JP2002018278A - 親水性接液部を有する微小ケミカルデバイス及びその製造方法 - Google Patents

親水性接液部を有する微小ケミカルデバイス及びその製造方法

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JP2002018278A
JP2002018278A JP2000206571A JP2000206571A JP2002018278A JP 2002018278 A JP2002018278 A JP 2002018278A JP 2000206571 A JP2000206571 A JP 2000206571A JP 2000206571 A JP2000206571 A JP 2000206571A JP 2002018278 A JP2002018278 A JP 2002018278A
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polymerizable compound
compound
water
microchemical device
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Application number
JP2000206571A
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English (en)
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Atsushi Teramae
敦司 寺前
Takanori Anazawa
孝典 穴澤
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Kawamura Institute of Chemical Research
Original Assignee
Kawamura Institute of Chemical Research
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明が解決しようとする課題は、高い親水
性の接液部表面を有することにより広範囲の生体物質に
対して低い吸着性を示し、且つ、耐水性低下を呈しない
微小ケミカルデバイス及びその簡便な製造方法を提供す
ることにある。 【解決手段】 溶液の接する空洞の少なくとも1つの面
が、(a)その単独重合体の水との接触角が50度以上
である架橋重合性化合物と、(b)両親媒性の重合性化
合物との共重合体で、水との接触角が35度以下で、且
つ25℃の水への24時間浸漬による重量増加が10%
以下である共重合体で形成されている、親水性接液部を
有する微小ケミカルデバイス、及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微小なケミカルデ
バイス、即ち、部材に微小な流路、反応槽、電気泳動カ
ラム、膜分離機構などの構造が形成された、化学、生化
学、物理化学用などの微小反応デバイス(マイクロ・リ
アクター)や、集積型DNA分析デバイス、微小電気泳
動デバイス、微小クロマトグラフィーデバイスなどの微
小分析デバイスに関し、更に詳しくは、積層された部材
の単数又は複数の層中の欠損部として、流路や貯液槽な
どとして使用される空洞状の接液部を有する微小ケミカ
ルデバイス及びそのの製造方法に関し、該接液部の表面
が親水化された微小ケミカルデバイス及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者らによる特開平2000−46
797号公報には、活性エネルギー線硬化性組成物を基
材に塗工し、活性エネルギー線をパターニング照射する
ことによって、凹部となる部分以外の活性エネルギー線
硬化性組成物を硬化させ、未照射部の未硬化の活性エネ
ルギー線硬化性組成物を除去することによって基材表面
に溝状の凹部が形成された微小ケミカルデバイスの製造
方法が記載されている。
【0003】しかしながら、該公報に記載の方法で作製
した微小ケミカルデバイスは、蛋白質などの生体化学物
質がガラスやシリコン等に比べて吸着し易く、極微量或
いは極希薄濃度の試料を取り扱う場合には、吸着により
試料の一部又は全部が失われがちであるという問題があ
った。
【0004】一方、プラスチックの表面を親水化するこ
とにより生化学物質の吸着を抑制できることが知られて
いる。そして、一般的なプラスチックの親水化方法とし
て、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理などの物理
的表面処理;スルホン化などの化学的表面処理;界面活
性剤や親水性物質の練り込み法;成形材料として親水基
を有する重合体の使用;親水性重合体によるコーティン
グ等が知られている。
【0005】これらの方法の中で、微小ケミカルデバイ
スの接液部となる微小な空洞表面の親水化に適用可能で
あり、かつ生化学物質の吸着を抑制するほどの高い親水
化が可能な方法としては、化学的表面処理法や表面グラ
フト法が挙げられるが、低い吸着性を示す系が限られて
いたり、工程が複雑であるなどの問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、高い親水性の接液部表面を有することによ
り広範囲の生体物質に対して低い吸着性を示し、且つ、
耐水性低下を呈しない微小ケミカルデバイス及びその簡
便な製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、架橋重合性化合
物と両親媒性の重合性化合物から成る組成物の硬化物
が、水に対して非膨潤性でありながら、高い表面親水性
を示すこと、及び該組成物として、活性エネルギー線で
露光することにより微小なパターンの形成が可能な組成
物を選択できることを見出し本発明を完成するに至っ
た。
【0008】即ち、本発明は、(1)溶液の接する空洞
の少なくとも1つの面が、(a)その単独重合体の水と
の接触角が50度以上である架橋重合性化合物と、
(b)両親媒性の重合性化合物との共重合体で、水との
接触角が35度以下で、且つ25℃の水への24時間浸
漬による重量増加が10%以下である共重合体で形成さ
れている、親水性接液部を有する微小ケミカルデバイス
と、
【0009】(2)幅もしくは直径が0.3μm〜10
mm、高さ0.3μm〜3mmの空洞状の接液部が形成
された(1)に記載の微小ケミカルデバイスと、
【0010】(3)(a)架橋重合性化合物が、1分子
中に2個以上の重合性炭素−炭素不飽和結合を有する化
合物であり、且つ、(b)両親媒性重合性化合物が、1
分子中に1個以上の重合性炭素−炭素不飽和結合を有す
る化合物である(1)又は(2)に記載の微小ケミカル
デバイスと、
【0011】(4)重合性化合物(b)が、25℃のシ
クロヘキサン:トルエン=5:1(重量比)混合溶媒に
対して25重量%以上溶解し、且つ0℃の水に対して
0.5重量%以上溶解する化合物である(1)〜(3)
のいずれか1つに記載の微小ケミカルデバイスと、
【0012】(5)重合性化合物(b)のグリフィンの
HLB値が、10〜16である(1)〜(4)のいずれ
か1つに記載の微小ケミカルデバイスと、
【0013】(6)重合性化合物(b)が、繰り返し数
6〜20のポリエチレングリコール鎖を有する化合物で
ある(1)〜(4)のいずれか1つに記載の微小ケミカ
ルデバイスと、
【0014】(7)重合性化合物(b)が、炭素原子数
6〜20のアルキル基又はアルキレン基を有する化合物
である(1)〜(6)のいずれか1つに記載の微小ケミ
カルデバイスと、
【0015】(8)重合性化合物(b)が、炭素数6〜
20個のアルキル基を持つアルキルフェニル基含有化合
物である(7)に記載の微小ケミカルデバイスと、
【0016】(9)(イ)表面に凹部を有する部材
(A)の凹部が形成された面に他の部材(B)が接着さ
れており、部材(A)と部材(B)との間に空洞状の接
液部が形成された構造、もしくは、(ロ)部材(A)と
部材(B)の間に固体状物質(C)が充填されており、
固体状物質(C)の欠損部として部材(A)と部材
(B)との間に空洞状の接液部が形成された構造を有す
