JP3589619B2 - 仕上げ面粗さが優れた快削プラスチック成形金型用鋼 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、快削性元素を多量に添加することなく被削性を改善し、被削性、焼入れ性及び仕上面粗さという相反する特性をいずれも改善した快削プラスチック成形金型用鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車インパネ又はテレビの筐体等のような大型プラスチック成形品を成形するための金型の製作においては、比較的低コストのS55Cクラスの構造用鋼が汎用的に使用されている。コストダウンを目的とした機械加工費の削減のため、被削性を重視した快削プラスチック成形金型用鋼が使用されているが、S55Cクラスの金型用鋼についても例外ではなく、低コスト化及び被削性の更に一層の改善が要望されている。
【0003】
従来の快削プラスチック成形金型用鋼は、Pb、Te、Bi、Ca及びZr等の快削性を向上させる成分を単独又は複合添加して被削性の向上を図っている。しかし、Te、Bi、Zr又はCa等を添加することは、コストダウンの要求に反するものであり、近時の低コスト化の要求を満足できない。また、Sを多量に含有するS系快削プラスチック成形金型用鋼は、機械的性質が劣化し、異方性が増加する虞があり、MnSが偏析している箇所は、シボ加工(エンボス加工)又は鏡面加工後の仕上げ面粗さが粗くなるという問題点がある。
【0004】
例えば、特開昭63−286554号公報には、Bi又はCaの添加により被削性を改善したプラスチック成形金型用鋼が提案されている。また、特開平10−121196号公報には、MnSの形態を制御することにより被削性を改善したプラスチック成形金型用鋼が提案されている。
【0005】
一方、Pb系快削プラスチック成形金型用鋼は機械的性質を劣化させずに、被削性を向上させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の特開昭63−286554号公報及び特開平10−121196号公報に記載されたいずれの従来技術においても、非金属介在物の増加を伴うものであり、仕上げ面粗さが粗くなるという問題点がある。また、Pb系快削プラスチック成形金型用鋼においては、Pbは人体に有害であると共に、Pbを含有する鋼材は公害の点から再利用しにくく、鋼材のリサイクル性の面からも問題がある。
【0007】
一方、自動車インパネ及びテレビの筐体のような大型のプラスチック成形品用の金型は、鋼材のブロックを深く削り出すことにより製造されることが多く、このため、金型製品は鋼材ブロックの中心部が表面にあらわれる。このような深堀の金型の場合は、鋼材ブロックの中心部の状態が製品の善し悪しを決定する場合が多い。鋼材の中心部及び表層部に組織ムラ又は硬さムラが生じている場合、深堀した箇所に硬さが低い部分が現れ、シボムラ又は鏡面ムラの原因となる。
【0008】
S55Cクラスの金型用鋼はSCM系の金型鋼に比べて焼入性が低いため、例えば幅が400mm以上の実用的な大型サイズの鋼材においては、中心部と表層部とにおいて組織ムラが発生する虞がある。このため、特にプラスチック成形金型用鋼としては、大型の鋼材においても、中心部と表層部との組織及び硬さが均一で、シボ加工又は鏡面加工後の仕上げ面粗さが優れ、且つ被削性が改善されたプラスチック成形金型用鋼を安価に供給することが要望されている。