JP2002019595A - 産業車両のブレーキ制御装置 - Google Patents

産業車両のブレーキ制御装置

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JP2002019595A
JP2002019595A JP2000207896A JP2000207896A JP2002019595A JP 2002019595 A JP2002019595 A JP 2002019595A JP 2000207896 A JP2000207896 A JP 2000207896A JP 2000207896 A JP2000207896 A JP 2000207896A JP 2002019595 A JP2002019595 A JP 2002019595A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 制動距離を長くする要因となる車両状態や走
行状態にあってもその制動距離を短縮し、かつ、荷重の
違いによる制動距離のばらつきを小さく抑える。 【解決手段】 コントローラ41は主ブレーキ作動時
に、後輪6のスリップの有無を検出するすべり速度と、
車両総重量との2つをパラメータとするマップから設定
液圧値を求める。そして、マップから決まる設定液圧値
に応じた圧油を前輪ブレーキ装置26に供給するように
ブレーキ制御バルブ20を励消磁制御する。その結果、
前輪ブレーキ装置26は設定液圧値に応じた補助ブレー
キ力を前輪5に付与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、産業車両のブレー
キ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のリーチ式フォークリフト
トラック(以下、単にフォークリフトと称す)のブレー
キ装置として、例えば特開平9−233604号公報に
開示されるものがあり、図12は同公報にて開示された
フォークリフトの概略構成図である。フォークリフト7
1は、従動輪である前輪72と駆動輪且つ操舵輪である
後輪73とを備えている。運転室74の床面にはフット
ペダル75が設けられ、フットペダル75の踏込み側に
はリミットスイッチ75aが設けられている。このフォ
ークリフト71では、運転者がフットペダル75を踏込
むことによりこのリミットスイッチ75aがオンされて
ブレーキが解除される、いわゆるデッドマンブレーキが
採用されている。
【0003】ブレーキング制御装置76は、フットペダ
ル75が開放されてリミットスイッチ75aがオフされ
た場合、エンコーダ77から入力した回転数を用いて減
速度を算出し、その減速度が急激に増大したときは駆動
輪(後輪73)がスリップしていると判断する。そし
て、走行用電動機78による回生ブレーキトルクまたは
発電ブレーキトルクを低減し、エンコーダ77からの回
転数検出値が車速と同等の値まで回復すればスリップか
ら復帰したものと判断し、再び回生ブレーキトルクまた
は発電ブレーキトルクを増大する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ブレーキン
グ制御装置76によって駆動輪のスリップの有無を判断
しているものの、ブレーキトルクを減らすことによりス
リップを防ぐ制御であったため、制動力の向上はさほど
望めない。従って、例えばスリップが起き易い水濡れ路
面では乾燥路面に比べ制動距離が長くなるという問題が
あった。
【0005】また、制動距離の短縮を図る場合、荷積載
時と非積載時とでは制動距離に大きな差が発生する。そ
のため、ただ単に制動距離の短縮を図っただけでは、積
荷の荷重に応じて制動距離にばらつきがでるため、運転
者にストレスを与えるという問題が生じる。
【0006】本発明は前記の問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的は、制動距離を長くする要因とな
る車両状態や走行状態にあってもその制動距離を短縮で
き、かつ、制動距離の短縮を図っても荷重や車両重量に
よる制動距離のばらつきを小さく抑えることができる産
業車両のブレーキ制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め請求項1に記載の発明では、制動用の操作手段が操作
されたことに基づき作動され、前輪と後輪のうち一方に
制動力を付与する主制動手段と、前記前輪と後輪のう
ち、前記主制動手段による制動力が付与される車輪と前
後反対側の車輪に、前記主制動手段を補助するための補
助制動力を付与する補助制動手段と、荷重を検出する荷
重検出手段と、前記主制動手段の作動時に、前記荷重が
大きいほど付加する制動力が段階的又は連続的に強くな
るように前記荷重に応じて前記補助制動手段を作動制御
する制御手段とを備えた。
【0008】この発明によれば、主制動手段の作動時に
は、荷重検出手段に検出された荷重に応じて補助制動手
段が作動制御される。補助制動手段が作動される際は、
主制動手段による制動力が付与される車輪と前後反対側
の車輪に、荷重が大きいほど段階的又は連続的に強くな
るような荷重に応じた補助制動力が付与される。よっ
て、補助制動手段が作動されることによって制動距離が
短縮されるうえ、補助制動力が荷重に応じて決まるの
で、制動距離のばらつきが小さく抑えられる。
【0009】請求項2に記載の発明では、制動用の操作
手段が操作されたことに基づき作動され、前輪と後輪の
うち一方に制動力を付与する主制動手段と、前記前輪と
後輪のうち、前記主制動手段による制動力が付与される
車輪と前後反対側の車輪に、前記主制動手段を補助する
ための補助制動力を付与する補助制動手段と、荷重を検
出する荷重検出手段と、前記主制動手段の作動時の制動
距離に影響を与える走行状態を検出する走行状態検出手
段と、前記走行状態検出手段により検出された走行状態