る、(1)〜(8)のいずれか1つに記載の微小ケミカ
ルデバイスと、
【0017】(10)共重合体中の架橋重合性化合物
(a)1重量部に対する重合性化合物(b)の重量比が
0.1〜5である(1)〜(8)のいずれか1つに記載
の微小ケミカルデバイスと、
【0018】(11)(1)その単独重合体の水との接触
角が50度以上である、活性エネルギー線により重合可
能な架橋重合性化合物(a)と、架橋重合性化合物(a)と共
重合体を形成しうる、両親媒性の活性エネルギー線によ
り重合可能な重合性化合物(b)を含有する活性エネルギ
ー線硬化性組成物(i)を基材に塗工し塗膜を形成する
工程、
【0019】(2)塗膜の欠損部と成す部分以外の部分に
活性エネルギー線を照射し、照射部の組成物(i)を硬
化させる工程、(3)非照射部の未硬化の組成物(i)を
除去し、硬化塗膜の欠損部として凹部を形成する工程、
及び、
【0020】(4)凹部形成面に他の部材を接着し凹部を
空洞と成す工程とを含む、水との接触角が35度以下で
あり、且つ25℃の水の24時間浸漬による重量増加が
10%以下である組成物(i)の硬化物で形成された層
を有し、該層に於いて組成物(i)硬化物の欠損部とし
て空洞状の接液部を有する微小ケミカルデバイスの製造
方法と、及び、
【0021】(12)活性エネルギー線硬化性組成物
(i)の架橋重合性化合物(a)1重量部に対する重合
性化合物(b)の混合比(重量比)が0.1〜5である
(11)に記載の微小ケミカルデバイスの製造方法とを
含むものである。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の微小ケミカルデバイス
は、内部に空洞状の接液部が形成されたものである。接
液部の形状は任意であり、例えば、微小ケミカルデバイ
ス表面から見た形状が、液体流路、電気泳動カラム、ク
ロマトカラムなどとして使用することの出来る直線、分
岐、櫛型、曲線、渦巻き、ジグザグ、その他の線状や分
岐した線状;貯液槽や反応槽などとして使用することの
出来る円形や矩形などの形状;バルブ機構や膜分離機構
などの機構の一部となる構造、これらの連結された形
状、等であり得る。
【0023】また、これらの接液部の断面形状は、円
形、矩形(角の丸められた矩形を含む)、台形、その他
の複雑な形状であり得る。これらの空洞状の接液部は微
小ケミカルデバイス外部と連絡していても良いし、連絡
していなくても良いが、連絡している場合に本発明の効
果が十分に発揮される。
【0024】本発明の微小ケミカルデバイスは、表面に
凹部が形成された部材(A)の、凹部が形成された面に
他の部材(B)が接着され、部材(A)の凹部と部材
(B)でもって空洞状の接液部が形成されたものである
ことが好ましい。この場合には、接液部は、上面(又は
下面)と側面が部材(A)、下面(又は上面)が部材
(B)となる。表面に凹部が形成された部材(A)は、
射出成形、溶融レプリカ法、溶媒キャスト法、フォトリ
ソグラフィーなどの方法により製造できる。
【0025】本発明の微小ケミカルデバイスはまた、部
材(A)と部材(B)の間に、空洞状の接液部となる部
分を除いて固体状物質(C)が充填されて互いに接着さ
れており、固体状物質(C)の欠損部として、部材
(A)と部材(B)との間に空洞状の接液部が形成され
たものであることが好ましい。この場合には、接液部
は、上面(又は下面)が部材(A)、側面が固体状物質
(C)、下面(又は上面)が部材(B)となる。
【0026】このような構造は、例えば、(あ)部材
(A)上に、フォトリソグラフィー等の方法により欠損
部を有する固体状物質(C)層を形成し、その上に部材
(B)を接着する方法、(い)間隔を置いて設置された
部材(A)と部材(B)の間に、活性エネルギー線で硬
化して固体状物質(C)となる液状組成物を充填してパ
ターニング露光により硬化させ、非露光部の未硬化組成
物を除去して空洞とする方法、(う)間隔を置いて設置
された部材(A)と部材(B)の間に、フッ素系樹脂な
どで形成された接液部の型材を置いた状態で、液体状の
固体状物質(C)前駆体を充填して硬化させ、その後、
型材を除去して空洞とする方法などにより実施出来る。
【0027】本発明の微小ケミカルデバイスに於ける空
洞状の接液部の寸法は、微小ケミカルデバイス表面から
見て、幅もしくは直径が0.3μm〜10mm、好まし
くは3μm〜1mmである。また、高さ(表面から見た
奥行き)は0.3μm〜3mm、好ましくは3μm〜3
00μmである。これらの寸法未満でも本発明は適用可
能であるが、製造が相当に困難となる。また、これらの
値以上でも本発明は適用可能であるが、微小ケミカルデ
バイスとしての有用性が低下する。
【0028】本発明の微小ケミカルデバイスの接液部
は、その上面、側面、下面のうちの少なくとも1つの
面、好ましくは2つ以上の面、最も好ましくは全ての面
が、水との接触角が35度以下、好ましくは25度以下
の共重合体で構成されている。水との接触角が小さいほ
ど、即ち、表面親水性の程度が高いほど、吸着性が低
く、水との接触角が35度を超えるとその効果に劣った
ものとなる。
【0029】一方、本発明の微小ケミカルデバイスの接
液部の水との接触角の下限は0度であってよいが、5度
以上であることが好ましく、8度以上であることが更に
好ましい。過剰に小さいと共重合体が水に対して膨潤性
となりやすく、使用時に層間の剥離などが生じ易くな
る。
【0030】なお、本発明の微小ケミカルデバイスにお
ける接液部は微小であるため、その表面の水との接触角
を測定することは多くの場合困難である。そのような場
合には、同一条件で他の形状(例えば塗膜状)の共重合
体を作製し、その表面の接触角の測定値でもって代える
こととする。
【0031】また本発明の微小ケミカルデバイスの接液
部を構成する共重合体は、その乾燥物を25℃の水に2
4時間浸漬したときの重量増加が10%以下のものであ
る。即ち、本発明の微小ケミカルデバイスの接液部を構
成する樹脂は、湿潤条件下でゲルではない。重量増加が
この値より大きいと使用が困難となる。なお、この場合
も、同一条件で他の形状(例えばフィルム状)の共重合
体を作製し、その重量増加の測定値でもって代えること
とする。
【0032】このような、水に非膨潤性でありながら高
い表面親水性を示す共重合体は、架橋重合性化合物
(a)と、両親媒性の重合性化合物(b)との共重合体
とすることにより実現できる。共重合は、ランダム共重
合、ブロック共重合、グラフト共重合を問わないが、架
橋重合性化合物(a)、重合性化合物(b)のいずれも
が微小ケミカルデバイスの内部、表面ともに存在するも
のであり、ランダム共重合であることが、製造が容易で
あり好ましい。
【0033】もちろん、表面と内部でその濃度が異な
る、いわゆる傾斜構造であることも可能である。しかし
ながら、架橋重合性化合物(a)の重合体で形成された
接液部の表面にのみ重合性化合物(b)をブロック共重
合又はグラフト共重合で結合したものは、本発明の微小
ケミカルデバイスに含まれない。
【0034】共重合体を構成する架橋重合性化合物
(a)と重合性化合物(b)の好ましい割合は、架橋重
合性化合物(a)及び重合性化合物(b)の種類や組み
合わせによって異なるが、架橋重合性化合物(a)1重
量部に対して、重合性化合物(b)0.2重量部以上で
あることが好ましく、0.5重量部以上であることが更
に好ましい。
【0035】架橋重合性化合物(a)1重量部に対する
重合性化合物(b)の割合が0.2重量部よりも少ない
と、水との接触角が小さい親水性表面を形成することが
困難となる。また、重合性化合物(b)の割合は、架橋
重合性化合物(a)1重量部に対して、5重量部以下で
あることが好ましく、3重量部以下であることが更に好
ましい。架橋重合性化合物(a)1重量部に対する重合
性化合物(b)の割合が5重量部よりも多い場合、水に
対して膨潤性となりがちであり、接液部を構成する重合
体がゲル化するものに成りがちである。
【0036】架橋重合性化合物(a)は重合して架橋重
合体となる化合物であり、且つ、その単独重合体が水と
の接触角50度以上を示すものであれば、任意の化合物
を用いることができる。単独重合体が水との接触角50
度未満を示すものは、得られる成形物が水に対して膨潤