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、被削性を向上させる元素を多量に添加することなく、また、特殊な熱処理をすることなく、被削性を向上させ、被削性、焼入れ性及び仕上面粗さという相反する特性を改善することができる低コストの仕上げ面粗さが優れた快削プラスチック成形金型用鋼を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る仕上げ面粗さが優れた快削プラスチック成形金型用鋼は、C:0.20乃至0.60質量%、Si:0.30乃至1.00質量%、Mn:0.50乃至1.50質量%、S:0.010乃至0.050質量%、Cr:0.30乃至1.20質量%、Ni:0.05乃至1.00質量%及びAl:0.01乃至0.05質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有し、組織がフェライト及びパーライトからなり、フェライト量が面積率で15乃至40%、残部がパーライトであり、硬さが83乃至97HRBであることを特徴とする。
【0011】
この鋼は、更に、必要に応じて、Cu:0.1乃至1.0質量%及びMo:0.1乃至1.0質量%からなる群から選択された少なくとも1種を含有する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。本発明者等は、機械構造用炭素鋼(SC)系のプラスチック成形金型用鋼の仕上げ面粗さ及び被削性を改善するために、ミクロ組織及び硬さが仕上げ面粗さ及び被削性に及ぼす影響について鋭意研究した。その結果、機械構造用炭素鋼(SC)系のプラスチック成形金型用鋼はフェライトの面積率と強度とを規定することにより、C量の広い範囲に亘って被削性が劣化することなく、優れた仕上げ面粗さを維持することができることを見出した。
【0013】
具体的には、フェライト面積率を15乃至40%にし、更に、フェライトの強度を上げることにより、被削性と仕上げ面粗さの双方を良好にすることができることを見いだした。また、このように、フェライト面積率及びフェライト強度を調節するためには、Si、Cr及びNiをバランスよく添加することが必要であることを知見した。
【0014】
また、優れた仕上げ面粗さにするためには、組織ムラ及び硬さムラをなくすことが重要である。機械構造用炭素鋼(SC)系のプラスチック成形金型用鋼にCr及びNi等の合金元素を添加すると、熱処理後の冷却時において、冷却速度の遅い鋼材内部においてはフェライト+パーライト組織になり、最も冷却速度が速い鋼材の表層部においてはフェライト+ベイナイト組織になる場合があり、この組織の違いにより硬さムラが生じ、仕上げ面粗さが劣化する可能性がある。
【0015】
本発明においては、Si、Cr及びNiをバランスよく添加することにより、熱処理後において、鋼材の表層部はフェライト+ベイナイト組織になることなく、鋼材の内部と同じくフェライト+パーライト組織となり、鋼材の中心部と同様なミクロ組織となる。従って、本発明によれば、均一な組織が得られる。
【0016】
このようにして、本発明によれば、被削性、焼入性及び仕上げ面粗さといった相反する特性を改善するために、快削性を向上させる成分を多量に添加することなく、また特殊な熱処理をすることなく、優れた被削性と仕上げ面粗さとを有するプラスチック成型金型用鋼が得られる。
【0017】
以下、本発明のプラスチック成形金型用鋼の組成の成分添加理由及び組成限定理由について説明する。
【0018】
C:0.20乃至0.60質量%
Cは鋼の硬さ及び強度を高めるのに有効な元素である。Cの含有量が0.20質量%未満では、鋼の硬さ及び強度を高める効果を得ることができない。一方、Cの含有量が増すとフェライト面積率が減少し、硬いFe炭化物が多くなるため、機械加工に際して工具刃先が摩滅し被削性が劣化する。このため、Cの含有量の上限値は0.60質量%とする。従って、Cの含有量は0.20乃至0.60質量%とする。
【0019】
Si:0.30乃至1.00質量%
Siは溶製時の脱酸剤として有効な元素である。本発明においては、このSiは特にフェライトを強化するために必要な元素である。Siの含有量が0.30質量%未満では、フェライトを強化する効果を得ることができない。一方、Siの含有量が1.00質量%を超えて多くなりすぎると、靭性が減少する。従って、Siの含有量は0.30乃至1.00質量%とする。
【0020】
Mn:0.50乃至1.50質量%
