JP2002019597A - 産業車両のブレーキ制御装置 - Google Patents

産業車両のブレーキ制御装置

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JP2002019597A
JP2002019597A JP2000207895A JP2000207895A JP2002019597A JP 2002019597 A JP2002019597 A JP 2002019597A JP 2000207895 A JP2000207895 A JP 2000207895A JP 2000207895 A JP2000207895 A JP 2000207895A JP 2002019597 A JP2002019597 A JP 2002019597A
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Japan
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wheel
slip
vehicle speed
speed
braking
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JP2000207895A
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Haruhiko Otsuka
晴彦 大塚
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Toyota Industries Corp
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Toyota Industries Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制動用の操作手段を操作するときの操作量に
注意しなくても、車速の違いによる制動距離のばらつき
を小さくし、制動操作時の運転者のストレスを軽減す
る。 【解決手段】 コントローラ41はブレーキスイッチ4
0またはアクセルスイッチ43から制動信号を入力した
とき、前輪回転数センサ28の検出値を基に車速を算出
する。そしてそのブレーキ操作時の車速が高車速域にあ
れば、コントローラ41はブレーキ制御バルブ20を電
流値制御して補助ブレーキ装置26の作動させる。これ
により、高車速でブレーキ操作したときには、後輪6に
主ブレーキ力が付与されるとともに、前輪5に補助ブレ
ーキ力が付与される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、産業車両のブレー
キ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のリーチ式フォークリフト
(以下、単にフォークリフトと称す)のブレーキ装置と
して、例えば特開平9−233604号公報に開示され
るものがあり、図16は同公報にて開示されたフォーク
リフトの概略構成図である。フォークリフト71は、従
動輪である前輪72と駆動輪かつ操舵輪である後輪73
とを備えている。運転室74の床面にはフットペダル7
5が設けられ、フットペダル75の踏込み側にはリミッ
トスイッチ75aが設けられている。このフォークリフ
ト71では、運転者がフットペダル75を踏込むことに
よりこのリミットスイッチ75aがオンされてブレーキ
が解除される、いわゆるデッドマンブレーキが採用され
ている。
【0003】ブレーキング制御装置76は、フットペダ
ル75が開放されてリミットスイッチ75aがオフされ
た場合、エンコーダ77から入力した回転数を用いて減
速度を算出し、その減速度が急激に増大したときは駆動
輪(後輪73)がスリップしていると判断する。そし
て、走行用電動機78による回生ブレーキトルクまたは
発電ブレーキトルクを低減し、エンコーダ77からの回
転数検出値が車速と同等の値まで回復すればスリップか
ら復帰したものと判断し、再び回生ブレーキトルクまた
は発電ブレーキトルクを増大する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ブレーキン
グ制御装置76によって駆動輪のスリップの有無を判断
しているものの、ブレーキトルクを減らすことによりス
リップを防ぐ制御であったため、制動力の向上はさほど
望めない。従って、例えばスリップが起き易い水濡れ路
面では乾燥路面に比べ制動距離が長くなるという問題が
あった。
【0005】また、この種の立席式のフォークリフトで
はデッドマンブレーキを採用している。デッドマンブレ
ーキタイプのフォークリフト71では、走行速度の大小
に応じてブレーキ力を調整する操作が困難であるため、
車速が高速のときには、制動距離は低速時に比べて長く
なるという問題が生じる。従って、運転者は速度に注意
して制動操作する必要があり、運転中にストレスを感じ
るという問題があった。
【0006】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的は、制動用の操作手段を操作する
ときの操作量に注意しなくても、車速の違いによる制動
距離のばらつきを小さくでき、制動操作時の運転者のス
トレスを軽減できる産業車両のブレーキ制御装置を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め請求項1に記載の発明では、制動用の操作手段が操作
されたことに基づき作動され、前輪と後輪のうち一方に
主制動力を付与する主制動手段と、前記前輪と後輪のう
ち、前記主制動手段による制動力が付与される車輪と前
後反対側の車輪に、前記主制動手段を補助するための補
助制動力を付与する補助制動手段と、車両の車速を検出
する車速検出手段と、前記車速検出手段により検出され
た車速に基づき、前記車速に依存する制動距離のばらつ
きを低減させるように前記補助制動手段を作動制御する
制御手段とを備えた。
【0008】この発明によれば、制動用の操作手段が操
作されたとき、主制動手段によって前輪と後輪のうち一
方に主制動力が付与される。そして車速検出手段から検
出される車速に基づき補助制動手段が作動制御される。
補助制動手段が作動される際は、主制動手段による制動
力が付与される車輪と前後反対側の車輪に、車速に依存
する制動距離のばらつきを低減させるように補助制動力
が付与される。従って、車速の違いによる制動距離のば
らつきが小さく抑えられ、運転者のストレスが軽減され
る。
【0009】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明において、前記車速検出手段は、前記主制動手
段の作動開始時の車速である初速を検出し、前記制御手
段は、前記初速に基づき前記補助制動手段を作動制御す
る。
【0010】この発明によれば、請求項1に記載の発明
の作用に加え、車速検出手段によって、主制動手段の作
動開始時の車速である初速が検出される。そして制御手
段によって補助制動手段は初速に基づき作動制御され、
初速に依存する制動距離のばらつきが小さく抑えられ
る。
【0011】請求項3に記載の発明では、請求項1又は
2に記載の発明において、前記主制動力が付与される側
の車輪のスリップの有無を判断するためのスリップ値を
検出するスリップ検出手段を備え、前記制御手段は、前
記スリップ検出手段により検出されたスリップ値と、前
記車速検出手段により検出された車速とに基づき、前記
両検出値に依存する制動距離のばらつきを低減させるよ
うな値の補助制動力が得られるように前記補助制動手段
を作動制御する。
【0012】この発明によれば、請求項1又は2に記載
の発明の作用に加え、スリップ検出手段によってスリッ
プ値が検出される。そしてスリップ値と車速とに基づ
き、補助制動手段が作動制御される。補助制動手段の作
動時は、制動距離のばらつきを低減させるような値の補
助制動力が付与される。従って、車速の違いのみなら
ず、スリップの有無による制動距離のばらつきも小さく
抑えられる。
【0013】請求項4に記載の発明では、請求項1〜3
のうちいずれか一項に記載の発明において、前記車速検
出手段により検出された車速が高速とみなし得るしきい
値を超えたか否かを判定する判定手段を備え、前記制御
手段は、前記判定手段の判定により前記車速がしきい値
を超える場合にのみ前記補助制動手段を作動させる。
【0014】この発明によれば、請求項1〜3のうちい
ずれか一項に記載の発明の作用に加え、判定手段によっ
て車速がしきい値を超えて高車速であるか否かが判定さ
れる。そして判定手段により車速が高車速であると判断