性となったり、耐水性に劣るものとなりがちである。
【0037】架橋重合性化合物(a)は、その単独重合
体が水との接触角60度以上を示すものが好ましく、7
0度以上を示すものが更に好ましい。水との接触角の上
限は特に限定する必要はないが、得られる成型物の親水
性を減じないためには90度以下であることが好まし
い。
【0038】架橋重合性化合物(a)は、例えばエポキ
シ樹脂のような熱硬化性の化合物であっても良いが、硬
化速度の速さと製造の容易さから、活性エネルギー線架
橋重合性化合物が好ましい。活性エネルギー線架橋重合
性化合物は、ラジカル重合性、アニオン重合性、カチオ
ン重合性等の任意のものであってよい。活性エネルギー
線架橋重合性化合物は、重合開始剤の非存在下で重合す
るものに限らず、重合開始剤の存在下でのみ活性エネル
ギー線により重合するものも使用することができる。
【0039】そのような活性エネルギー線架橋重合性化
合物としては、1分子中に2個以上の重合性の炭素−炭
素二重結合を有する物が好ましく、末端エチレン基を少
なくとも2個含有する重合性不飽和化合物が好ましく、
中でも、反応性の高い(メタ)アクリル系化合物[以
下、「(メタ)アクリル」は、「メタクリル又はアクリ
ル」を意味する。(メタ)アクリレート、(メタ)アク
リロイルなどについても同様である。]やビニルエーテ
ル類、また光重合開始剤の不存在下でも硬化するマレイ
ミド系化合物が好ましい。
【0040】活性エネルギー線架橋重合性化合物として
使用できる(メタ)アクリル系モノマーとしては、例え
ば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネ
オペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6
−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2’
−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレン
オキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−(メ
タ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニ
ル)プロパン、ヒドロキシジピバリン酸ネオペンチルグ
リコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル
ジアクリレート、
【0041】ビス(アクロキシエチル)ヒドロキシエチ
ルイソシアヌレート、N−メチレンビスアクリルアミド
の如き2官能モノマー;トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メ
タ)アクリレート、トリス(アクロキシエチル)イソシ
アヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクロキシエ
チル)イソシアヌレートの如き3官能モノマー;ペンタ
エリスリトールテトラ(メタ)アクリレートの如き4官
能モノマー;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)ア
クリレートの如き6官能モノマー、などが挙げられる。
【0042】また、活性エネルギー線架橋重合性化合物
として、重合性オリゴマー(プレポリマーとの呼ばれ
る)も用いることもでき、例えば、重量平均分子量が5
00〜50000のものが挙げられる。そのような重合
性オリゴマーしては、例えば、エポキシ樹脂の(メタ)
アクリル酸エステル、ポリエーテル樹脂の(メタ)アク
リル酸エステル、ポリブタジエン樹脂の(メタ)アクリ
ル酸エステル、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有
するポリウレタン樹脂、などが挙げられる。
【0043】これらの化合物は、単独で用いることもで
き、また、2種類以上を混合して用いることもできる。
接着性を増すなどの目的で、単官能モノマー、例えば、
単官能(メタ)アクリル系モノマーを混合することも可
能である。
【0044】マレイミド系の架橋重合性モノマーとして
は、例えば、4,4’−メチレンビス(N−フェニルマ
レイミド)、2,3−ビス(2,4,5−トリメチル−
3−チエニル)マレイミド、1,2−ビスマレイミドエ
タン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、トリエチレン
グリコールビスマレイミド、N,N’−m−フェニレン
ジマレイミド、m−トリレンジマレイミド、N,N’−
1,4−フェニレンジマレイミド、N,N’−ジフェニ
ルメタンジマレイミド、
【0045】N,N’−ジフェニルエーテルジマレイミ
ド、N,N’−ジフェニルスルホンジマレイミド、1,
4−ビス(マレイミドエチル)−1,4−ジアゾニアビ
シクロ−[2,2,2]オクタンジクロリド、4,4’
−イソプロピリデンジフェニル=ジシアナート・N,
N’−(メチレンジ−p−フェニレン)ジマレイミドの
如き2官能マレイミド;N−(9−アクリジニル)マレ
イミドの如きマレイミド基とマレイミド基以外の重合性
官能基とを有するマレイミド等が挙げられる。
【0046】マレイミド系の架橋重合性オリゴマーとし
ては、例えば、ポリテトラメチレングリコールマレイミ
ドカプリエート、ポリテトラメチレングリコールマレイ
ミドアセテートの如きポリテトラメチレングリコールマ
レイミドアルキレートなどが挙げられる。
【0047】これらのマレイミド系のモノマーやオリゴ
マーは単独で使用することもでき、2種類以上を混合し
て用いることもでき、また、例えば、ビニルモノマー、
ビニルエーテル類、アクリル系モノマーの如き重合性炭
素・炭素二重結合を有する化合物と併用して共重合させ
ることもできる。
【0048】架橋重合性化合物は、複数種の重合性化合
物の混合物であり得る。例えば、活性エネルギー線架橋
重合性化合物の硬化物が架橋重合体となるためには、活
性エネルギー線架橋重合性化合物は、多官能のモノマー
及び/又はオリゴマーを含有することが必要であるが、
その他に、単官能のモノマー及び/又はオリゴマーを混
合することも可能である。
【0049】混合使用することができる単官能(メタ)
アクリル系モノマーとしては、例えば、メチルメタクリ
レート、アルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル
(メタ)アクリレート、アルコキシポリエチレングリコ
ール(メタ)アクリレート、フェノキシジアルキル(メ
タ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、アルキルフェノキシポリエチレ
ングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ
ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ヒド
ロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロールア
クリレートメタクリレート、ブタンジオールモノ(メ
タ)アクリレート、
【0050】2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル
アクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒ
ドロキシプロピルアクリレート、エチレノキサイド変性
フタル酸アクリレート、w−カルゴキシアプロラクトン
モノアクリレート、2−アクリロイルオキシプロピルハ
イドロジェンフタレート、2−アクリロイルオキシエチ
ルコハク酸、アクリル酸ダイマー、2−アクリロイスオ
キシプロピリヘキサヒドロハイドロジェンフタレート、
フッ素置換アルキル(メタ)アクリレート、
【0051】塩素置換アルキル(メタ)アクリレート、
スルホン酸ソーダエトキシ(メタ)アクリレート、スル
ホン酸−2−メチルプロパン−2−アクリルアミド、燐
酸エステル基を有する(メタ)アクリレート、スルホン
酸エステル基を有する(メタ)アクリレート、シラノ基