Mnはマトリクスに固溶し、強度を確保するのに有効な元素であり、また、後述するSと共に、MnSを形成し、被削性を阻害するAlNを包み込んで被削性を向上させる作用を有する。このMnSを生成するために、Mnの含有量の下限値は0.50質量%とする。一方、Mnの含有量が多すぎると、ベイナイトが生成しやすくなると共に、被削性が低下するため、Mnの含有量の上限値は1.50質量%とする。従って、Mnの含有量は0.50乃至1.50質量%とする。
【0021】
S:0.010乃至0.050質量%
Sは被削性向上のために不可欠な元素である。前述の如く、Mnと共にMnS化合物を形成することで、直接的に被削性を向上させる効果があると共に、被削性を阻害するAlN等の介在物をMnSが包み込み、切り欠き効果により被削性を向上させることができる。これらの効果を十分に得るために、Sの含有量の下限値は0.010質量%である。一方、Sの含有量が多すぎると、熱間加工性及び靭性が劣化する。このため、Sの含有量の上限値は0.050質量%である。従って、Sの含有量は0.010乃至0.050質量%とする。
【0022】
Cr:0.30乃至1.20質量%
Crは焼入性を向上させるのに有効な元素であり、この焼入性向上効果を得るためには、Cr含有量の下限値は0.30質量%とすることが必要である。一方、Crの含有量が多すぎるとベイナイトが生成し、硬さが高くなり被削性を害する。このため、Crの含有量の上限値は1.20質量%とする。従って、Crの含有量は0.30乃至1.20質量%とする。
【0023】
Ni:0.05乃至1.00質量%
Niはフェライトを強化するのに有効な元素であると共に、Niはフェライト生成量をコントロールするために必要な元素でもある。これらの効果を得るためには、Niを0.05質量%以上添加する必要がある。一方、Niの含有量が多すぎると、フェライト量が減少しすぎてしまい、被削性を害する。このため、Niの含有量の上限値は1.00質量%とする。従って、Niの含有量は0.05乃至1.00質量%とする。
【0024】
Al:0.01乃至0.05質量%
AlはAlNを形成し、オーステナイト結晶粒度を細かくするのに必要な元素である。この効果を得るためには、Alを0.01質量%以上添加する必要がある。また、AlNは本来被削性を劣化させる元素であるが、AlNがMnSに包まれた場合には、被削性を阻害することなく、むしろ切り欠き効果により被削性を改善させる効果がある。しかし、Alの含有量が多すぎると、AlNが増え過ぎると共に、酸化物系非金属介在物が増加し、被削性に悪影響を及ぼす。このため、Alの含有量の上限値は0.05質量%とする。従って、Alの含有量は0.01乃至0.05質量%とする。
【0025】
O:0.0050質量%以下
Oは不可避的に含有されてしまう不純物の1種である。このOを過剰に含有すると、酸化物系介在物が増加し、被削性に悪影響を及ぼすので、Oは極力低減することが望ましい。このため、Oの含有量は0.0050質量%以下に規制することが好ましい。
【0026】
N:0.0150質量%以下
Nは不可避的に含有されてしまう不純物の1種であるが、NはAlと共にAlNを形成してオーステナイト結晶粒度を細かくし、仕上げ面粗さを良好にする。しかし、Nの含有量が多すぎると窒化物系非金属介在物が増加し、被削性に悪影響を及ぼす。このため、Nの含有量は0.0150質量%以下に規制することが好ましい。
【0027】
P:0.030質量%以下
Pは不可避的に含有されてしまうことがある不純物である。このPは靭性を劣化させる元素であるので、0.030質量%以下に規制することが好ましい。
【0028】
本発明のプラスチック成形用金型用鋼は、更に必要により以下の元素を含有することができる。
【0029】
Cu:0.1乃至1.0質量%及びMo:0.1乃至1.0質量%からなる群から選択された少なくとも1種
