板の作製)平均酢化度59.7%のセルロース
アセテート117.87重量部、トリフェニルホスフェ
ート9.19重量部、ビフェニルジフェニルホスフェー
ト4.60重量部、メチレンクロリド595.60重量
部、およびメタノール51.8重量部をミキシングタン
クに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、
セルロースアセテート溶液を調製した。別のミキシング
タンクに、実施例1で用いたレターデーション上昇剤
1.18質量部、トリベンジルアミン2.36重量部、
メチレンクロライド16.0重量部およびメタノール
1.39重量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レタ
ーデーション上昇剤溶液を調製した。セルロースアセテ
ート溶液にレターデーション上昇剤溶液を全て投入し、
充分に攪拌してドープを調製した。得られたドープを、
流延後の乾燥ゾーンに多段ロール延伸ゾーンを設けたバ
ンド流延機を用いて流延・一軸延伸をおこなった。延伸
ゾーン直前のフイルムの残留溶剤量は1.0%であっ
た。延伸ゾーンは温度を均一に保つためケーシングで覆
い、135℃にした。また、フイルムの延伸温度はロー
ルの温度、ロール間に設けた赤外線ヒータで130℃に
調節した。延伸倍率はロールの回転速度により1.4倍
とした。延伸後のフイルムは室温まで徐冷し、巻き取っ
た。得られたフイルムの膜厚は101μmであった。ま
た、残留溶剤量は0.2%であった。得られたポリマー
フイルム(位相差板)について、光学特性と吸湿膨張係
数を測定した。結果は第1表、第2表に示す。
【0052】[実施例5]実施例3で得られたドープを、
ガラス板上に流延し、室温で1分間乾燥後、45℃で5
分間乾燥させた。乾燥後の残留溶剤量は25重量%であ
った。作製したフイルムをガラス板から剥離し、100
℃で20分間、120℃で10分間乾燥させた。乾燥後
の残留溶剤量は2.5%であった。乾燥させたフイルム
を適当な大きさに切断した後、130℃で流延方向とは
平行な方向に1.45倍に延伸した。延伸方向と垂直な
方向は自由に収縮できるようにした。延伸後、赤外線ヒ
ータを用いて、110℃で5秒間熱処理した。熱処理
後、試料を冷却して取り出した。得られたポリマーフイ
ルム(位相差板)について、光学特性と吸湿膨張係数を
測定した。結果は第1表、第2表に示す。
【0053】[比較例1] (位相差板の作製)重量平均分子量10万のポリカーボ
ネートを塩化メチレンに溶解して、17重量%溶液を得
た。この溶液をガラス板上に、乾燥膜厚が80μmにな
るように流延し、室温で30分乾燥後、70℃で30分
乾燥した。ポリカーボネートフイルムをガラス板から剥
離し、158℃で4%延伸し、ポリカーボネートの延伸
複屈折フイルムを得た。得られたポリカーボネートフイ
ルム(位相差板)について、光学測定を行った。結果は
表1に示す。
【0054】
【表1】 第1表 ──────────────────────────────────── 位相差板 Re (nx−nz) 450nm 550nm 590nm (nx−ny) ──────────────────────────────────── 実施例1 116.8nm 137.8nm 143.3nm 1.60 実施例2 115.8nm 136.7nm 142.2nm 1.55 実施例3 116.3nm 136.9nm 142.5nm 1.52 実施例4 116.3nm 136.9nm 142.6nm 1.53 実施例5 116.4nm 137.0nm 142.5nm 1.52 比較例1 147.8nm 137.5nm 134.9nm 1.12 ────────────────────────────────────
【0055】
【表2】 第2表 ──────────────────────────────────── 位相差板 軸ずれ 吸湿膨張係数 延伸方向からのずれ 標準偏差 (/cm2 /%RH) ──────────────────────────────────── 実施例1 ±1.7 0.3 12.0×10-5 実施例2 ±1.2 0.3 11.9×10-5 実施例3 ±1.3 0.4 8.7×10-5 実施例4 ±0.9 0.9 7.6×10-5 実施例5 ±1.0 0.7 7.2×10-5 ────────────────────────────────────