を有する(メタ)アクリレート、((ジ)アルキル)ア
ミノ基を有する(メタ)アクリレート、4級((ジ)ア
ルキル)アンモニウム基を有する(メタ)アクリレー
ト、(N−アルキル)アクリルアミド、(N、N−ジア
ルキル)アクリルアミド、アクロロイルモリホリンなど
が挙げられる。
【0052】混合使用できる単官能マレイミド系モノマ
ーとしては、例えば、N−メチルマレイミド、N−エチ
ルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−ドデシルマ
レイミドの如きN−アルキルマレイミド;N−シクロヘ
キシルマレイミドの如きN−脂環族マレイミド;N−ベ
ンジルマレイミド;N−フェニルマレイミド、N−(ア
ルキルフェニル)マレイミド、N−ジアルコキシフェニ
ルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミ
ド、2,3−ジクロロ−N−(2,6−ジエチルフェニ
ル)マレイミド、2,3−ジクロロ−N−(2−エチル
−6−メチルフェニル)マレイミドの如きN−(置換又
は非置換フェニル)マレイミド;
【0053】N−ベンジル−2,3−ジクロロマレイミ
ド、N−(4’−フルオロフェニル)−2,3−ジクロ
ロマレイミドの如きハロゲンを有するマレイミド;N−
(4−カルボキシ−3−ヒドロキシフェニル)マレイミ
ドの如きカルボキシ基を有するマレイミド;N−メトキ
シフェニルマレイミドの如きアルコキシ基を有するマレ
イミド;N−[3−(ジエチルアミノ)プロピル]マレ
イミドの如きアミノ基を有するマレイミド;N−(1−
ピレニル)マレイミドの如き多環芳香族マレイミド;N
−(ジメチルアミノ−4−メチル−3−クマリニル)マ
レイミド、N−(4−アニリノ−1−ナフチル)マレイ
ミドの如き複素環を有するマレイミドなどが挙げられ
る。
【0054】重合性化合物(b)は、架橋重合性化合物
(a)と共重合可能な重合性官能基を有するものであ
る。架橋重合性化合物(a)が活性エネルギー線架橋重
合性化合物である場合には、重合性化合物(b)も活性
エネルギー線により重合可能な化合物であることが好ま
しい。架橋重合性化合物(a)が1分子中に2個以上の
重合性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物である場合
には、重合性化合物(b)は、1分子中に1個以上の重
合性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物であることが
好ましい。重合性化合物(b)は架橋重合体となるもの
である必要はないが、架橋重合体となる化合物であって
もよい。
【0055】重合性化合物(b)は、両親媒性の化合物
である。両親媒性の化合物とは、分子中に親水基と疎水
基を有し、水、疎水性溶媒の両者とそれぞれ相溶する化
合物を言う。この場合の相溶とは、相分離しないことを
言い、ミセルを形成して安定的に分散している状態も含
まれる。重合性化合物(b)は、0℃において、水に対
する溶解度が0.5重量%以上で、且つ25℃のシクロ
ヘキサン:トルエン=5:1(重量比)混合溶媒に対す
る溶解度が25重量%以上であることが好ましい。
【0056】ここで言う溶解度は、例えば、溶解度が
0.5重量%以上である化合物とは、0.5重量%の化
合物が溶解可能であり、更にそれ以上の重量の化合物が
溶解可能であることを言う。溶解度が0.5重量%の化
合物は溶媒に溶解しないものの、該化合物中にごくわず
かの溶媒が溶解可能であるものは含まない。水に対する
溶解度、あるいはシクロヘキサン:トルエン=5:1
(重量比)混合溶媒に対する溶解度の少なくとも一方が
これらの値より低い化合物を使用すると、高い表面親水
性と耐水性の両者を満足することが困難となる。
【0057】重合性化合物(b)は、親水性と疎水性の
バランスが、グリフィンのHLB(エイチ・エル・ビ
ー) 値にして11〜16の範囲にあるものが好まし
く、11〜15の範囲にあるものが更に好ましい。この
範囲外では、高い親水性と耐水性に優れた成形物を得る
ことが困難であるか、それを得るための混合比が極めて
限定されたものとなり、成形物の性能が不安定となりが
ちである。
【0058】重合性化合物(b)が有する親水基は任意
であり、例えば、アミノ基、アンモニウム基、フォスフ
ォニウム基の如きカチオン基;スルホン基、燐酸基、カ
ルボニル基の如きアニオン基;水酸基、ポリエチレング
リコール基、アミド基の如きノニオン基;アミノ酸基の
如き両性イオン基であってよい。重合性化合物(b)
は、親水基として、繰り返し数6〜20のポリエチレン
グリコール鎖を有する化合物が特に好ましい。
【0059】重合性化合物(b)の疎水基としては、例
えば、アルキル基、アルキレン基、アルキルフェニル
基、長鎖アルコキシ基、フッ素置換アルキル基、シロキ
サン基などが挙げられる。
【0060】重合性化合物(b)は、疎水基として炭素
数6〜20のアルキル基又はアルキレン基を有する化合
物であることが好ましい。炭素数6〜20のアルキル基
又はアルキレン基は、アルキルフェニル基やアルコキシ
基などの形でもよい。
【0061】重合性化合物(b)は、親水基として繰り
返し数6〜20のポリエチレングリコール鎖を有し、且
つ、疎水基として炭素原子数6〜20のアルキル基又は
アルキレン基を有する化合物であることが好ましい。好
ましく使用できる重合性化合物(b)として、一般式
(1)で表わされる化合物を挙げることができる。
【0062】一般式(1) CH2=CR1COO(R2O)n-φ-R3 (式中、R1は水素、ハロゲン原子又は低級アルキル基
を表わし、R2は炭素数1〜3のアルキレン基を表わ
し、nは6〜20の整数を表わす。-φ-はフェニレン基
を表わし、R3は炭素数6〜12のアルキル基を表
す。)
【0063】R3は炭素数6〜12のアルキル基であ
り、具体的には、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、好ましくはノニ
ル基又はドデシル基である。一般式(1)において、R
2の炭素数やnの値がこの範囲外であると、高い表面親
水性と耐水性の両者を満足することが困難となる。ま
た、n数が大きいほど、R3の炭素原子数も大きいこと
が好ましい。
【0064】n数とR3の炭素数の関係はグリフィンの
エイチ・エル・ビー(HLB)値にして11〜16の範
囲にあることが好ましく、11〜15の範囲にあること
が特に好ましい。上述した重合性化合物(b)の中で
も、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(n=8
〜17)(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリ
プロピレングリコール(n=8〜17)(メタ)アクリ
レートが特に好ましい。
【0065】架橋重合性化合物(a)と重合性化合物
(b)との共重合比は、架橋重合性化合物(a)及び重
合性化合物(b)の種類や組み合わせによって異なる
が、一般的に架橋重合性化合物(a)1重量部に対し
て、重合性化合物(b)が0.2重量部〜5重量部であ
り、更に好ましくは0.5重量部〜3重量部である。
【0066】架橋重合性化合物(a)1重量部に対する
重合性化合物(b)の割合が0.2重量部よりも少ない
場合、水との接触角が小さい親水性表面を形成すること
が困難となる。逆に架橋重合性化合物(a)1重量部に
対する重合性化合物(b)の割合が5重量部よりも多い
場合は、水に対して膨潤性となりがちであり、成形物が
耐水性に劣るものとなりがちである。
【0067】本発明に於いては、架橋重合性化合物
(a)及び重合性化合物(b)の種類と混合比を適宜選
択することにより、湿潤状態でゲル化せず、かつ高親水
性・低吸着性を示す接液部を有する微小ケミカルデバイ
スを製造することが出来る。勿論、接液部の各面を異な
る方法で親水化してもよく、例えば上面となる部材の
み、スルホン化などによる親水化処理を行った部材を使
用しても良い。
【0068】本発明の製造方法は、(1)活性エネルギ
ー線により重合可能な架橋重合性化合物(a)と、該架
橋重合性化合物(a)と共重合体を形成しうる、活性エ
ネルギー線により重合可能な重合性化合物(b)を含有