値と、前記荷重検出手段の検出値から得られる重量値と
をパラメータとして、前記2つのパラメータに依存する
制動距離のばらつきを小さくするように補助制動力が設
定された設定条件を基に、前記補助制動手段を作動制御
する制御手段とを備えた。
【0010】この発明によれば、走行状態値と重量値の
2つのパラメータに依存する制動距離のばらつきを小さ
くするように設定された設定条件を基に、補助制動手段
は作動制御される。補助制動手段が作動される際は、主
制動手段による制動力が付与される車輪と前後反対側の
車輪に、設定条件に応じた補助制動力が付与される。よ
って、補助制動手段が作動されることによって制動距離
が短縮されるうえ、補助制動力が走行状態値と重量値の
2つのパラメータにより決まるので、走行状態や重量の
違いによる制動距離のばらつきが小さく抑えられる。
【0011】請求項3に記載の発明では、請求項2に記
載の発明において、前記設定条件は、前記重量値のパラ
メータが大きいほど前記補助制動力が段階的又は連続的
に強くなるように設定されている。
【0012】この発明によれば、請求項2に記載の発明
の作用に加え、補助制動手段による補助制動力は、荷重
(重量値)が大きいほど段階的又は連続的に強くなるよ
うに荷重に応じて付与されるので、制動距離のばらつき
が小さく抑えられる。
【0013】請求項4に記載の発明では、請求項2又は
3に記載の発明において、前記制御手段は、前記走行状
態値が設定値を超えて制動距離が長くなる走行状態であ
るときは、前記荷重に応じた補助制動力が付与されるよ
うに前記補助制動手段を作動させる。
【0014】この発明によれば、請求項2又は3に記載
の発明の作用に加え、走行状態値が設定値を超えて主制
動手段作動時の制動距離が長くなりそうな場合は、補助
制動手段が作動され、荷重に応じて補助制動力が決ま
る。よって、制動距離が効果的に短縮されるうえ、制動
距離のばらつきも小さく抑えられる。
【0015】請求項5に記載の発明では、請求項2〜4
のうちいずれか一項に記載の発明において、前記制御手
段は、前記走行状態値が前記設定値を超えず制動距離が
長くなる走行状態ではないときでも、前記重量値が設定
値を超える場合には、前記補助制動手段を作動させる。
【0016】この発明によれば、請求項2〜4のうちい
ずれか一項に記載の発明の作用に加え、走行状態値が設
定値を超えないときでも、重量値が設定値を超える場合
には補助制動手段を作動させるので、制動距離のばらつ
きは小さく抑えられる。
【0017】請求項6に記載の発明では、請求項2〜5
のうちいずれか一項に記載の発明において、前記走行状
態検出手段は、前記主制動手段により主制動が付与され
る側の車輪のスリップ値を前記走行状態値として検出す
るスリップ検出手段であって、前記制御手段は、前記ス
リップ値と前記重量値とをパラメータとして前記補助制
動手段を作動制御する。
【0018】この発明によれば、請求項2〜5のうちい
ずれか一項に記載の発明の作用に加え、主制動手段によ
り制動力が付与される側の車輪がスリップしたときに
は、その車輪と前後反対側の車輪に補助制動力を付与す
るので、制動距離が効果的に短縮される。そのうえ、ス
リップ時に前後反対側の車輪に付与する補助制動力は荷
重に応じて設定されているので、スリップ時であっても
制動距離のばらつきが小さく抑えられる。
【0019】請求項7に記載の発明では、請求項2〜6
のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加え、前記設
定条件では、前記2つのパラメータから決まる前記補助
制動力の強さが3段階以上の多段階に設定されており、
前記制御手段は、前記2つのパラメータから前記設定条
件を基に前記多段階の中から選択した1つの補助制動力
を付与するように前記補助制動手段を作動制御する。
【0020】この発明では、請求項2〜6のうちいずれ
か一項に記載の発明の作用に加え、補助制動手段により
付与される補助制動力を荷重に応じて多段階に設定する
ことによって、制動距離のばらつきが効果的に小さく抑
えられる。
【0021】請求項8に記載の発明では、請求項1〜7
のうちいずれか一項に記載の発明の作用に加え、前記主
制動手段による制動力が付与される車輪は、前記前輪と
後輪のうち車両に装備された荷役装置の積載荷重が大き
いほど輪重が小さくなる側の車輪であり、前記補助制動
手段による補助の制動力が付与される車輪は、前記荷役
装置の積載荷重が大きいほど輪重が大きくなる側の車輪
である。
【0022】この発明によれば、請求項1〜7のうちい
ずれか一項に記載の発明の作用に加え、荷積載時は主制
動手段によって制動力が付与される側の車輪の輪重が小
さくなるため、主制動付与時にスリップし易くなり、そ
れと共に積荷時は制動距離が延びる傾向にある。しか
し、荷積載時に輪重の大きくなる側の車輪に補助制動手
段による補助制動力を付与することによって制動距離の
短縮効果が得られる。また、補助制動力は荷重に応じて
設定されているので、制動距離のばらつきも小さく抑え
られる。
【0023】
【発明の実施の形態】図3及び図4に示すように、産業
車両としてのリーチ式フォークリフトトラック(以下、
単にフォークリフトと称す)1は、前二輪・後一輪の3
輪車タイプであり、車体(機台)2の前部に収容された
バッテリ3を電源として走行するバッテリ車である。車
体2からは左右一対のリーチレグ4が前方へ延出してい
る。左右の前輪5は従動輪で、左右のリーチレグ4を構
成する各リーチレール4aの先端部にそれぞれ回転可能
に支持されている。車体2の底部後側に位置する後一輪
は、駆動輪と操舵輪を兼ねた後輪6であり、この後輪6
は車幅方向左寄りにオフセットされて位置している。後
輪6の右隣には、所定距離離れた位置に補助輪(キャス
タ)7が設けられている。
【0024】車体2の後部右側部分には立席タイプの運
