JP2002012941A - 仕上げ面粗さが優れた快削プラスチック成形金型用鋼 - Google Patents

仕上げ面粗さが優れた快削プラスチック成形金型用鋼

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JP2002012941A JP2000193471A JP2000193471A JP2002012941A JP 2002012941 A JP2002012941 A JP 2002012941A JP 2000193471 A JP2000193471 A JP 2000193471A JP 2000193471 A JP2000193471 A JP 2000193471A JP 2002012941 A JP2002012941 A JP 2002012941A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被削性を向上させる元素を多量に添加するこ
となく、また、特殊な熱処理をすることなく、被削性を
向上させ、被削性、焼入れ性及び仕上面粗さという相反
する特性を改善することができる低コストの仕上げ面粗
さが優れた快削プラスチック成形金型用鋼を提供する。 【解決手段】 仕上げ面粗さが優れた快削プラスチック
成形金型用鋼は、C:0.20乃至0.60質量%、S
i:0.30乃至1.00質量%、Mn:0.50乃至
1.50質量%、S:0.010乃至0.050質量
%、Cr:0.30乃至1.20質量%、Ni:0.0
5乃至1.00質量%及びAl:0.01乃至0.05
質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からな
る組成を有する。この鋼の組織はフェライト及びパーラ
イトからなり、フェライト量が面積率で15乃至40
%、残部がパーライトであり、硬さが83乃至97HR
Bである。更に、必要に応じて、Cu:0.1乃至1.
0質量%及びMo:0.1乃至1.0質量%からなる群
から選択された少なくとも1種を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、快削性元素を多量
に添加することなく被削性を改善し、被削性、焼入れ性
及び仕上面粗さという相反する特性をいずれも改善した
快削プラスチック成形金型用鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車インパネ又はテレビの筐
体等のような大型プラスチック成形品を成形するための
金型の製作においては、比較的低コストのS55Cクラ
スの構造用鋼が汎用的に使用されている。コストダウン
を目的とした機械加工費の削減のため、被削性を重視し
た快削プラスチック成形金型用鋼が使用されているが、
S55Cクラスの金型用鋼についても例外ではなく、低
コスト化及び被削性の更に一層の改善が要望されてい
る。
【0003】従来の快削プラスチック成形金型用鋼は、
Pb、Te、Bi、Ca及びZr等の快削性を向上させ
る成分を単独又は複合添加して被削性の向上を図ってい
る。しかし、Te、Bi、Zr又はCa等を添加するこ
とは、コストダウンの要求に反するものであり、近時の
低コスト化の要求を満足できない。また、Sを多量に含
有するS系快削プラスチック成形金型用鋼は、機械的性
質が劣化し、異方性が増加する虞があり、MnSが偏析
している箇所は、シボ加工(エンボス加工)又は鏡面加
工後の仕上げ面粗さが粗くなるという問題点がある。
【0004】例えば、特開昭63−286554号公報
には、Bi又はCaの添加により被削性を改善したプラ
スチック成形金型用鋼が提案されている。また、特開平
10−121196号公報には、MnSの形態を制御す
ることにより被削性を改善したプラスチック成形金型用
鋼が提案されている。
【0005】一方、Pb系快削プラスチック成形金型用
鋼は機械的性質を劣化させずに、被削性を向上させるこ
とができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
特開昭63−286554号公報及び特開平10−12
1196号公報に記載されたいずれの従来技術において
も、非金属介在物の増加を伴うものであり、仕上げ面粗
さが粗くなるという問題点がある。また、Pb系快削プ
ラスチック成形金型用鋼においては、Pbは人体に有害
であると共に、Pbを含有する鋼材は公害の点から再利
用しにくく、鋼材のリサイクル性の面からも問題があ
る。
【0007】一方、自動車インパネ及びテレビの筐体の
ような大型のプラスチック成形品用の金型は、鋼材のブ
ロックを深く削り出すことにより製造されることが多
く、このため、金型製品は鋼材ブロックの中心部が表面
にあらわれる。このような深堀の金型の場合は、鋼材ブ
ロックの中心部の状態が製品の善し悪しを決定する場合
が多い。鋼材の中心部及び表層部に組織ムラ又は硬さム
ラが生じている場合、深堀した箇所に硬さが低い部分が
現れ、シボムラ又は鏡面ムラの原因となる。
【0008】S55Cクラスの金型用鋼はSCM系の金
型鋼に比べて焼入性が低いため、例えば幅が400mm
以上の実用的な大型サイズの鋼材においては、中心部と
表層部とにおいて組織ムラが発生する虞がある。このた
め、特にプラスチック成形金型用鋼としては、大型の鋼
材においても、中心部と表層部との組織及び硬さが均一
で、シボ加工又は鏡面加工後の仕上げ面粗さが優れ、且
つ被削性が改善されたプラスチック成形金型用鋼を安価
に供給することが要望されている。
【0009】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、被削性を向上させる元素を多量に添加する
ことなく、また、特殊な熱処理をすることなく、被削性
を向上させ、被削性、焼入れ性及び仕上面粗さという相
反する特性を改善することができる低コストの仕上げ面
粗さが優れた快削プラスチック成形金型用鋼を提供する
ことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る仕上げ面粗
さが優れた快削プラスチック成形金型用鋼は、C:0.