された場合にのみ、制御手段によって補助制動手段が作
動される。その結果、車速がしきい値を超えない低車速
では補助制動手段が作動されないので、制動距離のばら
つき低減効果を損なうことなく補助制動手段の駆動頻度
が少なくなる。
【0015】請求項5に記載の発明では、請求項4に記
載の発明において、前記制御手段は前記スリップ値を基
にスリップの有無を判断し、前記判定手段のしきい値は
スリップ時の方が非スリップ時よりも低い値に設定され
ている。
【0016】この発明によれば、請求項4に記載の発明
の作用に加え、スリップ時には、非スリップ時のときと
比較して低い車速でも補助制動手段が作動されるので、
制動距離のばらつきが効果的に小さく抑えられる。
【0017】請求項6に記載の発明では、請求項3〜5
のうちいずれか一項に記載の発明において、前記主制動
力が付与される駆動輪の車輪回転数を検出する駆動輪回
転数検出手段と、従動輪の車輪回転数を検出する従動輪
回転数検出手段とを備え、前記スリップ検出手段は、前
記各回転数検出手段から検出された車輪回転数により求
まる前記駆動輪と従動輪の各車輪速度を用いてすべり速
度を検出し、前記制御手段は、前記すべり速度と車速と
に基づき、両検出値に依存する制動距離のばらつきを低
減させるような値の前記補助制動力が得られるように前
記補助制動手段を作動制御する。
【0018】この発明によれば、請求項3〜5のうちい
ずれか一項に記載の発明の作用に加え、駆動輪回転数検
出手段の検出値から求まる駆動輪の車輪速度と、従動輪
回転数検出手段検出値から求まる従動輪の車輪速度とを
用い、スリップ検出手段によってすべり速度が検出され
る。そしてすべり速度と車速とに基づき、制御手段によ
って補助制動手段が作動制御される。補助制動手段の作
動時は、すべり速度と車速に基づく制動距離のばらつき
を低減させるような値の補助制動力が付与される。従っ
て、スリップの有無や車速の違いによる制動距離のばら
つきが小さく抑えられる。また、スリップ検出にすべり
速度を用いるため、スリップ検出用の制御プログラムが
簡単なもので済む。
【0019】請求項7に記載の発明では、請求項3〜5
のうちいずれか一項に記載の発明において、前記主制動
力が付与される駆動輪の車輪回転数を検出する駆動輪回
転数検出手段と、従動輪の車輪回転数を検出する従動輪
回転数検出手段とを備え、前記スリップ検出手段は、前
記各回転数検出手段から検出された車輪回転数により求
まる前記駆動輪と従動輪の各車輪速度を用いてスリップ
率を検出し、前記制御手段は、前記スリップ率と車速と
に基づき、両検出値に依存する制動距離のばらつきを低
減させるような値の前記補助制動力が得られるように前
記補助制動手段を作動制御する。
【0020】この発明によれば、請求項3〜5のうちい
ずれか一項に記載の発明の作用に加え、駆動輪回転数検
出手段の検出値から求まる駆動輪の車輪速度と、従動輪
回転数検出手段の検出値から求まる従動輪の車輪速度と
を用い、スリップ検出手段によってスリップ率が検出さ
れる。そしてスリップ率と車速に基づき、補助制動手段
が作動制御される。補助制動手段の作動時は、スリップ
率と車速に基づく制動距離のばらつきを低減させるよう
な値の補助制動力が付与される。従って、スリップの有
無や車速の違いによる制動距離のばらつきが小さく抑え
られる。また、スリップ検出にスリップ率を用いるた
め、車速が高速や低速に関係なく正確にスリップが検出
される。
【0021】請求項8に記載の発明では、請求項3〜5
のうちいずれか一項に記載の発明において、前記主制動
手段により主制動が付与される側の車輪回転数を検出す
る車輪回転数検出手段を備え、前記スリップ検出手段
は、前記車輪回転数検出手段から検出された車輪回転数
により求まる前記車輪速度の時間変化を演算することに
よって減速度を検出し、前記制御手段は、前記減速度と
車速とに基づき、両検出値に依存する制動距離のばらつ
きを低減させるような値の前記補助制動力が得られるよ
うに前記補助制動手段を作動制御する。
【0022】この発明によれば、請求項3〜5のうちい
ずれか一項に記載の発明の作用に加え、車輪回転数検出
手段の検出値から求まる主制動が付与される側の車輪の
車輪速度を用い、スリップ検出手段によって車輪速度の
時間変化を演算することで減速度が検出される。そして
減速度と車速に基づき補助制動手段が作動制御される。
補助制動手段の作動時は、減速度と車速に基づく制動距
離のばらつきを低減させるような値の補助制動力が付与
される。従って、スリップの有無や車速の違いによる制
動距離のばらつきが小さく抑えられ、しかもスリップ検
出に必要な検出手段の個数が少なくて済む。
【0023】請求項9に記載の発明では、請求項8に記
載の発明において、前記制御手段は、前記スリップ検出
手段により検出された減速度に基づきスリップと一旦判
断した後は、前記減速度がスリップとみなし得るしきい
値以下の値となってもスリップしているという判断を継
続する。
【0024】この発明では、請求項8に記載の発明の作
用に加え、減速度を用いてスリップを判断する手法を用
いても、スリップ時は確実に補助制動力が付与されて期
待した制動力が得られるうえ、スリップの有無や車速の
違いによる制動距離のばらつきも小さく抑えられる。
【0025】請求項10に記載の発明では、請求項1〜
9のうちいずれか一項に記載の発明において、前記制御
手段は、前記車速検出手段により検出された車速に基づ
き、前記補助制動力の付与時の車速が車両の停止とみな
せる停止車速に達したと判断したとき前記補助制動手段
の作動を解除する。
【0026】この発明によれば、請求項1〜9のうちい
ずれか一項に記載の発明の作用に加え、補助制動力付与
時に車両が停止したとみなせる低車速となれば、制御手
段によって補助制動手段の作動が解除される。従って、
車両停止時に車両に働く停止ショックが緩和される。
【0027】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下、本発明を
具体化したリーチ型フォークリフトの第1実施形態を図
1〜図7に従って説明する。
【0028】図3及び図4に示すように、産業車両とし
てのリーチ型フォークリフトトラック(以下、単にフォ
ークリフトと称す)1は、前二輪・後一輪の3輪車タイ
プであり、車体(機台)2の前部に収容されたバッテリ
3を電源として走行するバッテリ車である。車体2から
は左右一対のリーチレグ4が前方へ延出している。左右
の前輪5は従動輪で、左右のリーチレグ4を構成する各
リーチレール4aの先端部にそれぞれ回転可能に支持さ
れている。車体2の底部後側に位置する後一輪は、駆動
輪と操舵輪を兼ねた後輪6であり、この後輪6は車幅方
向左寄りにオフセットされて位置している。後輪6の右
隣には、所定距離離れた位置に補助輪(キャスタ)7が
設けられている。
【0029】車体2の後部右側部分には立席タイプの運
転席(運転室)8が設けられ、運転室8の後方側が乗降
口となっている。運転室8の前側にある図3に示すイン
ストルメントパネル9には、荷役操作のための荷役レバ
ー10、前後進操作のためのアクセルレバー11が設け
られている。運転室8の左隣に立設する収容ボックス1
2の上面にはハンドル(ステアリングホイール)13が
設けられている。図4に示すように収容ボックス12に
は、ドライブモータ14、荷役用モータ15、荷役用ポ
ンプ16等が収容されている。また車体2の前部には、
オイルタンク18、オイルコントロールバルブ(以下、
コントロールバルブ)19等が収容され、車体2の下部
にはブレーキ・コントロール・バルブユニット(以下、
ブレーキ制御バルブ)20が収容されている。
【0030】車体2の前側には荷役装置としてのマスト
装置21が装備され、荷役レバー10のうちのリーチレ
バー操作時には、コントロールバルブ19を通じて作動
油が給排されてリーチシリンダ22が伸縮駆動すること
によって、マスト装置21はリーチレール4aに沿って
所定ストローク範囲内で前後方向に移動する。また、マ
スト装置21は、マスト23、リフトシリンダ24およ
びフォーク25を備え、荷役レバー10のうちのリフト
レバー操作時には、コントロールバルブ19を通じて作
動油が給排されてリフトシリンダ24が伸縮駆動するこ
とによって、マスト23のスライドに連動してフォーク
25が昇降する。
【0031】図4に示すように、運転席8の床面下方に
配置されたブレーキ制御バルブ20は、コントロールバ
ルブ19と同様に荷役用ポンプ16を油圧供給源とす
る。左右の前輪5には補助制動手段としての補助ブレー
キ装置(前輪ブレーキ装置)26がそれぞれ取付けられ
ている。左右の補助ブレーキ装置26は2本のパイプ2