転席(運転室)8が設けられ、運転室8の後方側が乗降
口となっている。運転室8の前側にある図3に示すイン
ストルメントパネル9には、荷役操作のための荷役レバ
ー10、前後進操作のためのアクセルレバー11が設け
られている。運転室8の左隣に立設する収容ボックス1
2の上面にはハンドル(ステアリングホイール)13が
設けられている。図4に示すように収容ボックス12に
は、ドライブモータ14、荷役用モータ15、荷役用ポ
ンプ16等が収容されている。また車体2の前部には、
オイルタンク18、オイルコントロールバルブ(以下、
コントロールバルブ)19等が収容され、車体2の下部
にはブレーキ・コントロール・バルブユニット(以下、
ブレーキ制御バルブ)20が収容されている。
【0025】車体2の前側には荷役装置としてのマスト
装置21が装備され、荷役レバー10のうちのリーチレ
バー操作時には、コントロールバルブ19を通じて作動
油が給排されてリーチシリンダ22が伸縮駆動すること
によって、マスト装置21はリーチレール4aに沿って
所定ストローク範囲内で前後方向に移動する。また、マ
スト装置21は、マスト23、リフトシリンダ24およ
びフォーク25を備え、荷役レバー10のうちのリフト
レバー操作時には、コントロールバルブ19を通じて作
動油が給排されてリフトシリンダ24が伸縮駆動するこ
とによって、マスト23のスライドに連動してフォーク
25が昇降する。
【0026】図4に示すように、運転席8の床面下方に
配置されたブレーキ制御バルブ20は、コントロールバ
ルブ19と同様に荷役用ポンプ16を油圧供給源とす
る。左右の前輪5には補助制動手段としての油圧式の補
助ブレーキ装置(前輪ブレーキ装置)26がそれぞれ取
付けられている。補助ブレーキ装置26は本例ではドラ
ムブレーキ装置からなる。左右の補助ブレーキ装置26
は2本のパイプ27を介してそれぞれブレーキ制御バル
ブ20と接続されている。
【0027】リーチレール4aの下面には、前輪回転数
センサ28が取付けられている。前輪回転数センサ28
は例えば磁気センサからなり、前輪5のホイールに形成
された歯部を検出することによって前輪5の回転数を検
出する。
【0028】図3に示すように、リフトシリンダ24の
下部には、積荷の荷重を検出する荷重検出手段としての
荷重センサ(圧力センサ)29が取付けられている。荷
重センサ29は、例えば積荷時にリフトシリンダ24の
内部の作動油にかかる圧力を検出し、その検出値を出力
する。
【0029】図5は、後輪(駆動輪)のドライブ機構を
示す背面図である。ドライブモータ14の上部には主制
動手段としての主ブレーキ装置(後輪ブレーキ装置)3
1が装備されている。主ブレーキ装置31は、ドライブ
モータ14の回転軸14aと一体回転するディスク32
を、ブレーキパッド31aで挟圧して制動力を得るディ
スクブレーキ装置からなる。主ブレーキ装置31はリン
ク機構33を介してブレーキペダル34と機械的に作動
連結されており、ブレーキペダル34が踏込まれていな
い状態でブレーキがかかる、いわゆるデッドマンブレー
キとなっている。なお、主ブレーキ装置31を作動のた
めに操作するブレーキペダル34が制動用の操作手段を
構成する。
【0030】ドライブモータ14の上部には、ディスク
32の支持部外周面上に周方向に一定ピッチで形成され
た多数の歯部(図示省略)を被検出部とする2つの回転
数センサ35,36が取付けられている。2つの後輪回
転数センサ35,36は、歯部の位相で90゜ずれた位
置に併設されており、90度位相のずれたパルス信号を
それぞれ出力する。
【0031】また、ドライブモータ14は、リアサスペ
ンション機構を構成するリンク部材37の上面に組付け
られており、リンク部材37の下面に相対回動可能に設
けられたギヤボックス38の下部に後輪6は回転可能に
支持されている。ギヤボックス38の上端部に形成され
たステアリングギヤ38aはハンドル13(図3参照)
と作動連結されており、後輪6はハンドル13の操作に
応じて操舵される。また、ステアリングギヤ38aの近
傍には操舵角センサ39が設けられ、操舵角センサ39
はステアリングギヤ38aの回転位置を検出して後輪6
の操舵角(タイヤ角)に応じた電圧値の信号を出力す
る。またブレーキペダル34の踏込み側には、ブレーキ
ペダル34が踏込解除されてブレーキ操作位置にあるこ
とを検知するブレーキスイッチ40が設けられている。
【0032】図1は、フォークリフトの概略構成図(シ
ステム構成図)である。フォークリフト1に備えられた
制御手段としてのコントローラ41には、入力側にブレ
ーキスイッチ40、アクセルセンサ43、荷役操作検知
スイッチ44、前輪回転数センサ28,28、後輪回転
数センサ35,36、操舵角センサ39、荷重センサ2
9および圧力スイッチ45が電気的に接続されている。
またコントローラ41の出力側には荷役用モータ15、
ブレーキ制御バルブ20の電磁弁46,47およびモー
タ駆動回路48が電気的に接続されている。モータ駆動
回路48には回生回路48aが内蔵されている。なお、
コントローラ41は、走行状態検出手段、スリップ検出
手段、車速検出手段にも相当する。
【0033】ブレーキスイッチ40は、ブレーキペダル
34の踏込操作が解除されたブレーキ操作検知時にコン
トローラ41にブレーキスイッチ制動信号を出力する。
アクセルセンサ43は、アクセルレバー11の操作位置
を検出し、中立位置からの前進・後進別の操作量に応じ
た電圧値の信号をコントローラ41に出力する。
【0034】コントローラ41は、アクセルセンサ43
からの入力信号値を基にアクセルレバー11の操作方向
および操作量を認識し、操作方向に応じたモータ回転方
向を指令する回転方向指令信号と、操作量に応じたモー
タ出力が得られるようにモータ出力値を指令する出力値
指令信号を、モータ駆動回路48に出力する。またコン
トローラ41は、2つの回転数センサ35,36から入