20乃至0.60質量%、Si:0.30乃至1.00
質量%、Mn:0.50乃至1.50質量%、S:0.
010乃至0.050質量%、Cr:0.30乃至1.
20質量%、Ni:0.05乃至1.00質量%及びA
l:0.01乃至0.05質量%を含有し、残部がFe
及び不可避的不純物からなる組成を有し、組織がフェラ
イト及びパーライトからなり、フェライト量が面積率で
15乃至40%、残部がパーライトであり、硬さが83
乃至97HRBであることを特徴とする。
【0011】この鋼は、更に、必要に応じて、Cu:
0.1乃至1.0質量%及びMo:0.1乃至1.0質
量%からなる群から選択された少なくとも1種を含有す
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について詳
細に説明する。本発明者等は、機械構造用炭素鋼(S
C)系のプラスチック成形金型用鋼の仕上げ面粗さ及び
被削性を改善するために、ミクロ組織及び硬さが仕上げ
面粗さ及び被削性に及ぼす影響について鋭意研究した。
その結果、機械構造用炭素鋼(SC)系のプラスチック
成形金型用鋼はフェライトの面積率と強度とを規定する
ことにより、C量の広い範囲に亘って被削性が劣化する
ことなく、優れた仕上げ面粗さを維持することができる
ことを見出した。
【0013】具体的には、フェライト面積率を15乃至
40%にし、更に、フェライトの強度を上げることによ
り、被削性と仕上げ面粗さの双方を良好にすることがで
きることを見いだした。また、このように、フェライト
面積率及びフェライト強度を調節するためには、Si、
Cr及びNiをバランスよく添加することが必要である
ことを知見した。
【0014】また、優れた仕上げ面粗さにするために
は、組織ムラ及び硬さムラをなくすことが重要である。
機械構造用炭素鋼(SC)系のプラスチック成形金型用
鋼にCr及びNi等の合金元素を添加すると、熱処理後
の冷却時において、冷却速度の遅い鋼材内部においては
フェライト+パーライト組織になり、最も冷却速度が速
い鋼材の表層部においてはフェライト+ベイナイト組織
になる場合があり、この組織の違いにより硬さムラが生
じ、仕上げ面粗さが劣化する可能性がある。
【0015】本発明においては、Si、Cr及びNiを
バランスよく添加することにより、熱処理後において、
鋼材の表層部はフェライト+ベイナイト組織になること
なく、鋼材の内部と同じくフェライト+パーライト組織
となり、鋼材の中心部と同様なミクロ組織となる。従っ
て、本発明によれば、均一な組織が得られる。
【0016】このようにして、本発明によれば、被削
性、焼入性及び仕上げ面粗さといった相反する特性を改
善するために、快削性を向上させる成分を多量に添加す
ることなく、また特殊な熱処理をすることなく、優れた
被削性と仕上げ面粗さとを有するプラスチック成型金型
用鋼が得られる。
【0017】以下、本発明のプラスチック成形金型用鋼
の組成の成分添加理由及び組成限定理由について説明す
る。
【0018】C:0.20乃至0.60質量% Cは鋼の硬さ及び強度を高めるのに有効な元素である。
Cの含有量が0.20質量%未満では、鋼の硬さ及び強
度を高める効果を得ることができない。一方、Cの含有
量が増すとフェライト面積率が減少し、硬いFe炭化物
が多くなるため、機械加工に際して工具刃先が摩滅し被
削性が劣化する。このため、Cの含有量の上限値は0.