7を介してそれぞれブレーキ制御バルブ20と接続され
ている。
【0032】リーチレール4aの下面には、前輪回転数
センサ28が取付けられている。前輪回転数センサ28
は例えば磁気センサからなり、前輪5のホイールに形成
された歯部(図示省略)を検出することによって前輪5
の回転数を検出する。なお、前輪回転数センサ28は車
速検出手段を構成している。
【0033】図5は、後輪(駆動輪)のドライブ機構を
示す背面図である。ドライブモータ14の上部には主制
動手段としての主ブレーキ装置(後輪ブレーキ装置)3
1が装備されている。主ブレーキ装置31は、ドライブ
モータ14の回転軸14aと一体回転するディスク32
を、ブレーキパッド31aで挟圧して制動力を得るディ
スクブレーキ装置からなる。主ブレーキ装置31はリン
ク機構33を介してブレーキペダル34と機械的に作動
連結されており、ブレーキペダル34が踏込まれていな
い状態でブレーキがかかる、いわゆるデッドマンブレー
キとなっている。なお、主ブレーキ装置31を作動のた
めに操作するブレーキペダル34が制動用の操作手段を
構成する。
【0034】ドライブモータ14の上部には、ディスク
32の支持部外周面上に周方向に一定ピッチで形成され
た多数の歯部(図示省略)を被検出部とする2つの回転
数センサ35,36が取付けられている。2つの後輪回
転数センサ35,36は、歯部の位相で90゜ずれた位
置に併設されており、90度位相のずれたパルス信号を
それぞれ出力する。
【0035】また、ドライブモータ14は、リアサスペ
ンション機構を構成するリンク部材37の上面に組付け
られており、リンク部材37の下面に相対回動可能に設
けられたギヤボックス38の下部に後輪6は回転可能に
支持されている。ギヤボックス38の上端部に形成され
たステアリングギヤ38aはハンドル13(図3参照)
と作動連結されており、後輪6はハンドル13の操作に
応じて操舵される。また、ステアリングギヤ38aの近
傍には操舵角センサ39が設けられ、操舵角センサ39
はステアリングギヤ38aの回転位置を検出して後輪6
の操舵角(タイヤ角)に応じた電圧値の信号を出力す
る。またブレーキペダル34の踏込み側には、ブレーキ
ペダル34が踏込解除されてブレーキ操作位置にあるこ
とを検知するブレーキスイッチ40が設けられている。
【0036】図1は、フォークリフトの概略構成図(シ
ステム構成図)である。フォークリフト1に備えられた
制御手段としてのコントローラ41には、入力側にブレ
ーキスイッチ40、アクセルセンサ43、荷役操作検知
スイッチ44、前輪回転数センサ28,28、後輪回転
数センサ35,36、操舵角センサ39および圧力スイ
ッチ45が電気的に接続されている。またコントローラ
41の出力側には荷役用モータ15、ブレーキ制御バル
ブ20、電磁弁46,47およびモータ駆動回路48が
電気的に接続されている。モータ駆動回路48には回生
回路48aが内蔵されている。なお、コントローラ41
は、車速検出手段、判定手段も構成する。
【0037】ブレーキスイッチ40は、ブレーキペダル
34の踏込操作が解除されたブレーキ操作検知時にコン
トローラ41にブレーキスイッチ制動信号を出力する。
アクセルセンサ43は、アクセルレバー11の操作位置
を検出し、中立位置からの前進・後進別の操作量に応じ
た電圧値の信号をコントローラ41に出力する。
【0038】コントローラ41は、アクセルセンサ43
からの入力信号値を基にアクセルレバー11の操作方向
および操作量を認識し、操作方向に応じたモータ回転方
向を指令する回転方向指令信号と、操作量に応じたモー
タ出力が得られるようにモータ出力値を指令する出力値
指令信号を、モータ駆動回路48に出力する。またコン
トローラ41は、2つの回転数センサ35,36から入
力する各パルス信号の信号状態(エッジとレベル)の比
較から後輪6の回転方向、つまり車両の進行方向を逐次
検出しており、アクセルレバー11の操作方向が進行方
向と逆である旨(つまりスイッチバック操作の旨)の信
号をアクセルセンサ43から入力すると、これをアクセ
ル制動信号として認識する。コントローラ41はアクセ
ル制動信号を入力すると、スイッチバック中であると判
断してモータ駆動回路48に回生指令信号を出力する。
ドライブモータ14は、モータ駆動回路48に入力され
る回転方向指令信号および出力値指令信号を基に回転方
向制御および出力制御され、モータ駆動回路48に入力
される回生指令信号を基に回生制動制御される。なお、
後輪6に回生ブレーキをかけるドライブモータ14およ
び回生回路48aは主制動手段を構成し、アクセルレバ
ー11は制動用の操作手段を構成する。
【0039】荷役操作検知スイッチ44は、荷役レバー
10が操作されたことを検知するもので、3つのレバー
10a,10b,10c(図2を参照)ごとに設けられ
ている(但し、リフトレバー10aの下降操作は検知さ
れない)。コントローラ41は、荷役操作検知スイッチ
44からの信号を基に荷役レバー10が操作されたこと
を検知すると、荷役用モータ15を駆動する。荷役用モ
ータ15が駆動されることによって荷役用ポンプ16が
駆動され、オイルタンク18からホース50を通じて汲
み上げられた作動油がホース51を通じてコントロール
バルブ19に吐出される。またコントロールバルブ19
から排出される作動油はホース52を通じてオイルタン
ク18に戻される。
【0040】ブレーキ制御バルブ20にはホース51か
ら分岐するホース53が接続され、荷役用ポンプ16か
らの圧油がホース53を通じてブレーキ制御バルブ20
に供給されるようになっている。またブレーキ制御バル
ブ20とオイルタンク18は、ホース54を通じて接続
されている。
【0041】圧力スイッチ45は、ブレーキ制御バルブ
20に設けられたアキュムレータ55の蓄圧値(油圧)
が設定下限値に達したことを検知するものである。コン
トローラ41は、圧力スイッチ45から検知信号を入力
したときにも荷役用モータ15を駆動する。また左右の
補助ブレーキ装置26,26は、ブレーキ制御バルブ2
0の2つの電磁弁46,47を励消磁制御(電流値制御
を含む)するコントローラ41により作動制御される。
【0042】次に図2に示す荷役系及びブレーキ系の油
圧回路について説明する。荷役レバー10(リフトレバ
ー10a、ティルトレバー10b、リーチレバー10
c)はコントロールバルブ19と機械的に連結されてい
る。各レバー10a〜10cが操作されると、荷役操作
検知スイッチ44(図1参照)の検知信号を基にコント
ローラ41により荷役用モータ15が駆動され、各レバ
ー10a,10b,10cの操作に応じてリフトシリン
ダ24,ティルトシリンダ57,リーチシリンダ22の
うち対応するものが駆動される。
【0043】ブレーキ制御バルブ20は、ポンプポート
P、タンクポートT、2つのブレーキポートB1,B2
の計4ポートを備えている。ポンプポートPには荷役用
ポンプ16に繋がるホース53が接続され、タンクポー
トTにはオイルタンク18に繋がるホース54が接続さ
れている。また2つのブレーキポートB1,B2には、
左右の補助ブレーキ装置26,26の各ホイールシリン
ダ58,58に繋がる2本のパイプ27,27がそれぞ
れ接続されている。
【0044】ブレーキ制御バルブ20は、減圧弁59、
逆止弁60、電磁開閉弁(シャットオフ弁)46および
電磁比例式圧力調整弁(リニアソレノイド弁)47を備
え、これら弁46,47,59,60はポンプポートP
とブレーキポートB1,B2を接続する油路61上に直
列で配置されている。減圧弁59はポンプポートPから
入力される油圧を減圧するものである。減圧弁59とシ
ャットオフ弁46の間における油路61上に設けられた
逆止弁60は、アキュムレータ55に畜圧された作動油
の逆流を阻止するもので、アキュムレータ55が設定圧
に達するまで開弁するようにその開弁圧が設定されてい
る。
【0045】コントローラ41は、シャットオフ弁46
とリニアソレノイド弁47の各ソレノイド46a,47
aと電気的に接続されている。シャットオフ弁46は、
ソレノイド46aが消磁されているときバネ46bの付
勢力により閉弁し、ソレノイド46aが励磁されている
とき開弁するオンオフ弁である。また、リニアソレノイ
ド弁47は、コントローラ41からソレノイド47aに
入力された電流値に応じてその出力油圧が一義的に決ま
るようになっている。補助ブレーキ装置26は、ブレー
キ制御バルブ20から出力された液圧がホイールシリン
ダ58に供給されることで作動し、前輪5に制動力を付
与するようになっている。
【0046】コントローラ41はメモリ41aを内蔵し
ている。メモリ41aには、補助ブレーキ装置26を作