する活性エネルギー線硬化性の組成物(i)を基材に塗
工し未硬化の塗膜を形成する工程、
【0069】(2)塗膜の欠損部と成す部分以外の部分
に活性エネルギー線を照射し、照射部の組成物(i)を
硬化させる工程、(3)非照射部の未硬化の組成物
(i)を除去し、硬化塗膜の欠損部として凹部を形成す
る工程、及び、(4)凹部形成面に他の部材を接着し、
凹部を空洞と成す工程、を経て形成された、内部に組成
物(i)の硬化物で形成された層を有し、該層に於いて
組成物(i)硬化物の欠損部として空洞状の接液部を有
する微小ケミカルデバイスの製造方法であり、
【0070】(I)架橋重合性化合物(a)が、その単
独重合体が水との接触角50度以上を示すものであるこ
と、(II)重合性化合物(b)が、両親媒性化合物であ
ること、及び、(III)組成物(i)が、その硬化物
が、水との接触角が35度以下であり、かつ25℃の水
への24時間浸漬による重量増加が10%以下を示すも
のであることを特徴とする。
【0071】架橋重合性化合物(a)は、上記した架橋
重合性化合物(a)の中で活性エネルギー線照射により
重合して架橋重合体となるものである。従って、その単
独重合体の水との接触角や水に対する膨潤性について
は、架橋重合性化合物(a)と同様である。本発明の製
造方法おいて架橋重合性化合物(a)として使用できる
化合物は、本発明の微小ケミカルデバイスにおいて、架
橋重合性化合物(a)として好ましく使用できる活性エ
ネルギー線架橋重合性化合物として例示されたものと同
じものを例示できる。
【0072】重合性化合物(b)は、上記した重合性化
合物(b)の中で活性エネルギー線照射により重合し、
架橋重合性化合物(a)と共重合体を形成することが可
能なものである。本発明の製造方法おいて重合性化合物
(b)として使用できる化合物は、本発明の微小ケミカ
ルデバイスにおいて好ましく使用できる、活性エネルギ
ー線架橋重合性化合物と共重合可能な重合性化合物
(b)として例示されたものと同じものが例示できる。
【0073】架橋重合性化合物(a)と重合性化合物
(b)との使用割合は、架橋重合性化合物(a)及び重
合性化合物(b)の種類や組み合わせによって異なる
が、架橋重合性化合物(a)1重量部に対して、重合性
化合物(b)0.2重量部〜5重量部であり、より好ま
しくは0.5重量部〜3重量部である。架橋重合性化合
物(a)1重量部に対する重合性化合物(b)の割合が
0.2重量部よりも少ない場合、水との接触角が小さい
親水性表面を形成することが困難となる。
【0074】架橋重合性化合物(a)1重量部に対する
重合性化合物(b)の割合が5重量部よりも多い場合、
水に対して膨潤性となりがちであり、成形物が耐水性に
劣るものとなりがちである。組成物(i)には、必要に
応じて、その他の成分を混合して使用することもでき
る。その他の成分としては、例えば、光重合開始剤、重
合遅延剤や重合禁止剤、溶剤、増粘剤、改質剤、着色剤
などが挙げられる。
【0075】光重合開始剤は、本発明で使用する活性エ
ネルギー線に対して活性であり、組成物(i)を硬化さ
せることが可能なものであれば、特に制限はなく、例え
ば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオ
ン重合開始剤であって良い。
【0076】そのような光重合開始剤としては、例え
ば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,
2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2
−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセ
トフェノン類;ベンゾフェノン、4、4′−ビスジメチ
ルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、
2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサント
ン、2−イソプロピルチオキサントンの如きケトン類;
【0077】ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、
ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチ
ルエーテルの如きベンゾインエーテル類;ベンジルジメ
チルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト
ンの如きベンジルケタール類;N−アジドスルフォニル
フェニルマレイミドの如きアジドなどが挙げられる。
【0078】また、光重合開始剤として、マレイミド系
化合物の如き重合性光重合開始剤を用いることもでき
る。重合性光重合開始剤は、例えば、架橋重合性化合物
(a)として使用できる化合物として例示した多官能マ
レイミドの如き多官能モノマーの他に、組成物(i)に
混合使用できる単官能マレイミド系モノマーとして例示
したような単官能モノマーであっても良い。組成物
(i)に添加する光重合開始剤の使用量は、非重合性光
重合開始剤の場合、0.005〜20重量%の範囲が好
ましく、0.05〜5重量%の範囲が特に好ましい。
【0079】組成物(i)に添加することができる重合
遅延剤や重合禁止剤としては、α−ビニルスチレン、
2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンなどの
エネルギー線硬化性化合物としては重合速度の低いビニ
ル系モノマー;tert−ブチルフェノールなどのヒン
ダントフェノール類などが挙げられる。エネルギー線と
して光線を使用する場合には、パターニング精度を向上
させるために、重合遅延剤及び/又は重合禁止剤と光重
合開始剤を併用することが好ましい。
【0080】組成物(i)に添加することができる溶剤
としては、組成物(i)と均一に混合する任意の揮発性
の溶剤が挙げられる。組成物(i)に添加することがで
きる増粘剤としては、例えば、ポリスルホン、ポリビニ
ルピロリドン、ポリヒドロキメチルスチレンの如き線状
重合体;クレイの如き粉末が挙げられる。組成物(i)
に添加することができる改質剤としては、例えば親水性
向上剤として作用するシリカゲル、酸化チタンの如き無
機粉末;セルロースの如き有機粉末が挙げられる。組成
物(i)に添加することができる着色剤としては、任意
の染料や顔料、蛍光色素が挙げられる。
【0081】本発明の製造方法は、第1工程として、組
成物(i)を基材に塗工し、組成物(i)の未硬化塗膜
を形成する。基材の形状は特に限定されず、用途目的に
応じた形状を採りうる。例えば、フィルム状(シート状
を含む)、板状、塗膜状、スチック状、管状、円筒状、
その他、複雑な形状の成型物などであり得るが、成形し
やすさの面から、フィルム状又は塗膜状であることが好
ましい。また、複数の微小ケミカルデバイスを1つの基
材上に形成した後、切断して複数のデバイスとすること
もできる。
【0082】基材の素材としては、重合体、ガラス、石
英、セラミック、金属シリコンなど任意の物が使用でき
るが、成型性が良く生産性を高くできることから、重合
体であることが好ましい。基材に使用できる重合体とし
ては、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレ
ン、ポリスチレン/マレイン酸共重合体、ポリスチレン
/アクリロニトリル共重合体、ポリスチレン/メチルメ
タクリレート共重合体の如きスチレン系重合体;ポルス
ルホン、ポリエーテルスルホンの如きポリスルホン系重
合体;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリ
ルの如き(メタ)アクリル系重合体;ポリマレイミド系
重合体;
【0083】ビスフェノールA系ポリカーボネート、ビ
スフェノールF系ポリカーボネート、ビスフェノールZ
系ポリカーボネートの如きポリカーボネート系重合体;
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペン
テン−1の如きポリオレフィン系重合体;塩化ビニル、