60質量%とする。従って、Cの含有量は0.20乃至
0.60質量%とする。
【0019】Si:0.30乃至1.00質量% Siは溶製時の脱酸剤として有効な元素である。本発明
においては、このSiは特にフェライトを強化するため
に必要な元素である。Siの含有量が0.30質量%未
満では、フェライトを強化する効果を得ることができな
い。一方、Siの含有量が1.00質量%を超えて多く
なりすぎると、靭性が減少する。従って、Siの含有量
は0.30乃至1.00質量%とする。
【0020】Mn:0.50乃至1.50質量% Mnはマトリクスに固溶し、強度を確保するのに有効な
元素であり、また、後述するSと共に、MnSを形成
し、被削性を阻害するAlNを包み込んで被削性を向上
させる作用を有する。このMnSを生成するために、M
nの含有量の下限値は0.50質量%とする。一方、M
nの含有量が多すぎると、ベイナイトが生成しやすくな
ると共に、被削性が低下するため、Mnの含有量の上限
値は1.50質量%とする。従って、Mnの含有量は
0.50乃至1.50質量%とする。
【0021】S:0.010乃至0.050質量% Sは被削性向上のために不可欠な元素である。前述の如
く、Mnと共にMnS化合物を形成することで、直接的
に被削性を向上させる効果があると共に、被削性を阻害
するAlN等の介在物をMnSが包み込み、切り欠き効
果により被削性を向上させることができる。これらの効
果を十分に得るために、Sの含有量の下限値は0.01
0質量%である。一方、Sの含有量が多すぎると、熱間
加工性及び靭性が劣化する。このため、Sの含有量の上
限値は0.050質量%である。従って、Sの含有量は
0.010乃至0.050質量%とする。
【0022】Cr:0.30乃至1.20質量% Crは焼入性を向上させるのに有効な元素であり、この
焼入性向上効果を得るためには、Cr含有量の下限値は
0.30質量%とすることが必要である。一方、Crの
含有量が多すぎるとベイナイトが生成し、硬さが高くな
り被削性を害する。このため、Crの含有量の上限値は
1.20質量%とする。従って、Crの含有量は0.3
0乃至1.20質量%とする。
【0023】Ni:0.05乃至1.00質量% Niはフェライトを強化するのに有効な元素であると共
に、Niはフェライト生成量をコントロールするために
必要な元素でもある。これらの効果を得るためには、N
iを0.05質量%以上添加する必要がある。一方、N
iの含有量が多すぎると、フェライト量が減少しすぎて
しまい、被削性を害する。このため、Niの含有量の上
限値は1.00質量%とする。従って、Niの含有量は
0.05乃至1.00質量%とする。
【0024】Al:0.01乃至0.05質量% AlはAlNを形成し、オーステナイト結晶粒度を細か
くするのに必要な元素である。この効果を得るために
は、Alを0.01質量%以上添加する必要がある。ま
た、AlNは本来被削性を劣化させる元素であるが、A
lNがMnSに包まれた場合には、被削性を阻害するこ
となく、むしろ切り欠き効果により被削性を改善させる
効果がある。しかし、Alの含有量が多すぎると、Al
Nが増え過ぎると共に、酸化物系非金属介在物が増加
し、被削性に悪影響を及ぼす。このため、Alの含有量
の上限値は0.05質量%とする。従って、Alの含有
量は0.01乃至0.05質量%とする。
【0025】O:0.0050質量%以下 Oは不可避的に含有されてしまう不純物の1種である。
このOを過剰に含有すると、酸化物系介在物が増加し、
被削性に悪影響を及ぼすので、Oは極力低減することが
望ましい。このため、Oの含有量は0.0050質量%
以下に規制することが好ましい。
【0026】N:0.0150質量%以下 Nは不可避的に含有されてしまう不純物の1種である
が、NはAlと共にAlNを形成してオーステナイト結
晶粒度を細かくし、仕上げ面粗さを良好にする。しか
し、Nの含有量が多すぎると窒化物系非金属介在物が増
加し、被削性に悪影響を及ぼす。このため、Nの含有量
は0.0150質量%以下に規制することが好ましい。
【0027】P:0.030質量%以下 Pは不可避的に含有されてしまうことがある不純物であ
る。このPは靭性を劣化させる元素であるので、0.0
30質量%以下に規制することが好ましい。
【0028】本発明のプラスチック成形用金型用鋼は、
更に必要により以下の元素を含有することができる。
【0029】Cu:0.1乃至1.0質量%及びMo:
0.1乃至1.0質量%からなる群から選択された少な
くとも1種 Cuは添加することにより耐食性が向上する元素であ
る。Cuの含有量が0.1質量%未満では添加効果が乏
しく、また、Cuの含有量が1.0質量%を越えて添加
されると、耐食性向上の効果が飽和に達する。このた
め、Cuの含有量は0.1乃至1.0質量%とする。一
方、Moは鋼の焼入性を向上させるのに有効な元素であ
り、より強度を必要とする場合に添加する。Moの含有
量が0.1質量%未満では、焼入性を向上させる効果が
少ないので、Moの含有量の下限値は0.1質量%とす
る。しかし、多量のMoの添加は被削性及び靭性の低下
を招き好ましくないので、Moの含有量の上限値は1.