動制御するための図7に示す補助ブレーキ制御用プログ
ラムおよび図6に示すマップM1などが記憶されてい
る。
【0047】補助ブレーキ制御用プログラムは、車両制
動時に補助ブレーキ装置26を作動制御するためのもの
である。本例では、この補助ブレーキ制御時の補助ブレ
ーキ力を設定するためにマップM1を使用する。マップ
M1では、車両の速度(車速)Vをパラメータとして、
ホイールシリンダ58に供給される液圧が設定されてい
る。コントローラ41は、車速VからマップM1を参照
して決まる圧油を基に、リニアソレノイド弁47のソレ
ノイド47aに流す電流値を決めている。車速Vがしき
い値V1を超えない低速時には、ブレーキ制御バルブ2
0はホイールシリンダ58の液圧が「0」となるように
制御される。また車速Vがしきい値V1を超える高速時
には、ブレーキ制御バルブ20はホイールシリンダ58
の液圧が「p」となるように制御される。
【0048】次に車速Vの算出方法について説明する。
コントローラ41は、前輪回転数センサ28から単位時
間当たりに入力するパルス数を計数して前輪5の回転速
度を求め、この前輪回転速度と前輪半径とから前輪換算
車速(従動輪換算車速)Vfを算出する。ここで、フォ
ークリフト1は片側の前輪5を中心として旋回する場合
があるので、コントローラ41は左右の前輪5,5のう
ち旋回外輪側の回転数センサ28の入力信号を優先して
使用する。旋回外輪側の回転数センサ28がどちらであ
るかは操舵角センサ39から入力する操舵角θを基に判
定する。なお、直進走行(θ=0)時は、左右のうち予
め定められた一方の回転数センサ28からの入力信号の
み使用する。
【0049】本例では、コントローラ41は、車両旋回
時における前輪5と後輪6の各旋回半径が異なることを
考慮した補正係数K(θ)(操舵角θの関数)をその時
の操舵角θに応じて求め、前輪換算車速Vfにその補正
係数K(θ)を乗じて、後輪位置相当の車速Vを求め
る。これは、フォークリフト1は左右の前輪5間の幅中
心を中心点とするその場旋回をすることがあるので、正
確な車速が得られないからである。従って、旋回外輪側
の前輪5の車速を後輪位置相当の値に換算した車速が採
用されるうえ、前輪5は従動輪でほとんどスリップしな
いため、車速Vは正確な値として採用できる。そしてコ
ントローラ41は、主ブレーキ作動開始時の車速V(即
ち初速Vo)を求め、この車速Vが予め設定されたしき
い値V1を超えたときを高車速と判断する。
【0050】次に補助ブレーキ制御用プログラムの内容
を、図7のフローチャートに従って詳しく説明する。ま
ずステップ(以下「S」と記す)101においては、ブ
レーキスイッチ40からブレーキペダル34の踏込操作
を止めた旨のブレーキスイッチ制動信号、またはアクセ
ルレバー11をスイッチバック操作した旨のアクセル制
動信号を入力したか否かを判断する。これらのいずれか
の信号を入力する際は、後輪6に主制動力(主ブレーキ
力)が発生する。即ち、ブレーキスイッチ制動信号入力
時はブレーキペダル34の踏込操作を止めたことに連動
して機械的に主ブレーキ装置31が作動され、後輪6に
主ブレーキ力が加えらる。一方、アクセル制動信号入力
時はドライブモータ14に回生ブレーキが加えられて後
輪6に主ブレーキ力が加えられる。
【0051】S102においては、ブレーキ制御バルブ
20に対し予備通電を行う。即ち、シャットオフ弁46
を励磁により開弁状態とすると共に、ホイールシリンダ
58が液圧値「0」のままで作動しない程度の既定値の
電流をリニアソレノイド弁47に通電する。
【0052】S103においては、車速Vを算出する。
即ち、主ブレーキ作動開始時において、旋回外輪側の前
輪5の前輪換算車速Vfに補正係数K(θ)を乗じて後
輪位置相当の車速V(即ち初速Vo)を算出する。
【0053】S104においては、車速Vがしきい値V
1以上か否かを判定する。車速Vがしきい値V1以上で
あるなら高車速と判断してS105に移行し、車速Vが
しきい値V1未満であるなら低車速と判断してS109
に移行する。
【0054】S105においては、マップM1より設定
液圧値「p」を読み込む。S106においては、補助ブ
レーキ装置26の作動を指令する。即ち、マップM1か
ら読み込んだ設定液圧値「p」に応じた電流値をリニア
ソレノイド弁47のソレノイド47aに通電する。この
結果、各ホイールシリンダ58,58に設定液圧値
「p」の圧油が供給されて補助ブレーキ装置26が作動
され、前輪5,5にはその設定液圧値「p」に応じた補
助制動力(補助ブレーキ力)が付与される。
【0055】S107においては、車両が停止したか否
かを判定する。即ち、車速Vが車両の停止とみなせる停
止車速(例えば1km/h以下の値)になれば車両停止
と判断し、S109に移行する。また、車両走行中であ
ればS108に移行する。
【0056】S108においては、制動信号が解除され
たか否かを判定する。即ち、ブレーキペダル34が再び
踏込まれたか、あるいはアクセルレバー11が中立位置
に戻されたか否かを判断する。そして、制動信号が解除
されたと判断すればS109に移行し、制動信号が解除
されていないならばS107に戻る。
【0057】S109においては、補助ブレーキ装置2
6,26の停止指令をする。即ち、各電磁弁46,47
のソレノイド46a,47aへの通電を停止する。従っ
て、この実施形態では以下のような効果を得ることがで
きる。
【0058】(1)制動距離が長くなる高速時には補助
ブレーキ装置26を作動させて補助ブレーキ力を前輪5
に付与するので、制動距離の短縮を図れるうえ、車速の
違いによる制動距離のばらつきを小さく抑えることがで
きる。そのため、ブレーキ操作時の車速によってブレー
キ操作の仕方に注意する必要がさほどなくなるので、運
転者のブレーキ操作時のストレスも軽減できる。
【0059】(2)補助ブレーキ装置26を作動させて
も、車両が停止したとみなせる停止車速となったと判断
したときには、補助ブレーキ装置26の作動を解除す
る。従って、車両停止直前では補助ブレーキ装置26の
作動が解除されるので、車両は緩やかに停止し、車両停
止時の停止ショックを防止できる。
【0060】(第2実施形態)次に第2実施形態を図1
〜図5,図8および図9に従って説明する。この実施形
態では、車速のみならずスリップを考慮に入れて補助ブ
レーキ装置26を作動制御する点が前記第1実施形態と
異なっている。ここではブレーキ制御用プログラムおよ
びマップの内容が第1実施形態と異なるのみで、他の構
成は第1実施形態と同じであるので、そのプログラムお
よびマップを中心に説明する。なお、本例において前記
第1実施形態と同一部分に関しては同一符号を付して詳
しい説明は省略する。
【0061】図1に示すように、制御手段としてのコン
トローラ41には、入力側にブレーキスイッチ40、ア
クセルセンサ43、荷役操作検知スイッチ44、従動輪
回転数検出手段としての前輪回転数センサ28,28、
駆動輪回転数検出手段としての後輪回転数センサ35,
36、操舵角センサ39および圧力スイッチ45が電気
的に接続されている。またコントローラ41の出力側に
は荷役用モータ15、ブレーキ制御バルブ20、電磁弁
46,47およびモータ駆動回路48が電気的に接続さ
れている。なお、コントローラ41は、スリップ検出手
段も構成する。
【0062】コントローラ41に内蔵されたメモリ41
aには、補助ブレーキ装置26を作動制御するための図
8に示す補助ブレーキ制御用プログラムおよび図9に示
すマップM2などが記憶されている。
【0063】補助ブレーキ制御用プログラムは、車両制
動時に補助ブレーキ装置26を作動制御するためのもの
である。本例では、この補助ブレーキ制御時の補助ブレ
ーキ力を設定するためにマップM2を使用する。マップ
M2は、後輪6のスリップを判定するための指標となる
スリップ値としてのすべり速度ΔVと、主ブレーキ作動
開始時(制動信号入力時)の速度である初速Voとを2
つのパラメータとし、補助ブレーキ力を決める液圧値が
設定されている。つまり、本例では、すべり速度ΔVと
初速Voから液圧値を決める設定条件としてマップM2
を使用し、ホイールシリンダ58に供給される液圧値を
決めている。コントローラ41は、マップM2を参照し
て決まる液圧値を基に、リニアソレノイド弁47のソレ
ノイド47aに出力する電流値を決めている。
【0064】図9に示すマップM2では、すべり速度Δ
Vがしきい値Vsを超えるスリップ時と、すべり速度Δ
Vがしきい値Vsを超えない非スリップ時とで液圧値の
設定を変えている。スリップ時の場合、液圧値は、初速
Voがしきい値Vlを超える高車速のときに「高液