力する各パルス信号の信号状態(エッジとレベル)の比
較から後輪6の回転方向、つまり車両の進行方向を逐次
検出しており、アクセルレバー11の操作方向が走行方
向と逆である旨(つまりスイッチバック操作の旨)の信
号をアクセルセンサ43から入力すると、これをアクセ
ル制動信号として認識する。コントローラ41はアクセ
ル制動信号を入力すると、スイッチバック中であると判
断してモータ駆動回路48に回生指令信号を出力する。
ドライブモータ14は、モータ駆動回路48に入力され
る回転方向指令信号および出力値指令信号を基に回転方
向制御および出力制御され、モータ駆動回路48に入力
される回生指令信号を基に回生制動制御される。なお、
後輪6に回生ブレーキをかけるドライブモータ14およ
び回生回路48aは主制動手段を構成し、アクセルレバ
ー11は制動用の操作手段を構成する。
【0035】荷役操作検知スイッチ44は、荷役レバー
10が操作されたことを検知するもので、3つのレバー
10a,10b,10c(図2を参照)ごとに設けられ
ている(但し、リフトレバー10aの下降操作は検知さ
れない)。コントローラ41は、荷役操作検知スイッチ
44からの信号を基に荷役レバー10が操作されたこと
を検知すると、荷役用モータ15を駆動する。荷役用モ
ータ15が駆動されることによって荷役用ポンプ16が
駆動され、オイルタンク18からホース50を通じて汲
み上げられた作動油がホース51を通じてコントロール
バルブ19に吐出される。またコントロールバルブ19
から排出される作動油はホース52を通じてオイルタン
ク18に戻される。
【0036】ブレーキ制御バルブ20にはホース51か
ら分岐するホース53が接続され、荷役用ポンプ16か
らの圧油がホース53を通じてブレーキ制御バルブ20
に供給されるようになっている。またブレーキ制御バル
ブ20とオイルタンク18は、ホース54を通じて接続
されている。
【0037】圧力スイッチ45は、ブレーキ制御バルブ
20に設けられたアキュムレータ55の蓄圧値(油圧)
が設定下限値に達したことを検知するものである。コン
トローラ41は、圧力スイッチ45から検知信号を入力
したときにも荷役用モータ15を駆動する。また左右の
補助ブレーキ装置26,26は、ブレーキ制御バルブ2
0の2つの電磁弁46,47を励消磁制御(電流値制御
を含む)するコントローラ41により作動制御される。
【0038】次に図2に示す荷役系及びブレーキ系の油
圧回路について説明する。荷役レバー10(リフトレバ
ー10a、ティルトレバー10b、リーチレバー10
c)はコントロールバルブ19と機械的に連結されてい
る。各レバー10a〜10cが操作されると、荷役操作
検知スイッチ44(図1参照)の検知信号を基にコント
ローラ41により荷役用モータ15が駆動され、各レバ
ー10a,10b,10cの操作に応じてリフトシリン
ダ24,ティルトシリンダ57,リーチシリンダ22の
うち対応するものが駆動される。
【0039】ブレーキ制御バルブ20は、ポンプポート
P、タンクポートT、2つのブレーキポートB1,B2
の計4ポートを備えている。ポンプポートPには荷役用
ポンプ16に繋がるホース53が接続され、タンクポー
トTにはオイルタンク18に繋がるホース54が接続さ
れている。また2つのブレーキポートB1,B2には、
左右の補助ブレーキ装置26,26の各ホイールシリン
ダ58,58に繋がる2本のパイプ27,27がそれぞ
れ接続されている。
【0040】ブレーキ制御バルブ20は、減圧弁59、
逆止弁60、電磁開閉弁(シャットオフ弁)46および
電磁比例式圧力調整弁(リニアソレノイド弁)47を備
え、これら弁46,47,59,60はポンプポートP
とブレーキポートB1,B2を接続する油路61上に直
列で配置されている。減圧弁59はポンプポートPから
入力される油圧を減圧するものである。減圧弁59とシ
ャットオフ弁46の間における油路61上に設けられた
逆止弁60は、アキュムレータ55に畜圧された作動油
の逆流を阻止するもので、アキュムレータ55が設定圧
に達するまで開弁するようにその開弁圧が設定されてい
る。
【0041】コントローラ41は、シャットオフ弁46
とリニアソレノイド弁47の各ソレノイド46a,47
aと電気的に接続されている。シャットオフ弁46は、
ソレノイド46aが消磁されているときバネ46bの付
勢力により閉弁し、ソレノイド46aが励磁されている
とき開弁するオンオフ弁である。また、リニアソレノイ
ド弁47は、コントローラ41からソレノイド47aに
入力された電流値に応じてその出力油圧が一義的に決ま
るようになっている。補助ブレーキ装置26は、ブレー
キ制御バルブ20から出力された液圧がホイールシリン
ダ58に供給されることで作動し、前輪5に制動力を付
与するようになっている。
【0042】コントローラ41はメモリ41aを内蔵し
ている。メモリ41aには、補助ブレーキ装置26を作
動制御するための図7に示す補助ブレーキ制御用プログ
ラムおよび図6に示す設定条件としてのマップM1など
が記憶されている。
【0043】補助ブレーキ制御用プログラムは、車両制
動時に補助ブレーキ装置26を作動制御するためのもの
である。本例では、この補助ブレーキ制御時の補助ブレ
ーキ力を設定するためにマップM1を使用する。マップ
M1は、後輪6のスリップを判定するための指標となる
すべり速度ΔVと、荷物重量と車体重量を加えた車両総
重量Mとを2つのパラメータとし、補助ブレーキ力を一
義的に決める液圧値が設定されている。つまり、本例で
は、すべり速度ΔVと車両総重量Mから液圧値を決める
設定条件としてマップM1を使用し、2つのパラメータ
ΔV,Mによりホイールシリンダ58に供給される液圧
値を決めている。コントローラ41は、2つのパラメー
タΔV,MからマップM1を参照して決まる液圧値を基
に、リニアソレノイド弁47のソレノイド47aに出力
する電流値を決めている。