0質量%とする。従って、Cu:0.1乃至1.0質量
%及びMo:0.1乃至1.0質量%からなる群から選
択された少なくとも1種を含有する。
【0030】フェライト量:面積率で15乃至40% フェライト面積率が15%未満の場合、硬いセメンタイ
トの量が増加し、また、大きい粒子で存在するセメンタ
イトも増える。そうすると、このようなセメンタイトを
破砕する際に、刃先の欠けが促進され、工具寿命が短く
なる。また、フェライト面積率が40%を超えると、切
削時にむしれが生じ、仕上げ面粗さが劣化する。
【0031】硬さ:83乃至97HRB 硬さが83HRB未満の場合、展延性が大となり、切削
時に工具に構成刃先ができ易くなり、被削性が害され
る。また、硬さが97HRBを超える場合、切削に大き
な動力を要し、摩擦熱により被削性が害される。なお、
「HRB」とは、ロックウェル硬さのBスケールにおけ
る硬さのことである。
【0032】
【実施例】以下、本発明の実施例に係る快削プラスチッ
ク成形金型用鋼について、その特性を本発明の範囲から
外れる比較例と比較して説明する。下記表1乃至4は、
供試材の化学組成を示す。この供試材は通常の製鋼法で
溶製し、鍛錬比が4以上で鍛造したものを放冷して得
た。なお、表1乃至4において、「−」は添加されてい
ないことを示す。供試材は、更に800乃至900℃の
温度で焼きならし処理を行い、その後、550乃至65
0℃の温度に焼戻し処理を施した。
【0033】供試材について、硬さ、フェライト面積
率、エンドミルによる被削性及び仕上げ面粗さ(JIS
B0601で規定される中心線平均粗さRa)を測定
した。フェライト面積率は、各供試材をナイタル腐食液
で腐食させた後、光学顕微鏡により100倍の倍率で1
0視野を写真撮影し、総被検面積6.3mm2について
画像解析装置により測定した。
【0034】各供試材の硬さは、ロックウェル硬さ試験
により測定した。圧子はBスケールで直径が1.587
5mmの鋼球を使用した。測定値は5点測定中の上下の
2点を切り捨て、残る3点の平均値を採用した。なお、
圧子の大きさは実施例及び比較例の鋼のフェライト及び
パーライト粒の大きさに比べて十分に大きい。
【0035】被削性試験は切り込み量が15mm、切削
幅が1mm、切削速度が21m/分、送り速度が94m
m/分、回転数が670rpm、1刃当たりの送り量が
0.070mm/刃の条件で行った。被削性評価は、2
枚刃のエンドミルで供試材の側面切削を行い、切削長さ
が6mのときのエンドミルの摩耗量及び工具の焼け具合
で評価した。評価は◎>○>△>×の順で優れていると
し、摩耗量が少なく、且つ工具が焼けていない場合は
「◎」の評価とし、摩耗量が少なく、且つ焼け具合が少
ない場合は「○」の評価とし、摩耗量が少なく、且つ焼
け具合が若干多い場合は「△」の評価とし、摩耗量が多
く、且つ焼け具合もひどい場合は「×」の評価とした。
そして、この摩耗量をS30C材の摩耗量を指数100
とした被削性指数で表した。
【0036】仕上げ面粗さは、触針式の粗さ測定機を使
用して測定した。仕上げ面の研磨手順は、フライス加工
した面を#400番まで砥石研磨し、続いて、ペーパー
研磨により#2000番まで研磨し、この仕上面の表面
粗さを測定した。評価は中心線平均粗さRa値と光沢度
を目視にて比較し、Ra値が74nm以下の場合は
「◎」の評価とし、Ra値が74nmを超え81nm以
下の場合は「○」とし、Ra値が81nmを超え95n
m以下の場合は「△」の評価とし、Ra値が95nmを
超える場合は「×」の評価とした。そして、このRa値
をS55C材の中心線平均粗さの値(Ra値)を指数1
00とした場合の仕上げ面粗さ指数で表した。これらの
硬さ測定結果、フェライト面積率測定結果、エンドミル
による被削性評価結果及び仕上げ面粗さ(中心線平均粗
さRa)の結果を表5及び6並びに図1、3及び4に示
す。
【0037】図1は横軸に硬さをとり、縦軸にフェライ
ト面積率をとって供試材のフェライト面積率と硬さとの