圧」、初速Voがしきい値Vlを超えない低車速のとき
に「0」となるように設定されている。また、非スリッ
プ時の場合、液圧値は、初速Voがしきい値Vhを超え
る高車速のときに「低液圧」、初速Voがしきい値Vh
を超えない低車速のときに「0」となるように設定され
ている。なお、初速Voのしきい値は、スリップ時の値
Vlより非スリップ時の値Vhの方が大きく設定されて
いる。
【0065】まず後輪6のスリップの検出方法について
説明する。コントローラ41は、前輪回転数センサ28
から単位時間当たりに入力するパルス数を計数して前輪
5の回転速度を求め、この前輪回転速度と前輪半径とか
ら前輪換算車速(従動輪換算車速)Vfを算出する。ま
たコントローラ41は、後輪回転数センサ35から単位
時間当たりに入力するパルス数を計数して後輪6の回転
速度を求め、この後輪回転速度と後輪半径とから後輪換
算車速(駆動輪換算車速)Vrを算出する。ここで、フ
ォークリフトは片側の前輪5を中心として旋回する場合
があるので、コントローラ41は左右の前輪5,5のう
ち旋回外輪側の回転数センサ28の入力信号のみを使用
する。また、旋回外輪側がどちらであるかは操舵角セン
サ39から入力する操舵角θを基に判定する。なお、直
進走行(θ=0)時は、左右のうち予め定められた一方
の回転数センサ28からの入力信号のみ使用する。
【0066】本例では、コントローラ41は、車両旋回
時における前輪5と後輪6の各旋回半径が異なることを
考慮した補正係数K(θ)(操舵角θの関数)をその時
の操舵角θに応じて求め、前輪換算車速Vfにその補正
係数K(θ)を乗じて、後輪位置相当の車速Vを求め
る。前輪5は従動輪でほとんどスリップせず、この車速
Vは後輪6がスリップしていないときの後輪換算車速V
rに相当する。そしてコントローラ41は、この車速V
と後輪換算車速Vrとの差を計算してスリップ値として
の「すべり速度」ΔV(=V−Vr)を求める。コント
ローラ41は、このすべり速度ΔVが予め設定されたし
きい値Vsを超えたときを、後輪6のスリップと判定す
る。しきい値Vsには、後輪6と路面との摩擦係数が静
止摩擦領域から動摩擦領域に移行する境界付近の値が設
定されており、例えばスリップ率換算で0.2付近の値
が設定されている。
【0067】次に車速V、初速Voの検出方法について
説明する。コントローラ41は、前述したように旋回外
輪側の前輪5の前輪換算車速Vfに補正係数K(θ)を
乗じて算出された値を車速Vとして使用する。そしてコ
ントローラ41は、主ブレーキ作動開始時の車速Vを初
速Voとして認識し、その初速Voをメモリ41aに記
憶する。
【0068】次に補助ブレーキ制御用プログラムの内容
を、図8のフローチャートに従って詳しく説明する。ま
ずS201においては、ブレーキスイッチ40からブレ
ーキペダル34の踏込操作を止めた旨のブレーキスイッ
チ制動信号、またはアクセルレバー11をスイッチバッ
ク操作した旨のアクセル制動信号を入力したか否かを判
断する。これらのいずれかの信号を入力する際は、後輪
6に主ブレーキ力が発生する。即ち、ブレーキスイッチ
制動信号入力時はブレーキペダル34の踏込操作を止め
たことに連動して機械的に主ブレーキ装置31が作動さ
れ、後輪6に主ブレーキ力が加えらる。一方、アクセル
制動信号入力時はドライブモータ14に回生ブレーキが
加えられて後輪6に主ブレーキ力が加えられる。
【0069】S202においては、ブレーキ制御バルブ
20に対し予備通電を行う。即ち、シャットオフ弁46
を励磁により開弁状態とすると共に、ホイールシリンダ
58が液圧値「0」のままで作動しない程度の既定値の
電流をリニアソレノイド弁47に通電する。
【0070】S203においては、初速Voを算出する
とともにその値を記憶する。即ち、主ブレーキ作動開始
時において、操舵角センサ39の検出値θから旋回外輪
側の前輪回転数センサ28を割出し、その旋回外輪側の
前輪回転数センサ28から単位時間当たりに入力するパ
ルス数により前輪換算車速Vfを算出する。そして前輪
換算車速Vfに補正係数K(θ)を乗じて後輪位置相当
の車速Vを算出し、この主ブレーキ開始時の車速を初速
Voとして記憶する。
【0071】S204においては、スリップ検出のため
のすべり速度ΔVを算出する。即ち、前輪換算車速Vf
に補正係数K(θ)を乗じた後輪位置相当の車速Vと、
後輪換算車速Vrとの差を演算することで、すべり速度
ΔV(=V−Vr)を算出する。
【0072】S205においては、マップM2より設定
液圧値を読み込む。即ち、S203で算出・記憶した初
速Voと、S204で算出したすべり速度ΔVとをパラ
メータとし、これら2つのパラメータVo,ΔVからマ
ップM2を参照して設定液圧値を求める。
【0073】S206においては、設定液圧値が「0」
か否かを判定する。ここで設定液圧値が「0」であるな
らS207に移行し、設定液圧値が「0」でないならS
208に移行する。
【0074】S207においては、ブレーキ制御バルブ
20に予備通電を残した状態のまま、補助ブレーキ装置
26の停止を指令する。即ち、リニアソレノイド弁47
への通電電流が予備通電分の電流値に維持または低下さ
れて、補助ブレーキ装置26の作動が停止される。
【0075】S208においては、補助ブレーキ装置2
6の作動を指令する。即ち、マップM2から読み込んだ
設定液圧値に応じた電流値をリニアソレノイド弁47の
ソレノイド47aに通電する。この結果、各ホイールシ
リンダ58,58に設定液圧値の圧油が供給されて補助
ブレーキ装置26が作動され、前輪5,5には設定液圧
値に応じた補助ブレーキ力が付与される。
【0076】S209においては、車両が停止したか否
かを判定する。即ち、車速Vが車両の停止とみなせる停
止車速(例えば1km/h以下の値)になれば車両停止
と判断し、S211に移行する。また、車両走行中であ
ればS210に移行する。
【0077】S210においては、制動信号が解除され
たか否かを判定する。即ち、ブレーキペダル34が再び
踏込まれたか、あるいはアクセルレバー11が中立位置
に戻されたか否かを判断する。そして、制動信号が解除
されたと判断すればS211に移行し、制動信号が解除
されていないならばS204に戻る。
【0078】S211においては、補助ブレーキ装置2
6,26の停止指令をする。即ち、各電磁弁46,47
のソレノイド46a,47aへの通電を停止する。次
に、フォークリフト1のブレーキ操作時の制御を説明す
る。ブレーキ操作がなされた際、後輪6がスリップして
おらず、ブレーキ操作時に初速Voが小さい場合(Vo
≦Vh)には、補助ブレーキ装置26,26は作動され
ず、後輪6の主ブレーキ力のみで車両は制動する。また
後輪6がスリップしていなくても、初速Voが大きい場
合(Vo>Vh)には「低液圧」の圧油がホイールシリ
ンダ58に供給されて補助ブレーキ装置26,26が作
動される。この結果、高速時には、後輪6に付与される
主ブレーキ力に加え「低液圧」に応じた弱い補助ブレー
キ力が前輪5に付与される。
【0079】また、積荷時は後輪6の輪重が小さくな
り、特にマスト装置21をリーチアウトさせた状態では
後輪6の輪重が一層小さくなる。このように輪重が小さ
くなっている後輪6が例えば水漏れ路面に位置する時に
ブレーキ操作をした際は、後輪6のスリップが発生し易
い。この際、スリップ時でも初速Voが小さい場合(V
o≦Vl)には、補助ブレーキ装置26は作動されず、
後輪6の主ブレーキ力のみで車両は制動する。また、初
速Voが大きい場合(Vo>Vl)には、「高液圧」の
圧油がホイールシリンダ58に供給されて補助ブレーキ
装置26,26が作動される。この結果、後輪6がスリ
ップしたときには、前輪5,5に強い補助ブレーキが付
与される。この際、スリップ時のしきい値Vlを非スリ
ップ時のしきい値Vhよりも低く設定することで、相対
的に車速が低い場合であっても制動距離が比較的長くな
るスリップ時には補助ブレーキ力が付与される。そのた
め、スリップしていても制動距離のばらつきが小さく抑
えられる。
【0080】従って、この実施形態では前記第1実施形
態と同様に、(1)車速の違いによる制動距離のばらつ
き抑制、(2)車両停止時における停止ショックの防
止、等の効果が得られる他に以下の効果も得ることがで
きる。
【0081】(3)初速Voとすべり速度ΔVをパラメ
ータとするマップM2を基に、段階的に設定された液圧
値の中から制動距離のばらつきが低減されるような値の
設定値が選択される。そして補助ブレーキ装置26は、
初速Voやすべり速度ΔVに応じて制動距離のばらつき
を低減させる補助ブレーキ力を前輪5に付与するので、
スリップの有無や車速の違いによる制動距離のばらつき