Cuは添加することにより耐食性が向上する元素である。Cuの含有量が0.1質量%未満では添加効果が乏しく、また、Cuの含有量が1.0質量%を越えて添加されると、耐食性向上の効果が飽和に達する。このため、Cuの含有量は0.1乃至1.0質量%とする。一方、Moは鋼の焼入性を向上させるのに有効な元素であり、より強度を必要とする場合に添加する。Moの含有量が0.1質量%未満では、焼入性を向上させる効果が少ないので、Moの含有量の下限値は0.1質量%とする。しかし、多量のMoの添加は被削性及び靭性の低下を招き好ましくないので、Moの含有量の上限値は1.0質量%とする。従って、Cu:0.1乃至1.0質量%及びMo:0.1乃至1.0質量%からなる群から選択された少なくとも1種を含有する。
【0030】
フェライト量:面積率で15乃至40%
フェライト面積率が15%未満の場合、硬いセメンタイトの量が増加し、また、大きい粒子で存在するセメンタイトも増える。そうすると、このようなセメンタイトを破砕する際に、刃先の欠けが促進され、工具寿命が短くなる。また、フェライト面積率が40%を超えると、切削時にむしれが生じ、仕上げ面粗さが劣化する。
【0031】
硬さ:83乃至97HRB
硬さが83HRB未満の場合、展延性が大となり、切削時に工具に構成刃先ができ易くなり、被削性が害される。また、硬さが97HRBを超える場合、切削に大きな動力を要し、摩擦熱により被削性が害される。なお、「HRB」とは、ロックウェル硬さのBスケールにおける硬さのことである。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の実施例に係る快削プラスチック成形金型用鋼について、その特性を本発明の範囲から外れる比較例と比較して説明する。下記表1乃至4は、供試材の化学組成を示す。この供試材は通常の製鋼法で溶製し、鍛錬比が4以上で鍛造したものを放冷して得た。なお、表1乃至4において、「−」は添加されていないことを示す。供試材は、更に800乃至900℃の温度で焼きならし処理を行い、その後、550乃至650℃の温度に焼戻し処理を施した。
【0033】
供試材について、硬さ、フェライト面積率、エンドミルによる被削性及び仕上げ面粗さ(JIS B0601で規定される中心線平均粗さRa)を測定した。フェライト面積率は、各供試材をナイタル腐食液で腐食させた後、光学顕微鏡により100倍の倍率で10視野を写真撮影し、総被検面積6.3mmについて画像解析装置により測定した。
【0034】
各供試材の硬さは、ロックウェル硬さ試験により測定した。圧子はBスケールで直径が1.5875mmの鋼球を使用した。測定値は5点測定中の上下の2点を切り捨て、残る3点の平均値を採用した。なお、圧子の大きさは実施例及び比較例の鋼のフェライト及びパーライト粒の大きさに比べて十分に大きい。
【0035】
被削性試験は切り込み量が15mm、切削幅が1mm、切削速度が21m/分、送り速度が94mm/分、回転数が670rpm、1刃当たりの送り量が0.070mm/刃の条件で行った。被削性評価は、2枚刃のエンドミルで供試材の側面切削を行い、切削長さが6mのときのエンドミルの摩耗量及び工具の焼け具合で評価した。評価は◎>○>△>×の順で優れているとし、摩耗量が少なく、且つ工具が焼けていない場合は「◎」の評価とし、摩耗量が少なく、且つ焼け具合が少ない場合は「○」の評価とし、摩耗量が少なく、且つ焼け具合が若干多い場合は「△」の評価とし、摩耗量が多く、且つ焼け具合もひどい場合は「×」の評価とした。そして、この摩耗量をS30C材の摩耗量を指数100とした被削性指数で表した。
【0036】
仕上げ面粗さは、触針式の粗さ測定機を使用して測定した。仕上げ面の研磨手順は、フライス加工した面を#400番まで砥石研磨し、続いて、ペーパー研磨により#2000番まで研磨し、この仕上面の表面粗さを測定した。評価は中心線平均粗さRa値と光沢度を目視にて比較し、Ra値が74nm以下の場合は「◎」の評価とし、Ra値が74nmを超え81nm以下の場合は「○」とし、Ra値が81nmを超え95nm以下の場合は「△」の評価とし、Ra値が95nmを超える場合は「×」の評価とした。そして、このRa値をS55C材の中心線平均粗さの値(Ra値)を指数100とした場合の仕上げ面粗さ指数で表した。これらの硬さ測定結果、フェライト面積率測定結果、エンドミルによる被削性評価結果及び仕上げ面粗さ(中心線平均粗さRa)の結果を表5及び6並びに図1、3及び4に示す。