【0044】本例では、すべり速度ΔVがしきい値Vs
を超えるスリップ時の場合、液圧値は、車両総重量Mが
しきい値Msを超える高重量のときに「高液圧」、車両
総重量Mがしきい値Msを超えない低重量のときに「中
液圧」となるように設定されている。また、すべり速度
ΔVがしきい値Vsを超えない非スリップ時の場合、液
圧値は、車両総重量Mがしきい値Msを超える高重量の
ときに「低液圧」、車両総重量Mがしきい値Msを超え
ない低重量のときに「0」となるように設定されてい
る。
【0045】まず車両総重量の検出方法について説明す
る。ここで、制動距離Sは、車両総重量M、速度(車
速)V、制動力Fの関数として次の式で表される。S=
(M・V2 )/(2F) … (1)この式より、制動距
離Sは、車両総重量Mに比例しており、車両総重量Mの
大小が制動距離Sに大きな影響を与えていることが分か
る。即ち、車両総重量Mが大きい場合は上式の分子部分
が大きいため、前輪制動力(補助ブレーキ)を加えてF
を大きくし分母部分を大きくすることで制動距離Sは有
効に短縮可能であるが、反対に車両総重量Mが小さい場
合は上式の分子部分が小さいため、前輪制動力を加えな
くても制動距離Sは短い。そのため、車両総重量Mが大
きい場合は強い補助ブレーキを効かせ、車両総重量Mが
小さい場合は相対的に弱い(もしくは「0」)補助ブレ
ーキを効かせることで、車両総重量Mの大きさに応じて
補助ブレーキの値を変化させている。ここでコントロー
ラ41は、荷重センサ29により検出される検出値に基
づき荷物重量を算出し、その荷物重量に予め入力された
車両重量を加えて車両総重量Mを算出する。
【0046】次に後輪6のスリップの検出方法は次のよ
うである。コントローラ41は、前輪回転数センサ28
から単位時間当たりに入力するパルス数を計数して前輪
5の回転速度を求め、この前輪回転速度と前輪半径とか
ら前輪換算車速(従動輪換算車速)Vfを算出する。ま
たコントローラ41は、後輪回転数センサ35から単位
時間当たりに入力するパルス数を計数して後輪6の回転
速度を求め、この後輪回転速度と後輪半径とから後輪換
算車速(駆動輪換算車速)Vrを算出する。ここで、フ
ォークリフト1は、左右の前輪5間の幅中心を中心点と
するその場旋回が可能で、ハンドル13が一杯近くにま
で切られた最大操舵角付近では旋回内輪側の前輪5の回
転速度が零になる不都合があるので、前輪換算車速Vf
を求めるのには、旋回外輪側の回転数センサ28の入力
信号を優先して使用している。コントローラ41は、左
右の前輪5,5のうち旋回外輪側がどちらであるかを操
舵角センサ39から入力する操舵角θを基に判定する。
なお、直進走行(θ=0)時は、左右のうち予め定めら
れた一方の回転数センサ28からの入力信号のみ使用す
る。
【0047】本例では、車両旋回時における前輪5と後
輪6の各旋回半径が異なることを考慮した補正係数K
(θ)(操舵角θの関数)をその時の操舵角θに応じて求
め、前輪換算車速Vfにその補正係数K(θ)を乗じて、
後輪位置相当の車速Vを求める。この車速Vは後輪6が
スリップしていないときの後輪換算車速Vrに相当す
る。そしてコントローラ41は、前輪換算車速Vfを後
輪位置相当に換算した車速Vと、後輪換算車速Vrとの
差である「すべり速度」ΔV(=V−Vr)を算出し、
このすべり速度ΔVが予め設定されたしきい値Vsを超
えたときを、後輪6のスリップと判定する。しきい値V
sには、後輪6と路面との摩擦係数が静止摩擦領域から
動摩擦領域に移行する境界付近の値が設定されており、
例えばスリップ率換算で0.2付近の値が設定されてい
る。なお、すべり速度に代え、スリップ率(=(V−V
r)/V)を使用することもできる。
【0048】次に補助ブレーキ制御用プログラムの内容
を、図7のフローチャートに従って詳しく説明する。ま
ずステップ(以下「S」と記す)101においては、ブ
レーキスイッチ40からブレーキペダル34の踏込操作
を止めた旨のブレーキスイッチ制動信号、またはアクセ
ルレバー11をスイッチバック操作した旨のアクセル制
動信号を入力したか否かを判断する。これらのいずれか
の信号を入力する際は、後輪6に主制動力(主ブレーキ
力)が発生する。即ち、ブレーキスイッチ制動信号入力
時はブレーキペダル34の踏込操作を止めたことに連動
して機械的に主ブレーキ装置31が作動され、後輪6に
主ブレーキ力が加えらる。一方、アクセル制動信号入力
時はドライブモータ14に回生ブレーキが加えられて後
輪6に主ブレーキ力が加えられる。
【0049】S102においては、ブレーキ制御バルブ
20に対し予備通電を行う。即ち、シャットオフ弁46
を励磁により開弁状態とすると共に、ホイールシリンダ
58が液圧値「0」のままで作動しない程度の既定値の
電流をリニアソレノイド弁47に通電する。
【0050】S103においては、荷重センサ29から
の検出値に基づき荷重(荷物重量)を算出する。S10
4においては、スリップ検出のためのすべり速度ΔVを
算出する。即ち、前輪換算車速Vfに補正係数K(θ)を
乗じた後輪位置相当の車速Vと、後輪換算車速Vrとの
差を演算することで、すべり速度ΔV(=V−Vr)を
算出する。
【0051】S105においては、マップM1より設定
液圧値を読み込む。即ち、S104で算出したすべり速
度ΔVと、S103で算出した荷物重量に車両重量を加
えた車両総重量Mとをパラメータとし、マップM1を参
照して設定液圧値を求める。
【0052】S106においては、設定液圧値が「0」
か否かを判定する。ここで設定液圧値が「0」であるな
らS108に移行し、設定液圧値が「0」でないならS
107に移行する。
【0053】S107においては、補助ブレーキ装置2
6の作動を指令する。即ち、マップM1から読み込んだ
設定液圧値に応じた電流値をリニアソレノイド弁47の
ソレノイド47aに通電する。この結果、各ホイールシ
リンダ58,58に設定液圧値の圧油が供給されて補助