が小さく抑えられる。
【0082】(4)リーチ型のフォークリフト1は、す
べり速度ΔVを用いてスリップを検出することが可能な
比較的低い速度で走行することが一般的であるので、ス
リップ判定にすべり速度ΔVが使用できる。従って、す
べり速度ΔVを使用するので、スリップ検出のためのプ
ログラムが簡単なもので済む。
【0083】(5)しきい値Vh,Vlを超えない低車
速では液圧値を「0」に設定し、補助ブレーキ装置26
を作動させないようにしている。そのため、制動距離の
短縮効果を損なうことなく補助ブレーキ装置26の駆動
頻度を低減できる。またスリップ時には車速が相対的に
低い場合であっても制動距離が長くなる傾向にあるが、
しきい値VlをVhよりも低く設定することによって、
スリップしていても制動距離のばらつきを小さく抑える
ことができる。
【0084】(第3実施形態)次に第3実施形態につい
て図10〜図13に従って説明する。本例ではスリップ
の検出に減速度(加速度)を用いて、前輪回転数センサ
を使用しない点が前記第2実施形態と異なっており、他
の構成は同じである。なお、本例でも補助ブレーキ用制
御プログラムおよびマップを中心に説明する。
【0085】図11に示すように、コントローラ41に
は、入力側にブレーキスイッチ40、アクセルセンサ4
3、荷役操作検知スイッチ44、車輪回転数検出手段と
しての後輪回転数センサ35,36、操舵角センサ39
および圧力スイッチ45が電気的に接続されている。ま
たコントローラ41の出力側には荷役用モータ15、ブ
レーキ制御バルブ20、電磁弁46,47およびモータ
駆動回路48が電気的に接続されている。
【0086】コントローラ41のメモリ41aには、補
助ブレーキ装置26を作動制御するための図12に示す
補助ブレーキ制御用プログラムおよび図10に示すマッ
プM3などが記憶されている。
【0087】補助ブレーキ制御用プログラムは、車両制
動時に補助ブレーキ装置26を作動制御するためのもの
である。本例では、この補助ブレーキ制御時の補助ブレ
ーキ力を設定するためにマップM3を使用する。マップ
M3は、後輪(駆動輪)6のスリップを判定するための
指標となる減速度Aと、主ブレーキ作動開始時の車速で
ある初速Voとを2つのパラメータとし、補助ブレーキ
力を決める液圧値が設定されている。つまり、本例で
は、減速度Aと初速Voから液圧値を決める設定条件と
してマップM3を使用し、ホイールシリンダ58に供給
される液圧値を決めている。コントローラ41は、マッ
プM3を参照して決まる液圧値を基に、リニアソレノイ
ド弁47のソレノイド47aに出力する電流値を決めて
いる。
【0088】図10に示すマップM3では、減速度Aが
しきい値Asを超えるスリップ時と、減速度Aがしきい
値Asを超えない非スリップ時とで液圧値の設定を変え
ている。スリップ時の場合、液圧値は、初速Voがしき
い値Vlを超える高車速のときに「高液圧」、初速Vo
がしきい値Vlを超えない低車速のときに「0」となる
ように設定されている。また、非スリップ時の場合、液
圧値は、初速Voがしきい値Vhを超える高車速のとき
に「低液圧」、初速Voがしきい値Vhを超えない低車
速のときに「0」となるように設定されている。なお、
初速Voのしきい値は、非スリップ時の値Vhよりスリ
ップ時の値Vhの方が小さく設定されている。また、し
きい値Asは、後輪6の主ブレーキ装置31によって車
両に発生す最大制動力を、車両が最も軽くなる空荷状態
のときの車両重量で除算して得られる最大減速度(最大
加速度)よりやや大きな値に設定されている。即ちコン
トローラ41は、後輪6の減速度Aが通常の走行では起
こり得ない大きな値をとったときを後輪6のスリップと
して判定する。
【0089】次に車速Vおよび減速度の算出方法につい
て説明する。コントローラ41は後輪回転数センサ35
からの単位時間当たりの入力パルス数から後輪6の回転
速度を求め、この後輪回転速度と後輪半径とから後輪換
算車速Vrを算出する。そしてコントローラ41はこの
後輪換算車速Vrを車速Vとして、この車速Vの時間変
化を計算することで減速度Aを算出する。
【0090】またコントローラ41は、主ブレーキ作動
開始時の車速Vを初速Voとして使用する。なお車速V
は後輪換算車速Vrの値を用いているため、後輪6がタ
イヤロックしたときには「0」となって正確な値を表さ
なくなる場合があるが、主ブレーキ作動開始時(制動信
号入力時)は主ブレーキがかかり始めるところであり後
輪6がスリップすることはまずないので、車速Vおよび
初速Voは正確な値を表している。
【0091】図13は、一定車速で走行するフォークリ
フト1にブレーキ操作をしたとき、後輪がスリップして
ロックした場合の後輪の減速度の変化を図示したグラフ
である。ここで、主ブレーキ作動開始時をt=0として
いる。同図から分かるが、減速度Aがしきい値Asを超
える場合にスリップと判定されるが、その後、後輪6が
ロックする(t=t1)と減速度Aは「0」に収束す
る。このとき減速度Aがしきい値Asを下回るため、後
輪6がスリップ(ロック)していながらスリップしてい
ないと判定される不具合が生じる。そのため、本例では
減速度Aが一旦しきい値Asを超えたときは、しきい値
Asを超えた状態が維持されるようなスリップ判定処理
を採用している。即ち、制御サイクルごとに算出する減
速度Aと初減速度Aoの大小を比較し、減速度Aと初減
速度Aoのうち大きい方の値を、減速度Aとして使用す
るとともに、大小関係に応じた初減速度Aoを設定す
る。
【0092】このスリップ判定処理によれば、後輪6が
ロックする以前(t≦t1)では制御サイクルごとに毎
回算出される減速度Aがパラメータとして使用される。
また、ロック以降(t>t1)で毎回算出される減速度
Aの値が下降し始めてからは、それまでの最高値が減速
度Aの値として使用される。即ち図13のグラフにおい
て、点線で示すように最大値Amaxがホールドされる
ことになる。
【0093】次に補助ブレーキ制御用プログラムの内容
を、図12のフローチャートに従って詳しく説明する。
まずS301においては、ブレーキスイッチ40からブ
レーキペダル34の踏込操作を止めた旨のブレーキスイ
ッチ制動信号、またはアクセルレバー11をスイッチバ
ック操作した旨のアクセル制動信号を入力したか否かを
判断する。これらのいずれかの信号を入力する際は、後
輪6に主ブレーキ力が発生する。即ち、ブレーキスイッ
チ制動信号入力時はブレーキペダル34の踏込操作を止
めたことに連動して機械的に主ブレーキ装置31が作動
され、後輪6に主ブレーキ力が加えらる。一方、アクセ
ル制動信号入力時はドライブモータ14に回生ブレーキ
が加えられて後輪6に主ブレーキ力が加えられる。
【0094】S302においては、ブレーキ制御バルブ
20に対し予備通電を行う。即ち、シャットオフ弁46
を励磁により開弁状態とすると共に、ホイールシリンダ
58が液圧値「0」のままで作動しない程度の既定値の
電流をリニアソレノイド弁47に通電する。
【0095】S303においては、初速Voを算出する
とともに記憶する。即ち、主ブレーキ作動開始時におい
て、後輪回転数センサ35から単位時間当たりに入力す
るパルス数により後輪換算車速Vrを算出する。そして
後輪換算車速Vrを車速Vとして使用し、この主ブレー
キ作動開始時の車速Vを初速Voとして記憶する。
【0096】S304においては、初減速度Aoの初期
値「0」を設定する。S305においては、減速度Aを
算出する。即ち、主ブレーキ開始時の車速Vの時間変化
を計算することにより減速度A(=車速Vの変化量/Δ
t(但しΔtは制御サイクル周期))を算出する。
【0097】S306においては、減速度Aが初減速度
Ao以上か否かを判定する。ここでA≧Aoが成立する
ならS307に移行し、A≧Aoが不成立ならS308
に移行する。
【0098】S307においては、S305で算出した
減速度Aの値を初減速度Aoとして設定する。S308
においては、初減速度Aoの値を減速度Aとして設定す
る。
【0099】S309においては、マップM3より設定
液圧値を読み込む。即ち、初速Voと減速度Aとをパラ
メータとし、マップM3を参照して設定液圧値を求め
る。S310においては、設定液圧値が「0」か否かを
判定する。ここで設定液圧値が「0」であるならS31
1に移行し、設定液圧値が「0」でないならS312に
移行する。
【0100】S311においては、ブレーキ制御バルブ
20に予備通電を残した状態のまま、補助ブレーキ装置
26の停止を指令する。即ち、リニアソレノイド弁47
への通電電流が予備通電分の電流値のみとなり、補助ブ
レーキ装置26の作動が停止される。