塩化ビニリデンの如き塩素含有重合体;酢酸セルロー
ス、メチルセルロースの如きセルロース系重合体;ポリ
ウレタン系重合体;ポリアミド系重合体;ポリイミド系
重合体;ポリ−2,6−ジメチルフェニレンオキサイ
ド、ポリフェニレンサルファイドの如きポリエーテル系
又はポリチオエーテル系重合体;ポリエーテルエーテル
ケトンの如きポリエーテルケトン系重合体;
【0084】ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレ
ートの如きポリエステル系重合体;エポキシ樹脂;ウレ
ア樹脂;フェノール樹脂などが挙げられる。これらの中
でも、接着性が良好な点などから、スチレン系重合体、
(メタ)アクリル系重合体、ポリカーボネート系重合
体、ポリスルホン系重合体、ポリエステル系重合体が好
ましい。基材に使用する重合体は、単独重合体であって
も、共重合体であっても良く、また、熱可塑性重合体で
あっても、熱硬化性重合体であっても良い。
【0085】生産性の面から、基材に使用する重合体
は、熱可塑性重合体又はエネルギー線硬化架橋重合体で
あることが好ましい。また、基材は、ポリマーブレンド
やポリマーアロイで構成されていても良いし、積層体そ
の他の複合体であっても良い。更に基材は、改質剤、着
色剤、充填材、強化材などの添加物を含有しても良い。
【0086】組成物(i)を基材に塗工する方法として
は、任意の塗工方法を用いることができ、例えば、スピ
ンコート法、ローラーコート法、流延法、ディッピング
法、スプレー法、バーコーター法、X−Yアプリケータ
法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、グラビア印刷法、
ノズルからの押し出しや注型などが挙げられる。また、
組成物(i)を特に薄く塗工する場合には、組成物
(i)に溶剤を含有させて塗工した後、該溶剤を揮発さ
せる方法を採用することもできる。塗工厚みは本発明に
より製造される微小ケミカルデバイスの凹部厚みとする
ことが出来る。
【0087】但し、組成物(i)は硬化により通常収縮
するため、その分を考慮する必要がある。また、複数回
の塗工と露光によって、凹部を形成することも出来る。
本発明の製造方法においては、第2工程として、組成物
(i)の未硬化の塗工物に、凹部となるべき部分を除い
て活性エネルギー線を照射(この操作を露光と称する場
合もある)して、照射部分の組成物(i)を硬化させ、
組成物(i)の活性エネルギー線非照射部を未硬化部分
として残す。ここで言う硬化とは、組成物(i)が非流
動性となり、未硬化部分の組成物(i)を選択的に除去
出来る程度以上に硬化させることをいい、必ずしも完全
硬化のみをを意味するものではない。
【0088】本発明の製造方法に用いることのできる活
性エネルギー線は、組成物(i)を硬化させることが可
能なものであれば任意であり、例えば、紫外線、可視光
線、赤外線、レーザー光線、放射光の如き光線;エック
ス線、ガンマ線、放射光の如き電離放射線;電子線、イ
オンビーム、ベータ線、重粒子線の如き粒子線が挙げら
れるが、取り扱い性や硬化速度の面から紫外線及び可視
光が好ましく、紫外線が特に好ましい。硬化速度を速
め、硬化を完全に行なう目的で、活性エネルギー線の照
射を低酸素濃度雰囲気で行なうことが好ましい。低酸素
濃度雰囲気としては、窒素気流中、二酸化炭素気流中、
アルゴン気流中、真空又は減圧雰囲気が好ましい。
【0089】凹部となる部分以外の部分に選択的に活性
エネルギー線を照射する方法は任意であり、例えば、照
射不要部分をマスキングして照射する、あるいはレーザ
ーなどの活性エネルギー線のビームを走査する、照射部
分のみに焦点を結ばせる、といったフォトリソグラフィ
ーの手法が利用できる。
【0090】未硬化部の寸法・形状は、フォトマスクの
形状や非照射部の形状と完全に一致するわけではない。
一般に、活性エネルギー線照射線量が多ければ、重合硬
化部は非照射領域にまで入り込み、未硬化部の寸法は非
照射部の寸法より小さくなり、逆に線量が少なければ、
未硬化部の寸法は非照射部の寸法より大きくなる。未硬
化部の寸法と非照射部の寸法の関係は、活性エネルギー
線量の他、光重合開始剤の濃度や、重合遅延剤や重合禁
止剤の濃度などにも依存する。
【0091】本発明の製造方法に於いては、第3工程と
して、露光後、非照射部分の未硬化の組成物(i)を除
去し、組成物(i)硬化塗膜における塗膜の欠損部とす
る(以後、この操作を「現像」と称する場合がある)。
未硬化の組成物(i)の除去方法は任意であり、例え
ば、圧縮空気などによる吹き飛ばし;ろ紙などによる吸
収;水などの非溶剤の液体流による洗い流し;組成物
(i)を溶解させる溶剤(界面活性剤、酸、アルカリを
含む)による洗浄;揮発;分解などの方法が利用でき
る。
【0092】これらの中で、非溶剤の液体流による洗い
流し又は溶剤洗浄が好ましい。溶剤や非溶剤による場合
には、例えば、流動液体やシャワーを塗膜に当てること
による除去、攪拌液体中への浸漬、液体中での揺動や振
動、液体中で気泡を塗膜に当てる方法、超音波洗浄など
の方法が利用できる。現像によって形成される組成物
(i)硬化物層の欠損部の形状・寸法は、概ね組成物
(i)の未硬化部の形状・寸法と基本的に同じである
が、完全に一致するわけではない。例えば、未照射部分
の未硬化の組成物(i)の除去が完全でなく、樹脂欠損
部の底が基材表面に届いていない場合もあり得る。
【0093】未硬化の組成物(i)を除去する事によっ
て、組成物(i)硬化物の欠損部として凹部が形成され
る。凹部は、未硬化の組成物(i)がほぼ完全に除去さ
れた部分として形成されていても良いし、その一部が除
去されて形成されていても良い。凹部の寸法・形状は、
上述の本発明の微小ケミカルデバイスに於ける空洞状の
接液部の寸法・形状と同様である。
【0094】未硬化部を除去した後、凹部壁面に残存す
る未硬化の組成物(i)を硬化させるために、また、凹
部壁面に於ける硬化部と未硬化部の境界部分を完全に硬
化させるために、また、硬化部の硬度を更に増すため
に、活性エネルギー線を再度照射することが好ましい。
この時の活性エネルギー線は、露光に使用したものと異
なっていても良い。この再照射は、下記の本発明の第4
工程と同時でもよく、或いは第4工程の後でも良い。
【0095】本発明の製造方法に於いては、第4工程と
して、凹部形成面の上にカバーなどの他の部材を液密に
接着し、凹部と他の部材でもって空洞状の接液部、例え
ば毛細管状の流路を形成する。凹部形成面に接着する他
の部材は、凹部形成面に密着し、凹部と該部材でもって
空洞を形成可能なものであれば、その形状、素材、構
造、表面状態などは任意である。
【0096】これらについては、例えば本発明に於ける
基材と同様のものを使用できるが、その他に、多孔質膜
などの分離膜であってもよく、更に、表面に凹部が形成
されている部材、例えば基材表面に凹部が形成された部
材の鏡像体であってもよい。凹部の表面に他の部材を接
着することにより形成される空洞部の形状・寸法は、他
の部材の接着面が平面である場合には、組成物(i)の
欠損部として形成された凹部の形状・寸法と概ね同じで
ある。
【0097】形成された凹部の表面に他の部材を接着す
る方法は任意である。例えば、架橋重合性化合物(a)
として挙げた化合物を接着剤とし、活性エネルギー線照
射により接着することも好ましい。また、組成物(i)
の露光に際し、架橋重合性化合物(a)が完全に硬化し
ない程度に半硬化させ、未硬化部分を除去後、該部材と
接触させた状態で活性エネルギー線を照射して、組成物
(i)を完全硬化させると同時に該部材と接着する方法
も好ましい。
【0098】あるいはまた、何らかの部材に活性エネル
ギー線硬化性の組成物を塗工し、活性エネルギー線を照
射して、該組成物が完全に硬化しない程度に半硬化さ
せ、その半硬化塗膜面を凹部形成面と接触させた状態で
活性エネルギー線を照射して、凹部形成面に接着する方
法も好ましい。活性エネルギー線硬化性の組成物として
は、組成物(i)が好ましく使用できる。
【0099】
【実施例】以下、実施例及び比較例を用いて本発明を更
に詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例の範囲に