関係を示すグラフ図、図2は横軸に炭素量をとり、縦軸
の左側に被削性指数、縦軸の右側に仕上げ面粗さ指数を
とって従来の鋼の炭素量と被削性指数及び仕上げ面粗さ
指数との関係を示すグラフ図、図3は横軸に炭素量をと
り、縦軸に被削性指数をとって炭素量と被削性との関係
を示すグラフ図、図4は横軸に炭素量をとり、縦軸に仕
上げ面粗さ指数をとって炭素量と仕上げ面粗さ指数との
関係を示すグラフ図である。なお、図1、3及び4にお
いて、図中◆は実施例を示し、□は比較例を示す。図2
においては、被削性指数はS30C材の摩耗量を指数1
00として示したものであり、仕上げ面粗さ指数はS5
5C材の平均粗さを指数100として示したものであ
る。実線はJIS SC材の被削性を示し、破線はJI
S SC材の仕上げ面粗さを示す。図3においては、被
削性指数はS30C材の摩耗量を指数100として示し
たものである。実線はJISSC材の被削性の結果を示
している。図4においては、仕上げ面粗さ指数はS55
C材の平均粗さを指数100として示したものである。
実線はJIS SC材の仕上げ面粗さの結果を示してい
る。
【0038】図1に示すように、本実施例はいずれも硬
さ及びフェライト面積率が本発明の範囲にある。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】図2に示すように、一般的に機械構造用炭
素鋼(SC)系の従来鋼においては、被削性はJIS
S30Cが最も良好であり、仕上げ面粗さはJIS S
55CよりもC量が多いものが良好である。しかし、上
記表5並びに図3及び4に示すように、実施例No.1乃
至11は被削性指数及び仕上げ面粗さ指数は共にC量に
依らずに高い。即ち、実施例No.1乃至11は仕上面粗
さが優れ、且つ被削性が良好なプラスチック成形金型用
鋼であり、更に、プラスチック成形金型用鋼として必要
な材料硬さも備えている。なお、実施例No.4はC量が
0.30質量%であり、極めて良好な被削性を有する。
実施例No.8はC量が0.57質量%であり、極めて良
好な仕上げ面粗さを有する。
【0046】一方、比較例No.12はSi及びNiの含
有量が本発明の下限値未満であり、硬さが本発明の下限
値未満であり、フェライト面積率が本発明の範囲を超え
ているので、仕上げ面粗さが劣っている。比較例No.1
3はSi及びNiの含有量が本発明の下限値未満であ
り、フェライト面積率も本発明の下限値未満であるの
で、被削性が劣っている。比較例No.14はCの含有量
及び硬さが本発明の上限値を超えているので、被削性が
劣り、仕上げ面粗さが若干劣っている。比較例No.15
はSiの含有量及び硬さが本発明の上限値を超えている
ので、被削性が若干劣り、仕上げ面粗さが劣っている。
【0047】比較例No.16はMnの含有量が本発明の
上限値を超え、Sの含有量が本発明の下限値未満であ
り、フェライト面積率も本発明の上限値を超えているの
で、被削性が若干劣り、仕上げ面粗さが劣っている。比
較例No.17はS及びAlの含有量並びに硬さが本発明
の上限値を超え、フェライト面積率が本発明の下限値未
満であるので、被削性が劣っている。比較例No.18は
C及びMnの含有量並びにフェライト面積率が本発明の
下限値未満であり、Crの含有量及び硬さが本発明の上
限値を超えているので、被削性が劣っている。比較例N
o.19はCrの含有量及びフェライト面積率が本発明の
下限値未満であり、Ni及びNの含有量が本発明の上限
値を超えているので、被削性及び仕上げ面粗さが共に劣
っている。
【0048】比較例No.20はNiの含有量が本発明の
上限値を超えているので、フェライト面積率が減少し、
本発明の下限値未満となり、被削性及び仕上げ面粗さが
劣っている。比較例No.21はNiの含有量が本発明の
下限値未満であり、被削性及び仕上げ面粗さが若干劣っ
ている。比較例No.22はSiの含有量が本発明の下限