【0101】S312においては、補助ブレーキ装置2
6の作動を指令する。即ち、マップM3から読み込んだ
設定液圧値に応じた電流値をリニアソレノイド弁47の
ソレノイド47aに通電する。この結果、各ホイールシ
リンダ58,58に設定液圧値の圧油が供給されて補助
ブレーキ装置26が作動され、前輪5,5には設定液圧
値に応じた補助ブレーキ力が付与される。
【0102】S313においては、車両が停止したか否
かを判定する。車両が停止したか否かを判定する。即
ち、車速Vが車両の停止とみなせる停止車速(例えば1
km/h以下の値)になれば車両停止と判断し、S31
5に移行する。また、車両走行中であればS314に移
行する。
【0103】S314においては、制動信号が解除され
たか否かを判定する。即ち、ブレーキペダル34が再び
踏込まれたか、あるいはアクセルレバー11が中立位置
に戻されたか否かを判断する。そして、制動信号が解除
されたと判断すればS315に移行し、制動信号が解除
されていないならばS305に戻る。
【0104】S315においては、補助ブレーキ装置2
6,26の停止指令をする。即ち、各電磁弁46,47
のソレノイド46a,47aへの通電を停止する。従っ
て、ブレーキ操作したときに後輪6がスリップしない非
スリップ時は、ブレーキ操作時の初速Voが低車速域
(Vo≦Vh)にあれば補助ブレーキ装置26は作動さ
れず主ブレーキ力のみで制動される。また、ブレーキ操
作時の初速Voが高車速域(Vo>Vh)にあれば「低
液圧」で補助ブレーキ装置26が作動され、弱めの補助
ブレーキ力が前輪5に付与される。一方、ブレーキ操作
をしたときに後輪6がスリップしたときに後輪6がスリ
ップしたスリップ時は、ブレーキ操作時の初速Voが低
車速域(Vo≦Vl)にあれば主ブレーキ力のみで制動
される。また、ブレーキ操作時の初速Voが高車速域
(Vo>Vl)にあれば「高液圧」で補助ブレーキ装置
26が作動され、強めの補助ブレーキ力が補助ブレーキ
装置26によって前輪に付与される。その結果、スリッ
プの有無や車速の違いによる制動距離のばらつきが小さ
く抑えられる。
【0105】従って、この実施形態では前記各実施形態
と同様に、(1)車速の違いによる制動距離のばらつき
抑制、(2)車両停止時における停止ショックの防止、
(3)車速の違いのみならずスリップの有無による制動
距離のばらつき抑制、(5)制動距離の短縮効果、等の
効果が得られる他に以下の効果も得ることができる。
【0106】(6)後輪6の減速度を用いてスリップ検
出を行うので、スリップ検出のために例えば前輪回転数
センサが不要になり、センサ系の部品を減らすことがで
きる。
【0107】(7)後輪6がロックしたとき、マップM
3のパラメータとして使用される減速度Aはそれまで検
出された中の最大値Amaxが用いられる。従って、後
輪6の減速度によりスリップを判定する方法を用いて
も、少なくとも後輪6のスリップ中は補助ブレーキ装置
26が作動されるような適切な設定液圧値を得ることが
できる。
【0108】なお、実施形態は前記に限定されるもので
はなく、例えば、次のように変更してもよい。 ○ 前記第2実施形態において、すべり速度ΔVに代え
てスリップ率(=(V−Vr)/V)を用いてもよい。
ここでは、図8のフローチャートにおいて、S204の
処理が「スリップ率の算出」に置き替わる。また図9の
マップM2において、横軸が「スリップ率」に置き替わ
り、その時のしきい値はスリップ率のしきい値「Vt」
に置き替わる。この場合、スリップ率がしきい値Vtを
超えない場合に非スリップと判断され、しきい値Vtを
超える場合にスリップと判断される。スリップ率は車速
に拘わらず一義的に決まるので、車速の違いに影響され
ずに正確なスリップ判定ができる。特に、路面に対する
車輪のグリップ力を確保するにはスリップ率で0.1〜
0.3の値が好適であるので、例えばしきい値Vtを
0.2〜0.3の範囲内に設定し、しきい値Vtを超え
る場合に補助ブレーキ装置26を作動させるようする。
【0109】○ 前記第1実施形態において、しきい値
V1を超えたときに設定される液圧が車速に応じて連続
的に決まる図14に示すマップM4を使用することもで
きる。この場合、制動距離のばらつきを一層小さく抑え
ることができる。また前記第2および第3実施形態で
も、設定液圧値は各パラメータに応じて連続的に決まる
ものでもよい。
【0110】○ 前記第2および第3実施形態におい
て、液圧値が3段階に設定されていることに限定されな
い。例えば図15に示すように、スリップ時において初
速Voのしきい値を2つ設けることで、液圧値が
「0」、「低液圧」、「中液圧」、「高液圧」の4段階
に設定されたマップM5を使用することもできる。さら
には液圧値が5段階以上に設定されていてもよい。この
ような場合も、制動距離のばらつきを一層小さく抑える
ことができる。
【0111】○ 前記各実施形態において、補助ブレー
キ力は常時付与されてもよい。例えば第1実施形態にお
いて、車速Vがしきい値V1以下の低車速域で、制動距
離のばらつきを低減させるような値の補助ブレーキ力が
付与される液圧値を設定する。また第2および第3実施
形態において、初速Voがしきい値Vh,Vl以下の領
域で、制動距離のばらつきを低減させるような値の補助
ブレーキ力が付与される液圧値を設定する。この場合
も、制動距離のばらつきが小さく抑えられるうえ、制動
距離を一層短縮することができる ○ 前記各実施形態において、設定液圧値を決めるパラ
メータとして使用する車速は主ブレーキ作動開始時の初
速Voに限定されない。例えば制動用の操作手段を所定
操作量以上で操作し、その操作開始から一定時間経過後
であるにも拘わらず車速が所定のしきい値を下回らない
場合に補助ブレーキ装置26を作動させる制御方法もと
ることもできる。この場合、ブレーキ操作開始から一定
時間後の車速がパラメータとなる。
【0112】○ 前記第2および第3実施形態におい
て、スリップの有無に拘わらず初速Voのしきい値は同
じ値であってもよい。 ○ 前記第2実施形態において、スリップ判定に車速V
に応じてすべり速度とスリップ率を使い分けることもで
きる。例えば、高速時にはスリップ率を、低速時にはす
べり速度ΔVを用いてスリップを検出する。この場合も
車速に拘わらずスリップの検出ができる。
【0113】○ フォークリフト1は前輪5が従動輪で
後輪6が駆動輪である構造に限定されない。例えば、前
輪5および後輪6が共に駆動輪である3WDでもよい。
つまり、3WDのフォークリフトにおいて、後輪に主ブ
レーキを付与してその後輪がスリップしたとき、前輪に
補助ブレーキを付与し、制動距離の短縮を図る。また、
前輪5が駆動輪で後輪6が従動輪でもよく、この場合、
前輪5に主ブレーキ装置31が装備され、後輪6に補助
ブレーキ装置26が装備され、後輪6から実車速が求ま
る。
【0114】○ 補助ブレーキ装置26や主ブレーキ装
置31としてどんな方式のブレーキ装置も採用できる。
例えば補助ブレーキ装置26としてディスクブレーキ装
置を採用できる。また主ブレーキ装置31としてドラム
ブレーキ装置を採用できる。また、補助制動手段はドラ
ムブレーキ装置に代えて、例えば回生ブレーキであって
もよい。例えば3WDのフォークリフトにおいて、主ブ
レーキ作動時に検出したパラメータに応じた強さの回生
ブレーキを前輪5に発生させ、制動距離の短縮を図るよ
うにしてもよい。
【0115】○ 産業車両はリーチ型フォークリフトト
ラックに限定されず、例えばカウンタバランス型やオー
ダーピッキング型などの他のタイプのフォークリフトに
適用することもできる。その他、主制動のかかる車輪が
スリップしたときに、主制動のかかる車輪と前後反対側
の車輪に補助制動力を付与する構成を、フォークリフト
以外の他の産業車両で実施することができる。
【0116】前記実施形態及び別例から把握できる請求
項以外の技術的思想について、以下にその効果とともに
記載する。 (1)請求項1〜10において、前記主制動手段による
制動力が付与される車輪は、前記前輪と後輪のうち車両
に装備された荷役装置(21)の積載荷重が大きいほど
輪重が小さくなる側の車輪であり、前記補助制動手段に
よる補助制動力が付与される車輪は、前記荷役装置の積
載荷重が大きいほど輪重が大きくなる側の車輪である。
この場合、積荷時は主制動力が付与される側の車輪の輪
重がより小さくなってその車輪がスリップし易くなる
が、そのとき輪重が大きくなる側の車輪に補助制動力が
付与されるので、効果的に制動距離を短縮できる。
【0117】(2)請求項1〜10において、前記産業
車両の前側には、荷役装置(21)が前後方向に移動可
能に設けられている。この場合、荷役装置が前方へ移動