【0056】[実施例6] (円偏光板の作製)透明保護膜、偏光膜および実施例2
で作製した位相差板を、この順に積層して円偏光板を得
た。位相差板の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度は、4
5゜に調整した。得られた円偏光板の光学的性質を調べ
たところ、いずれも広い波長領域(450〜590n
m)において、ほぼ完全な円偏光が達成されていた。
【0057】[実施例7] (円偏光板の作製)透明保護膜、偏光膜および実施例4
で作製した位相差板を、この順に積層して円偏光板を得
た。位相差板の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度は、4
5゜に調整した。得られた円偏光板の光学的性質を調べ
たところ、いずれも広い波長領域(450〜590n
m)において、ほぼ完全な円偏光が達成されていた。
【0058】[比較例2] (円偏光板の作製)透明保護膜、偏光膜および比較例1
で作製した位相差板を、この順に積層して円偏光板を得
た。位相差板の遅相軸と偏光膜の偏光軸との角度は、4
5゜に調整した。
【0059】(円偏光板の評価)実施例6,7および比
較例2で作製した円偏光板を反射型液晶パネルに実装
し、測定機(EZ Contrast 160D、ELDIM社製)を用
いて視野角特性を測定した。結果を第2表に示す。実施
例6,7で作製した円偏光板を用いると、広い視野角が
得られる。
【0060】
【表3】 第3表 ──────────────────────────────────── 視野角(コントラスト3) 円偏光板 上下 左右 ──────────────────────────────────── 実施例6 129゜ 120゜ 実施例7 130゜ 121゜ 比較例2 58゜ 56゜ ────────────────────────────────────
【0061】[実施例8] (反射型液晶表示素子の作製)ITO透明電極を設けた
ガラス基板と、微細な凹凸が形成されたアルミニウム反
射電極を設けたガラス基板とを用意した。二枚のガラス
基板の電極側に、それぞれポリイミド配向膜(SE−7
992、日産化学(株)製)を形成し、ラビング処理を
行った。2.5μmのスペーサーを介して、二枚の基板
を配向膜が向かい合うように重ねた。二つの配向膜のラ
ビング方向は、117゜の角度で交差するように、基板
の向きを調節した。基板の間隙に、液晶(MLC−62
52、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。この
ようにして、ツイスト角が63゜、Δndの値が198
nmのTN型液晶セルを作製した。ITO透明電極を設
けたガラス基板の側に、実施例3で作製したλ/4板を
粘着剤を介して貼り付けた。その上に、さらに偏光板
(表面がAR処理された保護膜を積層した偏光膜)を貼
り付けた。作製した反射型液晶表示装置に、1kHzの
矩形波電圧を印加した。白表示1.5V、黒表示4.5
Vとして目視で評価を行ったところ、白表示において
も、黒表示においても、色味がなく、ニュートラルグレ
イが表示されていることが確認できた。次に、測定機
(EZcontrast160D、Eldim社製)を用いて反射輝
度のコントラスト比を測定したところ、正面からのコン
トラスト比が23であり、コントラスト比3となる視野
角は、上下120゜以上、左右120゜以上であった。
【0062】[実施例9] (反射型液晶表示装置の作製)ITO透明電極を設けた
ガラス基板と、微細な凹凸が形成されたアルミニウム反
射電極を設けたガラス基板とを用意した。二枚のガラス
基板の電極側に、それぞれポリイミド配向膜(SE−7
992、日産化学(株)製)を形成し、ラビング処理を
行った。3.4μmのスペーサーを介して、二枚の基板
を配向膜が向かい合うように重ねた。二つの配向膜のラ
ビング方向は、110゜の角度で交差するように、基板
の向きを調節した。基板の間隙に、液晶(MLC−62
52、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。この