【0037】
図1は横軸に硬さをとり、縦軸にフェライト面積率をとって供試材のフェライト面積率と硬さとの関係を示すグラフ図、図2は横軸に炭素量をとり、縦軸の左側に被削性指数、縦軸の右側に仕上げ面粗さ指数をとって従来の鋼の炭素量と被削性指数及び仕上げ面粗さ指数との関係を示すグラフ図、図3は横軸に炭素量をとり、縦軸に被削性指数をとって炭素量と被削性との関係を示すグラフ図、図4は横軸に炭素量をとり、縦軸に仕上げ面粗さ指数をとって炭素量と仕上げ面粗さ指数との関係を示すグラフ図である。なお、図1、3及び4において、図中◆は実施例を示し、□は比較例を示す。図2においては、被削性指数はS30C材の摩耗量を指数100として示したものであり、仕上げ面粗さ指数はS55C材の平均粗さを指数100として示したものである。実線はJIS SC材の被削性を示し、破線はJIS SC材の仕上げ面粗さを示す。図3においては、被削性指数はS30C材の摩耗量を指数100として示したものである。実線はJISSC材の被削性の結果を示している。図4においては、仕上げ面粗さ指数はS55C材の平均粗さを指数100として示したものである。実線はJIS SC材の仕上げ面粗さの結果を示している。
【0038】
図1に示すように、本実施例はいずれも硬さ及びフェライト面積率が本発明の範囲にある。
【0039】
【表1】
Figure 0003589619
【0040】
【表2】
Figure 0003589619
【0041】
【表3】
Figure 0003589619
【0042】
【表4】
Figure 0003589619
【0043】
【表5】
Figure 0003589619
【0044】
【表6】
Figure 0003589619
【0045】
図2に示すように、一般的に機械構造用炭素鋼(SC)系の従来鋼においては、被削性はJIS S30Cが最も良好であり、仕上げ面粗さはJIS S55CよりもC量が多いものが良好である。しかし、上記表5並びに図3及び4に示すように、実施例No.1乃至11は被削性指数及び仕上げ面粗さ指数は共にC量に依らずに高い。即ち、実施例No.1乃至11は仕上面粗さが優れ、且つ被削性が良好なプラスチック成形金型用鋼であり、更に、プラスチック成形金型用鋼として必要な材料硬さも備えている。なお、実施例No.4はC量が0.30質量%であり、極めて良好な被削性を有する。実施例No.8はC量が0.57質量%であり、極めて良好な仕上げ面粗さを有する。
【0046】
一方、比較例No.12はSi及びNiの含有量が本発明の下限値未満であり、硬さが本発明の下限値未満であり、フェライト面積率が本発明の範囲を超えているので、仕上げ面粗さが劣っている。比較例No.13はSi及びNiの含有量が本発明の下限値未満であり、フェライト面積率も本発明の下限値未満であるので、被削性が劣っている。比較例No.14はCの含有量及び硬さが本発明の上限値を超えているので、被削性が劣り、仕上げ面粗さが若干劣っている。比較例No.15はSiの含有量及び硬さが本発明の上限値を超えているので、被削性が若干劣り、仕上げ面粗さが劣っている。
【0047】
比較例No.16はMnの含有量が本発明の上限値を超え、Sの含有量が本発明の下限値未満であり、フェライト面積率も本発明の上限値を超えているので、被削性が若干劣り、仕上げ面粗さが劣っている。比較例No.17はS及びAlの含有量並びに硬さが本発明の上限値を超え、フェライト面積率が本発明の下限値未満であるので、被削性が劣っている。比較例No.18はC及びMnの含有量並びにフェライト面積率が本発明の下限値未満であり、Crの含有量及び硬さが本発明の上限値を超えているので、被削性が劣っている。比較例No.19はCrの含有量及びフェライト面積率が本発明の下限値未満であり、Ni及びNの含有量が本発明の上限値を超えているので、被削性及び仕上げ面粗さが共に劣っている。