限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較
例における「部」は「重量部」である。
【0100】[化合物]以下の実施例及び比較例中で略
称にて示した化合物は下記のものを意味する。 V−4263:平均分子量約2000の3官能ウレタ
ンアクリレートオリゴマー(大日本インキ化学工業株式
会社製の「ユニディックV−4263」) HDDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
(第一工業製薬株式会社製の「ニューフロンティアHD
DA」)
【0101】M−114:ノニルフェノキシポリエチ
レングリコール(n=8)アクリレート(東亜合成化学
株式会社製の「M−114」;HLB値=11.25;
水、シクロヘキサン/トルエン混合溶媒の両者に可溶) N−177E:ノニルフェノキシポリエチレングリコ
ール(n=17)アクリレート(第一工業製薬株式会社
製の「N−177E」;HLB値=14.64;水、シ
クロヘキサン/トルエン混合溶媒の両者に可溶)
【0102】M−113:ノニルフェノキシポリエチ
レングリコール(n=4)アクリレート(東亜合成化学
株式会社製の「M−113」;HLB値=7.82;水
に不溶;シクロヘキサン/トルエン混合溶媒に可溶) AM−90G:メトキシポリエチレングリコール(n
=9)アクリレート(新中村化学工業株式会社製の「A
M−90G」;HLB値=16.43;水に可溶;シク
ロヘキサン/トルエン混合溶媒に不溶)
【0103】Irg.184:1−ヒドロキシシクロ
ヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製の「イルガ
キュアー184」) DPMP:2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペ
ンテン(関東化学株式会社製)
【0104】[測定方法]実施例中の測定は次の方法に
より行った。 〔重合性化合物の水に対する溶解性の測定〕重合性化合
物0.5部、0℃の水99.5部の混合溶液を調製し、激
しく撹拌し、0℃にて24時間静置した後、目視にて判
定し、相分離していないものを可溶とした。
【0105】〔重合性化合物のシクロヘキサン/トルエ
ン溶液に対する溶解性の測定〕シクロヘキサン62.5
部及びトルエン12.5部からなるシクロヘキサン/ト
ルエン混合溶媒を用意し、重合性化合物25部、シクロ
ヘキサン/トルエン混合溶媒75部を混合して25℃に
て激しく攪拌し、25℃にて24時間静置した後、目視
にて判定し、相分離していないものを可溶とした。
【0106】〔水接触角の測定〕試料を25℃、湿度6
0%に24時間静置した後、協和界面科学製接触角度計
CA−X型を使用し、室温(24±2℃)にて、安定化
時間3分で測定した。
【0107】〔水中浸漬による重量増加(膨潤度)の測
定〕試料を45℃にて5時間、真空乾燥させた後、秤量
し、乾燥重量とした。この試料を25℃の水に24時間
浸漬した後、表面を濾紙で拭って秤量し、重量増加を測
定した。膨潤度は次式によった。 膨潤度(%)=重量増加(g)/乾燥重量(g)×10
【0108】[組成物(i)の調製] 〔組成物(i−1)〕架橋重合性化合物(a)として、
V−4263を10部、及びHDDAを10部、重合性
化合物(b)としてM−114を80部、光重合開始剤
としてIrg.184を5部、及び重合遅延剤としてD
PMPを0.1部を均一に混合して組成物(i−1)を
調製した。
【0109】〔組成物(i−2)〕架橋重合性化合物
(a)として、V−4263を35部、及びHDDAを
35部、重合性化合物(b)としてM−77Eを30
部、光重合開始剤としてIrg.184を5部、及び重
合遅延剤としてDPMPを0.1部を均一に混合して組
成物(i−2)を調製した。
【0110】〔組成物(i−3)〕エネルギー線硬化性
化合物(a)として、ポリテトラメチレングリコール
(平均分子量250)マレイミドカプリエート(特開平
11−124403号公報の合成例13に記載の方法に
よって合成した)80部、重合性化合物(b)としてN
−177Eを20部、重合遅延剤としてDPMP(関東
化学株式会社製)0.01部を混合して組成物(i−
3)を調製した。
【0111】[実施例1] 〔基材の作製〕5cm×5cm×1mmのアクリル樹脂板
(三菱レイヨン株式会社製の「アクリライトL」)に組
成物(i−1)を厚さ50μmのバーコーターで塗工
し、窒素雰囲気中で100mW/cm2 の紫外線を10
秒間照射して塗膜を硬化させ、アクリル樹脂板の表面に
組成物(i−1)硬化塗膜の形成された基材(1)を作
製した。
【0112】〔第1工程〕基材(1)に50μmのバー
コーターを用いて組成物(i−1)を塗工した。 〔第2工程〕窒素雰囲気中で、非露光部の形状が幅30
μm、長さ30mmであるフォトマスクを通して、図1
に示した溝状の凹部(3)となる部分以外の部分に、ウ
シオ電機株式会社製のマルチライト200型露光装置用
光源ユニットを用いて、100mW/cm2の紫外線を2
秒間照射することにより露光し、組成物(i−1)塗膜
を硬化塗膜(2)とした。
【0113】〔第3工程〕組成物(i−1)を溶解させ
る溶剤である2−ブタノンを洗瓶から噴出させて非照射
部分の未硬化の組成物(i−1)を洗浄除去し、凹部
(3)を形成した。
【0114】〔第4工程〕厚さ200μmの2軸延伸ポ
リスチレンシート(大日本インキ化学工業株式会社製)
を5cm×5cmに切断し、カバーとして使用した。これ
に、接着剤として組成物(i−1)を50μmのバーコ
ーターを用いて塗工し、上記の露光に用いたと同じ紫外
線を1秒間照射して流動性が無くなる程度に半硬化さ
せ、この半硬化塗膜面を第3工程で作製した、凹部が形
成された塗膜面に密着させた状態で同じ紫外線を30秒
間再照射してカバー(5)を接着剤(4)でもって接着
した。
【0115】〔流入出口の形成〕その後、毛細管状の空
洞(3)の両端部において、カバー(5)及び接着樹脂
層(4)にドリルにて直径0.5mmの孔を穿って流入
口(6)及び流出口(7)を形成して、図1及び図2に
示した、内部に毛細管状の空洞(3)を有する微小ケミ
カルデバイス[D−1]を作製した。
【0116】〔通水試験〕微小ケミカルデバイス[D−
1]の流入口(6)に水を滴下したところ、水は自発的
に毛細管状の空洞(3)に吸い込まれ、流出口(7)に
達した。毛細管状の空洞の表面は高い親水性であること
が分かる。
【0117】〔共重合体の特性試験〕別途、組成物(i
−1)を127μmを用いてガラス板に塗工し、露光に
用いたと同じ紫外線を40秒間照射して、組成物(i−
1)硬化物、即ち、架橋重合性化合物(a)と両親媒性
の重合性化合物(b)の共重合体で形成された塗膜を得
た。この塗膜の水との接触角は23度であった。また、
ガラス板から剥離して測定したこの塗膜の膨潤度は約
0.5%であった。
【0118】〔架橋重合性化合物(a)の特性試験〕重
合性化合物(b)及び重合遅延剤を加えなかったこと、
及び光重合開始剤量を1重量部としたこと以外は、組成
物(i−1)と同様にして活性エネルギー線硬化性組成
物を調製し、127μmのバーコーターを用いてガラス
板上に塗布し、露光に用いた紫外線と同じ紫外線を30
秒間照射して、架橋重合性化合物(a)の単独重合体塗
膜を形成し水との接触角を測定したところ、69度であ
った。
【0119】[実施例2]組成物(i−1)の代わり
に、組成物(i−2)を使用したこと以外は、実施例1
と同様にして微小ケミカルデバイス[D−2]を作製し
た。微小ケミカルデバイス[D−2]について、実施例1
と同様の通水試験を行い同様の結果を得た。なお、この
共重合体塗膜の水との接触角は18度であり、膨潤度は
約0.5%であった。
【0120】[実施例3]組成物(i−1)の代わり
に、組成物(i−3)を使用したこと以外は、実施例1
と同様にして微小ケミカルデバイス[D−3]を作製し
た。微小ケミカルデバイス[D−3]について、実施例1
と同様の通水試験を行い同様の結果を得た。この共重合
体塗膜の水との接触角は25度、膨潤度は約0.3%で
あった。
【0121】なお。重合性化合物(b)及び重合遅延剤
を加えなかったこと、及び光重合開始剤量を4重量部と