ようにして、ツイスト角が70゜、トndの値が269
nmのTN型液晶セルを作製した。ITO透明電極を設
けたガラス基板の側に、実施例3で作製したλ/4板を
粘着剤を介して貼り付けた。その上に、さらに偏光板
(表面がAR処理された保護膜を積層した偏光膜)を貼
り付けた。作製した反射型液晶表示装置に、1kHzの
矩形波電圧を印加した。白表示1.5V、黒表示4.5
Vとして目視で評価を行ったところ、白表示において
も、黒表示においても、色味がなく、ニュートラルグレ
イが表示されていることが確認できた。次に、測定機
(EZcontrast160D、Eldim社製)を用いて反射輝
度のコントラスト比を測定したところ、正面からのコン
トラスト比が25であり、コントラスト比3となる視野
角は、上下120゜以上、左右120゜以上であった。
【0063】[実施例10] (額縁状のむらの観察)実施例7で作製した円偏光板を
ガラス基盤に貼り付け、60℃、90%RHの環境下に
100時間放置した。このサンプルを反射型液晶セルの
前面に用いて、反射型液晶表示装置を作製した。表示装
置の表示画面前面を黒表示にし、目視で観察した結果、
光漏れによるむらはほとんど見られなかった。
【0064】[実施例11] (ゲストホスト反射型液晶表示素子の作製)ITO透明
電極が設けられたガラス基板の上に、垂直配向膜形成ポ
リマー(LQ−1800、日立化成デュポンマイクロシ
ステムズ社製)の溶液を塗布し、乾燥後、ラビング処理
を行った。反射板としてアルミニウムを蒸着したガラス
基板の上に、実施例3で作製したλ/4板(位相差板)
を粘着剤で貼り付けた。λ/4板の上に、スパッタリン
グによりSIO層を設け、その上にITO透明電極を設
けた。透明電極の上に、垂直配向膜形成ポリマー(LQ
−1800、日立化成デュポンマイクロシステムズ社
製)の溶液を塗布し、乾燥後、λ/4板の遅相軸方向か
ら45゜の方向にラビング処理を行った。7.6μmの
スペーサーを介して、二枚のガラス基板を、配向膜が向
かい合うように重ねた。配向膜のラビング方向が反平行
となるように、基板の向きを調節した。基板の間隙に、
二色性色素(NKX−1366、日本感光色素社製)
2.0重量%と液晶(ZLI−2806、メルク社製)
98.0重量%との混合物を、真空注入法により注入
し、液晶層を形成した。作製したゲストホスト反射型液
晶表示素子のITO電極間に、1kHzの矩形波電圧を
印加した。白表示1V、黒表示10Vでの透過率は、そ
れぞれ65%、6%であった。白表示と黒表示との透過
率の比(コントラスト比)は、11:1であった。ま
た、上下左右でコントラスト比2:1が得られる視野角
を測定したところ、上下、左右ともに120゜以上であ
った。電圧を上昇、下降させながら透過率測定を行った
が、透過率−電圧の曲線にヒステリシスは観察されなか
った。
【0065】[実施例12] (位相差板の作製)得られるフイルムの厚さが200μ
mとなるように、ドープの塗布量を変更した以外は、実
施例1と同様にしてセルロースアセテートフイルムを作
製した。得られたセルロースアセテートフイルム(位相
差板)について、エリプソメーター(M−150、日本
分光(株)製)を用いて、波長450nm、550nm
および590nmにおけるレターデーション値(Re)
を測定したところ、それぞれ、233.6nm、27
5.6nmおよび286.6nmであった。従って、こ
のセルロースアセテートフイルムは、広い波長領域でλ
/2を達成していた。また、アッベ屈折率計による屈折
率測定と、レターデーションの角度依存性の測定から、
波長550nmにおける面内の遅相軸方向の屈折率n
x、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み
方向の屈折率nzを計算し、(nx−nz)/(nx−
ny)の値を求めたところ、1.60であった。さら
に、吸湿膨張係数を測定したところ、12.0×10-5
/cm2 /%RHであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】反射型液晶表示装置の基本的な構成を示す模式
図である。
【図2】ゲストホスト反射型液晶表示素子の代表的な態
様を示す断面模式図である。
【図3】ゲストホスト反射型液晶表示素子の別の代表的