ブレーキ装置26が作動され、前輪5,5には設定液圧
値に応じた補助制動力(補助ブレーキ力)が付与され
る。
【0054】S108においては、車両が停止したか否
かを判定する。即ち、車速Vが「0」または停止とみな
せる所定車速になれば車両停止と判断し、S110に移
行する。また、車両走行中であればS109に移行す
る。
【0055】S109においては、制動信号が解除され
たか否かを判定する。即ち、ブレーキペダル34が再び
踏込まれたか、あるいはアクセルレバー11が中立位置
に戻されたか否かを判断する。そして、制動信号が解除
されたと判断すればS110に移行し、制動信号が解除
されていないならばS104に移行する。
【0056】S110においては、補助ブレーキ装置2
6,26の停止指令をする。即ち、各電磁弁46,47
のソレノイド46a,47aへの通電を停止する。従っ
て、フォークリフト1の走行時にブレーキ操作がなされ
た際は、荷物重量が重ければ(車両総重量M>Ms)、
後輪6がスリップしていなくても「低液圧」の圧油がホ
イールシリンダ58に供給されて補助ブレーキ装置2
6,26が作動される。この結果、後輪6に付与される
主ブレーキ力に加え、「低液圧」に応じた弱い補助ブレ
ーキ力が前輪5に付与される。また、ブレーキ操作時に
荷物重量が軽く(車両総重量M≦Ms)、しかもこのと
き後輪6がスリップしていなければ、補助ブレーキ装置
26,26は作動されず、後輪6の主ブレーキ力のみで
車両は制動する。
【0057】また、積荷時は後輪6の輪重が小さくな
り、特にマスト装置21をリーチアウトさせた状態では
後輪6の輪重が一層小さくなる。このような輪重の小さ
な後輪6が例えば水漏れ路面に位置する時にブレーキ操
作をした際は、後輪6がスリップする。この際、荷物重
量が軽ければ(車両総重量M≦Ms)、「中液圧」の圧
油がホイールシリンダ58に供給されて補助ブレーキ装
置26,26が作動される。この結果、軽い荷物重量で
後輪6がスリップしたときには、前輪5,5に中程度の
補助ブレーキ力が付与される。また、このスリップ時に
荷物重量が重ければ(車両総重量M>Ms)、「高液
圧」の圧油がホイールシリンダ58に供給されて補助ブ
レーキ装置26,26が作動される。この結果、重い荷
物重量で後輪6がスリップしたときには、前輪5,5に
強い補助ブレーキ力が付与される。
【0058】この際、補助ブレーキ力が付与された前輪
5,5がスリップすることはまずない。理由は、補助ブ
レーキ力そのものが主ブレーキ力を補助する弱めのもの
であることに加え、荷物重量に応じて補助ブレーキ力の
強さが決まり、前輪5,5の輪重が小さいときは補助ブ
レーキ力がなしまたは中程度で、強い補助ブレーキ力が
付与されるときは前輪5,5の輪重が大きいからであ
る。よって、前輪5,5に付与される補助ブレーキ力に
よって車両はしっかり制動される。
【0059】従って、スリップや重い車両総重量が原因
で制動距離が長くなるようなときには、主ブレーキ装置
31に加え、補助ブレーキ装置26,26が作動されて
車両の制動力を補助するので、制動距離が比較的短く抑
えられる。また、後輪6がスリップしたときに車体後部
が図4の矢印方向へ流れる尻振り量も、前輪5,5に付
与される補助ブレーキによって小さく抑えられる。さら
にはスリップの有無や車両総重量に拘わらず、どのよう
な走行状態または車両状態でも、制動距離は非スリップ
かつ低重量(M<Ms)のときの距離に近づくので、制
動距離のばらつきが小さく抑えられる。よって、ブレー
キ操作時に運転者がストレスを感じにくくなる。
【0060】従って、この実施形態では以下のような効
果を得ることができる。 (1)主ブレーキ作動時に後輪6がスリップすると、前
輪5,5に補助ブレーキを付与するので、後輪6のスリ
ップ時に制動距離を効果的に短縮できる。また、後輪6
がスリップしたときに車体2の後部が横へ流れる尻振り
量を小さく抑えることができる。さらに後輪6がスリッ
プしていなくても、高重量時には前輪5,5に補助ブレ
ーキを付与するので、重い荷物を積載するときにも制動
距離を短縮できる。
【0061】(2)補助ブレーキ装置26に供給される
液圧は、スリップかつ高重量では「高液圧」、スリップ
かつ低重量では「中液圧」、非スリップかつ高重量では
「低液圧」、非スリップかつ低重量では液圧「0」とい
うように車両総重量Mに応じて段階的に液圧を設定して
いる。従って、制動距離の短縮を図っても、スリップの
有無や車両総重量Mに影響される制動距離のばらつきを
小さく抑えることができる。その結果、運転者のブレー
キ操作時におけるストレスを軽減できる。
【0062】なお、実施形態は前記に限定されるもので
はなく、例えば、次のように変更してもよい。 ○ 設定液圧値を決めるためのパラメータは、すべり速
度ΔVと車両総重量Mに限定されない。例えば車両総重
量Mのみをパラメータとしてもよい。図8に示すマップ
M2のように、主ブレーキ作動時にその車両総重量Mが
しきい値Msを超える場合に、補助ブレーキ装置26を
作動させるようにしてもよい。この場合、荷重による制
動距離のばらつきが小さく抑えられる。
【0063】○ 補助ブレーキ力はパラメータの値の変
化に対し段階的に設定されていることに限定されない。
即ち図9に示すように、車両総重量Mが大きくなるにつ
れて補助ブレーキ力が連続的に強くなるようなマップM
3を使用することもできる。この場合、制動距離のばら
つきを一層小さくすることができる。
【0064】○ 補助ブレーキ力の設定値は、マップM
1によって設定される4段階に限定されない。例えば図
10(a)〜(d)に示す各マップM4〜M7を使用す
ることもできる。詳述すると、図10(a)に示すよう
に、低重量のスリップ時と、高重量の非スリップ時とで
補助ブレーキ力を同じ値とし、補助ブレーキ力の設定を
3段階としてもよい。また図10(b)に示すように、
スリップ時でも車両総重量Mがしきい値Msより低く荷