したこと以外は、組成物(i−3)と同様にして活性エ
ネルギー線硬化性組成物を調製し、架橋重合性化合物
(a)の単独重合体塗膜を形成し、水との接触角を測定
したところ、68度であった。
【0122】〔比較例1〕実施例1において用いた組成
物(i−1)の代わりに、両親媒性の重合性化合物
(b)に代えて、水に不溶でありシクロヘキサン/トル
エン混合溶媒に可溶な重合性化合物であるM−113を
使用し、架橋重合性化合物(a):M−113の重量比
を4:1、3:2、2:3、1:4とした組成物を使用
したこと以外は、実施例1と同様にして微小ケミカルデ
バイスを作製した。実施例1と同様の通水試験を行った
ところ、いずれも自発的に蒸留水が流路(接液部)に入
り込むことはなかった。また、実施例1と同様にして共
重合体の接触角を測定したところ、それぞれ、79.9
度、87.4度、92.5度、95.2度であった。
【0123】〔比較例2〕実施例1において使用した組
成物(i−1)の代わりに、両親媒性の重合性化合物
(b)に代えて、水に可溶でありシクロヘキサン/トル
エン混合溶媒に不溶な重合性化合物であるAM−90G
を使用し、架橋重合性化合物(a):AM−90Gの比
を4:1、3:2、2:3、1:4とした組成物を使用
したこと以外は、実施例1と同様にして微小ケミカルデ
バイスを作製した。
【0124】得られた微小ケミカルデバイスについて、
実施例1と同様の通水試験を行った結果、組成比が4:
1及び3:2のものは蒸留水が自発的に流路(接液部)
に入り込むことはなかった。また組成比が2:3及び
1:4のものは、蒸留水が自発的に流路に入り込んだ
が、まもなく共重合体が膨潤して流路が閉塞した。
【0125】この結果から、重合性化合物(b)に代え
て、水に可溶でありシクロヘキサン/トルエン混合溶媒
に不溶な重合性化合物を用いた場合には、該化合物の組
成比が低い場合には接液部表面の親水性は低く、該化合
物の組成比を高めた場合には、接液部の親水性がそれほ
ど増加しないうちに、水に膨潤性となってしまうことが
わかる。
【0126】
【発明の効果】本発明は、高い親水性の接液部表面を有
することにより広範囲の生体物質に対して低い吸着性を
示し、且つ、耐水性低下を呈しない微小ケミカルデバイ
ス及びその簡便な製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作製した微小ケミカルデバイスをそ
の表面に垂直な方向から見た平面図の模式図である。
【図2】実施例1で作製した微小ケミカルデバイスをそ
の表面と平行な方向から見た立面図の模式図である。
【符号の説明】
1:基材 2:光硬化性組成物(i)の硬化塗膜層 3:凹部、空洞部 4:接着剤層 5:カバー(他の部材) 6:流入口 7:流出口
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 37/00 101 G01N 27/26 331E Fターム(参考) 2G042 AA03 BD01 BD06 BD11 CA07 CB03 2G058 CA05 CC18 4G075 AA13 BB05 BD05 EB21 FC20 4J011 QA03 QA08 QA13 QA15 QA17 QA19 QA39 QA40 QB05 QB14 QB16 QB19 SA01 SA06 SA07 SA21 SA25 SA31 SA36 SA51 SA56 SA61 SA64 UA01 UA02 UA04 UA06 WA02 WA10

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶液の接する空洞の少なくとも1つの面
    が、(a)その単独重合体の水との接触角が50度以上
    である架橋重合性化合物と、(b)両親媒性の重合性化
    合物との共重合体で、水との接触角が35度以下で、且
    つ25℃の水への24時間浸漬による重量増加が10%
    以下である共重合体で形成されている、親水性接液部を
    有する微小ケミカルデバイス。
  2. 【請求項2】 幅もしくは直径が0.3μm〜10m
    m、高さ0.3μm〜3mmの空洞状の接液部が形成さ
    れた請求項1に記載の微小ケミカルデバイス。
  3. 【請求項3】 (a)架橋重合性化合物が、1分子中に
    2個以上の重合性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物
    であり、且つ(b)両親媒性重合性化合物が、1分子中
    に1個以上の重合性炭素−炭素不飽和結合を有する化合
    物である請求項1又は2に記載の微小ケミカルデバイ
    ス。
  4. 【請求項4】 重合性化合物(b)が、25℃のシクロ
    ヘキサン:トルエン=5:1(重量比)混合溶媒に対し
    て25重量%以上溶解し、且つ0℃の水に対して0.5
    重量%以上溶解する化合物である請求項1〜3のいずれ
    か1つに記載の微小ケミカルデバイス。
  5. 【請求項5】 重合性化合物(b)のグリフィンのHL
    B値が、10〜16である請求項1〜4のいずれか1つ
    に記載の微小ケミカルデバイス。
  6. 【請求項6】 重合性化合物(b)が、繰り返し数6〜
    20のポリエチレングリコール鎖を有する化合物である
    請求項1〜4のいずれか1つに記載の微小ケミカルデバ
    イス。
  7. 【請求項7】 重合性化合物(b)が、炭素原子数6〜
    20のアルキル基又はアルキレン基を有する化合物であ
    る請求項1〜6のいずれか1つに記載の微小ケミカルデ
    バイス。
  8. 【請求項8】 重合性化合物(b)が、炭素数6〜20
    個のアルキル基を持つアルキルフェニル基含有化合物で
    ある請求項7に記載の微小ケミカルデバイス。
  9. 【請求項9】 (イ)表面に凹部を有する部材(A)の
    凹部が形成された面に他の部材(B)が接着されてお
    り、部材(A)と部材(B)との間に空洞状の接液部が
    形成された構造、もしくは、(ロ)部材(A)と部材
    (B)の間に固体状物質(C)が充填されており、固体
    状物質(C)の欠損部として部材(A)と部材(B)と
    の間に空洞状の接液部が形成された構造を有する、請求
    項1〜8のいずれか1つに記載の微小ケミカルデバイ
    ス。
  10. 【請求項10】 共重合体中の架橋重合性化合物(a)
    1重量部に対する重合性化合物(b)の重量比が0.1
    〜5である請求項1〜8のいずれか1つに記載の微小ケ
    ミカルデバイス。
  11. 【請求項11】 (1)その単独重合体の水との接触角
    が50度以上である、活性エネルギー線により重合可能
    な架橋重合性化合物(a)と、架橋重合性化合物(a)
    と共重合体を形成しうる、両親媒性の活性エネルギー線
    により重合可能な重合性化合物(b)を含有する活性エ
    ネルギー線硬化性組成物(i)を基材に塗工し塗膜を形
    成する工程、(2)塗膜の欠損部と成す部分以外の部分
    に活性エネルギー線を照射し、照射部の組成物(i)を
    硬化させる工程、(3)非照射部の未硬化の組成物
    (i)を除去し、硬化塗膜の欠損部として凹部を形成す
    る工程、及び、(4)凹部形成面に他の部材を接着し凹
    部を空洞と成す工程とを含む、水との接触角が35度以
    下であり、且つ25℃の水の24時間浸漬による重量増
    加が10%以下である組成物(i)の硬化物で形成され
    た層を有し、該層に於いて組成物(i)硬化物の欠損部
    として空洞状の接液部を有する微小ケミカルデバイスの
    製造方法。
  12. 【請求項12】 活性エネルギー線硬化性組成物(i)
    の架橋重合性化合物(a)1重量部に対する重合性化合
    物(b)の混合比(重量比)が0.1〜5である請求項
    11に記載の微小ケミカルデバイスの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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