な態様を示す断面模式図である。
【符号の説明】
a 下基板 b 反射電極 c 下配向膜 d 液晶層 e 上配向膜 f 透明電極 g 上基板 h λ/4板 i 直線偏光膜 1 下基板 2 有機層間絶縁膜 3 金属反射板 4 λ/4板 5 下透明電極 6 下配向膜 7 液晶層 8 上配向膜 9 上透明電極 10 光拡散板 11 上基板 12 反射防止層 13 TFT 14 スペーサー 15 ブラックマトリックス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 BA03 BA06 BA07 BA27 BA42 BB03 BB43 BB49 BB65 BC03 BC22 2H091 FA11Y FB02 FC08 FC25 FC29 FD07 FD10 GA13 GA17 HA07 KA02 4F071 AA09 AF10 AF29 AH12 BB02 BB07

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波長450nmで測定したレターデーシ
    ョン値(Re450)が100乃至125nmであり、
    波長590nmで測定したレターデーション値(Re5
    90)が120乃至160nmであり、そして、Re5
    90−Re450≧2nmの関係を満足する一枚のポリ
    マーフイルムからなり、吸湿膨張係数が30×10-5
    cm2 /%RH以下であることを特徴とする位相差板。
  2. 【請求項2】 波長450nmで測定したレターデーシ
    ョン値(Re450)が108乃至120nmであり、
    波長550nmで測定したレターデーション値(Re5
    50)が125乃至142nmであり、波長590nm
    で測定したレターデーション値(Re590)が130
    乃至152nmであり、そして、Re590−Re55
    0≧2nmの関係を満足する請求項1に記載の位相差
    板。
  3. 【請求項3】 面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の
    遅相軸に垂直な方向の屈折率nyおよび厚み方向の屈折
    率nzが、1≦(nx−nz)/(nx−ny)≦2の
    関係を満足する請求項1に記載の位相差板。
  4. 【請求項4】 ポリマーフイルムが延伸処理されたフイ
    ルムであり、フイルム面内の遅相軸の平均的な方向が延
    伸方向から±5゜以内であり、その標準偏差が2.0以
    内である請求項1に記載の位相差板。
  5. 【請求項5】 ポリマーフイルムが延伸処理されたフイ
    ルムであり、フイルム面内の遅相軸の平均的な方向が延
    伸方向から±1゜以内であり、その標準偏差が1.0以
    内である請求項1に記載の位相差板。
  6. 【請求項6】 ポリマーフイルムが、セルロースエステ
    ルフイルムである請求項1に記載の位相差板。
  7. 【請求項7】 位相差板と直線偏光膜とが、位相差板の
    面内の遅相軸と直線偏光膜の偏光軸との角度が実質的に
    45゜になるように積層されている円偏光板であって、
    位相差板が、波長450nmで測定したレターデーショ
    ン値(Re450)が100乃至125nmであり、波
    長590nmで測定したレターデーション値(Re59
    0)が120乃至160nmであり、そして、Re59
    0−Re450≧2nmの関係を満足する一枚のポリマ
    ーフイルムからなり、吸湿膨張係数が30×10-5/c
    2 /%RH以下であることを特徴とする円偏光板。
  8. 【請求項8】 波長450nmで測定したレターデーシ
    ョン値(Re450)が200乃至250nmであり、
    波長590nmで測定したレターデーション値(Re5
    90)が240乃至320nmであり、そして、Re5
    90−Re450≧4nmの関係を満足する一枚のポリ
    マーフイルムからなり、吸湿膨張係数が30×10-5
    cm2 /%RH以下であることを特徴とする位相差板。
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