値未満であり、被削性及び仕上げ面粗さが若干劣ってい
る。比較例No.23はCrの含有量が本発明の上限値を
超えているので、硬さが本発明の上限値を超え、フェラ
イト面積率が本発明の下限値未満となり、被削性が劣
り、仕上げ面粗さが若干劣っている。比較例No.24は
Crの含有量が本発明の下限値未満であり、フェライト
面積率が本発明の上限値を超えているので、被削性が若
干劣り、仕上げ面粗さが劣っている。比較例No.25は
Sの含有量が本発明の上限値を超え、硬さが本発明の下
限値未満であるため、被削性が劣り、仕上げ面粗さが若
干劣っている。比較例No.26は硬さが本発明の上限値
を超えているので、被削性が劣っている。比較例No.2
7はフェライト面積率が本発明の下限値未満であるた
め、被削性が劣り、仕上げ面粗さが若干劣っている。比
較例No.28はフェライト面積率が本発明の上限値を超
えているため、被削性が若干劣り、仕上げ面粗さが劣っ
ている。
【0049】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、鋼
材の合金組成、フェライト量及び硬さを適切に調整した
ので、快削性を向上させる成分を多量に添加することな
く、また、特殊な熱処理をすることなく、被削性、焼入
性及び仕上げ面粗さといった相反する特性を改善するこ
とができ、優れた被削性、焼入性及び仕上げ面粗さを有
するプラスチック成形金型用鋼を得ることができる。こ
れにより、本発明は、日用雑貨用の小型サイズから自動
車インパネの成形用型等の大型サイズまで種々の汎用製
品の金型を低コストで製造することができるという多大
の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】横軸に硬さをとり、縦軸にフェライト面積率を
とって供試材のフェライト面積率と硬さとの関係を示す
グラフ図である。
【図2】横軸に炭素量をとり、縦軸の左側に被削性指
数、縦軸の右側に仕上げ面粗さ指数をとって従来の鋼の
炭素量と被削性指数及び仕上げ面粗さ指数との関係を示
すグラフ図である。
【図3】横軸に炭素量をとり、縦軸に被削性指数をとっ
て炭素量と被削性との関係を示すグラフ図である。
【図4】横軸に炭素量をとり、縦軸に仕上げ面粗さ指数
をとって炭素量と仕上げ面粗さ指数との関係を示すグラ
フ図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古澤 貞良 富山県新湊市八幡町3丁目10番15号 日本 高周波鋼業株式会社内 Fターム(参考) 4F202 AJ02 AJ07 CA30 CD00 CD30

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.20乃至0.60質量%、S
    i:0.30乃至1.00質量%、Mn:0.50乃至
    1.50質量%、S:0.010乃至0.050質量
    %、Cr:0.30乃至1.20質量%、Ni:0.0
    5乃至1.00質量%及びAl:0.01乃至0.05
    質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からな
    る組成を有し、組織がフェライト及びパーライトからな
    り、フェライト量が面積率で15乃至40%、残部がパ
    ーライトであり、硬さが83乃至97HRBであること
    を特徴とする仕上げ面粗さが優れた快削プラスチック成
    形金型用鋼。
  2. 【請求項2】 更に、Cu:0.1乃至1.0質量%及
    びMo:0.1乃至1.0質量%からなる群から選択さ
    れた少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項
    1に記載の仕上げ面粗さが優れた快削プラスチック成形
    金型用鋼。
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