【0048】
比較例No.20はNiの含有量が本発明の上限値を超えているので、フェライト面積率が減少し、本発明の下限値未満となり、被削性及び仕上げ面粗さが劣っている。比較例No.21はNiの含有量が本発明の下限値未満であり、被削性及び仕上げ面粗さが若干劣っている。比較例No.22はSiの含有量が本発明の下限値未満であり、被削性及び仕上げ面粗さが若干劣っている。比較例No.23はCrの含有量が本発明の上限値を超えているので、硬さが本発明の上限値を超え、フェライト面積率が本発明の下限値未満となり、被削性が劣り、仕上げ面粗さが若干劣っている。比較例No.24はCrの含有量が本発明の下限値未満であり、フェライト面積率が本発明の上限値を超えているので、被削性が若干劣り、仕上げ面粗さが劣っている。比較例No.25はSの含有量が本発明の上限値を超え、硬さが本発明の下限値未満であるため、被削性が劣り、仕上げ面粗さが若干劣っている。比較例No.26は硬さが本発明の上限値を超えているので、被削性が劣っている。比較例No.27はフェライト面積率が本発明の下限値未満であるため、被削性が劣り、仕上げ面粗さが若干劣っている。比較例No.28はフェライト面積率が本発明の上限値を超えているため、被削性が若干劣り、仕上げ面粗さが劣っている。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、鋼材の合金組成、フェライト量及び硬さを適切に調整したので、快削性を向上させる成分を多量に添加することなく、また、特殊な熱処理をすることなく、被削性、焼入性及び仕上げ面粗さといった相反する特性を改善することができ、優れた被削性、焼入性及び仕上げ面粗さを有するプラスチック成形金型用鋼を得ることができる。これにより、本発明は、日用雑貨用の小型サイズから自動車インパネの成形用型等の大型サイズまで種々の汎用製品の金型を低コストで製造することができるという多大の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】横軸に硬さをとり、縦軸にフェライト面積率をとって供試材のフェライト面積率と硬さとの関係を示すグラフ図である。
【図2】横軸に炭素量をとり、縦軸の左側に被削性指数、縦軸の右側に仕上げ面粗さ指数をとって従来の鋼の炭素量と被削性指数及び仕上げ面粗さ指数との関係を示すグラフ図である。
【図3】横軸に炭素量をとり、縦軸に被削性指数をとって炭素量と被削性との関係を示すグラフ図である。
【図4】横軸に炭素量をとり、縦軸に仕上げ面粗さ指数をとって炭素量と仕上げ面粗さ指数との関係を示すグラフ図である。

Claims (2)

  1. C:0.20乃至0.60質量%、Si:0.30乃至1.00質量%、Mn:0.50乃至1.50質量%、S:0.010乃至0.050質量%、Cr:0.30乃至1.20質量%、Ni:0.05乃至1.00質量%及びAl:0.01乃至0.05質量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有し、組織がフェライト及びパーライトからなり、フェライト量が面積率で15乃至40%、残部がパーライトであり、硬さが83乃至97HRBであることを特徴とする仕上げ面粗さが優れた快削プラスチック成形金型用鋼。
  2. 更に、Cu:0.1乃至1.0質量%及びMo:0.1乃至1.0質量%からなる群から選択された少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載の仕上げ面粗さが優れた快削プラスチック成形金型用鋼。
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