重が非常に軽いときには液圧を「0」に設定し、補助ブ
レーキ装置26を作動させなくしてもよい。また図10
(c)に示すように、スリップ時と非スリップ時とで車
両総重量Mのしきい値が異なるものでもよい。また図1
0(d)に示すように、液圧の設定値は5段階以上(同
図では9段階、0<p1<p2…<p8)でもよい。こ
の例では、各パラメータ毎にしきい値を2つずつ設定し
て補助ブレーキ力の設定値をより細分化している。この
場合、制動距離のばらつきを一層小さく抑えることがで
きる。なお、補助ブレーキ力の設定値は、制動距離のば
らつきを効果的に小さく抑えるうえで3段階以上が望ま
しい。
【0065】○ 液圧設定値を決めるためのパラメータ
は、車速Vと車両総重量Mでもよい。例えば図11に示
すように、パラメータが車速Vと車両総重量Mであるマ
ップM8によって設定液圧値が決まるものでもよい。こ
こで、前記(1) 式から明らかなように制動距離Sは、車
速Vの2乗に比例しているので、車速Vの変化量は制動
距離に大きな影響を与える。ここでは、ブレーキ操作開
始時の車速(初速)Vを、走行状態値として1つのパラ
メータとして採用し、2つのパラメータV,Mに応じて
補助ブレーキ力の設定値を設定している。この場合、制
動距離のばらつきを効果的に小さく抑えることができ
る。勿論、この場合においても設定液圧値は4段階に限
らず、3段階や5段階以上の多段階でもよく、また設定
値が段階的に限らず連続的に設定されてもよい。なお、
パラメータを車速Vと車両総重量Mとしたこの例では、
図7のフローチャートのS104が車速算出となる。
【0066】○ 液圧設定値を決めるためのパラメータ
は、車両総重量Mとすべり速度ΔVと車速(初速)Vの
3つを使用することもできる。 ○ スリップ値は、すべり速度やスリップ率に限定され
ない。例えば後輪6の加速度(減速度)を求め、その加
速度がしきい値を超えるときをスリップとみなして補助
ブレーキ装置26を作動制御する方式を採用することも
できる。この場合、後輪回転数センサのみでスリップ値
(減速度)を算出でき、スリップ値の算出に使用するセ
ンサを減らすことができる。
【0067】○ 重量値は車両重量と荷物重量とを加え
た車両総重量Mであることに限定されない。例えば荷物
重量がパラメータであってもよい。 ○ 補助ブレーキ力を決めるための設定条件はマップを
使用することに限らず、例えばフローチャートにおける
判断処理であってもよい。即ち、スリップ値がしきい値
を超えたか否かを判断するスリップ判定処理と、車両総
重量Mがしきい値を超えたか否かを判断する重量判定処
理を実行し、2つの判定結果に応じた値の液圧が決まる
ものであってもよい。
【0068】○ ホイールシリンダ58に送るための作
動油をアキュムレータ55に蓄圧する構成に限定されな
い。例えばアキュムレータ55の代わりに、ブレーキ制
御バルブ専用の小型のポンプおよびモータを搭載し、こ
のポンプを逐次駆動させて、ブレーキ制御バルブ20に
圧油を供給する構成であってもよい。また予備通電処理
(S102)はなくてもよい。
【0069】○ フォークリフト1は前輪5が従動輪で
後輪6が駆動輪である構造に限定されない。例えば、前
輪5および後輪6が共に駆動輪である3WDでもよい。
つまり、3WDのフォークリフトにおいて、後輪に主ブ
レーキを付与してその後輪がスリップしたとき、前輪に
補助ブレーキを付与し、制動距離の短縮を図る。また、
前輪5が駆動輪で後輪6が従動輪でもよく、この場合、
前輪5に主ブレーキ装置31が装備され、後輪6に補助
ブレーキ装置26が装備され、後輪6から実車速が求ま
る。
【0070】○ 補助ブレーキ装置26や主ブレーキ装
置31としてどんな方式のブレーキ装置も採用できる。
例えば補助ブレーキ装置26としてディスクブレーキ装
置を採用できる。また主ブレーキ装置31としてドラム
ブレーキ装置を採用できる。また、補助制動手段はドラ
ムブレーキ装置に代えて、例えば回生ブレーキであって
もよい。例えば3WDのフォークリフトにおいて、主ブ
レーキ作動時に検出したパラメータに応じた強さの回生
ブレーキを前輪5に発生させ、制動距離の短縮を図るよ
うにしてもよい。
【0071】○ 産業車両はリーチ型フォークリフトト
ラックに限定されず、例えばカウンタバランス型やオー
ダーピッキング型などの他のタイプのフォークリフトに
適用することもできる。また無人フォークリフトに適用
することもできる。その他、主制動のかかる車輪がスリ
ップしたときに、主制動のかかる車輪と前後反対側の車
輪に補助制動力を付与する構成を、フォークリフト以外
の他の産業車両で実施することができる。
【0072】前記実施形態及び別例から把握できる請求
項以外の技術的思想について、以下にその効果とともに
記載する。 (1)請求項2〜8において、前記走行状態検出手段
は、主制動手段によって制動力が付与される側の車輪の
スリップを検出するスリップ検出手段と、主制動手段の
作動開始時の車度を検出する車速検出手段とのうちの一
方である。この場合、スリップ検出手段であればスリッ
プ時の制動距離を短縮でき、車速検出手段であれば高車
速時の制動距離を短縮できる。
【0073】(2)請求項6〜8において、前記産業車
両の前側には、荷役装置(21)が前後方向に移動可能
に設けられている。この場合、荷役装置が前方へ移動し
て主制動が付与される側の車輪の輪重がより小さくなっ
てその車輪がスリップし易くなるが、補助制動が付与さ
れることで制動距離を効果的に短縮できる。しかも、荷
重に応じた補助制動力が付与されるので、制動距離のば
らつきも小さく抑えることができる。
【0074】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、制
動距離が長くなるような車両状態や走行状態でも、主制
動力が付与される車輪と前後反対側の車輪に補助制動力
が付与されることで制動距離を短縮でき、しかも補助制