して主制動力が付与される側の車輪の輪重がより小さく
なってその車輪がスリップし易くなるが、補助制動力が
付与されることで制動距離を効果的に短縮できる。
【0118】(3)請求項8において、前記主制動用の
操作手段の操作開始から今までに検出された減速度と、
新たに検出された減速度との大小を比較する処理(S3
06)をし、その大きい方の減速度をパラメータとして
使用する処理(S307,S308)を実行する。この
場合、新たに検出された減速度の方が大きいときはその
値を基に補助制動力の値が設定され、新たに検出された
減速度の方が小さいときは主制動用の操作手段の操作開
始から今までに検出された減速度が使用されることで、
制動距離を低減させるような適切な値の補助制動力を付
与できる。
【0119】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1〜10のう
ちいずれか一項に記載の発明によれば、車速に依存する
制動距離のばらつきを低減させるように補助制動手段を
作動制御するので、低速時と高速時の制動距離のばらつ
きを小さくでき、制動時の車速の大小に起因する運転者
のストレスを軽減できる。
【0120】請求項3〜10のうちいずれか一項に記載
の発明によれば、車速とスリップ値を基に、それらに依
存する制動距離のばらつきを低減させるように補助制動
手段を作動制御するので、スリップの有無や車速の違い
による制動距離のばらつきを小さく抑えることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態のフォークリフトの概略構成
図。
【図2】 荷役系及びブレーキ系の油圧回路図。
【図3】 フォークリフトの側面図。
【図4】 フォークリフトの平面図。
【図5】 後輪のドライブ機構を示す背面図。
【図6】 補助ブレーキ制御に使用されるマップ。
【図7】 補助ブレーキ制御用プログラムを示すフロー
チャート。
【図8】 第2実施形態の補助ブレーキ制御用プログラ
ムを示すフローチャート。
【図9】 補助ブレーキ制御に使用されるマップ。
【図10】 第3実施形態の補助ブレーキ制御に使用さ
れるマップ。
【図11】 フォークリフトの概略構成図。
【図12】 補助ブレーキ制御用プログラムを示すフロ
ーチャート。
【図13】 減速度の変化を示すグラフ。
【図14】 他の別例における補助ブレーキ制御用のマ
ップ。
【図15】 他の別例における補助ブレーキ制御用のマ
ップ。
【図16】 従来のフォークリフトの側面図。
【符号の説明】
1…産業車両としてのリーチ型フォークリフトトラッ
ク、5…前輪、6…後輪(駆動輪)、11…操作手段と
してのアクセルレバー、14…主制動手段を構成するド
ライブモータ、26…補助制動手段としての補助ブレー
キ装置(前輪ブレーキ装置)、28…車速検出手段を構
成するとともに従動輪回転数検出手段としての前輪回転
数センサ、31…主制動手段としての主ブレーキ装置
(後輪ブレーキ装置)、34…操作手段としてのブレー
キペダル、35…車速検出手段を構成するとともに駆動
輪回転数検出手段および車輪回転数検出手段を構成する
後輪回転数センサ、41…車速検出手段、スリップ検出
手段、判定手段を構成するとともに制御手段としてのコ
ントローラ、48a…主制動手段を構成する回生回路、
ΔV…スリップ値としてのすべり速度、V…車速、Vo
…車速としての初速、A…スリップ値としての減速度、
Vh,Vl…しきい値。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制動用の操作手段が操作されたことに基
    づき作動され、前輪と後輪のうち一方に主制動力を付与
    する主制動手段と、 前記前輪と後輪のうち、前記主制動手段による制動力が
    付与される車輪と前後反対側の車輪に、前記主制動手段
    を補助するための補助制動力を付与する補助制動手段
    と、 車両の車速を検出する車速検出手段と、 前記車速検出手段により検出された車速に基づき、前記
    車速に依存する制動距離のばらつきを低減させるように
    前記補助制動手段を作動制御する制御手段とを備えた産
    業車両のブレーキ制御装置。
  2. 【請求項2】 前記車速検出手段は、前記主制動手段の
    作動開始時の車速である初速を検出し、前記制御手段
    は、前記初速に基づき前記補助制動手段を作動制御する
    請求項1に記載の産業車両のブレーキ制御装置。
  3. 【請求項3】 前記主制動力が付与される側の車輪のス
    リップの有無を判断するためのスリップ値を検出するス
    リップ検出手段を備え、 前記制御手段は、前記スリップ検出手段により検出され
    たスリップ値と、前記車速検出手段により検出された車
    速とに基づき、前記両検出値に依存する制動距離のばら
    つきを低減させるような値の補助制動力が得られるよう
    に前記補助制動手段を作動制御する請求項1又は2に記
    載の産業車両のブレーキ制御装置。
  4. 【請求項4】 前記車速検出手段により検出された車速
    が高速とみなし得るしきい値を超えたか否かを判定する
    判定手段を備え、 前記制御手段は、前記判定手段の判定により前記車速が
    しきい値を超える場合にのみ前記補助制動手段を作動さ
    せる請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の産業車両
    のブレーキ制御装置。
  5. 【請求項5】 前記制御手段は前記スリップ値を基にス
    リップの有無を判断し、前記判定手段のしきい値はスリ
    ップ時の方が非スリップ時よりも低い値に設定されてい
    る請求項4に記載の産業車両のブレーキ制御装置。
  6. 【請求項6】 前記主制動力が付与される駆動輪の車輪
    回転数を検出する駆動輪回転数検出手段と、従動輪の車
    輪回転数を検出する従動輪回転数検出手段とを備え、 前記スリップ検出手段は、前記各回転数検出手段から検
    出された車輪回転数により求まる前記駆動輪と従動輪の
    各車輪速度を用いてすべり速度を検出し、前記制御手段
    は、前記すべり速度と車速とに基づき、両検出値に依存
    する制動距離のばらつきを低減させるような値の前記補
    助制動力が得られるように前記補助制動手段を作動制御
    する請求項3〜5のうちいずれか一項に記載の産業車両
    のブレーキ制御装置。
  7. 【請求項7】 前記主制動力が付与される駆動輪の車輪
    回転数を検出する駆動輪回転数検出手段と、従動輪の車
    輪回転数を検出する従動輪回転数検出手段とを備え、 前記スリップ検出手段は、前記各回転数検出手段から検
    出された車輪回転数により求まる前記駆動輪と従動輪の
    各車輪速度を用いてスリップ率を検出し、前記制御手段
    は、前記スリップ率と車速とに基づき、両検出値に依存
    する制動距離のばらつきを低減させるような値の前記補
    助制動力が得られるように前記補助制動手段を作動制御
    する請求項3〜5のうちいずれか一項に記載の産業車両
    のブレーキ制御装置。
  8. 【請求項8】 前記主制動手段により主制動が付与され
    る側の車輪回転数を検出する車輪回転数検出手段を備
    え、 前記スリップ検出手段は、前記車輪回転数検出手段から
    検出された車輪回転数により求まる前記車輪速度の時間
    変化を演算することによって減速度を検出し、前記制御
    手段は、前記減速度と車速とに基づき、両検出値に依存
    する制動距離のばらつきを低減させるような値の前記補
    助制動力が得られるように前記補助制動手段を作動制御
    する請求項3〜5のうちいずれか一項に記載の産業車両
    のブレーキ制御装置。
  9. 【請求項9】 前記制御手段は、前記スリップ検出手段
    により検出された減速度に基づきスリップと一旦判断し
    た後は、前記減速度がスリップとみなし得るしきい値以
    下の値となってもスリップしているという判断を継続す
    る請求項8に記載の産業車両のブレーキ制御装置。
  10. 【請求項10】 前記制御手段は、前記車速検出手段に
    より検出された車速に基づき、前記補助制動力の付与時
    の車速が車両の停止とみなせる停止車速に達したと判断
    したとき前記補助制動手段の作動を解除する請求項1〜
    9のうちいずれか一項に記載の産業車両のブレーキ制御
    装置。
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