動力が荷重などの重量に応じて決まるので、荷重の違い
による制動距離のばらつきを小さく抑えることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 フォークリフトの概略構成図。
【図2】 荷役系及びブレーキ系の油圧回路図。
【図3】 フォークリフトの側面図。
【図4】 フォークリフトの平面図。
【図5】 後輪のドライブ機構を示す背面図。
【図6】 補助ブレーキ制御に使用されるマップ。
【図7】 補助ブレーキ制御用プログラムを示すフロー
チャート。
【図8】 別例における補助ブレーキ制御用のマップ。
【図9】 他の別例における補助ブレーキ制御用のマッ
プ。
【図10】 (a)〜(d)は他の別例における補助ブ
レーキ制御用のマップ。
【図11】 他の別例における補助ブレーキ制御用のマ
ップ。
【図12】 従来のフォークリフトの側面図。
【符号の説明】
1…産業車両としてのリーチ型フォークリフトトラッ
ク、5…前輪、6…後輪(駆動輪)、11…操作手段と
してのアクセルレバー、14…主制動手段を構成するド
ライブモータ、26…補助制動手段としての補助ブレー
キ装置(前輪ブレーキ装置)、29…荷重検出手段とし
ての荷重センサ、31…主制動手段としての主ブレーキ
装置(後輪ブレーキ装置)、34…操作手段としてのブ
レーキペダル、41…スリップ検出手段および車速検出
手段を構成するとともに制御手段としてのコントロー
ラ、48a…主制動手段を構成する回生回路、ΔV…走
行状態値を構成するとともにスリップ値としてのすべり
速度、V…走行状態値としての車速、M…重量値として
の車両総重量、S…制動距離、M1〜M8…設定条件と
してのマップ、Vs,Ms…設定値としてのしきい値。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制動用の操作手段が操作されたことに基
    づき作動され、前輪と後輪のうち一方に制動力を付与す
    る主制動手段と、 前記前輪と後輪のうち、前記主制動手段による制動力が
    付与される車輪と前後反対側の車輪に、前記主制動手段
    を補助するための補助制動力を付与する補助制動手段
    と、 荷重を検出する荷重検出手段と、 前記主制動手段の作動時に、前記荷重が大きいほど付加
    する制動力が段階的又は連続的に強くなるように前記荷
    重に応じて前記補助制動手段を作動制御する制御手段と
    を備えた産業車両のブレーキ制御装置。
  2. 【請求項2】 制動用の操作手段が操作されたことに基
    づき作動され、前輪と後輪のうち一方に制動力を付与す
    る主制動手段と、 前記前輪と後輪のうち、前記主制動手段による制動力が
    付与される車輪と前後反対側の車輪に、前記主制動手段
    を補助するための補助制動力を付与する補助制動手段
    と、 荷重を検出する荷重検出手段と、 前記主制動手段の作動時の制動距離に影響を与える走行
    状態を検出する走行状態検出手段と、 前記走行状態検出手段により検出された走行状態値と、
    前記荷重検出手段の検出値から得られる重量値とをパラ
    メータとして、前記2つのパラメータに依存する制動距
    離のばらつきを小さくするように補助制動力が設定され
    た設定条件を基に、前記補助制動手段を作動制御する制
    御手段とを備えた産業車両のブレーキ制御装置。
  3. 【請求項3】 前記設定条件は、前記重量値のパラメー
    タが大きいほど前記補助制動力が段階的又は連続的に強
    くなるように設定されている請求項2に記載の産業車両
    のブレーキ制御装置。
  4. 【請求項4】 前記制御手段は、前記走行状態値が設定
    値を超えて制動距離が長くなる走行状態であるときは、
    前記荷重に応じた補助制動力が付与されるように前記補
    助制動手段を作動させる請求項2又は3に記載の産業車
    両のブレーキ制御装置。
  5. 【請求項5】 前記制御手段は、前記走行状態値が前記
    設定値を超えず制動距離が長くなる走行状態ではないと
    きでも、前記重量値が設定値を超える場合には、前記補
    助制動手段を作動させる請求項2〜4のうちいずれか一
    項に記載の産業車両のブレーキ制御装置。
  6. 【請求項6】 前記走行状態検出手段は、前記主制動手
    段により主制動が付与される側の車輪のスリップ値を前
    記走行状態値として検出するスリップ検出手段であっ
    て、 前記制御手段は、前記スリップ値と前記重量値とをパラ
    メータとして前記補助制動手段を作動制御する請求項2
    〜5のうちいずれか一項に記載の産業車両のブレーキ制
    御装置。
  7. 【請求項7】 前記設定条件では、前記2つのパラメー
    タから決まる前記補助制動力の強さが3段階以上の多段
    階に設定されており、前記制御手段は、前記2つのパラ
    メータから前記設定条件を基に前記多段階の中から選択
    した1つの補助制動力を付与するように前記補助制動手
    段を作動制御する請求項2〜6のうちいずれか一項に記
    載の産業車両のブレーキ制御装置。
  8. 【請求項8】 前記主制動手段による制動力が付与され
    る車輪は、前記前輪と後輪のうち車両に装備された荷役
    装置の積載荷重が大きいほど輪重が小さくなる側の車輪
    であり、前記補助制動手段による補助の制動力が付与さ
    れる車輪は、前記荷役装置の積載荷重が大きいほど輪重
    が大きくなる側の車輪である請求項1〜7のうちいずれ
    か一項に記載の産業車両のブレーキ制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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